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特許7480154環状炭酸塩を製造するための触媒系及びそれに関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】環状炭酸塩を製造するための触媒系及びそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/26 20060101AFI20240430BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240430BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20240430BHJP
   C07D 317/36 20060101ALI20240430BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20240430BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240430BHJP
【FI】
B01J31/26 Z
B01J37/02 101E
B01J37/04 102
C07D317/36
C07F7/18 M
C07F7/18 T
C07B61/00 300
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021539330
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 TH2019000042
(87)【国際公開番号】W WO2020060499
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】62/732,987
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521111157
【氏名又は名称】ピーティーティー・エクスプロレイション・アンド プロダクション・パブリック・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピロムチャート、タラドン
(72)【発明者】
【氏名】デリア、ヴァレリオ
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008899(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008854(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0119584(US,A1)
【文献】AQUINO et al.,Rationalizing the role of the anion in CO2 capture and conversion using imidazolium-based ionic liquid modified mesoporous silica,RSC Advances,2015年,Vol.5,p.64220-64227
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 31/26
B01J 37/02
B01J 37/04
C07D 317/36
C07F 7/18
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状炭酸塩を生成するための触媒系であって、
シリカ(SiO)担体と、
前記シリカ担体の5~10重量%の範囲の量を有するBiClからなるプレ触媒と、
前記シリカ担体に担持された式(I)をもつ化合物と、
を含む、
【化1】
但し、Yは、臭化物(Br)またはヨウ化物(I)から選択され、
、R、およびRは、メチル基であるか、またはR、R、およびRが一緒になって式(II)をもつヘテロアリール環を形成している、
【化2】
ことを特徴とする触媒系。
【請求項2】
Yはヨウ化物(I)である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
式(I)をもつ前記化合物は、1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-ヨウ化イウムまたはN,N,N-トリメチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-ヨウ化アミニウムから選択される、請求項1に記載の触媒系。
【請求項4】
環状炭酸塩を製造するための触媒系の使用であって、
前記触媒系は、
シリカ(SiO 担体と、
前記シリカ担体の5~10重量%の範囲の量を有するBiClからなるプレ触媒と、
前記シリカ担体に担持された式(I)をもつ化合物と、
を含む、
【化3】
但し、Yは、臭化物(Br)またはヨウ化物(I)から選択される、
、R、およびRは、メチル基であるか、またはR、R、およびRが一緒になって式(II)をもつヘテロアリール環を形成している、
【化4】
ことを特徴とする環状炭酸塩製造用の触媒系の使用。
【請求項5】
Yはヨウ化物(I)である、請求項4に記載の触媒系の使用。
【請求項6】
式(I)をもつ前記化合物は、1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-ヨウ化イウムまたはN,N,N-トリメチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-ヨウ化アミニウムから選択される、請求項4に記載の触媒系の使用。
【請求項7】
請求項1の環状炭酸塩を製造するための触媒系の調製方法であって、
(a)式(III)をもつシラン化合物を有機溶媒中においてN-メチルイミダゾールと共に100~150℃の温度で12~72時間にわたり還流する工程と、ここで請求項1の化合物(I)を得るために前記シラン化合物と前記N-メチルイミダゾールとの間のモル比は5:1~1:5の範囲にあることと、
【化5】
但し、Aは臭化物(Br)またはヨウ化物(I)から選択される、
(b)工程(a)から得られた前記化合物(I)とシリカ(SiO)担体との混合物を有機溶媒中において100~200℃の範囲の温度で5~50時間にわたり還流する工程と、ここで前記化合物(I)の体積濃度百分率は前記有機溶媒の体積に対して5~15%v/vの範囲にあり、前記シリカ(SiO)担体の重量濃度百分率は前記有機溶媒の体積に対して10~20%w/vの範囲にあることと、
(c)工程(b)から得られた前記シリカ担体をBiClと1~5時間にわたり接触させる工程と、ここで前記BiClの濃度は前記シリカ担体の5~10重量%の範囲にあることと、
を有することを特徴とする環状炭酸塩製造用触媒系の調製方法。
【請求項8】
前記シラン化合物と前記N-メチルイミダゾールとのモル比は2:1~1:2の範囲にある、請求項7に記載の触媒系の調製方法
【請求項9】
前記有機溶媒は芳香族炭化水素溶媒である、請求項7に記載の触媒系の調製方法
【請求項10】
前記有機溶媒はトルエンである、請求項9に記載の触媒系の調製方法
【請求項11】
工程(c)は固相反応法を用いて実施される、請求項7に記載の触媒系の調製方法
【請求項12】
請求項1の環状炭酸塩を製造するための触媒系を調製する方法であって、
(a)有機溶媒中のシリカ(SiO)担体とN-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-ジメチルアミンとの混合物を100~200℃範囲の温度で5~50時間にわたり還流する工程と、ここで前記N-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-ジメチルアミンの体積濃度百分率は前記有機溶媒の体積に対して5~15%v/vの範囲にあり、前記シリカ(SiO)担体の重量濃度百分率は前記有機溶媒の体積に対して10~20%w/vの範囲にあることと、
(b)工程(a)から得られた生成物を有機溶媒中において100~150℃範囲の温度で12~72時間にわたりヨウ化メチルと混合する工程と、ここで前記N-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-ジメチルアミンと前記ヨウ化メチルとのモル比は5:1~1:5の範囲にあることと、
(c)工程(b)から得られた前記シリカ担体をBiClに1~5時間にわたり接触させる工程と、ここで前記BiClの濃度は前記シリカ担体の5~10重量%の範囲にあることと、
を有することを特徴とする環状炭酸塩製造用触媒系の調製方法
【請求項13】
前記有機溶媒は芳香族炭化水素溶媒から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記有機溶媒はトルエンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)は固相反応法を用いて実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
触媒系の存在下でエポキシド塩基化合物を二酸化炭素と反応させることを含み、二酸化炭素とエポキシド塩基化合物との反応から環状炭酸塩を生成する方法であって、
前記触媒系は、
シリカ(SiO 担体と、
前記シリカ担体の5~10重量%の範囲の量のBiClからなるプレ触媒と、
前記シリカ担体に担持された式(I)をもつ化合物と、
を含み、
【化6】
但し、Yは臭化物(Br)またはヨウ化物(I)から選択され、
,R,およびRは、メチル基であるか、またはR,R,およびRが一緒になって式(II)をもつヘテロアリール環を形成している、
【化7】
前記方法は、前記エポキシド塩基化合物に対して0.1~20モル%の範囲の前記触媒系の濃度を用いて実施され、
1~100バールの範囲の二酸化炭素の圧力、10~200℃の範囲の温度で、かつ1~8時間の範囲の反応時間で行われる、ことを特徴とする環状炭酸塩の生成方法。
【請求項17】
前記触媒系の濃度は、前記エポキシド塩基化合物に対して0.5~10モル%の範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
二酸化炭素の圧力は1~10バールの範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
温度は60~120℃の範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
反応時間は2~4時間の範囲である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
Yはヨウ化物である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
式(I)を有する前記化合物は、1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-ヨウ化イウムまたはN,N,N-トリメチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-ヨウ化アミニウムから選択される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状炭酸塩を製造するための触媒系、および触媒系を用いて環状炭酸塩を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業プロセスおよび燃料燃焼などからの二酸化炭素(CO)排出量は、気候変動の主な要因と見なされているため、世界中で深刻な問題になっている。国際エネルギ機関(TAE)が発表したグローバルエネルギ&COステータスレポート2017によれば、世界のエネルギ関連のCO排出量は過去最高の32.5ギガトンに到達した。世界中の立法府議員は大気中へのCOの無制限の放出に対して制限を設け始めている。この問題を解決するためのアプローチのなかで、COの高価値化学物質への化学変換が近年かなりの注目を集めている。環状炭酸塩は、穏やかな条件下でCOのエポキシドへの付加環化反応から容易に生成できるため、その1つに挙げられている。環状炭酸塩は、ポリカーボネート、グリコール、およびポリエステルを含む数十億米ドルの市場の中心にある。しかし、COは速度論的および熱力学的に安定しているので、環状炭酸塩を含む他の化学物質にCOを変換するためには大量のエネルギが必要になる。このような背景から、有望なアプローチは、より低い温度でより高いCOを可能にする効果的な触媒を開発することにある。
【0003】
環状炭酸塩は、エポキシドへの付加環化反応によってCOから生成される。このような反応を実行するための触媒系はいくつか存在するが、大気圧または中圧(0.1~1MPa)下で不純なCOを用いて操作できる触媒系はほとんど存在しない。ガス混合物からCOを回収する能力は、煙道ガスを対象として容易に適用することができ有利であり、環状炭酸塩の製造に商業的に魅力的なものである。前記触媒の例には、エナジーエンバイロンSci., 2010,3, 212-215に開示されているバイメタルアルミニウム(サレン)錯体が含まれる。これは、CO中の不純物として水分およびNOxを含むCOを利用する環状炭酸塩の製造に用いられている。しかしながら、この錯体は、非常に高分子量であり、その調製は、有機フレームワークを配位するアルミニウム原子の精巧な構造のために、いくつかの合成工程を伴うものである。
【0004】
米国特許第9,586,926 B2号公報は、COによるエポキシドの炭酸化から環状炭酸塩を生成する方法を開示している。この方法は、YCl,Y,Y(NO),ScCl,またはLaClから選択されるプレ触媒と、臭化テトラブチルアンモニウム、4-ジメチルアミノピリジン、またはビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムクロリドのうちから1:1~1:2の範囲内のモル比で選択される共触媒とを含む均一触媒系(均一系触媒システム)を介して行われる。しかしながら、不純なCOまたは希釈されたCOを伴うこの系の触媒は、大気圧条件下では触媒活性が比較的に低い。
【0005】
モンテイロ他(アプライドカタラシスA:ジェネラル(2017)、544(25)、46-54)は、環状炭酸塩を合成するためのプレ触媒としてのチタン酸ナノチューブ(TNT)またはナノワイヤ(TNW)に担持された1-メチル-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)イミダゾリウムクロリドイオン液体触媒、および助触媒としてのZnBrを含む触媒系を開示している。この触媒は、COに対する触媒の選択性は高いが、不純または希釈されたCOの変換には用いられていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような事情から、とくに希釈されたCO源および/または不純なCO源を用いることにより、高い触媒活性および高い選択性を有する穏やかな条件下でCOから環状炭酸塩を生成するための新世代の触媒系を開発する必要がある。そこで、本発明は、高い触媒活性を有し、費用対効果が高い純粋および不純なCOを使用して、穏やかな条件下でCOおよびエポキシドを環状炭酸塩に変換するための触媒系を提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、本発明は、二酸化炭素(CO)およびエポキシド塩基化合物から環状炭酸塩を生成するための触媒系であって、
シリカ(SiO )担体と、
前記シリカ担体の5~10重量%の範囲の量を有するBiCl からなるプレ触媒と、
式(I)をもつ化合物と、
を含む、
【0008】
【化1】
【0009】
但し、Yは、臭化物(Br )またはヨウ化物(I )から選択され、
、R、およびRは、メチル基であるか、またはR 、R 、およびR が一緒になって式(II)をもつヘテロアリール環を形成している、
ことを特徴とする触媒系を提供する。
【化2】
【0010】
他の実施形態では、本発明は、本発明の触媒系の調整方法であって、
(a)式(III)をもつシラン化合物を、有機溶媒中にて約100~150℃の範囲の温度で約12~72時間にわたりN-メチルイミダゾールと共に還流する工程と、ここで前記シラン化合物と前記N-メチルイミダゾールとの間のモル比は、本発明の化合物(I)を得るために約5:1から約1:5までの範囲にあることと
【0011】
【化3】
【0012】
但し、Aは臭化物(Br )またはヨウ化物(I )から選択される
(b)工程(a)から得られた前記化合物(I)とシリカ(SiO )担体との混合物を有機溶媒中において約100~200℃の範囲の温度で約5~50時間にわたり還流する工程と、ここで前記化合物(I)の濃度は約5~15%v/vの範囲にあり、前記シリカ(SiO )担体の濃度は約10~20%w/vの範囲にある、
(c)工程(b)から得られた前記シリカ担体をBiCl 約1~5時間にわたり接触させる工程と、ここで前記BiCl 濃度は前記シリカ担体の約5~10重量%の範囲にある
【0013】
他の実施形態では、本発明は、触媒系の調整方法であって、
(a)有機溶媒中のシリカ(SiO )担体とN-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-ジメチルアミンとの混合物を約100~200℃の範囲の温度で約5~50時間にわたり還流する工程と、ここで前記N-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-ジメチルアミンの濃度は約5~15v/v%の範囲にあり、前記シリカ(SiO )担体の濃度は約10~20w/v%の範囲にある、
(b)工程(a)から得られた生成物を有機溶媒中において約100~150℃の範囲の温度で約12~72時間にわたりヨウ化メチルと混合する工程と、ここで前記N-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-ジメチルアミンと前記ヨウ化メチルとの間のモル比は約5:1から約1:5までの範囲にある、
(c)工程(b)から得られた前記シリカ担体をBiCl 約1~5時間にわたり接触させる工程と、ここで前記BiCl の濃度は前記シリカ担体の約5~10重量%の範囲にある
【0014】
他の実施形態では、本発明は、触媒系の存在下でエポキシド塩基化合物を二酸化炭素と反応させることを含む環状炭酸塩を生成する方法であって、
シリカ(SiO )担体と、
前記シリカ担体の5~10重量%の範囲の量のBiCl からなるプレ触媒と、
式(I)をもつ化合物と、
を含み、
【0015】
【化4】
【0016】
但し、Yは臭化物(Br )またはヨウ化物(I )から選択され
,R ,およびR は、メチル基であるか、またはR ,R ,およびR が一緒になって式(II)をもつヘテロアリール環を形成している、
前記方法は、エポキシド塩基化合物に対して約0.1~20モル%範囲の濃度の触媒系を用いて、約1~100バールの範囲の二酸化炭素の圧力、 約10~200℃の範囲の温度、かつ約1~8時間の範囲の反応時間で行われる。
【化5】
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-臭化イウムの1H-NMRスペクトル分布図。
図2図2は、1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-ヨウ化イウムの1H-NMRスペクトル分布図。
図3図3は、SiOに担持された1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-ヨウ化イウムのFT-IRスペクトル分布図。
図4図4は、本発明による触媒から得られた炭酸プロピレンの1H-NMRスペクトル分布図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、COおよびエポキシド塩基化合物を環状炭酸塩に変換するための費用対効果が高く、高い触媒活性を有する環状炭酸塩製造用の触媒系を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、純粋なCOおよび不純なCOを使用する穏やかな条件で触媒系を用いることにより、環状炭酸塩を製造する方法を提供するものである。本発明の詳細は、本明細書に従って以下のように解明することができる。本明細書で使用される技術用語または科学用語は、特に明記しない限り、当業者によって理解されるような定義を有する。
【0020】
本明細書で言及される装置、装置、方法、または化学物質は、それらが本発明で特に使用される装置、装置、方法、または化学物質であると明示的に別段の記載がない限り、当業者によって一般的に操作または使用される設備、装置、方法、または化学物質を意味する。
【0021】
本願の請求項または明細書における「有する」という用語を伴う単数形または複数形の名詞の使用は、「1つ」および「1つ以上」、また「少なくとも1つ」、および「1つ以上」を指す。
【0022】
開示および特許請求されるすべての組成物および/またはプロセスは、本発明とは著しく異なる実験を行うことなく、作動、操作、修正、または任意のパラメータの変更から本発明の態様を含むこと、および、特許請求の範囲に特に言及していなくても当業者によれば本発明の同じ有用性および結果を有する同様の物体を取得することを目的としている。したがって、当業者によって明確に見い出すことができるマイナーな修正または変更を含む、本発明の置換または類似の目的は、添付の特許請求の範囲として本発明の範囲、精神、および概念の範囲内で考慮されるべきである。
【0023】
本願明細書全体を通して、「約」という用語は、ここに提示された値が潜在的に変化するか又は逸脱する可能性があることを示すために使用される。そのような変動または逸脱は、装置、計算に使用される方法のエラー、または装置または方法を実施する個々のオペレータに起因する可能性がある。これらには、物性の変化によって引き起こされる変動または逸脱が含まれる。
【0024】
以下は、本発明の範囲を限定することを意図することなく、本発明の詳細な説明である。
【0025】
本発明の一実施形態では、本発明は、環状炭酸塩を生成するための触媒系であって、
シリカ(SiO )担体と、
前記シリカ担体の5~10重量%の範囲の量のBiCl からなるプレ触媒と、
式(I)をもつ化合物と、
を含み、
【0026】
【化6】
【0027】
但し、Yは臭化物(Br )またはヨウ化物(I )から選択され
,R ,およびR は、メチル基であるか、またはR ,R ,およびR が一緒になって式(II)をもつヘテロアリール環を形成している、
ことを特徴とする触媒系を提供する。
【化7】
【0028】
【0029】
【0030】
他の実施形態では、Yはヨウ化物(I )である
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
好ましい実施形態では、式(I)を有する化合物は、1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-ヨウ化イウムまたはN,N,N-トリメチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-ヨウ化アミニウムのうちから選択される。
【0040】
【0041】
他の実施形態では、本発明は、COおよびエポキシド塩基化合物から環状炭酸塩を製造するための本発明の触媒系の使用に関する。
【0042】
他の実施形態では、本発明は、以下のステップを含む本発明の触媒系を調製する方法に関する。
【0043】
(a)式(III)をもつシラン化合物を有機溶媒中においてN-メチルイミダゾールと共に100~150℃の温度で12~72時間にわたり還流する工程と、ここで本発明の化合物(I)を得るために前記シラン化合物と前記N-メチルイミダゾールとの間のモル比は5:1から1:5までの範囲にある、
【0044】
【化8】
【0045】
但し、Aは臭化物(Br )またはヨウ化物(I )から選択される
(b)工程(a)で得られた前記化合物(I)とシリカ(SiO )担体との混合物を有機溶媒中において約100~200℃の範囲の温度で約5~50時間にわたり還流する工程と、ここで前記化合物(I)の濃度は約5~15%v/vの範囲にあり、前記シリカ(SiO )担体の濃度は約10~20%w/vの範囲にある、
(c)工程(b)で得られた前記シリカ担体をBiCl 約1~5時間にわたり接触させる工程と、ここで前記BiCl の濃度は前記シリカ担体の約5~10重量%の範囲にある
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
他の例示的な実施形態では、シラン化合物とN-メチルイミダゾールとのモル比は、約2:1から約1:2までの範囲にある。
【0053】
他の例示的な実施形態では、有機溶媒は芳香族炭化水素溶媒である。
【0054】
好ましい例示的な実施形態では、有機溶媒はトルエンである。
【0055】
【0056】
一実施形態では、ステップ(c)によれば、プレ触媒とステップ(b)から得られた金属酸化物との接触は、例えば、浸漬法、含浸法、固相反応法などによって実施することができる。それらの場合、操作が簡単で優れた生産性を提供するため、粉砕、熟成、またはボールミル粉砕技術などの固相反応法が好ましい。
【0057】
他の実施形態では、本発明は、以下のステップを含む、本発明による触媒システムを調製するための方法を提供する。
【0058】
(a)有機溶媒中のシリカ(SiO )担体とN-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-ジメチルアミンとの混合物を約100~200℃範囲の温度で約5~50時間にわたり還流する工程と、ここで前記N-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-ジメチルアミンの濃度は5~15%v/vの範囲にあり、前記シリカ(SiO )担体の濃度は10~20%w/vの範囲にある、
(b)工程(a)で得られた生成物を有機溶媒中においヨウ化メチルと約100~150℃範囲の温度で約12~72時間にわたり混合する工程と、ここで前記N-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-ジメチルアミンと前記ヨウ化メチルとのモル比は約5:1から約1:5までの範囲にある、
(c)工程(b)で得られた前記シリカ担体をBiCl 約1~5時間にわたり接触させる工程と、ここで前記BiCl の濃度は前記シリカ担体の約5~10重量%の範囲にある
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
他の例示的な実施形態では、有機溶媒は、芳香族炭化水素溶媒のうちから選択される。
【0068】
好ましい例示的な実施形態では、有機溶媒は、トルエンである。
【0069】
【0070】
一実施形態では、ステップ(c)によれば、プレ触媒をステップ(b)から得られた金属酸化物と接触させることは、例えば、浸漬法、含浸法、固相反応法などによって調製することができる。それらの場合、操作が簡単で優れた生産性を提供するため、粉砕、熟成、またはボールミル粉砕技術などの固相反応法が好ましい。
【0071】
他の実施形態では、本発明は、下記のプレ触媒、化合物、および金属酸化物担体を有する触媒系の存在下でエポキシド塩基化合物を二酸化炭素と反応させることを含む、二酸化炭素およびエポキシド塩基化合物の反応から環状炭酸塩を生成するための方法であって、
シリカ(SiO )担体と、
前記シリカ担体の5~10重量%の範囲の量のBiCl からなるプレ触媒と、
式(I)をもつ化合物と、
を含み、
【0072】
【化9】
【0073】
但し、Yは臭化物(Br )またはヨウ化物(I )から選択され
,R ,およびR は、メチル基であるか、またはR ,R ,およびR が一緒になって式(II)をもつヘテロアリール環を形成している、
前記方法は、エポキシド塩基化合物に対して0.1~20モル%の範囲にある触媒系の濃度を使用して、1~100バールの範囲の二酸化炭素の圧力、10~200℃の範囲の温度、かつ1~8時間の範囲の反応時間で実施される。
【化10】
【0074】
好ましい例示的な実施形態では、触媒系の濃度は、エポキシド塩基化合物に対して約0.5~10モル%の範囲である。
【0075】
好ましい例示的な実施形態では、二酸化炭素の圧力は、約1~10バールの範囲である。
【0076】
好ましい例示的な実施形態では、温度は約60~120℃の範囲にある。
【0077】
好ましい例示的な実施形態では、反応時間は約2~4時間の範囲にある。
【0078】
【0079】
【0080】
他の例示的な実施形態では、Yはヨウ化物(I )である
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
好ましい例示的な実施形態では、式(I)の化合物は、1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-ヨウ化イウムまたはN,N,N-トリメチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-ヨウ化アミニウムのうちから選択される。
【0090】
【0091】
以下、本発明の実施例は、本発明の範囲を限定する目的なしに示されている。
【実施例
【0092】
実施例
[化学物質および消耗品]
すべての化学物質は、商業的供給元から購入し、受け取ったままの状態で使用した。初期の遷移金属ハロゲン化物は、グローブボックス内に保管し、取り扱った。金属を含まない化合物は、化学薬品キャビネットに保管し、それ以上の予防措置なしに使用した。不均一ビスマス触媒の調製に用いられるシリカ担体は、使用前にオーブン内で約150℃で熱処理し、微量の水分を除去した。純粋で希釈されたCO(空気中の50%の濃度のCO)は、金属製のシリンダ内に入れられ、レギュレータを介して投与した。
[1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-臭化イウムの合成 ]
【0093】
【化11】
【0094】
乾燥トルエン中のN-メチルイミダゾール(約5mL)および(3-ブロモプロピル)トリメトキシシラン(約11.65mL)の混合物を、不活性雰囲気中で約48時間にわたり還流した。得られた混合物を、ジエチルエーテルで数回洗浄し、真空下で約24時間乾燥させた。得られたN-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウム臭化物は、褐色がかった粘稠な液体であった。図1に示すように、DMSO-d6でのH-NMRによって生成物の構造を同定した。
[1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-ヨウ化イウ
ムの合成 ]
【0095】
【化12】
【0096】
乾燥トルエン中のN-メチルイミダゾール(約5mL)と(3-ヨードプロピル)トリメトキシシラン(約11.65mL)との混合物を不活性雰囲気中で約48時間にわたり還流した。得られた混合物を、ジエチルエーテルで数回洗浄し、真空下で約24時間乾燥させた。得られたN-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムヨウ化物は、褐色の粘稠な液体であった。図2に示すように、DMSO-d6でのH-NMRによって生成物の構造を同定した。
[イオン液体によるSiOの官能化]
【0097】
【化13】
【0098】
1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-ヨウ化イウムでSiOを官能化した。次いで、シリカ(約4g)をトルエン(約25mL)中に懸濁させた。次いで、トルエンに溶解したN-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムヨウ化物(約2.5mL)を添加した。この混合物を約110℃の温度で約48時間撹拌した後に、シリカを沈降させた。上澄み溶液を遠心分離によって分離し、改変したシリカをトルエンで数回洗浄した後に、真空中で約24時間乾燥させた。
【0099】
調製した触媒のFT-IRスペクトル(図3)は、2890~3151cm-1領域の信号および1450~1630cm-1領域の信号からわかるように、表面に芳香族特性を持つ有機種の存在に対応するいくつかの信号を示した。
【0100】
担体に充填された有機種の存在を、以下の元素分析によって、C(14.05%); H(2.65%); N(3.83%)と特定した。
【0101】
【化14】
【0102】
【化15】
【0103】
さらに、SiOをN,N,N-トリメチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-ヨウ化アミニウムで官能化し、次いでヨウ化メチルによってアミンを四級化した。次に、トルエンにN-3-(3-トリメトキシシリルプロピル)-3-ジメチルアミン(約2.5mL)を溶解したトルエン溶液(約25mL)中にSiO(約4g)を懸濁させた。混合物を約110℃で約48時間撹拌した後に、シリカを沈降させた。上澄み液を遠心分離によって分離し、変性シリカをトルエンで数回洗浄した後に、真空中で約24時間乾燥させた。得られた官能化シリカを、暗所で約2時間、DMF中のヨウ化メチルとさらに反応させて、第四級アンモニウム塩を得た。このステップを2回繰り返して、四級化アミンの形成を確実にした。上澄み溶液を遠心分離によって分離し、変性シリカをトルエンで数回洗浄した後、真空中で約24時間乾燥させた。
[変成されたSiOへのプレ触媒の充填]
プレ触媒の装填はグローブボックス内で実施した。シリカの重量に対して約5重量%および10重量%のプレ触媒の金属を、官能化された担体上に充填した。プレ触媒としてのビッヅ(Bids)は、手動の機械的粉砕プロセスを通る担体で粉砕した。変性シリカ担体とプレ触媒の混合物をグローブボックス内で約2時間粉砕し、そのまま使用した。
[純粋COおよび希釈COを含むオートクレーブを使用する環状炭酸塩の合成]
本発明の触媒を使用して環状炭酸塩を合成し、それらの触媒活性を試験した。環状炭酸塩の合成は、75mLのオートクレーブ(グローブボックス)内にて不活性雰囲気下で実施した。本発明の触媒(約0.5~1g)および酸化プロピレン(約5mL、71.4mmol)を、磁気攪拌バーを備えたオートクレーブに加えた。(約50%および約100%の濃度のCOを使用した)1.0バールのCOを添加することにより反応を初期化した。オートクレーブを約60℃の油浴と約80℃の油浴とにセットし、約500rpmで撹拌した。約3時間後に、容器を水浴中で室温まで冷却した。粗反応混合物サンプルを1H-NMRのために収集した。純粋な炭酸プロピレンを単離するために、反応混合物を濾過し、未反応のプロピレンオキシドをロータリーエバポレーターで蒸発させた。反応から得られた炭酸プロピレンは、CDCl中の1H-NMRによって同定した(図4)。
【0104】
表1に示すように、不均一系触媒に関する最初の研究は、約60℃と80℃、および10バールのCO圧力で、純粋COまたは約50%濃度の希釈COを用いて実施した。本研究で検討された触媒は、SiO上に担持されたN,N,N-トリメチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-ヨウ化アミニウムおよびBiCl(SiNMe-MeI-BiCl)、およびSiO上に担持された1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-ヨウ化イウムおよびBiCl(Si-ImI-BiCl)であった。注目すべきことに、金属を含まない官能化担体は、酸化プロピレンへのCOの付加環化において中程度から良好な触媒活性を示した。但し、この触媒活性は、全てのエントリーでBiClの存在によって改善された。金属の存在下での触媒活性は、金属の非存在下と比較して約10~20%改善された。エントリー5と6の比較は、触媒活性の最小の違いなしに、金属充填を約5重量%に減らすことができることを示唆した。SiNMe-MeI-BiClの10%金属充填を伴う純粋なCOを用いた約80℃および約10バールでの反応条件(エントリー9)は、約3時間でCO変換の完了で最高の反応収率を提供した。純粋または希釈されたCO(約50%の濃度)で温度を約60℃に下げると、変換率がわずかに低下した。希釈COを使用すると、約80℃で操作したときに反応収率が低下したが、約60℃で操作したときは純粋COと希釈COを使用した反応の収率は同じであった。SiNMe-MeI-BiClは、触媒作用を行なった後に回収され、さらに2つの連続したサイクルで再利用された。その結果は、触媒がリサイクル可能であり、触媒活性が次第に失われることを示した。これは、おそらく、触媒が空気にさらされていること、および/または、触媒をリサイクルするときに発生する材料の損失が原因である可能性がある。
【0105】
【表1】
【0106】
SiNMe-MeI-BiClおよびSi-ImI-BiClの良好な触媒活性に従って、表2に示すように、希釈CO(約50%の濃度)を使用して温度と圧力を変化させることによるさらなる研究と最適化を行なった。
【0107】
表2のデータは、SiNMe-MeI-BiClの温度を約80℃から約120℃に上昇させる収率が上がることを示しているが、約80℃と約100~120℃との間ではCO変換はあまり差がなかった。表2のデータは、約5バールのCO圧力であっても、ほぼ完全なCO変換が得られることを示していることから、圧力は触媒性能に対して僅かな影響しか及ぼさなかった。
【0108】
表2(エントリー5)は、約60℃および約7バールのCO圧力が、高収率(93%)でCO変換を達成するための最も穏やかな条件であることを示している。Si-ImI-BiClを使用した場合、最も興味深い観察結果は、CO変換は一般に温度とともに増加せず、特に温度が約100~120℃に上昇したときに一般的に減少したことにある。これは、温度を上昇させながらプロピレンオキシドが気化すると、基質と触媒の接触が減少する可能性があるためと考えられる。この観察は、温度が約5バールのCO圧力で約100~120℃に昇温すると、この条件はプロピレンオキシドの蒸発に有利であったため、CO変換が減少するという事実によって裏付けられた(表2のエントリー23と24)。
【0109】
【表2】
【0110】
当業者が容易に理解するように、上記の説明は、本発明原理の実施の例示として意図されている。本明細書は、以下の特許請求の範囲で規定されるように、本発明の精神から逸脱することなく、本発明が修正、変更、および変更を受けやすいという点で、本発明の範囲または適用を制限することを意図するものではない。
[発明の最良のモード]
本発明の最良のモードは、本明細書において提供される通りである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 環状炭酸塩を生成するための触媒系であって、
式BiXzをもつ化合物から選択されるプレ触媒と、
式(I)をもつ化合物と、
を含み、
【化16】

但し、
XとYはそれぞれ独立してハロゲン化物を示し、
Zは1から3までの整数を示し、
mは1から4までの整数を示し、
,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基または1~4個の炭素原子をもつアルコキシ基から独立して選択され、
,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基またはアリール基から独立して選択されるか、またはR ,R ,およびR が一緒になってヘテロアリール環を形成し、
MgO,SiO ,ZnO,Al ,またはTiO から選択される金属酸化物担体を含む、ことを特徴とする触媒系。
[2] Xは塩化物である、[1]に記載の触媒系。
[3] 前記プレ触媒はBiCl である、[1]に記載の触媒系。
[4] Yは塩化物、臭化物、またはヨウ化物から選択される、[1]に記載の触媒系。
[5] mは1である、[1]に記載の触媒系。
[6] R ,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルコキシ基から独立して選択される、[1]に記載の触媒系。
[7] R はメトキシである、[6]に記載の触媒系。
[8] R はメトキシである、[6]に記載の触媒系。
[9] R はメトキシである、[6]に記載の触媒系。
[10] R ,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選択される、[1]に記載の触媒系。
[11] R はメチルである、[10]に記載の触媒系。
[12] R はメチルである、[10]に記載の触媒系。
[13] R はメチルである、[10]に記載の触媒系。
[14] R ,R ,およびR は一緒になって式(II)をもつヘテロアリール環を形成し、
【化17】

,R ,R ,およびR 10 は、水素または1~4個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選択される、[1]に記載の触媒系。
[15] R ,R ,R ,およびR 10 は、水素またはメチルから独立して選択される、[14]に記載の触媒系。
[16] R は水素である、[15]に記載の触媒系。
[17] R はメチルである、[15]に記載の触媒系。
[18] R は水素である、[15]に記載の触媒系。
[19] R 10 は水素である、[15]に記載の触媒系。
[20] 式(I)をもつ前記化合物は、1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-イウム、またはN,N,N-トリメチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-アミニウムから選択される、[1]に記載の触媒系。
[21] 前記金属酸化物担体はSiO である、[1]に記載の触媒系。
[22] 環状炭酸塩を製造するための触媒系の使用であって、
前記触媒系は、
式BiXzをもつ化合物から選択されるプレ触媒と、
式(I)をもつ化合物と、
を含み、
【化18】

但し、
XおよびYの各々は独立してハロゲン化物を示し、
Zは1から3までの整数を示し、
mは1から4までの整数を示し、
,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基または1~4個の炭素原子をもつアルコキシ基から独立して選択され、
,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基またはアリール基から独立して選択されるか、またはR ,R ,およびR が一緒になってヘテロアリール環を形成し、
MgO,SiO ,ZnO,Al ,またはTiO から選択される金属酸化物担体を含む、ことを特徴とする環状炭酸塩製造用触媒系の使用。
[23] Xは塩化物である、[22]に記載の触媒系の使用。
[24] 前記プレ触媒はBiCl である、[22]に記載の触媒系の使用。
[25] Yは塩化物、臭化物、またはヨウ化物のうちから選択される、[22]に記載の触媒系の使用。
[26] mは1である、[22]に記載の触媒系の使用。
[27] R ,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルコキシ基から独立して選択される、[22]に記載の触媒系の使用。
[28] R はメトキシである、[27]に記載の触媒系の使用。
[29] R はメトキシである、[27]に記載の触媒系の使用。
[30] R はメトキシである、[27]に記載の触媒系の使用。
[31] R ,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選択される、[22]に記載の触媒系の使用。
[32] R はメチルである、[31]に記載の触媒系の使用。
[33] R はメチルである、[31]に記載の触媒系の使用。
[34] R はメチルである、[31]に記載の触媒系の使用。
[35] R ,R ,およびR は一緒になって式(II)をもつヘテロアリール環を形成し、
【化19】

,R ,R ,およびR 10 は、水素または1~4個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選択される、[22]に記載の触媒系の使用。
[36] R ,R ,R ,およびR 10 は、水素またはメチルから独立して選択される、[35]に記載の触媒系の使用。
[37] R は水素である、[36]に記載の触媒系の使用。
[38] R はメチルである、[36]に記載の触媒系の使用。
[39] R は水素である、[36]に記載の触媒系の使用。
[40] R 10 は水素である、[36]に記載の触媒系の使用。
[41] 式(I)をもつ前記化合物は、1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-イウム、またはN,N,N-トリメチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-アミニウムから選択される、[22]に記載の触媒系の使用。
[42] 前記勤続酸化物担体はSiO である、[22]に記載の触媒系の使用。
[43] 環状炭酸塩を製造するための触媒系の調整方法であって、
(a)式(III)をもつシラン化合物を有機溶媒中においてアミン塩基化合物と共に100~150℃の温度で12~72時間にわたり還流する、化合物(I)を得るために前記シラン化合物と前記アミン塩基化合物との間のモル比は5:1~1:5の範囲にある、
【化20】

但し、
Aはハロゲン化物を示し、
nは1~4までの整数を示し、
11 、R 12 、およびR 13 は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基または1~4個の炭素原子をもつアルコキシ基から独立して選択され、
(b)有機溶媒中で工程(a)から得られた前記化合物(I)と前記有機溶媒中に懸濁されたMgO、SiO 、ZnO、Al 、またはTiO のうちから選択される金属酸化物担体とを含む混合物を100~200℃範囲の温度で5~50時間にわたり還流する、前記化合物(I)の濃度は5~15%v/vの範囲にあり、前記金属酸化物の濃度は10から20%w/vの範囲にある、
(c)プレ触媒を工程(b)から得られた前記金属酸化物と1~5時間接触させる、前記プレ触媒の濃度は前記金属酸化物の1~10重量%の範囲にある、
ことを特徴とする環状炭酸塩製造用触媒系の調整方法。
[44] Aは塩化物、臭化物、またはヨウ化物から選択される、[43]に記載の触媒系の調整方法。
[45] nは1である、[43]に記載の触媒系の調整方法。
[46] R 11 ,R 12 ,およびR 13 は、1~4個の炭素原子をもつアルコキシ基から独立して選択される、[43]に記載の触媒系の調整方法。
[47] R 11 はメトキシである、[46]に記載の触媒系の調整方法。
[48] R 12 はメトキシである、[46]に記載の触媒系の調整方法。
[49] R 13 はメトキシである、[46]に記載の触媒系の調整方法。
[50] 前記アミン塩基化合物はイミダゾール塩基化合物である、[43]に記載の触媒系の調整方法。
[51] 前記アミン塩基化合物はN-メチルイミダゾールである、[50]に記載の触媒系の調整方法。
[52] 前記シラン化合物と前記アミン塩基化合物とのモル比は2:1~1:2の範囲にある、[43]に記載の触媒系の調整方法。
[53] 前記有機溶媒は芳香族炭化水素溶媒である、[43]に記載の触媒系の調整方法。
[54] 前記有機溶媒はトルエンである、[53]に記載の触媒系の調整方法。
[55] 前記金属酸化物担体はSiO である、[43]に記載の触媒系の調整方法。
[56] 工程(c)は、浸漬法、含浸法、または固相反応法を用いて実施される、[43]に記載の触媒系の調整方法。
[57] 環状炭酸塩を製造するための触媒系を調整する方法であって、
(a)有機溶媒中のアミン塩基化合物と前記有機溶媒中に懸濁されたMgO、SiO 、ZnO、Al 、またはTiO のうちから選択される金属酸化物担体との混合物を100~200℃範囲の温度で5~50時間にわたり還流する、前記アミン塩基化合物の濃度は5~15%v/vの範囲にあり、前記金属酸化物の濃度は10~20%w/vの範囲にある、
(b)工程(a)で得られた生成物を有機溶媒中においてハロゲン化アルキルと100~150℃範囲の温度で12~72時間にわたり混合する、前記アミン塩基化合物と前記ハロゲン化アルキルとのモル比は5:1~1:5の範囲にある、
(c)プレ触媒を工程(b)から得られた金属酸化物と1~5時間接触させる、前記プレ触媒の濃度は前記金属酸化物の1~10重量%の範囲にある、
ことを特徴とする環状炭酸塩製造用触媒系の調整方法。
[58] 前記アミン塩基化合物は、式(IV)を有する、
【化21】

但し、
qは1から4までの整数を示し、
14 ,R 15 ,およびR 16 は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基または1~4個の炭素原子をもつアルコキシ基から独立して選択され、
17 およびR 18 は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基またはアリール基から独立して選択されるか、またはR 17 およびR 18 が一緒になってヘテロアリール環を形成することができる、[57]に記載の方法。
[59] qは1である、[57]に記載の方法。
[60] R 14 ,R 13 ,およびR 16 は、1~4個の炭素原子をもつアルコキシ基から独立して選択される、[59]に記載の方法。
[61] R 14 はメトキシである、[60]に記載の方法。
[62] R 15 はメトキシである、[60]に記載の方法。
[63] R 16 はメトキシである、[60]に記載の方法。
[64] R 17 およびR 18 は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選択される、[57]に記載の方法。
[65] R 17 はメチルである、[64]に記載の方法。
[66] R 18 はメチルである、[64]に記載の方法。
[67] 前記有機溶媒は芳香族炭化水素溶媒から選択される、[57]に記載の方法。
[68] 前記有機溶媒はトルエンである、[67]に記載の方法。
[69] 前記金属酸化物担体はSiO である、[57]に記載の方法。
[70] 工程(c)では、浸漬法、含浸法、または固相反応法を用いて実施される、[57]に記載の方法。
[71] 触媒系の存在下でエポキシド塩基化合物を二酸化炭素と反応させることを含み、二酸化炭素とエポキシド塩基化合物との反応から環状炭酸塩を生成する方法であって、
式BiXzをもつ化合物から選択されるプレ触媒;
式(I)を有する化合物;
【化22】

MgO、SiO 、ZnO、Al 、またはTiO のうちから選択された金属酸化物担体;
但し、XとYはそれぞれ独立してハロゲン化物を示し、
Zは1~3の整数を示し、
mは1~4の整数を示し、
,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基または1~4個の炭素原子をもつアルコキシ基のうちから単独で選択され、
,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基またはアリール基から独立して選択されるか、またはR ,R ,およびR が一緒になってヘテロアリール環を形成し、
前記方法は、エポキシド塩基化合物に対して0.1~20モル%範囲の触媒系の濃度を用いて実施され、
1~100バールの範囲の二酸化炭素の圧力、10~200℃範囲の温度で、かつ1~8時間の範囲の反応時間で行われる、ことを特徴とする環状炭酸塩の生成方法。
[72] 前記触媒系の濃度は、エポキシド塩基化合物に対して0.5~10モル%の範囲である、[71]に記載の方法。
[73] 二酸化炭素の圧力は1~10バールの範囲である、[71]に記載の方法。
[74] 温度は60~120℃の範囲である、[71]に記載の方法。
[75] 反応時間は2~4時間である、[71]に記載の方法。
[76] Xは塩化物である、[71]に記載の方法。
[77] 前記プレ触媒はBiCl である、[71]に記載の方法。
[78] Yは塩化物、臭化物、またはヨウ化物のうちから選択される、[71]に記載の方法。
[79] mは1である、[71]に記載の方法。
[80] R ,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルコキシ基から独立して選択される、[71]に記載の方法。
[81] R はメトキシである、[80]に記載の方法。
[82] R はメトキシである、[80]に記載の方法。
[83] R はメトキシである、[80]に記載の方法。
[84] R ,R ,およびR は、1~4個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選択される、[71]に記載の方法。
[85] R はメチルである、[84]に記載の方法。
[86] R はメチルである、[84]に記載の方法。
[87] R はメチルである、[84]に記載の方法。
[88] R ,R ,およびR は、一緒になって式(II)をもつヘテロアリール環を形成し、
【化23】

,R ,R ,およびR 50 は、水素または1~4個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選択される、[71]に記載の方法。
[89] R ,R ,R ,およびR 10 は、水素またはメチルから独立して選択される、[88]に記載の方法。
[90] R は水素である、[89]に記載の方法。
[91] R はメチルである、[89]に記載の方法。
[92] R は水素である、[89]に記載の方法。
[93] R 10 は水素である、[89]に記載の方法。
[94] 式(I)を有する化合物は、1-メチル-3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1H-イミダゾール-3-イウムまたはN,N,N-トリメチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-アミニウムから選択される、[71]に記載の方法。
[95] 前記金属酸化物担体はSiO である、[71]に記載の方法。
図1
図2
図3
図4