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特許7480073インサート成形された端子を備えるコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】インサート成形された端子を備えるコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20240430BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/11 302E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021009644
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113413
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇貴
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102284(JP,A)
【文献】特開2013-149411(JP,A)
【文献】特表2000-507384(JP,A)
【文献】特開2007-335254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
H01R 13/11
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングにインサート成形された複数の端子と、を備え、
前記複数の端子のいずれか1つの端子が、相手コネクタとの嵌合方向に沿った方向において互いに離間された第一及び第二の端子部分を含み、
及び/又は、
前記複数の端子の少なくともいずれか2つの端子のうち、一方の端子が前記第一の端子部分を含み、他方の端子が前記第二の端子部分を含み、
前記第一の端子部分は、前記第二の端子部分よりも、前記嵌合方向に沿った方向において前記相手コネクタとの嵌合側に近い側に配置されており、
前記第一及び第二の端子部分の各々が、前記嵌合方向における前記相手コネクタとの嵌合側とは反対側に、前記嵌合方向と交差する面に沿って延在する第一及び第二の面をそれぞれ有し、
前記嵌合方向における前記相手コネクタとの嵌合側とは反対側から、前記第一の端子部分及び前記第二の端子部分を前記嵌合方向に沿った方向から見たときに、前記第一の面の少なくとも一部が、前記第二の端子部分と重複しておらず、前記重複していない部分の少なくとも一部の領域が、前記ハウジングの開口を通じて前記ハウジングの外部に露出していることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記少なくとも一部の領域は、前記嵌合方向と交差する面において、前記第一の面の面積を前記第二の端子部分の面積よりも大きく設定することによって設けられている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記少なくとも一部の領域は、前記嵌合方向と交差する面において、前記第一の端子部分と前記第二の端子部分とを互いにずらすことによって設けられている、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記複数の端子の少なくともいずれか2つの端子のそれぞれが、前記第一又は第二の端子部分のいずれか一方を含む場合において、
前記少なくとも一部の領域は、前記嵌合方向と交差する面において、前記いずれか2つの端子同士を互いにずらすことによって設けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記複数の端子は、それぞれ、
前記相手コネクタの相手端子と弾性接触し得る接点を有する弾性変位部と、
基板に実装される基板実装部と、
を有し、
前記第一及び第二の端子部分はそれぞれ、前記弾性変位部と前記基板実装部の間に設けられており、
前記端子は、前記弾性変位部と前記基板実装部以外のいずれかの部分において前記ハウジングに保持されている、請求項1乃至4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記嵌合方向が前記基板の基板面と略平行になるように前記基板に固定される、請求項1乃至5のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項7】
前記複数の端子の少なくともいずれか2つの端子の接点が、前記基板の基板面に対して垂直な方向において互いに離間された状態で段状に配置されており、
前記いずれか2つの端子のうち前記第一の端子部分を構成している一方の端子の前記基板実装部が、前記第一の端子部分よりも、前記嵌合方向に沿った方向において前記相手コネクタとの嵌合側に近い側に配置され、
前記いずれか2つの端子のうち前記第二の端子部分を構成している他方の端子の前記基板実装部が、前記第二の端子部分よりも、前記嵌合方向に沿った方向において前記相手コネクタとの嵌合側から遠い側に配置される、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
ハウジングと、
前記ハウジングにインサート成形された1個の端子と、を備え、
前記端子が、相手コネクタとの嵌合方向に沿った方向において互いに離間された第一及び第二の端子部分を含み、
前記第一の端子部分は、前記第二の端子部分よりも、前記嵌合方向に沿った方向において前記相手コネクタとの嵌合側に近い側に配置されており、
前記第一及び第二の端子部分の各々が、前記嵌合方向における前記相手コネクタとの嵌合側とは反対側に、前記嵌合方向と交差する面に沿って延在する第一及び第二の面をそれぞれ有し、
前記嵌合方向における前記相手コネクタとの嵌合側とは反対側から、前記第一の端子部分及び前記第二の端子部分を前記嵌合方向に沿った方向から見たときに、前記第一の面の少なくとも一部が、前記第二の端子部分と重複しておらず、前記重複していない部分の少なくとも一部の領域が、前記ハウジングの開口を通じて前記ハウジングの外部に露出していることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート成形された端子を備えるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、上記タイプのコネクタの一例が、特に、該特許文献1の図5乃至図7に示された第二の実施形態には、相手コネクタとの嵌合方向が基板の面と略平行であるコネクタの一例が開示されている。
【0003】
このコネクタは、第1モジュール、第2モジュール、第1モジュール及び第2モジュールを収容するハウジングといった3つの構成部品から成っており、第1モジュールは、一列に配列された複数の第1コンタクトが第1モールド部にインサート成形されることで形成され、同様に、第2モジュールは、一列に配列された複数の第2コンタクトが第2モールド部にインサート成形されることで形成されている。コネクタは、これら第1モジュール及び第2モジュールを、第1コンタクトの接続対象物への接点部と第2コンタクトの接続対象物への接点部とが対向する様にハウジングに収容することで製造される。
【0004】
当業者によく知られているように(特許文献2等にも開示がある)、第1及び第2コンタクトのそれぞれを第1及び第2モールド部にインサート成形する際は、通常、コンタクトの所定部分を対向側、更に言えば、嵌合方向に沿った方向における対向側から挟み込むように金型を配置して、金型が存在しない空間に樹脂が射出されるが、射出された樹脂によってコンタクトが振れて位置ずれしないよう、コンタクトは所定部分にて金型によって確実に固定する必要がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1の第二の実施形態に開示されているように、相手コネクタとの嵌合方向が基板の面と略平行であり、且つ、第1モジュールの第1コンタクトの接続対象物への接点部と第2モジュールの第2コンタクトの接続対象物への接点部とを対向するように配置するコネクタでは、嵌合方向に沿った方向から見たときに第1コンタクトと第2コンタクトが重複した部分を有することから、第1コンタクトと第2コンタクトのそれぞれについて金型を設置することが不可能又は困難であり、特許文献1に明記はされてはいないものの、特許文献1のコネクタではこのような事情から、第1モジュールと第2モジュールのそれぞれを別々にインサート成形によって形成した後に、これら第1モジュールと第2モジュールをハウジングに収容するといった煩雑な製造方法を採用したと考えられる。
【0006】
このように、特許文献1に開示されているような従来のコネクタでは、嵌合方向に沿った方向、言い換えれば、金型の設置方向に沿った方向から見たときに、コンタクトの重複部分が生じているタイプのコネクタを製造するには、煩雑な作業が必要となり、また、必要とされる金型も多くなり、これらの事情から生産性が低下し、製造コストが増加するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-164884号公報
【文献】特開2020-91950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消したコネクタを提供すること、即ち、インサート成形された端子を備えるコネクタについて、嵌合方向に沿った方向から見たときにコンタクトの重複部分が生じてしまうタイプのコネクタを容易に製造することができ、これにより、そのようなコネクタの生産性を向上させ、また、製造コストを低減させることを目的とする。
尚、上記の問題は、特許文献1の第二の実施形態に開示されているような、相手コネクタとの嵌合方向が基板の面と略平行である場合に限られるものではなく、それが基板の面と略垂直である場合にも生じ得る。また、上記の問題は、コンタクトが複数の場合だけでなく、コンタクトは1つであるか該コンタクトが上述した重複部分を生じるような構成を有する場合にも生じ得る。本発明は、相手コネクタとの嵌合方向が略平行であるか略垂直であるかにかかわらず、また、コンタクトの数が1つであるか複数であるかにかかわらず、同様の問題を生じ得る全てのタイプの全てのコネクタについての問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様によるコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングにインサート成形された複数の端子と、を備え、前記複数の端子のいずれか1つの端子が、相手コネクタとの嵌合方向に沿った方向において互いに離間された第一及び第二の端子部分を含み、及び/又は、前記複数の端子の少なくともいずれか2つの端子のうち、一方の端子が前記第一の端子部分を含み、他方の端子が前記第二の端子部分を含み、前記第一の端子部分は、前記第二の端子部分よりも、前記嵌合方向に沿った方向において前記相手コネクタとの嵌合側に近い側に配置されており、前記第一及び第二の端子部分の各々が、前記嵌合方向における前記相手コネクタとの嵌合側とは反対側に、前記嵌合方向と交差する面に沿って延在する第一及び第二の面をそれぞれ有し、前記嵌合方向における前記相手コネクタとの嵌合側とは反対側から、前記第一の端子部分及び前記第二の端子部分を前記嵌合方向に沿った方向から見たときに、前記第一の面の少なくとも一部が、前記第二の端子部分と重複しておらず、前記重複していない部分の少なくとも一部の領域が、前記ハウジングの開口を通じて前記ハウジングの外部に露出していることを特徴として有する。
この態様のコネクタによれば、嵌合方向における相手コネクタとの嵌合側とは反対側から、第一の端子部分及び第二の端子部分を嵌合方向に沿った方向から見たときに、嵌合方向における相手コネクタとの嵌合側とは反対側に設けた第一の端子部分における第一の面の少なくとも一部が、第二の端子部分と重複しておらず、該重複していない部分の少なくとも一部の領域が、ハウジングの開口を通じてハウジングの外部に露出するように構成されていることから、露出した少なくとも一部の領域を金型で抑えるようにしてコネクタを製造することができる。従って、コンタクトの重複部分が生じているタイプのコネクタであっても、容易に製造することができ、また、製造コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、嵌合方向に沿った方向から見たときに、コンタクトの重複部分が生じているタイプのコネクタであっても、容易に製造することができ、また、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一の実施形態によるコネクタ装置の使用状態の一例を斜視図である。
図2】本コネクタの正面図である。
図3】第一の実施形態による端子の側面図である。
図4図3の端子の正面図である。
図5図3の端子の背面図である。
図6図2のA-A線断面図である。
図7図6のB-B線断面図である。
図8図6のC-C線断面図である。
図9】第二の実施形態による端子の側面図である。
図10図9の端子の背面図である。
図11】第一の実施形態における図2のA-A線断面図に相当する断面図である。
図12】第一の実施形態における図6のB-B線断面図に相当する断面図である。
図13】第一の実施形態における図6のC-C線断面図に相当する断面図である。
図14】第三の実施形態による端子の側面図である。
図15図14の端子の背面図である。
図16】第一の実施形態における図2のA-A線断面図に相当する断面図である。
図17】第一の実施形態における図6のB-B線断面図に相当する断面図である。
図18】第一の実施形態における図6のC-C線断面図に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1に、第一の実施形態によるコネクタ装置1の使用状態の一例を斜視図で示す。コネクタ装置1は、本発明のコネクタであるレセプタクルコネクタ2と、当該レセプタクルコネクタ2と嵌合し得るプラグコネクタ(相手コネクタ)6の対から成る。図1は、これらレセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ6を、ボードtoボードタイプのコネクタとして、それらを嵌合させる前の状態で示したものである。
【0014】
レセプタクルコネクタ2は、比較的固い樹脂基板8に固定されている。一方、プラグコネクタ6は、FPC等のフレキシブルな基板9に固定されている。この場合、フレキシブルな基板9に固定されたプラグコネクタ6は、比較的容易に、固い基板8に固定されたレセプタクルコネクタ2に対して嵌合させることができる。本例では、レセプタクルコネクタ2は、いわゆるライトアングルタイプのコネクタとして形成されており、レセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ6を嵌合させたときに、基板8と基板9は互いに略直交するように位置付けられる、言い換えれば、レセプタクルコネクタ2に対するプラグコネクタ6の嵌合方向(x1)は、レセプタクルコネクタ2を固定した基板8の基板面8aと略平行になるように設定されている。但し、以下の説明からも明らかなように、必ずしも、ライトアングルタイプのコネクタとする必要はなく、また、ボードtoボードタイプのコネクタとする必要もない。
【0015】
プラグコネクタ6は、ハウジング60と、ハウジング60に設けた相手端子である複数の端子70を備える。ハウジング60は、レセプタクルコネクタ2との嵌合側に突出した略矩形の周壁61と、基板面8aに設置され端子20を通じて基板9に固定される底部65を有し、これら周壁61と底部65によって嵌合凹部62を形成している。プラグコネクタ6は、レセプタクルコネクタ2と嵌合可能であれば足り、従来から使用されているコネクタと同様の形状を有するものと考えてよい。基板9に対するハウジング60の固定は、端子70を基板9に半田付けすること等によって行う。
【0016】
図2に、レセプタクルコネクタ2の正面図を示す。レセプタクルコネクタ2は、ハウジング10と、ハウジング10にそれぞれインサート成形された複数の端子、ここでは2種類の端子20、30をそれぞれ、2個ずつ備えている。しかしながら、以下の説明から明らかなように、本発明を実施するにあたっては、端子20、30をそれぞれ、1個ずつ若しくは3個以上ずつ設けてもよいし、又、端子20だけを1個又は複数個設けてもよい。基板に対するハウジング10の固定は、端子20、30を基板8に半田付けすること等によって行う。
【0017】
ハウジング10は、プラグコネクタ6との嵌合側に突出した島部11と、島部11の外周を取り囲む枠状の周壁12と、更に、島部11及び周壁12の底部を支持する支持壁15を有する。島部11と周壁12の隙間には、支持壁15によって嵌合側とは反対の側を閉じた嵌合凹部16が形成されている。レセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ6の嵌合時に、レセプタクルコネクタ2の島部11は、プラグコネクタ6の嵌合凹部62に嵌り、一方、レセプタクルコネクタ2の嵌合凹部16に、プラグコネクタ6の周壁61が嵌る。
【0018】
図3乃至図5にそれぞれ、端子20、30を、これら端子20、30がハウジング10に固定されている際の配列状態で示す。図3は、端子の側面図を、図4は、その正面図を、図5は、その背面図を、それぞれ示している。
【0019】
端子20は、レセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ6の嵌合時にプラグコネクタ6の端子70の周壁61の一部が挿入される略Uの字状部分21と、基板8に実装される基板実装部23と、更に略Uの字状部分21と基板実装部23の間に延びる中間部25を含む。
【0020】
略Uの字状部分21は、その一方の端部にプラグコネクタ6の端子70のいずれかの部分と弾性接触し得る接点21aを備えた弾性変位部210を有し、更に、弾性変位部210を弾性変位可能に支持する第一垂直部250及び第一水平部251を含む。第一水平部251は、基板8に対して水平方向(x)に延び、一方、第一垂直部250は、基板面8aに対して垂直な方向(z)に延びている。
【0021】
中間部25は、第一水平部251と同様に基板8に対して水平方向(x)に延びる第二水平部253と、第一垂直部250と同様に基板面8aに対して垂直な方向(z)に延びる第二垂直部255、及び、これらの一方の端部同士を繋ぐ側面視略直角の曲げ部254を含む。第二水平部253の他方の端部は、側面視略180度反転する湾曲部252を通じて略Uの字状部分21の他方の端部と接続されている。第二垂直部255は、第一垂直部250よりも、嵌合方向に沿った方向(x)においてプラグコネクタ6との嵌合側から遠い側(n)に配置される。
【0022】
基板実装部23は、第二垂直部255の他方の端部に設けられており、第二垂直部255よりも、嵌合方向に沿った方向(x)においてプラグコネクタ6との嵌合側から遠い側(n)に配置されている。
【0023】
一方、端子30は、レセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ6の嵌合時にプラグコネクタ6の端子70の周壁61の一部が挿入され得る略Uの字状部分31と、基板8に実装される基板実装部33と、更に略Uの字状部分31と基板実装部33の間に延びる中間部35を含む。
【0024】
略Uの字状部分31は、その一方の端部にプラグコネクタ6の端子70のいずれかの部分と弾性接触し得る接点31aを備えた弾性変位部310を有し、更に、弾性変位部310を弾性変位可能に支持する第一垂直部350及び第一水平部351を含む。第一水平部351は、基板8に対して水平な方向(x)に延び、一方、第一垂直部350は、第二垂直部255よりも、嵌合方向に沿った方向(x)においてプラグコネクタ6との嵌合側に近い側(m)で、基板面8aに対して垂直な方向(z)に延びている。
【0025】
中間部35は、基板面8aに対して垂直な方向(z)に延びる部分として形成されており、一方の端部において、湾曲部352を通じて略Uの字状部分31の他方の端部と接続されている。
【0026】
基板実装部33は、中間部35の他方の端部に設けられており、第一垂直部350よりも、嵌合方向に沿った方向(x)においてプラグコネクタ6との嵌合側に近い側(m)に配置されている。
【0027】
端子20、30がハウジング10に固定されたとき、端子20の接点21aと端子30の接点31aは、基板面8aに対して垂直な方向(z)おいて、互いに離間された状態で段状に、更に言えば、接点21aは接点31aよりも基板8から離れた位置に位置付けられる。接点21a、31aを含む弾性変位部210、310の変位を許容するため、ハウジング10の島部11には、変位空間11aが設けられている。
【0028】
図6に、図2のA-A線断面図を、図7に、図6のB-B線断面図を、更に、図8に、図6のC-C線断面図を、それぞれ示す。
端子20、30は、ハウジング10にインサート成形により固定され、少なくともいずれかの部分は、ハウジング10に埋め込まれた状態にある。但し、ハウジング10にインサート成形された後も、端子20、30の一部、即ち、嵌合方向(x1)におけるプラグコネクタ6との嵌合側(m)、例えば、弾性変位部210、310のように、嵌合時にプラグコネクタ6の端子70と接触し得る部分は、ハウジング10の外部に露出している。また、嵌合方向(x1)におけるプラグコネクタ6との嵌合側とは反対側(n)においても、基板8に半田付けされる基板実装部23、33に加えて、端子20の第一垂直部250及び端子30の第一垂直部350の、特に、嵌合方向(x1)と交差する面(y-z面)に沿って延在する第一及び第二の面250a、350aの一部の領域250c、350cは、ハウジング10の外部に露出したままである。
【0029】
第一垂直部250、350における露出部について更に詳細に説明する。以下の説明では、第一垂直部(第一の端子部分)250及び第一垂直部(第一の端子部分)350に加え、更に、端子20の第二垂直部(第二の端子部分)255に注目する。
【0030】
第一垂直部250、350、及び、第二垂直部255は各々、嵌合方向(x1)におけるプラグコネクタ6との嵌合側とは反対側(n)に、嵌合方向(x1)と交差する面(y-z面)に沿って延在する第一の面250a、350a、及び、第二の面255aをそれぞれ有する。
これら第一垂直部250、350、及び、第二垂直部255を、嵌合方向(x1)におけるプラグコネクタ6との嵌合側とは反対側(n)から、嵌合方向に沿った方向(x)から見たときに(図5参照)、第一の面250a、350aの少なくとも一部250b、350bは、第二垂直部255と重複していない。この結果、重複していない部分250b、350bの少なくとも一部の領域250c、350c(図7図8参照)は、ハウジング10に設けた第一開口13(図7図1参照)、第二開口14(図8図1参照)を通じてハウジング10の外部に露出した状態とすることができる。尚、これら外部に露出させた少なくとも一部の領域250c、350cは、図面からも明らかなように、少なくとも嵌合方向(x1)と交差する面(y-z面)において、第一の面250a、350aの面積を、第二垂直部255の面積よりも大きく設定することによって設けられている。
【0031】
このように、本構成によるレセプタクルコネクタ2では、第一垂直部250、350における第一の面250a、350aの少なくとも一部の領域250c、350cが、ハウジング10に設けた第一開口13、第二開口14を通じてハウジング10の外部に露出した状態とされ得ることから、これらの面250a、350aの所定の領域250c、350cにおいて、端子20、30を、金型(図示されていない)で押さえることにより、射出された樹脂によって端子を位置ずれさせることなく、安定した状態でインサート成形を行うことができるようになっている。
【0032】
図9乃至図13を参照して、第二の実施形態を説明する。特に説明しない点については、第一の実施形態と同様と考えてよい。これらの図において、第一の実施形態と同様の又は対応する部材には、同じ参照番号に「A」の文字を付している。
【0033】
図9は、端子の側面図を、図10は、その背面図を、それぞれ示す。また、図11は、第一の実施形態における図2のA-A線断面図に相当する断面図を、図12は、第一の実施形態における図6のB-B線断面図に相当する断面図を、更に、図13は、同図6のC-C線断面図に相当する断面図を、それぞれ示す。
【0034】
端子20Aは、第一の実施形態における端子20と同様に、略Uの字状部分21Aと、基板8に実装される基板実装部23Aと、更に略Uの字状部分21Aと基板実装部23Aの間に延びる中間部25Aを含む。
これらのうち、略Uの字状部分21A及び基板実装部23Aは、第一実施形態におけるものと同じ構成を有しているのに対し、中間部25Aは、嵌合方向に沿った方向(x)における経路をx-y面において斜めに傾斜させる斜部260を有する点で、言い換えれば、斜部260を設けることによって、略Uの字状部分21Aと第二垂直部255Aが、嵌合方向に沿った方向(x)から見たときに、嵌合方向(x1)と交差する面(y-z面)において互いに重ならないように調整している点で、第一の実施形態における構成とは異なる。尚、端子30Aは、第一の実施形態のける端子30と全く同じ構成を有すると考えてよい。
【0035】
第二の実施形態では、端子20Aの第一垂直部250A及び端子30Aの第一垂直部350Aの、特に、嵌合方向と交差する面(y-z面)に沿って延在する第一の面250aA及び第二の面350aAのうち、嵌合方向に沿った方向(x)から見たときに(図10参照)、第一の面250aA、350aAの少なくとも一部250bA、350bAは、第二垂直部255Aと重複しておらず、この結果、重複していない部分250bA、350bAの少なくとも一部の領域250cA(図12等参照)、350cA(図13等参照)を、第一開口13A、第二開口14Aを通じて、金型を設置するために使用することができる。第一の実施形態との主たる相違は、第二の実施形態では、これら少なくとも一部の領域250cA、350cAを、少なくとも嵌合方向(x1)と交差する面(y-z面)において、第一垂直部250A、350Aと第二垂直部255Aとを互いにずらすことによって設けている点にある。
【0036】
図14乃至図18を参照して、第三の実施形態を説明する。特に説明しない点については、第一の実施形態と同様と考えてよい。これらの図において、第一の実施形態と同様の又は対応する部材には、同じ参照番号に「B」の文字を付している。
【0037】
図14は、端子の側面図を、図15は、その背面図を、それぞれ示す。また、図16は、第一の実施形態における図2のA-A線断面図に相当する断面図を、図17は、第一の実施形態における図6のB-B線断面図に相当する断面図を、更に、図18は、同図6のC-C線断面図に相当する断面図を、それぞれ示す。
【0038】
第三の実施形態における端子20B、30Bは、それぞれ、第一実施形態で用いた端子20、30と全く同じ構成を有する。
【0039】
第三の実施形態では、端子30Bの第一垂直部350Bの、特に、嵌合方向と交差する面(y-z面)に沿って延在する第二の面350aBのうち、嵌合方向に沿った方向(x)から見たときに(図15参照)、第一の面350aBの少なくとも一部350bBは、第二垂直部255Bと重複しておらず、この結果、重複していない部分350bBの少なくとも一部の領域350cB(図18等参照)を、第二開口14Bを通じて、金型を設置するために使用することができる。第一の実施形態との主たる相違は、第三の実施形態では、このような少なくとも一部の領域350cBを、少なくとも嵌合方向(x1)と交差する面(y-z面)において、端子20B、30B同士を互いにずらすことによって設けている点にある。
【0040】
本発明は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、2種類の端子20、30を用いているが、特に、端子20については、それ単独で、第一垂直部250と、第二垂直部255を有することから、端子20それ単独で、本発明を実施、例えば、第一の実施形態を実施することができる。従って、本発明は、2種類の端子20、30を用いた場合に限定されるものではない。
【0041】
本発明に関連する分野の当業者であれば、上記の説明で示された教示の助けを借りれば、本発明の多くの修正形態または他の実施形態を思いつくであろうし、当業者には、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明の変形および修正を行うことができることは明らかであろう。したがって、本発明は、開示されている特有の実施形態に限定されず、修正形態およびその他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれるよう意図されているものと理解されたい。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらの用語は、限定目的ではなく、一般的かつ説明的な意味で用いられているに過ぎない。
【符号の説明】
【0042】
x1 嵌合方向
1 コネクタ装置
2 レセプタクルコネクタ
6 プラグコネクタ(相手コネクタ)
10 ハウジング
13 開口
14 開口
20 端子
30 端子
250 第一垂直部(第一の端子部分)
350 第一垂直部(第一の端子部分)
255 第二垂直部(第二の端子部分)
250a 第一の面
350a 第一の面
255a 第二の面
250b 重複していない部分(第一の面250aの少なくとも一部)
350b 重複していない部分(第一の面350aの少なくとも一部)
250c 一部の領域(重複していない部分250bの少なくとも一部)
350c 一部の領域(重複していない部分350bの少なくとも一部)
図1
図2
図3
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図6
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図18