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特許7480115駐車スペースのタイプを決定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】駐車スペースのタイプを決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G08G1/14 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021504764
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019068259
(87)【国際公開番号】W WO2020025260
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】1857135
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゲルピヨン, マシュー
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-290433(JP,A)
【文献】特開2003-252150(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012018112(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00-99/00
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(2)の駐車スペースのタイプを決定するための、デバイスにより実行される方法であって、
前記自動車両(2)の正面カメラ(6)を用いて実行され、乗用車または商用車である対象を検出する検出フェーズ(P1)と、
前記対象の向き(θi/rte)を評価する評価フェーズ(P3)であって、前記自動車両が走行している直線上の道路部分に前記対象が位置している場合、前記対象の前記向きは、前記自動車両が走行している前記道路部分に対して評価され、前記自動車両が走行している直線上の道路部分に前記対象が位置していない場合、前記対象の前記向きは、前記対象の場所に位置している道路部分に対して評価される、前記対象の前記向きを評価する評価フェーズ(P3)と、
評価された前記向き(θi/rte)に基づいて駐車スペースのタイプを決定する決定フェーズ(P4)と、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記検出フェーズ(P1)において、前記対象にリンクされたデータが決定され、前記対象にリンクされた前記データは、対象連続検出カウント信号、前記対象の位置(xi/veh)、前記対象の前記位置の精度を表す変数、前記対象の速度(v)、前記対象の向き(θi/veh)、および前記対象の前記向きを表す変数を含み、前記方法はさらに、前記検出フェーズ(P1)と前記評価フェーズ(P3)との間にフィルタリングフェーズ(P2)を含み、前記フィルタリングフェーズ(P2)は、
前記位置の前記精度を表す前記変数が位置閾値を超える場合、前記対象は棄却され、超えない場合、前記対象は保持される、不正確位置フィルタリングステップ(E21)、
前記向きを表す変数が向き閾値を超える場合、前記対象は棄却され、超えない場合、前記対象は保持される、不正確向きフィルタリングステップ(E22)、
前記対象の速度(v)が第3の閾値を超える場合、前記対象は棄却され、超えない場合、前記対象は保持される、移動車両フィルタリングステップ(E23)、および
前記対象連続検出カウント信号がカウント閾値より小さい場合、前記対象はフィルタリングされ、そうでない場合、前記対象は保持される、ファントム検出フィルタリングステップ(E24)
の中から選定される少なくとも1つのフィルタリングステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出フェーズ(P1)では、前記対象の位置(xi/veh)が決定され、前記方法は、前記対象の前記位置(xi/veh)と前記自動車両(2)との間の距離が距離閾値を超える場合、前記対象は棄却され(E25)、超えない場合、前記対象は保持されるフィルタリングフェーズ(P2)を、前記検出フェーズ(P1)と前記評価フェーズ(P3)との間にさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記評価フェーズ(P3)では、前記対象の前記場所における道路の向きが決定され、前記道路に対する前記対象の前記向きは、前記対象の前記場所における前記道路の前記向きに基づいて評価される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記道路が地上標識を有する場合、前記対象の前記場所における前記道路の前記向きは、前記地上標識を考慮に入れて決定され(E34)、前記道路が一切の地上標識を有しない場合、および、前記対象が前記自動車両(2)の後方にある、または前記自動車両(2)と同じ位置にある場合、前記自動車両の過去の軌跡が決定され(E35)、前記対象の前記場所における前記道路の前記向きは、前記対象の前記場所における前記過去の軌跡に基づいて評価され(E37)、前記道路が一切の地上標識を有しない場合、および前記対象が前記自動車両(2)の前方にある場合、前記自動車両(2)の確度の高い軌跡が決定され、前記対象の前記場所における前記道路の前記向きが、前記対象に最も近い地点における前記確度の高い軌跡に基づいて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記自動車両(2)の確度の高い軌跡が決定される時、
前記自動車両(2)の速度が一定のままである速度シナリオ、
前記自動車両(2)の加速度が一定のままである加速度シナリオ、
前記自動車両(2)のハンドル角度が一定のままであるハンドル角度シナリオ、および
前記自動車両(2)の偏角が一定のままである偏角シナリオ
の中から選定される少なくとも1つのシナリオが受け入れられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記検出フェーズ(P1)において、複数の対象が検出され(E11)、前記決定フェーズ(P4)では、対象が何であろうと、前記道路に対する前記対象の向きの関数としての値を格納するマップに含まれる少なくとも1つの第1の項および1つの第2の項が前記対象と関連付けられ(E41)、前記少なくとも1つの第1の項および1つの第2の項は、
縦列駐車タイプの項、
並列駐車タイプの項、および
ヘリングボーン状駐車タイプの項
の中から選定され、次いで、さまざまな対象の前記第1の項の第1の和および前記さまざまな対象の前記第2の項の第2の和が計算され(E452)、前記第1の和および前記第2の和のうちの一方がもう一方より大きいかどうか、好ましくは、前記第1の和および前記第2の和のうちの一方が、もう一方に厳密に正のオフセット項を加えたものより大きいかどうかに基づいて前記駐車スペースのタイプが決定される(E46)、請求項から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
対象が何であろうと、少なくとも1つの係数は前記対象と関連付けられ(E42、E43、E44)、前記少なくとも1つの係数は、
前記自動車両(2)から前記対象までの距離を表す係数、
道路に対する前記対象の前記向き(θi/rte)を評価するために前記道路の上の地上標識を考慮に入れることを表す係数、および
前記対象と前記自動車両(2)の軌跡との間の横方向のずれを表す係数
の中から選定され、前記第1の和および前記第2の和が計算される前に、前記対象と関連付けられた前記第1の項および前記第2の項は、前記対象と関連付けられた前記係数によって重み付けされる(E451)、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサまたは電子制御ユニットによって実行される時、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されるコードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項10】
自動車両(2)内に収容され得る、自動車両(2)の駐車スペースのタイプを決定するためのデバイス(8)であって、
乗用車または商用車である対象を検出するための検出モジュール(10)であって、情報の観点から前記自動車両(2)の正面カメラ(6)に接続され得る、検出モジュール(10)と、
前記対象の向き(θi/rte)を評価することができる評価モジュール(14)であって、前記対象が、前記自動車両が走行している直線上の道路部分に位置している場合、前記対象の前記向きは、前記自動車両が走行している道路部分に対して評価され、前記対象が、前記自動車両が走行している直線上の道路部分に位置していない場合、前記対象の前記向きは、前記対象の場所に位置している道路部分に対して評価される、評価モジュール(14)と、
前記評価モジュール(14)によって評価された向き(θi/rte)を考慮に入れて、駐車スペースのタイプを決定することができる決定モジュール(16)と、
を含む、デバイス(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の駐車支援の分野に関し、より詳細には、駐車スペースのタイプを決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、多くの車両が自動駐車システムを装備している。これらのシステムによって、運転者が関わることなく駐車操作を行うことが可能になる。さらにまた、運転者の利便性を改善するために、自動駐車システムは、利用可能な駐車スペースの有無を決定するために車両の環境を検出するためのデバイスに結合される。例えば、このようなシステムを記載している文献EP2327608を参照することができる。
【0003】
この解決策の1つの欠点は、車両を駐車するために行われる操作のタイプが決定されないことである。例えば、自動駐車システムは、いくつかの並列駐車スペースに車両を駐車するために縦列駐車操作を行う場合がある。これによって、車両が不都合に駐車されることになる。
【0004】
この問題を解決するために、運転者は、一般的に、利用可能な駐車スペースに車両を駐車するために自動駐車システムによって行われるべき操作のタイプを選択するように尋ねられる。従って、運転者の利便性を改善する問題については、明らかに解決されていない。
【0005】
文献EP2982572には、駐車スペースを画定する地上標識を解析することによって駐車スペースのタイプを決定するためのデバイスが記載されている。このような解決策は、駐車スペースが地上標識によって明確に定められている場合、および地上標識が消去されていない場合にのみ作用する点で、十分満足のいくものではない。
【0006】
別の解決策は、超音波センサを使用して駐車スペースのタイプを決定することにある。この解決策の1つの欠点は、超音波が非常に短い距離で物体を検出することである。その結果、利用可能な駐車スペースを、このスペースのタイプが決定される時には通り過ぎていることが多い。
【発明の概要】
【0007】
上記を考慮して、本発明の目的は、上述した欠点を克服することである。
【0008】
より詳細には、本発明は、駐車スペースのタイプを十分早く、そして駐車スペースを画定する地上標識がない場合にも決定することができるようにすることを目的とする。
【0009】
このために、提案されるのは、
-対象を検出するフェーズ、
-道路に対する対象の向きを評価するフェーズ、および
-評価された向きに基づいて駐車スペースのタイプを決定するフェーズを含む、自動車の駐車スペースのタイプを決定するための方法である。
【0010】
この方法の1つの一般的な特徴によると、検出フェーズは車両の正面カメラを用いて実施される。
【0011】
車両の正面カメラは、乗用車または商用車に相当する対象を認識するのにとりわけ適している。さらにまた、既に駐車している車両に基づいて駐車スペースのタイプを決定することが可能である。従って、駐車スペースを画定する地上標識の存在は必要ではない。対象は、車両の前方に離れて位置している場合がある。従って、駐車スペースのタイプは、車両が利用可能な駐車スペースを通り過ぎて行く前に明確に決定可能である。
【0012】
1つの実施態様では、検出フェーズにおいて、対象にリンクされたデータが決定され、対象にリンクされたデータは、対象連続検出カウント信号、対象の位置、対象の位置の精度を表す変数、対象の速度、対象の向き、および対象の向きの精度を表す変数を含み、方法はさらに、検出フェーズと評価フェーズとの間にフィルタリングフェーズを有し、フィルタリングフェーズは、不正確位置フィルタリングステップ、不正確向きフィルタリングステップ、移動車両フィルタリングステップ、およびファントム検出フィルタリングステップの中から選定される少なくとも1つのフィルタリングステップを含む。
【0013】
本出願では、「連続検出カウント信号」という表現は、対象の検出ごとに増分し、かつ対象が一実施においてもはや検出されない時に再初期化される信号を意味すると理解されるものとする。また、本出願では、「フィルタ」という用語が、その通常の定義に従って使用されることが考えられ、すなわち、分類が行われ、フィルタリングの終わりに、フィルタリングされた対象が保持されるかまたは棄却される場合があることが考えられる。
【0014】
不正確位置フィルタリングステップでは、位置の精度を表す変数が位置閾値を超える場合、対象は棄却され、超えない場合、対象は保持される。
【0015】
不正確向きフィルタリングステップでは、向きの精度を表す変数が向き閾値を超える場合、対象は棄却され、超えない場合、対象は保持される。
【0016】
これらの不正確位置フィルタリングステップおよび不正確向きフィルタリングステップによって、データの検出が不正確である対象を棄却することが可能になる。これらのステップは、好ましくは、対象の検出の開始時にのみ実施され、その後はもう実施されない。
【0017】
好ましくは、対応する位置および向きの精度を表す変数は、位置および向きの標準偏差である。
【0018】
移動車両フィルタリングステップでは、対象の速度が速度閾値を超える場合、対象は棄却され、超えない場合、対象は保持される。
【0019】
このフィルタリングステップによって、駐車した車両のみに基づいて駐車スペースのタイプを決定するように、移動車両に相当する対象を棄却することが可能になる。好ましくは、このステップは、停止信号または信号機で最初に停止した車両など、最初に保持されたがその後移動し始める対象を排除するために、対象が検出される限り常に適用される。
【0020】
ファントム検出フィルタリングステップでは、対象連続検出カウント信号がカウント閾値より小さい場合、対象は棄却され、そうでない場合、対象は保持される。
【0021】
ファントム検出フィルタリングステップによって、正面カメラを用いて行われたファントム検出を棄却することが可能になる。好ましくは、このステップは、車両の正面カメラの視野に位置している対象に対してのみ実施され、他の対象に対しては実施されない。代替策として、このステップは、対象の検出の開始時のみ実施され、その後はもう実施されない。
【0022】
1つの有利な実施態様によると、検出フェーズでは、対象の位置が決定され、方法は、対象の位置と車両との間の距離が距離閾値を超える場合、対象は棄却され、超えない場合、対象は保持されるフィルタリングフェーズを、検出フェーズと評価フェーズとの間にさらに含む。
【0023】
このフィルタリングによって、対象が考慮に入れられる領域の長さを限定することが可能になる。これは、車両から離れた対象が自動車に近い駐車スペースのタイプと異なるタイプである可能性が大きくなるため、有利である。
【0024】
有利には、評価フェーズでは、対象の場所における道路の向きが決定され、道路に対する対象の向きは、対象の場所における道路の向きに基づいて評価される。
【0025】
対象の場所における道路の向きを使用することによって、道路にカーブがある時の駐車スペースのタイプを決定するために対象の向きの簡易な評価を可能にする。
【0026】
1つの実施態様では、道路が地上標識を有する場合、対象の場所における道路の向きは、地上標識を考慮に入れて決定され、道路が一切の地上標識を有しない場合、および、対象が車両の後方にある、または車両と同じ場所にある場合、車両の過去の軌跡が決定され、対象の場所における道路の向きは、対象の場所における過去の軌跡に基づいて評価され、道路が一切の地上標識を有しない場合、および対象が車両の前方にある場合、車両の確度の高い軌跡が決定され、対象の場所における道路の向きが、対象に最も近い地点における確度の高い軌跡に基づいて評価される。
【0027】
よって、道路が一切の地上標識を有しない場合でも、および車両の前方および後方両方において、道路の向きを決定することが可能である。道路が地上標識を有する時、地上標識は、道路の向きをより正確に決定するために考慮に入れられる。
【0028】
好ましくは、車両の確度の高い軌跡が決定される時、
-車両の速度が一定のままである速度シナリオ、
-車両の加速度が一定のままである加速度シナリオ、
-車両のハンドル角度が一定のままであるハンドル角度シナリオ、および
-車両の偏角が一定のままである偏角シナリオ
の中から選定される少なくとも1つのシナリオが受け入れられる。
【0029】
このようなシナリオは、確度の高い軌跡の簡易かつ正確な決定を可能にする折衷案を構成する。
【0030】
1つの実施態様では、検出フェーズにおいて、複数の対象が検出され、決定フェーズでは、対象が何であろうと、少なくとも1つの第1の項および1つの第2の項が対象と関連付けられ、これらは、
-縦列駐車タイプの項、
-並列駐車タイプの項、および
-へリングボーン状駐車タイプの項
の中から選定され、次いで、さまざまな対象の第1の項の第1の和およびさまざまな対象の第2の項の第2の和が計算され、第1の和および第2の和のうちの一方がもう一方より大きいかどうか、好ましくは、第1の和および第2の和のうちの一方が、もう一方に厳密に正のオフセット項を加えたものより大きいかどうかが決定される。
【0031】
最大の和に対応する駐車スペースのタイプは、車両の領域における駐車スペースのタイプである可能性が最も高い。オフセット項によって、駐車スペースのタイプの決定に関する信頼度を調節することが可能になる。
【0032】
好ましくは、対象が何であろうと、少なくとも1つの係数は対象と関連付けられ、和が計算される前に、対象と関連付けられた項は、対象と関連付けられた係数によって重み付けされる。
【0033】
例えば、係数は、車両から対象までの距離を表してよい。
【0034】
さらにまた、対象が車両から遠いほど、この対象が車両の近くに位置している駐車スペースのタイプと異なって駐車された車両である可能性が高くなることが考慮に入れられる。
【0035】
例えば、係数は、道路に対する対象の向きを評価するために道路上の地上標識を考慮に入れることを表す。
【0036】
さらにまた、向きが比較的不正確に決定されている対象に対する重みを低くすることが可能である。
【0037】
例えば、係数は、対象と車両の軌跡との間の横方向のずれを表してよい。
【0038】
別の道路または駐車スペースの別の列にある危険性が高い対象は、さらにまた、範囲が狭くなることが考慮に入れられる。
【0039】
別の態様によると、提案されるのは、プロセッサまたは電子制御ユニットによって実行される時、上記で定められるような方法を実施するように構成されるコードを含むコンピュータプログラムである。
【0040】
さらに別の態様によると、提案されるのは、自動車内に収容され得る、自動車の駐車スペースのタイプを決定するためのデバイスであって、
-対象を検出するための検出モジュールであって、情報の観点から自動車の正面カメラに接続され得る、検出モジュールと、
-道路に対する対象の向きを評価することができる評価モジュールと、
-評価モジュールによって評価された向きを考慮に入れて、駐車スペースのタイプを決定することができる決定モジュールと、を含む、デバイスである。
【0041】
本発明のその他の目的、特徴、および利点は、非限定的な例としてのみ挙げられた以下の説明を読み、かつ添付の図面を参照することで明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の1つの態様によるデバイスを概略的に示す図である。
図2】対象の向きの関数として駐車スペースタイプの項値を含むマップを示すグラフである。
図3】本発明の別の態様による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1を参照すると、自動車2が概略的に示されている。車両2は、従来、自動車設計に使用される直接的な正規直交ベクトル基底3にリンクされる。正規直交基底7は、
を含む。車両2は、情報の観点から正面カメラ6に接続される車載コンピュータ4を有する。
【0044】
カメラ6はまた、車両2の高性能運転支援システムの一部を形成する。このようなシステムはまた、高性能運転者支援システムとして、または対応する頭文字ADASによって知られる。カメラ6の役割は、車両2の環境の複数の画像を収集することである。より詳細には、カメラ6は、最長距離60mで、および
の方向に対する50度~100度の範囲に含まれる開口角にわたって、車両2の前方に位置している視野における画像を検出する。本出願では、「画像」という用語は、光学分野におけるその通常の定義に従って、すなわち、光学系によって与えられる対象物の表現を示すように理解されるものとする。
【0045】
カメラ6は、収集された画像において、乗用車および商用車に相当する対象を分離することができる。とりわけ、カメラ6は、その視野に位置している場合がある、歩行者、トラック、バス、オートバイ、自転車、または市街備品でさえも対象として検出しない。それぞれの対象について、カメラ6は、
-車両2に対する対象の位置、
-対象の速度、
-車両2に対する対象の向き
を含む、対象にリンクされるデータを決定することができる。本出願では、車両2に対する対象の向きは、対象の長手方向と
との間の角度に相当する。
【0046】
カメラ6はまた、地上標識の存在を検出するように構成される。とりわけ、カメラ6は、道路上で交通用スペースを画定する地上標識、および駐車スペースを画定する地上標識を検出する。交通用スペースを画定する地上標識は、中央線、硬路肩線、または車線を画定する線を含んでよい。駐車スペースを画定する地上標識は、駐車スペースの角度において「T」を形成する線を含んでよい。有利には、車両の360度視野を構成することが可能である広角視野を有するカメラなどの他のカメラが設けられていてもよい。このようなカメラは、一般的に、アラウンドビューモニターとして、または対応する頭文字AVMによって知られる。
【0047】
車両2は、利用可能な駐車スペースを検出するためのデバイス(図示せず)を有する。それ自体が既知であるこのようなデバイスは、車両2を駐車するための利用可能なスペースの存在についての情報を車載コンピュータ4に提供することが可能である。
【0048】
車両2はデバイス8を有する。デバイス8の役割は、駐車スペースのタイプを決定することである。より詳細には、デバイス8によって、駐車スペースが地上標識によって画定されていない時でも駐車スペースのタイプを決定することが可能である。このために、車両2はまた、地上標識に基づいて駐車スペースのタイプを決定するためのデバイス(図示せず)を含んでよい。2つのデバイスの組合せによって、駐車スペースが地上標識によって画定される時の決定の堅牢性が高まり、かつ、該スペースが地上標識によって画定されていない時に決定を行うことが可能になる。しかしながら、当然ながら、駐車スペースのタイプを決定するための別のデバイスに結合されないデバイス8を検討することは、本発明の範囲から逸脱しない。検討中の例では、デバイス8は、縦列駐車スペース、並列駐車スペース、およびヘリングボーン状駐車スペースに対応する駐車スペースのタイプを決定するように構成される。しかしながら、当然ながら、他のタイプの駐車スペースを検討することは、本発明の範囲から逸脱しない。
【0049】
デバイス8は、情報の観点から、車載コンピュータ4およびカメラ6に直接または間接的に接続される検出モジュール10を有する。モジュール10は、カメラ6によって検出されたさまざまな対象にリンクされるデータを収集する。モジュール10はまた、車両2のオドメトリデータを収集する。より正確には、モジュール10は、基準フレームにおける車両2の位置、基準フレームにおける車両2の向き、ハンドル角度、車両2の速度、および車両2の向首角の速度を収集する。
【0050】
それぞれの対象について、検出モジュール10は、対象位置精度情報を収集する。この場合、位置精度情報は位置標準偏差である。このデータ項目は、カメラ6に統合された画像処理アルゴリズムによって直接供給される。対象が何であろうと、対象の位置標準偏差は、カメラ6による数回の取得における対象の位置の標準偏差に相当する。それぞれの対象について、検出モジュール10はまた、対象向き精度情報を、この場合、対象の向きの標準偏差を収集する。このデータ項目はまた、カメラ6に統合された画像処理アルゴリズムによって供給される。対象が何であろうと、対象の向き標準偏差は、カメラ6による数回の取得における対象の向きの標準偏差に相当する。
【0051】
モジュール10はカウンタ11を有する。対象が何であろうと、カウンタ11は、対象と関連付けられた連続検出カウント信号を決定する。
【0052】
デバイス8はフィルタリングモジュール12を有する。このモジュール12の役割は、カメラ6によって検出されかつモジュール10によって収集された対象をフィルタリングすることである。このために、モジュール12は、情報の観点からモジュール10に接続される。モジュール12は、モジュール10によって受信したデータに基づいてモジュール10によって収集された対象をフィルタリングするステップを実施するためのハードウェアおよびソフトウェア手段を装備している。
【0053】
デバイス8は評価モジュール14を含む。モジュール14の役割は、モジュール10によって収集されかつモジュール12によって棄却されないそれぞれの対象target_iについて、道路に対する対象の向きθi/rteを評価することである。このために、モジュール14は、とりわけ、モジュール10によって収集された対象の各々の向きを受信する。モジュール14はまた、モジュール10によって受信したオドメトリデータ、および、交通用スペースを画定する地上標識の検出および形状を表す信号を受信する。
【0054】
デバイス8は決定モジュール16を有する。モジュール16の役割は、モジュール14によって評価された向きに基づいて、検討中の駐車スペースのタイプを決定することである。
【0055】
このために、モジュール16は、道路に対する対象の向きの関数として、縦列駐車タイプの項、並列駐車タイプの項、およびヘリングボーン状駐車タイプの項の値を記憶するマップ18を有する。マップ18は図2に示されている。マップ18は、縦列駐車タイプの項の値に対応する、細い破線の第1の曲線20を含む。太い破線の第2の曲線22は、ヘリングボーン状駐車タイプの項の値に対応する。切れ目のない線である第3の曲線24は、並列駐車タイプの項の値に対応する。曲線20、22、および24は、像が-1~1である複数のアフィン関数によって形成される。対象が何であろうと、マップ18が、1に等しい、縦列駐車タイプの項、並列駐車タイプの項、またはヘリングボーン状駐車タイプの項を供給する時、対象には、それぞれ、縦列駐車、並列駐車、またはヘリングボーン状駐車が行われる。
【0056】
デバイス8によって、図3に示されるような方法を実施することが可能である。方法は、第1のフェーズP1、第2のフェーズP2、第3のフェーズP3、および第4のフェーズP4を含む。方法は、規則的に、例えば、1秒ごとに実施されることを目的としている。
【0057】
フェーズP1は、モジュール10が正面カメラ6によって対象を検出する第1のステップE11を含む。それぞれの対象はtarget_iと示され、ここで、iは整数である。対象target_iが何であろうと、車両2に対する位置はxi/vehと示され、位置の標準偏差はσX_iと示され、速度はviと示され、車両2に対する向きはθi/vehと示され、向きの標準偏差はσθ_iと示され、対象と関連付けられるカウント信号はΣiと示される。検討中の方法の例示の実施では、10の対象が検出される:
-target_1は、車両2の前方15mに並列駐車した車両であり、
-target_2は、車両2の後方15mに並列駐車した車両であり、
-target_3は、車両2の前方25mのカーブ上に並列駐車した車両であり、
-target_4は、車両2の後方25mのカーブ上にヘリングボーン状に駐車した車両であり、
-target_5は、低い検出品質で
が検出される車両であり、
-target_6は、低い検出品質で
が検出される車両であり、
-target_7は、車両2の反対方向に移動する車両であり、
-target_8は、当該方法の2つ前の実施において検出しなかった駐車済み車両であり、
-target_9は、車両2の前方45mに駐車済み車両であり、
-target_10は、車両2の後方60mに駐車済み車両である。
【0058】
ステップE11の後に、ステップE12が行われる。iが何であろうと、ステップE12において、正面カメラ6およびモジュール10は、対象target_iにリンクされたデータ、すなわち、位置xi/veh、標準偏差σX_i、速度v、向きθi/veh、および標準偏差σθ_iを検出する。カウンタ11によって供給される信号Σも収集される。
【0059】
その後のステップE13では、対象target_iが、方法の先の実施では検出されるが方法の現在の実施では検出されなくても、先の実施で検出された対象target_iにリンクされるデータである先のデータが収集される。次に、更新されたデータxi/veh、σX_i、v、θi/veh、およびσθ_iが決定される。データxi/veh、v、およびθi/vehを決定するために、車両の移動速度、車両のハンドル角度、または車両の偏角など、車両にリンクされるデータを考慮に入れて、先のデータが更新される。データσX_iおよびσθ_iは、対応する先のデータと同一である。最後に、更新されたデータは後で方法を実施するその後のステップのために記憶される。
【0060】
フェーズP2は、標準偏差σx_iが閾値threshold_1と比較されるステップE21を有する。標準偏差σx_iが閾値threshold_1を超える場合、対象target_iはステップE21で棄却される。検討中の例では、閾値threshold_1は、2m~4mであり、好ましくはおおむね3mに等しい。この場合、対象target_5の位置x5/vehの検出は、標準偏差σX_5が閾値threshold_1を超えるため、品質が低い。対象target_5はステップE21で棄却される。
【0061】
フェーズP2はステップE22を有する。ステップE22では、標準偏差σθ_iを考慮に入れて、ステップE21におけるフィルタリングと同様である、残りの対象のフィルタリングを実施する。検討中の例では、iが5以外の何であろうと、σθ_iが閾値threshold_2を超える場合、対象target_iは棄却される。閾値threshold_2は、2度~6度であり、好ましくはおおむね4度に等しい。この場合、対象target_6の向きの検出は、標準偏差σθ_6が閾値threshold_2を超えるため、品質が低い。その結果、対象target_6はステップE22で棄却される。
【0062】
フェーズP2はステップE23を含む。ステップE23において、iが5または6以外の何であろうと、速度vは閾値threshold_3と比較され、速度vが閾値threshold_3を超える場合、対象target_iはステップE23で棄却される。示される例では、閾値threshold_3は、8km/h~4km/hであり、好ましくは、おおむね6km/hに等しい。
【0063】
代替策として、速度vを考慮する代わりに、対象target_iに対してカメラ6によって測定された速度のうちの最高速度を考慮することが可能である。このように、停止している車両、例えば、渋滞、信号機、または停止信号によって停止している車両が、駐車スペースのタイプの決定時に考慮される状況は回避される。
【0064】
この場合、対象target_7は車両2の反対方向に移動している。従って、速度vは閾値threshold_3よりはるかに大きい。その結果、対象target_7はステップE23で棄却される。
【0065】
フェーズP2は、iが5、6、または7以外の何であろうと、信号Σiはカウント閾値threshold_4と比較されるステップE24を有する。信号Σiが厳密には閾値threshold_4より小さい場合、対象target_iはステップE24で棄却される。検討中の例では、閾値threshold_4は5に等しい。しかしながら、当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、完全に異なる数を検討することは可能である。この場合、対象target_8は、当該方法の現在の実施の2つ前の実施において検出されていない。その結果、信号Σ8は2に等しい。対象target_8はさらにまた、ステップE24で棄却される。
【0066】
フェーズP2は、iが5、6、7、または8以外の何であろうと、対象target_iと車両2との間の距離が比較されるステップE25を有する。決定された距離はさらにまた、閾値target_5と比較される。検討中の例では、閾値threshold_5は30mに等しい。決定された距離が閾値threshold_5を超える場合、対象target_iはステップE25で棄却される。この場合、対象target_9に対して決定された距離は45mである。この距離は閾値_5を超える。対象target_9はステップE25で棄却される。同様に、対象target_10に対する距離は60mである。対象target_10はステップE25で棄却されるものとする。ステップE25の終わりに、フェーズP2は終了する。
【0067】
フェーズP3は、車両2が走行している直線上の道路部分に保持されかつ位置している対象の向きを評価する第1のステップE31を有する。ステップE31において、iが何であろうと、対象target_iが車両2の長手方向に対応する直線に沿って位置しているかどうかが決定される。これが該当する場合、向きθi/rte
に等しい。検討中の例では、対象target_1およびtarget_2は、フェーズP2で棄却されず、車両2が走行している直線部分に沿って駐車される。よって、ステップE31では、対象target_1およびtarget_2の向きは以下のように定められる。
【0068】
フェーズP3は、カーブを形成する道路部分に沿って保持されかつ駐車される対象があるかどうかが決定される第2のステップE32を有する。この回答が「いいえ」である場合、フェーズP3は終了する。この場合、対象target_3およびtarget_4はカーブ上に駐車される。従って、ステップE32に対する回答は「はい」である。
【0069】
この場合、対象が位置しているカーブに地上標識があるかどうかが決定されるステップE33が適用される。このために、カメラ6およびモジュール10を使用することが可能である。ステップE33に対する回答が「はい」である場合、ステップE34が適用される。ステップE33に対する回答が「いいえ」である場合、ステップE35が適用される。
【0070】
ステップE34では、道路の向きは、地上標識に基づいて決定される。より正確には、対象target_iがカーブ上に位置していようと、道路の向きはベクトル基底3に関して対象target_iに最も近い地点における道路の向きに相当する。その後、後述されるようなステップE38に移る。
【0071】
ステップE35では、車両2の過去の軌跡が収集される。この場合、過去の軌跡は車両が走った最後の30メートルに相当する。このために、車両2の軌跡を記憶する車載コンピュータ4に組み込まれた(図示されない)メモリを使用することが可能である。
【0072】
ステップE35の後に、車両2の確度の高い軌跡が予想されるステップE36が行われる。車両2の確度の高い軌跡を決定するために、車両2の速度v2/rte、車両2のハンドル角度α、および車両2の偏角βが収集される。確度の高い軌跡は、速度v2/rte、角度α、および角度βが確度の高い軌跡全体にわたって一定のままであると想定して定められる。当然ながら、これらの3つのシナリオのうちの1つまたは2つのみを検討することは、本発明の範囲から逸脱しない。
【0073】
ステップE37において、対象の場所における道路の向きは、対象に最も近い地点における車両2の過去の軌跡または確度の高い軌跡との接線であると定められる。この場合、対象target_4はフェーズP2で棄却されず、車両2の後方のカーブ上に駐車される。対象target_4の場所における道路の向きは、対象target_4に最も近い地点における過去の軌跡との接線によって指示される。同様に、対象target_3は、車両2の前方のカーブ上に位置しており、かついずれの道路標識も有していない。対象target_3の場所における道路の向きは、対象target_3に最も近い地点における確度の高い軌跡との接線によって指示される。ステップE37の終わりに、ステップE38が適用される。
【0074】
ステップE38では、iが何であろうと、フェーズP2で保持されかつカーブに沿って位置している対象target_iに対応して、向きθi/rteが計算される。このために、ステップE34またはステップE37において決定された対象の場所における道路の向きが使用される。示される例では、対象target_3およびtarget_4は、いずれの地上標識も有していないカーブ上に位置している。従って、ステップE37で決定された向きが使用される。ステップE38の終わりに、フェーズP3は終了する。
【0075】
示される例では、フェーズP3では、対象が、車両が走行している直線部分に位置しているか否かに応じて、道路に対する対象の向きを評価する2つの異なるモードを実施する。当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの2つの評価モードのうちの1つのみを使用して検討することは可能である。第1の別形では、フェーズP3はステップE31のみを含む。このような別形は、この設計がより簡易であり、かつ従来の駐車場と同じように直線で作用する点で有利である。第2の別形によると、フェーズP3はステップE33~E38のみを含む。このような別形はより複雑であるが、湾曲部に位置している対象を考慮に入れるために道路の向きを考慮に入れ、かつ車両と道路との間の向きのずれを採用することが可能になる。
【0076】
フェーズP4は、マップ18を読み出す第1のステップE41を有する。より正確には、iが何であろうと、フェーズP2において棄却されない対象target_iに対応して、向きθi/rteはマップ18の入力で入れられ、項t_ciは曲線20で読み出され、項t_biは曲線24で読み出され、項t_eiは曲線22で読み出される。項t_ciは、対象target_iが縦列駐車される場合は1に等しく、そうでない場合は-1に等しい。同様に、項t_biおよびt_eiは、対象target_iがそれぞれ、並列駐車およびヘリングボーン状に駐車される場合は1に等しい。この場合、対象target_1、target_2、およびtarget_3は並列駐車されるのに対し、対象target_4はヘリングボーン状に駐車される。その結果として、
であるため、
である。

【0077】
フェーズP4は、車両から対象までの距離を表す係数c_dを計算するステップE42を有する。iが何であろうと、フェーズP2において棄却されない対象target_iに対応して、係数c_dは、対象target_iと車両2との間の距離の減少関数として決定される。検討中の例では、係数c_dは、車両2と対象target_1との間の距離が20m未満である場合は1に等しく、対象target_iと車両2との間の距離が20mを上回る場合は0.25に等しい。この場合、
である。
【0078】
フェーズP4は、対象の場所における道路の向きを評価するために道路上の地上標識を考慮することを表す係数c_θを決定するステップE43を含む。検討中の例では、iが何であろうと、フェーズP2において棄却されない対象target_iに対応して、係数c_θは、対象target_iの場所における道路の向きがステップE37で決定された場合は0.25に等しい、またはそうでない場合は1に等しい。この場合、
である。
【0079】
フェーズP4は、対象と車両の軌跡との間の横方向のずれを表す係数c_eが決定されるステップE44を含む。ステップE44では、車両2の軌跡と対象の位置との間の横方向のずれが決定される。iが何であろうと、フェーズP2において棄却されない対象target_iに対応して、対象target_iに対する横方向のずれが閾値threshold_6未満である場合、係数c_eは1に等しい。そうでない場合、係数c_eは0.25に等しい。示される例では、閾値threshold_6は、車両2の長さの1.5倍に等しい。検討中の車両2の軌跡は、ステップE35およびE36で決定される過去の軌跡および/または確度の高い軌跡であってよい。この場合、対象target_1、target_2、およびtarget_3は、道路に沿って駐車されるのに対し、対象target_4は脇道に駐車される。車両2の軌跡と対象target_4との間の横方向の距離は、従って、閾値threshold_6を超える。
【0080】
フェーズP4は、項t_b、t_e、t_cがさまざまな係数c_d、c_θ、およびc_eによって重み付けされるステップE451、および、重み付けされた項が合計されるステップE452を含む。より正確には、ステップE451およびE452において、3つの和Σb、Σe、およびΣcが計算される。
【0081】
この場合、先に確定された値によって、計算された和は以下の値を有する。
【0082】
フェーズP4は、駐車スペースのタイプを決定するステップE46を含む。ステップE46では、計算された和が比較される。より正確には、それぞれの和Σb、Σe、またはΣcに対して、オフセットの和Σb´、Σe´、またはΣc´は、厳密に正のオフセット項toffsetを加算することによって計算される。示される例では、項toffsetは1に等しい。他の2つの和から計算されるオフセットの和より大きい3つの和Σb、Σe、またはΣcがある場合、駐車スペースのタイプはこの和の駐車スペースに相当する。
-Σb>Σc+toffsetおよびΣb>Σe+toffsetである場合、駐車スペースは並列駐車スペースであり、
-Σc>Σb+toffsetおよびΣc>Σe+toffsetである場合、駐車スペースは縦列駐車スペースであり、
-Σe>Σc+toffsetおよびΣe>Σb+toffsetである場合、駐車スペースはヘリングボーン状駐車スペースである。
【0083】
このような和が存在しない場合、車両2に近い駐車スペースのタイプは決定されない。
【0084】
この場合、和Σbは加算された和ΣeおよびΣcのそれぞれに項toffsetを加えたものより大きい。従って、駐車スペースは並列駐車スペースである。
【0085】
項toffsetによって、駐車スペースのタイプの決定の信頼性を高めることが可能である。しかしながら、この項の存在によって、駐車スペースのタイプに関する結論が出ない可能性がある。当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、信頼性と運転者の利便性との間の折衷案を調節するためにこの項の値を修正することは可能である。オフセットを排除することも可能であり、この場合、駐車スペースのタイプは実質的に常に決定される。
【0086】
本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれの比較に対して異なるオフセット項を検討することも可能である。この場合、駐車スペースのタイプを決定することに関する信頼度を高めるために非対称的な妥協を行うことが可能である。
【0087】
上記を考慮して、本発明は、車両が利用可能な駐車スペースを通り過ぎる前に明確に駐車スペースのタイプを確実に決定することができるようにし、かつ駐車スペースを画定するいずれの地上標識も存在しない場合でも作用する。
図1
図2
図3