(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】定着装置及びそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G03G15/20 515
G03G15/20 530
(21)【出願番号】P 2020143846
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 智弘
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-153877(JP,A)
【文献】特開2013-105082(JP,A)
【文献】特開2020-187256(JP,A)
【文献】米国特許第09411273(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周回移動可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの外側から圧接する加圧部材と、前記定着ベルトの内周面側に配置されて該定着ベルトと前記加圧部材との間で定着ニップ領域を形成するニップ形成部材と、前記ニップ形成部材を前記定着ベルトとは反対側から支持する支持部材とを備えた定着装置であって、
前記支持部材は、前記ニップ形成部材を支持する第1支持部と、記録媒体の搬送方向における中央部が該搬送方向における前記定着ニップ領域の中央部よりも下流側かつ該定着ニップ領域内に位置するように前記第1支持部の前記ニップ形成部材とは反対側の面から立設された第2支持部とを有
し、
前記支持部材は、2つの支持部材からなっており、
前記2つの支持部材は、何れも断面視でL字状に形成されており、一方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分と他方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分とが互いに対向することにより断面視でT字状に形成されており、
前記他方の支持部材は、前記搬送方向において前記一方の支持部材よりも下流側に設けられており、
前記他方の支持部材の厚みは、前記一方の支持部材の厚みよりも厚いことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
周回移動可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの外側から圧接する加圧部材と、前記定着ベルトの内周面側に配置されて該定着ベルトと前記加圧部材との間で定着ニップ領域を形成するニップ形成部材と、前記ニップ形成部材を前記定着ベルトとは反対側から支持する支持部材とを備えた定着装置であって、
前記支持部材は、前記ニップ形成部材を支持する第1支持部と、記録媒体の搬送方向における中央部が該搬送方向における前記定着ニップ領域の中央部よりも下流側かつ該定着ニップ領域内に位置するように前記第1支持部の前記ニップ形成部材とは反対側の面から立設された第2支持部とを有し、
前記支持部材は、2つの支持部材からなって
おり、
前記2つの支持部材は、何れも断面視でL字状に形成されており、一方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分と他方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分とが互いに対向することにより断面視でT字状に形成されて
おり、
前記他方の支持部材は、前記搬送方向において前記一方の支持部材よりも下流側に設けられており、
前記他方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分の前記他方側の直線部分とは反対側端部には、前記一方の支持部材とは反対側に延設された延設部が設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の定着装置であって、
前記第2支持部は、前記第1支持部の前記ニップ形成部材とは反対側の面から前記加圧部材の前記定着ベルトへの圧接方向に沿って立設されていることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項1
から請求項
3までの何れか1つに記載の定着装置であって、
前記第2支持部の厚みは、前記第1支持部の厚みよりも厚いことを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項
1から請求項4までの何れか1つに記載の定着装置であって、
前記第1支持部は、前記一方の支持部材の前記L字状の他方側の直線部分と前記他方の支持部材の前記L字状の他方側の直線部分とを直線方向に連接させた構成とされており、
前記第2支持部は、前記一方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分と前記他方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分とを厚み方向に連接させた構成とされていることを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の定着装置であって、
前記定着ベルトを内側から加熱する加熱手段を備え、
前記加熱手段は、前記搬送方向において前記第2支持部よりも上流側に設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の定着装置であって、
前記加熱手段と前記定着ベルトとの間に、前記加熱手段に対し前記定着ベルトを保護する保護部材が設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
7までの何れか1つに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及びそれを備えた複写機、複合機、ファクシミリ装置、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着装置として、加圧部材(例えば加圧ローラ)を周回移動可能な無端状の定着ベルトの外側から内側に向けて圧接し、定着ベルトの内周面側に配置されたニップ形成部材により定着ベルトと加圧部材との間で定着ニップ領域を形成し、ニップ形成部材を支持部材により定着ベルトとは反対側から支持する定着装置が従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような定着装置では、ニップ形成部材(特許文献1では固定パッド、特許文献2では支持部材)を支持する支持部材(特許文献1では補強部材、特許文献2ではバックアップ部材)が、ニップ形成部材を支持する第1支持部と、記録用紙等の記録媒体の搬送方向における中央部が搬送方向における前記定着ニップ領域の中央部に位置するように第1支持部のニップ形成部材とは反対側の面から垂直に立設された第2支持部とを有している。
【0004】
ところで、定着ニップ領域において第2支持部に支持される第1支持部の第2支持部に対応する部分は、ニップ形成部材が加圧部材との定着ニップ領域を形成する上で、最も圧力がかかる部分である。
【0005】
この点に関し、特許文献1,2に記載の従来の構成では、第2支持部の記録媒体の搬送方向における中央部が搬送方向における定着ニップ領域の中央部に位置し、この部分で、最も圧力がかかる。このことから、定着ニップ領域において搬送方向における中央部よりも下流側では圧力が中央部よりも小さくなっている。このため、定着装置に搬送されてきた記録媒体(未定着トナーを載せた記録媒体)は、定着ニップ領域で定着された後に、定着ニップ領域から抜け出ると、圧力が定着ニップ領域の中央部で最も大きく下流側で小さくなっている分、定着後のトナーにより定着ベルト側に引き寄せられ易くなり、それだけ記録媒体の定着ベルトからの剥離性が悪化し易くなる。そうすると、記録媒体上のトナーが定着ベルトに長く接触している分だけ定着ベルトにより乱され、画像ずれといった画像不良が発生する。
【0006】
従って、記録媒体が定着ニップ領域から抜け出ると、定着ベルトからすぐに離間するようにすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-197880号公報
【文献】特開2007-233011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、記録媒体の定着ベルトからの剥離性を向上させることができ、これにより、画像ずれといった画像不良の発生を効果的に防止することができる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決するために、鋭意研鑽した結果、次のことを見出した。すなわち、加圧部材を周回移動可能な無端状の定着ベルトの外側から内側に向けて圧接し、定着ベルトの内周面側に配置されたニップ形成部材により定着ベルトと加圧部材との間で定着ニップ領域を形成し、ニップ形成部材を支持部材により定着ベルトとは反対側から支持する定着装置においては、ニップ形成部材を支持する第1支持部と、記録媒体の搬送方向における中央部が搬送方向における定着ニップ領域の中央部よりも下流側かつ定着ニップ領域内に位置するように第1支持部のニップ形成部材とは反対側の面から立設された第2支持部とを有する支持部材を用いることが望ましいことを見出した。こうすることにより、第2支持部の記録媒体の搬送方向における中央部が搬送方向における定着ニップ領域の中央部よりも下流側かつ定着ニップ領域内に位置する部分に位置し、この部分で、最も圧力がかかる。このことから、定着ニップ領域において最も圧力がかかる部分を下流側の端部(記録媒体の出口)側に持って行く或いは下流側の端部(記録媒体の出口)に位置させることができ、搬送方向における中央部よりも下流側で圧力が小さくなる領域を少なく或いはなくすことができる。このため、定着装置に搬送されてきた記録媒体(未定着トナーを載せた記録媒体)は、定着ニップ領域で定着された後に、定着ニップ領域から抜け出ると、定着ニップ領域の中央部よりも下流側で圧力が最も大きくなっている分、定着後のトナーにより定着ベルト側に引き寄せられ難くでき、例えば、定着ベルトからすぐに離間するようにすることができる。従って、記録媒体の定着ベルトからの剥離性を向上させることができる。
【0010】
本発明は、かかる知見に基づくものであり、次の第1態様及び第2態様の定着装置並びに画像形成装置を提供する。
(1)第1態様の定着装置
本発明に係る第1態様の定着装置は、周回移動可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの外側から圧接する加圧部材と、前記定着ベルトの内周面側に配置されて該定着ベルトと前記加圧部材との間で定着ニップ領域を形成するニップ形成部材と、前記ニップ形成部材を前記定着ベルトとは反対側から支持する支持部材とを備えた定着装置であって、前記支持部材は、前記ニップ形成部材を支持する第1支持部と、記録媒体の搬送方向における中央部が該搬送方向における前記定着ニップ領域の中央部よりも下流側かつ該定着ニップ領域内に位置するように前記第1支持部の前記ニップ形成部材とは反対側の面から立設された第2支持部とを有し、前記支持部材は、2つの支持部材からなっており、前記2つの支持部材は、何れも断面視でL字状に形成されており、一方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分と他方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分とが互いに対向することにより断面視でT字状に形成されており、前記他方の支持部材は、前記搬送方向において前記一方の支持部材よりも下流側に設けられており、前記他方の支持部材の厚みは、前記一方の支持部材の厚みよりも厚いことを特徴とする。
(2)第2態様の定着装置
本発明に係る第2態様の定着装置は、周回移動可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの外側から圧接する加圧部材と、前記定着ベルトの内周面側に配置されて該定着ベルトと前記加圧部材との間で定着ニップ領域を形成するニップ形成部材と、前記ニップ形成部材を前記定着ベルトとは反対側から支持する支持部材とを備えた定着装置であって、前記支持部材は、前記ニップ形成部材を支持する第1支持部と、記録媒体の搬送方向における中央部が該搬送方向における前記定着ニップ領域の中央部よりも下流側かつ該定着ニップ領域内に位置するように前記第1支持部の前記ニップ形成部材とは反対側の面から立設された第2支持部とを有し、前記支持部材は、2つの支持部材からなっており、前記2つの支持部材は、何れも断面視でL字状に形成されており、一方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分と他方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分とが互いに対向することにより断面視でT字状に形成されており、前記他方の支持部材は、前記搬送方向において前記一方の支持部材よりも下流側に設けられており、前記他方の支持部材の前記L字状の一方側の直線部分の前記他方側の直線部分とは反対側端部には、前記一方の支持部材とは反対側に延設された延設部が設けられていることを特徴とする。
(3)画像形成装置
本発明に係る画像形成装置は、前記本発明に係る第1態様又は第2態様の定着装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、記録媒体の定着ベルトからの剥離性を向上させることができ、これにより、画像ずれといった画像不良の発生を効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る定着装置を備えた画像形成装置の概略構成を模式的に示す断面図である。
【
図2A】
図1に示す画像形成装置における定着装置を正面側斜め上方から視た斜視図である。
【
図2B】
図1に示す画像形成装置における定着装置を背面側斜め上方から視た斜視図である。
【
図3】
図2A及び
図2Bに示す定着装置における加圧ローラへの駆動系を示す右側上方から視た斜視図である。
【
図4A】
図2A及び
図2Bに示す定着装置において定着ベルトを取り除いた状態の加熱定着部及び加圧ローラ部分を正面側斜め上方から視た斜視図である。
【
図4B】
図2A及び
図2Bに示す定着装置において定着ベルトを取り除いた状態の加熱定着部及び加圧ローラ部分を背面側斜め上方から視た斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る定着装置における加熱定着部及び加圧ローラ部分を背面側から視た断面構造を示す斜視図である。
【
図6A】第1実施形態に係る定着装置においてニップ形成部材と支持部材における2つの支持部材とを背面側右上方から視た斜視図である。
【
図6B】第1実施形態に係る定着装置においてニップ形成部材と支持部材における2つの支持部材とを背面側左上方から視た斜視図である。
【
図7A】第1実施形態に係る定着装置においてニップ形成部材に支持部材における2つの支持部材を取り付けた様子を背面側右上方から視た斜視図である。
【
図7B】第1実施形態に係る定着装置においてニップ形成部材に支持部材における2つの支持部材を取り付けた様子を背面側左上方から視た斜視図である。
【
図8A】加熱手段と前ランプ支持部とを取り外して2つの支持部材が前上フレームに取り付けられている様子を示す斜視図である。
【
図8B】加熱手段と後ランプ支持部とを取り外して2つの支持部材が後上フレームに取り付けられている様子を示す斜視図である。
【
図9】第1実施形態に係る定着装置における加熱定着部及び加圧ローラ部分を背面側から視た断面図である。
【
図10】第2実施形態に係る定着装置における加熱定着部及び加圧ローラ部分を背面側から視た断面図である。
【
図11】第3実施形態に係る定着装置における加熱定着部及び加圧ローラ部分を背面側から視た断面図である。
【
図12】第4実施形態に係る定着装置における加熱定着部及び加圧ローラ部分を背面側から視た断面図である。
【
図13】第5実施形態に係る定着装置における加熱定着部及び加圧ローラ部分を背面側から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
<画像形成装置>
図1は、本発明の実施の形態に係る定着装置200を備えた画像形成装置100の概略構成を模式的に示す断面図である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置100は、像担持体として作用する感光体ドラム10と、帯電装置90と、露光装置30と、現像装置40と、転写装置50と、クリーニング装置60と、定着装置200とを備えている。帯電装置90は、感光体ドラム10の表面10aを帯電させる。露光装置30は、帯電装置90によって帯電された感光体ドラム10を露光して静電潜像を形成する。現像装置40は、露光装置30によって形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。転写装置50は、現像装置40によって形成されたトナー像を記録紙等の記録媒体P上に転写する。クリーニング装置60は、感光体ドラム10に残留するトナーを除去し回収する。定着装置200は、転写装置50によって転写されたトナー像を搬送方向Fに搬送される記録媒体P上に定着して画像を形成する。この例では、画像形成装置100は、モノクロのプリンタ(具体的にはレーザプリンタ)とされている。なお、画像形成装置100は、例えば、カラー画像を形成できる中間転写方式のカラー画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100は、この例では、プリンタとしたが、例えば、複写機、複合機又はファクシミリ装置であってもよい。
【0016】
感光体ドラム10は、基体11が画像形成装置100の本体フレーム(図示せず)に回転自在に支持され、図示を省略した駆動手段によって回転軸線γ回りに所定の第1回転方向G1(図中時計方向)に回転駆動される。
【0017】
帯電装置90は、帯電部材91を備えている。帯電部材91は、感光体ドラム10の表面10aを高電圧印加装置92にて均一に所定の電位に一様に帯電させる。帯電部材91は、この例では、帯電ローラであり、感光体ドラム10の回転に対して第2回転方向G2従動回転する。なお、帯電部材91は、帯電チャージャーであってもよい。
【0018】
露光装置30は、画像情報に基づいて変調された光を回転駆動される感光体ドラム10の表面10aに主走査方向である感光体ドラム10の回転軸線γ方向に繰返し走査する。現像装置40は、現像ローラ41と、現像槽42とを備えている。現像ローラ41は、感光体ドラム10の表面10aに現像剤DVを供給する。現像槽42は、現像剤DVを収容する。転写装置50は、転写部材51を備えている。転写装置50は、高電圧印加装置52にて感光体ドラム10と転写装置50との間に形成される転写ニップ領域TNに所定の高電圧を印加する。転写部材51は、この例では、転写ローラであり、感光体ドラム10の回転に対して第2回転方向G2に従動回転する。なお、転写部材51は、転写チャージャーであってもよい。
【0019】
クリーニング装置60は、クリーニングブレード61と、回収用ケーシング62とを備えている。クリーニングブレード61は、感光体ドラム10の表面10aに残留するトナーを除去する。回収用ケーシング62は、クリーニングブレード61によって除去されたトナーを収容する。定着装置200は、加熱定着部210(加熱定着ユニット)と、加圧ローラ220(加圧部材の一例)とを備えている。加圧ローラ220は、加熱定着部210と共に定着ニップ領域FNを形成する。定着装置200の詳しい構成については後ほど説明する。また、画像形成装置100は、画像形成装置100を構成する各構成要素を収容する筐体80を備えている。
【0020】
<定着装置>
図2A及び
図2Bは、それぞれ、
図1に示す画像形成装置100における定着装置200を正面側斜め上方及び背面側斜め上方から視た斜視図である。
図3は、
図2A及び
図2Bに示す定着装置200における加圧ローラ220への駆動系を示す右側
上方から視た斜視図である。
図4A及び
図4Bは、それぞれ、
図2A及び
図2Bに示す定着装置200において定着ベルト211を取り除いた状態の加熱定着部210及び加圧ローラ220部分を正面側斜め上方及び背面側斜め上方から視た斜視図である。
図5は、第1実施形態に係る定着装置200(200A)における加熱定着部210及び加圧ローラ220部分を背面側から視た断面構造を示す斜視図である。
図6A及び
図6Bは、それぞれ、第1実施形態に係る定着装置200(200A)においてニップ形成部材212と支持部材215における2つの支持部材2151,2152とを背面側右上方から視た斜視図及び背面側左上方から視た斜視図である。
図7A及び
図7Bは、それぞれ、第1実施形態に係る定着装置200(200A)においてニップ形成部材212に支持部材215における2つの支持部材2151,2152を取り付けた様子を背面側右上方から視た斜視図及び背面側左上方から視た斜視図である。
図8A及び
図8Bは、それぞれ、加熱手段213と前ランプ支持部231d及び後ランプ支持部241dとを取り外して2つの支持部材2151,2152が前上フレーム231及び後上フレーム241に取り付けられている様子を示す斜視図である。また、
図9は、第1実施形態に係る定着装置200(200A)における加熱定着部210(210A)及び加圧ローラ220部分を背面側から視た断面図である。
【0021】
図2A及び
図2Bに示すように、定着装置200は、加熱定着部210と、加圧ローラ220と、前フレーム230(側板)と、後フレーム240(側板)と、剥離部材270とを備えている。前フレーム230は、前上フレーム231と前下フレーム232と連結部233とを備えている。前上フレーム231及び前下フレーム232は、連結部233によって上下に連結されている。後フレーム240は、後上フレーム241と後下フレーム242と連結部243とを備えている。後上フレーム241及び後下フレーム242は、連結部243によって上下に連結されている。
【0022】
加熱定着部210は、定着ベルト211と、ニップ形成部材212と、加熱手段213と、反射部材214と、支持部材215と、保護部材216と、摺動シート217とを備えている。
【0023】
定着ベルト211は、周回移動可能な無端状(筒状)の耐熱性ベルト(フィルム)である。加圧ローラ220は、定着ベルト211の外側から圧接する。ニップ形成部材212は、定着ベルト211の内周面211a側に配置されて定着ベルト211と加圧ローラ220との間で定着ニップ領域FNを形成する。また、ニップ形成部材212は、定着ベルト211の内周面211aに当接される当接部材でもある。加熱手段213は、定着ベルト211を内側から加熱する。反射部材214は、加熱手段213から出射された光(特に赤外線)を定着ベルト211に向けて反射させる。支持部材215は、ニップ形成部材212を定着ベルト211とは反対側から支持する。摺動シート217は、定着ベルト211とニップ形成部材212との間に設けられている。
【0024】
前上フレーム231及び後上フレーム241は、それぞれ、定着ベルト211の前端部及び後端部を周回移動自在に支持している。前上フレーム231及び後上フレーム241には、それぞれ、半リング状の摺接部231a,241aを有する前側支持部材231b及び後側支持部材241bが設けられ固定されている。従って、摺接部231a,241aは回転しない。摺接部231a,241aは、摺接面が定着ニップ領域FNとは反対側に向くように設けられている。定着ベルト211は、周回軸線β(
図5及び
図9参照)方向における両端部の内側が摺接部231a,241aの外側に摺動自在に支持される。これにより、定着ベルト211は、内周面211aが摺接部231a,241aの摺接面と摺接しながら周回移動することができる。
【0025】
定着ベルト211としては、所定厚み(例えば30μm~100μm程度)の金属、又は、ポリイミド(PI)の基体上に所定厚み(例えば100μm~300μm程度)のシリコーンゴム層を形成し、さらにその上に厚み(例えば20μm~30μm程度)のフッ素樹脂を形成したもの、具体的には、シリコーンゴム上層にPFAのチューブを設けたものや、フッ素樹脂を塗布したものを例示できる。
【0026】
ニップ形成部材212としては、剛性を有する耐熱性樹脂材料〔例えば、液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)や、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Poly Ether Ether Ketone)樹脂〕、ポリフェニレンスルファイド(PPS:Poly Phenylene Sulfide)で形成されたものを例示できる。剛性のニップ形成部材212に弾性を持たせる場合には、表面に弾性層(例えばシリコーンゴム等のゴム層)を設けることができる。この例では、ニップ形成部材212は、厚みが4.5mm、定着ベルト211の周回軸線βの方向である軸線方向Mに直交する短手方向Sの幅が15mmの液晶ポリマーで構成されている。
【0027】
摺動シート217としては、例えば、ガラス繊維材料(例えばガラスクロス)にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン:Poly Tetra Fluoro Etylene)等のフッ素樹脂を塗布したもの(例えばガラスクロスシート)を挙げることができる。摺動シート217の厚みとしては、それには限定されないが、例えば、0.1mm~0.5mm程度のものを用いることができる。この例では、摺動シート217の厚みは0.13mmとされている。摺動シート217とニップ形成部材212とは接着剤又は接着部材によって互いに接着されている。
【0028】
加熱手段213は、ヒーターランプを備えている。
図2A及び
図2Bに示すように、加熱手段213は、前端部及び後端部がそれぞれ前ランプ支持部231d及び後ランプ支持部241dを介して、前上フレーム231及び後上フレーム241に固定されている。加熱手段213は、例えば、最大800℃近くまで昇温する。
【0029】
反射部材214は、この例では、板状の部材であり、少なくとも支持部材215の加熱手段213と対向する面に沿って設けられている。反射部材214は、アルミニウム等の金属材料で形成されている。反射部材214は、表面を鏡面加工したものである。これにより、加熱手段213から出射される光を定着ベルト211に効率的に照射することができる。反射部材214は、支持部材215に固定されている。反射部材214は、少なくとも加熱手段213に対向するように支持部材215に沿って折り曲げられた板材(反射板)とされている。
【0030】
図6A及び
図6Bに示すように、支持部材215は、2つの支持部材2151,2152からなっている。2つの支持部材2151,2152のうち、何れか一方の支持部材2151には凹部215aが設けられ、何れか他方の支持部材2152には凹部215aと係合する凸部215bが設けられている。これにより、凹部215a及び凸部215bが係合されることにより2つの支持部材2151,2152を確実に連結することができ、これにより、ニップ形成部材212に対する支持性を向上させることができる。
【0031】
本実施の形態において、凹部215aは、凸部215bに挿通される穴部である。ここで、穴部は、貫通穴であってもよいし、有底穴であってもよい。こうすることで、一方の支持部材2151における穴部(凹部215a)と他方の支持部材2152における凸部215bとを確実に係合することができる。
【0032】
一方の支持部材2151における凹部215aは、例えば、ハーフパンチ加工により凹みを形成するようにしてもよいし、パンチとダイとを有する金型を用いて貫通穴を形成する加工、いわゆるパンチ加工により形成するようにしてもよい。この例では、穴部(凹部215a)は、貫通穴であり、パンチ加工により形成されている。また、他方の支持部材2152における凸部215bは、例えば、パンチとダイとを有する金型を用いて突起を形成する加工、いわゆるハーフパンチ加工により形成することができる。
【0033】
詳しくは、一方の支持部材2151における凹部215aと他方の支持部材2152における凸部215bは、軸線方向Mにおける複数個所(この例では8個所)に設けられている。
【0034】
一方の支持部材2151において軸線方向Mにおける両端部及び中央部には、ビス等の締結部材SCを締結するための締結部215a1,215a2,215a3(この例では雌螺子穴)が設けられている。凹部215a~215a、締結部215a1~215a3は、一方の支持部材2151において軸線方向Mに沿って均等に設けられている。
【0035】
他方の支持部材2152において軸線方向Mにおける両端部及び中央部には、締結部材SCを挿通する貫通穴215b1,215b2,215b3が設けられている。凸部215b~215b、貫通穴215b1~215b3は、他方の支持部材2152において軸線方向Mにおいて均等に設けられている。
【0036】
締結部材SC~SCは、貫通穴215b1~215b3に挿通された状態で締結部215a1~215a3に締結される。これにより、2つの支持部材2151,2152を固定することができる。
【0037】
なお、一方の支持部材2151において中央部の締結部215a3を凹部215aとし、他方の支持部材2152において中央部の貫通穴215b3を凸部215bとしてもよい。また、本実施の形態では、一方の支持部材2151において凹部215aを形成し、他方の支持部材2152において凸部215bを形成したが、一方の支持部材2151において凸部を形成し、他方の支持部材2152において凹部を形成するようにしてもよい。
【0038】
ニップ形成部材212と支持部材215とは締結部材SCによって固定される(
図7A及び
図7B参照)。ニップ形成部材212の軸線方向Mにおける両端部には、締結部材SCを挿通する挿通部212b,212c(切り欠き部又は貫通穴、この例では切り欠き部)が設けられている。一方の支持部材2151の軸線方向Mにおける両端部には、締結部材SCと螺合する締結部215a4,215a5(この例では雌螺子穴)(
図6B参照)が設けられている。締結部材SC,SCは、挿通部212b,212cに挿通された状態で締結部215a4,215a5に締結される。これにより、支持部材215はニップ形成部材212を固定した状態でニップ形成部材212を支持することができる(
図7A、
図7B参照)。
【0039】
ところで、ニップ形成部材212は、軸線方向Mに反りが発生することがある。そうすると、定着ベルト211を介した加圧ローラ220のニップ形成部材212への軸線方向Mにおける押圧力が不均一となる。
【0040】
この点、ニップ形成部材212には、軸線方向Mに沿って複数の有底穴212d~212dが並設されている。複数の有底穴212d~212dの少なくとも1つには、図示を省略したスペーサが配置される。このスペーサとしては、有底穴212dの深さより所定量だけ大きい複数種類の厚みのものが用意される。そして、ニップ形成部材212の反り位置に応じて複数の有底穴212d~212dの所望の個所に所望のスペーサを配置することにより、定着ベルト211を介した加圧ローラ220のニップ形成部材212への軸線方向Mにおける押圧力を均一にすることができる。
【0041】
図8A及び
図8Bに示すように、2つの支持部材2151,2152は、前端部及び後端部がそれぞれ前支持部231e及び後支持部241eを介して、前上フレーム231及び後上フレーム241に固定されている。2つの支持部材2151,2152には、軸線方向Mにおける両端部から外方に延びる延設部(2151a,2151b),(2152a,2152b)が設けられている。前支持部231e及び後支持部241eには、それぞれ、軸線方向Mに貫通する貫通穴231f,241fが設けられている。2つの支持部材2151,2152は、延設部(2151a,2151b),(2152a,2152b)が貫通穴231f,241fに挿通した状態で前支持部231e及び後支持部241eに固定されている。
【0042】
保護部材216は、加熱手段213と定着ベルト211との間に設けられている。保護部材216は、加熱手段213に対し定着ベルト211を保護する。
【0043】
保護部材216は、加熱手段213から出射された光及び/又は反射部材214から反射した光の定着ベルト211への照射を許容する構成とされた耐熱部材である。こうすることで、保護部材216を介して光を定着ベルト211に照射する際に定着ベルト211を効率的に加熱することができる。
【0044】
保護部材216には、多数の貫通穴216a~216a(
図4A及び
図4B参照)が設けられている。
【0045】
保護部材216としては、例えば、繊維状の材料をメッシュ(網目)状に編んだもの、ベルト状の材料に多数の貫通穴216a~216aを設ける穴開け加工(パンチ加工)を施したもの、ベルト状の材料に多数の貫通穴216a~216aを設けるエッチング加工を施したものを挙げることができる。繊維状の材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属材料を挙げることができる。ベルト状の材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル等の金属材料を挙げることができる。保護部材216の厚みは小さい方がよく、0.5mm以下程度が好ましい。
【0046】
保護部材216は、定着ベルト211との対向面216bが記録媒体Pの搬送方向Fにおいて定着ニップ領域FNよりも上流側に向くように設けられている。保護部材216は、摺接部231a,241aと同様、回転しない。
【0047】
図2A及び
図2Bに示すように、前下フレーム232及び後下フレーム242は、それぞれ、前下フレーム本体232a及び後下フレーム本体242aと、前回動部材232b及び後回動部材242bとを備えている。前回動部材232b及び後回動部材242bは、それぞれ、前下フレーム本体232a及び後下フレーム本体242aに対して図示しない回動軸により回動軸線α回りに回動自在に支持されている。前回動部材232b及び後回動部材242bは、それぞれ、加圧ローラ220の回転軸220aの前端部及び後端部を回転自在に支持している。前回動部材232b及び後回動部材242bは、それぞれ、加圧ローラ220が定着ベルト211を圧接するように付勢部材234,244(巻バネ)により定着ベルト211に向けて付勢される。これにより、加圧ローラ220は、定着ベルト211を押圧することができる。
【0048】
加圧ローラ220としては、アルミニウム等の金属製の基体上に所定厚み(例えば6mm程度)、硬度35度~40度程度の弾性部材(シリコーンゴム等のスポンジゴムやソリッドゴム等のゴム部材)を設け、弾性部材上にフッ素樹脂を形成したもの、具体的には、弾性部材上にPFAのチューブを設けたものを例示できる。この例では、フッ素樹脂は、加圧ローラ220における記録媒体Pの通過領域δ(
図3参照)に設けられている。すなわち、加圧ローラ220の通過領域δ以外の領域(例えば各両端領域の10mm程度)は、ゴム部材が剥き出しになっている。これにより、加圧ローラ220の両端部で、加圧ローラ220からの駆動(回転する)力を定着ベルト211の両端に伝え易くすることができ、これにより、定着ベルト211の回転不良を効果的に防ぐことができる。
【0049】
図3に示すように、加圧ローラ220は、駆動伝達機構250を介して回転駆動部260(駆動モータ)から回転駆動力により回転駆動される。駆動伝達機構250は、駆動ギア251と、従動ギア252とを備えている。駆動ギア251は、回転駆動部260の回転軸261に固定されている。従動ギア252は、駆動ギア251と噛み合った状態で加圧ローラ220の回転軸220aに固定されている。これにより、回転駆動部260は、駆動伝達機構250を介して加圧ローラ220を第2回転方向G2に回転駆動させることができる。なお、加圧ローラ220の内側に加熱手段(ヒーターランプ)が設けられていてもよい。
【0050】
そして、定着ベルト211は、ニップ形成部材212により加圧ローラ220へ圧接されているため、加圧ローラ220の回転により、従動回転する。
【0051】
剥離部材270は、定着ベルト211の第1回転方向G1において定着ニップ領域FNよりも下流側の定着ベルト211の近傍に設けられた剥離板である。これにより、定着ベルト211と加圧ローラ220との間を通過した記録媒体Pを定着ベルト211に巻き付くことを効果的に防止することができる。
【0052】
〔本実施の形態について〕
(第1実施形態)
本実施の形態に係る定着装置200(200A)において、
図9に示すように、支持部材215は、第1支持部2153と、第2支持部2154とを有している。第1支持部2153は、ニップ形成部材212の定着ベルト211とは反対側の面212aの軸線方向M及び短手方向Sにおける全体を支持する。第2支持部2154は、記録媒体Pの搬送方向Fにおける中央部2154aが搬送方向Fにおける定着ニップ領域FNの中央部FNaよりも下流側かつ定着ニップ領域FN内に位置するように第1支持部2153のニップ形成部材212とは反対側の面2153aから立設されている。定着ニップ領域FNの搬送方向Fにおける幅は、第1支持部2153のニップ形成部材212を支持する部分の短手方向S(搬送方向F)における幅よりも小さいか或いは該幅と等しい。
【0053】
本実施の形態に係る定着装置200(200A)においては、第1支持部2153と、第2支持部2154とを有する支持部材215を用いる。こうすることにより、第2支持部2154の記録媒体Pの搬送方向Fにおける中央部2154aが搬送方向Fにおける定着ニップ領域FNの中央部FNaよりも下流側かつ定着ニップ領域FN内に位置する部分に位置し、この部分で、最も圧力がかかる。このことから、定着ニップ領域FNにおいて最も圧力がかかる部分を下流側の端部(記録媒体の出口)側に持って行く或いは下流側の端部(記録媒体の出口)に位置させることができ、搬送方向Fにおける中央部FNaよりも下流側で圧力が小さくなる領域を少なく或いはなくすことができる。ここで、第2支持部2154の記録媒体Pの搬送方向Fにおける中央部2154aは、定着ニップ領域FN内であれば記録媒体Pの搬送方向Fにおける定着ニップ領域FNの中央部FNaよりも下流側に行けば行く程好ましく、特に、定着ニップ領域FNの下流側の端部又は定着ニップ領域FN内であって定着ニップ領域FNの下流側の端部の近傍に位置することが好ましい。このため、定着装置200(200A)に搬送されてきた記録媒体P(未定着トナーを載せた記録媒体P)は、定着ニップ領域FNで定着された後に、定着ニップ領域FNから抜け出ると、定着ニップ領域FNの中央部よりも下流側で圧力が最も大きくなっている分、定着後のトナーにより定着ベルト211側に引き寄せられ難くでき、例えば、定着ベルト211からすぐに離間するようにすることができる。従って、記録媒体Pの定着ベルト211からの剥離性を向上させることができる。
【0054】
このように、本実施の形態によれば、記録媒体Pの定着ベルト211からの剥離性を向上させることができ、これにより、画像ずれといった画像不良の発生を効果的に防止することができる。
【0055】
本実施の形態において、第2支持部2154は、第1支持部2153のニップ形成部材212とは反対側の面2153aから加圧ローラ220の定着ベルト211への圧接方向Rに沿って立設されている。こうすることで、加圧ローラ220に押圧されるニップ形成部材212を支持するための第1支持部2153の支持強度を第1支持部2153から圧接方向Rに沿って立設された第2支持部2154により向上させることができ、それだけ、加圧ローラ220に押圧されるニップ形成部材212の撓みを抑制することができる。
【0056】
本実施の形態において、第2支持部2154の厚みd2は、第1支持部2153の厚みd1よりも厚い。こうすることで、加圧ローラ220に押圧されるニップ形成部材212を支持するための第1支持部2153の支持強度を厚みd2が第1支持部2153の厚みd1よりも厚い第2支持部2154により向上させることができ、それだけ、加圧ローラ220に押圧されるニップ形成部材212の撓みを抑制することができる。
【0057】
本実施の形態において、支持部材215は、2つの支持部材2151,2152からなっている。こうすることで、加圧ローラ220に押圧されるニップ形成部材212を支持するための支持部材215の支持強度を2つの支持部材2151,2152により向上させることができ、それだけ、加圧ローラ220に押圧されるニップ形成部材212の撓みを抑制することができる。
【0058】
ところで、支持部材215の強度を向上させる観点からは、第2支持部2154の厚みを厚くすることが考えられるが、そうすると、第2支持部2154の厚みが厚くなる分、定着ベルト211内のスペースを要し、定着ベルト211内に設けるべき部材の配置スペースを確保することができない。そこで、定着ベルト211内に設けるべき部材の配置スペースを確保することが望まれている。
【0059】
この点、本実施の形態において、2つの支持部材2151,2152は、何れも軸線方向Mから視た断面視でL字状に形成されている。2つの支持部材2151,2152のうち、一方の支持部材2151のL字状の一方側の直線部分2151cと他方の支持部材2152のL字状の一方側の直線部分2152cとが互いに対向することにより軸線方向Mから視た断面視でT字状に形成されている。第1支持部2153は、一方の支持部材2151のL字状の他方側の直線部分2151dと他方の支持部材2152のL字状の他方側の直線部分2152cとを直線方向に連接させた構成とされている。第2支持部2154は、一方の支持部材2151のL字状の一方側の直線部分2151cと他方の支持部材2152のL字状の一方側の直線部分2152cとを厚み方向に連接させた構成とされている。こうすることで、定着ベルト211内の搬送方向Fにおける第2支持部2154よりも上流側のスペースSPを確保することができ、これにより、定着ベルト211内の搬送方向Fにおける第2支持部2154よりも上流側において定着ベルト211内に設けるべき部材の配置スペースを確保することができる。
【0060】
詳しくは、一方の支持部材2151は、板状の部材を記録媒体Pの搬送方向F側の端部から圧接方向Rに折り曲げた板金部材とされている。この例では、2つの支持部材2151,2152の厚みは、何れも同じであり、1.6mm程度とされている。他方の支持部材2152は、板状の部材を記録媒体Pの搬送方向Fとは反対方向側の端部から圧接方向Rに折り曲げた板金部材とされている。板金部材に用いることができる材料としては、鉄、ステンレス鋼(SUS)等の金属材料を用いることができる。
【0061】
本実施の形態において、定着装置200(200A)は、定着ベルト211を内側から加熱する加熱手段213を備えている。
【0062】
ところで、定着ベルト211の周回移動方向(第1回転方向G1)において定着ニップ領域FNよりも下流側に加熱手段213を設けると、加熱手段213により定着ベルト211を加熱する部分から定着ニップ領域FNまで定着ベルト211が周回する距離が長くなり、それだけ、定着ベルト211が放熱し易く、これにより、記録媒体Pを効率よく加熱することができない。そこで、記録媒体Pを効率よく加熱することが望まれている。
【0063】
この点、本実施の形態では、加熱手段213は、搬送方向Fにおいて第2支持部2154よりも上流側に設けられている。こうすることで、定着ベルト211内の搬送方向Fにおける第2支持部2154よりも上流側において加熱手段213を設けることができる。これにより、加熱手段213により定着ベルト211を加熱する部分から定着ニップ領域FNまで定着ベルト211が周回する距離を短くすることができ、それだけ、定着ベルト211が放熱し難く、これにより、記録媒体Pを効率よく加熱することができる。また、定着ベルト211内の搬送方向Fにおける第2支持部2154よりも上流側のスペースSPを有効に利用することができる。
【0064】
ところで、定着ベルト211は、周回移動による軸線方向Mへの片寄りにより、定着ベルト211の軸線方向Mにおける端部が破損したり、加圧ローラ220の圧接による定着ベルト211のニップ形成部材212との摺動により定着ベルト211の内周面211aが削れて定着ベルト211の削りかすといった異物が発生したりする。そこで、加熱手段213への異物の接触を効果的に防止することが望まれている。
【0065】
この点、本実施の形態に係る定着装置200(200A)において、加熱手段213と定着ベルト211との間に保護部材216が設けられている。保護部材216は、加熱手段213から出射された光の定着ベルト211への照射を許容する。こうすることで、加熱手段213への異物の接触を効果的に防止することができる。しかも、保護部材216は、定着ベルト211への光の照射を許容するので、加熱手段213による定着ベルト211への加熱効率の低下を抑制することができる。
【0066】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る定着装置200(200B)における加熱定着部210(210B)及び加圧ローラ220部分を背面側から視た断面図である。
【0067】
第2実施形態に係る定着装置200(200B)では、他方の支持部材2152の厚みd4が一方の支持部材2151の厚みd3より厚い以外は第1実施形態に係る定着装置200(200A)と同様である。
【0068】
本実施の形態において、他方の支持部材2152は、搬送方向Fにおいて一方の支持部材2151よりも下流側に設けられている。他方の支持部材2152の厚みd4は、一方の支持部材2151の厚みd3よりも厚い。こうすることで、厚みd4が一方の支持部材2151の厚みd3よりも厚い他方の支持部材2152の支持強度を向上させることができ、それだけ、加圧ローラ220に押圧されるニップ形成部材212の撓みを抑制することができる。
【0069】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態に係る定着装置200(200C)における加熱定着部210(210C)及び加圧ローラ220部分を背面側から視た断面図である。
【0070】
第3実施形態に係る定着装置200(200C)では、他方の支持部材2152が延設部2152eを有している以外は第1実施形態に係る定着装置200(200A)と同様である。
【0071】
本実施の形態において、他方の支持部材2152は、搬送方向Fにおいて一方の支持部材2151よりも下流側に設けられている。他方の支持部材2152のL字状の一方側の直線部分2152cの他方側の直線部分2152dとは反対側端部には、一方の支持部材2151とは反対側に延設された延設部2152eが設けられている。こうすることで、延設部2152eが設けられた他方の支持部材2152の支持強度を向上させることができ、それだけ、加圧ローラ220に押圧されるニップ形成部材212の撓みを抑制することができる。
【0072】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態に係る定着装置200(200D)における加熱定着部210(210D)及び加圧ローラ220部分を背面側から視た断面図である。
【0073】
第4実施形態に係る定着装置200(200D)では、支持部材215において一方の支持部材2151及び他方の支持部材2152を一体形成した以外は第1実施形態に係る定着装置200(200A)と同様である。
【0074】
本実施の形態において、支持部材215における一方の支持部材2151及び他方の支持部材2152が一体的に形成されている。こうすることで、支持部材215の支持強度を向上させることができ、それだけ、加圧ローラ220に押圧されるニップ形成部材212の撓みを抑制することができる。詳しくは、支持部材215は、ダイカスト(die casting)(金型鋳造法)により形成することができる。例えば、支持部材215は、所定温度を維持するための追随性の悪化を招くものの、容易に鋳造可能なアルミダイキャストにより形成されていてもよい。
【0075】
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態に係る定着装置200(200E)における加熱定着部210(210E)及び加圧ローラ220部分を背面側から視た断面図である。
【0076】
第5実施形態に係る定着装置200(200E)では、支持部材215を軸線方向Mから視た断面視でL字状に形成した以外は第4実施形態に係る定着装置200(200D)と同様である。
【0077】
本実施の形態において、支持部材215は、軸線方向Mから視た断面視でL字状に形成されている。第1支持部2153は、支持部材215のL字状の一方側の直線部分215cで構成されている。第2支持部2154は、支持部材215のL字状の他方側の直線部分215dで構成されている。こうすることで、定着ベルト211内の搬送方向Fにおける第2支持部2154よりも上流側のスペースSPをさらに確保することができ、これにより、定着ベルト211内の搬送方向Fにおける第2支持部2154よりも上流側において定着ベルト211内に設けるべき部材の配置スペースをさらに確保することができる。
【0078】
詳しくは、一方の支持部材2151は、板状の部材を記録媒体Pの搬送方向F側の端部から圧接方向Rに折り曲げた板金部材とされている。板金部材に用いることができる材料としては、鉄、ステンレス鋼(SUS)等の金属材料を用いることができる。
【0079】
(その他の実施の形態)
第1実施形態から第5実施形態では、第1支持部2153は、ニップ形成部材212の定着ベルト211とは反対側の面212aの短手方向Sにおける全体を支持するが、定着ニップ領域FNに対応する部分を含んでいれば、一部を支持するようにしてもよい。また、第1実施形態から第5実施形態の構成のうちの少なくとも2つの構成を組み合わせてもよい。
【0080】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0081】
100 画像形成装置
200 定着装置
200A~200E 定着装置
210 加熱定着部
210A~210E 加熱定着部
211 定着ベルト
211a 内周面
212 ニップ形成部材
212a 面
213 加熱手段
214 反射部材
215 支持部材
2151 一方の支持部材
2151c 直線部分
2151d 直線部分
2152 他方の支持部材
2152c 直線部分
2152d 直線部分
2152e 延設部
2153 第1支持部
2153a 面
2154 第2支持部
2154a 中央部
216 保護部材
216a 貫通穴
216b 対向面
217 摺動シート
220 加圧ローラ(加圧部材の一例)
250 駆動伝達機構
260 回転駆動部
270 剥離部材
F 搬送方向
FN 定着ニップ領域
FNa 中央部
M 軸線方向
P 記録媒体
R 圧接方向
S 短手方向
SC 締結部材
SP スペース
TN 転写ニップ領域
α 回動軸線
β 周回軸線
γ 回転軸線
δ 通過領域