(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240430BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240430BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240430BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
G02F1/13 505
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2020171845
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小村 真一
(72)【発明者】
【氏名】小橋 淳二
(72)【発明者】
【氏名】奥田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小野田 憲
(72)【発明者】
【氏名】雉嶋 裕明
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0142254(US,A1)
【文献】特開平11-153772(JP,A)
【文献】米国特許第5715023(US,A)
【文献】特開2003-186413(JP,A)
【文献】特表2010-526321(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189675(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
G02F 1/13
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示領域を有する表示パネルと、
第1円偏光を透過し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を反射する第1半透過素子と、
前記表示パネルと前記第1半透過素子との間に配置された第1位相差板と、
前記第1半透過素子から離間し、前記第1円偏光を反射し、前記第2円偏光を透過する第2半透過素子と、
前記第1半透過素子と前記第2半透過素子との間に配置され、面内で互いに直交する方向の屈折率がほぼ同等であり、法線方向の屈折率が面内の屈折率とは異なる屈折率異方性を有する第2位相差板と、
前記第2半透過素子に対向し、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有する第1素子と、
を備えている、表示装置。
【請求項2】
前記第1半透過素子及び前記第2半透過素子の各々は、第1波長の円偏光を反射する第1光学素子を備え、
前記第1光学素子は、第1コレステリック液晶を含み、複数の液晶分子の配向方向が固定された状態で硬化した液晶層を有し、
前記液晶層は、前記液晶分子の配向方向が揃った反射面を有し、
前記反射面は、前記液晶層の主面に対して傾斜し、
前記第1半透過素子の前記第1光学素子、及び、前記第2半透過素子の前記第1光学素子において、前記第1コレステリック液晶は、同等の第1螺旋ピッチを有し、互いに逆回りに旋回している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1半透過素子及び前記第2半透過素子の各々は、さらに、
第2コレステリック液晶を有し、前記第1波長よりも長波長の第2波長の円偏光を反射する第2光学素子と、
第3コレステリック液晶を有し、前記第2波長よりも長波長の第3波長の円偏光を反射する第3光学素子と、を備え、
前記第1光学素子、前記第2光学素子、及び、前記第3光学素子は積層され、
前記第2コレステリック液晶は、前記第1螺旋ピッチより大きい第2螺旋ピッチを有し、
前記第3コレステリック液晶は、前記第2螺旋ピッチより大きい第3螺旋ピッチを有している、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
さらに、前記表示パネルの背面に配置された照明装置を備え、
前記照明装置は、前記第1波長の光を出射する第1発光素子と、前記第2波長の光を出射する第2発光素子と、前記第3波長の光を出射する第3発光素子と、を備えている、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1発光素子、前記第2発光素子、及び、前記第3発光素子は、それぞれレーザー光源である、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示領域は、第1端部と、前記第1端部とは反対側の第2端部と、を有し、
前記第1半透過素子、前記第2位相差板、前記第2半透過素子、及び、前記第1素子は、前記第1端部よりも外側に延在した第1部分と、前記第2端部よりも外側に延在した第2部分と、を有し、
前記第1部分の幅は、前記第2部分の幅より大きい、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1半透過素子及び前記第2半透過素子の各々は、反射面を有し、
前記反射面は、前記第1部分が位置する側の端部が前記表示パネルから離間し、前記第2部分に位置する側の端部が前記表示パネルに近接するように傾斜している、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
さらに、
前記第1位相差板と前記第2位相差板との間に配置され、前記第1半透過素子に隣接し、前記第1円偏光を透過し、前記第2円偏光を反射する第3半透過素子と、
前記第2位相差板から離間し、前記第2半透過素子に隣接し、前記第1円偏光を反射し、前記第2円偏光を透過する第4半透過素子と、
前記第4半透過素子に対向し、前記第1素子に隣接し、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有する第2素子と、
を備え、
前記第1半透過素子の反射面、及び、前記第3半透過素子の反射面は、互いに向きが異なり、
前記第2半透過素子の反射面、及び、前記第4半透過素子の反射面は、互いに向きが異なり、
前記第1素子によって集光される位置、及び、前記第2素子によって集光される位置は、互いに異なる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルと前記第1位相差板との境界を基準面としたとき、
前記第1半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度、及び、前記第2半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度は、前記基準面から反時計回りに鋭角であり、
前記第3半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度、及び、前記第4半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度は、前記基準面から時計回りに鋭角である、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルと前記第1位相差板との境界を基準面としたとき、
前記第1半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度、及び、前記第2半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度は、前記基準面から時計回りに鋭角であり、
前記第3半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度、及び、前記第4半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度は、前記基準面から反時計回りに鋭角である、請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示パネルと前記第1位相差板との境界を基準面としたとき、
前記第1半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度、及び、前記第4半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度は、前記基準面から反時計回りに鋭角であり、
前記第2半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度、及び、前記第3半透過素子の反射面と前記基準面とのなす角度は、前記基準面から時計回りに鋭角である、請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1素子は、第1液晶分子及び第2液晶分子を含む複数の液晶分子の配向方向が固定された状態で硬化した液晶層を有し、
前記液晶層は、平面視において、複数の前記第1液晶分子が同一方向に配向した第1環状領域と、前記第1環状領域の外側で複数の前記第2液晶分子が同一方向に配向した第2環状領域と、を有し、
前記第1液晶分子の配向方向は、前記第2液晶分子の配向方向とは異なる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
さらに、前記表示パネルの背面に配置された照明装置を備え、
前記照明装置は、第1波長の光を出射する第1発光素子と、第2波長の光を出射する第2発光素子と、第3波長の光を出射する第3発光素子と、を備えている、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1発光素子、前記第2発光素子、及び、前記第3発光素子は、それぞれレーザー光源である、請求項13に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ユーザの頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイを用いて、例えば仮想現実(VR:VirtualReality)を提供する技術が注目されている。ヘッドマウントディスプレイは、ユーザの眼前に設けられたディスプレイに画像が表示されるように構成されている。これにより、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザは、臨場感のある仮想現実空間を体験することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2003-504663号公報
【文献】特表2003-529795号公報
【文献】特開2018-106160号公報
【文献】特開2019-53152号公報
【文献】特開2019-148626号公報
【文献】特開2019-148627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、光の利用効率を向上することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の表示装置は、
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示領域を有する表示パネルと、第1円偏光を透過し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を反射する第1半透過素子と、前記表示パネルと前記第1半透過素子との間に配置された第1位相差板と、前記第1半透過素子から離間し、前記第1円偏光を反射し、前記第2円偏光を透過する第2半透過素子と、前記第1半透過素子と前記第2半透過素子との間に配置され、面内で互いに直交する方向の屈折率がほぼ同等であり、法線方向の屈折率が面内の屈折率とは異なる屈折率異方性を有する第2位相差板と、前記第2半透過素子に対向し、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有する第1素子と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る表示装置を適用したヘッドマウントディスプレイ1の外観の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したヘッドマウントディスプレイ1の構成の概要を説明するための図である。
【
図3】
図3は、表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した液晶素子10の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した液晶層LC1における配向パターンの一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図3に示した光学素子20の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図3に示した光学素子20の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図3に示した光学素子20の変形例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第1部分P11に到達する光路を説明するための図である。
【
図11】
図11は、
図10に示した角度Θと反射面RS2の傾斜角度θ2との関係を説明するための図である。
【
図12】
図12は、
図3に示した表示装置DSPに適用可能な照明装置3の一構成例を示す平面図である。
【
図13】
図13は、ヘッドマウントディスプレイ1の第1構成例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、
図13に示した第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rを説明するための図である。
【
図15】
図15は、ヘッドマウントディスプレイ1の第2構成例を示す断面図である。
【
図16】
図16は、ヘッドマウントディスプレイ1の第3構成例を示す断面図である。
【
図17】
図17は、
図16に示したヘッドマウントディスプレイ1の光学作用を説明するための図である。
【
図18】
図18は、ヘッドマウントディスプレイ1の第4構成例を示す断面図である。
【
図19】
図19は、
図18に示したヘッドマウントディスプレイ1の光学作用を説明するための図である。
【
図20】
図20は、ヘッドマウントディスプレイ1の第5構成例を示す断面図である。
【
図21】
図21は、
図20に示したヘッドマウントディスプレイ1の光学作用を説明するための図である。
【
図22】
図22は、表示装置DSPの第6構成例を示す断面図である。
【
図25】
図25は、ヘッドマウントディスプレイ1の第6構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X-Y平面を見ることを平面視という。
【0009】
図1は、本実施形態に係る表示装置を適用したヘッドマウントディスプレイ1の外観の一例を示す斜視図である。ヘッドマウントディスプレイ1は、例えば、右眼用の表示装置DSPRと、左眼用の表示装置DSPLと、を備えている。ユーザがヘッドマウントディスプレイ1を頭部に装着した状態では、表示装置DSPRは当該ユーザの右眼の眼前に位置するように配置され、また、表示装置DSPLは当該ユーザの左眼の眼前に位置するように配置されている。
【0010】
図2は、
図1に示したヘッドマウントディスプレイ1の構成の概要を説明するための図である。表示装置DSPRは、表示装置DSPLと実質的に同様に構成されている。
【0011】
表示装置DSPRは、表示パネル2Rと、照明装置3Rと、点線で示した光学システム4Rと、を備えている。照明装置3Rは、表示パネル2Rの背面に配置され、表示パネル2Rを照明するように構成されている。光学システム4Rは、表示パネル2Rの前面(あるいはユーザの右眼ERと表示パネル2Rとの間)に配置され、表示パネル2Rからの表示光を右眼ERに導くように構成されている。
【0012】
表示パネル2Rは、例えば、液晶パネルである。表示パネル2Rは、照明装置3Rと光学システム4Rとの間に配置されている。表示パネル2Rには、例えば、ドライバICチップ5R及びフレキシブルプリント回路基板6Rが接続されている。ドライバICチップ5Rは、表示パネル2Rの駆動を制御する(特に、表示パネル2Rの表示動作を制御する)。
【0013】
表示装置DSPLは、表示パネル2Lと、照明装置3Lと、点線で示した光学システム4Lと、を備えている。照明装置3Lは、表示パネル2Lの背面に配置され、表示パネル2Lを照明するように構成されている。光学システム4Lは、表示パネル2Lの前面(あるいはユーザの左眼ELと表示パネル2Lとの間)に配置され、表示パネル2Lからの表示光を左眼ELに導くように構成されている。
【0014】
表示パネル2Lは、例えば、液晶パネルである。表示パネル2Lは、照明装置3Lと光学システム4Lとの間に配置されている。表示パネル2Lには、例えば、ドライバICチップ5L及びフレキシブルプリント回路基板6Lが接続されている。ドライバICチップ5Lは、表示パネル2Lの駆動を制御する(特に、表示パネル2Lの表示動作を制御する)。
【0015】
表示装置DSPRを構成する表示パネル2R、照明装置3R、及び、光学システム4Rは、それぞれ表示装置DSPLを構成する表示パネル2L、照明装置3L、及び、光学システム4Lと同様に構成されている。
【0016】
本実施形態に係る表示装置DSPにおいては、表示パネル2R及び2Lは、液晶パネルに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、マイクロLED、ミニLEDなどの自発光型の発光素子を備えた表示パネルであってもよい。表示パネルが発光素子を備えた表示パネルである場合、照明装置3R及び3Lは省略される。
【0017】
外部に設けられたホストコンピュータHは、表示パネル2L及び2Rとそれぞれ接続されている。ホストコンピュータHは、表示パネル2L及び2Rに表示される画像に対応した画像データを出力する。表示パネル2Lに表示される画像は、左眼用の画像(あるいはユーザの左眼ELで視認される画像)である。また、表示パネル2Rに表示される画像は、右眼用の画像(あるいはユーザの右眼ERで視認される画像)である。
【0018】
例えば、ヘッドマウントディスプレイ1がVR用として利用される場合、左眼用の画像及び右眼用の画像は、両目の視差を再現した互いに類似する画像である。表示パネル2Lに表示された左眼用の画像がユーザの左眼ELで視認され、また、表示パネル2Rに表示された右眼用の画像がユーザの右眼ERで視認された場合には、ユーザは仮想現実空間として立体的な空間(3次元空間)を把握することができる。
【0019】
なお、表示パネル2R及び2Lは、左眼ELの眼前及び右眼ERの眼前に亘って延びた単一の表示パネルとして構成されていてもよい。また、照明装置3R及び3Lは、左眼ELの眼前及び右眼ERの眼前に亘って延びた単一の照明装置として構成されてもよい。
【0020】
次に、本実施形態に係る表示装置DSPの第1構成例について説明する。
【0021】
《第1構成例》
図3は、表示装置DSPの第1構成例を示す断面図である。
表示装置DSPは、表示パネル2と、光学システム4と、を備えている。なお、ここでは、表示パネル2の詳細の図示を省略するとともに、照明装置の図示を省略している。ここで説明する表示装置DSPは、上記の表示装置DSPR及びDSPLの各々に適用することができる。また、表示パネル2は、上記の表示パネル2R及び2Lの各々に適用することができる。また、光学システム4は、上記の光学システム4R及び4Lの各々に適用することができる。
【0022】
表示パネル2は、X-Y平面に亘って延在した平板状に形成されている。表示パネル2の詳細については後述するが、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLを出射するように構成されている。例えば、表示パネル2は偏光板を備え、直線偏光の表示光DLは偏光板を介して出射される。
ここで説明する第1構成例に限らず、他の構成例においても同様に、表示パネル2は、液晶パネルに限らない。表示パネル2が自発光型の発光素子を備えた表示パネルである場合、上記の通り照明装置3は省略される。また、この場合、発光素子から出射された表示光DLは、偏光板を透過して直線偏光の表示光DLに変換される。
【0023】
光学システム4は、第1構造体4A及び第2構造体4Bを備えている。第1構造体4Aは、第2構造体4Bから離間している。
図3に示す例では、第1構造体4Aと第2構造体4Bとの間には、空気層4Cが設けられている。第1構造体4Aは、表示パネル2と第2構造体4Bとの間(あるいは表示パネル2と空気層4Cとの間)に配置されている。
【0024】
第1構造体4Aは、第1位相差板R1と、第1半透過素子H1と、第2位相差板R2と、を備えている。第1位相差板R1は、1/4波長板であり、透過する光に対して1/4波長の位相差を付与するものである。
【0025】
第1半透過素子H1は、後に詳述するが、コレステリック液晶を有する光学素子20を備えている。光学素子20は、特定波長の光のうち、第1円偏光を透過し、第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を第2構造体4Bに向けて反射するものである。光学素子20は、簡略化して示す反射面RS1を有している。表示パネル2と第1位相差板R1との境界(あるいはX-Y平面と平行な面)を基準面RFとしたとき、反射面RS1と基準面RFとのなす角度θ1は、基準面RFから時計周りに鋭角である。
【0026】
第2位相差板R2は、Cプレート相当の屈折率異方性を有している。すなわち、第2位相差板R2の面内(X-Y平面内)で互いに直交する方向の屈折率をそれぞれnx及びnyとし、第2位相差板R2の法線方向あるいは厚さ方向(第3方向Z)の屈折率をnzとしたとき、屈折率nx及び屈折率nyはほぼ同等であり、屈折率nzは面内の屈折率nxとは異なる(nx=ny≠nz)。つまり、第2位相差板R2の面内位相差は、ほぼゼロである。なお、第2位相差板R2の屈折率異方性は、nx=ny>nzで表されるネガ型であってもよいし、nx=ny<nzで表されるポジ型であってもよい。このような第2位相差板R2は、法線に沿った光路を通る光に対して位相差を付与せず、法線に対して斜め方向の光路を通る光に対して1/2波長の位相差を付与するものである。
【0027】
第1位相差板R1、第1半透過素子H1、及び、第2位相差板R2は、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。但し、第1位相差板R1は、少なくとも表示領域DAを覆っていればよい。また、第1位相差板R1、第1半透過素子H1、及び、第2位相差板R2は、この順に、第3方向Zに沿って積層されている。第1位相差板R1は表示パネル2に接し、第1半透過素子H1は第1位相差板R1に接し、第2位相差板R2は第1半透過素子H1に接している。第1位相差板R1は、表示パネル2と第1半透過素子H1との間に配置されている。第1半透過素子H1は、第1位相差板R1と第2位相差板R2との間に位置している。
【0028】
第2構造体4Bは、第2半透過素子H2と、第1素子L1と、を備えている。
【0029】
第2半透過素子H2は、後に詳述するが、コレステリック液晶を有する光学素子20を備えている。光学素子20は、特定波長の光のうち、第2円偏光を透過し、第1円偏光を第1構造体4Aに向けて反射するものである。光学素子20は、簡略化して示す反射面RS2を有している。表示パネル2と第1位相差板R1との境界(あるいはX-Y平面と平行な面)を基準面RFとしたとき、反射面RS2と基準面RFとのなす角度θ2は、基準面RFから時計周りに鋭角である。
【0030】
第1素子L1は、後に詳述するが、液晶素子10を備えている。液晶素子10は、特定波長の光に対して1/2波長の位相差を付与するとともに、第2円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。なお、ここでは、円偏光を集光するレンズ作用を有する素子の一例として、液晶素子10を挙げたが、同等のレンズ作用を有するものであれば、液晶を利用した素子に限定されるものではない。
【0031】
第2半透過素子H2及び第1素子L1は、X-Y平面において、表示領域DAよりも広い範囲に亘って延在している。また、第2半透過素子H2及び第1素子L1は、第3方向Zに沿って積層されている。第1素子L1は、第2半透過素子H2に接している。第2半透過素子H2は、第1半透過素子H1及び第2位相差板R2から離間しており、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して第2位相差板R2と対向している。第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2は、第3方向Zにおいて、間隔をおいて対向しており、両者の間に第2位相差板R2及び空気層4Cが介在している。第2位相差板R2は、第1半透過素子H1と第2半透過素子H2との間に配置されている。第1素子L1は、第2半透過素子H2に対向している。
【0032】
表示領域DAは、第1端部E1と、第1端部E1とは反対側の第2端部E2と、を有している。第1半透過素子H1、第2位相差板R2、第2半透過素子H2、及び、第1素子L1は、第1端部E1よりも外側に延在した第1部分P11と、第2端部E2よりも外側に延在した第2部分P12と、を有している。
図3に示す例では、第1部分P11及び第2部分P12は、第1方向Xに沿って延在している。第1部分P11の第1方向Xに沿った幅W1は、第2部分P12の第1方向Xに沿った幅W2より大きい(W1>W2)。
【0033】
図3において、第1部分P11は表示領域DAに対して右側に位置し、第2部分P12は表示領域DAに対して左側に位置している。第2半透過素子H2の反射面RS2は、図の右側(第1部分P11が位置する側)の端部E11と、図の左側(第2部分が位置する側)の端部E12と、を有している。反射面RS2は、端部E11が表示パネル2から離間する側に位置し、且つ、端部E12が表示パネル2に近接する側に位置するように傾斜している。
【0034】
表示パネル2及び第1位相差板R1は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。また、第1構造体4Aを構成する第1位相差板R1、第1半透過素子H1、及び、第2位相差板R2は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。さらに、第2構造体4Bを構成する第2半透過素子H2及び第1素子L1は、空気層を介することなく互いに密着していることが望ましい。これにより、部材間の界面での不所望な反射あるいは屈折を抑制することができる。
【0035】
なお、第1位相差板R1は、例えば、少なくとも緑波長の光に対して1/4波長の位相差を付与するものであるが、これに限らない。例えば、第1位相差板R1としては、赤波長、緑波長、及び、青波長の各々の光に対しても略1/4波長の位相差を付与する広帯域型の位相差板を適用することができる。このような広帯域型の位相差板としては、例えば、1/4波長板の遅相軸と1/2波長板の遅相軸とが所定の角度をなす状態で、1/4波長板と1/2波長板とを貼り合わせたものなどを適用することができる。これにより、第1位相差板R1における波長依存性を緩和することができる。
【0036】
図4は、
図3に示した液晶素子10の一例を示す断面図である。液晶素子10は、基板11と、配向膜AL11と、液晶層(第1液晶層)LC1と、配向膜AL12と、基板12と、を備えている。基板11及び12は、光を透過する透明基板であり、例えば、透明なガラス板または透明な合成樹脂板によって構成されている。
【0037】
配向膜AL11は、基板11の内面11Aに配置されている。
図4に示す例では、配向膜AL11は、基板11に接しているが、配向膜AL11と基板11との間に他の薄膜が介在していてもよい。
配向膜AL12は、基板12の内面12Aに配置されている。
図4に示す例では、配向膜AL12は、基板12に接しているが、配向膜AL12と基板12との間に他の薄膜が介在していてもよい。配向膜AL12は、第3方向Zにおいて、配向膜AL11と対向している。
配向膜AL11及びAL12は、例えば、ポリイミドによって形成され、いずれもX-Y平面に沿った配向規制力を有する水平配向膜である。
【0038】
液晶層LC1は、配向膜AL11及びAL12の間に配置され、配向膜AL11及びAL12に接している。液晶層LC1は、第3方向Zに沿った厚さd1を有している。液晶層LC1は、第3方向Zに沿った配向方向が揃ったネマティック液晶を有している。
【0039】
すなわち、液晶層LC1は、複数の液晶構造体LMS1を有している。1つの液晶構造体LMS1に着目すると、液晶構造体LMS1は、その一端側に位置する液晶分子LM11と、その他端側に位置する液晶分子LM12と、を有している。液晶分子LM11は配向膜AL11に近接し、液晶分子LM12は配向膜AL12に近接している。液晶分子LM11の配向方向、及び、液晶分子LM12の配向方向は、ほぼ一致している。また、液晶分子LM11と液晶分子LM12との間の他の液晶分子LM1の配向方向も、液晶分子LM11の配向方向とほぼ一致している。なお、ここでの液晶分子LM1の配向方向とは、X-Y平面における液晶分子の長軸の方向に相当する。
【0040】
また、液晶層LC1において、第1方向Xに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS1は、互いに配向方向が異なっている。同様に、第2方向Yに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS1についても、互いに配向方向が異なっている。配向膜AL11に沿って並んだ複数の液晶分子LM11の配向方向、及び、配向膜AL12に沿って並んだ複数の液晶分子LM12の配向方向は、連続的(あるいは線形)に変化している。
【0041】
このような液晶層LC1は、液晶分子LM11及び液晶分子LM12を含む液晶分子LM1の配向方向が固定された状態で硬化している。つまり、液晶分子LM1の配向方向は、電界に応じて制御されるものではない。このため、液晶素子10は、配向制御のための電極を備えていない。
【0042】
液晶層LC1の屈折率異方性あるいは複屈折性(液晶層LC1の異常光に対する屈折率neと常光に対する屈折率noとの差分)をΔnとしたとき、液晶層LC1のリタデーション(位相差)Δn・d1は、特定波長λの1/2に設定されている。
【0043】
図5は、
図4に示した液晶層LC1における配向パターンの一例を示す平面図である。
図5には、液晶層LC1のX-Y平面における空間位相の一例が示されている。ここに示す空間位相は、液晶構造体LMS1に含まれる液晶分子LM1のうち、配向膜AL11に近接する液晶分子LM11の配向方向として示している。
【0044】
図中の点線で示した同心円では、空間位相が揃っている。あるいは、隣接する2つの同心円で囲まれた環状領域では、液晶分子LM11の配向方向が揃っている。但し、隣接する環状領域の液晶分子LM11の配向方向は、互いに異なっている。
【0045】
例えば、液晶層LC1は、平面視において、第1環状領域C1と、第2環状領域C2と、を有している。第2環状領域C2は、第1環状領域C1の外側に位置している。第1環状領域C1は、同一方向に配向した複数の第1液晶分子LM111によって構成されている。また、第2環状領域C2は、同一方向に配向した複数の第2液晶分子LM112によって構成されている。第1液晶分子LM111の配向方向は、第2液晶分子LM112の配向方向とは異なっている。
【0046】
同様に、同心円の中心の領域から、径方向に沿って並んだ液晶分子LM11の配向方向は、互いに異なり、連続的に変化している。つまり、図示したX-Y平面内において、液晶層LC1の空間位相は、径方向に沿って異なり、連続的に変化している。
【0047】
このような構成の液晶素子10に特定波長λの第2円偏光が入射した場合、第2円偏光は、同心円の中心に向かって集光され、しかも、液晶素子10の透過光は、第2円偏光とは逆回りの第1円偏光に変換される。
【0048】
図6及び
図7は、
図3に示した光学素子20の一例を示す断面図である。
図6は第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z断面を示し、
図7は第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z断面を示している。以下、主として
図6を参照しながら説明する。
【0049】
光学素子20は、基板21と、配向膜AL21と、液晶層(第2液晶層)LC2と、配向膜AL22と、基板22と、を備えている。基板21及び22は、光を透過する透明基板であり、例えば、透明なガラス板または透明な合成樹脂板によって構成されている。
【0050】
配向膜AL21は、基板21の内面21Aに配置されている。
図6に示す例では、配向膜AL21は、基板21に接しているが、配向膜AL21と基板21との間に他の薄膜が介在していてもよい。
配向膜AL22は、基板22の内面22Aに配置されている。
図6に示す例では、配向膜AL22は、基板22に接しているが、配向膜AL22と基板22との間に他の薄膜が介在していてもよい。配向膜AL22は、第3方向Zにおいて、配向膜AL21と対向している。
配向膜AL21及びAL22は、例えば、ポリイミドによって形成され、いずれもX-Y平面に沿った配向規制力を有する水平配向膜である。
【0051】
液晶層LC2は、配向膜AL21及びAL22の間に配置され、配向膜AL21及びAL22に接している。液晶層LC2は、第3方向Zに沿った厚さd2を有している。液晶層LC2は、コレステリック液晶を有している。なお、
図6では、図面の簡略化のため、1つの液晶分子LM2は、X-Y平面内に位置する複数の液晶分子のうち、平均的配向方向を向いている液晶分子を代表して示している。
【0052】
すなわち、液晶層LC2は、複数の液晶構造体LMS2を有している。1つの液晶構造体LMS2に着目すると、液晶構造体LMS2は、その一端側に位置する液晶分子LM21と、その他端側に位置する液晶分子LM22と、を有している。液晶分子LM21は配向膜AL21に近接し、液晶分子LM22は配向膜AL22に近接している。液晶分子LM21及び液晶分子LM22を含む複数の液晶分子LM2は、旋回しながら第3方向Zに沿って螺旋状に積み重ねられ、コレステリック液晶を構成している。つまり、液晶構造体LMS2は、コレステリック液晶に相当する。液晶構造体LMS2は、螺旋ピッチPを有している。螺旋ピッチPは、螺旋の1周期(360度)を示す。例えば、液晶層LC2の厚さd2は、螺旋ピッチPの数倍以上である。液晶構造体LMS2の螺旋軸AXは、液晶層LC2の法線方向つまり第3方向Zに平行である。
【0053】
また、
図6に示すように、液晶層LC2において、第1方向Xに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS2は、互いに配向方向が異なっている。配向膜AL21に沿って並んだ複数の液晶分子LM21の配向方向、及び、配向膜AL22に沿って並んだ複数の液晶分子LM22の配向方向は、連続的に変化している。
【0054】
なお、
図7に示すように、液晶層LC2において、第2方向Yに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS2は、互いに配向方向が揃っている。つまり、配向膜AL21に沿って並んだ複数の液晶分子LM21の配向方向は、ほぼ一致し、また、配向膜AL22に沿って並んだ複数の液晶分子LM22の配向方向は、ほぼ一致している。
【0055】
液晶層LC2は、配向膜AL21と配向膜AL22との間に、一点鎖線で示すような複数の反射面RSを有している。複数の反射面RSは、互いに略平行である。反射面RSは、ブラッグの法則に従って、入射光のうち、一部の円偏光を反射し、他の円偏光を透過する。ここでの反射面RSは、液晶分子LM2の配向方向が揃った面、あるいは、空間位相が揃った面(等位相面)に相当する。
【0056】
図6に示すX-Z断面においては、反射面RSは、液晶層LC2の主面LSに対して傾斜している。ここでの主面LSは、例えば、液晶層LC2と配向膜AL21との境界であり、
図3に示した基準面RFと平行な面であり、また、X-Y平面と平行な面である。
また、
図7に示すY-Z断面においては、反射面RSは、液晶層LC2の主面LSと平行である。つまり、複数の反射面RSの各々は、
図6及び
図7に示すように、一定方向に延びる略平面形状を有している。
【0057】
液晶構造体LMS2は、特定波長λの光のうち、コレステリック液晶の旋回方向と同じ旋回方向の円偏光を反射する。例えば、コレステリック液晶の旋回方向が右回りの場合、特定波長λの光のうち、右回りの円偏光を反射し、左回りの円偏光を透過する。同様に、コレステリック液晶の旋回方向が左回りの場合、特定波長λの光のうち、左回りの円偏光を反射し、右回りの円偏光を透過する。
【0058】
このような液晶層LC2は、液晶分子LM21及び液晶分子LM22を含む液晶分子LM2の配向方向が固定された状態で硬化している。つまり、液晶分子LM2の配向方向は、電界に応じて制御されるものではない。このため、光学素子20は、配向制御のための電極を備えていない。
【0059】
一般的に、垂直入射した光に対するコレステリック液晶の選択反射帯域Δλは、コレステリック液晶の螺旋ピッチP、異常光に対する屈折率ne、常光に対する屈折率noに基づいて、「no*P~ne*P」で示される。このため、反射面RSにおいて特定波長λの円偏光を効率よく反射するためには、特定波長λが選択反射波長帯Δλに含まれるように、螺旋ピッチP、屈折率ne及びnoが設定される。
【0060】
図3に示した第1半透過素子H1の光学素子20、及び、第2半透過素子H2の光学素子20は、それぞれ、
図6に示したコレステリック液晶に相当する液晶構造体LMS2を含む液晶層LC2を有している。
図3に示した第1半透過素子H1における反射面RS1及び第2半透過素子H2における反射面RS2は、それぞれ、
図6に示した反射面RSに相当し、液晶層LC2の主面LSに対して傾斜している。
【0061】
第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2において、それぞれの液晶構造体(コレステリック液晶)LMS2は、同一波長の円偏光を反射するべく、同等の螺旋ピッチを有している。また、第1半透過素子H1においては第2円偏光を反射し、第2半透過素子H2においては第1円偏光を反射するべく、第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2において、それぞれの液晶構造体(コレステリック液晶)LMS2は、互いに逆回りに旋回している。
【0062】
図8は、
図3に示した光学素子20の変形例を示す断面図である。
図8は、X-Z断面を示している。
図8に示す変形例は、
図6等に示した例と比較して、液晶構造体LMS2の螺旋軸AXが液晶層LC2の法線方向(第3方向Z)に対して傾斜している点で相違している。
【0063】
液晶層LC2において、第1方向Xに沿って隣接する複数の液晶構造体LMS2は、互いに配向方向が異なっている。配向膜AL21に沿って並んだ複数の液晶分子LM21の配向方向、及び、配向膜AL22に沿って並んだ複数の液晶分子LM22の配向方向は、連続的に変化している。
【0064】
液晶層LC2は、配向膜AL21と配向膜AL22との間に、一点鎖線で示すような複数の反射面RSを有している。複数の反射面RSは、互いに略平行である。反射面RSは、ブラッグの法則に従って、入射光のうち、一部の円偏光を反射し、他の円偏光を透過する。
図8に示すX-Z断面においては、反射面RSは、液晶層LC2の主面LSに対して傾斜している。なお、Y-Z断面においては、
図7に示した例と同様に、反射面RSは、主面LSと平行である。
【0065】
このような変形例においても、
図6及び
図7に示した例と同様の光学特性を実現できる。
【0066】
図9は、表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
【0067】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1の表示光DLを出射する。ここでの第1直線偏光LP1とは、例えば紙面に垂直な方向に振動する直線偏光である。表示光DLは、第1位相差板R1を透過する際に、1/4波長の位相差が付与される。これにより、表示光DLは、第1位相差板R1を透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。ここでの第1円偏光CP1とは、例えば左回りの円偏光である。
【0068】
第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1は、第1半透過素子H1(光学素子20)を透過する。
【0069】
第1半透過素子H1を透過した第1円偏光CP1は、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過する。
図3を参照して説明したように、第2位相差板R2の面内位相差がゼロであるため、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過する光の偏光状態は、維持される。つまり、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過した光は、第1円偏光CP1である。
【0070】
第2位相差板R2を透過した第1円偏光CP1は、第2半透過素子H2(光学素子20)で反射される。このとき、
図9において拡大して示すように、第2半透過素子H2に対してほぼ垂直に入射した第1円偏光CP1は、反射面RS2において、斜め方向に反射される。第1円偏光CP1の反射角度は、反射面RS2の傾斜角度θ2によって制御される。なお、第1円偏光CP1が反射面RS2で反射された際には、偏光状態が維持される。つまり、反射面RS2での反射光は、第1円偏光CP1である。
【0071】
第2半透過素子H2で反射された第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を斜めに透過する。
図3を参照して説明したように、第2位相差板R2は、斜め方向に透過する光に対して1/2波長の位相差を付与する。このため、第2位相差板R2を斜め方向に透過した光は、第1円偏光CP1とは逆回りの第2円偏光CP2に変換される。ここでの第2円偏光CP2とは、例えば右回りの円偏光である。
【0072】
第2位相差板R2を透過した第2円偏光CP2は、第1半透過素子H1(光学素子20)で反射される。このとき、
図9において拡大して示すように、第1半透過素子H1に対して斜め方向に入射した第2円偏光CP2は、反射面RS1において、第1半透過素子H1の法線方向に反射される。第2円偏光CP2の反射角度は、反射面RS1の傾斜角度θ1によって制御される。なお、第2円偏光CP2が反射面RS1で反射された際には、偏光状態が維持される。つまり、反射面RS1での反射光は、第2円偏光CP2である。
【0073】
第1半透過素子H1で反射された第2円偏光CP2は、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過し、偏光状態が維持される。第2位相差板R2を透過した第2円偏光CP2は、第2半透過素子H2を透過する。第2半透過素子H2を透過した第2円偏光CP2は、第1素子L1(液晶素子10)において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0074】
このような表示装置DSPによれば、光学システム4は、第1半透過素子H1と第2半透過素子H2との間を3回通る光路を有している。つまり、光学システム4において、第1半透過素子H1と第2半透過素子H2との間の光学的な距離は、実際の第1半透過素子H1と第2半透過素子H2との間隔(あるいは空気層4Cの厚さ)の約3倍となる。表示パネル2は、レンズ作用を有する液晶素子10の焦点よりも内側に設置されている。これにより、ユーザは、拡大された虚像を観察することができる。
【0075】
このような第1構成例によれば、表示装置DSPを構成する各部材での吸収や各部材間での反射を無視すると、表示パネル2から出射された表示光DLのほぼ100%を瞳Eに集光することができ、光の利用効率を向上することができる。
【0076】
また、ガラスや樹脂などで形成された光学部品を備える光学システムと比較して、第3方向Zに沿った厚さを薄くすることができ、しかも、軽量化を実現することができる。
【0077】
なお、
図9を参照して説明した第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0078】
ここで、
図3に示した第1部分P11の幅W1の規定方法の一例について
図10及び
図11を参照しながら説明する。
【0079】
図10は、第1部分P11に到達する光路を説明するための図である。ここでは、特に、表示領域DAの第1端部E1付近から出射された表示光DLの光路について着目する。
表示光DLは、第1位相差板R1、第1半透過素子H1、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過し、第2半透過素子H2において斜め方向に反射された後に、第2位相差板R2及び第1半透過素子H1の第1部分P11に到達する。このような光路において、第2半透過素子H2に入射する光の光路と、第2半透過素子H2で反射された光の光路とのなす角度をΘとする。また、第1半透過素子H1から第2半透過素子H2までの第3方向Zに沿った距離をdとする。このとき、第1部分P11の幅W1は、以下の通り規定される。
W1≧d・tanΘ
【0080】
図11は、
図10に示した角度Θと反射面RS2の傾斜角度θ2との関係を説明するための図である。
第2半透過素子H2に対してほぼ垂直に入射した光が反射面RS2において正反射される場合、入射角及び反射角は、いずれも反射面RS2の傾斜角度θ2と等しい。
図10に示した角度Θは、第2半透過素子H2と空気層4Cとの界面で屈折する光の屈折角に相当する。
第2半透過素子H2の屈折率(あるいはコレステリック液晶の屈折率)をnとし、空気層4Cの屈折率を1としたとき、屈折角Θは、以下の通り規定される。
Θ=sin
-1(n・sin(2・θ2))
図12は、
図3に示した表示装置DSPに適用可能な照明装置3の一構成例を示す平面図である。なお、
図12では、照明装置3の主要部のみを示している。
【0081】
照明装置3は、導光板LGと、複数の発光素子LDと、を備えている。複数の発光素子LDは、それぞれ導光板LGの側面LGSと対向している。発光素子LDは、青波長(第1波長)の光を出射する第1発光素子LDBと、緑波長(第2波長)の光を出射する第2発光素子LDGと、赤波長(第3波長)の光を出射する第3発光素子LDRと、を含んでいる。第1発光素子LDB、第2発光素子LDG、及び、第3発光素子LDRは、間隔をおいて並んでいる。
【0082】
発光素子LDからの出射光は、スペクトル幅が狭い(あるいは、色純度が高い)ことが望ましい。このため、発光素子LDとしては、レーザー光源を適用することが望ましい。第1発光素子(第1レーザー光源)LDBから出射される青レーザー光の中心波長をλbとし、第2発光素子(第2レーザー光源)LDGから出射される緑レーザー光の中心波長をλgとし、第3発光素子(第3レーザー光源)LDRから出射される赤レーザー光の中心波長をλrとする。
【0083】
なお、照明装置3は、
図7に示した構成に限らず、表示パネルの直下に発光素子LDが配置される直下型の照明装置であってもよい。
【0084】
図13は、ヘッドマウントディスプレイ1の第1構成例を示す断面図である。ヘッドマウントディスプレイ1は、右眼用の表示装置DSPRと、左眼用の表示装置DSPLと、表示装置DSPR及びDSLを保持するフレームFRと、を備えている。但し、ヘッドマウントディスプレイ1は、単一の表示パネル2、及び、単一の照明装置3を備えている。つまり、表示パネル2及び照明装置3は、表示装置DSPR及びDSPLに亘って配置されている。
【0085】
照明装置3は、ここでは詳述しないが、
図12を参照して説明した照明装置3に相当し、中心波長λbの青レーザー光を出射する第1発光素子LDBと、中心波長λgの緑レーザー光を出射する第2発光素子LDGと、中心波長λrの赤レーザー光を出射する第3発光素子LDRと、を備えている。
【0086】
表示パネル2は、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2と、を備えている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、シールSEによって封止されている。第1偏光板PL1は、照明装置3と第1基板SUB1との間に配置されている。第2偏光板PL2は、第2基板SUB2と光学システム4R及び4Lの第1位相差板R1との間に配置されている。
【0087】
表示パネル2の表示領域DAは、照明装置3からの照明光を選択的に変調するように構成されている。表示領域DAは、表示装置DSPR及びDSPLに亘って対向している。例えば、表示領域DAのうち、図の右側半分の領域は右眼用の画像を表示し、図の左側半分の領域は左眼用の画像を表示するように構成されている。表示領域DAにおいて変調された照明光の一部は、第2偏光板PL2を透過し、右眼用の直線偏光の表示光DLR及び左眼用の直線偏光の表示光DLLに変換される。
【0088】
表示装置DSPLにおける光学システム4Lは、第1位相差板R1と、第1半透過素子H1と、第2位相差板R2と、第2半透過素子H2と、第1素子L1と、を備えている。なお、第1位相差板R1及び第2位相差板R2は、表示装置DSPR及びDSPLに亘って配置されている。
【0089】
第1半透過素子H1は、第1位相差板R1と第2位相差板R2との間に配置されている。第1半透過素子H1は、第1光学素子20Bと、第2光学素子20Gと、第3光学素子20Rと、を備えている。第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rの各々は、反射面RS1を有している。反射面RS1と基準面RF(X-Y平面)とのなす角度は、基準面RFから反時計回りに鋭角である。
【0090】
第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rは、第3方向Zに沿って積層されている。なお、第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rの積層順に関しては、図示した例に限らない。第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rは、
図6及び
図7などを参照して説明した光学素子20と同等のものである。
【0091】
但し、第1光学素子20Bは、青波長(第1波長)λbの第2円偏光を反射し、青波長λbの第1円偏光を透過するように構成されている。つまり、第1光学素子20Bに含まれる液晶構造体(第1コレステリック液晶)LMS21の第1螺旋ピッチP1は、
図14に示すように、照明装置3の第1発光素子LDBから出射される青レーザー光の中心波長λbに対応するように最適化されている。
【0092】
また、第2光学素子20Gは、緑波長(第2波長)λgの第2円偏光を反射し、緑波長λgの第1円偏光を透過するように構成されている。つまり、第2光学素子20Gに含まれる液晶構造体(第2コレステリック液晶)LMS22の第2螺旋ピッチP2は、
図14に示すように、照明装置3の第2発光素子LDGから出射される緑レーザー光の中心波長λgに対応するように最適化されている。このため、第2光学素子20Gにおける第2螺旋ピッチP2は、第1光学素子20Bにおける第1螺旋ピッチP1より大きい。
【0093】
さらに、第3光学素子20Rは、赤波長(第3波長)λrの第2円偏光を反射し、赤波長λrの第1円偏光を透過するように構成されている。つまり、第3光学素子20Rに含まれる液晶構造体(第3コレステリック液晶)LMS23の第3螺旋ピッチP3は、
図14に示すように、照明装置3の第3発光素子LDRから出射される赤レーザー光の中心波長λrに対応するように最適化されている。このため、第3光学素子20Rにおける第3螺旋ピッチP3は、第2光学素子20Gにおける第2螺旋ピッチP2より大きい。
【0094】
なお、
図14では、第1旋回方向に旋回したコレステリック液晶を拡大して模式的に示している。第1半透過素子H1における第1コレステリック液晶LMS21、第2コレステリック液晶LMS22、及び、第3コレステリック液晶LMS23は、すべて同一方向に旋回し、いずれも右回りの第2円偏光を反射するように構成されている。
【0095】
第2半透過素子H2は、空気層4Cを介して、第2位相差板R2と対向している。第2半透過素子H2は、第1半透過素子H1と同様に、第1光学素子20Bと、第2光学素子20Gと、第3光学素子20Rと、を備えている。第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rの各々は、反射面RS2を有している。反射面RS2と基準面RF(X-Y平面)とのなす角度は、基準面から反時計回りに鋭角である。つまり、反射面RS2の向きは、反射面RS1の向きと同様である。
【0096】
第2半透過素子H2においても、第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rは、第3方向Zに沿って積層されている。なお、第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rの積層順に関しては、図示した例に限らないが、第1半透過素子H1における積層順は第2半透過素子H2における積層順と同じである。
【0097】
第2半透過素子H2における第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rは、第1半透過素子H1における第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rとそれぞれ同等である。
【0098】
但し、第2半透過素子H2において、第1光学素子20Bは、青波長(第1波長)λbの第1円偏光を反射し、青波長λbの第2円偏光を透過するように構成されている。つまり、
図14に示すように、第2半透過素子H2の第1光学素子20Bは、第1旋回方向とは逆回りの第2旋回方向に旋回した液晶構造体(第1コレステリック液晶)LMS21を有している。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS21の旋回方向は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS21の旋回方向とは逆である。
液晶構造体LMS21の第1螺旋ピッチP1は、
図14に示すように、照明装置3の第1発光素子LDBから出射される青レーザー光の中心波長λbに対応するように最適化されている。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS21の第1螺旋ピッチP1は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS21の第1螺旋ピッチP1と同等である。
【0099】
第2光学素子20Gは、緑波長(第2波長)λgの第1円偏光を反射し、緑波長λgの第2円偏光を透過するように構成されている。つまり、
図14に示すように、第2半透過素子H2の第2光学素子20Gは、第2旋回方向に旋回した液晶構造体(第2コレステリック液晶)LMS22を有している。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS22の旋回方向は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS22の旋回方向とは逆である。
液晶構造体LMS22の第2螺旋ピッチP2は、
図14に示すように、照明装置3の第2発光素子LDGから出射される緑レーザー光の中心波長λgに対応するように最適化されている。このため、第2光学素子20Gにおける第2螺旋ピッチP2は、第1光学素子20Bにおける第1螺旋ピッチP1より大きい。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS22の第2螺旋ピッチP2は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS22の第2螺旋ピッチP2と同等である。
【0100】
第3光学素子20Rは、赤波長(第3波長)λrの第1円偏光を反射し、赤波長λrの第2円偏光を透過するように構成されている。つまり、
図14に示すように、第2半透過素子H2の第3光学素子20Rは、第2旋回方向に旋回した液晶構造体(第3コレステリック液晶)LMS23を有している。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS23の旋回方向は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS23の旋回方向とは逆である。
液晶構造体LMS23の第3螺旋ピッチP3は、
図14に示すように、照明装置3の第3発光素子LDRから出射される赤レーザー光の中心波長λrに対応するように最適化されている。このため、第3光学素子20Rにおける第3螺旋ピッチP3は、第2光学素子20Gにおける第2螺旋ピッチP2より大きい。第2半透過素子H2の液晶構造体LMS23の第3螺旋ピッチP3は、第1半透過素子H1の液晶構造体LMS23の第3螺旋ピッチP3と同等である。
【0101】
なお、第2半透過素子H2における第1コレステリック液晶LMS21、第2コレステリック液晶LMS22、及び、第3コレステリック液晶LMS23は、すべて同一方向に旋回し、いずれも左回りの第1円偏光を反射するように構成されている。
【0102】
このように、第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2において、第1光学素子20Bが反射する円偏光の波長λbを第1波長とすると、第2光学素子20Gは第1波長λbよりも長波長の第2波長λgの円偏光を反射するように構成され、第3光学素子20Rは第2波長λgよりも長波長の第3波長λrの円偏光を反射するように構成されている。
【0103】
第1素子L1は、液晶素子10を備えている。液晶素子は、
図4及び
図5を参照して説明した液晶素子10と同等のものである。
【0104】
液晶素子10は、例えば、緑波長(第2波長)λgの光に対して1/2波長の位相差を付与するとともに、少なくとも緑波長λgの第2円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。つまり、液晶素子10のリタデーションは、照明装置3の第2発光素子LDGから出射される緑レーザー光の中心波長λgに対応するように最適化されている。
【0105】
なお、本実施形態で適用される液晶素子10は、緑波長λgのみならず、青波長λb及び赤波長λrの第2円偏光を集光するレンズ作用も有している。
【0106】
表示装置DSPRにおける光学システム4Rは、光学システム4Lと同様に構成され、第1位相差板R1と、第3半透過素子H3と、第2位相差板R2と、第4半透過素子H4と、第2素子L2と、を備えている。
【0107】
第3半透過素子H3は、第3方向Zにおいて第1位相差板R1と第2位相差板R2との間に配置され、第1方向Xにおいて第1半透過素子H1に隣接している。第4半透過素子H4は、第3方向Zにおいて第2位相差板R2から離間し、第1方向Xにおいて第2半透過素子H2に隣接している。
【0108】
第2素子L2は、第3方向Zにおいて第4半透過素子H4に接し、第1方向Xにおいて第1素子L1に隣接している。
【0109】
第3半透過素子H3及び第4半透過素子H4の各々は、第1半透過素子H1と同様に、第1光学素子20Bと、第2光学素子20Gと、第3光学素子20Rと、を備えている。
【0110】
第3半透過素子H3における第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rは、第1半透過素子H1における第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rとそれぞれ同等であり、第1円偏光を透過し、第2円偏光を反射するように構成されている。但し、第1半透過素子H1と第3半透過素子H3とでは、反射面の向きが互いに異なる。
すなわち、第3半透過素子H3における第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rの各々は、反射面RS3を有している。反射面RS3と基準面RF(X-Y平面)とのなす角度は、基準面RFから時計回りに鋭角である。つまり、反射面RS3及び反射面RS1は、互いに向きが異なる。
【0111】
第4半透過素子H4における第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rは、第2半透過素子H2における第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rとそれぞれ同等であり、第1円偏光を反射し、第2円偏光を透過するように構成されている。但し、第2半透過素子H2と第4半透過素子H4とでは、反射面の向きが互いに異なる。
すなわち、第4半透過素子H4における第1光学素子20B、第2光学素子20G、及び、第3光学素子20Rの各々は、反射面RS4を有している。反射面RS4と基準面RF(X-Y平面)とのなす角度は、基準面RFから時計回りに鋭角である。つまり、反射面RS4及び反射面RS2は、互いに向きが異なる。また、反射面RS4の向きは、反射面RS3の向きと同様である。
【0112】
第2素子L2は、第1素子L1と同様に、液晶素子10を備えている。但し、第1素子L1によって集光される位置、及び、第2素子L2によって集光される位置は、互いに異なる。
【0113】
このようなヘッドマウントディスプレイ1においては、表示装置DSPLの表示光DLLは、第2半透過素子H2の反射面RS2で反射された後に第1半透過素子H1の反射面RS1で反射され、第1素子L1のレンズ作用によってユーザの左眼に集光される。但し、青波長λbの表示光DLLは第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2の第1光学素子20Bにおいて反射された後に第1素子L1の液晶素子10によって集光され、緑波長λgの表示光DLLは第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2の第2光学素子20Gにおいて反射された後に第1素子L1の液晶素子10によって集光され、赤波長λrの表示光DLLは第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2の第3光学素子20Rにおいて反射された後に第1素子L1の液晶素子10によって集光される。
【0114】
また、表示装置DSPRの表示光DLRは、第4半透過素子H4の反射面RS4で反射された後に第3半透過素子H3の反射面RS3で反射され、第2素子L2のレンズ作用によってユーザの右眼に集光される。但し、青波長λbの表示光DLLは第3半透過素子H3及び第4半透過素子H4の第1光学素子20Bにおいて反射された後に第2素子L2の液晶素子10によって集光され、緑波長λgの表示光DLLは第3半透過素子H3及び第4半透過素子H4の第2光学素子20Gにおいて反射された後に第2素子L2の液晶素子10によって集光され、赤波長λrの表示光DLLは第3半透過素子H3及び第4半透過素子H4の第3光学素子20Rにおいて反射された後に第2素子L2の液晶素子10によって集光される。
【0115】
このような第1構成例によれば、照明装置3はスペクトル幅が狭い光を出射するレーザー光源を備え、また、液晶素子10及び光学素子20はレーザー光源から出射される光の中心波長に合わせて最適化されている。これにより、各波長の光を効率よく集光することができ、また、色収差を低減することができ、鮮明な画像をユーザに視認させることができる。
【0116】
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。なお、以下の説明では、第1構成例と同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0117】
《第2構成例》
図15は、ヘッドマウントディスプレイ1の第2構成例を示す断面図である。
図15に示す第2構成例は、
図13に示した第1構成例と比較して、ヘッドマウントディスプレイ1が右眼用の表示パネル2R及び照明装置3Rと、左眼用の表示パネル2L及び照明装置3Lと、を備えた点で相違している。
【0118】
照明装置3R及び3Lの各々は、
図12を参照して説明した照明装置3に相当する。表示パネル2R及び2Lの各々は、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLR及びDLLを出射するように構成されている。表示パネル2R及び2Lは、第1方向Xにおいて、間隔をおいて並んでいる。光学システム4Lの第1部分P11、及び、光学システム4Rの第1部分P11は、表示パネル2Rと表示パネル2Lとの間に位置している。
【0119】
図15に示す光学システム4L及び4Rの主な構成は、
図13に示した光学システム4L及び4Rの構成と同等である。但し、第1半透過素子H1の反射面RS1、第2半透過素子H2の反射面RS2、第3半透過素子H3の反射面RS3、及び、第4半透過素子H4の反射面RS4に関しては、
図13に示した第1構成例と
図15に示す第2構成例とでは互いに向きが異なる。
【0120】
図15に示す第2構成例では、反射面RS1と基準面RF(あるいはX-Y平面)とのなす角度、及び、反射面RS2と基準面RFとのなす角度は、基準面RFから時計回りに鋭角である。反射面RS3と基準面RFとのなす角度、及び、反射面RS4と基準面RFとのなす角度は、基準面RFから反時計回りに鋭角である。
【0121】
このような第2構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0122】
《第3構成例》
図16は、ヘッドマウントディスプレイ1の第3構成例を示す断面図である。
図16に示す第3構成例は、
図15に示した第2構成例と比較して、右眼用の表示パネル2R及び照明装置3Rが図の左側に配置され、左眼用の表示パネル2L及び照明装置3Lが図の右側に配置された点で相違している。表示パネル2Rは、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLRを出射するように構成されている。表示パネル2Lは、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLLを出射するように構成されている。
【0123】
第1半透過素子H1の反射面RS1、及び、第3半透過素子H3の反射面RS3に関しては、
図15に示した第2構成例と
図16に示す第3構成例とでは、互いに向きが異なる。また、第2半透過素子H2の反射面RS2、及び、第4半透過素子H4の反射面RS4に関しては、
図15に示した第2構成例と
図16に示す第3構成例とでは、向きが同様である。
【0124】
図16に示す第3構成例では、反射面RS1と基準面RF(あるいはX-Y平面)とのなす角度、及び、反射面RS4と基準面RFとのなす角度は、基準面RFから反時計回りに鋭角である。反射面RS2と基準面RFとのなす角度、及び、反射面RS3と基準面RFとのなす角度は、基準面RFから時計回りに鋭角である。
【0125】
反射面RS1及び反射面RS2は互いに向きが異なり、反射面RS1及び反射面RS3は互いに向きが異なる。反射面RS2及び反射面RS4は互いに向きが異なり、反射面RS3及び反射面RS4は互いに向きが異なる。
【0126】
図17は、
図16に示したヘッドマウントディスプレイ1の光学作用を説明するための図である。ここでは、右眼用の表示パネル2Rからの表示光DLRが右眼ERに到達するまでの光路に着目して説明する。なお、光の偏光状態については、
図9に示した通りであり、
図17への図示を省略する。
【0127】
まず、表示パネル2Rは、表示光DLRを出射する。表示光DLRは、第1直線偏光LP1である。表示光DLRは、第1位相差板R1を透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1は、第1半透過素子H1(光学素子20B、20G、20R)を透過する。
【0128】
第1半透過素子H1を透過した第1円偏光CP1は、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過した後に、第2半透過素子H2(光学素子20B、20G、20R)で反射される。例えば、青波長λbの表示光DLRは第1光学素子20Bで反射され、緑波長λgの表示光DLRは第2光学素子20Gで反射され、赤波長λrの表示光DLRは第3光学素子20Rで反射される。第2半透過素子H2は、表示パネル2Lに重畳する第3半透過素子H3に向けて第1円偏光CP1を反射する。
【0129】
第2半透過素子H2で反射された第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を斜めに透過する際に、第2円偏光CP2に変換される。第2位相差板R2を透過した第2円偏光CP2は、第3半透過素子H3(光学素子20B、20G、20R)で反射される。第3半透過素子H3は、表示パネル2Lに重畳する第4半透過素子H4に向けて第2円偏光CP2を反射する。
【0130】
第3半透過素子H3で反射された第2円偏光CP2は、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過した後に、第4半透過素子H4を透過する。第4半透過素子H4を透過した第2円偏光CP2は、第2素子L2(液晶素子10)において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの右眼ERに集光される。
【0131】
左眼用の表示パネル2Lからの表示光DLLも同様にして左眼ELに到達する。
【0132】
このような第3構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0133】
《第4構成例》
図18は、ヘッドマウントディスプレイ1の第4構成例を示す断面図である。
図18に示す第4構成例は、
図16に示した第3構成例と比較して、第2位相差板R2が第1半透過素子H1と第3半透過素子H3との間、及び、第2半透過素子H2と第4半透過素子H4との間に亘って配置された点で相違している。
【0134】
第2位相差板R2は、Y-Z平面に沿って延在した平板状に形成され、第1方向Xに沿った厚さを有している。つまり、第2位相差板R2は、Y-Z平面内で互いに直交する方向の屈折率がほぼ同等であり、第1方向Xの屈折率が面内の屈折率とは異なる屈折率異方性を有している。このような第2位相差板R2は、第1方向Xと平行な光路を通る光に対して位相差を付与せず、第1方向Xに対して斜め方向の光路を通る光に対して1/2波長の位相差を付与するものである。
【0135】
第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2は、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して対向している。第3半透過素子H3及び第4半透過素子H4は、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して対向している。第2位相差板R2は、図の右側の空気層4Cと、図の左側の空気層4Cとの間を仕切っている。
【0136】
図19は、
図18に示したヘッドマウントディスプレイ1の光学作用を説明するための図である。ここでは、右眼用の表示パネル2Rからの表示光DLRが右眼ERに到達するまでの光路に着目して説明する。なお、光の偏光状態については、
図9に示した通りであり、
図19への図示を省略する。
【0137】
まず、表示パネル2Rは、表示光DLRを出射する。表示光DLRは、第1直線偏光LP1である。表示光DLRは、第1位相差板R1を透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1は、第1半透過素子H1(光学素子20B、20G、20R)を透過する。
【0138】
第1半透過素子H1を透過した第1円偏光CP1は、第2半透過素子H2(光学素子20B、20G、20R)で反射される。第2半透過素子H2は、表示パネル2Lに重畳する第3半透過素子H3に向けて第1円偏光CP1を反射する。
【0139】
第2半透過素子H2で反射された第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を斜めに透過する際に、第2円偏光CP2に変換される。第2位相差板R2を透過した第2円偏光CP2は、第3半透過素子H3(光学素子20B、20G、20R)で反射される。第3半透過素子H3は、表示パネル2Lに重畳する第4半透過素子H4に向けて第2円偏光CP2を反射する。
【0140】
第3半透過素子H3で反射された第2円偏光CP2は、第4半透過素子H4を透過した後に、第2素子L2(液晶素子10)において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの右眼ERに集光される。
【0141】
左眼用の表示パネル2Lからの表示光DLLも同様にして左眼ELに到達する。
【0142】
このような第4構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0143】
《第5構成例》
図20は、ヘッドマウントディスプレイ1の第5構成例を示す断面図である。
図20に示す第5構成例は、
図18に示した第4構成例と比較して、第2位相差板R2が反射体R10に置換された点で相違している。
【0144】
反射体R10は、第1半透過素子H1と第3半透過素子H3との間、及び、第2半透過素子H2と第4半透過素子H4との間に亘って配置されている。反射体R10は、第1半透過素子H1及び第2半透過素子H2に面した第1反射面R11と、第3半透過素子H3及び第4半透過素子H4に面した第2反射面R12と、を有している。これらの第1反射面R11及び第2反射面R12は、Y-Z平面に沿って延在している。反射体R10は、図の右側の空気層4Cと、図の左側の空気層4Cとの間を仕切っている。
【0145】
図21は、
図20に示したヘッドマウントディスプレイ1の光学作用を説明するための図である。ここでは、右眼用の表示パネル2Rからの表示光DLRが右眼ERに到達するまでの光路に着目して説明する。また、光路が煩雑なため、1つの光路のみを図示している。なお、光の偏光状態については、
図9に示した通りであり、
図21への図示を省略する。
【0146】
まず、表示パネル2Rは、表示光DLRを出射する。表示光DLRは、第1直線偏光LP1である。表示光DLRは、第1位相差板R1を透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1は、第3半透過素子H3(光学素子20B、20G、20R)を透過する。
【0147】
第3半透過素子H3を透過した第1円偏光CP1は、第4半透過素子H4(光学素子20B、20G、20R)で反射される。第4半透過素子H4は、第2反射面R12に向けて第1円偏光CP1を反射する。
【0148】
第4半透過素子H4で反射された第1円偏光CP1は、第2反射面R12で反射された後に、第2円偏光CP2に変換される。第2反射面R12で反射された第2円偏光CP2は、第3半透過素子H3(光学素子20B、20G、20R)で反射される。第3半透過素子H3は、第4半透過素子H4に向けて第2円偏光CP2を反射する。
【0149】
第3半透過素子H3で反射された第2円偏光CP2は、第4半透過素子H4を透過した後に、第2素子L2(液晶素子10)において、第1円偏光CP1に変換されるとともにレンズ作用を受けてユーザの右眼ERに集光される。
【0150】
左眼用の表示パネル2Lからの表示光DLLも同様にして左眼ELに到達する。
【0151】
このような第5構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0152】
《第6構成例》
図22は、表示装置DSPの第6構成例を示す断面図である。
図22に示す第6構成例は、
図3に示した第1構成例と比較して、第1半透過素子H1が第2半透過素子H2と対向する凹状の反射面RS1を有するとともに、第1素子L1が省略された点で相違している。
【0153】
表示装置DSPは、表示パネル2と、光学システム4と、を備えている。なお、ここでは、照明装置の図示を省略し、表示パネル2の詳細の図示を省略するが、表示パネル2は、表示領域DAにおいて直線偏光の表示光DLを出射するように構成されている。
【0154】
光学システム4は、第1位相差板R1と、第1半透過素子H1と、第2位相差板R2と、第2半透過素子H2と、を備えている。第1位相差板R1及び第2位相差板R2の詳細については、第1構成例で説明した通りであり、第1位相差板R1は表示パネル2及び第1半透過素子H1に接し、第2位相差板R2は第1半透過素子H1に接している。
【0155】
第1半透過素子H1は、第1位相差板R1と第2位相差板R2との間に配置され、後に詳述するが、コレステリック液晶を有する光学素子30を備えている。光学素子30は、特定波長の光のうち、第1円偏光を透過し、第2円偏光を第2半透過素子H2に向けて反射するとともに第2円偏光を集光するレンズ作用を有するものである。光学素子30は、簡略化して示す反射面RS1を有している。
【0156】
第2半透過素子H2は、第1構成例で説明したように、コレステリック液晶を有する光学素子20を備えている。光学素子20は、特定波長の光のうち、第2円偏光を透過し、第1円偏光を第1半透過素子H1に向けて反射するものである。光学素子20は、簡略化して示す反射面RS2を有している。反射面RS2は、一定方向に延びる略平面形状を有している。反射面RS2とX-Y平面とのなす角度は、X-Y平面から時計周りに鋭角である。第2半透過素子H2は、第2位相差板R2から離間しており、第3方向Zにおいて、空気層4Cを介して第2位相差板R2と対向している。
【0157】
図23は、
図22に示した光学素子30の一例を示す断面図である。
光学素子30は、基板31と、配向膜AL31と、液晶層(第3液晶層)LC3と、配向膜AL32と、基板32と、を備えている。基板31及び32は、光を透過する透明基板であり、例えば、透明なガラス板または透明な合成樹脂板によって構成されている。
【0158】
配向膜AL31は、第3方向Zにおいて、配向膜AL32と対向している。配向膜AL31及びAL32は、例えば、ポリイミドによって形成され、いずれもX-Y平面に沿った配向規制力を有する水平配向膜である。
【0159】
液晶層LC3は、配向膜AL31及びAL32の間に配置され、配向膜AL31及びAL32に接している。液晶層LC3は、液晶構造体(コレステリック液晶)LMS3を有している。なお、
図23では、図面の簡略化のため、1つの液晶分子LM3は、X-Y平面内に位置する複数の液晶分子のうち、平均的配向方向を向いている液晶分子を代表して示している。複数の液晶分子LM3は、旋回しながら第3方向Zに沿って螺旋状に積み重ねられ、コレステリック液晶を構成している。
【0160】
液晶層LC3は、配向膜AL31と配向膜AL32との間に、点線で示すような複数の反射面RSを有している。反射面RSは、ブラッグの法則に従って、入射光のうち、第1円偏光を透過し、第2円偏光を反射する。反射面RSは、曲面であり、基板32と対向する側あるいは
図22の第2半透過素子H2と対向する側に凹であり、基板31と対向する側あるいは
図22の表示パネル2と対向する側に凸である。
【0161】
このような液晶層LC3は、複数の液晶分子LM3の配向方向が固定された状態で硬化している。
【0162】
図22に示した第1半透過素子H1の光学素子30は、
図23に示した液晶構造体(コレステリック液晶)LMS3を含む液晶層LC3を有している。
図22に示した第1半透過素子H1における反射面RS1は、
図23に示した反射面RSに相当する。
【0163】
図24は、
図22に示した表示装置DSPの光学作用を説明するための図である。
【0164】
まず、表示パネル2は、第1直線偏光LP1の表示光DLを出射する。表示光DLは、第1位相差板R1を透過する際に、第1円偏光CP1に変換される。第1位相差板R1を透過した第1円偏光CP1は、第1半透過素子H1(光学素子30)を透過する。
【0165】
第1半透過素子H1を透過した第1円偏光CP1は、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過した後に、第2半透過素子H2(光学素子20)で反射される。第2半透過素子H2で反射された第1円偏光CP1は、第2位相差板R2を斜めに透過する際に、第2円偏光CP2に変換される。
【0166】
第2位相差板R2を透過した第2円偏光CP2は、第1半透過素子H1(光学素子30)で反射される。第1半透過素子H1で反射された第2円偏光CP2は、第2位相差板R2をほぼ垂直に透過した後に、第2半透過素子H2を透過するとともに、第1半透過素子H1のレンズ作用を受けてユーザの瞳Eに集光される。
【0167】
このような表示装置DSPにおいても、第1構成例と同様の効果が得られる。加えて、第1素子を省略できるため、部品点数を削減することができる。
【0168】
なお、
図24を参照して説明した第1円偏光CP1を第2円偏光CP2に置換してもよい。
【0169】
図25は、ヘッドマウントディスプレイ1の第6構成例を示す断面図である。
図25に示す第6構成例は、
図15に示した第2構成例と比較して、第1半透過素子H1を構成する第1光学素子30B、第2光学素子30G、及び、第3光学素子30Rの各々が凹状の反射面RS1を有し、また、第3半透過素子H3を構成する第1光学素子30B、第2光学素子30G、及び、第3光学素子30Rの各々が凹状の反射面RS3を有している点で相違している。
【0170】
このようなヘッドマウントディスプレイ1においては、表示装置DSPLの表示光DLLは、第2半透過素子H2の反射面RS2で反射された後に、第1半透過素子H1の反射面RS1で反射されるとともに、第1半透過素子H1のレンズ作用によってユーザの左眼に集光される。但し、青波長λbの表示光DLLは第1半透過素子H1の第1光学素子30B及び第2半透過素子H2の第1光学素子20Bにおいて反射され、緑波長λgの表示光DLLは第1半透過素子H1の第2光学素子30G及び第2半透過素子H2の第2光学素子20Gにおいて反射され、赤波長λrの表示光DLLは第1半透過素子H1の第3光学素子30G及び第2半透過素子H2の第3光学素子20Rにおいて反射される。
【0171】
また、表示装置DSPRの表示光DLRは、第4半透過素子H4の反射面RS4で反射された後に、第3半透過素子H3の反射面RS3で反射されるとともに、第3半透過素子H3のレンズ作用によってユーザの右眼に集光される。但し、青波長λbの表示光DLLは第3半透過素子H3の第1光学素子30B及び第4半透過素子H4の第1光学素子20Bにおいて反射され、緑波長λgの表示光DLLは第3半透過素子H3の第2光学素子30G及び第4半透過素子H4の第2光学素子20Gにおいて反射され、赤波長λrの表示光DLLは第3半透過素子H3の第3光学素子30R及び第4半透過素子H4の第3光学素子20Rにおいて反射される。
【0172】
このような第6構成例においても、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0173】
以上説明したように、本実施形態によれば、光の利用効率を向上することが可能な表示装置を提供することができる。
【0174】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0175】
本明細書にて開示した構成から得られる表示装置の一例を以下に付記する。
(1)
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示領域を有する表示パネルと、
第1円偏光を透過し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を反射する第1半透過素子と、
前記第1半透過素子から離間し、前記第1円偏光を反射し、前記第2円偏光を透過する第2半透過素子と、
前記第2半透過素子に対向し、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有する第1素子と、
前記第1半透過素子に隣接し、前記第1円偏光を透過し、前記第2円偏光を反射する第3半透過素子と、
前記第3半透過素子から離間し、前記第2半透過素子に隣接し、前記第1円偏光を反射し、前記第2円偏光を透過する第4半透過素子と、
前記第4半透過素子に対向し、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有する第2素子と、
前記表示パネルと第1半透過素子との間、及び、前記表示パネルと前記第3半透過素子との間に亘って配置された第1位相差板と、
前記第1半透過素子と前記第3半透過素子との間、及び、前記第2半透過素子と前記第4半透過素子との間に亘って配置され、面内で互いに直交する方向の屈折率がほぼ同等であり、法線方向の屈折率が面内の屈折率とは異なる屈折率異方性を有する第2位相差板と、
を備えている、表示装置。
【0176】
(2)
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示領域を有する表示パネルと、
第1円偏光を透過し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を反射する第1半透過素子と、
前記第1半透過素子から離間し、前記第1円偏光を反射し、前記第2円偏光を透過する第2半透過素子と、
前記第2半透過素子に対向し、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有する第1素子と、
前記第1半透過素子に隣接し、前記第1円偏光を透過し、前記第2円偏光を反射する第3半透過素子と、
前記第3半透過素子から離間し、前記第2半透過素子に隣接し、前記第1円偏光を反射し、前記第2円偏光を透過する第4半透過素子と、
前記第4半透過素子に対向し、前記第2円偏光を集光するレンズ作用を有する第2素子と、
前記表示パネルと前記第1半透過素子との間、及び、前記表示パネルと前記第3半透過素子との間に亘って配置された第1位相差板と、
前記第1半透過素子と前記第3半透過素子との間、及び、前記第2半透過素子と前記第4半透過素子との間に亘って配置され、前記第1半透過素子及び前記第2半透過素子に面した第1反射面と、前記第3半透過素子及び前記第4半透過素子に面した第2反射面と、を有する反射体と、
を備えている、表示装置。
【0177】
(3)
直線偏光の表示光を出射するように構成された表示領域を有する表示パネルと、
第1円偏光を透過し、前記第1円偏光とは逆回りの第2円偏光を反射する第1半透過素子と、
前記表示パネルと前記第1半透過素子との間に配置された第1位相差板と、
前記第1半透過素子から離間し、前記第1円偏光を反射し、前記第2円偏光を透過する第2半透過素子と、
前記第1半透過素子と前記第2半透過素子との間に配置され、面内で互いに直交する方向の屈折率がほぼ同等であり、法線方向の屈折率が面内の屈折率とは異なる屈折率異方性を有する第2位相差板と、
を備え、
前記第1半透過素子は、前記第2半透過素子と対向する凹状の反射面を有している、表示装置。
【符号の説明】
【0178】
1…ヘッドマウントディスプレイ 2…表示パネル 3…照明装置 4…光学システム
DSP…表示装置
R1…第1位相差板 R2…第2位相差板
H1…第1半透過素子 RS1…反射面 H2…第2半透過素子 RS2…反射面
L1…第1素子 L2…第2素子
10…液晶素子 20…光学素子 30…光学素子
LD…発光素子