(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ロボット医療用システム及び方法のための経皮的シース
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240430BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20240430BHJP
【FI】
A61B17/22
A61B34/30
(21)【出願番号】P 2021537797
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019068802
(87)【国際公開番号】W WO2020140072
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-20
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マ・ポリー・シャーリーン
(72)【発明者】
【氏名】グエン・ビン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・カ・チュン
(72)【発明者】
【氏名】コノリー・ライアン・ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ファハルド・バルガス・ハビエル・オー
(72)【発明者】
【氏名】スカーフォグリエロ・ウンベルト
(72)【発明者】
【氏名】モリソン・ザカリー・スタール
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108324234(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0289394(US,A1)
【文献】特開平1-135342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22 - A61B 17/221
A61B 34/30 - A61B 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮的シースであって、
近位端と遠位端との間に延在する外側導管であって、腎臓内へ経皮的に挿入されるように十分に剛性である、外側導管と、
前記外側導管内に配置された内側導管と、
灌注源に接続するように構成された流体入口と、
前記外側導管と前記内側導管との間に画定された第1のチャネルであって、前記流体入口に接続されて、
前記第1のチャネルの遠位端から前記腎臓内へ流体の灌注を提供する、第1のチャネルと、
前記内側導管によって形成された第2のチャネルであって、カテーテルが、
前記第2のチャネルを通して、前記腎臓内へ挿入され、
前記第2のチャネルの遠位端から近位端に向けて、前記カテーテルと前記内側導管との間の空間における前記腎臓からの前記流体の受動的流出を提供する、
ことを可能にするように構成されている、第2のチャネルと、を含
み、
前記外側導管の最遠位端は、前記内側導管の最遠位端よりも遠位側に位置する、経皮的シース。
【請求項2】
前記流体入口は、前記
外側導管の近位端に取り付けられた第1のハブ上に位置決めされた側面ポートを含む、請求項1に記載の
経皮的シース。
【請求項3】
前記
内側導管の近位端に取り付けられた第2のハブを更に含み、前記第2のハブは、前記第1のハブに係合して、前記第1のチャネルの近位端を封止する、請求項2に記載の
経皮的シース。
【請求項4】
前記第1のハブは、弁を含み、
前記
内側導管は、前記弁を通って延在し、
前記弁は、前記
外側導管の
前記近位端を封止
し、
前記弁は、前記弁が所定の圧力を受けた場合に開放される圧力逃し弁である、請求項
2に記載の
経皮的シース。
【請求項5】
前記
外側導管及び前記
内側導管は、同心円状に配置されている、請求項1に記載の
経皮的シース。
【請求項6】
前記
内側導管は、前記
経皮的シースを通る開放通路を提供する、請求項1に記載の
経皮的シース。
【請求項7】
前記
外側導管は、ステンレス鋼ハイポチューブを含む、請求項1に記載の
経皮的シース。
【請求項8】
前記
内側導管は、ステンレス鋼ハイポチューブを含む、請求項1に記載の
経皮的シース。
【請求項9】
前記外側導管の外径は、約23Frであり、
前記外側導管の内径は、約21.4Frである、請求項1に記載の
経皮的シース。
【請求項10】
前記内側導管の外径は、約19.1Frであり、
前記内側導管の内径は、約18.1Frである、請求項9に記載の
経皮的シース。
【請求項11】
前記腎臓内の圧力を測定するための圧力センサを更に含む、請求項1に記載の
経皮的シース。
【請求項12】
前記腎臓内への流量を測定するための流量センサを更に含む、請求項1に記載の
経皮的シース。
【請求項13】
前記腎臓から出る流量を測定するための流量センサを更に含む、請求項1に記載の
経皮的シース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年12月28日に出願された米国特許仮出願第62/786,152号に対する優先権を主張するものであり、これは参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、一般に、経皮支援医療処置に関し、特に、ロボット医療用システム及び関連する方法のための経皮的シースに関する。
【背景技術】
【0003】
医師は、患者の尿路から尿結石を除去するための処置を定期的に行う。尿結石は、ミネラルが濃縮した結果として形成する場合があり、尿管又は尿道を通る尿の流れを妨げるのに十分なサイズに達すると、著しい腹痛を引き起こし得る。そのような結石は、カルシウム、マグネシウム、アンモニア、尿酸、システイン、又は他の化合物から形成され得る。
【0004】
膀胱及び尿管から尿結石を除去するために、医師は、一般に、尿道を通して尿路内へ挿入される尿管鏡を使用する。典型的には、尿管鏡は、尿路の可視化を可能にするために、その遠位端にスコープを含む。処置はまた、結石摘出機構を利用して、尿結石を捕捉又は破砕し得る。尿管鏡検査処置中、1人の医師が、尿管鏡の位置を制御することができ、他の医師が、結石摘出機構を制御することができる。腎臓から大きな腎臓結石を除去するために、医師は、一般に、皮膚を通して(例えば、経皮的に)ネフロスコープを挿入して、腎臓結石を破砕して除去することを含む、経皮的腎結石摘出術(PCNL)技術を使用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、経皮的シース、並びに関連するシステム及び方法に関する。経皮的シースは、経皮支援尿管鏡検査(PAU)及び経皮的腎結石摘出術(PCNL)などの経皮支援医療処置での使用のために構成することができる。経皮的シースは、患者の身体の外側から処置部位内への経路を確立し維持すること、並びに灌注及び/又は吸引のための導管を提供することを含む、いくつかの機能を行うように構成され得る。
【0006】
第1の態様では、経皮支援尿管鏡検査のための方法は、腎臓内へ腎臓シースを経皮的に挿入することと、腎臓シースデバイスの第1の導管を通して、腎臓内へカテーテルを挿入することと、腎臓シースデバイスの第2の導管を通して、腎臓内へ灌注を提供することと、を含み得る。
【0007】
本方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含み得る:(a)カテーテルを通して、腎臓からの吸引を提供する、(b)腎臓シースの第1の導管を通して、腎臓からの受動的流出を提供する、(c)受動的流出は、腎臓シースの第2の導管とカテーテルとの間に形成されたチャネルを通って流れる、(d)腎臓シースデバイスの第2の導管に接続されている、腎臓シースの流体入口を、流体工学システムの灌注源に接続する、(e)流体入口は、腎臓シース上に位置決めされた側面ポートを含む、(f)カテーテルを流体工学システムの吸引源に接続する、(g)腎臓シースは、弁を含み、腎臓シースデバイスの第1の導管を通して、腎臓内へカテーテルを挿入することは、弁を通してカテーテルを挿入することを含む、(h)自然患者開口部を通して、腎臓内へ内視鏡を挿入し、内視鏡を用いて結石摘出術を行って、腎臓結石を破片に破砕し、カテーテルを通して、破片を吸引する、(i)内視鏡は、ロボット制御される、(j)カテーテルは、ロボット制御される、及び/又は(k)腎臓内へ腎臓シースを経皮的に挿入することは、腎臓内へ拡張器を経皮的に挿入すること、拡張器の上に腎臓シースを挿入すること、及び拡張器を取り外すこと、を含む。
【0008】
別の態様では、経皮的シースは、近位端と遠位端との間に延在する外側導管であって、腎臓内へ経皮的に挿入されるように十分に剛性である、外側導管と、外側導管内に配置された内側導管と、灌注源に接続するように構成された流体入口と、外側導管と内側導管との間に画定された第1のチャネルであって、流体入口に接続されて、腎臓へ流体の灌注を提供する、第1のチャネルと、内側導管によって形成された第2のチャネルと、を含み得る。第2のチャネルは、カテーテルが、第2のチャネルを通して腎臓内に挿入され、カテーテルと内側導管との間の空間における腎臓からの流体の受動的流出を提供する、ことを可能にするように構成されている。
【0009】
シースは、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含み得る:(a)流体入口は、第1の導管の近位端に取り付けられた第1のハブ上に位置決めされた側面ポートを含む、(b)第2の導管の近位端に取り付けられた第2のハブであって、第1のハブに係合して、第1のチャネルの近位端を封止する、第2のハブ、(c)ハブは、弁を含み、第2の流体導管は、弁を通って延在し、弁は、第1の導管の近位端を封止する、(d)第1の導管及び第2の導管は、同心円状に配置されている、(e)第2の導管は、シースを通る開放通路を提供する、(f)第1の導管は、ステンレス鋼ハイポチューブを含む、(g)第2の導管は、ステンレス鋼ハイポチューブを含む、(h)外側導管の外径は、約23Frであり、外側導管の内径は、約21.4Fである、(i)内側導管の外径は、約19.1Frであり、内側導管の内径は、約18.1Frである、(j)腎臓内の圧力を測定するための圧力センサ、(k)腎臓内への流量を測定するための流量センサ、及び/又は(l)腎臓から出る流量を測定するための流量センサ。
【0010】
別の態様では、経皮支援尿管鏡検査を行うための経皮的腎臓シースは、近位端と遠位端との間に延在する導管であって、腎臓内へ経皮的に挿入されるように十分に剛性である、導管と、導管の近位端に接続されたハブと、を含み得る。ハブは、灌注源に接続するように構成された流体入口と、カテーテルを受容するように構成された圧力逃し弁であって、腎臓内の流体圧力が閾値を超えるまで、カテーテルの周りの導管の近位端を封止する、圧力逃し弁と、を含み得る。
【0011】
シースは、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含み得る:(a)流体入口は、側面ポートを含む、(b)導管は、ステンレス鋼ハイポチューブを含む、及び/又は(c)第1の導管の外径は、約23Frであり、第1の導管の内径は、約21.4Frである。
【0012】
別の態様では、経皮支援尿管鏡検査を行うためのシステムは、腎臓内へ吸引を提供するための第1の導管、及び腎臓内へカテーテルを通すための第2の導管を含む、経皮的シースと、経皮的腎臓シースの第2の導管を通して、腎臓内へ挿入されるように構成された吸引カテーテルと、を含み得る。
【0013】
本システムは、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含み得る:(a)経皮的腎臓シースの第2の導管は、吸引カテーテルが第2の導管を通して挿入されるときに、腎臓から受動的流出を可能にするように構成されている、(b)腎臓の吸引及び灌注を提供するための流体工学システムであって、ポンプを含む灌注源、及び真空を含む吸引源を含む、流体工学システム、(c)灌注源は、経皮的腎臓シースの流体入口に接続され、流体入口は、第1の導管に接続され、吸引源は、カテーテルに接続されている、(d)流体工学システムは、灌注及び吸引を制御するように構成されたプロセッサを更に含む、(e)1つ以上の圧力センサ又は流量センサ、プロセッサは、1つ以上の圧力センサ又は流量センサの出力に基づいて、灌注及び吸引を制御するように構成されている、(f)カテーテルは、ロボット制御される、及び/又は(g)ロボット制御可能な内視鏡。
【0014】
本開示のこれら及びその他の実施形態は、以下により詳細に記述される。上述の発明の概要は、導入部として提供されるものであり、限定を意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を例示するが、限定するものではなく、同様の称号は同様の要素を示す。
【
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査のために配置されたカートベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図2】
図1のロボットシステムの更なる態様を描写する。
【
図3】尿管鏡検査のために配置された
図1のロボットシステムの実施形態を示す。
【
図4】血管処置のために配置された
図1のロボットシステムの実施形態を示す。
【
図5】気管支鏡検査処置のために配置されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図6】
図5のロボットシステムの代替的な図を提供する。
【
図7】ロボットアーム(複数可)を収容するように構成された例示的なシステムを示す。
【
図8】尿管鏡検査のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図9】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図10】ピッチ又は傾斜調整を備えた
図5~
図9のテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
【
図11】
図5~
図10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な図を提供する。
【
図12】テーブルベースのロボットシステムの代替的実施形態を示す。
【
図13】
図12のテーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
【
図14】ロボットアームが取り付けられた、テーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
【
図16】ペアの器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。
【
図17】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。
【
図18】器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。
【
図20】例示的な実施形態にかかる、
図16~
図18の器具の場所など、
図1~
図10のロボットシステムの1つ以上の要素の場所を推定する位置特定システムを示すブロック図である。
【
図21A】経皮的シースの実施形態の等角図である。
【
図21C】経皮的シースの内側導管内に位置決めされた吸引カテーテルとともに示されている、
図21Aの経皮的シースの断面図である。
【
図22A】外側導管及び内側導管を含む経皮的シースの別の実施形態の等角図である。
【
図22D】外側導管内に位置決めされた内側導管を示す、
図22Aの経皮的シースの長手方向断面図である。
【
図23】腎臓内へ挿入された経皮的シースの別の実施形態を示す。
【
図24】経皮的シース、吸引カテーテル、及び流体工学システムを含む、システムの実施形態を概略的に示す。
【
図25】本明細書に記載される経皮的シースを使用して経皮支援医療処置を行うための例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.概論
本開示の態様は、腹腔鏡などの低侵襲性、及び内視鏡などの非侵襲性の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことができるロボットで使用可能な医療用システムに統合され得る。内視鏡処置のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査などを行うことができる。
【0017】
幅広い処置を行うことに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。追加的に、システムは、厄介な腕の動作及び姿勢を必要とせずに、人間工学的位置から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ以上が単一のユーザーによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0018】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示された概念の多くの他の実装態様が可能であり、開示された実装態様で様々な利点が達成され得ることを理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションの位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用可能性を有し得る。
【0019】
A.ロボットシステム-カート
ロボットで使用可能な医療用システムは、特定の処置に応じて様々な方法で構成され得る。
図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置された、ロボットで使用可能なカートベースのシステム10の実施形態を示す。気管支鏡検査の間、システム10は、気管支鏡検査のための処置専用気管支鏡であり得る操縦可能な内視鏡13などの医療用器具を、診断及び/又は治療用具を送達するための自然開口部アクセスポイント(すなわち、本実施例ではテーブル上に位置決めされている患者の口)に送達するための1つ以上のロボットアーム12を有するカート11を含むことができる。示されるように、カート11は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置決めすることができる。同様に、ロボットアーム12は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置決めするために作動させることができる。
図1の配置はまた、胃腸管(GI)処置を、GI処置のための特殊な内視鏡である胃鏡を用いて行うときに利用することができる。
図2は、カートの例示的な実施形態をより詳細に示す。
【0020】
図1を引き続き参照し、カート11が適切に位置決めされると、ロボットアーム12は、操縦可能な内視鏡13をロボットで、手動で、又はそれらの組み合わせで患者内に挿入することができる。示されるように、操縦可能な内視鏡13は、内側リーダ部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を含んでもよく、各部分は、器具ドライバのセット28から別個の器具ドライバに連結され、各器具ドライバは、個々のロボットアームの遠位端部に連結されている。リーダ部分をシース部分と同軸上に位置合わせするのを容易にする、器具ドライバ28のこの直線配置は、1つ以上のロボットアーム12を異なる角度及び/又は位置に操作することによって空間内に再位置決めされ得る「仮想レール」29を作成する。本明細書に記載される仮想レールは、破線を使用して図に示されており、したがって破線は、システムの物理的構造を示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の並進は、外側シース部分に対して内側リーダ部分を入れ子にするか、又は内視鏡13を患者から前進若しくは後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び枢動させられてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール29の角度及び位置は、内視鏡13を患者の口内に曲げ入れることによる摩擦を最小限に抑えながら内視鏡13への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0021】
内視鏡13は、対象の目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して挿入後に患者の気管及び肺の下方に向けられてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを高め、及び/又は所望の標的に到達するために、内視鏡13を操縦して、内側リーダ部分を外側シース部分から入れ子状に延在させ、高められた関節運動及びより大きな曲げ半径を得てもよい。別個の器具ドライバ28の使用により、リーダ部分及びシース部分が互いに独立して駆動されることも可能となる。
【0022】
例えば、内視鏡13は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などの標的に生検針を送達するように方向付けられてもよい。針は、内視鏡の長さにわたる作業チャネルの下方に展開されて、病理医によって分析される組織サンプルを得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加のツールが内視鏡の作業チャネルの下方に展開されてもよい。小結節を悪性と識別した後、内視鏡13は、潜在的な癌組織を切除するために器具を内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別々の手順で提供することができる。これらの状況において、内視鏡13はまた、標的小結節の場所を「マーク」するために基準を送達するために使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0023】
システム10はまた、カート11に支持ケーブルを介して接続されて、カート11への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のためのサポートを提供し得る移動可能なタワー30を含んでもよい。タワー30内にこのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフがより容易に調整及び/又は再位置決めすることができるより小さいフォームファクタのカート11が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は、手術室の乱雑さを低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート11は患者に近接して配置されてもよいが、タワー30は、処置中に邪魔にならないように離れた場所に格納されてもよい。
【0024】
上述のロボットシステムのサポートにおいて、タワー30は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素(複数可)を含んでもよい。これらの命令の実行は、実行がタワー30内で行われるのか又はカート11で行われるのかにかかわらず、そのシステム又はサブシステム(複数可)全体を制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されるときに、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療用器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームをある特定の姿勢に位置決めしてもよい。
【0025】
タワー30は、内視鏡13を通して配備することができるシステムに、制御された灌注及び吸引機能を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスも含むことができる。これらの構成要素はまた、タワー30のコンピュータシステムを使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力は、別個のケーブル(複数可)を通して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0026】
タワー30は、フィルタリングされ、保護された電力をカート11に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、カート11内に電力変圧器及び他の補助電力構成要素を配置することが回避され、カート11はより小さく、より移動可能になる。
【0027】
タワー30は、ロボットシステム10全体に配備されたセンサのための支持機器も含んでもよい。例えば、タワー30は、ロボットシステム10全体の光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、このようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー30内を含むシステム全体に展開された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するために使用されてもよい。同様に、タワー30はまた、展開された電磁(EM)センサから信号を受信し、受信した信号を処理するための電子サブシステムも含んでもよい。タワー30はまた、医療用器具内又は医療用器具上のEMセンサによる検出のためにEM場発生器を収容し、位置決めするためにも使用されてもよい。
【0028】
タワー30はまた、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カートの上部上に装着されたコンソールに追加して、コンソール31を含んでもよい。コンソール31は、オペレータである医師のためのユーザーインターフェース及びタッチスクリーンなどの表示画面を含んでもよい。システム10内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに内視鏡13のナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計される。コンソール31が医師に利用可能な唯一のコンソールではない場合、コンソール31は、看護師などの第2のオペレータによって使用されて、患者の健康又はバイタル、及びシステム10の動作を監視し、並びにナビゲーション及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供してもよい。その他の実施形態では、コンソール30は、タワー30とは別個の本体内に収容される。
【0029】
タワー30は、1つ以上のケーブル又は接続部(図示せず)を介してカート11及び内視鏡13に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー30からのサポート機能は、単一ケーブルを通してカート11に提供されることにより、手術室を簡略化し、整理整頓することができる。他の実施形態では、特定の機能は、別個の配線及び接続部で連結されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカート11に電力が供給されてもよい一方、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのためのサポートは、別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0030】
図2は、
図1に示されるロボットで使用可能なカートベースのシステムからのカート11の実施形態の詳細な図を提供する。カート11は、概して、細長い支持構造14(「カラム」と呼ばれることが多い)、カート基部15、及びカラム14の頂部にあるコンソール16を含む。カラム14は、1つ以上のロボットアーム12(
図2には3つ示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(代替的に「アーム支持体」)などの1つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置決めするために垂直軸に沿って回転してロボットアーム12の基部を調整する、個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース19を含む。
【0031】
キャリッジインターフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の並進を案内するためにカラム14の両側に位置決めされているスロット20などのスロットを通してカラム14に接続されている。スロット20は、カート基部15に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジ17を位置決めし、保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ17の垂直方向の並進により、カート11は、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム12のリーチを調整することが可能となる。同様に、キャリッジ17上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム12のロボットアーム基部21を様々な構成で角度付けすることが可能となる。
【0032】
いくつかの実施形態では、キャリッジ17が垂直方向に並進する際にカラム14の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内に汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、スロット20には、スロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバーが追加されてもよい。スロットカバーは、スロット20の垂直方向の頂部及び底部付近に位置決めされているばねスプールの対を通じて展開されてもよい。カバーは、キャリッジ17が上下方向に垂直方向に並進するのにつれてコイル状から伸縮するように展開されるまで、スプール内でコイル巻きされている。スプールのバネ荷重は、キャリッジ17がスプールに向かって並進するときにカバーをスプールに引き込む力を提供し、一方、キャリッジ17がスプールから離れて並進するときにはぴったりとした封止も維持する。カバーは、キャリッジ17が並進する際にカバーが適切に伸縮するのを確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース19内のブラケットを使用してキャリッジ17に接続されてもよい。
【0033】
カラム14は、例えば、コンソール16からの入力などのユーザー入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ17を機械的に並進させるために垂直方向に位置合わせされた主ねじを使用するように設計された、ギヤ及びモータなどの機構を内部に含んでもよい。
【0034】
ロボットアーム12は、一般に、一連の関節24によって接続されている一連のリンク23によって分離されたロボットアーム基部21及びエンドエフェクタ22を含んでもよく、各関節は独立したアクチュエータを含み、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを含む。各々独立して制御可能な関節は、ロボットアーム12が利用可能な独立した自由度を表す。ロボットアーム12の各々は、7つの関節を有してもよく、したがって、7つの自由度を提供することが可能である。多数の関節は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度を有することにより、ロボットアーム12は、異なるリンク位置及び関節角度を使用して空間内の特定の位置、向き、及び軌道で、それらのそれぞれのエンドエフェクタ22を位置決めすることが可能となる。これにより、システムが空間内の所望のポイントから医療用器具を位置決めし、方向付けることが可能になると同時に、医師がアーム関節を患者から離れる臨床的に有利な位置へと移動させて、アームの衝突を回避しながらよりよいアクセスを生み出すことを可能にする。
【0035】
カート基部15は、床の上のカラム14、キャリッジ17、及びロボットアーム12の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源、並びにカート11の移動及び/又は固定化のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い部品を収容する。例えば、カート基部15は、処置前にカート11が部屋中をあちこちに容易に移動することを可能にする、転動可能なホイール形状のキャスタ25を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ25は、処置中にカート11を所定の場所に保持するためのホイールロックを使用して静止させられてもよい。
【0036】
カラム14の垂直方向の端部に位置決めされたコンソール16は、ユーザー入力を受信するためのユーザーインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的デバイス)の両方を可能にして、術前データ及び術中データの両方を医師であるユーザーに提供する。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、及び/又は術前の患者への問診からのメモを含んでもよい。ディスプレイ上の術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、並びに呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどの不可欠な患者統計を含んでもよい。コンソール16は、医師が、キャリッジ17の反対側のカラム14側からコンソール16にアクセスすることを可能にするように位置決めされ、傾斜が付けられてもよい。この位置から、医師は、コンソール16をカート11の背後から操作しながら、コンソール16、ロボットアーム12、及び患者を見ることができる。示されるように、コンソール16はまた、カート11の操作及び安定化を支援するハンドル27を含む。
【0037】
図3は、尿管鏡検査のために配置された、ロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート11は、患者の尿道及び尿管を横断するように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように位置決めされてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32が患者の尿道と直接位置合わせされ、領域内の敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。示されるように、カート11は、ロボットアーム12が尿管鏡32を、患者の尿道に直線状に直接アクセスするために位置決めすることを可能にするように、テーブルの脚部に位置合わせされてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム12は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール33に沿って尿管鏡32を挿入してもよい。
【0038】
気管支鏡検査におけるのと同様の制御技法を使用して尿道に挿入した後、尿管鏡32は、診断及び/又は治療用途のために、膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡32を尿管や腎臓に向けて、尿管鏡32の作動チャネルの下方に配備されたレーザ又は超音波結石破砕デバイスを使用して、腎臓結石の蓄積を破砕することができる。砕石術が完了した後、結果として得られた結石片は、尿管鏡32の下方に配備されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0039】
図4は、血管処置のために同様に配置された、ロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。血管処置において、システム10は、カート11が、操縦可能なカテーテルなどの医療用器具34を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成され得る。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への、遠回りが比較的少ない曲がりくねった経路の両方を示し、これはナビゲーションを簡素化する。尿管鏡処置のように、カート11は、患者の脚及び下腹部に向かって位置決めされて、ロボットアーム12が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール35を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、器具ドライバ28を並進させることによって医療用器具34が方向付けられ、挿入されてもよい。代替的には、カートは、例えば、肩及び手首付近の頸動脈及び腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周囲に位置決めされてもよい。
【0040】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボットで使用可能な医療用システムの実施形態は、患者テーブルも組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートをなくすことによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きなアクセスを可能にする。
図5は、気管支鏡検査処置のために配置された、そのようなロボットで使用可能なシステムの実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」又は「ベッド」として図示)を支持するための支持構造体又はカラム37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは器具ドライバ42を含み、器具ドライバ42の線形の位置合わせから形成された仮想レール41を通して、又はそれに沿って、
図5の気管支鏡40などの細長い医療用器具を操作するように設計されている。実際には、蛍光透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル38の周囲に置くことによって、患者の上部腹部領域の上方に位置決めされてもよい。
【0041】
図6は、説明を目的として、患者及び医療用器具なしのシステム36の代替的な図を提供する。示されるように、カラム37は、1つ以上のロボットアーム39の基部となり得る、システム36内でリング形状として図示される1つ以上のキャリッジ43を含んでもよい。キャリッジ43は、カラム37の長さにわたる垂直方向のカラムインターフェース44に沿って並進して、ロボットアーム39が患者に到達するように位置決めされ得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ43は、カラム37内に位置決めされている機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39が、例えば、患者の両側などのテーブル38の多数の側部へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジはカラム上に個別に位置決めされてもよく、他のキャリッジとは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要もないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム37の周りでのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転及び並進により、システム36は、内視鏡及び腹腔鏡などの医療用器具を患者の異なるアクセスポイントに位置合わせすることができる。他の実施形態(図示せず)では、システム36は、並行して延在するバー又はレールの形態の調整可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含むことができる。1つ以上のロボットアーム39を、(例えば、肘関節を有する肩部を介して)垂直方向に調整することができる調整可能なアーム支持体に取り付けることができる。垂直方向の調節を提供することによって、ロボットアーム39は、有利には、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに収容されることが可能であり、その後、処置中に引き上げられることが可能である。
【0042】
ロボットアーム39は、ロボットアーム39に追加の構成可能性を提供するために個別に回転及び/又は入れ子式に延在し得る一連の関節を含むアームマウント45のセットを介してキャリッジ43に装着されてもよい。追加的に、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されると、アームマウント45がテーブル38の同じ側(
図6に示すように)、テーブル38の両側(
図9に示すように)、又はテーブル38の隣接する側部(図示せず)のいずれかに位置決めされ得るように、キャリッジ43上に位置決めされ得る。
【0043】
カラム37は、テーブル38の支持及びキャリッジ43の垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部に、カラム37は、キャリッジの垂直方向の並進を案内するための主ねじ、及び主ねじに基づくキャリッジ43の並進を機械化するためのモータを備えていてもよい。カラム37はまた、キャリッジ43及びその上に装着されたロボットアーム39に電力及び制御信号を伝達してもよい。
【0044】
テーブル基部46は、
図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43、及びロボットアーム39の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスタを組み込んでもよい。テーブル基部46の底部から展開されるキャスタは、基部46の両側で反対方向に延在し、システム36を移動させる必要があるときに引き込んでもよい。
【0045】
引き続き
図6を参照すると、システム36はまた、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割して、テーブルのフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)を含んでもよい。先に開示された実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体工学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々なサポート機能をテーブルに提供してもよい。タワーは、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて位置決めされるように移動可能でもあってもよい。追加的に、タワー内に構成要素を配置することにより、ロボットアーム39の潜在的な収容のために、テーブル基部46内により多くの保管空間を可能にする。タワーは、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザー入力のためのユーザーインターフェースと、リアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)との両方を提供するマスターコントローラ又はコンソールも含んでもよい。いくつかの実施形態では、タワーはまた、送気のために使用されるガスタンク用のホルダを含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。
図7は、テーブルベースのシステムの実施形態におけるロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48は、ロボットアーム50、アームマウント51、及びキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49内へと垂直方向に並進させられてもよい。基部カバー52は、並進及び後退して、キャリッジ48、アームマウント51、及びロボットアーム50をカラム53の周りに展開させるように開き、使用されていないときにそれらを収容して保護するように閉じられてもよい。基部カバー52は、閉じたときに汚れ及び流体の侵入を防止するために、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されてもよい。
【0047】
図8は、尿管鏡処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースシステムの実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38は、患者をカラム37及びテーブル基部46からオフアングルに位置決めするためのスイベル部分55を含んでもよい。スイベル部分55は、スイベル部分55の底部をカラム37から離すように位置決めするために、枢動点(例えば、患者の頭部の下方に配置)を中心に回転又は枢動してもよい。例えば、スイベル部分55の旋回により、Cアーム(図示せず)が、テーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を奪い合うことなく、患者の下部腹部の上方に位置決めされることを可能にする。カラム37の周りにキャリッジ35(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム39は、尿道に到達するように、仮想レール57に沿って、患者の鼠径部領域に尿管鏡56を直接挿入してもよい。尿管鏡検査では、処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部領域への明確なアクセスを可能にするために、テーブル38のスイベル部分55にあぶみ58が固定されてもよい。
【0048】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部を通して、低侵襲性器具を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、低侵襲性器具は、患者内の解剖学的構造にアクセスするために使用されるシャフトなどの細長い剛性部材を含む。患者の腹腔の膨張後、器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的又は医療的タスクを実施するように方向付けられてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、腹腔鏡などのスコープを含むことができる。
図9は、腹腔鏡検査処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。
図9に示されるように、システム36のキャリッジ43は回転し、垂直方向に調整されて、器具59が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようアームマウント45を使用して位置決めされ得るように、ロボットアーム39の対をテーブル38の両側に位置決めしてもよい。
【0049】
腹腔鏡処置に対応するために、ロボットで使用可能なテーブルシステムはまた、プラットフォームを所望の角度に傾斜もさせてもよい。
図10は、ピッチ又は傾斜調整を有するロボットで使用可能な医療用システムの実施形態を示す。
図10に示されるように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一方の部分を他方の部分より床から離れた距離に位置決めすることができる。追加的に、アームマウント45は、ロボットアーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転してもよい。急角度に適応するために、カラム37はまた、テーブル38が床に接触したりテーブル基部46と衝突したりするのを防ぐためにカラム37が垂直方向に延在するのを可能にする入れ子部分60を含んでもよい。
【0050】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインターフェースの詳細な図示を提供する。ピッチ回転機構61は、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を多数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸1、2の位置決めによって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ3、4によって作動させられる。一方のねじ5に沿った回転は、一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のねじ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するために、玉継ぎ手が使用されてもよい。
【0051】
例えば、ピッチ調整は、テーブルをトレンデレンブルグ位置に位置決めしようとするときに、すなわち下腹部手術のために患者の下腹部を患者の上腹部よりも床からより高い位置に位置決めしようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は、重力によって患者の内臓を患者の上腹部に向かって摺動させ、低侵襲性ツールが入って腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部の外科又は医療処置を行うために、腹腔を空にする。
【0052】
図12及び
図13は、テーブルベースの外科用ロボットシステム100の別の実施形態の等角図及び端面図を示す。外科用ロボットシステム100は、テーブル101に対して1つ以上のロボットアームを支持するように構成され得る1つ以上の調節可能なアーム支持体105(例えば、
図14参照)を含む。図示される実施形態では、単一の調整可能なアーム支持体105が示されているが、テーブル101の反対側に追加のアーム支持体を設けることができる。調整可能アームサポート105は、テーブル101に対して移動して、調整可能アーム支持体105及び/又はテーブル101に対してそれに取り付けられた任意のロボットアームの位置を調節及び/又は変更できるように構成され得る。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101に対して1つ以上の自由度で調節することができる。調整可能なアーム支持体105は、1つ以上の調整可能なアーム支持体105及びそれに取り付けられた任意のロボットアームをテーブル101の下に容易に収容する能力を含む、システム100への高い汎用性を提供する。調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の下の位置まで上昇させることができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の上方の位置まで上昇させることができる。
【0053】
調節可能なアーム支持体105は、リフト、横方向並進、傾斜などを含む、いくつかの自由度を提供することができる。
図12及び
図13の図示の実施形態では、アーム支持体105は、4自由度で構成され、
図12に矢印で示されている。第1の自由度は、z方向における調整可能なアーム支持体105の調節(「Zリフト」)を可能にする。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101を支持するカラム102に沿って、又はそれに対して上下に動くことができるように構成されたキャリッジ109を含むことができる。第2の自由度は、調整可能なアーム支持体105が傾くことを可能にできる。例えば、調整可能なアーム支持体105は、回転接合部を含むことができ、それは、例えば、調整可能なアーム支持体105を、トレンデレンブルグ位置のベッドと位置合わせすることを可能にする。第3の自由度は、調整可能なアーム支持体105が「上方枢動する」ことを可能にでき、それを使用して、テーブル101の側部と調整可能なアーム支持体105との間の距離を調節することができる。第4の自由度は、テーブルの長手方向の長さに沿って調整可能なアーム支持体105の並進を可能にできる。
【0054】
図12及び
図13の外科用ロボットシステム100は、ベース103に取り付けられたカラム102によって支持されるテーブルを含むことができる。したがって、基部103及びカラム102は、支持面に対してテーブル101を支持する。床軸131及び支持軸133は、
図13に示される。
【0055】
調整可能なアーム支持体105は、カラム102に装着することができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101又は基部103に装着することができる。調整可能なアーム支持体105は、キャリッジ109、バー又はレールコネクタ111、及びバー又はレール107を含むことができる。いくつかの実施形態では、レール107に取り付けられた1つ以上のロボットアームは、互いに対して並進及び移動することができる。
【0056】
キャリッジ109は、第1の接合部113によってカラム102に取り付けられてもよく、それにより、キャリッジ109がカラム102に対して移動することが可能になる(例えば、第1又は垂直軸123の上下など)。第1の接合部113は、調整可能なアーム支持体105に第1の自由度(「Zリフト」)を提供することができる。調整可能なアーム支持体105は、調整可能なアーム支持体105の第2の自由度(傾斜)を提供する第2の接合部115を含むことができる。調整可能なアーム支持体105は、第3の自由度(「上方枢動」)を調整可能なアーム支持体105に提供することができる第3の接合部117を含むことができる。レールコネクタ111が第3の軸127を中心にして回転させられるときにレール107の方向を維持するように第3の接合部117を機械的に拘束する、追加の接合部119(
図13に示す)を設けることができる。調整可能なアーム支持体105は、第4の軸129に沿って調整可能なアーム支持体105に対して第4の自由度(並進)を提供することができる第4の接合部121を含むことができる。
【0057】
図14は、テーブル101の両側に取り付けられた2つの調節可能なアーム支持体105A、105Bを有する、外科用ロボットシステム140Aの端面図を示す。第1のロボットアーム142Aは、第1の調整可能なアーム支持体105Bのバー又はレール107Aに取り付けられる。第1のロボットアーム142Aは、レール107Aに取り付けられた基部144Aを含む。第1のロボットアーム142Aの遠位端部は、1つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けることができる器具駆動機構146Aを含む。同様に、第2のロボットアーム142Bは、レール107Bに取り付けられた基部144Bを含む。第2のロボットアーム142Bの遠位端部は、器具駆動機構146Bを含む。器具駆動機構146Bは、1つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けるように構成され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、7つ以上の自由度を有するアームを含む。いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、挿入軸(挿入を含む1自由度)、リスト(リストピッチ、ヨー及びロールを含む3自由度)、エルボ(エルボピッチを含む1自由度)、ショルダ(ショルダピッチ及びヨーを含む2自由度)、及び基部144A、144B(並進を含む1自由度)、を含む8自由度を含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入自由度は、ロボットアーム142A、142Bによって提供することができるが、他の実施形態では、器具自体は、器具ベースの挿入アーキテクチャを介して挿入を提供する。
【0059】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療用器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的には、「器具駆動機構」又は「器具デバイスマニピュレータ」と呼ばれる)と、(ii)モータなどの任意の電気機械的構成要素を欠いていてもよい除去可能な又は取り外し可能な医療用器具と、を含み得る。この二分法は、医療処置に使用される医療用器具を滅菌する必要性、それらの複雑な機械的アセンブリ及び繊細な電子機器により、高価な資本設備を十分に滅菌することができないことを根拠とする場合がある。したがって、医療用器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外され、除去され、及び交換されるように設計することができる。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のために掛け布をすることができる。
【0060】
図15は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端部に配置される器具ドライバ62は、駆動シャフト64を介して医療用器具に制御されたトルクを提供するために平行軸を伴って配置された1つ以上の駆動ユニット63を含む。各駆動ユニット63は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギヤヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68と、を含む。各駆動ユニット63は、独立して制御され電動化され、器具ドライバ62は、複数(
図15に示すように4つ)の独立した駆動出力を医療器具に提供することができる。動作中、制御回路68は、制御信号を受信し、モータ66にモータ信号を送信し、エンコーダ67によって測定された結果として得られたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0061】
無菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療用器具との間に位置する、滅菌ドレープに接続された滅菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。滅菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力部に角度運動を伝達する一方で、駆動シャフトと駆動入力部との間の物理的分離、したがって無菌性を維持することである。したがって、例示的な滅菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることが意図された一連の回転入力部及び出力部と、器具に対する駆動入力部と、を含み得る。滅菌アダプタに接続される滅菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用により、滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌野)に依然として位置決めされている間に、資本設備を患者に近接して配置することが可能となる。滅菌ドレープの反対側では、医療用器具は、滅菌を必要とする領域(すなわち、滅菌野)において患者とインターフェースしてもよい。
【0062】
D.医療用器具
図16は、ペアの器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。ロボットシステムとともに使用するために設計された他の器具と同様に、医療用器具70は、細長いシャフト71(又は細長い本体)及び器具基部72を含む。医師による手動相互作用が意図されているその設計により「器具ハンドル」とも呼ばれる器具基部72は、一般に、ロボットアーム76の遠位端部において器具ドライバ75上の駆動インターフェースを通って延びる駆動出力部74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力部73、例えば、レセプタクル、プーリー、又はスプールを含んでもよい。物理的に接続、ラッチ、及び/又は連結されるときに、器具基部72の嵌合された駆動入力部73は、器具ドライバ75における駆動出力部74と回転軸を共有して、駆動出力部74から駆動入力部73へのトルクの伝達を可能とすることができる。いくつかの実施形態では、駆動出力部74は、駆動入力部73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを含んでもよい。
【0063】
細長いシャフト71は、例えば、内視鏡におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計される。細長いシャフト71は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであってもよく、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含んでもよい。腹腔鏡のために設計される場合、剛性の細長いシャフトの遠位端部は、少なくとも1つの自由度を有するクレビスから形成された接合されたリストから延在するエンドエフェクタ、及び駆動入力部が器具ドライバ75の駆動出力部74から受け取ったトルクに応答して回転する際に、腱からの力に基づいて作動され得る、例えば、把持具又ははさみである、外科用ツール又は医療用器具に接続することができる。内視鏡検査のために設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端部は、器具ドライバ75の駆動出力部74から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0064】
器具ドライバ75からのトルクは、細長いシャフト71に沿った腱を使用して細長いシャフト71の下流に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル72内の個々の駆動入力部73に個別に固定されてもよい。ハンドル72から、腱は、細長いシャフト71に沿って1つ以上のプルルーメン(pull lumen)に向けられ、細長いシャフト71の遠位部分、又は細長いシャフトの遠位部分のリストに固定される。腹腔鏡、内視鏡、又はハイブリッド処置などの外科処置中、これらの腱は、リスト、把持具、又ははさみなどの遠位に装着されたエンドエフェクタに連結されてもよい。このような構成の下で、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。いくつかの実施形態では、外科処置中に、腱は、関節を軸の周りで回転させることができ、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。代替的には、腱は、細長いシャフト71の遠位端部で把持具の1つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具は閉鎖される。
【0065】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端部に)位置決めされている屈曲部又は関節運動部に連結されてもよい。屈曲部の遠位端部に固定的に取り付けられる場合、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱の下流に伝達され、より軟質の屈曲部(関節運動可能部又は関節運動可能領域と呼ばれることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)向く個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。螺旋の角度及び/又はそれらの間の間隔は、特定の目的のために変更又は設計することができ、よりきつい螺旋は負荷力の下でより少ないシャフト圧縮を示し、一方、より少ない量の螺旋は負荷力の下でより大きなシャフト圧縮をもたらすが、屈曲を制限する。スペクトルのもう一方の端部では、プルルーメンは、細長いシャフト71の長手方向軸に平行に方向付けられて、所望の屈曲部又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にしてもよい。
【0066】
内視鏡検査では、細長いシャフト71は、ロボット処置を支援するいくつかの構成要素を収容する。シャフト71は、シャフト71の遠位端部における手術領域に対して外科用ツール(又は医療用器具)を展開する、灌注する、及び/又は吸引するための作業チャネルを含んでもよい。シャフト71は、遠位先端部の光学アセンブリに信号を伝送するためのワイヤ及び/又は光ファイバも収容してもよく、これは光学カメラを含んでもよい。シャフト71はまた、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフト71の遠位端部に光を搬送するための光ファイバを収容してもよい。
【0067】
器具70の遠位端部では、遠位先端部は、診断及び/又は治療、灌注、及び吸引のためにツールを手術部位に送達するための作業チャネルの開口部を含んでもよい。遠位先端部はまた、内部解剖学的空間の画像をキャプチャするために、ファイバスコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端部はまた、カメラを使用するときに解剖学的空間を照明するための光源用のポートを含んでもよい。
【0068】
図16の例では、駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は、細長いシャフト71の軸に直交する。しかしながら、この配置は、細長いシャフト71のロール能力を複雑にする。駆動入力部73を静止させながら、細長いシャフト71をその軸に沿ってロールさせることにより、腱が駆動入力部73から延在し、細長いシャフト71内のプルルーメンに入る際に、腱の望ましくない絡まりをもたらす。そのような腱の結果としての絡まりは、内視鏡処置中の可撓性の細長いシャフト71の動きを予測することを意図した制御アルゴリズムを混乱させる可能性がある。
【0069】
図17は、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。示されるように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部において平行に位置合わせされた駆動出力部81を備える4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバ80の非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電力及び制御信号は、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持され得る電気接点を介して、器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に伝達されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ83は、非回転可能部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転機構83は、器具ドライバ80が、器具ドライバ軸85周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81を回転させることを可能にする。
【0070】
先に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力部81を受け入れるように構成された複数の駆動入力部89(レセプタクル、プーリー、及びスプールなど)を含む器具基部87(説明目的のために透明な外部スキンで示される)と、を含んでもよい。先の開示された実施形態とは異なり、器具シャフト88は、器具基部87の中心から延在し、軸は駆動入力部89の軸に実質的に平行であり、
図16の設計にあるように直交してはいない。
【0071】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に連結されると、器具基部87及び器具シャフト88を含む医療用器具86は、器具ドライバ軸85を中心にして回転アセンブリ83と一緒に回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に位置決めされているため、器具シャフト88は、取り付けられたときに器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転により、器具シャフト88は、それ自体の長手方向軸を中心に回転する。更に、器具基部87が器具シャフト88とともに回転すると、器具基部87内の駆動入力部89に接続された任意の腱は、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力部81、駆動入力部89、及び器具シャフト88の軸の平行性は、制御腱を絡めることなくシャフト回転を可能にする。
【0072】
図18は、いくつかの実施形態による、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。器具150は、上述の器具ドライバのいずれかに連結することができる。器具150は、細長いシャフト152と、シャフト152に接続されたエンドエフェクタ162と、シャフト152に連結されたハンドル170と、を含む。細長いシャフト152は、近位部分154及び遠位部分156を有する管状部材を含む。細長いシャフト152は、その外側表面に沿った1つ以上のチャネル又は溝158を含む。溝158は、1つ以上のワイヤ又はケーブル180をそれを通して受け入れるように構成されている。したがって、1つ以上のケーブル180は、細長いシャフト152の外側表面に沿って延びる。他の実施形態では、ケーブル180は、細長いシャフト152を通って延びることもできる。いくつかの実施形態では、これらのケーブル180のうちの1つ以上の操作(例えば、器具ドライバを介して)により、エンドエフェクタ162の作動がもたらされる。
【0073】
器具基部とも称され得る器具ハンドル170は、一般に、器具ドライバの取り付け面上で1つ以上のトルクカプラと往復嵌合するように設計された1つ以上の機械的入力部174、例えばレセプタクル、プーリー又はスプールを有する取り付けインターフェース172を含むことができる。いくつかの実施形態では、器具150は、細長いシャフト152がハンドル170に対して並進することを可能にする一連のプーリー又はケーブルを含む。換言すれば、器具150自体は器具の挿入を収容する器具ベースの挿入アーキテクチャを含み、それによって器具150の挿入を提供するためにロボットアームへの依存を最小化する。他の実施形態では、ロボットアームは、器具の挿入に大きく関与することができる。
【0074】
E.コントローラ
本明細書に記載の任意のロボットシステムは、ロボットアームに取り付けられた器具を操作するための入力デバイス又はコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、器具と連結(例えば、通信的に、電子的に、電気的に、無線的に、及び/又は機械的に)することができ、それによりコントローラの操作は、例えば、マスタースレーブ制御を介して、器具の対応する操作を引き起こす。
【0075】
図19は、コントローラ182の実施形態の斜視図である。本実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を有することができるハイブリッドコントローラを含む。他の実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス又は受動的制御だけを利用することができる。他の実施形態では、コントローラ182は、アドミタンス制御だけを利用することができる。ハイブリッドコントローラであることにより、コントローラ182は、有利には、使用中、より低い知覚慣性を有することができる。
【0076】
図示される実施形態では、コントローラ182は、2つの医療用器具の操作を可能にするように構成され、2つのハンドル184を含む。ハンドル184の各々は、ジンバル186に接続されている。各ジンバル186は位置決めプラットフォーム188に接続されている。
【0077】
図19に示されるように、各位置決めプラットフォーム188は、プリズム接合部196によってカラム194に連結されたSCARAアーム(selective compliance assembly robot arm)198を含む。プリズム接合部196は、(例えば、レール197に沿って)カラム194に沿って並進するように構成され、ハンドル184の各々がz方向に並進され、第1の自由度を提供するように構成されている。SCARAアーム198は、x-y平面におけるハンドル184の動作を可能にし、2つの更なる自由度を提供するように構成されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、1つ以上のロードセルがコントローラ内に位置決めされる。例えば、いくつかの実施形態では、ロードセル(図示せず)は、ジンバル186の各々の本体内に位置決めされる。ロードセルを設けることによって、コントローラ182の一部分は、アドミタンス制御下で動作することができ、それによって、使用中にコントローラの知覚慣性を有利に低減する。いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188はアドミタンス制御用に構成され、一方、ジンバル186はインピーダンス制御用に構成されている。他の実施形態では、ジンバル186はアドミタンス制御用に構成され、位置決めプラットフォーム188はインピーダンス制御用に構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188の並進又は位置自由度は、アドミタンス制御に依存することができ、一方、ジンバル186の回転自由度はインピーダンス制御に依存する。
【0079】
F.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、オペレータである医師に腔内誘導を提供するために、蛍光透視法(例えば、Cアームを通して送達され得るような)、及び他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、放射線への医師の暴露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、用語「位置特定」は、基準座標系内のオブジェクトの位置を判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない動作環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用されるその他の場合、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0080】
図20は、例示的な実施形態にかかる、器具の場所など、ロボットシステムの1つ以上の要素の場所を推定する位置特定システム90を示すブロック図である。位置特定システム90は、1つ以上の命令を実行するように構成されている1つ以上のコンピュータデバイスのセットであってもよい。コンピュータデバイスは、上で考察された1つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、
図1に示されるタワー30内にあっても、
図1~
図4に示されるカート11内にあっても、
図5~
図14に示されるベッド内にあってもよい。
【0081】
図20に示されるように、位置特定システム90は、入力データ91~94を処理して医療用器具の遠位先端部の場所データ96を生成する位置特定モジュール95を含んでもよい。場所データ96は、基準系に対する器具の遠位端部の場所及び/又は向きを表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場発生器(EM場発生器についての以下の考察を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0082】
ここで、様々な入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの群を使用して達成することができる。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の断面図の「スライス」として可視化される三次元画像へと再構成される。全体として分析される場合、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線形状(center-line geometry)などの手法をCT画像から決定及び近似して、モデルデータ91(術前CTスキャンのみを使用して生成された場合は「術前モデルデータ」とも称される)と称される患者の解剖学的構造の三次元ボリュームを作成することができる。中心線形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号で考察されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワーク位相モデルもまた、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0083】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、視覚データ(又は画像データ)92を提供してもよい。位置特定モジュール95は、視覚データ92を処理して、1つ以上の視覚ベースの(又は画像ベースの)位置追跡モジュール又は機能を有効にしてもよい。例えば、術前モデルデータ91は、医療用器具(例えば、内視鏡又は内視鏡の作業チャネルを通って前進する器具)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、視覚データ92とともに使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいて、モデルから、予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の場所にリンクされる。手術中に、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端部でのカメラ)でキャプチャされたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照することができる。
【0084】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技術は、追跡機能を使用して、カメラ、したがって内視鏡の動作を決定する。位置特定モジュール95のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ91内の円形幾何学形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたか、並びにカメラの相対的な回転及び/又は並進運動を決定するために、それらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。位相マップの使用は、視覚ベースのアルゴリズム又は技術を更に向上させることがある。
【0085】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技術は、カメラの動きを推測するために、視覚データ92内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析してもよい。光学フロー技術の例としては、動作検出、オブジェクトセグメンテーション計算、輝度、動作補償符号化、立体視差測定などを挙げることができる。複数の反復にわたり多数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の移動及び位置を判定することができる。
【0086】
位置特定モジュール95は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に登録され得るグローバル座標系内に、内視鏡のリアルタイムの場所を生成することができる。EM追跡では、医療用器具(例えば、内視鏡器具)内の1つ以上の位置及び向きに埋め込まれた1つ以上のセンサコイルを含むEMセンサ(又はトラッカー)は、既知の位置に配置された1つ以上の静的EM場発生器によって生成されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ93として記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して配置することができる。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さな電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するためにこの電流が分析され得る。これらの距離及び向きは、患者の解剖学的構造の術前モデル内の位置と座標系内の単一の場所を位置合わせする幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「登録」され得る。一旦登録されると、医療用器具の1つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端部)に埋め込まれたEMトラッカは、患者の解剖学的構造を通る医療用器具の進行のリアルタイム表示を提供することができる。
【0087】
ロボットコマンド及び運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置特定データ96を提供するために、位置特定モジュール95によって使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定され得る。術中、これらの較正測定値は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定し得る。代替的には、これらの計算は、ネットワーク内の医療用器具の位置を推定するために、EM、視覚、及び/又は位相モデリングと組み合わせて分析することができる。
【0088】
図20が示すように、多くの他の入力データは、位置特定モジュール95によって使用することができる。例えば、
図20には示していないが、形状感知ファイバを利用する器具は、位置特定モジュール95が器具の場所及び形状を判定するために使用し得る形状データを提供することができる。
【0089】
位置特定モジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは、位置特定モジュール95が入力データ91~94の各々から判定された場所に信頼重み(confidence weight)を割り当てる確率的アプローチを使用し得る。したがって、EMデータが信頼でき得ない場合(EM干渉が存在する場合など)、EMデータ93によって判定された場所の信頼性を低下させることになり、位置特定モジュール95は、視覚データ92並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ94により重く依存してもよい。
【0090】
上で考察されるように、本明細書で考察されるロボットシステムは、上述の技術のうちの1つ以上の組み合わせを組み込むように設計することができる。タワー、ベッド、及び/又はカートをベースとするロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザーコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0091】
2.ロボット医療用システム及び関連する方法のための経皮的シース
上述のロボット医療用システムは、経皮支援尿管鏡検査(PAU)及び経皮的腎結石摘出術(PCNL)などの経皮支援医療処置を行うために構成され得る。一般に、PAU及びPCNLは、患者の尿路から、腎臓結石などの物体を除去するために行われる処置である。PAU及びPCNL中、医師は、経皮的アクセスシースを使用して、腎臓などの処置部位への経皮的アクセスを確立する。処置中に、様々な医療用器具及びツールを、経皮的アクセスシースに通して、処置部位内へ通すことができる。このような医療用器具及びツールとしては、例えば、(例えば、医師が処置部位を可視化することを可能にするための)スコープ、(例えば、除去する結石をより小さな破片に破砕するための)リソトリプタ、(結石又は破片を捕捉及び除去するための)バスケットデバイスなどを挙げることができる。PAU処置では、尿道などの患者の開口部を通して処置部位内へ、尿管鏡などの追加の医療用器具を挿入することができる。追加の医療用器具は、経皮的に(例えば、経皮的アクセスシースを通して)挿入された医療用器具及びツールとともに使用されて、処置を行い得る。いくつかの実施形態では、追加の医療用器具、及び/又は経皮的に挿入された医療器用具並びに器具は、上述のようにロボット制御された医療用器具であり得る。
【0092】
PAU及びPCNL中、処置部位への流体の灌注及び処置部位からの流体の吸引を使用して、処置部位を安定化させ、結石及び破片を除去することができる。いくつかの処置中、カテーテル(経皮的吸引カテーテル(PAC)など)が経皮的シースを通して挿入され、処置部位から流体及び/又は他の物体(例えば、腎臓結石片)を吸引するために使用される。いくつかの実施形態では、体液平衡を維持するために、流体が処置部位から吸引されているときに、除去される流体を置換するために灌注を提供する必要がある。場合によっては、流体が置換されない場合、処置部位が潰れる場合があり、医師が処置部位を可視化し、処置中に使用される様々な医療用器具を制御することが困難になる。しかしながら、腎臓への灌注を提供することは、安全性の懸念を生じさせる可能性がある。処置部位を破裂させる可能性のある、処置部位の過剰加圧を避けるために注意を払わなければならない。
【0093】
このセクションは、PAU及びPCNL(例えば、ミニPCNL)などのような経皮支援処置において使用することができる経皮的シースについて記載する。経皮的シースは、いくつかの機能を行うように構成することができる。例えば、経皮的シースは、患者の身体の外側から処置部位内への経路を確立及び維持するように構成され得る。この経路は、様々なツール及び医療用器具が、経皮的シースを通して処置部位内へ挿入されることを可能にし得る。追加的に、以下により詳細に記載されるように、経皮的シースは、流体の灌注及び/又は吸引が提供され得る導管又はチャネルを提供するように構成され得る。したがって、このセクションに記載される経皮的シースは、それらが使用される処置中の流体工学の投与を容易にし得る。
【0094】
上で簡潔に述べたように、このセクションに記載される経皮的シースは、
図1~
図20を参照して上述したロボット医療システムなどのようなロボット医療用システムとともに使用するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ロボット医療用システムを使用して、経皮的シースを挿入及び/若しくは位置決めし、並びに/又は経皮的シースを通して処置部位内へ挿入され得る1つ以上のロボット医療用器具を制御することができる。追加的に又は代替的には、流体工学システム及び/又はロボット医療用システムを経皮的シースに接続して、経皮的シースの導管又はチャネルを通して、灌注及び/又は吸引を提供することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、このセクションに記載される経皮的シースは、手動で行われる医療処置中に使用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、経皮的シースは、ロボット医療用システムなしで使用することができる。
【0096】
A.例示的な経皮的シース
図21Aは、経皮的シース200の別の実施形態の等角図である。図示される実施形態では、経皮的シース200は、近位端202と遠位端204との間に延在する。遠位端204は、患者の処置部位内へ挿入されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、遠位端204が、経皮的シース200が挿入され得る患者内に経皮的切断部を作成することができるように、遠位端204は鋭利にされているか、テーパ状になっているか、角度付けされているか、又は別の方法で構成されている。いくつかの実施形態では、遠位端204は、以前に形成された経皮的切断部、開口部、又はポートを通して挿入される。
【0097】
一般に、経皮的シース200の使用中、遠位端204は、処置部位内に位置決めされ、近位端202は、患者の身体の外側に位置決めされる。以下に記載されるように、経皮的シース200は、近位端202から遠位端204まで1つ以上の経路、チャネル、又は導管を提供することができ、1つ以上の経路、チャネル、又は導管を通して、医療用器具を挿入して処置部位に到達させることができる。経路、チャネル、及び導管はまた、経皮的アクセスシース200を通して流体の灌注及び吸引を提供するために使用することができる。
【0098】
経皮的シース200の図示される実施形態は、外側導管206及び内側導管208を含む。図示される実施形態では、外側導管206及び内側導管208の各々は、一般に、近位端202から遠位端204まで延在する。
図21A(及び
図21Cの断面図)に示されるように、内側導管208は、外側導管206内に位置決めされ得る。図示されるように、内側導管208は、外側導管206内に同心円状に配置されている。しかしながら、これは、すべての実施形態においてそうである必要はない。更に、いくつかの実施形態では、内側導管208は、外側導管206内に位置決めされる必要はない。例えば、内側導管208及び外側導管206は、並んで位置決めされてもよいか、又は積み重ねられた構成で位置決めされてもよい。
【0099】
図示される実施形態では、近位端202において、内側導管208は、外側導管206の近位端をわずかに越えて延在する。この配置は、ユーザーが内側導管208の近位端202を把持することを可能にすることができ、それにより、ユーザーは、内側導管208を外側導管206内の適所にロックすること、及び/又は内側導管208を外側導管206から取り外すことができる。しかしながら、これは、すべての実施形態でそうである必要はない。例えば、近位端202において、外側導管206は、内側導管208の近位端をわずかに越えて延在することができ、又は外側導管206及び内側導管208の近位端は同一平面上であり得る。同様に、図示される実施形態では、遠位端204において、内側導管208は、外側導管206の遠位端をわずかに越えて延在する。これもやはり、すべての実施形態においてそうである必要はない。例えば、遠位端204において、外側導管206は、内側導管208の遠位端をわずかに越えて延在することができ、又は外側導管206及び内側導管208の遠位端は同一平面上であり得る。外側導管206の遠位端204が内側導管204を越えて延在する例が、上述の
図21A~
図21Fに示されている。いくつかの実施形態では、経皮的シース200の外側導管206及び内側導管208は、内側導管208の遠位端204が、外側導管206の遠位端204と同一平面であるか、又は外側導管206の遠位端204の近位に位置決めされるように構成される。
【0100】
図21Bは、内側導管208が外側導管206から取り外された経皮的シース200を示す。いくつかの実施形態では、内側導管208は、取り外し可能であり得る。例えば、内側導管208は、外側導管206から外に摺動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、内側導管208が、外側導管206内に位置決めされるとき、内側導管208は、外側導管206の近位端202と内側導管208との間に封止を提供するために弁(例えば、ゴム弁又はOリング)によって固定され得る。いくつかの実施形態では、内側導管208は、拡張器が外側導管206を通って嵌合することができるように、外側導管206から取り外し可能であり得る。いくつかの実施形態では、内側導管208は、外側導管206内に固定され(例えば、恒久的に固定され)、取り外すことができない。
【0101】
図21B(及び
図21Cの断面図)に示されるように、外側導管206は、チューブ又はパイプを含み得る。いくつかの実施形態では、外側導管206は、剛性である。例えば、外側導管206は、患者内へ経皮的に挿入され得るように、十分に剛性であり得る。いくつかの実施形態では、外側導管206は、ハイポチューブを含む。ハイポチューブは、薄い側壁を可能にすることができるので、十分な強度及び剛性を維持しながら、経皮的シース200の全体的な寸法を最小限に抑えることができる。これは、経皮的シース200の路サイズ(tract size)を低減することができ、このことは、潜在的な患者の合併症を低減することができる。いくつかの実施形態では、外側導管206は、ステンレス鋼を含むが、他の好適な材料を使用することもできる。図示される実施形態では、外側導管206は、実質的に円形の断面を含むが、これはすべての実施形態でそうである必要はない。外側導管206の断面は、他の形状を含み得る。いくつかの実施形態では、外側導管206は、23Fr(0.302インチ)の外径及び21.4Fr(0.281インチ)の内径を含み得る。これらの寸法は例として提供され、外側導管206の他の寸法が可能である。例えば、外側導管206の外径は、約21Fr、約22Fr、約23Fr、約24Fr、又は約25Frだけでなく、より大きい及びより小さい他のサイズとすることができる。追加的に、外側導管206の内径は、約18Fr、約19Fr、約20Fr、約21Fr、約22Fr、又は約23Frだけでなく、より大きい及びより小さい他のサイズとすることができる。
【0102】
図21A及び
図21Cに図示されるように、ハブ216が、外側導管206の近位端202に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、外側導管206は、ハブ216に溶接されるが、外側導管206及びハブ216を接合するための他の方法が可能である。流体入口210が、ハブ216上に位置決めされ得る。以下により詳細に記載されるように、流体入口210は、灌注が、経皮的シース200を通して処置部位内へ提供され得るように、灌注源に接続するように構成され得る。図示される実施形態では、流体入口210は、側面ポートとして構成されている。例えば、流体入口の長手方向軸は、外側導管206の長手方向軸に対して横方向(例えば、角度付けされる又は垂直)である。図示される実施形態では、流体入口210は、ルアーコネクタとして構成されている。他の実施形態では、他の種類のコネクタを使用することができる。更に、いくつかの実施形態では、流体入口210は、ハブ216及び/又は外側導管206の他の部分上の他の場所に位置決めされ得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、ハブ216は、押出成形されたプラスチックから作製されるが、他の製造方法及び材料の種類も可能である。いくつかの実施形態では、ハブ216は、外側導管206上にオーバーモールドされたプラスチック(ABSプラスチック、ポリカーボネート、又は他の好適なプラスチックなど)を含む。いくつかの実施形態では、例えば、以下に記載される
図22A~
図22Dに図示される実施形態に示されるように)、経皮的シース200はまた、内側導管208上にハブ217を含むことができる。内側導管のハブ217は、外側導管206と内側導管208との間の係合及び封止を容易にし得る。いくつかの実施形態では、内側導管208のハブ217は、内側導管208上にオーバーモールドされたプラスチック(ABSプラスチック、ポリカーボネート、又は他の好適なプラスチックなど)を含む。
【0104】
ハブ216はまた、その中に位置決めされた弁を含んでもよい。内側導管208が外側導管206内に位置決めされると、内側導管208は、ハブ216の弁を通って延在し得る。ハブ216の弁は、外側導管206の近位端202を封止し得る。
【0105】
図21Bを参照すると(
図22Cの断面図も参照)、内側導管208は、チューブ又はパイプを含み得る。いくつかの実施形態では、内側導管208は、剛性である。例えば、内側導管208は、患者内へ経皮的に挿入され得るように、十分に剛性であり得る。いくつかの実施形態では、内側導管208は、ハイポチューブを含む。いくつかの実施形態では、内側導管208は、ステンレス鋼を含むが、他の材料を使用することもできる。図示される実施形態では、内側導管208は、実質的に円形の断面を含むが、これはすべての実施形態でそうである必要はない。内側導管208の断面は、他の形状を含み得る。いくつかの実施形態では、内側導管208は、19.1Fr(0.251インチ)の外径及び18.1Fr(0.238インチ)の内径を含み得る。ここでも、これらの寸法は例として提供され、内側導管208の他の寸法が可能である。例えば、内側導管208の外径は、約16Fr、約17Fr、約18Fr、約19Fr、約20Fr、約21Fr、又は約22Frだけでなく、より大きい及びより小さい他のサイズとすることができる。追加的に、内側導管208の内径は、約14Fr、約15Fr、約16Fr、約17Fr、約18Fr、約19Fr、又は約20Frだけでなく、より大きい及びより小さい他のサイズとすることができる。
図21Bに示されるように、内側導管208の近位端202は、フレア又はリブ218を含むことができる。リブ218は、外側導管206に対する内側導管208の挿入を制限することができるハードストップとして機能し得る。例えば、いくつかの実施形態では、リブ218は、ハブ216を通過することができないように十分に大きい。前述したように、及び以下により詳細に記載されるように、いくつかの実施形態では、内側導管206は、リブ218に加えて、又はリブ218の代わりに含まれ得るハブ217を含むことができる。
【0106】
図21Cは、経皮的シース200の断面図である。この図では、図示される実施形態では、内側導管208が外側導管206内に位置決めされ、それにより、外側導管206の内壁と内側導管208の外壁との間に、第1のチャネル212が形成されることを見ることができる。第1のチャネル212は、流体入口210と接続され得る。いくつかの実施形態では、第1のチャネル212は、経皮的シース200を通して灌注を提供するように構成される。例えば、灌注液(流体)は、流体入口210において第1のチャネル212に入り、第1のチャネル212を通って流れ、遠位端204から出ることができる。
【0107】
ハブ216の弁(又は別の方法若しくは構造)は、近位端202において第1のチャネル212を封止することができ、これにより、流体は、近位端202において第1のチャネル212から出ることがない。いくつかの実施形態では、ハブ216の弁は、圧力が閾値を超える場合に、第1のチャネル212の近位端202から流体が出ることを可能にするように構成された圧力逃し弁を含むことができる。例えば、経皮的シース200の近位端202は、特定の圧力を受けた場合に、破裂するか、又は別の方法で開放するように構成されたゴムダイヤフラム弁又は同様の構造を含むことができる。これにより、処置部位が過剰に過圧されて破裂する可能性を低減することができる。
【0108】
図21Cに示されるように、内側導管208によって第2のチャネル214が形成される。いくつかの実施形態では、第2のチャネル214は、内側導管208の内壁によって画定される。第2の流体チャネル214は、経皮的シース200を通って近位端202から遠位端204まで開放通路を提供することができる。いくつかの実施形態では、第2のチャネル214は、経皮的シース200を通して作業チャネルを提供し、作業チャネルを通じて他の医療用器具又はツールを処置部位内へ挿入することができる。いくつかの実施形態では、第2のチャネル214は、経皮的シース200の近位端202から遠位端204まで開放している。
【0109】
図21Cの断面図に図示されるように、カテーテル250(例えば、吸引カテーテル又は他の医療用器具)を、第2のチャネル214を通して挿入することができる。カテーテル250は、処置部位からの流体が吸引され得る吸引チャネル252を含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテル250はロボット制御されるが、経皮的シース200はまた、手動カテーテル250とともに使用され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル250は、操縦可能又は関節運動可能であることができる。
【0110】
図21Cに示されるように、いくつかの実施形態では、カテーテル250が第2のチャネル214を通って挿入されたときでも、カテーテル250の外壁と内側導管208の内壁との間に空間が残る。いくつかの実施形態では、この空間を使用して、処置部位からの流体の受動的流出を提供することができる。つまり、いくつかの実施形態では、流体は、カテーテル250と内側導管208との間の空間内の第2のチャネル214を通って処置部位から流出することができる。これにより、処置部位が過剰に加圧されて破裂する可能性を防止又は低減することができる。第2のチャネル214を通じた受動的流出は、例えば、以下に記載される
図24に示されている。
【0111】
図22Aは、経皮的シース200の別の実施形態の等角図である。図示される実施形態では、経皮的シース200は、外側導管206及び内側導管208を含む。
図21Cに関して上述したように、内側導管208を外側導管206内へ挿入して、経皮的シース200に複数のチャネルを提供することができる。
図22Aでは、経皮的シース200は、内側導管208が外側導管206内に挿入されて示されている。
図22Bは、経皮的シース200の外側導管206の実施形態の側面図であり、
図22Cは、経皮的シース200の内側導管の実施形態の側面図である。
【0112】
図22Aの図示される実施形態に示されるように、経皮的シース200は、近位端202と遠位端204との間に延在する。一般に、使用中、遠位端204は、患者内へ挿入されるように構成され、一方、近位端202は、患者の外側に残る。
図22Aはまた、経皮的シース200が、近位端204に、第1のハブ216及び第2のハブ217を含むことができることも示す。第1のハブ216は、外側導管206と接続され得る。第2のハブ217は、内側導管208と接続され得る。以下でより詳細に記載されるように、第1の導管216及び第2の導管217は、互いに係合するように構成されて、外側導管206を内側導管208に接続し、かつ経皮的シースを通って延在するチャネルのうちの1つ以上の近位端202において封止を提供することができる。
【0113】
図22Bは、外側導管206の側面図である。外側導管206は、近位端202と遠位端204との間に延在するチューブ又はパイプを含み得る。いくつかの実施形態では、外側導管206は、上述したように、患者内へ経皮的に挿入され得るように剛性である。いくつかの実施形態では、外側導管206は、ハイポチューブを含む。前述のように、外側導管206をハイポチューブとして構成することにより、薄い側壁を可能にすることができるので、十分な強度及び剛性を維持しながら、経皮的シース200の全体的な寸法を最小限に抑えることができる。外側導管206は、ステンレス鋼を含み得るが、他の好適な材料を使用することもできる。図示される実施形態では、外側導管206は、実質的に円形の断面を含むが、これはすべての実施形態でそうである必要はない。外側導管206の断面は、他の形状を含み得る。いくつかの実施形態では、外側導管206は、23Fr(0.302インチ)の外径及び21.4Fr(0.281インチ)の内径を含み得る。これらの寸法は例として提供され、外側導管206の他の寸法が可能である。図示される実施形態では、遠位端204に円周溝221が提供されている。
【0114】
図22Bに図示されるように、第1のハブ216は、外側導管206の近位端202に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、第1のハブ216は、押出成形されたプラスチックから作製されるが、他の製造方法及び材料の種類も可能である。いくつかの実施形態では、ハブ216は、外側導管206の近位端202上にオーバーモールドされたプラスチック(ABSプラスチック、ポリカーボネート、又は他の好適なプラスチックなど)を含む。上述したように、流体入口210が、ハブ216上に位置決めされ得る。流体入口210は、灌注が、経皮的シース200を通して処置部位内へ提供され得るように、灌注源に接続するように構成され得る。図示される実施形態では、流体入口210は、ルアーコネクタとして構成されている。
【0115】
図22Cは、内側導管208の側面図である。内側導管208は、近位端202と遠位端204との間に延在するチューブ又はパイプを含み得る。いくつかの実施形態では、内側導管208は、剛性である。いくつかの実施形態では、内側導管208は、ハイポチューブを含む。前述のように、内側導管208をハイポチューブとして構成することにより、薄い側壁を可能にすることができるので、経皮的シース200の全体的な寸法を最小限に抑えることができる。内側導管208は、ステンレス鋼を含み得るが、他の好適な材料を使用することもできる。図示される実施形態では、内側導管208は、実質的に円形の断面を含むが、これはすべての実施形態でそうである必要はない。いくつかの実施形態では、内側導管208は、例えば、19.1Fr(0.251インチ)の外径及び18.1Fr(0.238インチ)の内径を含み得る。
【0116】
図22Cに図示されるように、第2のハブ217は、内側導管208の近位端202に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、第2のハブ217は、押出成形されたプラスチックから作製されるが、他の製造方法及び材料の種類も可能である。いくつかの実施形態では、第2のハブ217は、内側導管208の近位端202上にオーバーモールドされたプラスチック(ABSプラスチック、ポリカーボネート、又は他の好適なプラスチックなど)を含む。
図22Cに示されるように、第2のハブ217は、第1のハブ216の内部の(
図22Dに示されるような)対応するねじ付き部分212と係合するように構成されたねじ付き部分219を含むことができる。この係合は、内側導管208を外側導管206に固定することができる。更に、いくつかの実施形態では、
図22Dの断面図でより詳細に示されるように、第1のハブ216と第2のハブ217との間の係合は、近位端で経皮的シース200を通る第1のチャネル212を封止することができる。ねじ付き部分219、221を有するように図示されているが、第1のハブ216及び第2のハブ217は、他の方法で係合するように構成することができる。例えば、第1のハブ216及び第2のハブ217は、それらの間に摩擦嵌合を提供するように、サイズ及び形状で構成することができる。
図22Cはまた、第2のハブ217が、1つ以上のフランジ223を含むことができることを示している。フランジ223は、第2のハブ217を第1のハブ216にねじ込む、及び第1のハブ216から取り外すことを容易にするために提供され得る。
【0117】
図22Dは、外側導管206内に位置決めされた内側導管208を示す、
図22Aの経皮的シースの長手方向断面図である。示されるように、第1のハブ216は、第2のハブ217と係合している。図示される実施形態では、第2のハブ217のねじ付き部分219は、第1のハブ216のねじ付き部分221内へ螺入されている。
図22Dに示されるように、内側導管208が外側導管206内へ挿入されるとき、経皮的シース200は、
図21Cを参照して上述したものと同様の配置で、その内部を通る第1のチャネル212及び第2のチャネル214を提供することができる。例えば、第1のチャネル212は、外側導管206の内壁と内側導管208の外壁との間に提供され得る。第1のチャネル212は、近位端202において、流体入口210に接続され得る。第1のチャネル212は、第1のハブ216と第2のハブ217との間の係合によって近位端202において別の方法で封止され得る。第2のチャネル214は、内側導管208を通って提供され得、近位端202及び遠位端204において開放され得る。
【0118】
経皮的シース200は、PAU、PCNLなどのような経皮支援医療処置中の使用のために構成され得る。いくつかの実施形態では、灌注は、第1のチャネル212を通って処置部位(例えば、腎臓)内へ提供され、吸引は、内側導管208を通って挿入されるカテーテル250の吸引チャネル252を通して提供され得る。いくつかの実施形態では、経皮的シース200は、カテーテル250と内側導管208との間の空間内の第2のチャネル214を通る、処置部位からの流体の受動的流出を可能にする。
【0119】
いくつかの実施形態では、経皮的シース200は、以下の特徴又は機能のうちの1つ以上を提供することができる。すべての特徴が、すべての実施形態において提供される必要はなく、列挙されたもの以外の他の機能及び特徴もまた、経皮的シース200によって提供され得る。最初に、経皮的シース200は、順行の経皮的路を維持することができ、順行のデバイスをそこに挿入して後退させることを可能にする。例えば、内側導管208は、経皮的シース200を通る路、チャネル、又は他の通路を提供することができる。第二に、経皮的シース200は、処置中に処置部位を拡張するために使用することができる、(例えば、処置部位への灌注のための経路を提供するために)灌注を提供するように構成され得る。例えば、灌注は、第1のチャネル212を通して提供され得る。第三に、経皮的シース200は、流体が処置部位から受動的に流出するための開放チャネルを提供することができる。例えば、受動的流出は、カテーテル250と内側導管208との間の空間内の第2のチャネル214を通過することができる。
【0120】
図24を参照して以下で考察されるように、経皮的シース200(及びカテーテル250)は、処置中の灌注及び吸引を管理することができる流体工学システムに接続され得る。灌注を使用して処置部位を拡張することができる一方で、吸引を使用して結石片を抽出し、過剰な流体を除去することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル250は、結石片が処置部位の内側から患者の外側に通される導管を提供することができる。(例えば、
図24に示されるような)流体工学システムは、適切な拡張及び最適な結石除去性能を提供するために、灌注と吸引とのバランスを維持することができる。いくつかの実施形態では、最適な結石除去性能は、腎臓及び集尿系を再補充して、拡張及び可視化を維持することができる灌注とのバランスがとれている高い吸引圧によって、優れた結石保持を提供することによって達成することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、外側導管206、内側導管208、及びカテーテル250の寸法は、PAU及びPCNL処置の一般的に受け入れられているサイズ制約内で作動しながら、経皮的シース200を通るバランスのとれた流れ(灌注及び吸引)を提供するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、経皮的シース200は、「ミニPCNL」サイズ決定を有すると考えることができるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、外側導管206の作業長(例えば、患者内へ挿入される部分)の外径は、22.3Frを超えない。更に、いくつかの実施形態では、経皮的シース200は、標準PCNL灌注設定(例えば、最大及び最小流入速度、流出速度、圧力など)を使用するように構成され、それにより、経皮的シース200は、既存の流体工学システムとともに使用することができる。標準PCNL用に構成される場合、経皮的シース200は、例えば、最大30Frの外径を有することができる。ミニPCNL用に構成される場合、経皮的シース200は、例えば、13Fr~18Frの内径を有することができる。他のサイズもまた可能である。最後に、いくつかの実施形態では、内側導管208のサイズは、第2のチャネル214がカテーテル250と内側導管208との間に十分なボリュームを提供して、経皮的シース200を通る十分な受動的流出を可能にするように、カテーテル250の外側寸法に対して構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、内側導管208は、約0.238インチの内径及び0.251インチの外径を含む。他のサイズもまた可能である。
【0122】
いくつかの実施形態では、経皮的シース200は、処置部位の過剰加圧を防止又は低減するように構成され得るため、有利であり得る。更に、経皮的シース200は、他の経皮的デバイス(例えば、リソトリプタ、ネフロスコープ)とは独立して、処置部位への灌注を可能にすることができるため、有利であり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、経皮的シース200は、様々なパラメータを測定するために、その上に位置決めされた1つ以上のセンサを含み得る。例えば、経皮的シース200は、腎臓内の圧力を測定するための圧力センサ、腎臓内への流量を測定するための流量センサ、及び/又は腎臓から出る流量を測定するための流量センサを含むことができる。これらのセンサは、外側導管206、内側導管208、ハブ216の上若しくは内部に、又は経皮的シース200上の他の場所に位置決めされ得る。
【0124】
図23は、経皮的シース300の別の実施形態を示す。図示される実施形態では、経皮的シース300は、腎臓内へ挿入されて示されている。図示されるように、経皮的シース300は、近位端302と遠位端304との間に延在する。遠位端304は、患者の処置部位(例えば、腎臓)内へ挿入されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、上述したように、遠位端304が、経皮的シース300が挿入され得る患者内に経皮的切断部を作成することができるように、遠位端304は鋭利にされているか、テーパ状になっているか、角度付けされているか、又は別の方法で構成されている。
【0125】
経皮的シース300の図示される実施形態は、導管306を含む。導管306は、チューブ又はパイプを含み得る。いくつかの実施形態では、導管306は、剛性である。例えば、導管306は、患者内へ経皮的に挿入され得るように、十分に剛性であり得る。いくつかの実施形態では、導管306は、ハイポチューブを含む。いくつかの実施形態では、導管306は、ステンレス鋼を含む。図示される実施形態では、導管306は、実質的に円形の断面を含むが、これはすべての実施形態でそうである必要はない。導管306の断面は、他の形状を含み得る。
図21A~
図22Cを参照して上述した経皮的シース200とは対照的に、経皮的シース200は、前述のように、外側導管206及び内側導管208ではなく、単一の導管306を含む。
【0126】
図23を参照すると、ハブ316を、導管306の近位端302に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、導管306は、ハブ316に溶接されるが、導管306及びハブ316を接合するための他の方法が可能である。流体入口310が、ハブ316上に位置決めされ得る。流体入口310は、灌注が、経皮的シース300を通して処置部位内へ提供され得るように、灌注源に接続するように構成され得る。図示される実施形態では、流体入口310は、側面ポートとして構成されている。他の実施形態では、他のポート位置を使用することができる。流体入口310は、ルアーコネクタを含み得る。他の実施形態では、他の種類のコネクタを使用することができる。
【0127】
経皮的シース300の場合、ハブ316は、その中に位置決めされた弁又は他の封止構造を含む。ハブ316の弁は、
図23に示されるように、カテーテル350が挿入されることを可能にするように構成され得る。弁は、カテーテル350の周囲を封止することができ、導管306の近位端302を封止する。いくつかの実施形態では、弁は、圧力逃がし機能を備えて構成されてもよい。経皮的シース300又は処置部位内の圧力が特定の圧力を超える場合、弁は、流体が近位端302から流出することを可能にし、それによって圧力が解放される。代替的には、流体入口310は、圧力が高くなりすぎる場合、流入する灌注液が排出され得るように、圧力逃し弁を有することができる。これにより、処置部位が過剰に加圧されて破裂する可能性を防止又は低減することができる。
【0128】
カテーテル350は、
図21Cに関して前述したものと同様のやり方で導管306を通して挿入することができる。上述したように、カテーテル350は、処置部位からの流体が吸引され得る吸引チャネルを含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテル350は、ロボット制御される。いくつかの実施形態では、カテーテル350は、操縦可能又は関節運動可能である。
【0129】
経皮的シース300は、PAU及びPCNLなどのような経皮支援医療処置中の使用のために構成され得る。いくつかの実施形態では、灌注は、導管306を通って処置部位(例えば、腎臓)内へ提供され、吸引は、導管306を通って挿入されるカテーテル350の吸引チャネルを通して提供され得る。
【0130】
図24を参照して以下で考察されるように、経皮的シース300(及びカテーテル350)は、処置中の灌注及び吸引を管理することができる流体工学システムに接続され得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、導管306及びカテーテル350の寸法は、PAU及びPCNL処置の一般的に受け入れられているサイズ制約内で作動しながら、経皮的シース300及びカテーテル350を通るバランスのとれた流れ(灌注及び吸引)を提供するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、経皮的シース300は、「ミニPCNL」サイズ決定を有すると考えることができるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、外側導管306の作業長の外径は、22.3Frを超えない。別の例として、導管306の内径は、ミニPCNLサイズと見なすことができる18Frであり得る。更に、いくつかの実施形態では、経皮的シース300は、上述したように、ミニ及び/又は標準PCNL灌注サイズ決定及び設定を使用するように構成される。
【0132】
いくつかの実施形態では、導管306のサイズは、前述のように、導管306の内径とカテーテル350の外径との間の空間内を灌注液が流れることを可能にするために、カテーテル350の外側寸法に対して構成され得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、経皮的シース300は、圧力逃し弁を介して、処置部位の過剰加圧を防止又は低減するように、有益に構成され得る。更に、経皮的シース300は、他の経皮的デバイス(例えば、リソトリプタ、ネフロスコープ)とは独立して、処置部位への灌注を可能にするように、有益に構成され得る。
【0134】
上述の経皮的シース200と同様に、いくつかの実施形態では、経皮的シース300は、様々なパラメータを測定するために、その上に位置決めされた1つ以上のセンサを含み得る。例えば、経皮的シース300は、腎臓内の圧力を測定するための圧力センサ、腎臓内への流量を測定するための流量センサ、及び/又は腎臓から出る流量を測定するための流量センサを含むことができる。これらのセンサは、導管306、ハブ316の上若しくは内部に、又は経皮的シース300上の他の場所に位置決めされ得る。
【0135】
このセクションに記載される経皮的シース200、300は、灌注用の導管を有利に提供することができる。他のシースは、灌注用の導管を提供しない。いくつかの他のシースは、側面ポートを含み得るが、これらの機能は、デバイスをフラッシュするか、又は溶液の断続的な注入を提供する。これらは、経皮的シース200、300の流体入口210、310のような一定の灌注供給を提供することを意図していない。
【0136】
B.例示的なシステム
図24は、経皮的シース200、吸引カテーテル250、及び流体工学システム402を含むシステム400の実施形態を概略的に示す。システム400は、経皮的シース200とともに図示されているが、いくつかの実施形態では、システム400は、経皮的シース300を使用してもよい。
【0137】
図示される実施形態では、経皮的シース200は、処置部位(例えば、腎臓)内へ挿入されている。カテーテル250は、経皮的シース200の内側導管208を通して処置部位内へ挿入されている。経皮的シース200の流体入口210は、流体工学システム402に接続されている。カテーテル250はまた、流体工学システム402にも接続されている。流体工学システム402は、灌注及び吸引を管理するように構成され得る。
【0138】
例えば、流体工学システム402は、灌注源408(例えば、生理食塩水バッグ又はタンク)に接続されたポンプ404を含み得る。ポンプ404は、灌注源から流体入口210に灌注液を圧送することができる。灌注液は、第1のチャネル212(
図21Cを参照)を通って処置部位内へと流れることができる。流体工学システム402はまた、廃棄物容器410に接続された真空406(又はポンプ)を含み得る。真空406は、処置部位から流体を吸引するためにカテーテル250に吸引を提供することができる。吸引された流体は、廃棄物容器410に圧送され得る。
【0139】
流体工学システム402は、灌注と吸引とのバランスをとるか、又は別の方法で管理するように構成され得る。いくつかの実施形態では、流体工学システム402は、処置部位からの流入及び流出を管理するための1つ以上のコンピュータ実装方法を実装するように構成されたプロセッサを含み得る。いくつかの実施形態では、プロセッサは、経皮的シース200、カテーテル250上の又は他の場所の1つ以上のセンサから、システム400の流体流量及び/又は圧力に関する入力を受信する。
【0140】
図24に図示されるように、いくつかの実施形態では、経皮的シース200は、処置部位からの受動的流出を提供する。例えば、このような受動的流出は、
図21Cを参照して上述されたように、第2のチャネル214を通って流れることができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、システム400はまた、別の開口部を通って処置部位内へ挿入された内視鏡又は尿管鏡などの医療用器具420を含む。医療用器具420は、ロボット制御され得る。いくつかの実施形態では、灌注又は吸引はまた、医療用器具420を通して又は医療用器具420と関連付けられたアクセスシースを通して提供されてもよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、システム400は、1つ以上の追加の経皮的シース及び/又は経皮的に挿入された医療用器具を含み得る。追加の灌注及び/又は吸引が、これらのデバイスを通して提供され得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、吸引カテーテル250はまた、灌注を提供し得る。例えば、カテーテル250内に吸引チャネル及び灌注チャネルが存在し得る。
【0144】
C.例示的な方法
図25は、本明細書に記載される経皮的シースを使用して経皮支援医療処置を行うための例示的な方法500を示すフローチャートである。図示される実施形態では、方法500は、ブロック502から開始して、シース(例えば、上述の経皮的シース200、300のいずれか)が、処置部位内へ経皮的に挿入される。いくつかの実施形態では、腎臓内へ腎臓シースを経皮的に挿入することは、腎臓内へ拡張器を経皮的に挿入すること、拡張器の上に腎臓シースを挿入すること、及び拡張器を取り外すことを含む。いくつかの実施形態では、経皮的シース200の外側導管206は、拡張器の上に挿入され、拡張器が取り外されると、内側導管208を外側導管内へ挿入することができる。
【0145】
次に、ブロック504において、カテーテルが、シースの第1の導管を通して処置部位内へ挿入される。いくつかの実施形態では、これは、カテーテルをシースのハブ又は弁を通して挿入することによって、カテーテルをシースの第1の導管を通して処置部位内へ挿入することを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルは、ロボット制御される。例えば、カテーテルは、シースを通してロボットにより挿入され得る。
【0146】
次いで、方法500は、ブロック506に移動し、このブロック506において、灌注が、シースの第2の導管を通して処置部位内へ提供される。いくつかの実施形態では、これは、シースの流体入口を流体工学システムの灌注源に接続することを含み得る。流体入口は、シースの第2の導管に接続され得る。流体入口は、側面ポートを含み得る。側面ポートは、シースのハブ上に位置決めされ得る。
【0147】
最後に、ブロック508において、カテーテルを通して処置部位から吸引が提供される。いくつかの実施形態では、これは、カテーテルを流体工学システムの吸引源に接続することを含み得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、方法500はまた、上述のように(例えば、
図24に示されるように)シースを通して処置部位から受動的流出を提供することを含み得る。例えば、受動的流出は、シースの第1の導管を通って発生し得る。いくつかの実施形態では、受動的流出は、シースの第1の導管とカテーテルとの間に形成されたチャネル(例えば、第2のチャネル214)を通って流れる。
【0149】
いくつかの実施形態では、方法500は、自然患者開口部を通して腎臓内へ内視鏡を挿入し、内視鏡を用いて結石摘出術を行って腎臓結石を破片に破砕し、カテーテルを通して破片を吸引することを更に含み得る。いくつかの実施形態では、内視鏡は、ロボット制御される。
【0150】
いくつかの実施形態では、経皮的アクセスシースは、処置部位内の望ましい圧力(例えば、腎臓の場合、腎内圧)を促進、維持、又は調節するように構成され得る。これは、例えば、経皮的アクセスシースの抵抗比を低減することができるように、経皮的アクセスシースのパラメータを設計、変更、又は制御することによって達成することができる。本明細書で使用されるとき、経皮的アクセスシースの抵抗比は、シースの流出抵抗とシースの流入抵抗との比であり得る。抵抗比を減少させることは、有利には、処置部位の過剰加圧又は拡張を制限又は防止するのに有用であり得る。これは、抵抗比が減少するにつれて、シースを通じた流出(上述されたように能動的流出及び受動的流出の両方を含むことができる)は、シースを通る流入と比較して増加するためであり得る。外側導管の外径及び内径、内側導管の外径及び内径、外側導管及び内側導管の壁厚、外側導管及び内側導管の長さ、並びにアクセスシースの作業チャネルを通して挿入されたツール(例えば、カテーテル)の直径を含むシースの様々なパラメータを調整又は制御して、抵抗比を変更することができる。
【0151】
例えば、経皮的アクセスシースの抵抗比を減少させるための例示的な方法は、シースの流入抵抗を増加させることを含み得る。いくつかの実施形態では、シースの流入抵抗を増加させることは、例えば、内側導管の外径を増加させること、及び/又は外側導管の外径を減少させることを含み得る。別の例として、シースの抵抗比を減少させるための方法は、シースの流出抵抗を減少させることを含み得る。いくつかの実施形態では、シースの流出抵抗を減少させることは、例えば、内側導管シースの長さを減少させること、シースの作業チャネルを通して挿入されるカテーテルの内径を減少させること(シースの吸引断面を減少させるために(例えば、能動的流出)、及び/又は作業チャネルを通して挿入されるカテーテルの外径を減少させること、及び/又はシースの内側導管の内径を増加させること(シースの流出断面を増加させるために(例えば、受動的流出)を含む。
【0152】
別の例として、いくつかの実施形態では、経皮的アクセスシースは、内側導管の長さを調整することができるように構成される。長さを増加させることで、流出抵抗を増加させ、抵抗比を増加させることができる。長さを減少させることで、流出抵抗を減少させ、抵抗比を減少させることができる。代替的に又は追加的に、経皮的アクセスシースは、外側導管の長さを調整することができるように構成され得る。外側導管の長さを増加させることで、流入抵抗を増加させ、抵抗比を減少させることができる。外側導管の長さを減少させることで、流入抵抗を減少させ、抵抗比を増加させることができる。
【0153】
3.実装システム及び用語
本明細書に開示される実装形態は、経皮的シースを含むシステム、方法、及び装置を提供する。
【0154】
本明細書で使用するとき、用語「連結する」、「連結している」、「連結された」、又は連結という単語の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「連結される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続される、又は第2の構成要素に直接的に接続される、のいずれかであってもよい。
【0155】
本明細書に記載される特定のコンピュータ実装プロセス及び機能を参照する語句は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令として記憶されてもよい。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用するとき、用語「コード」は、コンピューティング装置又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指してもよい。
【0156】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ以上のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序のステップ又は行為が必要とされない限り、特許請求の範囲から逸脱することなく、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を修正してもよい。
【0157】
本明細書で使用するとき、用語「複数」は、2つ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ以上の構成要素を示す。用語「判定する」は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、算出する、調査する、ルックアップする(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、受け取る(例えば、情報を受信すること)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0158】
語句「基づく」は、別途明示的に指定されない限り、「のみに基づく」ことを意味しない。換言すれば、語句「基づく」は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記載する。
【0159】
開示される実装形態の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実装形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実装形態に適用され得る。例えば、当業者であれば、締結、装着、連結、又は係合ツール構成要素の均等の方法、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギーを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を採用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0160】
〔実施の態様〕
(1) 経皮支援尿管鏡検査のための方法であって、
腎臓内へ腎臓シースを経皮的に挿入することと、
前記腎臓シースデバイスの第1の導管を通して、前記腎臓内へカテーテルを挿入することと、
前記腎臓シースデバイスの第2の導管を通して、前記腎臓内へ灌注を提供することと、を含む、方法。
(2) 前記カテーテルを通して、前記腎臓からの吸引を提供することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記腎臓シースの前記第1の導管を通して、前記腎臓からの受動的流出を提供することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記受動的流出は、前記腎臓シースの前記第2の導管と前記カテーテルとの間に形成されたチャネルを通って流れる、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記腎臓シースの流体入口を、流体工学システムの灌注源に接続することを更に含み、前記流体入口は、前記腎臓シースデバイスの前記第2の導管に接続されている、実施態様1に記載の方法。
【0161】
(6) 前記流体入口は、前記腎臓シース上に位置決めされた側面ポートを含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記カテーテルを流体工学システムの吸引源に接続することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記腎臓シースは、弁を含み、前記腎臓シースデバイスの前記第1の導管を通して、前記腎臓内へ前記カテーテルを挿入することは、前記弁を通して前記カテーテルを挿入することを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 自然患者開口部を通して、前記腎臓内へ内視鏡を挿入することと、
前記内視鏡を用いて結石摘出術を行って、腎臓結石を破片に破砕することと、
前記カテーテルを通して、前記破片を吸引することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記内視鏡は、ロボット制御される、実施態様9に記載の方法。
【0162】
(11) 前記カテーテルは、ロボット制御される、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記腎臓内へ前記腎臓シースを経皮的に挿入することは、
前記腎臓内へ拡張器を経皮的に挿入することと、
前記拡張器の上に前記腎臓シースを挿入することと、
前記拡張器を取り外すことと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 経皮的シースであって、
近位端と遠位端との間に延在する外側導管であって、腎臓内へ経皮的に挿入されるように十分に剛性である、外側導管と、
前記外側導管内に配置された内側導管と、
灌注源に接続するように構成された流体入口と、
前記外側導管と前記内側導管との間に画定された第1のチャネルであって、前記流体入口に接続されて、前記腎臓内へ流体の灌注を提供する、第1のチャネルと、
前記内側導管によって形成された第2のチャネルであって、カテーテルが、
前記第2のチャネルを通して、前記腎臓内へ挿入され、
前記カテーテルと前記内側導管との間の空間における前記腎臓からの前記流体の受動的流出を提供する、
ことを可能にするように構成されている、第2のチャネルと、を含む、経皮的シース。
(14) 前記流体入口は、前記第1の導管の近位端に取り付けられた第1のハブ上に位置決めされた側面ポートを含む、実施態様13に記載のシース。
(15) 前記第2の導管の近位端に取り付けられた第2のハブを更に含み、前記第2のハブは、前記第1のハブに係合して、前記第1のチャネルの近位端を封止する、実施態様14に記載のシース。
【0163】
(16) 前記第1のハブは、弁を含み、
前記第2の流体導管は、前記弁を通って延在し、
前記弁は、前記第1の導管の近位端を封止する、実施態様13に記載のシース。
(17) 前記第1の導管及び前記第2の導管は、同心円状に配置されている、実施態様13に記載のシース。
(18) 前記第2の導管は、前記シースを通る開放通路を提供する、実施態様13に記載のシース。
(19) 前記第1の導管は、ステンレス鋼ハイポチューブを含む、実施態様13に記載のシース。
(20) 前記第2の導管は、ステンレス鋼ハイポチューブを含む、実施態様13に記載のシース。
【0164】
(21) 前記外側導管の外径は、約23Frであり、
前記外側導管の内径は、約21.4Frである、実施態様13に記載のシース。
(22) 前記内側導管の外径は、約19.1Frであり、
前記内側導管の内径は、約18.1Frである、実施態様21に記載のシース。
(23) 前記腎臓内の圧力を測定するための圧力センサを更に含む、実施態様13に記載のシース。
(24) 前記腎臓内への流量を測定するための流量センサを更に含む、実施態様13に記載のシース。
(25) 前記腎臓から出る流量を測定するための流量センサを更に含む、実施態様13に記載のシース。
【0165】
(26) 経皮支援尿管鏡検査を行うための経皮的腎臓シースであって、
近位端と遠位端との間に延在する導管であって、腎臓内へ経皮的に挿入されるように十分に剛性である、導管と、
前記導管の前記近位端に接続されたハブであって、
灌注源に接続するように構成された流体入口、及び
カテーテルを受容するように構成された圧力逃し弁であって、前記腎臓内の流体圧力が閾値を超えるまで、前記カテーテルの周りの前記導管の前記近位端を封止する、圧力逃し弁、を含む、ハブと、を含む、シース。
(27) 前記流体入口は、側面ポートを含む、実施態様26に記載のシース。
(28) 前記導管は、ステンレス鋼ハイポチューブを含む、実施態様26に記載のシース。
(29) 前記導管の外径は、約23Frであり、
前記導管の内径は、約21.4Frである、実施態様26に記載のシース。
(30) 経皮支援尿管鏡検査を行うためのシステムであって、
腎臓内へ吸引を提供するための第1の導管、及び前記腎臓内へカテーテルを通すための第2の導管を含む、経皮的シースと、
前記経皮的腎臓シースの前記第2の導管を通して、前記腎臓内へ挿入されるように構成された吸引カテーテルと、を含む、システム。
【0166】
(31) 前記経皮的シースの前記第2の導管は、前記吸引カテーテルが前記第2の導管を通して挿入されるときに、前記腎臓からの受動的流出を可能にするように構成されている、実施態様30に記載のシステム。
(32) 前記腎臓の吸引及び灌注を提供するための流体工学システムであって、
ポンプを含む灌注源、及び
真空を含む吸引源、を含む、流体工学システムを更に含む、実施態様30に記載のシステム。
(33) 前記灌注源は、前記経皮的腎臓シースの流体入口に接続され、前記流体入口は、前記第1の導管に接続され、
前記吸引源は、前記カテーテルに接続されている、実施態様32に記載のシステム。
(34) 前記流体工学システムは、灌注及び吸引を制御するように構成されたプロセッサを更に含む、実施態様32に記載のシステム。
(35) 1つ以上の圧力センサ又は流量センサを更に含み、前記プロセッサは、前記1つ以上の圧力センサ又は流量センサの前記出力に基づいて、灌注及び吸引を制御するように構成されている、実施態様34に記載のシステム。
【0167】
(36) 前記カテーテルは、ロボット制御される、実施態様30に記載のシステム。
(37) ロボット制御可能な内視鏡を更に含む、実施態様30に記載のシステム。