(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】係止移植片フィルタ要素および移植片抽出器を有する移植片フィルタ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/28 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
A61F2/28
(21)【出願番号】P 2020543324
(86)(22)【出願日】2019-02-13
(86)【国際出願番号】 IB2019051160
(87)【国際公開番号】W WO2019159075
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-10
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】キールシュ・ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】レーミック・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シェーン・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ハーメル・ロス
(72)【発明者】
【氏名】ダンドレア・ドミニク
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/098293(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0270161(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0184744(US,A1)
【文献】米国特許第05766134(US,A)
【文献】国際公開第2012/068062(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/165616(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/055282(US,A1)
【文献】国際公開第2016/200850(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨移植片材料を収集するための装置であって、
近位端から遠位端まで長手方向に延在し、内部にフィルタ受容空間を画定するキャニスタであって、真空源に接続するための接続部を含み、前記キャニスタの前記近位端が第1の係止機構を含む、キャニスタと、
前記キャニスタの前記フィルタ受容空間内に受容されるような寸法および形状に作られたフィルタ要素であって、近位端から遠位端まで長手方向に延在し、内部を延在するチャネルを含み、前記チャネルは、メッシュ材料を介して画定され、前記フィルタ要素の前記近位端が、前記フィルタ要素の、その長手方向軸を中心とした、前記キャニスタに対する回転を介して、前記キャニスタの前記第1の係止機構と解放可能に係合可能な第2の係止機構を含む、フィルタ要素と、
前記フィルタ要素の前記チャネル内に受容される寸法および形状の抽出器であって、その内部に移植片材料受容空間を画定し、前記フィルタ要素と解放可能に係合可能である、抽出器と、を備
え、
前記抽出器の近位端は円周方向に延在する開口部を画定し、前記抽出器は、前記開口部の円周方向の延在部全体から、前記抽出器の閉鎖遠位端まで長手方向に延在し、前記抽出器の内部空間は前記移植片材料受容空間であり、
前記移植片材料受容空間の周囲に延在する前記フィルタ要素の前記メッシュ材料を介して、前記移植片材料受容空間に収集された前記骨移植片材料から流体が吸引されるように構成されている、装置。
【請求項2】
前記抽出器は本体を含み、前記本体は、前記抽出器の前記近位端と前記閉鎖遠位端との間に延在する少なくとも2つの長手方向支柱によって画定され、前記装置は、前記フィルタ要素から前記抽出器を取り出すと、収集された前記骨移植片材料は、前記少なくとも2つの長手方向支柱のうちの隣接する2つの長手方向支柱の間を介して前記抽出器の外部からアクセス可能であるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の係止機構が、前記キャニスタの前記フィルタ受容空間内に半径方向に延在する平面突出部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の係止機構が、前記フィルタ要素の前記近位端から半径方向外側に延在するリップを含み、前記リップが、前記リップ内に半径方向に延在する溝を含み、前記溝は、前記第1の係止機構の前記平面突出部に対応するような寸法および形状であるので、前記フィルタ要素が前記フィルタ受容空間に挿入され、前記溝および前記平面突出部が互いに整列されると、前記リップは、前記フィルタ要素が前記長手方向軸を中心として前記キャニスタに対して第1の方向に回転すると、前記平面突出部が前記リップの近位面と係合するように、前記平面突出部を越えて遠位方向に移動可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記フィルタ要素が、前記フィルタ要素の
前記近位端に切り欠き部を含む第3の係止機構を含み、前記切り欠き部が第1のフックおよび第2のフックを画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記抽出器が、前記フィルタ要素の前記第3の係止機構と解放可能に係合するための第4の係止機構を含み、前記第4の係止機構は、前記抽出器の
前記近位端から半径方向外側に延在する戻り止めを含み、前記戻り止めは、前記抽出器の、その長手方向軸を中心とした、前記フィルタ要素に対する第1の方向への回転により、前記戻り止めが前記第1のフックに係合し、前記抽出器の、前記長手方向軸を中心とした、前記フィルタ要素に対する第2の方向への回転により、前記戻り止めが前記第2のフックに係合するように、前記切り欠き部内に遠位方向に受容されるような寸法および形状とされている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記フィルタ要素は、前記フィルタ要素が前記キャニスタの前記フィルタ受容空間内に受容されると、前記キャニスタの内面と前記フィルタ要素の外面との間に空間が画定されるような寸法および形状とされている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記リップは、前記第1の方向への前記フィルタ要素の回転中に、前記平面突出部が前記溝と再整列することを防止するために、前記溝に近接して前記リップの前記近位面から延在する停止部を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記戻り止めの近位に、前記抽出器が、そこから延在する指グリップを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタ要素は、前記抽出器の
前記閉鎖遠位端が前記フィルタ要素の前記遠位端から近位方向に距離を置くように、前記フィルタ要素の前記チャネル内に受容されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
リーマ灌注吸引器(RIA)システムを使用して、例えば、大腿骨などの骨にリーミングを行い、髄管から材料を取り出す。髄管からの材料を取り出して、髄内インプラントのために骨の準備を整える、および/または骨移植治療用に骨材料を収集することができる。RIAシステムは、骨をリーミングすると同時に、髄管の灌注および吸引を提供する。灌注は、リーマ装置により発生する熱を低減し、リーマミングされた骨材料を乳化する。吸引は、RIAシステムによって加えられた負圧によって、乳化された骨材料を髄管から取り出す。移植片フィルタアセンブリは、骨材料を収集し、乳化された骨材料から流体を取り出す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本実施形態は、骨移植片材料を収集するための装置であって、近位端から遠位端まで長手方向に延在し、内部にフィルタ受容空間を画定するキャニスタであって、真空源に接続するための接続部を含み、このキャニスタの近位端が第1の係止機構を含む、キャニスタと、キャニスタのフィルタ受容空間内に受容されるような寸法および形状に作られたフィルタ要素であって、近位端から遠位端まで長手方向に延在し、内部を延在するチャネルを含み、チャネルは、メッシュ材料を介して画定され、フィルタ要素の近位端が、フィルタ要素の、その長手方向軸を中心とした、キャニスタに対する回転を介して、キャニスタの第1の係止機構と解放可能に係合可能な第2の係止機構を含む、フィルタ要素とを、フィルタ要素のチャネル内に受容される寸法および形状の抽出器であって、その内部に移植片材料受容空間を画定し、抽出器と解放可能に係合可能である、抽出器と、組み合わせて備える、装置を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による移植片フィルタアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1の移植片フィルタアセンブリによるキャニスタの長手方向断面図である。
【
図3】
図1の移植片フィルタアセンブリによるフィルタ要素および抽出器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示は、以下の説明および添付の図面を参照してさらに理解することができるが、添付の図面において、類似の構成要素は同じ参照番号で指し示されている。本実施形態は、骨の治療に関し、具体的には、骨の髄管から骨材料を取り出すための骨の髄内リーミングに関する。髄管からの材料は、骨移植のために収集され得る。例示的な実施形態は、リーマ装置に連結されて、材料が吸引を介して髄管から取り出されている際にリーミングされた骨材料を収集し得る、移植片フィルタアセンブリについて説明する。例示的な移植片フィルタアセンブリは、フィルタおよび抽出器を受容するキャニスタを備える。これらの構成要素であるキャニスタ、フィルタおよび抽出器のそれぞれは、これらの不注意な分解を防止するために互いに連結されてもよい。本明細書で使用されるとき、「近位」および「遠位」という用語は、装置のユーザに向かう(近位)、およびユーザから遠ざかる(遠位)方向を指すことを意図することに留意されたい。
【0005】
図1~
図5に示すように、本開示の例示的な実施形態による移植片フィルタアセンブリ100は、キャニスタ102と、フィルタ要素104と、抽出器106とを備え、これらは、不注意な分解を防止するために互いに解放可能に連結する。抽出器106は、キャニスタ102内に受容されるような寸法および形状であるフィルタ104内に受容されるような寸法および形状である。キャニスタ102は、フィルタ要素104および抽出器106を収容し、例えば、長骨の髄管から材料をリーミングして取り出すリーマ装置の吸引ポート、および吸引力を提供する吸引ホースに連結されるように構成されている。リーマ装置は、髄管がリーミングされている間に、潅注および吸引の両方を提供することができる。髄管の吸引中、リーミングされた骨材料は、灌注中に提供された流体と共に、移植片フィルタアセンブリ100が接続される吸引ポートを通して吸引されるので、リーミングされた骨材料は、抽出器106の移植片収集空間108内に収集される。移植片材料が収集空間108内に受容されると、流体は、フィルタ104のメッシュ材料を通して収集空間108から濾過され、吸引ホースを介して取り出される。したがって、リーミングおよび収集プロセスの完了時に取り出すために、所望の移植片材料のみが抽出器106内に残る。
【0006】
図1~
図3に示すように、キャニスタ102は、近位端110から遠位端112まで長手方向に延在し、内部を通って長手方向に延在するチャネル114を含む。本実施形態によるキャニスタ102は、
図2および
図4に示すように、近位端110が、キャニスタ102の近位端110に解放可能に連結されるように構成されている蓋180を介してリーマ装置に接続され得るように、開放近位端110を含む。蓋180は、任意の様々な方法で近位端110に連結されることができる。一実施例では、キャニスタ102の第1の端部110は、その外面118に沿って、蓋180の対応するねじ山184と係合するためのねじ山120を含む。当業者には理解されるように、蓋180のコネクタ182を通してキャニスタ102のチャネル114内に移植片材料を引き込むことができるように、蓋180は、例えば、リーマ装置の吸引ポートに接続するためのコネクタ182を含んでもよい。蓋180は、蓋180がキャニスタ102に接続され、移植片アセンブリ100を通して吸引力が加わると、キャニスタ102内に収納された抽出器106の収集空間108内に移植片材料が引き込まれるように、特別の寸法および形状とされてもよい。例えば、蓋180の内部は、蓋180がキャニスタ102に連結されると、抽出器106の近位端162に係合して、吸引された移植片材料を抽出器106の収集空間108内に方向付ける構造体186を含んでもよい。
【0007】
本実施形態によるキャニスタ102の第1の端部110はまた、チャネル114の内面124からチャネル114内に半径方向に延出する平面突出部として構成されたフィルタ要素リテーナ122を含む。以下でさらに詳細に説明するように、フィルタ要素リテーナ122は、フィルタ要素リテーナ122がフィルタ要素104と係合するとフィルタ要素104がそこから不注意に外れるのを防止するように、フィルタ要素104の近位端132と係合するように構成されている。
【0008】
本実施形態によるキャニスタ102の第2の端部112は、吸引ホースに接続するためのコネクタ116を含む。コネクタ116は、例えば、吸引ホースに接続するためのバーブコネクタを含んでもよい。コネクタ116は、チャネル114から吸引された材料の全てがコネクタ116を通り、コネクタ116に接続された吸引ホースに入るように、チャネル114の開口部を遠位端112において狭める。換言すれば、コネクタ116を通って延在する、本実施形態のチャネル114の一部分の断面積は、チャネル114の残りの部分の断面積よりも小さい。したがって、キャニスタ102は、コネクタ116をキャニスタ102の残りの部分に接続する肩部126を含むように成形される。
【0009】
キャニスタ102は、肩部126の内面124に沿ってフィルタ要素傾斜面128をさらに含む。フィルタ要素傾斜面128は、以下でさらに詳細に説明するように、フィルタ要素104の遠位端134と係合するように、肩部126の内面124から離れて近位端110に向かって延在する傾斜面130を含む。本実施形態のフィルタ要素傾斜面126は、フィルタ要素リテーナ122と同じ側の肩部126の一部分に沿って延在する。換言すれば、本実施形態のフィルタ要素傾斜面126およびフィルタ要素リテーナ122は、キャニスタ102の中心軸を通って長手方向に延在する平面に沿って実質的に整列している。フィルタ要素傾斜面128は傾斜面130を含むものとして説明され、示されているが、フィルタ要素傾斜面128は、フィルタ要素104がフィルタ要素リテーナ122と係合するときにフィルタ要素104に圧縮力を提供する突出部または任意の他の突起部として構成されてもよい。フィルタ要素104とキャニスタ102とが互いに係合するとき、この圧縮力は、フィルタ要素104がキャニスタ102から不注意に係合解除されることを防止することが、当業者には理解されるであろう。
【0010】
図2に示すように、フィルタ要素104は、フレーム本体138によって所望の形状に形作られかつ保持されたメッシュ材料140を含む。フレーム本体138は、近位端132から遠位端134まで長手方向に延在しており、フレーム本体138を通って延在するチャネル136を含む。フレーム本体138は、チャネル114内に受容されるような寸法および形状とされる。一実施形態では、フレーム本体138は、近位端132にある第1のリング142と、遠位端134にある第2のリング144とによって画定されてもよく、第1および第2のリング142、144は、複数の長手方向支柱146によって互いに接続されている。本実施形態のメッシュ材料140は、メッシュ材料140が複数の長手方向支柱146のうちの隣接する支柱146同士の間に延在して実質的に円筒形状を画定するように、フィルタ要素104のチャネル136の内周に沿って延在する。メッシュ材料140は、フレーム本体138がキャニスタ102のチャネル114内に受容されると、メッシュ材料140とチャネル114の内面124との間に空間が形成されるように、長手方向支柱146の内側に沿って延在している。したがって、メッシュ材料140と内面124との間の空間内への流体の吸引を介して、メッシュ材料内に収集された移植片材料から流体を濾過することができる。
【0011】
フレーム本体138の近位端132の開口部は、抽出器106がその中に摺動可能に受容されることができるような寸法および形状であってもよい。遠位端134の開口部は、抽出器106がチャネル136内に受容されたときに、抽出器106がフィルタ要素104の遠位端134を越えて遠位方向に移動することが防止されるように、近位端132の開口部よりも小さい。フィルタ要素104は、フィルタ要素104がキャニスタ102のチャネル114内に受容されたときに、遠位端134がキャニスタ102の遠位端112から分離されて、移植片材料から濾過された流体がコネクタ116の開口部150を通って、例えば、コネクタ116に接続された吸引ホース内へと流れることができるようになるように、遠位端134から遠位方向に延在する複数の脚部148をさらに含む。
【0012】
図5に示すように、本実施形態によるフレーム本体138は、キャニスタ102の第1の端部110と係合するように構成されたリップ152を、第1の端部132に含む。一実施形態では、リップ152は、第1の端部132から半径方向外側に延在し、リップ152の半径方向最外縁部からリップ152内へと半径方向に延在する溝154を含む。溝154は、キャニスタ102の突出部122を通過させることができるような寸法および形状となっている。したがって、突出部122および溝154が整列されると、リップ152は、突出部122を越えて遠位に移動することができ、これにより、回転されると、突出部122は、リップ152の、溝154を含まない部分に沿って、リップ152の近位面156に係合する。
【0013】
溝154に近接して、リップ152の近位面156に沿って、フィルタ要素104は、そこから突出する停止部157を含んでもよい。停止部157は、フィルタ要素104がキャニスタに対して継続的に回転したときに、キャニスタ102の突出部122が溝154に整列するのを防ぐ。一実施形態では、停止部157は、リップ152が突出部122に対して遠位方向に移動することができるようになり、フィルタ要素104がキャニスタ102に対して時計回りに回転すると、突出部が停止部157と係合するまで突出部122が近位面156に沿って摺動するように、溝154に対して時計回りの位置で、溝154に近接している。停止部157は、フィルタ要素104がキャニスタ102に対して時計回りにさらに回転するのを防止し、これにより、フィルタ要素104は完全に360度回転することができず、フィルタ要素104はキャニスタ102から不注意に係合解除されないようになっている。換言すれば、停止部157は、フィルタ要素104の時計回りの回転を介して溝154が回転して突出部122と整列するのを防ぐ。したがって、フィルタ要素104をキャニスタ102から係合解除することが望ましい場合、フィルタ要素104は、溝154が突出部122と整列するまで、キャニスタ102に対して反時計回りに回転され得る。停止部157は、溝154から時計回りに分離されたリップ152の部分から延在するように示され、説明されているが、当業者であれば、フィルタ要素104をキャニスタ102に対して係止するために、フィルタ要素104をキャニスタ102に対して反時計回りに回転させることが求められるように、停止部157を、リップ152に沿って溝154から反時計回りに同様に位置決めしてもよいことは理解されるであろう。上述したように、フィルタ要素104がキャニスタ102と係合されるか、またはキャニスタ102に対して係止されると、フィルタ要素104は、突出部122とフィルタ要素傾斜面126との間で圧縮されるので、フィルタ要素104がキャニスタ102に対して自由に回転してキャニスタ102から不注意に係合解除されることはない。むしろ、キャニスタ102およびフィルタ要素104のうちの一方に力を加えてそれらの間の相互回転を引き起こし、これらの要素を互いから係合解除させる必要がある。
【0014】
フレーム本体138の第1の端部132はまた、一対のフック(すなわち、第1のフック158および第2のフック160)を画定する切り欠き部166を含む。以下でさらに詳細に説明するように、本実施形態の切り欠き部166は、第1のリング142を通って延在し、抽出器106の一部が切り欠き部166内に受容され、かつフィルタ要素104に対する抽出器106の回転方向に応じて、第1および第2のフック158、160のうちの1つと選択的に係合することができる寸法および形状である。一実施形態では、フレーム本体138は、互いに直径方向に対向する一対の切り欠き部156を含み、それぞれが第1および第2のフック158、160を画定する。
【0015】
抽出器106は、
図2および
図5に示されているように、移植片材料がそこを通って収集される近位端162から閉鎖遠位端164まで長手方向に延在して、内部に骨移植片収集空間108を画定する本体168を含む。抽出器106は、フィルタ要素104のチャネル136内に受容されるような寸法および形状である。抽出器106の本体168は、移植片収集プロセスの完了時に、抽出器106をフィルタ要素104から取り出すことができ、収集された移植片材料が収集空間108から容易に取り出され得るような構造とされる。例えば、一実施形態では、本体168は、近位端162と遠位端164との間に延在する少なくとも2つの長手方向支柱170によって画定されてもよい。一実施形態では、長手方向支柱170の近位端172は、接続リング174を介して互いに接続されてもよい。抽出器106の本体168は、具体的には、収集空間108の周囲に延在するフィルタ要素104のメッシュ材料140を介して収集空間108内に収集された移植片材料から流体が吸引され得るような構造とされる。加えて、フィルタ要素104から抽出器106を取り出すと、収集された移植片材料は、2つの隣接する支柱17
0の間を介して抽出器106の外部から容易にアクセス可能である。
【0016】
本実施形態の抽出器106の接続リング174は、互いに直径方向に対向し、かつ装置のユーザによって容易に把持可能な一対の指グリップ176を含む。接続リング174はまた、接続リング174から半径方向外側に延在する戻り止め178を、指グリップ176の遠位側に含んでもよい。戻り止め178は、抽出器106がフィルタ要素104のチャネル136内に挿入されると、遠位方向に移動して切り欠き部166に入るような寸法および形状である。切り欠き部166内に受容されると、抽出器106は、その中心軸を中心として時計回りおよび反時計回りのうちの一方に回転されて、所望に応じて第1および第2のフック158、160のうちの1つと係合することができる。例えば、抽出器106が時計回りに回転すると、戻り止め178は第1のフック158と係合し、抽出器106が反時計回りに回転すると、戻り止め178は第2のフック160と係合する。戻り止め178がフィルタ要素104のフック158、160のうちの1つと係合されると、抽出器106はフィルタ要素104に対して係止される。例えば、収集された移植片材料を取り出すために抽出器106をフィルタ要素104から係合解除することが望ましい場合、ユーザは、戻り止め178が切り欠き部166から出て近位方向に移動できるように、戻り止め178が第1のフック158または第2のフック160のいずれかに係合しなくなるまで抽出器106を回転させる。一実施形態では、抽出器106は、一対の戻り止め178を含む。本実施形態の戻り止め178は、互いに直径方向に対向して位置しており、かつ、例えば、各戻り止め178がフィルタ要素104の切り欠き部156の対応する1つと係合するように位置付けられている。
【0017】
使用前に、移植片フィルタアセンブリ100は、組み立てられた移植片フィルタアセンブリ100が、例えば、リーマ装置に接続されて、移植片材料を移植片フィルタアセンブリ100の中に収集できるように組み立てられる。上述したように、移植片フィルタアセンブリ100は、フィルタ要素104のリップ152に沿った溝154がキャニスタ102の突出部122と整列するように、フィルタ要素104をキャニスタ102のチャネル114内に挿入することによって組み立てられてもよい。抽出器106は、抽出器106の戻り止め178がフィルタ要素104の対応する切り欠き部166と整列されるように、フィルタ要素104のチャネル136内に挿入される。指グリップ176を使用して、ユーザは、次に、抽出器106をフィルタ要素104に対して遠位方向に移動させ、戻り止め178が切り欠き部166の第1のフック158と係合するように、抽出器106を第1の(例えば、時計回りの)方向に回転させる。戻り止め178が第1のフック158に係合すると、第1の方向への抽出器106の継続的な回転が、フィルタ要素104もキャニスタ102に対して第1の方向に回転させて、キャニスタ102の突出部122がフィルタ要素104のリップ152の近位面156と係合する。したがって、全ての3つの構成要素、すなわち、キャニスタ102、フィルタ要素104および抽出器106は、互いに対して係止され、アセンブリ100が組み立てられた構成となる。移植片フィルタアセンブリ100が組み立てられると、蓋は、例えば、ねじ山120を介してキャニスタ102の近位端110に連結される。次いで、移植片フィルタアセンブリ100は、蓋を介してリーマ装置に、そして、コネクタ116を介して吸引ホースに連結されてもよい。上記のように、蓋は、移植片材料を抽出器106の収集空間108内に方向付けるための特徴部を含む。
【0018】
使用中、リーミングされたおよび/または灌注された骨材料が、リーマ装置が移植片フィルタアセンブリ100内に引き込んだ骨材料から吸引されるように、真空力が吸引ホースを介して加えられる。具体的には、骨材料は、抽出器106の収集空間108内に方向付けられ、流体は、収集空間108からフィルタ要素104のメッシュ材料140の孔を通して、メッシュ材料140とキャニスタ102のチャネル114の内面124との間の空間内に吸引される。流体は、吸引ホースを介してキャニスタ102の外へと吸引される。
【0019】
リーミング/収集プロセスが完了すると、収集された移植片材料は、移植片フィルタアセンブリ100から取り出されることができる。一実施例によると、抽出器106は、戻り止め178が第1のフック158を係合解除し、第2のフック160と係合するように、第2の(例えば、反時計回りの)方向に回転されてもよい。戻り止め178が第2のフック160と係合されると、抽出器106の第2の方向への継続的な回転が、フィルタ要素104も第2の方向に回転させる。したがって、フィルタ要素104の溝154がキャニスタ102の突出部122と整列するまで、抽出器106およびフィルタ要素104を第2の方向に回転させることができる。抽出器106およびフィルタ要素104はその後、キャニスタ102に対して近位方向に引かれて、依然として係合されている抽出器106およびフィルタ要素104をキャニスタ102から取り外すことができる。抽出器106およびフィルタ要素104がキャニスタ102から取り外されると、戻り止め178が第2のフック160から係合解除され、抽出器106をフィルタ要素104から近位方向に引き出すことによって戻り止め178を切り欠き部166から近位方向に引き出すことができるまで抽出器106を第1の方向にわずかに回転させることによって、抽出器106をフィルタ要素104から係合解除することができる。これにより、移植片材料は、抽出器106の収集空間108から取り出されことができる。上述したように、収集空間108はその外部に対して実質的に開いているため、移植片材料は収集空間108から容易に取り出され得る。
【0020】
別の実施例によれば、フィルタ要素104およびキャニスタ102から抽出器106のみを係合解除することによって、移植片材料を移植片フィルタアセンブリ100から取り出すようにしてもよい。本実施形態では、抽出器106は、戻り止め178が第1のフック158から係合解除され、フィルタ要素104のチャネル136から抽出器106を近位方向に引き出すことによって戻り止め178を切り欠き部166から取り外すことができるようになるまで、第2の方向にわずかに回転されるだけである。これにより、移植材料は、抽出器106の収集空間108から取り出すことができる。
【0021】
上述のように、キャニスタ102、フィルタ要素104および抽出器106は、移植片フィルタアセンブリ100が様々な構成に組み立てられ、分解されることができるように、選択的にかつ独立して互いに係合し、係合解除することができる。したがって、収集された移植片材料は、所望により、フィルタ要素104および/またはキャニスタ102から抽出器106を選択的に係合解除することによって、移植片フィルタアセンブリ100から取り出すことができることが理解されるであろう。
【0022】
本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに本発明の構造および方法に改変および変更を加えることが可能であることを当業者は理解するであろう。したがって、本発明の改変および変更が、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に含まれるものであれば、本発明はそれらを包含するものとする。
【0023】
〔実施の態様〕
(1) 骨移植片材料を収集するための装置であって、
近位端から遠位端まで長手方向に延在し、内部にフィルタ受容空間を画定するキャニスタであって、真空源に接続するための接続部を含み、前記キャニスタの前記近位端が第1の係止機構を含む、キャニスタと、
前記キャニスタの前記フィルタ受容空間内に受容されるような寸法および形状に作られたフィルタ要素であって、近位端から遠位端まで長手方向に延在し、内部を延在するチャネルを含み、前記チャネルは、メッシュ材料を介して画定され、前記フィルタ要素の前記近位端が、前記フィルタ要素の、その長手方向軸を中心とした、前記キャニスタに対する回転を介して、前記キャニスタの前記第1の係止機構と解放可能に係合可能な第2の係止機構を含む、フィルタ要素と、
前記フィルタ要素の前記チャネル内に受容される寸法および形状の抽出器であって、その内部に移植片材料受容空間を画定し、前記抽出器と解放可能に係合可能である、抽出器と、を備える、装置。
(2) 前記第1の係止機構が、前記キャニスタの前記フィルタ受容空間内に半径方向に延在する平面突出部を含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第2の係止機構が、前記フィルタ要素の前記近位端から半径方向外側に延在するリップを含み、前記リップが、前記リップ内に半径方向に延在する溝を含み、前記溝は、前記第1の係止機構の前記平面突出部に対応するような寸法および形状であるので、前記フィルタ要素が前記フィルタ受容空間に挿入され、前記溝および突出部が互いに整列されると、前記リップは、前記フィルタ要素がその長手方向軸を中心として前記キャニスタに対して第1の方向に回転すると、前記突出部が前記リップの近位面と係合するように、前記突出部を越えて遠位方向に移動可能である、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記フィルタ要素が、前記リップの近位に切り欠き部を含む第3の係止機構を含み、前記切り欠き部が第1のフックおよび第2のフックを画定する、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記抽出器が、前記フィルタ要素の前記第3の係止機構と解放可能に係合するための第4の係止機構を含み、前記第4の係止機構は、前記抽出器の近位端から半径方向外側に延在する戻り止めを含み、前記戻り止めは、前記抽出器の、その長手方向軸を中心とした、前記フィルタに対する第1の方向への回転により、前記戻り止めが前記第1のフックに係合し、前記抽出器の、前記長手方向軸を中心とした、前記フィルタ要素に対する第2の方向への回転により、前記戻り止めが前記第2のフックに係合するように、前記切り欠き部内に遠位方向に受容されるような寸法および形状とされている、実施態様4に記載の装置。
【0024】
(6) 前記フィルタ要素は、前記フィルタ要素が前記キャニスタの前記フィルタ受容空間内に受容されると、前記キャニスタの内面と前記フィルタ要素の外面との間に空間が画定されるような寸法および形状とされている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記リップは、前記第1の方向への前記フィルタ要素の回転中に、前記突出部が前記溝と再整列することを防止するために、前記溝に近接して前記リップの前記近位面から延在する停止部を含む、実施態様3に記載の装置。
(8) 前記戻り止めの近位に、前記抽出器が、そこから延在する指グリップを含む、実施態様5に記載の装置。
(9) 前記フィルタ要素は、前記抽出器の遠位端が前記フィルタ要素の前記遠位端から近位方向に距離を置くように、前記フィルタ要素の前記チャネル内に受容されるように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(10) 移植片フィルタアセンブリ内に骨移植片材料を収集するための方法であって、
キャニスタのフィルタ受容空間内にフィルタ要素を挿入することと、前記フィルタ要素のチャネル内に抽出器を挿入することと、前記フィルタ要素および前記抽出器を前記アセンブリの長手方向軸を中心に前記キャニスタに対して回転させることによって、前記キャニスタ、フィルタ要素および前記抽出器を互いに対して係止することとによって前記移植片フィルタアセンブリを組み立てることと、
前記キャニスタの近位端をリーマ装置に、かつ、前記キャニスタの遠位端を吸引ホースに、接続することと、
前記リーマ装置を使用して骨の髄管をリーミングし、そこに灌注流体を提供することと、
前記吸引ホースを介して前記移植片フィルタアセンブリを通して真空力を加えて、リーミングされた移植片材料を前記抽出器の移植片材料収集空間内に吸引し、前記フィルタ要素のメッシュ材料の孔を介して、前記移植片材料収集空間内に収集された前記リーミングされた移植片材料からの流体を濾過して、所望の移植片材料のみが前記抽出器内に残るようにすることと、を含む、方法。
【0025】
(11) 前記フィルタ要素を介して前記リーミングされた移植片材料から吸引された流体が、前記キャニスタの内部と前記フィルタ要素の外部との間の空間に引き込まれ、前記吸引ホースを介して前記移植片フィルタアセンブリから吸引される、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記フィルタ要素を前記キャニスタに挿入することが、前記キャニスタの突出部を前記フィルタ要素の溝と整列させることを含み、前記突出部は、前記キャニスタの近位端から前記キャニスタの前記フィルタ受容空間内に半径方向内側に延在し、前記溝は、前記フィルタ要素の近位端から半径方向外側に延在するリップの一部内に半径方向に延在し、前記溝は、前記突出部に対応する寸法および形状である、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記抽出器を前記フィルタ要素の前記チャネルに挿入することが、前記抽出器の戻り止めを前記フィルタ要素の切り欠き部と整列させることを含み、前記戻り止めが、前記抽出器の近位端から半径方向外側に延在し、前記切り欠き部は、前記フィルタ要素の近位端を通って延在するとともに、第1のフックおよび第2のフックを画定し、前記戻り止めは、前記切り欠き部内に遠位に受容可能であるような寸法および形状である、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記キャニスタ、フィルタ要素、および抽出器を互いに対して係止することは、前記戻り止めが前記第1のフックと係合するように前記抽出器を前記フィルタ要素に対して第1の方向に回転させることを含み、前記第1の方向への前記抽出器の継続的な回転が前記フィルタ要素を前記キャニスタに対して回転させて、前記キャニスタの前記突出部が前記リップの近位面に係合する、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記フィルタ要素の前記リップが、その前記近位面から突出する停止部を含み、前記停止部は、前記溝が前記突出部と再整列しないように、前記キャニスタに対する前記フィルタ要素の前記第1の方向への更なる回転を防止する、実施態様14に記載の方法。
【0026】
(16) 前記移植片フィルタアセンブリを分解することによって、前記所望の移植片材料を前記抽出器から取り出すことをさらに含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記移植片フィルタアセンブリを分解することは、前記フィルタ要素に対して前記抽出器を前記第1の方向と反対の第2の方向に回転させることを含み、これにより、前記戻り止めが前記第1のフックを係合解除して前記第2のフックと係合することによって、前記抽出器の前記第2の方向への継続的な回転が前記フィルタ要素を前記キャニスタに対して前記溝が前記突出部と整列するまで回転させる、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記移植片フィルタアセンブリを分解することは、前記フィルタ要素および抽出器を取り外すことをさらに含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記移植片フィルタアセンブリを分解することは、前記戻り止めが前記第2のフックから係合解除され、前記抽出器が前記フィルタから取り外し可能になるまで、前記抽出器を前記フィルタ要素に対して前記第1の方向に回転させることを含む、実施態様16に記載の方法。