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特許7480150積層構造体およびそれを組み込む可撓性パッケージ材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】積層構造体およびそれを組み込む可撓性パッケージ材料
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240430BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20240430BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20240430BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B7/022
B32B27/40
B65D65/40 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021536806
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2018124682
(87)【国際公開番号】W WO2020133156
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】サンドゥケルラー、ピーター ヘルマン ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ガラティク、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】バスティロ、ルイス ジェラルド ザラメア
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、チンイー
(72)【発明者】
【氏名】リャオ、ギホン
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/207221(WO,A1)
【文献】特表2018-521879(JP,A)
【文献】特開2017-193063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体を製造する方法であって、
0.930~0.970g/cmの密度および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン系ポリマーを含む、一軸配向の第1の多層フィルムであって、前記一軸配向の第1の多層フィルムが、3:1超かつ8:1未満の延伸比で機械方向に配向され、前記一軸配向の第1の多層フィルムが、少なくとも2対1の、横断方向の破断点伸び率の機械方向の破断点伸び率に対する比を有する、一軸配向の第1の多層フィルムと、
前記一軸配向の第1の多層フィルムに接着され、かつ0.900~0.962g/cmの密度を有するエチレン系ポリマーを含む、二軸配向の第2の多層フィルムであって、前記二軸配向の第2の多層フィルムが、その機械方向の延伸比より大きい横断方向の延伸比を有し、前記二軸配向の第2の多層フィルムが、少なくとも2対1の、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比を有し、前記二軸配向の第2の多層フィルムは、2:1~6:1の延伸比で機械方向におよび2:1~9:1の延伸比で横断方向に配向される、二軸配向の第2の多層フィルムと、
前記二軸配向の第2の多層フィルムに接着された第3の多層フィルムであって、前記二軸配向の第2の多層フィルムが前記一軸配向の第1の多層フィルムと前記第3のフィルムとの間に配置されるようにし、前記第3のフィルムが、0.865g/cm~0.935g/cmの密度および0.5~5g/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン系ポリマーを含む、第3の多層フィルムと、を含む、方法
【請求項2】
前記第3のフィルムが、100℃未満のヒートシール開始温度を有する、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記一軸配向の第1の多層フィルムが、機械方向の破断点伸び率よりも少なくとも100%を超える横断方向の破断点伸び率を有し、前記二軸配向の第2の多層フィルムが、横断方向の破断点伸び率よりも少なくとも100%を超える機械方向の破断点伸び率を有する、請求項1または2に記載の方法
【請求項4】
前記一軸配向の第1の多層フィルムについて、少なくとも3対1の、横断方向の破断点伸び率の機械方向の破断点伸び率に対する前記比、前記二軸配向の第2の多層フィルムについて、少なくとも3対1の、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比を有する、請求項1~3のいずれかに記載の方法
【請求項5】
前記一軸配向の第1の多層フィルムが、15~30μmの厚さを有し、前記二軸配向の第2の多層フィルムが、15~100μmの厚さを有し、前記第3のフィルムが、40~100μmの層厚さを有する、請求項1~4のいずれかに記載の方法
【請求項6】
前記一軸配向の第1の多層フィルムが、
少なくとも0.950g/ccの密度、および0.3~5g/10分のメルトインデックス(I)を含む高密度ポリエチレンを有する、少なくとも1つの外層と、
0.920g/cc未満の密度および0.5~5g/10分のメルトインデックスを有するエチレン系ポリマーを含む、少なくとも1つの内層と、
前記少なくとも1つの内層と前記少なくとも1つの外層との間に配置された少なくとも1つの中間層であって、前記中間層が、0.930g/cc超の密度を有するエチレン系ポリマーを含む、中間層と、を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法
【請求項7】
前記少なくとも1つの内層が、0.900g/cc未満の密度および0.5~5g/10分のメルトインデックスを有するポリオレフィンプラストマーを含む、請求項6に記載の方法
【請求項8】
前記一軸配向の第1の多層フィルムが、少なくとも10重量%のHDPEを含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法
【請求項9】
前記二軸配向の第2の多層フィルムの前記エチレン系ポリマーが、0.915~0.940g/ccの密度、および0.5~2.0g/10分のメルトインデックスを有する、請求項1~8のいずれかに記載の方法
【請求項10】
前記第3のフィルムが、多層フィルムであり、前記多層フィルムが、エチレン系ポリマーを含む複数の層を有する、請求項1~9のいずれかに記載の方法
【請求項11】
前記第3のフィルムが、0.900~0.930g/ccの密度および0.5~5.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法
【請求項12】
前記第3のフィルムが、0.915~0.935g/ccの密度および0.3~3.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する低密度ポリエチレンを含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法
【請求項13】
前記積層体が、ポリウレタン接着剤を含む接着剤層を含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法
【請求項14】
前記積層体が、1.3:1~1:1.3の、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比を有する、請求項1~13のいずれかに記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、概して、積層構造体に関し、より具体的には、可撓性パッケージ材料用の積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
2~5リットル(L)の含有量の液体または顆粒パッケージ用の大型スタンドアップポーチ(SUP)は、典型的には、三重積層体から作製され、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(BOPET)/二軸配向ポリアミド(BOPA)/ポリエチレンシーラントを含む構造体を有する。重要な性能要件の1つは、パウチの落下試験であり、落下した場合にパウチが破損しない最小の落下高さが指定されている。上述の積層構造体が市場で使用されてきたが、規制の変更およびリサイクル可能なパッケージの使用に対する需要の高まりにより、単一材料、好ましくはポリエチレンで作製された大型SUPを提供することが望まれている。これらのポリエチレンの単一材料積層体は、リサイクル可能性の観点から望ましいが、所望の機械的特性(例えば、ヒートシール強度)を達成することは困難である。
【0003】
したがって、可撓性パッケージの実施形態で使用するための改善された積層体およびこれらの積層体を作製するためのプロセスが必要であり、積層体は、リサイクル可能性および機械的強度の二重の利点を有する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、リサイクル可能性および機械的強度を有する積層体を提供することによって、これらの必要性を満たす。本積層体は、二軸配向ポリエチレン(BOPE)フィルムの利点を、一軸(機械方向)配向ポリエチレンフィルム(MDO-PE)フィルムおよび第3のフィルム(シーラントフィルムとも呼ばれる)の利点と組み合わせる。MDO/BOPE/シーラントの三重積層体の機械的および熱的特性は、相互に有益に強化され、必要な機械的強度および必要なリサイクル可能性を提供する構造体を提供する。
【0005】
具体的には、MDOフィルムの高い機械方向(MD)剛性および引張強度と、横断方向(CD)の低い剛性および引張強度とは、MD方向のBOPEフィルムの低い剛性および引張強度と、CD方向の高い剛性および引張強度とによって補正される。得られた積層フィルムは、バランスの取れたMDおよびCDの剛性および引張強度、ならびに良好な引張伸びを有し、パッケージの乱用、具体的には落下試験でのパッケージの乱用に耐える強力な積層体を提供する。
【0006】
少なくとも1つの積層体の実施形態によると、積層体は、0.930~0.970g/cmの密度および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン系ポリマーを含む、一軸配向の第1の多層フィルムを含み、一軸配向の第1の多層フィルムは、3:1超かつ8:1未満の延伸比で機械方向に配向され、一軸配向の第1の多層フィルムは、少なくとも2対1の、横断方向の破断点伸び率の機械方向の破断点伸び率に対する比を有する。積層体はまた、一軸配向の第1の多層フィルムに接着され、かつ0.900~0.962g/cmの密度を有するエチレン系ポリマーを含む、二軸配向の第2の多層フィルムを含み、二軸配向の第2の多層フィルムは、その機械方向の延伸比よりも大きい横断方向の延伸比を有し、二軸配向の第2の多層フィルムは、少なくとも2対1の、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比を有する。さらに、積層体は、二軸配向の第2の多層フィルムに接着された第3のフィルムを含み、二軸配向の第2の多層フィルムが一軸配向の第1の多層フィルムと第3のフィルムとの間に配置されるようにし、第3のフィルムは、0.865g/cm~0.935g/cmの密度および0.5~5g/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン系ポリマーを含む。
【0007】
これらのおよび他の実施形態は、以下の発明を実施するための形態においてより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本出願の特定の実施形態について説明する。しかしながら、本開示は異なる形態で具体化されてもよく、本開示に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全であり、本主題の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0009】
定義
「ポリマー」という用語は、同一または異なる種類のモノマーに関わらず、モノマーを重合することにより調製されたポリマー化合物を指す。このため、ポリマーという総称は、通常、1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる「ホモポリマー」という用語、および2種類以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指す「コポリマー」を包含する。本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、インターポリマーという総称は、コポリマーと、ターポリマーなどの3種類以上の異なるモノマーから調製されたポリマーとを含む。
【0010】
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、50モル%を超える、エチレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知であるポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「プロピレン系ポリマー」という用語は、50重量%を超える、プロピレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを指す、重合形態で、含むポリマーを指す。これには、プロピレンホモポリマー、ランダムコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、プロピレン/α-オレフィンコポリマー、およびプロピレン/α-オレフィンコポリマーが含まれる。
【0012】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」または「高度分岐ポリエチレン」と呼ばれてもよく、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を用いて、14,500psi(100MPa)超える圧力でオートクレーブまたは管型反応器中で部分的または完全に、ポリマーがホモポリマー化されるかまたはコポリマー化されることを意味するように定義される(例えば、参照として本明細書に組み込まれるUS4,599,392を参照のこと)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/ccの範囲の密度を有する。
【0013】
「LLDPE」という用語は、従来のチーグラー・ナッタ触媒系、ならびにビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と呼ばれることもある)および拘束幾何触媒を含むがこれに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される樹脂の両方を含み、直鎖状、実質的に直鎖状、または不均質なポリエチレンコポリマーまたはホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号のものなどの均質分岐直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されるものなどの不均質分岐エチレンポリマー、ならびに/またはそれらのブレンド(US3,914,342もしくはUS5,854,045に開示されるものなど)を含む。LLDPEは、当該技術分野において既知である任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせにより作製され得る。
【0014】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/cm3の密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロムもしくはチーグラー・ナッタ触媒を使用して、またはビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製され、典型的には、2.5を超える分子量分布(「MWD」)を有する。
【0015】
「HDPE」という用語は、一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、またはシングルサイト触媒(ビスメタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されない)を用いて調製される、約0.935g/cm3を超える密度を有するポリエチレンを指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「単一材料」という用語は、積層構造体が実質的にポリエチレンから構成されることを意味し、「実質的に」という用語は、積層構造体の総重量に基づいて、少なくとも95重量%のポリエチレン、または少なくとも99重量%のポリエチレン、または少なくとも99.5%のポリエチレン、または少なくとも99.9重量%を意味する。
【0017】
「多層構造体」とは、2つ以上の層を有する任意の構造体を意味する。例えば、多層構造体は、2、3、4、5、またはそれ以上の層を有してもよい。多層構造体は、文字で示される層を有するものとして説明され得る。例えば、コア層B、ならびに2つの外部層AおよびCを有する3層構造体は、A/B/Cとして示されてもよい。
【0018】
「可撓性パッケージ」または「可撓性パッケージ材料」という用語は、当業者によく知られている様々な非剛性容器を包含する。これらには、パウチ、スタンドアップパウチ、ピローパウチ、バルクバッグバルクバッグ、既製のパッケージなどが含まれ得る。可撓性パッケージのいくつかの典型的な最終用途は、スナック、乾燥食品、液体、またはチーズ用のパッケージである。他の最終用途には、ペットフード、スナック、チップス、冷凍食品、肉、ホットドッグ、および多くの他の用途が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびこれらの派生語は、任意の追加の成分、ステップ、または手順が、本明細書で具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するよう意図されない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求される全ての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、実施可能性に不可欠でないものを除き、任意の次に続く詳説の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に規定または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。
【0020】
ここで、本開示の積層構造体の実施形態、具体的には、可撓性パッケージ材料で使用される積層構造体について詳細に言及する。
【0021】
実施形態は、0.900~0.962g/cmの密度および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン系ポリマーを含む一軸配向の第1の多層フィルムを含む、積層体を対象とする。本明細書においてMDOフィルムまたはMDO-PEフィルムとも呼ばれ得る一軸配向の第1の多層フィルムは、1:1超かつ8:1未満の延伸比で機械方向に配向される。さらに、一軸配向の第1の多層フィルムは、少なくとも2対1の、横断方向の破断点伸び率の機械方向の破断点伸び率に対する比を有する。
【0022】
加えて、積層体は、一軸配向の第1の多層フィルムに接着された二軸配向の第2の多層フィルムを含む。積層体は、0.900~0.962g/cmの密度を有するエチレン系ポリマーを含む。二軸配向の第2の多層フィルムは、その機械方向の延伸比よりも大きい横断方向の延伸比を有し、二軸配向の第2の多層フィルムは、二軸配向の第2の多層フィルムは、少なくとも2対1の、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比を有する。
【0023】
さらに、積層体は、二軸配向の第2の多層フィルムに接着された第3のフィルムを含み、二軸配向の第2の多層フィルムが一軸配向の第1の多層フィルムと第3のフィルムとの間に配置されるようにする。ブローフィルムポリエチレンシーラントフィルムとしても説明され得る第3のフィルムは、0.865g/cc~0.935g/ccの密度および0.5~5g/10分のメルトインデックス(I)を有するエチレン系ポリマーを含む。
【0024】
一軸配向の第1の多層フィルム
1つ以上の実施形態では、一軸配向の第1の多層フィルムは、ヒートシール中に積層体に耐熱性を提供するために、少なくとも1つの層にHDPEを含み得る。1つ以上の実施形態では、一軸配向の第1の多層フィルムは、少なくとも10重量%のHDPE、または少なくとも15重量%のHDPE、または少なくとも20重量%のHDPEを含む。一軸配向の第1の多層フィルムは、95重量%のエチレン系ポリマー、または99重量%のエチレン系ポリマー、または99.9重量%のエチレン系ポリマー、または100重量%のエチレン系ポリマーを含み得る。一軸配向の第1の多層フィルムの高密度ポリエチレンは、少なくとも0.950g/cc、または少なくとも0.950g/cc、または少なくとも0.960g/ccの密度を有し得る。他の実施形態では、高密度ポリエチレンは、0.950~0.975g/cc、または0.955~0.970g/ccの密度を有し得る。さらに、高密度ポリエチレンは、0.5~2g/10分、または0.6~1g/10分のメルトインデックスを有し得る。市販の例としては、The Dow Chemical Company,Midland,MIのELITE(商標)5960Gが挙げられ得る。
【0025】
一軸配向の第1の多層フィルムには、様々な厚さが企図される。一実施形態では、一軸配向の第1の多層フィルムは、15~30μmの厚さを有する。
【0026】
別の実施形態では、一軸配向の第1の多層フィルムは、少なくとも0.950g/ccの密度、および0.3~5g/10分のメルトインデックス(I)を含む高密度ポリエチレンを有する、少なくとも1つの外層と、0.920g/cc未満の密度および0.5~5g/10分のメルトインデックスを有するエチレン系ポリマーを含む、少なくとも1つの内層と、少なくとも1つの内層と少なくとも1つの外層との間に配置された少なくとも1つの中間層であって、中間層が、0.930g/cc超える密度を有するエチレン系ポリマーを含む、中間層と、を含み得る。
【0027】
外層の高密度ポリエチレンは、上記で提供された密度範囲およびメルトインデックス値を含み得る。外層は、2~10μm、または2~4μmの厚さを有し得る。
【0028】
上記のように、少なくとも1つの内層は、0.920g/cc未満の密度および0.5~5g/10分のメルトインデックスを有するエチレン系ポリマーを含む。1つ以上の実施形態では、内層は、0.900g/cc未満、または0.900g/cc未満、または0.890g/cc未満、または0.880g/cc未満、または0.875g/cc未満の密度を有するポリオレフィンプラストマーを含み得る。さらなる実施形態では、内層のポリオレフィンプラストマーは、0.860~0.900g/cc、または0.860~0.885g/cc、または0.865~0.875g/ccの密度を有する。さらに、内層のポリオレフィンプラストマーは、0.5~3g/10分、または0.6~1.5g/10分、または0.8~1.2g/10分のメルトインデックスを有する。ポリオレフィンプラストマーの市販の例としては、AFFINITY(商標)8100、AFFINITY(商標)8200、AFFINITY(商標)1880、およびAFFINITY(商標)1140が挙げられ、これらは全て、The Dow Chemical Company,Midland,MIから入手可能である。
【0029】
いくつかの実施形態では、例えば、ブロックされていない非対称フィルムの実施形態では、内層が、ポリオレフィンプラストマーとブレンドされた追加のエチレン系ポリマーを含むことが企図される。エチレン系ポリマーには、様々な実施形態が企図される。1つ以上の実施形態では、内層は、0.910g/ccを超える密度および0.5~5g/10分のメルトインデックス(I)を含む。好適な市販の例としては、The Dow Chemical Company,Midland,MIから入手可能なELITE(商標)またはINNATE(商標)ポリマーが挙げられ得る。内層は、2~10μm、または2~5μmの厚さを有し得る。
【0030】
一軸配向の第1の多層フィルムの中間層では、エチレン系ポリマーは、0.930g/ccを超えるか、または0.935g/ccを超える密度を有し得る。他の実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.920~0.950g/cc、または0.925~0.945g/cc、または0.935~0.945g/ccの密度を有し得る。さらに、中間層のエチレン系ポリマーは、0.5~2g/10分、または0.6~1g/10分のメルトインデックスを有し得る。市販の例としては、The Dow Chemical Company,Midland,MIのELITE(商標)5940STが挙げられ得る。中間層は、8~30μmの厚さを有し得る。
【0031】
さらに別の実施形態では、一軸配向の第1の多層フィルムは、プロピレン系ポリマーを含み得る。プロピレン系ポリマーは、単独で、または本明細書に記載の実施形態と組み合わせて使用してもよい。プロピレン系ポリマーは、0.850g/cc~0.900g/cc、または0.855~0.895の密度を有し得る。プロピレン系ポリマーは、1~25、または1~10g/10分のメルトフローレート(MFR)を有し得る。様々な商品の実施形態が好適であると企図される。これらには、ExxonMobilによって生産されるVistamaxx(商標)3000、Vistamaxx(商標)3020FL、Vistamaxx(商標)3588FL、およびVistamaxx(商標)6102/6102FLが含まれ得る。加えて、The Dow Chemical Company,Midland,MIのVERSIFY(商標)2000およびVERSIFY(商標)2300も利用され得る。
【0032】
機械方向における延伸には、様々な処理パラメータが好適であると考えられる。例えば、一軸配向の第1の多層フィルムは、3:1超かつ8:1未満の延伸比で、または4:1~8:1の延伸比で機械方向に配向され得る。
【0033】
上記のように、一軸配向の第1の多層フィルムは、少なくとも2対1の、横断方向の破断点伸び率の機械方向の破断点伸び率に対する比を有する。さらなる実施形態では、横断方向の破断点伸び率の機械方向の破断点伸び率に対する比は、一軸配向の第1の多層フィルムについて、少なくとも3対1、または少なくとも5対1、または少なくとも8対1である。別の言い方をすれば、一軸配向の第1の多層フィルムは、機械方向の破断点伸び率よりも少なくとも100%超えるか、または少なくとも200%超えるか、または少なくとも300%超える、横断方向の破断点伸び率を有する。
【0034】
二軸配向の第2の多層フィルム
二軸配向の第2の多層フィルムが、単層フィルムまたは多層フィルムであり得ることが企図される。例えば、二軸配向の第2の多層フィルムは、例えば、シーラント層、バリア層、結合層、他のポリエチレン層などを含む、用途に応じた多層フィルムに典型的に含まれる他の層をさらに含み得る。1つ以上の実施形態では、二軸配向の第2の多層フィルムは、15~100μm、または15~40μmの厚さを有し得る。二軸配向の第2の多層フィルムは、95重量%のエチレン系ポリマー、または99重量%のエチレン系ポリマー、または99.9重量%のエチレン系ポリマー、または100重量%のエチレン系ポリマーを含み得る。
【0035】
二軸配向の第2の多層フィルムのエチレン系ポリマーは、0.915~0.940g/cc、または0.920~0.935g/cc、または0.920~0.930g/ccの密度を有し得る。二軸配向の第2の多層フィルムは、0.5~2g/10分、または0.6~1g/10分のメルトインデックスを有し得る。
【0036】
二軸配向の第2の多層フィルムは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含み得る。MDPEが0.940g/cm以下の密度を有する限り、好適なLLDPEには、チーグラー・ナッタ触媒直鎖状低密度ポリエチレン、シングルサイト触媒(メタロセンを含む)直鎖状低密度ポリエチレン、および中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに前述のもののうちの2つ以上の組み合わせが含まれる。LLDPEは、上記の範囲により定義される密度およびメルトインデックス(I)を有し得る。二軸配向の第2の多層フィルムは、いくつかの実施形態では、50重量パーセントを超える、他の実施形態では、60重量パーセントを超える、および他の実施形態では70重量パーセントを超えるLLDPEを含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、二軸配向の第2の多層フィルムは、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリエチレンプラストマー、ポリエチレンエラストマー、エチレン酢酸ビニル、またはそれらの組み合わせを含む、1つ以上の追加のポリマーをさらに含み得る。そのような実施形態では、1つ以上の追加のポリマーは、50重量パーセント未満の量で存在し得る。
【0038】
二軸配向ポリエチレンフィルムは、例えば、抗酸化剤、亜リン酸塩、粘着添加剤、帯電防止剤、顔料、着色剤、充填剤、またはそれらの組み合わせなど、当業者に既知である1つ以上の添加剤をさらに含み得る。
【0039】
1つ以上の実施形態では、二軸配向の第2の多層フィルムは、テンタフレーム逐次二軸配向プロセスを使用して二軸配向される。そのような技術は一般に、当業者に既知である。他の実施形態では、ポリエチレンフィルムは、二重気泡配向プロセスなどの、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知である他の技術を使用して二軸配向され得る。一般に、テンタフレーム逐次二軸配向プロセスでは、テンタフレームは、多層共押出ラインの一部として組み込まれる。フラットダイから押出された後、フィルムを冷却ロール上で冷却し、室温の水で充填した水浴に浸漬させる。次いで、キャストフィルムを異なる回転速度を有する一連のローラに通して、機械方向における延伸を達成する。製作ラインのMD延伸セグメントには数対のローラがあり、それらは全て油加熱されている。対のローラは、予熱ローラ、延伸ローラ、ならびに弛緩およびアニーリング用ローラとして逐次作動する。各ローラ対の温度は、別々に制御される。機械方向における延伸後、加熱ゾーンを有するテンタフレーム熱風炉にフィルムウェブを通して、横断方向における延伸を実行する。最初のいくつかのゾーンは予熱用であり、その後に延伸用のゾーン、次いでアニーリング用の最終ゾーンが続く。
【0040】
いくつかの実施形態では、二軸配向の第2の多層フィルムは、2:1~6:1の延伸比で機械方向に、および2:1~9:1の延伸比で横断方向に配向される。二軸配向の第2の多層フィルムは、いくつかの実施形態では、3:1~5:1の延伸比で機械方向に、および3:1~8:1の延伸比で横断方向に配向される。
【0041】
二軸配向の第2の多層フィルムは、その機械方向の延伸比よりも大きい横断方向の延伸比を有し、二軸配向の第2の多層フィルムは、二軸配向の第2の多層フィルムは、少なくとも2対1の、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比を有する。さらなる実施形態では、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比は、二軸配向の第2の多層フィルムについて、少なくとも3対1、または少なくとも4対1である。別の言い方をすれば、二軸配向の第2の多層フィルムは、横断方向の破断点伸び率よりも少なくとも100%を超えるか、または少なくとも200%を超えるか、または少なくとも300パーセントを超える、機械方向の破断点伸び率を有する。
【0042】
第3のフィルム
二軸配向の第2の多層フィルムと同様に、シーラントフィルムまたはブローシーラントフィルムとも呼ばれ得る第3のフィルムは、多層フィルムまたは単層フィルムであり得る。一軸配向および二軸配向フィルムとは異なり、シーラントフィルムが、いくつかの実施形態では、配向されていないことが企図される。さらなる実施形態では、第3のフィルムは、110℃未満、または100℃未満のヒートシール開始温度を有し得る。第3のフィルムは、40~100μm、または60~80μmの層厚さを有し得る。
【0043】
多層シーラントフィルムは、エチレン系ポリマーを含む複数の層を含み得る。一実施形態では、第3のフィルムは、0.900~0.930g/ccの密度および0.5~5.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。さらなる実施形態では、LLDPEは、0.905~0.925g/cc、または0.910~0.925g/ccの密度を有し得る。さらに、LLDPEは、0.5~2.5g/10分、または0.75~1.5g/10分、または0.9~1.2g/10分のメルトインデックス(I)を有し得る。加えて、第3のフィルムは、0.915~0.935g/ccの密度および0.3~5.0g/10分のメルトインデックス(I)を有する低密度ポリエチレン(LDPE)を含み得る。さらなる実施形態では、LDPEは、0.910~0.935g/cc、または0.920~0.930g/ccの密度を有し得る。さらに、LDPEは、0.5~2.5g/10分、または0.6~1.0g/10分のメルトインデックス(I)を有し得る。
【0044】
第3のフィルムの1つ以上の層が、LLDPEおよびLDPEのブレンドを含み得ることが企図される。例えば、LLDPE/LDPEブレンドは、少なくとも50重量%、少なくとも60%、少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%のLLDPEを含み得る。逆に、LLDPE/LDPEブレンドは、1~最大50重量%、または最大40重量%のLDPE、または最大30重量%、または最大20重量%のLDPEを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、シーラントフィルムの第1の層は、少なくとも30重量パーセントのポリオレフィンプラストマー、ポリオレフィンエラストマー、超低密度ポリエチレン、エチレンアセテートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、またはエチレンアクリレートコポリマーを含む。
【0046】
シーラントフィルムがポリオレフィンプラストマーを含む場合、ポリオレフィンプラストマーは、ポリエチレンプラストマーまたはポリプロピレンプラストマーであり得る。ポリオレフィンプラストマーには、メタロセンおよび拘束幾何触媒などのシングルサイト触媒を使用して作製された樹脂が含まれる。ポリオレフィンプラストマーは、0.885~0.915g/ccの密度を有する。0.885g/cc~0.915g/ccの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、かつ本明細書に開示され、例えば、ポリオレフィンプラストマーの密度は、0.895、0.900、または0.905g/ccの下限から0.905、0.910、または0.915gの上限までであり得る。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、0.890~0.910g/ccの密度を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、ポリオレフィンプラストマーは、最大20g/10分のメルトインデックス(I)を有する。最大20g/10分の全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、かつ本明細書に開示される。例えば、ポリオレフィンプラストマーは、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20g/10分の上限のメルトインデックスを有し得る。特定の態様では、ポリオレフィンプラストマーは、0.5g/10分の下限のIを有する。シーラントフィルムに使用することができるポリオレフィンプラストマーの例としては、例えば、AFFINITY(商標)PL 1881GおよびAFFINITY(商標)PF1140Gを含む、AFFINITY(商標)という名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0048】
接着剤層
積層体に使用される接着剤には、様々な接着剤組成物が好適であると考えられる。これらには、ポリウレタン、エポキシ、アクリルなどが含まれ得る。一実施形態では、積層体は、ポリウレタン接着剤を含む接着剤層を含み得る。ポリウレタン接着剤は、無溶剤、水性、または溶媒系であり得る。さらに、ポリウレタン接着剤は、二液型配合物であり得る。
【0049】
接着剤層の重量または厚さは、例えば、多層構造体の所望の厚さ、使用される接着剤の種類、および他の要因を含む多くの要因に依存し得る。いくつかの実施形態では、接着剤層は、最大5.0グラム/m、または1.0~4.0g/m、または2.0~3.0g/mで塗布される。
【0050】
積層体
理論に制限されることなく、3つのフィルムの組み合わせは、等方性積層体を提供する。本明細書で使用される場合、「等方性」は、積層体が、機械方向の破断点伸び率の30%以内の横断方向の破断点伸び率を有することを意味する。別の言い方をすれば、これは、積層体がMD方向または横断方向で同様の引張結果をもたらすことを意味する。さらなる実施形態では、本積層体は、機械方向の破断点伸び率の25%以内、または20%以内の横断方向の破断点伸び率を有し得る。さらに、積層体は、1.3:1~1:1.3、または1.2:1~1:1.2、または1.1:1~1:1.1の範囲の、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比を有し得る。
【0051】
物品
上記のように、積層体は、スタンドアップパウチなどの可撓性パッケージ材料に含まれ得る。
【0052】
試験方法
試験方法は、以下を含む。
【0053】
メルトインデックス(I
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I)を、ASTM D-1238に従って、190℃、2.16kgで測定した。値をg/10分で報告し、これは10分あたりに溶出したグラムに対応する。
【0054】
メルトフローレート(MFR)
プロピレン系ポリマーのメルトフローレートを、ASTM D-1238に従って、230℃および2.16kgで測定した。値をg/10分で報告し、これは10分あたりに溶出したグラムに対応する。
【0055】
密度
密度測定用の試料を、ASTM D4703に従って調製し、グラム/立方センチメートル(g/ccまたはg/cm)で報告した。測定は、ASTM D792、方法Bを使用して、試料圧縮の1時間以内に行った。
【0056】
引張特性
伸び率、破断点伸び、および破断点力を、ASTM D-882法に従って、機械方向(MD)および横断方向(CD)の両方で決定した。使用した機械は、Instron 5965引張試験機であり、500mm/分の引抜速度で動作した。試料幅は、1インチであった。
【0057】
ヒートシール試験
ヒートシール強度およびヒートシール開始温度を決定するために、試料をJ&B Hot Tack 4000試験機でシールした。試料幅は、1インチであり、シール時間は、0.5秒であり、シール圧力は、0.275N/mmであった。次いで、シールされた試料を24時間エージングした後、ヒートシール強度をInstron 5965引張試験機で500mm/分の引抜速度で試験した。
【実施例
【0058】
以下の実施例は、本開示の特徴を説明するものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0059】
使用される市販のポリマー
以下に記載の実験用積層体には、以下に列挙されるポリマーを使用した。全てのポリマーは、The Dow Chemical Company,Midland,MIによって生産されている。加えて、積層体の実施例では、The Dow Chemical Company,Midland,MIから入手可能な以下の2つの市販の接着剤を利用した。1つ目の接着剤は、MOR-FREE(商標)L75-300+MF L75-300+CR88-300(以下「MOR-FREE」)であり、これは、二液型無溶剤ポリウレタン接着剤である。2つ目の接着剤は、ADCOTE(商標)675A+675C(以下「ADCOTE」)であり、これは、溶媒系二成分ポリウレタン接着剤である。
【0060】
LLDPE1のポリマー合成を、表1の後に提供する。
【表1】
【0061】
LLDPE1の合成
LLDPE1は、1.05g/10分のメルトインデックス(I2)、0.916g/cm3の密度、90.3%の70~90℃のCEF画分、7.3のI10/Iを有する、多価アリールオキシエーテルの金属錯体を含む触媒系の存在下で単一反応器において溶液重合プロセスを介して調製されたエチレン-ヘキセンコポリマーである。本発明の組成物1は、米国特許第US5,977,251号に記載されているように、以下の式で表される[2,2’’’-[1,3-プロパンジイルビス(オキシ-κO)]ビス[3”,5,5”-トリス(1,1-ジメチルエチル)-5’-メチル[1,1’:3’,1”-テルフェニル]-2’-オラト-κO]]ジメチル-,(OC-6-33)-ジルコニウムを含む、ジルコニウム系触媒系(「ポストメタロセン触媒」)の存在下で、単一ループ反応器系において溶液重合によって調製される。
【化1】
【0062】
LLDPE1の重合条件を表2および3に報告する。表3を参照すると、TEAは、トリエチルアルミニウムであり、PETROSOL D 100/120は、CEPSA(Compania Espanola de Petroleos,S.A.U.,Madrid,Spain)から市販されている溶媒である。
【表2】
【表3】
【0063】
BOPEフィルムの製作
以下の表4を参照すると、BOPE試料1、2、および3は、Decro製の市販のBOPE製品であり、具体的には、25μmのBOPE試料1ではDL25、30μmのBOPE試料2ではDL30、50μmのBOPE試料3ではDL50である。DL25、DL30、およびDL50のBOPEフィルムは、0.925g/ccの密度を有するポリエチレンポリマーを含む。
【0064】
表4に示すように、様々な厚さのこれらのBOPE試料を研究した。データは、フィルムのMD方向では、引張曲線がかなり平坦であり、破断点伸びが高いことを示す。CDの引張方向は、非常に硬く、破断点伸びは低かった。MDおよびCDの引張挙動のこの非対称的な違いは、落下試験抵抗には有益ではない。加えて、このBOPEフィルムの熱抵抗は、所望のものより低く、フィルムを130℃を超えて加熱すると収縮が発生する可能性があった。
【表4】
【0065】
MDOフィルムの製作
以下の表5を参照すると、MDOフィルム(MDO試料1)を、6.5の延伸比でブローフィルムMDOライン上に調製した。ダイヘッドの直径は400mm、出力は448kg/時、最終巻き速度は226m/分であった。使用したブローアップ比(BUR)は2.6であった(延伸前のレイフラットは1650mmであった)。一次フィルム厚さ(ブロッキング前)は、64μmであった。二次フィルム厚さ(延伸後)は、25μmであった。(600%延伸)。最後の2つのゾーンの210℃を除いて、ダイ温度は200℃であった。押出温度は、全て200℃に設定した。
【表5】
【0066】
MDO試料1フィルムのフィルム引張挙動を、以下の表6に列挙する。示されているように、MDOフィルムは、CD方向に高い破断点伸びを有するが、破断点伸びがはるかに低いことから実証されるように、MD方向でははるかに硬かった。したがって、これは、BOPEフィルムの引張特性を補正した。
【表6】
【0067】
第3のフィルム(シーラントフィルム)
次いで、上記の2つのフィルムを、以下の表7に示す引張特性を有する、共押出されたPEフィルムで作製されたシーラントフィルムウェブに積層した。示されているように、70μmのシーラントフィルムの引張特性は、MDおよびCD方向の本質的に同等の破断点伸びによって実証されるように、等方性である。
【表7】
【0068】
70μmのシーラントフィルムを、200mmのダイおよび2.5のBURを有するAlpine Blownフィルムライン上で生産した。このフィルムは、以下のように、共押出しされたABCの3層構造体を有していた。A=80重量%のLLDPE1+20重量%のLDPE 310E、B=LLDPE 1+20%のLDPE 310E、およびC=80重量%のLLDPE1+20%のLDPE 310E。
【0069】
積層手順
積層プロセスには、Nordmeccanica(商標)Labo Combi400積層機を使用した。表8の本発明の三重試料1および2の場合、典型的なドクターブレードを使用してBOPEフィルムの一方の表面に接着剤を塗布し、その後、第2のフィルム(MDO試料1フィルム)をニップ領域でBOPEフィルムに押し付けて、二重積層体を生産した。次いで、接着剤を二重積層体に塗布し、具体的にはBOPEフィルムの反対側の表面に塗布した。この時点で、二重積層体をシーラントフィルムに押し付けて、本発明の三重積層体を生産した。比較三重積層体は、本発明の三重試料1および2の特定のフィルムの組み合わせとは異なるフィルムの組み合わせおよび組成物であるが、同じ方法で生産された。
【0070】
三重積層体の実施例
【表8】
【0071】
上記の表8に示すように、本発明の三重積層体1および2は等方性であったが、これは、機械方向および横断方向の破断点伸び率の偏差が30%未満であったことを意味する。本発明の三重積層体1および2は、比較三重試料1が機械方向で108%および横断方向で31%の破断点伸び率を有するため、BOPEの代わりにBOPPを含む比較三重試料1よりも性能が優れている。したがって、比較三重試料1は、明らかに等方性フィルムではなかった。さらに、本発明の三重積層体1および2は、等方性の観点から、ポリエチレン材料のみの代わりにBOPETおよびBOPAを含む比較三重試料2と同等に性能を発揮するが、本発明の三重積層体1および2は、より容易にリサイクル可能なポリエチレン単一材料積層体を用いて、所望の等方性性能を達成した。
【0072】
以下の表10を参照すると、本発明の三重積層体1および2を、表9の比較三重試料1および2、ならびに比較三重試料3および4と比較した。
【表9】
【表10】
【0073】
三重積層体のヒートシールには、120~150℃のシール温度ウィンドウ全体で少なくとも30Nのヒートシール強度を有することが望ましい。表10に示すように、本発明の三重積層体1および2は、この要件を満たしているため、従来の比較三重積層体1~4と同等の性能を発揮したが、全ての比較は、本発明の積層体のような単一材料のポリエチレン積層体ではなかったため、所望のリサイクル可能性を達成することはできない。単一材料の本発明の三重積層体のみが、リサイクル可能性の利点を提供しながら、所望のヒートシール強度を達成することができる。
【0074】
添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいまたは特に有利であると認識されているが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
本願は以下の態様にも関する。
(1) 積層体であって、
0.930~0.970g/cm の密度および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I )を有するエチレン系ポリマーを含む、一軸配向の第1の多層フィルムであって、前記一軸配向の第1の多層フィルムが、3:1超かつ8:1未満の延伸比で機械方向に配向され、前記一軸配向の第1の多層フィルムが、少なくとも2対1の、横断方向の破断点伸び率の機械方向の破断点伸び率に対する比を有する、一軸配向の第1の多層フィルムと、
前記一軸配向の第1の多層フィルムに接着され、かつ0.900~0.962g/cm の密度を有するエチレン系ポリマーを含む、二軸配向の第2の多層フィルムであって、前記二軸配向の第2の多層フィルムが、その機械方向の延伸比より大きい横断方向の延伸比を有し、前記二軸配向の第2の多層フィルムが、少なくとも2対1の、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比を有する、二軸配向の第2の多層フィルムと、
前記二軸配向の第2の多層フィルムに接着された第3の多層フィルムであって、前記二軸配向の第2の多層フィルムが前記一軸配向の第1の多層フィルムと前記第3のフィルムとの間に配置されるようにし、前記第3のフィルムが、0.865g/cm ~0.935g/cm の密度および0.5~5g/10分のメルトインデックス(I )を有するエチレン系ポリマーを含む、第3の多層フィルムと、を含む、積層体。
(2) 前記第3のフィルムが、100℃未満のヒートシール開始温度を有する、上記(1)に記載の積層体。
(3) 前記一軸配向の第1の多層フィルムが、機械方向の破断点伸び率よりも少なくとも100%を超える横断方向の破断点伸び率を有し、前記二軸配向の第2の多層フィルムが、横断方向の破断点伸び率よりも少なくとも100%を超える機械方向の破断点伸び率を有する、上記(1)または(2)に記載の積層体。
(4) 前記一軸配向の第1の多層フィルムについて、少なくとも3対1の、横断方向の破断点伸び率の機械方向の破断点伸び率に対する前記比、前記二軸配向の第2の多層フィルムについて、少なくとも3対1の、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比を有する、上記(1)~(3)のいずれかに記載の積層体。
(5) 前記一軸配向の第1の多層フィルムが、15~30μmの厚さを有し、前記二軸配向の第2の多層フィルムが、15~100μmの厚さを有し、前記第3のフィルムが、40~100μmの層厚さを有する、上記(1)~(4)のいずれかに記載の積層体。
(6) 前記一軸配向の第1の多層フィルムが、
少なくとも0.950g/ccの密度、および0.3~5g/10分のメルトインデックス(I )を含む高密度ポリエチレンを有する、少なくとも1つの外層と、
0.920g/cc未満の密度および0.5~5g/10分のメルトインデックスを有するエチレン系ポリマーを含む、少なくとも1つの内層と、
前記少なくとも1つの内層と前記少なくとも1つの外層との間に配置された少なくとも1つの中間層であって、前記中間層が、0.930g/cc超の密度を有するエチレン系ポリマーを含む、中間層と、を含む、上記(1)~(5)のいずれかに記載の積層体。
(7) 前記少なくとも1つの内層が、0.900g/cc未満の密度および0.5~5g/10分のメルトインデックスを有するポリオレフィンプラストマーを含む、上記(6)に記載の積層体。
(8) 前記一軸配向の第1の多層フィルムが、少なくとも10重量%のHDPEを含む、上記(1)~(7)のいずれかに記載の積層体。
(9) 前記二軸配向の第2の多層フィルムの前記エチレン系ポリマーが、0.915~0.940g/ccの密度、および0.5~2.0g/10分のメルトインデックスを有する、上記(1)~(8)のいずれかに記載の積層体。
(10) 前記第3のフィルムが、多層フィルムであり、前記多層フィルムが、エチレン系ポリマーを含む複数の層を有する、上記(1)~(9)のいずれかに記載の積層体。
(11) 前記第3のフィルムが、0.900~0.930g/ccの密度および0.5~5.0g/10分のメルトインデックス(I )を有する直鎖状低密度ポリエチレンを含む、上記(1)~(10)のいずれかに記載の積層体。
(12) 前記第3のフィルムが、0.915~0.935g/ccの密度および0.3~3.0g/10分のメルトインデックス(I )を有する低密度ポリエチレンを含む、上記(1)~(11)のいずれかに記載の積層体。
(13) 前記積層体が、ポリウレタン接着剤を含む接着剤層を含む、上記(1)~(12)のいずれかに記載の積層体。
(14) 前記積層体が、1.3:1~1:1.3の、機械方向の破断点伸び率の横断方向の破断点伸び率に対する比を有する、上記(1)~(13)のいずれかに記載の積層体。