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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】伝送装置、及び伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020153164
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047320
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本島 大地
(72)【発明者】
【氏名】岡部 基彦
【審査官】和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-326808(JP,A)
【文献】特開2018-182371(JP,A)
【文献】特開2005-321921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送用ネットワークを介して第1の伝送装置との間でスキャン伝送制御する伝送制御部と、
第1の制御装置との間でシリアル通信制御を行う第1のシリアル転送部と、
前記第1のシリアル転送部と異なる通信規格であって、第2の制御装置と接続可能な第2の伝送装置との間でシリアル通信制御を行う第2のシリアル転送部と、
前記伝送制御部によるスキャン伝送制御によって周期的に送信されるデータと、前記第1のシリアル転送部を介して前記第1の制御装置から受信したデータと、前記第2のシリアル転送部を介して前記第2の伝送装置から受信したデータと、を記憶可能な記憶部と、
前記第1のシリアル転送部を介して接続されていた前記第1の制御装置から、リセット信号を受信した場合に、自装置のリセット制御し、当該自装置が再起動し、当該自装置が前記伝送用ネットワークに接続するためのアドレス情報を取得し、当該アドレス情報を、前記第2のシリアル転送部を介して前記第2の伝送装置に送信する通信制御部と、
を備える伝送装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記伝送制御部によるスキャン伝送制御でデータを受信した場合に、当該データを前記記憶部に保存すると共に、前記第2のシリアル転送部を介して、前記第2の伝送装置に送信する、
請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、前記記憶部に保存されたデータを、前記アドレス情報を付与して、前記伝送制御部を介して前記第1の伝送装置にスキャン伝送制御を行う場合に、前記アドレス情報が付与された当該データを、前記第2のシリアル転送部を介して、前記第2の伝送装置に送信する、
請求項1又は2に記載の伝送装置。
【請求項4】
第1の伝送装置と、第2の伝送装置と、を備える伝送システムにおいて、
前記第1の伝送装置は、
第1の制御装置との間でシリアル転送制御を行う第1のシリアル転送部と、
前記第1のシリアル転送部と異なる通信規格であって、前記第2の伝送装置との間でシリアル転送制御を行う第2のシリアル転送部と、
伝送用ネットワークを介して第1の伝送装置との間でのスキャン伝送制御を行う伝送制御部と、
前記伝送制御部を介して前記第1の伝送装置との間でのスキャン伝送によって周期的に送信される第1のデータと、前記第1のシリアル転送部で接続された前記第1の制御装置からシリアル転送される第2のデータと、前記第2のシリアル転送部で接続された前記第2の伝送装置からシリアル転送される第3のデータと、を記憶可能な第1の記憶部と、を備え、
第2の伝送装置は、
第2の制御装置との間でシリアル転送制御を行う第3のシリアル転送部と、
前記第3のシリアル転送部と異なる通信規格であって、前記第1の伝送装置との間でシリアル転送制御を行う第4のシリアル転送部と、
前記第3のシリアル転送部で接続された前記第2の制御装置からシリアル転送される第4のデータと、前記第4のシリアル転送部で接続された前記第2の伝送装置からシリアル転送される第5のデータと、を記憶可能な第2の記憶部と、を備える、
伝送システム。
【請求項5】
前記第1の伝送装置は、
前記第1のシリアル転送部を介して前記第1の制御装置からデータを受信した場合に、前記第1の記憶部に書き込むと共に、受信したデータを、前記第2のシリアル転送部を介して前記第2の伝送装置に転送する第1の制御部を、さらに備えた
請求項4に記載の伝送システム。
【請求項6】
前記第1の制御部は、さらに、前記伝送制御部が前記第1の伝送装置からデータを受信した場合に、一時記憶部に格納し、前記第2のシリアル転送部のクロックに同期した上で、受信したデータを、前記第2のシリアル転送部を介して前記第2の伝送装置に転送する、
請求項5に記載の伝送システム。
【請求項7】
前記第2の伝送装置は、
前記第3のシリアル転送部を介して前記第2の制御装置からデータを受信した場合に、前記第2の記憶部に書き込むと共に、受信したデータを、前記第4のシリアル転送部を介して前記第1の伝送装置に転送する第2の制御部を、さらに備えた、
請求項4乃至6のいずれか一つに記載の伝送システム。
【請求項8】
前記第1の伝送装置は、
前記第1の記憶部に保存されたデータを、前記伝送システムのアドレス情報を付与して、前記伝送制御部を介して前記第1の伝送装置にスキャン伝送制御を行う場合に、前記アドレス情報が付与された当該データを、前記第2のシリアル転送部を介して、前記第2の伝送装置に送信する第1の通信制御部を、備え、
前記第2の伝送装置は、
前記第4のシリアル転送部を介して前記第1の伝送装置から前記データを受信した場合に、前記データの送信元を示す前記アドレス情報が前記第1の伝送装置の場合に、前記第2の記憶部に書き込まない第2の通信制御部を、備える、
請求項4に記載の伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、伝送装置、及び伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リアルタイムイーサネット(登録商標)のネットワークでは、複数の伝送装置が、コモンメモリを備える。制御装置(例えば、PLC)から転送されることで、各伝送装置のコモンメモリに記憶されるデータは、伝送装置間でのスキャン伝送によって周期的に同報送信されるデータによって更新される。これにより、各伝送装置は、コモンメモリを利用して、ネットワークで接続される他の伝送装置とデータを共有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-129026号公報
【0004】
しかしながら、制御装置と、リアルタイムイーサネットに接続可能な伝送装置と、の間のデータ転送バスが、パラレルバス接続であるため、データ転送レートが低いことが多かった。このため、制御装置と伝送装置との間のデータ転送が、リアルタイムイーサネットのデータ転送レートに間に合わなくなる可能性がある。
【0005】
そこで、制御装置と、リアルタイムイーサネットに接続可能な伝送装置と、の間を高速シリアルバスで接続することが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PCIe(PCI―Express)等の高速シリアルバスは“point to point”であるため、1台の伝送装置と、複数の制御装置と、をシリアルバス接続しようとした場合、伝送システム内の1個の伝送基板に複数の高速シリアルバス(例えばPCIe)用のコントローラを搭載しようとすると回路規模が適さないため、コストが大幅に増加してしまうという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の伝送装置は、伝送制御部と、第1のシリアル転送部と、第2のシリアル転送部と、記憶部と、通信制御部と、を備える。伝送制御部は、伝送用ネットワークを介して第1の伝送装置との間でスキャン伝送制御する。第1のシリアル転送部は、第1の制御装置との間でシリアル通信制御を行う。第2のシリアル転送部は、第1のシリアル転送部と異なる通信規格であって、第2の制御装置と接続可能な第2の伝送装置との間でシリアル通信制御を行う。記憶部は、伝送制御部によるスキャン伝送制御によって周期的に送信されるデータと、第1のシリアル転送部を介して第1の制御装置から受信したデータと、第2のシリアル転送部を介して第2の伝送装置から受信したデータと、を記憶可能とする。通信制御部は、第1のシリアル転送部を介して接続されていた第1の制御装置から、リセット信号を受信した場合に、自装置のリセット制御し、当該自装置が再起動し、当該自装置が伝送用ネットワークに接続するためのアドレス情報を取得し、当該アドレス情報を、第2のシリアル転送部を介して第2の伝送装置に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかる伝送ネットワークの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態にかかるコントロールシステムのブロック構成を例示した図である。
図3図3は、実施形態にかかる第1の制御基板と第2の制御基板との構成を例示した図である。
図4図4は、実施形態にかかるコントロールシステムにおける初期化制御を示すシーケンス図である。
図5図5は、実施形態にかかる第1の制御装置の第1のプロセッサから第1の制御基板のコモンメモリへのメモリライトが行われた場合の処理を示したシーケンス図である。
図6図6は、実施形態にかかる他のコントロールシステムからサイクリック伝送制御によってフレームデータを受信した場合の処理を示したシーケンス図である。
図7図7は、実施形態にかかるコントロールシステムの第1の制御基板からサイクリック伝送制御によって伝送データを送信した場合の処理を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる伝送装置、及び伝送システムを適用した伝送ネットワークについて説明する。
【0010】
図1は、実施形態にかかる伝送ネットワークの構成の一例を示す図である。図1に示すように、伝送ネットワークは、リアルタイムイーサネット151を介して互いに通信可能な複数のコントロールシステム100、101、102、103と、を備えている。コントロールシステム100、101、102、103は、伝送ネットワークを介してスキャン伝送制御を行う装置を含むシステムであって一つの装置(伝送装置)で実現しても良い。
【0011】
リアルタイムイーサネット151とは、例えば、リアルタイム通信機能(IEC SC65C/306/NP準拠)と高信頼化機能をイーサネット上で実現する、国際標準規格のネットワークであるTC-netを用いることが考えられる。
【0012】
TC-netは、コントロールシステム100、101、102、103の各々が有するコモンメモリを介したサイクリックスキャン伝送によるタイムクリティカルなデータ転送を実現する。さらには、イーサネットの衝突を回避するMAC副層による時間確定的伝送のスケジューリングを実現すると共に、物理層の冗長化による、瞬断なしに動作継続できる2重伝送構成を実現している。
【0013】
当該リアルタイムイーサネット151は、PAやFA等の工場において、監視制御用LANとして、コントロールシステム間の高速・実時間伝送を実現する伝送用ネットワークの一例とする。
【0014】
図2は、コントロールシステム100のブロック構成を例示した図である。図2に示される例では、コントロールシステム100の例について説明するが、コントロールシステム101、102、103も同様として説明を省略する。
【0015】
コントロールシステム100は、マザーボード250と、第1の制御装置260と、第2の制御装置270と、伝送システム200と、を備えている。
【0016】
マザーボード250は、制御装置や伝送システム等を接続するためのインターフェースを有する構成とする。本実施形態のマザーボード250は、インターフェース(I/F)251、252、253、254と、を備えている。
【0017】
インターフェース(I/F)251、252、253、254は、他の制御装置や、伝送システム(伝送装置)等と接続するための物理的なインターフェースとする。本実施形態のマザーボード250は、インターフェース(I/F)251と、I/F252と、の間をシリアルバスで接続する。さらに、マザーボード250は、I/F253と、I/F254と、をシリアルバスで接続する。
【0018】
第1の制御装置260は、第1のプロセッサ263と、第5のシリアル転送I/F回路262と、I/F261とを備えている。
【0019】
I/F261は、マザーボード250と接続するための物理インターフェースとする。
【0020】
本実施形態は、シリアル転送の例として、PCIe(PCI Express)を用いる。第5のシリアル転送I/F回路262は、接続先との間でPCIeによるシリアル転送を行うための回路であって、例えば、ルート・コンプレックス又はエンドポイントとして機能する。
【0021】
第1のプロセッサ263は、第1の制御装置260全体を制御する制御部である。本実施形態では、第1のプロセッサ263は、(図示しない)メモリを作業領域として用いて、制御プログラム等の各種プログラムを実行する。これにより、第1の制御装置260に接続されている様々な装置を制御する。
【0022】
第2の制御装置270は、第2のプロセッサ273と、第6のシリアル転送I/F回路272と、I/F271とを備えている。
【0023】
I/F271は、マザーボード250と接続するための物理インターフェースとする。
【0024】
第6のシリアル転送I/F回路272は、接続先との間でPCIeによるシリアル転送を行うための回路であって、例えば、ルート・コンプレックス又はエンドポイントとして機能する。
【0025】
第2のプロセッサ273は、第2の制御装置270全体を制御する制御部である。本実施形態では、第2のプロセッサ273は、(図示しない)メモリを作業領域として用いて、制御プログラム等の各種プログラムを実行する。これにより、第2の制御装置270に接続されている様々な装置を制御する。
【0026】
伝送システム200は、I/F201、202、203と、第1の制御基板210と、第2の制御基板230と、を備える。
【0027】
I/F201は、リアルタイムイーサネット151と接続するための物理インターフェースとする。
【0028】
I/F202、203は、マザーボード250と接続するための物理インターフェースとする。
【0029】
第1の制御基板210は、I/F202を介して接続された第1の制御装置260と、I/F201を介して接続されたコントロールシステムと、伝送システム200内部の高速シリアルバスで接続された第2の制御基板230と、の間の通信を制御する第1の伝送装置の一例とする。
【0030】
第1の制御基板210は、通信I/F回路211と、第1の通信制御部212と、コモンメモリ213と、第1のシリアル転送I/F回路214と、第2のシリアル転送I/F回路215と、を備える。
【0031】
通信I/F回路211は、リアルタイムイーサネット(例えば、TC-net)151を介して他のコントロールシステム(伝送装置の一例)101~103との間でのスキャン伝送制御を行う伝送制御部として機能する。
【0032】
第1のシリアル転送I/F回路214は、第1の制御装置260との間でPCIeによるシリアル転送制御を行う第1のシリアル転送部として機能する回路であって、例えば、ルート・コンプレックス又はエンドポイントとして機能する。本実施形態では、第1の制御装置260との間でデータのシリアル転送制御として、PCIeバスを用いる例について説明するが、PCIeバス以外の高速シリアルバスを用いても良い。
【0033】
第1のシリアル転送I/F回路214は、第1の制御装置260との間でデータの転送を行う際に、シリアル-パラレル変換を行う。
【0034】
第2のシリアル転送I/F回路215は、第1のシリアル転送I/F回路214と異なる通信規格によって、第2の制御基板230との間でシリアル転送制御を行う第2のシリアル転送部として機能する。第2のシリアル転送I/F回路215は、第2の制御基板230との間でデータの転送を行う際に、シリアル-パラレル変換を行う。第2の制御基板230との間でデータのシリアル転送制御としては、例えば、IEEE 802.3z(1000BASE-X)を用いることが考えられる。
【0035】
これにより、第1の制御基板210は、PCIeバスをコントロールするシリアル転送I/F回路(例えば、第1のシリアル転送I/F回路214)を1つのみ搭載することで、伝送システム200として複数のPCIeバスで複数の制御装置と接続することを実現している。
【0036】
換言すれば、第1の制御基板210と第2の制御基板230との間を、IEEE 802.3z(1000BASE-X)による高速シリアルバスで接続して、コモンメモリ間を同期させることで、コントロールシステム100として複数のPCIeバスに接続を実現すると共に、第1の制御基板210と第2の制御基板230の各々は回路規模を小さくできる。
【0037】
コモンメモリ213は、他のコントロールシステム101~103との間でスキャン伝送によって周期的に同報送信されるデータ(以下、伝送データと称す)を記憶可能な複数のブロックを有するメモリである。
【0038】
さらに、コモンメモリ213のうち、コントロールシステム101用に割り当てられたブロックは、通信I/F回路211を介して他のコントロールシステム101~103との間でのスキャン伝送によって周期的に送信される伝送データと、第1のシリアル転送I/F回路214を介して第1の制御装置260からシリアル転送されるデータ(以下、第1のシリアルデータと称す)と、第2のシリアル転送I/F回路215で接続された第2の制御基板230からシリアル転送されるデータ(以下、第2のシリアルデータと称す)と、を記憶可能な第1の記憶部の一例とする。
【0039】
第1の通信制御部212は、第1の制御基板210のデータ通信の全体的な制御を行う。
【0040】
第2の制御基板230は、I/F203を介して接続された第2の制御装置270と、伝送システム200内部の高速シリアルバスで接続された第1の制御基板210と、の間の通信を制御する第2の伝送装置の一例とする。
【0041】
第2の制御基板230は、第2の通信制御部231と、コモンメモリ232と、第3のシリアル転送I/F回路233と、第4のシリアル転送I/F回路234と、を備える。
【0042】
第3のシリアル転送I/F回路233は、第2の制御装置270との間でPCIeによるシリアル転送制御を行う第3のシリアル転送部として機能する回路であって、例えば、ルート・コンプレックス又はエンドポイントとして機能する。
【0043】
第3のシリアル転送I/F回路233は、第2の制御装置270との間でデータの転送を行う際に、シリアル-パラレル変換を行う。
【0044】
第4のシリアル転送I/F回路234は、第3のシリアル転送I/F回路233と異なる通信規格によって、第1の制御基板210との間でシリアル転送制御を行う第4のシリアル転送部として機能する。第4のシリアル転送I/F回路234は、第1の制御基板210との間でデータの転送を行う際に、シリアル-パラレル変換を行う。第1の制御基板210との間でデータのシリアル転送制御としては、例えば、IEEE 802.3z(1000BASE-X)を用いることが考えられる。
【0045】
コモンメモリ232は、第1の制御基板210と第2の制御基板230との間で同期制御を行うことで、コモンメモリ213と同様に、他のコントロールシステム101~103との間でスキャン伝送によって周期的に同報送信される伝送データを記憶可能な複数のブロックを有するメモリである。
【0046】
さらに、コモンメモリ232のうち、コントロールシステム101用に割り当てられたブロックは、第3のシリアル転送I/F回路233を介して第2の制御装置270からシリアル転送されるデータ(以下、第3のシリアルデータと称す)と、第4のシリアル転送I/F回路234で接続された第1の制御基板210からシリアル転送されるデータ(以下、第4のシリアルデータと称す)と、を記憶可能な第2の記憶部の一例とする。
【0047】
第2の通信制御部231は、第2の制御基板230のデータ通信の全体的な制御を行う。
【0048】
図3は、第1の制御基板210と第2の制御基板230との構成を例示した図である。図3に示されるように、第1の制御基板210の第1の通信制御部212は、受信回路302と、送信回路303と、スキャン送受信回路304と、メモリ調停回路305と、転送調停回路309と、第1のFIFO310と、第2のFIFO311と、を備えている。
【0049】
受信回路302は、通信I/F回路211から伝送データ(RXD)を受信する。受信回路302は、通信I/F回路211のTC-netのPHY同期クロック(PCLK)にて動作する。
【0050】
送信回路303は、通信I/F回路211から伝送データ(TXD)を送信する。送信回路303は、通信I/F回路211のTC-netのPHY同期クロック(PCLK)にて動作する。
【0051】
スキャン送受信回路304は、通信I/F回路211がリアルタイムイーサネット151を介してスキャン伝送制御を行う際に、スキャン伝送制御されるデータに関する制御を行う。例えば、スキャン送受信回路304は、メモリ調停回路305を介して、コモンメモリ213から受け取ったデータに基づいて、伝送データを生成する。その際に、スキャン送受信回路304は、コントロールシステム100に割り当てられたIPアドレスを、送信元を示す情報として付与する。さらに、スキャン送受信回路304は、スキャン伝送を行う際に、伝送データの調停を行う。さらに、スキャン送受信回路304は、受信した伝送データに基づいたRAS情報の更新を行う。
【0052】
RAS(Reliability, Availability and Serviceability)情報は、リアルタイムイーサネット151や、コモンメモリに関する様々な情報を含んでいる。例えば、RAS情報は、インリングマップ、トーカマップ、通信エラー情報、システムログ、スキャンヘルシーマップを備えている。
【0053】
インリングマップは、コモンメモリ上にある最大254ステーションのトークンリングへの加入/離脱を示すビットマップ情報とする。トーカマップは、各スキャンブロックをどこのステーションで送信しているかを示すマップ情報とする。通信エラー情報は、エラーカウンタ、フラグ等によって、各通信プロトコルで検出されたRAS情報とする。システムログは、異常事象及び監視事象を時系列に並べたトレース情報とする。スキャンヘルシーマップは、伝送データが設定通りの周期で更新されているかどうかを示すビットマップ情報とする。
【0054】
メモリ調停回路305は、第1の制御装置260の第1のシリアルデータ、スキャン伝送による伝送データ、第2の制御基板230の第2のシリアルデータにおける、コモンメモリ213に対するアクセスの優先付けを行う回路とする。
【0055】
第1のFIFO310は、通信I/F回路211から受信回路302に流れる伝送データを一時的に格納するメモリとする。第1のFIFO310には、通信I/F回路211のPHY同期クロックと、第2のシリアル転送I/F回路215のシリアル転送同期クロック(SCLK)と、が入力される。そして、第1のFIFO310は、PHY同期クロックに基づいて入力された伝送データを、シリアル転送同期クロックに基づいて、第2のシリアル転送I/F回路215に出力する。
【0056】
第2のFIFO311は、送信回路303から通信I/F回路211に流れる伝送データを一時的に格納するメモリとする。第2のFIFO311には、通信I/F回路211のPHY同期クロックと、第2のシリアル転送I/F回路215のシリアル転送同期クロック(SCLK)と、が入力される。そして、第2のFIFO311は、PHY同期クロックに基づいて入力された伝送データを、シリアル転送同期クロックに基づいて、第2のシリアル転送I/F回路215に出力する。
【0057】
転送調停回路309は、第1のFIFO310に一時的に格納された伝送データ、及び第2のFIFO311に一時的に格納された伝送データの出力を調停する。本実施形態では、転送調停回路309は、送信される伝送データと比べて、受信される伝送データを優先する。さらに、転送調停回路309は、伝送データ間のコリジョン検出機能を有する。
【0058】
第2の制御基板230の第2の通信制御部231は、第3のFIFO352と、受信回路353と、スキャン送受信回路354と、メモリ調停回路355と、を備えている。
【0059】
第3のFIFO352は、第4のシリアル転送I/F回路234と受信回路353との間を流れるシリアルデータを一時的に格納するメモリとする。
【0060】
受信回路353は、第4のシリアル転送I/F回路234からシリアルデータを受信する。
【0061】
スキャン送受信回路354は、第4のシリアル転送I/F回路234を介して転送されるシリアルデータに関する制御を行う。さらに、スキャン送受信回路304は、受信した伝送データに基づいたRAS情報の更新を行う。
【0062】
メモリ調停回路355は、第2の制御装置270の第3のシリアルデータ、第1の制御基板210の第4のシリアルデータにおける、コモンメモリ232に対するアクセスの優先付けを行う回路とする。
【0063】
図4は、コントロールシステム100における初期化制御を示すシーケンス図である。
【0064】
コントロールシステム100が再起動した後、第1の制御装置260の第1のプロセッサ263は、BIOS、及びOSを起動させる(S401)。
【0065】
その後、第1の制御装置260の第1のプロセッサ263は、第5のシリアル転送I/F回路262から、第1の制御基板210にPCIリセット信号を送信する(S402)。
【0066】
これにより、第1の制御基板210は、S402のPCIリセット信号を受信した場合、第1のシリアル転送I/F回路214をリセットさせ(S411)、初期状態に再起動する(S412)。
【0067】
一方、コントロールシステム100が再起動した後、第2の制御装置270の第2のプロセッサ273は、BIOS、及びOSを起動させる(S431)。
【0068】
その後、第2の制御装置270の第2のプロセッサ273は、第6のシリアル転送I/F回路272から、第2の制御基板230にPCIリセット信号を送信する(S432)。
【0069】
これにより、第2の制御基板230は、S432のPCIリセット信号を受信した場合、第3のシリアル転送I/F回路233をリセットさせ(S421)、初期状態に再起動する(S422)。
【0070】
一方、第1の制御基板210の第1の通信制御部212は、再起動した後、通信I/F回路211で接続されているリアルタイムイーサネット151におけるIPアドレスを取得し、レジスタに保存する(S413)。
【0071】
第1の制御基板210の第1の通信制御部212は、第1のシリアル転送I/F回路214を介して設定情報を、第1の制御装置260に送信する(S414)。設定情報は、第1の制御基板210に関する第1の制御装置260が保持すべき設定情報であれば良い。後述する設定情報も同様として説明を省略する。
【0072】
一方、第1の制御装置260の第1のプロセッサ263は、第5のシリアル転送I/F回路262を介して設定情報を、第1の制御基板210に送信する(S403)。
【0073】
第1の制御装置260の第1のプロセッサ263は、第1の制御基板210から受信した設定情報を、レジスタに保存する(S404)。
【0074】
第1の制御基板210の第1の通信制御部212は、第1の制御装置260から受信した設定情報を、レジスタに保存する(S415)。
【0075】
第2の制御基板230の第2の通信制御部231は、第3のシリアル転送I/F回路233を介して設定情報を、第2の制御装置270に送信する(S423)。
【0076】
一方、第2の制御装置270の第2のプロセッサ273は、第6のシリアル転送I/F回路272を介して設定情報を、第2の制御基板230に送信する(S432)。
【0077】
第2の制御装置270の第2のプロセッサ273は、第2の制御基板230から受信した設定情報を、レジスタに保存する(S433)。
【0078】
第2の制御基板230の第2の通信制御部231は、第2の制御装置270から受信した設定情報を、レジスタに保存する(S424)。
【0079】
第1の制御基板210の第1の通信制御部212は、S413で取得したIPアドレスを、第2の制御基板230を送信する(S416)。
【0080】
第2の制御基板230の第2の通信制御部231は、第1の制御基板210から受信したIPアドレスを、レジスタに保存する(S425)。
【0081】
上述した処理手順を行うことで、設定情報及びIPアドレスを相互に保持することができる。
【0082】
つまり、第1の通信制御部212は、第1のシリアル転送I/F回路214を介して接続されていた第1の制御装置260から、リセット信号を受信した場合に、自装置である第1の制御基板210をリセット制御し、当該第1の制御基板210を再起動させる。そして、第1の通信制御部212は、再起動した後、リアルタイムイーサネット(例えば、TC-net)151に接続するためのIPアドレス(アドレス情報の一例)を取得し、IPアドレスを、第2のシリアル転送I/F回路215を介して、第2の制御基板230(第2の伝送装置の一例)に送信する。これにより、第2の制御基板230は、第1の制御基板210から伝送データを受け取った際に、第1の制御基板210から送信された伝送データであるか否かを認識できる。
【0083】
次に、図5は、第1の制御装置260の第1のプロセッサ263から第1の制御基板210のコモンメモリ213へのメモリライトが行われた場合の処理を示したシーケンス図である。第1のプロセッサ263から第1の制御基板210のコモンメモリ213にデータのメモリライトが行われた場合に、第2の制御基板230のコモンメモリ232に同じデータをメモリライトする。
【0084】
まず、第1のプロセッサ263が、第5のシリアル転送I/F回路262を介し、PCIeバスを用いてシリアルデータを第1の制御基板210に送信する(S501)。
【0085】
第1の制御基板210の第1のシリアル転送I/F回路214は、受信したシリアルデータについて、シリアル-パラレル変換を行い、メモリ調停回路305にパラレルデータを出力する(S511)。
【0086】
第1の通信制御部212のメモリ調停回路305は、リアルタイムイーサネット(例えば、TC-net)151からの伝送データ、RAS情報、第2の制御基板230からのパラレルデータ(ライトデータ)、及び受信したパラレルデータにアクセス優先付けを行い、パラレルデータをコモンメモリ213に書き込む(S512)。
【0087】
さらに、メモリ調停回路305は、コモンメモリ213に書き込まれたデータと同様のパラレルデータを、第2のシリアル転送I/F回路215に出力する。これにより、第2のシリアル転送I/F回路215は、入力されたパラレルデータについて、パラレル-シリアル変換を行う(S513)。
【0088】
そして、第2のシリアル転送I/F回路215は、S513によって変換されたシリアルデータを、IEEE 802.3z(1000BASE-X)が適用されたシリアルバスを用いて第2の制御基板230に送信する(S514)。
【0089】
そして、第2の制御基板230の第4のシリアル転送I/F回路234は、受信したシリアルデータについて、シリアル-パラレル変換を行い、メモリ調停回路355にパラレルデータを出力する(S521)。
【0090】
メモリ調停回路355は、受信したパラレルデータについて、アクセス優先付けを行った上で、当該アクセス優先に従ってパラレルデータをコモンメモリ213に書き込む(S522)。
【0091】
上述した処理を行うことで、コモンメモリ213とコモンメモリ232とに格納されるデータを同期させることができる。
【0092】
つまり、第1の通信制御部212は、第1のシリアル転送I/F回路214を介してコントロールシステム(第1の制御装置の一例)101から伝送データを受信した場合に、コモンメモリ213(第1の記憶部の一例)に書き込むと共に、受信したデータを、第2のシリアル転送I/F回路215を介して第2の制御基板230に転送する。
【0093】
図5で示される例は、第1の制御装置260の第1のプロセッサ263から第1の制御基板210のコモンメモリ213へのメモリライトが行われた場合の処理を示している。
【0094】
第2の制御装置270の第2のプロセッサ273から第2の制御基板230のコモンメモリ232へのメモリライトが行われた場合も同様の処理が行われるものとする。つまり、第2のプロセッサ273から第2の制御基板230のコモンメモリ232にデータのメモリライトが行われた場合に、第1の制御基板210のコモンメモリ213に同じデータをメモリライトする。
【0095】
つまり、第2の制御基板230の第2の通信制御部231は、第3のシリアル転送I/F回路233を介して第2の制御装置270からデータを受信した場合に、コモンメモリ232に書き込むと共に、受信したデータを、第4のシリアル転送I/F回路234を介して第1の制御基板210に転送している。これにより、コモンメモリ232とコモンメモリ213との間のデータの同期を実現できる。具体的な処理は、上記と同様として説明を省略する。
【0096】
次に、図6は、他のコントロールシステム(例えばコントロールシステム101)からサイクリック伝送制御によってフレームデータを受信した場合の処理を示したシーケンス図である。本実施形態においては、コントロールシステム101からサイクリック伝送制御によって受信したデータを、第1の制御基板210のコモンメモリ213にメモリライトが行われた場合に、第2の制御基板230のコモンメモリ232に同じデータをメモリライトする。
【0097】
まず、コントロールシステム101が、サイクリック伝送制御によって伝送データを第1の制御基板210に送信する(S601)。
【0098】
第1の制御基板210の通信I/F回路211は、受信した伝送データについて、シリアル-パラレル変換を行い、変換した伝送データをPHY同期クロックと共に受信回路302、及び第1のFIFO310に出力する(S611)。
【0099】
受信回路302は、受信した伝送データの同期クロックを、PHY同期クロックから、第1の通信制御部212のシステムクロックに変更する(S612)。受信回路302は、伝送データのエラー診断、及びフレームタイプ判定を行った後、伝送データをスキャン送受信回路304に出力する(S613)。フレームタイプ判定は、伝送データに格納された属性情報に基づいて判定であって、従来と同様のため説明を省略する。属性情報としては、例えば、スキャンの周期が、低速、高速等のレベル分けがあるが、他の属性でも良い。当該レベル分けに応じて、後述するS616のアクセス優先付けや、データの書込先のアドレス情報等が定められる。
【0100】
スキャン送受信回路304は、コモンメモリ213に書き込みするためのアドレス指定、及びデータフォーマット変換を行う(S614)。スキャン送受信回路304は、伝送データに基づいてRAS情報を更新する(S615)。
【0101】
メモリ調停回路305は、リアルタイムイーサネット(例えば、TC-net)151からの伝送データ、RAS情報にアクセス優先付けを行い、アクセス優先付けに従ってパラレルデータをコモンメモリ213に書き込む(S616)。
【0102】
第1のFIFO310は、入力された伝送データを、シリアル転送同期クロックと同期して、転送調停回路309に出力する。
【0103】
転送調停回路309は、第1のFIFO310から出力された伝送データ、第2のFIFO311から出力された伝送データについて優先付けを行い、当該優先付けに従って伝送データを、第2のシリアル転送I/F回路215に転送する(S617)。転送調停回路309は、コリジョン検出機能を有し、コリジョン発生の際は、サイクリック伝送制御により受信した伝送データである、第1のFIFO310から出力された伝送データを優先的に送信する。転送調停回路309は、コリジョン情報を送信する伝送データに格納する。
【0104】
なお、S617は、説明のためにS612~S616の後に示したが、S617は、シリアル転送同期クロックに基づいて定められるものであり、S612~S617のうちいずれか一つ以上より先に行われても良い。
【0105】
第2のシリアル転送I/F回路215は、伝送データについて、パラレル-シリアル変換を行う(S618)。受信した伝送データにコリジョンありの場合、コリジョン発生ステータスをラッチし、対象フレームデータを読み込まないよう制御する。
【0106】
そして、第2のシリアル転送I/F回路215は、S618によって変換されたシリアルデータを、IEEE 802.3z(1000BASE-X)を用いるシリアルバスを介して第2の制御基板230に送信する(S619)。
【0107】
そして、第2の制御基板230の第4のシリアル転送I/F回路234は、受信したシリアルデータについて、シリアル-パラレル変換を行い、メモリ調停回路355にパラレルデータを出力する(S621)。
【0108】
スキャン送受信回路354は、第3のFIFO352及び受信回路353を介して、パラレルデータに基づいてRAS情報を更新し、メモリ調停回路355に出力する(S712)。
【0109】
メモリ調停回路355は、受信したパラレルデータ及びRAS情報について、アクセス優先付けを行った上で、当該アクセス優先に従ってパラレルデータをコモンメモリ213に書き込む(S622)。
【0110】
上述した処理を行うことで、コモンメモリ213とコモンメモリ232とに格納されるデータを同期させることができる。
【0111】
第1の通信制御部212は、通信I/F回路211がコントロールシステム101(第1の伝送装置の一例)から伝送データを受信した場合に、第1のFIFO310(一時記憶部の一例)に一時的に格納し、第2のシリアル転送I/F回路215のシリアル転送同期クロックに同期した上で、受信したデータを、第2のシリアル転送I/F回路215を介して第2の制御基板230(第2の伝送装置の一例)に転送する。
【0112】
次に、図7は、コントロールシステム100の第1の制御基板210からサイクリック伝送制御によって伝送データを送信した場合の処理を示したシーケンス図である。本実施形態においては、第1の制御基板210からサイクリック伝送制御によって送信する伝送データを、第2の制御基板230に送信するが、第2の制御基板230は、受信した伝送データをコモンメモリ232に書き込まない。
【0113】
メモリ調停回路305は、リアルタイムイーサネット151におけるスキャン周期でデータ取得のタイミングとなった場合に、コモンメモリ213にアクセスし、伝送制御の対象となるデータを取得する(S701)。
【0114】
スキャン送受信回路304は、メモリ調停回路305から入力されたデータに対して、送信元としてコントロールシステム100のIPアドレス情報を付与した上で、伝送制御を行うためのフレームフォーマットに変換し(伝送データを生成し)、送信回路303に転送する(S702)。
【0115】
スキャン送受信回路304は、伝送データの転送に基づいて、RAS情報を更新し、メモリ調停回路305に転送し、コモンメモリ213に書き込む(S703)。
【0116】
送信回路303は、スキャン送受信回路304からの伝送データを、物理層で送信するためのPHYフレームフォーマットに変換し、通信I/F回路211と、第2のFIFO311と、に出力する(S704)。その際に、データの同期クロックが、システムクロックから、PHY同期クロックに変更される。
【0117】
通信I/F回路211は、PHYフレームフォーマットに変換された伝送データを受け取り、シリアル-パラレル変換を行う(S705)。その後、通信I/F回路211は、変換された後の伝送データを、リアルタイムイーサネット(例えば、TC-net)151から送信する(S706)。
【0118】
第2のFIFO311は、S704で入力された伝送データを、シリアル転送同期クロックと同期して、転送調停回路309に出力する。
【0119】
転送調停回路309は、第1のFIFO310から出力された伝送データ、第2のFIFO311から出力された伝送データについて優先付けを行い、当該優先付けに従って伝送データを、第2のシリアル転送I/F回路215に転送する(S707)。転送調停回路309は、コリジョン検出機能を有し、コリジョン発生の際は、サイクリック伝送制御により受信した伝送データである、第1のFIFO310から出力された伝送データを優先的に送信する。転送調停回路309は、コリジョン情報を送信する伝送データに格納する。
【0120】
なお、S707は、説明のためにS705~S706の後に示したが、S707は、シリアル転送同期クロックに基づいて定められるものであり、S705~S706のうちいずれか一つ以上より先に行われても良い。
【0121】
第2のシリアル転送I/F回路215は、伝送データについて、パラレル-シリアル変換を行う(S708)。受信した伝送データにコリジョンありの場合、コリジョン発生ステータスをラッチし、対象フレームデータを読み込まないよう制御する。
【0122】
そして、第2のシリアル転送I/F回路215は、S708によって変換されたシリアルデータを、IEEE 802.3z(1000BASE-X)を用いるシリアルバスを介して第2の制御基板230に送信する(S709)。
【0123】
そして、第2の制御基板230の第4のシリアル転送I/F回路234は、受信したシリアルデータについて、シリアル-パラレル変換を行い、メモリ調停回路355にパラレルデータを出力する(S711)。
【0124】
スキャン送受信回路354は、第3のFIFO352及び受信回路353を介して、パラレルデータに基づいてRAS情報を更新し、メモリ調停回路355に出力する(S712)。
【0125】
メモリ調停回路355は、受信したパラレルデータについて、当該パラレルデータに格納されている送信元の示すIPアドレスが、コントロールシステム100を示すIPアドレスの場合に、コモンメモリ232にパラレルデータを書き込まず、RAS情報のみコモンメモリ232に書き込む(S713)。
【0126】
ところで、第1の制御基板210から送信される伝送データは送信されるデータであるため、コモンメモリ232に格納される必要は無い。しかしながら、当該伝送データが送信されることで第1の制御基板210が保持するRAS情報は更新される。そこで、図7に示す処理を行うことで、第2の制御基板230のコモンメモリ232も伝送データが送信されたことによるRAS情報の更新が行われるため、コモンメモリ213とコモンメモリ232とを同期させることができる。
【0127】
このように、第1の通信制御部212は、コモンメモリ213に保存されたデータを、IPアドレス情報を付与して、通信I/F回路211を介して他のコントロールシステム101~103にスキャン伝送制御を行う場合に、IPアドレスが付与された伝送データを、第2のシリアル転送I/F回路215を介して、第2の制御基板230に送信する。
【0128】
そして、第2の制御基板230の第2の通信制御部231は、第4のシリアル転送I/F回路234を介して、第1の制御基板210からシリアルデータを受信した際、当該シリアルデータに格納されているIPアドレスが第1の制御基板210の場合に、受信したシリアルデータに基づいたRAS情報を更新すると共に、当該シリアルデータをコモンメモリ232に書き込まない制御を行う。
【0129】
本実施形態では、コントロールシステム100に搭載される制御基板(伝送装置)が2つの場合について説明したが、制御基板(伝送装置)は3個以上であっても良い。3個以上の場合には、例えば、第1の制御基板を基準にスター型に他の制御基板(伝送装置)を接続することなどが考えられる。
【0130】
本実施形態においては、上述した構成を備えることで、制御装置と制御基板との間で高速シリアルバス(例えばPCIe)を採用することで、大容量のデータ転送が可能となる。さらに、制御基板210、230の各々に搭載されるPCIeバスによる高速シリアル接続用の回路は1つで良いため、特別な制御基板を設計せずとも良くなり、安価な部品を選定することが可能となる。
【0131】
本実施形態においては、制御基板の間を、PCIeバスと異なる規格による高速シリアル制御(例えばIEEE 802.3z(1000BASE-X))を用いることで、回路規模を大きくせずとも、データ転送の高速化が可能となる。これにより、コモンメモリを同期する際のデータ転送遅延を緩和できる。
【0132】
さらに、本実施形態においては、制御器盤の各々のコモンメモリ上にRAS情報を格納している。これにより、アプリケーション経由での参照や直接コモンメモリにアクセスする直接参照が可能となる。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0134】
100…コントロールシステム、101~103…コントロールシステム、151…リアルタイムイーサネット、200…伝送システム、201、202、203…I/F、210…第1の制御基板、211…通信I/F回路、212…第1の通信制御部、213…コモンメモリ、214…第1のシリアル転送I/F回路、215…第2のシリアル転送I/F回路、230…第2の制御基板、231…第2の通信制御部、232…コモンメモリ、233…第3のシリアル転送I/F回路、234…第4のシリアル転送I/F回路、250…マザーボード、260…第1の制御装置、261…I/F、262…第5のシリアル転送I/F回路、263…第1のプロセッサ、270…第2の制御装置、271…I/F、272…第6のシリアル転送I/F回路、273…第2のプロセッサ、302…受信回路、303…送信回路、304…スキャン送受信回路、305…メモリ調停回路、309…転送調停回路、310…第1のFIFO、311…第2のFIFO、352…第3のFIFO、353…受信回路、354…スキャン送受信回路、355…メモリ調停回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7