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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/12 20060101AFI20240430BHJP
   D06F 21/06 20060101ALI20240430BHJP
   D06F 37/26 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
D06F39/12 A
D06F21/06
D06F37/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020174114
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065493
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆
(72)【発明者】
【氏名】山元 弘巳
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-109943(JP,A)
【文献】特開2016-168236(JP,A)
【文献】特開2008-029371(JP,A)
【文献】特開2012-223439(JP,A)
【文献】特開2007-275544(JP,A)
【文献】特開2015-058082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/12
D06F 21/06
D06F 37/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物取出口が上面に設けられている洗濯機であって、
前記洗濯物取出口は、洗濯機の上面板を上下方向に貫通した開口として形成され、前記洗濯物取出口の下端縁と上端縁との間が傾斜面とされており、
洗濯槽が基準位置にある状態において当該洗濯機を上から見た場合、前記洗濯物取出口の中心が前記洗濯槽の中心よりも前方に位置するように偏心しているとともに、前記洗濯槽の後方側の一部が前記洗濯物取出口の下端縁よりも後方側に入り込んでおり、
前記洗濯槽を基準位置から前方に移動させた状態において、前記洗濯槽の中心前記洗濯物取出口の中心よりも前方に移動可能であることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機であって
記傾斜面においては、前記洗濯物取出口の後方に位置する前記傾斜面は表面が凸面となる曲面に形成され、前記洗濯物取出口の前方側に位置する前記傾斜面は表面が凹面となる曲面に形成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項に記載の洗濯機であって、
前記上面板における前記洗濯物取出口の前方に操作パネルが取り付けられており、
前記上面板と前記操作パネルとの繋ぎ目部分では、前方側中央部から前方側両端部にかけて前記操作パネルの縁部に傾斜面が形成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項に記載の洗濯機であって、
前記洗濯物取出口を覆う蓋を有しており、
前記蓋を開くための取っ手構造として、前記上面板の両側面の上縁部において、前記蓋の下でユーザが指を差し入れることが可能な凹部が形成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項から4の何れか1項に記載の洗濯機であって、
前記洗濯物取出口の下端縁は、左右両側の側方縁部が前後方向に平行な直線とされていることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物取出口が上面に設けられている洗濯機(いわゆる、縦型洗濯機)に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型洗濯機では、洗濯槽の回転軸が略鉛直方向とされており、洗濯槽の上部が開口されている(例えば、特許文献1)。また、縦型洗濯機では、洗濯機本体の上面においても、洗濯物取出口となる開口が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/147554号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
縦型洗濯機では、洗濯物の取り出しを行う場合、洗濯槽の底にある洗濯物を洗濯物取出口まで持ち上げて取り出す必要がある。しかしながら、縦型洗濯機においては、通常、給水口が洗濯物取出口の後方側において前方に張り出すように設けられている。このため、比較的重量の大きい洗濯物を取り出す場合などに、給水口が洗濯物に干渉し、洗濯物が取り出しにくくなるといった問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、洗濯物の取り出しが容易となる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の洗濯機は、洗濯物取出口が上面に設けられている洗濯機であって、洗濯槽が基準位置にある状態において当該洗濯機を上から見た場合、前記洗濯物取出口の中心が前記洗濯槽の中心よりも前方に位置するように偏心しており、前記洗濯槽を基準位置から前方に移動させた状態において、前記洗濯槽の中心と前記洗濯物取出口の中心とが一致可能であることを特徴としている。
【0007】
上記の構成によれば、洗濯物を洗濯槽から引き出すときに洗濯槽が前方に引き寄せられる過程で、洗濯槽の中心と洗濯物取出口の中心とを一致させることができる。このとき、洗濯物取出口の内部領域に存在する洗濯槽の開口部分の面積が増大し、洗濯物の取り出しが容易となる。
【0008】
また、上記洗濯機では、前記洗濯物取出口は、洗濯機の上面板を上下方向に貫通した開口として形成され、前記洗濯物取出口の下端縁と上端縁との間が傾斜面とされており、前記傾斜面においては、前記洗濯物取出口の前方側中央部よりも、前方側両端部の方が、より緩やかな傾斜となっている構成とすることができる。
【0009】
上記の構成によれば、洗濯物取出口において、傾斜面の前方側両端部を緩やかな傾斜にすることで、ユーザが重量のある洗濯物を取り出そうとする場合に、洗濯機の前方斜め方向から取り出すことで洗濯物の取り出しがさらに容易となる。
【0010】
また、上記洗濯機では、前記上面板における前記洗濯物取出口の前方に操作パネルが取り付けられており、前記上面板と前記操作パネルとの繋ぎ目部分では、前記操作パネルの縁部に傾斜面が形成されている構成とすることができる。
【0011】
上記の構成によれば、操作パネルの縁部に傾斜面を設けることで、洗濯物を洗濯物取出口から引き出す際に、洗濯物が操作パネルの縁部に引っ掛かりにくくなり、洗濯物の傷みを防止できる。
【0012】
また、上記洗濯機では、前記洗濯物取出口を覆う蓋を有しており、前記蓋を開くための取っ手構造として、前記上面板の両側面の上縁部において、前記蓋の下でユーザが指を差し入れることが可能な凹部が形成されている構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、蓋の取っ手構造を洗濯機の側面側に設けることで、ユーザの洗濯機に対する動作のアプローチを洗濯機の側面に向けることができる。すなわち、ユーザが洗濯機の蓋を開く動作、およびユーザが洗濯機から洗濯物を取り出す動作を、何れも洗濯機の側面側から行うものとすることができ、ユーザ洗濯機に対する動作のアプローチに統一性を持たせることができる。
【0014】
また、上記洗濯機では、前記洗濯物取出口の下端縁は、左右両側の側方縁部が前後方向に平行な直線とされている構成とすることができる。
【0015】
上記の構成によれば、洗濯槽が静止して基準位置にある状態、および洗濯槽が前方に引き寄せられた状態の何れであっても、洗濯物取出口の下端縁の内部領域に存在する洗濯槽の開口部分の面積を大きく取ることができ、洗濯物の取り出しが容易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の洗濯機は、洗濯物を洗濯槽から引き出すときに洗濯槽が前方に引き寄せられる過程で、洗濯槽の中心と洗濯物取出口の中心とを一致させることで、洗濯物の取り出しが容易となるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態を示すものであり、洗濯機の斜視図である。
図2図1の洗濯機の上面図である。
図3図1の洗濯機の縦断面図である。
図4】洗濯槽の上部開口と洗濯物取出口との関係を示す図である。
図5】上面板と操作パネルとの繋ぎ目部分を示す断面図である。
図6】洗濯物取出口の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態1に係る洗濯機10の斜視図である。図2は、洗濯機10の上面図である。図3は、洗濯機10の縦断面図(図2のA-A断面図)である。
【0019】
洗濯機10の外観としては、図1および図2に示すように、洗濯機10は、洗濯機本体11と、洗濯機本体11の上面を覆う蓋12とを有している。洗濯機本体11の内部には、洗濯槽13が備えられている。洗濯機本体11の外部筐体は、上面板111と下部筐体112とに分割されて構成されている。上面板111には、洗濯物取出口113となる上下方向に貫通した開口が設けられており、洗濯物取出口113は蓋12を閉じることで覆われるようになっている。また、上面板111の上面であって洗濯物取出口113の前方には操作パネル114が取り付けられている。蓋12は、蓋12を閉じたときに蓋12の上面と操作パネル114の上面とが面一となるように構成されている。これにより、蓋12と操作パネル114とが一体感のあるデザインとなり、洗濯機10の意匠性が高められている。
【0020】
洗濯機10の内部構造としては、図3に示すように、洗濯槽13は、洗濯槽13の上端が下部筐体112の上端よりも下方に位置するように配置されている。洗濯槽13の回転軸は、洗濯槽13が静止しており、かつ、洗濯槽13に洗濯物が入っていない状態などでは、略垂直な基準位置に維持されるようになっている。但し、洗濯槽13は、複数のサスペンション(図示せず)によって下部筐体112から吊り下げられているため、洗濯槽13の回転時や洗濯槽13から洗濯物を取り出す際などには、洗濯槽13が揺動して基準位置から移動することが可能となっている。
【0021】
上面板111における洗濯物取出口113は、図2に示すように、下端縁113aと上端縁113bとがそれぞれ異なる形状となっており、かつ、下端縁113aと上端縁113bとの間が傾斜面113cとされている。
【0022】
洗濯物取出口113の下端縁113aは、円弧と直線とから構成された形状であり、円筒形状である洗濯槽13の外周円よりも大きな円の一部を弦で切り取った形状とされている。より具体的には、下端縁113aは、後方縁部が直線となっており、両側の側方縁部が円弧となっている。また、下端縁113aの前方縁部は、後方縁部よりも短い直線となっている。
【0023】
洗濯物取出口113の上端縁113bは、洗濯機10の左右方向が長辺、前後方向が短辺となる略矩形状とされている。上端縁113bの4隅には、円弧状のアールが形成されている。また、洗濯物取出口113を上から見た場合、上端縁113bの内部領域は下端縁113aの内部領域よりも広くなっており、上端縁113bの内側に下端縁113aの全体が配置されている。このため、洗濯物取出口113の傾斜面113cは、洗濯物取出口113の周囲全体で、外側から内側に向かって下がるような傾斜面となっている。また、傾斜面113cは、後述する給水口115の上方付近を除いて、その表面が凹面となる曲面に形成されている。
【0024】
また、洗濯物取出口113を上から見た場合、傾斜面113cは、後方側が前方側よりも広くなっているが、これは洗濯物取出口113の後方側において給水口115(図3参照)が設けられているためである。すなわち、給水口115は、洗濯物取出口113の後方側において傾斜面113cの下方に設けられており、傾斜面113cは給水口115の上方箇所が前方に張り出すように形成されている。また、給水口115の上方箇所における傾斜面113cは、その表面が凸面となる曲面に形成されている。
【0025】
本実施の形態1に係る洗濯機10は、洗濯槽13と洗濯物取出口113との位置関係、および洗濯物取出口113の形状に関して、以下に示すような特徴点を有している。この特徴点について、図4を参照して以下に説明する。
【0026】
洗濯機10では、洗濯槽13が基準位置にある状態において洗濯機10を上から見た場合、図4に示すように、洗濯物取出口113の中心Pが洗濯槽13の中心Qよりも前方に位置するように偏心している。また、洗濯槽13の上端は、その後方側の一部が洗濯物取出口113の下端縁113aよりも後方側に入り込むように開口している。ここで、洗濯物取出口113の中心Pとは、洗濯物取出口113の下端縁113aにおいて、左右方向の寸法が最大となる線分L1の中心を指す。例えば、洗濯物取出口113の中心Pは、下端縁113aの両側の円弧を含む円の中心を指す。
【0027】
また、洗濯槽13を基準位置から前方に最大限に引き寄せた状態では、洗濯槽13の中心(図4では位置Q’で示す)を、図4に示す線分L1よりも前方に移動させることができる。図4に示すP-Q間距離は例えば11mmであり、Q-Q’間距離は例えば32mmとすることができる。
【0028】
洗濯機10において、ユーザが洗濯槽13から洗濯物を取り出そうとする場合、通常は、洗濯機10の前方側から引き出すようにして洗濯物が取り出される。また、取り出そうとする洗濯物が比較的重量の大きいものである場合、洗濯物取出口113の前縁部に洗濯物を当接させながら洗濯槽13から引き出すことも多くなる。このような場合、洗濯物を洗濯槽13から引き出す動作によって洗濯槽13が前方に引き寄せられる。
【0029】
本実施の形態1に係る洗濯機10では、洗濯物を洗濯槽13から引き出すときに洗濯槽13が前方に引き寄せられる過程で、洗濯槽13の中心Qと洗濯物取出口113の中心Pとを一致させることができる。また、洗濯槽13が真っ直ぐ前方に移動せず、斜め前方に移動した場合であっても、洗濯槽13が基準位置にある状態に比べて、洗濯槽13の中心Qと洗濯物取出口113の中心Pとを近接させることができる。このとき、洗濯物取出口113の下端縁113aの内部領域に存在する洗濯槽13の開口部分の面積が増大し、洗濯物の取り出しが容易となる。
【0030】
すなわち、洗濯槽13が基準位置にある状態では、洗濯槽13の中心Qが洗濯物取出口113の中心Pよりも後方とすることで、洗濯槽13の前方への張出量を抑制でき、洗濯機10を小型化することができる。また、洗濯槽13の前側の内壁が洗濯物取出口113に覆われにくくなるため、洗濯、脱水工程後に洗濯槽13の前側の内壁に貼り付いた洗濯物をユーザが視認しやすくなる。
【0031】
一方で、洗濯物を洗濯槽13から引き出すときに洗濯槽13が前方に引き寄せられた場合は、洗濯槽13の中心Qと洗濯物取出口113の中心Pとを一致させることができるため、ユーザが洗濯物を引き出そうとして洗濯槽13内へ左右の手を出し入れするときに、洗濯物取出口113が狭く感じてしまうことを抑制できる。
【0032】
これらにより、洗濯機10を小型化しつつ、洗濯物の取り出しを容易とする洗濯機10を提供できる。
【0033】
〔実施の形態2〕
本実施の形態2においては、洗濯物を洗濯槽13からより取り出しやすくするための、洗濯物取出口113の形状の工夫について説明する。
【0034】
図4にも示されているように、洗濯物取出口113の上端縁113bは、洗濯機10の左右方向が長辺となる略矩形状とされており、傾斜面113cは、洗濯物取出口113の周囲全体で外側から内側に向かって下がるような傾斜面となっている。そして、傾斜面113cにおいては、洗濯物取出口113の前方側中央部よりも、前方側両端部(すなわち、前方側の両隅)の方が、より緩やかな傾斜となっている。すなわち、図4における線分L2に沿った箇所で、緩やかな傾斜を有している。
【0035】
このように、洗濯物取出口113においては、傾斜面113cの前方側両端部を緩やかな傾斜にすることで、ユーザが重量のある洗濯物を取り出そうとする場合に、洗濯機10の前方斜め方向から取り出すことで洗濯物の取り出しがさらに容易となる。また、洗濯物を洗濯機10の前方斜め方向から取り出す際には、操作パネル114に干渉することなく取り出しが可能となる。これにより、洗濯物の取り出し時に、誤って操作パネル114に触れてしまい、洗濯機10の誤動作が生じることも抑制できる。
【0036】
尚、本実施の形態2に係る洗濯機10は、洗濯物取出口113の前方側両端部における傾斜面113cの面積が広くなっていることで、ユーザに対して洗濯機10の前方斜め方向から洗濯物を取り出すことを促すようなデザインにもなっている。また、ユーザは、洗濯機10の前方斜め方向から洗濯物を取り出す際に、傾斜面113cの傾斜が緩やかな方向から洗濯槽13の内部を視認することになり、その結果、洗濯槽13の内部が視認しやすくなるため、洗濯物の取り忘れを防止する効果なども期待できる。
【0037】
図5は、上面板111と操作パネル114との繋ぎ目部分を示す断面図(図4におけるB-B断面図)である。図5に示すように、上面板111と操作パネル114との繋ぎ目部分では、操作パネル114の縁部を緩やかな傾斜面114aとしている。また、この傾斜面114aは、その表面が凹面となる曲面に形成されている。このように、操作パネル114の縁部に傾斜面114aを設けることで、洗濯物を洗濯物取出口113から引き出す際に、洗濯物が操作パネル114の縁部に引っ掛かりにくくなり、洗濯物の傷みを防止できる。
【0038】
尚、実施の形態2に係る洗濯機10では、蓋12を開くための取っ手構造について、以下のような形状の工夫がされていてもよい。例えば、洗濯機10では、ユーザが蓋12を開くときに使用する取っ手構造を、洗濯機10の正面側(蓋12の手前側)ではなく、洗濯機10の側面側に設けてもよい。具体的には、図1および図2に示すように、洗濯機10は、上面板111の両側面の上縁部において凹部111aを形成している。これにより、ユーザが蓋12を開くときには、凹部111aに指を差し込み、蓋12の下面に指を掛けて蓋12を持ち上げることができる。
【0039】
このように、洗濯機10においては、蓋12を開くための取っ手構造(すなわち、凹部111a)を、洗濯機10の側面側に設けることで、蓋12の前端部分に取っ手部を形成したり、操作パネル114の後方縁部に蓋12を開くための取っ手構造を形成する必要がなくなる。そのため、蓋12を閉じたときに、操作パネル114の後方縁部から蓋12の前方縁部に亘って凹凸が形成されない連続面となるように形成することが可能となる。また、蓋12が閉じられた状態では、ユーザから凹部111aが視認されにくくなり、洗濯機10の意匠性を向上させることができる。また、本実施の形態1に係る洗濯機10では、蓋12に取っ手部を形成する必要がなくなることで、蓋12の薄型化および軽量化を図る、または、操作パネル114に蓋12を開くための取っ手構造を形成する必要がなくなることで、操作パネル114面を有効に利用することも可能となる。
【0040】
そして、本実施の形態2に係る洗濯機10では、蓋12の取っ手構造を洗濯機10の側面側に設けることでも、ユーザの洗濯機10に対する動作のアプローチを洗濯機10の側面に向けることができる。すなわち、ユーザが洗濯機10の蓋12を開く動作、およびユーザが洗濯機10から洗濯物を取り出す動作を、何れも洗濯機10の側面側から行うものとすることができ、ユーザ洗濯機10に対する動作のアプローチに統一性を持たせることができる。
【0041】
〔実施の形態3〕
実施の形態1に係る洗濯機10では、洗濯物取出口113の下端縁113aを、円弧と直線とから構成された形状としており、具体的には、下端縁113aの両側の側方縁部が円弧とされている。しかしながら、本発明において、洗濯物取出口113の下端縁113aの形状はこれに限定されるものではない。図6は、本実施の形態3に係る洗濯機10として、洗濯物取出口113の変形例を示す模式図である。すなわち、本実施の形態3に係る洗濯機10では、下端縁113aの左右両側の側方縁部が、円弧ではなく前後方向に平行な直線とされている。
【0042】
本実施の形態3に係る洗濯機10においても、洗濯槽13が基準位置にある状態で洗濯機10を上から見た場合、図6に示すように、洗濯物取出口113の中心Pが洗濯槽13の中心Qよりも前方に位置するように偏心している。但し、下端縁113aの両側の側方縁部直線とされている場合、洗濯物取出口113の中心Pとは、洗濯物取出口113の下端縁113aにおいて、前後方向における中央に位置する線分L1’の中心を指すものとする。そして、洗濯槽13を基準位置から前方に最大限に傾けた状態では、洗濯槽13の中心(図6では位置Q’で示す)を、図6に示す線分L1’よりも前方に移動させることができる。
【0043】
本実施の形態3に係る洗濯機10では、洗濯物取出口113の下端縁113aにおいて、左右方向の寸法が最大となる箇所が、前後方向における中央を含んだ一定領域(最大寸法領域)に渡って存在する。このため、洗濯槽13が静止して基準位置にある状態、および洗濯槽13が前方に傾いた状態の何れでも、洗濯槽13における左右方向の直径が最大寸法領域内に存在することになる。このとき、洗濯槽13がどのような状態にあっても、洗濯物取出口113の下端縁113aの内部領域に存在する洗濯槽13の開口部分の面積を大きく取ることができ、洗濯物の取り出しが容易となる。尚、最大寸法領域は、洗濯物取出口113の下端縁113aにおける前後方向の中心に対して前後に同量の領域としなくてもよく、中心よりも前方向の領域が後方向の領域よりも狭くなっていることが好ましい。これによって、実施の形態2で示したような、洗濯物取出口113の前方側両端部の傾斜面113cを緩やかに形成できる。
【0044】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0045】
10 洗濯機
11 洗濯機本体
111 上面板
111a 凹部
112 下部筐体
113 洗濯物取出口
113a 下端縁
113b 上端縁
113c 傾斜面
114 操作パネル
114a 傾斜面
115 給水口
12 蓋
13 洗濯槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6