(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】カート装置
(51)【国際特許分類】
A47B 31/00 20060101AFI20240430BHJP
A47B 91/06 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A47B31/00 Z
A47B31/00 G
A47B91/06
(21)【出願番号】P 2020184115
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】山根 隆雅
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-018386(JP,A)
【文献】特開2016-019601(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0245708(US,A1)
【文献】独国実用新案第202014000624(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00
A47B 91/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を走行可能なベース部と、
前記ベース部から上方に延びる伸縮可能な支持体と、
前記支持体に支持され前記支持体の伸縮に応じて上下に昇降する天板と、
前記天板の裏面側に吊り下げ固定され前記天板と共に昇降する載置部と、を備え、
前記載置部は、
前記天板の下方に位置し、前記支持体の上下方向に交差する第一方向の少なくとも一方側に離間した位置に配された物品を載置する載置面を有する底板部と、
前記載置面の上に載置された前記物品が前記支持体に近接する側へ移動することを規制する規制部を有し、
前記規制部は、
平面視して、前記支持体の中心に対して前記上下方向及び前記第一方向に交差する第二方向の両側に離間して設けられるとともに、それぞれ前記支持体から前記第一方向の前記載置面が設けられた側に離間して配されて前記物品が前記支持体に近接する側への移動を規制する一対の規制面を有する、カート装置。
【請求項2】
前記底板部は、一対の規制面の間に設けられ、前記支持体の外周面に対して隙間を有して配されるとともに、前記外周面に沿う形状に形成された縁部を有する、
請求項1に記載のカート装置。
【請求項3】
前記縁部は、平面視して前記規制面よりも前記支持体から離間する側へと凹んでいる、
請求項2に記載のカート装置。
【請求項4】
前記支持体は、前記外周面の少なくとも一部に平面を有しており、当該平面が前記第二方向に平行する向きで配置されている、
請求項2または3に記載のカート装置。
【請求項5】
前記底板部は、前記上下方向に貫通し、前記支持体が挿通されるとともに、前記第二方向の一方側に開口する支持体挿通孔が形成され、
前記底板部は、前記支持体挿通孔に対して前記第一方向の両側に前記載置面及び前記規制面を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のカート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、床面上を走行可能なベース部と、前記ベース部から上方に延びる伸縮可能な支持体と、前記支持体に支持された天板と、天板に吊り下げ固定された載置部とを備えたカート装置が知られている。
単支柱及び上下昇降式の天板を備えた移動式のカート装置には、天板にハンドル部が取り付けられており、利用者はこのハンドル部を把持してカート装置を走行させる。このような移動式のカート装置は、例えば、病院などで使用され、天板上に載置されるパソコン用のバッテリー等の物品を収納するために、天板の裏面側に載置部を固定した構成のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-130184号公報
【文献】特開2017-012622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カート装置の利用とともに、出し入れを行うような物品についても、天板の下方で天板に支持された載置部に収容することが望まれていた。特に、カート装置による作業に伴って適時出し入れして、天板上で利用するような書類や書類を保持する板状の保持部材(例えば、ファイル等)などについては、天板と高さが変わらない天板下に固定される載置部に収容する利点がある。
【0005】
一方で、天板下方に設ける載置部では、天板とともに昇降してしまうため、天板の昇降に伴って、伸縮する支持体と載置部とが干渉してしまう、あるいは、支持体と載置部に収納された物品とが干渉してしまう懸念があった。また、干渉しないように支持体から載置部を離間した位置で箱状に設けてしまうと、収容スペースが小さくなって収容可能物品の大きさが限られてしまうという問題があった。
【0006】
本発明の一つの態様は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、載置部の奥行方向の収納空間を十分に確保した使い勝手の良いカート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における一態様のカート装置は、床面上を走行可能なベース部と、前記ベース部から上方に延びる伸縮可能な支持体と、前記支持体に支持され前記支持体の伸縮に応じて上下に昇降する天板と、前記天板の裏面側に吊り下げ固定され前記天板と共に昇降する載置部と、を備え、前記載置部は、前記天板の下方に位置し、前記支持体の上下方向に交差する第一方向の少なくとも一方側に離間した位置に配された物品を載置する載置面を有する底板部と、前記載置面の上に載置された前記物品が前記支持体に近接する側へ移動することを規制する規制部を有し、前記規制部は、平面視して、前記支持体の中心に対して前記上下方向及び前記第一方向に交差する第二方向の両側に離間して設けられるとともに、それぞれ前記支持体から前記第一方向の前記載置面が設けられた側に離間して配されて前記物品が前記支持体に近接する側への移動を規制する一対の規制面を有する。
【0008】
このような構成によれば、載置部の載置面上に載置された物品が規制部における一対の規制面によって、支持体に近接する側への物品の移動を規制することができる。これにより、上下に伸縮する支持体に物品等をぶつけることなく載置部に収容することができる。
【0009】
本発明における一態様のカート装置において、前記底板部は、一対の規制面の間に設けられ、前記支持体の外周面に対して隙間を有して配されるとともに、前記外周面に沿う形状に形成された縁部を有する構成としてもよい。
【0010】
このような構成によれば、支持体の外周面に対して隙間を有して配置された縁部には規制面がないため、支持体の外周面に縁部が接触しない程度に当該支持体に対して規制部をできる限り近づけることが可能である。支持体と縁部との間に、支持体に縁部が接触しない程度の隙間を確保しつつ、載置部の収容空間を広くすることができる。これにより、載置部の収容空間を十分に確保した使い勝手の良いカート装置を提供することができる。
【0011】
本発明における一態様のカート装置において、前記縁部は、平面視して前記規制面よりも前記支持体から離間する側へと凹んでいる構成としてもよい。
【0012】
このような構成によれば、平面視において縁部が規制面よりも支持体から離間する方向へと凹んでいる構成とすることで、支持体に対して規制面の位置をより近づけることが可能となる。これにより、載置部の収容空間をより広くすることが可能となる。
【0013】
本発明における一態様のカート装置において、前記支持体は、前記外周面の少なくとも一部に平面を有しており、当該平面が前記第二方向に平行する向きで配置されている構成としてもよい。
【0014】
この構成によれば、強度確保のため支持体に平面を設けてその形状を大きくしつつ、平面に直交する第一方向の幅が狭くなるため、載置部を第一方向に広くすることができる。
【0015】
本発明における一態様のカート装置において、前記底板部は、前記上下方向に貫通し、前記支持体が挿通されるとともに、前記第二方向の一方側に開口する支持体挿通孔が形成され、前記底板部は、前記支持体挿通孔に対して前記第一方向の両側に前記載置面及び前記規制面を有する構成としてもよい。
【0016】
この構成によれば、支持体挿通孔内に支持体を挿通した状態で底板部が配置されることになり、支持体挿通孔に対して第一方向の両側に物品を載置させる載置面と、物品の支持体側への移動を規制する規制面が存在する為、支持体への物品の接触を防ぎつつ、物品の収容空間を第一方向へとより広げることが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、載置部の奥行方向の収納空間を十分に確保した使い勝手の良いカート装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るカート装置を上方側から見たときの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るカート装置を下方側から見たときの斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の一実施形態に係る支持基体の構成を示す斜視図である。
図3(b)は、本発明の一実施形態に係る物品収容部と支持基体との位置関係を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、支持基体に対する物品収容部の位置関係を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る物品収容部の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6(a)~(c)は、本発明の一実施形態に係る物品収容部の変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、従来の構成における支持基体と規制部との位置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態のカート装置について説明する。
なお、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0020】
また、以下の説明においては、利用者がハンドル部5eを把持してカート装置1と対向する側を後方とし、ハンドル部5eを押してカート装置1を進行させる側を前方とする。これら後方と前方とを結ぶ方向をカート装置1の前後方向あるいは奥行方向とする。また、前後方向と直交する水平方向を幅方向とする。また、利用者がハンドル部5eを把持してカート装置1を操作する向きを基準として、利用者の右側をカート装置1の右側、利用者の左側をカート装置1の左側とする。
【0021】
<カート装置>
図1は、本発明の一実施形態に係るカート装置1を上方側から見たときの斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るカート装置1を下方側から見たときの斜視図である。
図3(a)は、本発明の一実施形態に係る支持基体3bの構成を示す斜視図である。
図3(b)は、本発明の一実施形態に係る物品収容部5fと支持基体3bとの位置関係を示す斜視図である。
図4は、支持基体3bに対する物品収容部5fの位置関係を示す図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る物品収容部5fの構成を示す斜視図である。
図6は、(a)~(c)は、本発明の一実施形態に係る物品収容部5fの変形例を示す図である。
図7は、従来の構成における支持基体と規制部との位置関係を示す平面図である。
【0022】
図1に示すカート装置1は、床面上を走行可能なカート本体3と、カート本体3に支持された天板ユニット5と、を備えている。本実施形態のカート装置1は、オフィスや病院等において、パソコンや薬瓶等の物品を載置して搬送する什器であり、天板ユニット5の高さ位置を利用者が適宜変更することが可能な構成とされている。
【0023】
(カート本体)
カート本体3は、脚部(ベース部)3aと、支持基体(支持体)3bと、昇降操作部3dと、を備えている。
脚部3aは、4本の直線状の脚杆3a1と、これらの脚杆3a1の根元が接続されるベース部3a2と、各脚杆3a1の先端部にそれぞれ取り付けられたキャスタ3a3と、後方側(利用者側)の一対のキャスタ3a3にそれぞれ取り付けられたロック部3a4と、を備えている。このような脚部3aの4つのキャスタ3a3が床面に当接した状態で転動することによって、カート装置1が走行可能とされている。また、後方側の一対のキャスタ3a3に設けられた各ロック部3a4のうち、少なくともいずれか一方により、少なくとも1つのキャスタ3a3の転動をロックすることができる。これにより、カート装置1の移動を規制することが可能である。なお、後方側の一対のキャスタ3a3の両方をロックすることで、前後方向へのカート装置1の移動規制を高めることができる。
【0024】
支持基体3bは、
図1及び
図2に示すように脚部3aの中央に取り付けられ、脚部3aから上方へと延びる柱体状である。支持基体3bは、上下方向(長さ方向)に交差する断面における外形が略楕円形状をなしており、長軸側がカート装置1の左右方向(幅方向:第二方向)、短軸側がカート装置1の前後方向(奥行方向:第一方向)となる向きで配置されている。支持基体3bの外周面3bcは、一対の平面3baと、これら一対の平面3baどうしを接続する曲面3bbと、を有している。支持基体3bは、平面3baどうしが対向する前後幅よりも曲面3bb同士が対向する横幅の方が大きい。
【0025】
支持基体3bは、
図3(a)に示すように、外側支柱ユニット3b1と、内側支柱ユニット3b2と、を備えている。支持基体3bは、脚部3aに固定される外側支柱ユニット3b1に対して、その内側に配置された内側支柱ユニット3b2が上下方向へ移動可能に構成されている。
【0026】
外側支柱ユニット3b1は、脚部3a(
図1)のベース部3a2(
図1)上に立設される中空の柱状部をなすアウタ3b3と、アウタ3b3に固定される4つの棚柱3b4と、一対の上端カバー3b9(
図3(b))と、を備えている。
【0027】
アウタ3b3の外周面には、カート装置1の前側および後側の各々に溝部3b5がそれぞれ2つずつ、全体で4つ形成されている。各溝部3b5は、外周面から内側にそれぞれ凹むとともに、外側支柱ユニット3b1(アウタ3b3)の長さ方向全体に亘って互いに平行な状態で形成される溝である。各溝部3b5は、アウタ3b3の外周面に開口するとともに、長さ方向両側の端部にも開口する。これら4つの溝部3b5に、棚柱3b4がそれぞれ嵌合している。
【0028】
各棚柱3b4には、長さ方向に一定のピッチで複数の係止孔3b6が形成されている。これらの係止孔3b6は、例えば、支持基体3bに対して、
図1の二点鎖線で示すようなトレイ10を取り付ける際に用いられ、トレイ10側の係止爪が挿入される箇所である。トレイ10側の係止爪を、上下に並ぶ複数の係止孔3b6のうちの任意の係止孔3b6に取り付けることによって、支持基体3bに対するトレイ10の高さ位置を変えることができる。また、いずれの棚柱3b4に対しても、1つまたは複数のトレイ10を取り付けることが可能である。
【0029】
図3(b)に示す一対の上端カバー3b9は、アウタ3b3の上端側に取り付けられ、アウタ3b3の上端側の開口を閉塞する。これら一対の上端カバー3b9の中央に形成される貫通孔3b10からは、内側支柱ユニット3b2の上端が突出する。
【0030】
図3(a)に示す内側支柱ユニット3b2は、外側支柱ユニット3b1のアウタ3b3の内側に形成された中空部分に挿通される。内側支柱ユニット3b2は、アウタ3b3に対して移動可能な中空の柱状部3b7と、柱状部3b7の左右方向両側の側部に支持される一対のローラ(不図示)と、を有している。内側支柱ユニット3b2は、アウタ3b3の内壁面に当接するローラが転動することによって、柱状部3b7がアウタ3b3に対してその長さ方向(上下方向)に移動可能とされている。
【0031】
このような内側支柱ユニット3b2の柱状部3b7の上端側に、
図1及び
図2に示した天板ユニット5が取り付けられる。そのため、柱状部3b7がアウタ3b3に対してその上端から上方へ大きく突出されている場合には、全体として支持基体3bが伸びた状態とされ、天板ユニット5が高い位置に配置される。一方、柱状部3b7の大部分がアウタ3b3内に収容されている場合には、全体として支持基体3bが縮んだ状態とされ、天板ユニット5が低い位置に配置される。
【0032】
支持基体3bの伸縮動作は、天板ユニット5の裏面側に設置された昇降操作部3dによって可能とされている。昇降操作部3dは、外側支柱ユニット3b1に対して内側支柱ユニット3b2を任意の位置で固定するものである。昇降操作部3dは、操作レバー3d1と、操作レバー3d1に連結されたロック機構(不図示)と、を備えている。
【0033】
操作レバー3d1は、天板ユニット5の裏面側のうちハンドル部5eの近傍であって、天板ユニット5における幅方向(第二方向)の一方側(右側)に配置されている。ロック機構は、操作レバー3d1に連動し、利用者によって操作レバー3d1が操作された場合のみ、外側支柱ユニット3b1に対する内側支柱ユニット3b2のロック状態を解除する。このようにして昇降操作部3dによるロック状態が解除されると、外側支柱ユニット3b1に対して内側支柱ユニット3b2の移動可能となり、任意の高さに天板ユニット5を配置することができる。
【0034】
(天板ユニット)
図1及び
図2に示すように、天板ユニット5は、天板5aと、落下防止バー5dと、ハンドル部5eと、物品収容部(載置部)5fと、を備えている。
【0035】
天板5aは、上面5Tが電子機器等の物品が載置可能な物品載置面とされた略矩形状の板部材であり、上述した内側支柱ユニット3b2の上端に水平に固定されている。
【0036】
落下防止バー5dは、天板5aの上面5T側に配置され、その大部分が天板5aの上面5Tから上方へ離れた状態で取り付けられている。落下防止バー5dは、細長い棒状体を天板5aの平面視における外形の一部に沿うように屈曲した形状をなす。
【0037】
ハンドル部5eは、天板5aの後方側の縁部からさらに後方へ向けて突出させて設けられている。このハンドル部5eは、カート装置1を走行させるときに利用者が把持する部位である。ハンドル部5eは、天板5aの幅方向に亘って延在し、利用者が両手で把持することが可能である。
【0038】
物品収容部5fは、
図1及び
図2に示すように、天板5aの下面5s(
図2)に取り付けられ、天板5a上に載置された電子機器(PC)等の不図示のアダプター等の物品を収容可能とする。物品収容部5fは、例えば、金属板を加工してトレイ状に形成したものである。本実施形態の物品収容部5fは、支持基体3bの前後に収容空間をそれぞれ有しており、支持基体3bの前後どちらか一方側のみに収容空間を有した従来の構成よりも収納量がアップしている。
【0039】
物品収容部5fは、
図3(b)及び
図4に示すように、天板5aの下面5s(
図2)に対向する底板部5f1と、底板部5f1に形成された貫通孔5gと、底板部5f1の幅方向における右側の側縁から立ち上がる一対の右側側板5f3,5f4と、底板部5f1の幅方向における左側の側縁から立ち上がる左側側板5f5と、複数の天板取付部5h1~5h5と、を有している。
【0040】
底板部5f1は、天板5aの下面5sに対向する上面側に、物品が載置される載置面5faを有する。本実施形態では、支持基体3bの上下方向に交差する前後方向(第一方向)に広がる大きさの底板部5f1(載置面5fa)を有しているが、天板5aの下方における前後方向の少なくとも一方側に設けられていてもよい。
【0041】
底板部5f1の前端5f2は、
図3(b)に示すように、左右の側板5f5,5f4の各前端よりも前方の位置において上方へ向かって折り曲げられており、物品収容部5f内に収容される物品の前方側への落下を防ぐ部位である。前端5f2の立ち上がり具合は僅かであり、天板5aから下方へ離れた所に位置する。これにより、天板5aと、底板部5f1の前端5f2との間は大きく開口し、底板部5f1の前端5f2側において天板5aとの間に開口4が形成される。この開口4を通じて、前端5f2側から物品収容部5f内への物品の出し入れが可能である。
なお、底板部5f1の前端5f2は、上方へ向かって折り曲げられていなくてもよい。
【0042】
本実施形態では、医療現場で多用されるクリップホルダーを主な収容物品として想定している。そのため、物品収容部5fの開口2は、例えばA4サイズのクリップホルダーの出し入れが容易に行える大きさであることが好ましい。
【0043】
図3(b)に示すように、ハンドル部5e側に位置する底板部5f1の後端5f6は、上方へ折り曲げられることなく、左右の側板5f5,5f3の各後端よりも後方側へ水平に突き出している。底板部5f1のうち後端5f6が天板5aから最も離れているため、後端5f6と天板5aとの間に広い開口2が形成される。主に、カート装置1のハンドル部5e側において作業を行う利用者は、立ち上がりのない後端5f6側に形成された広い開口2を通じて物品収容部5f内へ物品を挿入させやすい。
なお、底板部5f1の後端5f6は、前端5f2と同様に上方へ向かって折り曲げられていてもよい。
【0044】
底板部5f1は、天板5aよりも一回り小さい面積を有する。底板部5f1は、
図3(b)に示すように、その幅方向長さが、貫通孔5gを介した前後方向(奥行方向)で異なっており、左側側板5f5と右側側板5f4との間の幅W1よりも、左側側板5f5と右側側板5f3との間の幅W2の方が小さい。底板部5f1の後方側(ハンドル部5e側)を狭い形状とすることで、物品収容部5fの後方右側であって利用者の右手側に、フック部5jにかけられる配線ケーブル等が収容される空間が天板5aの下方に形成される。
【0045】
本実施形態の底板部5f1には、奥行方向における略中央に、上述した支持基体3bを挿通可能させるための貫通孔5gが形成されている。貫通孔5gは、底板部5f1の板厚方向を貫通して形成され、底板部5f1の幅方向一方側の右側側板5f3と右側側板5f4との間の位置から左側側板5f5に向かって凹む形状をなし、幅方向に延びている。貫通孔5gは、左側側板5f5には達しない程度の長さを有し、左側側板5f5から幅方向右側に離れた所に位置する。
【0046】
本実施形態の貫通孔5gは、
図4に示すように、その少なくとも一部が、上述した支持基体3bをその軸方向から挿通可能な大きさを有しており、支持基体3bを軸方向から見たときの外形に応じて部分的に奥行方向の開口幅が広がった形状をなす。
【0047】
貫通孔5gの開口幅W11は、
図4に示すように、上記支持基体3bの軸方向に交差する断面形状における短軸幅W31と同じかそれよりも小さい。貫通孔5gのうち、上記支持基体3bを挿通可能な支持基体挿通孔5g1における最大開口幅W12は、支持基体3bの短軸幅W31よりもわずかに大きい。
【0048】
また、
図4に示すように、貫通孔5gのうち支持基体挿通孔5g1の幅方向両側は、幅方向外側へ行くにしたがって漸次狭くなっており、上記開口幅W11に略一致する。貫通孔5gにおける右側開口端5gaとは反対側の基端5gbは、平面視において半円弧状とされ、支持基体挿通孔5g1から左側側板5f5(
図3(b))側に離れた所に位置する。
【0049】
図3(b)及び
図4に示すように、底板部5f1のうち、左側側板5f5の前半分の部位と右側側板5f4とによって挟まれた領域を前方領域(第1領域)R1とし、左側側板5f5の後半分の部位と右側側板5f3とによって挟まれた領域を後方領域(第2領域)R2とする。後方領域R2は、支持基体3bに対して開口2側(ハンドル部5e側)に位置し、前方領域R1は、支持基体3bに対して開口2とは反対側に位置している。後方領域R2は、前方領域R1よりも狭いが、例えば、上述したA4サイズのクリップホルダーを安定して載置可能な大きさを有する。
【0050】
本実施形態においては、
図4に示すように、載置面5fa上に載置された物品が支持基体3bに近接する側へ移動することを規制する規制部5kを有する。規制部5kは、板状をなす複数の規制部5k1~5k3からなる。これら複数の規制部5k1~5k3は、支持基体3bに面する底板部5f1の端辺、すなわち、貫通孔5gの開口を構成する端辺(以下、開口縁5m)に沿って部分的に形成されている。
【0051】
具体的には、貫通孔5gの開口縁5mのうち、支持基体3bの前後方向の各平面3baにそれぞれ面する一対の第1縁部(縁部)5m1を除いて、各第1縁部5m1の幅方向両側に位置する各第2縁部5m21~5m23に、天板5a側へ向けて立ち上がる規制部5k1~5k3がそれぞれ形成されている。いずれの規制部5k1~5k3も、支持基体3bには接触せず、支持基体3bから離れた所に位置する。規制部5k1~5k3が設けられていない第1縁部5m1は、規制部5k1~5k3どうしの間において支持基体3bの外周面3bc(平面3ba)に対して隙間Eを有して位置し、平面視において支持基体3bの外形(平面3ba)に沿う形状をなす。
【0052】
規制部5k1~5k3は、
図3(b)に示すように、いずれも底板部5f1に対して垂直に折り曲げられて形成され、天板5a側へ向けて立ち上がっている。規制部5k1,5k2の高さは互いに等しく、上記底板部5f1の前端5f2側の立ち上がりよりも高さを有する。一方、規制部5k3の高さは、他の規制部5k1,5k2の高さの半分程度であって、底板部5f1の前端5f2の立ち上がりよりも低い。なお、この構成に限られず、規制部5k3が、他の規制部5k1,5k2と等しい高さであってもよい。
【0053】
規制部5k1は、貫通孔5gの右側開口端5ga側に位置し、貫通孔5gの開口縁5mのうち前方領域R1側の第2縁部5m21に沿って幅方向に直線状に形成されている。
規制部5k2は、貫通孔5gの右側開口端5ga側に位置し、貫通孔5gの開口縁5mのうち後方領域R2側の第2縁部5m22に沿って幅方向に直線状に形成されている。規制部5k1は支持基体3bの前方側に位置し、規制部5k2は支持基体3bの後方側に位置しており、互いに平行である。
規制部5k3は、貫通孔5gの基端5gb側に位置し、貫通孔5gの開口縁5mにおける第2縁部5m23に沿って、前方領域R1から後方領域R2に亘って半円弧状に形成されている。規制部5k3の奥行方向に位置する両側の端部5kkは、幅方向に沿って直線形状をなす。
【0054】
規制部5k1及び規制部5k3は、前方側の第1縁部5m1を介して幅方向両側に離間して設けられており、規制部5k2及び規制部5k3は、後方側の第1縁部5m1を介して幅方向両側に離間して設けられている。
【0055】
各規制部5k1~5k3は、それぞれ支持基体3bから前方側に離間して配されて、載置面5fa上に載置された物品が支持基体3bに近接する側へ移動するのを規制する前方規制面5ka(規制面)及び後方規制面(規制面)5kbをそれぞれ有している。
【0056】
貫通孔5gの支持基体挿通孔5g1に対応する底板部5f1の各第1縁部5m1は、平面視における支持基体3bの外形に沿った形状をなしていることから、前方規制面5ka及び後方規制面5kbよりも支持基体3bから離間する前後方向へとそれぞれ凹んでいる。
【0057】
図3(b)及び
図4に示すように、貫通孔5g(開口縁5m)における第2縁部5m21に設けられた規制部5k1は、前方領域R1側を向く前方規制面5kaを有する。前方規制面5kaは、規制部5k1が支持基体3bに接触しない程度に、前方領域R1側の第1縁部5m1よりも支持基体3b側に位置している。
【0058】
第2縁部5m22に設けられた規制部5k2は、後方領域R2側を向く後方規制面5kbを有する。後方規制面5kbは、規制部5k2が支持基体3bに接触しない程度に、後方領域R2側の第1縁部5m1よりも支持基体3b側に位置している。
【0059】
第2縁部5m23に設けられた規制部5k3は、前方側の端部5kkの外面側に前方領域R1側を向く前方規制面5kaを有し、後方側の端部5kkの外面側に後方側の後方領域R2側を向く後方規制面5kbを有する。規制部5k3における前方規制面5ka及び後方規制面5kbは、規制部5k3が支持基体3bに接触しない程度に、前後方向における各第1縁部5m1よりも支持基体3b側にそれぞれ位置している。規制部5k3の前方規制面5kaは、規制部5k1の前方規制面5kaに平行し、奥行方向の位置が互いに一致する。規制部5k3の後方規制面5kbは、規制部5k2の後方規制面5kbに平行し、奥行方向の位置が互いに一致している。
【0060】
前方領域R1及び後方領域R2における各第1縁部5m1は、各々の幅方向に亘って、支持基体3bに対してほぼ一定の間隔をあけて対向する。つまり、第1縁部5m1における直線部5maと支持基体3bの平面3baとの対向距離と、第1縁部5m1における各傾斜部5mbと支持基体3bの各曲面3bbとの対向距離とは、互いに略等しい。
【0061】
また、平面視において、規制部5k1の幅方向内側の端部5kkと、支持基体3bの曲面3bbとの対向距離、規制部5k2の幅方向内側の端部5kkと、支持基体3bの曲面3bbとの対向距離、規制部5k3における幅方向内側の各端部5kkと、支持基体3bの曲面3bbとの対向距離は、いずれも、上述した第1縁部5m1と支持基体3bとの間の距離に略等しい。すなわち、貫通孔5gの支持基体挿通孔5g1に対応する各第1縁部5m1は、平面視における支持基体3bの外形に沿った形状をなしている。
【0062】
図4に示すように、奥行方向における位置が互いに一致した第1規制部5k1の前方規制面5kaと、規制部5k3の前方規制面5kaとを結ぶ直線Sは、支持基体3bには交差しない。また、奥行方向における位置が互いに一致した規制部5k2の後方規制面5kbと、規制部5k3の後方規制面5kbとを結ぶ直線Sも、支持基体3bには交差しない。すなわち、奥行方向において、前方規制面5ka及び後方規制面5kbは、支持基体3bの平面3baから離れる方向に位置している。これら前方規制面5ka及び後方規制面5kbに物品が当接することで、支持基体3b側への物品の移動が規制される。
【0063】
本実施形態において、規制部5k1~5k3は、支持基体3bに対して間隔をおいて対向しており、支持基体3bの外周面には接しない位置であって、上記直線Sが支持基体3bの前方側の外面(平面3ba)に限りなく近づいた位置に設けられている。本実施形態では、第1縁部5m1に規制部がないため、上記直線Sの位置が支持基体3bにより近くなる位置に規制部5k1~5k3を配置した構成とすることができる。これにより、底板部5f1における前方領域R1及び後方領域R2の面積を奥行方向へ広げることができる。
【0064】
図3(b)及び
図5に示すように、左側側板5f5には、
図1及び
図2に示した天板5a側から下方にそれぞれ凹む凹部6a1、6a2が形成されている。凹部6a1は、左側側板5f5の後方側に位置し、凹部6a2は、左側側板5f5の前方側に位置する。これら凹部6a1,6a2は、左側側板5f5を板厚方向に貫通してそれぞれ形成され、互いに奥行方向に連通している。凹部6a1,6a2は、互いの深さが異なっており、後方に位置する凹部6a2よりも前方に位置する凹部6a1の方が深く、天板5aとの間に物品の挿入を可能にする開口4を形成する。
【0065】
底板部5f1の右側前方に位置する右側側板5f4には、左側側板5f5の凹部6a2と同程度の深さを有する凹部6a4が形成されている。凹部6a4は、天板5aとの間に物品の挿入を可能にする開口4を形成する。
【0066】
底板部5f1の右側後方に位置する右側側板5f3には、前端側に切込部6a3が形成されている。切込部6a3は、天板5aの裏面側に取り付けられるカバー部(
図2)を配置するための切り込みであって、右側側板5f4よりも幅方向内側に位置する右側側板5f3が、上記カバー部に干渉するのを避けるために形成されている。
【0067】
物品収容部5fの少なくとも四隅を含む幅方向両側には、複数の天板取付部5h1~5h5が形成されている。天板取付部5h1~5h5は、物品収容部5fの幅方向両側の各側板5f3~5f5の上端を内側に折り曲げることで形成されている。天板取付部5h1~5h5には、少なくとも1つの挿通孔5vがそれぞれ形成されており、これら各挿通孔5vに挿入されるネジによって、物品収容部5fが天板5aの下面5sにネジ止めされる。
【0068】
物品収容部5fのうち、左側側板5f5の奥行方向両側の各上端には、それぞれ1つずつ挿通孔5vを有した天板取付部5h2,5h3が形成されている。右側側板5f4の奥行方向両側の各上端にも、それぞれ1つずつ挿通孔5vを有した天板取付部5h4,5h5が形成されている。右側側板5f3においては、他の側板に比べて奥行方向の長さが短く、前方側に上記切込部6a3が形成されていることから、天板取付部5h1が後方側に形成されている。天板取付部5h1は、他の天板取付部5h2~5h5よりも奥行方向に幅を有し、2つの挿通孔5vが形成されている。
【0069】
図1及び
図2に示すように、物品収容部5fの右側には、配線ケーブルや物品等を係合可能なフック部5jが設けられている。フック部5jは、貫通孔5gの右側開口端側に位置し、物品収容部5fにおける右側側板5f3よりも幅方向外側に配置されている。フック部5jは、天板5aの下面5s側にネジ止めされている。
【0070】
天板5aは、伸縮可能な支持基体3bの上端に取り付けられることから、支持基体3bの伸縮に応じて天板5aを昇降させることができ、利用者に適した高さに天板5aの位置を適宜変更することが可能である。本実施形態においては、昇降する天板5aの裏面側に物品収容部5fが吊下げ固定されており、天板5aの昇降に応じて物品収容部5fの上下位置も変化する。そのため、天板5aの高さ調整と共に物品収容部5fの高さも変更することができるので、使用者は自身の使いやすい高さにおいて作業及び収納ができる。
【0071】
このような本実施形態のカート装置1は、支持基体3bの前後方向に広がる大きさの物品収容部5fを設けた構成のため、例えば、支持基体3bの前後方向一方側にだけ物品収容部(載置面)が設けられた構成に比べて、支持基体3bの前後方向両側に収納空間が存在するため広い収容空間を有する。また、ハンドル部5e側(利用者側)に物品収容部5f内に通じる最も広い開口2があるため、利用者が気軽に物品収容部5f内へ物品等を収容することができるとともに、物品等の出し入れも容易となり、使い勝手の良いカート装置1となる。
【0072】
図7に示すような従来の構成では、物品収容部9fの底板部9f1における支持基体3b側の縁部9f2の大部分に規制部9f3が設けられており、支持基体3bの平面3baに対して規制部9f3が面している。このため、支持基体3bの伸縮動作を妨げることがないように、支持基体3bと物品収容部9fの規制部9f3との間に、
図7に示すような隙間Fが設けられている。つまり、支持基体3bと規制部9f3との間に、支持基体3bに規制部9f3が干渉するのを防ぐための一定の隙間Fを確保することによって物品収容部9fとして利用可能な奥行方向の収容空間が制限されていた。
【0073】
これに対して、本実施形態では、物品収容部5fの底板部5f1に形成された貫通孔5gの開口を構成する端辺(開口縁5m)のうち、奥行方向で支持基体3bに対向する一対の第1縁部5m1を除いた複数の第2縁部5m2にそれぞれ規制部5k1~5k3が設けられている。つまり、支持基体3bの各平面3baにそれぞれ面する第1縁部5m1に規制部5k1~5k3は形成されていない。
【0074】
そのため、支持基体3bと、底板部5f1側の第1縁部5m1と、開口2とが並ぶ奥行方向において、支持基体3bよりも開口2側に位置する規制部5k1及び規制部5k3(前方規制面5ka及び後方規制面5kb)を、支持基体3bに接触しない程度に限りなく支持基体3bに近いところまで近づけることができる。
【0075】
その結果、支持基体3bと底板部5f1との間に、支持基体3bに対して、第1縁部5m1や各規制部5k1~5k3が干渉するのを防ぐために必要な最低限の大きさの隙間Eを確保しつつ、物品収容部5fの奥行方向に底板部5f1(載置面5fa)を広くすることができる。
【0076】
物品収容部5f内に挿入された物品等は、底板部5f1の規制部5k1~5k3に当たることで支持基体3b側への移動が規制されるため、支持基体3bに物品等をぶつけることなく収容させることができる。一方で、開口2と支持基体3bとの間に位置する第1縁部5m1には規制部が設けられていないため、支持基体3bの近くまで物品等を載置させることが可能となる。
【0077】
特に、本実施形態では、第1縁部5m1が支持基体3bの外周面3bcに沿って形成されており、支持基体3bから離間する方向へと凹んでいる。支持基体3bの外周面3bcに対して隙間Eを有して配置された第1縁部5m1には規制部がないため、支持基体3bの外周面3bcに第1縁部5m1が接触しない程度に、支持基体3bに対して各規制面5ka,5kbをできる限り近づけることが可能である。これにより、物品収容部5fの奥行方向が広くなり収容空間を広げることができる。
【0078】
また、第1縁部5m1の両側に設けられた前方規制面5ka及び後方規制面5kbによって、物品収容部5f内に収容された物品の支持基体3b側への移動が規制されるため、第1縁部5m1に規制部が設けられていなくても、物品が支持基体3bに干渉するのを防ぐことができる。例えば、カート装置1が利用される医療現場において、書類をまとめるクリップファイル等を物品収容部5f内に収容する場合を考慮し、幅方向における第1縁部5m1の長さ、すなわち幅方向に第1縁部5m1を介して並ぶ規制部5k1,5k3どうしあるいは規制部5k2,5k3どうしの配置間隔を、クリップファイルの短辺の長さよりも短い間隔に設定しておく。これにより、医療現場で多用されるクリップファイルを支持基体3bに干渉させることなく、天板5a下の物品収容部5f内に収容することが可能である。
【0079】
このように、上述の物品収容部5fを天板5aに吊下げ固定した構成とすることで、利用時において、物品収容部5fやこの内部に収容される物品等が支持基体3bに干渉することがないため、天板5aの昇降に伴う支持基体3bの伸縮動作が妨げられることがなく、天板5aをスムーズに変化させることができる。
本実施形態では、物品収容部5fの奥行方向の収容空間を十分に確保した使い勝手の良いカート装置1を提供することができる。
【0080】
また、本実施形態における支持基体3bは、円柱状ではなく、外周面の一部に一対の平面3baを有した横長の形状とされている。このような支持基体3bは、例えば、
図4に示したように、支持基体3bの前方に位置する規制部5k1,5k3どうしを幅方向に結ぶ直線Sに、支持基体3bの各平面3baが平行する向きで配置される。これにより、強度確保のため支持基体3bに平面3baを設けてその形状を大きくしつつ、平面3baに直交する奥行方向の幅が狭くなるので、物品収容部5fの奥行空間を広げることができる。
【0081】
また、物品収容部5fの底板部5f1に貫通孔5gを形成する際、金属板の幅方向一方側から他方側に向かって切り込みを入れることによって容易に形成することが可能となる。底板部5f1に支持基体3bを挿通させるための貫通孔5gの形状を、幅方向一方側から他方側に向かって凹む形状とすることで、周方向が閉じた貫通孔を打ち抜き形成するよりも、容易に加工することが可能である。
【0082】
また、物品収容部5fは、一枚の金属板から作成することができるため、安価に量産することが可能である。
【0083】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0084】
例えば、物品収容部5fに設ける規制部は、上述した構成に限られない。
上述した実施形態では、底板部5f1の支持基体3bに対向する端辺を垂直に折り曲げることによって規制部5k1~5k3が形成されているため、いずれも板状をなすが、規制部の形状はこれに限らない。規制部の形状としては、例えば、天板5aに向かって垂直に立ち上がる柱状であってもよい。
【0085】
また、上述した実施形態では、底板部5f1の幅方向一方側から他方側へ凹むようにして貫通孔5gが形成されており、この貫通孔5gのうち少なくとも支持基体挿通孔(支持体挿通孔)5g1において、支持基体3bを挿通させることが可能である。そのため、天板ユニット5をカート本体3に対して取り付ける際には、物品収容部5fの底板部5f1に形成された支持基体挿通孔5g1内に支持基体3bの上端側を挿入させて組み立てることになるが、別の方法での組み立てを可能にする貫通形状としてもよい。
【0086】
例えば、貫通孔5gの全体が支持基体3bの挿通を可能にする大きさで形成されていてもよい。これにより、幅方向一方側(右側)の貫通孔5gの開口端側から支持基体3bを挿入させることが可能となり、支持基体3bの上端側に天板5aが取り付けられた状態であっても、支持基体3bの側方から物品収容部5fを取り付けることが可能である。
【0087】
また、規制部の形状は、上述した板形状に限らず、適宜変更が可能である。
例えば、
図6(a)に示すように、円柱形状の規制部8k1~8k4を設けてもよい。規制部8k1~8k4は、支持基体3bの前後に位置する一対の第1縁部5m1を除いてその両側にそれぞれ配置され、各々の外周面のうち、支持基体3bとは奥行方向で反対側の部位が規制面81ka,81kbとして機能する。
【0088】
また、貫通孔5gの平面視形状は、上述したように幅方向一端側から凹む形状に限られず、少なくともその一部に支持基体3bを挿通させることが可能であれば、例えば、
図6(b)に示すように、周方向が閉じた単なる貫通孔91であってもよい。また、この貫通孔91の平面視形状においても、幅方向に長い楕円上であってもよいし、長方形であってもよいし、支持基体3bの長さ方向に交差する断面における外形に沿った形状としてもよい。このとき、貫通孔91の開口縁91aには規制部がないため、開口縁91aが支持基体3bの外周面3bcに対して限りなく近づく大きさで貫通孔91を形成してもよい。
【0089】
図6(b)では、貫通孔91の両側に一対の規制部91k1,91k2が設けられている。これら規制部91k1,91k2は、各々の規制面91kaが、奥行方向において支持基体3bの平面3baに一致しない程度に限りなく近づいた位置に設けられている。
【0090】
また、上述した実施形態では、支持基体3bの前方側及び後方側の両方にそれぞれ規制部を設けた構成としたが、最も広い開口であるとともにハンドル部5e(利用者側)に位置する上記開口2側から頻繁に物品が出し入れされることが予想されるため、このような開口2を通じて挿入される物品が、支持基体3bに干渉しないようにするために、少なくとも支持基体3bの前方(開口2)側に規制部が設けられていれば良い。
【0091】
また、物品収容部5fに対する支持基体3bの挿通位置、すなわち、底板部5f1における貫通孔5gの位置は、上述した中央に限られず、適宜変更することができる。
【0092】
また、上述した本実施形態では、支持基体挿通孔5g1に対して奥行方向の両側に亘って広がる載置面5faと、複数の規制面5ka,5kbを有した構成となっているが、これに限られず、底板部5f1の大きさは適宜変更が可能である。
例えば、
図6(c)に示すように、支持基体3bの前方側あるいは後方側のみに、載置面10faを有した底板部10f1を設けてもよい。この場合も、底板部10f1のうち、支持基体3bに面する端部側において、支持基体3bの平面3baに対向する第1縁部5m1を除く両側に一対の規制部10k1,10k2を設けることによって、支持基体3b側への物品の移動を規制することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1…カート装置、2…開口、3a…脚部(ベース部)、3b…支持基体(支持体)、3ba…平面、3bc…支持基体3bの外周面、3a2…脚部3aのベース部、5a…天板、5f…物品収容部(載置部)、5fa…載置面、5g1…支持基体挿通孔(支持体挿通孔)、5m…開口縁、5f1…底板部、5k…規制部、5m1…第1縁部(縁部)、5m2…第2縁部、5f3~5f5…側板