(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】マークフィールドならびにポジションを特定する方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20240430BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
G01B11/00 Z
H01L21/02 A
(21)【出願番号】P 2020542445
(86)(22)【出願日】2018-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2018054840
(87)【国際公開番号】W WO2019166078
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-02-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァーゲンライトナー
(72)【発明者】
【氏名】フランク ベーゲルザック
【合議体】
【審判長】濱野 隆
【審判官】中塚 直樹
【審判官】佐藤 久則
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-124142(JP,A)
【文献】特開2012-28778(JP,A)
【文献】特表2017-511499(JP,A)
【文献】特開平1-269002(JP,A)
【文献】特開2011-112570(JP,A)
【文献】特開2004-214382(JP,A)
【文献】特開2001-38782(JP,A)
【文献】特表2008-525783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(7)に設けられた構造化部(11)の構造特徴部(11c)のX-Y-ポジションを特定する用に供される、前記基板(7)が固定される基板ホルダ(8)に配置されたマークフィールド(4)であって、
複数のマーク(1)からなり、
前記複数のマーク(1)はそれぞれ、
-少なくとも2つのロケーションマーク(2)であって、前記マークフィールド(4)内のそれぞれの前記ロケーションマーク(2)のロケーションについての情報を含むロケーションマーク(2)と、
-前記ロケーションマーク(2)の1つに割り当てられたまたは割り当て可能な少なくとも1つのポジションマーク(3)と、
を備え、
前記
マーク(1)は、前記基板ホルダ(8)
において対称的なラスタ内に配置されて
おり、
前記基板ホルダ(8)において、前記マーク(1)が配置されている領域は、前記基板ホルダ(8)の外縁に沿った前記マーク(1)が配置されていない環状の領域より大きい、
マークフィールド(4)。
【請求項2】
前記ロケーションマーク(2)および/またはポジションマーク(3)は、対称的なラスタ内で統一的な間隔を前記ロケーションマーク(2)および/またはポジションマーク(3)間に置いて配置されている、請求項1記載のマークフィールド。
【請求項3】
隣り合うロケーションマーク(2)および/または隣り合うポジションマーク(3)は、前記マークフィールド(4)上で等間隔に配置されている、請求項1または2記載のマークフィールド。
【請求項4】
前記マークフィールド(4)は、少なくとも10×10のマーク(1)を有する、請求項1または2記載のマークフィールド。
【請求項5】
前記マークフィールド(4)は、少なくとも100×100のマーク(1)を有する、請求項4記載のマークフィールド。
【請求項6】
前記マークフィールド(4)は、1000×1000を超えるマーク(1)を有する、請求項5記載のマークフィールド。
【請求項7】
前記マークフィールド(4)は、10000×10000を超えるマーク(1)を有する、請求項6記載のマークフィールド。
【請求項8】
前記マークフィールド(4)は、100000×100000を超えるマーク(1)を有する、請求項7記載のマークフィールド。
【請求項9】
隣り合うロケーションマーク(2)間の間隔は、前記ロケーションマーク(2)の幅および/もしくは高さまたは直径より小さい、請求項1または2記載のマークフィールド。
【請求項10】
前記間隔と、前記ロケーションマーク(2)の前記幅および/もしくは高さまたは前記直径との比は、1より小さい、請求項9記載のマークフィールド。
【請求項11】
前記間隔と、前記ロケーションマーク(2)の前記幅および/もしくは高さまたは前記直径との比は、0.5より小さい、請求項10記載のマークフィールド。
【請求項12】
前記間隔と、前記ロケーションマーク(2)の前記幅および/もしくは高さまたは前記直径との比は、0.1より小さい、請求項11記載のマークフィールド。
【請求項13】
前記マークフィールド(4)の各マーク(1)は、それぞれ異なっている、請求項1または2記載のマークフィールド。
【請求項14】
前記マークフィールド(4)の各マーク(1)は、それぞれ異なるコードを有する、請求項13記載のマークフィールド。
【請求項15】
前記コードは、ポジションコードである、請求項14記載のマークフィールド。
【請求項16】
前記ロケーションマークは、以下の特徴、つまり、
-QRコード
(登録商標)、
-バーコード、
-幾何学的な図形、
-記号列、
-画像、
の1つまたは複数を有する、請求項1または2記載のマークフィールド。
【請求項17】
前記幾何学的な図形は3次元である、請求項16記載のマークフィールド。
【請求項18】
前記記号列は文字列および/または数字列である、請求項16記載のマークフィールド。
【請求項19】
前記記号列はバイナリコードである、請求項16記載のマークフィールド。
【請求項20】
基板(7)上において該基板(7)
に対称的に分布して配置される複数の構造化部(11)の構造特徴部(11c)のX-Y-ポジションを特定する装置であって、
前記基板(7)において、前記構造化部(11)が配置されている領域は、前記基板(7)の外縁に沿った前記構造化部(11)が配置されていない環状の領域より大きく、
前記X-Y-ポジションは、前記基板(7)に対して固定のマークフィールド(4)に対して相対的に特定可能であり、
前記マークフィールド(4)は、
複数のマーク(1)からなり、かつ前記基板(7)が固定される当該基板(7)とは異なる基板ホルダ(8)に配置されており、
前記複数のマーク(1)はそれぞれ、-少なくとも2つのロケーションマーク(2)であって、前記マークフィールド(4)内のそれぞれの前記ロケーションマーク(2)のロケーションについての情報を含むロケーションマーク(2)と、
-前記ロケーションマーク(2)の1つに割り当てられたまたは割り当て可能な少なくとも1つのポジションマーク(3)と、
を備え、
前記
マーク(1)は、前記基板ホルダ(8)
において対称的なラスタ内に配置されて
おり、
前記基板ホルダ(8)において、前記マーク(1)が配置されている領域は、前記基板ホルダ(8)の外縁に沿って前記マーク(1)が配置されていない環状の領域より大きい、
装置。
【請求項21】
基板(7)上において該基板(7)
に対称的に分布して配置される複数の構造化部(11)の構造特徴部(11c)のX-Y-ポジションを特定する方法であって、
前記基板(7)において、前記構造化部(11)が配置されている領域は、前記基板(7)の外縁に沿って前記構造化部(11)が配置されていない環状の領域より大きく、
前記基板(7)が固定される基板ホルダ(8)において配置され、前記基板(7)に対して固定のマークフィールド(4)は、
複数のマーク(1)からなり、
前記複数のマーク(1)はそれぞれ、
-少なくとも2つのロケーションマーク(2)であって、前記マークフィールド(4)内でのそれぞれの前記ロケーションマーク(2)のロケーションについての情報を含むロケーションマーク(2)と、
-前記ロケーションマーク(4)の1つに割り当てられたまたは割り当て可能な少なくとも1つのポジションマーク(3)と、
を有し、
前記
マーク(1)は、前記基板ホルダ(8)
において対称的なラスタ内に配置されており、
前記基板ホルダ(8)において、前記マーク(1)が配置されている領域は、前記基板ホルダ(8)の外縁に沿って前記マーク(1)が配置されていない環状の領域より大きく、
前記X-Y-ポジションを前記マークフィールド(4)に対して相対的に特定する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載のマークフィールド、請求項8記載の、基板上に配置される構造化部の構造特徴部のX-Y-ポジションを特定する装置、請求項9記載の対応する方法に関する。
【0002】
産業において、基板上の構造化部のポジション(位置)について知ることは、決定的な意味を有している。特に関心が寄せられていることは、構造化部の現実の実際ポジションと理想的な目標ポジションとの間の差である。構造化部の実際ポジションを特定すべく、座標系を導入し、構造化部のポジションをこの座標系に関して表示することが可能である。大抵の場合、座標系は、物体固定の、すなわち基板に割り当てられた座標系である。この座標系は、以下では基板座標系と称呼する。
【0003】
しかし、すべての構造化部を計測することができるようにするためには、基板と計測システム、特にカメラを有する光学式のシステムとの間の相対運動が実施されねばならない。このことは、すべての構造化部が計測システムの視界内に存在しているわけではないため、必要である。計測すべきすべての構造化部が計測システムの視界内に存在していれば、計測システムと基板との間の相対運動は、当然不要である。
【0004】
相対運動は、精細な光学式のシステムを動かさなくてもいいように、大抵の場合、基板がその上に固定されている基板ホルダの能動的な運動により実施される。この場合、基板ホルダのポジションは、基板ホルダが経た距離を特定することができるように、極めて正確に特定されねばならない。つまり、基板ホルダのポジションは、空間固定の座標系に関して表示されねばならない。
【0005】
2点間において基板ホルダの経た経路のみを特定することも可能である。この場合、確かに空間固定の座標系は省略されるが、それでもなお、経た距離を極めて正確に特定することができるようにするためには、極めて精緻な制御装置が必要とされる。
【0006】
従来技術における前述の各方法は、基板ホルダのポジションあるいは経た経路、ひいては基板の基板表面における構造化部ポジションを計測することができるようにするためには、比較的高価かつ複雑な電子機械式のシステムを必要とする。さらにこの種の設備の走行経路は、相当なものである。相応の構造化部サイズにより、最小の温度変動ですら、使用される構成部材の熱膨張、ひいては構成部材サイズに対して影響を及ぼす。
【0007】
基板の基板表面において、同時には光学系の視界内に存在しない構造化部を計測することができるように、これらの構造化部を順々に光学系の視界内にもたらすために、基板と光学系との間の相対運動が実施されねばならない。大抵の場合、基板がその上に固定される基板ホルダが走行する一方で、光学系は固定されている。走行中、基板ホルダのポジションは、連続的に追跡されねばならない。つまり、基準系であって、それに関して基板ホルダのポジションが表示される基準系が必要となる。基板ホルダ、ひいては基板のポジション表示は、極めて正確に、特にナノメートル領域で実施されねばならない。この正確なポジション表示、特に数センチメートルの行程にわたってのポジション表示は、極めて正確な、ひいては高価な測定システム、特に干渉計を必要とする。
【0008】
それゆえ本発明の課題は、基板上の構造化部または構造特徴部のポジションのより正確なかつ/またはより効率的な特定を可能にする、基板を計測する装置および方法を提示することである。
【0009】
上記課題は、請求項1、8および9の特徴により解決される。本発明の有利な発展形は、従属請求項に記載されている。明細書、特許請求の範囲および/または図面に記載する特徴の少なくとも2つの特徴からなるあらゆる組み合わせも、本発明の範囲内に含まれる。値の範囲を表示した場合、挙げた限界の内にある値も、限界値として開示したものであり、任意の組み合わせで特許を請求することが可能である。
【0010】
本発明の根底にある思想は、マークフィールドに、
-少なくとも2つのロケーションマークであって、マークフィールド内のそれぞれのロケーションマークのロケーション(方位)についての情報を含むロケーションマークと、
-ロケーションマークの1つに割り当てられたまたは割り当て可能な少なくとも1つのポジションマークであって、基板上の構造化部の構造特徴部のX-Y-ポジション(座標)を、特に基板ホルダの運動またはポジションによらず特定するポジションマークと、
を設けることである。
【0011】
基板の構造化部の本発明による計測は、以後のプロセスステップにおいて、特に、2つの基板同士のより正確かつより効率的なボンディング工程を可能にする。計測した構造化部ポジションが所望の構造化部ポジションに等しくなければ、特にボンディング工程前および/またはボンディング工程中に両基板の少なくとも一方の調節が実施される。換言すれば、好ましくは、基板ペアは選択基準に則って形成される。特に本発明により2つのX-Y-ポジションから、またはロケーションマークおよび/もしくはポジションマークの別の特徴から、構造化部のロケーション、特に回転位置が特定される。
【0012】
さらに、本発明により、2つのX-Y-ポジションから、またはロケーションマークおよび/もしくはポジションマークの別の特徴から、構造化部の膨張または変形を特定することが可能である。
【0013】
1つの、特に独立した発明態様は、基板の基板表面における構造化部の構造特徴部の個々のX-Y-ポジションを、基板の基板表面とは反対側に位置する表面上のポジションマークに関連付けあるいは関係付け、特にそれらの間隔をX方向および/またはY方向で特定することにある。このために、ポジションマークの他に特に付加的にロケーションマークを使用する。この種のポジションマークおよびロケーションマークを使用することで、基板ホルダのポジションを高精度に、技術的に手間あるいはコストのかかる特に光学式の測定システムにより特定または追跡することは、もはや不要である。現在のポジションの大まかな特定は、特にロケーションマークを読み取って解釈することで実施される。現在のポジションのより精緻な特定は、特に付加的な、好ましくはロケーションマークに割り当てられたポジションマークにより実施可能である。
【0014】
これにより本発明は、特に、(別の)基準系に対して相対的に基板ホルダのポジション、ひいては基板のポジションを求める必要なしに、構造化部または構造特徴部を特定する、特に計測する、好ましくはポジション計測する方法および装置を示している。
【0015】
本発明の別の、特に独立した核心は、空間固定の基準系であって、それに関して基板ホルダのX-Y-ポジションを表示あるいは計測する基準系の使用を特に完全に省略し得る方法および装置を提供することにある。
【0016】
基本思想は、特に、好ましくは、構造化部または構造特徴部をその上で計測すべき基板表面とは反対側に位置するように配置されたまたは配置可能な表面にマークフィールドを形成することにある。
【0017】
マークフィールドは、特に2つの特性を有している:マークフィールドの各マークは、測定システム、特に光学系がマークのロケーションを推定することができるようにコード化されている。このロケーションが既知となれば、装置は、高度に正確な、好ましくはそれぞれのロケーションマークに割り当てられたポジションマークにより、高度に正確なポジション特定を実施することができる。
【0018】
マークフィールドが既知となり、そして互いに校正される2つの光学系が使用されれば、而して計測すべき基板の基板表面の構造化部/構造特徴部は、マークと関連付け可能である(逆もまたしかり)。これにより計算、特に間隔変化の計算が、空間固定の外部の基準系を必要とすることなく、可能となる。
【0019】
空間固定の基準系であって、それに関して基板ホルダのポジションを記さなければならない基準系は、もはや必要とされない。つまり、もはや基板ホルダのポジションを、光学式に干渉計を用いて追う必要もなければ、機械式にステップカウンタを用いて追う必要もない。それゆえ、本発明の発展形では、特に以下に説明する本発明により開示する手段の他に、基板ホルダのポジションを検出する(特に検出し続ける)手段は、使用されないあるいは装置には装備されていない。
【0020】
本発明の重要な別の一態様は、特に、マークフィールドおよび/またはポジションマークの歪みを低減するあるいは大幅に回避することにある。
【0021】
マーク
マークとは、本発明において最も広義に、光学式に検出可能なかつ/またはトポグラフィックに検出可能な構造化部(または構造化部の構造特徴部)と解され、構造化部(または構造化部の構造特徴部)もしくはそのポジション、好ましくは、少なくともそのX-Y-ポジション(位置)は、測定機器により検知、ひいては特定可能である。構造化部/構造特徴部を検出、ひいてはそのポジションを特定する測定機器は、特に:
-光学式のシステム、特にカメラ、
-接触式のシステム、特にAFM、
であってよい。
【0022】
マークは、好ましくは、以下に記載する材料の少なくとも1つからなっている:
-金属、特に
Cr,Al,Ti,Cu,Ag,Au,Fe,Ni,Co,Pt,W,Pb,Ta,Zn,Sn、
-合金、特に
金属合金、
金属-非金属合金、
-セラミック、
-プラスチック、
-半導体、特に
化合物半導体、特に
GaAs,GaN,InP,InxGa1-xN,InSb,InAs,GaSb,AlN,InN,GaP,BeTe,ZnO,CuInGaSe2,ZnS,ZnSe,ZnTe,CdS,CdSe,CdTe,Hg(1-x)Cd(x)Te,BeSe,HgS,AlxGa1-xAs,GaS,GaSe,GaTe,InS,InSe,InTe,CuInSe2,CuInS2,CuInGaS2,SiC,SiGe、
半導体、特に
Ge,Si,α-Sn,フラーレン,B,Se,Te。
【0023】
好ましくは、マークは光学式に検知されるので、以下では、光学式の計測について説明する。マークは、特にロケーションマークとポジションマークとからなっている。ロケーションマークは、本発明により好ましくは、コード化可能なまたはコード化されたマーク、つまり情報担体である。ポジションマークは、特に専ら、高度に正確なポジション、特にX-Y-ポジションを特定するために使用される。
【0024】
特にロケーションマークと、ロケーションマークに割り当てられたポジションマークとは、同時に、その都度使用される光学系の視界内で検出可能である。好ましくは、ロケーションマーク、特に各ロケーションマークは、同時の検出が保証されるように、割り当てられたポジションマークの比較的近辺に配置されている。
【0025】
本発明の有利な一実施の形態によれば、ロケーションマークは、1つまたは複数のポジションマークを有していることが可能である。
【0026】
ロケーションマークは、特に、5mm×5mmより小さい、好ましくは、1mm×1mmより小さい、さらに好ましくは、0.1mm×0.1mmより小さい、殊に好ましくは、0.01mm×0.01mmより小さい、最も好ましくは、0.001mm×0.001mmより小さい。特に好ましくは、ロケーションマークは、20μm~200μmの幅または直径を有している。
【0027】
ポジションマークは、特に、0.1mm×0.1mmより小さい、好ましくは、0.01mm×0.01mmより小さい、さらに好ましくは、0.001mm×0.001mmより小さい、殊に好ましくは、0.0001mm×0.0001mmより小さい、最も好ましくは、0.00001mm×0.00001mmより小さい。
【0028】
ロケーションマークおよび/またはポジションマークは、好ましくは、コンピュータ内に生成される模様の一部である。デジタル模様内のロケーションマークおよびポジションマークのポジションは、理想的と見なすことができる。ロケーションマークおよびポジションマークを特に成層技術、マスク技術、エッチング技術および現像技術により作成することで、現実のロケーションマークおよびポジションマークが生じる。これらの現実のロケーションマークおよびポジションマークのポジションは、特にエラーを伴い得るプロセスおよび設備に基づいて、所望の理想ポジションから偏差する。これらの偏差は、好ましくは、最小であり、ナノメートル範囲にある。それゆえ、ロケーションマークおよびポジションマークの精度は、理想ポジションと現実のポジションとの偏差が小さければ小さいほど、高い。偏差は、特に、1μmより小さい、好ましくは、500nmより小さい、さらに好ましくは、250nmより小さい、殊に好ましくは、50nmより小さい、最も好ましくは、10nmより小さい。
【0029】
本発明の別の一態様は、マークフィールド担体、特にマークの、とりわけ、本来は高度に正確に作成すべきポジションマークの製造不正確性を受け入れることにある。それゆえ装置は、特に、高精度には製造されないポジションマークを有するマークフィールドを有しており、これにより、生産コストは、大幅に引き下げ可能である。
【0030】
それにもかかわらず、高精緻なポジションを提供するポジションマークフィールドを利用することができるように、目標ポジションマークフィールドが、特にコンピュータ内に格納、記憶される。コンピュータ内のポジションマークのポジションは、理想的と見なすことができる一方、作成されたポジションマークフィールドの実際のポジション(実際ポジション)は、そこから偏差していることがある。調整プロセスにおいて、マークフィールド担体のマークフィールドが計測され(実際ポジションが求められ)、コンピュータ内の理想的なポジションマークと、マークフィールド担体上の実際のポジションマークとの間の相対ポジションが求められ、記憶される。
【0031】
そこから、各実際のポジションマークについて、相応の修正が、理想的なポジションマークに関して計算、特に、それぞれのポジションに対するベクトルの形式で計算される。この方法により、基板上の構造化部をマークフィールド担体上の実際のポジションマークと相関させ、実際のポジションマークを他方ではコンピュータ内の理想的なポジションマークと相関させることが可能である。このアイデアにより、マークフィールド担体の製造コストは、特にマークフィールドの比較的不正確な製造の許容により、大きく引き下げられ、而して経済的な利点がもたらされる。
【0032】
本発明により、各ロケーションマークは、マークフィールド内で個別化されている。個別化により、それぞれ異なるロケーションマークを取り違える可能性は、排除されており、その結果、各ロケーションマークを検出することで、マークフィールド上のロケーションマークのX-Y-座標領域を推定することが可能である。マークフィールドの座標系は、特にマークフィールド座標系と称呼される。ロケーションマークは、好ましくは、以下の特徴、つまり、
-QRコード、
-バーコード、
-幾何学的な、特に3次元の図形、
-記号列、特に文字列および/または数字列、好ましくはバイナリコード、
-画像、
の1つまたは複数である。
【0033】
ロケーションマークは、特に情報担体である。好ましくは、各ロケーションマークは、ラスタ(格子状のパターン)内のどのポジションにこのロケーションマークが存在しているか、つまり、どのX-Y-座標領域にこのロケーションマークが置かれているかを表示するX-Y-ポジションによりコード化される。
【0034】
ポジションマークは、簡単なまたは複雑な形成物として構成することができる。ポジションマークの詳細な形状については、従来技術においてそれ自体公知であるため、深入りしない。図中、ポジションマークは、特に十字で示す。ポジションマークは、好ましくは、従来技術において慣用されているアライメントマークと同じに製作され、好ましくは、同じ外観を呈している。これにより、従来技術においてアライメントマークの分析のために使用される技術が、ポジションマークの分析のためにも利用可能である。
【0035】
本発明による殊に好ましい実施の形態において、ポジションマークは、ロケーションマークを包囲、特に囲繞している。この場合、ポジションマークは、特に円、長方形、八角形、または容易にソフトウェアにより認識され、評価され得る任意の別の幾何学的な図形として構成されている。
【0036】
マークフィールド
マークフィールドは、特に、好ましくは互いに高対称的に配置される複数のマーク、すなわちロケーションマークおよびポジションマークの集合からなっている。本発明において重要なことは、とりわけ、ポジションマークが互いに高精度に作成されることである。ポジションマークに割り当てられたまたは割り当て可能なロケーションマークは、両者が好ましくは同時に光学系の視界内に存在しているように配置される。ロケーションマークは、特に専ら、光学系により観察される、以下の文ではロケーションとしか呼ばない大体のロケーションポジション(方位)を読み取るために用いられる。好ましくは、各ロケーションマークと、割り当てられたポジションマークとの間の相対ポジションは、同じである。このことは、評価アルゴリズムのプログラミングを容易にし、ひいては、ロケーションマークおよびポジションマークが光学系の視界内に存在すると直ちに、マークフィールド内のロケーションマークおよび/またはポジションマークをサーチすることが容易になる。
【0037】
殊に好ましい一実施の形態において、ロケーションマークは、ポジションマークにより、特に全周にわたって包囲、特に囲繞される。
【0038】
これによりロケーションマークの製作精度は、ポジションマークの製作精度より低くてよく、これにより、マークフィールドのための製造コストは、最小化される。
【0039】
マークフィールドが、ロケーションマークとポジションマークとが互いに融合されたマークから構成されている場合には、好ましくは、マークフィールドのすべてのマークは、高精度に作成される。それというのも、各マークは、ロケーションマークであると同時に、ポジションマークであって、つまり両機能を有しているからである。
【0040】
好ましくは、マークは、任意の、特に対称のラスタ内で統一的な間隔をロケーションマーク間において配置されている。隣り合うロケーションマークおよび/またはポジションマークは、好ましくは、マークフィールド上に等間隔に配置されている。マークフィールド内には、特に、10×10を超えるマーク、好ましくは、100×100を超えるマーク、さらに好ましくは、1000×1000を超えるマーク、殊に好ましくは、10000×10000を超えるマーク、最も好ましくは、100000×100000を超えるマークが存在している。隣り合うロケーションマーク間の間隔は、特に、ロケーションマークの幅および/もしくは高さまたは直径より小さい。好ましくは、前記間隔と、ロケーションマークの幅および/もしくは高さまたは直径との比は、1より小さい、さらに好ましくは、0.5より小さい、さらに好ましくは、0.1より小さい。
【0041】
好ましくは、ロケーションマークは、ラスタ内のX-Y-ポジションをコード化している。これにより、ロケーションマークを検出する際に、検出手段、特に1つまたは複数の光学系により検出されたばかりのそれぞれのラスタ領域について推定することが可能である。各ロケーションマーク内の付加的な情報のコード化、例えばロケーションマークに対する割り当てられたポジションマークのロケーションのコード化が可能である。
【0042】
念のため開示しておくと、マークは、高度に対称的なラスタ上に存在していなくてもよい。マークの分布は、ポジションマーク間の間隔の関係(ベクトルまたはX-Y-間隔)が既知であり、それぞれのロケーションマークがその相応のポジションマークに関連付け可能である限り、任意であってよい。非対称のラスタ上でのマークの分布は、若干劣化した実施の形態をなしている。
【0043】
マークフィールドは、好ましくは、一方では、計測されるべきあるいはそのX-Y-ポジションが本発明により特定される構造化部が存在している基板表面の可能な限り近傍に配置される。他方では、マークフィールドを形成する構造部は、損傷から保護されることが望ましい。計測すべき構造化部とマークフィールド担体との間の間隔は、好ましくは、0.1mm~100mm、好ましくは、0.25mm~75mm、さらに好ましくは、0.5mm~50mm、殊に好ましくは、1mm~30mm、最も好ましくは、5mm~20mmである。
【0044】
特にマークフィールドは、機械的な負荷および摩滅から保護するために、マークフィールド担体の、基板から背離した側に配置され、こうして基板と直接接触しない。マークフィールドを、機械的かつ/または化学的な影響から保護すべく、透明のコーティングで被覆することも可能である。
【0045】
マークフィールド担体
本発明によるマークフィールド担体は、マークフィールドがその上に設けられている/設けられる1つまたは複数の構成部材である。
【0046】
本発明による第1の実施の形態によれば、基板ホルダ自体がマークフィールド担体である。マークフィールドは、基板ホルダの両表面の一方、好ましくは、基板がその上に固定される固定表面に存在している。
【0047】
マークフィールドが固定表面に存在している場合、基板ホルダは、少なくともマークフィールドの下方において、好ましくは、マークフィールドを観察する電磁放射に関して少なくとも部分的に透過性に形成される。
【0048】
マークフィールドが、固定表面とは反対側に位置する表面に存在している場合は、基板ホルダは、不透明であってもよい。
【0049】
本発明による第2の、特に好ましい実施の形態において、マークフィールド担体は、独立した構成部材であり、基板ホルダ内にまたは基板ホルダに接するように固定可能であり、ひいては迅速に交換可能である。
【0050】
好ましくは、この場合も、マークフィールドは、固定表面に設けられており、前記構成部材は、使用される電磁放射に対して少なくとも部分的に透過性である。この構成により、マークフィールド担体は、基板ホルダとは別個に製造され得る。これによりフレキシビリティは向上され、交換は容易になる。さらに生産コストは引き下げ可能である。
【0051】
本発明による一拡張形によれば、基板ホルダは、マークフィールド担体がこの基板ホルダ内に装入可能であり、周辺部でのみ支持されるように構成される。この特別な実施の形態において、マークフィールド担体は、可能な限り厚く構成され、その結果、曲げ抵抗は、可能な限り大きく、ポジションマークの歪みは、最小化され、好ましくは、完全になくなる。周辺部でのみ支持されるマークフィールド担体は、薄く形成されればされるほど、重力の力により強く湾曲される。湾曲は、重力の方向を向いたマークフィールド担体表面の伸長をもたらす。したがってマークフィールドは圧縮されることにもなり、これにより、X-Y-ポジションを特定する精度は低下してしまう。
【0052】
本発明による別の一拡張形によれば、基板ホルダは、マークフィールド担体を基板ホルダ内に装入することができ、周辺部だけでなく、支柱、特に中心に集まる支柱によっても下方から支持されるように構成される。支柱は、とりわけマークフィールド担体の湾曲を最小化する。好ましくは、支柱は、構造化部のX-Y-ポジションを検出する際に使用される電磁放射に対して少なくとも部分的に透過性である。支柱が不透明であると、支柱により隠された面に沿って、マークフィールドのマークと、基板表面上の構造化部との間の相関が形成され得ない。
【0053】
マークフィールド担体および/または支柱の透過率は、特に、10%より高い、好ましくは、25%より高い、さらに好ましくは、50%より高い、殊に好ましくは、75%より高い、最も好ましくは、95%より高い。
【0054】
湾曲の問題に対しては、とりわけ、可能な限り厚いマークフィールド担体により対応することができる。マークフィールド担体の厚さは、特に、1mmより厚い、好ましくは、2mmより厚い、さらに好ましくは、5mmより厚い、殊に好ましくは、20mmより厚い、最も好ましくは、30mmより厚い。マークフィールド担体が厚ければ厚いほど、マークフィールド担体の曲げ抵抗は大きく、マークフィールド担体は曲げにより変形され難くなる。
【0055】
基板は、あらゆる任意の形状を有していてよいが、好ましくは、円形である。基板の直径は、特に産業的に規格化されている。ウエハについては、産業上一般的な直径は、1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチおよび18インチである。しかし、本発明による実施の形態は、原則、あらゆる基板をその直径によらず取り扱うことが可能である。
【0056】
マークフィールド担体および/またはマークフィールドは、特に基板の直径に略等しい直径および/または周囲輪郭を有している。
【0057】
特別な実施の形態において、マークフィールド担体の直径は、基板の直径より大きい、特に、基板の直径の1.01倍より大きい、好ましくは、1.05倍より大きい、さらに好ましくは、1.1倍より大きい、殊に好ましくは、1.2倍より大きい、最も好ましくは、1.2倍より大きい。
【0058】
本発明による一発展形によれば、支柱は、可能な限り透明である。好ましくは、支柱自体は、使用される電磁放射に対して完全に透過性の材料から製造される。使用される光学系のために可能な限り多くの視界を提供すべく、支柱に可能な限り広範に溝および穴を設けることも可能である。減じられた支持作用を再び向上させるために、溝および穴は、特に形状結合式にかつ/または面一に、透明のインサートにより閉鎖されてもよい。
【0059】
マークフィールド担体は、好ましくは、以下の材料の少なくとも1つから、少なくとも部分的に製造される:
-金属、特に
Cu,Ag,Au,Al,Fe,Ni,Co,Pt,W,Cr,Pb,Ti,Ta,Zn,Snならびに/または
-プラスチック、特に
エラストマー、特に
バイトン(素材)および/もしくは
ポリウレタンおよび/もしくは
ハイパロン(素材)および/もしくは
イソプレンゴム(素材)および/もしくは
ニトリルゴム(素材)および/もしくは
パーフルオロゴム(素材)および/もしくは
ポリイソブテン(素材)、
熱可塑性のエラストマーならびに/または
-半導体材料、特に
化合物半導体、
GaAs,GaN,InP,InxGa1-xN,InSb,InAs,GaSb,AlN,InN,GaP,BeTe,ZnO,CuInGaSe2,ZnS,ZnSe,ZnTe,CdS,CdSe,CdTe,Hg(1-x)Cd(x)Te,BeSe,HgS,AlxGa1-xAs,GaS,GaSe,GaTe,InS,InSe,InTe,CuInSe2,CuInS2,CuInGaS2,SiC,SiGe、
半導体、特に
Ge,Si,α-Sn,フラーレン,B,Se,Te、
-ガラス、特に
金属ガラス、
非金属ガラス、特に
有機非金属ガラス、
無機非金属ガラス、特に
非酸化物ガラス、特に
ハロゲン化物ガラス、
カルコゲナイドガラス、
酸化物ガラス、特に
リン酸塩ガラス、
ケイ酸塩ガラス、特に
アルミノケイ酸塩ガラス、
鉛ケイ酸塩ガラス、
アルカリケイ酸塩ガラス、特に
アルカリ-アルカリ土類ケイ酸塩ガラス、
ホウケイ酸ガラス、
ホウ酸塩ガラス、特に
アルカリホウ酸塩ガラス、
石英、
-セラミック、
-鉱物、特にサファイア。
【0060】
マークフィールド担体は、好ましくは、
-円筒形、
-(好ましくは)直方体形、
である。しかし、マークフィールド担体は、原則、あらゆる任意の形状をとることができる。
【0061】
マークフィールド担体は、好ましくは、温度変動がマークフィールド担体、ひいてはマークフィールドの歪みに至らないように、極めて低い熱膨張係数を有する素材から製造される。
【0062】
マークフィールド担体が、それほど低くない熱膨張係数を有する素材からなっている場合、マークフィールド担体は、好ましくは、マークフィールド表面の膨張が妨げられている、つまり、マークフィールド表面が、場合によっては起こり得る温度変動または温度偏差にもかかわらず膨張し得ないように組み込まれる。この状態は、構造技術的に、特に、マークフィールド担体が、それ自体低い熱膨張係数を有する素材からなる構成部材、特に基板ホルダ内に組み込まれることにより解決される。
【0063】
マークフィールド担体の熱膨張係数は、温度差によるマークフィールド担体の歪み、あるいはマークフィールド担体の膨張を妨げる構成部材の歪みを防止すべく、可能な限り小さいことが望ましい。熱膨張係数は、特に、10-4K-1より小さい、好ましくは、5×10-5K-1より小さい、さらに好ましくは、10-5K-1より小さい、殊に好ましくは、5×10-6K-1より小さい、殊に好ましくは、10-6K-1より小さい、最も好ましくは、10-7K-1より小さい。
【0064】
マークフィールドは、マークフィールド担体が、測定すべき基板と接触する場合、好ましくは、マークフィールド担体において、基板の測定すべき構造化部の可能な限り近傍に配置される。マークフィールドと、計測すべき構造化部との間の間隔を適切に最小化することにより、互いに校正される光学系の光軸のアライメントにより生じる可能性のある、場合によっては起こり得る光学的なエラーは、最小化される。
【0065】
マークフィールド担体と基板ホルダとがそれぞれ異なる構成部材あるいは構成群をなしている実施の形態において、固定要素が基板ホルダおよび/またはマークフィールド担体に存在していてもよい。固定要素がマークフィールド担体に存在している場合は、好ましくは、マークフィールド担体の固定要素を制御すべく、制御接続が基板ホルダとマークフィールド担体との間に設けられている。
【0066】
固定要素は、基板を保持するために用いられる。固定要素は、以下の固定要素:
-機械式の固定手段、特にクランプ、
-真空固定手段、特に個々に動作制御可能なまたは互いに接続された複数の真空帯を有する真空固定手段、
-電気式の固定手段、特に静電気を利用した固定手段、
-磁気式の固定手段、
-接着式の固定手段、特にGel-Pak固定手段、
-接着式の、特に動作制御可能な表面を有する固定手段、
の1つまたは複数であってもよい。
【0067】
固定手段は、特に電子式に動作制御可能である。真空固定は、好ましい固定の形態である。真空固定は、好ましくは、複数の真空路からなっており、真空路は、試料ホルダの表面に露出している。真空路は、好ましくは、個々に動作制御可能である。技術的により実現可能な応用では、幾つかの真空路が真空路セグメントにまとめられ、これらの真空路セグメントは、個々に動作制御可能であり、ひいては互いに独立して排気または注気可能である。真空路セグメントは、好ましくは、リング形に構成されている。
【0068】
固定の特別な一形態は、低接触基板ホルダ(英:low contact chuck)により実現され、低接触基板ホルダは、個々の、特に対称に分配された複数の隆起部(英:pin)からなっている。この基板ホルダは、突起試料ホルダ(英:pin chuck)とも称呼される。隆起部間の空間は、排気することができ、その際、同時に真空固定として機能する。有利なのは、隆起部だけが基板に接触し、ひいては、固定される基板側の負荷および汚染が比較的僅かで済むことである。さらなる利点は、低接触基板ホルダであると、固定した基板を歪ませるのが可能な限り僅かで済むことにあり、このことは、基板の構造化部の計測にとって1つの利点である。さらなる利点は、低接触基板ホルダが基板の大幅に一様な固定を可能にすることにある。このような基板ホルダの実施の形態は、国際公開第2015/113641号に開示されており、その点については、国際公開第2015/113641号を参照されたい。このような低接触基板ホルダは、好ましくは、少なくとも大体において不透明であるので、本発明に係るマークフィールドは、基板固定表面から背離した表面に存在している。
【0069】
それほど好ましくない本発明による別の一実施の形態において、計測すべき構造化部がその上に存在している基板自体が、マークフィールド担体である。マークフィールドは、計測すべき構造化部を有する基板表面とは反対側に位置する基板表面に配置される。この好ましくない実施の形態は、以下の欠点を有している:第1に、マークフィールドが基板毎に形成されねばならない。このことは、付加的な手間およびコストを招く。第2に、構造化部を基板の一方の側に、そしてマークを基板の他方の側に形成することは、生産上の問題につながり、場合によっては歪みにつながる。第3に、基板は、通常、低い曲げ抵抗を有しており、このことは、同じくマークフィールドの歪みにつながることがある。
【0070】
それゆえ、本発明の一発展形によれば、マークフィールドを、好ましくは、調べたい基板とは明確に切り離すこと、つまり、マークフィールドを基板自体に配置しないことが有利である。
【0071】
装置
本発明に係る装置は、マークフィールド担体と、基板ホルダと、少なくとも2つの光学系とからなっている。マークフィールド担体は、好ましくは、基板ホルダの一部である(その逆もまた然り)。本明細書において基板ホルダまたはマークフィールド担体について述べる限りにおいて、これらは、ユニットと見なされるまたは同義に使用される。
【0072】
両光学系は、向かい合うように構成され、かつ配置されている。両光学系の光軸は、好ましくは、可能な限り良好に互いに校正され、好ましくは、平行にまたは一直線に整列するように方向付けられる。互いに方向付けられた2つの光学系の校正に関しては、国際公開第2014/202106号を参照されたい。光学系は、x方向および/またはy方向および/またはz方向で並進運動可能、かつ/または、好ましくは、それぞれ互いに垂直に配置される3つの空間軸回りに回転可能である。これらの自由度は、光学系の校正に用いられる。両光学系が互いに校正されたら、好ましくは、光学系間の相対運動はもはや実施されない。光学系は、X-Y-ポジションの本発明による特定中、互いに相対的に固定される。
【0073】
念のため、互いに校正された2つの光学系が連結されて運動する可能性を開示しておく。好ましくは、光学系は、一種のU字形の結合を介して機械的に互いに連結されており、その結果、光学系は、この場合も、X-Y-ポジションの本発明による特定中、互いに相対的に固定されている。しかし、より好ましいのは、機械的に両光学系を互いに切り離すことである。好ましくは、光学系は、振動を最小化すべく、基板ホルダがその上を動かされるフレームあるいは表面から機械的に可能な限り最良に連結解除されているあるいは少なくとも緩衝されている。
【0074】
フレームは、好ましくは、振動伝達を可能な限り完全に回避すべく、光学系から機械的に切り離されているあるいは少なくとも緩衝されている。
【0075】
方法
X-Y-ポジションを特定する本発明による決定的な方法ステップの前に、両光学系を特に互いに可能な限り最良に校正する。
【0076】
最適な校正方法では、両光学系の光軸を互いに合同に、つまり一致するように方向付ける。この状態への到達は、技術的に困難を伴うか、まったくもって不可能なこともある。しかし、好ましくは、この状態に可能な限り最良に近付けるように、少なくとも試みるべきである。
【0077】
両光学系相互の最適な校正のための別の重要なステップは、両光学系の被写界深度範囲を重畳させ、被写界深度範囲の交差範囲が、マークフィールドと、計測すべき構造化部とを同時に検出するようにすることである。このことは、両被写界深度範囲が、マークフィールドと、計測すべき構造化部との間の間隔と少なくとも同じであるか、またはそれよりも大きい場合にのみ可能であり、このことは、この記載をもって本発明の有利な実施の形態として開示したものとする。特に、厚い基板の場合、またはマークフィールドが、計測すべき構造化部から遠く離れて存在しているマークフィールド担体の場合、マークフィールドは、一方の光学系により、そして構造化部は、他方の光学系により焦点合わせされ、すなわち、それぞれの光学系のそれぞれの被写界深度範囲内にもたらされる。
【0078】
本来の本発明に係る方法の前に、好ましくは、両軸の斜行により発生する可能性がある、場合によっては起こり得るエラーを、X-Y-ポジションの特定時に考慮することができるように、両光学系相互の校正を行う。本発明において好ましいのは、可能な限り任意の基板のあらゆる種類の構造化部に使用可能な、可能な限り多面的に使用可能なマークフィールドを有するマークフィールド担体の製造である。このことは、特にこのようなマークフィールド担体に要する高い製造コストを顧慮しても、望ましい。これにより好ましいのは、基板の検出すべき構造化部に可能な限り依存せずに製作されるマークフィールドである。
【0079】
本発明による特別な一実施の形態において、1つのロケーションマークに複数のポジションマークが割り当てられていてもよく、その結果、極めて密なポジションマークのフィールドが得られる。これに代えてまたはこれに加えて、特に複数のポジションマークが光学系の視界内に配置される。視界は、好ましくは、長方形、最も好ましくは、正方形である、すなわち、視界の単位寸法当たりの画素数は、一定である。その際、視界の単位寸法当たりのポジションマークの数は、少なくとも1、好ましくは、3より多い、さらに好ましくは、5より多い、殊に好ましくは、7より多い、最も好ましくは、10より多い。本発明による多数のポジションマークにより、仮に次のロケーションマークがまだ見えなくても、常に少なくとも1つの(好ましくは、少なくとも2つの)ポジションマークが視界内に見出されることが保証される。それゆえ、ポジションマークの密度は、特にロケーションマークの密度より高くてもよい。ポジションマークの密度は、ロケーションマークの密度と同じ、好ましくは、ロケーションマークの密度の2倍、さらに好ましくは、5倍、殊に好ましくは、10倍、最も好ましくは、100倍である。
【0080】
特に本発明に係る方法と、複数のポジションマークが同時に視界内に存在している実施の形態とは、ポジションマークの平均化をすることを可能にし、好ましくは、ポジションマークの製造誤差が補償される。平均化をすることで、相応に平均化された仮想のポジションマークが得られ、仮想のポジションマークは、而して基板表面における構造化部の計測用のポジションマークとして使用され得る。4つのポジションマークが同時に視界内に存在し、すべてが正方形の角に存在していると仮定する。ポジションマークのポジションを求めることで、正方形の中心を計算することができ、正方形の中心は、新しいポジションマークとして用いられる。この新しいポジションマークは、確かに実体として存在するものではないが、コンピュータにより求め、記憶し、必要であれば、デジタル画像に書き込むこともできる。その際、本発明に係る方法にとって、実体として存在するポジションマークが本発明に係る方法のために使用されるか、または計算上のポジションマークが本発明に係る方法のために使用されるかは、重要でない。
【0081】
本発明に係る方法は、特に、基板表面における構造化部、または構造化部の少なくとも1つの構造特徴部の実際パラメータと目標パラメータとの間の偏差(つまり、特に生産誤差)を求めるために使用され得る。考え得る生産誤差は、フォトリソグラフィプロセスが若干斜めの露光を実施してしまったり、エッチングプロセスがエッジの品質を悪化させてしまったり、等である。さらに偏差は、事後的な歪み、特に温度変動による歪みであることもある。特に構造化部は、
-回転誤差および/または
-並進誤差および/または
-スケーリング誤差および/または
-残存誤差
を有していることがある。回転誤差とは、構造化部がその理想的な目標ポジションに対して全体的かつ/または局所的に回転しているエラーと解される。並進誤差とは、構造化部がその理想的な目標ポジションに対して全体的かつ/または局所的に並進しているエラーと解される。スケーリング誤差とは、構造化部がその理想的な目標ポジションに対して全体的かつ/または局所的にスケーリングを受けているエラーと解される。このエラーは、当業者の世界では、「ランアウト」とも称呼される。「ランアウト」は、特に、半径が大きくなるにつれて、誤差が大きくなることを特徴としている。大抵の場合、この誤差は、基板の縁部において中心近傍の領域におけるよりも強く作用する熱膨張の結果である。残存誤差は、目標構造化部と実際構造化部との偏差に至るすべての別種の誤差を指している。実際構造化部が目標構造化部とは軽微に異なるという作用は、以下では初期誤差または「インカミングエラー(incoming error)」と称呼する。
【0082】
別のまたは付加的な誤差は、後続のプロセス、特にボンディングプロセス中に生じることがある。本発明による実施の形態は、とりわけ、さらなるプロセス、特にボンディングプロセスを行う前に、構造化部を計測するために好適である。構造化部の実際状態の計測、特にボンディング工程直前の計測は、ボンディングすべき2つの基板の構造化部の一致性を保証し、確保するために、根本的な意味を有している。しかし、念のため言及しておくと、本発明に係る方法により、ボンディング工程を実施した後に、本発明に係るマークフィールドに関係付けた構造化部の計測を実施することも可能である。この場合、そのためには、基板を通してその構造化部が調べられることになる基板は、その都度使用される電磁放射に対して、ボンディング境界面内の構造化部を認識することができるように透過性でなければならない。ガラス基板の使用も可能である。相応の基板が赤外線に対して透過性であり、赤外放射を構造化部の計測のために使用することも可能である。可視光に対して十分透過性であるように基板を薄く構成することも可能である。このことは、シリコンについていえば、厚さが、10μm未満、好ましくは、5μm未満、さらに好ましくは、3μm未満、殊に好ましくは、2μm未満、最も好ましくは、1μm未満であるときに成立する。
【0083】
それゆえ、独立した発明として、本発明により続いてのボンディングステップにおいて接続すべき2つの基板の構造化部/構造特徴部のX-Y-ポジションを特定する方法も開示される。
【0084】
任意選択的な方法ステップにおいて、使用する2つの光学系の光軸を互いに校正する。両光学系の校正は、好ましくは、校正基板により実施される。
【0085】
校正基板は、基板における計測すべき構造化部と、マークフィールドとの間の間隔に略等しい厚さを有している。校正基板は、2つの校正マークを各側に1つずつ有している。これらの両校正マークは、可能な限り最良に互いに相関されていなければならない、すなわち直接重なり合って位置していなければならない。換言すれば、両校正マーク間の横方向の変位は、最小であることが望ましい。本発明による特に好ましい一実施の形態では、貫通部、特に貫通孔、さらに好ましくは貫通エッチング部を一方の基板表面から他方の基板表面へと形成することにより、この種の校正マークを生成する。基板表面における穴は、その場合、厚さにわたって互いに一致している。この方法は、以下では穴あけ法と称呼する。本発明による第1の校正方法では、上側の光学系は、上側の校正マークに、下側の光学系は、下側の校正マークに焦点合わせする。両光学系の光軸は、概して互いに一致していないため、1つの画像に統合した両校正マークも一致しない。校正マーク間の、x方向およびy方向での間隔dx1およびdy1を計測し、記憶する。
【0086】
その後、基板の180°の回転と、校正マークの改めての計測とを実施する。校正マーク間の、x方向およびy方向での間隔dx2およびdy2を計測し、記憶する。
【0087】
さらなる校正ステップにおいて、誤差値dxおよびdyを計算する:
dx=dx1+dx2
dy=dy1+dy2
こうして求めた値dxおよびdyは、而して、校正マークの(2倍の)横方向の変位と、(2倍の)光学的な誤差とからなる(2倍の)合計誤差である:
dx=(2倍の)横方向の変位x+(2倍の)光学的な誤差x
dy=(2倍の)横方向の変位y+(2倍の)光学的な誤差y
校正マークのための最適な作成方法、特に穴あけ法の既に言及した使用により、横方向の変位は、事実上、ゼロに減じることができ、値dxおよびdyは、(2倍の)光学的な誤差を表している:
(2倍の)光学的な誤差x=dx
(2倍の)光学的な誤差y=dy
横方向の変位がそれほど小さくない場合は、横方向の変位を別の方法で求め、その後で差し引く必要がある:
(2倍の)光学的な誤差x=dx-測定した(2倍の)横方向の変位x
(2倍の)光学的な誤差y=dy-測定した(2倍の)横方向の変位y
x方向およびy方向での光学的な誤差は、最終的に
光学的な誤差x=(2倍の)光学的な誤差x/2
光学的な誤差y=(2倍の)光学的な誤差y/2
により得られる。x方向およびy方向での光学的な誤差は、光学系をその後それ以上互いに動かさない限り、1回だけ計算すればよい。その後、基板表面における構造化部と、マークフィールド内の相応のポジションマークとの間の、計測したx方向およびy方向での各間隔を光学的な誤差の分だけ修正するために、x方向およびy方向での光学的な誤差を用いることができる。光学的な誤差は、好ましくは、ベクトルとして記憶され、以下の文では、アルファベットのFで示す。
【0088】
本発明によるさらなる方法ステップにおいて、基板を基板ホルダ、およびマークフィールドを有するマークフィールド担体に固定する。好ましくは、基板とマークフィールド担体とは、2つの別体の構成部材である。特に基板は、直接、マークフィールド担体に固定され、マークフィールド担体は、他方、基板ホルダに固定されている。
【0089】
本発明による続く方法ステップにおいて、基板表面上の構造化部、特にすべての構造化部を移動させ、計測する。第1の、特に上側の光学系が、基板の構造化部を視界に収めている一方、第2の、特に下側の光学系は、マークフィールドの少なくとも1つのロケーションマークと少なくとも1つのポジションマークとを有する対応領域を捉えている。生成した両画像は、デジタル式に重ね合わせることができ、而して、好ましくはデジタル式にソフトウェアにより評価可能な重畳画像を生じる。
【0090】
ロケーションマークが下側の光学系の視界内に位置すると直ちに、ロケーションマークのX-Y-座標領域についての情報が評価される。これにより、今や装置には、基板ホルダ、ひいては基板が光学系に対してどのラフポジションに存在しているかが既知となっている。好ましくは、ポジションマークを下側の光学系に対してセンタリングするので、ポジションマークは、光学系の視界の中心に存在している。代替的には、光学系を、計測すべき構造化部の特徴的な構造特徴部に対してセンタリングしてもよい。好ましくは、構造化部の回転位置も特定することができるように、構造化部の複数の特徴的な構造特徴部をポジションマークに対して計測するべきであるため、好ましくは、ポジションマークをセンタリングする。
【0091】
ポジションマークのセンタリングは、好ましいものの、ポジションマークと、構造化部の特徴的な構造特徴部との間の間隔の計測時に絶対的なポジショニングは不要であるため、本発明の実施にとって本質的なものではない。
【0092】
重要なのは、とりわけ、構造化部の少なくとも1つの特徴的な構造特徴部がポジションマークに対して相対的に計測されることである。例えば、長方形の構造化部の場合、左上の角が選択可能である。長方形の構造化部の場合、4つすべての角をポジションマークに対して計測することが好ましい。計測とは、それぞれ同じポジションマークに対する少なくとも2つの値、すなわち水平方向間隔dxおよび垂直方向間隔dyの値を求めることと解される。
【0093】
特に画像ならびに/または求めたデータ、特にロケーションマークのロケーションデータおよびポジションマークおよび構造化部もしくは構造特徴部のポジションデータをコンピュータ内に記憶する。この方法ステップは、基板上の任意の数、好ましくはすべての構造化部のために実施される。
【0094】
本発明によるさらなる方法ステップにおいて、構造化部の、検出した特にすべての特徴的な構造特徴部のX-Y-ポジションデータを得た後、特定したX-Y-ポジションを、それぞれの理想ポジション(目標ポジション)を基準に定める。基準として、特に理想的な構造化部、好ましくはマークフィールドが好適である。これにより、特徴的な構造特徴部の偏差、すなわち、目標状態と実際状態との間の差を求めることができる。
【0095】
X-Y-ポジションあるいは偏差を正確に、特に数学的に求めることは、特に以下に記載する点の1つまたは複数を考慮して実施される:
-マークフィールドの軸は、基板座標系の軸と一致していない。
-コンピュータ内のマークフィールドの理想的なポジションマークは、マークフィールド担体におけるマークフィールドの現実のポジションマークと同じには配置されていない。偏差を計測し、記憶することができる。
-マークフィールドの現実のポジションマークのポジションと、基板上の現実の構造化部のポジションとの間の相関は、ここで説明したように求めることができる。
-コンピュータ内のマークフィールドの理想的なポジションマークのポジションと、コンピュータ内の理想的な構造化部のポジションとの間の相関は、データが常に提供されていて、初めに計測する必要がないため、計算可能である。
-光学的な誤差は、校正プロセスにおいて求めた値によりデータから算出可能である。
-上の列挙からのデータは、常に、基板上の現実の構造化部の、コンピュータ内の理想的な構造化部からの偏差の計算を可能にする。
【0096】
一プロセスステップにおいて、特に基板座標系に対して相対的なマークフィールド座標系の軸配向を求める。特に修正は、基板とマークフィールド担体との間の相対変位、特に基板の能動的な運動により実施される。
【0097】
しかし、基板をマークフィールド担体に固定した後、基板を再度動かすことは、有利ではないので、座標系間の相関は、特に数学的に求められる。マークフィールド担体における複数のポジションマーク、特に、互いに垂直な2つの方向に沿った複数のポジションマークを測定することにより、軸の方向を求めることができる。
【0098】
同様の考えは、基板の軸にも当てはまる。これらのデータから回転行列Rが計算される。両座標原点間の変位は、特にベクトルvにより表される。これによりわかることは、マークフィールド担体におけるポジションマークと、基板における構造化部との間の相関のための修正項が、方程式 x基板=R×x
マークフィールド
+vにより表され得ることである。相応の反転表示は、x
マークフィールド
=R-1×x基板-vである。この分野における当業者は、必要な行列代数の知識を有している。
【0099】
このプロセスステップのためにマークフィールドの複数のポジションマークあるいは基板における複数の構造化部が計測されるので、このプロセスステップは、問題なく時間的に明確に割り当てることはできない。両座標系間の相関は、データが多く存在していればしているほど、より正確に実施され得る。好ましくは、回転行列および変位ベクトルを求めるために、最小二乗法に基づく数学的なアルゴリズムが使用される。以下の文では、関与するすべての座標系の軸配向が常に互いに同じ原点および同じ配向を有していることを前提とする。
【0100】
数学的な計算プロセスを説明するために以下の取り決めを用いる。インデックスiは、理想的(ideal)を表し、インデックスrは、現実(real)を表し、インデックスSは、構造化部(Struktur)を表し、インデックスMは、マーク(Marke)を表している。相違ベクトルは、常に小文字のrで示す。相違ベクトルは、特に、終点を指す位置ベクトルから計算され、始点を指す位置ベクトルから計算されることは少ない。相応に、数学的な取り決めがそうであるように、終点のインデックスを最初に記載する。位置ベクトルは、遥か下に示し、説明する図には記入しない。例として、本発明により計算すべきベクトルrSr,Siを挙げる。これは、現実の構造化部と理想的な構造化部との間のポジションの偏差を表す相違ベクトルである。
【0101】
さらなるプロセスステップにおいて、コンピュータ内のマークフィールドの理想的なポジションマークのポジションをマークフィールド担体におけるマークフィールドの現実のポジションマークのポジションと比較する。この計測により、ポジションマークの現実のポジションおよび/またはポジションマークの理想的なポジションおよび/またはその相違ベクトルがコンピュータ内に記憶された表が得られる。これらの相違ベクトルは、rMr,Miと記される。こうして求めた相違ベクトルは、以下の文ではマークフィールドエラーベクトルマップと称呼するベクトルマップを生じる。
【0102】
さらなるプロセスステップにおいて、マークフィールド担体におけるマークフィールドの現実のポジションマークのポジションを、基板における構造化部のポジションと比較する。マークフィールドのポジションマークの現実のポジションと、基板における構造化部のポジションとの計測により、ポジションマークの現実のポジションおよび/または基板における構造化部のポジションおよび/または相違ベクトルがコンピュータ内に記憶された表が得られる。これらの相違ベクトルは、rSr,Mrと記される。こうして求めた差は、以下の文では実際のマーク構造化部相違ベクトルマップと称呼するベクトルマップを生じる。これは、本発明の核心をなす思想を形成するプロセスステップ、すなわち、マークフィールド担体のポジションマークの、基板の構造化部との関連付けである。
【0103】
さらなるプロセスステップにおいて、コンピュータ内のマークフィールドの理想的なポジションマークのポジションをコンピュータ内の構造化部の理想的なポジションと比較する。コンピュータ内のマークフィールドのポジションマークの理想的なポジションと、コンピュータ内の構造化部の理想的なポジションとの読み取りにより、コンピュータ内のポジションマークの理想的なポジションおよび/またはコンピュータ内の構造化部の理想的なポジションおよび/または相違ベクトルが記憶されている表がコンピュータ内で得られる。これらの相違ベクトルは、rSi,Miと記される。こうして求めた差は、以下の文では理想的なマーク構造化部相違ベクトルマップと称呼するベクトルマップを生じる。特にこのプロセスステップは、理想的なマークフィールドと、理想的な構造化部フィールドとの組み合わせ毎に1回だけ実施されればよい。
【0104】
結果として、而してrSr,Si=rMr,Mi+rSr,Mr-rSi,Mi-Fが生じる。ここで、Fは、光学的なエラーの、校正プロセスにおいて計算されたベクトルである。好ましくは、Fは、すべての点に関して一定である。すなわち、Fは、ベクトル場ではなく、場所の関数としての定数を表している。
【0105】
統計的な平均により測定の品質を向上させるべく、複数回の計測が本発明により可能である。改めての計測は、存在するデータおよびロケーションマークのロケーションにより迅速に実施可能である。検出がマークからマークへとステップバイステップに実施されると、検出は最速に進行する。これにより、基板ホルダの絶対的なポジションあるいは基板ホルダの相対的な変位を特に連続的に追跡する測定システムの使用は、無用である。
【0106】
任意選択的ではあるが、特に所望される、本発明によるさらなる方法ステップにおいて、予め計測したすべての構造化部を改めて計測すべく、基板の回転、特にちょうど180°の回転を実施する。構造化部の発見は、構造化部が先の検出ステップで既に、ポジションコード化されたロケーションマークと関連付けられているため、迅速に実施可能である。アルゴリズムの使用により、光学系の光軸の、場合によっては起こり得る斜行により生じた、場合によっては起こり得る光学的な誤差は、修正することが可能である。
【0107】
装置の機能的かつ/または材料的な部分の、技術的に可能なすべての組み合わせおよび/または並べ替えならびに掛け合わせと、これらに伴ってなされる、方法ステップの少なくとも1つまたは方法における変更とが開示されたものと見なされる。
【0108】
装置の特徴がここにかつ/または続く図面の説明に開示されている限り、装置の特徴は、方法の特徴としても開示されたものと見なされるべきであり、その逆もまた然り。
【0109】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、好ましい実施例について図面を参照しながら行う以下の説明から看取可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【
図1a】ロケーションマークとポジションマークとを有する本発明によるマークの第1の実施の形態の詳細図である。
【
図1b】ロケーションマークとポジションマークとを有する本発明によるマークの第2の実施の形態の詳細図である。
【
図2】マークフィールドを有する本発明によるマークフィールド担体の一実施の形態の平面図および切断線A-Aに沿った断面図である。
【
図3】本発明による基板ホルダの一実施の形態(第1の実施の形態)の平面図および切断線A-Aに沿った断面図である。
【
図4】本発明による基板ホルダの一実施の形態(第2の実施の形態)の平面図および切断線A-Aに沿った断面図である。
【
図5】本発明による基板ホルダの一実施の形態(第3の実施の形態)の平面図および切断線A-Aに沿った断面図である。
【
図6】本発明による基板ホルダの一実施の形態(第4の実施の形態)の平面図および切断線A-Aに沿った断面図である。
【
図7】構造化部とマークフィールドとを有する本発明による基板の平面図および断面図である。
【
図8】本発明による検出の方法ステップにおける本発明に係る装置の一実施の形態を断面して側方から見た図である。
【
図14a】第1のポジションにおける第1の回転位置での、検出ステップから生成された重畳画像を示す図である。
【
図14b】第1のポジションにおける第2の回転位置での、検出ステップから生成された重畳画像を示す図である。
【
図15a】第2のポジションにおける第1の回転位置での、検出ステップから生成された重畳画像を示す図である。
【
図15b】第2のポジションにおける第2の回転位置での、検出ステップから生成された重畳画像を示す図である。
【
図16】本発明により求めた偏差を示すための、本発明により生成されたベクトル場を示す図である。
【0111】
図中、同じ構成部材または同じ機能を有する構成部材には、同じ符号を付した。
【0112】
図1aは、マーク1を示しており、マーク1は、ロケーションマーク2、特にQRコードと、ポジションマーク3とからなっている。本発明による特に好ましい一実施の形態では、ロケーションマーク2は、ポジションマークとしても使用され、その結果、ポジションマーク3は、省略され、ロケーションマーク2内に含まれる。
【0113】
ロケーションマーク2は、任意のシステム、特に光学式のシステムにより情報を読み取ることができるように構成されている。例示的なQRコードは、読み取り可能なポジション情報(1,11)を含んでいる。そこから、このロケーションマークが、
図2に示すマークフィールド4のグリッドの第1行、第11列に存在していることがわかる。
【0114】
図1bは、特に好ましいマーク1’を示しており、マーク1’は、ロケーションマーク2、特にQRコードと、ポジションマーク3’とからなっている。ロケーションマーク2は、この特別な実施の形態では、ポジションマーク3’より小さく、ポジションマーク3’により特に全周にわたって包囲される。評価アルゴリズムは、ポジションマーク3’の形状あるいは輪郭を認識し、ポジションマーク3’の正確なポジションを特定することができる。具体的なケースでは、正確なポジションは八角形の中心である。八角形の中心は、例えばソフトウェアにより、アルゴリズムが数学的な八角形を、計測した画像から得られた八角形の輪郭に適合させ、この数学的な八角形から中心を特定することによって見出すことができる。この種のアルゴリズムは、当業者に公知であり、ここではこれ以上説明することはしない。
【0115】
以後の図面の説明では、
図1aに示したマーク1を例示的に、本発明によるコンセプトをさらに解説するために使用する。
【0116】
図2は、マークフィールド4を有するマークフィールド担体5の平面図および側面図を示しており、マークフィールド4は、複数の、特に互いに高度に対称的に配置されたマーク1からなっている。
図1aに示したマーク1は、マークフィールド担体5に関する座標系6の図示の原点に対して第1行、第11列に存在しているので、グリッドポジション(1,11)に存在している。数え方は、ここではゼロで始まる。
【0117】
マークフィールド4は、好ましくは、マークフィールド担体5のマークフィールド担体表面5o上に存在している。マークフィールド担体5は、好ましくは、透き通っているので、マークフィールド4は、マークフィールド担体裏側5rからマークフィールド担体5を通して検出可能である。マークフィールド担体5は、好ましくは、基板7(
図8参照)を固定し得る固定手段12を有し、固定手段12は、真空路(Vakuumbahn)の形態で形成されている。
【0118】
図3は、基板ホルダ8、特に透明の基板ホルダ8の第1の実施の形態を示しており、基板ホルダ8は、同時にマークフィールド担体5として形成されている。この場合、マークフィールド4は、好ましくは、固定手段12と同様に基板ホルダ表面8oに存在している。本発明によるさらに好ましい一実施の形態では、基板ホルダ8は、不透明であり、マークフィールド4は、基板ホルダ裏側8rに配置されている。
【0119】
図4は、基板ホルダ8’の第2の実施の形態を示している。基板ホルダ8’は、マークフィールド担体5を収容している。つまり、基板ホルダ8’は、第1の実施の形態とは異なりマークフィールド担体自体ではない。マークフィールド担体5は、好ましくは透明である。マークフィールド4は、固定手段12と同様にマークフィールド担体表面5o上に存在している。マークフィールド担体5は、中央部では支持されておらず、それゆえ、特に重力に基づいて、しかし、上から作用する力によっても、下方に湾曲してしまうことがある。この種の湾曲は、マークフィールド担体表面5o上のマークフィールド4を圧縮してしまうことがあるため、好ましくは、低減すべきものである。このことは、マークフィールド担体5を特に厚く構成することで達成される。
【0120】
図5は、基板ホルダ8’’のさらに改良した第3の実施の形態を示している。基板ホルダ8’’は、マークフィールド担体5を支持する支柱10を有しているので、湾曲は、大幅に回避される。好ましくは、支柱10はそれ自体透明である。
【0121】
図6は、基板ホルダ8’’’のさらに改良した第4の実施の形態を示している。基板ホルダ8’’’は、貫通部14を有する支柱10を有しており、貫通部14は、特にテーパ状に延びている。貫通部14内には、個々のマークフィールド担体5’、特にインサートとして形成されたマークフィールド担体5’が収容可能であるか、または固定されており、マークフィールド担体5’は、マークフィールド4を有している。固定手段12は、この特別な実施の形態では、例えば基板ホルダ8’’’内に存在している。
【0122】
特に支柱10のみがマークフィールド4を有しているので、支柱10間の空いた領域には、マークは設けられていない。これにより、基板ホルダ8’’’は、極めて精細かつ軽量に形成され、しかも簡単に製造可能である。基板ホルダ8’’’は、厚さが比較的薄いにもかかわらず高い剛性を有している。さらにマークフィールド担体5’、ひいてはマークフィールド4は、比較的簡単に交換可能である。
【0123】
図7は、マークフィールド担体5’’の、好ましさの程度の劣る第5の実施の形態を示しており、マークフィールド担体5’’は、ここでは基板7自体により形成されている。基板7は、一方の側(マークフィールド担体裏側5r’’)に構造化部11を有し、それとは反対側にマークフィールド4を有している。この特殊な実施の形態は、マークフィールド4が存在しているマークフィールド担体裏側5r’’が変形しないことを保証できる場合にのみ、有意義である。
【0124】
図8は、装着され、固定された透明のマークフィールド担体5を有する基板ホルダ8’を示しており、基板ホルダ8’上には、構造化部11を有する基板7が固定手段12により固定されている。
【0125】
第1の、特に上側の光学系13は、(拡大して図示した)視界でもって基板表面7oを検出している。基板表面7o上には、構造化部11が配置されている。第1の光学系13は、構造化部11に焦点合わせされている。
【0126】
第1の光学系13により特に校正された、好ましくは合同の第2の光学系13’は、マークフィールド4を有するマークフィールド担体表面5oを、透明のマークフィールド担体5を通して検出する。第2の光学系13’は、マーク2に焦点合わせされている。
【0127】
検出した画像は、重畳、特にデジタル式に重畳されて、1つの重畳画像を生じ、この重畳画像から、X-Y-座標系に関連して、1つ(または複数)の構造特徴部11c(ここでは、構造化部11の左上の角)と、高度に正確なポジションマーク3との間隔dxおよびdyが特定される。
【0128】
図8に示した例では、構造化部11の角(構造特徴部11c)が、ポジションマーク3と一致しておらず、間隔dxおよびdyは、つまりゼロでない。さらに構造化部11は、ポジションマーク3の参照アライメントに対して若干回転している。
【0129】
光学系13,13’の視界あるいは重畳画像から、さらにロケーションマーク2が看取可能であり、ロケーションマーク2は、大まかなポジションについての情報提供を可能にする。
【0130】
複数の構造特徴部11cの検出から、構造化部11の回転状態および/または変形を特定することができる。
【0131】
図9ないし13は、以下のように区別されるそれぞれ異なる事例におけるさらなる検出ステップを示している。
【0132】
図9:両光学系13の光軸は、互いに一致している。さら構造化部11の特徴的な構造特徴部11cは、ポジション計測にとって重要なポジションマーク3の直上に存在している。これに応じて理想的な重畳画像が生じる。さらなる特徴は、基板表面7o上の構造化部11の密度が、マークフィールド担体表面5o上のポジションマーク3の密度と等しいことにある。好ましくは、それぞれ異なる密度の構造化部11を有する様々な基板7のために使用可能なマークフィールド担体5が構成される。
【0133】
マーク1の密度は、本発明によれば特に構造化部11の密度より高い。これにより、構造化部11および/または構造特徴部11cの領域に少なくとも1つのマーク1が光学系13,13’の視界内で位置することが保証される。
【0134】
図10:両光学系13の光軸は、互いに一致している。この事例では、構造化部11の特徴的な特徴部11cは、ポジション測定にとって重要なポジションマーク3の直上には存在していない。重畳画像内に生じる不一致は、専らポジションマーク3と構造化部11との間のずれに帰すべきものであって、光学的なエラーに基づくものではない。さらなる特徴は、基板表面7o上の構造化部11の密度が、マークフィールド担体表面5o上のポジションマーク3の密度と等しくないことにある。
【0135】
本図からは、確かに並進なずれが、構造化部11、より正確には構造化部11の特徴的な特徴部11cと、ポジションマーク3との間に存在しているが、これらは、すべての(図示の)重畳画像について同じであることも看取可能である。このことは、
図9に示した重なり状態を得るためには、基板7をマークフィールド担体5に対して相対的に変位させるだけでよいということと同義である(
図10における構造化部の密度は、
図9における密度の半分にすぎないため、当然のことながら、1つおきの構造化部11についてのみ)。
【0136】
図11:両光学系13,13’の光軸は、互いに一致せず、互いに平行ですらない。それゆえ、構造化部11の特徴的な構造特徴部11cが、それぞれのポジションマーク3と(仮にそれらが正確に重なり合って位置していても)重畳画像内で一致していることを前提とすることはできない。光軸の斜行は、基板7の厚さの変化、基板7のウェッジエラー等と同様に、理想的な条件下ですら重畳画像が理想的でないことに至る。これらの光学的なエラーを修正すべく、(上述のように)180°の回転を実施して、すべての構造化部の第2の計測を行い、構造化部11の特徴的な構造特徴部11cのこうして求めたポジションの平均値から、主に光軸の斜行に基因するべき光学的なエラーを算出する。
【0137】
図12:構造化部11の密度は、ポジションマーク3の密度とは異なっている。特徴的な構造特徴部11cは、ポジションマーク3と一致せず、光学系3の光軸は、互いに一致しておらず、互いに平行でもない。
図11に関して説明したように、光軸由来のエラーを解消することで、その後には、
図10に示した重畳画像が残される。
【0138】
図13:本実施の形態は、本発明による好ましいケースを示している。やはり、構造化部11とポジションマーク3の密度は異なっている。斜めの光軸により、光学的なエラーが重畳画像内に生じる。光学的なエラーは、180°の回転と、すべての構造化部の第2の完全な計測とにより算出される。さらに構造化部11は、左方にかなりずれて存在している。表面は、あるプロセスによって歪められているかつ/またはこの部分は、熱負荷に基づいてより強く熱膨張している可能性がある。つまり、構造化部11のこの変位は、特に基板7が全体としてマークフィールド4に対して変位したことに帰すべきものである、マークフィールド4に対するすべての構造化部11の全体的な変位とは、もはや無関係なものである。構造化部11のこの変位は、場所固有であり、内在的である。重要なのは、とりわけ、その下に位置するマークフィールド4が高対称性であり、高対称性が維持されていることである。
【0139】
以下の図は、起こり得るエラー原因と、エラー原因を特定の際に求めて、評価することができるようにするための、本発明に係る方法のエラー原因に関する対策とについてさらに説明するために用いられる。
【0140】
図14aは、構造化部11と、ポジションマーク3およびロケーションマーク2との、ポジション(11,1)における0°の回転位置での重畳画像を示している。ポジションマーク3と、構造化部11の特徴的な構造特徴部11cとの間の間隔dx(11,1),0°およびdy(11,1),回転位置0°が検出される。
【0141】
図14bは、構造化部11と、ポジションマーク3およびロケーションマーク2との、第1のポジション(11,1)における180°の回転位置での重畳画像を示している。ポジションマーク3と、構造11の特徴的な構造特徴部11cとの間の間隔dx(11,1),180°およびdy(11,1),回転位置180°が検出される。
【0142】
値dx(11,1),0°および値dx(11,1),180°あるいは値dy(11,1),0°および値dy(11,1),180°から、光軸の斜行と、他のエラー原因とにより生じるエラーが、x方向あるいはy方向で算出され、その結果、ポジションマーク3と、構造化部11の特徴的な特徴部11cとの間の正味のずれが求められ(計算され)得る。
【0143】
図15aおよび15bは、第2のポジション(12,1)の別の構造化部11を、やはり2つの異なる回転位置(0°および180°)で示している。ここでも、光軸の斜行と、他のエラー原因とにより生じるエラーが、x方向あるいはy方向で算出され得る。
図14および15は、ポジションマーク3と特徴的な構造特徴部11cとの間の水平方向および/または垂直方向のずれが、異なるポジションにおいて著しく相違し得ることを明らかにしている。これらの相違は、とりわけ歪み、膨張等の結果である。
【0144】
図16は、ベクトル場を示している。このベクトル場は、構造化部11(ここでは図示せず)が場所(位置)の関数としてどのように変形しているかを概略的に表している。矢印の大きさは、中心から外に向かって変形が増大することを示している。これは、構造化部が基板7の縁部に向かって伸長されることを略示している。矢印の長さは増大している。これは、並進なずれが縁部に向かって拡大することを略示している。つまり、これは古典的なランアウトエラーである。矢印のいずれも接線方向成分を有しないため、回転方向のずれは全く認められない。実際には、本発明により求めたベクトル場は、より複雑な外観を呈している。
【0145】
図17は、あるロケーションでの、理想的な構造化部および現実の構造化部ならびに理想的なポジションマークおよび現実のポジションマークの画像重畳の一部を抜粋した概略図を示している。この図示は、計算可能かつ測定可能な様々な量の関係を数学的に説明するために用いられる。ロケーションマークの正確な図示は、簡明性のために省略した。理想的な平面および現実の平面の座標系の座標軸は、既に互いに適合され、その結果、すべての座標系は、互いに同じ配向および同じ原点を有している。明示的には示さず、式でしか言及しない光学的なエラーを除き、他のすべての相違ベクトルの関係が看取可能である。理想的なポジションマーク3iのポジションおよび理想的な構造化部11iのポジションは、コンピュータ内に存在している。現実のポジションマーク3rのポジションおよび現実の構造化部11rのポジションは、測定される。本発明により相違ベクトルr
Sr,Mrは、計測することができる。相違ベクトルr
Si,Miは、直接、コンピュータデータから求めることができる。そのための測定は不要である。相違ベクトルr
Mr,Miは、同じく計測することができる。獲得したデータから、相違ベクトルr
Sr,Si、つまり、現実の構造化部11rのポジションの、理想的な構造化部11iのポジションからのずれ(偏差)が計算される。
【符号の説明】
【0146】
1,1’ マーク
2 ロケーションマーク
3,3’,3i,3r ポジションマーク
4 マークフィールド
5,5’,5’’ マークフィールド担体
5o,5o’,5o’’ マークフィールド担体表面
5r,5r’’ マークフィールド担体裏側
6 物体固定の座標系
7 基板
7o 基板表面
8,8’,8’’,8’’’ 基板ホルダ
8o 基板ホルダ表面
8r 基板ホルダ裏側
9 固定要素
10 支柱
11,11i,11r 構造
11c 特徴的な構造特徴部
12 固定手段
13,13’ 光学系
14 貫通部