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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】新規使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20240430BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20240430BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P21/00
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/30
A61P43/00 111
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021521516
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2019057260
(87)【国際公開番号】W WO2020086481
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】62/748,517
(32)【優先日】2018-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ-セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA-CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,ロバート イー
(72)【発明者】
【氏名】バノーバー,キンバリー イー
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527598(JP,A)
【文献】Intra-Cellular Therapies Presents Results from ITI-214 Phase 1/2 Clinical Trial in Patients with Parkinson’s Disease at 2018 American Neurological Association Annual Meeting,2018年10月17日,[令和5年10月16日検索]、インターネット<https://ir.intracellulartherapies.com/node/10026/pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PDE1阻害剤を含む、ドパミン補充療法の副作用を軽減するための医であって、ドパミン補充療法の副作用が、運動機能障害およびジスキネジアを含み、ドパミン補充療法が、パーキンソン病の治療のために施され、PDE1阻害剤が、
(1)遊離形態または塩形態の、式II:
【化1】
[式中、
(i) Xは、メチレンであり;
(ii) Yは、アリーレンであり;
(iii) Zは、アリール、ピリジル、または-C(O)-R であり;
(iv) R は、C 1-6 アルキル、ハロC 1-6 アルキル、-OHまたは-OC 1-6 アルキル(例えば、-OCH )であり;
(v) R は、Hであり、R は、ハロゲンで置換されていてもよいアリールであり;
(vi)ここで、Zは、ハロゲンで置換されていてもよい]
および
(2)遊離形態または塩形態の、式III:
【化2】
[式中、
(i) R は、メチルであり;
(ii) R およびR は、ともにメチルであり;
(iii) R は、Hであり;
(iv) R は、-C(=O)-C 1-6 アルキルまたはC 1-6 -ヒドロキシアルキルで置換されていてもよいアリールであり;
(v) R は、Hであり、R は、ハロゲンで置換されていてもよいアリールであり;
(vi)nは、1である]
から選択される化合物である、医薬
【請求項2】
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化3】
【化4】
たは
【化5】
である、請求項1記載の医薬。
【請求項3】
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化6】
である、請求項2記載の医薬。
【請求項4】
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化7】
である、請求項2記載の医薬。
【請求項5】
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化8】
である、請求項2記載の医薬。
【請求項6】
ーキンソン病、軽度~中等度である、請求項1~5のいずれか1項記載の医薬。
【請求項7】
ドパミン補充療法が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、およびそれらの組み合わせの投与を含む、請求項1~6のいずれか1項記載の医薬。
【請求項8】
DE1阻害剤の投与が、副作用の発生を軽減または排除し、運動障害疾患学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)によって評価されるように、プラセボ処置と比較して、「オン」状態で、運動能力を改善し、運動合併症を軽減し、および/または、統一ジスキネジア評価尺度(UDysRS)によって測定されるジスキネジア症状を軽減し、ハウザー患者運動日記を用いて対象体が評価した総「オン」時間およびジスキネジア無しの「オン」時間を増大させ、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項9】
PDE1阻害剤が1~90mgの用量で1日1回投与され、PDE1阻害剤が1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの用量で1日1回投与されてもよい、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際特許出願は、2018年10月21日に出願された米国仮出願第62/748,517号(その内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)の優先権および利益を主張する。
【0002】
開示の技術分野
本開示の技術分野は、ドパミン補充療法(例えば、ドパミン作動性アゴニスト)と組み合わせたPDE1阻害剤によるパーキンソン病などのドパミンD1受容体細胞内経路の障害を含む疾患の治療に関する。特定の実施態様では、本開示は、運動機能障害を治療する方法、ドパミン作動性アゴニストの効力を増強する方法および/またはドパミン作動性アゴニストの副作用を軽減する方法を含む。
【背景技術】
【0003】
ホスホジエステラーゼ(PDE)の11のファミリーが同定されているが、ファミリーIのPDEであるCa2+/カルモジュリン依存性ホスホジエステラーゼ(CaM-PDE)のみが、カルシウムおよび環状ヌクレオチド(例えば、cAMPおよびcGMP)シグナル伝達経路を媒介することが示されている。3つの既知のCaM-PDE遺伝子、PDE1A、PDE1BおよびPDE1Cは、全て中枢神経系組織において発現している。PDE1Aは、脳全体において発現しており、海馬のCA1~CA3層および小脳において高レベルで発現し、線条体において低レベルで発現している。PDE1Aは、肺および心臓においても発現している。PDE1Bは、主に、線条体、歯状回、嗅索および小脳において発現しており、その発現は高レベルのドパミン作動性神経支配を有する脳領域と相関している。PDE1Bは主に中枢神経系に発現しているが、心臓でも検出されることがある。PDE1Cは、主に、嗅上皮、小脳顆粒細胞および線条体において発現している。PDE1Cは、心臓および血管平滑筋においても発現している。
【0004】
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼは、細胞内cAMPおよびcGMPシグナル伝達を、これらの環状ヌクレオチドをそれらのそれぞれの不活性5'一リン酸(5'AMPおよび5'GMP)に加水分解することにより減少させる。CaM-PDEは、特に大脳基底核または線条体として知られている脳の領域内で、脳細胞におけるシグナル伝達の媒介において重要な役割を果たしている。例えば、NMDA型グルタミン酸受容体活性化および/またはドパミンD2受容体活性化により、細胞内カルシウム濃度が上昇し、カルモジュリン依存性キナーゼII(CaMKII)およびカルシニューリンなどのエフェクターが活性化され、CaM-PDEが活性化され、cAMPおよびcGMPが減少する。一方、ドパミンD1受容体活性化により、カルシウム依存性ヌクレオチドシクラーゼが活性化され、cAMPおよびcGMPが増加する。これらの環状ヌクレオチドは、次に、DARPP-32(ドパミンおよびcAMP調節性リン酸化タンパク質)およびcAMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)などの下流シグナル伝達経路エレメントをリン酸化するプロテインキナーゼA(PKA;cAMP依存性プロテインキナーゼ)および/またはプロテインキナーゼG(PKG;cAMP依存性プロテインキナーゼ)を活性化する。
【0005】
したがって、CaM-PDEは、大脳基底核(線条体)におけるドパミン制御および他の細胞内シグナル伝達経路に影響を与えることができ、該細胞内シグナル伝達経路としては、一酸化窒素、ノルアドレナリン、ニューロテンシン、CCK、VIP、セロトニン、グルタミン酸(例えば、NMDA受容体、AMPA受容体)、GABA、アセチルコリン、アデノシン(例えば、A2A受容体)、カンナビノイド受容体、ナトリウム利尿ペプチド(例えば、ANP、BNP、CNP)およびエンドルフィンの細胞内シグナル伝達経路が挙げられるがこれらに限定されない。
【0006】
ホスホジエステラーゼ(PDE)活性、特にホスホジエステラーゼ1(PDE1)活性は、脳組織において、自発運動活性および学習および記憶の調節因子として機能している。PDE1は、好ましくは神経系における、細胞内シグナル伝達経路の制御のための治療標的であり、該細胞内シグナル伝達経路としては、ドパミンD1受容体、ドパミンD2受容体、一酸化窒素、ノルアドレナリン、ニューロテンシン、CCK、VIP、セロトニン、グルタミン酸(例えば、NMDA受容体、AMPA受容体)、GABA、アセチルコリン、アデノシン(例えば、A2A受容体)、カンナビノイド受容体、ナトリウム利尿ペプチド(例えば、ANP、BNP、CNP)またはエンドルフィンの細胞内シグナル伝達経路が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、PDE1Bの阻害は、cGMPおよびcAMPを分解から保護することによってドパミンD1アゴニストの効果を増強するように作用し、同様に、PDE1活性を阻害することによってドパミンD2受容体シグナル伝達経路を阻害する。細胞内カルシウムの慢性的上昇は、多くの疾患において、特に、アルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病などの神経変性疾患、ならびに脳卒中および心筋梗塞につながる循環器系の障害において、細胞死に関連している。PDE1阻害剤は、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、うつ病および認知機能障害などのドーパミンD1受容体シグナル伝達活性の低下を特徴とする疾患に潜在的に有用である。
【0007】
米国および欧州では、それぞれ、100万人および120万人を超える患者がパーキンソン病を抱えて生きている。パーキンソン病は、脳内のドパミン系に大きな影響を与える進行性の神経変性疾患であり、運動機能障害と、過剰な日中の眠気、認知機能障害、気分障害および自律神経障害が挙げられるがこれらに限定されない非運動症状によって特徴付けられる。L-DOPAなどによるドパミン補充療法は、初期の運動症状に対処するが、病気が進行するにつれて不十分となり、制限副作用を有する。既存療法の副作用を軽減しながら、ドパミン作動性療法の有用性を維持し、運動症状および非運動症状に対処するための効果的な治療法に対する満たされていない大きなニーズが依然としてある。
【発明の概要】
【0008】
本明細書では、既知のドパミン補充療法で現在治療中の患者において、ドパミンD1受容体細胞内経路に関連する疾患または障害を治療するための治療方法が提供される。パーキンソン病などの障害は、習慣的行動の制御に関連する大脳基底核の領域である背外側線条体でのドパミン喪失に起因して習慣的な自動行動を表現する能力が損なわれていることが特徴の一つである。ドパミン補充療法は、ドパミンの不足を補うものであり、硬直、動作緩慢、安静時振戦などのパーキンソン病の様々な運動症状に対する標準的治療法である。ドパミン補充療法には、一般的に、ドパミン前駆体レボドパ(L-DOPA)、ドパミンアゴニスト(DA)、ならびに、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、およびカルボドパ(carbodopa)などの酵素阻害剤が使用される。しかしながら、ドパミン補充療法は、ジスキネジア、運動変動およびドパミン調節不全症候群などのいくつかの周知の合併症を引き起こす。
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、そのような疾患または障害に罹患している患者へのPDE1阻害剤の投与が、ドパミン補充療法に一般的に関連するネガティブな副作用を軽減しながらドパミン補充療法のポジティブな効果を増強することを見出した。本明細書に開示されるPDE1阻害剤は、様々なドパミン作動性アゴニストと共に投与されると、これらのポジティブな効果を誘発した。したがって、本開示は、非運動症状に同時に対処しながらドーパミン作動性療法の有用性を持続することができる組成物、方法、および併用療法を提供する。
【0010】
したがって、いくつかの実施態様では、本開示は、ドーパミン補充療法の副作用を軽減する方法であって、それを必要とする対象体にPDE1阻害剤(すなわち、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量を投与することを含む方法を提供する。該実施態様のいくつかの態様では、副作用は、ジスキネジアおよび運動機能障害を包含する。該実施態様の特定の態様では、ドパミン作動性アゴニストは、それを必要とする対象体(すなわち、ドパミン補充療法を受けているパーキンソン病に罹患している患者)にドパミン補充療法として投与される。
【0011】
他の実施態様では、本開示は、ドパミン補充療法の有効性を高める方法であって、それを必要とする患者にPDE1阻害剤(すなわち、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量を投与することを含む方法を提供する。該実施態様の特定の態様では、ドパミン補充療法は、それを必要とする対象体(すなわち、パーキンソン病に罹患している患者)にドパミン作動性アゴニストとして施される。
【0012】
いくつかの実施態様では、本開示は、ドパミンD1受容体細胞内経路に関連する疾患または障害(例えば、パーキンソン病)の治療方法であって、それを必要とする対象体にドパミン補充療法と組み合わせてPDE1阻害剤(すなわち、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0013】
いくつかの実施態様では、本開示は、ジスキネジアおよび/または運動機能障害に罹患している対象体においてcGMPおよび/またはcAMPシグナル伝達を増強する方法であって、それを必要とする対象体にPDE1阻害剤(すなわち、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量を投与することを含む方法を提供する。該実施態様の種々の態様では、ジスキネジアおよび/または運動機能障害は、ドパミン補充療法(例えば、ドパミン作動性アゴニストの投与)の結果生じる。
【0014】
いくつかの実施態様では、本開示は、PDE1阻害剤(例えば、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)およびドパミン作動性アゴニスト(例えば、L-ドパおよびカルビドパ)を含む併用療法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
実施態様の他の態様、特徴、利点および長所は、以下の説明、特許請求の範囲、および図面に関して明らかになるであろう。
図1図1は、UPDRS(統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale))試験において化合物1が患者に与えた効果を示す。化合物1は、7日目までにスコアを減少させることが示された。化合物1治療の中止から30日後の試験終了時(EOS)にはスコアが上昇している。
図2図2は、UDysRS(統一ジスキネジア評価尺度(Unified Dyskinesia Rating Scale))試験において、化合物1が患者に与えた効果を示す。ベースラインでジスキネジアを有する対象体において、化合物1治療後に客観的UDysRS総スコアが改善される。
図3図3は、化合物1の投与により、プラセボと比較して、ハウザー患者運動日記(Hauser Patient Motor Diary)を使用して、ジスキネジア無しの「オン」時間が増加したことを示す。
図4図4は、化合物1が、プラセボと比較して、CISI-PD(PDについての重症度インデックスの臨床所見(Clinical Impression of Severity Index for PD))運動合併症スコア(Motor Complications Score)を減少させたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
開示の詳細な説明
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の治療および予防の方法で用いるためのPDE1阻害剤は、選択的PDE1阻害剤である。
【0017】
PDE1阻害剤
一の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の治療および予防の方法で用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式I:
【化1】
[式中、
(i) Rは、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチル)であり;
(ii) Rは、HまたはC1-4アルキルであり、RおよびRは、独立して、HまたはC1-4アルキル(例えば、RおよびRは共にメチルであるか、または、RはHであり、Rはイソプロピルである)、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシ、または(場合によってはヘテロ)アリールアルキルであるか;または
は、Hであり、RおよびRは一緒になってジメチレン架橋、トリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成し(好ましくは、RおよびRが一緒になってシス配置を有しており、例えば、RおよびRを担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している);
(iii) Rは、例えばハロアルキルで置換されている、置換ヘテロアリールアルキルであるか;または
は、式Iのピラゾロ部分の窒素の1つに結合しており、式A:
【化2】
(式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R、R、R11およびR12は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり、R10は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ハロゲンで置換されていてもよいピリジル(例えば、ピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル))、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、ヘテロアリールカルボニル、またはアルコキシカルボニルであり;ただし、X、YまたはZが窒素である場合、それぞれ、R、RまたはR10は存在しない)
で示される部分であり;
(iv) Rは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、アリールアミノ(例えば、フェニルアミノ)、ヘテロアリールアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、N,N-ジアリールアミノ、またはN-アリール-N-(アリールアルキル)アミノ(例えば、N-フェニル-N-(1,1'-ビフェン-4-イルメチル)アミノ)であり;
(v) nは0または1であり;
(vi) nが1である場合、Aは、-C(R1314)-である(ここで、R13およびR14は、独立して、HまたはC1-4アルキル、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシまたは(場合によってはヘテロ)アリールアルキルである)]
で示される化合物であることを提供する。
【0018】
別の実施態様では,本発明は、本明細書に記載の治療および予防の方法で用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式II:
【化3】
[式中、
(i) Xは、C1-6アルキレン(例えば、メチレン、エチレンまたはプロパ-2-イン-1-イレン)であり;
(ii) Yは、単結合、アルキニレン(例えば、-C≡C-)、アリーレン(例えば、フェニレン)またはヘテロアリーレン(例えば、ピリジレン)であり;
(iii) Zは、H、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリダ-2-イル)、ハロ(例えば、F、Br、Cl)、ハロC1-6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、-C(O)-R、-N(R)(R)、または、NもしくはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含有していてもよいC3-7シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、またはモルホリニル)であり;
(iv) Rは、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、-OHまたは-OC1-6アルキル(例えば、-OCH)であり;
(v) RおよびRは、独立して、HまたはC1-6アルキルであり;
(vi) RおよびRは、独立して、H、C1-6アルキル、または、1個以上のハロ(例えば、フルオロフェニル、例えば、4-フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシフェニル、例えば、4-ヒドロキシフェニルまたは2-ヒドロキシフェニル)もしくはC1-6アルコキシで置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(vii) ここで、X、YおよびZは、独立して、1個以上のハロ(例えば、F、ClまたはBr)、C1-6アルキル(例えば、メチル)、ハロC1-6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)で置換されていてもよく、例えば、Zは、1個以上のハロ(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル、5-フルオロピリダ-2-イル、6-フルオロピリダ-2-イル、3-フルオロピリダ-2-イル、4-フルオロピリダ-2-イル、4,6-ジクロロピリダ-2-イル)、ハロC1-6アルキル(例えば、5-トリフルオロメチルピリダ-2-イル)またはC1-6-アルキル(例えば、5-メチルピリダ-2-イル)で置換されている、ヘテロアリール、例えばピリジルであるか、またはZは、1個以上のハロ(例えば、4-フルオロフェニル)で置換されている、アリール、例えばフェニルである]
で示される化合物であることを提供する。
【0019】
さらに別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の治療および予防の方法で用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式III:
【化4】
[式中、
(i) Rは、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(ii) RおよびRは、独立して、HまたはC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii) Rは、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iv) Rは、独立して-C(=O)-C1-6アルキル(例えば、-C(=O)-CH)およびC1-6-ヒドロキシアルキル(例えば、1-ヒドロキシエチル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(v) RおよびRは、独立して、H、または、独立してC1-6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)およびハロゲン(例えば、FまたはCl)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)、例えば非置換フェニル、または1個以上のハロゲン(例えば、F)で置換されているフェニル、または1個以上のC1-6アルキルおよび1個以上のハロゲンで置換されているフェニル、または1個のC1-6アルキルおよび1個のハロゲンで置換されているフェニル、例えば4-フルオロフェニルまたは3,4-ジフルオロフェニルまたは4-フルオロ-3-メチルフェニルであり;
(vi)nは、1、2、3または4である]
であることを提供する。
【0020】
さらに別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の治療および予防の方法で用いるためのPDE1阻害剤が、遊離形態または塩形態の、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式IV:
【化5】
[式中、
(i) Rは、C1-4アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、または-NH(R)(ここで、Rは、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば4-フルオロフェニルである)であり;
(ii) X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり;
(iii) R、RおよびRは、独立して、HまたはC1-4アルキル(例えば、メチル)であるか;または、RはHであり、RおよびRは一緒になってトリメチレン架橋を形成し(好ましくは、RおよびRは一緒になってシス配置を有しており、例えば、RおよびRを担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有している)、
(iv) R、RおよびRは、独立して、
H、
1-4アルキル(例えば、メチル)、
ヒドロキシで置換されているピリダ-2-イル、または
-S(O)-NH
であり;
(v) ただし、X、Yおよび/またはZがNである場合、それぞれ、R、Rおよび/またはRは存在しない;また、X、YおよびZがすべてCである場合、R、RまたはRの少なくとも1つは-S(O)-NH、またはヒドロキシで置換されているピリダ-2-イルである]
であることを提供する。
【0021】
一の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の治療または予防の方法で用いるための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化6】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する。
【0022】
さらに別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の治療または予防の方法に用いるための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化7】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する。
【0023】
さらに別の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の治療または予防の方法に用いるための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化8】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する。
【0024】
本発明は、本明細書に記載の治療または予防の方法に用いるための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、下記:
【化9】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する。
【0025】
一の実施態様では、上記の式(例えば、式I、Ia、II、IIIおよび/またはIV)のいずれかで示される選択的PDE1阻害剤は、cGMPおよび/またはcAMPのホスホジエステラーゼ媒介(例えば、PDE1媒介、特にPDE1B媒介)加水分解を阻害する化合物であり、例えば、好ましい化合物は、遊離形態または塩形態で、固定化金属親和性粒子試薬PDEアッセイにて、1μM未満、好ましくは500nM未満、好ましくは50nM未満、好ましくは5nM未満のIC50を有する。
【0026】
他の実施態様では、本発明は、本明細書に記載の治療または予防の方法に用いるための、下記:
【化10】
で示される化合物であるPDE1阻害剤の投与を提供する。
【0027】
本明細書で説明されている方法および治療における使用に適しているPDE1阻害剤のさらなる例は、国際公開第2006133261号(A2);米国特許第8,273,750号;米国特許第9,000,001号;米国特許第9,624,230号;国際公開第2009075784号(A1);米国特許第8,273,751号;米国特許第8,829,008号;米国特許第9,403,836号;国際公開第2014151409号(A1)、米国特許第9,073,936号;米国特許第9,598,426号;米国特許第9,556,186号;米国出願公開第2017/0231994号(A1)、国際公開第2016022893号(A1)、および米国出願公開第2017/0226117号(A1)に見ることができる(それぞれ、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)。
【0028】
本明細書で説明されている方法および治療における使用に適しているPDE1阻害剤のさらにさらなる例は、国際公開第2018007249号(A1);米国出願公開第2018/0000786号;国際公開第2015118097号(A1);米国特許第9,718,832号;国際公開第2015091805号(A1);米国特許第9,701,665号;米国出願公開第2015/0175584号(A1);米国出願公開第2017/0267664号(A1);国際公開第2016055618号(A1);米国出願公開第2017/0298072号(A1);国際公開第2016170064号(A1);米国出願公開第2016/0311831号(A1);国際公開第2015150254号(A1);米国出願公開第2017/0022186号(A1);国際公開第2016174188号(A1);米国出願公開第2016/0318939号(A1);米国出願公開第2017/0291903号(A1);国際公開第2018073251号(A1);国際公開第2017178350号(A1);および米国出願公開第2017/0291901号(A1)に見ることができる(それぞれ、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)。出典明示により本明細書の一部とされる文書の記載が本開示における記載と矛盾するか、または互換性がない場合には、本開示の記載が支配的であると理解されなければならない。
【0029】
別段の指定がない場合、または文脈から明らかでない場合、本明細書における以下の用語は、以下の意味を有する:
【0030】
(a) 「アルキル」とは、本明細書で用いられる場合、飽和または不飽和炭化水素部分であり、好ましくは飽和であり、好ましくは1~6個の炭素原子を有しており、直鎖または分枝鎖であってよく、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで、モノ置換、ジ置換またはトリ置換されていてもよい。
【0031】
(b) 「シクロアルキル」とは、本明細書で用いられる場合、飽和または不飽和非芳香族炭化水素部分であり、好ましくは飽和であり、好ましくは3~9個の炭素原子を含んでおり、それらのうち少なくともいくつかが非芳香族単環式または二環式または架橋の環状構造を形成しており、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで、置換されていてもよい。シクロアルキルがNおよびOおよび/またはSから選択される1個以上の原子を含んでいてもよい場合、該シクロアルキルはヘテロシクロアルキルであってもよい。
【0032】
(c) 「ヘテロシクロアルキル」とは、特記しない限り、飽和または不飽和非芳香族炭化水素部分であり、好ましくは飽和であり、好ましくは3~9個の炭素原子を含んでおり、それらのうち少なくともいくつかが非芳香族単環式または二環式または架橋の環状構造を形成しており、少なくとも1個の炭素原子がN、OまたはSに置き換わっており、ヘテロシクロアルキルは、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで、置換されていてもよい。
【0033】
(d) 「アリール」とは、本明細書で用いられる場合、単環式または二環式芳香族炭化水素であり、好ましくはフェニルであり、例えばアルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシ、またはさらなるアリールもしくはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)で置換されていてもよい。
【0034】
(e) 「ヘテロアリール」とは、本明細書で用いられる場合、芳香環を構成する原子の1個以上が炭素ではなくて硫黄または窒素である芳香族部分であり、例えばピリジルまたはチアジアゾリルであり、例えばアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシまたはカルボキシで、置換されていてもよい。
【0035】
(f) 参照を容易にするために、本開示化合物(Compounds of the Disclosure)のピラゾロピリミジンコア上の原子は、特記しない限り、式Iに描かれている番号に従って番号付けされている。
【0036】
(g) 例えばアルキレン、フェニレンまたはアリールアルキレンなど置換基が「エン」で終わる場合、該置換基は、他の2つの置換基に架橋するかまたは接続されることが意図されている。したがって、メチレンは-CH2-を意図し、フェニレンは-C64-を意図し、アリールアルキレンは-C64-CH2-または-CH2-C64-を意図している。
【0037】
本開示化合物、例えば、置換4,5,7,8-テトラヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[3,4-e]ピリミジンまたは4,5,7,8,9-ペンタヒドロ-2H-ピリミド[1,2-a]ピロロ[3,4-e]ピリミジン、例えば、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物は、遊離形態または塩形態で、例えば、酸付加塩として存在し得る。本明細書では、特記しない限り、「本開示化合物」などの文言は、何らかの形態、例えば遊離形態または酸付加塩形態の化合物、または化合物が酸性置換基を含有する場合には塩基付加塩形態の化合物を包含すると解されるべきである。本開示化合物は、医薬品としての使用を目的としているので、薬学的に許容される塩が好ましい。医薬用途に適さない塩は、例えば遊離の本開示化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の単離または精製に有用であり得、したがって、該塩も包含される。
【0038】
本明細書に開示された化合物のいずれかを包含する本開示化合物、例えば、置換されていてもよい4,5,7,8-テトラヒドロ-(場合によっては4-チオキソまたは4-イミノ)-(1Hまたは2H)-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジンまたは4,5,7,8,9-ペンタヒドロ-(1Hまたは2H)-ピリミド[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン化合物、例えば、(1または2および/または3および/または5)-置換4,5,7,8-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン、4,5,7,8-テトラヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン、4,5,7,8-テトラヒドロ-(1Hまたは2H)-ピリミド[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-イミン、7,8-ジヒドロ-1H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-チオンまたは7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-チオン化合物、例えば、本明細書に記載の式IIIで示される化合物、または式IVで示される化合物は、遊離形態または塩形態で、例えば酸付加塩として、存在し得る。
【0039】
本開示化合物は、場合によっては、プロドラッグ形態でも存在し得る。プロドラッグ形態は、体内で本開示化合物に変換される化合物である。例えば、本開示化合物がヒドロキシ置換基またはカルボキシ置換基を含有する場合、これらの置換基は、生理学的に加水分解可能で許容されるエステルを形成し得る。本明細書で用いる場合、「生理学的に加水分解可能で許容されるエステル」とは、生理学的条件下で加水分解可能であり、自体が投与されるべき用量で生理学的に許容される酸(ヒドロキシ置換基を有する本開示化合物の場合)またはアルコール(カルボキシ置換基を有する本開示化合物の場合)を生成する、本開示化合物のエステルを意味する。したがって、本開示化合物がヒドロキシ基を含有する場合、例えば化合物-OHである場合、該化合物のアシルエステルプロドラッグ、すなわち、化合物-O-C(O)-C1-4アルキルは、体内で加水分解して、一方では生理学的に加水分解可能なアルコール(化合物-OH)を形成し、他方では酸(例えば、HOC(O)-C1-4アルキル)を形成することができる。別法として、本開示化合物がカルボン酸を含有する場合、例えば化合物-C(O)OHである場合、該化合物の酸エステルプロドラッグ、化合物-C(O)O-C1-4アルキルは、加水分解して、化合物-C(O)OHおよびHO-C1-4アルキルを形成することができる。したがって、理解されるように、この用語は、慣用の医薬プロドラッグ形態を包含する。
【0040】
別の実施態様では、本開示は、さらに、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本開示化合物を薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物を提供する。
【0041】
別の実施態様では、本開示は、さらに、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態の本開示化合物を薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物を提供する。
【0042】
いくつかの実施態様では、本開示化合物は、その代謝速度に影響を与えるように、例えばインビボでの半減期を長くするように、修飾され得る。いくつかの実施態様では、本明細書に開示されている化合物の代謝速度を低下させるために、該化合物は重水素化またはフッ素化され得る。
【0043】
さらに別のさらなる実施態様では、本明細書に開示された化合物は、例えば経口投与のための、例えば錠剤またはカプセルの形態の、または非経口投与のための、医薬組成物の形態であってもよい。いくつかの実施態様では、化合物は、持続的な放出を提供するために、注射による投与のための長時間作用型デポ組成物の形態で提供される。いくつかの実施態様では、経口投与用またはデポとしての固体薬物は、活性化合物の遅延放出を提供するために、適切なポリマーマトリックス中にあってもよい。
【0044】
本開示の化合物およびその薬学的に許容される塩は、本明細書に記載および例示されているような方法を用いて、およびそれに類似した方法により、ならびに化学技術において既知の方法により、製造することができる。市販されていない場合、これらのプロセスの出発材料は、既知の化合物の合成と同様または類似した技術を用いた化学技術から選択された手順によって作られてもよい。本開示化合物の出発材料および製造方法は、上記で引用し、出典明示により本明細書の一部とされた特許出願に記載されている。
【0045】
本開示化合物には、それらのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、およびラセミ体、ならびにそれらの多形体、水和物、溶媒和物および複合体が含まれる。本開示の範囲内のいくつかの個々の化合物は、二重結合を含み得る。本開示における二重結合の表現は、二重結合のE異性体およびZ異性体の両方を含むことを意味する。さらに、本開示の範囲内のいくつかの化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得る。本開示は、光学的に純粋な立体異性体のいずれか、および立体異性体の任意の組み合わせの使用を含む。
【0046】
本開示化合物が、その安定な同位体および不安定な同位体を包含することも意図されている。安定な同位体は、同じ種(すなわち、元素)の豊富な核種と比較して、1個のさらなる中性子を含有する非放射性同位体である。このような同位体を含む化合物の活性は保持され、このような化合物は非同位体類似体の薬物動態を測定するための有用性も有すると考えられる。例えば、本開示化合物のある位置の水素原子を重水素(非放射性の安定な同位体)に置き換えることができる。既知の安定な同位体の例としては、重水素、13C、15N、18Oが挙げられるが、これらに限定されない。別法として、同じ種(すなわち、元素)の豊富な核種と比較して、さらなる複数の中性子を含有している放射性同位体である不安定な同位体、例えば123I、131I、125I、11C、18Fは、I、CおよびFの対応する豊富な種と置き換わってもよい。本開示の化合物の有用な同位体の別の例は、11C同位体である。これらの放射性同位体は、本開示の化合物の放射線画像処理および/または薬物動態学的研究に有用である。
【0047】
本開示化合物の使用方法
本開示の化合物は、例えばドパミンおよび一酸化窒素(NO)などの環状ヌクレオチド合成の誘導剤の阻害またはレベル低下に起因するPDE1の発現の増加またはcGMP/PKGまたはcAMP/PKA活性の発現の減少の結果として、cGMP/PKGおよび/またはcAMP/PKAシグナル伝達媒介経路の破壊または損傷を特徴とする疾患の治療に有用である。例えば、PDE1を阻害することにより、この作用は、cGMP/PKGまたはcAMP/PKAシグナル伝達の減衰を逆転または防止する(例えば、cGMPまたはcAMPをそれぞれ増強する)ことができると考えられている。したがって、本明細書に記載されている好ましいPDE1阻害剤、例えば、上記のPDE1阻害剤、例えば、式I、II、III、IVで示される化合物の投与または使用は、様々な心血管疾患および障害の治療を提供するための潜在的な手段を提供することができる。
【0048】
本開示は、必要とするヒトまたは動物患者に本開示化合物の有効量を投与することを含む、以下の状態のうち1つ以上の状態の治療方法を提供する:
(i)神経変性疾患(パーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬物誘発性運動障害を包含する);
(ii)精神障害(うつ病、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極性疾患、不安、睡眠障害、認知機能障害、認知症、覚醒剤離脱、および薬物依存を包含する);
(iii)循環器および心血管障害(脳血管疾患、脳卒中、うっ血性心疾患、高血圧症、肺高血圧症、および性機能障害を包含する);
(iv)呼吸器および炎症性障害(喘息、慢性閉塞性肺疾患、およびアレルギー性鼻炎を包含する)、ならびに自己免疫および炎症性疾患;および/または
(v)PDE1を発現している細胞における低レベルのcAMPおよび/またはcGMP(またはcAMPおよび/またはcGMPシグナル伝達経路の阻害)を特徴とする疾患または状態。
【0049】
種々の実施態様では、本開示は、ドパミン補充療法の副作用を軽減する方法であって、それを必要とする対象体(例えば、ドパミン補充療法を受けているパーキンソン病に罹患している患者)にPDE1阻害剤(例えば、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量を投与することを含む方法[方法1]を提供する。例えば、本開示は、方法1の以下の実施態様を提供する:
【0050】
1.1 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、上記の式I、II、IIIまたはIVのうち1つである、方法1。
【0051】
1.2 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン:
【化11】
を含む、いずれかの上記方法。
【0052】
1.3 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の7,8-ジヒドロ-2-(4-アセチルベンジル)-3-(4-フルオロフェニルアミノ)-5,7,7-トリメチル-[2H]-イミダゾ-[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン:
【化12】
を含む、いずれかの上記阻害剤。
【0053】
1.4 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-2-((2-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
【化13】
を含む、いずれかの上記方法。
【0054】
1.5 患者が、ドパミン補充療法を受けているパーキンソン病に罹患している患者である、いずれかの上記方法。
【0055】
1.6 ドパミン補充療法が、ドパミン前駆体、例えば、レボドパ(L-DOPA)、ドパミンアゴニスト(DA)、ならびにモノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、およびカルボドパ(carbodopa)から選択される酵素阻害剤から選択される、上記方法のいずれか。
【0056】
1.7 ドパミン補充療法が、ドパミン作動性アゴニストの投与を含む、上記方法のいずれか。
【0057】
1.8 ドパミン補充療法が、レボドパの投与を含む、いずれかの上記方法。
【0058】
1.9 ドパミン補充療法が、パーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病および薬物誘発性運動障害;注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極性疾患、認知機能障害、認知症、および/または薬物依存;肺高血圧症;または慢性閉塞性肺疾患を治療するために施される、上記方法のいずれか。
【0059】
1.10 ドパミン補充療法が、パーキンソン病を治療するために施される、上記方法のいずれか。
【0060】
1.11 ドパミン補充療法が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、ならびにそれらの組み合わせの投与を含む、上記方法のいずれか。
【0061】
1.12 ドパミン補充療法が、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン、およびそれらの組み合わせから選択されるドパミン作動性アゴニストの投与を含む、上記方法のいずれか。
【0062】
1.13 ドパミン補充療法が、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド、およびそれらの組み合わせから選択される抗コリン剤の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0063】
1.14 ドパミン補充療法が、イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド、およびそれらの組み合わせから選択されるモノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0064】
1.15 MAOB阻害剤が、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド、およびそれらの組み合わせから選択される選択的MAOB阻害剤である、上記方法。
【0065】
1.16 ドパミン補充療法が、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone)、およびそれらの組み合わせから選択されるカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0066】
1.17 ドパミン補充療法が、選択的セロトニンインバースアゴニスト(SSIA)から選択される抗パーキンソン病薬の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0067】
1.18 SSIAがピマバンセリンである、上記方法。
【0068】
1.19 ドパミン補充療法の副作用が運動機能障害またはジスキネジアを含む、上記方法のいずれか。
【0069】
1.20 ドパミン補充療法の副作用がジスキネジアを含む、上記方法のいずれか。
【0070】
1.21 ドパミン補充療法の副作用が、レボドパの投与に起因する運動機能障害またはジスキネジアを含む、いずれかの上記方法。
【0071】
1.22 PDE1阻害剤の投与が、ドパミン補充療法の副作用(すなわち、運動機能障害またはジスキネジア)の発生を軽減または排除する、上記方法のいずれか。
【0072】
1.23 PDE1阻害剤の投与が、運動障害疾患学会(Movement Disorder Societ)統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)によって評価されるように、プラセボ処置と比較して、「オン」状態で、運動能力を改善し、運動合併症を軽減する、上記方法のいずれか。
【0073】
1.24 PDE1阻害剤の投与が統一ジスキネジア評価尺度(UDysRS)によって測定されるジスキネジア症状を軽減し、総「オン」時間と、ハウザー患者運動日記を用いて対象体が評価したジスキネジア無しの「オン」時間を増大させる、上記方法のいずれか。
【0074】
1.25 対象体が軽度~中等度のパーキンソン病に罹患している、上記方法のいずれか。
【0075】
1.26 対象体が、パーキンソン病の治療のために施したドパミン補充療法に起因する運動機能障害および/またはジスキネジアに罹患している、上記方法のいずれか。
【0076】
1.27 対象体が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、またはそれらの組み合わせの投与に起因して運動機能障害および/またはジスキネジアに罹患している、上記方法のいずれか。
【0077】
1.28 PDE1阻害剤が0.01mg/kg~100mg/kgの濃度で投与される、上記方法のいずれか。
【0078】
1.29 患者がヒトであり、PDE1阻害剤が1~100mgの経口1日用量で投与される、上記方法のいずれか。
【0079】
1.30 PDE1阻害剤が1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの用量で1日1回投与される、上記方法のいずれか。
【0080】
1.31 PDE1阻害剤が経口投与される、上記方法のいずれか。
【0081】
1.32 PDE1阻害剤が錠剤またはカプセル剤として投与される、上記方法のいずれか。
【0082】
1.33 患者がヒトであり、PDE1阻害剤が、1~90mg、例えば、1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの経口1日用量で投与され、PDE1阻害剤が、
a.遊離形態または薬学的に許容される塩形態、例えば一リン酸塩形態の、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン;
b.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、7,8-ジヒドロ-2-(4-アセチルベンジル)-3-(4-フルオロフェニルアミノ)-5,7,7-トリメチル-[2H]-イミダゾ-[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン;および
c.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-2-((2-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
から選択される、上記方法のいずれか。
【0083】
本開示は、さらに、必要とする対象体におけるドパミン補充療法の副作用を軽減する方法に用いるための、例えば方法1以降のいずれかに用いるための、PDE1阻害剤を提供する。
【0084】
本開示は、さらに、必要とする対象体におけるドパミン補充療法の副作用を軽減するための医薬、例えば方法1以降のいずれかに用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0085】
種々の実施態様では、本開示は、ドパミン補充療法の有効性を増強する方法であって、それを必要とする患者にPDE1阻害剤の有効量を投与することを含む、それを必要とする患者にPDE1阻害剤(すなわち、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量を投与することを含む、方法[方法2]を提供する。例えば、本開示は、以下の方法を提供する:
【0086】
2.1 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、上記の式I、II、IIIまたはIVのうち1つである、方法2。
【0087】
2.2 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン:
【化14】
である、方法2または2.1。
【0088】
2.3 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の7,8-ジヒドロ-2-(4-アセチルベンジル)-3-(4-フルオロフェニルアミノ)-5,7,7-トリメチル-[2H]-イミダゾ-[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン:
【化15】
である、方法2または2.1。
【0089】
2.4 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-2-((2-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
【化16】
である、方法2または2.1。
【0090】
2.5 ドパミン作動性アゴニストがドパミン補充療法の一部として投与される、上記方法のいずれか。
【0091】
2.6 ドパミン補充療法が、パーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬物誘発性運動障害;注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極性疾患、認知機能障害、認知症、および/または薬物依存;肺高血圧症;または慢性閉塞性肺疾患を治療するために施される、上記方法のいずれか。
【0092】
2.7 ドパミン補充療法がパーキンソン病を治療するためにドパミン補充療法の一部として施される、上記方法のいずれか。
【0093】
2.8 ドパミン補充療法が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、およびそれらの組み合わせの投与を含む、上記方法のいずれか。
【0094】
2.9 ドパミン補充療法が、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン、およびそれらの組み合わせから選択されるドパミン作動性アゴニストの投与を含む、上記方法のいずれか。
【0095】
2.10 ドパミン補充療法が、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド、およびそれらの組み合わせから選択される抗コリン剤の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0096】
2.11 ドパミン補充療法が、イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミドおよびそれらの組み合わせから選択されるモノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0097】
2.12 MAOB阻害剤が、ラサギリン、セレギリン、サフィナミドおよびそれらの組み合わせから選択される選択的MAOB阻害剤である、方法2.11。
【0098】
2.13 ドパミン補充療法が、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone)およびそれらの組み合わせから選択されるカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0099】
2.14 ドパミン補充療法が、選択的セロトニンインバースアゴニスト(SSIA)から選択される抗パーキンソン病薬の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0100】
2.15 SSIAがピマバンセリンである、方法2.14。
【0101】
2.16 対象体が軽度~中等度のパーキンソン病に罹患している、上記方法のいずれか。
【0102】
2.17 上記方法のいずれか対象体がドパミン補充療法に起因する運動機能障害および/またはジスキネジアに罹患している、上記方法のいずれか。
【0103】
2.18 対象体が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、またはそれらの組み合わせの投与に起因する運動機能障害および/またはジスキネジアに罹患している、上記方法のいずれか。
【0104】
2.19 PDE1阻害剤が0.01mg/kg~100mg/kgの濃度で投与される、上記方法のいずれか。
【0105】
2.20 患者がヒトであり、PDE1阻害剤が1~100mgの経口1日用量で投与される、上記方法のいずれか。
【0106】
2.21 PDE1阻害剤が1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの用量で1日1回投与される、上記方法のいずれか。
【0107】
2.22 PDE1阻害剤が経口投与される、上記方法のいずれか。
【0108】
2.23 PDE1阻害剤が錠剤またはカプセル剤として投与される、上記方法のいずれか。
【0109】
2.24 患者がヒトであり、PDE1阻害剤が、1~90mg、例えば、1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの経口1日用量で投与され、PDE1阻害剤が、
a.遊離形態または薬学的に許容される塩形態、例えば一リン酸塩形態の、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン;
b.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、7,8-ジヒドロ-2-(4-アセチルベンジル)-3-(4-フルオロフェニルアミノ)-5,7,7-トリメチル-[2H]-イミダゾ-[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン;および
c.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-2-((2-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
から選択される、上記方法のいずれか。
【0110】
本開示は、さらに、ドパミン補充療法の有効性を高める方法に用いるための、例えば方法2以降のいずれかに用いるための、PDE1阻害剤を提供する。
【0111】
本開示は、さらに、ドパミン補充療法の有効性を増強するための医薬、例えば方法2以降のいずれかに用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0112】
種々の実施態様では、本開示は、ドパミンD1受容体細胞内経路に関連する疾患または障害(例えば、パーキンソン病)を治療する方法であって、それを必要とする対象体にドパミン補充療法と組み合わせてPDE1阻害剤(すなわち、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量を投与することを含む、方法[方法3]を提供する。例えば、本開示は、以下の方法を提供する:
【0113】
3.1 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、上記の式I、II、IIIまたはIVのうち1つである、方法3。
【0114】
3.2 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン:
【化17】
である、方法3または3.1。
【0115】
3.3 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の7,8-ジヒドロ-2-(4-アセチルベンジル)-3-(4-フルオロフェニルアミノ)-5,7,7-トリメチル-[2H]-イミダゾ-[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン:
【化18】
である、方法3または3.1。
【0116】
3.4 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-2-((2-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
【化19】
である、方法3または3.1。
【0117】
3.5 ドパミン作動性アゴニストがドパミン補充療法の一部として投与される、上記方法のいずれか。
【0118】
3.6 ドパミン補充療法が、パーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬物誘発性運動障害;注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極性疾患、認知機能障害、認知症、および/または薬物依存;肺高血圧症;または慢性閉塞性肺疾患を治療するために施される、上記方法のいずれか。
【0119】
3.7 ドパミン補充療法がパーキンソン病を治療するためにドパミン補充療法の一部として施される、上記方法のいずれか。
【0120】
3.8 ドパミン補充療法が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、およびそれらの組み合わせの投与を含む、上記方法のいずれか。
【0121】
3.9 ドパミン補充療法が、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン、およびそれらの組み合わせから選択されるドパミン作動性アゴニストの投与を含む、上記方法のいずれか。
【0122】
3.10 ドパミン補充療法が、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド、およびそれらの組み合わせから選択される抗コリン剤の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0123】
3.11 ドパミン補充療法が、イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミドおよびそれらの組み合わせから選択されるモノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0124】
3.12 MAOB阻害剤が、ラサギリン、セレギリン、サフィナミドおよびそれらの組み合わせから選択される選択的MAOB阻害剤である、方法3.11。
【0125】
3.13 ドパミン補充療法が、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone)およびそれらの組み合わせから選択されるカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0126】
3.14 ドパミン補充療法が選択的セロトニンインバースアゴニスト(SSIA)から選択される抗パーキンソン病薬の投与を含む、上記方法のいずれか。
【0127】
3.15 SSIAがピマバンセリンである、方法3.14。
【0128】
3.16 対象体が軽度~中等度のパーキンソン病に罹患している、上記方法のいずれか。
【0129】
3.17 対象体が、ドパミン補充療法に起因する運動機能障害および/またはジスキネジアに罹患している、上記方法のいずれか。
【0130】
3.18 対象体が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、またはそれらの組み合わせの投与に起因する運動機能障害および/またはジスキネジアに罹患している、上記方法のいずれか。
【0131】
3.19 PDE1阻害剤が0.01mg/kg~100mg/kgの濃度で投与される、上記方法のいずれか。
【0132】
3.20 患者がヒトであり、PDE1阻害剤が1~100mgの経口1日用量で投与される、上記方法のいずれか。
【0133】
3.21 PDE1阻害剤が1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの用量で1日1回投与される、上記方法のいずれか。
【0134】
3.22 PDE1阻害剤が経口投与される、上記方法のいずれか。
【0135】
3.23 PDE1阻害剤が錠剤またはカプセル剤として投与される、上記方法のいずれか。
【0136】
3.24 患者がヒトであり、PDE1阻害剤が、1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの経口1日用量で投与され、PDE1阻害剤が、
a.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、例えば一リン酸塩形態の、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン;
b.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、7,8-ジヒドロ-2-(4-アセチルベンジル)-3-(4-フルオロフェニルアミノ)-5,7,7-トリメチル-[2H]-イミダゾ-[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン;および
c.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-2-((2-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
から選択される、上記方法のいずれか。
【0137】
本開示は、さらに、ドパミンD1受容体細胞内経路に関連する疾患または障害(例えば、パーキンソン病)の治療方法に用いるための、例えば方法3以降のいずれかに用いるための、PDE1阻害剤を提供する。
【0138】
本開示は、さらに、ドパミンD1受容体細胞内経路に関連する疾患または障害(例えば、パーキンソン病)を治療するための医薬、例えば方法3以降のいずれかに用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0139】
種々の実施態様では、本開示は、ジスキネジアおよび/または運動機能障害に罹患している対象体においてcGMPおよび/またはcAMPシグナル伝達を増強する方法であって、それを必要とする対象体にPDE1阻害剤(すなわち、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量を投与することを含む、方法[方法4]を提供する。例えば、本開示以下の方法を提供する:
【0140】
4.1 PDE1阻害剤が遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、上記の式I、II、IIIまたはIVのうち1つである、方法4。
【0141】
4.2 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン:
【化20】
である、方法4または4.1。
【0142】
4.3 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の7,8-ジヒドロ-2-(4-アセチルベンジル)-3-(4-フルオロフェニルアミノ)-5,7,7-トリメチル-[2H]-イミダゾ-[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン:
【化21】
である、方法4または4.1。
【0143】
4.4 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-2-((2-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
【化22】
である、方法4または4.1。
【0144】
4.5 ジスキネジアおよび/または運動機能障害が、対象体に施されたドパミン補充療法に起因する、上記方法のいずれか。
【0145】
4.6 対象体が、ドパミンD1受容体細胞内経路に関連する疾患または障害(例えば、パーキンソン病)の治療においてドパミン補充療法を受けている、上記方法のいずれか。
【0146】
4.7 ドパミン作動性アゴニストがドパミン補充療法の一部として投与される、方法4.5~4.6。
【0147】
4.8 ドパミン補充療法が、パーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬物誘発性運動障害;注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極性疾患、認知機能障害、認知症、および/または薬物依存;肺高血圧症;または慢性閉塞性肺疾患を治療するために施される、方法4.5~4.7のいずれか。
【0148】
4.9 ドパミン補充療法がパーキンソン病を治療するためにドパミン補充療法の一部として施される、方法4.5~4.8のいずれか。
【0149】
4.10 ドパミン補充療法が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、およびそれらの組み合わせの投与を含む、方法4.5~4.9のいずれか。
【0150】
4.11 ドパミン補充療法が、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン、およびそれらの組み合わせから選択されるドパミン作動性アゴニストの投与を含む、方法4.5~4.10のいずれか。
【0151】
4.12 ドパミン補充療法が、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド、およびそれらの組み合わせから選択される抗コリン剤の投与を含む、方法4.5~4.11のいずれか。
【0152】
4.13 ドパミン補充療法が、イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミドおよびそれらの組み合わせから選択されるモノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤の投与を含む、方法4.5~4.12のいずれか。
【0153】
4.14 MAOB阻害剤が、ラサギリン、セレギリン、サフィナミドおよびそれらの組み合わせから選択される選択的MAOB阻害剤である、方法1.13。
【0154】
4.15 ドパミン補充療法が、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone)およびそれらの組み合わせから選択されるカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤の投与を含む、方法4.5~4.14のいずれか。
【0155】
4.16 ドパミン補充療法が選択的セロトニンインバースアゴニスト(SSIA)から選択される抗パーキンソン病薬の投与を含む、方法4.5~4.15のいずれか。
【0156】
4.17 SSIAがピマバンセリンである、方法1.16。
【0157】
4.18 対象体が運動機能障害またはジスキネジアの発生の前にドパミン補充療法を受けていた、方法4.5~4.17のいずれか。
【0158】
4.19 対象体がPDE1阻害剤の投与前にドパミン補充療法を受けていた、方法4.5~4.18のいずれか。
【0159】
4.20 運動機能障害またはジスキネジアがドパミン補充療法の副作用である、方法4.5~4.19のいずれか。
【0160】
4.21 PDE1阻害剤の投与が運動機能障害またはジスキネジアの発生を軽減または排除する、上記方法のいずれか。
【0161】
4.22 PDE1阻害剤の投与が、運動障害疾患学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)によって評価されるように、プラセボ処置と比較して、「オン」状態で、運動能力を改善し、運動合併症を軽減する、上記方法のいずれか。
【0162】
4.23 PDE1阻害剤の投与が統一ジスキネジア評価尺度(UDysRS)によって測定されるジスキネジア症状を軽減し、総「オン」時間と、ハウザー患者運動日記を用いて対象体が評価したジスキネジア無しの「オン」時間を増大させる、上記方法のいずれか。
【0163】
4.24 対象体が軽度~中等度のパーキンソン病に罹患している、上記方法のいずれか。
【0164】
4.25 対象体がドパミン補充療法に起因する運動機能障害および/またはジスキネジアに罹患している、上記方法のいずれか。
【0165】
4.26 対象体が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、またはそれらの組み合わせの投与に起因する運動機能障害および/またはジスキネジアに罹患している、上記方法のいずれか。
【0166】
4.27 PDE1阻害剤が0.01mg/kg~100mg/kgの濃度で投与される、上記方法のいずれか。
【0167】
4.28 患者がヒトであり、PDE1阻害剤が1~100mgの経口1日用量で投与される、上記方法のいずれか。
【0168】
4.29 PDE1阻害剤が1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの用量で1日1回投与される、上記方法のいずれか。
【0169】
4.30 PDE1阻害剤が経口投与される、上記方法のいずれか。
【0170】
4.31 PDE1阻害剤が錠剤またはカプセル剤として投与される、上記方法のいずれか。
【0171】
4.32 患者がヒトであり、PDE1阻害剤が、1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの経口1日用量で投与され、PDE1阻害剤が、
a.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、例えば一リン酸塩形態の、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン;
b.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、7,8-ジヒドロ-2-(4-アセチルベンジル)-3-(4-フルオロフェニルアミノ)-5,7,7-トリメチル-[2H]-イミダゾ-[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン;および
c.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-2-((2-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
から選択される、上記方法のいずれか。
【0172】
本開示は、さらに、ジスキネジアおよび/または運動機能障害に罹患している対象体においてcGMPおよび/またはcAMPシグナル伝達を増強する方法に用いるための、例えば方法4以降のいずれかに用いるための、PDE1阻害剤を提供する。
【0173】
本開示は、さらに、ジスキネジアおよび/または運動機能障害に罹患している対象体におけるcGMPおよび/またはcAMPシグナル伝達を増加する医薬、例えば方法4以降のいずれかに用いるための医薬の製造におけるPDE1阻害剤の使用を提供する。
【0174】
PDE1阻害剤との併用療法
いくつかの実施態様では、PDE1阻害剤は、他の治療様式と組み合わせて投与される。したがって、上記の治療法に加えて、より多くの薬学的な心臓療法を患者に提供することもできる。他の治療法の例としては、ドパミン作動性アゴニスト、抗コリン剤、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、抗パーキンソン病薬、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。併用療法の特定の形態は、PDE1阻害剤の使用を含む。
【0175】
組み合わせは、PDE1阻害剤および1つ以上の追加治療剤を含む単一の組成物または薬理学的製剤を投与することによって、あるいは一方の組成物がPDE1阻害剤を含み、他方が追加治療剤または薬剤を含む2つの異なる組成物または製剤を別々に、同時に、または連続的に投与することによって、達成することができる。PDE1阻害剤を用いた治療は、数分から数週間の範囲の間隔で他の薬剤の投与に先行しても後続してもよい。他の薬剤および発現構築物を別々に細胞に適用する実施態様では、一般的に、該薬剤および該発現構築物が依然として細胞に対して有利な複合効果を発揮することができるように、各送達の間に有意な時間が経過しないようにする。いくつかの実施態様では、典型的には、互いに約12~24時間以内、より好ましくは互いに約6~12時間以内に両方の様式で細胞に接触させることが考えられ、約12時間だけの遅延時間が最も好ましい。しかしながら、状況によっては、治療期間を大幅に延長することが望ましく、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6または7)から数週間(1、2、3、4、5、6、7または8)が経過する場合もある。
【0176】
また、PDE1阻害剤、または追加の治療薬のいずれかを2回以上投与することが望まれることも考えられる。これに関して、様々な組み合わせを使用することができる。例示として、PDE1阻害剤が「A」であり、追加治療剤が「B」である場合、合計3回および4回の投与に基づく以下の配列が例示される:
【化23】
【0177】
本発明で使用し得るドパミン補充療法の非限定的な例としては、ドパミン作動性アゴニスト、抗コリン剤、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、抗パーキンソン病薬、およびそれらの組み合わせが挙げられる。他の組み合わせも同様に企図される。いくつかの具体的な薬剤を以下に記載する。
【0178】
ドパミン作動薬とは、シナプス後ドパミン受容体を直接刺激して治療効果を提供する薬剤を指し得る。ドパミン作動性アゴニストの非限定的な例としては、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0179】
抗コリン薬は、中枢神経系または末梢神経系においてアセチルコリンをアンタゴナイズする薬剤を指し得る。抗コリン剤の非限定的な例としては、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。治療は、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびそれらの組み合わせなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤も含み得る。
【0180】
モノアミンオキシダーゼ阻害剤は、ドパミンを不活性化する原因となるMAOBオキシダーゼの活性を阻害する薬物を指し得る。本明細書で言及されるように、モノアミンオキシダーゼ阻害剤は、非選択的または選択的MAOB阻害剤であり得る。非選択的モノアミンオキシダーゼ阻害剤の非限定的な例としては、イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。選択的MAOB阻害剤の非限定的な例としては、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0181】
カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤は、レボドパの末梢代謝を阻害する薬物を指す。COMT阻害剤の非限定的な例としては、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone)およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0182】
抗パーキンソン病薬は、パーキンソン病の治療に有用な薬剤を広く指す。抗パーキンソン病薬の非限定的な例としては、ピマバンセリンなどの選択的セロトニンインバースアゴニストが挙げられる。
【0183】
したがって、種々の実施態様では、本開示は、また、例えば方法1以降のいずれかに従って、ドパミン補充療法の副作用を軽減する方法で投与するための、例えば方法2以降のいずれかに従って、ドパミン補充療法の効力を増大させるための、または例えば方法3以降のいずれかに従って、ドパミンD1受容体細胞内経路に関連する疾患または障害(例えば、パーキンソン病)を治療するための、または例えば方法4以降のいずれかに従って、ジスキネジアおよび/または運動機能障害に罹患している対象体においてcGMPおよび/またはcAMPシグナル伝達を増強するための、PDE1阻害剤(例えば、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量およびドパミン補充療法(例えば、ドパミン作動性アゴニスト)を含む医薬品組合せ[組合せ1]療法を提供する。例えば、本開示は、以下の組合せを提供する:
【0184】
1.1 PDE1阻害剤およびドパミン補充療法が、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせたかまたはそれをともなった単一剤形、例えば錠剤またはカプセル剤に含まれる、組合せ1。
【0185】
1.2 PDE1阻害剤およびドパミン補充療法が、例えば同時または連続投与のための説明書を含む、単一のパッケージに含まれる、組合せ1。
【0186】
1.3 PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、式I、II、IIIまたはIVのうち1つである、上記組合せのいずれか。
【0187】
1.4 PDE1阻害剤が、
a.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、例えば一リン酸塩形態の、(6aR,9aS)-5,6a,7,8,9,9a-ヘキサヒドロ-5-メチル-3-(フェニルアミノ)-2-((4-(6-フルオロピリジン-2-イル)フェニル)メチル)-シクロペント[4,5]イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(2H)-オン;
b.遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、7,8-ジヒドロ-2-(4-アセチルベンジル)-3-(4-フルオロフェニルアミノ)-5,7,7-トリメチル-[2H]-イミダゾ-[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン;および
c.3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-2-((2-メチルピリミジン-5-イル)メチル)-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
から選択される、上記組合せのいずれか。
【0188】
1.5 ドパミン補充療法が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、およびそれらの組み合わせの投与を含む、上記組合せのいずれか。
【0189】
1.6 ドパミン補充療法が、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン、およびそれらの組み合わせから選択されるドパミン作動性アゴニストの投与を含む、上記組合せのいずれか。
【0190】
1.7 ドパミン補充療法が、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド、およびそれらの組み合わせから選択される抗コリン剤の投与を含む、上記組合せのいずれか。
【0191】
1.8 ドパミン補充療法が、イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミドおよびそれらの組み合わせから選択されるモノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤の投与を含む、上記組合せのいずれか。
【0192】
1.9 MAOB阻害剤が、ラサギリン、セレギリン、サフィナミドおよびそれらの組み合わせから選択される選択的MAOB阻害剤である、組合せ1.8。
【0193】
1.10 ドパミン補充療法が、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone)およびそれらの組み合わせから選択されるカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤の投与を含む、上記組合せのいずれか。
【0194】
1.11 ドパミン補充療法が、選択的セロトニンインバースアゴニスト(SSIA)から選択される抗パーキンソン病薬の投与を含む、上記組合せのいずれか。
【0195】
1.12 SSIAがピマバンセリンである、組合せ1.11。
【0196】
1.13 対象体が、PDE1阻害剤の投与前にドパミン補充療法を受けていた、上記組合せのいずれか。
【0197】
1.14 ドパミン補充療法が、対象体において運動機能障害またはジスキネジアの発現を引き起こす、上記組合せのいずれか。
【0198】
1.15 PDE1阻害剤の投与が、運動機能障害またはジスキネジアの発生を軽減または排除する、組合せ1.14。
【0199】
1.16 PDE1阻害剤の投与が、運動障害疾患学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)によって評価されるように、プラセボ処置と比較して、「オン」状態で、運動能力を改善し、運動合併症を軽減する、組合せ1.14~1.15。
【0200】
1.17 PDE1阻害剤の投与が、統一ジスキネジア評価尺度(UDysRS)によって測定されるジスキネジア症状を軽減し、総「オン」時間と、ハウザー患者運動日記を用いて対象体が評価したジスキネジア無しの「オン」時間を増大させる、組合せ1.14~1.15。
【0201】
1.18 対象体が軽度~中等度のパーキンソン病に罹患している、上記組合せのいずれか。
【0202】
1.19 対象体が、ドパミン補充療法に起因する運動機能障害および/またはジスキネジアに罹患している、上記組合せのいずれか。
【0203】
1.20 対象体が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、またはそれらの組み合わせの投与に起因する運動機能障害および/またはジスキネジアに罹患している、上記組合せのいずれか。
【0204】
「PDE1阻害剤」は、本明細書で用いる場合、例えば固定化された金属親和性粒子試薬PDEアッセイにおいて1μM未満、好ましくは750nM未満、より好ましくは500nM未満、より好ましくは50nM未満のIC50で、cGMPのホスホジエステラーゼ媒介(例えば、PDE1媒介、特にPDE1B媒介)加水分解を選択的に阻害する化合物を記載する。
【0205】
語句「本開示化合物」もしくは「開示PDE1阻害剤」または同様の用語は、本明細書に開示された化合物の全て、例えば式I、式II、式III、式IV、式V、式VI、式VII、式VIII、式IX、式Xまたは式XIで示される化合物を包含する。
【0206】
用語「治療」および「治療すること」は、したがって、疾患の症状の予防および治療または寛解、ならびに疾患の原因の治療を含むものと、理解されるべきである。
【0207】
治療方法について、用語「有効量」は、特定の疾患または障害を治療するための治療有効量を包含することを意図している。
【0208】
用語「プレコンディショニング」とは、本明細書で用いる場合、血液供給の喪失または酸素に対する耐性を生み出すための心筋組織の処置を指すことを意図している。虚血プレコンディショニングは、短い虚血エピソードを繰り返すことで、その後の虚血発作から心筋を保護する内在的なプロセスである。
【0209】
用語「患者」または「対象体」は、ヒト患者または非ヒト(すなわち、動物)患者を含む。特定の実施態様では、本開示は、ヒトおよび非ヒトの両方を包含する。別の実施態様では、本開示は、非ヒトを包含する。他の実施態様では、該用語は、ヒトを包含する。
【0210】
用語「含む」は、本開示で用いる場合、制限が無いことを意図しており、言及されていない追加の要素または方法ステップを除外するものではない。
【0211】
用語「ジスキネジア」とは、本明細書で用いる場合、特記しない限り、舞踏病、振戦、バリズム、ジストニア、アテトーシス、ミオクローヌスおよびチックが挙げられるがこれらに限定されない異常なまたは制御不能な動きを意味する。
【0212】
用語または語句「ドパミン補充療法」または「ドパミン作動性アゴニスト」または「ドパミンアゴニスト」とは、本明細書で用いる場合、特記しない限り、ドパミン受容体(例えば、ブロモクリプチン)を直接刺激する療法およびドパミン(例えば、L-ドパ、またはドパミン代謝を阻害する薬物)のレベルを上昇させる療法が挙げられるがこれらに限定されない、ドパミン受容体刺激を増強する療法を意味する。ドパミン補充療法としては、以下の薬剤のうち1つ以上の投与を含む療法が挙げられるがこれらに限定されない:L-ドパ、以下のものと組み合わせるL-ドパ:L-ドパデカルボキシラーゼ阻害剤、例えばカルビドパまたはベンセラジド、ブロモクリプチン、ジヒドロエルゴクリプチン、エチスレルギン(etisulergine)、AF-14、アラプチド(alaptide)、ペルゴリド、ピリベジル、ドパミンD1受容体アゴニスト、例えばA-68939、A-77636、ジヒドレキシン(dihydrexine)、およびAKF-38393;ドパミンD2受容体アゴニスト、例えばカルベゴリン、リスリド、N-0434、ナキサゴリド、PD-118440、プラミペキソール、キンピロールおよびロピニロール;ドパミン/β-アドレナリン作動性受容体アゴニスト、例えばDPDMSおよびドペキサミン;ドパミン/5-HT取り込み阻害剤/5-HT-1Aアゴニスト、例えばロキシンドール;ドパミン/オピエート受容体アゴニスト、例えばNIH-10494;α2-アドレナリン作動性アンタゴニスト/ドパミンアゴニスト、例えばテルグリド;α2-アドレナリン作動性アンタゴニスト/ドパミンD2アゴニスト、例えばエルゴリンおよびタリペキソール;ドパミン取り込み阻害剤、例えばGBR-12909、GBR-13069、GYKI-52895およびNS-2141;モノアミンオキシダーゼ-B阻害剤、例えばセレギリン、N-(2-ブチル)-N-メチルプロパルギルアミン、N-メチル-N-(2-ペンチル)プロパルギルアミン、AGN-1133、麦角誘導体、ラザベミド、LU-53439、MD-280040およびモフェギリン;およびCOMT阻害剤、例えばCGP-28014、エンタカポンおよびトルカポン。本発明で言及されるドパミン補充療法は、パーキンソン病など(これに限定されない)の中枢神経系障害の治療に用いられる。
【0213】
遊離形態または薬学的に許容される塩形態の、本開示化合物、例えば上記式I、II、IIIおよびIVで示される化合物は、唯一の治療薬として使用することができるが、他の活性薬剤と組み合わせて、またはそれとの共投与のために使用することもできる。
【0214】
本開示を実施する際に使用される投与量は、もちろん、例えば、治療されるべき特定の疾患または状態、使用される特定の本開示化合物、投与様式、および所望の治療に応じて変化する。本開示化合物は、経口、非経口、経皮、または吸入を含む好適な経路で投与することができるが、好ましくは経口で投与される。一般的に、例えば上記のような疾患の治療のための、満足のいく結果は、約0.01~2.0mg/kgのオーダーの用量での経口投与で得られることが示されている。したがって、大型哺乳動物、例えばヒトでは、経口投与のための示された1日用量は、約0.75~150mgの範囲内であり、毎日または徐放性形態で、便宜的には1回投与されるか、または2~4回の分割用量で投与される。したがって、経口投与用の単位剤形は、例えば、そのための薬学的に許容される希釈剤または担体と一緒に本開示化合物約0.2~75または150mg、例えば約0.2または2.0~50、75または100mgを含み得る。
【0215】
本開示化合物を含む医薬組成物は、慣用の希釈剤または賦形剤、およびガレノス技術分野で知られている技術を使用して調製され得る。したがって、経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤などを挙げることができる。
【実施例
【0216】
実施例1: パーキンソン病の治療における化合物1の評価
軽度~中等度のパーキンソン病(PD)を有する患者において化合物1(下記)を評価するためにフェーズ1/2無作為化プラセボ対照二重盲検複数回上昇用量臨床試験を行った。
【化24】
【0217】
化合物1は一リン酸塩の形態で投与される。
【0218】
本試験は、安定したPD療法を維持している患者において、化合物1の安全性および忍容性を評価するように設計されている。別の目的は、化合物1の薬物動態プロファイルを評価し、運動変動を制御し、PDに関連する非運動症状(例えば、日中の眠気、自律神経障害)の治療を評価するための潜在的な有用性を探ることである。疾患進行(すなわち、炎症)のバイオマーカーが評価される。
【0219】
PDE1の阻害剤は、環状ヌクレオチド(cAMP、cGMP)の分解を防止することにより細胞内シグナル伝達を増強する。全臨床試験は、PDE1阻害剤が運動能力に対するL-DOPAの正の効果を増強することを示している。この試験では、化合物1を1日1回7日間漸増せずに経口投与した結果、好ましい安定性プロファイルを有することが示され、1mg~90mgの幅広い用量範囲にわたって忍容性が一般的に良好であった。本試験では、重篤な有害事象は報告されておらず、バイタルサイン、または心血管パラメーターもしくは検査パラメーターに対して、プラセボと比較して化合物1の臨床的に有意な影響は観察されなかった。運動症状(UPDRS Part III)ならびに数人の評価者ベースおよび被検者ベースの尺度での運動合併症(UPDRS Part IV(データは示さない)、UDysRSおよびCISI-PD)の軽減と一致する臨床徴候が明らかとなった。化合物1はジスキネジアを引き起こすことなくオン時間を増加させる(ハウザー日記)。ドパミン補充療法の運動症状に対する効果を改善する一方で、化合物1がこれらの療法の副作用も軽減することは非常に驚くべきことである。
【0220】
特発性PD患者40人が当該試験のために募集される。安定したPD療法を維持している軽度~中等度PD(「オン」状態で評価されたホーンおよびヤール進行度スコア(Hoehn and Yahr staging score)が1~3)の患者は、プラセボ、または化合物1の1mg、3mg、10mg、30mgおよび90mgの5つのコホートに無作為に割り付け、1日1回7日間経口投与する。該試験に参加する患者はすべて、安定したPD療法(例えば、ドパミン補充療法)を維持しており、その一部は複数のカテゴリーのPD療法を受けている。40人の患者のうち、28人がカルビドパ/L-ドパを投与されており、14人がドパミンアゴニストを投与されており、5人がアマンタジンを投与されており、3人がMAO阻害剤を投与されている。該試験では、重篤な有害事象は報告されておらず、バイタルサイン、および心血管パラメーターまたは検査パラメーターに対して、プラセボと比較して化合物1の臨床的に有意な影響は観察されなかった。この結果は、化合物1が、ドパミン補充療法を併用しているPD患者の運動合併症を誘発または悪化させなかったことを示している。
【0221】
化合物1は、この幅広い用量範囲にわたって、親薬物および代謝物の両方に対して線形の薬物動態を示す。血漿定常状態は最初の48時間で達成され、将来の有効性試験のために1日1回の投与をサポートする。
【0222】
PDの運動症状および非運動症状の改善における化合物1の有効性は,被験者と治験施設の評価者の両方からのインプットを提供する複数の尺度を用いて測定される。運動障害疾患学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)で評価されるように、プラセボ処置と比較して、化合物1によって「オン」状態で運動能力が改善され、運動合併症が減少した(図1)。化合物1は、MDS-UPDRSの総スケールおよび2つのサブスケール(PDの運動発現と、ジスキネジアを含む運動合併症の臨床医による評価)のスコアを低下させる。さらに、化合物1は、統一ジスキネジア評価尺度(UDysRS)によって測定されるジスキネジア症状を軽減し(図2)、総オン時間と、ハウザー患者運動日記を用いて被検者が評価したジスキネジア無しのオン時間を増加させる(図3~4)。
【0223】
これらの結果から、PDE1の阻害剤が、環状ヌクレオチド(すなわち、cAMP、cGMP)の分解を防止することにより、細胞内シグナル伝達を増強することが確認される。以前の研究では、PDE1阻害剤がL-DOPAの運動能力に対する正の効果を増強することが示されている。この試験では、化合物1は、1日1回、7日間漸増なしで投与され、良好な安全性プロファイルを有することが示された。該化合物は、1mg~90mgの幅広い用量範囲にわたって、一般的に良好な忍容性を示した。PDE1の投与は、数人の評価者ベースおよび被験者ベースの尺度で、運動症状および運動合併症の軽減をもたらすことが示されている。重要なことに、これらの結果は、PDE1阻害剤、特に化合物1の投与が、PD患者におけるドパミン補充療法の効果を高めると同時に、そのような治療の既知の副作用を軽減することを示唆している。
本願は、下記の態様も包含する。
[態様1]
ドパミン補充療法の副作用を軽減する方法であって、それを必要とする患者にPDE1阻害剤(すなわち、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量を投与することを含む、方法。
[態様2]
PDE1阻害剤が、遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式I:
【化25】
[式中、
(i) R は、HまたはC 1-4 アルキル(例えば、メチル)であり;
(ii) R は、HまたはC 1-4 アルキルであり、R およびR は、独立して、HまたはC 1-4 アルキル(例えば、R およびR は共にメチルであるか、または、R はHであり、R はイソプロピルである)、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシ、または(場合によってはヘテロ)アリールアルキルであるか;または
は、Hであり、R およびR は一緒になってジメチレン架橋、トリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成し(好ましくは、R およびR が一緒になってシス配置を有しており、例えば、R およびR を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している);
(iii) R は、例えばハロアルキルで置換されている、置換ヘテロアリールアルキルであるか;または
は、式Iのピラゾロ部分の窒素の1つに結合しており、式A:
【化26】
(式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R 、R 、R 11 およびR 12 は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり、R 10 は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ハロゲンで置換されていてもよいピリジル(例えば、ピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル))、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、ヘテロアリールカルボニル、またはアルコキシカルボニルであり;ただし、X、YまたはZが窒素である場合、それぞれ、R 、R またはR 10 は存在しない)
で示される部分であり;
(iv) R は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、アリールアミノ(例えば、フェニルアミノ)、ヘテロアリールアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、N,N-ジアリールアミノ、またはN-アリール-N-(アリールアルキル)アミノ(例えば、N-フェニル-N-(1,1'-ビフェン-4-イルメチル)アミノ)であり;
(v) nは0または1であり;
(vi) nが1である場合、Aは、-C(R 13 14 )-である(ここで、R 13 およびR 14 は、独立して、HまたはC 1-4 アルキル、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシまたは(場合によってはヘテロ)アリールアルキルである)]
で示される化合物である、態様1記載の方法。
[態様3]
PDE1阻害剤が、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式II:
【化27】
[式中、
(i) Xは、C 1-6 アルキレン(例えば、メチレン、エチレンまたはプロパ-2-イン-1-イレン)であり;
(ii) Yは、単結合、アルキニレン(例えば、-C≡C-)、アリーレン(例えば、フェニレン)またはヘテロアリーレン(例えば、ピリジレン)であり;
(iii) Zは、H、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリダ-2-イル)、ハロ(例えば、F、Br、Cl)、ハロC 1-6 アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、-C(O)-R 、-N(R )(R )、または、NもしくはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含有していてもよいC 3-7 シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、またはモルホリニル)であり;
(iv) R は、C 1-6 アルキル、ハロC 1-6 アルキル、-OHまたは-OC 1-6 アルキル(例えば、-OCH )であり;
(v) R およびR は、独立して、HまたはC 1-6 アルキルであり;
(vi) R およびR は、独立して、H、C 1-6 アルキル、または、1個以上のハロ(例えば、フルオロフェニル、例えば、4-フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシフェニル、例えば、4-ヒドロキシフェニルまたは2-ヒドロキシフェニル)もしくはC 1-6 アルコキシで置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(vii) ここで、X、YおよびZは、独立して、1個以上のハロ(例えば、F、ClまたはBr)、C 1-6 アルキル(例えば、メチル)、ハロC 1-6 アルキル(例えば、トリフルオロメチル)で置換されていてもよく、例えば、Zは、1個以上のハロ(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル、5-フルオロピリダ-2-イル、6-フルオロピリダ-2-イル、3-フルオロピリダ-2-イル、4-フルオロピリダ-2-イル、4,6-ジクロロピリダ-2-イル)、ハロC 1-6 アルキル(例えば、5-トリフルオロメチルピリダ-2-イル)またはC 1-6 -アルキル(例えば、5-メチルピリダ-2-イル)で置換されている、ヘテロアリール、例えばピリジルであるか、またはZは、1個以上のハロ(例えば、4-フルオロフェニル)で置換されている、アリール、例えばフェニルである]
で示される化合物である、態様1記載の方法。
[態様4]
PDE1阻害剤が、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式III:
【化28】
[式中、
(i) R は、HまたはC 1-4 アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(ii) R およびR は、独立して、HまたはC 1-6 アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii) R は、HまたはC 1-4 アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iv) R は、独立して-C(=O)-C 1-6 アルキル(例えば、-C(=O)-CH )およびC 1-6 -ヒドロキシアルキル(例えば、1-ヒドロキシエチル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(v) R およびR は、独立して、H、または、独立してC 1-6 アルキル(例えば、メチルまたはエチル)およびハロゲン(例えば、FまたはCl)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)、例えば非置換フェニル、または1個以上のハロゲン(例えば、F)で置換されているフェニル、または1個以上のC 1-6 アルキルおよび1個以上のハロゲンで置換されているフェニル、または1個のC 1-6 アルキルおよび1個のハロゲンで置換されているフェニル、例えば4-フルオロフェニルまたは3,4-ジフルオロフェニルまたは4-フルオロ-3-メチルフェニルであり;
(vi)nは、1、2、3または4である]
で示される化合物である、態様1記載の方法。
[態様5]
PDE1阻害剤が、遊離形態または塩形態の、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式IV:
【化29】
[式中、
(vi) R は、C 1-4 アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、または-NH(R )(ここで、R は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば4-フルオロフェニルである)であり;
(vii) X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり;
(viii) R 、R およびR は、独立して、HまたはC 1-4 アルキル(例えば、メチル)であるか;または、R はHであり、R およびR は一緒になってトリメチレン架橋を形成し(好ましくは、R およびR は一緒になってシス配置を有しており、例えば、R およびR を担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有している)、
(ix) R 、R およびR は、独立して、
H、
1-4 アルキル(例えば、メチル)、
ヒドロキシで置換されているピリダ-2-イル、または
-S(O) -NH
であり;
(x) ただし、X、Yおよび/またはZがNである場合、それぞれ、R 、R および/またはR は存在しない;また、X、YおよびZがすべてCである場合、R 、R またはR の少なくとも1つは-S(O) -NH 、またはヒドロキシで置換されているピリダ-2-イルである]
で示される化合物である、態様1記載の方法。
[態様6]
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化30】
である、態様1~5のいずれかに記載の方法。
[態様7]
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化31】
である、態様1~5のいずれかに記載の方法。
[態様8]
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化32】
である、態様1~5のいずれかに記載の方法。
[態様9]
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化33】
である、態様1~5のいずれかに記載の方法。
[態様10]
ドパミン補充療法が、パーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬物誘発性運動障害;注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極性疾患、認知機能障害、認知症、および/または薬物依存;肺高血圧症;または慢性閉塞性肺疾患を治療するために施される、上記の態様のいずれかに記載の方法。
[態様11]
ドパミン補充療法がパーキンソン病を治療するために施される、上記の態様のいずれかに記載の方法。
[態様12]
ドパミン補充療法が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、およびそれらの組み合わせの投与を含む、上記の態様のいずれかに記載の方法。
[態様13]
ドパミン補充療法の副作用が運動機能障害またはジスキネジアを含む、上記の態様のいずれかに記載の方法。
[態様14]
PDE1阻害剤の投与が副作用(すなわち、運動機能障害またはジスキネジア)の発生を軽減または排除する、上記の態様のいずれかに記載の方法。
[態様15]
PDE1阻害剤の投与が、運動障害疾患学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)によって評価されるように、プラセボ処置と比較して、「オン」状態で、運動能力を改善し、運動合併症を軽減する、上記の態様のいずれかに記載の方法。
[態様16]
PDE1阻害剤の投与が、統一ジスキネジア評価尺度(UDysRS)によって測定されるジスキネジア症状を軽減し、ハウザー患者運動日記を用いて対象体が評価した総「オン」時間およびジスキネジア無しの「オン」時間を増大させる、上記の態様のいずれかに記載の方法。
[態様17]
対象体が軽度~中等度のパーキンソン病に罹患している、上記の態様のいずれかに記載の方法。
[態様18]
PDE1阻害剤が1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの用量で1日1回投与される、上記の態様のいずれかに記載の方法。
[態様19]
ジスキネジアおよび/または運動機能障害に罹患している対象体におけるcGMPおよび/またはcAMPシグナル伝達を増強する方法であって、それを必要とする対象体にPDE1阻害剤(すなわち、式I、II、IIIまたはIVで示される化合物)の薬学的有効量を投与することを含む、方法。
[態様20]
PDE1阻害剤が、遊離形態、塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式I:
【化34】
[式中、
(i) R は、HまたはC 1-4 アルキル(例えば、メチル)であり;
(ii) R は、HまたはC 1-4 アルキルであり、R およびR は、独立して、HまたはC 1-4 アルキル(例えば、R およびR は共にメチルであるか、または、R はHであり、R はイソプロピルである)、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシ、または(場合によってはヘテロ)アリールアルキルであるか;または
は、Hであり、R およびR は一緒になってジメチレン架橋、トリメチレン架橋またはテトラメチレン架橋を形成し(好ましくは、R およびR が一緒になってシス配置を有しており、例えば、R およびR を担持している炭素がそれぞれR配置およびS配置を有している);
(iii) R は、例えばハロアルキルで置換されている、置換ヘテロアリールアルキルであるか;または
は、式Iのピラゾロ部分の窒素の1つに結合しており、式A:
【化35】
(式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R 、R 、R 11 およびR 12 は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり、R 10 は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ハロゲンで置換されていてもよいピリジル(例えば、ピリダ-2-イル)、またはチアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾール-4-イル))、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、ヘテロアリールカルボニル、またはアルコキシカルボニルであり;ただし、X、YまたはZが窒素である場合、それぞれ、R 、R またはR 10 は存在しない)
で示される部分であり;
(iv) R は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、アリールアミノ(例えば、フェニルアミノ)、ヘテロアリールアミノ、N,N-ジアルキルアミノ、N,N-ジアリールアミノ、またはN-アリール-N-(アリールアルキル)アミノ(例えば、N-フェニル-N-(1,1'-ビフェン-4-イルメチル)アミノ)であり;
(v) nは0または1であり;
(vi) nが1である場合、Aは、-C(R 13 14 )-である(ここで、R 13 およびR 14 は、独立して、HまたはC 1-4 アルキル、アリール、ヘテロアリール、(場合によってはヘテロ)アリールアルコキシまたは(場合によってはヘテロ)アリールアルキルである)]
で示される化合物である、態様19記載の方法。
[態様21]
PDE1阻害剤が、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式II:
【化36】
[式中、
(i) Xは、C 1-6 アルキレン(例えば、メチレン、エチレンまたはプロパ-2-イン-1-イレン)であり;
(ii) Yは、単結合、アルキニレン(例えば、-C≡C-)、アリーレン(例えば、フェニレン)またはヘテロアリーレン(例えば、ピリジレン)であり;
(iii) Zは、H、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、例えば、ピリダ-2-イル)、ハロ(例えば、F、Br、Cl)、ハロC 1-6 アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、-C(O)-R 、-N(R )(R )、または、NもしくはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含有していてもよいC 3-7 シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、またはモルホリニル)であり;
(iv) R は、C 1-6 アルキル、ハロC 1-6 アルキル、-OHまたは-OC 1-6 アルキル(例えば、-OCH )であり;
(v) R およびR は、独立して、HまたはC 1-6 アルキルであり;
(vi) R およびR は、独立して、H、C 1-6 アルキル、または、1個以上のハロ(例えば、フルオロフェニル、例えば、4-フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、ヒドロキシフェニル、例えば、4-ヒドロキシフェニルまたは2-ヒドロキシフェニル)もしくはC 1-6 アルコキシで置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(vii) ここで、X、YおよびZは、独立して、1個以上のハロ(例えば、F、ClまたはBr)、C 1-6 アルキル(例えば、メチル)、ハロC 1-6 アルキル(例えば、トリフルオロメチル)で置換されていてもよく、例えば、Zは、1個以上のハロ(例えば、6-フルオロピリダ-2-イル、5-フルオロピリダ-2-イル、6-フルオロピリダ-2-イル、3-フルオロピリダ-2-イル、4-フルオロピリダ-2-イル、4,6-ジクロロピリダ-2-イル)、ハロC 1-6 アルキル(例えば、5-トリフルオロメチルピリダ-2-イル)またはC 1-6 -アルキル(例えば、5-メチルピリダ-2-イル)で置換されている、ヘテロアリール、例えばピリジルであるか、またはZは、1個以上のハロ(例えば、4-フルオロフェニル)で置換されている、アリール、例えばフェニルである]
で示される化合物である、態様19記載の方法。
[態様22]
PDE1阻害剤が、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式III:
【化37】
[式中、
(i) R は、HまたはC 1-4 アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(ii) R およびR は、独立して、HまたはC 1-6 アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii) R は、HまたはC 1-4 アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iv) R は、独立して-C(=O)-C 1-6 アルキル(例えば、-C(=O)-CH )およびC 1-6 -ヒドロキシアルキル(例えば、1-ヒドロキシエチル)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)であり;
(v) R およびR は、独立して、H、または、独立してC 1-6 アルキル(例えば、メチルまたはエチル)およびハロゲン(例えば、FまたはCl)から選択される1個以上の基で置換されていてもよいアリール(例えば、フェニル)、例えば非置換フェニル、または1個以上のハロゲン(例えば、F)で置換されているフェニル、または1個以上のC 1-6 アルキルおよび1個以上のハロゲンで置換されているフェニル、または1個のC 1-6 アルキルおよび1個のハロゲンで置換されているフェニル、例えば4-フルオロフェニルまたは3,4-ジフルオロフェニルまたは4-フルオロ-3-メチルフェニルであり;
(vi)nは、1、2、3または4である]
で示される化合物である、態様19記載の方法。
[態様23]
PDE1阻害剤が、遊離形態または塩形態の、遊離形態、薬学的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態(そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体を含む)の、式IV:
【化38】
[式中、
(xi) R は、C 1-4 アルキル(例えば、メチルまたはエチル)、または-NH(R )(ここで、R は、ハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてもよいフェニル、例えば4-フルオロフェニルである)であり;
(xii) X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり;
(xiii) R 、R およびR は、独立して、HまたはC 1-4 アルキル(例えば、メチル)であるか;または、R はHであり、R およびR は一緒になってトリメチレン架橋を形成し(好ましくは、R およびR は一緒になってシス配置を有しており、例えば、R およびR を担持している炭素はそれぞれR配置およびS配置を有している)、
(xiv) R 、R およびR は、独立して、
H、
1-4 アルキル(例えば、メチル)、
ヒドロキシで置換されているピリダ-2-イル、または
-S(O) -NH
であり;
(xv) ただし、X、Yおよび/またはZがNである場合、それぞれ、R 、R および/またはR は存在しない;また、X、YおよびZがすべてCである場合、R 、R またはR の少なくとも1つは-S(O) -NH 、またはヒドロキシで置換されているピリダ-2-イルである]
で示される化合物である、態様19記載の方法。
[態様24]
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化39】
である、態様19~23のいずれかに記載の方法。
[態様25]
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化40】
である、態様19~23のいずれかに記載の方法。
[態様26]
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化41】
である、態様19~23のいずれかに記載の方法。
[態様27]
PDE1阻害剤が、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の
【化42】
である、態様19~23のいずれかに記載の方法。
[態様28]
ジスキネジアおよび/または運動機能障害が対象体に施されたドパミン補充療法に起因する、態様19~27のいずれかに記載の方法。
[態様29]
対象体が、ドパミンD1受容体細胞内経路に関連する疾患または障害(例えば、パーキンソン病)の治療においてドパミン補充療法を受けている、態様19~28のいずれかに記載の方法。
[態様30]
ドパミン補充療法がパーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬物誘発性運動障害;注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極性疾患、認知機能障害、認知症、および/または薬物依存;肺高血圧症;または慢性閉塞性肺疾患を治療するために施される、態様28または29記載の方法。
[態様31]
ドパミン補充療法が、パーキンソン病を治療するためにドパミン補充療法の一部として施される、態様28~30のいずれかに記載の方法。
[態様32]
ドパミン補充療法が、ドパミン作動性アゴニスト(例えば、レボドパ(L-ドパ)、カルビドパ、アポモルヒネ、プラミペキソール、ロピニロール、アマンタジン、ロチゴチン)、抗コリン剤(例えば、抗精神病薬(例えば、クロザピン、クエチアピン)、アトロピン、ベンズトロピン、ベンゾトロピンメシル酸塩、ビペリデン、クロルペニラミン(chlorpeniramine)、シタロプラム、セルトラリン、ジサイクロミン、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ドキシラミン、グリコピロレート、グリコピロリウム(glycopyrrolium)、イプラトロピウム、オルフェナドリン、オキシトロピウム、オキシブチニン、プロメタジン、プロパンテリン臭化物、トルテロジン、チオトロピウム、三環系抗うつ薬、トリヘキシフェニジル、スコポラミン、ソリフェナジン、トロピカミド)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤(イソカルボキサジド、ニアラミド、フェネルジン、ヒドラカルバジン(hydracarbazine)、トラニルシプロミン、ラサギリン、セレギリン、サフィナミド)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤(例えば、エンタカポン、トルカポン、オピカポン、ニテカポン(nitecapone))、抗パーキンソン病薬(例えば、SSIA(例えば、ピマバンセリン))、およびそれらの組み合わせの投与を含む、態様28~31のいずれかに記載の方法。
[態様33]
対象体が、運動機能障害またはジスキネジアの発生の前にドパミン補充療法を受けている、態様28~32のいずれかに記載の方法。
[態様34]
対象体が、PDE1阻害剤の投与前にドパミン補充療法を受けていた、態様28~33のいずれかに記載の方法。
[態様35]
運動機能障害またはジスキネジアがドパミン補充療法の副作用である、態様28~34のいずれかに記載の方法。
[態様36]
PDE1阻害剤の投与が運動機能障害またはジスキネジアの発生を軽減または排除する、態様28~35のいずれかに記載の方法。
[態様37]
PDE1阻害剤の投与が、運動障害疾患学会統一パーキンソン病評価尺度(MDS-UPDRS)によって評価されるように、プラセボ処置と比較して、「オン」状態で、運動能力を改善し、運動合併症を軽減する、態様28~36のいずれかに記載の方法。
[態様38]
PDE1阻害剤の投与が、統一ジスキネジア評価尺度(UDysRS)によって測定されるジスキネジア症状を軽減し、ハウザー患者運動日記を用いて対象体が評価した総「オン」時間およびジスキネジア無しの「オン」時間を増大させる、態様28~37のいずれかに記載の方法。
[態様39]
PDE1阻害剤が1~90mgの用量で1日1回投与される、上記の態様のいずれかに記載の方法。
[態様40]
PDE1阻害剤が1mg、3mg、10mg、30mgまたは90mgの用量で1日1回投与される、上記の態様のいずれかに記載の方法。
図1
図2
図3
図4