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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】挿入案内先端部を有した歯間ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 9/04 20060101AFI20240430BHJP
   A46B 3/18 20060101ALI20240430BHJP
   A46B 9/06 20060101ALI20240430BHJP
   A61C 15/02 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A46B9/04
A46B3/18
A46B9/06
A61C15/02 502
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021500649
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2019068638
(87)【国際公開番号】W WO2020011901
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】1850882-0
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】516039918
【氏名又は名称】テぺ ムニジェンプロダクター アーベー
【氏名又は名称原語表記】TePe Munhygienprodukter AB
【住所又は居所原語表記】Bronsaldersgatan 5, 213 76 Malmo, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン-インニェ、ラーション
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、ベリウス
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-023928(JP,A)
【文献】特開2016-198546(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00680707(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B9/04
A46B3/18
A46B9/06
A61C15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯間ブラシ(1)の遠位端(5)の所に挿入案内先端部(B)を設ける方法であって、
芯部材(3)の2つのストランド(3a,3b)同士の間に、複数のフィラメント(10,20)を、縦方向(L)沿いに伸びるブラシ部分(2)に沿って横並びに配置することであって、前記芯部材(3)の前記2つのストランド(3a,3b)が、前記縦方向(L)に沿って互いに並び合って伸びると共に、前記芯部材(3)を折り曲げることによって形成されることを含み、
異なる2組のフィラメント(10,20)が、前記遠位端(5)の近くに被知覚特性における遷移をもたらすために利用され、
前記配置する行為は、
前記ブラシ部分(2)の第1縦方向区分長(L1)に亘って第1組のフィラメント(10)を横並びに配置することであって、前記第1組のフィラメントの各フィラメント(10)が第1フィラメント直径(D1)を有していることと、
前記ブラシ部分(2)の第2縦方向区分長(L2)に亘って第2組のフィラメント(20)を配置することであって、前記第2組のフィラメントの各フィラメント(20)が第2フィラメント直径(D2)を有していることと、
を含み、
前記第2フィラメント直径(D2)は、前記第1フィラメント直径(D1)の60%から95%の間であり、
前記第2縦方向区分長(L2)は、前記歯間ブラシ(1)の前記遠位端(5)の所に位置し、
前記第2縦方向区分長は、前記ブラシ部分(2)の縦方向延長(L3)の15%未満である前記縦方向沿いの長さ(L2)を有し、
前記第2縦方向区分長は、前記芯部材(3)の3回未満の縒り合わせに亘って伸びる長さ(L2)を有し、
それにより、前記異なる2組のフィラメント(10,20)を使用することによる被知覚特性における前記遷移が、前記遠位端(5)の近くにもたらされ、
前記方法は、
前記2つのストランド(3a,3b)同士を前記縦方向(L)に沿った軸線(A)周りに縒り合わせて、縒り合わされた芯部材(3)を形成し、それにより前記2つのストランド(3a,3b)同士の間に前記第1組および前記第2組のフィラメント(10,20)を固定することであって、前記第1組および前記第2組のフィラメント(10,20)が、前記縒り合わされた芯部材(3)から半径方向へ伸びると共に、前記縦方向(L)沿いに伸びる螺旋(H)に沿って横並び配置となるようにすること
をさらに含んでいる、方法。
【請求項2】
前記第2フィラメント直径(D2)は、前記第1フィラメント直径(D1)の66%から90%の間である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1組のフィラメント(10)と前記第2組のフィラメント(20)の前記フィラメント(10,20)同士が、同じ材料で形成されるか、または前記第2フィラメント直径(D2)を有する前記フィラメント(20)が前記第1フィラメント直径(D1)を有する前記フィラメント(10)に比べて低下した曲げ抵抗を有するような材料剛性を有した異なる材料で形成される、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記第2縦方向区分長は、前記芯部材(3)の2回未満の縒り合わせに亘って伸びる長さ(L2)を有している、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ブラシ部分(2)を有した歯間ブラシ(1)であって、
縦方向(L)に沿って互いに並び合って伸びる2つのストランド(3a,3b)へと折り曲げられ、前記縦方向(L)に沿って伸びる軸線(A)周りに縒り合わされた芯部材(3)と、
前記2つのストランド(3a,3b)同士の間に固定され、前記縒り合わされた芯部材(3)から半径方向へ伸びると共に、前記縦方向(L)沿いに伸びる螺旋(H)に沿って横並びに配置されることによって、前記ブラシ部分(2)を形成している複数のフィラメント(10,20)と、
を備え、
異なる2組のフィラメント(10,20)が、前記ブラシ部分(2)の遠位端(5)の近くに被知覚特性における遷移をもたらすために利用され、
前記縒り合わされた芯部材(3)の第1縦方向区分長(L1)に亘って第1組のフィラメント(10)が横並びに配置され、前記第1組のフィラメントの各フィラメント(10)が第1フィラメント直径(D1)を有し、
前記縒り合わされた芯部材(3)の第2縦方向区分長(L2)に亘って第2組のフィラメント(20)が配置され、前記第2組のフィラメントの各フィラメント(20)が第2フィラメント直径(D2)を有し、
前記第2フィラメント直径(D2)は、前記第1フィラメント直径(D1)の60%から95%の間であり、
前記第2縦方向区分長(L2)は、当該歯間ブラシ(1)の遠位端(5)の所に位置しており、
前記第2縦方向区分長は、前記ブラシ部分(2)の縦方向延長(L3)の15%未満である前記縦方向(L)沿いの長さ(L2)であって、前記芯部材(3)の3回未満の縒り合わせに亘って伸びる長さ(L2)を有し、それにより、異なる2組のフィラメント(10,20)を使用することによる被知覚特性における前記遷移が、前記遠位端(5)の近くにもたらされ、かつ、それにより当該歯間ブラシ(1)の前記遠位端(5)の所に挿入案内先端部(B)をもたらしている、歯間ブラシ(1)。
【請求項6】
前記第2フィラメント直径(D2)は、前記第1フィラメント直径(D1)の66%から90%の間である、請求項5記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項7】
前記第1組のフィラメント(10)と前記第2組のフィラメント(20)の前記フィラメント(10,20)同士が、同じ材料で形成されるか、または前記第2フィラメント直径(D2)を有する前記フィラメント(20)が前記第1フィラメント直径(D1)を有する前記フィラメント(10)に比べて低下した曲げ抵抗を有するような材料剛性を有した異なる材料で形成されている、請求項5から6のいずれか一項に記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項8】
前記第2縦方向区分長は、前記芯部材(3)の2回未満の縒り合わせに亘って伸びる長さ(L2)を有している、請求項5から7のいずれか一項に記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項9】
前記ブラシ部分(2)は、遠位端のところが円錐形状を有している、請求項5から8のいずれか一項に記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項10】
前記第2組のフィラメントにおけるより短いフィラメントが、前記第1組のフィラメントにおけるより長いフィラメントよりも低い曲げ抵抗を有している、請求項9に記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項11】
前記第2組のフィラメントにおけるフィラメントが、前記第1組のフィラメントにおけるフィラメントの長さの少なくても75%の長さを有している、請求項5から10のいずれか一項に記載の歯間ブラシ(1)。
【請求項12】
前記第2組のフィラメントが、前記第1組のフィラメントの長さの少なくても90%の長さを有している、請求項11に記載の歯間ブラシ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯間ブラシの遠位端の所に挿入案内先端部を設ける方法に関する。
【0002】
本発明はまた、歯間ブラシの遠位端の所に挿入案内先端部を有した歯間ブラシにも関する。
【0003】
本発明はまた、歯間ブラシの遠位端の所に挿入案内先端部を設けるための、歯間ブラシにおける第1組の複数のフィラメントおよび第2組の複数のフィラメントの使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
歯間ブラシは概して、スパイン(背骨状部材)と、スパインに固定された複数のブラシ毛のフィラメント(繊維)とを備える。スパインは、典型的には金属ワイヤから形成され、そのワイヤが縒り合わされてスパインを形成すると共に、ブラシ毛のフィラメントをスパインに固定する。そのような歯間ブラシは例えば、特許文献1(EP 0 680 707 B1)、特許文献2(US 4,691,404)、特許文献3(EP 1 862 090 B1)、特許文献4(US 3,720,975)、特許文献5(US 2005/257338 A1)、および特許文献6(EP 0 294 051 A2)に開示されている。
【0005】
特許文献1(EP 0 680 707 B1)には、異なるブラシ毛太さを有した歯間ブラシが開示されている。異なるブラシ毛太さを用いることにより、歯間ブラシの様々な区域において所望の硬さ感を得ることが可能となる、ということが開示されているのである。
【0006】
しかし、この種の歯間ブラシを使用する場合にしばしば遭遇する問題の1つが、歯間ブラシを意図した歯間の隙間内へと挿入することが難しいということである。使用者が歯間ブラシを意図した歯間の隙間内へと挿入しようとする場合、使用者はしばしば、歯間ブラシが意図した歯間の隙間と僅かに位置ずれすること、そして歯間ブラシが歯間の隙間内へと挿入されたとき、歯間ブラシが歯間の隙間内へと挿入されたときに歯肉を強く擦ることによって歯間ブラシが不快感を引き起こす、ということに遭遇するのである。このことは特に、使用者が歯間ブラシを奥歯の所で歯間の隙間内へと挿入しようとする場合に当てはまる。
【0007】
この問題は、特許文献2(US 4,691,404)において取り組まれている。その文献には、剛性部分と可撓性部分とで形成されたハンドルを有する歯間ブラシが開示されている。そのようなハンドルは、使用者の親指と人差し指によって操作され得るが、その操作は、ブラシがハンドルから角度を成して伸び、これによりブラシが届きにくい場所へと挿入されるのを可能とするようなものだと言われている。しかしながら、それは使用者が自分の口内のずっと奥の歯間の隙間へ届かせようとするときには、自分の手を自分の口内へ深く入れねばならないことに頼っている。
【0008】
特許文献3(EP 1 862 090 B1)は、空洞を有する弾性遷移部を有した歯間ブラシを開示している。口内のずっと奥の届きにくい歯間の隙間内へと挿入されるために、或いはその挿入に応じて、スパインが滑らかな曲線へと曲がり得ることが開示されている。また、弾性遷移部が、歯肉や歯を衝突による損傷から保護する緩衝効果をもたらすことも開示されている。
【0009】
特許文献4(US 3,720,975)は、円錐形状のブラシヘッドを設計することによって、歯間ブラシの挿入に関連した諸問題に取り組んでいる。遠位端の所のブラシ毛が、ハンドルに近い方のブラシ毛よりも短くなっている。2つの隣り合う歯の頸部の所の隙間内へ最初に進入させるために最先端のブラシ毛が割り当てられることによって、その後ろのより長いブラシ毛を進入させるための開いて行く楔がもたらされると言われている。しかしながら、そのような円錐状のブラシは、概して比較的短い有効ストローク長を有している。歯間の隙間内へと挿入される際、すぐに太くなり過ぎてしまうのである。
【0010】
特許文献5(US 2005/257338 A1)にも、円錐状のブラシを有した歯間ブラシが開示されている。ブラシを歯間の隙間内へと簡単に挿入できるようにするためにテーパ状の先端部が設けられていることも開示されている。テーパ状の先端部を有した様々な実施形態も開示されている。ブラシヘッドの形状は概して、ブラシ毛の自由端部が切刃に当たるようにブラシヘッドを回転させることによってもたらされる。特許文献5に開示された様々な形状は、複雑な形状を有した切刃の用意、或いはブラシヘッドが所望の形状へと賦形されるようにブラシ毛を連続的に切断する幾つかの切刃の用意を必要とするであろう。しかしながら、このことは、製造プロセスをより複雑で費用のかかるものしてしまうであろう。
【0011】
特許文献6(EP 0 294 051 A2)には、ブラシの遠位端部に固定された薄板状のガイドによって形成される案内手段を有した歯間ブラシが開示されている。しかしながら、そのような追加の構成要素を設けることにより、製造プロセスがより複雑で費用のかかるものとなってしまう。
【0012】
かくして、挿入案内先端部を有した歯間ブラシを提供することになる場合には、なお改善の余地が存在するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】欧州特許第0680707号明細書
【文献】米国特許第4691404号明細書
【文献】欧州特許第1862090号明細書
【文献】米国特許第3720975号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/257338号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0294051号明細書
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、挿入案内先端部を有した歯間ブラシを提供することである。
【0015】
この目的は、歯間ブラシの遠位端の所に挿入案内先端部を設ける方法であって、
芯部材の2つのストランド同士の間に、複数のフィラメントを、縦方向沿いに伸びるブラシ部分に沿って横並びに配置することであって、芯部材の2つのストランドが、縦方向に沿って互いに並び合って伸びると共に、芯部材を折り曲げることによって形成されることと、
2つのストランド同士を縦方向に沿った軸線周りに縒り合わせて、縒り合わされた芯部材を形成し、それにより2つのストランド同士の間にフィラメントを固定することであって、フィラメントが、縒り合わされた芯部材から半径方向へ伸びると共に、縦方向沿いに伸びる螺旋に沿って横並び配置となるようにすることと、
を含んでおり、
当該配置する行為は、
ブラシ部分の第1縦方向区分長に亘って第1組のフィラメントを横並びに配置することであって、第1組のフィラメントの各フィラメントが第1フィラメント直径を有していることと、
ブラシ部分の第2縦方向区分長に亘って第2組のフィラメントを配置することであって、第2組のフィラメントの各フィラメントが第2フィラメント直径を有していることと、
とを含み、
第2フィラメント直径は、第1フィラメント直径よりも小さく、
第2縦方向区分長は、歯間ブラシの遠位端の所に位置し、
第2区分長は、ブラシ部分の縦方向延長の15%未満である縦方向沿いの長さを有し、
第2区分長は、芯部材の3回未満の縒り合わせに亘って伸びる長さを有している、方法によって達成されている。
【0016】
この方法によって歯間ブラシを製造することにより、挿入案内先端部を有する改良された歯間ブラシが達成される。比較的短い遠位側の区分長に亘って、より小さい直径を有したフィラメントを用いることにより、挿入案内先端部をもたらすことが可能となっている。折り曲げられて縒り合わされた芯部材によって形成された遠位端ループと、遠位端ループ内に固定されたフィラメントとは、従来技術の設計と比べて、より小さい寸法を有することとなる。
【0017】
異なる2組のフィラメントの使用と、第2区分長が比較的短いという事実とによって、遠位端の近くに被知覚特性(知覚され得る特性)における遷移をもたらすことが可能となる。遠位端の所の細い方のフィラメントは、先端部が歯間の隙間内へ挿入されたすぐ後に歯と当たり始める僅かに太い方のフィラメントよりも比較的柔らかいものとして知覚され得る。太い方のフィラメントは、細い方のフィラメントに比べて、歯間の隙間内で歯間ブラシを中心に合わせようとする、より強い傾向をもたらすこととなる。
【0018】
縮小した寸法の遠位端ループをもたらすことによって、また遠位端の近くに被知覚特性における遷移をもたらすことによって、使用者はこれを、歯間の隙間内へと進路を誘導するのを助ける歯間ブラシとして体験することとなる。かくして、上記で開示した方法でもって、挿入案内先端部を有した歯間ブラシを製造する方法が提供されるのである。
【0019】
第2区分長は、芯部材の3回未満(好適には2回未満)の縒り合わせに亘って伸びる長さを有している。ある1回の縒り合わせは、任意の第1箇所から、第2箇所までの縦方向に沿った距離として定義される。その第2箇所は、1ベクトルとしての縦方向と、当該縦方向に直交する別の1ベクトルとしての半径方向とによって定められる平面内の平面投影で見たときに、ストランド同士が入れ替わった位置を有している箇所である。これは、挿入案内先端部の明瞭な知覚をもたらす適切な長さと考えられる。
【0020】
挿入案内先端部を有した歯間ブラシは、上記で論述した円錐状の先端部の使用を必要とする従来技術の試みに比べて、製造するのが遙かに容易であることにも留意されたい。比較的短い遠位側の区分長に亘ってより細いフィラメントを用いる本発明の設計では、第1組、および同じ長さを有する第2組のフィラメントを有した挿入案内先端部をもたらすことが可能となる。かくして、縒り合わせおよび回転の軸線周りにブラシ部分を回転させることによってフィラメントを切断する真っ直ぐな切刃を用いて全てのフィラメントを同じ長さに切断する荒っぽい製造プロセスを用いて、挿入案内先端部をもたらすことが可能となる。
【0021】
ある方向に沿った横並びとは、フィラメント同士が本質的に列を成して横並びに配置され、この列が当該方向に沿って伸びている、という事実を表すことを意図している。横並びとは、それらが、縦繋がりに配置されるのではなく、それらの円周包絡面同士で互いに向かい合って接し合った状態で配置されることを意味している。実際には、横並びに配置されたフィラメント同士によって形成されるラインないし列は、一部のフィラメントが(ちょうど、人々が列を作ることによって形成される変則的な列のように)完全な幾何学的ラインからは僅かにずれるであろう方向に沿って伸びることとなる、ということに留意されたい。これは当業者には周知の事実であるが、如何なる誤解をも避けるためには、なお言及されてよい。
【0022】
第2区分長がその15%未満を占めているブラシ部分の縦方向延長とは、そこに亘ってフィラメントが存在するところの総延長を表す、ということに留意されたい。第1組のフィラメントと第2組のフィラメントしか存在しない場合、このブラシ部分の縦方向延長は、第1区分長に第2区分長を加えたものである。芯部材は概して、そこに亘ってフィラメントが存在するところの延長よりも長い延長を有している。そこに亘ってはフィラメントの存在していない芯部材の部分は、典型的には芯部材をハンドルへ取り付けるのに用いられる。
【0023】
小さい方の直径を有したフィラメントは、ブラシ部分の縦方向延長の比較的少ない部分に亘ってしか配置されていないので、歯間ブラシは依然として、太い方のフィラメントを有して相当な有効ストローク長をもたらす相当な長さを呈することとなり、使用者が歯間の隙間の効率的な清掃を果たすことが容易となる、ということにも留意されたい。
【0024】
第2区分長は少なくとも、芯部材の縒り合わせによって形成される遠位端ループが、第2組のフィラメントのフィラメントで、即ち小さい方のフィラメント直径を有したフィラメントで満たされるに足る長さであることが好ましい、ということに留意されたい。
【0025】
第2フィラメント直径は、第1フィラメント直径の60から95%の間であってよい。このフィラメント直径同士の間の関係が適切であると考えられる。それにより、ブラシ部分の如何なる他の部分における縒り合わされた芯部材の太さと比べても、芯部材の縒り合わせによって形成される遠位端ループの寸法の適切な減少がもたらされることとなる。材料同士の剛性が互いに同じか、ないしは近くなるように各材料が選択されるとすれば、曲げ抵抗の適切な低下がもたらされることともなる。
【0026】
第2フィラメント直径は、好適には第1フィラメント直径の66から90%の間であってよい。このフィラメント直径同士の間の関係がより一層適切であると考えられる。それにより、縒り合わされた芯部材の太さと比べて、芯部材の縒り合わせによって形成される遠位端ループの寸法の適切な減少がもたらされることとなる。材料同士の剛性が互いに同じか、ないしは近くなるように各材料が選択されるとすれば、曲げ抵抗の適切な低下がもたらされることともなる。
【0027】
第1組のフィラメントと第2組のフィラメントのフィラメント同士が、同じ材料で形成されるか、または第2フィラメント直径を有するフィラメントが第1フィラメント直径を有するフィラメントに比べて低下した曲げ抵抗を有するような材料剛性を有した異なる材料で形成されてよい。
【0028】
第1組のフィラメントの各フィラメントと、第2組フィラメントの各フィラメントとが、同じ材料で、但し異なるフィラメント直径で形成されることが好ましい。それにより、第2フィラメント直径を有したフィラメントは、第1フィラメント直径を有したフィラメントに比べて低下した曲げ抵抗を有している。曲げ抵抗がフィラメントの実際の長さに関連していて、ある直径を有してある材料で形成された短いフィラメントは、同じ直径で同じ材料のもっと長いフィラメントに比べて、より大きな曲げ抵抗を有するものとして知覚されることとなる、ということに留意されたい。低下した曲げ抵抗に関する以上の論述においては、これもまた好適なことであるが、第1組および第2組のフィラメント同士が、ブラシ部分の全長に亘って同じ長さを有しているか、または遠位端の所のフィラメントが、第1組のフィラメントにおけるフィラメントの長さの少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%の長さを有することが想定されている。
【0029】
上記目的はまた、ブラシ部分を有した歯間ブラシであって、
縦方向に沿って互いに並び合って伸びる2つのストランドへと折り曲げられ、縦方向に沿って伸びる軸線周りに縒り合わされた芯部材と、
2つのストランド同士の間に固定され、縒り合わされた芯部材から半径方向へ伸びると共に、縦方向沿いに伸びる螺旋に沿って横並びに配置されることによって、ブラシ部分を形成している複数のフィラメントと、
を備え、
縒り合わされた芯部材の第1縦方向区分長に亘って第1組のフィラメントが横並びに配置され、第1組のフィラメントの各フィラメントが第1フィラメント直径を有し、
縒り合わされた芯部材の第2縦方向区分長に亘って第2組のフィラメントが配置され、第2組のフィラメントの各フィラメントが第2フィラメント直径を有し、
第2フィラメント直径は、第1フィラメント直径よりも小さく、
第2縦方向区分長は、当該歯間ブラシの遠位端の所に位置しており、
第2区分長は、ブラシ部分の縦方向延長の15%未満である縦方向沿いの長さであって、芯部材の3回未満の縒り合わせに亘って伸びる長さを有し、それにより当該歯間ブラシの遠位端の所に挿入案内先端部をもたらしている、歯間ブラシによっても達成されている。
【0030】
歯間ブラシの遠位端の所に挿入案内先端部をもたらす方法に関した上記論述は、当該歯間ブラシにも適用可能であり、上記論述が参照される。これは、当該方法の好適な諸実施形態に関する論述にも適用され、好適な諸実施形態に関する論述を繰り返すのではなく、対応する上記論述が参照される。
【0031】
第2フィラメント直径は、第1フィラメント直径の60から95%の間であってよい。
【0032】
第2フィラメント直径は、好適には第1フィラメント直径の66から90%の間であってよい。
【0033】
第1組のフィラメントと第2組のフィラメントのフィラメント同士が、同じ材料で形成されるか、または第2フィラメント直径を有するフィラメントが第1フィラメント直径を有するフィラメントに比べて低下した曲げ抵抗を有するような材料剛性を有した異なる材料で形成されていてよい。
【0034】
第1組のフィラメントの各フィラメントと、第2組フィラメントの各フィラメントとが、同じ材料で、但し異なるフィラメント直径で形成されることが好ましい。それにより、第2フィラメント直径を有したフィラメントは、第1フィラメント直径を有したフィラメントに比べて低下した曲げ抵抗を有している。
【0035】
第2区分長は、芯部材の2回未満の縒り合わせに亘って伸びる長さを有していてよい。
【0036】
上記目的はまた、
歯間ブラシの遠位端の所に挿入案内用先端部を設けるための、
歯間ブラシにおける、
第1フィラメント直径を有し、ブラシ部分の第1縦方向区分長に亘って横並びに配置された第1組のフィラメントと、
第2フィラメント直径を有し、ブラシ部分の第2縦方向区分長に亘って配置された第2組のフィラメントであって、第2フィラメント直径は第1フィラメント直径よりも小さく、第2縦方向区分長は歯間ブラシの遠位端の所に位置し、第2区分長は、ブラシ部分の縦方向延長の15%未満である縦方向沿いの長さであって、芯部材の3回未満の縒り合わせに亘って伸びる長さを有している、第2組のフィラメントと、
の使用によっても達成されている。
【0037】
歯間ブラシの遠位端の所に挿入案内先端部をもたらす方法に関した上記論述は、当該使用にも適用可能であり、上記論述が参照される。これは、当該方法の好適な諸実施形態に関する論述にも適用され、好適な諸実施形態に関する論述を繰り返すのではなく、対応する上記論述が参照される。
【0038】
第2フィラメント直径は、第1フィラメント直径の60から95%の間、好ましくは66から90%の間であってよい。
【0039】
第1組のフィラメントと第2組のフィラメントのフィラメント同士が、同じ材料で形成されるか、または第2フィラメント直径を有するフィラメントが第1フィラメント直径を有するフィラメントに比べて低下した曲げ抵抗を有するような材料剛性を有した異なる材料で形成されていてよい。
【0040】
第1組のフィラメントの各フィラメントと、第2組フィラメントの各フィラメントとが、同じ材料で、但し異なるフィラメント直径で形成されることが好ましい。それにより、第2フィラメント直径を有したフィラメントは、第1フィラメント直径を有したフィラメントに比べて低下した曲げ抵抗を有している。
【0041】
第2区分長は、芯部材の2回未満の縒り合わせに亘って伸びる長さを有していてよい。
【0042】
本発明は要するに、第1縦方向区分長に亘って配置されて第1フィラメント直径を有した第1組のフィラメントと、第2縦方向区分長に亘って配置されて第2フィラメント直径を有した第2組のフィラメントとを備えた歯間ブラシであって、第2フィラメント直径は第1フィラメント直径よりも小さく、第2縦方向区分長は歯間ブラシの遠位端の所に位置し、第2区分長はブラシ部分の縦方向延長の15%未満である縦方向沿いの長さを有している、歯間ブラシに関するものと言ってもよい。
【0043】
例として、目下の好適な本発明の実施形態を示す、添付の概略的な図面を参照して、本発明をより詳細に説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】折り曲げられた芯部材の2つのストランド同士の間に横並びで配置された複数のフィラメントの側面図。
図2図1の芯部材およびフィラメントの平面図。
図3図1および図2に示す仕組みから形成される挿入案内先端部を有した歯間ブラシの平面図。
図4図3の破線円で示されるような歯間ブラシの遠位端の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図3を参照すると、ブラシ部分2を有した歯間ブラシ1が開示されている。ブラシ部分2は、芯部材3と、複数のフィラメント10,20とを備えている。芯部材3は、縦方向Lに沿って互いに並んで伸びる2つのストランド3a,3bへと折り曲げられ、縦方向L沿いに伸びる軸線A周りに縒り合わされている。複数のフィラメント10,20は、2つのストランド3a,3b同士の間に固定され、縒り合わされた芯部材3から半径方向へ伸びると共に、縦方向L沿いに伸びる螺旋Hに沿って横並びに配置され、それによりブラシ部分2を形成している。
【0046】
第1組のフィラメント10は、縒り合わされた芯部材3の第1縦方向区分長L1に亘って横並びに配置されている。第1組のフィラメントの各フィラメント10は、第1フィラメント直径D1を有している。
【0047】
第2組のフィラメント20は、縒り合わされた芯部材3の第2縦方向区分長L2に亘って配置されている。第2組のフィラメントの各フィラメント20は、第2フィラメント直径D2を有している。第2フィラメント直径D2は、第1フィラメント直径D1よりも小さい。
【0048】
第2縦方向区分長L2は、歯間ブラシ1の遠位端5の所に位置している。第2区分長は、ブラシ部分2の縦方向延長L3の15%未満である縦方向沿いの長さL2を有している。縦方向延長ないし長さL3とは、それに亘ってフィラメント10,20が存在するところの総延長を表す、ということに留意されたい。芯部材3は概して、それに亘ってフィラメント10,20が存在するところの延長よりも長い延長を有している。それに亘ってはフィラメント10,20の存在していない芯部材3の部分は、典型的には(図3に示すように)芯部材3をハンドルへ取り付けるのに用いられる。第1組のフィラメントと第2組のフィラメントしか存在しない場合、このブラシ部分2の縦方向延長L3は、第1区分長L1に第2区分長L2を加えたものである。
【0049】
以上のことによって形成された歯間ブラシ1では、歯間ブラシ1の遠位端5の所に挿入案内先端部Bが設けられている。
【0050】
以下、歯間ブラシ1の遠位端5の所に挿入案内先端部Bを設ける方法を、より詳細に開示することとする。
【0051】
当該方法は要するに、配置する段階と、縒り合わる段階と、端部切断をする段階と、ハンドルへ取り付ける段階とを備えていると言ってよい。配置する段階と、縒り合わせる段階と、端部切断をする段階と、ハンドルへ取り付ける段階とを備える方法は、これらの段階の前や後、或いは段階同士の間に別の段階を備えていてもよい、ということに留意されたい。各段階は、相次いで実行される別々の段階であってよい。それらのような段階は、例えば製造機械における異なる作業ステーションで実行されてよいが、1つの作業ステーションで2つ以上の段階が相次いで実行されてもよい。但し、2つ以上の段階が単一の段階として実行されてもよい。好適な実施形態では、各段階が、開示された順序で相次ぐ段階として実行される。好適な実施形態では、配置するのと縒り合わせるのとの2つの段階が、単一の作業ステーションにおいて、開示された順序にて相次いで実行される。
【0052】
配置する段階は、芯部材3の2つのストランド3a,3b同士の間に、複数のフィラメント10,20を、縦方向L沿いに伸びるブラシ部分2に沿って横並びに配置することを含んでいる。その場合、芯部材3の2つのストランド3a,3bは、縦方向Lに沿って互いに並び合って伸びると共に、芯部材3を折り曲げることによって形成されている。当該配置する行為ないし段階は、ブラシ部分2の第1縦方向区分長L1’に亘って第1組のフィラメント10を横並びに配置することと、ブラシ部分2の第2縦方向区分長L2’に亘って第2組のフィラメント20を配置することとを含んでいる。複数のフィラメント10,20は、図2に示すようにフィラメント・ホルダ33によって保持される。フィラメント・ホルダ33には、典型的にはフィラメント同士の複数の組になったフィラメントが供給される。1つないし複数のそのような組が第1組のフィラメント10を形成し、1つないし複数のそのような組が第2組のフィラメント20を形成する。
【0053】
第1組のフィラメントの各フィラメント10は、それぞれ第1フィラメント直径D1を有し、第2組のフィラメントの各フィラメント20は、それぞれ第2フィラメント直径D2を有し、第2フィラメント直径D2は第1フィラメント直径D1よりも小さい。
第2縦方向区分長L2’は歯間ブラシ1の遠位端5の所に位置している。第2区分長は、ブラシ部分2の縦方向延長L3’の約15%未満である縦方向沿いの長さL2’を有している。
【0054】
この段階の後、即ち配置する行為の後、ブラシ部分2は図1および図2に示すような構成を有している。
【0055】
縒り合わせる段階は、2つのストランド3a,3b同士を縦方向L沿いの軸線A周りに縒り合わせて、縒り合わされた芯部材3を形成し、それにより2つのストランド3a,3b同士の間にフィラメント10,20を固定することであって、フィラメント10,20が、縒り合わされた芯部材3から半径方向へ伸びると共に、縦方向L沿いに伸びる螺旋Hに沿って横並び配置となるようにすることを含んでいる。
【0056】
縒り合わせは、例えば図2に示すように、折り曲げられた芯部材3の両端部を保持する2つの回転式挟み具31,32を用いて実行されてよい。2つの挟み具31,32同士は、芯部材3が縒り合わされるよう、軸Aに対して反対方向へ回転するように構成されている。或いは、挟み具31,32のうちの一方を静止状態に保持してもよい。
【0057】
この段階の後、ブラシ部分2は図3および図4に示す構成を有している。但し、図3においては、ブラシ部分2がハンドル4へ取り付けられてもいることに留意されたい。全長L3’並びに区分長L1’およびL2’は、図1および図2に示すように第1および第2組のフィラメントのフィラメント10,20同士が横並びに配置されているときには、図3および図4に示すような2つのストランド3a,3b同士の縒り合わせ後の全長L3並びに区分長L1およびL2に比べて、それぞれ僅かに長くなっている、ということに留意されたい。割合や寸法は、図3および図4に示すような2つのストランド3a,3b同士の縒り合わせ後の状況を表しているのである。
【0058】
第2区分長L2は少なくとも、芯部材の縒り合わせによって形成される遠位端ループが、第2組のフィラメント20のフィラメントで、即ち小さい方のフィラメント直径D2を有したフィラメントで満たされるに足る長さであることが好ましい。図面に開示された好適な実施形態では、第2区分長L2は、小さい方のフィラメント直径D2を有したフィラメントが、端部ループおよびもう1回の縒り合わせ、即ち2回の縒り合わせを占めるような長さを有している。
【0059】
この方法によって歯間ブラシを製造することにより、挿入案内先端部を有する改良された歯間ブラシが達成される。比較的短い遠位側の区分長に亘って、より小さい直径を有したフィラメントを用いることにより、挿入案内先端部をもたらすことが可能となっている。折り曲げられて縒り合わされた芯部材によって形成された遠位端ループと、遠位端ループ内に固定されたフィラメントとは、従来技術の設計と比べて、より小さい寸法を有することとなる。異なる2組のフィラメントの使用と、第2区分長が比較的短いという事実とによって、遠位端の近くに被知覚特性における遷移をもたらすことが可能となる。遠位端の所の細い方のフィラメントは、先端部が歯間の隙間内へ挿入されたすぐ後に歯と当たり始める僅かに太い方のフィラメントよりも比較的柔らかいものとして知覚され得る。太い方のフィラメントは、細い方のフィラメントに比べて、歯間の隙間内で歯間ブラシを中心に合わせようとする、より強い傾向をもたらすこととなる。縮小した寸法の遠位端ループをもたらすことによって、また遠位端の近くに被知覚特性における遷移をもたらすことによって、使用者はこれを、歯間の隙間内へと進路を誘導するのを助ける歯間ブラシとして体験することとなる。かくして、上記で開示した方法でもって、挿入案内先端部を有した歯間ブラシを製造する方法が提供されるのである。また、挿入案内先端部を有した歯間ブラシは、上記で論述した円錐状の先端部の使用を必要とする従来技術の試みに比べて、製造するのが遙かに容易であることにも留意されたい。比較的短い遠位側の区分長に亘ってより細いフィラメントを用いる本発明の設計では、第1組、および同じ長さを有する第2組のフィラメントを有した挿入案内先端部をもたらすことが可能となる。かくして、縒り合わせおよび回転の軸線周りにブラシ部分を回転させることによってフィラメントを切断する真っ直ぐな切刃を用いて全てのフィラメントを同じ長さに切断する荒っぽい製造プロセスを用いて、挿入案内先端部をもたらすことが可能となる。ある方向に沿った横並びとは、フィラメント同士が本質的に列を成して横並びに配置され、この列が当該方向に沿って伸びている、という事実を表すことを意図している。横並びとは、それらが、縦繋がりに配置されるのではなく、それらの円周包絡面同士で互いに向かい合って接し合った状態で配置されることを意味している。実際には、横並びに配置されたフィラメント同士によって形成されるラインないし列は、一部のフィラメントが(ちょうど、人々が列を作ることによって形成される変則的な列のように)完全な幾何学的ラインからは僅かにずれるであろう方向に沿って伸びることとなる、ということに留意されたい。これは当業者には周知の事実であるが、如何なる誤解をも避けるためには、なお言及されてよい。
【0060】
この設計を用いて、遠位端ループではなくブラシ部分の主要部分によって規定される通過孔直径を有した歯間ブラシを立案することも可能である。通過孔直径は、例えば「歯科-口腔ケア製品-手動歯間ブラシ」の表題を持つ基準ISO16409:2016に開示された方法を用いて決められてよい。それにより、主要部分の所で特定の太さを有したある一定の歯間ブラシの方が、遠位端ループの寸法によって設定される通過孔直径を有した従来技術のブラシを用いる場合よりも僅かに小さな歯間隙間内へ挿入され得る、という可能性が高くなる。或いは、それにより、ある一定の歯間隙間内で、使用者が1サイズ大きな主要部分を有したブラシを使用し得る可能性が高くなると言ってもよい。当該特定の歯間隙間内へと歯間ブラシが挿入されるのを、遠位端ループが防げることとはならないからである。かくして、本発明による一連の歯間ブラシは概して、従来技術に開示された歯間ブラシに比べて高い清掃効率をもたらし得るのである。小さい方の直径を有したフィラメントは、ブラシ部分の縦方向延長の比較的少ない部分に亘ってしか配置されていないので、歯間ブラシは依然として、太い方のフィラメントを有して相当な有効ストローク長をもたらす相当な長さを呈することとなる。これにより、使用者が歯間の隙間の効率的な清掃を果たすことが容易となる。
【0061】
第2フィラメント直径D2は、第1フィラメント直径D1の60から95%の間であることが好ましい。第2フィラメント直径D2は、第1フィラメント直径D1の66から90%の間であることがより好ましい。
【0062】
一実施形態では、第1組のフィラメント10と第2組フィラメント20のフィラメント10,20同士が、第2フィラメント直径D2を有したフィラメント20が第1フィラメント直径D1を有したフィラメント10に比べて低下した曲げ抵抗を有するように、同じ材料で形成されている。代替的な実施形態によれば、第1組のフィラメント10と第2組フィラメント20のフィラメント10,20同士が異なる材料で形成される。それらの材料は、第2フィラメント直径D2を有したフィラメント20が第1フィラメント直径D1を有したフィラメント10に比べて低下した曲げ抵抗を有するような互いに相対的な材料剛性を有するように選択される。
【0063】
曲げ抵抗がフィラメントの実際の長さに関連していて、ある直径を有してある材料で形成された短いフィラメントは、同じ直径で同じ材料のもっと長いフィラメントに比べて、より大きな曲げ抵抗を有するものとして知覚されることとなる、ということに留意されたい。低下した曲げ抵抗に関する以上の論述においては、これもまた好適なことであるが、第1組および第2組のフィラメント同士が、ブラシ部分の全長に亘って同じ長さを有しているか、または遠位端の所のフィラメントが、第1組のフィラメントにおけるフィラメントの長さの少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%の長さを有することが想定されている。
【0064】
第2区分長L2は少なくとも、芯部材の縒り合わせによって形成される遠位端ループが、第2組のフィラメント20のフィラメントで、即ち小さい方のフィラメント直径D2を有したフィラメントで満たされるに足る長さであることが好ましい。
【0065】
第2区分長は、芯部材3の3回未満(好適には2回未満)の縒り合わせに亘って伸びる長さL2を有していることが好ましい。ある1回の縒り合わせは、任意の第1箇所から、第2箇所までの縦方向Lに沿った距離として定義される。その第2箇所は、1ベクトルとしての縦方向と、当該縦方向に直交する別の1ベクトルとしての半径方向とによって定められる平面内の平面投影で見たときに、ストランド3a,3b同士が入れ替わった位置を有している箇所である。図において第2区分長L2は、小さい方のフィラメント直径D2を有したフィラメントが、端部ループおよびもう1回の縒り合わせ、即ち2回の縒り合わせを占めるような長さを有している(特に、図4の拡大を参照)。
【0066】
本開示はまた、歯間ブラシ1の遠位端5の所に挿入案内用先端部Bを設けるための、歯間ブラシ1における第1組のフィラメント10および第2組のフィラメント20の使用に関するものであると言ってもよい。第1組のフィラメント10のフィラメントは、それぞれ第1フィラメント直径D1を有すると共に、ブラシ部分2の第1縦方向区分長L1に亘って横並びに配置されている。第2組のフィラメント20のフィラメントは、それぞれ第2フィラメント直径D2を有すると共に、ブラシ部分2の第2縦方向区分長L2に亘って配置されている。第2フィラメント直径D2は、第1フィラメント直径D1よりも小さい。第2縦方向区分長L2は歯間ブラシ1の遠位端5の所に位置している。第2区分長は、ブラシ部分2の縦方向延長L3の15%未満である縦方向L沿いの長さL2を有している。
【0067】
本明細書に記載された諸実施形態の(依然として添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にある)多くの改変が存在することが予想される。
【0068】
例えば、好適な実施形態は第1組と第2組とで同じ長さを有したフィラメント同士で設計されているが、細い方のフィラメントの使用を、僅かに円錐形状の端部と組み合わせることが考えられる、ということに留意されたい。そのような場合、それぞれの組におけるフィラメントの材料、フィラメント長、およびフィラメント直径は、遠位端の所のより短いフィラメントが、第1組のフィラメントにおけるより長く太いフィラメントよりも低い曲げ抵抗を有するように選択されることが好ましい。そのような材料や直径の選択により、比較的短い区分長に亘ってのより短いストローは、依然としてより柔らかいものとして知覚され、歯間ブラシの挿入を補助する感覚を与えることとなる。曲げ抵抗がフィラメントの実際の長さに関連していて、ある直径を有してある材料で形成された短いフィラメントは、同じ直径で同じ材料のもっと長いフィラメントに比べて、より大きな曲げ抵抗を有するものとして知覚されることとなる、ということに留意されたい。但し、遠位端の所のフィラメントは、第1組のフィラメントにおけるフィラメントの長さの少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%の長さを有している。
図1
図2
図3
図4