(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/24 20060101AFI20240430BHJP
F16C 35/12 20060101ALI20240430BHJP
F16C 35/063 20060101ALI20240430BHJP
F16C 27/08 20060101ALI20240430BHJP
F16C 27/06 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H02K5/24 B
F16C35/12
F16C35/063
F16C27/08
F16C27/06 Z
(21)【出願番号】P 2020099712
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】癸生川 幸嗣
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-145897(JP,A)
【文献】特開昭63-037863(JP,A)
【文献】実開昭54-022211(JP,U)
【文献】柴田蔵六、 増田隆広,線形弁ばねの固有振動数の補正,日本機械学会論文集C編,2006年,72巻, 720号,p.2608―2612
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/24
F16C 35/12
F16C 35/063
F16C 27/08
F16C 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトに固定された一対の軸受と、
前記一対の軸受を収容するスリーブと、
前記シャフト及び前記スリーブのいずれか一方に、直接的または間接的に固定されたマグネットと、
前記シャフト及び前記スリーブの他方に、直接的または間接的に固定され、前記マグネットに対向するコイルと、
前記一対の軸受の間に配設された弾性部材と、を有し、
前記弾性部材が、下記(数式1)を満たす、モータ。
(数式1)
上記(数式1)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、gは重力加速度を、
Gは前記弾性部材の横弾性係数を、γは前記弾性部材の単位体積重量を、それぞれ表す。
【請求項2】
前記弾性部材が、下記(数式1a)を満たす、請求項1に記載のモータ。
(数式1a)
S<1.42×10
4×d/D
2
上記(数式1a)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、それぞれ表す。
【請求項3】
前記弾性部材が、下記(数式1b)を満たす、請求項1に記載のモータ。
(数式1b)
S<0.71×10
4×d/D
2
上記(数式1b)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、それぞれ表す。
【請求項4】
シャフトと、
前記シャフトに固定された一対の軸受と、
前記一対の軸受を収容するスリーブと、
前記シャフト及び前記スリーブのいずれか一方に固定されたマグネットと、
前記シャフト及び前記スリーブの他方に固定され、前記マグネットに対向するコイルと、
前記一対の軸受の間に配設された弾性部材と、を有し、
前記弾性部材が、下記(数式2)を満たす、モータ。
(数式2)
上記(数式2)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、
dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、gは重力加速度を、
Gは前記弾性部材の横弾性係数を、γは前記弾性部材の単位体積重量を、それぞれ表す。
【請求項5】
前記弾性部材が、下記(数式2a)を満たす、請求項4に記載のモータ。
(数式2a)
S>4.20×10
4×d/D
2
上記(数式2a)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、それぞれ表す。
【請求項6】
前記弾性部材が、下記(数式2b)を満たす、請求項4に記載のモータ。
(数式2b)
S>10.78×10
4×d/D
2
上記(数式2b)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、それぞれ表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の軸受と、該一対の軸受間に配設され両軸受の外輪に予圧を付与するばね(弾性部材)と、前記一対の軸受の外輪を保持するスリーブによって構成された軸受部を有するモータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなモータでは、モータの使用回転数における広い回転数範囲で、大きな振動となってしまう現象が発生する場合がある。モータに大きな振動が生ずると、軸受への負荷が大きくなり、モータの耐久性に影響を与えたり、ばねによる軸受への与圧の付与が不十分になったり等の懸念が生ずる場合がある。
【0005】
したがって、本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、振動を低減することができるモータを提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明のモータの一態様としては、シャフトと、
前記シャフトに固定された一対の軸受と、
前記一対の軸受を収容するスリーブと、
前記シャフト及び前記スリーブのいずれか一方に、直接的または間接的に固定されたマグネットと、
前記シャフト及び前記スリーブの他方に、直接的または間接的に固定され、前記マグネットに対向するコイルと、
前記一対の軸受の間に配設された弾性部材と、を有し、
前記弾性部材が、下記(数式1)を満たす。
【0007】
(数式1)
上記(数式1)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、gは重力加速度を、それぞれ表す。
【0008】
本発明のモータの上記一態様としては、上記(数式1)に代えて、下記(数式1a)を満たすようにすることができる。
(数式1a)
S<1.42×104×d/D2
上記(数式1a)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、それぞれ表す。
【0009】
また、本発明のモータの上記一態様としては、上記(数式1)に代えて、下記(数式1b)を満たすことが好ましい。
(数式1b)
S<0.71×104×d/D2
上記(数式2a)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、それぞれ表す。
【0010】
本発明のモータの他の一態様としては、シャフトと、
前記シャフトに固定された一対の軸受と、
前記一対の軸受を収容するスリーブと、
前記シャフト及び前記スリーブのいずれか一方に固定されたマグネットと、
前記シャフト及び前記スリーブの他方に固定され、前記マグネットに対向するコイルと、
前記一対の軸受の間に配設された弾性部材と、を有し、
前記弾性部材が、下記(数式2)を満たす。
【0011】
(数式2)
上記(数式2)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、d6は前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、gは重力加速度を、それぞれ表す。
【0012】
本発明のモータの上記一態様としては、上記(数式2)に代えて、下記(数式2a)を満たすようにすることができる。
(数式2a)
S>4.20×104×d/D2
上記(数式2a)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、それぞれ表す。
【0013】
また、本発明のモータの上記他の一態様としては、上記(数式2)に代えて、下記(数式2b)を満たすことが好ましい。
(数式2b)
S>10.78×104×d/D2
上記(数式2a)中、Dは前記弾性部材の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.]を、それぞれ表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一例である実施形態にかかるインナーロータ型のモータの断面図である。
【
図2】本発明の一例である他の実施形態にかかるアウターロータ型のモータの断面図である。
【
図3】実施形態にかかるモータに用いたスプリング(弾性部材)のみを抜き出して拡大した拡大図である。
【
図4】実施形態におけるスプリング(弾性部材)の固有振動の振動モードの発生状況を検証した結果を示すグラフであり、発生した固有振動の振動モードの次数を横軸に、各固有振動の振動周波数(Hz)を縦軸に、それぞれプロットしたものである。
【
図5】
図4のグラフ中に、特定条件Xにおいて、本発明における(数式1a)を満たす領域を斜線網掛けで示したグラフである。
【
図6】
図4のグラフ中に、特定条件Xにおいて、本発明における(数式2a)を満たす領域を斜線網掛けで示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態にかかるモータは、
図1に挙げたインナーロータ型のモータと、
図2に挙げたアウターロータ型のモータのいずれのタイプであっても構わない。ここで、
図1は、本発明の実施形態にかかるインナーロータ型のモータ100の断面図であり、
図2は、本発明の他の実施形態にかかるアウターロータ型のモータ200の断面図である。
【0016】
なお、本実施形態の説明において、上方乃至下方と云う時は、
図1あるいは
図2における上下関係を意味し、重力方向における上下関係とは、必ずしも一致しない。また、本実施形態の説明において、左乃至右と云う時は、
図1あるいは
図2における左右関係を意味する。
【0017】
まず、インナーロータ型のモータ100について、説明する。
図1に示される通り、モータ100は、シャフト1と、シャフト1に固定された一対の軸受41,42と、一対の軸受41,42を収容するスリーブ7と、一対の軸受41,42の間に配設されたスプリング(弾性部材)5と、シャフト1にロータヨーク(不図示)を介して間接的に固定されたマグネット21と、マグネット21に対向するコイル32を含むステータ3と、該ステータ3及びスリーブ7を内部に収容乃至固定し、これらを支持するハウジング6と、を有して構成されている。
【0018】
シャフト1は、モータ100の上方から見た中心に位置して、上下方向に延在している。シャフト1は、軽量化のために、例えばアルミニウムで形成されている。シャフト1は、上端部を除きハウジング6内に位置し、上端部は、ハウジング6から上方に突き出しており、モータ100の回転駆動力を外部に取り出すことができるようになっている。なお、本実施形態及び後述する実施形態において、「周方向」と云うときは、シャフト1の回転軸を中心とする円の周方向を意味する。
【0019】
ハウジング6は、上方の小径部61と、下方の大径部62と、大径部62側(下方側)の開口を閉止(ただし、シャフト1の下端部に対向する位置に円形の開口64がある。)する底板63と、からなる。ハウジング6は、例えば、樹脂材料や金属材料により作製される。当該ハウジング6の内部空間には、マグネット21及び前記ロータヨークを含むロータ及びコイル32を含むステータ3は勿論、その他モータ100の構成要素のほとんどが収容されている。
【0020】
なお、ハウジング6は、例えば、小径部61、大径部62及び底板63からなるカップ状の部材を一体成形で作製することにより形成してもよいし、小径部61と、大径部62及び底板63とを別々に成形し、両者を公知の方法で接着することにより形成してもよい。モータ100の内部空間の放熱のために、例えば、底板63にさらに孔を開けたり、メッシュ状等の開口を有する材料で底板63を形成したりすることもできる。また、そもそも底板63が無い、下部が開口したハウジングであっても構わない。
【0021】
ハウジング6内において、シャフト1の下方側には、ロータが固定されている。ロータは、シャフト1に固定された不図示のロータヨークと、該ロータヨークの外周に取り付けられたマグネット21と、からなる。
前記ロータヨークは、磁性体により形成されるが、特性上問題がなければ、アルミニウム等の非磁性体で形成しても構わない。
【0022】
一方、マグネット21は、以下に説明するステータのコイル3と対向するように前記ロータヨークの外周面に取り付けられている。マグネット21は環状乃至円筒状を有しており、N極に着磁された領域と、S極に着磁された領域とが、周方向に沿って一定の周期で交互に設けられている。
【0023】
マグネット21を取り囲むステータ3は、ティース部34のみが図示されたステータコアと、コイル32とを備える。
前記ステータコアは、珪素鋼板等の積層体となっており、シャフト1と同軸上に配された不図示の円環部(コア)と、該円環部からマグネット21へ向かって延びる複数のティース部34からなる。ステータ3は、前記円環部の外側から、後に詳述するハウジング6により保持されている。
【0024】
コイル32は、ティース部34の各々の周囲に巻き回され、ティース部34とハウジング6を介してスリーブ7に間接的に固定されている。前記ステータコアとコイル32とは、絶縁体で形成されたインシュレータ(不図示)によって絶縁されている。なお、インシュレータに代えて、ステータコアの表面に絶縁膜を塗装してコイル32と絶縁しても構わない。
【0025】
本実施形態のモータ100は、制御された電流をコイル32に印加することで生じる磁界によって、マグネット21との間に吸引乃至反発の作用が働いて、マグネット21に回転力が作用し、前記ロータヨークを介して間接的にマグネット21が固定されたシャフト1が連れ回るようになっている。
【0026】
シャフト1は、軸受41,42に嵌入された状態で固定されている。軸受41,42は、シャフト1における、前記ロータが固定された側とは逆側である上方に、第一軸受41と第二軸受42の2つが一定の間隔を置いて並んで取り付けられている。第二軸受42は、前記ロータが固定された下方側寄りに位置する。また、第一軸受41は、上端側に位置する。
【0027】
軸受41,42は、外輪41a,42aと、内輪41b,42bと、外輪41a,42a及び内輪41b,42b間に介在するボール(ベアリングボール)41c,42cと、からなる、いわゆるボールベアリングである。ボール41c,42cが外輪41a,42aと内輪41b,42bとの間で転がることにより、外輪41a,42aに対する内輪41b,42bの回転抵抗が大幅に少なくなるようになっている。軸受41,42は、その機能から、例えば、鉄等の硬質の金属やセラミックス等の部材で形成されている。シャフト1は、内輪41b,42bに固定されており、外輪41a,42aに対して回転自在になっている。
【0028】
軸受41,42は、スリーブ7に収容されている。スリーブ7は、筒状(特に円筒状)の形状を有する部材であり、例えば、プラスチックあるいは金属で形成されている。スリーブ7の外周面には凹凸は無いが、スリーブ7の内周面には、不図示の係止溝が設けられており、軸受41,42の外輪41a,42aが係止されて、位置決めされるようになっている。なお、軸受41,42の外輪41a,42aはスリーブ7に固定されていればよく、本実施形態で説明した係止構造の他、例えば、接着剤を用いた固定等、どのような固定方法で固定されていてもよい。
【0029】
一対の軸受41,42の間には、スプリング(弾性部材)5が配設されている。スプリング5は、圧縮した状態でその両端が外輪41a,42aに当接しており、軸受41,42に予圧が加えられるようになっている。本実施形態においては、このスプリング5を適切な条件に調整することで、モータ100の振動を抑制することができる。当該スプリング5の条件については、後に詳述する。
【0030】
本実施形態において、シャフト1、スリーブ7、スプリング5、第一軸受41及び第二軸受42で、1つのカートリッジ部材を構成している。予め、シャフト1に、スリーブ7、スプリング5、第一軸受41及び第二軸受42を組み付けた状態のカートリッジ部材を1つの部品とすることで、製造する際には、組み立て作業が容易になる。また、例えば、軸受41,42が破損した場合には、カートリッジ部材ごと交換すればよいので、交換作業が容易であり、容易な作業で修理をすることができ、低コスト化にも繋がる。
【0031】
また、部品点数が少ない段階であるカートリッジ部材の状態で回転バランスを調整するのは、比較的容易である。そのため、カートリッジ部材の状態で回転バランスを調整しておくことで、モータを製造または修理する際、あるいは、製造または修理した後の回転バランスの作業を省略することができるか、あるいは、簡単な作業で済ますことができ、製造または修理の作業を簡略化できる。したがって、この点でも、低コスト化に繋がる可能性がある。
【0032】
特に、ロータ1を含むカートリッジ部材の場合には、当該カートリッジ部材をサブアッシーのように組むことが容易であり、その結果、当該カートリッジ部材における各部材組み立ての際の芯出しが容易であるため、モータ100を容易に製造することができる。
【0033】
スリーブ7は、その外周面がハウジング6の小径部61の内周面に固定されて、支持されている。そのため、シャフト1は、ハウジング6に対して回転自在となるように支持されており、当該シャフト1から、モータ100の回転力が、取り出せるようになっている。
【0034】
次に、アウターロータ型のモータ200について、説明する。
なお、前記実施形態のモータ100と同一の構成及び機能を有する部材には、モータ100と同一の符号を付することで、その詳細な説明は省略することにする。
図2に示される通り、モータ200は、シャフト1と、シャフト1に固定された一対の軸受41,42と、一対の軸受41,42を収容するスリーブ7と、一対の軸受41,42の間に配設されたスプリング(弾性部材)5と、シャフト1にロータヨーク23を介して間接的に固定されたマグネット22と、マグネット22に対向するコイル33を含むステータ3′と、を有して構成されている。
【0035】
シャフト1は、モータ200の上方から見た中心に位置して、上下方向に延在している。シャフト1の上方側には、ロータヨーク23の円盤部23aの中心が固定されている。ロータヨーク23は、円盤状の円盤部23aと、該円盤部23aの外周に連なり、下方に延びる円筒部23bと、から構成される。
ロータヨーク23は、磁性体により形成されるが、特性上問題がなければ、アルミニウム、プラスチック等の非磁性体で形成されていても構わない。
【0036】
シャフト1に固定されたロータヨーク23、及び、ロータヨーク23における円筒部23bの内周に取り付けられたマグネット22により、ロータ2が構成されている。ロータヨーク23の円盤部23aの中心がシャフト1に固定されたロータ2は、シャフト1の回転に連れ回るようになっている。
【0037】
マグネット22は、以下に説明するステータ3′のコイル33を取り囲んで対向するように配されている。マグネット22は、N極に着磁された領域と、S極に着磁された領域とが、周方向に沿って一定の周期で交互に設けられている。
マグネット22に取り囲まれたステータ3′は、一部が不図示のステータコアと、コイル33とを備える。
【0038】
前記ステータコアは、珪素鋼板等の積層体となっており、シャフト1と同軸上に配された円環部(コア)と、該円環部からマグネット22へ向かって外方へ延びる複数のティース部35からなる。ステータ3′は、円環部31の内周面が、スリーブ7の外周面に固定されている。
【0039】
コイル33は、ティース部35の各々の周囲に巻き回され、基部31を介してスリーブ7に間接的に固定されている。前記ステータコアとコイル33とは、絶縁体で形成されたインシュレータ(不図示)によって絶縁されている。なお、インシュレータに代えて、ステータコアの表面に絶縁膜を塗装してコイル33と絶縁しても構わない。また、基部31は、磁性体により形成されるが、特性上問題なければ、アルミニウム、プラスチック等の非磁性体で形成されていても構わないし、あるいは、基部31が存在していなくても構わない。
【0040】
本実施形態のモータ200は、制御された電流をコイル33に印加することで生じる磁界によって、マグネット22との間に吸引乃至反発の作用が働いて、マグネット22に回転力が作用し、ロータヨーク23を介して間接的にマグネット22が固定されたシャフト1が連れ回るようになっている。
【0041】
シャフト1は、軸受41,42に嵌入された状態で固定されている。軸受41,42は、シャフト1における、ロータ2の円盤部23aが固定された側とは逆側である下方に、第一軸受41と第二軸受42の2つが一定の間隔を置いて並んで取り付けられている。第一軸受41は、ロータ2の円盤部23aが固定された上方側寄りに位置する。また、第二軸受42は、下端側に位置する。軸受41,42は、スリーブ7に収容されている。
【0042】
一対の軸受41,42の間には、スプリング(弾性部材)5が配設されて、軸受41,42に予圧が加えられるようになっている。本実施形態においても、このスプリング5を適切な条件に調整することで、モータ200の振動を抑制することができる。当該スプリング5の条件については、後に詳述する。
【0043】
スリーブ7は、その外周面が前記ステータの円環部31の内周面に固定されて、支持されている。そのため、シャフト1は、前記ステータに対して回転自在となるように支持されており、当該シャフト1から、モータ200の回転力が、取り出せるようになっている。
【0044】
これら実施形態にかかるモータ100やモータ200に用いるスプリング(弾性部材)5に適切な条件について説明する。
図3は、上記実施形態にかかるモータ100やモータ200に用いたスプリング5のみを抜き出して拡大した拡大図である。
【0045】
スプリング5に適切な条件は、以下に示す2つの数式の内の少なくとも一方を満たすことである。
【0046】
【0047】
【0048】
スプリング5の、より適切な条件は、以下に示す4つの数式の内のいずれか1つ以上を満たすことである。
(数式1a)
S<1.42×104×d/D2
(数式1b)
S<0.71×104×d/D2
(数式2a)
S>4.20×104×d/D2
(数式2b)
S>10.78×104×d/D2
【0049】
上記各数式中のDはスプリング5の外径[m]を、dは前記弾性部材の線径φ[m]を、Sは前記シャフトの無負荷回転数[回転/min.](以下、単位を「rpm」と略すことがある。)を、gは重力加速度を、それぞれ表すものである。特に、D及びdについては、
図3にその対応箇所が示されており、以下に示す全ての式においても共通する。
【0050】
スプリング5の如きコイルばねは、外部から衝撃を受けると、ねじりがスプリング5の素線に沿って衝撃波として伝達される。この衝撃波はサージ波と呼ばれ、当該サージ波がスプリング5の素線に沿って一往復する時間Tはサージ時間と呼ばれている。
【0051】
コイルばね状のスプリング5が振動を受けたとき、その振動の周期がサージ時間Tに等しいか、振動の周期がサージ時間Tの1/2や1/3のような関係になると、サージングと呼ばれる共振現象が生じ.N.る。
当該サージ時間Tは、次の(数式3)によって算出することができる。
【0052】
(数式3)
T=2πND/a
【0053】
上記(数式3)中、サージ速度aとは、サージ波がスプリング5の素線に沿って移動する際の速度をいう。以下に示す全ての式においても共通する。
また、サージ速度aは、次の(数式4)によって算出することができる。
【0054】
【0055】
上記(数式4)中、cはスプリング5のばね指数を、Gはスプリング5の材料の横弾性係数を、γはスプリング5の材料の単位体積重量を、gは重力加速度を、それぞれ表す。
【0056】
√gG/2γ=kと置くと、サージ速度aは、以下の(数式5)で表される。
【0057】
【0058】
(ばね指数c)=D/dであり、通常、Dはdより5~20倍程度大きいため、下記(数式6)に示すように近似することができる。
【0059】
【0060】
よって、下記(数式7)が導き出される。
【0061】
(数式7)
(1/a)≒(1/k)×(D/d)
【0062】
当該(数式7)及び上記(数式3)より、サージ時間Tは、下記(数式8)で表される。
【0063】
【0064】
サージ時間Tは、既述の通り、スプリング5がサージングによる振動で1往復する時間であり、そのサージ周波数fsは、既述の通り(1/T)で算出することができる。
【0065】
本発明者は、巻き数(有効巻数N)が4、6及び8の3種のスプリングを用意し、これらスプリングの固有振動の振動モードの発生状況について、シミュレーションにより検証した。結果を
図4のグラフに示す。
【0066】
なお、
図4は、発生した固有振動の振動モードの次数を横軸に、各固有振動の振動周波数(Hz)を縦軸に、それぞれプロットしたグラフである。
図4において、黒丸●で破線のグラフは有効巻数N=4、黒四角■で実線のグラフは有効巻数N=6、黒三角▲で一点鎖線のグラフは有効巻数N=8のスプリングの結果である。
【0067】
因みに、上記実施形態において用いたスプリング5は、
図3からわかるように、有効巻数N=6である。即ち、本シミュレーションにおいては、上記実施形態で用いたスプリング5とは異なるスプリングも用いている。よって、当該シミュレーションに関する記載においては、符号5を付さずに、単に「スプリング」と表記する場合がある。
【0068】
当該シミュレーションの条件は、以下の通りである。
・D=12.9mm
・d:有効巻数N=4のとき0.9mm、有効巻数N=6のとき1mm,有効巻数N=8のとき1.1mm(同じ荷重をかけた時に、同じ位置まで縮むようにするため、巻き数が多い時ほど線径dを太くしている。)
・荷重※:8N
※
図3における左方向から水平に、スプリング5に対して衝撃を与えた際の荷重。
【0069】
当該検証により、スプリングの固有振動の振動モードは、
図4のグラフからわかるように、スプリングの有効巻数Nと同じ次数まで発生することを見出した。
また、振動モードの次数と固有振動の振動周波数(Hz)とは、小さい次数においてはほぼ比例関係をしめしているのが、それぞれのスプリングについて、最大次数の振動モードの2/3を超えた次数において、振動次数と固有振動数が比例関係に無くなることを見出した。
【0070】
なお、
図4において、各グラフには、最大次数の振動モードの2/3となる点に星印が付されている。
比例関係でない、大きい次数の振動モードにおいて、固有振動の振動周波数(Hz)が、比較的狭い周波数範囲で発生することを見出した(
図4の各グラフにおける楕円で囲った領域参照)。
【0071】
本発明者は、モータの回転における基本周波数(=1秒間の回転数)が、特定のスプリングのサージ周波数に対して上回る条件((数式1a)を満たす条件)、もしくは下回る条件((数式2a)を満たす条件)の時に、モータとスプリングとの間に共振が発生せず、振動が抑えられることを見出した。
【0072】
まず、(数式1a)を満たす条件について説明する。
モータの基本周波数をfm、スプリングのサージ周波数をfsとした時、モータ基本周波数fmが、スプリングのサージ周波数fsの次数モード倍(=巻数倍)に当たる最大次数の振動モードの2/3以下であることは、下記(数式9)で表すことができる。
【0073】
(数式9)
fm<2/3×N×fs
上記(数式9)を整理すると、
fm<2/3×N×(1/T)
fm<2/3×N×(k×d/2πND2)
となり、下記(数式10)が導き出される。
【0074】
(数式10)
fm<k×d/(3π×D2)
【0075】
モータの最大回転数は無負荷回転数Sであるので、無負荷回転数S未満での使用であれば問題ないとすると、fm=S/60であるから、上記(数式10)は、下記(数式11)に変換することができる。
【0076】
(数式11)
S<20kd/πD2
【0077】
(数式5)で、式を簡略化するためにk=√gG/2γとおいていたが、より正確な式とするために、上記(数式11)にk=√gG/2γを代入すると、スプリングに適切な条件である、下記(数式1)に示す通りになる。
【0078】
【0079】
一般的なばね材料(ばね用鋼)では、G=7850N/mm2=8.0x109kgf/m2で、γ=7850kg/m3なので、これを(数式1)に適用すると、下記(数式12)に示す通りになる。
【0080】
(数式12)
S<(20×0.22×104/π)×d/D2
【0081】
この(数式12)を整理すると、スプリングに適切な条件である、下記(数式1a)が導き出される。
【0082】
(数式1a)
S<1.42×104×d/D2
【0083】
即ち、上記(数式1a)を満たすようにモータを設計することで、モータの回転によるスプリングの共振を避けることができ、モータの振動を低減することができる。
例えば、スプリングの有効巻数N=6の場合を例に挙げると、線径d=1mm及び外径D=12.9mmなので(以下、当該条件を「特定条件X」と称する。)、上記(数式1a)は、下記(数式1a-1)のように計算され、無負荷回転数S(rpm)の好ましい範囲が求められる。
【0084】
(数式1a-1)
S<1.42×104×1×10-3/(12.9×10-3)2≒85300
【0085】
即ち、特定条件Xにおいては、無負荷回転数が85300rpm未満となる条件に設計すればよい。当該条件とすることで、
図4中の有効巻数N=6の実線のグラフにおける白抜きの星印が付された点未満でのモータの使用となる。これは、多くの次数(4次モード~6次モード)の固有振動が生ずる、振動周波数が狭い範囲(1400Hz~1600Hz程度の楕円で囲んだ範囲)を下方側に避けた領域でのモータの使用となる。特定条件Xにおいて、上記(数式1a)を満たす領域は、
図5のグラフにおける斜線網掛けの領域である。なお、
図5は、
図4のグラフ中に、特定条件Xにおいて、上記(数式1a)を満たす領域を斜線網掛けで示したグラフである。
【0086】
多くの次数モードの固有振動が生ずる領域になるように無負荷回転数を設定すると、モータの回転により生ずる振動と共鳴する固有振動が多くなり易く、振動が増幅されてしまう懸念があるが、これを外した領域でモータを使用することによって、振動を低減することができる。
【0087】
特定条件Xでは、スプリングの有効巻数N=6の場合の例であるが、有効巻数N=4の場合には、線径d=0.9mm及び外径D=12.9mmの条件で(数式1a)を満たすことで、
図4中の有効巻数N=4の波線のグラフにおける黒い星印が付された点の振動周波数(Hz)未満でのモータの使用となる。また、有効巻数N=8の場合には、線径d=1.1mm及び外径D=12.9mmの条件で(数式1a)を満たすことで、
図4中の有効巻数N=8の一点鎖線のグラフにおけるハッチングされた星印が付された点未満でのモータの使用となる。
【0088】
なお、以上の説明では、外径D及び線径dの定まったスプリングを使用した場合に、無負荷回転数Sを所定の範囲で使用することで上記(数式1a)を満たす例を便宜的に説明したが、モータに求められる無負荷回転数Sに合わせて、スプリングの外径D及び線径dを適宜選択することで上記(数式1a)を満たすようにモータを設計しても構わないし、全ての条件を適宜組み合わせて選択することで上記(数式1a)を満たすようにモータを設計しても構わない。
【0089】
モータの2次高調波成分についての共振をも防ぐためには、上記(数式1a)で求められる無負荷回転数Sより3もさらに低い回転数にすることが求められる。即ち、モータの2次高調波成分とは、基本3周波数fmの2倍を意味することから、上記(数式10)の左辺を「2fm」とした下記(数式13)を満たすことが望まれる。
【0090】
(数式13)
2fm<k×d/(3π×D2)
【0091】
この(数式13)を上記(数式10)と同様に整理すると、より適切な条件である、下記(数式1b)が導き出される。
【0092】
(数式1b)
S<0.71×104×d/D2
【0093】
即ち、上記(数式1b)を満たすようにモータを設計することで、モータの基本周波数のみならず、2次高調波成分によるスプリングの共振をも避けることができ、モータの振動をより低減することができる。
【0094】
次に、(数式2)を満たす条件について説明する。
モータの基本周波数fmが、スプリングのサージ周波数fs(=1/T)の次数モード倍n(即ち、有効巻数の数Nと同じ。)に当たる最大次数の振動モードより大きいことを式で表す下記(数式14)乃至(数式14a)を満たせば、モータとスプリングとの共振を避けることができると考えられる。
【0095】
(数式14)
fm>n×fs
【0096】
(数式14a)
fm>N×(1/T)
【0097】
さらに、(数式8)を用いて当該(数式14a)を整理すると、下記(数式14b)乃至(数式14c)の通りとなる。
【0098】
(数式14b)
fm>N×(k×d/2πND2)
【0099】
(数式14c)
fm>k×d/(2π×D2)
【0100】
モータの実用回転数は、一般的に無負荷回転数Sの1/2であるので、fm=1/2×S/60となる。したがって、無負荷回転数Sの1/2以上での使用であれば問題ないとすると、上記(数式14c)は、下記(数式15)に変換することができる。
【0101】
(数式15)
S>60kd/πD2
【0102】
(数式5)で、式を簡略化するためにk=√gG/2γとおいていたが、より正確な式とするために、上記(数式15)にk=√gG/2γを代入すると、スプリングに適切な条件である、下記(数式2)に示す通りになる。
【0103】
【0104】
一般的なばね材料(ばね用鋼)におけるG=7850N/mm2=8.0×109kgf/m2、及び、γ=7850kg/m3を(数式2)に適用すると、下記(数式16)に示す通りになる。
【0105】
(数式16)
S>(60×0.22×104/π)×d/D2
【0106】
この(数式16)を整理すると、スプリングに適切な条件である、下記(数式2a)が導き出される。
【0107】
(数式2a)
S>4.20×104×d/D2
【0108】
即ち、上記(数式2a)を満たすようにモータを設計することで、モータの回転によるスプリングの共振を避けることができ、モータの振動を低減することができる。
例えば、スプリングの有効巻数N=6の場合である既述の特定条件Xを例に挙げると、上記(数式2a)は、下記(数式2a-1)のように計算され、無負荷回転数S(rpm)の好ましい範囲が求められる。
【0109】
(数式2a-1)
S>4.20×104×1×10-3/(12.9×10-3)2≒250000
【0110】
即ち、特定条件Xにおいては、無負荷回転数が250000rpmを超える条件に設計すればよい。当該条件とすることで、
図4中の有効巻数N=6の実線のグラフにおける6次モード(最大次数モード)の点の振動周波数(Hz)を超えてのモータの使用となる。これは、固有振動が生ずる振動周波数の内、最も高い周波数(1600Hz程度)を上方側に避けた領域でのモータの使用となる。特定条件Xにおいて、上記(数式2a)を満たす領域は、
図6のグラフにおける斜線網掛けの領域である。なお、
図6は、
図4のグラフ中に、特定条件Xにおいて、上記(数式2a)を満たす領域を斜線網掛けで示したグラフである。
【0111】
何れかの次数モードの固有振動が生ずる領域で無負荷回転数を設定すると、モータの回転により生ずる振動と、何れかの次数モードの固有振動とが共鳴して、振動が増幅されてしまう懸念があるが、これを外した領域でモータを使用することによって、振動を低減することができる。
【0112】
特定条件Xでは、スプリングの有効巻数N=6の場合の例であるが、有効巻数N=4の場合には、線径d=0.9mm及び外径D=12.9mmの条件で(数式2a)を満たすことで、
図4中の有効巻数N=4の波線のグラフにおける4次モード(最大次数モード)の点の振動周波数(Hz)を超えてのモータの使用となる。また、有効巻数N=8の場合には、線径d=1.1mm及び外径D=12.9mmの条件で(数式2a)を満たすことで、
図4中の有効巻数N=8の一点鎖線のグラフにおける8次モード(最大次数モード)の点の振動周波数(Hz)を超えてのモータの使用となる。
【0113】
なお、以上の説明では、外径D及び線径dの定まったスプリングを使用した場合に、無負荷回転数Sを所定の範囲で使用することで上記(数式2a)を満たす例を便宜的に説明したが、モータに求められる無負荷回転数Sに合わせて、スプリングの外径D及び線径dを適宜選択することで上記(数式2a)を満たすようにモータを設計しても構わないし、全ての条件を適宜組み合わせて選択することで上記(数式2a)を満たすようにモータを設計しても構わない。
【0114】
モータの軸受(ベアリング)周期成分(ボールベアリングにおける、ボールで発生する振動の周期の成分をいう。)についての共振をも防ぐためには、上記(数式2a)で求められる無負荷回転数Sよりもさらに高い回転数にすることが求められる。即ち、軸受周期成分は、一般に基本周波数の0.39倍に相当することから、上記(数式14c)の左辺を「0.39fm」とした下記(数式17)を満たすことが望まれる。
【0115】
(数式17)
0.39fm>k×d/(2π×D2)
【0116】
この(数式17)を上記(数式14c)と同様に整理すると、より適切な条件である、下記(数式2b)が導き出される。
【0117】
(数式2b)
S>10.78×104×d/D2
【0118】
即ち、上記(数式2b)を満たすようにモータを設計することで、モータの基本周波数のみならず、軸受周期成分についての共振をも避けることができ、モータの振動をより低減することができる。
【0119】
以上、本発明のモータについて、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明のモータは、上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態のモータにおいては、マグネットがシャフトに間接的に固定されてロータを構成し、コイルがスリーブに間接的に固定されてステータを構成する2つの態様を挙げているが、コイルがシャフトに間接的に固定されてロータを構成し、マグネットがスリーブに間接的に固定されてステータを構成するモータについても、本発明は適用することができる。
【0120】
また、シャフト及びスリーブのいずれかと、マグネットあるいはコイルとの固定は、間接的でなく、直接的なものであっても構わない。
用いるスプリング(弾性部材)の有効巻数Nとしては、上記実施形態では6、シミュレーションでは、4,6及び8のみを挙げて説明しているが、これに限らず、例えば、9以上であっても構わないし、奇数であっても構わない。
【0121】
なお、既述のシミュレーションによる検証では、スプリング(弾性部材)の材料として、一般的なばね材料(ばね用鋼)を用い、当該ばね材料の横弾性係数G及び単位体積重量γ等の条件を利用して数式を計算しているが、スプリング(弾性部材)の材料としては、一般的なばね用鋼に限定されない。スプリング(弾性部材)に求められる特性から考えて、材料にかかわらず条件に大きな差異が無いと考えられることから、本発明は他の材質のスプリング(弾性部材)のもそのまま適用することができる。
【0122】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のモータを適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0123】
1…シャフト、2…ロータ、21,22…マグネット、23…ロータヨーク、23a…円盤部、23b…円筒部、3…ステータ、31…円環部、32,33…コイル34,35…ティース部、41…第一軸受、42…第二軸受、41a,42a…外輪、41b,42b…内輪、41c,42c…ボール、5…スプリング(弾性部材)、6…ハウジング、
61…小径部、62…大径部、63…底板、64…開口、7…スリーブ、100…モータ、200…モータ