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特許7479997一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 251/18 20060101AFI20240430BHJP
   A61K 31/136 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/14 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/16 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/25 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/255 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/4425 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/4468 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/4995 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20240430BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20240430BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20240430BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240430BHJP
   C07C 211/63 20060101ALI20240430BHJP
   C07C 225/22 20060101ALI20240430BHJP
   C07C 229/08 20060101ALI20240430BHJP
   C07C 237/08 20060101ALI20240430BHJP
   C07C 239/14 20060101ALI20240430BHJP
   C07C 239/16 20060101ALI20240430BHJP
   C07C 243/22 20060101ALI20240430BHJP
   C07C 251/86 20060101ALI20240430BHJP
   C07C 309/69 20060101ALI20240430BHJP
   C07C 321/14 20060101ALI20240430BHJP
   C07D 211/58 20060101ALI20240430BHJP
   C07D 213/36 20060101ALI20240430BHJP
   C07D 241/38 20060101ALI20240430BHJP
   C07D 279/14 20060101ALI20240430BHJP
   C07D 487/08 20060101ALI20240430BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20240430BHJP
   C07D 513/16 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
C07C251/18 CSP
A61K31/136
A61K31/14
A61K31/16
A61K31/25
A61K31/255
A61K31/4402
A61K31/4425
A61K31/4468
A61K31/498
A61K31/4995
A61K31/5415
A61K35/74 D
A61K41/00
A61P9/00
A61P17/00
A61P17/06
A61P19/02
A61P27/02
A61P29/00 101
A61P35/00
C07C211/63
C07C225/22
C07C229/08
C07C237/08
C07C239/14
C07C239/16
C07C243/22
C07C251/86
C07C309/69
C07C321/14
C07D211/58
C07D213/36
C07D241/38
C07D279/14
C07D487/08
C07D513/04
C07D513/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020143916
(22)【出願日】2020-08-27
(62)【分割の表示】P 2018521084の分割
【原出願日】2016-10-21
(65)【公開番号】P2020203910
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2020-08-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】201510689088.7
(32)【優先日】2015-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201610880613.8
(32)【優先日】2016-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201610894129.0
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201610894400.0
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516304643
【氏名又は名称】テクニカル インスティテュート オブ フィジックス アンド ケミストリー オブ ザ チャイニーズ アカデミー オブ サイエンスィズ
【氏名又は名称原語表記】Technical Institute of Physics and Chemistry of the Chinese Academy of Sciences
【住所又は居所原語表記】29 Zhongguancun East Road, Haidian District, Beijing,100190 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ワン ポンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジャシォン
(72)【発明者】
【氏名】リィウ ウェーミン
(72)【発明者】
【氏名】グー イン
(72)【発明者】
【氏名】グェァ ジェチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヂォン シゥリー
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ホンイェン
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】冨永 保
【審判官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-518329(JP,A)
【文献】特表2009-505968(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103570567(CN,A)
【文献】J.Phys.Chem.B、(2008)、Vol.112、No.32、pp.9959-9965
【文献】J.Med.Chem.、(2012)、55、pp.1910-1919
【文献】Photochemistry and Photobiology、(2010)、86、pp.667-672
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C,A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物の構造式が以下のとおりであることを特徴とする一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体。
【化1】
【請求項2】
化合物の構造式が以下のとおりであることを特徴とする一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体。
【化2】
【請求項3】
前記ヒポクレリン誘導体の構造はさらに、エノール互変異性体を含むことを特徴とする請求項1に記載の一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体。
【請求項4】
前記ヒポクレリン誘導体の構造はさらに、エノール互変異性体を含むことを特徴とする請求項2に記載の一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体。
【請求項5】
請求項1-4のいずれか1項に記載の一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体の光線力学的治療用光増感薬の製造における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光線力学的治療用の光増感薬の技術分野に関する。より具体的には、一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
光線力学療法(Photodynamic Therapy、PDTと略称する)は、近年急速に発展している新規の血管病変の選択的治療法であり、様々な腫瘍の治療にも大きな効果がある。光線力学療法は、手術、放射線療法、化学療法に次ぐ四番目の特殊な腫瘍治療法となっており、効率と安全性が高く、光照射下で活性酸素種を連続的に生成して、病変細胞や組織の損傷または壊死を引き起こすことができ、単一の標的分子しか殺滅できない従来の薬物よりもはるかに効率的であるという利点がある。光線力学療法は、薬物標的化と光照射による局在化との二重選択性を有し、正常細胞への損傷を低減させるため、治療の安全性を確保する。PDTは、癌の臨床治療において重要な成果を達成しただけでなく、様々な血管病変、尖圭コンジローマ、乾癬、紅斑性プラーク、慢性関節リウマチ、黄斑変性症などの非腫瘍疾患の治療にも使用されている。加えて、光線力学療法はレーザ美容などにも大きな効果がある。
【0003】
光増感剤は、光線力学療法の効果に影響を与える重要な要素である。現在知られている光増感剤の中で、臨床用途に使用される第1世代の光増感剤はポルフィリン系光増感剤であり、第2世代はフタロシアニン系光増感剤である。これらの光増感剤では、ポルフィリン系光増感剤とフタロシアニン系光増感剤の最も顕著な問題は、幾何異性体の分離が困難であり、単一成分の純粋な化合物を得ることが困難であることにあり、比較的複雑な成分のため、後の段階での薬物代謝および毒物学的分析の評価にも不利である。クロリン類、クロロフィル類、ペリレンキノノイド類などの他の光増感剤はまだ開発段階である。現在、中国では、臨床的に必要とされる光増感剤はまだ非常に乏しく、空白を埋めるために新しい高性能光増感剤が期待されている。
【0004】
前世紀の八十年代から相次いで発見されてきたセルコスポリン、ヒペリシン、エルシノクロムおよびヒポクレリンなどのペリレンキノノイド類光増感剤は、抗癌活性を有することが証明されている。その中で、ヒポクレリンは、中国の海抜4000メートルの雲南高原に成長している矢竹の寄生菌-Hypocrella bambusaeから抽出された天然光増感剤である。天然のヒポクレリンは主にヒポクレリンA(Hypocrellin A、HAと略称する)とヒポクレリンB(Hypocrellin B、HBと略称する)がある。近年、ヒポクレリンについて詳細に研究したところ、ヒポクレリンは特性に優れた光増感薬となる基本的な条件を備え、たとえば可視光領域に強吸収を持つとともにモル吸光係数が大きく、光増感条件下で一重項酸素を効率よく発生でき、植物薬であり、光毒性が良好で、暗毒性が低く、体内代謝が速く、明確な化学構造を有するため、応用の将来性が期待できる(徐尚潔、張暁星、陳申ら、新規な光力学薬-ヒポクレリン誘導体の研究及び発展、科学通報,2003,48,1005-1015)。しかしながら、ヒポクレリンは1mm未満の組織しか透過できない450~550nmの範囲に主な吸収波長があり、光線力学的治療ウィンドウ(600~900nm)では光吸収が弱い。過去十数年間、ヒポクレリンについての化学修飾が大量になされており、その中でも、アミノ修飾ヒポクレリンは吸収波長が明らかに600~700nmにレッドシフトし、モル吸光係数が大幅に増大する(Paul B., Babu M.S., Santhoshkumar T.R., et al. Biophysical evaluation of two red-shifted hypocrellin B derivatives as novel PDT agents, J. Photochem. Photobiol. B: 2009, 94, 38-44)。アミノ基修飾ヒポクレリンは、良好な光増感特性を示したが、そのような光増感剤の水溶性および生体適合性には改善する余裕がある。微小血管疾患の標的は、光線力学的作用に敏感な病変部の新生した高密度微小血管ネットワークであり、光線力学療法を施す際、通常、静脈注射により血液循環系を介して患部組織に送達される。しかし、ヒポクレリンは、水での溶解度が低い親油性有機小分子であるため、直接静脈注射によっては血液中で自発的に凝集を起こし血管を閉塞させる。スルホン酸置換された誘導体(Liu X, Xie J, Zhang L Y, et al. Optimization of hypocrellin B derivative amphiphilicity and biological activity. Chinese Sci Bull, 2009, 54: 2045-2050)は水溶性の問題を解決できるが、負に帯電して細胞や組織中の大量の負電荷と互いに反発するため、細胞の取り込み率が低く、光線力学的活性を大幅に低減させる。したがって、設計された光増感薬分子には、前記光吸収条件を満たすだけでなく、最適化された油水両親媒性-静脈注射に必要な濃度を満たすとともに、光線力学療法の効果向上のための高細胞取り込み率を確保することが求められる。
【0005】
このため、光吸収条件を満たすとともに、最適化された一置換または多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体及びその製造方法と使用を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第一目的は、一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体を提供することであり、本発明の第二目的は、一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体の使用を提供することである。
【0007】
本発明は、従来のヒポクレリン誘導体が吸光条件と最適化された油水両親媒性を両立できないという問題を解決するために、本発明の技術案を提案する。出願人は、ポリエチレングリコール又は長鎖の第四級アンモニウム塩等の基を導入し、或いは、ポリエチレングリコールと長鎖の第四級アンモニウム塩等の基を同時に導入することでヒポクレリンを修飾することにより、生体適合性を高めて、ヒポクレリン母体の親水性及び疎水性を調整することを提案する。該誘導体は、異なる油水両親媒性を有し、pH変化による影響を受けにくい。出願人はさらに、ヒポクレリンの2、3又は15位で置換修飾を行って、最大吸収を600nm以上にレッドシフトさせると同時に、大きなモル吸光係数を付与することで、光線力学的治療ウィンドウでの吸光能力が低いという問題を解決することを初めて提案する。光線力学的実験を行った結果、このような両親媒性ヒポクレリン誘導体は、さまざまな臨床薬の要件を満たし、各種薬物投与方式に求められる薬物の親水性と親油性の矛盾を解決する。本発明では、該技術案が初めて開示される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第一目的を達成させるために、本発明は下記技術案を採用する。
【0009】
一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体であって、構造一般式が式(I)に示される。
【化1-1】
(式(I)中、R1は-H又は-COCH3である。
式(I)中、置換基Rの構造一般式は式(III)に示され、
【化2】
式(III)中、0≦m≦8、0≦n≦50、0≦p≦8、0≦q≦8、0≦r≦1であり、前記m、n、p、q、rはゼロ又は正整数であり、Yは連結基、Zは末端基、(OCH2CH2nはポリエチレングリコール単位である。
式(III)中、連結基Yは-O-、-S-、-COO-若しくは-O-CO-(エステル結合)、-CONH-(アミド結合)、アリーレン基、複素環式アリーレン基、炭素数3-8の炭化水素基又は炭素数3-8の環状炭化水素基である。
前記アリーレン基は置換又は非置換のアリーレン基であり、複素環式アリーレン基は置換又は非置換の複素環式アリーレン基であり、炭素数3-8の炭化水素基は置換又は非置換のオレフィンを含み、炭素数3-8の環状炭化水素基は置換又は非置換のシクロアルカンを含み、前記置換基は、炭素数1-6のアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は-COOR15(R15は炭素数1-6のアルキル基)である。
式(III)中、末端基Zが水素、炭素数1-8のアルキル基、炭素数1-8のアルコキシ基、フェニル基、複素環、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基又は、Zが、窒素原子が四級化して正電荷を帯びた置換ピリジル基であって、薬学的に許容可能なアニオンによってピリジニウム塩を形成する。
式(III)中、前記末端基Zがピリジニウム塩である場合、ピリジニウム塩はピリジンと鎖長が異なる炭素数1-8のハロゲン化炭化水素とを四級化してなり、ピリジニウム塩におけるアニオンが薬学的に許容可能なアニオンである。
式(III)中、第四級アンモニウム塩の2つの置換基R12、R14はそれぞれ独立に又は同時に、炭素数1-12のアルキル基であり、R13は炭素数1-12のアルキレン基であり、第四級アンモニウム塩におけるアニオンX-が薬学的に許容可能なアニオンである。)
【0010】
また、一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体であって、構造一般式が式(II)に示される。
【化1-2】
(式(II)中、R1は-H又は-COCH3であり、
式(II)中、R1が-COCH3のとき、T2はR8とR9が連結されないことを示し、
式(II)中、R1が-Hのとき、T2はR8とR9が連結され又は連結されないことを示し、R8とR9が連結される場合、それらは置換又は非置換の五員環、六員環又は七員環を構成し、T2は炭素原子を1つ、2つ又は3つ含む置換又は非置換の連結基である。
式(II)中、前記ヒポクレリノピペラジン環上のR6~R11のいずれも置換基Rに属し、前記置換基Rの構造一般式は式(III)に示される。
【化2】
式(III)中、0≦m≦8、0≦n≦50、0≦p≦8、0≦q≦8、0≦r≦1であり、前記m、n、p、q、rはゼロ又は正整数であり、Yは連結基、Zは末端基、(OCH2CH2nはポリエチレングリコール単位である。
式(III)中、連結基Yは-NH-、-O-、-S-、-COO-若しくは-O-CO-(エステル結合)、-CONH-(アミド結合)、アリーレン基、複素環式アリーレン基、炭素数3-8の炭化水素基又は炭素数3-8の環状炭化水素基である。
前記アリーレン基は置換又は非置換のアリーレン基であり、複素環式アリーレン基は置換又は非置換の複素環式アリーレン基であり、炭素数3-8の炭化水素基は置換又は非置換のオレフィンを含み、炭素数3-8の環状炭化水素基は置換又は非置換のシクロアルカンを含み、前記置換基は、炭素数1-6のアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は-COOR15(R15は炭素数1-6のアルキル基)である。
式(III)中、末端基Zが水素、炭素数1-8のアルキル基、炭素数1-8のアルコキシ基、フェニル基、複素環、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基である、又は、Zが、窒素原子が四級化して正電荷を帯びた置換ピリジル基であって、薬学的に許容可能なアニオンによってピリジニウム塩を形成する。 式(III)中、前記末端基Zがピリジニウム塩である場合、ピリジニウム塩はピリジンと鎖長が異なる炭素数1-8のハロゲン化炭化水素とを四級化してなり、ピリジニウム塩におけるアニオンが薬学的に許容可能なアニオンである。
式(III)中、第四級アンモニウム塩の2つの置換基R12、R14はそれぞれ独立に又は同時に、炭素数1-12のアルキル基であり、R13は炭素数1-12のアルキレン基であり、第四級アンモニウム塩におけるアニオンX-が薬学的に許容可能なアニオンである。
1が-COCH3である場合、式(II)に示されたピペラジン環上のa、bの2つの炭素原子のうち、少なくとも1つは第三級炭素原子である。
式(II)中、T2が非環状で連結されない場合、構造一般式が式(V)に示され、
【化5】
式(V)中、前記ヒポクレリノピペラジン環上のR8~R9のいずれも置換基Rに属し、前記置換基Rの構造一般式は式(III)に示される。
式(II)中、T2が環状で連結される場合、構造一般式が式(VII)に示され、
【化7-2】
式(VII)中、環Aは飽和又は不飽和の五員、六員、七員複素環又は非複素環であり、環上の置換基はそれぞれ独立に又は同時に式(III)中の置換基Rである。)
【0011】
好ましくは、式(I)の前記ヒポクレリン誘導体の構造一般式はさらに、式(I’)に示されるエノール互変異性体を含む。
【化11-1】
【0012】
好ましくは、式(II)の前記ヒポクレリン誘導体の構造一般式はさらに、式(II’)に示されるエノール互変異性体を含む。
【化11-2】
【0013】
好ましくは、式(III)中、前記置換基Rのうち、連結基Yは、-O-、-S-、-COO-、-O-CO-、CONH-、-C64-(フェニル基)、-C63(CH3)-、-C63(C25)-、-C63(OH)-、-C53N-(ピリジル基)、-C34-(シクロプロピル基)、-C46-(シクロブチル基)、-C58-(シクロペンチル基)、-C57(CH3)-(メチルシクロペンチル基)、-C57(OH)-(ヒドロキシシクロペンチル基)、-C610-(シクロヘキシル基)、-C69(CH3)-(メチルシクロヘキシル基)、-C69(C25)-(エチルシクロヘキシル基)、-C69(C37)-(プロピルシクロヘキシル基)、-C69(C49)-(ブチルシクロヘキシル基)、-C68(CH32-(ジメチルシクロヘキシル基)、-C69(OH)-(ヒドロキシシクロヘキシル基)又は-C712-(シクロヘプチル基)である。
【0014】
好ましくは、式(III)中、前記置換基R中の末端基Zは、-H、-CH3、-C25、-C37、-C49、-C511、-C613、-OCH3、-OC25、-OC37、-OC49、-OC511、-OC613
【化12】
(フェニル基)、
【化13】
(4-ピリジル基)、-OH、-SH、-COOH、-SO3H、
【化14】
、前記置換基R中の第四級アンモニウム塩は、-N+(CH32(CH2)-、-N+(C252(C24)-、-N+(C372(C36)-、-N+(C492(C48)-、-N+(C5112(C510)-、-N+(C6132(C612)-、-N+(CH32(C24)-、-N+(CH32(C36)-、-N+(CH32(C48)-、-N+(CH32(C510)-、-N+(CH32(C612)-、-N+(CH32(C714)-、-N+(CH32(C816)-、-N+(CH32(C918)-、-N+(CH32(C1020)-、-N+(CH32(C1122)-、-N+(CH32(C1224)-、-N+(C252(C36)-、-N+(C252(C48)-、-N+(C252(C510)-、-N+(C252(C612)-、-N+(C252(C714)-、-N+(C252(C816)-、又は、末端基としてヒドロキシ基、カルボン酸基、スルホン酸基又はカルボン酸エステルを含有する第四級アンモニウム塩である。
【0015】
好ましくは、前記置換基Rは、-H、-CH3、-C25、-C37、-C49、-C511、-C613、-C36、-C59(シクロペンチル基)、-C611(シクロヘキシル基)、-C610(CH3)(メチルシクロヘキシル基)、-C610(C25)(エチルシクロヘキシル基)、-C610(C37)(プロピルシクロヘキシル基)、-C610(C49)(ブチルシクロヘキシル基)、-C69(CH32(ジメチルシクロヘキシル基)、-C610(OH)(ヒドロキシシクロヘキシル基)、-C7H12-(シクロヘプチル基)、-C65、-CH265、-CH2CH265、-CH2CH2CH265、-C54N、-CH254N、-(CH2254N、-(CH2354N、-NH2、-NHC25、-NHC65、-NHC54N、-OH、-CH2CH2OH、-CH2CH2-OCH2CH2-OH、-CH2CH2-(OCH2CH22-OH、-CH2CH2-(OCH2CH23-OH、-CH2CH2-(OCH2CH24-OH、-CH2CH2-(OCH2CH25-OH、-CH2CH2-(OCH2CH26-OH、-CH2CH2-(OCH2CH27-OH、-CH2CH2-(OCH2CH28-OH、-CH2CH2-(OCH2CH29-OH、-CH2CH2-(OCH2CH210-OH、-CH2CH2-(OCH2CH211-OH、-CH2CH2-(OCH2CH212-OH、-CH2CH2-(OCH2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-CH2CH2-NH-CH2CH2-OCH2CH2OH、-CH2CH2-NH-CH2CH2-(OCH2CH22-OH、-CH2CH2-NH-CH2CH2-(OCH2CH23-OH、-CH2CH2-NH-CH2CH2-(OCH2CH24-OH、-CH2CH2-NH-CH2CH2-(OCH2CH26-OH、-CH2CH2-NH-CH2CH2-(OCH2CH2n-OH、[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-(CH23-OH、-(CH23-OCH2CH2-OH、-(CH24-OCH2CH2-OH、-(CH23-(OCH2CH22-OH、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2-OCH2CH2-OCH3、-CH2CH2-(OCH2CH22-OCH3、-CH2CH2-(OCH2CH24-OCH3、-CH2CH2-(OCH2CH26-OCH3、-CH2CH2-NH-CH2CH2-OCH2CH2OCH3、-CH2CH2-NH-CH2CH2-(OCH2CH22-OCH3、-CH2CH2-NH-CH2CH2-(OCH2CH23-OCH3、-CH2CH2-NH-CH2CH2-(OCH2CH24-OCH3、-CH2CH2-NH-CH2CH2-(OCH2CH26-OCH3、-CH2CH2-NHCH2CH2-NH2、-CH2CH2-(NHCH2CH22-NH2、-CH2CH2-(NHCH2CH23-NH2、-CH2CH2-NHCH2CH2-N(CH32、-CH2CH2-(NHCH2CH22-N(CH32、-CH2CH2-(NHCH2CH23-N(CH32、-CH2CH2-SH、-CH2CH2-S-CH2CH2OH、-CH2CH2-S-CH2CH2-OCH2CH2-OH、-CH2CH2-S-CH2CH2-(OCH2CH22-OH、-CH2CH2-S-CH2CH2-SH、-CH2CH2-(SCH2CH22-SH、-CH2CH2-(SCH2CH23-SH、-CH2CH2-(SCH2CH24-SH、-CH2CH2-SO3H、-(CH2CH2O)2-SO3H、-CH2CO2H、-CH2CH2CO2H、-CH2CH2CH2CO2H、-CH2CH2CH2CH2CO2H、-CH2-C(=O)-OCH2CH2-OH、-CH2CH2-C(=O)-OCH2CH2-OH、-CH2CH2-C(=O)-(OCH2CH22-OH、-CH2CH2-C(=O)-(OCH2CH23-OH、-CH2CH2-C(=O)-(OCH2CH24-OH、-CH2CH2-C(=O)-(OCH2CH26-OH、-CH2CH2-C(=O)-(OCH2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-(CH23-C(=O)-OCH2CH2-OH、-(CH23-C(=O)-(OCH2CH22-OH、-(CH23-C(=O)-(OCH2CH24-OH、-(CH23-C(=O)-(OCH2CH26-OH、-(CH23-C(=O)-(OCH2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-(CH24-C(=O)-OCH2CH2-OH、-(CH24-C(=O)-(OCH2CH22-OH、-(CH24-C(=O)-(OCH2CH24-OH、-(CH24-C(=O)-(OCH2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-(CH25-C(=O)-OCH2CH2-OH、-(CH25-C(=O)-(OCH2CH22-OH、-(CH25-C(=O)-(OCH2CH24-OH、-(CH25-C(=O)-(OCH2CH26-OH、-(CH25-C(=O)-(OCH2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-CH2CH2-SO2-OCH2CH2-OH、-CH2CH2-SO2-(OCH2CH22-OH、-CH2CH2-SO2-(OCH2CH24-OH、-CH2CH2-SO2-(OCH2CH26-OH、-CH2CH2-SO2-(OCH2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-(CH23-SO2-OCH2CH2-OH、-(CH23-SO2-(OCH2CH22-OH、-(CH23-SO2-(OCH2CH24-OH、-(CH23-SO2-(OCH2CH26-OH、-(CH23-SO2-(OC
2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-(CH24-SO2-OCH2CH2-OH、-(CH24-SO2-(OCH2CH22-OH、-(CH24-SO2-(OCH2CH24-OH、-(CH24-SO2-(OCH2CH26-OH、-(CH24-SO2-(OCH2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-(CH25-SO2-OCH2CH2-OH、-(CH25-SO2-(OCH2CH22-OH、-(CH25-SO2-(OCH2CH24-OH、-(CH25-SO2-(OCH2CH26-OH、-(CH25-SO2-(OCH2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-CH2-C(=O)NH-CH2CH2-OCH2CH2-OH、-(CH22-C(=O)NH-CH2CH2-(OCH2CH22-OH、-(CH22-C(=O)NH-CH2CH2-(OCH2CH23-OH、-(CH22-C(=O)NH-CH2CH2-(OCH2CH26-OH、-(CH22-C(=O)NH-CH2CH2-(OCH2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-(CH23-C(=O)NH-CH2CH2-OCH2CH2-OH、-(CH23-C(=O)NH-CH2CH2-(OCH2CH22-OH、-(CH23-C(=O)NH-CH2CH2-(OCH2CH26-OH、-(CH23-C(=O)NH-CH2CH2-(OCH2CH2n-OH[分子量3万未満のポリエチレングリコール]、-CH2CH2-N+(CH33、-CH2CH2-N+(C25)3、-CH2CH2-N+(C373、-CH2CH2-N+(C493、-CH2CH2-N+(C5113、-CH2CH2-N+(C6133、-(CH23-N+(CH33、-(CH24-N+(CH33、-(CH25-N+(CH33、-(CH26-N+(CH33、-CH2CH2-N+(CH32(C25)、-CH2CH2-N+(CH32(C37)、-CH2CH2-N+(CH32(C49)、-CH2CH2-N+(CH32(C511)、-CH2CH2-N+(CH32(C613)、-CH2CH2-N+(CH32(C715)、-CH2CH2-N+(CH32(C817)、-CH2CH2-N+(CH32(C919)、-CH2CH2-N+(CH32(C1021)、-CH2CH2-N+(CH32(C1123)、-CH2CH2-N+(CH32(C1225)、-(CH23-N+(CH33、-(CH23-N+(CH32(C25)、-(CH23-N+(CH32(C37)、-(CH23-N+(CH32(C49)、-(CH23-N+(CH32(C511)、-(CH23-N+(CH32(C613)、-(CH23-N+(CH32(C1021)、-(CH23-N+(CH32(C12H25)、-(CH24-N+(CH33、-(CH24-N+(CH32(C25)、-(CH24-N+(CH32(C49)、-(CH24-N+(CH32(C613)、-(CH24-N+(CH32(C817)、-(CH24-N+(CH32(C1021)、-(CH25-N+(CH33、-(CH25-N+(CH32(C25)、-(CH25-N+(CH32(C37)、-(CH25-N+(CH32(C49)、-(CH25-N+(CH32(C511)、-(CH25-N+(CH32(C613)、-(CH25-N+(CH32(C1021)、-(CH25-N+(CH32(C1225)、-(CH26-N+(CH33、-(CH26-N+(CH32(C25)、-(CH26-N+(CH32(C49)、-(CH26-N+(CH32(C613)、-(CH26-N+(CH32(C817)、-(CH26-N+(CH32(C1021)、-(CH26-N+(CH32(C1225)、-(CH24-N+(C253、-(CH24-N+(C252(C37)、-(CH24-N+(C252(C49)、-(CH24-N+(C252(C511)、-(CH24-N+(C252(C613)、-(CH24-N+(C252(C817)、-(CH24-N+(C252(C1021)、-(CH24-N+(C252(C1225)である。
【化11】
【0016】
上記第二目的を達成させるために、本発明は下記技術案を採用する。
【0017】
すなわち、上記一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体の光線力学的治療用の光増感薬としての使用である。
【0018】
また、本発明は下記技術を採用する。
式(IV)又は式(V)の両親媒性ヒポクレリン誘導体の製造方法であって、ヒポクレリン及び対応した置換アミノ誘導体を有機溶剤に混合して、不活性ガス保護下、遮光下反応さて、最終的に分離精製して、油水両親媒性ヒポクレリン誘導体を得るステップを含む。
【0019】
前記ヒポクレリンはヒポクレリンB HB及び脱アセチル化ヒポクレリンHCであり、前記置換アミノ誘導体の置換基の構造一般式は式(III)に示され、前記ヒポクレリンと置換アミノ誘導体の投入モル比は1:5~1:50、具体的に1:5、1:10、1:15、1:20、1:30、1:40又は1:50であり、反応温度は20-100℃、反応時間は6-18時間である。前記有機溶剤はアセトニトリル、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノールであり、反応は不活性ガス、たとえばアルゴンガス又は窒素ガスの保護下、且つ遮光下で行われる。
【0020】
好ましくは、前記有機溶剤はアセトニトリル、テトラヒドロフラン又はピリジンのうちの1種、前記ヒポクレリンと置換アミノ誘導体の投入モル比は1:20、反応温度は60℃、反応時間は8時間である。好ましくは、前記分離精製過程において、反応有機溶剤を除去して残留物を得て、残留物をジクロロメタンで溶解し、希塩酸水溶液及び水で順に洗浄して、次に、有機層を乾燥させて濾過し、溶剤を除去して粗生成物を得て、粗生成物についてシリカゲルプレートでクロマトグラフィーを行い、長鎖第四級アンモニウム塩を含むヒポクレリン誘導体を得る。
【0021】
好ましくは、シリカゲルプレートクロマトグラフィーに使用されている展開剤はアセトン、酢酸エチル、エタノール及びジエチルアミンの混合液であり、前記混合液において、アセトン、酢酸エチル、エタノール及びジエチルアミンの体積比は20:1:1:1~20:1:3:1である。好ましくは、前記分離精製過程において、反応有機溶剤を除去して、青黒色の固体残留物を得てジクロロメタンで溶解し、等体積の希塩酸水溶液(5%)で3回洗浄して、1回水洗し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、溶剤を除去して粗生成物を得る。得られた粗生成物をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離し、展開剤として、好ましくは体積比率20:1:1:1のアセトン:酢酸エチル:エタノール:ジエチルアミンを用いて、アミノ置換されたヒポクレリン誘導体を得る。収率は5~20%、生成物は青黒色の固体である。
【0022】
式(VI)又は式(VII)の多置換近赤外ヒポクレリン誘導体の製造方法であって、ヒポクレリンB又は脱アセチル化ヒポクレリン及び対応した置換メルカプトエチルアミノ誘導体とを1:50~1:500の投入モル比で有機溶剤と水の混合溶剤に混合して、9より大きいpH、室温下で光照射を450nmより大きい波長で10-40分間行って、生成物を分離精製して、4と5位置換、8と9位置換又は両方ともに置換されたヒポクレリン誘導体を得るステップと、上記ヒポクレリン誘導体及び対応した置換アミノ誘導体とを1:5~50の投入モル比で有機溶剤に混合し、不活性ガス保護下、20-150℃の反応温度で、遮光下4-20時間反応させて、生成物を分離精製して、対応した式(VI)又は式(VII)の多置換のヒポクレリン誘導体を得るステップとを含む。
【0023】
好ましくは、前記有機溶剤は、原料である置換アミノ誘導体、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ピリジン、メタノール又はエタノールのうちの1種又は複数種である。
【0024】
図1は本発明に係る一置換又は多置換の両親媒性ヒポクレリンの構造一般式である。図2図6は本発明に係る各種のヒポクレリン誘導体の合成方法である。本発明で合成した油水両親媒性ヒポクレリン誘導体は親油性、親水性及び両親媒性ヒポクレリン誘導体を含む。本発明の前記ポリグリコール又は第四級アンモニウム塩等の基を含むヒポクレリン誘導体は、光線力学的治療ウィンドウにおいて非常に広い強吸収を有し、スペクトル600-630nm程度で最大吸収波長があり、最高で650nmに達し、ヒポクレリン母体の最大吸収ピーク(450nm)よりも150nm以上レッドシフトし、モル吸光係数が約10000-40000M-1cm-1程度であり、極めて高い赤色光吸収能力(図7参照)を示し、水溶性が比較的良く、生理的食塩水において濃度範囲0.1uM~1mMのストック液を調製できる。活性酸素を発生させる能力について、図8に示されるように、実験から、それぞれ一重項酸素とスーパーオキシドフリーラジカル捕捉剤で測定したところ、このような油水両親媒性ヒポクレリン誘導体は、一重項酸素を始め(図8a)、少量のスーパーオキシドフリーラジカル(図8b)も含まれる光増感性活性種を効率よく発生できることが明らかになる。図9に示される共焦点蛍光イメージングの実験結果から分かるように、光線力学的治療薬小分子HB-1は優れた生体適合性を有し、Hela細胞のリソソームに入って細胞中で赤色光蛍光イメージングを効果的に行うことが可能である。図10aに示されるように、HB-1とHela細胞を同時にインキュベートし、細胞毒性(暗毒性)研究試験から分かるように、実施例3で合成したポリグリコール含有ヒポクレリン誘導体HB-1は、ヒポクレリンB HB及び市販光増感性薬物であるヘマトポルフィリンHpDと類似する低細胞毒性であり、Hela細胞を濃度10uMの光増感剤HB-1で半時間インキュベートしたところ、明らかなHela細胞の死亡がなく、それはこのような光増感剤にはほぼ細胞毒性がないことを示している。図10bに示される細胞光毒性の研究実験から分かるように、HB-1は、赤色光照射下、Hela細胞に対して非常に強い殺滅能力を示す。160nMの濃度範囲では90%以上のHela細胞を殺滅でき、同一条件においてヒポクレリンB又は市販光増感剤であるヘマトポルフィリン誘導体は、20%程度のHela細胞しか殺滅できず、このことから、このような両親媒性ヒポクレリン誘導体は、ヒポクレリンB HB及び市販光増感剤であるヘマトポルフィリンHpDよりも、光線力学的効果がはるかに高いことが分かった。図11中、実施例3で合成したポリグリコール含有ヒポクレリン誘導体HB-2の細胞暗毒性と光毒性についての実験結果も類似している。また、図12は、実施例4で合成したアミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリンHC-3又はHC-4による腫瘍細胞への光毒性効果図、図13は実施例46で合成した長鎖第四級アンモニウム塩で修飾された脱アセチル化ヒポクレリンHC-87又はHC-88による腫瘍細胞への光毒性効果図、図14は実施例52で合成したピペラジノヒポクレリンB HB-98による腫瘍細胞への光毒性効果図を示し、以上のすべての光毒性実験の結果から、このような両親媒性ヒポクレリン誘導体は、ヒポクレリンB HB及び市販光増感剤であるヘマトポルフィリンHpDよりも光線力学的効果がはるかに高いことが明らかになる。
【0025】
本発明に係る多置換近赤外ヒポクレリン誘導体は、光線力学的治療ウィンドウ(600-900nm)において非常に広い強吸収を有し、スペクトルにおいて最大吸収波長が700nm以上にレッドシフトし、且つ900nmまで延びることが可能であり、モル吸光係数が約10000-40000M-1cm-1程度であり、極めて強い近赤外赤色光吸収能力を示し、合成方法は図6に示されるとおりである。実験から明らかなように、それぞれ一重項酸素とスーパーオキシドフリーラジカル捕捉剤で測定したところ、このような多置換近赤外ヒポクレリン誘導体は、一重項酸素を始め、少量のスーパーオキシドフリーラジカル(図15図17参照)を含む光増感性活性種を効率よく発生できる。図16aに示されるように、細胞毒性(暗毒性)の研究試験から、実施例67で合成したヒポクレリン誘導体I-1は、ヒポクレリンB HB及び市販光増感性薬物であるクロリンCe6と類似する低細胞毒性であり、Hela細胞を濃度10uMの光増感剤I-1で半時間インキュベートしたところ、Hela細胞の明らかな死亡がないことが明らかになり、このことから、このような光増感剤にはほぼ細胞毒性がないことが分かった。図16bに示される細胞光毒性の研究実験から分かるように、I-1は、671近赤外光照射下、Hela細胞に対して極めて強い殺滅能力を示す。200nM濃度範囲では90%以上のHela細胞を殺滅でき、同一条件において市販光増感剤であるクロリンCe6は、30%程度のHela細胞しか殺滅できない。図18は実施例86で合成したヒポクレリン誘導体II-2の細胞暗毒性と光毒性実験も比較している。なお、使用されるレーザーが808nmの近赤外レーザーであることから、この種類の化合物はより深い腫瘍組織を透過する光線力学的治療にも適用できる。
【0026】
ヒポクレリンB母体に比べて、本発明における油水両親媒性ヒポクレリン誘導体にポリグリコール、第四級アンモニウム塩等の基を導入することで水溶性が大幅に高まり、脂肪鎖の鎖長を変えることで油水比率を調整して、この種類の誘導体に優れた油水両親媒性、細胞又は組織での良好な生体適合性を付与する。この種類の化合物は、ポリグリコール又は第四級アンモニウム塩の形態として存在するため、pHによる影響を受けにくく、複雑な生体に利用可能であり、第四級アンモニウム塩のような正塩を含むヒポクレリンは、生体内の負電荷種と効率よく結合して、特に腫瘍細胞に対して優れた求核性を有し、第四級アンモニウム塩とヒポクレリン母体の間の距離を調整することで光線力学療法の効果を変えることができ、ポリグリコールを用いるものであるため、ポリグリコール構造の単位数を変えることにより、異なる臨床薬のニーズを満たすように光増感性薬物分子の親水性及び疎水性を調整でき、また、ポリグリコール構造も、無毒で優れた生体適合性を有する米国FDAにより許容可能な薬物成分である。このため、このような両親媒性ヒポクレリン誘導体は生理的食塩水に直接溶解して製剤を調製することができ、薬物の効果を向上させ、且つ、天然生成物で構成されるため、毒性や副作用を引き起こすことがなく、ヒポクレリン系の癌治療薬や抗癌ウイルス薬を開発するために基礎を築く。
【0027】
ポリグリコール基又は長鎖を有する第四級アンモニウム塩等の基を用いてヒポクレリンを修飾し、分子の親水性及び疎水性を調整することにより、この種類の誘導体に異なる油水両親媒性を持たせるとともに、細胞又は組織との生体適合性を向上させる。このような化合物は、最大吸収波長が600-735nm範囲、モル吸光係数が10000-40000M-1cm-1であり、光線力学的治療ウィンドウにおいて極めて強い吸光能力を有する。研究から明らかなように、このような誘導体は、光増感条件下で一重項酸素等の反応性酸素種を発生可能であり、優れた効果を有するものであり、光線力学的治療薬として腫瘍や各種微小血管疾患等の疾患の治療に利用できる。
【0028】
従来技術では、ポリグリコール修飾ヒポクレリン誘導体の製造や抽出についての研究がまだなく、このような化合物は光吸収条件を満足し且つ最適化された油水両親媒性-静脈注射に必要な濃度を満して、高細胞取り込み率を確保することについての関連研究が見付からなかった。
【0029】
なお、本特許において保護を求めるヒポクレリン誘導体はすべて2種のエノール互変異性体(式1と1’、式2と2’)があるため、勿論、2種の異性体の化学構造は保護範囲に属するものである。特に断らない限り、本発明に記載のすべての範囲は限界値及び限界値の間の任意の数値、並びに、限界値又は限界値の間の任意数値からなる任意のサブ範囲を含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明は下記有益な効果がある。
【0031】
1)本発明に係るヒポクレリンは、原料が天然生成物から抽出されるため、入手しやすく、低コストで、量産が可能であり、毒性も副作用も小さく、代謝しやすく、該合成及び分離方法はシンプルで、高価な反応原料と複雑な分離手段を必要としない。
2)製造されたポリグリコール、第四級アンモニウム塩等の基で置換されたヒポクレリン誘導体は、ヒポクレリン母体よりも、吸収スペクトルが明らかなにレッドシフトし且つモル吸光係数が大幅に向上し、光増感条件下で活性酸素(一重項酸素を始め、スーパーオキシドフリーラジカル等の反応性酸素種も含む)を発生可能である。ヒポクレリン母体にポリグリコール又は第四級アンモニウム塩等の基の構造を導入することで親水性及び疎水性を調整して、該誘導体に異なる油水両親媒性を付与するとともに、細胞又は組織との生体適合性を高めることができる。このような油水両親媒性ヒポクレリン誘導体は、異なる臨床用途の要件を満たし、異なる投与形式に求められる親水性と親油性の矛盾を解決できる。
3)本発明で製造された多置換の近赤外ヒポクレリン誘導体は、ヒポクレリン母体よりも、吸収スペクトルが明らかに700nm以上にレッドシフトし、且つモル吸光係数が大きい。
4)本発明に係る油水両親媒性ヒポクレリン誘導体の光増感剤は、臨床で使用されている第1世代のポルフィリン系光増感剤や第2世代のフタロシアニン系光増感剤に比べて、吸収波長と吸光能が大幅に向上し、重要なことに、ポルフィリン系やフタロシアニン系の光増感剤の分離し難さや複雑な構造の決定し難さの難問を解決し、生成物の分離、精製が容易で、明確な構造を有する。より重要なことには、同じ条件下で、本発明に係る油水両親媒性ヒポクレリン誘導体の光増感剤は、第1世代および第2世代の市販光増感剤よりも腫瘍細胞に対してより高い光線力学的不活性化能力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について更に詳細に説明する。
図1】本発明による一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体の構造一般式を示す。
図2】本発明の実施例3におけるポリグリコール含有ヒポクレリンB誘導体HB-1、HB-2の合成反応スキームを示す。
図3】本発明の実施例4における脱アセチル化ヒポクレリンHCとアミノプロパノールを用いた合成反応スキームを示す。
図4】本発明の実施例46における長鎖第四級アンモニウム塩を含有する脱アセチル化ヒポクレリン誘導体の合成反応スキームを示す。
図5】本発明の実施例52におけるピペラジノヒポクレリンB誘導体HB-98、HB-99の合成反応スキームを示す。
図6】本発明の実施例67における多置換のヒポクレリンB誘導体I-1、I-2の合成反応スキームを示す。
図7】本発明の実施例1で抽出されたヒポクレリンB HB(a)、実施例3で製造されたポリグリコール含有ヒポクレリンB誘導体HB-1(b)及び実施例52で製造したピペラジノヒポクレリンB誘導体HB-98(c)の吸収スペクトル比較図を示す。
図8】本発明の実施例3におけるポリグリコール含有ヒポクレリン誘導体HB-1のそれぞれと一重項酸素捕捉剤(a)、スーパーオキシドフリーラジカル捕捉剤(b)との作用図を示す。
図9】本発明の実施例3におけるポリグリコール含有ヒポクレリン誘導体HB-1のそれぞれのHela細胞中での共焦点蛍光イメージング図を示す。
図10】異なる濃度のヘマトポルフィリン誘導体HpD、ヒポクレリンB HB、及び本発明の実施例3におけるポリグリコール含有ヒポクレリン誘導体HB-1によるHela細胞への暗毒性図(a)と光毒性図(b)を示す。
図11】異なる濃度のヘマトポルフィリン誘導体HpD、ヒポクレリンB HB、及び本発明の実施例3におけるポリグリコール含有ヒポクレリン誘導体HB-2によるHela細胞への暗毒性図(a)と光毒性図(b)を示す。
図12】異なる濃度のヘマトポルフィリン誘導体HpD、ヒポクレリンB HB、及び本発明の実施例4で合成したアミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体HC-3又はHC-4によるHela細胞への光毒性図を示す。
図13】異なる濃度のヘマトポルフィリン誘導体HpD、ヒポクレリンB HB、及び本発明の実施例46における長鎖第四級アンモニウム塩で修飾された脱アセチル化ヒポクレリン誘導体HC-87又はHC-88によるHela細胞への光毒性図を示す。
図14】異なる濃度のヘマトポルフィリン誘導体HpD、ヒポクレリンB HB、及び本発明の実施例52におけるピペラジノヒポクレリンB誘導体HB-98によるHela細胞への光毒性図を示す。
図15】(a)は本発明の実施例67におけるヒポクレリン誘導体I-1と一重項酸素捕捉剤の作用図を示す。(b)は本発明の実施例67におけるヒポクレリン誘導体I-1とスーパーオキシドフリーラジカル捕捉剤の作用図を示す。
図16】(a)は異なる濃度のクロリンCe6、ヒポクレリンB HB及び本発明の実施例67におけるヒポクレリン誘導体I-1、I-2によるHela細胞への暗毒性図を示す。(b)は異なる濃度のクロリンCe6、ヒポクレリンB HB及び本発明の実施例67におけるヒポクレリン誘導体I-1、I-2によるHela細胞への光毒性図を示す。
図17】(a)は本発明の実施例67におけるヒポクレリン誘導体II-2と一重項酸素捕捉剤の作用図を示す。(b)は本発明の実施例67におけるヒポクレリン誘導体II-2とスーパーオキシドフリーラジカル捕捉剤の作用図を示す。
図18】(a)は異なる濃度のクロリンCe6、ヒポクレリンB HB及び本発明の実施例86におけるヒポクレリン誘導体II-2によるHela細胞への暗毒性図を示す。(b)は異なる濃度のクロリンCe6、ヒポクレリンB HB及び本発明の実施例86におけるヒポクレリン誘導体II-2によるHela細胞への光毒性図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明をより明瞭に説明するために、以下、好適実施例と図面を参照しながら、本発明について更に説明する。図面中、類似した部材について同じ符号を付している。当業者であれば、以下の内容は例示であって限定的ではなく、本発明の保護範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0034】
実施例1
ヒポクレリンA(HA)の抽出
Hypocrella bambusae 100gを粉砕機で粉砕して、ソックスレー抽出器に投入し、アセトン1000mLを溶剤として、略無色になるまで1日間連続して抽出し、抽出液を濾過して浸入した少量の固体不溶物を除去し、次に回転乾燥させてアセトンを除去し、ジクロロメタン500mLで溶解して、4×400mL蒸留水で洗浄し、有機層を分離して回転乾燥させて、固体残留物を石油エーテル5×100mLで洗浄して、該固体を空気中で自然風乾し、次にクロロホルム-石油エーテルで2回再結晶化して、目的生成物として純度98%以上のヒポクレリンA(HA)結晶を得た。薄層シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により、石油エーテル:酢酸エチル:無水エタノール(30:10:1)を展開剤として、更に精製して高純度ヒポクレリンAを得た。
【0035】
ヒポクレリンB(HB)の製造
ヒポクレリンBはヒポクレリンAをアルカリ性条件において脱水して得るものであり、製造方法は1989年9巻252-254頁の趙開弘による有機化学参考書を参照して適切に改良したものである。具体的に、ヒポクレリンA 1gを1.5%KOH水溶液1000mLに溶解して、遮光下撹拌しながら24時間反応後、僅かに過剰な希塩酸で中和して、クロロホルムで生成物を抽出し、分離精製してヒポクレリンB 0.98gを収率98%で得た。
【0036】
脱アセチル化ヒポクレリン(HC)の製造
ヒポクレリンB 200mgを1.5%水酸化カリウム水溶液100mLに溶解して、遮光下還流反応を8h行い、冷却後、僅かに過剰な希塩酸で中和して、ジクロロメタンで生成物を抽出し、分離精製して、脱アセチル化ヒポクレリンB(HC)110mgを収率56%で得た。1H NMR (CDCl3,δ, ppm): 16.0 (s, -OH, 1H), 15.9 (s, -OH, 1H), 6.62 (d, 1H), 6.35 (s, 2H), 4.14, 4.12 (s, -OCH3, 6H), 4.02 (s, -OCH3, 3H),3.1 (d, 2H), 2.25 (s, -OCH3, 3H)。
【0037】
実施例2
本発明に係る長鎖第四級アンモニウム塩含有誘導体は以下の汎用方法により製造されるものであり、H2NCH2CH2-N+(CH32(C1021)を例にして説明する。
【化12】
【0038】
中間体S1の製造
N,N-ジメチルエチレンジアミン(4.4g、0.05mol)と炭酸ジエチル(7.10g、0.06mol)を100ミリリットルの丸底フラスコに混合して、反応液を70℃で48h反応させ、次に減圧蒸留して淡黄色液体7.20gを収率89%で得た。1H NMR (CDCl3,δ, ppm): 5.45 (s, -NH-, 1H), 4.10(d, J= 6.5 Hz, -CH2O, 2H), 3.24 (s, -NH-CH2-, 2H), 2.39 (m, -CH2N, 2H), 2.22 (d, J= 1.5 Hz, CH3NCH3, 6H), 1.23 (t, J=6.5 Hz, -CH2CH3, 3H)。
【0039】
中間体S2の製造
中間体S1と1-ブロモデカン(15.25g、0.05mol)を100℃で48h反応させて、次に72h反応させた。粗生成物をアセトン-エーテル(1:1)で処理して白色結晶2計15.83gを収率約68%で得た。1H NMR (CDCl3,δ,ppm): 6.73 (s,CONH-,1H),4.10 (q,J= 7.1 Hz,-CH2O-,2H),3.77 (s,-CH2N+,4H),3.53 (s,CH3N+,6H),3.39(s,-NHCH2-,2H),1.78-1.67 (m,-N+CH2CH2-,2H),1.31-1.20 (m,-CH2-,29H),0.88 (t,J= 6.8 Hz,-CH3,3H). MS(ESI+): C235022+ (M+H+),385.3788。
【0040】
長鎖第四級アンモニウム塩誘導体S3の製造
中間体S2(10.60g、0.02mol)に48%臭化水素酸50mLと蒸留水50mLを加えて、加熱して還流反応を72h行った。回転蒸発させて臭化水素酸を除去し、固体残留物をエタノール:エーテル(1:1)で再結晶化して白色綿状結晶13.62gを収率69%で得た。1H NMR (D2O,δ,ppm): 5.34 (s,NH2,2H),3.65 (m,NH2CH2CH2-,2H),3.48 (m,-N+CH2CH2-,2H),3.38 (m,NH2CH2-,2H),3.12 (s,N+-CH3,6H),1.78 (m,N+CH2CH2-,2H),1.37-0.99 (m,-CH2-,26H),0.76 (t,J= 6.5 Hz,-CH3,3H). MS (ESI+): C20462 + (M+H+),313.3590。
【0041】
実施例3
アミノエチルエチレングリコール修飾ヒポクレリン誘導体(R=-CH2CH2OCH2CH2OH)の製造
合成経路は図2に示される。
ヒポクレリンB HB(100mg、0.18mmol)とアミノエチルエチレングリコール(0.40g、4mmol)を無水アセトニトリル20mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、50℃に加熱して、遮光下撹拌しながら10h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去した。青黒色の固体残留物をジクロロメタン200mLで溶解して、順に希塩酸水溶液100mLで1回洗浄して、蒸留水で2回洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、アセトン:酢酸エチル(体積比1:1)を展開剤として、Rf値がそれぞれ0.80と0.24の2種の青黒色の固体生成物を得て、Rf 0.24の生成物を同定したところ、2位と17位で同時に置換した生成物であり、HB-1とし、収率は12.2%であり、Rf 0.80の成分を続けてアセトン:石油エーテル(体積比1:1)プレートクロマトグラフィーにより分離して、R値が0.85のもの(検出した結果、2位でアミノ基により置換された生成物、HB-2と記載)を収率6.5%で得た。
2,17-位アミノ置換生成物HB-1のキャラクタリゼーションデータ:1HNMR(CDCl3,δ,ppm): 17.16 (s,ArOH,1H),12.96 (s,ArOH,1H),6.98 (s,ArH,1H),6.55 (s,ArH,1H),6.34 (s,ArNH,1H),5.35 (s,ArNH,1H),5.22 (s,OH,1H),5.01
(s,OH,1H),4.18 (s,OCH3,3H),4.06 (s,OCH3,3H),4.04 (s,OCH3,3H),3.91-3.61 (m,NHCH2 CH2O,12H),3.56 (d,CH,1H),3.25 (d,CH,1H),2.27 (s,COCH3,3H),2.19 (m,CH2O,2H),2.02 (m,CH2O,2H),1.57 (s,CH3,3H),1.41-1.02 (m,CH2-,19H),0.78 (t,CH3,3H). MS(ESI): C3740211 (M + H+),689.0.紫外線最大吸収波長:468 nm,630 nm。
2-位アミノ置換生成物HB-2のキャラクタリゼーションデータ:1HNMR (CDCl3,δ,ppm): 16.76 (s,ArOH,1H),16.51 (s,ArOH,1H),6.50 (s,ArH,1H),6.47 (s,ArH,1H),6.40 (s,ArH,1H),5.80 (s,CH2,1H),5.23 (s,CH2,1H),4.18 (s,OCH3,3H),4.08 (s,OCH3,3H),4.02 (s,OCH3,3H),3.83-3.76 (m,NHCH2CH2,4H),3.67-3.62 (m,OCH2CH2,4H),2.78 (s,OH,1H),2.27 (s,COCH3,3H),1.61 (s,CH3,3H). MS (ESI): C3331NO10,624.1 (M + Na+),600.5(M - H)。紫外線最大吸収波長:464nm、625nm。
【0042】
上記アミノ置換生成物HB-1、HB-2の構造式は図示したとおりである。
【化13】
【0043】
実施例4
3-アミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体(R=-CH2CH2CH2OH)の製造
合成経路は図3に示される。
脱アセチル化ヒポクレリンHC(100mg、0.20mmol)とアミノエチルエチレングリコール(0.30g、4mmol)を無水テトラヒドロフラン20mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、60℃に加熱して、遮光下撹拌しながら12h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去した。青黒色の固体残留物をジクロロメタン200mLで溶解して、順に希塩酸水溶液100mLで1回洗浄して、蒸留水で2回洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、アセトン:酢酸エチル(体積比1:1)を展開剤として、青黒色の固体生成物を収率15.2%で得て、Rf値は0.45、質量スペクトルMS(ESI+): 530.6であった。前記アミノ置換生成物HC-3(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-4(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化14】
【0044】
実施例5
アミノエチルトリグリコール修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-(CH2CH2-(OCH2CH22-OH)の製造
合成方法は実施例3のアミノエチルエチレングリコール修飾ヒポクレリンB誘導体の製造と類似する。2位と17位で同時にアミノ基により置換された生成物HB-5:収率8.4%、Rf 0.24、MS (ESI+) 777.5、紫外線最大吸収波長468nm、632nm。2-位アミノ置換生成物HB-6:収率5.8%、Rf 0.55、MS (ESI+): 646.6、紫外線最大吸収波長462nm、625nm。前記アミノ置換生成物HB-5、HB-6の構造式は図示したとおりである。
【化15】
【0045】
実施例6
アミノエチルテトラグリコール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体(R=-(CH2CH2-(OCH2CH23-OH)の製造
合成方法は実施例4の3-アミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた生成物:収率10.5%、Rf 0.25、キャラクタリゼーションデータ:MS (ESI+):648.5、紫外線最大吸収波長468nm、632nm。前記アミノ置換生成物HC-7(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-8(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化16】
【0046】
実施例7
アミノエチルペンタグリコール修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-(CH2CH2-(OCH2CH24-OH)の製造
合成方法は実施例3のアミノエチルエチレングリコール修飾ヒポクレリンB誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-9:収率12.4%、Rf 0.30、MS (ESI+): 953.0、紫外線最大吸収波長475nm、640nm。2-位アミノ置換生成物HB-10:収率6.4%、Rf 0.65、MS (ESI+): 734.3、紫外線最大吸収波長470nm、630nm。前記アミノ置換生成物HB-9、HB-10の構造式は図示したとおりである。
【化17】
【0047】
実施例8
アミノエチルポリエチレングリコール修飾脱アセチル化ヒポクレリンB誘導体(R=-(CH2CH2-(OCH2CH2n-OH)の製造
合成方法は実施例4の3-アミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた生成物:収率17.5%、Rf 0.25、キャラクタリゼーションデータ:MS (ESI+): 560.0、紫外線最大吸収波長480nm、635nm。前記アミノ置換生成物HC-11(二重結合はC13=C14に位置する)、HC-12(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化18】
【0048】
実施例9
3-アミノプロピルエチレングリコール修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-(CH23-OCH2CH2OH)の製造
合成方法は実施例3のアミノエチルエチレングリコール修飾ヒポクレリンB誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-13:収率6.5%、Rf 0.16、質量スペクトルMS (ESI+): 717.2、紫外線最大吸収波長476nm、632nm。2-位アミノ置換生成物HB-14:収率5.4%、Rf 0.50、質量スペクトルMS (ESI+): 615.6、紫外線最大吸収波長463nm、624nm。前記アミノ置換生成物HB-13、HB-14の構造式は図示したとおりである。
【化19】
【0049】
実施例10
アミノ酢酸エチレングリコールエステル修飾脱アセチル化ヒポクレリンB誘導体(R=-CH2COOCH2CH2OH)の製造
合成方法は実施例4の3-アミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた生成物:収率18.5%、Rf 0.18、質量スペクトルMS (ESI+): 574.5、紫外線最大吸収波長474nm、638nm。前記アミノ置換生成物HC-15(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-16(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化20】
【0050】
実施例11
アミノ酢酸ジエチレングリコールエステル修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-CH2CO(OCH2CH22OH)の製造
合成方法は実施例3のアミノエチルエチレングリコール修飾ヒポクレリンB誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-17:収率6.2%、Rf 0.16、MS (ESI+): 805.5、紫外線最大吸収波長468nm、635nm。2-位アミノ置換生成物HB-18:収率3.4%、Rf 0.60、MS (ESI+): 659.6、紫外線最大吸収波長462nm、624nm。前記アミノ置換生成物HB-17、HB-18の構造式は図示したとおりである。
【化21】
【0051】
実施例12
アミノ酢酸トリエチレングリコールエステル修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体(R=-CH2CO(OCH2CH23OH)の製造
合成方法は実施例4の3-アミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた生成物:収率17.2%、Rf 0.18、質量スペクトルMS (ESI+): 662.3、紫外線最大吸収波長466nm、640nm。前記アミノ置換生成物HC-19(二重結合はC13=C14に位置する)、HC-20(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化22】
【0052】
実施例13
アミノプロピオン酸ポリエチレングリコールエステル修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-(CH22CO(OCH2CH2nOH)の製造
合成方法は実施例3のアミノエチルエチレングリコール修飾ヒポクレリンB誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-21:収率8.5%、Rf 0.18、紫外線最大吸収波長485nm、645nm。2-位アミノ置換生成物HB-22:収率4.5%、Rf 0.50、紫外線最大吸収波長465nm、635nm。前記アミノ置換生成物HB-21、HB-22の構造式は図示したとおりである。
【化23】
【0053】
実施例14
アミノ吉草酸トリエチレングリコールエステル修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体(R=-(CH24CO(OCH2CH23OH)の製造
合成方法は実施例4の3-アミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた生成物:収率12.5%、Rf 0.21、質量スペクトルMS (ESI+): 704.5、紫外線最大吸収波長455nm、642nm。前記アミノ置換生成物HC-23(二重結合はC13=C14に位置する)、HC-24(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化24】
【0054】
実施例15
アミノメタンスルホン酸エチレングリコールエステル修飾ヒポクレリン誘導体(R=-CH2SO2-OCH2CH2-OH)の製造
ヒポクレリンB HB(100mg、0.18mmol)とアミノメタンスルホン酸モノエチレングリコールエステル(610mg、4mmol)を無水アセトニトリル20mLに溶解して、窒素ガス保護下、55℃に加熱して、遮光下撹拌しながら8h反応させた後、回転蒸発させて溶剤を除去した。青黒色の固体残留物をジクロロメタン200mLで溶解して、順に希塩酸水溶液で2回洗浄して、蒸留水で1回洗浄し、有機層を乾燥させて濾過し、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品を薄層シリコーンクロマトグラフィー法により分離して、アセトン:石油エーテル(体積比2:1)を展開剤として、2種の青黒色の固体生成物を得た。2,17位アミノ置換生成物HB-25:収率9.2%、Rf 0.18、MS (ESI+): 789.2、紫外線最大吸収波長470nm、640nm。2-位アミノ置換生成物HB-26:収率4.4%、Rf 0.55、MS (ESI+): 652.6、紫外線最大吸収波長465nm、628nm。前記アミノ置換生成物HB-25、HB-26の構造式は図示したとおりである。
【化25】
【0055】
実施例16
アミノメタンスルホン酸ジエチレングリコールエステル修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体(R=-CH2SO2(OCH2CH22OH)の製造
合成方法は実施例15のアミノメタンスルホン酸ジエチレングリコールエステル修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた生成物:収率16.2%、Rf 0.16、質量スペクトルMS (ESI+): 654.2、紫外線最大吸収波長468nm、635nm。前記アミノ置換生成物HC-27(二重結合はC13=C14に位置する)、HC-28(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化26】
【0056】
実施例17
アミノメタンスルホン酸テトラエチレングリコールエステル修飾ヒポクレリン誘導体(R=-CH2SO2(OCH2CH24OH)の製造
合成方法は実施例15のアミノメタンスルホン酸ジエチレングリコールエステル修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-29:収率8.4%、Rf 0.16、質量スペクトルMS (ESI+): 1053.4、紫外線最大吸収波長468nm、648nm。2-位アミノ置換生成物HB-30:収率5.4%、Rf 0.62、質量スペクトルMS (ESI+): 784.6、紫外線最大吸収波長462nm、625nm。前記アミノ置換生成物HB-29、HB-30の構造式は図示したとおりである。
【化27】
【0057】
実施例18
アミノブタンスルホン酸トリエチレングリコールエステル修飾ヒポクレリン誘導体(R=-CH2CH2CH2CH2SO2(OCH2CH23OH)の製造
合成方法は実施例15のアミノメタンスルホン酸ジエチレングリコールエステル修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた生成物:収率16.5%、Rf 0.21、質量スペクトルMS (ESI+): 1036.5、紫外線最大吸収波長455nm、638nm。前記アミノ置換生成物HC-31(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-32(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化28】
【0058】
実施例19
エチレンジアミン基置換トリグリコール修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-(CH2CH2-NHCH2CH2-OCH2CH2-OH)の製造
合成方法は実施例3のアミノエチルエチレングリコール修飾ヒポクレリンB誘導体の製造と類似する。2位と17位で同時にアミノ基により置換された生成物HB-33:収率9.4%、Rf 0.18、MS (ESI+) 775.5、紫外線最大吸収波長469nm、635nm。2-位アミノ置換生成物HB-34:収率8.8%、Rf 0.58、MS (ESI+): 644.6、紫外線最大吸収波長464nm、626nm。前記アミノ置換生成物HB-33、HB-34の構造式は図示したとおりである。
【化29】
【0059】
実施例20
エチレンジアミントリグリコール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体(R=-(CH2CH2-NHCH2CH2-(OCH2CH22-OH)の製造
合成方法は実施例4の3-アミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。前記生成物:収率19.5%、Rf 0.22、キャラクタリゼーションデータ:MS (ESI+):646.5、紫外線最大吸収波長468nm、631nm。前記アミノ置換生成物HC-35(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-36(二重結合はC14=C15に位置する)の構造は図示したとおりである。
【化30】
【0060】
実施例21
アミノエチルメルカプト置換ジエチレングリコール修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-CH2CH2-S-CH2CH2-OCH2CH2-OH)の製造
合成方法は実施例3のアミノエチルエチレングリコール修飾ヒポクレリンB誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-37:収率11.4%、Rf 0.35、MS (ESI+) 809.0、紫外線最大吸収波長475nm、640nm。2-位アミノ置換生成物HB-38:収率7.4%、Rf 0.68、MS (ESI+): 662.3、紫外線最大吸収波長470nm、630nm。前記アミノ置換生成物HB-37、HB-38の構造式は図示したとおりである。
【化31】
【0061】
実施例22
アミノエチルメルカプト置換ペンタグリコール修飾脱アセチル化ヒポクレリンB誘導体(R=-(CH2CH2-S-CH2CH2-(OCH2CH23-OH)の製造
合成方法は実施例4の3-アミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。
前記生成物:収率17.5%、Rf 0.12、キャラクタリゼーションデータ:MS(ESI+): 709.0、紫外線最大吸収波長480nm、635nm。前記アミノ置換生成物HC-39(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-40(二重結合はC14=C15に位置する)の構造は図示したとおりである。
【化32】
【0062】
実施例23
アミノプロピオンアミドテトラエチレングリコールエチルエーテル修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-CH2CH2CONH-CH2CH2-(OCH2CH23-OCH3)の製造
合成方法は実施例3のアミノエチルエチレングリコール修飾ヒポクレリンB誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-41:収率7.8%、Rf 0.15、質量スペクトルMS (ESI+): 1035.2、紫外線最大吸収波長461nm、643nm。2-位アミノ置換生成物HB-42:収率5.4%、Rf 0.54、質量スペクトルMS (ESI+): 775.1、紫外線最大吸収波長458nm、622nm。前記アミノ置換生成物HB-41、HB-42の構造式は図示したとおりである。
【化33】
【0063】
実施例24
アミノバレルアミドテトラエチレングリコールエステル修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-(CH24CH2CONH-CH2CH2-(OCH2CH23-OCH3)の製造
合成方法は実施例4の3-アミノプロパノール修飾脱アセチル化ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。前記生成物:収率16.5%、Rf 0.21、質量スペクトルMS (ESI+): 760.5、紫外線最大吸収波長455nm、642nm。前記アミノ置換生成物HC-43(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-44(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化34】
【0064】
実施例25
ヘキシルアミン修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-CH2CH2CH2CH2CH2CH3)の製造
ヒポクレリンB HB(100mg、0.18mmol)とヘキシルアミン(0.51g、5mmol)を無水アセトニトリル50mLに溶解して、窒素ガス保護下、55℃に加熱して、遮光下撹拌しながら8h反応させた後、回転蒸発させて溶剤を除去した。青黒色の固体残留物をジクロロメタン200mLで溶解して、順に希塩酸水溶液で2回洗浄して、蒸留水で1回洗浄し、有機層を乾燥させて濾過し、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品を薄層シリコーンクロマトグラフィー法により分離して、アセトン:石油エーテル(体積比2:1)を展開剤として、2種の青黒色の固体生成物を得た。2,17位アミノ置換生成物HB-45:収率28.6%、Rf 0.24、質量スペクトルMS (ESI+): 695.4、紫外線最大吸収波長455nm、635nm。2-位アミノ置換生成物HB-46:収率14.6%、Rf 0.38、質量スペクトルMS (ESI+): 598.2、紫外線最大吸収波長452nm、626nm。前記アミノ置換生成物HB-45、HB-46の構造式は図示したとおりである。
【化35】
【0065】
実施例26
ブチルアミン修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-CH2CH2CH2CH3)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-47:収率32.6%、Rf 0.26、質量スペクトルMS (ESI+): 625.4、紫外線最大吸収波長454nm、632nm。2-位アミノ置換生成物HB-48:収率14.6%、Rf 0.38、質量スペクトルMS (ESI+): 570.2、紫外線最大吸収波長448nm、624nm。前記アミノ置換生成物HB-47、HB-48の構造式は図示したとおりである。
【化36】
【0066】
実施例27
オクチルアミン修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-49:収率22.6%、Rf 0.16、質量スペクトルMS (ESI+): 737.4、紫外線最大吸収波長452nm、632nm。2-位アミノ置換生成物HB-50:収率18.6%、Rf 0.60、質量スペクトルMS (ESI+): 626.2、紫外線最大吸収波長445nm、621nm。前記アミノ置換生成物HB-49、HB-50の構造式は図示したとおりである。
【化37】
【0067】
実施例28
ブチルヘキシルアミン修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-CH2CH2CH2CH2)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた生成物:収率38.6%、Rf 0.24、質量スペクトルMS (ESI+):528.4、紫外線最大吸収波長455nm、635nm。前記アミノ置換生成物HC-51(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-52(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化38】
【0068】
実施例29
ベンジルアミノヒポクレリンB誘導体(R=-CH265)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-53:収率25.4%、Rf 0.22、質量スペクトルMS (ESI+): 691.2、紫外線最大吸収波長453nm、642nm。2-位アミノ置換生成物HB-54:収率14.5%、Rf 0.45、質量スペクトルMS (ESI+): 604.9、紫外線最大吸収波長453nm、622nm。前記アミノ置換生成物HB-53、HB-54の構造式は図示したとおりである。
【化39】
【0069】
実施例30
フェニルブチルアミン修飾ヒポクレリンB誘導体(R=-CH2CH2CH2CH265)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-55:収率17.5%、Rf 0.23、質量スペクトルMS (ESI+): 1037.5、紫外線最大吸収波長452nm、636nm。2-位アミノ置換生成物HB-56:収率14.8%、Rf 0.36、質量スペクトルMS(ESI+): 776.3、紫外線最大吸収波長452nm、619nm。前記アミノ置換生成物HB-55、HB-56の構造式は図示したとおりである。
【化40】
【0070】
実施例31
2-メチルピリジンアミノヒポクレリンB誘導体(R=-CH254N)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミンヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-57:収率25.4%、Rf 0.22、質量スペクトルMS (ESI+): 693.2、紫外線最大吸収波長453nm、634nm。2-位アミノ置換生成物HB-58:収率14.5%、Rf 0.45、質量スペクトルMS (ESI+): 606.9、紫外線最大吸収波長450nm、622nm。前記アミノ置換生成物HB-57、HB-58の構造式は図示したとおりである。
【化41】
【0071】
実施例32
フェニルブチルアミン修飾脱アセチル化ヒポクレリンB誘導体(R=-CH2CH2CH2CH254N)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。前記生成物:収率17.5%、Rf 0.23;質量スペクトルMS (ESI+): 605.5、紫外線最大吸収波長:452nm、636nm。前記アミノ置換生成物HC-59(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-60(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化42】
【0072】
実施例33
4-メチルピリジニウム塩ブチルアミノヒポクレリンB誘導体(R=-(CH2454+(C611))の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-61:収率15.4%、Rf 0.22、質量スペクトルMS (ESI+): 984.2、紫外線最大吸収波長453nm、634nm。2-位アミノ置換生成物HB-62:収率14.5%、Rf 0.45、質量スペクトルMS (ESI+): 767.9、紫外線最大吸収波長450nm、622nm。前記アミノ置換生成物HB-61、HB-62の構造式は図示したとおりである。
【化43】
【0073】
実施例34
ヒポクレリンBヒドラジン(R=-NH2)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-63:収率25.4%、Rf 0.28、質量スペクトルMS (ESI+): 543.8、紫外線最大吸収波長455nm、640nm。2-位アミノ置換生成物HB-64:収率12.6%、Rf 0.48、質量スペクトルMS (ESI+): 529.9、紫外線最大吸収波長448nm、625nm。前記アミノ置換生成物HB-63、HB-64の構造式は図示したとおりである。
【化44】
【0074】
実施例35
脱アセチル化ヒポクレリンBヒドラジン(R=-NH2)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。前記生成物:収率28.5%、Rf 0.30、質量スペクトルMS (ESI+): 486.8、紫外線最大吸収波長456nm、642nm。前記アミノ置換生成物HC-65(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-66(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化45】
【0075】
実施例36
ヒポクレリンBヒドラジン(R=-OH)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-67:収率28.6%、Rf 0.22、質量スペクトルMS (ESI+): 545.8、紫外線最大吸収波長452nm、632nm。2-位アミノ置換生成物HB-68:収率15.6%、Rf 0.46、質量スペクトルMS (ESI+): 531.9、紫外線最大吸収波長445nm、622nm。前記アミノ置換生成物HB-67、HB-68の構造式は図示したとおりである。
【化46】
【0076】
実施例37
脱アセチル化ヒポクレリンBヒドラジン(R=-OH)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。前記生成物:収率21.5%、Rf 0.28、質量スペクトルMS (ESI+): 488.8、紫外線最大吸収波長452nm、640nm。前記アミノ置換生成物HC-69(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-70(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化47】
【0077】
実施例38
シクロヘキシルアミン修飾ヒポクレリン(R=-C611)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-71:収率58.6%、Rf 0.58、質量スペクトルMS (ESI+): 677.5、紫外線最大吸収波長448nm、626nm。2-位アミノ置換生成物HB-72:収率12.6%、Rf 0.82、質量スペクトルMS (ESI+): 596.9、紫外線最大吸収波長446nm、618nm。前記アミノ置換生成物HB-71、HB-72の構造式は図示したとおりである。
【化48】
【0078】
実施例39
シクロヘキシルアミン修飾脱アセチル化ヒポクレリン(R=-C611)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミンヒポクレリン誘導体の製造と類似する。前記生成物:収率26.4%、Rf 0.30;質量スペクトルMS (ESI+): 553.8、紫外線最大吸収波長450nm、638nm。前記アミノ置換生成物HC-73(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-74(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化49】
【0079】
実施例40
シクロブチルアミン修飾ヒポクレリン(R=-C47)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-75:収率35.6%、Rf 0.52、質量スペクトルMS (ESI+): 621.5、紫外線最大吸収波長450nm、630nm。2-位アミノ置換生成物HB-76:収率15.6%、Rf 0.80、質量スペクトルMS (ESI+): 568.9、紫外線最大吸収波長448nm、622nm。前記アミノ置換生成物HB-75、HB-76の構造式は図示したとおりである。
【化50】
【0080】
実施例41
シクロペンチルアミン修飾ヒポクレリン(R=-C59)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-77:収率25.8%、Rf 0.56、質量スペクトルMS (ESI+): 649.5、紫外線最大吸収波長452nm、632nm。2-位アミノ置換生成物HB-78:収率10.2%、Rf 0.85、質量スペクトルMS (ESI+): 581.9、紫外線最大吸収波長450nm、625nm。前記アミノ置換生成物HB-77、HB-78の構造式は図示したとおりである。
【化51】
【0081】
実施例42
シクロヘプタミン修飾ヒポクレリン(R=-C59)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-79:収率28.1%、Rf 0.58、質量スペクトルMS (ESI+): 705.5、紫外線最大吸収波長454nm、634nm。2-位アミノ置換生成物HB-80:収率15.0%、Rf 0.75、質量スペクトルMS (ESI+): 610.2、紫外線最大吸収波長452nm、627nm。前記アミノ置換生成物HB-79、HB-80の構造式は図示したとおりである。
【化52】
【0082】
実施例43
パラメチルシクロヘキシルアミン修飾ヒポクレリン(R=-C610CH3)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-81:収率46.6%、Rf 0.52、質量スペクトルMS (ESI+): 705.5、紫外線最大吸収波長450nm、628nm。2-位アミノ置換生成物HB-82:収率10.1%、Rf 0.80、質量スペクトルMS (ESI+): 610.4、紫外線最大吸収波長448nm、621nm。前記アミノ置換生成物HB-81、HB-82の構造式は図示したとおりである。
【化53】
【0083】
実施例44
4-アミノピペリジン修飾ヒポクレリン(R=-C510N)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-83:収率26.5%、Rf 0.50、質量スペクトルMS (ESI+): 679.5、紫外線最大吸収波長452nm、630nm。2-位アミノ置換生成物HB-84:収率20.1%、Rf 0.82、質量スペクトルMS (ESI+): 597.4、紫外線最大吸収波長450nm、625nm。前記アミノ置換生成物HB-81、HB-82の構造式は図示したとおりである。
【化54】
【0084】
実施例45
3-ブテナミン修飾ヒポクレリン(R=-C47)の製造
合成方法は実施例25のヘキシルアミン修飾ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-85:収率16.5%、Rf 0.52、質量スペクトルMS (ESI+): 621.7、紫外線最大吸収波長450nm、632nm。2-位アミノ置換生成物HB-86:収率28.1%、Rf 0.84、質量スペクトルMS (ESI+): 568.9、紫外線最大吸収波長451nm、628nm。前記アミノ置換生成物HB-85、HB-86の構造式は図示したとおりである。
【化55】
【0085】
実施例46
N,N-ジメチル-N-デシルアンモニウム-エチルジアミノ脱アセチル化ヒポクレリンB(R=-CH2CH2-N+(CH32(C1021))の製造
合成経路は、図4に示されるように、脱アセチル化ヒポクレリンHC(100mg、0.18mmol)と実施例3で製造された長鎖第四級アンモニウム塩誘導体S3(224mg、0.72mmol)を無水アセトニトリル20mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、50℃に加熱して、遮光下撹拌しながら10h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去した。青黒色の固体残留物をジクロロメタン200mLで溶解して、順に希塩酸水溶液50mLで1回洗浄して、蒸留水で2回洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、アセトン:酢酸エチル:エタノール:ジエチルアミン(体積比20:1:1:3)を展開剤として、それぞれ2種の青黒色の固体生成物を得た。得られた生成物:収率24.2%、Rf 0.37、質量スペクトルMS (ESI+): 684.5、紫外線最大吸収波長453nm、630nm。前記アミノ置換生成物HC-87(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-88(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化56】
【0086】
実施例47
N,N-ジメチル-N-デシルアンモニウム-ブチレンジアミンアミノヒポクレリンB(R=-CH2CH2CH2CH2-N+(CH32(C1223))の製造
合成方法は実施例46の第四級アンモニウム塩含有ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた生成物2-位アミノ置換生成物:収率15.4%、Rf 0.36、キャラクタリゼーションデータ:MS (ESI+): 739.5、紫外線最大吸収波長462nm、624nm。前記アミノ置換生成物HC-89(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-90(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化57】
【0087】
実施例48
N,N,N-トリメチルアンモニウム-デカンジアミンヒポクレリンB(R=-(CH210-N+(CH33)の製造
合成方法は実施例46の第四級アンモニウム塩含有ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた2-位アミノ置換生成物:収率8.8%、Rf 0.35、キャラクタリゼーションデータ:MS (ESI+): 791.2、紫外線最大吸収波長464nm、626nm。前記アミノ置換生成物HC-91(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-92(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化58】
【0088】
実施例49
N,N-ジメチル-N-デシルポリグリコールアミノヒポクレリンB(R=-(CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-N+(CH32(C1021))の製造
合成方法は実施例46の第四級アンモニウム塩含有ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。得られた2-位アミノ置換生成物:収率15.5%、Rf 0.28。キャラクタリゼーションデータ:MS (ESI+): 771.2、紫外線最大吸収波長462nm、628nm。前記アミノ置換生成物HC-93(二重結合はC13=C14に位置する)又はHC-94(二重結合はC14=C15に位置する)の構造式は図示したとおりである。
【化59】
【0089】
実施例50
ピペラジノ脱アセチル化ヒポクレリンの製造
脱アセチル化ヒポクレリンHC(100mg、0.20mmol)とエチレンジアミン(421mg、2mmol)を無水アセトニトリル20mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、45℃に加熱して、遮光下撹拌しながら6h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去した。青黒色の固体残留物をジクロロメタン100mLで溶解して、希塩酸水溶液50mLで3回洗浄して、蒸留水で1回洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、アセトン:酢酸エチル:エタノール:ジエチルアミン(体積比20:1:1:1)を展開剤として、青黒色の固体生成物を得て、収率は49.8%、Rfは0.45であった。生成物のキャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,497.3。紫外線最大吸収波長:462nm、650nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HC-95に示される。
【化60】
【0090】
実施例51
メチルピペラジノ脱アセチル化ヒポクレリンBの製造
製造方法は実施例50のピペラジノ脱アセチル化ヒポクレリンの製造と類似する。収率59.8%、Rf 0.60。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,511.3。紫外線最大吸収波長:465nm、652nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HC-96又はHC-97に示される。
【化61】
【0091】
実施例52
ジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造
ヒポクレリンB HB(100mg、0.18mmol)とジメチルエチレンジアミン(421mg、2mmol)を無水アセトニトリル20mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、45℃に加熱して、遮光下撹拌しながら6h反応させて、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去した。青黒色の固体残留物をジクロロメタン100mLで溶解して、希塩酸水溶液50mLで3回洗浄して、蒸留水で1回洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、アセトン:酢酸エチル:エタノール:ジエチルアミン(体積比20:1:1:1)を展開剤として、青黒色の固体生成物を得て、収率は19.8%、Rfは0.45であった。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,569.3。紫外線最大吸収波長:462nm、650nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-98又はHB-99に示される。
【化62】
【0092】
実施例53
ジエチルピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率18.8%、Rf 0.38。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,596.8。紫外線最大吸収波長:465nm、655nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-99又はHB-100に示される。
【化63】
【0093】
実施例54
ジプロピルピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率21.2%、Rf 0.35。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,596.8。紫外線最大吸収波長:462nm、652nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-101又はHB-102に示される。
【化64】
【0094】
実施例55
ジブチルピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率21.5%、Rf 0.38。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,609.8。紫外線最大吸収波長:468nm、657nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HC-103又はHC-104に示される。
【化65】
【0095】
実施例56
ジブチルピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率18.8%、Rf 0.38。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,665.8。紫外線最大吸収波長:465nm、655nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HC-105又はHC-106に示される。
【化66】
【0096】
実施例57
トリメチルピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率23.4%、Rf 0.48。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,569.3。紫外線最大吸収波長:464nm、652nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-107又はHB-108に示される。
【化67】
【0097】
実施例58
ジブチル-メチルピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率18.8%、Rf 0.38。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,596.8。紫外線最大吸収波長:465nm、655nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-109又はHB-110に示される。
【化68】
【0098】
実施例59
ジヘキシル-メチルピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率18.8%、Rf 0.38。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,596.8。紫外線最大吸収波長:465nm、655nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-111又はHB-112に示される。
【化69】
【0099】
実施例60
ジメチル-ヒドロキシエチルピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率12.5%、Rf 0.35。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,611.6。紫外線最大吸収波長:463nm、652nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-113又はHB-114に示される。
【化70】
【0100】
実施例61
ジメチル-ジエチレングリコールピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率13.8%、Rf 0.40。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,655.6。紫外線最大吸収波長:460nm、655nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-115又はHB-116に示される。
【化71】
【0101】
実施例62
ジメチル-トリエチレングリコールピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率8.5%、Rf 0.45。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,699.1。紫外線最大吸収波長:462nm、658nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-117又はHB-118に示される。
【化72】
【0102】
実施例63
ジメチル-トリエチレングリコールピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例52のジメチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率8.5%、Rf 0.45。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,745.5。紫外線最大吸収波長:462nm、658nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-119又はHB-120に示される。
【化73】
【0103】
実施例64
ジヒドロキシエチルピペラジノヒポクレリンBの製造
ヒポクレリンB HB(100mg、0.18mmol)とジヒドロキシエチルエチレンジアミン(421mg、2mmol)を無水アセトニトリル20mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、45℃に加熱して、遮光下撹拌しながら6h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去した。青黒色の固体残留物をジクロロメタン100mLで溶解して、希塩酸水溶液50mLで3回洗浄して、蒸留水で1回洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濾過し、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、アセトン:酢酸エチル:エタノール:ジエチルアミン(体積比20:1:1:1)を展開剤として、青黒色の固体生成物を得て、収率は18.5%、Rfは0.21であった。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,583.5。紫外線最大吸収波長:463nm、650nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-121とHB-122に示される。
【化74】
【0104】
実施例65
ジヘキシル-ヒドロキシエチルピペラジノヒポクレリンBの製造
合成方法は実施例64のジヒドロキシエチルピペラジノヒポクレリンBの製造と類似する。収率25.5%、Rf 0.41。生成物キャラクタリゼーションデータ:ESI MS:m/z,596.8。紫外線最大吸収波長:468nm、652nm。前記生成物の構造式はそれぞれ式HB-123とHB-124に示される。
【化75】
【0105】
実施例66
DABACO第四級アンモニウム塩修飾ヒポクレリンB誘導体の製造
合成方法は実施例46の第四級アンモニウム塩含有ヒポクレリン誘導体の製造と類似する。2,17位アミノ置換生成物HB-125:収率12.4%、Rf 0.28、質量スペクトルMS (ESI+): 941.2、紫外線最大吸収波長455nm、635nm。2-位アミノ置換生成物HB-126:収率16.5%、Rf 0.48、質量スペクトルMS (ESI+): 746.9。紫外線最大吸収波長:451nm、624nm。前記アミノ置換生成物HB-125、HB-126の構造式は図示したとおりである。
【化76】
【0106】
実施例67
【化77】
化合物1の製造方法は文献Photoreactions of hypocrellin B with thiol compounds,Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology,1998,44,45-52;Synthesis of a new water-soluble phototherapeutic sensitizer from hypocrellin B with enhanced red absorption,Synthesis of a new water-soluble phototherapeutic sensitizer,Dyes and Pigments,1999,4,93-100を参照すればよい。ヒポクレリンB HB(0.2mM)5mLとメルカプトエチルアミン塩酸塩(0.01mM)のエタノール/水緩衝溶液(1/3、pH=10)の10群を10個の光化学反応器に投入して、室温下、450Wの高圧ナトリウムランプで光照射を20分間(ガラスロングパスフィルターで470nm以下の光をフィルタリングする)行った。反応終了後、10%の塩酸で酸性化した後、クロロホルムで抽出して、クロロホルム相を水で洗浄して回転乾燥させて、粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、クロロホルム:メタノール(体積比99:1)を展開剤として、4と5位置換、8と9位置換又は両方ともに置換されたHB混合物を得て、次にHPLCで分離して、化合物1を収率25.2%で得た。MS (ESI+): m/z C3227NO8S,[M + H]+=586.1。
100mgの化合物1とn-ブチルアミン10mLをピリジン100mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、50℃に加熱して、遮光下撹拌しながら10h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去し、固体残留物をクロロホルム100mLで溶解して、希塩酸水溶液50mLで複数回洗浄して溶液を中性にし、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品を1%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(体積比4:2.5:1)を展開剤として、それぞれ生成物I-1、I-2を得た。I-1:収率40.4%;MS (ESI+),m/z C353427S,[M + H]+=527.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、682nm(4.3)。I-2:収率12.9%;MS (ESI+),m/z C394336S,[M + H]+=682.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、691nm(4.2)。
暗毒性実験
所定濃度のHela細胞を96ウェルプレートに接種して、12-24時間培養後、96ウェルプレートにおける古い培養液を除去し、異なる濃度の化合物I-1溶液を加えて、1hインキュベートした後、光増感剤溶液を除去し、新しい培養液を加えて、37℃、5%CO2環境下で24h培養し、MTT法により各群の細胞の生存率を検出した。図16aに示されるように、化合物I-1は細胞毒性が極めて小さく、市販光増感剤であるクロリンCe6とヒポクレリンB HBの細胞毒性に等しい程度である。
光毒性実験
化合物I-1、HB及びCe6光増感剤をそれぞれ異なる濃度でHeLa細胞と共インキュベートして、37℃の5%CO2を含むインキュベータに入れて1hインキュベートした後、波長671nmのレーザを用いて、電力密度50mW/cm2で20min照射し、対応処理終了後、37℃の5%CO2を含むインキュベータに入れて培養し続けて24hインキュベートし、MTT法により各群の細胞の生存率を検出した。図16bに示されるように、200nMの化合物I-1は90%以上のHela細胞を殺滅でき、同一条件において市販光増感剤Ce6は30%程度のHela細胞しか殺滅できなかった。
【0107】
実施例68
【化78】
化合物2の製造方法は文献Photoreactions of hypocrellin B with thiol compounds,Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology,1998,44,45-52;Synthesis of a new water-soluble phototherapeutic sensitizer,Dyes and Pigments,1999,4,93-100を参照すればよい。5mLのヒポクレリンB HB(0.5mM)とシステイン塩酸塩(0.05mM)のメタノール/水緩衝溶液(1/3、pH=11)の10群を10個の光化学反応器に投入して、室温下、450Wの高圧ナトリウムランプで光照射を20分間(ガラスロングパスフィルターで470nm以下の光をフィルタリングする)行った。反応終了後、10%塩酸で酸性化した後、クロロホルムで抽出して、クロロホルム相を水で洗浄して回転乾燥させて、粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、クロロホルム:メタノール(体積比98:1)を展開剤として、4と5位置換、8と9位置換HBの混合物を得て、次にHPLCで分離して化合物2を収率24.5%で得た。MS (ESI+): m/z C3327NO10S,[M + H]+=630.1。
100mgの化合物2とn-ドデシルアミン5mLをピリジン100mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、50℃に加熱して、遮光下撹拌しながら15h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去し、固体残留物をクロロホルム100mLで溶解して、希塩酸水溶液50mLで溶液を洗浄して中性にし、有機相を回転乾燥させて、粗製品を得た。得られた粗製品を1.5%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により分離して、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(体積比4:2.5:1)を展開剤として、2種の生成物I-3、I-4を得た。I-3:収率20.4%;MS (ESI+),m/z C445029S,[M + H]+=783.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、680nm(4.3)。I-4:収率10.1%;MS (ESI+),m/z C394336S,[M + H]+=950.5;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、691nm(4.2)。
【0108】
実施例69
【化79】
実施例67の方法と同様に、ヒポクレリンB HB(0.5mM)5mLとメルカプトエチルアミン塩酸塩(0.1mM)のエタノール/水緩衝溶液(1/3、pH=11)の10群を10個の光化学反応器に投入して、室温下、450Wの高圧ナトリウムランプで光照射を30分間(ガラスロングパスフィルターで470nm以下の光をフィルタリングする)行った。反応終了後、10%の塩酸で酸性化した後、クロロホルムで抽出して、クロロホルム相を水で洗浄して回転乾燥させて、粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、クロロホルム:メタノール(体積比99:1)を展開剤として、4と5位置換、8と9位置換又は両方ともに置換されたHB混合物を得て、HPLCで分離して化合物3を収率30.9%で得た。MS (ESI+): m/z C3430272,[M + H]+=643.1。
100mgの化合物3と6-N,N-ジメチルアミノ-n-ヘキシルアミン10mLとを50mLテトラヒドロフランに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、55℃に加熱して、遮光下撹拌しながら18h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去し、固体残留物をクロロホルム100mLで溶解して、希塩酸水溶液50mLで複数回洗浄して溶液を中性にし、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品を2%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(体積比3:2:1)を展開剤として、分離して2種の生成物I-5、I-6を得た。I-5:収率26.4%;MS (ESI+),m/z C4146462,[M + H]+=755.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、712nm(4.0)。I-6:収率15.1%;MS (ESI+),m/z C4964652,[M + H]+=881.4;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、720nm(4.1)。
【0109】
実施例70
【化80】
化合物4の製造方法は文献Photoreactions of hypocrellin B with thiol compounds,Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology,1998,44,45-52;Synthesis of a new water-soluble phototherapeutic sensitizer,Dyes and Pigments,1999,4,93-100を参照すればよい。ヒポクレリンB
HB(0.5mM)4mLとメルカプトエチルアミン塩酸塩(0.05mM)のエタノール/水緩衝溶液(1/3、pH=11)の10群を10個の光化学反応器に投入して、室温下、450Wの高圧ナトリウムランプで光照射を20分間(ガラスロングパスフィルターで470nm以下の光をフィルタリングする)行った。反応終了後、10%の塩酸で酸性化した後、クロロホルムで抽出して、クロロホルム相を水で洗浄して回転乾燥させて、粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、クロロホルム:メタノール(体積比99:1)を展開剤として、4と5位置換、8と9位置換又は両方ともに置換されたHB混合物を得て、次にHPLCで分離して化合物4を収率27.3%で得た。MS (ESI+): m/z C4042272,[M+ H]+=727.2。
100mgの化合物4と6-スルホン酸ノルマルヘキシルアミン1gを1:1の80mLのジメチルスルホキシドと2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、120℃に加熱して、遮光下撹拌しながら4h反応させ、反応終了後、希塩酸でpHを中性に調整して、回転蒸発させて溶剤を除去し、得られた粗製品を1%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、ジクロロメタン:メタノール(体積比5:1)を展開剤とし、それぞれ生成物I-7、I-8を得た。I-7:収率30.4%;MS (ESI+),m/z C4553393,[M + H]+=876.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、715nm(4.4)。I-8:収率8.8%;MS (ESI+),m/z C51664114,[M +H]+=1039.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、721nm(4.2)。
【0110】
実施例71
【化81】
100mgの化合物3とシクロペンチルアミン10mLをピリジン100mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、50℃に加熱して、遮光下撹拌しながら15h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去し、固体残留物をクロロホルム100mLで溶解して、希塩酸水溶液50mLで複数回洗浄して溶液を中性にし、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品を1%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(体積比3:2:1)を展開剤として、分離して化合物I-9を得た。化合物I-9:収率46.4%;MS (ESI+),m/z C38H37N3O6S2,[M + H]+=696.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、710nm(4.2)。
【0111】
実施例72
【化82】
化合物5の製造方法は文献Photoreactions of hypocrellin B with thiol compounds,Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology,1998,44,45-52;Synthesis of a new water-soluble phototherapeutic sensitizer,Dyes and Pigments,1999,4,93-100を参照すればよい。ヒポクレリンB
HB(0.5mM)5mLとシステイントリエチレングリコールエステル(0.05mM)のエタノール/水緩衝溶液(1/3、pH=10)の10群を10個の光化学反応器に投入して、室温下、450Wの高圧ナトリウムランプで光照射を10分間(ガラスロングパスフィルターで470nm以下の光をフィルタリングする)行った。反応終了後、10%の塩酸で酸性化した後、得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、クロロホルム:メタノール(体積比99:1)を展開剤として、化合物1を収率31.6%で得た。MS (ESI+): m/z C48542172,[M
+ H]+=995.3。
100mgの化合物5とベンジルアミン10mLをピリジン100mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、55℃に加熱して、遮光下撹拌しながら12h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去し、固体残留物をクロロホルム100mLで溶解して、希塩酸で溶液をpHを中性に調整し、回転乾燥させて、粗製品を得て、得られた粗製品を1.5%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(体積比3:2:1)を展開剤として、化合物I-10を得た。化合物I-10:収率38.6%;MS (ESI+),m/zC54593162,[M + H]+=1070.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、713nm(4.2)。
【0112】
実施例73
【化83】
化合物6の製造方法は文献Photoreactions of hypocrellin B with thiol compounds,Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology,1998,44,45-52;Synthesis of a new water-soluble phototherapeutic sensitizer,Dyes and Pigments,1999,4,93-100を参照すればよい。ヒポクレリンB
HB(0.5mM)5mLと2-ジメチルシステイン(0.1mM)のメタノール/水緩衝溶液(1/3、pH=11)の10群を10個の光化学反応器に投入して、室温下、450Wの高圧ナトリウムランプで光照射を30分間(ガラスロングパスフィルターで470nm以下の光をフィルタリングする)行った。反応終了後、10%の塩酸で酸性化した後、クロロホルムで洗浄して、水相を回転乾燥させて、得られた粗製品をSephadex G-15 カラムクロマトグラフィーにより、水を溶離剤として処理して、化合物6を収率40.2%で得た。MS (ESI+): m/z C40382112、[M +
H]+=787.2。
100mgの化合物6と2-メチルアミノピリジン10mLをピリジン100mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、60℃に加熱して、遮光下撹拌しながら10h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去し、固体残留物をクロロホルム100mLで溶解して、希塩酸で溶液pHを中性に調整し、回転乾燥させて、粗製品を得て、得られた粗製品を1.5%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(体積比3:2:1)を展開剤として、化合物I-11を得た。化合物I-11:収率33.9%;MS (ESI+),m/z C45424102,[M + H]+=863.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、709nm(4.2)。
【0113】
実施例74
【化84】
化合物7の製造方法は文献Photoreactions of hypocrellin B with thiol compounds,Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology,1998,44,45-52;Synthesis of a new water-soluble phototherapeutic sensitizer,Dyes and Pigments,1999,4,93-100を参照すればよい。ヒポクレリンB
HB(0.2mM)5mLとシステインエチルエステル(0.01mM)のエタノール/水緩衝溶液(1/3、pH=10)の10群を10個の光化学反応器に投入して、室温下、450Wの高圧ナトリウムランプで光照射を20分間(ガラスロングパスフィルターで470nm以下の光をフィルタリングする)行った。反応終了後、10%の塩酸で酸性化した後、クロロホルムで抽出して、クロロホルム相を水で洗浄して回転乾燥させて、粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、クロロホルム:メタノール(体積比99:1)を展開剤として、4と5位置換、8と9位置換又は両方ともに置換されたHB混合物を得て、次にHPLCで分離して化合物7を収率24.5%で得た。MS (ESI+): m/z C3531NO10S,[M + H]+=658.2。
100mgの化合物7と4-モルホリン-シクロヘキシルアミン10mLをピリジン100mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、50℃に加熱して、遮光下撹拌しながら10h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去し、固体残留物をクロロホルム100mLで溶解して、希塩酸水溶液50mLで複数回洗浄して溶液を中性にし、有機相を回転乾燥させて粗製品を得た。得られた粗製品を1%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(体積比3:2:1)を展開剤として、化合物I-12を得た。化合物I-12:収率30.8%;MS (ESI+),m/z C4447310S,[M + H]+=810.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、685nm(4.2)。
【0114】
実施例75
【化85】
実施例71と同様に、化合物I-13を合成した。化合物I-13:収率46.4%;MS (ESI+),m/z C4041372,[M + H]+=740.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、710nm(4.1)。
【0115】
実施例76
【化86】
実施例72と同様に、化合物I-14を合成した。化合物I-14:収率26.6%;MS (ESI+),m/z C58737174,[M + H]+=1268.4;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、712nm(4.0)。
【0116】
実施例77
【化87】
実施例71と同様に、化合物I-15を合成した。化合物I-15:収率35.6%;MS (ESI+),m/z C4243382,[M + H]+=782.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、710nm(4.1)。
【0117】
実施例78
【化88】
100mgの化合物1と長鎖第四級アンモニウム塩誘導体200mgを無水アセトニトリル20mLに溶解して、窒素ガス保護下、50℃に加熱して、遮光下撹拌しながら10h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去し、固体残留物をジクロロメタン200mLで溶解して、希塩酸水溶液50mLで洗浄して中性にし、回転乾燥させて、粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、アセトン:酢酸エチル:エタノール:ジエチルアミン(体積比20:1:1:3)を展開剤として、それぞれ2種の生成物I-16、I-17を得た。I-16:収率16.4%;MS (ESI+),m/z C435237S,[M]+=754.4;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、681nm(4.2)。I-17:収率11.2%;MS
(ESI+),m/z C557956S,[M/2]+=468.8;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、692nm(4.3)。
【0118】
実施例79
【化89】
実施例78と同様に、化合物I-18、I-19を合成した。I-18:収率12.4%;MS (ESI+),m/z C41453102,[M + H]+=804.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、712nm(4.0)。I-19:収率8.1%;MS (ESI+),m/z C49624132,[M + H]+=979.4;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、718nm(4.1)。
【0119】
実施例80
【化90】
実施例68と同様に、化合物I-20、I-21を合成した。I-20:収率16.4%;MS (ESI+),m/z C435237S,[M]+=952.5;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、681nm(4.2)。I-21:収率11.2%;MS (ESI+),m/z C7611958S,[M/2]2+=630.9;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、691nm(4.1)。
【0120】
実施例81
【化91】
100mgの化合物3と400mgのアミノポリエチレングリコール2000をジクロロメタン20mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、室温遮光下撹拌しながら20h反応させ、反応終了後、エーテルを加えて固体を析出し、粗製品を得た。得られた粗製品をゲルクロマトグラフィーカラムにより更に分離して、化合物I-22を得た。化合物I-22:収率16.4%;MS (ESI+),m/z C3327262,[M+H]+=612.1;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、681nm(4.0)。
【0121】
実施例82
【化92】
化合物9の製造方法は文献Photoreactions of hypocrellin B with thiol compounds,Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology,1998,44,45-52;Synthesis of a new water-soluble phototherapeutic sensitizer,Dyes and Pigments,1999,4,93-100を参照すればよい。脱アセチル化ヒポクレリンCHC(0.2mM)5mLとメルカプトエチルアミン塩酸塩(0.01mM)のエタノール/水緩衝溶液(1/3、pH=10)の10群を10個の光化学反応器に投入して、室温下、450Wの高圧ナトリウムランプで光照射を10分間(ガラスロングパスフィルターで470nm以下の光をフィルタリングする)行った。反応終了後、10%の塩酸で酸性化した後、クロロホルムで抽出して、クロロホルム相を水で洗浄して回転乾燥させて、粗製品を得た。得られた粗製品をシリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、クロロホルム:メタノール(体積比99:1)を展開剤として、4と5位置換、8と9位置換又は両方ともに置換されたHB混合物を得て、次にHPLCで分離して化合物9を収率22.4%で得た。MS (ESI+): m/z C3025NO7S、[M + H]+=544.1。100mgの化合物9とアミノ酢酸10mLをピリジン20mLに溶解して、十分に混合した後、窒素ガス保護下、50℃に加熱して、遮光下撹拌しながら10h反応させ、反応終了後、回転蒸発させて溶剤を除去し、脱イオン水を加えて、酢酸エチルで洗浄し、水相を回転乾燥させて、粗製品を得た。得られた粗製品を1%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(体積比3:2:1)を展開剤として、2種の生成物I-23、I-24の混合物を得た。I-23とI-24:収率15.1%;MS (ESI+),m/z C322828S,[M + H]+=600.1;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、680nm(4.0)。
【0122】
実施例83
【化93】
実施例82と同様に、化合物I-25、I-26を合成した。I-25とI-26:収率11.4%;MS (ESI+),m/z C4146452,[M + H]+=739.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、710nm(4.0)。
【0123】
実施例84
【化94】
実施例72と同様に、化合物I-27、I-28を合成した。I-27とI-28:収率9.4%;MS (ESI+),m/z C3736492,[M + H]+=745.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、711nm(4.0)。
【0124】
実施例85
【化95】
200mgの化合物12を新しいテトラヒドロフラン100mLに溶解して、シクロヘキサンジアミン10mLを加えて、遮光条件において撹拌し、60℃で18時間反応させた。反応終了後、溶剤を減圧除去して、クロロホルムで溶解し、希塩酸で中性になるまで洗浄し、有機相を回転乾燥させて、粗製品を得て、1%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(体積比2:2:1)を展開剤として、化合物II-1を得た。化合物II-1:収率18.5%;MS (ESI+),m/z C4546492,[M + H]+=851.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、735nm(4.4)。
【0125】
実施例86
【化96】
実施例67と同様に、化合物12を合成した。200mgの化合物12を新しいテトラヒドロフラン100mLに溶解して、エチレンジアミン40mLを加え、遮光条件において撹拌して、55℃で12時間反応させた。反応終了後、溶剤を減圧除去して、クロロホルムで溶解し、希塩酸で中性になるまで洗浄し、有機相を回転乾燥させて、粗製品を得て、1%のKH2PO4シリカゲルプレートクロマトグラフィー法により更に分離して、石油エーテル:酢酸エチル:エタノール(体積比3:2:1)を展開剤として、化合物II-2を得た。化合物II-2:収率50.3%;MS (ESI+),m/z C342938S,[M + H]+=640.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、710nm(4.4)。
暗毒性実験
所定濃度のHela細胞を96ウェルプレートに接種して、12-24時間培養後、96ウェルプレートにおける古い培養液を除去し、異なる濃度の化合物II-2溶液を加えて、1hインキュベート後、光増感剤溶液を除去して、新しい培養液を加えて、37℃、5%のCO2環境下で24h培養し、MTT法により各群の細胞の生存率を検出した。図18aに示されるように、化合物II-2は細胞毒性が極めて小さく、市販光増感剤であるクロリンCe6とヒポクレリンB HBの細胞毒性に相当する程度である。
光毒性実験
化合物II-2、HB及びCe6光増感剤をそれぞれ異なる濃度でHeLa細胞と共インキュベートして、37℃の5%のCO2を含むインキュベータに入れて1hインキュベートした後、波長808nmのレーザを用いて、電力密度20mW/cm2で20min照射し、対応処理が終了した後、5%のCO2を含み且つ温度が37℃であるインキュベータにおいて続けて培養して24hインキュベートし、MTT法により各群の細胞の生存率を検出した。図18bに示されるように、300nMの化合物I-1は85%以上のHela細胞を殺滅でき、同一条件において市販光増感剤Ce6は20%程度のHela細胞しか殺滅できなかった。
【0126】
実施例87
【化97】
実施例67と同様に、化合物13を合成した。実施例86と同様に、化合物II-3、II-4を合成した。II-3:収率19.9%;MS (ESI+),m/z C373538S,[M + H]+=682.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、711nm(4.3)。II-4:収率18.6%;MS (ESI+),m/z C373538S,[M + H]+=682.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、711nm(4.3)。
【0127】
実施例88
【化98】
実施例69と同様に、化合物14を合成した。実施例85と同様に、化合物II-5を合成し、収率15.2%;MS (ESI+),m/z C4136492,[M + H]+=793.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、730nm(4.4)。
【0128】
実施例89
【化99】
実施例85と同様に、化合物II-6を合成した。化合物II-6:収率10.5%;MS (ESI+),m/z C4036492,[M + H]+=781.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、730nm(4.2)。
【0129】
実施例90
【化100】
実施例68と同様に、化合物15を合成した。実施例85と同様に、化合物II-7、II-8を合成した。II-7:収率15.9%;MS (ESI+),m/z C342938S,[M + H]+=640.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、715nm(4.4)。II-8:収率17.4%;MS (ESI+),m/z C342938S,[M + H]+=640.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、715nm(4.4)。
【0130】
実施例91
【化101】
実施例86と同様に、化合物II-9、II-10を合成した。II-9:収率9.9%;MS (ESI+),m/z C44486103,[M + H]+=917.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、734nm(4.2)。II-10:収率10.4%;MS (ESI+),m/z C44486103,[M + H]+=917.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、734nm(4.2)。
【0131】
実施例92
【化102】
実施例86と同様に、化合物II-11、II-12を合成した。II-11:収率10.0%;MS (ESI+),m/z C42404132,[M + H]+=873.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、735nm(4.3)。II-12:収率9.6%;MS (ESI+),m/z C42404132,[M + H]+=873.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、735nm(4.3)。
【0132】
実施例93
【化103】
実施例87と同様に、化合物II-13、II-14を合成した。II-13:収率12.7%;MS (ESI+),m/z C3938482,[M + H]+=755.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、732nm(4.0)。II-14:収率10.9%;MS (ESI+),m/z C3938482,[M + H]+=755.2;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、732nm(4.0)。
【0133】
実施例94
【化104】
実施例87と同様に、化合物II-15、II-16を合成した。II-15:収率8.2%;MS (ESI+),m/z C4552482,[M + H]+=841.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、731nm(4.0)。II-16:収率7.6%;MS (ESI+),m/z C4552482,[M + H]+=841.3;紫外線最大吸収波長λmax(logε)、731nm(4.0)。
【0134】
実施例95
細胞暗毒性実験
培養したHela細胞を0.25%のトリプシンで消化してピペットし、単細胞懸濁液を得て、細胞数を約2x104個/mLに調整し、1ウェルあたりに200uL接種するように、96ウェル培養板に接種して、5%のCO2を含み且つ温度が37℃であるインキュベータに入れて培養した。細胞接着後、上清培養液を捨てて、厳密な遮光条件において実験設計に従って、異なる濃度の光増感剤(ヘマトポルフィリン誘導体HpD、ヒポクレリンB HB、ヒポクレリン誘導体HB-1)を加えて、5%のCO2を含み且つ温度が37℃であるインキュベータに入れて続けて培養して1時間インキュベートした。MTT法により細胞の生存率を検出した。1ウェルあたりに20uLのMTT(PBSで調製、濃度5mg/ml)を加えて、5%のCO2を含み且つ温度が37℃であるインキュベータにおいて続けて4時間培養後、培養を終止して、ウェル中の上清液を慎重に吸い取って捨てて、次に1ウェルあたりにジメチルスルホキシド(DMSO)150uLを加え、マイクロ振とう装置で10分間振とうさせて、紫色結晶物を十分に溶解した。570nm波長を選択して、マイクロプレートリーダーにおいて各ウェルの光密度値(OD値)を検出し、細胞生存率=実験群OD値/空白群OD値×100%という式によって細胞の生存率を計算した。暗毒性図は図10aに示される。
【0135】
実施例96
細胞光毒性実験
培養したHela細胞を0.25%トリプシンで消化してピペットし、単細胞懸濁液を得て、細胞数を約2x104個/mLに調整し、1ウェルあたりに200uL接種するように、96ウェル培養板に接種して、5%のCO2を含み且つ温度が37℃であるインキュベータに入れて培養した。細胞接着後、上清培養液を捨てて、厳密な遮光条件において実験設計に従って、異なる濃度の光増感剤(ヘマトポルフィリン誘導体HpD、ヒポクレリンB HB、ヒポクレリン誘導体HB-1)を加えて、5%のCO2を含み且つ温度が37℃であるインキュベータに入れて続けて培養して1時間インキュベートした。次に波長635nmの半導体レーザで、電力密度20mW/cm2で、ビームが96ウェル培養板に均一に垂直照射するように1000S照射し、同時に、各96ウェル培養板について空白群を設置して、各条件ごとに6ウェルを設置した。光照射後、5%のCO2を含み且つ温度が37℃であるインキュベータにおいて続けて培養して24時間インキュベートし、次に細胞の生存率を検出した。MTT法により細胞の生存率を検出した。1ウェルあたりにMTT(PBSで調製、濃度5mg/ml)20uLを加えて、5%のCO2を含み且つ温度が37℃であるインキュベータにおいて続けて4時間培養後、培養を終止して、ウェル中の上清液を慎重に吸い取って捨てて、次に1ウェルあたりにジメチルスルホキシド(DMSO)150uLを加え、マイクロ振とう装置で10分間振とうさせ、紫色結晶物を十分に溶解した。570nm波長を選択して、マイクロプレートリーダーにおいて各ウェルの光密度値(OD値)を検出し、細胞生存率=実験群OD値/空白群OD値×100%という式によって細胞生存率を計算した。光毒性図は図10bに示される。
【0136】
比較例1
未修飾ヒポクレリンB(HB)の構造式は図5に示され、吸収スペクトルは、図7aに示されるように、450nmに最大吸収波長があり、また、赤色光吸収590nmで弱吸収が見られた。ヒポクレリンBは、光線力学的治療ウィンドウ600-900nmで吸光能力が弱く、光線力学的治療に用いると、腫瘍細胞に対する光線力学的殺滅能力が本発明による油水両親媒性ヒポクレリン誘導体の効果より遥かに低下した(図10-14)。
【0137】
比較例2
【化105】
特許(CN1194263A)には、化合物Aの最大吸収が623nmにあることが記載されており、本発明による多置換近赤外ヒポクレリン誘導体I-1に比べて、該比較例のヒポクレリン誘導体Aの最大吸収スペクトルの波長は約50nm低減した。
【0138】
比較例3
【化106】
文献(Hypocrellin derivative with improvements of red absorption and active oxygen
speciesgeneration,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2004,14,1499-1501)には、化合物Bの最大吸収が640nmにあることが記載されており、本発明による多置換近赤外ヒポクレリン誘導体II-2に比べて、該比較例のヒポクレリン誘導体Bの最大吸収スペクトル波長は約50nm低減した。
【0139】
結論
本発明による一置換又は多置換の油水両親媒性ヒポクレリン誘導体は、吸収スペクトルが明らかにレッドシフトし、且つモル吸光係数が大幅に増大し、極めて強い近赤外赤色光吸収能力と油水両親媒性を示している。いずれかの置換を欠くと、ヒポクレリン誘導体の効果は、ある点で、ある程度弱まる。
【0140】
本発明の上記実施例は本発明を明瞭に説明するための例示であり、本発明の実施形態を限定するものではなく、当業者であれば、上記説明に基づいてほかの形態の変化や変更を行うことができ、ここで全ての実施形態を網羅的に記載することは不可能であるが、本発明の技術案から導出された明白な変化や変更は本発明の保護範囲内に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図11
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図18