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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】灯具及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20240430BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20240430BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240430BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240430BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240430BHJP
   F21V 7/24 20180101ALI20240430BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240430BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21V31/00 150
F21V31/00 300
F21V31/00 200
F21S2/00 230
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21S8/04 130
F21V7/00 310
F21V7/24
F21Y115:10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020096881
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021190369
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小津 祥平
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-069879(JP,A)
【文献】特開2016-058223(JP,A)
【文献】特開2019-186120(JP,A)
【文献】特開2017-174568(JP,A)
【文献】特開2017-050100(JP,A)
【文献】特開2016-149332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 19/00 - 19/06
F21V 23/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面に発光素子が設置される基板と、
前記基板の前記実装面の反対側の面である接合面と接合され、少なくとも一部が前記基板に覆われる第1面を有し、前記第1面から前記第1面の反対側の面である第2面を貫通する貫通孔が形成されている台座と、
前記貫通孔と重なるように前記基板の外周部と前記第1面との間に配置される被覆部材と、を備え
前記被覆部材には、
前記基板に覆われる部分に、前記接合面と前記第1面とを接合するための接着剤が配置される複数の貫通部が形成されており、
前記被覆部材は、
前記接合面と前記第1面とが前記貫通部に配置される前記接着剤によって接合されることにより前記台座に保持される、灯具。
【請求項2】
前記被覆部材は、
前記被覆部材の外周側部の一部が前記基板に覆われている領域に配置されるとともに、前記外周側部のうち他の一部が前記基板に覆われていない領域に配置される、請求項1に記載の灯具。
【請求項3】
記被覆部材は、
前記複数の貫通部を隔てる接続部を備え、
前記接続部の少なくとも一部は、
前記台座の前記貫通孔と重なる、請求項に記載の灯具。
【請求項4】
前記接続部の少なくとも一部は、
前記接着剤によって前記基板の前記接合面と接合される、請求項に記載の灯具。
【請求項5】
前記接続部の少なくとも一部は、
前記接着剤によって前記台座の前記第1面と接合される、請求項又は請求項に記載の灯具。
【請求項6】
前記発光素子を覆う透光部を有する外郭部を備え、
前記外郭部は、
前記台座に取り付けられる取付部を備え、
前記被覆部材の外周側部は、
前記第1面と前記取付部との間に配置される、請求項1~請求項の何れか1項に記載の灯具。
【請求項7】
前記外郭部の前記取付部は、
前記台座に取り付けられた状態において、前記第1面の側に配置される保持部と、前記第2面の側に配置される係合部と、を有し、
前記保持部の前記透光部に向く面は、
少なくとも可視光の帯域における光の反射率が前記透光部よりも高い、請求項に記載の灯具。
【請求項8】
前記被覆部材の前記透光部に対向する面は、
少なくとも可視光の帯域における反射率が前記透光部よりも高い、請求項又は請求項に記載の灯具。
【請求項9】
請求項1~請求項の何れか1項に記載の灯具と、
前記灯具が装着される照明器具と、を備える、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光を放射する灯具及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の一面側にLED(Light Emitting Diode)が実装された灯具と、基板の他面側に配置された点灯装置とを備えた照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の照明装置の発光ユニット(灯具)において、発光素子基板と反射部材は、基板固定部材によって支持部材に固定される。反射部材は、発光素子基板と支持部材とにより挟持されている。このため、反射部材は、支持部材から脱落しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-149332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の照明装置の発光ユニットにおいて、重ねて組み合わされる支持部材及び反射部材には、それぞれ基板固定部材の一対の爪部を挿通させるための挿通孔が形成されている。また、発光素子基板は、支持部材の長手方向の端部から基板固定部材の一対の爪部の間に挿入される構成となっている。このような構成においては、製造上の観点から、支持部材と爪部の先端の発光素子基板を支持する面との間の寸法は、発光素子基板の厚さ寸法よりも大きく設定される。このため、支持部材の挿通孔は、基板固定部材の平面部によって上方から覆われるものの、支持部材の上面と基板固定部材の平面部との間には隙間があり、支持部材の挿通孔と反射部材の挿通孔とを完全に閉塞することができない。これにより、特許文献1の照明装置は、支持部材の挿通孔と反射部材の挿通孔とを経由して、発光ユニットの内部に塵、埃、虫といった異物を侵入させてしまうという課題があった。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、異物の侵入リスクを抑制することができる灯具及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る灯具は、実装面に発光素子が設置される基板と、前記基板の前記実装面の反対側の面である接合面と接合され、少なくとも一部が前記基板に覆われる第1面を有し、前記第1面から前記第1面の反対側の面である第2面を貫通する貫通孔が形成されている台座と、前記貫通孔と重なるように前記基板の外周部と前記第1面との間に配置される被覆部材と、を備え、前記被覆部材には、前記基板に覆われる部分に、前記接合面と前記第1面とを接合するための接着剤が配置される複数の貫通部が形成されており、前記被覆部材は、前記接合面と前記第1面とが前記貫通部に配置される前記接着剤によって接合されることにより前記台座に保持される
【0007】
本開示に係る照明装置は、上記の灯具と、前記灯具が装着される照明器具と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、異物の侵入リスクを抑制しつつ、光の取出し効率を向上した灯具及び照明装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る照明装置1を下側から見た斜視図である。
図2】実施の形態1に係る照明装置1を照明器具2と灯具3とに分割した状態の斜視図である。
図3】実施の形態1に係る灯具3の斜視図である。
図4】実施の形態1に係る灯具3の分解斜視図である。
図5】実施の形態1に係る灯具3の断面図である。
図6図5のD部の拡大図である。
図7】実施の形態1に係る灯具3の断面図である。
図8】実施の形態1に係る灯具3の断面図である。
図9】実施の形態1に係る灯具3の光源ユニット30を組立てる工程の説明図である。
図10】実施の形態1に係る灯具3の光源ユニット30を組立てる工程の説明図である。
図11】実施の形態1に係る灯具3の光源ユニット30を組立てる工程の説明図である。
図12】実施の形態1に係る灯具3の光源ユニット30を組立てる工程の説明図である。
図13】実施の形態1に係る灯具3の要部である光源ユニット30の変形例である光源ユニット30aを説明する分解斜視図である。
図14】実施の形態1に係る灯具3の要部である光源ユニット30の変形例である光源ユニット30bを説明する分解斜視図である。
図15】実施の形態1に係る灯具3の要部である光源ユニット30の変形例である光源ユニット30cを説明する分解斜視図である。
図16】実施の形態1に係る灯具3の要部である光源ユニット30の変形例である光源ユニット30dを説明する分解斜視図である。
図17】実施の形態2に係る灯具3eの要部を示す断面図である。
図18】実施の形態3に係る灯具3fの要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る灯具及び照明装置の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、明細書の全文において、床面から天井に向かう方向を「上方向」と呼び、天井側を「上側」と呼ぶこととする。また、同様に、天井から床面に向かう垂直な方向を「下方向」と呼び、床面側を「下側」と呼ぶこととする。各図面においては、互いに直交するX、Y及びZ方向が規定されている。照明装置は、基本的にZ方向を上下方向に向けて設置された状態で説明されているが、必ずしも上下方向のみに限定されるものではなく、例えばZ方向を上下方向から傾斜させて配置されても良い。また、各図面の各構成部材の相対的な寸法関係、又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置1を下側から見た斜視図である。図2は、実施の形態1に係る照明装置1を照明器具2と灯具3とに分割した状態の斜視図である。図3は、実施の形態1に係る灯具3の斜視図である。照明装置1は、天井9に取り付けられる照明器具2と、照明器具2に装着される灯具3と、を備える。照明器具2は器具本体とも称する。灯具3は、照明又はライトユニットとも称する。また、実施の形態1において、照明装置1は、天井9に照明器具2が取り付けられる構成であるが、これだけに限定されるものではない。例えば、照明器具2は、壁、床等の被取付部に取り付けられていても良い。
【0012】
照明器具2は、灯具3が装着される箱状の装着部200を形成する。実施の形態1に係る照明器具2は、Y方向において装着部200を挟んだ両側に傾斜部202を有する。ここで、Y方向は、Z方向を上下方向としたときに、水平方向において、天井9に取り付けられた照明装置1の長手方向であるX方向と直交する方向である。また、照明器具2は、所謂V字タイプの直付型照明器具である。照明器具2は、図1及び図2に示されたものに限定されず、例えば傾斜部202が設けられていないトラフタイプ、笠付タイプ等の直付型照明器具、または埋込型照明器具であってもよい。
【0013】
図4は、実施の形態1に係る灯具3の分解斜視図である。図5は、実施の形態1に係る灯具3の断面図である。図5は、灯具3の長手方向に垂直な断面を示している。灯具3は、照明器具2に対して、バネやネジといった連結具60を用いて装着部200に装着される。灯具3は、照明器具2の装着部200に装着された状態で照明空間に光を照射するものである。実施の形態1において、灯具3は、X方向に沿って長尺に形成されている光源部31及び光源部31が表面に取り付けられる台座34を備える。台座34のY方向の端部には、光源部31を覆う外郭部39が取り付けられている。台座34のZ2方向を向いた面である第1面345は、被覆部材36に覆われている。また、台座34は、Z1方向を向いた面である第2面346に、電源部40、灯具3を照明器具2に取り付けるための連結具60が取り付けられている。電源部40は、台座34の長手方向の中央部付近に配置されている。連結具60は、台座34の長手方向の両端部に配置されている。なお、台座34の第1面345をおもて面、第2面346をうら面、と称する場合がある。
【0014】
光源部31は、X方向に長尺の基板32にLED33が実装されている。LED33は、発光素子とも呼ぶ。また、基板32のLED33が実装されている面を実装面32aと呼ぶ。光源部31はLEDモジュールとも称する。実装面32aは、外郭部39の透光部391が配置されている側を向いて配置されている。台座34は、シャーシ又は取付部材等とも称する。外郭部39は、透光性がある材料で形成された光源部31を覆うカバーであり、例えば樹脂材料やガラスを用いて形成される。被覆部材36は、シート部材、フィルム部材とも称する。
【0015】
電源部40には給電線38が接続される。給電線38は、台座34の基部340を貫通して光源部31と接続する様に配置され、一端が電源部40に、他端が光源部31にそれぞれ接続される。給電線38は、台座34の基部340に形成された貫通孔である電線保持具固定穴357に取り付けられる電線保持具50に保持され、台座34との電気的な絶縁が維持される。実施の形態1においては、給電線38は2つで一組であるが、これに限定されず、1つで構成されていても、3つ以上で一組として構成されていても良い。
【0016】
図5に示す様に、被覆部材36は、薄膜状に形成され、光源部31と台座34との間に配置されている。被覆部材36は、台座34の基部340のZ2方向を向いた面である第1面345のうち基板32に覆われない領域のほぼ全域を覆うものである。被覆部材36は、例えば樹脂材料を用いて形成される。被覆部材36の厚さ寸法は、例えば、0.5mm程度である。
【0017】
実施の形態1に係る灯具3では、外郭部39の取付部392を高反射材料を用いて形成している。よって、実施の形態1に係る被覆部材36は、高反射材料を用いて形成されなくてもよい。つまり、被覆部材36は、光透過性(透光性)の材料を用いて形成されてもよいし、又は外郭部39の取付部392に覆われている部分などにおいては、製品の性能に影響が及ばない範囲で光吸収性の材料を用いて形成されてもよい。
【0018】
特に灯具3の組立性を考慮すると、被覆部材36は、視認性の高い有色の材料を用いることが好ましい。なお、被覆部材36に用いる材料の色は限定されず、被覆部材36は例えば白色系ではない色の材料を用いて形成されてもよい。
【0019】
図5に示す様に、被覆部材36は、基板32と台座34との間に挟まれて固定される。図4に示す様に、被覆部材36は、Y方向の中央部に、基板32のY方向の幅より小さいスリット状の複数の貫通部365が設けられている。複数の貫通部365は、長手方向がX方向に沿って配置されており、基板32は被覆部材36の複数の貫通部365に沿って配置される接着剤86によって台座34の第1面345に接合される。接着剤86が硬化すると、基板32と台座34とに挟まれている被覆部材36は基板32に引っ掛かり、外れない。
【0020】
図6は、図5のD部の拡大図である。基板32の外周部は、被覆部材36と重なっている。換言すると、基板32の外周部と台座34の第1面345との間には被覆部材36が配置されている。被覆部材36は電気絶縁性を有する材料を用いて形成することができ、基板32の外周部付近に敷設された配線パターン及び基板32の外周部付近に実装された電子部品などから構成される光源回路と、台座34との電気的な絶縁を確保することができる。この構成によって、基板32を小型化することが可能となり、灯具3及び照明装置1は、重量及び材料コストを抑制することができる。
【0021】
図5に示す様に、外郭部39は、Y方向において、光源であるLED33と対向する透光部391の両側に取付部392が形成される。取付部392は、台座34の第1面345を保持する保持部393と台座34の第2面346に引っ掛けられる係合部394からなる。保持部393は、被覆部材36の端部を台座34の第1面345との間に挟むように配置され、被覆部材36の端部を保持する。これにより、被覆部材36の端部は、めくれることがなく、台座34の第1面345に沿って保持される。
【0022】
また、保持部393は台座34のZ2側に沿って配置されている。そして、外郭部39のY方向の両端から上方に延びる係合部394の先端は、台座34のY方向の両端部に形成された立ち上がり部341の上端部を上方から抱え込むように形成されている。これにより、外郭部39の取付部392は、台座34から脱落しないように組み付けられる。外郭部39が台座34から脱落しないように組み付けられることにより、被覆部材36の中央部は台座34と基板32とに挟まれ、被覆部材36の端部は台座34と保持部393とに挟まれて保持される。従って、被覆部材36は、専用の取付部材などを用いることなく、安定して台座34の第1面345を覆った状態で配置できる。
【0023】
台座34には、電源部40、電線配置具80、及び灯具3の側に設けられた照明器具2との連結具60であるバネ受具を取り付けるために、基部340に貫通孔35が設けられている。被覆部材36は、この貫通孔35を第1面345側、即ちZ2側から覆う。被覆部材36は、台座34の第1面345の全域に渡って密着し配置されるので、これらの貫通孔35を介して灯具3の外部から光源部31が配置された内部空間への異物の侵入リスクを大幅に低減する。ここで、異物とは、虫、埃といった、照明の妨げとなるものである。
【0024】
図4に示される様に、実施の形態1では、被覆部材36は、X方向に延びる梯子状に形成される。つまり、被覆部材36は、長手方向であるX方向に沿って2つの外周側部366が延び、その間を複数の接続部363及び端部接続部364で繋いだ形状になっている。端部接続部364は、X方向の両端に位置し、外周側部366をY方向に接続する。被覆部材36には、台座34の基部340に形成されたスリット状の貫通孔35の一部を塞ぐ、一部が張り出した張出部362、貫通孔35を跨ぐように繋ぐ接続部363が形成されている。これらは、台座34の基板32に覆われた部分に形成された貫通孔35を塞ぐことができる。このため、粘着テープ等を用いて多数の貫通孔35を個別に塞ぐよりも灯具3の組み立て性が向上する。
【0025】
図7は、実施の形態1に係る灯具3の断面図である。図7は、特に電線配置具80を含むX方向に垂直な断面を示している。電線配置具80は、取付爪801と基台802と基板部805とを有する。取付爪801は、基板部805のY方向の両端からZ2側に突出している。取付爪801は、Z2側の端部が基台802の中央側に突出し、爪部803を形成している。取付爪801は、電線配置具取付穴352に挿通され台座34の第1面345の側に突き出されている。電線配置具80は、台座34の第2面346側に配置される基板部805と取付爪801の爪部803とによって台座34の基部340を挟持することによって台座34に取り付けられる。
【0026】
図7に示す様に、電線配置具80は、基板部805のY方向の両端から上方に突出している端部突出部800を備える。端部突出部800の上端は、Y方向において電線配置具80の中央側に折れ曲がっている。電線配置具80は、基板部805の中央部に配置されている基台802と端部突出部800との間に上方に突出する中間突出部804を備える。中間突出部804の上端部は、端部突出部800の上端よりも上方において端部突出部800の上方を覆うように折れ曲がっている。端部突出部800と中間突出部804と基板部805とにより囲まれる領域806は、電源部40と光源部31とを接続する給電線38が通される領域である。端部突出部800と中間突出部804とは、それぞれの上端部が対向する方向に突出しており、領域806の上方を覆っている。このように構成されることにより、給電線38は、端部突出部800の上端部と中間突出部804の上端部との隙間を通して領域806に配線することができ、領域806に配置された後は容易に脱落することがない。
【0027】
図7に示される電線配置具取付穴352から侵入する異物は、被覆部材36の短手方向、つまりY方向における端部367の外側を経由する必要がある。つまり、実施の形態1に係る灯具3によれば、電線配置具取付穴352から侵入する異物は、光源部31が配置されている空間への侵入経路が長い。これにより、灯具3は、内部空間に異物が侵入するリスクを抑制できる。また、取付爪801が台座34の第1面345の側に突き出る部分では、被覆部材36は取付爪801と外郭部39の保持部393との間に挟持されており、電線配置具取付穴352から光源部31が配置されている空間への侵入経路が遮断されている。これにより、灯具3は、内部空間に異物が侵入するリスクを大幅に抑制できる。
【0028】
図8は、実施の形態1に係る灯具3の断面図である。図8は、特に連結具60を含むX方向に垂直な断面を示している。実施の形態1に係る連結具60は、案内爪602を有する。案内爪602は、連結具取付穴350に挿通され台座34の第1面345側に突き出している。連結具60は、台座34の第2面346側から第1面345側に案内爪602が通され台座34の基部340に引っ掛かる。これにより、連結具60は、台座34から脱落しないように構成される。また、図4に示される様に、連結具60の中央部の下端には、X方向に突出するスライド片603が突出している。台座34の基部340の中央部には、基部340の一部がZ2側に切り起こされ、スライド片603がX方向に挿入自在に形成されたスライド穴351が形成されている。連結具60のスライド片603は、台座34の基部340に形成された固定片351aに上方が覆われる。この構造と案内爪602により、連結具60は、台座34から脱落しないように構成されている。
【0029】
図8に示す様に、連結具取付穴350から侵入する異物は、被覆部材36の短手方向、即ちY方向の端部を経由する必要があり、被覆部材36の短手方向、つまりY方向における端部367の外側を経由する必要がある。つまり、実施の形態1に係る灯具3によれば、連結具取付穴350から侵入する異物は、光源部31が配置されている空間への侵入経路が長い。これにより、灯具3は、内部空間に異物が侵入するリスクを抑制できる。また、案内爪602が台座34の第1面345側に突き出る部分では、被覆部材36は、案内爪602と外郭部39の保持部393との間に挟持されており、電線配置具取付穴352から光源部31が配置されている空間への侵入経路は遮断されている。灯具3は、内部空間に異物が侵入するリスクを大幅に抑制できる。
【0030】
また、実施の形態1では、被覆部材36には、連結具60を固定するスライド穴351を覆うように接続部363が設けられている。接続部363と基板32の接合面32bとは対向している。実施の形態1では、接続部363は接着剤86によって基板32の接合面32bと接着されている。これにより、基板32と連結具60のスライド片603とは、被覆部材36の接続部363を挟んで配置されており、絶縁されている。また、連結具60を固定するスライド穴351は、被覆部材36の接続部363によって覆われて塞がれており、内部空間に異物が侵入するリスクを抑制できる。
【0031】
図9図10図11及び図12は、実施の形態1に係る灯具3の光源ユニット30を組立てる工程の説明図である。実施の形態1に係る灯具3においては、台座34の第1面345に被覆部材36を載置した状態で、接着剤86が敷設される。接着剤86の敷設は、詳しくは、ノズル、ローラ、刷毛等を用いて塗布される。図10に示す様に、接着剤86は、被覆部材36の貫通部365に沿って、台座34のY方向の中央部及び被覆部材36の中央部に敷設される。図11に示す様に、敷設された接着剤86に基板32のLED33が配置されてない側の面を台座34に押し付け、光源部31は台座34に接着される。光源部31が台座34に接着されるとともに、被覆部材36も台座34と基板32との間に挟持されて固定される。この際、被覆部材36は、接着剤86が硬化した際の厚さ方向を管理する。つまり、図6に示す様に、接着剤86は、光源部31が台座34に押しつけられることにより広がり潰される。光源部31が被覆部材36に押しつけられ、接着剤86の厚さ寸法D2は、最も小さくなったとしても被覆部材36の厚さ寸法D1と同等になる。なお、光源部31は、接着剤86の代わりに粘着テープなどを用いて台座34に固定されてもよい。
【0032】
また、被覆部材36の外周側部366からY方向の中央部に張り出している張出部362、被覆部材36のY方向の中央を跨いで外周側部を接続する接続部363、及び被覆部材36のX方向の端部においてY方向の中央を跨いで外周側部366を接続する端部接続部364は、接着剤86によって基板32に接着されてもよい。このようにすることによって、被覆部材36は基板32により強固に保持される。
【0033】
なお、被覆部材36を台座34の第1面345に配置する前に台座34に接着剤86を塗布してもよい。この場合、被覆部材36の張出部362や接続部363は接着剤によって台座34に接着されてもよい。このようにすることによって、被覆部材36は、台座34に対してより強固に保持される。
【0034】
(変形例)
照明装置1は、灯具3の要部である光源ユニット30の構造を変更しても良い。実施の形態1に係る照明装置1の変形例として、灯具3の要部である光源ユニット30の構造を変更したものについて説明する。以下の説明においては、変更点を中心に説明する。また、変形例は、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
【0035】
図13は、実施の形態1に係る灯具3の要部である光源ユニット30の変形例である光源ユニット30aを説明する分解斜視図である。実施の形態1に係る光源ユニット30の被覆部材36は、1枚のシート状の部材で構成されていたが、変形例に係る光源ユニット30aにおいては、被覆部材36aは、2枚のシート状の部材で構成されている。被覆部材36aは、照明装置1の長手方向であるX方向に沿って分割された第1被覆部材36a-1及び第2被覆部材36a-2を備える。第1被覆部材36a-1と第2被覆部材36a-2は、Y方向に並列されている。
【0036】
第1被覆部材36a-1と第2被覆部材36a-2とは、実施の形態1の光源ユニット30に係る被覆部材36をY方向の中央で2つに分割した各部分に相当する形状を有する。つまり、第1被覆部材36a-1と第2被覆部材36a-2とをY方向に並べて配置すると、実施の形態1に係る被覆部材36と同じ形状になる。第1被覆部材36a-1と第2被覆部材36a-2とは、それぞれX方向において同じ位置に接続部363aが外周側部366aからY方向に突出するように形成されている。なお、接続部363aは、接続部363a-1及び363b-2を総称したものであり、端部接続部364aは、接続部364a-1及び364b-2を総称したものである。以降の説明において「-1」及び「-2」などが付された符号について、「-1」及び「-2」を省略して符号を表した場合は、「-1」及び「-2」などが付された符号の部材等を総称したものである。
【0037】
また、第2被覆部材36a-2は、外周側部366a-2から突出する張出部362を備える。第1被覆部材36a-1と第2被覆部材36a-2とは、外周側部366aから突出した接続部363a及び端部接続部364aのX方向の位置を互いに合わせることにより、被覆部材36の接続部363に相当する形状を形成し、また張出部362も備えるため、被覆部材36と同じ形状を形成することができる。被覆部材36aは、2つに分割されていることにより、コストが低減する。
【0038】
図14は、実施の形態1に係る灯具3の要部である光源ユニット30の変形例である光源ユニット30bを説明する分解斜視図である。変形例に係る光源ユニット30bにおいては、被覆部材36aは、2枚のシート状の部材で構成されている。被覆部材36aは、照明装置1の長手方向であるX方向に沿って分割された第1被覆部材36b-1及び第2被覆部材36b-2を備える。第1被覆部材36b-1と第2被覆部材36b-2は、Y方向に並列されている。
【0039】
第1被覆部材36b-1と第2被覆部材36b-2とは、実施の形態1の光源ユニット30に係る被覆部材36を接続部363及び端部接続部364の根元で外周側部366とY方向に2つに分割した各部分に相当する形状を有する。つまり、第1被覆部材36b-1と第2被覆部材36b-2とをY方向に並べて配置すると、実施の形態1に係る被覆部材36と同じ形状になる。第1被覆部材36b-1は、X方向に長い長方形状に形成されている。一方、第2被覆部材36b-2は、長方形の外周側部366b-2から第1被覆部材36b-1に向かって接続部363b、端部接続部364b、及び張出部362が突出する様に形成されている。被覆部材36bにおいても、2つに分割されていることにより、コストを低減できる。また、第1被覆部材36b-1は、単純な長方形状であるのでさらにコストを低減できる。
【0040】
図15は、実施の形態1に係る灯具3の要部である光源ユニット30の変形例である光源ユニット30cを説明する分解斜視図である。変形例に係る光源ユニット30cにおいては、被覆部材36cは、被覆部材36aと同様に2枚のシート状の部材で構成されている。ただし、被覆部材36cは、照明装置1の長手方向であるX方向に沿って分割された第1被覆部材36c-1及び第2被覆部材36b-2がそれぞれ備える接続部363cが、被覆部材36aの接続部363aよりもY方向に長く形成されている。これにより、被覆部材36cの第1被覆部材36c-1と第2被覆部材36c-2は、Y方向に並列させたときに接続部363cを互いに重ね合わせて配置される。このため、接続部363cは、台座34の形成された貫通孔35による変形の影響を抑制することができ、貫通孔35を確実に塞ぐことができる。また、被覆部材36cにおいても、分割されることによりコストの低減が図られる。
【0041】
図16は、実施の形態1に係る灯具3の要部である光源ユニット30の変形例である光源ユニット30dを説明する分解斜視図である。変形例に係る光源ユニット30dにおいては、被覆部材36dは、被覆部材36aと同様に2枚のシート状の部材で構成されている。ただし、被覆部材36dを構成する照明装置1の長手方向であるX方向に沿って分割された第1被覆部材36d-1及び第2被覆部材36d-2は、接続部363、端部接続部364、及び張出部362を備えていない。すなわち、第1被覆部材36d-1及び第2被覆部材36d-2は、被覆部材36bにおける第1被覆部材36b-1と同様にX方向に長い長方形状に形成されている。台座34のY方向における中央部に形成された貫通孔35が光源部31の基板32によって確実に塞がれる場合は、被覆部材36dは、台座34のY方向における端部に形成された貫通孔35を塞ぐことができればよい。よって、被覆部材36dは、接続部363、端部接続部364、及び張出部362が形成されなくてもよい。被覆部材36dにおいても、2つに分割されていることにより、コストを低減できる。また、第1被覆部材36d-1及び第2被覆部材36d-2は、いずれも単純な長方形状であるので更にコストを低減できる。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態2に係る照明装置201は、実施の形態1に係る照明装置1に対し、灯具3の被覆部材36及び外郭部39を変更したものである。実施の形態2に係る照明装置201においては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。また、実施の形態2に係る照明装置201の各部については、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
【0043】
図17は、実施の形態2に係る灯具3eの要部を示す断面図である。図17は、実施の形態1に係る灯具3の断面図である図8に相当する断面を示している。実施の形態2に係る被覆部材36eは、Z2側を向いた面が高反射仕様に形成されている。つまり、被覆部材36eの外郭部39eの透光部391側を向いた面の可視光の帯域の光の反射率が少なくとも外郭部91の透光部391よりも高く形成されている。このように構成されることにより、灯具3eの外郭部39eは、台座34と組み合わされる取付部392eのうち保持部393eを透光部391と同じ材料で形成することができる。つまり、外郭部39eは、単一の材料により成形することができるため、外郭部39eの材料費や加工費を低減させることができ、加工性も改善され、製品品質の向上が期待できる。
【0044】
被覆部材36のZ2側を向いた面が仮に高反射仕様ではない実施の形態1に係る灯具3の場合、外郭部39の取付部392のうち少なくとも台座34のZ2側に位置する保持部393のZ2側の面を高反射仕様にする必要がある。この場合、外郭部39は、例えば保持部393を高反射率を有する材料で形成し、透光部391を透光性の高い材料で形成する必要があるため、いわゆる2色成形をする必要がありコストが掛かる。しかし、実施の形態2に係る灯具3eのように高反射率の面を備える被覆部材36eを適用することにより、外郭部39eのコストを低減できる。
【0045】
実施の形態3.
実施の形態3に係る照明装置301は、実施の形態1に係る照明装置1に対し、灯具3の被覆部材36及び外郭部39を変更したものである。実施の形態3に係る照明装置301においては、実施の形態1に対する変更点を中心に説明する。また、実施の形態3に係る照明装置301の各部については、各図面において同一の機能を有するものは実施の形態1の説明で使用した図面と同一の符号を付して表示するものとする。
【0046】
図18は、実施の形態3に係る灯具3fの要部を示す断面図である。図18は、実施の形態1に係る灯具3の断面図である図8に相当する断面を示している。実施の形態3に係る灯具3の被覆部材36fは、Z2側の面が高反射仕様に形成されている。つまり、被覆部材36fの透光部391側を向いた面の可視光の帯域の光の反射率が少なくとも外郭部91の透光部391よりも高く形成されている。また、外郭部39fは、取付部392fのうち台座34のZ2側に位置する保持部393fが、実施の形態1に係る保持部393よりもY方向に短く形成されている。保持部393fの少なくともZ2側の面は、少なくとも高反射率を有するように構成されている。このように構成することで、外郭部39fは、高反射仕様になっている取付部392fの少なくとも保持部393fが短く形成されているため、光の利用効率を低下させることなく、外郭部39の材料費を低減させることができる。また、外郭部39は、材料の使用量も低減させることができ、灯具3fの軽量化にも寄与する。灯具3fの軽量化は、出荷時の包装の簡素化、施工負担の軽減、器具や造営部への過重負担軽減といった効果を奏する他、連結具60の簡素化も期待できる。
【0047】
なお、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 照明装置、2 照明器具、3 灯具、3e 灯具、3f 灯具、9 天井、30 光源ユニット、30a 光源ユニット、30b 光源ユニット、30c 光源ユニット、30d 光源ユニット、31 光源部、32 基板、32a 実装面、32b 接合面、33 LED、34 台座、35 貫通孔、36 被覆部材、36a 被覆部材、36a-1 第1被覆部材、36a-2 第2被覆部材、36b 被覆部材、36b-1 第1被覆部材、36b-2 第2被覆部材、36c 被覆部材、36c-1 第1被覆部材、36c-2 第2被覆部材、36d 被覆部材、36d-1 第1被覆部材、36d-2 第2被覆部材、36e 被覆部材、36f 被覆部材、38 給電線、39 外郭部、39e 外郭部、39f 外郭部、40 電源部、50 電線保持具、60 連結具、80 電線配置具、86 接着剤、200 装着部、201 照明装置、202 傾斜部、301 照明装置、340 基部、345 第1面、346 第2面、350 連結具取付穴、351 スライド穴、351a 固定片、352 電線配置具取付穴、357 電線保持具固定穴、362 張出部、363 接続部、363a 接続部、363a-1 接続部、363b 接続部、363c 接続部、364 端部接続部、365 貫通部、366 外周側部、366a 外周側部、366a-2 外周側部、366b-2 外周側部、367 端部、391 透光部、392 取付部、392e 取付部、392f 取付部、393 保持部、393e 保持部、393f 保持部、394 係合部、602 案内爪、603 スライド片、800 端部突出部、801 取付爪、802 基台、803 爪部、804 中間突出部、805 基板部、806 領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18