(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】異なる粒径プロファイルを提供するように構成されるコーヒー粉砕マシン及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
A47J 42/18 20060101AFI20240430BHJP
A23F 5/10 20060101ALI20240430BHJP
A47J 42/08 20060101ALI20240430BHJP
A47J 31/42 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A47J42/18
A23F5/10
A47J42/08
A47J31/42
(21)【出願番号】P 2021544865
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 IB2020050907
(87)【国際公開番号】W WO2020161630
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】102019000001629
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512102391
【氏名又は名称】ラ マルゾッコ エス アール エル
【氏名又は名称原語表記】LA MARZOCCO S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ディオニシオ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/219878(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0110369(US,A1)
【文献】特開平05-154054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 42/18
A23F 5/10
A47J 42/08
A47J 31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一緒に接続され又は関連付けられたコーヒー粉砕マシン(10)
及びエスプレッソコーヒーマシン
(90)を有するアセンブリであって、
前記コーヒー粉砕マシン(10)は、第1のグラインダ(14A)及び第2のグラインダ(14B)を備え、
前記第1のグラインダ(14A)及び前記第2のグラインダ(14B)のうちの少なくとも1つ(14B)は、回転可能であり、
前記グラインダ(14A、14B)は、互いに協働してコーヒー豆を粉砕し、第1の粉砕サイクル中に第1の用量の粉砕コーヒーを得て、
前記コーヒー粉砕マシン(10)は、前記グラインダのうちの1つ(14B)を別の前記グラインダ(14A)に対してある回転速度で回転させるモータ(30)
と、モータの速度を制御するためのインバータとを備え、
前記コーヒー粉砕マシン(10)は、第2の用量の粉砕コーヒーを得る第2の粉砕サイクルを実行するため粉砕パラメータを修正するために構成され、
前記粉砕パラメータは、前記エスプレッソコーヒーマシン
(90)から受け取る定量情報に応じて
、且つ、前記第1の用量の粉砕コーヒーで実行されるコーヒー調製サイクルに基づいて修正され、
前記粉砕パラメータは、前記回転速度を含み、
前記エスプレッソコーヒーマシン(90)は、吐出ユニットと、該吐出ユニットの近傍に配置される流量計(91)とを備え、
前記定量情報は、前記エスプレッソコーヒーマシン
(90)の
前記流量計
(91)によって測定される流量値と、抽出比の値と、のうちの少なくとも1つを含む、
アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の用量の粉砕コーヒーは、前記第2の用量の粉砕コーヒーの粉砕の直前の粉砕サイクル中に粉砕される、請求項1に記載の
アセンブリ。
【請求項3】
前記エスプレッソコーヒーマシン
(90)及び前記コーヒー粉砕マシン(10)を一緒に接続する接続モジュールをさらに備える、請求項1又は2に記載の
アセンブリ。
【請求項4】
前記接続モジュールは、前記コーヒー粉砕マシン(10)を前記エスプレッソコーヒーマシン
(90)に無線接続するように構成される、請求項3に記載の
アセンブリ。
【請求項5】
前記流量値を基準流量値と比較する比較器と、
(i)前記流量値が前記基準流量値よりも大きい場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を減少させ、
(ii)前記流量値が前記基準流量値よりも小さい場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を増加させ、
(iii)前記流量値が前記基準流量値と実質的に同じである場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を維持する、
ように構成される速度可変装置(40)と、
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の
アセンブリ。
【請求項6】
前記エスプレッソコーヒーマシン(90)は、
前記第1の用量の粉砕コーヒーの質量を測定する第1の装置(95)と、
前記第1の用量で調製され
るエスプレッソコーヒーの質量を測定する第2の装置(96)と、
前記第1の用量の前記質量と、前記第1の用量で調製される前記エスプレッソコーヒーの前記質量と、の間の比に対応する抽出比を計算する処理装置(CPU)と、
をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の
アセンブリ。
【請求項7】
前記抽出比の値を基準抽出比の値と比較する比較器と、
(i)前記抽出比の値が前記基準抽出比の値よりも大きい場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を減少させ、
(ii)前記抽出比の値が前記基準抽出比の値よりも小さい場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を増加させ、
(iii)前記抽出比の値が前記基準抽出比の値と実質的に同じである場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を維持する、
ように構成される速度可変装置と、
を備える、請求項6に記載の
アセンブリ。
【請求項8】
互いに協働してコーヒー豆を粉砕し、第1の粉砕サイクル中に第1の用量の粉砕コーヒーを得る、少なくとも一方(14B)が回転可能な第1のグラインダ(14A)及び第2のグラインダ(14B)を提供するステップと、
前記グラインダのうちの1つ(14B)を別の前記グラインダ(14A)に対してある回転速度で回転させるモータ(30)を提供するステップと、
モータ速度を制御するためのインバータを提供するステップと、
粉砕コーヒーの第2の用量を得る第2の粉砕サイクルを実行するために粉砕パラメータを修正するステップと、
を含む、コーヒー豆を粉砕する方法であり、
前記粉砕パラメータを、
エスプレッソコーヒーマシン
(90)から受け取る定量情報に応じて、
且つ、前記第1の用量の粉砕コーヒーで実行されるコーヒー調製サイクルに基づいて修正し、
前記エスプレッソコーヒーマシン(90)は、吐出ユニットと、該吐出ユニットの近傍に配置される流量計(91)とを備え、
前記粉砕パラメータは、前記回転速度を含み、
前記定量情報は、流量値及び抽出比の値のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項9】
前記第1の用量は、前記第2の用量の粉砕の直前の粉砕サイクル中に粉砕される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記流量値を基準流量値と比較し、
(
i)前記流量値が前記基準流量値よりも大きい場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を減少させ、
(
ii)前記流量値が前記基準流量値よりも小さい場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を増加させ、
(
iii)前記流量値が前記基準流量値と実質的に同じである場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を維持する、
ステップをさらに含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
粉砕コーヒーの前記第1の用量の質量を測定するステップと、
調製されるエスプレッソコーヒーの質量を測定するステップと、
前記第1の用量の前記質量と前記第1の用量で調製される前記エスプレッソコーヒーの前記質量との間の比に対応する抽出比を計算するステップと、
を含む、請求項8、9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記抽出比の値を基準抽出比の値と比較し、
(
i)前記抽出比の値が前記基準抽出比の値よりも大きい場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を低下させ、
(
ii)前記抽出比の値が前記基準抽出比の値よりも小さい場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を増加させ、
(
iii)前記抽出比の値が前記基準抽出比の値と実質的に同じ場合に、前記モータ(30)の前記回転速度を維持する、
ステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆の粉砕マシンに関する。コーヒー豆の粉砕マシンを、別個のマシンとすることができ、又はコーヒーベース飲料を製造するマシンに組み込むことができる。また、このようなコーヒー豆の粉砕マシンは、単に「コーヒー粉砕マシン」、「コーヒーグラインダ」又は「ミル」として知られている。また、本発明は、前記コーヒー粉砕マシンと協働するエスプレッソコーヒーマシン及び豆の形態のコーヒーを粉砕する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、エスプレッソコーヒーの調製には、通常「用量(dose)」と呼ばれる一定量の粉砕コーヒーが使用される。粉砕コーヒーの用量は、典型的には、上部が開いて底部に微小穿孔を有するカップの形態のフィルタに、投入される。典型的には、ある容量のコーヒーが、フィルタ内で圧縮されてコーヒー粉末パックを形成する。次に、フィルタは、エスプレッソコーヒーマシンの吐出ユニットと取り外し可能に係合するように構成されるポルタフィルタによって支持される。コーヒー粉末パックに加圧下で熱湯を通すことでエスプレッソコーヒーを得る。
【0003】
コーヒー粉砕マシンでコーヒー粉末を得る。既知のコーヒー粉砕マシンでは、コーヒー豆は、粉砕部材を通過することで粉砕される。平坦型、円錐形又は円筒形の粉砕部材が知られている。典型的には、コーヒー粉砕マシンの粉砕部材は、固定部材と、固定部材に対して回転する部材と、を備える。例えば、円錐形グラインダを有するコーヒーグラインダでは、一方の粉砕マシンは動かず静止しているが、他方のグラインダはモータで回転する。コーヒー粉砕マシンの中には、コーヒー粉末の粒径を変化させるために複数グラインダ間の距離を修正することができるものがある。
【0004】
特許文献1は、コーヒーグラインダの自動調整システムを説明している。
【0005】
特許文献2は、コーヒーグラインダを制御する方法を説明している。
【0006】
特許文献3は、コーヒーを抽出する方法及びマシンを説明している。
【0007】
特許文献4は、コーヒーグラインダの細かさを調整する方法を説明している。
【0008】
特許文献5は、コーヒーグラインダの制御装置を説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2013/112732号
【文献】国際公開第2009/010190号
【文献】国際公開第2013/121438号
【文献】欧州特許出願公開3042591号明細書
【文献】国際公開第2014/207281号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願人は、粉砕コーヒー粉末に関して実験を行った。本発明の目的のために、粉砕コーヒー粉末は、理論的特性サイズを有する粒子又は顆粒によって実質的に形成されると考えられる。この理論的特性サイズを以下本明細書では「等価直径」という用語で呼ぶ。さらにまた、「粉砕コーヒー」という表現を、より完全な「粉砕コーヒー粉末」又は「コーヒー粉末」という表現の代わりとして使用できる。
【0011】
本出願人は、全ての既知のコーヒー粉砕マシンは、製造者が誰であろうと、使用する粉砕部材の種類又は特定の機構が何であろうと、互いに大きさが大きく異なる顆粒を含む粉砕コーヒーを製造することを理解した。等価直径の範囲は、数ミクロンから1ミリメートル超までの3桁に及ぶ。
【0012】
比較的大量の顆粒を、「粒径プロファイル」と呼ばれる特定のプロファイルとして表現することができ、これは(使用するコーヒー粉砕マシンにかかわらず)
図1に示すものと同様の連なりである。
【0013】
粒径プロファイルを示す曲線は、二峰プロファイルと呼ばれる。高いピーク(右側)は「第1のモード」と呼ばれ、小さいピーク(左側)は「第2のモード」と呼ばれる。
【0014】
簡単に上述したように、粉砕コーヒーの目的は、コーヒー飲料を吐出するエスプレッソコーヒーマシンにおいて使用されることである。
【0015】
明らかなように、微粒子の量が多い粒径は、大きな粒子の量が多い粒径と比較して、水流を少なくし、したがって、同じ吐出時間中に得られるコーヒーが「より乏しく」なる。
【0016】
典型的には、各バリスタが、自分のコーヒー粉砕マシンを適切に調整して、自分の考えで最適な飲料を製造する粒径を得る。
【0017】
平坦形グラインダ、円錐形グラインダ、又は円筒形グラインダのいずれを有するマシンであっても、粉砕要素間の距離が小さいほど、微粒子の量は多くなり、粗い粒子の量は少なくなる。粉砕体間の距離が大きいほど反対の結果となる。
【0018】
典型的には、既知のコーヒー粉砕マシンの生産者の多くは、粒径を変化させるために同じシステム、すなわち粉砕体間の距離を変化させるシステムを使用してきた。
【0019】
本出願人は、粉砕体間の距離を変化させると、粉砕コーヒーのより粗い部分とより細かい部分の相対量が変化するだけでなく、第1のモードのピークも水平方向に移動することを理解した。グラインダ間の距離が増加するときに、ピークは右に(より大きな粒径に)移動し、一方、グラインダ間の距離が減少するときに、ピークは左に(より細かい粒径に)移動する。
【0020】
市販のシステムでは、グラインダ間の距離を、手動で、又は電動アクチュエータ(通常はモータ)によって電気的に変化させることができる。
【0021】
本出願人は、所定の粒径プロファイルを有する粉砕コーヒーの用量を提供するように構成されるコーヒー粉砕マシンを提供し、エスプレッソコーヒーマシンでエスプレッソコーヒーを調製するために用量を使用するときに、所定の流量(体積流量又は質量流量に関する)を得ることを目的と定めている。次に、流量と用量との間の関係は、抽出比に影響する。
【0022】
本明細書及び特許請求の範囲のために、「抽出比」(濃度又は飲料の濃度の度合い)という表現は、使用される粉砕コーヒーの質量と吐出される最終飲料の質量との比を意味すると理解される。
【0023】
本出願人は、グラインダの回転速度が異なると、生成される粒径プロファイルも異なることを理解した。特に、速度が平均して減少するときに、より細かい粉末が得られ、速度が平均して増加するときに、より粗い粉末が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によれば、外部情報、例えば流量(体積流量又は質量流量)に関する情報に応じてグラインダの回転速度を適切に変化させることによって、異なる粒径プロファイルが得られるコーヒー粉砕マシンが提供される。
【0025】
第1の態様によれば、コーヒー粉砕マシン及びエスプレッソコーヒーマシンが提供され、
コーヒー粉砕マシンは、第1のグラインダ及び第2のグラインダを備え、
第1のグラインダ及び第2のグラインダのうちの少なくとも1つは、回転可能であり、
グラインダは、互いに協働してコーヒー豆を粉砕し、第1の粉砕サイクル中に第1の用量の粉砕コーヒーを得て、
コーヒー粉砕マシンは、グラインダのうちの1つを別のグラインダに対してある回転速度で回転させるモータを備え、
コーヒー粉砕マシンは、粉砕パラメータを修正して第2の用量の粉砕コーヒーを得る第2の粉砕サイクルを実行するように構成され、
粉砕パラメータは、エスプレッソコーヒーマシンから受け取る定量情報に応じて修正され、及び第1の用量の粉砕コーヒーで実行されるコーヒー調製サイクルに基づいて修正され、
粉砕パラメータは、回転速度を含み、
定量情報は、エスプレッソコーヒーマシンの流量計によって測定される流量値と、抽出比の値と、のうちの少なくとも1つを含む。
【0026】
エスプレッソコーヒーマシンは、コーヒー粉砕マシンに接続され又はコーヒー粉砕マシンに関連付けられて、アセンブリ又は複合体を形成する。
【0027】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、「抽出比」(濃度又は飲料の濃度の度合い)又は「抽出する比」という表現は、使用される粉砕コーヒーの質量と吐出される最終飲料の質量との間の比を意味すると理解される。
【0028】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、上述した比が同一、又は(絶対値で)約10%未満、好ましくは約5%未満、さらにより好ましくは約2~3%未満だけ異なる場合、2つの飲料は同じ抽出比を有する。
【0029】
実施形態によれば、第1の用量は、第2の用量の粉砕の直前の粉砕サイクル中に粉砕される。
【0030】
実施形態によれば、エスプレッソコーヒーマシン及びコーヒー粉砕マシンを一緒に接続する接続モジュールも提供される。
【0031】
接続モジュールは、コーヒー粉砕マシンをエスプレッソコーヒーマシンに無線接続するように構成することができる。
【0032】
有利には、流量値を基準流量値と比較する比較器を提供することができ、
(i)流量値が基準流量値よりも大きい場合に、モータの回転速度を減少させ、
(ii)流量値が基準流量値よりも小さい場合に、モータの回転速度を増加させ、
(iii)流量値が基準流量値と実質的に同じである場合に、モータの回転速度を維持する、
速度可変装置を提供する。
【0033】
実施形態によれば、第1の用量の粉砕コーヒーの質量を測定する第1の装置と、
調製されるエスプレッソコーヒーの質量を測定する第2の装置と、
第1の用量の質量と第1の用量で調製されるエスプレッソコーヒーの質量との間の比に対応する抽出比を計算する処理装置と、が提供される。
【0034】
実施形態によれば、抽出比の値を基準抽出比の値と比較する比較器、及び速度可変装置も提供され、速度可変装置は、
(i)抽出比の値が基準抽出比の値よりも大きい場合に、モータの回転速度を減少させ、
(ii)抽出比の値が基準流量値よりも小さい場合に、モータの回転速度を増加させ、
(iii)抽出比の値が基準抽出比の値と実質的に同じである場合に、モータの回転速度を維持する、
ように構成される。
【0035】
別の態様によれば、
第1のグラインダ及び第2のグラインダの少なくとも1つが、回転可能であり、
グラインダは、互いに協働してコーヒー豆を粉砕し、第1の粉砕サイクル中に第1の用量の粉砕コーヒーを得る、
互いに協働する第1のグラインダ及び第2のグラインダを提供するステップと、
一方のグラインダを他方のグラインダに対して回転速度で回転させるモータを提供するステップと、
粉砕パラメータを、コーヒーマシンから受け取る定量情報に応じて修正し、及び第1の用量の粉砕コーヒーで実行されるコーヒー調製サイクルに基づいて修正し、
粉砕パラメータは、回転速度を含み、
定量情報は、流量値及び抽出比の値のうちの少なくとも1つを含む、
粉砕コーヒーの第2の用量を得る第2の粉砕サイクルを実行するために粉砕パラメータを修正するステップと、
を備える、コーヒー豆を粉砕する方法が提供される。
【0036】
第1の用量は、好ましくは第2の用量の粉砕の直前の粉砕サイクル中に粉砕される。
【0037】
方法は、流量値を基準流量値と比較するステップを備えることもでき、
(i)流量値が基準流量値よりも大きい場合に、モータの回転速度を減少させ、
(ii)流量値が基準流量値よりも小さい場合に、モータの回転速度を増加させ、
(iii)流量値が基準流量値と実質的に同じである場合に、モータの回転速度を維持する。
【0038】
方法はまた、粉砕コーヒーの第1の用量の質量を測定するステップと、
調製されるエスプレッソコーヒーの質量を測定するステップと、
第1の用量の質量と第1の用量で調製されるエスプレッソコーヒーの質量との間の比に対応する抽出比を計算するステップと、
を備えることができる。
【0039】
方法は、抽出比の値を基準抽出比の値と比較し、
(i)抽出比の値が基準抽出比の値よりも大きい場合に、モータの回転速度を減少させ、
(ii)抽出比の値が基準抽出比の値よりも小さい場合に、モータの回転速度を増加させ、
(iii)抽出比の値が基準抽出比の値と実質的に同じ場合に、モータの回転速度を維持する、
ステップを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】対数目盛で表した粒径プロファイルの一例を示すグラフである。
【
図2】対数目盛で表した粒径プロファイルを示すグラフである。
【
図3】線形目盛で表した3つの粒径プロファイルを示すグラフである。
【
図4】本発明の一実施形態によるコーヒー粉砕マシンの概略図である。
【
図5】エスプレッソコーヒーマシンと協働する本発明によるコーヒー粉砕マシンの別の概略図である。
【
図7】例により、抽出比の値を計算する計量装置及び処理装置を備えるエスプレッソコーヒーマシンを示す。
【発明の詳細な説明】
【0041】
ここで、添付の図面を参照して、非限定的な例として提供される本発明の詳細な説明を以下に示す。
【0042】
図1は、すでに簡単に上述した、コーヒー粉末の用量の粒度測定プロファイルの一例を示すグラフである。粒径プロファイルを示す曲線は、二峰プロファイルと呼ばれる。高いピーク(右側の、より大きなサイズの粒子に関する)は「第1のモード」と呼ばれ、一方低いピーク(左側の、より小さなサイズの粒子に関する)は「第2のモード」と呼ばれる。
【0043】
図2及び
図3は、グラインダの回転数が粒子の大きさに及ぼす影響を示す。特に、
図2及び
図3は、グラインダ間の距離を一定に保ち、回転速度を変化させることによって得られる3つの粒径曲線を示す。2つの図は、第2のモードに関する差異を強調するために対数目盛で表現された同じプロファイルと、第1のモードに関する差異を強調するために線形目盛で表現された同じプロファイルと、を示している。
【0044】
図示のように、より低速(150rpm)では、第1のモードは左に移動し、相対量が減少して第2のモードが有利になる。
【0045】
より高速(300rpm)では、第1のモードは右に移動し、相対量が増加する。
【0046】
図2(一例のみを示す)の場合、150rpmにおける曲線の第1のモードは約425μmに位置し、300rpmにおける曲線の第1のモードは約475μmに位置する。
【0047】
速度の変化は、電気モータ向けの適当な電子速度調整器によって得られる。使用するモータの種類によって異なる、このタイプの多数の装置が市販されている本発明の一実施形態によれば、コーヒー粉砕マシンは、三相非同期モータと、速度制御のためのインバータ又は任意の既知の周波数可変装置と、を備える。
【0048】
図4は、本発明の実施形態によるコーヒー粉砕マシン10の主要構成要素を非常に概略的に示す。
【0049】
マシン10は、粉砕されるコーヒー用の上部投入口INを有する粉砕チャンバ12と、第1のグラインダ14Aと、第1のグラインダ14Aと協働する第2のグラインダ14Bと、グラインダ14A及び14Bから粉砕コーヒーを受け取り、搬送し、回収して使用する出口コンベア16と、を備える。例えば、
図4に示すように、粉砕コーヒーを、任意の既知の種類のポルタフィルタ20によって支持されるフィルタ21に向けて搬送できる。
【0050】
図4の一実施形態によれば、第1のグラインダ14Aは、固定されるのに対し、第2のグラインダ14Bが可動、例えば回転可能である。
【0051】
コーヒー粉砕マシンは、第2の粉砕マシン14Bを一定回転速度で回転させる電動モータ30を備える。実施形態によれば、モータは、単相モータである。例えば、モータは、ユニバーサル、直流、単相若しくは三相交流、ブラシレス、BLDC、ステッパー又は他のタイプのモータのうちの1つを含む電動モータである。
【0052】
好ましくは、コーヒー粉砕マシンは、回転速度を制御する周波数可変装置40をさらに備える。例えば、この周波数可変装置は、インバータを備える。この周波数可変装置40は、粉砕速度を変化させることができ、第1の速度又は第2の速度で一定の方法により粉砕することができる。
【0053】
実施形態によれば、コーヒー粉砕マシンは、モータ30の回転速度を正確に測定するために、電気モータに関連する角度位置トランスデューサ、例えばエンコーダ50をさらに備える。
【0054】
実施形態によれば、速度の変化を、適切なインターフェース70(
図5)を介してバリスタが行うことができる。インターフェース70は、例えば、所定の回転速度を選択するための押しボタン(又は複数の押しボタン)、複数の回転速度を(連続的又は非連続的に)選択するための回転可能なノブ、又は利用可能な様々なオプション/速度の中から選択するためのタッチスクリーンを備えることができる。インターフェース70は、モータ30の電源周波数ひいてはモータ30の速度を変更するためのインバータ40に(直接、又は
図5に概略的に示すプロセッサ60のような他の装置を介して)接続される。有利には、メーカーによって提供される回転速度又はユーザが選択する速度の中から、回転速度を選択するオプションを提供できる。有利には、回転速度の値を格納するメモリを提供することができる。
【0055】
他の実施形態によれば、制御ユニット(CPU60)が提供される。当該CPU60は、外部信号に応じてモータ30の回転速度を設定するように構成され、当該外部信号は、例えば前記コーヒー粉砕マシン10に接続され/関連付けられるコーヒーマシン90によって供給される。実施形態によれば、モータ30の回転速度に影響する外部信号は、環境信号(圧力、湿度、又は温度)ではなく、エスプレッソコーヒーマシンの動作に関連する。
【0056】
コーヒーマシン90とコーヒー粉砕マシン10との間の接続は、ケーブル(例えば標準データケーブル又は光ファイバケーブル)を介することができ、又は無線接続、例えばWPAN(ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク)用の工業技術データ伝送規格に基づく無線接続を介することができる。例えば、接続は、Bluetooth(登録商標)規格等を介することができる。また、接続は、光学的であってもよく、無線ネットワークに基づいてもよい。
図5は、通信モジュール(例えば、受信機又はトランシーバー)を介するコーヒーマシン90とコーヒー粉砕マシン10との間の無線接続を、概略的に示す。
【0057】
実施形態によれば、モータ30の速度は、エスプレッソコーヒーマシン90で測定される流量値に関する情報に応じて変化する。流量情報は、好ましくは、進行中の粉砕動作より前の粉砕ステップ中に粉砕されたコーヒー粉末の用量を使用して、マシン90でエスプレッソコーヒーを調製するサイクル中に得られる流量情報である。好ましくは、当該前の粉砕ステップは、進行中の粉砕ステップの直前の粉砕ステップである。有利には、流量は、エスプレッソコーヒーマシン90の流量計91を使用して測定することができる。流量計91は、マシン90の油圧回路内の任意の位置、例えばマシン90の吐出ユニットの近傍にあり得る。
【0058】
図6は、関連するコーヒーマシンから得られる流量情報に応じてモータ30の回転速度を変化させるステップを実施し得る形態を概略的に示している。
【0059】
エスプレッソコーヒーマシンから流量情報を受け取った後(ステップ100)、測定される流量値が所定の許容範囲外、すなわち(所望の)基準値から正か負に閾値を越えて離れているかどうか、をチェックする評価が行われる(ステップ101)。
【0060】
測定される流量値が基準用量に対して許容範囲内にある場合、モータの回転速度を変化させず(ステップ102)、したがって、基準用量の粉砕、すなわち、典型的には前の用量の粉砕が行われる。
【0061】
測定される流量値が基準用量に対して(許容範囲も考慮して)所望の値よりも大きい場合、モータの回転速度を増加させる(ステップ103及び105)。
【0062】
測定される流量値が基準用量に対して(許容範囲も考慮して)所望の値よりも小さい場合、モータの回転速度を減少させる(ステップ103及び104)。
【0063】
他の実施形態によれば、モータ30の速度Vを、エスプレッソコーヒーマシン90で測定される抽出比の値に関する情報に応じて変化させる。抽出比の情報は、好ましくは進行中の粉砕動作より前の粉砕ステップ中に粉砕されたコーヒー粉末の用量を使用して、マシン90でエスプレッソコーヒーを調製するサイクル中に得られる抽出比の情報である。好ましくは、当該前の粉砕ステップは、進行中の粉砕ステップの直前の粉砕ステップである。
【0064】
実施形態によれば、
図7に示されるように、マシン90は、エスプレッソコーヒーを調製するために使用される量の粉砕コーヒーの質量(又は重量)と、実際に調製されるエスプレッソコーヒーの質量(又は重量)と、の間の抽出比を計算するための手段を備える。知られているように、消費者は、エスプレッソコーヒーを、彼ら特有の習慣及び好みに応じて、及び/又は彼らが現在いる場所の通常の慣行に応じて、適量を要求し、及び/又は異なる程度に希釈することを要求する。したがって、消費者は、ショートコーヒー、ノーマルコーヒー、ロングコーヒーなどを要求することがある。また、消費者は、シングル、ダブル、トリプル等のエスプレッソコーヒーを要求することがある。
【0065】
抽出比を計算する前記手段は、粉砕コーヒーの質量を(例えばポルタフィルタ20によって支持されるフィルタ内で直接)測定する第1の計量装置95、調製されるエスプレッソコーヒーの質量を(カップ内で直接)測定する第2の計量装置96、並びに、少なくとも粉砕コーヒーの質量の測定値及び調製されるエスプレッソコーヒーの質量の測定値を受け取り2つの質量測定値から前記抽出比を得るように構成される処理装置(CPU)を備えることができる。また、
図7は、ポルタフィルタ20と係合するように構成される2つの吐出ユニット99を概略的に示す。
【0066】
したがって、モータの速度は、粉砕コーヒー用のコーヒーマシンから受け取る定量情報に応じて決定される。有利には、用量に基づいて得られる値は、次の用量の粉砕パラメータ(例えば、粉砕速度)を維持するか又は修正するか、を決定するために使用される。
【0067】
システムは、モータの実際の回転速度Vを測定しない開ループ、又は専用の装置、例えば速度センサ(エンコーダ)50を使用してモータの速度を検出する、閉ループの両方において機能することができる。
【0068】
有利には、本発明によれば、シングル用量コーヒーとダブル用量コーヒーとの間の粉砕粒径でバランスを規定する課題を解決することが可能である。例えば2つの押しボタンを提供することが可能であり、1つはシングル用量を粉砕し、1つはダブル用量を粉砕する。本発明によれば、シングル用量を粉砕するために、コーヒー粉砕マシンをプログラムし、(一定の粒径を得るための)特定の速度V1及び第1の量W1を対応する押しボタンに関連付けることが可能である。同様に、本発明によれば、ダブル用量を粉砕するために、コーヒー粉砕マシンをプログラムし、(一定の粒径を得るための)特定の速度V2及び第2の量W2を対応する押しボタンに関連付けることが可能である。
【0069】
速度V1のシングルコーヒーと速度V2のダブルコーヒーを交互に要求するサービスが生じても、システムは結果的に損害を受けない。
【0070】
この柔軟性は非常に有利である。実際、現在、バリスタは余儀なく、シングル用量とダブル用量との間で妥協した粒径を選択する。本発明により、この制限は克服される。