(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】水素濃度推定方法及び燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0444 20160101AFI20240430BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240430BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20240430BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20240430BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20240430BHJP
【FI】
H01M8/0444
H01M8/04 Z
H01M8/04537
H01M8/0438
H01M8/0432
(21)【出願番号】P 2021066073
(22)【出願日】2021-04-08
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】本村 浩平
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102288(JP,A)
【文献】特開2003-132929(JP,A)
【文献】特開2003-130291(JP,A)
【文献】特開2020-038759(JP,A)
【文献】特開2007-109428(JP,A)
【文献】特開2010-225430(JP,A)
【文献】特開2005-129243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04- 8/0668
B60L 50/00-50/90
B60L 58/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパラメータに基づいて燃料電池の発電を制御する燃料電池システムにおいて、前記燃料電池に供給される燃料ガス内の水素の濃度を推定する水素濃度推定方法であって、
前記燃料電池システムは、
前記複数のパラメータのうちの水素の濃度以外のパラメータを取得するステップと、
前記水素の濃度以外のパラメータに基づいて、前記水素の基準濃度に対応する、前記燃料電池の出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報を求めるステップと、
前記出力電流及び前記出力電圧を測定するステップと、
前記情報において前記測定した出力電流に対応する前記出力電圧と前記測定した出力電圧との電圧差を求めるステップと、
前記電圧差に基づいて、前記水素の濃度を推定するステップと、
を有する水素濃度推定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水素濃度推定方法であって、
前記燃料電池システムは、前記水素の濃度以外のパラメータとして、前記燃料電池に供給される酸化剤ガスの圧力及びストイキ、前記燃料電池に供給される冷媒の温度及び流量、並びに前記燃料電池の劣化度を取得する
ことを特徴とする水素濃度推定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の水素濃度推定方法であって、
前記燃料電池システムは、前記水素の濃度以外のパラメータとして、前記燃料ガスの圧力及びストイキをさらに取得する
ことを特徴とする水素濃度推定方法。
【請求項4】
請求項1に記載の水素濃度推定方法であって、
前記燃料電池システムは、前記燃料電池システムが起動してから所定時間経過後に、前記水素の濃度以外のパラメータを取得する
ことを特徴とする水素濃度推定方法。
【請求項5】
燃料電池と、
複数のパラメータに基づいて前記燃料電池の発電を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数のパラメータのうちの水素の濃度以外のパラメータに基づいて、前記水素の基準濃度に対応する、前記燃料電池の出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報を求めるとともに、前記出力電流及び前記出力電圧を測定し、前記情報において前記測定した出力電流に対応する前記出力電圧と前記測定した出力電圧との電圧差に基づいて、前記水素の濃度を推定する
ことを特徴とする燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に供給される燃料ガス内の水素の濃度を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水素濃度推定方法として、燃料ガスを圧縮して燃料電池に供給するためのポンプのモータに流れる電流に基づいて、燃料ガス内の水素の濃度を推定するものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
ところで、燃料電池に供給される燃料ガスの圧力と燃料電池から排出される燃料ガスの圧力との比である圧損や燃料ガス内の水素以外のガスの分圧(NH分圧など)が変化すると、水素の濃度が変化するおそれがある。
【0004】
そのため、上記水素濃度推定方法では、燃料電池における圧損や水素以外のガスの分圧に応じて、燃料電池に供給するためのポンプのモータに流れる電流を変化させない場合、燃料電池における圧損や水素以外のガスの分圧に応じて、水素の濃度の推定値が変化するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、燃料電池における圧損や水素以外のガスの分圧が変化しても、燃料電池に供給される燃料ガス内の水素の濃度を精度よく推定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である水素濃度推定方法は、複数のパラメータに基づいて燃料電池の発電を制御する燃料電池システムにおいて、前記燃料電池に供給される燃料ガス内の水素の濃度を推定する水素濃度推定方法であって、前記燃料電池システムは、前記複数のパラメータのうちの前記水素の濃度以外のパラメータを取得するステップと、前記水素の濃度以外のパラメータに基づいて、前記水素の基準濃度に対応する、前記燃料電池の出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報を求めるステップと、前記出力電流及び前記出力電圧を測定するステップと、前記情報において前記測定した出力電流に対応する前記出力電圧と前記測定した出力電圧との電圧差を求めるステップと、前記電圧差に基づいて、前記水素の濃度を推定するステップとを有する。
【0008】
燃料電池における圧損や水素以外のガスの分圧が変化すると、燃料電池の出力電圧が変化する場合がある。そのため、燃料電池の出力電圧と、水素の濃度以外のパラメータとから水素の濃度を推定することにより、燃料電池における圧損や水素以外のガスの分圧の影響を受け難い状態で水素の濃度を推定することができる。これにより、燃料電池における圧損や水素以外のガスの分圧が変化しても、水素の濃度を精度よく推定することができる。
【0009】
また、前記燃料電池システムは、前記水素の濃度以外のパラメータとして、前記燃料電池に供給される酸化剤ガスの圧力及びストイキ、前記燃料電池に供給される冷媒の温度及び流量、並びに前記燃料電池の劣化度を取得するように構成してもよい。
【0010】
このように、水素の濃度以外のパラメータとして、酸化剤ガスの圧力及びストイキ、冷媒の温度及び流量、並びに燃料電池の劣化度を取得する場合、パラメータの変化に伴う燃料電池の出力電圧の変動量を比較的大きくすることができる。そのため、パラメータの誤差の影響を低減して、燃料電池の出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報を求めることができ、水素の濃度の推定精度を向上させることができる。
【0011】
また、前記燃料電池システムは、前記水素の濃度以外のパラメータとして、前記燃料ガスの圧力及びストイキをさらに取得するように構成してもよい。
【0012】
このようにパラメータを増やすことにより、燃料電池の出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報をさらに精度よく求めることができるため、水素の濃度の推定精度をさらに向上させることができる。
【0013】
また、前記燃料電池システムは、前記燃料電池システムが起動してから所定時間経過後に、前記水素の濃度以外のパラメータを取得するように構成してもよい。
【0014】
これにより、比較的安定した後のパラメータを取得することができるため、燃料電池の出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報を精度よく求めることができ、水素の濃度の推定精度をさらに向上させることができる。
【0015】
本発明に係る一つの形態である燃料電池システムは、燃料電池と、複数のパラメータに基づいて前記燃料電池の発電を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記複数のパラメータのうちの水素の濃度以外のパラメータに基づいて、前記水素の基準濃度に対応する、前記燃料電池の出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報を求めるとともに、前記出力電流及び前記出力電圧を測定し、前記情報において前記測定した出力電流に対応する前記出力電圧と前記測定した出力電圧との電圧差に基づいて、前記水素の濃度を推定する。
【0016】
これにより、燃料電池における圧損や水素以外のガスの分圧が変化しても、水素の濃度を精度よく推定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、燃料電池における圧損や水素以外のガスの分圧が変化しても、燃料電池に供給される燃料ガス内の水素の濃度を精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の燃料電池システムの一例を示す図である。
【
図2】燃料電池の劣化度を推定する方法を説明するための図である。
【
図3】各種パラメータに対応する、燃料電池の出力電流と出力電圧との相関関係示す情報の一例を示す図である。
【
図4】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】制御部の動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図6】水素濃度推定方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
【0020】
図1は、実施形態の燃料電池システムの一例を示す図である。
【0021】
図1に示す燃料電池システム1は、フォークリフトなどの産業車両や自動車などの車両Veに搭載され、負荷Loなどに電力を供給する。なお、負荷Loは、走行用モータを駆動するインバータなどとする。
【0022】
また、燃料電池システム1は、燃料電池FCと、水素タンクHTと、水素タンク弁HTVと、インジェクタINJと、気液分離機GLSと、水素循環ポンプHPと、排気排水弁EDVと、エアコンプレッサACPと、エア調圧弁ARVと、エアシャット弁ASVとを備える。
【0023】
また、燃料電池システム1は、さらに、ラジエタRと、ファンFと、ウォータポンプWPと、インタークーラICと、DCDCコンバータCNVと、蓄電装置Bと、圧力センサPaと、流量センサFaと、圧力センサPhと、温度センサTと、電流センサSiと、電圧センサSvと、記憶部2と、制御部3とを備える。
【0024】
燃料電池FCは、互いに直列接続される複数の燃料電池セルにより構成される燃料電池スタックであり、燃料ガス(水素ガスなど)に含まれる水素と酸化剤ガス(空気など)に含まれる酸素との電気化学反応により電気を発生させる。
【0025】
水素タンクHTは、燃料ガスの貯蔵容器である。水素タンクHTに貯蔵された燃料ガスは水素タンク弁HTV及びインジェクタINJを介して燃料電池FCに供給される。
【0026】
水素タンク弁HTVは、燃料電池FCに供給される燃料ガスを減圧する。
【0027】
インジェクタINJは、燃料電池FCに供給される燃料ガスの流量を調整する。
【0028】
気液分離機GLSは、燃料電池FCから排出される燃料ガスと液水とを分離する。
【0029】
水素循環ポンプHPは、気液分離機GLSにより分離された燃料ガスを燃料電池FCに再度供給する。
【0030】
排気排水弁EDVは、気液分離機GLSにより分離された液水を外部に排出する。
【0031】
エアコンプレッサACPは、酸化剤ガスを圧縮しインタークーラIC及びエアシャット弁ASVを介して燃料電池FCに供給する。
【0032】
インタークーラICは、酸化剤ガスをインタークーラICに流れる冷却水などの冷媒と熱交換させる。
【0033】
エアシャット弁ASVは、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスを遮断する。
【0034】
エア調圧弁ARVは、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスの圧力や流量を調整する。
【0035】
ラジエタRは、燃料電池FCの発熱により温められた冷媒を外気と熱交換させる。
【0036】
ファンFは、ラジエタRの放熱量を上昇させる。
【0037】
ウォータポンプWPは、ラジエタRにより冷却された冷媒をインタークーラICを介して燃料電池FCに供給する。
【0038】
DCDCコンバータCNVは、燃料電池FCの後段に接続され、燃料電池FCから出力される電力をエアコンプレッサACPや水素循環ポンプHPなどの補機及び蓄電装置Bに供給する。
【0039】
蓄電装置Bは、リチウムイオンキャパシタなどにより構成され、DCDCコンバータCNVと負荷Loとの間に接続されている。また、蓄電装置Bは、負荷Loや補機に電力を供給する。
【0040】
圧力センサPaは、インタークーラICとエアシャット弁ASVとの間に接続され、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスの圧力を測定し、その測定した圧力を制御部3に送る。なお、圧力センサPaの接続位置は、酸化剤ガスの圧力を測定することが可能であれば、特に限定されない。
【0041】
流量センサFaは、エアコンプレッサACPの入力段に接続され、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスの流量(単位時間あたりに燃料電池FCに供給される酸化材ガスの量)を測定し、その測定した流量を制御部3に送る。
【0042】
圧力センサPhは、インジェクタINJと水素循環ポンプHPとの接続点と、燃料電池FCとの間に接続され、燃料電池FCに供給される燃料ガスの圧力を測定し、その測定した圧力を制御部3に送る。
【0043】
温度センサTは、サーミスタなどにより構成され、インタークーラICと燃料電池FCとの間に接続されている。また、温度センサTは、燃料電池FCに供給される冷媒の温度を測定し、その測定した温度を制御部3に送る。
【0044】
電流センサSiは、シャント抵抗やホール素子などにより構成され、燃料電池FCとDCDCコンバータCNVとの間に接続されている。また、電流センサSiは、燃料電池FCの出力電流を測定し、その測定した電流を制御部3に送る。
【0045】
電圧センサSvは、分圧抵抗などにより構成され、燃料電池FCとDCDCコンバータCNVとの間に接続されている。また、電圧センサSvは、燃料電池FCの出力電圧を測定し、その測定した出力電圧を制御部3に送る。
【0046】
記憶部2は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリにより構成され、後述する情報M11などを記憶する。
【0047】
制御部3は、マイクロコンピュータなどにより構成される。
【0048】
また、制御部3は、燃料電池FCの発電制御時、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度以外のパラメータを取得する。例えば、制御部3は、水素の濃度以外のパラメータとして、燃料電池FCに供給される燃料ガスの圧力及びストイキ、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスの圧力及びストイキ、燃料電池FCに供給される冷媒の温度及び流量、並びに燃料電池FCの劣化度を取得する。なお、制御部3は、インジェクタINJの開度や水素循環ポンプHPの駆動用モータの回転数などに基づいて、燃料ガスの流量を算出する。また、制御部3は、ウォータポンプWPの駆動用モータの回転数に基づいて、冷媒の流量を算出する。また、制御部3は、燃料電池FCから目標電力が出力されているときの燃料ガスの流量に対する、算出した燃料ガスの流量の割合を、燃料ガスのストイキとする。また、制御部3は、燃料電池FCから目標電力が出力されているときの酸化剤ガスの流量に対する、流量センサFaにより測定される流量の割合を、酸化剤ガスのストイキとする。
【0049】
また、制御部3は、燃料電池FCの発電制御時、取得したパラメータと燃料電池FCの出力電圧とに基づいて、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度を推定する。
【0050】
また、制御部3は、燃料電池FCの発電制御時、蓄電装置Bの充電量に応じて、目標電力を変化させる。なお、充電量とは、蓄電装置Bの満充電容量に対する残容量の割合[%](充電率)、または、蓄電装置Bに電流が流れていないときの蓄電装置Bの電圧[V]とする。
【0051】
また、制御部3は、燃料電池FCの発電制御時、取得したパラメータと推定した水素の濃度とに基づいて、燃料電池FCの出力電力が目標電力になるように、水素タンク弁HTV、インジェクタINJ、水素循環ポンプHP、排気排水弁EDV、エアコンプレッサACP、エア調圧弁ARV、エアシャット弁ASV、ファンF、及びウォータポンプWPなどの補機を駆動させる。
【0052】
また、制御部3は、燃料電池FCの出力電圧を用いて、燃料電池FCの劣化度を推定する。
【0053】
図2は、燃料電池FCの劣化度を推定する方法を説明するための図である。なお、
図2に示す2次元座標の横軸は燃料電池システム1の稼働日数[日]を示し、縦軸は燃料電池FCの出力電圧[V]を示している。また、
図2に示す実線円は、1日において複数回測定される燃料電池FCの出力電圧の平均値を示している。また、
図2に示す破線円は、過去に求められた複数の出力電圧の平均値に基づく出力電圧の推定値を示している。
図2に示す例では、過去7日分の出力電圧の平均値に基づいて、8日目の出力電圧が推定されている。また、
図2に示す2次元座標の横軸を燃料電池システム1の稼働合計時間としてもよい。
【0054】
例えば、制御部3は、最小二乗法などの線形近似を用いて、過去7日分の出力電圧の平均値に近似する直線Lを
図2に示す2次元座標上に形成した後、その直線Lと稼働日数8日目との交点を、稼働日数8日目における燃料電池FCの出力電圧として推定する。次に、制御部3は、工場出荷時または使用当初の燃料電池FCの出力電圧に対する、推定した出力電圧の割合を、稼働日数8日目における燃料電池FCの劣化度とする。
【0055】
図3は、複数のパラメータにそれぞれ対応する、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報(電池性能曲線)の一例を示す図である。なお、
図3(a)~
図3(h)に示す各2次元座標の横軸は燃料電池FCの出力電流として電流密度[A/cm
2]を示し、縦軸は燃料電池FCの出力電圧[V]を示している。また、電流密度は、燃料電池FCの出力電流を、燃料電池FCとDCDCコンバータCNVとを接続する電力線の断面積で除算した値とする。また、
図3(a)~
図3(h)に示す各2次元座標の横軸に対応するパラメータとして燃料電池FCの出力電流[A]を採用してもよい。
【0056】
図3(a)に示す実線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が濃度C1であるにおける、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M11を示している。また、
図3(a)に示す破線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M12を示している。なお、濃度C1<基準濃度C2とする。また、情報M11、M12は、実験やシミュレーションなどにより予め求められ、記憶部2に記憶されているものとする。
【0057】
図3(b)に示す実線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される燃料ガスの圧力が圧力P11である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M21を示している。また、
図2(b)に示す破線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される燃料ガスの圧力が圧力P12である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M22を示している。なお、圧力P11<圧力P12とする。また、情報M21、M22は、実験やシミュレーションなどにより予め求められ、記憶部2に記憶されているものとする。また、情報M22において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧と、情報M21において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧との電圧差を、電圧差ΔV2とする。
【0058】
図3(c)に示す実線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される燃料ガスのストイキがストイキS11である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M31を示している。また、
図3(c)に示す破線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される燃料ガスのストイキがストイキS12である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M32を示している。なお、ストイキS11<ストイキS12とする。また、情報M31、M32は、実験やシミュレーションなどにより予め求められ、記憶部2に記憶されているものとする。また、情報M32において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧と、情報M31において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧との電圧差を、電圧差ΔV3とする。
【0059】
図3(d)に示す実線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスの圧力が圧力P21である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M41を示している。また、
図3(d)に示す破線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスの圧力が圧力P22である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M42を示している。また、
図3(d)に示す一点鎖線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスの圧力が圧力P23である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M43を示している。なお、圧力P21<圧力P22<圧力P23とする。また、情報M41~M43は、実験やシミュレーションなどにより予め求められ、記憶部2に記憶されているものとする。また、情報M43における比較的大きい出力電流に対応する出力電圧と、情報M41における比較的大きい出力電流に対応する出力電圧との電圧差を、電圧差ΔV4とする。また、電圧差ΔV4は、電圧差ΔV2または電圧差ΔV3に比べて、大きいものとする。
【0060】
図3(e)に示す実線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスのストイキがストイキS21である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M51を示している。また、
図3(e)に示す破線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスのストイキがストイキS22である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M52を示している。また、
図3(e)に示す一点鎖線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される酸化剤ガスのストイキがストイキS23である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M53を示している。なお、ストイキS21<ストイキS22<ストイキS23とする。また、情報M51~M53は、実験やシミュレーションなどにより予め求められ、記憶部2に記憶されているものとする。また、情報M53において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧と、情報M51において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧との電圧差を、電圧差ΔV5とする。また、電圧差ΔV5は、電圧差ΔV2または電圧差ΔV3に比べて、大きいものとする。
【0061】
図3(f)に示す実線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される冷媒の温度が温度T1である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M61を示している。また、
図3(f)に示す破線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される冷媒の温度が温度T2である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M62を示している。また、
図3(f)に示す一点鎖線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される冷媒の温度が温度T3である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す図を示している。なお、温度T1<温度T2<温度T3とする。また、情報M61~M63は、実験やシミュレーションなどにより予め求められ、記憶部2に記憶されているものとする。また、情報M63において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧と、情報M61において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧との電圧差を、電圧差ΔV6とする。また、電圧差ΔV6は、電圧差ΔV2または電圧差ΔV3に比べて、大きいものとする。
【0062】
図3(g)に示す実線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される冷媒の流量が流量F1である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M71を示している。また、
図3(g)に示す破線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCに供給される冷媒の流量が流量F2である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M72を示している。なお、流量F1<流量F2とする。また、情報M71、M72は、実験やシミュレーションなどにより予め求められ、記憶部2に記憶されているものとする。また、情報M72において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧と、情報M71において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧との電圧差を、電圧差ΔV7とする。また、電圧差ΔV7は、電圧差ΔV2または電圧差ΔV3に比べて、大きいものとする。
【0063】
図3(h)に示す実線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCの劣化度が劣化度D1である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M81を示している。また、
図3(h)に示す破線は、燃料電池FCに供給される燃料ガス内の水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCの劣化度が劣化度D2である場合における、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報M82を示している。なお、劣化度D1<劣化度D2とする。また、情報M81、M81は、実験やシミュレーションなどにより予め求められ、記憶部2に記憶されているものとする。また、情報M82において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧と、情報M81において比較的大きい出力電流Ireに対応する出力電圧との電圧差を、電圧差ΔV8とする。また、電圧差ΔV8は、電圧差ΔV2または電圧差ΔV3に比べて、大きいものとする。
【0064】
すなわち、
図3(b)に示す情報M21、M22のように、水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、燃料ガスの圧力が大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。そのため、
図3(a)に示す情報M12において、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、燃料ガスの圧力が大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。例えば、燃料電池FCの出力電流が出力電流Ireである場合において、取得した燃料ガスの圧力が圧力P11から圧力P12に増加すると、圧力P12と圧力P11との差に相当する電圧差ΔV2に応じた電圧分、
図3(a)に示す情報M12における出力電流Ireに対応する出力電圧が増加する。
【0065】
また、
図3(c)に示す情報M31、M32のように、水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、燃料ガスのストイキが大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。そのため、
図3(a)に示す情報M12において、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、燃料ガスのストイキが大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。例えば、燃料電池FCの出力電流が出力電流Ireである場合において、取得した燃料ガスのストイキがストイキS11からストイキS12に増加すると、ストイキS12とストイキS11との差に相当する電圧差ΔV3に応じた電圧分、
図3(a)に示す情報M12における出力電流Ireに対応する出力電圧が増加する。
【0066】
また、
図3(d)に示す情報M41~M43のように、水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCの出力電流が任意の電流である場合、酸化剤ガスの圧力が大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。そのため、
図3(a)に示す情報M12において、酸化剤ガスの圧力が大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。例えば、燃料電池FCの出力電流が出力電圧Ireである場合において、取得した酸化剤ガスの圧力が圧力P21から圧力P23に増加すると、圧力P23と圧力P21との差に相当する電圧差ΔV4の電圧分、
図3(a)に示す情報M12における出力電流Ireに対応する出力電圧が増加する。
【0067】
また、
図3(e)に示す情報M51~M53のように、水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、酸化剤ガスのストイキが大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。そのため、
図3(a)に示す情報M12において、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、酸化剤ガスのストイキが大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。例えば、燃料電池FCの出力電流が出力電流Ireである場合において、取得した酸化剤ガスのストイキがストイキS21からストイキS23に増加すると、ストイキS23とストイキS21との差に相当する電圧差ΔV5に応じた電圧分、
図3(a)に示す情報M12における出力電流Ireに対応する出力電圧が増加する。
【0068】
また、
図3(f)に示す情報M61~M63のように、水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、冷媒の温度が大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。そのため、
図3(a)に示す情報M12において、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、冷媒の温度が大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。例えば、燃料電池FCの出力電流が出力電流Ireである場合において、取得した冷媒の温度が温度T1から温度T3に増加すると、温度T3と温度T1との差に相当する電圧差ΔV6に応じた電圧分、
図3(a)に示す情報M12における出力電流Ireに対応する出力電圧が増加する。
【0069】
また、
図3(g)に示す情報M71、M72のように、水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、冷媒の流量が大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。そのため、
図3(a)に示す情報M12において、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、冷媒の流量が大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が大きくなる。例えば、燃料電池FCの出力電流が出力電流Ireである場合において、取得した冷媒の流量が流量F1から流量F2に増加すると、流量F2と流量F1との差に相当する電圧差ΔV7に応じた電圧分、
図3(a)に示す情報M12における出力電流Ireに対応する出力電圧が増加する。
【0070】
また、
図3(h)に示す情報M81、M82のように、水素の濃度が基準濃度C2である場合で、かつ、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、燃料電池FCの劣化度が大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が小さくなる。そのため、
図3(a)に示す情報M12において、燃料電池FCの出力電流が比較的大きい場合、燃料電池FCの劣化度が大きくなるほど、燃料電池FCの出力電圧が小さくなる。例えば、燃料電池FCの出力電流が出力電流Ireである場合において、取得した燃料電池FCの劣化度が劣化度D1から劣化度D2に増加した場合、劣化度D2と劣化度D1との差に相当する電圧差ΔV8に応じた電圧分、
図3(a)に示す情報M12における出力電流Ireに対応する出力電圧が減少する。
【0071】
このように、水素の濃度以外の複数のパラメータを用いて、水素の濃度が基準濃度C2である場合の情報M12に示される出力電圧を変化させることができる。そのため、水素の濃度以外の複数のパラメータの影響を受けて変動した情報M12´を求めることができる。
【0072】
また、情報M12´において電流センサSiにより測定された電流に対応する出力電圧と、電圧センサSvにより測定された電圧との電圧差ΔVは、基準濃度C2と実際の水素の濃度との差と相関関係がある。そのため、電圧差ΔVに基づいて、実際の水素の濃度を推定することができる。
【0073】
すなわち、実施形態の燃料電池システム1は、水素の濃度以外のパラメータから情報M12´を求め、その求めた情報M12´において電流センサSiにより測定された電流に対応する出力電圧と電圧センサSvにより測定された電圧との電圧差ΔVに基づいて水素の濃度を推定する。
【0074】
上述したように、燃料電池FCの出力電圧は燃料電池FCにおける圧損や水素以外のガスの分圧の影響を受けて変化する場合がある。そのため、実施形態の燃料電池システム1のように、燃料電池FCの出力電圧と水素の濃度以外のパラメータとから水素の濃度を推定することにより、燃料電池FCにおける圧損や水素以外のガスの分圧の影響を受け難い状態で水素の濃度を推定することができる。これにより、燃料電池FCにおける圧損や水素以外のガスの分圧が変化しても、水素の濃度を精度よく推定することができる。
【0075】
また、実施形態の燃料電池システム1によれば、水素の濃度をオンタイムで取得することができるため、排気水素濃度を目標値と一致するようにコントロールすることができる。
【0076】
また、実施形態の燃料電池システム1によれば、圧力センサPaや流量センサFaなどの既存のセンサを用いてパラメータを取得することができるため、パラメータを取得するためのセンサを新たに備える必要がなく、燃料電池システム1の製造コストの増大を抑制することができる。
【0077】
【0078】
まず、制御部3は、車両Veのイグニッションがオンすると(ステップS11:Yes)、燃料電池システム1を起動し、水素の濃度以外のパラメータを取得する(ステップS12)。例えば、制御部3は、運転者などによりイグニッションキーが操作された旨を、車両Veに搭載される不図示の走行制御部から受信すると、イグニッションがオンしたと判断する。
【0079】
次に、制御部3は、ステップS12で取得したパラメータに基づいて、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報を求め(ステップS13)、電流センサSi及び電圧センサSvにより燃料電池FCの出力電流及び出力電圧を測定する(ステップS14)。
【0080】
そして、制御部3は、ステップS13で求めた情報を参照してステップS14で取得した出力電流に対応する出力電圧と、ステップS14で取得した出力電圧との電圧差ΔVを求め(ステップS15)、その電圧差ΔVに基づいて、燃料ガス内の水素の濃度を推定する(ステップS16)。
【0081】
なお、制御部3は、
図5に示すように、車両Veのイグニッションがオンすることで燃料電池システム1が起動してから所定時間経過すると(ステップS11:Yes、ステップS11´:Yes)、ステップS12において、水素の濃度以外のパラメータを取得するように構成してもよい。これにより、比較的安定した後のパラメータを取得することができるため、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報を精度よく求めることができ、水素の濃度の推定精度をさらに向上させることができる。
【0082】
図6は、水素濃度推定方法の一例を説明するための図である。なお、
図6に示す2次元座標の横軸は燃料電池FCの出力電流として電流密度[A/cm
2]を示し、縦軸は燃料電池FCの出力電圧[V]を示している。また、
図6に示す実線は、酸化剤ガスの圧力やストイキなど、水素の濃度以外のパラメータを用いて求めた情報M12´とする。また、電流センサSiにより電流Ireが測定され、電圧センサSvにより電圧V1が測定される場合を想定する。
【0083】
このような場合において、まず、制御部3は、車両Veのイグニッションがオンすると、燃料電池システム1を起動し、水素の濃度以外のパラメータとして、酸化剤ガスの圧力やストイキ、冷媒の温度や流量、及び燃料電池FCの劣化度を取得する。このように、水素の濃度以外のパラメータとして、酸化剤ガスの圧力及びストイキ、冷媒の温度及び流量、並びに燃料電池の劣化度を取得する場合、パラメータの変化に伴う燃料電池FCの出力電圧の変動量を比較的大きくすることができる。そのため、パラメータの誤差の影響を低減して、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報を求めることができ、水素の濃度の推定精度を向上させることができる。
【0084】
なお、制御部3は、水素の濃度以外のパラメータとして、酸化剤ガスの圧力やストイキ、冷媒の温度や流量、及び燃料電池FCの劣化度の他に、燃料ガスの圧力やストイキをさらに取得するように構成してもよい。このようにパラメータを増やすことにより、燃料電池FCの出力電流と出力電圧との相関関係を示す情報をさらに精度よく求めることができるため、水素の濃度の推定精度をさらに向上させることができる。
【0085】
次に、制御部3は、取得したパラメータに基づいて、情報M12´を求める。
【0086】
次に、制御部3は、電流Ire及び電圧V1を測定し、情報M12´と電流Ireとの交点に対応する電圧V2と、電圧V1との電圧差ΔVを求める。
【0087】
そして、制御部3は、電圧差ΔVに定数αを乗算した結果を、水素の濃度として推定する。なお、定数αは、燃料電池FCから電流Ire及び電圧V1が出力されている場合における、基準濃度C2に対応する実際の水素濃度の割合とする。
【0088】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 燃料電池システム
2 記憶部
3 制御部
Ve 車両
Lo 負荷
FC 燃料電池
HT 水素タンク
HTV 水素タンク弁
INJ インジェクタ
GLS 気液分離機
HP 水素循環ポンプ
EDV 排気排水弁
ACP エアコンプレッサ
ARV エア調圧弁
ASV エアシャット弁
R ラジエタ
F ファン
WP ウォータポンプ
IC インタークーラ
CNV DCDCコンバータ
B 蓄電装置
Pa 圧力センサ
Fa 流量センサ
Ph 圧力センサ
T 温度センサ
Si 電流センサ
Sv 電圧センサ