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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】光部品収容箱
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20240430BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G02B6/46
H05K7/18 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020102367
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021196477
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000231936
【氏名又は名称】日本通信電材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 喜寛
(72)【発明者】
【氏名】横地 隆径
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-039525(JP,A)
【文献】特開2001-281467(JP,A)
【文献】特開2018-060518(JP,A)
【文献】特開2002-368462(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0317974(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00- 6/02
G02B 6/245-6/25
G02B 6/46- 6/54
H05K 7/14- 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックに収納される光部品収容箱であって、
光部品が収納された筐体と、
前記筐体の側面に取り付けられたブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、前記筐体に固定される固定部と、前記ラックの両側に設けられた支柱に開口された複数のねじ穴のいずれかにねじ止めされる取付部と、前記固定部に対して前記取付部を可動させるヒンジ部と、を有し、
前記ラックに前記光部品収容箱が取り付けられる際に、前記支柱への前記取付部のねじ止め方向とは反対側から前記筐体が前記ラック内に移動されることで前記ヒンジ部が閉じて前記取付部が前記固定部側に倒れることにより前記支柱の間を前記ブラケットが通過した後に、前記取付部が前記固定部に対して起立した状態で前記支柱に前記取付部が取り付けられ、
前記取付部は、前記ラックに固定される平板状の取付板と、前記取付板の前記筐体側の端部からU字状に湾曲する係合部とを有し、
前記筐体には前記係合部が係合可能な係合穴が形成され、
前記ヒンジ部が閉じて前記取付部が前記固定部側に倒れたときには前記係合部が前記係合穴には係合せず、前記ヒンジ部が開いて前記取付部が起立したときには前記係合部が前記係合穴に係合する、光部品収容箱。
【請求項2】
前記取付部は少なくとも一つの前記係合部を有している、請求項に記載の光部品収容箱。
【請求項3】
前記ヒンジ部は、前記取付部が前記固定部から起き上がるように付勢するバネ構造を有している、請求項1または請求項2に記載の光部品収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光部品収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には、データセンター等に配置されたラック(光配線盤)に収納される箱状の光部品収納箱あるいは光接続用ユニットが開示されている。光部品収容箱が収容されるラック(フレーム部材)としては、特許文献3~5に開示のものが知られている。特許文献3や特許文献5に示されるようにラックの支柱には多数のねじ穴が等間隔で開けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-79839号公報
【文献】実用新案登録3214021号公報
【文献】特開2009-147109号公報
【文献】特開2010-168768号公報
【文献】特開2014-027082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に開示のような光部品収収納箱の側面にはL字状のブラケットが取り付けられており、当該L字状のブラケットが、ラックの支柱に設けられたねじ穴にねじ止めされることにより、光部品収納箱がラックに取り付けられる。このように、従来は光部品収納箱の側面からL字ブラケットの一部が突出した状態で固定されているため、光部品収納箱をラックに取り付ける際にはラックの前面から光部品収容箱を挿入する必要があり、光部品収納箱の形状には大きな制約があった。
【0005】
そこで、本開示は、ラックに収容される際の幅寸法や付加機能の制約が少ない光部品収容箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る光部品収容箱は、
ラックに収納される光部品収容箱であって、
光部品が収納された筐体と、
前記筐体の側面に取り付けられたブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、前記筐体に固定される固定部と、前記ラックの両側に設けられた支柱に開口された複数のねじ穴のいずれかにねじ止めされる取付部と、前記固定部に対して前記取付部を可動させるヒンジ部と、を有し、
前記ラックに前記光部品収容箱が取り付けられる際に、前記支柱への前記取付部のねじ止め方向とは反対側から前記筐体が前記ラック内に移動されることで前記ヒンジ部が閉じて前記取付部が前記固定部側に倒れることにより前記支柱の間を前記ブラケットが通過した後に、前記取付部が前記固定部に対して起立した状態で前記支柱に前記取付部が取り付けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ラックに収容される際の幅寸法や付加機能の制約が少ない光部品収容箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る光部品収容箱がラックに収納された状態を示す図である。
図2】光部品収容箱を示す斜視図である。
図3】光部品収容箱の筐体に取り付けられたブラケットを示す斜視図である。
図4】(a)は、ブラケットを後面側から見た斜視図であり、(b)は、ブラケットを前面側から見た斜視図である。
図5】ブラケットが取り付けられる筐体の側板を示す斜視図である。
図6】(a)は、ブラケットの取付部が倒れた状態における係合部を示す図であり、(b)は、(a)の状態を筐体の内側から観察した図である。
図7】(a)は、ブラケットの取付部が起き上がる途中の状態における係合部を示す図であり、(b)は、(a)の状態を筐体の内側から観察した図である。
図8】(a)は、ブラケットの取付部が起立した状態における係合部を示す図であり、(b)は、(a)の状態を筐体の内側から観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の実施形態の説明)
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の一態様に係る光部品収容箱は、
(1)ラックに収納される光部品収容箱であって、
光部品が収納された筐体と、
前記筐体の側面に取り付けられたブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、前記筐体に固定される固定部と、前記ラックの両側に設けられた支柱に開口された複数のねじ穴のいずれかにねじ止めされる取付部と、前記固定部に対して前記取付部を可動させるヒンジ部と、を有し、
前記ラックに前記光部品収容箱が取り付けられる際に、前記支柱への前記取付部のねじ止め方向とは反対側から前記筐体が前記ラック内に移動されることで前記ヒンジ部が閉じて前記取付部が前記固定部側に倒れることにより前記支柱の間を前記ブラケットが通過した後に、前記取付部が前記固定部に対して起立した状態で前記支柱に前記取付部が取り付けられる。
本開示によれば、ラックとブラケットの取付部とのねじ止め方向(通常はラックの前部から後部へ向かう方向)とは反対側(通常はラックの後部から前部へ向かう方向)から光部品収容箱をラック内へ移動させることができる。これにより、例えば光部品収容箱がラックの支柱同士の幅よりも背面側が大きい形状や背面側に突起形状を有している場合であっても、当該光部品収容箱をラックに取り付けることが可能となる。したがって、ラックに収容される際の幅寸法や付加機能の制約が少ない光部品収容箱を提供できるとともに、ラックへの光部品収容箱の取り付け作業性が向上される。
【0010】
(2)前記取付部は、前記ラックに固定される平板状の取付板と、前記取付板の前記筐体側の端部からU字状に湾曲する係合部とを有し、
前記筐体には前記係合部が係合可能な係合穴が形成され、
前記ヒンジ部が閉じて前記取付部が前記固定部側に倒れたときには前記係合部が前記係合穴には係合せず、前記ヒンジ部が開いて前記取付部が起立したときには前記係合部が前記係合穴に係合してもよい。
本開示によれば、ブラケットの係合部がラックの係合穴に係合することで当該係合部に光部品収容箱の筐体の自重の一部をかけることができ、固定部のみで筐体の自重を支える場合よりもラックによる光部品収容箱の保持を確実なものとすることができる。
【0011】
(3)前記取付部は少なくとも一つの前記係合部を有していてもよい。
本開示によれば、ラックへの筐体の取付強度を十分に担保することができる。
【0012】
(4)前記ヒンジ部は、前記取付部が前記固定部から起き上がるように付勢するバネ構造を有していてもよい。
本開示によれば、ラック背面から光部品収容箱を入れてブラケットを支柱間に通過させる際にはヒンジ部のバネ構造に抗して取付部が自動で固定部側に倒れ込む構成とすることができ、ブラケットを支柱間に通過させた後には取付部が自動的に立ち上がる構成とすることができる。そのため、特に作業者が一人で作業する場合の取り付け作業性を向上させることができる。
【0013】
(本開示の実施形態の詳細)
本開示の実施形態に係る光部品収容箱の具体例を、図面を参照して説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
図1は、ラック100に収容されている光部品収容箱1を示す図である。図1に示すように、光部品収容箱1は、例えば矩形状に構成されるラック100内に積層状態に配列される。ラック100は、例えば複数の支柱101(101f,101b)を四隅に配置して構成される。ラック100に配列された各光部品収容箱1は、ラック100の前部側の左右の隅に配置された略L字形の支柱101fに例えばねじ止めされることにより、ラック100に固定された状態で収容される。光部品収容箱1は、ラック100に対して、ラック100の後側からラック100内に収容される。光部品収容箱1は、ラック100の後部側の左右の隅に配置された略I字形の支柱101bの間に挿通されるようにしてラック100の後側から収容される。なお、ラック100前部の支柱101fは略L字形となっている一方でラック100後部の支柱101bは略I字形となっている。そのため、後側の支柱101b間の幅は前側の支柱101f間の幅よりも大きい。
【0015】
光部品収容箱1は、ラック100に収容された状態で、ラック100の前側からラック100の支柱101fにねじ止めすることができるように構成されている。ラック100の支柱101fには、光部品収容箱1をねじ止め固定するための複数のネジ穴102が等間隔に開口されている。
【0016】
図2は、光部品収容箱1を示す斜視図である。光部品収容箱1は、金属又は合成樹脂製の概略平板状形態を有する箱体で、その内部に例えば光分波器、光合波器、光スイッチなどの種々の光部品200が収納される。図2に示すように、光部品収容箱1は、光部品200が収納される筐体2と、筐体2の側部に設けられた一対のブラケット3(3L,3R)とを有する。
【0017】
筐体2は、底板21と、底板21の左右に起立する側板22L,22Rと、底板21の前部に起立する前板23と、底板21の後部に起立する後板24と、底板21と側板22L,22Rと前板23と後板24とで形成される空間を覆うように設けられる天板25とを有する。底板21と側板22L,22Rと前板23と後板24とで形成される空間内に光部品200が収納される。
【0018】
一対のブラケット3(3L,3R)は、筐体2の側板22Lと側板22Rにそれぞれ取り付けられている。ブラケット3(3L,3R)は、側板22L,22Rの外側面に取り付けられている。ブラケット3(3L,3R)は、外部からブラケット3(3L,3R)に負荷が加えられていない通常時には、側板22L,22Rに対して起立した状態で設けられている。すなわち、光部品収容箱1は、通常時に側板22L,22Rから起立したブラケット3(3L,3R)がラック100の支柱101fにねじ止めされることによってラック100に固定される。
【0019】
図3は、筐体2の側板22Rに取り付けられた状態のブラケット3Rを示す斜視図である。なお、側板22Rに取り付けられるブラケット3Lもブラケット3Rと同様の取付形態であるため、以下、ブラケット3Rについて説明する。
【0020】
図3に示すように、ブラケット3Rは、筐体2の側板22Rに固定される固定部31と、ラック100の支柱101fに取り付けられる取付部32と、固定部31に対して取付部32を可動させるヒンジ部33とを有する。固定部31は、固定部31に設けられたネジ穴311を介して筐体2の側板22Rにねじ止め固定される。取付部32は、取付部32に設けられたネジ穴321を介してラック100の支柱101fにねじ止め固定される。
【0021】
ブラケット3Rは、固定部31が側板22Rに固定された状態において、ヒンジ部33を介し、取付部32が固定部31に対して起立する状態(図3の状態)と、取付部32が固定部31に重なるように固定部31側へ倒れる状態とに変化可能に構成されている。外部からブラケット3Rに負荷が加えられていない通常時には、取付部32は図3に示すように固定部31に対して起立した状態になる。外部からブラケット3Rに例えば矢印Aの方向へ負荷が加えられた場合には、取付部32はヒンジ部33を回転軸として可動し固定部31側へ倒れた状態になる。
【0022】
図4(a)、(b)は、ブラケット3Rの構成を詳しく説明するための図である。具体的には、図4(a)は、ブラケット3Rを後面側から見た斜視図であり、図4(b)は、ブラケット3Rを前面側から見た斜視図である。
【0023】
図4(a)、(b)に示すように、ブラケット3Rの固定部31は、平板状の固定板312と、固定板312の側部に設けられた管状の軸筒313とを有する。
【0024】
固定部31は、固定板312に形成されたネジ穴311を介して筐体2の側板22Rに固定される。
【0025】
軸筒313は、取付部32が固定部31に対して可動する際の回転軸となる芯棒331が挿通される筒であり、ヒンジ部33の一部を構成する。
【0026】
ブラケット3Rの取付部32は、平板状の取付板322と、取付板322の側部に設けられたU字状の係合部323と、取付板322の側部に設けられた凹部324と、取付板322に固定された平板状の接続板325と、接続板325の側部に設けられた管状の軸筒326とを有する。
【0027】
取付部32は、取付板322に形成されたネジ穴321を介してラック100の支柱101fに固定される。
【0028】
係合部323は、ブラケット3Rにおけるヒンジ部33側の取付板322の端部からU字状に湾曲した形状となるように形成されている。例えば、ブラケット3Rが筐体2の側板22Rに固定され、取付部32が固定部31に対して起立した状態において、係合部323は、取付板322の筐体2側の端部からU字状に湾曲した形状となるように形成されている。係合部323は、取付板322の側部に沿って両端部にそれぞれ設けられている。2つの係合部323は、固定部31の両側部に、固定部31を略中間に挟むようにして設けられている。係合部323は、取付部32が固定部31に対して可動して起立した際に、筐体2の側板22Rに係合するように構成されている。
【0029】
凹部324は、2つの係合部323の間に設けられており、例えばU字状に形成されている。凹部324には接続板325の軸筒326と固定板312の軸筒313とが芯棒331が挿通された状態で収容されるように配置される。
【0030】
接続板325は、ヒンジ部33を介して取付板322を固定部31に接続する部材である。接続板325は、ねじ止めによって取付板322に固定されている。
【0031】
軸筒326は、取付部32が固定部31に対して可動する際の回転軸となる芯棒331が挿通される筒であり、ヒンジ部33の一部を構成する。
【0032】
ブラケット3Rのヒンジ部33は、固定板312に設けられた軸筒313と、接続板325に設けられた軸筒326と、軸筒313及び軸筒326に挿通された芯棒331とによって構成される。接続板325に設けられた軸筒326が芯棒331の周囲を回転することにより、固定部31に対して取付部32が可動する。ヒンジ部33は、取付部32を固定部31に対して起立させるように付勢するバネ構造を有している。このバネ構造の付勢により、外部からブラケット3Rに負荷が加えられていない通常時において、取付部32が固定部31に対して起立した状態になる。バネ構造としては、図示は省略するが、例えば芯棒331の周囲にコイルばねが巻き付けられた構造や板ばね等を用いることができる。
【0033】
図5は、ブラケット3Rが取り付けられる筐体2の側板22Rを示す斜視図である。図5に示すように、側板22Rには、ブラケット3Rの係合部323が係合可能な係合穴221,222が形成されている。係合穴221と222の間には、係合部323に保持される保持板223が形成されている。ブラケット3Rは、U字状に湾曲する係合部323のU字湾曲内に側板22Rの保持板223を保持するような状態で側板22Rの係合穴221,222に係合する。また、側板22Rには、ブラケット3Rの固定板312がねじ止めされるネジ穴224が形成されている。
【0034】
次に、図6から図8を参照し、側板22Rに取り付けられたブラケット3Rの異なる立ち上がり状態におけるブラケット3Rの係合部323と側板22Rの係合穴221,222との係合状態について説明する。
【0035】
図6(a)は、ヒンジ部33が閉じて、側板22Rに取り付けられたブラケット3Rの取付部32が固定部31側に倒れたときの状態を筐体2の外側から観察した図であり、図6(b)は、図6(a)の状態を筐体2の内側から観察した図である。
【0036】
図6(a)、(b)に示すように、取付部32が固定部31側へ倒れた状態では、取付部32の係合部323は側板22Rの係合穴222内に配置された状態になり、係合穴221には係合していない状態になる。すなわち、U字状に湾曲する係合部323のU字湾曲内に側板22Rの保持板223が保持されていない状態になる。
【0037】
図7(a)は、側板22Rに取り付けられたブラケット3Rの取付部32が起き上がる途中の状態を筐体2の外側から観察した図であり、図7(b)は、図7(a)の状態を筐体2の内側から観察した図である。
【0038】
図7(a)、(b)に示すように、取付部32が起き上がる途中の状態では、取付部32の起き上がりに伴って、取付部32の係合部323は側板22Rの係合穴222内から係合穴221の方向へ向かって取付部32の起き上がり分だけ移動した状態になる。しかし、係合部323は係合穴221には係合していない状態であり、U字状に湾曲する係合部323のU字湾曲内に側板22Rの保持板223が保持されていない状態である。
【0039】
図8(a)は、ヒンジ部33が開いて、側板22Rに取り付けられたブラケット3Rの取付部32が起立したときの状態を筐体2の外側から観察した図であり、図8(b)は、図8(a)の状態を筐体2の内側から観察した図である。
【0040】
図8(a)、(b)に示すように、取付部32が起立した状態では、筐体2の側板22Rに対して取付部32は略90度で起立した状態になる。取付部32の起き上がりに伴って、取付部32の係合部323は側板22Rの係合穴222内から係合穴221の方向へ向かってさらに移動し、係合穴222から係合穴221に亘って配置され、係合穴222及び係合穴221に係合した状態になる。すなわち、U字状に湾曲する係合部323のU字湾曲内に側板22Rの保持板223が保持された状態になる。
【0041】
次に、光部品収容箱1のラック100への取り付け方法について適宜図を参照しながら説明する。
図1において、光部品収容箱1は、ラック100の後側から取り付けられる。光部品収容箱1は、筐体2の前面側(前板23側)を先頭にして、ラック100後部の支柱101b間を通されてラック100の後側から前側方向へ向けてラック100内に挿入される。上述の通り、ラック100後部の支柱101bは略I字形となっており、支柱101b間の幅はラック100前部の支柱101f間の幅よりも大きい。そのため、光部品収容箱1がラック100後部の支柱101b間を通過する際には、筐体2の側板22L,22Rに取り付けられているブラケット3L,3Rの取付部32が支柱101bに当接することがない。これにより、光部品収容箱1は、支柱101bに妨げられることなく支柱101b間を通ってラック100内に挿入される。
【0042】
支柱101b間に挿入された光部品収容箱1は、筐体2を水平状態に保たれながらラック100の前側方向へ移動されて、ラック100前部の支柱101f間を通される。光部品収容箱1は、ラック100前部の支柱101f間を通過する際に、筐体2の側板22L,22Rに取り付けられているブラケット3L,3Rの取付部32がラック100の前部の支柱101fに当接する。支柱101fに当接した取付部32は、支柱101fから図3に示す矢印Aの方向へ負荷が加えられ、ヒンジ部33が閉じることによって可動し固定部31側へ倒れる。ここで、ヒンジ部33が閉じる方向、すなわち、取付部32が倒れる方向は、ラック100へ光部品収容箱1(筐体2)が挿通される側(背面)となる。このため、光部品収容箱1は、支柱101fに妨げられることなく支柱101f間を通過可能になる。ブラケット3L,3Rが前部の支柱101f間を通過すると、取付部32に対する外部からの負荷が加わらない状態となるため、取付部32はヒンジ部33のバネ構造の付勢により固定部31に対して起立した状態になる。
【0043】
ブラケット3L,3Rが前部の支柱101f間を通過して支柱101fよりも前側に移動した状態で、光部品収容箱1がラック100に固定される。光部品収容箱1は、ブラケット3L,3Rの取付部32が前部の支柱101fの前側に重ねられ、取付部32のネジ穴321を介して前部の支柱101fのネジ穴102にねじ止めされることによって固定される。支柱101fへの取付部32のねじ止めは、ラック100の前面側から支柱101fに向かって行うことができる。ブラケット3L,3Rの取付部32をラック100の支柱101fに固定することにより、ラック100への光部品収容箱1の収納が完了する。
【0044】
ところで、固定型のL字ブラケットを側面に備える光部品収容箱の場合、当該光部品収容箱をラックに取り付ける際には、L字ブラケットの突出部をラックの支柱にねじ固定する取り付け方が一般的である。しかしながら、このような構成の光部品収容箱の場合、ブラケットの突出部が筐体の側面よりも外側へ突出した状態となるため、当該突出部をラックの支柱の間に通過させることができない。このため、当該光部品収容箱をラック内に収納するには、ラックの前面側から支柱の間に光部品収容箱の筐体部分を挿入して、ブラケットの突出部をラックの支柱の間に通さないままラックの支柱の手前側でブラケットをねじ固定しなければならなかった。ところが、近年、光ケーブルが予め接続されている状態の光部品収容箱や、背面側の大きさがラックの支柱同士の幅よりも大きい形状の光部品収容箱、背面側に突起部が設けられている形状の光部品収容箱等の需要が増加しており、これらの光部品収容箱をラックの前面側から収納することは困難であった。
【0045】
これに対して、上記実施形態に係る光部品収容箱1は、光部品が収納された筐体2と、筐体2の側面に取り付けられたブラケット3とを備え、ブラケット3が、筐体2に固定される固定部31と、ラック100の両側に設けられた支柱101fに開口された複数のネジ穴102のいずれかにねじ止めされる取付部32と、固定部31に対して取付部32を可動させるヒンジ部33とを有している。そして、ラック100に光部品収容箱1が取り付けられる際に、支柱101fへの取付部32のねじ止め方向とは反対側から筐体2がラック100内に移動されることでヒンジ部33が閉じて取付部32が固定部31側に倒れることにより支柱101fの間をブラケット3が通過した後に、取付部32が固定部31に対して起立した状態で、支柱101fに取付部32が取り付けられる。この構成によれば、ラック100に対してブラケット3の取付部32をねじ止めする方向(通常はラック100の前部から後部へ向かう方向)とは反対側(通常はラック100の後部から前部へ向かう方向)から光部品収容箱1をラック100内へ挿入し、挿入された光部品収容箱1をラック100の前面側へと移動させることができる。これにより、例えば光ケーブルが予め接続されている状態の光部品収容箱や、ラック100の支柱101fよりも背面側の大きさが支柱101f同士の幅よりも大きい形状の光部品収容箱、背面側に突起部が設けられている形状等を有した光部品収容箱をラック100に収納して取り付けることが可能となる。したがって、ラック100に光部品収容箱1が収容される際の光部品収容箱1の幅寸法や付加機能の制約が少なくなる。
【0046】
また、本実施形態の光部品収容箱1によれば、取付部32は、ラック100に固定される平板状の取付板322と、取付板322の筐体2側の端部からU字状に湾曲する係合部323とを有し、筐体2には係合部323が係合可能な係合穴221が形成され、ヒンジ部33が閉じて取付部32が固定部31側に倒れたときには係合部323が係合穴221には係合せず、ヒンジ部33が開いて取付部32が起立したときには係合部323が係合穴221に係合するように構成されている。この構成によれば、取付部32が起立したときに取付部32の係合部323が筐体2の係合穴221に係合するため、ラック100の支柱101fに取付部32の取付板322が固定されたとき、筐体2に係合する係合部323に筐体2の自重の一部をかけることができる。これにより、ブラケット3の固定部31と取付部32(係合部323)とにより協同して筐体2の自重を支えることができるので、固定部31のみで筐体2の自重を支える場合よりもブラケット3による筐体2の保持を確実且つ強固なものとすることができる。
【0047】
また、本実施形態の光部品収容箱1によれば、ヒンジ部33は、取付部32が固定部31から起き上がるように付勢するバネ構造を有している。この構成によれば、ラック100の後部側から光部品収容箱1を挿入してブラケット3を支柱101f間に通過させる際に取付部32が支柱101fから押圧を受けてヒンジ部22のバネ構造に抗して固定部31側に倒れ込む構成とすることができる。また、ブラケット3を支柱101f間に通過させた後には取付部32が自動的に立ち上がる構成とすることができる。このため、特に作業者が一人で作業する場合の光部品収容箱1の取り付け作業性を向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態の光部品収容箱1によれば、ラック100の後部から前部に向かって筐体2が移動することにより、ヒンジ部33が閉じて取付部32が後部側に倒される。この構成によれば、ラック100内へ光部品収容箱1を挿入する際にラック100の支柱101fに当接した取付部32を固定部31側へスムースに倒すことができる。これにより、取り付け作業性をさらに向上させることができる。
【0049】
以上、本開示を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本開示の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本開示を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【0050】
上記実施形態では、ヒンジ部33がバネ構造を有する構成について説明したが、ヒンジ部33はバネ構造を有しない構成であってもよい。ただし、その場合にも、ブラケット3の取付部32は固定部31に対して起立した状態と固定部31側へ倒れる状態とに変化可能に構成される。
予めヒンジ部33が閉じた状態となるように、例えば粘着テープ等により一時的に固定しておき、ラック100の後部側から光部品収容箱1を挿入した後、粘着テープ等を除去してヒンジ部33を起こすようにしても良い。勿論、光部品収容箱1の背面側の大きさがラック支柱間の幅よりも小さい場合には、従来と同様、ヒンジ部33が起立した状態で固定したままラック100前面側から光部品収容箱1を挿入してブラケット3をラック100の支柱101fに固定することも可能である。
【0051】
また、ブラケット3の取付部32は、固定部31に対して固定部31側に倒れるだけでなく固定部31側とは反対側へも倒れる構成としてもよい。この構成とした場合には、取付部32を固定部31側とは反対側に倒したときにもブラケット3を支柱101f間に通すことができる。このため、光部品収容箱1をラック100の後側から収納あるいは取り出すことも可能になる。
【0052】
また、上記実施形態では、ブラケット3の取付部32が2個の係合部323を有する構成について説明したが、これに限られない。取付部32は、少なくとも一つの係合部323を有していればよい。この場合も、ブラケット3による筐体2の確実な保持を担保することができる。なお、図示したように、固定部31を間に挟み固定部31の両側にそれぞれ係合部323を設けることにより、さらにブラケット3による筐体2の確実な保持を担保することができる。
【0053】
また、図2に示す例では、ブラケット3L,3Rが筐体2の側板22L,22Rの前後方向における中間部から僅かに前側の位置に取り付けられているが、この位置に限られない。例えば、図2に示す位置よりもさらに前側であってもよいし、図2に示す位置よりも後側であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1:光部品収容箱
2:筐体
3(3L,3R):ブラケット
22L,22R:側板
31:固定部
32:取付部
33:ヒンジ部
100:ラック
101(101f,101b):支柱
102:ネジ穴
221,222:係合穴
223:保持板
224:ネジ穴
311,321:ネジ穴
312:固定板
313:軸筒
331:芯棒
322:取付板
323:係合部
324:凹部
325:接続板
326:軸筒
図1
図2
図3
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図8