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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】減速機構及び駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/46 20060101AFI20240430BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20240430BHJP
【FI】
F16H1/46
F16H57/04 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020123536
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020178
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】林 祐介
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-144869(JP,A)
【文献】特開2016-164423(JP,A)
【文献】特開2018-040395(JP,A)
【文献】特開2019-065874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/46
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽歯車、前記太陽歯車と噛み合わされる遊星歯車、及び前記遊星歯車を回転自在に支持する支持軸部が突出して設けられた遊星キャリアを有する遊星歯車機構と、
前記遊星歯車と軸方向で対向して配置され、前記遊星歯車の前記支持軸部からの抜けを規制する規制部と、
前記遊星歯車と前記規制部との間に設けられ、かつ前記支持軸部の前記規制部側の先端部の一部のみが挿入された環状のスラストプレートと、
を備え、
前記スラストプレートの厚さが最大となる箇所の最大厚さは、前記支持軸部の前記規制部側の先端面と前記規制部との間隔よりも大きく、
前記支持軸部の前記先端面よりも前記スラストプレートが前記規制部側に突出している、
減速機構。
【請求項2】
前記遊星歯車は、前記支持軸部が挿入される挿入孔を有するとともに、前記規制部側の一端面に前記挿入孔に連なって通じるように前記遊星歯車の内周側に形成された凹部を有し、
前記スラストプレートは、前記凹部に配置されており、
前記凹部は、前記スラストプレートの径方向への変位を規制する内側面を有する請求項1に記載の減速機構。
【請求項3】
前記支持軸部の外周面に嵌め合わされるとともに、前記遊星歯車における前記挿入孔の内周面に嵌め合わされ、前記支持軸部に対して前記遊星歯車を回転自在に支持するための軸受を有し、
前記スラストプレートは、前記スラストプレートの全周に渡って前記支持軸部の軸方向で前記軸受と重なる位置に配置されている
請求項2に記載の減速機構。
【請求項4】
前記スラストプレートは、前記支持軸部の軸方向に貫通して形成され流体が通過可能な流体通路を有する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の減速機構。
【請求項5】
前記遊星歯車機構は、前記遊星歯車及び前記支持軸部を複数有し、
前記遊星歯車ごとに前記スラストプレートが設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の減速機構。
【請求項6】
前記支持軸部の軸方向に沿って前記遊星歯車機構が複数配置されており、
前記規制部は、前記軸方向で互いに隣り合う前記遊星歯車機構のうち、一方の前記遊星歯車機構の前記遊星歯車と他方の前記遊星歯車機構の前記遊星歯車との間に配置される前記遊星キャリアである
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の減速機構。
【請求項7】
複数の遊星歯車機構と、
2つの前記遊星歯車機構の間に設けられたスラストプレートと、を備え、
前記遊星歯車機構は、
太陽歯車と、
前記太陽歯車と噛み合わされ前記太陽歯車の回転によって前記太陽歯車の外周部を公転する遊星歯車と、
前記遊星歯車を回転自在に支持する支持軸部が突出して設けられ前記太陽歯車の中心軸回りに回転自在な遊星キャリアと、
前記支持軸部の外周面に嵌め合わされ前記支持軸部に前記遊星歯車を回転自在に支持するための軸受と、
を備え、
前記遊星歯車機構は、前記支持軸部の軸方向に沿って複数配置されているとともに、前記軸方向で互いに隣り合う前記遊星歯車機構のうち、一方の前記遊星歯車機構における前記遊星歯車と他方の前記遊星歯車機構における前記遊星キャリアとが隣り合って並ぶように配置されており、
前記スラストプレートは、前記一方の前記遊星歯車機構における前記支持軸部の前記他方の前記遊星歯車機構における前記遊星キャリア側の先端部の一部のみが挿入される環状に形成され、前記一方の前記遊星歯車機構における前記遊星歯車と前記他方の前記遊星歯車機構における前記遊星キャリアとの間で、かつ前記スラストプレートの全周に渡って前記支持軸部の軸方向で前記軸受と重なる位置に配置されており、
前記スラストプレートの厚さが最大となる箇所の最大厚さは、前記一方の前記遊星歯車機構における前記支持軸部の先端面と前記他方の前記遊星歯車機構における前記遊星キャリアとの間隔よりも大きく、
前記一方の前記遊星歯車機構における前記支持軸部の前記先端面よりも前記スラストプレートが前記他方の前記遊星歯車機構における前記遊星キャリア側に突出している、
減速機構。
【請求項8】
減速機構と、
前記減速機構に駆動力を伝達する駆動源と、
を備え、
前記減速機構は、
太陽歯車、前記太陽歯車と噛み合わされ前記太陽歯車の回転によって前記太陽歯車の外周部を公転する遊星歯車、及び前記遊星歯車を回転自在に支持する支持軸部が突出して設けられ前記太陽歯車の中心軸回りに回転自在な遊星キャリアを有する遊星歯車機構と、
前記遊星歯車と軸方向で対向して配置され、前記遊星歯車の前記支持軸部からの抜けを規制する規制部と、
前記遊星歯車と前記規制部との間に設けられ、かつ前記支持軸部の前記規制部側の先端部の一部のみが挿入された環状のスラストプレートと、
を備え、
前記スラストプレートの厚さが最大となる箇所の最大厚さは、前記支持軸部の前記規制部側の先端面と前記規制部との間隔よりも大きく、
前記支持軸部の前記先端面よりも前記スラストプレートが前記規制部側に突出している、
駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機構及び駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、減速機構として、多段式の遊星歯車機構を用いる場合がある。多段式の遊星歯車機構の各段は、入力側の回転軸と一体に設けられた太陽歯車と、太陽歯車に噛み合わされる遊星歯車と、遊星歯車を回転自在に支持し、出力側の回転軸と一体に設けられた遊星キャリアと、を備えている。遊星歯車は、遊星キャリアに設けられた支持軸部に回転自在に支持されている。
【0003】
ここで、任意の段の遊星歯車と、この遊星歯車と隣り合う他の段の遊星キャリアと、が接触してしまうことを防止するために、支持軸部からの遊星歯車の抜けを規制するためのさまざまな技術が開示されている。例えば、支持軸部や遊星歯車の端面を横切るように環状に形成されたスラストプレート(スラストリング)を、ボルトによって支持軸部の端面に固定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-269036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、支持軸部にボルトを締め付けるための雌ネジを形成したり、スラストプレートにボルトを通すための孔を形成したり必要があるので、構造が複雑になる可能性があった。
【0006】
本発明は、部品の不要な接触を防止するためのスラストプレートを設けた場合でも構造を簡素化できる減速機構及び駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る減速機構は、太陽歯車、前記太陽歯車と噛み合わされる遊星歯車、及び前記遊星歯車を回転自在に支持する支持軸部が突出して設けられた遊星キャリアを有する遊星歯車機構と、前記遊星歯車の前記支持軸部からの抜けを規制する規制部と、前記遊星歯車と前記規制部との間に設けられ、かつ前記支持軸部に挿入された環状のスラストプレートと、を備え、前記スラストプレートの厚さが最大となる箇所の最大厚さは、前記支持軸部の前記規制部側の先端面と前記規制部との間隔よりも大きい。
【0008】
このように構成することで、支持軸部にスラストプレートを固定することなく、このスラストプレートを用いて支持軸部からの遊星歯車の抜けを規制できる。このため、減速機構の構成を簡素化できる。
スラストプレートの最大厚さは、支持軸部の規制部側の先端面と規制部との間隔よりも大きいので、規制部に遊星歯車や支持軸部が直接接触してしまうことを防止できる。
【0009】
上記構成で、前記遊星歯車は、前記支持軸部が挿入される挿入孔を有するとともに、前記規制部側の一端面に前記挿入孔に連なって通じるように前記遊星歯車の内周側に形成された凹部を有し、前記スラストプレートは、前記凹部に配置されており、前記凹部は、前記スラストプレートの径方向への変位を規制する内側面を有してもよい。
【0010】
上記構成で、前記支持軸部の外周面に嵌め合わされるとともに、前記遊星歯車における前記挿入孔の内周面に嵌め合わされ、前記支持軸部に対して前記遊星歯車を回転自在に支持するための軸受を有し、前記スラストプレートは、前記スラストプレートの全周に渡って前記支持軸部の軸方向で前記軸受と重なる位置に配置されてもよい。
【0011】
上記構成で、前記スラストプレートは、前記支持軸部の軸方向に貫通して形成され流体が通過可能な流体通路を有してもよい。
【0012】
上記構成で、前記遊星歯車機構は、前記遊星歯車及び前記支持軸部を複数有し、前記遊星歯車ごとに前記スラストプレートが設けられてもよい。
【0013】
上記構成で、前記支持軸部の軸方向に沿って前記遊星歯車機構が複数配置されており、前記規制部は、前記軸方向で互いに隣り合う前記遊星歯車機構のうち、一方の前記遊星歯車機構の前記遊星歯車と他方の前記遊星歯車機構の前記遊星歯車との間に配置される前記遊星キャリアでもよい。
【0014】
本発明の他の態様に係る減速機構は、複数の遊星歯車機構と、2つの前記遊星歯車機構の間に設けられたスラストプレートと、を備え、前記遊星歯車機構は、太陽歯車と、前記太陽歯車と噛み合わされ前記太陽歯車の回転によって前記太陽歯車の外周部を公転する遊星歯車と、前記遊星歯車を回転自在に支持する支持軸部が突出して設けられ前記太陽歯車の中心軸回りに回転自在な遊星キャリアと、前記支持軸部の外周面に嵌め合わされ前記支持軸部に前記遊星歯車を回転自在に支持するための軸受と、を備え、前記遊星歯車機構は、前記支持軸部の軸方向に沿って複数配置されているとともに、前記軸方向で互いに隣り合う前記遊星歯車機構のうち、一方の前記遊星歯車機構における前記遊星歯車と他方の前記遊星歯車機構における前記遊星キャリアとが隣り合って並ぶように配置されており、前記スラストプレートは、前記支持軸部に挿入される環状に形成され、前記一方の前記遊星歯車機構における前記遊星歯車と前記他方の前記遊星歯車機構における前記遊星キャリアとの間で、かつ前記スラストプレートの全周に渡って前記支持軸部の軸方向で前記軸受と重なる位置に配置されており、前記スラストプレートの厚さが最大となる箇所の最大厚さは、前記一方の前記遊星歯車機構における前記支持軸部の先端面と前記他方の前記遊星歯車機構における前記遊星キャリアとの間隔よりも大きい。
【0015】
このように構成することで、支持軸部にスラストプレートを固定することなく、このスラストプレートを用いて支持軸部からの遊星歯車の抜けも規制できる。このため、減速機構の構成を簡素化できる。
スラストプレートの最大厚さは、支持軸部の規制部側の先端面と規制部との間隔よりも大きいので、遊星歯車が規制部に直接接触してしまうことを防止できる。
また、挿入孔と凹部とが連なって通じており、スラストプレートの全周に渡って支持軸部の軸方向で軸受と重なる位置にスラストプレートが配置されているので、軸受、挿入孔、凹部に満遍なく潤滑油を行き渡らせることができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、減速機構と、前記減速機構に駆動力を伝達する駆動源と、を備え、前記減速機構は、太陽歯車、前記太陽歯車と噛み合わされ前記太陽歯車の回転によって前記太陽歯車の外周部を公転する遊星歯車、及び前記遊星歯車を回転自在に支持する支持軸部が突出して設けられ前記太陽歯車の中心軸回りに回転自在な遊星キャリアを有する遊星歯車機構と、前記遊星歯車の前記支持軸部からの抜けを規制する規制部と、前記遊星歯車と前記規制部との間に設けられ、かつ前記支持軸部に挿入された環状のスラストプレートと、を備え、前記スラストプレートの厚さが最大となる箇所の最大厚さは、前記支持軸部の前記規制部側の先端面と前記規制部との間隔よりも大きい。
【0017】
このように構成することで、部品の不要な接触を防止するためのスラストプレートを設けた場合でも構造を簡素化する駆動装置を提供できる。
【発明の効果】
【0018】
上述の減速機構及び駆動装置は、部品の不要な接触を防止するためのスラストプレートを設けた場合でも構造を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態における減速機付きモータを示し、中心軸線に沿った断面図。
図2図1のA部拡大図。
図3】本発明の第2実施形態における2段目の遊星歯車機構の要部拡大図。
図4】本発明の第3実施形態における2段目の遊星歯車機構の要部拡大図。
図5】本発明の第4実施形態における第2スラストプレートを中心軸線方向からみた平面図。
図6】本発明の第5実施形態における第2スラストプレートを中心軸線方向からみた平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
<減速機付きモータ>
図1は、駆動装置としての減速機付きモータ1を示し、中心軸線Cに沿った断面図である。図2は、図1のA部拡大図である。
図1図2に示すように、減速機付きモータ1は、モータ(請求項における駆動源の一例)2と、モータ2のモータ軸2aに連結された減速機構3と、を備えている。
【0022】
モータ2は、減速機構3と一体化するためのハウジング7を有している。このハウジング7を介して減速機構3側にモータ軸2aが突出されている。モータ2は、図示しない外部電源に接続されてこの外部電源から電力が供給される。この電力によってモータ軸2aが回転され、モータ軸2aの回転が減速機構3に伝達される。すなわち、モータ2は、減速機構3に駆動力を伝達する駆動源である。モータ軸2aの軸線は、減速機付きモータ1の中心軸線Cと一致している。
【0023】
<減速機構>
減速機構3は、ケース30と、ケース30内に設けられた複数段(本実施形態では2段)の遊星歯車機構31A,31B(1段目の遊星歯車機構31A、2段目の遊星歯車機構31B)と、を備えている。
ケース30は、中心軸線C方向を軸方向とする筒状部30aと、筒状部30aのモータ2とは反対側の端部を閉塞する閉塞板部30bと、が一体成形されたものである。筒状部30aのモータ2側の開口端がモータ2のハウジング7に突き合わされ、図示しないボルトによりハウジング7に固定されている。
【0024】
筒状部30aの内周面には、モータ2側に、リングギア40が設けられている。リングギア40は、筒状部30aの内周面に沿って円筒状に形成されている。リングギア40の内周面には、ギア歯40gが形成されている。このギア歯40gに、2段の遊星歯車機構31A,31Bが噛み合わされている。2段の遊星歯車機構31A,31Bは、モータ2側から中心軸線Cに沿って1段目の遊星歯車機構31A,2段目の遊星歯車機構31Bの順に並んで配置されている。
【0025】
閉塞板部30bには、径方向中央に軸挿通孔30hが形成されている。軸挿通孔30hには、2つの軸受41A,41B(第1軸受41A、第2軸受41B)が設けられている。これら軸受41A,41Bは、閉塞板部30bに2段目の遊星歯車機構31Bにおける後述する出力軸42を回転自在に支持するためのものである。各軸受41A,41Bとしては、例えば円錐コロ軸受が用いられる。
【0026】
また軸挿通孔30hには、2つの軸受41A,41Bの間に、シール部材21が設けられている。さらに軸挿通孔30hには、2つの軸受41A,41Bのうちモータ2とは反対側の外方側に位置する第1軸受41Aよりもさらに外方側に、Oリング22が設けられている。これらシール部材21やOリング22は、閉塞板部30bと出力軸42との間のシール性を確保するためのものである。
【0027】
1段目の遊星歯車機構31Aは、モータ軸2aの外周面に固定されモータ軸2aと一体となって回転する第1太陽歯車33と、第1太陽歯車33に噛み合わされる第1遊星歯車34と、第1遊星歯車34を支持する第1遊星キャリア35と、を備える。
第1太陽歯車33の外周面には、ギア歯33gが形成されている。このギア歯33gに、第1遊星歯車34の外周面に形成されたギア歯34gが噛み合わされる。
【0028】
第1遊星歯車34は、複数個(例えば3個)設けられる。各第1遊星歯車34は、第1太陽歯車33の周囲に等間隔に配置される。第1遊星歯車34のギア歯34gは、外周側に位置するリングギア40のギア歯40gにも噛み合わされている。
また、第1遊星歯車34の径方向中央には、中心軸線C方向に沿って貫通する挿入孔34hが形成されている。この挿入孔34hに、軸受36が設けられ、さらにこの軸受36を介して第1遊星キャリア35の後述する第1支持軸部37が挿入される。軸受36としては、例えば滑り軸受が用いられる。
【0029】
第1遊星キャリア35は、第1遊星歯車34とは別体に設けられている。第1遊星キャリア35は、第1遊星歯車34のモータ2とは反対側(2段目の遊星歯車機構31B側)に配置されている。第1遊星キャリア35は、中心軸線C方向が厚さ方向となる円板状に形成されている。第1遊星キャリア35の径方向中央には、開口部35hが形成されている。開口部35hの内周面には、ギア歯35gが形成されている。
【0030】
第1遊星キャリア35の第1遊星歯車34側の面には、開口部35hの周囲を取り囲む凹部35aが形成されている。この凹部35aに、第1太陽歯車33が配置されている。
また、第1遊星キャリア35の第1遊星歯車34側の面には、外周部寄りの第1遊星歯車34に対応する位置に、第1支持軸部37が突出して設けられている。この第1支持軸部37に、軸受36を介して第1遊星歯車34が回転自在に支持される。第1支持軸部37の先端部37aは、第1遊星歯車34の挿入孔34hを貫通し、第1遊星歯車34よりも突出している。
【0031】
第1支持軸部37の先端部37aには、周方向に連続するリング溝37bが形成されている。このリング溝37bに、第1遊星歯車34の挿入孔34hよりも大きな外径を有したC型の止め輪38が装着されている。この止め輪38により、第1遊星歯車34の第1支持軸部37からの抜けが規制される。止め輪38と第1遊星歯車34との間には、環状のスラストプレート39が設けられている。
【0032】
2段目の遊星歯車機構31Bは、回転軸11と同軸上に配置された出力軸42と、出力軸42と1段目の遊星歯車機構31Aにおける第1太陽歯車33との間に配置された第2太陽歯車43と、第2太陽歯車43に噛み合わされる第2遊星歯車44と、第2遊星歯車44を支持する第2遊星キャリア45と、を備える。
【0033】
出力軸42は、ケース30の閉塞板部30bに形成された軸挿通孔30h(軸受41A,41B)を介して、一端42aがケース30の外部に突出している。出力軸42の中心軸線は、中心軸線Cと一致している。
第2太陽歯車43の外周面には、ギア歯43gが形成されている。このギア歯43gに、1段目の遊星歯車機構31Aにおける第1遊星キャリア35のギア歯35gが噛み合わされる。また、ギア歯43gに、2段目の遊星歯車機構31Bにおける第2遊星歯車44の外周面に形成されたギア歯44gが噛み合わされる。
【0034】
第2遊星歯車44は、複数個(例えば3個)設けられる。各第2遊星歯車44は、第2太陽歯車43の周囲に等間隔に配置される。第2遊星歯車44のギア歯44gは、外周側に位置するリングギア40のギア歯40gにも噛み合わされている。つまり、リングギア40のギア歯40gには、中心軸線C方向に並ぶ1段目の遊星歯車機構31Aにおける第1遊星歯車34のギア歯34gと、2段目の遊星歯車機構31Bにおける第2遊星歯車44のギア歯44gと、が噛み合わされる。
【0035】
また、第2遊星歯車44の径方向中央には、中心軸線C方向に沿って貫通する挿入孔44hが形成されている。この挿入孔44hに、軸受46が設けられる。さらに、挿入孔44hには、軸受36を介して第2遊星キャリア45の後述する第2支持軸部47が挿入される。軸受46としては、例えば滑り軸受が用いられる。
【0036】
第2遊星キャリア45は、第2遊星歯車44とは別体に設けられている。第2遊星キャリア45は、第2遊星歯車44におけるケース30の閉塞板部30b側に配置されている。第2遊星キャリア45は、中心軸線C方向が厚さ方向となる円板状に形成されている。第2遊星キャリア45の径方向中央には、開口部45hが形成されている。開口部45hの内周面には、ギア歯45gが形成されている。ギア歯45gは、出力軸42の外周面に形成されたギア歯42gに噛み合わされている。これにより、第2遊星キャリア45は、出力軸42と一体に回転する。
【0037】
第2遊星キャリア45の第2遊星歯車44側の面には、外周部寄りの第2遊星歯車44に対応する位置に、第2支持軸部(請求項における支持軸部の一例)47が突出して設けられている。この第2支持軸部47に、軸受46を介して第2遊星歯車44が回転自在に支持される。
また、第2遊星キャリア45の第2遊星歯車44側の面には、第2支持軸部47の周囲を取り囲む凹部45aが形成されている。この凹部45aに、第1スラストプレート23が配置されている。第1スラストプレート23は円環状に形成されており、第2支持軸部47に挿入されるようにして凹部45aに配置されている。第1スラストプレート23は、第2遊星歯車44の第2遊星キャリア45側に向かうスラスト力を受けるプレートである。
【0038】
さらに、第1遊星キャリア35と各々第2遊星歯車44との間には、第2支持軸部47に挿入されるように配置された円環状の第2スラストプレート(請求項におけるスラストプレートの一例)24が配置されている。第2スラストプレート24は、第2支持軸部47からの第2遊星歯車44の抜けを防止するとともに、第2遊星歯車44と第1遊星キャリア35との接触を防止するためのものである。
【0039】
第2スラストプレート24は、その厚さをTとし、第1遊星キャリア35と第2支持軸部47の先端面47aとの間隔をGとし、第2スラストプレート24の内径をD1とし、第2支持軸部47に設けられている軸受46の内径をD2とし、軸受46の外径をD3としたとき、これら厚さT、間隔G、及び各径D1~D3は、
T>G ・・・(1)
D2<D1<D3 ・・・(2)
を満たしている。
【0040】
式(1)について詳述すると、厚さTが間隔Gに対して極端に大きくなるのではない。間隔Gは、各遊星歯車機構31A,31Bが多少がたついた場合であっても第1遊星キャリア35に第2支持軸部47が接触しない程度の間隔が確保されていればよい。
また、式(2)を満たすことにより、第2スラストプレート24の内周縁の全体は、中心軸線C方向からみて軸受46と重なる位置に配置されていることになる。
【0041】
このような減速機付きモータ1は、モータ2のモータ軸2aが回転すると、このモータ軸2aの回転力が1段目の遊星歯車機構31Aに入力される。すなわち、モータ軸2aと一体となって第1太陽歯車33が回転し、第1太陽歯車33に噛み合わされる第1遊星歯車34が第1支持軸部37回りに回転しながら、第1太陽歯車33の外周部を旋回する。このような第1太陽歯車33を中心とした第1遊星歯車34の公転により、第1遊星キャリア35が回転軸線C回りに回転する。
【0042】
また、第1遊星キャリア35とともに、第1遊星キャリア35のギア歯35gに噛み合わされる2段目の遊星歯車機構31Bの第2太陽歯車43が回転する。第2太陽歯車43が回転すると、第2太陽歯車43と噛み合わされる第2遊星歯車44が、第2支持軸部47回りに回転しながら、第2太陽歯車43の外周部を旋回する。このような第2太陽歯車43を中心とした第2遊星歯車44の公転により、第2遊星キャリア45及び出力軸42がその中心軸回りに回転する。
このようにして、2段の遊星歯車機構31A,31Bにより、モータ2の回転軸11の回転が減速され、出力軸42が回転駆動される。
【0043】
ここで、第1遊星キャリア35と第2遊星歯車44との間には、第2スラストプレート24が設けられている。第2スラストプレート24は、第2支持軸部47に挿入されるようにして配置されているので、第2支持軸部47によって第2スラストプレート24の径方向への変位が規制される。また、第2スラストプレート24の厚さT、及び第1遊星キャリア35と第2支持軸部47の先端面47aとの間隔Gは、上記式(1)を満たしている。このため、減速機構3の中心軸線C方向の長さを抑えつつ、第2スラストプレート24によって、第2支持軸部47からの第2遊星歯車44の抜けを防止できる。また、第1遊星キャリア35に第2遊星歯車44や第2支持軸部47が接触してしまうことを防止できる。この結果、第2遊星歯車44は、殆どガタつくことなく回転(公転)する。また、各段の遊星歯車機構31A,31Bがスムーズに駆動される。
【0044】
また、減速機構3を2段の遊星歯車機構31A,31Bで構成し、第2スラストプレート24の中心軸線C方向への変位を第1遊星キャリア35によって規制している。これにより、第2スラストプレート24を用いて、第2支持軸部47からの第2遊星歯車44の抜けも規制できる。したがって、第2支持軸部47等に第2スラストプレート24を固定する必要がなく、減速機構3の構成を簡素化できる。
【0045】
ところで、各遊星歯車機構31A,31Bの全体には、各歯車33~44の噛合い抵抗や各軸受36,46の摺動抵抗等を低減するために潤滑油が塗布又は充填されている。
ここで、第2支持軸部47の周囲を取り囲むように円環状に形成された第2スラストプレート24は、上記式(2)を満たすように形成されている。つまり、第2スラストプレート24の内周縁の全体は、中心軸線C方向からみて軸受46と重なる位置に配置されている。このため、第2スラストプレート24が軸受46の中心軸線C方向の一端を完全に閉塞してしまうようなことがなく、第2支持軸部47と第2スラストプレート24との間に径方向で隙間が形成される。この隙間等を介し、軸受46、挿入孔44hに満遍なく潤滑油を行き渡らせることができる。
【0046】
各第2遊星歯車44の第2支持軸部47に、それぞれ第2スラストプレート24が挿入(配置)されている。このように構成することで、例えば中心軸線C回りに1つの大きな環状のスラストプレートを設ける場合と比較して、減速機構3の大型化を抑制できる。また、各第2支持軸部47からの第2遊星歯車44の抜けを確実に防止できる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、図1も参照しながら図3に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。
図3は、第2実施形態における2段目の遊星歯車機構231Bの要部拡大図である。図3は、前述の図2に対応している。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
【0048】
第2実施形態では、減速機付きモータ1は、モータ2と、モータ2のモータ軸2aに連結された減速機構3と、を備えている点、減速機構3は、2段の遊星歯車機構31A,31Bを備えている点、第1遊星キャリア35と第2遊星歯車244との間で、各遊星歯車244上に第2スラストプレート224が設けられている点、第2スラストプレート224の厚さTと、第1遊星キャリア35と第2支持軸部47の先端面47aとの間隔Gとは、上記式(1)を満たす点等の基本的構成は、前述の第1実施形態と同様である(以下の実施形態についても同様)。
【0049】
図3に示すように、第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態の第2スラストプレート24及び第2支持軸部47と、第2実施形態の第2スラストプレート224及び第2支持軸部247と、が異なる点にある。
【0050】
すなわち、第2支持軸部247の先端面247aには、外周部に凹部247bが形成されている。凹部247bは、第2支持軸部247の全周に渡って形成されている。凹部247bの底面247cは、第2遊星歯車244の端面244aとほぼ同一平面上か、又は端面244aよりも若干1段目の遊星歯車機構31A寄りに位置している。つまり、第1遊星キャリア35と第2遊星歯車244の端面244aとの間隔Ggは、第1遊星キャリア35と第2支持軸部47の先端面47aとの間隔Gjと同じか、又は若干大きくなる。
第2スラストプレート224は、凹部247bと第2遊星歯車244の端面244aとに跨るように配置されている。したがって、第2スラストプレート224は、軸受46の上方(第1遊星キャリア35側)に配置される。
【0051】
第2スラストプレート224は、凹部247bに対応して第1実施形態の第2スラストプレート24と比較して径方向内側に縮んだ形で形成される。第2実施形態における第2スラストプレート224の径方向の厚さと、第1実施形態における第2スラストプレート24の径方向の厚さはほぼ同一である。
【0052】
このように、上述の第2実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2支持軸部247の先端面247aに形成された凸部247dの外周面に、第2スラストプレート224の内周面が嵌め合わされた形になるので、第2スラストプレート224のガタツキを防止でき、第2スラストプレート224を安定して配置できる。
また、第1遊星キャリア35と第2遊星歯車244の端面244aとの間隔Ggは、第1遊星キャリア35と第2支持軸部47の先端面47aとの間隔Gjと同じか、又は若干大きくなる。このため、例えば第2スラストプレート224が第2支持軸部247側に向かって押し付けられた場合でも、第2スラストプレート224と第2遊星歯車44との摺動摩擦抵抗が大きくなってしまうことを防止できる。よって、第2遊星歯車44の回転抵抗を減少でき、第2遊星歯車44を常時スムーズに回転させることができる。
【0053】
なお、上述の第2実施形態では、この第2実施形態における第2スラストプレート224の径方向の厚さと、第1実施形態における第2スラストプレート24の径方向の厚さはほぼ同一である場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第2実施形態における第2スラストプレート224の外径を、第1実施形態における第2スラストプレート24の外径とほぼ同一としてもよい。このように構成することで、第2スラストプレート224の厚さ方向両端の面積を大きくできる。このため、第2スラストプレート224と各部とが接触する際の面圧を低減できる。よって、第2スラストプレート224やこの第2スラストプレート224と接触する各部の摩耗を抑制できる。
【0054】
[第3実施形態]
次に、図4に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。
図4は、第3実施形態における2段目の遊星歯車機構331Bの要部拡大図である。図4は、前述の図2に対応している。
図4に示すように、第1実施形態と第3実施形態との相違点は、第1実施形態の第2遊星歯車44と、第3実施形態の第2遊星歯車344と、が異なる点にある。
【0055】
すなわち、第2遊星歯車344における第1遊星キャリア35側の端面344aには、ギア歯44gよりも径方向内側に、凹部25が形成されている。凹部25は、中心軸線C方向からみて円環状に形成されている。凹部25の径方向内側は、挿入孔44hに連なって通じている。第2遊星歯車344を回転自在に支持する第2支持軸部47の先端面47aは、第2遊星歯車344の端面344aとほぼ同一平面上に位置している。
また、凹部25の内側面25bの直径D4は、第2スラストプレート24の外径D5とほぼ同じか若干大きい程度である。すなわち、凹部25の内側面25bは、第2スラストプレート24の径方向への変位を規制する役割を有している。
【0056】
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。また、凹部25の径方向内側は、挿入孔44hに連なって通じている。このため、挿入孔44hや凹部25に満遍なく潤滑油を行き渡らせることができる。
また、凹部25の内側面25bによって、第2スラストプレート24の径方向への変位を容易に規制できる。このため、第2スラストプレート24の位置を安定させることができる。
【0057】
[第4実施形態]
次に、図5に基づいて、本発明の第4実施形態について説明する。
図5は、第4実施形態における第2スラストプレート424を中心軸線C方向からみた平面図である。
図5に示すように、第1実施形態と第4実施形態との相違点は、第1実施形態の第2スラストプレート24と、第4実施形態の第2スラストプレート424と、が異なる点にある。
【0058】
すなわち、第2スラストプレート424の内周縁には、複数の凹部(請求項における流体通路の一例)428が形成されている。複数の凹部428は、周方向に等間隔で配置されている。
このような構成のもと、複数の凹部428を介して第2スラストプレート424の厚さ方向に潤滑油がスムーズに流れる。すなわち、複数の凹部428は、第2スラストプレート424の厚さ方向に潤滑油をスムーズに行き渡らせるための流体通路として機能する。
したがって、上述の第4実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、減速機構3の全体にさらに潤滑油を行き渡らせやすくできる。
【0059】
[第5実施形態]
次に、図6に基づいて、本発明の第5実施形態について説明する。
図6は、第5実施形態における第2スラストプレート524を中心軸線C方向からみた平面図である。
図6に示すように、第4実施形態と第5実施形態との相違点は、第4実施形態の第2スラストプレート424と、第5実施形態の第2スラストプレート524と、が異なる点にある。
【0060】
すなわち、第5実施形態の第2スラストプレート524の全周には、第4実施形態の凹部428に代わって厚さ方向に貫通する複数の孔(請求項における流体通路の一例)528が形成されている。複数の孔528は、周方向に等間隔で配置されている。
このような構成のもと、複数の孔528を介して第2スラストプレート524の厚さ方向に潤滑油がスムーズに流れる。すなわち、複数の孔528は、第2スラストプレート524の厚さ方向に潤滑油をスムーズに行き渡らせるための流体通路として機能する。
したがって、上述の第5実施形態によれば、前述の第4実施形態と同様の効果を奏する。
【0061】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば上述の実施形態では、減速機構3に駆動力を伝達する駆動源としてモータ2を設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、減速機構3に駆動力を伝達する駆動源を設ければよい。例えばモータ2に代わってエンジン等を設けてもよい。
また、モータ2は、図示しない外部電源に接続されてこの外部電源から電力が供給されることによってモータ軸2aが回転される、いわゆる電動モータである場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、モータ2として油圧モータを採用してもよい。
【0062】
上述の実施形態では、各段の遊星歯車機構31A,31Bには、遊星歯車34,44が例えば3個設けられている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、各段の遊星歯車機構31A,31Bで、遊星歯車34,44の個数は、少なくも1個あればよい。
【0063】
上述の実施形態では、減速機構3は、例えば2段の遊星歯車機構31A,31Bを備えている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、減速機構3は、少なくとも1段の遊星歯車機構を備えていればよい。例えば遊星歯車機構が1段の場合、第2遊星歯車44,244,344の第2支持軸部47,247からの抜けを防止する第2スラストプレート24,224,424,524の中心軸線C方向への変位を規制する第1遊星キャリア35に代わる規制部を設ければよい。
【0064】
上述の実施形態では、第2スラストプレート24,224,424,524は円環状に形成されている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第2スラストプレート24,224,424,524の形状は中心軸線Cからみて環状であればよい。すなわち、第2スラストプレート24,224,424,524の外周及び内周の形状は、中心軸線C方向からみて多角形状や楕円形状や曲線で外形が構成される形状や直線や曲線で外形が構成される形状等、さまざまな形状をその他の部位との関係を考慮して採用することができる。第2スラストプレート24,224,424,524の形状は、第2支持軸部47,247を中心にして対称である必要は無く、非対称でもよい。
【0065】
さらに、第2スラストプレート24,224,424,524は、厚さが一様の板状に形成されていなくてもよい。この場合、第2スラストプレート第2スラストプレート24,224,424,524の厚さTが最大となる箇所の最大厚さTmaxが、上記式(1)を満たせばよい。最大厚さTmaxとは、第2スラストプレート24,224,424,524の第1遊星キャリア35に接する箇所と第2遊星歯車44,244,344又は第2支持軸部247に形成された凹部247bの底面247cに接する箇所との間の最大厚さをいう。厚さが一様の板状の第2スラストプレート24,224,424,524は、T=Tmaxということになる。
【符号の説明】
【0066】
1…減速機付きモータ(駆動装置)、2…モータ(駆動源)、3…減速機構、24,224,424,524…第2スラストプレート(スラストプレート)、25…凹部、25b…内側面、31A…1段目の遊星歯車機構、31B…2段目の遊星歯車機構、35…第1遊星キャリア(規制部)、43…第2太陽歯車(太陽歯車)、44,244,344…第2遊星歯車(遊星歯車)、44h…挿入孔、45…第2遊星キャリア(遊星キャリア)、46…軸受、47,247…第2支持軸部(支持軸部)、47a,247a…先端面、428…凹部(流体通路)、528…孔(流体通路)、C…中心軸線、G…間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6