(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】電界発生パネル
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
F25D23/00 302Z
(21)【出願番号】P 2020126790
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】392018078
【氏名又は名称】日栄インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】金子 敏也
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-096675(JP,A)
【文献】国際公開第2020/115923(WO,A1)
【文献】特許第4121707(JP,B2)
【文献】国際公開第2015/122070(WO,A1)
【文献】特開2007-212046(JP,A)
【文献】国際公開第2012/043457(WO,A1)
【文献】特開2006-170530(JP,A)
【文献】実開昭61-031256(JP,U)
【文献】実開昭53-070469(JP,U)
【文献】特許第4445594(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/04
A23B 4/015
A23B 7/015
A23L 3/54
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が印加されて電界を発生する平面状の電極、及び、前記電極の表裏に設けられて前記電極の全体を覆う一対の防護板が一体に設けられたパネル組立体と、
前記パネル組立体の縁部が挿入される凹部が設けられ、前記パネル組立体の全周を囲むフレームと、
前記縁部と前記凹部との間に形成される隙間をシールする第一のシーリング部と、
前記フレームに設けられ、設置場所に固定されたレールに係合する係合部とを有
し、
前記一対の防護板は、前記電極の全周に亘り前記電極から突出して対向し、
前記一対の防護板の対向した部分の間に形成される対向空間をシールする第二のシーリング部を有することを特徴とする電界発生パネル。
【請求項2】
前記電極と前記一対の防護板
との間にポリエチレン板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電解発生パネル。
【請求項3】
前記一対の防護板は、硬質塩化ビニル板又はポリカーボネート板であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電界発生パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧が印加されて電界を発生し、生鮮物の鮮度維持等に供する電界発生パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧が印加されて電界を発生し、生鮮物の鮮度維持等に供する電界発生パネルとして、例えば特許文献1に記載の電場形成用パネルが知られている。この電場形成用パネルでは、メッシュ状の導電性金属材が用いられた平面電極が、難燃性テント生地等からなる保護シートに囲まれるとともに、平面電極と保護シートとの間の一方(電場形成方向と逆側)に絶縁材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電界発生パネルは、搬送時や設置時にフォークリフト等がぶつかると保護シートが破れ、その都度補修するか新しいパネルに交換しなければならず、また、結露の多い使用環境下では内部への水分の浸透が進み、耐用年数が例えば5年から7年程度に止まることもあるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、保護シートの破損による補修や交換が不要で、内部への水分の浸透を抑制することができる電界発生パネルを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電界発生パネルは、電圧が印加されて電界を発生する平面状の電極、及び、前記電極の表裏に設けられて前記電極の全体を覆う一対の防護板が一体に設けられたパネル組立体と、前記パネル組立体の縁部が挿入される凹部が設けられ、前記パネル組立体の全周を囲むフレームと、前記縁部と前記凹部との間に形成される隙間をシールする第一のシーリング部と、前記フレームに設けられ、設置場所に固定されたレールに係合する係合部とを有することを特徴とする。
【0007】
この電界発生パネルにおいて、前記一対の防護板は、前記電極の全周に亘り前記電極から突出して対向し、前記一対の防護板の対向した部分の間に形成される対向空間をシールする第二のシーリング部が設けられてもよい。
【0008】
また、前記一対の防護板は、硬質塩化ビニル板又はポリカーボネート板であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電界発生パネルによれば、保護シートの破損による補修や交換が不要で、内部への水分の浸透を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】発明を実施するための形態に係る電界発生パネル及びレールを示す説明図である。
【
図2】
図1のA-A線に沿った断面を示す説明図である。
【
図3】
図1のB-B線に沿った断面を示す説明図である。
【
図5】
図4の電界発生パネルを分解して示す説明図である。
【
図7】
図6のC-C線に沿った断面を示す説明図である。
【
図8】
図6のD-D線に沿った断面を示す説明図である。
【
図9】(a)はレールを設置場所に固定する様子を示す説明図、(b)は電界発生パネルをレールに設置する様子を示す説明図、(c)は(b)の際に電界発生パネルの係合部をレールの鉤状部に係合させる様子を示す説明図、(d)は(b)の際に電界発生パネルの係止穴をレールのパネル固定金具に係止させる様子を示す説明図、(e)は電界発生パネルの設置が完了した様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1乃至
図3に示すように、本実施の形態に係る電界発生パネル1は、その設置場所である冷蔵倉庫等の壁に固定されたレール2に係合して設置され、電界を発生して冷蔵倉庫等に保管された生鮮物等の鮮度維持に供する。
【0013】
電界発生パネル1は、
図4及び
図5に示すように、正面視矩形状(ここでは、正方形状)を呈し、パネル組立体3と、フレーム4とを有する。
【0014】
パネル組立体3は、メッシュ状のステンレス又はアルミニウムからなる平面電極5の表裏にポリエチレン板6,7が両面テープ又は接着剤で貼着されてなる正方形状のパネル本体8と、パネル本体8よりも各辺の寸法が大きく、パネル本体8の表裏に両面テープ又は接着剤で貼着されてその表裏を全体的に覆う正方形状の硬質塩化ビニル板9,10とが一体に設けられて構成されている。
【0015】
パネル本体8は、高圧ケーブル11により平面電極5に電圧が印加されると、電界を発生する。
【0016】
硬質塩化ビニル板9,10は、その各辺に沿った縁部9a,10aが、パネル本体8の全周に亘りパネル本体8から突出して(パネル本体8から上下左右に突出して)対向し、縁部9a,10aの間には対向空間12が形成され、対向空間12には、対向空間12をシールするシーリング部13が、パネル本体8の全周に亘り設けられている。
【0017】
フレーム4は、パネル組立体3の上縁部3a、下縁部3b、左縁部3c及び右縁部3dに取り付けられる上フレーム14、下フレーム15、左フレーム16及び右フレーム17からなり、パネル組立体3の全周を囲むようにパネル組立体3に取り付けられる。
【0018】
詳しくは、上フレーム14には、下方に開口する断面コ字状の凹部18が形成され、凹部18の内壁面には、パネル組立体3の表面に向かって突出する凸部18a及びパネル組立体3の裏面に向かって突出する凸部18bが互いに対向するように形成されるとともに、凹部18の凸部18a,18bよりも開口側(
図2における下側)には、肉薄の開口部18c,18dが形成され、パネル組立体3の上縁部3aは、凸部18a,18bの間に挿入される。
【0019】
下フレーム15には、上方に開口する断面コ字状の凹部19が形成され、凹部19の内壁面には、パネル組立体3の表面に向かって突出する凸部19a及びパネル組立体3の裏面に向かって突出する凸部19bが互いに対向するように形成されるとともに、凹部19の凸部19a,19bよりも開口側(
図2における上側)には、肉薄の開口部19c,19dが形成され、パネル組立体3の下縁部3bは、凸部19a,19bの間に挿入される。
【0020】
左フレーム16には、右方に開口する断面コ字状の凹部20が形成され、凹部20の内壁面には、パネル組立体3の表面に向かって突出する凸部20a及びパネル組立体3の裏面に向かって突出する凸部20bが互いに対向するように形成されるとともに、凹部20の凸部20a,20bよりも開口側(
図3における右側)には、肉薄の開口部20c,20dが形成され、パネル組立体3の左縁部3cは、凸部20a,20bの間に挿入される。
【0021】
右フレーム17には、左方に開口する断面コ字状の凹部21が形成され、凹部21の内壁面には、パネル組立体3の表面に向かって突出する凸部21a及びパネル組立体3の裏面に向かって突出する凸部21bが互いに対向するように形成されるとともに、凹部21の凸部21a,21bよりも開口側(
図3における左側)には、肉薄の開口部21c,21dが形成され、パネル組立体3の右縁部3dは、凸部21a,21bの間に挿入される。
【0022】
パネル組立体3の上縁部3aと凹部18との間には、パネル組立体3の表面側に形成される隙間22をシールするシーリング部23が、パネル組立体3(硬質塩化ビニル板9)、凸部18a及び開口部18cに接するように設けられている。シーリング部23は、パネル組立体3の四辺に沿った枠状を呈し、パネル組立体3の表面側で下縁部3bと凹部19との間に形成される隙間24、左縁部3cと凹部20との間に形成される隙間25、及び、右縁部3dと凹部21との間に形成される隙間26も同様にシールする。
【0023】
パネル組立体3の上縁部3aと凹部18との間には、パネル組立体3の裏面側に形成される隙間27をシールするシーリング部28が、パネル組立体3(硬質塩化ビニル板10)、凸部18b及び開口部18dに接するように設けられている。シーリング部28は、パネル組立体8の四辺に沿った枠状を呈し、パネル組立体3の裏面側で下縁部3bと凹部19との間に形成される隙間29、左縁部3cと凹部20との間に形成される隙間30、及び、右縁部3dと凹部21との間に形成される隙間31も同様にシールする。
【0024】
また、上フレーム14は、上方に延在するブラケット部32と、ブラケット部32から後方に突出する断面T字状の係合部33と、高圧ケーブル11が挿通する挿通穴34とを備え、下フレーム15は、下方に延在するブラケット部35と、ブラケット部35から後方に突出する断面T字状の係合部36とを備える。
【0025】
さらに、左フレーム16は、左方に延在するブラケット部37を備え、ブラケット部37の上下二か所に小径穴38aと大径穴38bとが上下に接合してなるダルマ穴状の係止穴38が形成され、右フレーム17は、右方に延在するブラケット部39を備え、ブラケット部39の上下二か所に小径穴40aと大径穴40bとが上下に接合してなるダルマ穴状の係止穴40が形成されている。
【0026】
レール2は、
図6乃至
図8に示すように、上レール41、下レール42、左レール43及び右レール44からなり、電界発生パネル1と上下方向及び左右方向の寸法が略同様な矩形の枠状(ここでは、正方形の枠状)を呈する。
【0027】
上レール41は、左右方向に延在する帯状の長板部41aと、長板部41aの下縁から前方に延在して上方に屈曲する鉤状部41bと、帯板部41aの上縁から前方に延在して下方に屈曲する鉤状部41cとを備え、長板部41aの長手方向に沿って四つの丸穴41dが設けられている。
【0028】
下レール42は、左右方向に延在する帯状の長板部42aと、長板部42aの下縁から前方に延在して上方に屈曲する鉤状部42bと、長板部42aの上縁から前方に延在して下方に屈曲する鉤状部42cとを備え、長板部42aの長手方向に沿って四つの丸穴42dが設けられている。
【0029】
左レール43は、上下方向に延在する帯状の長板部43aと、長板部43aの左縁から前方に延在して右方に屈曲する鉤状部43bと、長板部43aの右縁から前方に延在して左方に屈曲する鉤状部43cとを備え、長板部43aの長手方向に沿って四つの丸穴43dが設けられるとともに、二つのパネル固定金具45が設けられている。パネル固定金具45は、長板部43aに当接する基部45a及び基部45aに立設されたピン45bを有し、基部45aは、鉤状部43b及び鉤状部43cのカシメにより(
図8には、カシメ前の鉤状部43b及び鉤状部43cを破線で示す。)、長板部43a、鉤状部43b及び鉤状部43cにより挟持される。
【0030】
右レール44は、上下方向に延在する帯状の長板部44aと、長板部44aの右縁から前方に延在して左方に屈曲する鉤状部44bと、長板部44aの左縁から前方に延在して右方に屈曲する鉤状部44cとを備え、長板部44aの長手方向に沿って四つの丸穴44dが設けられるとともに、二つのパネル固定金具45が設けられている。パネル固定金具45の基部45aは、鉤状部44b及び鉤状部44cのカシメにより、長板部44a、鉤状部44b及び鉤状部44cにより挟持される。
【0031】
図9に示すように、電界発生パネル1を設置場所である冷蔵倉庫等の壁46に設置するには、まずリベット47を丸穴41d,42d,43d,44dに挿通させ、リベット47によりレール2を壁46に固定する(
図9(a))。
【0032】
次に、壁46に固定されたレール2に電界発生パネル1を取り付ける(
図9(b))。このとき、電界発生パネル1の上フレーム14の係合部33をレール2の上レール41の鉤状部41bに上方から係合させ(
図9(c))、また、電界発生パネル1の左フレーム16の係止穴38の大径穴38bに左レール43のパネル固定金具45のピン45bを挿通させるとともに、右フレーム17の係止穴40の大径穴40bに右レール44のパネル固定金具45のピン45bを挿通させ、ピン45bが小径穴38a又は小径穴40aに移動するように電界発生パネル1を下方にスライドさせることにより、係止穴38,40をパネル固定金具45のピン45bに係止させる(
図9(d))。
【0033】
これにより、電界発生パネル1の壁46への設置が完了する(
図9(e))。
【0034】
本実施の形態に係る電界発生パネル1は、電圧が印加されて電界を発生する平面電極5、及び、平面電極5の表裏に設けられて平面電極5の全体を覆う一対の硬質塩化ビニル板9,10が一体に設けられたパネル組立体3と、パネル組立体3の上縁部3a、下縁部3b、左縁部3c、右縁部3dが挿入される凹部18,19,20,21が設けられ、パネル組立体3の全周を囲むフレーム4と、パネル組立体3の表面側で上縁部3a、下縁部3b、左縁部3c、右縁部3dと凹部18,19,20,21との間に形成される隙間22,24,25,26をシールするシーリング部23と、パネル組立体3の裏面側で上縁部3a、下縁部3b、左縁部3c、右縁部3dと凹部18,19,20,21との間に形成される隙間27,29,30,31をシールするシーリング部28と、フレーム4に設けられ、壁46に固定されたレール2に係合する係合部33とを有するので、搬送時や設置時にフォークリフト等がぶつかっても、保護シートに代わり平面電極5を保護する硬質塩化ビニル板9,10が破損せず、保護シートの破損による補修や交換が不要である。
【0035】
また、たとえ結露の多い使用環境下に設置されても、パネル組立体3の上縁部3a、下縁部3b、左縁部3c、右縁部3dが凹部18,19,20,21に挿入された上で隙間22,24,25,26をシーリング部23が、隙間27,29,30,31をシーリング部28がシールするので、シーリング部23,28が電界発生パネル1の内部への水分の浸透を阻害し、その浸透を抑制することができる。
【0036】
ここでは、特に、一対の硬質塩化ビニル板9,10の縁部9a,10aが平面電極5の全周に亘り平面電極5から突出して対向し、縁部9a,10aの間に形成される対向空間12をシールするシーリング部13も設けられているので、万一、水分がシーリング部23,28を通過したとしても、シーリング部13により阻害されて平面電極5までは到達せず、電界発生パネル1の内部への水分の浸透が二重で抑制され、電界発生パネルの耐用年数の向上を図ることができる。
【0037】
さらに、電界発生パネル1は、フレーム4に設けられてレール2に係合する係合部33(及び係止穴38,40)を有し、これらを設置場所に固定されたレール2に係合(及び係止)させるだけで設置場所に脱着可能に設置することができるので、メンテナンス時等において作業者が電界発生パネル1の脱着を容易に行うことが可能となる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について例示したが、本発明の実施形態は上述したものに限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更等してもよい。
【0039】
例えば、一対の防護板として、硬質塩化ビニル板に代えてポリカーボネート板等を用いてもよく、シールの態様もシーリング部13,23,28の形態に限られず、高圧ケーブル11の配設方向もパネル本体8の上方ではなく下方や側方であっても(さらに、高圧ケーブル11が上フレーム14ではなく下フレーム15や左フレーム16、右フレーム17を挿通しても)かまわない。
【符号の説明】
【0040】
1 電界発生パネル
2 レール
3 パネル組立体
3a 上縁部(縁部)
3b 下縁部(縁部)
3c 左縁部(縁部)
3d 右縁部(縁部)
4 フレーム
5 平面電極(電極)
9 硬質塩化ビニル板(防護板)
10 硬質塩化ビニル板(防護板)
12 対向空間
13 シーリング部(第二のシーリング部)
18 凹部
19 凹部
20 凹部
21 凹部
22 隙間
23 シーリング部(第一のシーリング部)
24 隙間
25 隙間
26 隙間
27 隙間
28 シーリング部(第一のシーリング部)
29 隙間
30 隙間
31 隙間