(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】作業情報管理装置、作業情報管理システム、作業情報管理プログラム、及び作業情報管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240430BHJP
【FI】
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2020186265
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】宮内 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 拓海
(72)【発明者】
【氏名】近藤 拓也
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-126268(JP,A)
【文献】特開2019-117514(JP,A)
【文献】特開2010-161991(JP,A)
【文献】国際公開第2020/054876(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業が行われた圃場の作業領域を表す複数の作業領域情報を記憶する記憶装置と、
前記複数の作業領域情報に対応する複数の前記作業のうち所定の条件を満たす1以上の前記作業を作業群としてグループ化する演算装置と、
を備え、
前記演算装置は、
前記作業を行っているときの作業車両の稼働情報に基づき、前記作業の作業種別を推定し、
前記作業群に含まれる第1作業に対応する第1作業種別情報を変更する変更要求信号に基づき、前記第1作業種別情報と、前記作業群に含まれる第2作業に対応する第2作業種別情報とを変更する
作業情報管理装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、作業種別が同一であることと、複数の前記作業の類似性を表す類似度が所定の値より大きいこととを含む
請求項1に記載の作業情報管理装置。
【請求項3】
前記類似度は、前記作業領域の距離に基づき算出される
請求項2に記載の作業情報管理装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記作業が行われた作業期間を表す作業期間情報を記憶し、
前記類似度は、前記作業期間情報に基づき算出される
請求項2または3に記載の作業情報管理装置。
【請求項5】
前記演算装置は、前記作業種別を、前記作業種別の確からしさを表す確信度を用いて推定し、
前記類似度は、前記確信度に基づき算出される
請求項2から4のいずれか1項に記載の作業情報管理装置。
【請求項6】
前記演算装置は、
前記稼働情報を取得し、
前記稼働情報に基づき、前記作業領域を決定する
請求項1から5のいずれか1項に記載の作業情報管理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の作業情報管理装置と、
前記作業領域情報を表示する端末と、
を備え、
前記端末は、
前記作業群に含まれる前記作業領域情報を他の作業と区別する画像を表示し、
前記作業群に含まれる前記第1作業に対応する前記第1作業種別情報を変更する操作を受け付ける
作業情報管理システム。
【請求項8】
作業が行われた圃場の作業領域を表す複数の作業領域情報を保持することと、
前記複数の作業領域情報に対応する複数の前記作業のうち、所定の条件を満たす1以上の前記作業を作業群としてグループ化することと、
前記作業を行っているときの作業車両の稼働情報に基づき、作業種別を推定することと、
前記作業群に含まれる第1作業に対応する第1作業種別情報を変更する変更要求信号に基づき、前記第1作業種別情報と、前記作業群に含まれる第2作業に対応する第2作業種別情報とを変更することと、
を演算装置に実行させる作業情報管理プログラム。
【請求項9】
演算装置が、
作業が行われた圃場の作業領域を表す複数の作業領域情報を保持することと、
前記複数の作業領域情報に対応する複数の前記作業のうち、所定の条件を満たす1以上の前記作業を作業群としてグループ化することと、
前記作業を行っているときの作業車両の稼働情報に基づき、前記作業の作業種別を推定することと、
前記作業群に含まれる第1作業に対応する第1作業種別情報を変更する変更要求信号に基づき、前記第1作業種別情報と、前記作業群に含まれる第2作業に対応する第2作業種別情報とを変更することと、
を含む作業情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業情報管理装置、作業情報管理システム、作業情報管理プログラム、及び作業情報管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、栽培管理の分析に圃場における農作業に関する情報を用いることが研究されている。
【0003】
特許文献1には、圃場内で農作業に用いられる農業機械から位置情報と稼働情報とを受信して、圃場内での作業情報を記録する技術が開示されている。記録された作業情報は、栽培管理の分析に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、位置情報と稼働情報とに基づき、作業領域ごとに作業の種類、例えば耕起、整地、元肥散布、植付などが判断される。この判断された作業の種類が間違っている場合、ユーザが作業領域ごとに変更する。また、作業領域は、農業機械が起動している期間に応じて設定されるため、作業期間に応じて分割される。例えば、同じ作業を行っていても、午後に作業が行われた作業領域が午前に作業が行われた作業領域と分割される場合がある。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、複数の作業領域をグループ化することで、効率的に作業情報を管理することができる作業情報管理装置を提供することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業情報管理装置(100)は、記憶装置(140)と、演算装置(120)とを備える。記憶装置(140)は、作業が行われた圃場の作業領域(330)を表す複数の作業領域情報を格納する。演算装置(120)は、複数の作業領域情報に対応する複数の作業のうち所定の条件を満たす1以上の作業を作業群としてグループ化する。また、演算装置(120)は、作業を行っているときの作業車両(30)の稼働情報に基づき、作業の作業種別(340)を推定する。さらに、演算装置(120)は、作業群に含まれる第1作業に対応する第1作業種別情報を変更する変更要求信号に基づき、第1作業種別情報と、作業群に含まれる第2作業に対応する第2作業種別情報とを変更する。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業情報管理システム(1000)は、前述の作業情報管理装置(100)と、作業領域情報を表示する端末(200)とを備える。端末(200)は、作業群に含まれる作業領域情報を他の作業と区別する画像を表示する。また、端末(200)は、作業群に含まれる第1作業に対応する第1作業種別情報を変更する操作を受け付ける。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業情報管理プログラム(400)は、作業が行われた圃場の作業領域(330)を表す複数の作業領域情報を保持することを演算装置(120)に実行させる。また、作業情報管理プログラム(400)は、複数の作業領域情報に対応する複数の作業のうち、所定の条件を満たす1以上の作業を作業群としてグループ化することを演算装置(120)に実行させる。さらに、作業情報管理プログラム(400)は、作業を行っているときの作業車両(30)の稼働情報に基づき、作業の作業種別(30)を推定することを演算装置(120)に実行させる。さらに、作業情報管理プログラム(400)は、作業群に含まれる第1作業に対応する第1作業種別情報を変更する変更要求信号に基づき、第1作業種別情報と、作業群に含まれる第2作業に対応する第2作業種別情報とを変更することを演算装置(120)に実行させる。
【0011】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業情報管理方法は、演算装置(120)が、作業が行われた圃場の作業領域(330)を表す複数の作業領域情報を保持することを含む。また、作業情報管理方法は、演算装置(120)が、複数の作業領域情報に対応する複数の作業のうち、所定の条件を満たす1以上の作業を作業群としてグループ化することを含む。さらに、作業情報管理方法は、作業を行っているときの作業車両(30)の稼働情報に基づき、作業の作業種別(340)を推定する。さらに、作業情報管理方法は、演算装置(120)が、作業群に含まれる第1作業に対応する第1作業種別情報を変更する変更要求信号に基づき、第1作業種別情報と、作業群に含まれる第2作業に対応する第2作業種別情報とを変更することを含む。
【発明の効果】
【0012】
上記の形態によれば、ユーザは、作業情報管理装置に登録される作業情報を効率的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施の形態における作業情報管理システムの概略図である。
【
図2】一実施の形態における作業データの構成を表す図である。
【
図3】一実施の形態における作業領域を表す図である。
【
図4】一実施の形態における作業情報管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
【
図5】一実施の形態における作業情報管理プログラムによる処理を表すフローチャートである。
【
図6】一実施の形態における作業情報管理プログラムによる処理が行われているときの作業データの構成を表す図である。
【
図7】一実施の形態における作業情報管理プログラムと表示プログラムによる処理を表すフローチャートである。
【
図8】一実施の形態における表示部が表示する画像を表す図である。
【
図9】一実施の形態において、作業種別を変更した後の作業データの構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
本発明の本実施の形態による作業情報管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、
図1に示すように、作業情報管理システム1000は、作業情報管理装置100と、端末200とを備える。作業情報管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、作業車両30と通信可能に接続されている。
【0015】
作業情報管理装置100は、作業車両30から圃場での稼働情報を取得して、取得した稼働情報に基づき、作業種別、作業時期、作業領域などを表す情報を1つの作業単位で格納する。この作業単位は、作業車両30からの稼働情報において1つの作業期間における作業を表し、例えば、作業車両30のエンジンが始動してから停止するまでの作業を表す。作業種別は、圃場で行われた作業の種類、例えば耕起、整地、元肥散布、植付などを表す。稼働情報は、圃場で作業を行っているときの作業車両30の状態を表す情報を含み、例えば作業車両30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況、作業車両30の各時刻の位置情報、作業期間などを表す情報を含む。作業車両30が作業機械を牽引する車両、例えばトラクターであるとき、稼働情報には、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報が含まれてもよい。
【0016】
作業情報管理装置100は、格納した作業領域を表す情報に基づき、同じ作業が行われたと推定される作業をグループ化して、同じグループに含まれる作業の作業種別が同じ作業種別であるように、作業種別を保持する。例えば、作業種別が変更されると、作業情報管理装置100は、作業種別が変更された作業と同じグループに含まれる作業の作業種別を同じ作業種別に変更する。
【0017】
これにより、ユーザは、1つの作業の作業種別を変更することで、同じグループに含まれる1以上の作業の作業種別を変更することができる。
【0018】
作業情報管理装置100の構成を説明する。作業情報管理装置100は、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。作業情報管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0019】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、作業車両30から取得する稼働情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0020】
記憶装置140は、作業をグループ化するための様々なデータ、例えば作業データ300と、作業情報管理プログラム400とを格納する。記憶装置140は、作業情報管理プログラム400を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。作業情報管理プログラム400は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0021】
作業データ300は、圃場の作業に関するデータ、例えば作業車両30からの稼働情報から算出されるデータを含む。例えば、作業データ300は、
図2に示すように、作業ID310と、作業期間320を表す作業期間情報と、作業領域330を表す作業領域情報と、作業種別340を表す作業種別情報と、作業グループ350を表す作業グループ情報とを含む。作業ID310と、作業期間情報と、作業領域情報と、作業種別情報と、作業グループ情報とは、作業データ300に関連付けて登録されている。作業ID310は、圃場で行われた作業の単位を区別するために用いられる識別子を表し、作業ごとに異なる値が割り当てられる。
【0022】
作業期間320は、圃場の作業を開始した時刻と終了した時刻とを表す。作業期間320は、例えば、作業車両30が圃場に入った時刻と、圃場から出た時刻とを表す。また、作業期間320は、作業車両30が起動、例えばエンジンが始動する時刻と、作業車両30が停止、例えばエンジンが停止する時刻とを表してもよい。作業期間320は、圃場の作業が行われた期間を表す任意の形式を選択してもよい。
【0023】
作業領域330は、圃場の作業が行われた領域、例えば位置と形状とを表す。例えば、作業ID310が「OP01」で示された「A」は、
図3に示すように、作業領域330Aを表す。作業領域330Aは、作業ID310が「OP01」である作業が行われた領域であり、「OP01」で示される作業期間320の期間に作業が行われた領域である。なお、
図2において、作業ID310が「OP02」で示された「B」は、
図3の作業領域330Bを表す。同様に、「OP03」で示された「C」は作業領域330Cを表し、「OP04」で示された「D」は作業領域330Dを表し、「OP05」で示された「E」は作業領域330Eを表す。作業領域330の一部は、他の作業領域330の一部と重なってもよい。例えば、作業領域330Bの一部は作業領域330Aの一部に重なっており、作業領域330Bの他の一部は作業領域330Cの一部に重なっている。3以上の作業領域330の一部が互いに重なってもよい。
【0024】
作業種別340は、圃場で行われた作業の種類、例えば耕起、整地、施肥、植付などを表す。例えば、
図2の作業データ300の作業種別340は、作業ID310が「OP01」で示された作業が「耕起」であることを表す。このため、作業データ300は、「OP01」に示された作業期間320が表す期間に、
図3に示す作業領域330Aにおいて「耕起」が行われたことを表す。作業データ300は、同様に、「OP02」に示された作業期間320が表す期間に作業領域330Bにおいて「耕起」が行われたことを表し、「OP03」に示された作業期間320が表す期間に作業領域330Cにおいて「耕起」が行われたことを表す。また、作業データ300は、「OP04」に示された作業期間320が表す期間に作業領域330Dにおいて「耕起」が行われたことを表し、「OP05」に示された作業期間320が表す期間に作業領域330Eにおいて「除草」が行われたことを表す。
【0025】
作業グループ350は、同じ作業が行われたと推定される作業のグループを表す識別子である。同じ作業が行われたと推定される作業に対応する作業グループ350には、同じ識別子が設定される。
図2に示す例では、「OP01」~「OP04」に示された作業に対応する作業グループ350が同じ値「1」を表し、「OP01」~「OP04」に示された作業が同じグループに属する。ここで、同じグループに属する1以上の作業を作業群と呼ぶ場合がある。
【0026】
作業データ300は、
図1に示す演算装置120に読み出され、作業をグループ化するための様々なデータ処理に使用される。演算装置120は、作業情報管理プログラム400を記憶装置140から読み出し実行して、作業データ300に基づき作業をグループ化する。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0027】
演算装置120は、作業情報管理プログラム400を読み出し実行することで、
図4に示すように、作業をグループ化するための様々なデータ処理を実行する作業登録部150と、作業種別推定部160と、グループ決定部170と、応答部180とを実現する。作業登録部150は、作業車両30から得られた稼働情報に基づき、作業領域330を算出して、算出した作業領域330を表す作業領域情報を新たな作業として作業データ300に登録する。作業種別推定部160は、作業車両30から得られた稼働情報に基づき、作業種別340を推定して、推定した作業種別340を表す作業種別情報を登録された作業と関連付けて作業データ300に登録する。グループ決定部170は、作業データ300に基づき、作業データ300に登録された作業をグループ化する。応答部180は、端末200の表示部250からの要求に応じて、作業データ300を送信または変更する。
【0028】
次に、端末200の構成を説明する。端末200は、
図1に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0029】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、作業情報管理装置100から取得する作業データ300に含まれる情報を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を作業情報管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0030】
記憶装置240は、作業情報管理装置100に登録されている作業データ300を変更するための様々なデータ、例えば表示プログラム500を格納する。記憶装置240は、表示プログラム500を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム500は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。表示プログラム500は、記憶媒体1に記録されて提供されてもよい。
【0031】
演算装置220は、表示プログラム500を読み出し実行することで、
図4に示すように、作業情報管理装置100に格納された作業データ300の情報を表示する表示部250を実現する。表示部250は、作業情報管理装置100に格納された作業データ300の情報を取得して、作業データ300に登録された情報を表示する。また、表示部250は、ユーザの操作により、作業データ300に登録された情報を更新する。
【0032】
(作業情報管理装置の動作)
作業情報管理装置100の演算装置120は、作業車両30から稼働情報を受信すると、作業情報管理プログラム400を読み出し実行する。作業情報管理プログラム400を実行することで、演算装置120は、作業登録部150と作業種別推定部160とグループ決定部170とにより、
図5に示す処理を実行する。
【0033】
ステップS100において、作業登録部150は、作業車両30から受信される稼働情報に基づき、作業期間320を決定する。例えば、作業登録部150は、作業車両30が起動された時刻から作業車両30が停止された時刻までを作業期間320として決定する。また、作業登録部150は、作業車両30の作業を開始する時刻と終了する時刻と、例えば作業車両30に牽引される作業機械が駆動する時刻と停止する時刻とに基づき、作業期間320を決定してもよい。作業登録部150は、受信された稼働情報に対応する作業に新たな作業ID310を付与し、決定した作業期間320を付与した作業ID310に関連付けて新たな作業として作業データ300に登録する。
【0034】
ステップS110において、作業登録部150は、決定した作業期間320における作業車両30の位置情報に基づき、作業領域330を決定する。作業車両30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を備え、作業期間320に移動した各時刻の位置を表す位置情報を取得する。取得した位置情報は、作業車両30から作業情報管理装置100の演算装置120に伝達される。演算装置120で実現される作業登録部150は、取得した位置情報に基づき、作業領域330を決定する。例えば、作業領域330は、取得した位置情報に表される位置を含む任意の閉じた図形、例えば多角形、矩形などで表される。例えば、作業領域330は、取得した位置情報に表される位置をすべて囲むような図形で表される。作業登録部150は、決定した作業領域330を作業ID310と関連付けて作業データ300に登録する。これにより、作業領域330は、ステップS100で決定した作業期間320に関連付けられる。
【0035】
ステップS120において、作業種別推定部160は、作業車両30から受信される稼働情報に基づき、作業種別340を推定する。例えば、作業種別推定部160は、作業種別340を、作業車両30の機種に基づき算出してもよい。この場合、記憶装置140は、作業車両30の機種と、作業種別340に表される作業とを関連付ける作業対応データを格納する。作業種別推定部160は、作業対応データに基づき、作業種別340を推定する。また、作業種別推定部160は、機械学習により得られた学習済みモデルを用いて、作業種別340を推定してもよい。この場合、学習済みモデルは、稼働情報から作業種別340を推定するように、学習されている。
【0036】
作業種別推定部160は、推定した作業種別340を作業ID310と関連付けて作業データ300に登録する。これにより、作業種別340は、ステップS100で決定した作業期間320と、ステップS110で決定した作業領域330とに関連付けられる。例えば、
図6に示すように、作業データ300は、作業ごとに、作業期間320と作業領域330と作業種別340とを関連付けて保持する。
【0037】
図5に示すステップS130において、グループ決定部170は、決定された作業領域330に基づき、新たな作業と、作業データ300に登録された作業との類似度を算出する。グループ決定部170は、作業データ300から抽出条件を満たす1以上の作業の集合である作業群を抽出する。例えば、グループ決定部170は、作業データ300から新たな作業と同じ作業種別340を表す1以上の作業の集合である作業群を抽出する。グループ決定部170は、新たな作業の作業領域330から抽出した各作業の作業領域330までの距離を用いて類似度を算出する。例えば、類似度は、距離の逆数でもよい。2つの作業領域330の間の距離を算出する方法は、任意に選択することができる。例えば、この距離は、2つの作業領域330の任意の位置の間の距離のうち最小となる距離でもよく、2つの作業領域330の幾何中心間の距離でもよい。また、この距離は、2点間の距離を算出する任意の方法、例えばユークリッド距離、マンハッタン距離などを選択してもよい。
【0038】
ステップS140において、グループ決定部170は、算出された類似度に基づき、新たな作業のグループを決定する。グループ決定部170は、作業群のうち、作業データ300から算出された類似度が最も大きい値の作業を選択する。選択した作業の類似度が所定の閾値より大きいとき、新たな作業は、作業データ300から選択された作業のグループに属すると判定される。グループ決定部170は、新たな作業が選択された作業のグループの属すると判定すると、
図2に示す作業データ300の作業グループ350に選択された作業のグループと同じ値を登録する。選択した作業の類似度が所定の閾値以下であるとき、グループ決定部170は、新たな作業が作業データ300に登録されたグループに属しないと判定する。この場合、グループ決定部170は、作業データ300に登録されたグループに使用されていない新たな値を作業グループ350に登録する。
【0039】
例えば、
図3に示す例の場合、作業領域330Bは、最も近い作業領域330Aとの距離が小さいため、作業領域330Aと同じグループとして作業データ300に登録される。作業領域330Cは、最も近い作業領域330Bとの距離が小さいため、作業領域330Bと同じグループとして作業データ300に登録される。作業領域330Dは、最も近い作業領域330Bとの距離が小さいため、作業領域330Bと同じグループとして作業データ300に登録される。作業領域330Eは、同じ作業種別340を表す作業が作業データ300に含まれていないため、新たなグループとして作業データ300に登録される。このように、グループ決定部170は、
図2に示すように、作業領域330A~作業領域330Dに対応する作業を表す「OP01」~「OP04」の作業グループ350に同じ値「1」を登録する。また、グループ決定部170は、作業領域330Eに対応する作業を表す「OP05」に、「OP01」~「OP04」の作業グループ350と異なる値「2」を登録する。
【0040】
このように、作業情報管理装置100は、作業車両30から受信する稼働情報に基づき、作業をグループ化することができる。
【0041】
(作業データを変更する動作)
端末200の演算装置220は、ユーザの操作に応じて、作業情報管理装置100に登録されている作業データ300を変更する。演算装置220は、ユーザの操作に応じて、表示プログラム500を読み出し実行する。表示プログラム500を実行することで、演算装置220は、表示部250により
図7に示すステップS200を実行する。作業情報管理装置100の演算装置120は、表示部250からの要求に応じて、作業情報管理プログラム400を実行し、応答部180によりステップS210を実行する。
【0042】
ステップS200において、端末200の表示部250は、作業情報管理装置100から作業データ300を取得して、取得した作業データ300を表示する。最初に、表示部250は、ユーザの操作に応じて、作業情報管理装置100に作業データ300を要求するデータ要求信号を生成する。作業情報管理装置100の応答部180は、データ要求信号に基づき、作業データ300を表すデータ出力信号を生成する。端末200の表示部250は、データ出力信号から作業データ300を抽出し、作業データ300を端末200の入出力装置110に表示する。
【0043】
例えば、表示部250は、
図8に示すように、作業データ300に含まれる作業領域330を表す領域を地図上に示した画像を表示する。入出力装置210が1つの作業領域330を選択するユーザの操作を受け付けると、表示部250は、選択された作業領域330に対応する作業期間320の作業期間情報と、作業種別340の作業種別情報とを表示する。また、表示部250は、選択された作業領域330と同じグループに属する作業を、他の作業と区別する画像を表示する。例えば、表示部250は、選択された作業領域330と同じグループに属する作業領域330を表す領域を強調する画像を表示する。例えば、ユーザが作業領域330Aを選択すると、表示部250は、作業領域330Aと同じグループに属する作業領域330A~作業領域330Dを表す領域を強調表示する。
【0044】
ユーザは、1つの作業領域330に対応する作業種別340の作業種別情報を変更することができる。入出力装置210が作業種別情報を変更する操作を受け付けると、表示部250は、変更を受け付けた作業種別情報に対応する作業ID310と、変更後の作業種別情報とを表す変更要求信号を生成する。例えば、ユーザは、作業領域330Bに対応する作業種別情報を「整地」に変更する操作を行う。このとき、表示部250は、作業領域330Bに対応する作業ID310を示す「OP02」と、変更後の作業種別情報を示す「整地」とを表す変更要求信号を生成する。
【0045】
ステップS210において、作業情報管理装置100の応答部180は、変更要求信号に基づき、作業データ300の作業種別340に登録された作業種別情報を変更する。応答部180は、端末200の表示部250から受信する変更要求信号から作業ID310の値と作業種別340の作業種別情報とを抽出する。応答部180は、抽出した作業ID310の値に対応する作業種別情報を、変更要求信号から抽出した作業種別情報に変更する。例えば、応答部180は、作業ID310の「OP02」と作業種別340の「整地」とを表す変更要求信号を受信すると、
図9に示すように、変更要求信号に表された「OP02」に対応する作業種別340の作業種別情報を「整地」に変更する。
【0046】
また、応答部180は、変更要求信号に表された作業ID310と同じグループに属する作業の作業種別情報を変更する。具体的には、応答部180は、変更要求信号に表された作業ID310に対応する作業グループ350を、作業データ300から抽出する。応答部180は、抽出した作業グループ350と同じ値の作業グループ350を有する作業ID310を抽出する。抽出した作業ID310の作業種別情報を、応答部180は変更要求信号に表された作業種別情報に変更する。例えば、応答部180は、
図9に示すように、「OP02」に対応する作業グループ350の値「1」を取得する。応答部180は、作業グループ350が「1」である作業ID310を抽出し、同じグループの属する「OP01」~「OP04」を取得する。応答部180は、取得した「OP01」~「OP04」の作業種別情報を、変更要求信号に表された「整地」に変更する。
【0047】
このように、ユーザは、グループ化された作業のうちの1つの作業種別情報を変更することで、同じグループの属する作業の作業種別情報も変更することができる。
【0048】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。作業情報管理装置100は、ユーザの操作により、一度決定した作業グループ350を変更してもよい。例えば、ユーザは、端末200の入出力装置210に、1つの作業領域330を選択し、選択した作業領域330の作業グループ350を変更することを入出力装置210に入力する。表示部250は、ユーザの入力に基づき、変更を受け付けた作業グループ350に対応する作業ID310と、変更後の作業グループ350の値とを表す変更要求信号を生成する。例えば、ユーザは、作業領域330Dに対応する作業グループ350を「2」に変更する操作を行う。このとき、表示部250は、作業領域330Dに対応する作業ID310を示す「OP04」と、変更後の作業グループ350を示す「2」とを表す変更要求信号を生成する。
【0049】
作業情報管理装置100の応答部180は、端末200の表示部250から変更要求信号を受信して、変更が要求された作業ID310の作業グループ350を変更する。具体的には、応答部180は、変更要求信号から作業ID310の値と作業グループ350の値とを抽出する。応答部180は、抽出した作業ID310の値に対応する作業グループ350を、抽出した作業グループ350の値に変更する。例えば、応答部180は、作業ID310の「OP04」と作業グループ350の「2」とを表す変更要求信号を受信すると、変更要求信号に表された「OP04」に対応する作業グループ350を「2」に変更する。
【0050】
作業情報管理装置100のグループ決定部170は、2つの作業領域330の距離に基づき類似度を算出する例を示したが、これに限定されない。グループ決定部170は、同じ作業が行われているかを表す任意の指標値を選択してもよい。例えば、類似度は、1つの作業領域330と、同じグループに属する作業の集まりである作業群の作業領域330とに基づき、算出されてもよい。この場合の一例として、グループ決定部170は、作業群と他の作業領域330とのマハラノビス距離を類似度として使用してもよい。同じグループに属する作業群の作業領域330の各幾何中心について、グループ決定部170は、作業群の平均位置と分散値とを算出する。グループ決定部170は、算出した作業群の平均位置と分散値とに基づき、作業群と他の作業領域330の幾何中心とのマハラノビス距離を算出し、算出したマハラノビス距離を類似度として使用する。
【0051】
グループ決定部170は、類似度の算出に作業データ300に登録されている他の情報を用いてもよい。例えば、グループ決定部170は、2つの作業間の類似度を作業領域330と、作業期間320とに基づき算出してもよい。グループ決定部170は、2つの作業に対応する作業期間320の間の時間、例えば、先に行われた作業の作業終了時刻から後に行われた作業の作業開始時刻までの時間を使用してもよい。この場合、グループ決定部170は、作業領域330を表す次元数、例えば2次元に、作業期間320の間の時間の1次元を追加して、多次元での距離、例えば3次元での距離を用いて、2つの作業間の類似度を算出してもよい。また、グループ決定部170は、作業領域330の距離と、作業期間320の間の時間との2次元での距離を用いて、類似度を算出してもよい。また、類似度は、作業領域330の距離を用いずに、作業期間320を用いて算出されてもよい。
【0052】
また、グループ決定部170は、2つの作業間に対応する作業領域330と、作業種別340とに基づき類似度を算出してもよい。例えば、作業種別推定部160が確信度を用いて作業種別340を推定するとき、類似度は、算出された確信度を用いて算出されてもよい。グループ決定部170は、作業領域330を表す次元数に、確信度の差を表す1次元を追加して、多次元での距離を用いて2つの作業間の類似度を算出する。また、記憶装置140が異なる2つの作業種別340の類似性を表する類似表を格納し、グループ決定部170は、記憶装置140に格納された類似表を用いて、作業種別340の類似性を使用して類似度を算出してもよい。推定した作業種別340の確からしさを表す確信度を用いて類似度を算出することで、グループ決定部170は、変更する可能性が同程度の作業をグループ化し得る。なお、確信度は、作業種別情報に含まれてもよい。
【0053】
グループ決定部170は、作業種別推定部160が確信度を用いて作業種別340を推定するとき、確信度が高い作業をグループから除外してもよい。例えば、
図5に示すステップS130において、グループ決定部170は、最初に、グループに分類する対象である新たな作業の確信度が所定の閾値より大きいとき、ステップS130を終了して、ステップS140を省略する。これにより、確信度が高い作業をグループから除外する。また、グループ化を行う作業の確信度が所定の閾値以下のとき、前述のステップS130に示す処理を開始する。ここで、グループ決定部170は、抽出条件に基づき、新たな作業との類似度を算出する作業を抽出する。この抽出条件は、作業の確信度が所定の閾値以下であることを含む。このように、グループ決定部170が確信度の高い作業をグループから除外することで、ユーザが他の作業の作業種別340を変更することで、確信度の高い作業が変更されることを軽減することができる。
【0054】
図5のステップS140において算出する類似度は、複数の次元を有してもよい。例えば、類似度は、作業領域330の間の距離と、作業期間320の間の時間と、作業種別340を推定するときの確信度の差との3次元を有してもよい。グループ決定部170は、類似度の各次元が所定の値より大きいときに作業をグループ化する。
【0055】
図5のステップS130における抽出条件は、類似する作業を抽出できれば、任意に選択することができる。例えば、抽出条件は、作業期間320が所定の期間に含まれることを含んでもよい。例えば、グループ決定部170は、グループを決定する作業の作業期間320と1週間以内に行われた作業を作業データ300から抽出する。グループ決定部170は、抽出した作業と、グループを決定する作業との類似度を算出し、グループを決定する。
【0056】
グループ決定部170は、決定した作業種別340の確信度が所定の値より小さいときに
図5のステップS130と、ステップS140とを省略してもよい。グループ決定部170は、推定した作業種別340の確からしさが低いときに、作業種別340に基づいてグループ化を行うことを避けることができる。
【0057】
作業情報管理装置100のグループ決定部170は、同じ作業が行われたと推定できる作業を分類できる任意の方法を選択してもよい。例えば、グループ決定部170は、所定の条件を満たす1以上の作業を同じグループに属すると判定する。例えば、実施の形態に示したように、所定の条件は、作業種別情報が同一、かつ、類似度が所定の値より大きいことを含む。また、所定の条件は、作業種別情報によらず、類似度が所定の値より大きくてもよい。
【0058】
また、作業データ300に含まれる1つの作業の範囲を、その作業が同じ作業種別340を表す単位であれば、任意に選択することができる。例えば、1つの作業は、任意の期間、領域などの情報に基づき決定される単位の作業を表してもよく、データ上で管理される1つの作業を表してもよい。
【0059】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、
図5のステップS120を省略してもよい。この場合、作業種別340は、端末200を用いてユーザにより入力されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :作業車両
100 :作業情報管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :作業登録部
160 :作業種別推定部
170 :グループ決定部
180 ;応答部
200 :端末
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :表示部
300 :作業データ
310 :作業ID
320 :作業期間
330 :作業領域
340 :作業種別
350 :作業グループ
400 :作業情報管理プログラム
500 :表示プログラム
1000 :作業情報管理システム