(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】骨内殖のための三次元多孔質構造体及び製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/28 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
A61F2/28
(21)【出願番号】P 2020551954
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 IB2019052462
(87)【国際公開番号】W WO2019186405
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-25
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】トン・ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーガー・アンドリュー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ケイン・ロバート・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スミス・ブライアン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アイス・ルーク・シー
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0095337(US,A1)
【文献】特表2013-510683(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0228613(US,A1)
【文献】米国特許第06520997(US,B1)
【文献】特開2007-262568(JP,A)
【文献】国際公開第2005/051233(WO,A2)
【文献】特開2000-005225(JP,A)
【文献】特表2004-507274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科用補綴部品であって、
患者の体内に植え込まれるように成形された多孔質三次元構造体を備え、前記多孔質三次元構造体が、複数の接続された単位セルを含み、少なくとも1つの単位セルが、複数の格子支柱及び複数の内部支柱を含み、
前記少なくとも1つの単位セルが、
前記複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、
前記第1の幾何学的構造体内の前記複数の内部支柱及びいくつかの前記格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含み、各第2の幾何学的構造体が、他の第2の幾何学的構造体の内部容積と実質的に等しい内部容積を有し、
前記いくつかの前記格子支柱及び前記複数の内部支柱が、前記多孔質三次元構造体内に複数の開口部を画定し、前記複数の開口部のうちの各開口部が、窓サイズを有し、
前記第2の幾何学的構造体のそれぞれの前記内部容積が、細孔サイズを有し、
それぞれの前記細孔サイズの、
それぞれの前記窓サイズに対する比が、1.00~2.90の範囲であ
り、
前記複数の第2の幾何学的構造体が、前記第1の幾何学的構造体に4つの支柱を挿入することによって形成される、
整形外科用補綴部品。
【請求項2】
前記多孔質三次元構造体が、約50%~約75%の多孔度を有する、請求項1に記載の整形外科用補綴部品。
【請求項3】
中実基部を更に備え、前記多孔質三次元構造体が、前記中実基部に取り付けられている、請求項1に記載の整形外科用補綴部品。
【請求項4】
前記中実基部が、プラットフォームと、前記プラットフォームから離れる方向に延びるステムと、を含み、前記ステムが、前記多孔質三次元構造体を通って延びる、請求項3に記載の整形外科用補綴部品。
【請求項5】
前記細孔サイズの、前記窓サイズに対する前記比が、1.50~1.60の範囲である、請求項1に記載の整形外科用補綴部品。
【請求項6】
前記細孔サイズの、前記窓サイズに対する前記比が、1.00~1.10の範囲である、請求項1に記載の整形外科用補綴部品。
【請求項7】
前記第1の幾何学的構造体が、菱形十二面体である、請求項1に記載の整形外科用補綴部品。
【請求項8】
前記複数の第2の幾何学的構造体の各々が、三角面偏方多面体である、請求項1に記載の整形外科用補綴部品。
【請求項9】
前記複数の第2の幾何学的構造体が、4つの三角面偏方多面体からなる、請求項1に記載の整形外科用補綴部品。
【請求項10】
前記複数の第2の幾何学的構造体の各々が、八面体である、請求項1に記載の整形外科用補綴部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2018年3月26日に出願された米国仮特許出願第62/648,353号の優先権を主張し、この仮特許出願は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に開示される実施形態は、概して、多孔質金属構造体及びそれらを製造するための方法を対象とし、より具体的には、多孔質金属構造体における多孔度及び細孔サイズの正確な制御を可能にするのに適した幾何学的格子構成を有する医療デバイス内の多孔質金属構造体を対象とする。
【背景技術】
【0003】
本明細書に開示される実施形態は、概して、骨内殖のための三次元多孔質構造体及び当該構造体を製造するための方法を対象とする。
【0004】
ラピッドプロトタイピング及び積層造形の分野では、長年にわたって、特にプロトタイプ部品及び金型ダイなどの物品のラピッドプロトタイピングのために多くの進歩が見られている。これらの進歩は、材料(例えば、金属)が材料のブロックとして開始され、その結果、最終製品まで機械加工されるものなどの従来の機械加工プロセスと比較して、最終製品の精度を向上させながら、製造コストと時間を削減してきた。
【0005】
しかしながら、ラピッドプロトタイピング三次元構造体の主な焦点は、ラピッドプロトタイピング構造体の密度を高めることにあった。最新のラピッドプロトタイピング/積層造形技術の例としては、シートラミネーション、接着結合、レーザ焼結(又は選択的レーザ焼結)、レーザ溶融(又は選択的レーザ焼結)、光重合、液滴堆積、ステレオリソグラフィ、3D印刷、溶融堆積モデリング、及び3Dプロットが挙げられる。特に、選択的レーザ焼結、選択的レーザ溶融、及び3D印刷の分野では、高密度部品の製造における改善により、それらの技術は、高密度金属部品などの物品を設計及び正確に製造するのに有用になってきている。
【0006】
過去数年では、積層造形分野の一部では、哺乳類細胞の成長及び再生を促進する用途に必要な多孔質構造体における機械的強度、相互接続チャネル設計、多孔度及び細孔サイズを提供するソリューションを生み出す試みがなされてきた。しかしながら、現在の方法及び幾何学的形状は、骨などの哺乳類細胞の内殖挙動に強い影響を及ぼす細孔サイズ分布の制御に限界がある。更に、現在の方法及び幾何学的形状は、多くの場合、製造プロセス(例えば、3D印刷)中の構造的完全性を維持しながら、内殖に有益であると考えられる範囲で、細孔サイズ及び多孔度を同時に有する単位セル形状を有する多孔質構造体を製造することにおいて不足がある。その結果、現在の単位セル幾何学的構造体は、非常に大きな細孔サイズ又は非常に低い多孔度のいずれかを有しなければならなくなっている。更に、現在の方法及び幾何学的形状は、概して、構造体の幾何学的形状内で選択された支柱長さ及び単位セルの直径と、結果として得られる、多孔質構造体に所望される幾何学的特徴との間の密接な相関関係を妨げている。
【0007】
骨内殖のための多孔質金属材料を製造する現在の方法は、骨内殖挙動に強い影響を及ぼす細孔サイズ分布を限定的に制御している。最大細孔サイズ、最小細孔サイズ、及び多孔度を同時により良く制御することができれば、より良好な骨内殖が可能になるであろう。積層造形技術は、概念的には幾何学的形状を完全に制御した格子構造体の製造を可能にするが、実際には、機械が構築できる最小の格子支柱直径に制限されており、また任意の格子構造体が自己支持する必要性によって制限されている。現在の3Dプリンタの最小支柱直径は約200~250ミクロンであり、これは、多くの幾何学的構造体が非常に大きな細孔サイズ又は非常に低い多孔度のいずれかを有しなければならないことを意味する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によれば、より良好な骨内殖を可能にするために、最大細孔サイズ、最小細孔サイズ、及び多孔度の改善された同時制御を可能にする、幾何学的構造体、及び対応する製造プロセスが開示される。製造プロセスは、多孔質構造体の単位セル内の所望の幾何学的特徴(例えば、細孔サイズ、多孔度、窓サイズ)を達成するために、独立した支柱長さ及び/又は直径を変更することを含む。本明細書に開示される単位セル幾何学的形状は、より均質な全体構造(すなわち、細孔サイズと窓サイズとの間のより小さい間隙)を提供しながら、より高い多孔度でより小さい細孔サイズを可能にする。このような堅牢な幾何学的形状を有する単位セルを有する構造体は、使用される製造技術とはほとんど別個の堅牢な多孔質構造体の製造を可能にする。
【0009】
本開示の別の一態様によれば、整形外科用補綴部品が開示される。整形外科用補綴部品は、患者の体内に植え込まれるように成形された多孔質三次元構造体を備える。多孔質三次元構造体は、複数の接続された単位セルを含み、少なくとも1つの単位セルは、複数の格子支柱及び複数の内部支柱を含む。少なくとも1つの単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内の複数の内部支柱及びいくつかの格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含む。各第2の幾何学的構造体は、他の第2の幾何学的構造体の内部容積と実質的に等しい内部容積を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、約50%~約75%の多孔度を有し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、整形外科用補綴部品は、中実基部を備え得る。多孔質三次元構造体は、中実基部に取り付けられてもよい。更に、いくつかの実施形態では、基部は、プラットフォームと、プラットフォームから離れる方向に延びるステムと、を含み得る。ステムは、多孔質三次元構造体を通って延びる。
【0012】
いくつかの実施形態では、いくつかの格子支柱及び複数の内部支柱は、多孔質三次元構造体内に複数の開口部を画定し得る。複数の開口部のうちの各開口部は、窓サイズを有し得る。各幾何学的構造体の内部容積は、細孔サイズを有し得、各幾何学的構造体の細孔サイズの、幾何学的構造体の各開口部の窓サイズに対する比は、1.00~2.90の範囲であり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、各幾何学的構造体の細孔サイズの、幾何学的構造体の各開口部の窓サイズに対する比は、1.50~1.60の範囲であり得る。更に、いくつかの実施形態では、各幾何学的構造体の細孔サイズの、幾何学的構造体の各開口部の窓サイズに対する比は、1.00~1.10の範囲であり得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。更に、いくつかの実施形態では、複数の第2の幾何学的構造体の各々は、三角面偏方多面体であり得る。いくつかの実施形態では、複数の第2の幾何学的構造体は、4つの三角面偏方多面体から構成され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数の第2の幾何学的構造体の各々は、八面体であり得る。
【0016】
別の態様によれば、整形外科用補綴部品は、患者の体内に植え込まれるように成形された多孔質三次元構造体を含み、多孔質三次元構造体は、複数の単位セルを含む。各単位セルは、第1の幾何学的形状を有し、かつ複数の第1の支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第2の幾何学的形状を有し、かついくつかの複数の第1の支柱と接続されて第2の幾何学的構造体を形成する複数の第2の支柱を含む第2の幾何学的構造体と、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、各第2の幾何学的構造体は、細孔サイズを有してもよく、いくつかの格子支柱及び複数の内部支柱は、多孔質三次元構造体内に複数の開口部を画定する。複数の開口部のうちの各開口部は、窓サイズを有し得る。各第2の幾何学的構造体の細孔サイズの、第2の幾何学的構造体の各開口部の窓サイズに対する比が、1.00~2.90の範囲であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、各第2の幾何学的構造体の細孔サイズの、第2の幾何学的構造体の各開口部の窓サイズに対する比は、1.50~1.60の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、各第2の幾何学的構造体の細孔サイズの、第2の幾何学的構造体の各開口部の窓サイズに対する比は、1.00~1.10の範囲であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、約20%~約95%の多孔度を有し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、多孔質三次元構造体は、約50%~約75%の多孔度を有し得る。
【0021】
別の態様によれば、多孔質三次元構造体を製造する方法が開示される。本方法は、金属粉末の連続した層を堆積させビームで走査して、複数の単位セルを含み、かつ所定の幾何学的特性を有する多孔質三次元構造体を形成することを含む。各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含む。各単位セルは、複数の格子支柱を備える第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内の複数の内部支柱及び複数の格子支柱のうちのいくつかの格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書に開示された原理及びその利点をより完全に理解するために、ここで添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【
図2】
図1の整形外科用補綴部品の簡略斜視図である。
【
図3】
図1及び
図2の整形外科用補綴部品の多孔質構造体の単位セルの斜視図である。
【
図4】
図3の単位セルの1つの幾何学的構造体の斜視図である。
【
図5】
図3の単位セルの別の幾何学的構造体の簡略斜視図である。
【
図6】
図1及び
図2の整形外科用補綴部品の多孔質構造体の単位セルの別の実施形態の斜視図である。
【
図7】
図3の単位セルの別の幾何学的構造体の簡略斜視図である。
【
図8】様々な実施形態による、様々な単位セルの幾何学的形状についての、多孔度(パーセント)対支柱長さ/直径のチャートである。
【
図9】様々な実施形態による、様々な単位セルの幾何学的形状についての、細孔サイズ及び最小細孔窓開口部サイズ対多孔度(パーセント)のチャートである。
【
図10】様々な実施形態による、単位セル構造体に対する窓サイズの関連付けを示す図である。
【
図11】様々な実施形態による、多孔質三次元構造体を製造するためのワークフローである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書は、本開示の例示的な実施形態及び用途を説明する。しかしながら、本開示は、これらの例示的な実施形態及び用途に限定されるものではなく、例示的な実施形態及び用途が動作する様式、又は本明細書に記載される様式に限定されない。更に、図は、簡略されるか又は部分図を示してもよく、図中の要素の寸法は誇張されていてもよく、又はそうでなくても正確な比率ではない場合がある。更に、用語「の上にある(on)」、「に取り付けられている(attached to)」、「と接続されている(connected to)」、「に連結されている(coupled to)」又は類似の語句が本明細書で使用されるとき、1つの要素(例えば材料、層、基部など)は、1つの要素が直接、他の要素の上に、それに取り付けられているか、それと接続されているか、若しくはそれに連結されているか否かにかかわらず、又は1つ若しくは2つ以上の介在要素が一方の要素と他方の要素との間にあるか否かにかかわらず、又は2つの要素が単一の部品に統合されているかにかかわらず、別の要素「の上にある」か、それに「取り付けられている」か、それに「接続されている」か、又はそれに「連結されている」ことができる。また、文脈が別段に指示しない限り、方向(例えば、上(above)、下(below)、上端(top)、下端(bottom)、横へ(side)、上方へ(up)、下方へ(down)、下へ(under)、上へ(over)、上方へ(upper)、下方へ(lower)、水平の(horizontal)、垂直の(vertical)、「x」、「y」、「z」など)もまた相対的なものであって、説明及び検討を容易にするため例を用いて単に提供されるものであり、限定する目的はない。更に、要素の一覧(例えば、要素a、b、c)を参照する場合、このような参照は、列挙された要素のいずれか1つそれ自体、列挙された要素の全部より少ないものの任意の組み合わせ、及び/又は、列挙された要素全部の組み合わせを含むことを意図する。本明細書における章の分割は、単に確認を容易にするためのものであり、説明される要素の任意の組み合わせを限定するものではない。
【0024】
本明細書で使用するとき、「に結合されている(bonded to)」又は「結合する(bonding)」は、金属結合、静電引力、及び/又は接着力を含むがこれらに限定されない様々な物理化学的機構による金属の金属への取り付けを意味する。
【0025】
別途定義されない限り、本明細書に記載される教示に関連して用いられる科学用語及び技術用語は、当業者により一般的に理解される意味を有するものとする。
【0026】
本開示は、多孔質三次元金属構造体及びそれらを医療用途のために製造するための方法に関する。以下により詳細に記載するように、多孔質金属構造体は、患者の体内に植え込まれた補綴部品と患者の周囲の硬組織又は軟組織との間の硬組織又は軟組織の相互係止を促進する。例えば、患者の体内に植え込まれるように構成された整形外科用補綴部品に含まれる場合、多孔質三次元金属構造体を使用して整形外科用補綴部品の多孔質外側層を提供し、骨内殖構造体を形成することができる。あるいは、多孔質三次元金属構造体は、インプラントの意図された機能を実現すること、及び周囲組織との組織相互係止(例えば、骨内殖)のための相互接続された多孔度を提供することの両方のために、必要な構造的完全性を有するインプラントとして使用することができる。様々な実施形態では、多孔質三次元金属構造体を形成するために使用することができる金属の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0027】
ここで
図1及び
図2を参照すると、整形外科用インプラント又は補綴部品100が示されている。補綴部品100は、基部110と、多孔質三次元構造体又は層120と、基部110から離れる方向に延びる錐体又はステム130と、を含む。例示的な実施形態では、多孔質構造体120は、基部110の一部分及びステム130の一部分を取り囲む。多孔質構造体120は、基部110及び/又はステム130とは別個の層として提供され得ることを理解されたい。多孔質構造体120はまた、基部110及び/又はステム130の全てを取り囲むコーティングとして提供されてもよい。以下により詳細に記載するように、多孔質構造体は、骨の内殖を可能にする空隙又は空間を画定する複数の単位セルを含み、それによって補綴部品100の患者の骨への固定を促進する。
【0028】
整形外科用インプラント100は、脛骨に植え込まれてもよい。例えば、ステム130は、脛骨の近位部分に当接して戴置されているインプラント100のレッジ部分140を脛骨に挿入することができる。本明細書に記載される様々な多孔質構造体は、例えば、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許第8,470,047号に示される脛骨及び大腿骨部品と同様の脛骨補綴部品又は大腿骨補綴部品を含む、様々な整形外科用インプラント設計に組み込むことができることを理解されたい。多孔質構造体はまた、大腿骨補綴部品及び股関節又は肩関節形成術で使用するための補綴部品と係合するように成形された膝蓋骨部品を含む、他の整形外科用インプラント設計にも含まれてもよい。
【0029】
前述及び後述では、基部110は、例えば、本明細書の様々な実施形態の構成要素と接触し、それを支持し、それを接続し、又はそれを固定するか若しくはそれに固定し、又はそれを係留するか若しくはそれに係留することができる任意の種類の構造体であり得ることに留意されたい。基部110は、例えば、金属又は非金属トレイ、金属又は非金属基部板、トレイ上に据え付ける金属又は非金属構造体などを含むことができる。基部110を形成するために使用することができる金属の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
例示的な実施形態では、ステム130は、多孔質構造体120の多孔質領域160によってコーティングされた中実領域150を含む。ステム130の中実領域150は、基部110に係留され、多孔質構造体120から外向きに延び、その結果、多孔質構造体120は、基部110の近位のステム130の領域を取り囲む。他の実施形態において、ステム130は、多孔質構造体120に係留されてもよい。ステム130を形成するために使用することができる金属の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
ここで
図3を参照すると、インプラント100の多孔質構造体120は、複数の接続された単位セルを含み、各単位セルは、例示的に、
図3に示される単位セル構造体200を有する。示される単位セル構造体を形成するために使用することができる金属の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブが挙げられるが、これらに限定されない。
図3に示すように、各構造体200は、第1の幾何学的構造体230を形成する複数の格子支柱210及び複数の内部支柱220と、第1の幾何学的構造体230内にある複数の第2の幾何学的構造体240と、を含む。例示的な実施形態では、第1の幾何学的構造体230は、複数の格子支柱210を含む。
図4に示すように、複数の格子支柱210は協働して菱形十二面体を形成する。
【0032】
複数の第2の幾何学的構造体240の各々は、他の第2の幾何学的構造体240の内部容積250に実質的に等しい内部容積250を有する。
図5に示すように、各第2の幾何学的構造体240は、いくつかの内部支柱220及びいくつかの格子支柱210によって形成される。各第2の幾何学的構造体240は、例示的には、三角面偏方多面体である。
図3に示すように、第1の幾何学的構造体230内の複数の第2の幾何学的構造体240は、単位セル構造体200が菱形の三角面偏方多面体であるように、4つの三角面偏方多面体を含む。
【0033】
各単位セル構造体は、他の種類の第2の幾何学的構造体を含み得ることを理解されたい。例えば、
図6に示すように、単位セル構造体300は、複数の格子支柱310と、第1の幾何学的構造体330を形成する複数の内部支柱320と、第1の幾何学的構造体330内にある複数の第2の幾何学的構造体340と、を含む。例示的な実施形態では、第1の幾何学的構造体230のような第1の幾何学的構造体330は、複数の格子支柱310を含み、菱形十二面体である。
【0034】
図7に示すように、各第2の幾何学的構造体340は、いくつかの内部支柱320及びいくつかの格子支柱310によって形成される。各第2の幾何学的構造体340は、例示的に、八面体(例えば、ダイヤモンド形状の構造体)である。
図6に示すように、第1の幾何学的構造体330内の複数の第2の幾何学的構造体340は、単位セル構造体300が菱形の八面体であるように6つの八面体を含む。
【0035】
上述の多孔質三次元構造体の単位セル構造体内では、各単位セル内の少なくとも1つの支柱の長さ及び直径のうちの少なくとも1つは、格子の所定の又は所望の幾何学的特性を満たすように変更することができる。これらの幾何学的特性は、多孔度、細孔サイズ、最小窓サイズ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。単位セル構造体の特定の幾何学的構造体(以下に記載する)は、より堅牢かつ均質な幾何学形状を提供するために、これらの幾何学的特性のうちの1つ又は2つ以上を最適化することができることが有利に発見された。結果として得られる幾何学的形状は、必要な多孔質構造体の安定性を維持しながら、より最適な骨内殖をもたらす。
【0036】
多孔度を参照すると、多孔質構造体120は、約50%~約75%の多孔度を有する。本明細書で使用するとき、用語「約」は、典型的な製造公差に関連付けられた範囲を指す。そのようにして、「約50%」の多孔度は、例えば、2%などの典型的な製造公差を50%にプラス又はマイナスした多孔度であってもよい(すなわち、48%~52%の範囲)。他の実施形態では、多孔質三次元構造体の多孔度は、約20%~約95%である。他の実施形態では、多孔度は、約35%~約85%の範囲である。幾何学的に、単位セル構造体の多孔度は、支柱長さ(a)の支柱直径(d)に対する比に依存する。
図8では、例えば、様々な実施形態による、様々な単位セルの幾何学的形状に対する多孔度(パーセント)対支柱長さ/直径のチャート800が提供される。チャート800に概説されているように、3つの特定の単位セルの幾何学的形状/構造体、すなわち、菱形十二面体(RD)(例えば、
図4を参照)、4つの内部支柱を備えた菱形十二面体(RD+4)(又は菱形三角面偏方多面体)(例えば、
図3を参照)、及び8つの内部支柱を備えた菱形正十二面体(RD+8)(又は菱形八面体)(例えば、
図6を参照)が検討された。構造体の各々について、各単位セル構造体についての設計ファイルからいくつかのa/d比で多孔度を取得し、各単位セル構造体についての関係を、データを次の形式の4次多項式に適合させることによってモデル化した:
【0037】
【数1】
式中、A、B、C、D、及びEは定数である。この比較では、構造体寸法は、各単位セル構造体の支柱長さ及び直径から幾何学的に導出された。
【0038】
図8のチャート800で観察されるように、RD構造体は、概して、所与のa/d比でより大きな多孔度を有し、これは、RD+4及びRD+8構造体と比較して、内部支柱がないことから予想される。RD構造体の多孔度は、線802によって示される。しかしながら、線804、806によってそれぞれ示されるRD+4及びRD+8構造体におけるこの多孔度の減少は、以下により詳細に記載するように、RDでは可能ではない一定の支柱直径(プリンタのビルド解像度によって固定される)における比較的低い多孔度、より小さい細孔サイズ、及び比較的高い窓サイズの組み合わせに達するように、RD+4及びRD+8構造体で作られる設計を可能にする。
【0039】
ここで
図9を参照すると、様々な実施形態による、様々な単位セルの幾何学的形状/構造体に対する細孔サイズ及び最小窓サイズ対多孔度(パーセント)のチャート900が提供される。
図8にあるように、3つの特定の単位セル構造体、すなわち、菱形十二面体(RD)(例えば、
図4を参照)、4つの内部支柱を備えた菱形十二面体(RD+4)(又は菱形三角面偏方多面体)(例えば、
図3を参照)、及び8つの内部支柱を備えた菱形十二面体(RD+8)(又は菱形八面体)(例えば、
図6を参照)が検討された。菱形正十二面体の細孔サイズは、例えば、菱形正十二面体単位セル内で境界された容積内の球体の等価直径としてとられ、容積は、支柱長さ(a)の菱形正十二面体の容積をとり、菱形正十二面体内の又は菱形十二面体によって境界された各支柱の容積を減算することによって計算した。細孔サイズ(PS)を計算するための本明細書で提供される式は、支柱長さ(a)、直径(d)、及び小数単位(p)での多孔度に依存する。式は以下のとおりである。
【0040】
RD構造体の場合:
【0041】
【0042】
RD+4構造体の場合:
【0043】
【0044】
RD+8構造体の場合:
【0045】
【0046】
チャート900の線902は、菱形十二面体(RD)に対する細孔サイズと多孔度(パーセント)との関係を示す。線904は、三角面偏方多面体(RD+4)についての細孔サイズと多孔度(パーセント)との関係を示し、線906は、菱形八面体(RD+8)についての細孔サイズと多孔度(パーセント)との関係を示す。
【0047】
図9のチャート900で観察されるように、より低い多孔度(パーセント)では、3つの構造体は、概して、同様の必要な細孔サイズを提供した。しかしながら、所与の多孔度(パーセント)が増加するにつれて(かつ支柱直径が実質的に同じままであると仮定すると)、多孔度(パーセント)に対応するためのRD構造体内の必要な細孔サイズは、他の構造体よりも著しく大きくなり、したがって、必要とされる多孔度が増加するにつれて、細孔サイズを骨内殖に有効であり得るものを超えて大きくさせることによって、RD構造体により厳しい要件を課す。換言すれば、必要とされる多孔度(パーセント)が増加するにつれて、RD構造体が非効果的になっていき、このことは本明細書で説明するものなどの多孔質三次元構造体を設計する際に注目すべきである。
【0048】
ここで
図10を参照すると、各単位セル構造体200は、複数の外側面1002を有し、格子支柱210は、外側面1002内にいくつかの開口部1004を画定するように協働する。単位セル構造体200の内部支柱220は、いくつかの格子支柱210と協働して、いくつかの内部開口部1006を形成する。開口部1004、1006の各々の最小窓開口部又はサイズは、各支柱210(又は支柱220)が円1010の接線上に位置付けられるように、対応する開口部(例示的には、
図10の開口部1004のうちの1つ)に位置付けられた円1010の直径1008として画定されてもよい。これにより、支柱の長さ及び直径は、開口部1004、1006の各々のサイズを決定し、ひいては、その中に適合することができる最大の球体の直径を決定する。例えば、所与の支柱長さについては、支柱直径が増加するにつれて、最小窓開口部は縮小するであろう。
【0049】
これらの関連付けは、以下の式によって提供され、これを使用して全ての構造体(例えば、RD、RD+4、RD+8など)の最小窓開口部を計算し、
図9の線908、910、912を生成した。
【0050】
【0051】
チャート900の目的で、最小窓開口部は、各開口部に適合することができる最大円1010の直径である。換言すれば、内接円の直径であり、したがって、支柱長さ(a)及び直径(d)に依存する。様々な単位セルの幾何学的形状についての窓サイズ対多孔度(パーセント)の関係。チャート900の線908は、菱形十二面体(RD)についての最小窓開口部対多孔度の関係を示している。線910は、菱形三角面偏方多面体(RD+4)についての最小窓開口部対多孔度の関係を示しており、線912は、菱形八面体(RD+8)についての最小窓開口部対多孔度の関係を示している。
【0052】
図9のチャート900で観察されるように、概して、全ての多孔度(パーセント)で、各単位セル構造体間の最小窓開口部にほぼ均一な間隙が存在する。したがって、実質的に一定の支柱直径を有する所与の多孔質三次元構造体に必要な多孔度(パーセント)にかかわらず、所与の多孔度(パーセント)に対し、RD+8構造体は、RD+4及びRD構造体よりも大きな最小窓開口部を有し、RD+8及びRD+4構造体の両方が、RD構造体よりも大きな最小窓開口部を有することになる。
【0053】
図9の結果は、内部支柱、すなわちRD+4、及びより小さい範囲のRD+8を有する構造が、RD構造体よりも有利であることを立証している。RD+4及びRD+8は、所与の多孔度及び支柱直径においてより小さい細孔サイズを可能にする。a/d比の関数としてRD構造体が多孔度で有していると思われるどのような利点も、必要とされるa/d比が増加するにつれてほぼ完全に減少する。最後に、RD+4及びRD+8構造体(又は内部支柱を有する構造体)は、RD構造体よりも小さい細孔サイズと窓サイズとの間でより小さい差を提供することによって、最も均質な構造体を提供する。
【0054】
多孔質構造体120では、単位セルの細孔サイズの対応する窓サイズのいずれかに対する比は、1.50~1.60の範囲である。他の実施形態では、この比は、1.00~1.10の範囲であってもよい。更に他の実施形態では、この比は1.00~2.90の範囲であってもよい。
図9に示すように、
図3及び
図6のRTT構造体では、細孔サイズと窓サイズとの差は、RD構造体よりも実質的に小さい。結果として、RTT構造体は、有利には、細孔窓サイズと全体的な細孔サイズとの差がより小さい、より均質な構造体を提供し、特に高レベルの多孔度では、細孔サイズに密接に比例した窓サイズを提供することによって骨内殖を促進する。この図ではRTTのみが参照されているが、結論は、内部支柱を含む様々な構造体、例えば、4の倍数の内部支柱を有する構造体にも当てはまるであろう。
【0055】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントが提供される。インプラントは、例えば、
図3~
図5の単位セル構造体によって示されるように、接続された単位セルの格子を含む多孔質三次元構造体を含み得る。少なくとも1つの単位セルは、複数の格子支柱を含み得る。少なくとも1つの単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体の複数の格子支柱のサブセットを共有し、第1の幾何学的構造体とは異なる幾何学的形状を有する第2の幾何学的構造体と、を更に含み得る(
図3及び
図6を参照)。更に、第2の幾何学的構造体内の複数の格子支柱のサブセットの少なくとも一部分は、第1の幾何学的構造体の複数の格子支柱の交点によって形成される角度と実質的に等しい角度を形成するように交差することができる。
【0056】
上述のように、第1の幾何学的構造体は、例えば、
図4に示されるような菱形十二面体であり得る。第2の幾何学的構造体は、三角面偏方多面体であり得る(
図5を参照)。三角面偏方多面体は、例えば、
図3に示すように、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。更に、少なくとも1つの単位セルは、例えば、
図3に示されるように、第1の幾何学的構造体内に4つの三角面偏方多面体の幾何学的構造体を含むことができる。
【0057】
多孔質三次元構造体内では、格子内の少なくとも1つの支柱の長さ及び直径のうちの少なくとも1つは、格子の所定の幾何学的特性を満たすように変更することができる。上述のように、これらの幾何学的特性は、多孔度、細孔サイズ、最小開口サイズ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。例えば、多孔度は、約20%~約95%であり得る。多孔度はまた、約35%~約85%でもあり得る。多孔度はまた、約50%~約75%でもあり得る。更に、個々の支柱長さは、例えば、複数の支柱の平均支柱長さの約25%~約175%に変更することができる。個々の格子支柱長さはまた、例えば、複数の格子支柱の平均支柱長さの約50%~約150%であるように変更することもできる。個々の格子支柱長さはまた、例えば、複数の格子支柱の平均支柱長さの約75%~約125%であるように変更することもできる。
【0058】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントが提供される。インプラントは、複数の繰り返し単位セルを含む多孔質三次元構造体を含むことができ、各単位セルは複数の支柱を有する。各単位セルは、基部幾何学的構造体と、基部幾何学的構造体の一部分から形成され、基部幾何学的構造体とは異なる幾何学的形状を有する二次幾何学的構造体と、を含み得る。更に、所与の多孔質三次元構造体の多孔度について、少なくとも1つの単位セルは、多孔質三次元構造体の平均的な幾何学的構造体の細孔サイズとは異なる細孔サイズと、多孔質三次元構造体の平均的な幾何学的構造体の窓サイズとは異なる窓サイズと、を有し得る。
【0059】
多孔質三次元構造体内では、単位セル内の少なくとも1つの支柱の長さ及び直径のうちの少なくとも1つは、単位セルの所定の幾何学的特性を満たすように変更することができる。上述のように、幾何学的特性は、多孔度、細孔サイズ、最小開口サイズ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。例えば、多孔度は、約20%~約95%であり得る。多孔度はまた、約35%~約85%でもあり得る。多孔度はまた、約50%~約75%でもあり得る。更に、支柱長さは、複数の支柱の平均支柱長さの約25%~約175%に変更することができる。個々の格子支柱長さはまた、例えば、複数の格子支柱の平均支柱長さの約50%~約150%であるように変更することもできる。個々の格子支柱長さはまた、例えば、複数の格子支柱の平均支柱長さの約75%~約125%であるように変更することもできる。
【0060】
上述のように、第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。第2の幾何学的構造体は、三角面偏方多面体であり得る。三角面偏方多面体は、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。更に、少なくとも1つの単位セルは、第1の幾何学的構造体内に4つの三角面偏方多面体の幾何学的構造体を含むことができる。
【0061】
様々な実施形態によれば、整形外科用インプラントが提供される。インプラントは、複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体を含み得る。各単位セルは、第1の幾何学的形状を有し、かつ複数の第1の支柱を含む外側幾何学的構造体を含み得る。各単位セルは、第2の幾何学的形状を有する内側幾何学的構造体を更に含むことができ、複数の第1の支柱の一部分と接続されて、外側幾何学的構造体内に内側幾何学的構造体を形成する複数の第2の支柱を更に含み得る。
【0062】
様々な実施形態によれば、外側幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。内側幾何学的構造体は、三角面偏方多面体であり得る。三角面偏方多面体は、4つの支柱を外側幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。更に、少なくとも1つの単位セルは、外側幾何学的構造体内に4つの三角面偏方多面体の幾何学的構造体を含むことができる。
【0063】
製造プロセス
上で開示された多孔質三次元金属構造体は、以下を含むがこれらに限定されない様々な異なる金属部品製造技術を使用して作製することができる:鋳造プロセス(鋳造プロセスは、溶融金属を金型キャビティ内に注ぐことを含み、一旦固化された金属は、キャビティの形状をとることができる。例としては、消耗型金型鋳造、永久金型鋳造、及び粉末圧縮冶金が挙げられる)、変形プロセス(変形プロセスとしては、金属に金属の降伏応力を超える機械的応力を加える工具の使用を伴う金属形成及び板金属加工プロセスが挙げられる)、材料除去プロセス(これらのプロセスは、所望の形状を達成するために、ワークから余分な材料を除去する。材料除去プロセスの例としては、工具機械加工及び研磨加工が挙げられる)、及び積層造形プロセス(これらのプロセスは、連続した材料層を堆積させることによって層内に金属部品を構築するためのデジタル3D設計データの使用を伴う)。積層造形プロセスとしては、粉末床溶融印刷法(例えば、溶融及び焼結)、コールドスプレー3D印刷、ワイヤフィード3D印刷、溶融堆積3D印刷、押出3D印刷、液体金属3D印刷、ステレオリソグラフィ3D印刷、結合剤噴射3D印刷、材料噴射3D印刷などを挙げることができるが、これらは例に過ぎない。しかしながら、積層造形プロセスは、これらの種類の構造体を含む単位セルの幾何学的形状及び構造要素の複雑さに起因して、多孔質三次元金属構造体(上で開示された)の製造に関して、他の金属部品製造技術に比べていくつかの独自の利点を提供することが理解されるべきである。
【0064】
様々な実施形態によれば、多孔質三次元構造体を製造する方法は、例えば、
図11に示される方法1100によって提供される。本方法は、金属粉末の連続した層を堆積させビームで走査して、多孔質三次元構造体を形成することを含み得る。多孔質三次元構造体は、所定の幾何学的特性を有する複数の単位セルを含み、各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含み得る。各単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内の複数の内部支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を更に含む。ビーム(又は走査ビーム)は、電子ビームであり得る。ビーム(又は走査ビーム)は、レーザビームであり得る。
【0065】
図11に提供されるように、方法1100は、金属粉末の層を堆積させることを含む工程1110で開始することができる。方法は、金属粉末の層を走査することを含む工程1120を続けてもよい。工程1130で提供されるように、工程1110及び工程1120は、所定の幾何学的特性を有する複数の単位セルを含む多孔質三次元構造体が形成されるまで繰り返される。各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含む。各単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内のいくつかの内部支柱及びいくつかの格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含む。
【0066】
本明細書に記載される様々な方法に関して、金属粉末を焼結して多孔質三次元構造体を形成することができる。あるいは、金属粉末を溶融させて、多孔質三次元構造体を形成することができる。金属粉末の連続した層は、中実基部上に堆積させることができる(基部に関する説明について上記を参照されたい)。様々な実施形態では、使用することができる金属粉末の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブ粉末が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
本明細書に記載される様々な方法に関して、幾何学的特性は、多孔度、細孔サイズ、最小開口サイズ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。多孔度は、約20%~約95%であり得る。多孔度はまた、約40%~約80%でもあり得る。多孔度はまた、約50%~約75%でもあり得る。更に、支柱長さは、複数の支柱の平均支柱長さの約25%~約175%に変更することができる。個々の格子支柱長さはまた、例えば、複数の格子支柱の平均支柱長さの約50%~約150%であるように変更することもできる。個々の格子支柱長さはまた、例えば、複数の格子支柱の平均支柱長さの約75%~約125%であるように変更することもできる。更に、単位セルは、第1の幾何学的構造体の細孔サイズよりも小さい細孔サイズを有し得る。更に、単位セルは、複数の第2の幾何学的構造体の各々の窓サイズよりも大きい窓サイズを有することができる。
【0068】
記載された様々な方法に関して、第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。第2の幾何学的構造体の各々は、三角面偏方多面体であり得る。三角面偏方多面体は、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。更に、少なくとも1つの単位セルは、第1の幾何学的構造体内に4つの三角面偏方多面体の幾何学的構造体を含むことができる。
【0069】
様々な実施形態では、多孔質三次元構造体を製造するための方法が提供され、この方法は、所定の速度で金属粒子の流れを基部に適用して、複数の単位セルを含みかつ所定の幾何学的特性を有する多孔質三次元構造体を形成することを含み、各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含む。各単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内の複数の内部支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、含み得る。様々な実施形態では、使用することができる金属粒子の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブ粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
所定の速度は、基部に衝撃を与えると、金属粒子が結合するのに必要な臨界速度であり得る。臨界速度は、340m/sよりも大きい。
【0071】
方法は、金属粒子の流れが衝突する基部の領域上に所定の電力設定でレーザを適用することを更に含むことができる。
【0072】
第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。いくつかの実施形態では、第2の幾何学的構造体の各々は、三角面偏方多面体であり得る。すなわち、4つの三角面偏方多面体は、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、八面体は、例えば、8つの内部支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。この場合、6つの八面体幾何学的構造体を、第1の幾何学的構造体内に設けることができる。
【0073】
様々な実施形態によれば、多孔質三次元構造体を製造するための方法が提供され、この方法は、金属ワイヤの連続したフィードを基部表面上に導入することと、金属ワイヤが基部表面に接触する領域に所定の電力設定でビームを適用して、複数の単位セルを含み、かつ所定の幾何学的特性を有する多孔質三次元構造体を形成することと、を含む。各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含むことができ、各単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内の複数の内部支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含む。ビーム(又は走査ビーム)は、電子ビームであり得る。ビーム(又は走査ビーム)は、レーザビームであり得る。様々な実施形態では、使用することができる金属ワイヤの種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブワイヤが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。いくつかの実施形態では、第2の幾何学的構造体の各々は、三角面偏方多面体であり得る。すなわち、4つの三角面偏方多面体は、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、八面体は、例えば、8つの内部支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。すなわち、6つの八面体幾何学的構造体を、第1の幾何学的構造体内に設けることができる。
【0075】
様々な実施形態によれば、多孔質三次元構造体を製造するための方法が提供され、この方法は、金属要素に埋め込まれたポリマー材料の連続したフィードを基部表面上に導入することを含む。本方法は、ポリマー材料が基部表面に接触する領域に熱を適用して、複数の単位セルを含み、かつ所定の幾何学的特性を有する多孔質三次元構造体を形成することを更に含み得る。各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含み得る。各単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内のいくつかの内部支柱及びいくつかの格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含む。金属要は、金属粉末であり得る。様々な実施形態では、ポリマー材料の連続したフィードは、加熱されたノズルを通して供給することができ、したがって、ポリマー材料が基部表面に接触して多孔質三次元構造体を形成する領域に熱を加える必要がなくなる。様々な実施形態では、ポリマー材料を埋め込むために使用することができる金属要素の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0076】
方法は、多孔質三次元構造体をビームで走査してポリマー材料を焼き切ることを更に含み得る。ビーム(又は走査ビーム)は、電子ビームであり得る。ビーム(又は走査ビーム)は、レーザビームであり得る。
【0077】
第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。様々な実施形態では、第2の幾何学的構造体の各々は、三角面偏方多面体であり得る。すなわち、4つの三角面偏方多面体は、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。様々な実施形態では、八面体は、例えば、8つの内部支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。すなわち、6つの八面体幾何学的構造体を、第1の幾何学的構造体内に設けることができる。
【0078】
様々な実施形態によれば、多孔質三次元構造体を製造するための方法が提供され、この方法は、ノズルを通して金属スラリーを基部表面に導入して、複数の単位セルを含み、かつ所定の幾何学的特性を有する多孔質三次元構造体を形成することを含む。各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含み得る。各単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内のいくつかの内部支柱及びいくつかの格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含み得る。様々な実施形態では、ノズルは、金属スラリーの金属要素を基部表面に結合するために必要な温度で加熱される。様々な実施形態では、金属スラリーは、製造プロセス又は多孔質三次元構造体の性能を改善するために、1つ又は2つ以上の添加剤(液体又は固体)と共に金属粒子を含有する水性懸濁液である。様々な実施形態では、金属スラリーは、製造プロセス又は多孔質三次元構造体の性能を改善するために、1つ又は2つ以上の添加剤(液体又は固体)と共に金属粒子を含有する有機溶媒懸濁液である。様々な実施形態では、金属スラリーに利用することができる金属粒子の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブ粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。いくつかの実施形態では、第2の幾何学的構造体の各々は、三角面偏方多面体であり得る。すなわち、4つの三角面偏方多面体は、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。様々な実施形態では、八面体は、例えば、8つの内部支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。すなわち、6つの八面体幾何学的構造体を、第1の幾何学的構造体内に設けることができる。
【0080】
様々な実施形態によれば、多孔質三次元構造体を製造するための方法が提供され、この方法は、溶融金属の連続した層を基部表面に導入して、複数の単位セルを含み、かつ所定の幾何学的特性を有する多孔質三次元構造体を形成することを含む。各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含み得る。各単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内の複数の内部支柱及びいくつかの格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含み得る。更に、溶融金属は、基部表面上に連続した流れとして導入することができる。溶融金属はまた、別個の溶融金属液滴の流れとして基部表面上に導入することもできる。様々な実施形態では、使用することができる溶融金属の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。様々な実施形態では、第2の幾何学的構造体の各々は、三角面偏方多面体であり得る。すなわち、4つの三角面偏方多面体は、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。様々な実施形態では、八面体は、例えば、8つの内部支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。すなわち、6つの八面体幾何学的構造体を、第1の幾何学的構造体内に設けることができる。
【0082】
様々な実施形態によれば、多孔質三次元構造体を製造するための方法が提供され、この方法は、金属要素に埋め込まれた感光性ポリマーの連続した層を基部表面に適用し、これを光活性化して、複数の単位セルを含み、かつ所定の幾何学的特性を有する多孔質三次元構造体を形成することを含む。各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含み得る。各単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内の複数の内部支柱及びいくつかの格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含み得る。様々な実施形態では、ポリマー材料を埋め込むために使用することができる金属要素の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0083】
第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。いくつかの実施形態では、第2の幾何学的構造体の各々は、三角面偏方多面体であり得る。すなわち、4つの三角面偏方多面体は、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、八面体は、例えば、8つの内部支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。すなわち、6つの八面体幾何学的構造体を、第1の幾何学的構造体内に設けることができる。
【0084】
様々な実施形態によれば、多孔質三次元構造体を製造するための方法が提供され、この方法は、金属粉末の連続した層を堆積させ結合剤材料で結合して、複数の単位セルを含み、かつ所定の幾何学的特性を有する多孔質三次元構造体を形成することを含む。各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含み得る。各単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内の複数の内部支柱及びいくつかの格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含み得る。様々な実施形態では、使用することができる金属粉末の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブ粉末が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本方法は、結合した金属粉末をビームで焼結することを更に含み得る。ビーム(又は走査ビーム)は、電子ビームであり得る。ビーム(又は走査ビーム)は、レーザビームであり得る。
【0086】
本方法は、結合した金属粉末をビームで溶融することを更に含み得る。ビーム(又は走査ビーム)は、電子ビームであり得る。ビーム(又は走査ビーム)は、レーザビームであり得る。
【0087】
第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。いくつかの実施形態では、第2の幾何学的構造体の各々は、三角面偏方多面体であり得る。すなわち、4つの三角面偏方多面体は、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、八面体はまた、例えば、8つの内部支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することもできる。すなわち、6つの八面体幾何学的構造体を、第1の幾何学的構造体内に設けることができる。
【0088】
様々な実施形態によれば、多孔質三次元構造体を製造するための方法が提供され、この方法は、金属材料の液滴を基部表面上に堆積させることと、金属材料が基部表面に接触する領域に熱を適用して、複数の単位セルを含み、かつ所定の幾何学的特性を有する多孔質三次元構造体を形成することと、を含む。各単位セルは、複数の格子支柱と複数の内部支柱とを含み得る。各単位セルは、複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第1の幾何学的構造体内の複数の内部支柱及びいくつかの格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含み得る。ビーム(又は走査ビーム)は、電子ビームであり得る。ビーム(又は走査ビーム)は、レーザビームであり得る。様々な実施形態では、使用することができる金属材料の種類としては、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、タンタル、又はニオブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
金属材料の堆積した液滴は、金属要素が埋め込まれた金属スラリーであり得る。金属材料は、金属粉末であり得る。
【0090】
第1の幾何学的構造体は、菱形十二面体であり得る。いくつかの実施形態では、第2の幾何学的構造体の各々は、三角面偏方多面体であり得る。すなわち、4つの三角面偏方多面体は、4つの支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、八面体は、例えば、8つの内部支柱を第1の幾何学的構造体内に挿入することによって形成することができる。すなわち、6つの八面体幾何学的構造体を、第1の幾何学的構造体内に設けることができる。
【0091】
本明細書では、特定の実施形態及びその用途について説明してきたが、これらの実施形態及び用途は例示的なものに過ぎず、多くの変形が可能である。
【0092】
本教示は、様々な実施形態と共に記載されるが、本教示はそのような実施形態に限定されることを意図するものではない。それとは対照的に、本教示は、当業者に理解されるように、様々な代替物、修正物、及び等価物を包含する。
【0093】
更に、様々な実施形態を記載する際に、本明細書は、特定の一連の工程として方法及び/又はプロセスを提示し得る。しかしながら、方法又はプロセスが本明細書に記載される工程の特定の順序に依存しない限り、方法又はプロセスは、記載される特定の一連の工程に限定されるべきではない。当業者には理解されるように、他の一連の工程が可能であり得る。したがって、本明細書中に記載される工程の特定の順序は、特許請求の範囲の制限として解釈されるべきではない。更に、方法及び/又はプロセスを対象とした特許請求の範囲は、書かれた順序における工程の実行に限定されるべきでない、また当業者は順序が変化し得るものであってかつ様々な実施形態の趣旨及び範囲内に依然留まり得ることを容易に認識できる。
【0094】
〔実施の態様〕
(1) 整形外科用補綴部品であって、
患者の体内に植え込まれるように成形された多孔質三次元構造体を備え、前記多孔質三次元構造体が、複数の接続された単位セルを含み、少なくとも1つの単位セルが、複数の格子支柱及び複数の内部支柱を含み、
前記少なくとも1つの単位セルが、
前記複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、
前記第1の幾何学的構造体内の前記複数の内部支柱及びいくつかの前記格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含み、各第2の幾何学的構造体が、他の第2の幾何学的構造体の内部容積と実質的に等しい内部容積を有する、整形外科用補綴部品。
(2) 前記多孔質三次元構造体が、約50%~約75%の多孔度を有する、実施態様1に記載の整形外科用補綴部品。
(3) 中実基部を更に備え、前記多孔質三次元構造体が、前記中実基部に取り付けられている、実施態様1に記載の整形外科用補綴部品。
(4) 前記基部が、プラットフォームと、前記プラットフォームから離れる方向に延びるステムと、を含み、前記ステムが、前記多孔質三次元構造体を通って延びる、実施態様3に記載の整形外科用補綴部品。
(5) 前記いくつかの前記格子支柱及び前記複数の内部支柱が、前記多孔質三次元構造体内に複数の開口部を画定し、前記複数の開口部のうちの各開口部が、窓サイズを有し、
各幾何学的構造体の前記内部容積が、細孔サイズを有し、各幾何学的構造体の前記細孔サイズの、前記幾何学的構造体の各開口部の前記窓サイズに対する比が、1.00~2.90の範囲である、実施態様1に記載の整形外科用補綴部品。
【0095】
(6) 各幾何学的構造体の前記細孔サイズの、前記幾何学的構造体の各開口部の前記窓サイズに対する前記比が、1.50~1.60の範囲である、実施態様5に記載の整形外科用補綴部品。
(7) 各幾何学的構造体の前記細孔サイズの、前記幾何学的構造体の各開口部の前記窓サイズに対する前記比が、1.00~1.10の範囲である、実施態様5に記載の整形外科用補綴部品。
(8) 前記第1の幾何学的構造体が、菱形十二面体である、実施態様1に記載の整形外科用補綴部品。
(9) 前記複数の第2の幾何学的構造体の各々が、三角面偏方多面体(trigonal trapezohedron)である、実施態様1に記載の整形外科用補綴部品。
(10) 前記複数の第2の幾何学的構造体が、4つの三角面偏方多面体からなる、実施態様1に記載の整形外科用補綴部品。
【0096】
(11) 前記複数の第2の幾何学的構造体の各々が、八面体である、実施態様1に記載の整形外科用補綴部品。
(12) 整形外科用補綴部品であって、
患者の体内に植え込まれるように成形された多孔質三次元構造体を備え、前記多孔質三次元構造体が、複数の単位セルを含み、
各単位セルが、第1の幾何学的形状を有し、かつ複数の第1の支柱を含む第1の幾何学的構造体と、第2の幾何学的形状を有し、かついくつかの前記複数の第1の支柱と接続されて第2の幾何学的構造体を形成する複数の第2の支柱を含む前記第2の幾何学的構造体と、を含む、整形外科用補綴部品。
(13) 各第2の幾何学的構造体が、細孔サイズを有し、
前記いくつかの前記格子支柱及び前記複数の内部支柱が、前記多孔質三次元構造体内に複数の開口部を画定し、前記複数の開口部のうちの各開口部が、窓サイズを有し、
各第2の幾何学的構造体の前記細孔サイズの、前記第2の幾何学的構造体の各開口部の前記窓サイズに対する比が、1.00~2.90の範囲である、実施態様12に記載の整形外科用補綴部品。
(14) 各第2の幾何学的構造体の前記細孔サイズの、前記第2の幾何学的構造体の各開口部の前記窓サイズに対する前記比が、1.50~1.60の範囲である、実施態様13に記載の整形外科用補綴部品。
(15) 各第2の幾何学的構造体の前記細孔サイズの、前記第2の幾何学的構造体の各開口部の前記窓サイズに対する前記比が、1.00~1.10の範囲である、実施態様13に記載の整形外科用補綴部品。
【0097】
(16) 前記多孔質三次元構造体が、約20%~約95%の多孔度を有する、実施態様12に記載の整形外科用補綴部品。
(17) 前記多孔質三次元構造体が、約50%~約75%の多孔度を有する、実施態様16に記載の整形外科用補綴部品。
(18) 前記第1の幾何学的構造体が、菱形十二面体である、実施態様12に記載の整形外科用補綴部品。
(19) 前記第2の幾何学的構造体が、三角面偏方多面体である、実施態様12に記載の整形外科用補綴部品。
(20) 多孔質三次元構造体を製造するための方法であって、
金属粉末の連続した層を堆積させビームで走査して、複数の単位セルを含み、かつ所定の幾何学的特性を有する多孔質三次元構造体を形成することを含み、各単位セルが、複数の格子支柱及び複数の内部支柱を含み、各単位セルが、
前記複数の格子支柱を含む第1の幾何学的構造体と、
前記第1の幾何学的構造体内の前記複数の内部支柱及び前記複数の格子支柱のうちのいくつかの格子支柱から形成された複数の第2の幾何学的構造体と、を含む、方法。