(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】高圧受電設備の振動検出システム
(51)【国際特許分類】
G01V 1/01 20240101AFI20240430BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G01V1/01 100
H02J13/00 301A
(21)【出願番号】P 2020177168
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 創一
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-118065(JP,A)
【文献】国際公開第2020/171189(WO,A1)
【文献】特開2010-276536(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0078520(US,A1)
【文献】国際公開第2010/137246(WO,A1)
【文献】特開2012-127929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0192746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/01
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電線を通って送られた高圧の電気を低圧に変換するトランスと、加速度を計測する加速度計と、を筐体内に備えた高圧受電設備の振動検出システムであって、
加速度計で計測された加速度情報から周波数を演算する演算部と、判定をする判定部を備え、
判定部は、演算部で演算された周波数を用いて、高調波が生じている状態か否かを判定するとともに高調波が生じていないが地震波が生じている状態か否かを判定する第1判定を行うことが可能である高圧受電設備の振動検出システム。
【請求項2】
判定部は、高調波の振幅が閾値を超えるか否かを判定する第2判定を行うことが可能である請求項1に記載の高圧受電設備の振動検出システム。
【請求項3】
過去に高調波が計測された時間帯の振幅の挙動を記憶する記憶部を備え、
判定部は、第2判定により振幅が閾値を超えた高調波と同時間帯に計測された記憶部のデータを参照することで、過去の同時間帯に計測された高調波か否かを判定する第3判定を行うことが可能である請求項1又は2に記載の高圧受電設備の振動検出システム。
【請求項4】
判定部により高調波であると判定された波形の頂点を演算し、その頂点を結ぶことで2次波形として抽出する頂点演算手段を備え、
演算部は、2次波形の周波数を演算可能であり、
判定部は、2次波形の周波数が地震波の周波数帯である場合に、その2次波形の周波数を地震波の周波数であるとして判定する請求項1から3の何れかに記載の高圧受電設備の振動検出システム。
【請求項5】
判定部は、2次波形が地震波であると判定された場合、地震波が発生する前もしくは後であって地震波が生じていないタイミングでの高調波の振幅を、地震が発生している間の高調波の振幅とする請求項4に記載の高圧受電設備の振動検出システム。
【請求項6】
判定部は、2次波形が地震波であると判定された場合、地震波と判定された各振幅と、地震波が発生する前もしくは後であって地震波が生じていないタイミングでの高調波の振幅との差分を地震波の振幅とする請求項4又は5に記載の高圧受電設備の振動検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧受電設備の振動検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、加速度計により地震を検知することが知られている。また、特許文献2に記載されているように、複数の回路を用いた高調波信号検出部により高調波を検出することが知られている。また、電流や電圧の計測情報から高調波を検出することが知られている。このように、従来、地震波と高調波の検出は各々別の専用計測器にて行っていた。また、特許文献2のような高調波の専用計測器は高価なものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-1494号公報
【文献】特開2005-210823号公報
【0004】
ところで、高調波が高圧受電設備の電源側や負荷側の電路を通って高圧受電設備内に入ってくることがある。このような高調波が入ってくるのは、主に、工場設備や家電機器等の電源のオンオフ時であるが、高圧受電設備内に高調波が入ってくると、高圧受電設備内の電路やトランスによる振動音が発生したり、計測装置などの周辺機器や電源周辺設備が誤動作したり故障したりしてしまう虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、トランスを備えた筐体内に設けた加速度計を用いて、地震波と高調波の双方を検知できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、送電線を通って送られた高圧の電気を低圧に変換するトランスと、加速度を計測する加速度計と、を筐体内に備えた高圧受電設備の振動検出システムであって、加速度計で計測された加速度情報から周波数を演算する演算部と、判定をする判定部を備え、判定部は、演算部で演算された周波数を用いて、高調波が生じている状態か否かを判定するとともに高調波が生じていないが地震波が生じている状態か否かを判定する第1判定を行うことが可能である高圧受電設備の振動検出システムとする。
【0007】
また、判定部は、高調波の振幅が閾値を超えるか否かを判定する第2判定を行うことが可能であるものとすることが好ましい。
【0008】
また、過去に高調波が計測された時間帯の振幅の挙動を記憶する記憶部を備え、判定部は、第2判定により振幅が閾値を超えた高調波と同時間帯に計測された記憶部のデータを参照することで、過去の同時間帯に計測された高調波か否かを判定する第3判定を行うことが可能であるものとすることが好ましい。
【0009】
また、判定部により高調波であると判定された波形の頂点を演算し、その頂点を結ぶことで2次波形として抽出する頂点演算手段を備え、演算部は、2次波形の周波数を演算可能であり、判定部は、2次波形の周波数が地震波の周波数帯である場合に、その2次波形の周波数を地震波の周波数であるとして判定するものとすることが好ましい。
【0010】
また、判定部は、2次波形が地震波であると判定された場合、地震波が発生する前もしくは後であって地震波が生じていないタイミングでの高調波の振幅を、地震が発生している間の高調波の振幅とするものであることが好ましい。
【0011】
また、判定部は、2次波形が地震波であると判定された場合、地震波と判定された各振幅と、地震波が発生する前もしくは後であって地震波が生じていないタイミングでの高調波の振幅との差分を地震波の振幅とするものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、トランスを備えた筐体内に設けた加速度計を用いて、地震波と高調波の双方を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態における高圧受電設備に振動検出システムが適用された例を表す概略図である。
【
図2】地震波と高調波の違いを表すイメージ図である。
【
図4】高周波と地震波が重畳している場合に高調波と地震波を抽出する例を示す図である。ただし、(a)における破線は2次波形を表しており、一点鎖線は2次波形から推定される地震波を表している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1に示されていることから理解されるように、本実施形態の振動検出システムは、送電線を通って送られた高圧の電気を低圧に変換するトランス12と、加速度を計測する加速度計13と、を筐体11内に備えている。この高圧受電設備1の振動検出システムは、加速度計13で計測された加速度情報から周波数を演算する演算部14と、判定をする判定部15を備え、判定部15は、演算部14で演算された周波数を用いて、高調波が生じている状態か否かを判定するとともに高調波が生じていないが地震波が生じている状態か否かを判定する第1判定を行うことが可能である。このため、トランス12を備えた筐体11内に設けた加速度計13を用いて、地震波と高調波の双方を検知できる。
【0015】
ここで、実施形態の高圧受電設備1について説明する。
図1に示すことから理解されるように、高圧受電設備1は筐体11の内部にトランス12を備えている。このトランス12は、送電線を通って送られた高圧の電気を低圧に変換するために用いられる。
【0016】
高圧受電設備1の筐体11には、単位時間に速度が変化する割合である加速度を計測することができる加速度計13が備えられている。
図1に示す例では、トランス12を載せる基台16に加速度計13を載せているが、このような態様である必要はない。例えば、トランス12に取り付けられていても良い。
【0017】
加速度計13は100Hz未満である地震波を計測することができるものであるが、100Hz以上である高調波も計測することができる。地震波は通常100Hzよりもかなり小さな値であり、高調波と区別することができる。なお、高調波とは50から60Hzといった商用周波数に2以上の整数を掛けて得られる周波数である。地震波と高調波の違いをイメージに表すと
図2に示すようなものである。なお、商用周波数に掛けられる整数は次数として扱われる。
【0018】
実施形態はこれらを備えた高圧受電設備1における振動検出を行う振動検出システムに、加速度計13で計測された加速度情報から周波数を演算する演算部14と、判定をする判定部15を備えている。また、判定部15は、演算部14で演算された周波数を用いて、高調波が生じている状態か否かを判定するとともに高調波が生じていないが地震波が生じている状態か否かを判定する第1判定を行うことが可能である。このようにすれば、地震波だけでなく、高調波が生じていることを判定可能である。
【0019】
また、実施形態の判定部15は第1判定に加えて、高調波の振幅が閾値を超えるか否かを判定する第2判定を行うことが可能である。このため、高調波の振幅から、問題の有無をチェックすることができる。例えば、計測情報に悪影響を及ぼす振幅の大きい高調波の存在の有無を判定することができる。なお、
図3に示すことから理解されるように、第2判定に用いる閾値は高調波の周波数が大きいほど小さい値とし、高調波の周波数が小さいほど高い値とするのが好ましい。周波数が大きいほど細かく振動するからである。
【0020】
なお、高調波の次数によってフィルタ定数を決定すれば、効率よく高調波に対する対策を行える。フィルタ定数とは、リアクトルとコンデンサを備えたフィルタにおいて、リアクトルとコンデンサの組み合わせ方に左右される、高周波を減衰することができる能力のことを意味する。フィルタはトランス12と計測機器間などの電路上に入れ込むことで高調波対策を行うことができる。
【0021】
また、実施形態の振動検出システムは、過去に高調波が計測された時間帯の振幅の挙動を記憶する記憶部を備えている。また、判定部15は、第2判定により振幅が閾値を超えた高調波と同時間帯に計測された記憶部のデータを参照することで、過去の同時間帯に計測された高調波か否かを判定する第3判定を行うことが可能である。このため、過去から現在への高調波の変化を把握することができる。また、過去には計測されていない不定期な高調波が生じているか否かを判定することができ、現在の高調波の発生状況を詳細に把握することができるので、高調波の原因の特定がしやすくなる。このため、第2判定で閾値を超えるような異常な高調波に対して第3判定を行うのが好ましい。
【0022】
判定部15が第3判定を行うことができれば、例えば、
図3に示すX日のデータのように、過去の参照データと同様な傾向であると、高調波は新たに生じた事象に起因するものでは無いと判定することができる。また、
図3に示すZ日のデータのように、過去の参照データには無い高調波が検出された場合には、高調波は新たに生じた事象に起因するものあると判定することができる。
【0023】
第3判定で参照される過去のデータは色々なものが想定されるが、その例の一部を次に記す。例えば、高圧受電設備1の設置時前後における高調波データである。また、毎日、毎週、毎月など定期的に計測したデータを記憶し、直近(1日前、1週間前、1か月前等)に計測した高調波データを参照するデータとしても良い。更にはこれらを組み合わせたデータとすることもできる。
【0024】
過去の高調波の時間と最新の高調波の時間は一定の範囲の猶予を持たすこととしてもよい。例えば、過去には午前8時10分に高調波が検出されていたが、最新の高調波が午前8時13分に検出された場合、猶予時間を5分と設定していれば、午前8時13分で検出された高調波は、定期な高調波であると判定される。
【0025】
また、実施形態の振動検出システムは、判定部15により高調波であると判定された波形の頂点を演算し、その頂点を結ぶことで2次波形として抽出する頂点演算手段を備えている。具体的には、
図4の(a)に示す例では、実線で得られた結果から破線で示すような波形を得るということである。
【0026】
また、演算部14は、2次波形の周波数を演算可能であり、判定部15は、2次波形の周波数が地震波の周波数帯である場合に、その2次波形の周波数を地震波の周波数であるとして判定することができる。このため、高調波と地震波が同時に重畳した場合でも、地震の発生を判定することができる。
【0027】
また、判定部15は、2次波形が地震波であると判定された場合、地震波が発生する前もしくは後であって地震波が生じていないタイミングでの高調波の振幅を、地震が発生している間の高調波の振幅として置き換えることができる。このため、高調波と地震波が同時に重畳した場合でも、地震波の影響を抑制して高調波成分を抽出することが可能である。なお、
図4に示す例では(a)に示す振幅の経時変化から、(b)に示すような高調波成分であると抽出している。
【0028】
また、判定部15は、2次波形が地震波であると判定された場合、地震波と判定された各振幅と、地震波が発生する前もしくは後であって地震波が生じていないタイミングでの高調波の振幅との差分を地震波の振幅とすることができる。このため、高調波と地震波が同時に重畳した場合でも、高周波の影響を抑制して地震波成分を抽出することが可能である。なお、
図4に示す例では(a)に実線で示す振幅の経時変化から、破線で示すような2次波形を抽出した結果、一点鎖線で表すような振幅の地震波が生じていると推定している。
【0029】
次に、振動検出システムの利用例について、
図5に示すフローを利用して説明する。まず、何らかの原因により加速度計13が加速度を計測すると(ST101)、演算部14が加速度から周波数(振動数)を抽出する(ST102)。判定部15は、演算部14で演算された周波数を用いて、高調波が生じている状態か否かを判定するとともに高調波が生じていないが地震波が生じている状態か否かを判定する第1判定を行う(ST103)。具体的には、演算部14で演算された周波数が高調波に該当する周波数であるのか地震波に該当する周波数であるのかを判定する。
【0030】
この際、地震波及び高調波の周波数に該当しない場合は、正常判定をし、出力する(ST104)。地震波に該当する周波数である場合、地震判定との結果を出力する(ST115)。
【0031】
第1判定で高調波が生じている状態であると判定された場合、判定部15は、高調波の振幅が閾値を超えるか否かを判定する第2判定を行う(ST105)。第2判定の結果が閾値以上の場合は異常判定1を行い出力する(ST106)。第2判定の結果が閾値未満の場合は警告判定1を行い出力する(ST114)。
【0032】
第2判定で用いられる閾値は周辺機器が誤動作や故障する虞のある異常振幅を有する振動であるか否かを判定できるように設定しており、異常判定1が出力された状態では、周辺機器が誤動作や故障する虞のある異常振幅を有する振動が生じていたということが分かり、警告判定1が出力された状態では、高調波は生じていたものの周辺機器が誤動作や故障する虞のある異常振幅を有する振動は生じていなかったということが分かる。
【0033】
高調波と地震波が同時に重畳したかもしれないため、異常判定1や警告判定1がなされた後、振幅の頂点を演算し(ST107)、その演算結果から頂点を通る2次波形を抽出する(ST108)。また、2次波形の周波数を抽出する(ST109)。ST109で抽出した2次波形の周波数が地震波の周波数であるか否かを確認し(ST110)、地震波の周波数である場合は、高調波に地震波が重畳していると判定する(ST111)。ST109で抽出した2次波形の周波数が地震波の周波数で無い場合は、地震波の重畳は無いと判定する(ST113)。
【0034】
2次波形が地震波であると判定された場合、地震波と判定された各振幅と、地震波が発生する前もしくは後の地震波と判定されなかった高調波の振幅の差分を地震波の振幅とする。また、地震波が発生する前もしくは後の地震波と判定されなかった高調波の振幅を地震が発生している間の高調波の振幅であるとする。(ST112)
【0035】
高調波と地震波が同時に重畳した場合の、地震波の抽出方法の具体例は、次のようなものを例示できる。地震発生直前の高調波の振幅が3mm、地震発生後の第1波の振幅が7mmだとすると「7mm-3mm=4mm」が地震波の第1波の振幅であるとすることができる。また、地震発生後の第2波の振幅が10mmだとすると「10mm-3mm=7mm」が地震波の第2波の振幅であるとすることができる。その後も同様にして演算することで地震波の振幅を抽出することができる。
【0036】
上記の例では地震発生前の高調波の波形は略同一の振幅を繰り返している状態を前提としているが、振幅に差がある場合は単位時間当たりの振幅の平均値を高調波の振幅と仮定してもよい。この場合、+か-の一方における頂点の平均値とすればよい。
【0037】
次に、第2判定で閾値以上の振幅が発生していると判定された場合に、その高調波が過去に定期的に発生しているものであるかを判定する第3判定を実施する例を
図6に示すフローを利用して説明する。ここでは、
図5に示すフローと
図6に示すフローの違いについて説明する。高調波の振幅が閾値を超えるか否かを判定する第2判定が行われ(ST205)、振幅が閾値以上であると判明した場合には、記憶部の過去データを参照し、定期的に発生していた高周波か否かを判定する第3判定をおこなう(ST206)。このような内容の判定結果が得られれば、高調波の原因を絞ることができ、特定しやすくなる。
【0038】
ST206において過去データには発生していない不定期な時間帯に高調波が発生している場合は、異常判定2を行う(ST207)。異常判定2が出力された場合は、振幅が閾値以上の振動であり、且つ不定期に発生している高調波であることが分かる。
【0039】
ST206において過去データに発生している定期な時間帯に高調波が発生している場合は、異常判定3を行う(ST215)。異常判定3が出力された場合は、振幅が閾値以上の異常振動であり、且つ定期に発生している高調波であることが分かる。
【0040】
なお、
図5に示すフローと
図6に示すフローの違いは上記した事項であり、それ以外については、ステップの番号は異なっても、実質的に同内容のことを行っている。
【0041】
次に、第2判定で閾値以上の振幅が発生していないと判定された場合にも、その高調波が過去に定期的に発生しているものであるかを判定する第3判定を実施する例を
図7に示すフローを利用して説明する。ここでは、
図6に示すフローと
図7に示すフローの違いについて説明する。高調波の振幅が閾値を超えるか否かを判定する第2判定が行われ(ST305)、振幅が閾値未満であると判明した場合にも、記憶部の過去データを参照し、定期的に発生していた高周波か否かを判定する第3判定をおこなう(ST316)。このような内容の判定結果が得られれば、高調波の原因を絞ることができ、特定しやすくなる。
【0042】
ST316において過去データには発生していない不定期な時間帯に高調波が発生している場合は、警告判定2を行う(ST317)。警告判定2が出力された場合は、振幅が閾値未満の振動であり、且つ不定期に発生している高調波であることが分かる。
【0043】
ST316において過去データに発生している定期な時間帯に高調波が発生している場合は、警告判定3を行う(ST318)。警告判定3が出力された場合は、振幅が閾値未満の振動であり、且つ定期に発生している高調波であることが分かる。
【0044】
なお、
図6に示すフローと
図7に示すフローの違いは上記した事項であり、それ以外については、ステップの番号は異なっても、実質的に同内容のことを行っている。
【0045】
ところで、加速度計13はx、y、z軸における各々の加速度を計測できるものであることが好ましい。この場合、x、y、z軸における各々の加速度を判定対象としてもよい。その場合は、少なくとも一つの軸で異常な高調波が判定されれば、警告等を出すのが好ましい。また、x、y、z軸の加速度を合成したものを判定対象としてもよい。
【0046】
ところで、判定部15は、第2判定を行った場合、その時間帯の筐体11内の電流や電圧等の計測情報と第2判定情報を同期するのが好ましい。例えば、高調波の周波数が閾値を超えていた場合、その時間帯に計測された電流や電圧等の計測情報に対して警告表示を設けたり、計測データの無効化を行ったりする。このようにすれば、高調波により悪影響が及んだ時間帯の計測データが正しいものだと誤認されることを防ぐことができる。
【0047】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、発明の目的に沿っていれば、フローは、各ステップの前後が入れ替わっていても構わないし、一部のステップを採用しなかったり、他のステップを採用したりすることもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 高圧受電設備
11 筐体
12 トランス
13 加速度計
14 演算部
15 判定部