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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】金の探査器
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/08 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G01V3/08 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021164284
(22)【出願日】2021-10-05
(65)【公開番号】P2023055134
(43)【公開日】2023-04-17
【審査請求日】2024-02-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399116054
【氏名又は名称】上森 三郎
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上森 三郎
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-179048(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0102031(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0146325(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107356974(CN,A)
【文献】特開2023-035530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00 - 99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
L字型の金属棒を有する探査部と、
前記探査部の前記金属棒の一端側を、回転自在に把持するための把持部と、
金又は金合金からなり、前記探査部の前記金属棒の他端から垂下するアンテナと、
前記金属棒を挟んで対向する少なくとも一対の第一永久磁石を有し、前記金属棒の一端側から見た際に、前記金属棒を中心として、右回転の磁力線を形成する第一磁界発生器と、
を備える、金の探査器。
【請求項2】
前記アンテナに、金又は金合金からなり、水平方向に臨む面を有する板状の電極部を設けている請求項1記載の金の探査器。
【請求項3】
前記第一磁界発生器は、正四角形の仮想枠の各辺に沿って、且つ前記仮想枠の中心に対して等距離になるように配列された二対の前記第一永久磁石を備える、請求項1又は2に記載の金の探査器。
【請求項4】
前記第一磁界発生器は、前記把持部に配置されている請求項1から3のいずれかに記載の金の探査器。
【請求項5】
前記第一磁界発生器よりも前記金属棒の一端側に、少なくとも一対の第二永久磁石を有する第二磁界発生器をさらに備え、
前記一対の第二永久磁石は、前記金属棒を挟んで互いに対向し、互いに対向する面側が同一磁極である、請求項1から4のいずれかに記載の金の探査器。
【請求項6】
前記第二磁界発生器は、正四角形の仮想枠の各辺に沿って、且つ前記仮想枠の中心に対して等距離になるように配列された二対の前記第二永久磁石を有し、隣接する第二永久磁石の前記金属棒に臨む面側の磁極が互いに逆極性である、請求項5に記載の金の探査器。
【請求項7】
前記把持部は、前記第一磁界発生器、及び前記第二磁界発生器を保持するための保持具を有する、請求項5又は6に記載の金の探査器。
【請求項8】
前記金属棒は、IACS導電率が70%以上である、請求項1~7のいずれかに記載の金の探査器。
【請求項9】
前記金属棒は、クロム銅を含む、請求項8に記載の金の探査器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の金の探査器の構成を有する、ダウジングロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中等に存在する金を探査するために用いられる金の探査器に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に存在する金属を探査する金属探査器として、レーダの原理を応用したものが知られている。例えば特許文献1には、送信アンテナから発信された電磁波を、地中に向けて送信し、地中の金属から反射された反射電磁波を、受信アンテナで受信することにより、金属が存在することを探知するものが開示されている。
なお、金だけを探査することができる探査器は現在まで存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-212324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の金属探査器は、探査対象が金属全般であり、金に特化した探査ができないという問題があった。また、上記金属探査器は、電磁波の生成装置、反射電磁波を演算処理するための演算処理装置、反射電磁波の受信状態を表示し、記録するための表示記録装置、これらの装置の駆動を制御するための駆動制御装置等が必要であるので、金属探査器の構造が複雑になるという問題があった。
【0005】
なお、ダウジングロッドは、玩具として市販されており、余興として楽しまれている。
【0006】
本発明は、構造が簡素で金に特化した探査が可能な金の探査器を提供することを目的としている。また、本発明の金の探査器は、ダウジングロッドの玩具としても利用することも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、L字型の金属棒を有する探査部と、上記探査部の上記金属棒の一端側を、回転自在に把持するための把持部と、金又は金合金からなり、上記探査部の上記金属棒の他端から垂下するアンテナと、上記金属棒を挟んで対向する少なくとも一対の第一永久磁石を有し、上記金属棒の一端側から見た際に、上記金属棒を中心として、右回転の磁力線を形成する第一磁界発生器と、を備える金の探査器である。
また、本発明の金の探査器は、余興としてダウジングロッドを楽しむための、玩具としても利用できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる金の探査器は、簡素な構造にて金に特化した探査が可能となる。
【0009】
なお、本発明の金の探査器は、玩具としても用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る、金の探査器の側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る、金の探査器の使用形態を示す斜視図である。
図3A】探査部の側面図である。
図3B】探査部の側面図である。
図4】第一磁界発生器、及び第二磁界発生器の斜視図である。
図5】第一磁界発生器、及び第二磁界発生器の、図4におけるX-X断面図である。
図6】第一磁界発生器の図1におけるA-A断面図である。
図7】第二磁界発生器の図1におけるB-B断面図である。
図8】保持具の側面図である。
図9】本発明の別実施形態に係る、金の探査器の側面図である。
図10】導線に作用する力の向きを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0012】
(1)本発明の一実施形態に係る金の探査器は、
L字型の金属棒を有する探査部と、
上記探査部の上記金属棒の一端側を、回転自在に把持するための把持部と、
金又は金合金からなり、上記探査部の上記金属棒の他端から垂下するアンテナと、
上記金属棒を挟んで対向する少なくとも一対の第一永久磁石を有し、前記金属棒の一端側から見た際に、前記金属棒を中心として、右回転の磁力線を形成する第一磁界発生器と、
を備える。
【0013】
上記(1)の金の探査器は、簡素な構造にて金に特化した探査が可能である。
【0014】
(2)上記(1)に記載の金の探査器において、上記アンテナに、水平方向に臨む面を有する板状の電極部を設けている。
【0015】
上記(2)に記載の金の探査器は、上記電極部によって、金からの電子をアンテナ側に効果的に導くことができる。
【0016】
(3)上記(1)又は(2)に記載の金の探査器において、上記第一磁界発生器は、正四角形の仮想枠の各辺に沿って、且つ前記仮想枠の中心に対して等距離になるように配列された二対の上記第一永久磁石を備えている。
【0017】
上記(3)に記載の金の探査器は、探査精度を高めることができる。
【0018】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載の金の探査器において、上記第一磁界発生器は、上記把持部に配置されている。
これにより、金の探査器をコンパクトにすることができる。
【0019】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載の金の探査器において、上記第一磁界発生器よりも上記金属棒の一端側に、少なくとも一対の第二永久磁石を有する第二磁界発生器をさらに備え、
上記一対の第二永久磁石は、上記金属棒を挟んで互いに対向し、互いに対向する面側が同一磁極である。
これにより、探査精度をさらに高めることができる。
【0020】
(6)上記(5)に記載の金の探査器において、上記第二磁界発生器は、正四角形の仮想枠の各辺に沿って、且つ前記仮想枠の中心に対して等距離になるように配列された二対の前記第二永久磁石を有し、隣接する第二永久磁石の前記金属棒に臨む面側の磁極が互いに逆極性である。
これにより、隣接する第二永久磁石の端部間の4箇所で、それぞれ磁力線を形成することができ、探査精度をさらに高めることができる。
【0021】
(7)上記(5)又は(6)に記載の金の探査器において、上記把持部は、上記第一磁界発生器、及び上記第二磁界発生器を保持するための保持具を有する。
【0022】
(8)上記(1)~(7)のいずれかに記載の金の探査器において、上記金属棒は、IACS導電率が70%以上である。
【0023】
(9)上記(8)に記載の金の探査器において、上記金属棒は、クロム銅を含む。
【0024】
上記(2)から(9)の金の探査器は、探査対象の探査能が向上する。
【0025】
(10)上記(2)から(9)に記載の金の探査器は、構造が簡素で携行が容易である。
【0026】
(11)上記(1)から(9)のいずれかに記載の金の探査器の構成を有するダウジングロッド。
【0027】
(12)上記(11)のダウジングロッドは、玩具としても用いることができる。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る探査器1の側面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る探査器1の使用形態を示す斜視図である。図3A、及び図3Bは、探査部10の側面図である。
【0029】
本実施形態の探査器1(以下「探査器1」ともいう)は、探査部10と、把持部20と、アンテナ30を備えている。把持部20には、後述する第一磁界発生器21、第二磁界発生器22、及び保持具23が配置されている。
探査器1を用い、探査を行う際は、図2に示すように、二つの探査器1が使用される。一方の探査器1の把持部20は、右手で把持される。他方の探査器1の把持部20は、左手で把持される。探査部10は、その探査側末端12Tに、アンテナ30を吊り下げるための取付具31を有している。
【0030】
探査器1の探査部10は、実質的にL字型の金属棒で構成されている。L字型の金属棒は、金属であれば良く、特に制限されないが、導電性が高く耐腐食性がある金属が好ましく、IACS導電率が70%以上の金属が特に好ましい。本実施形態のL字型の金属棒にはクロム銅が用いられている。
【0031】
本実施形態の探査部10のL字型の金属棒は、取付具31が配置される探査側金属棒12と、第一磁界発生器21、第二磁界発生器22、及び保持具23に設けられている挿入孔H1(図5及び図8参照)に挿入される挿入側金属棒11とを有している。取付部31は、探査側金属棒12の、後述するスライド金属棒12Bの末端に配置されている。そのため、本実施形態では、探査側金属棒12の探査側末端12Tは、取付具31の末端となる。
【0032】
図3A、及び図3Bに示されるように、本実施形態の探査側金属棒12は、2本の固定金属棒12A、スライド金属棒12B、固定部101、及びスライド部102を備えている。2本の固定金属棒12Aは、互いに平行となるように、挿入側金属棒11の図3Aにおいて上端部から、挿入側金属棒11と直角に延びている。
2本の固定金属棒12Aの挿入側金属棒11と反対側の末端には、固定部101が固定されている。スライド部102は、2本の固定金属棒12Aが摺動可能に挿入される、2つの挿入孔(図示せず)を有している。これにより、スライド部102は、2本の固定金属棒12Aに沿って、挿入側金属棒11と固定部101との間をスライドすることができる。
【0033】
スライド金属棒12Bは、2本の固定金属棒12Aの間に、且つ2本の固定金属棒12Aと平行となるように、スライド部102に固定されている。また、固定部101は、スライド金属棒12Bが摺動可能に挿入される、1つの挿入孔(図示せず)を有している。図3Aに示されるように、スライド部102が、最も挿入側金属棒11側にスライドした状態において、スライド金属棒12Bは、取付具31が固定部101と接触しない範囲で、固定部101の挿入孔を貫通する長さを有している。
【0034】
探査時には、図3Bに示すように、探査側金属棒12が伸ばされた状態(スライド部102が、最も固定部101側にスライドした状態)で、探査器1は使用される。このように、探査側金属棒12を、伸縮可能な構成とすることで、探査前の探査器1の携行性が向上する。なお、探査側金属棒12のL字型の金属棒は、一体型で形成しても良い。また、探査側金属棒12のL字型の金属棒は、複数の金属棒に分離できる構成とすることもできる。
【0035】
図3Aを参照して、挿入側金属棒11は、把持部20に対し、その挿入側末端(図3Aにおいて下端)11Tの側から挿入されている。挿入側金属棒11は、第一磁界発生器21、第二磁界発生器22、及び保持具23に設けられている挿入孔H1に挿入される。なお、挿入側金属棒11が把持部20に挿入された状態において、第二磁界発生器22は、第一磁界発生器21よりも、挿入側末端11T側に配置される。これにより、探査器1の探査の精度が向上することが判明している。
【0036】
図4は、第一磁界発生器21、及び第二磁界発生器22の斜視図である。図5は、第一磁界発生器21、及び第二磁界発生器22の、図4におけるX-X断面である。
第一磁界発生器21、及び第二磁界発生器22の構成は、第一磁界発生器21の第一永久磁石213、及び第二磁界発生器22の第二永久磁石223の、磁極の配列以外は、同じである。以下、第一磁界発生器21、及び第二磁界発生器22の構成を、第一磁界発生器21を主として説明する。
【0037】
第一磁界発生器21は、筒体211、外装ケース212、及び第一永久磁石213を有している。筒体211は、挿入側金属棒11が挿入される挿入孔H1を形成する部材である。
外装ケース212は、略球状のものであり、その内部に4つの第一永久磁石213、及び筒体211を保持している。外装ケース212は、保持する4つの第一永久磁石213が、筒体211に挿入された挿入側金属棒11を、略均等に取り囲むように配置されている。なお、図4に示される第一磁界発生器21(22)の外装ケース212(222)は、透明な樹脂成形品であって、外周面が多面体からなるものを例示している。
【0038】
図6は、図1において矢印Y1で示される、挿入側金属棒11の挿入側末端11Tの側から見た、第一磁界発生器21のA-A断面である。
図6の矢印FL1は、第一磁界発生器21に保持される4つの第一永久磁石213で形成される磁力線の向きを示す。4つの第一永久磁石213は、挿入側金属棒11を挟んで互いに対向する2個を一対として二対設けられている。4つの第一永久磁石213は、角柱状のものであり、正四角形の仮想枠の各辺に沿って、且つ仮想枠(正四角形)の中心に対して各磁石が等距離になるように配置されている。これにより、仮想枠の中心には、回転を伴う動的なゼロ磁場が形成されていることが確認されている。
【0039】
矢印Y1から、第一磁界発生器21のA-A断面を見た場合、4つの第一永久磁石213は、これらで形成される磁力線の向きが、第一磁界発生器21に挿入される挿入側金属棒11を中心として、矢印FL1で示すように右回転になるように、それぞれのN極、及びS極が配置されている。これにより、探査器1の探査の精度が向上する。
【0040】
各第一永久磁石213は、磁束密度が高いネオジム磁石を用いるのが好ましい。また、各第一永久磁石213の表面には、金メッキを施しても良く、各第一永久磁石213の周囲の隙間部分や、隣接する第一永久磁石213の相互間の隙間部分には、金粉や金箔を充填しても良い。これにより、探査精度をさらに高めることができる。
なお、図6には、N極、及びS極の配置の理解を補助すべく、4つの第一永久磁石213それぞれに、「N」、及び「S」の符号が、標記されている。
【0041】
図7は、図1において矢印Y1で示される、挿入側金属棒11の挿入側末端11Tの側から見た、第二磁界発生器22のB-B断面である。
図7の矢印FL2は、第二磁界発生器22に保持される4つの第二永久磁石223で形成される磁力線の向きを示す。4つの第二永久磁石223は、探査側金属棒12を挟んで互いに対向する2個を一対として二対設けられている。4つの第二永久磁石223は、角柱状のものであり、正四角形の仮想枠の各辺に沿って、且つ仮想枠(正四角形)の中心に対して各磁石が等距離になるように配置されている。
【0042】
互いに対向する一対の第二永久磁石223は、互いに対向する面側がN極になるように配置されている。他の一対の第二永久磁石223は、互いに対向する面側がS極になるように配置されている。つまり、二対の第二永久磁石223は、隣接する第二永久磁石223の挿入側金属棒11に臨む面側の磁極が、互いに逆極性になるように配列されている。これにより、隣接する第二永久磁石223の端部間の4箇所で、それぞれ磁力線を形成することができる。
【0043】
各磁力線の向きは、挿入側金属棒11を挟んで対向する2箇所が、矢印FL2で示されるように、右回転になる。また、挿入側金属棒11を挟んで対向する他の2箇所が、矢印FL3で示されるように、左回転になる。
以上により、仮想枠(正四角形)の中心には、磁力線が拮抗した静的なゼロ磁場が形成されていることが確認されている。
上記の構成の第二磁界発生器22により、探査器1の探査の精度がより効果的に向上することが確認されている。
【0044】
各第二永久磁石223は、磁束密度が高いネオジム磁石が用いられる。また、各第二永久磁石223の表面には、金メッキを施しても良く、各第二永久磁石223の周囲の隙間部分や、隣接する第二永久磁石223の相互間の隙間部分には、金粉や金箔を充填しても良い。これにより、探査精度をさらに高めることができる。
なお、図7には、N極、及びS極の配置の理解を補助すべく、4つの第一永久磁石223それぞれに、「N」、及び「S」の符号が、標記されている。
【0045】
図8は、保持具23の側面図を示す。保持具23は、側面から見た場合、略S字の形状を有している。保持具23は、図1に示すように、挿入側金属棒11の挿入側末端11Tにねじ込まれたねじSWにより、挿入側金属棒11からが抜けるのが規制されている。
保持具23の、矢印Y2の遠方側、つまり図8の上側のカーブ部分は、第一磁界発生器21が収容される、第一収容部231となる。保持具23の、矢印Y2の近方側、つまり図8の下側のカーブ部分は、第二磁界発生器22が収容される第二収容部232となる。
【0046】
第一収容部231及び第二収容部232の、図8における上下方向の長さは、第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22の外径よりもわずかに長くなっている。このため、保持具23から挿入側金属棒11を引き抜いた状態で、第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22を、それぞれ第一収容部231及び第二収容部232に容易に挿抜することができる。
なお、第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22は、保持具23とともに把持されるので、つまり、把持部20の一部を兼ねるので、その分、探査器1をコンパクトにすることができる。
【0047】
保持具23に設けられる3つの挿入孔H1の中心は、挿入側金属棒11が貫通できるように、同一軸線上に配置されている。また、保持具23に設けられる3つの挿入孔H1は、同一径である。そのため、矢印Y2から保持具23を見た場合、挿入孔H1は、一つの円孔として示される(図示せず)。
【0048】
アンテナ30は、金又は金合金で形成されている。アンテナ30は、棒状、又はチェーン状に構成することができるが、チェーン状が好ましい。チェーン状に構成されたアンテナ30は、水平な地面に対し垂直に保たれるため、探査器1の探査精度が向上する。
また、金のアンテナ30としては、純度の高い24Kであって、幅1mm~1.5mm、長さは40cm~45cmであるのが好ましい。
【0049】
アンテナ30の下端には、板状の電極部32が設けられている。電極部32は、薄板状ものであり、その平面が水平方向に臨むようにアンテナ30に吊り下げられている。電極部32の材質は金又は金合金である。
なお、電極部32は、アンテナ30の少なくとも一箇所に設けられていればよい。
【0050】
以上の構成の探査器1は、挿入側金属棒11を、第一磁界発生器21、第二磁界発生器22、及び保持具23から抜くと、これらを別々に分解することができる。このため、探査器1は、探査前に、探査器1の第一磁界発生器21、第二磁界発生器22、及び保持具23を分割して持ち運ぶことが可能となり、探査器1の携行性がより向上する。
【0051】
<金の探査方法>
発明者は、詳細は後述するが、地中に金が存在する周辺では、その金からの電子が、地上に放射されること、及び地上に放射された金からの電子は、磁南から磁北に向かって移動することを知得した。この点を踏まえて、以下に、探査器1を用いて地中の金を探査する方法について説明する。なお、金の探査は、城、城跡、遺跡等の地中に金が存在する可能性がある領域の近辺で開始する。
【0052】
探査開始時に、探査者は、一対の探査器1の把持部20を、左右の手でそれぞれ把持する。この状態で、右手に把持した探査器1の探査側末端12Tと、左手に把持した探査器1の探査側末端12Tとを結ぶ直線、及び両探査器1の探査側金属棒12が、略水平になるように、把持状態を調整する。このとき、把持部20を握った左右の手の握りこぶしどうしは、接近または接触させておくのが好ましい。この把持状態において、金からの電子が到達しない領域では、左右の探査側金属棒12の探査側末端12Tは、互いに離反した状態に、つまり開いた状態に維持される。
【0053】
次に、探査者は、探査を行う場所において、両手を金からの電子が流れて来る方向(磁南方向)に向けた状態で、上記調整した把持状態を維持しつつ、東方向(又は西方向)に向かって歩行(横歩き)する。なお、歩行は0.1~0.3m/秒のゆっくりした速度であることが好ましい。また、方位を図る機器としては、コンパスグラスを用いるのが好ましい。
【0054】
探査者が、磁南方向から流れて来る金からの電子が到達する領域に入ると、上記左右の探査側末端12Tを結ぶ直線の長さが短くなる。より具体的には、右手に把持する探査器1の探査部10が、挿入側金属棒11を中心として、探査者から見て左方向へ旋回する。また、左手に把持する探査器1の探査部10が、挿入側金属棒11を中心として、探査者から見て右方向へ旋回する。そして最終的に、右手に把持する探査器1の探査部10と、左手に把持する探査器1の探査部10とが、互いに平行になるか、あるいは左右の探査部10の探査側末端12T間の間隔が最小になる。つまり、左右の探査部10が閉じた状態になる。これにより、探査者は、金からの電子が存在する領域に入ったことを検知することができる。なお、金からの電子が存在する領域では、金からの電子を、電極部32によって、アンテナ30側に効果的に導くことができる。このため、探査精度を高めることができる。
【0055】
次に、探査者は、探査器1の探査部10を閉じた状態を維持しながら、磁南へ向かってさらに移動する。このとき、探査部10は常に磁南方向に向けておく。この移動中に金からの電子が存在しなくなると、一対の探査部10が互いに反発して開くことになる。この探査部10が開いた位置の直下が、金が存在する位置と存在しない位置との境界となる。
【0056】
その後、上記境界で180度向きを変え、探査部10を常に磁北に向けた状態で、磁北に向かって移動しながら探査を継続する。このとき探査器1は、直下に存在する金からの電子を下から受ける。このため、左右の探査部10は閉じた状態に維持される。この移動中に左右の探査部10が開くことにより、探査者は、その開いた位置の直下に金が存在しないことを知ることができる。つまり、左右の探査部10が開いた位置と上記境界との間の距離が、金が存在する南北ラインの長さであることを知ることができる。
【0057】
上記南北ラインの長さを知得する動作と同様な動作を、その南北ラインと直交する東西ラインについても行うことにより、金の存在する東西ラインの長さも検知することができる。
以上により、地中に金が存在する範囲を検知することができる。
【0058】
図9は、本発明の別実施形態に係る、探査器1の側面図を示す。図9に示す探査器1と図1に示す探査器1とは、保持具23の構成が相違するのみである。したがって、他の構成部材ついては説明を省略する。
図9に示す探査器1の持具23は、側面から見て左右の面が、挿入側金属棒11に対して傾斜するほぼ平板状のものである。保持具23は、第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22を、保持具23と一体に保持する第一保持部23A及び第二保持部23Bを有している。
【0059】
第一保持部23A及び第二保持部23Bは、第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22の外周面を、半周以上にわたって包囲している。また、第一保持部23A及び第二保持部23Bの内周面は、第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22の外周面に合致する曲面で構成されている。さらに、第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22は、第一保持部23A及び第二保持部23Bに対して無理嵌めされている。これにより、保持具23と、第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22とを一体化している。
【0060】
このように、保持具23と第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22とを一体化することにより、保持具23とともに第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22を挿入側金属棒11から抜き取った状態で、第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22が保持具23から脱落するのを防止することができる。このため、一旦抜き取った保持具23、第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22を、再び挿入側金属棒11に挿入する際に、保持具23の挿入孔H1と第一磁界発生器21及び第二磁界発生器22の挿入孔H1との芯合わせが不要となる。これにより、探査器1の組み立てが容易となる。
【0061】
<効果確認試験1>
本発明に係る金の探査器の効果を確認するための試験を行った。この試験は、純度999.9/1000、重さ50gの金を用いて行った。試験には、図1に示す探査器1を用いた。被検者は5人であり、各人に探査器の操作方法を説明し、20~30分かけて探査の練習をした後、探査試験を行った。探査試験は各被検者が2回ずつ行った。
【0062】
二つ重ねにした紙コップを10組準備し、1組の紙コップに上記金を入れた。金を入れた紙コップが被検者に知られないようにして、10組の紙コップを、テーブルの上に横一列にて20cm程度の間隔で、逆さまに載置した。この状態で探査器を用いて、順次試験を行った。その結果、5人とも金を入れた紙コップを探り当てた。なお、金を入れた紙コップの位置は、被検者毎に変更した。また、試験は、神コップの北側に立った状態で、探査器1の探査部10を、常に磁北から磁南に向けて行った。
<効果確認試験2>
金として、純度999.9/1000、重さ1オンス(31.1g)の金貨を20枚準備した。試験には、図1に示す探査器1を用いた。
45cm角のフロアマットを10枚準備し、床面に敷き詰めた。被検者に知られないようにして、一つのフロアマットの下に、金貨20枚を縦横に並べて載置した。残りのフロアマットの下には、1オンス金貨と同じサイズの鉄製の丸板を、縦横に並べて載置した。
この状態で5人の被検者が、探査器を用いて一人ずつ金を探査した。探査試験は各被検者が2回ずつ行った。その結果、被検者5人全員が金貨を載置した位置を100%探し当てた。なお、試験は、探査器1の探査部10を、常に磁北から磁南に向けた状態で、フロアマット上を磁北から磁南に向かって歩行して行った。
以上により、本発明の探査器により、金の探査が可能であることが、実験的に示された。
【0063】
本発明の探査器により金の探査ができる理由は、以下の通りであると推測される。
探査器1の挿入側金属棒11及び探査側金属棒12には、第一磁界発生器21から発生する磁界によって、その中心周りに右回転する磁力線が形成される。この結果、右ねじの法則により、挿入側金属棒11及び探査側金属棒12には、挿入側金属棒11側から探査側金属棒12の末端12Tに向かって超微弱電流が流れる。この超微弱電流は、アンテナ30を伝って放電されている限り継続して流れる。
【0064】
図10を参照して、2本の平行な導線d1,d2に、同一方向に電流を流すと、右ネジの法則により生じる回転磁界の磁力線は、同じ方向に回転する。このため、2本の導線の間の空間SPにおいては、磁力線の方向が互いに逆向きとなるので、磁束は打ち消し合う。この結果、空間SPにおける磁力線の密度が減少し、電線どうしは引き合うことになる。この点は、物理学の法則として周知である。
【0065】
一方、従来、金は代表的な反磁性体として認識されていた。しかし、以下の論文に示されるように、マクロ的な大きさの金も、常磁性といわれる明確な磁気的性質をもつことが明らかにされている。
(論文)
「Measurement of a Pauli and orbital paramagnetic state in bulk gold using x-ray magnetic circular dichroism spectroscopy」
日本語訳:X線磁気円二色性分光法を用いた、バルク金のパウリ常磁性および軌道常磁性状態の観測
M. Suzuki, N. Kawamura, H. Miyagawa, J. S. Garitaonandia, Y. Yamamoto, H. Hori
Physical Review Letters, published online 24 January 2012.
【0066】
発明者は幾多の実験により、金からの電子が地球の磁力線に乗って移動するとの知見を得た。地球の磁力線はN極からS極へ向かって移動するので、地球上では磁南から磁北へ向かって金からの電子が移動している。したがって、金が存在する領域では、金から放射される電子が、アンテナ30に導かれ、探査側金属棒12を流れる超微弱電流が、アンテナ30を通して放電される。これにより、一対の探査側金属棒12には、互いに引き合う力が作用する。
【0067】
一方、金が存在しない領域では、当然ながら金からの電子がアンテナ30に導入されないので、探査側金属棒12を流れる超微弱電流の放電が阻害される。このため、探査側金属棒12に超微弱電流が流れず、一対の探査側金属棒12どうしが互いに引き合う力は発生しない。
【0068】
このように、金が存在しない領域では、一対の探査側金属棒12に互いに引き合う力が作用しないので、一対の探査側金属棒12どうしを開いておくと、この開いた状態が維持される。この状態で、金が存在する領域に移動すると、一対の探査側金属棒12に互いに引き合う力が発生するので、一対の探査側金属棒12は、閉じることになる。このように、一対の探査側金属棒12が閉じることにより、金が存在することを知得することができる。
【0069】
前述したように、地球上では磁南から磁北へと金からの電子は移動している。このため、本発明に係る探査器は、探査位置から離れた場所に存在する金も検知することができる。具体的には、金1gの金が存在する場合は1cm、100gでは1m、仮に1tの金が存在する場合には1km、10tの金では10km、それぞれ離れた位置からも金を検知可能であると推測される。
【0070】
この発明は前記した実施形態に限定されるものでない。例えば、第一永久磁石213及び第二永久磁石223は、互いに対向させて少なくとも一対設けられていればよい。また、探査側金属棒12は1本の金属棒で構成してもよい。
さらに、第一永久磁石213及び第二永久磁石223は、探査部10側に設けてもよい。但し、これらを把持部20側に設ける方が、探査部10の全長を短くすることができ、探査器1をコンパクトにすることができるので好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上説明された、金の探査器は、ダウジングロッドとしても適用されうる。
【符号の説明】
【0072】
1 探査器
10 探査部
11 挿入側金属棒
11T 挿入側末端
12 探査側金属棒図
12A 固定金属棒
12B スライド金属棒
12T 探査側末端
101 固定部
102 スライド部
20 把持部
21 第一磁界発生器
211 筒体
212 外装ケース
213 第一永久磁石
22 第二磁界発生器
221 筒体
222 外装ケース
223 第二永久磁石
23 保持具
231 第一収容部
23A 第一保持部
232 第二収容部
23B 第二保持部
30 アンテナ
31 取付具
32 電極部
H1 挿入孔
SW ねじ
SP 空間
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10