(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】吸入装置における温度を制御するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20240430BHJP
A61M 13/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M13/00
(21)【出願番号】P 2021545436
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 IL2020050151
(87)【国際公開番号】W WO2020161721
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-02-02
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517002649
【氏名又は名称】サイケ メディカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SYQE MEDICAL LTD.
【住所又は居所原語表記】14 HaTchiya Street, Tel-Aviv, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ ビンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】レシェフ ニムロド
(72)【発明者】
【氏名】ショア アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ルポ タル
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523828(JP,A)
【文献】特表2018-508308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A61M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの物質
を放出
するように吸入装置を制御する方法であって、
前記少なくとも1つの物質を気化によって放出可能である原材料のパレットを通る空気流であって、第1表面を通って前記パレットに入り、前記パレットの反対側の第2表面を通って前記パレットから出る空気流を許容するステップと、
前記パレットの前記第1表面に接触する第1加熱要素
の第1温度プロファイルを設定し、当該設定に従って前記第1加熱要素を加熱するステップと、
前記パレットの前記第2表面に接触する第2加熱要素
の温度プロファイルであって前記第1温度プロファイルと異なる第2温度プロファイルを設定し、当該設定に従って前記第2加熱要素を加熱するステップと、
を有し、
前記第1温度プロファイルの前記設定及び前記第2温度プロファイルの前記設定は、原材料の前記パレットを目標温度範囲内に維持するために、前記パレットから放出された前記少なくとも1つの物質を運ぶ空気流の特性を考慮する、
方法。
【請求項2】
前記第1加熱要素および前記第2加熱要素の一方または両方の温度を上昇または低下させることによって加熱を制御するステップをさらに含む、
請求項1に記載
の方法。
【請求項3】
前記第1温度プロファイルは、第1温度に加熱し、それを一定に維持することを含み、
前記第2温度プロファイルは、第2温度に加熱し、温度を一定に維持することを含み、
前記第1温度および第2温度は、互いに異なる、
請求項1または請求項2に記載
の方法。
【請求項4】
前記原材料の少なくとも85%を目標温度範囲内に維持するように加熱を制御するステップをさらに含む、
請求項1~3の何れか1項に記載
の方法。
【請求項5】
前記パレットを通る空気流量の変化に応答して、前記第1加熱要素および
前記第2加熱要素の一方または両方の加熱を修正するステップを含む、
請求項1~4の何れか1項に記載
の方法。
【請求項6】
放出される物質の量および前記物質が放出される持続時間のうちの少なくとも1つを制御するための加熱を制御するステップをさらに含む、
請求項1~5の何れか1項に記載
の方法。
【請求項7】
前記第1加熱要素および
前記第2加熱要素を加熱するステップは、前記少なくとも1つの物質の気化温度の25℃以内の範囲にすることである、
請求項1~6の何れか1項に記載
の方法。
【請求項8】
前記第1加熱要素および
前記第2加熱要素を加熱するステップは、前記原材料の燃焼を引き起こさない温度にすることである、
請求項1~7の何れか1項に記載
の方法。
【請求項9】
空気流を許容するステップは、前記パレットの前記第1表面および
前記第2表面への横断方向の空気流を許容するステップを含む、
請求項1~8の何れか1項に記載
の方法。
【請求項10】
前記第1加熱要素および前記第2加熱要素は、単一の加熱要素の一部である、
請求項1~9の何れか1項に記載
の方法。
【請求項11】
前記単一の加熱要素は、U字形状であり、
加熱するステップは、前記U字形状を通って電流を伝導するステップを含む、
請求項10に記載
の方法。
【請求項12】
加熱を制御するステップは、前記パレットを通る空気流量を変化させることによって加熱を間接的に制御するステップを含む、
請求項2に記載
の方法。
【請求項13】
原材料と接触する第1電気抵抗加熱要素および第2電気抵抗加熱要素を含む原材料ユニットを受容するように構成された吸入装置において使用可能な加熱モジュールであって、
前記原材料ユニットが前記吸入装置内に受容される場合、前記原材料ユニットの前記第1電気抵抗加熱要素および第2電気抵抗加熱要素に係合するように成形および配置された少なくとも2つの電気接点と、
第1加熱要素および第2加熱要素を加熱して、前記原材料の少なくとも85%の温度を目標温度まで上昇させ
、前記原材料を前記目標温度に維持するように、前記少なくとも2つの電気接点による電流の伝導を制御する回路と、
を備え、
前記回路は、前記第1加熱要素が第1温度になるように加熱を制御し、前記第2加熱要素が前記第1温度とは異なる第2温度になるように加熱を制御するように構成される、
加熱モジュール。
【請求項14】
前記回路は、加熱される前記原材料を前記目標温度の±15%の範囲内に維持するように、前記第1
加熱要素および
前記第2加熱要素の加熱を制御するように構成される、
請求項13に記載の加熱モジュール。
【請求項15】
前記回路は、前記原材料ユニットを通る空気流量に従って、前記第1加熱要素および
前記第2加熱要素の加熱を制御するように構成される、
請求項13または請求項14に記載の加熱モジュール。
【請求項16】
前記回路は、前記第1加熱要素および
前記第2加熱要素の加熱を制御して、0.5秒以上の時間、前記原材料の温度を気化温度の25℃以内に安定させ、維持する、
請求項14に記載の加熱モジュール。
【請求項17】
請求項13に記載の加熱モジュールを含む
前記吸入装置と、
前記吸入装置のハウジング内に受容されるような形状およびサイズにされ、
前記原材料と接触する
前記第1電気抵抗加熱要素および
前記第2電気抵抗加熱要素を含む
前記原材料ユニットと、
を備える、
キット。
【請求項18】
前記原材料は、0.5~1mmの間の厚さを有するパレットの形態である、
請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記第1加熱要素および
前記第2加熱要素によってそれぞれ加熱される前記パレットの第1表面と、それに対向する第2表面のそれぞれの表面積は、200~300mm
2である、
請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記パレットの重量は、100~150mgである、
請求項18または請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記パレットは、空気が流れることを許容する空間を間に挟んで分散された
前記原材料の粒子を含む、
請求項18~20の何れか1項に記載のキット。
【請求項22】
気化によって原材料か
ら1つ以上の物質を
放出するように吸入装置を
制御す
る方法であって、
前記吸入装置に配置された原材料の第1表面および第2表面の少なくとも1つを第1温度に加熱するステップと、
加熱された前記原材料の前記第1表面および前記第2表面の少なくとも1つの加熱を、その温度が前記第1温度未満の第2温度に低下するように、減少させるステップと、
を含み、
前記第1温度と前記第2温度との間の範囲は、前記原材料の物質の気化温度範囲の50℃以内に前記原材料を維持する、
方法。
【請求項23】
原材料か
ら異なる気化温度を有する少なくとも2つの物質
を放出
するように吸入装置を制御する方法であって、
吸入によってユーザに物質を送達するための、原材料からの異なる気化温度を有する少なくとも2つの物質の放出を制御する方法であって、
前記原材料に空気流を通過させるステップと、
第1物質の気化温度から25℃の範囲内の第1温度に前記原材料を加熱して、前記第1物質の放出を生じさせるステップと、
前記原材料を前記第1温度に加熱するときに実質的に気化しない第2物質の気化温度から25℃の範囲内の第2温度に前記原材料を加熱して、前記第2物質の放出を生じさせるステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、平成31年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/802,737号(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)の35USC§119(e)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、そのいくつかの実施形態では、個人用吸入装置に関し、より詳細には、限定はしないが、吸入装置内の温度を制御することに関する。
【発明の概要】
【0003】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、吸入装置における吸入ユーザに物質を送達するための方法であって、ユーザによる吸入中に、吸入装置内に配置された原材料の第1表面および第2表面のうちの少なくとも1つを第1温度に加熱するステップと、温度が第1温度未満の第2温度に徐々に低下するように原材料の第1表面および第2表面のうちの少なくとも1つの加熱を減少させるステップとを含み、第1温度と第2温度との間の範囲が、原材料中の物質の気化温度範囲の50℃以内に原材料を維持する、方法が提供される。
【0004】
例えば、本発明のいくつかの実施形態では、その範囲は、気化温度の25℃以内である。
【0005】
例えば、本発明のいくつかの実施形態では、その範囲は、気化温度の10℃以内である。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態のさらなる態様によれば、吸入装置における吸入ユーザに物質を送達するための方法であって、ユーザによる吸入中に、少なくとも空気流が所定のパラメータセット内になるまで、原材料を通る空気流を安定させるステップと、所定の第1温度に原材料ユニットの加熱を開始し、第2温度に達するように所定の速度で加熱を減少させるステップと、第2温度に達した後に、原材料ユニットの加熱を終了するステップとを含み、加熱するステップは、コントローラを使用して、原材料の上流表面および下流表面であって、原材料を通る空気流経路に従って、上流および下流として画定される上流表面および下流表面のうちの少なくとも1つの加熱を、予めプログラムされた動作パラメータに従って加熱要素を用いて制御するステップを含む、方法が提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、加熱を減少させるステップは、原材料を加熱するための電力の送達の終了からなるものではない。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1温度は、原材料の燃焼温度未満である。
【0009】
いくつかの実施形態では、原材料物質は、吸入装置によって送達される物質を含み、第1温度は、物質の気化温度より高い5℃と50℃との間である。
【0010】
いくつかの実施形態では、第2温度は、原材料の最大温度が加熱中に第1温度を超えないように十分に低い。
【0011】
いくつかの実施形態では、原材料物質は、吸入装置によって送達される物質を含み、第2温度は、物質の気化温度より低い5℃と50℃との間である。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2温度は、室温より少なくとも50℃高い。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、安定させるステップが所定の時間枠内に生じない場合、加熱開始なしに方法を終了することをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、加熱するステップは、電気抵抗加熱要素を使用することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本方法は、選択された温度から少なくとも所定の温度値だけ逸脱した場合に加熱を停止するステップをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、所定の温度値は、選択された温度よりも少なくとも2%高い、または低い。
【0017】
いくつかの実施形態では、温度は、逸脱が温度低下期間の長さの少なくとも1%である期間持続する場合、選択された温度から逸脱すると見なされる。
【0018】
いくつかの実施形態では、温度は、逸脱が温度低下期間の長さの少なくとも2%である期間持続する場合、選択された温度から逸脱すると見なされる。
【0019】
いくつかの実施形態では、温度は、逸脱が少なくとも15ミリ秒の長さである期間持続する場合、選択された温度から逸脱していると見なされる。
【0020】
いくつかの実施形態では、温度は、逸脱が少なくとも25ミリ秒の長さである期間持続する場合、選択された温度から逸脱していると見なされる。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、選択された空気流のパラメータから少なくとも所定の空気流の値だけ逸脱した場合に、加熱を停止するステップをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、所定の値は、選択された空気流のパラメータより少なくとも2%高いまたは低い。
【0023】
いくつかの実施形態では、空気流のパラメータは、逸脱が温度低下期間の長さの少なくとも5%である期間が続く場合、選択された空気流のパラメータから逸脱していると見なされる。
【0024】
いくつかの実施形態では、空気流のパラメータは、逸脱が温度低下期間の長さの少なくとも10%である期間が続く場合、選択された空気流のパラメータから逸脱していると見なされる。
【0025】
いくつかの実施形態では、空気流のパラメータは、逸脱が少なくとも50ミリ秒の長さである期間持続する場合、選択された空気流のパラメータから逸脱していると見なされる。
【0026】
いくつかの実施形態では、空気流のパラメータは、逸脱が少なくとも70ミリ秒の長さである期間持続する場合、選択された空気流のパラメータから逸脱していると見なされる。
【0027】
いくつかの実施形態では、この方法は、選択された温度に達しない場合に加熱を停止することをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、この方法は、原材料ユニットの加熱を停止した後に、吸入装置を通る空気流を許容し、それによって吸入装置から物質残留物を洗い流すことをさらに含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、第2温度に到達した後、第1温度よりも高い第3温度に到達するように原材料ユニットを加熱し、次いで、第4温度に到達するように加熱を減少させるステップをさらに含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1温度および第2温度のうちの少なくとも1つは、第1物質の気化温度に関連する第1目標温度に従って選択され、第3温度および第4温度のうちの少なくとも1つは、第2物質の気化温度に関連する第2目標温度に従って選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1温度は、第1物質に損傷を与えることが可能な温度未満である。
【0032】
いくつかの実施形態では、第3温度および第4温度のうちの少なくとも1つは、最も低い気化温度で物質に損傷を与えることが可能な温度よりも高い。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法は、第2温度に達した後に、第2温度よりも低い第3温度に達するステップをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、第3温度よりも低い第4温度に達するように加熱を減少させるステップをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、温度が第2温度から第3温度に低下する期間は、温度が第1温度から第2温度に低下する期間よりも短く、温度が第3温度から第4温度に低下する期間よりも短い。
【0036】
いくつかの実施形態では、空気流を安定させるステップ、加熱を開始するステップ、および加熱を終了するステップはすべて、吸入装置からのユーザの吸入中に行われる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態のさらなる態様によれば、ユーザに原材料の物質を投与するための吸入装置が提供される。吸入装置は、
原材料が吸入装置内の使用場所に存在するときに原材料を加熱するのに十分なエネルギーを供給するように構成された少なくとも1つの導体と、
原材料が吸入装置内の使用場所に存在するとき、原材料を通る空気流を導くように構成された少なくとも1つの導管と、
原材料の温度の指示および原材料を通る空気流量の指示のうちの少なくとも1つを取得するように構成された少なくとも1つのセンサと、
加熱温度を制御するために少なくとも1つの導体に動作可能に接続されたコントローラと、を備える。コントローラは、予めプログラムされた動作パラメータで構成され、少なくとも1つのセンサから受信された指示に従うように構成され、動作パラメータは、前述の請求項のいずれかの方法を実行するように構成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、コントローラは、加熱温度を制御するために、少なくとも1つの導体および少なくとも1つの導管の両方に動作可能に接続される。
【0039】
いくつかの実施形態では、装置は、制御可能な弁を含む補償空気流調整器をさらに備え、この弁は、原材料ユニットから下流に位置する。
【0040】
いくつかの実施形態では、原材料は、吸入装置に動作可能に取り付けられるように構成された原材料ユニットに含まれる。いくつかの実施形態では、原材料ユニットは、吸入装置の使用位置内に受容されるように構成される。
【0041】
いくつかの実施形態では、吸入装置は、吸入装置に一連の原材料ユニットを提供するための複数の交換可能な原材料ユニットを含むマガジンを受容するように構成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの導体は、電気抵抗性を有する、原材料ユニットの少なくとも一部にエネルギーを生成および/または伝達して、それによって原材料を加熱するように構成される。
【0043】
いくつかの実施形態では、原材料ユニットおよび吸入装置は、原材料を加熱するための別個に動作可能な要素を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの導体は電極を含む。
【0045】
いくつかの実施態様において、電気抵抗性を有する原材料ユニットの少なくとも一部は、メッシュとして形成される。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態のさらなる態様によれば、原材料中の物質を加熱するための吸入装置であって、使用場所に存在するときに原材料を第1温度まで加熱するのに十分なエネルギーを供給するように構成された少なくとも1つの導体と、少なくとも1つの導体と動作可能に通信し、第1温度未満の第2温度まで加熱を徐々に低下させるようにプログラムされたコントローラとを備え、コントローラのプログラミングは、原材料中の物質の気化温度範囲の50℃以内に原材料を維持する第1温度と第2温度との間の範囲を含む、吸入装置が提供される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態のさらなる態様によれば、原材料ユニットの温度を制御するための吸入装置であって、原材料ユニットが吸入装置内の使用位置に存在するときに原材料を通る空気流を安定化するための調整可能な弁で構成された補償空気流調整器と、原材料ユニットの少なくとも一部に電流を伝導するための少なくとも1つの電極と、少なくとも1つの電極と動作可能に通信し、所定の第1温度への原材料ユニットの加熱を制御し、次いで、加熱を減少させて第2温度を達成するようにプログラムされたコントローラとを備える、吸入装置が提供される。
【0048】
いくつかの実施態様において、電気抵抗性を有する原材料ユニットの少なくとも一部は、原材料の上流又は下流に配置される。
【0049】
本明細書で言及する「導体」は、電気エネルギーおよび/または熱エネルギーを生成および/または伝達するように構成された要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、導体は、原材料から1つまたは複数の活性物質を気化させるように、原材料を加熱するのに十分な量のエネルギーを生成および/または伝達するように構成される。一部の実施形態では、導体は、例えば電極などの電流を伝導する。一部の実施形態では、導体は熱を伝導する。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態のさらなる態様によれば、ユーザに原材料の物質を投与するための吸入装置であって、吸入装置内の使用位置に存在する場合に原材料を加熱するための手段と、吸入装置内の使用位置に存在する場合に原材料を通して空気流を導くように構成された少なくとも1つの導管と、加熱温度を制御するために加熱手段および少なくとも1つの導管に動作可能に接続されたコントローラであって、予めプログラムされた動作パラメータおよび少なくとも1つのセンサからのフィードバックを用いて構成されたコントローラとを備える、吸入装置が提供される。
【0051】
いくつかの実施形態では、加熱手段は、吸入装置内に構成された加熱要素を含むことができる。それに加えて、または、それに代えて、加熱手段は、原材料ユニット内に加熱要素を含む。いくつかの実施形態では、加熱手段は、その一部が吸入装置内に構成され、その一部が原材料ユニット内に構成される加熱アセンブリを含む。任意選択的に、原材料ユニットを吸入装置に装着すると、加熱アセンブリ部分は、原材料を加熱するためのエネルギーを供給するために、互いに直接的(または間接的)に接触する(例えば、電気的接触)。加熱アセンブリの一例では、吸入装置は、電流の印加に応答して加熱し、それによって原材料を加熱する、原材料ユニットの電気抵抗要素、例えばメッシュに接触する電流伝導電極を備える。任意選択で、原材料ユニットは、複数の異なる原材料を含み、それぞれが異なる加熱要素(例えば、メッシュ)に関連付けられ、別々に対処することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、吸入装置は、例えば、吸入装置のハウジング内に配置された、1つ以上の一体化された原材料ユニットを備える。
【0053】
いくつかの実施形態の態様によれば、吸入を介してユーザに送達される少なくとも1つの物質の制御放出のための加熱方法であって、少なくとも1つの物質を気化によって放出可能である原材料のパレットを通る空気流であって、第1表面を通ってパレットに入り、パレットの反対側の第2表面を通ってパレットから出る空気流を許容するステップと、第1温度プロファイルに従ってパレットの第1表面に接触する第1加熱要素を加熱するステップと、第1温度プロファイルと異なる第2温度プロファイルに従ってパレットの第2表面に接触する第2加熱要素を加熱するステップと、を有する方法が提供される。
【0054】
いくつかの実施形態では、この方法は、第1加熱要素および第2加熱要素の一方または両方の温度を上昇または低下させることによって加熱を制御するステップを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1温度プロファイルは、第1温度に加熱し、それを一定に維持することを含み、第2温度プロファイルは、第2温度に加熱し、温度を一定に維持することを含み、第1および第2温度は、互いに異なる。
【0056】
いくつかの実施形態では、この方法は、原材料の少なくとも85%を目標温度範囲内に維持するように加熱を制御するステップを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、この方法は、パレットを通る空気流量の変化に応答して、第1加熱要素および第2加熱要素の一方または両方の加熱を修正するステップを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、本方法は、放出される物質の量および物質が放出される持続時間のうちの少なくとも1つを制御するために加熱を制御するステップを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1加熱要素および第2加熱要素を加熱するステップは、原材料の目標温度範囲内に入らない温度にすることである。
【0060】
いくつかの実施形態では、目標温度範囲は、少なくとも1つの物質の気化温度の25℃内の範囲を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1加熱要素および第2加熱要素の加熱は、原材料の燃焼を引き起こさない温度にすることである。
【0062】
いくつかの実施形態では、空気流を許容するステップは、パレットの第1表面および第2表面への横断方向の空気流を許容するステップを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、第1加熱要素および第2加熱要素は、単一の加熱要素の一部である。
【0064】
いくつかの実施形態では、単一の加熱要素はU字形状であり、加熱するステップはU字形状を通って電流を伝導するステップを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、加熱を制御するステップは、パレットを通る空気流量を変化させることによって加熱を間接的に制御するステップを含む。
【0066】
いくつかの実施形態の一態様によれば、原材料と接触する第1電気抵抗加熱要素および第2電気抵抗加熱要素を含む原材料ユニットを受容するように構成された吸入装置において使用可能な加熱モジュールが提供され、原材料ユニットが吸入装置内に受容される場合、原材料ユニットの第1電気抵抗加熱要素および第2電気抵抗加熱要素に係合するように成形および配置された少なくとも2つの電気接点と、第1加熱要素および第2加熱要素を加熱して、原材料の少なくとも85%の温度を目標温度まで上昇させるように、少なくとも2つの電気接点による電流の伝導を制御する回路と、を備え、回路は、第1加熱要素が第1温度になるように加熱を制御し、第2加熱要素が第1温度とは異なる第2温度になるように加熱を制御するように構成される。
【0067】
いくつかの実施形態では、回路は、加熱される原材料を目標温度の±15%の範囲内に維持するように、第1加熱要素および第2加熱要素の加熱を制御するように構成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、回路は、原材料ユニットを通る空気流量に従って、第1加熱要素および第2加熱要素の加熱を制御するように構成される。
【0069】
いくつかの実施形態では、加熱モジュールは、原材料ユニットが吸入装置内に受容された場合、第1加熱要素、第2加熱要素、原材料、または一部のうちの少なくとも1つの温度を測定するように配置された少なくとも1つのセンサを備え、回路は、少なくとも1つのセンサから受信された指示に応答して、第1加熱要素および第2加熱要素の加熱を制御するように構成される。
【0070】
いくつかの実施形態では、回路は、第1加熱要素および第2加熱要素の加熱を制御して、原材料の温度を、少なくとも1つの物質の気化温度の10℃以内の温度範囲まで、2秒以内で上昇させる。
【0071】
いくつかの実施形態では、回路は、第1加熱要素および第2加熱要素の加熱を制御して、0.5秒以上の時間、気化温度範囲内で原材料の温度を安定させ、維持する。
【0072】
いくつかの実施形態では、第1加熱要素および第2加熱要素は、単一の加熱要素の一部であり、回路は、同様の量の電気エネルギーを第1加熱要素および第2加熱要素の両方に送達するように構成される。
【0073】
いくつかの実施形態の態様によれば、加熱モジュールを含む吸入装置と、吸入装置のハウジング内に受容されるような形状およびサイズにされ原材料と接触する第1電気抵抗加熱要素および第2電気抵抗加熱要素を含む原材料ユニットとを備えるキットが提供される。
【0074】
いくつかの実施形態では、原材料は、0.5~1mmの厚さを有するパレットの形態である。
【0075】
いくつかの実施態様において、第1加熱要素及び第2加熱要素によってそれぞれ加熱されるパレットの第1表面と、それに対向する第2表面のそれぞれの表面積は、200~300mm2である。
【0076】
いくつかの実施形態では、パレットの重量は100~150mgである。
【0077】
いくつかの実施形態では、パレットは、空気が流れることを許容する空間を間に挟んで分散された原材料の粒子を含む。
【0078】
いくつかの実施形態の態様によれば、気化によって原材料から放出可能な1つ以上の物質を、吸入装置を介してユーザに送達するための方法であって、吸入装置に配置された原材料の第1表面および第2表面の少なくとも1つを第1温度に加熱するステップと、加熱された原材料の第1表面および第2表面の少なくとも1つの加熱を、その温度が第1温度未満の第2温度に低下するように、減少させるステップと、を含む、方法が提供される。第1温度と第2温度との間の範囲は、原材料の物質の気化温度範囲の50℃以内に原材料を維持する。
【0079】
いくつかの実施形態では、この範囲は、気化温度の25℃以内である。
【0080】
いくつかの実施形態では、この範囲は、気化温度の10℃以内である。
【0081】
いくつかの実施形態では、加熱するステップおよび加熱を減少させるステップは、吸入装置からのユーザの吸入の間である。
【0082】
いくつかの実施形態では、この方法は、第1表面および第2表面に垂直な方向の空気流を許容することを含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、原材料を横切る第1表面と第2表面との間の距離は、0.2~1.00ミリメートルである。
【0084】
いくつかの実施形態では、第1温度は、原材料の燃焼温度未満である。
【0085】
いくつかの実施形態では、第2温度は、原材料の最大温度が加熱中に第1温度を超えないように十分に低い。
【0086】
いくつかの実施形態では、第2温度は、室温より少なくとも50℃高い。
【0087】
いくつかの実施形態では、第1表面および第2表面の少なくとも1つを加熱するステップは、電気抵抗加熱要素である少なくとも1つの加熱要素による。
【0088】
いくつかの実施形態では、本方法は、選択された温度から少なくとも所定の温度値だけ逸脱した場合に加熱を停止するステップをさらに含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、方法は、第2温度に到達した後、原材料を第1温度よりも高い第3温度に到達するように加熱し、次いで、第4温度に到達するように加熱を減少させるステップをさらに含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、第1温度および第2温度のうちの少なくとも1つは、第1物質の気化温度に関連する第1目標温度に従って選択され、第3温度および第4温度のうちの少なくとも1つは、第2物質の気化温度に関連する第2目標温度に従って選択される。
【0091】
いくつかの実施形態では、方法は、第1温度が、第1物質に損傷を与えることが可能な温度未満であることをさらに含む。
【0092】
いくつかの実施形態の態様によれば、吸入によってユーザに物質を送達するための、原材料からの異なる気化温度を有する少なくとも2つの物質の放出を制御する方法であって、原材料に空気流を通過させるステップと、第1物質の気化温度から25℃の範囲内の第1温度に原材料を加熱して、第1物質の放出を生じさせるステップと、原材料を第1温度に加熱するときに実質的に気化しない第2物質の気化温度から25℃の範囲内の第2温度に原材料を加熱して、第2物質の放出を生じさせるステップと、を含む、方法が提供される。
【0093】
いくつかの実施形態では、この方法は、第1温度に加熱するステップと第2温度に加熱するステップとの間の加熱を減少、または終了させるステップを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1物質および第2物質の放出は、時間的に少なくとも部分的に重複する。
【0095】
いくつかの実施形態では、第2物質は、第1物質の放出後の選択された期間だけ放出される。
【0096】
いくつかの実施形態では、空気流を通過させるステップは、原材料を通る空気流量を制御するステップを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1物質および第2物質を選択された比率で放出するように、加熱するステップおよび空気流を通過させるステップは制御される。
【0098】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が関係する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を、本発明の実施形態の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料を以下に記載する。矛盾する場合には、定義を含む特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は、例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0099】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組合せで実行または完了することを含むことができる。さらに、本発明の方法および/またはシステムの実施形態の実際の計装および機器によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、またはオペレーティングシステムを使用するそれらの組合せによって実施することができる。
【0100】
例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装することができる。ソフトウェアとして、本発明の実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装することができる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書で説明する方法および/またはシステムの例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。任意選択で、データプロセッサは、命令および/またはデータを記憶するための揮発性メモリ、および/または、命令および/またはデータを記憶するための、磁気ハードディスクおよび/またはリムーバブルメディアなどの不揮発性記憶装置を含む。任意選択で、ネットワーク接続も同様に提供される。ディスプレイおよび/またはキーボードやマウスなどのユーザ入力装置も、オプションで提供される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、単に例として本明細書に記載される。ここで図面を詳細に特に参照すると、示された詳細は、例としてのものであり、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の実施形態の例示的な議論のためのものであることが強調される。この点に関して、図面を参照した説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0102】
【
図1】いくつかの実施形態による、吸入装置における空気流を示す概略図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、吸入装置の構成要素を示すブロック図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、原材料ユニットの部分分解斜視図である。
【
図4】いくつかの実施形態による原材料ユニットの断面図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、吸入装置における原材料ユニットの熱性能を制御するための方法のフローチャートである。
【
図6A】いくつかの実施形態による、マルチステップ加熱方法を示すグラフである。
【
図6B】いくつかの実施形態による、マルチステップ加熱方法を示すグラフである。
【
図7A】いくつかの実施形態による、1つ以上の物質の放出を制御または影響するための温度プロファイルを選択するための方法のフローチャートである。
【
図7B】いくつかの実施形態による、1つ以上の物質の放出を制御または影響するための温度プロファイルを選択するための方法のフローチャートである。
【
図8A】いくつかの実施形態による、例えば
図6Aおよび
図6Bの温度プロフィールと相関させた、物質放出の例を示すグラフである。
【
図8B】いくつかの実施形態による、例えば
図6Aおよび
図6Bの温度プロフィールと相関させた、物質放出の例を示すグラフである。
【
図9】いくつかの実施形態による、原材料を加熱するための加熱モジュールの概略図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、原材料の制御された加熱のための方法のフローチャートである。
【
図11】いくつかの実施形態による、時間経過による原材料の温度プロファイルのグラフ表示である。
【
図12A-12C】いくつかの実施形態による、パレットの1つまたは2つの表面から原材料パレットを加熱する推定効果を概略的に示す図である。
【
図12D-12E】いくつかの実施形態による、パレットを流れる空気がある場合とパレットを流れる空気がない場合とで、原材料パレットの加熱を比較したグラフである。
【
図13】いくつかの実施形態による、原材料パレットの1つ以上の表面を横切る空気流スキームの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
本開示は、そのいくつかの実施形態では、個人用吸入装置に関し、より詳細には、限定はしないが、吸入装置内の温度を制御することに関する。
【0104】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載され、かつ/または図面に示される構成要素および/または方法の構成および配置の詳細に、その出願が必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0105】
本明細書を通して使用される「原材料ユニット」という用語は、必要に応じて、原材料を含むか、または原材料から構成される用量カートリッジ/チップ/レポジトリおよび/または他の要素を指す。原材料ユニットは、気化温度を有する、それに関連する少なくとも1つの気化可能な物質を送達するための既知の測定された量の原材料を含む。例えば、原材料は、植物性物質、植物性物質、合成キャリアおよび/または不活性キャリア(例えば、セルロースまたは合成ビーズもしくはフィラメント)を含み得るか、またはそれらからなり得る。原材料は、例えば、顆粒、粉末、ビーズ、フィラメント、メッシュまたは有孔材料を含む、その使用に適合する任意の形態または構造であってもよく、またはそれらを含んでもよい。任意選択的に、原材料は、少なくとも1~5kPAの引張真空下で少なくとも0.5リットル/分の気体の流れを許容するという点で、空気に対して透過性である。
【0106】
本明細書で言及される「物質」という用語は、原材料に含有される、および/またはそうでなければ原材料に関連する、または原材料によって運ばれる、1つ以上の天然および/または合成化合物、分子、医薬品、薬物などを含むか、またはそれらからなってもよい。任意選択的に、物質は、1つの形態にある場合、原材料と関連付けられ、加熱および/または気化中に変化を受ける。例えば、カンナビノイドは、酸の形態でカンナビス中に存在し、(例えば、THCAからTHCへ、またはCBDAからCBDへ)加熱されると脱炭酸を受ける。
【0107】
本明細書で使用される「気化温度」は、物質が気化する温度または温度範囲を意味し得る。いくつかの実施形態では、気化温度は、吸入装置の動作素子またはパラメータ(特に、圧力、時間、流量、電流などの他のパラメータ)として含まれる。
【0108】
一般に、本発明の発明者らは、驚くべきことに、原材料ユニットの第1上流表面と第2下流表面との温度が著しく異なり、上流と下流とが、使用中に吸入装置を通る空気流によって画定されることを発見した。いくつかの実施形態によれば、これらの温度は、各表面に接触する抵抗加熱要素(例えば、メッシュ)の温度として測定された。この検出された温度の差は、原材料が平坦化された塊の形であり、空気流が1mm以下の厚さの経路に沿っており、両側に同じ量の電力を送ることによって両表面が同時に加熱されているにもかかわらず発生した。目標の気化温度付近で上流表面の温度を維持するように加熱を制御する場合、温度差は下流表面の著しい過熱につながる可能性があること、目標の気化温度付近で下流表面の温度を維持するように加熱を制御する場合、温度差は上流表面の著しい過熱につながる可能性があることが発見された。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態では、本明細書でより詳細に説明するように、原材料の第1表面(および/または第1表面に隣接し、第1表面に接触する原材料のフィルタ)を、目標温度より高い第1温度に加熱し、次いで、目標温度より低い第2温度で終了する制御された温度低下を有する方法および関連する構造が提案される。
【0110】
いくつかの実施形態では、目標温度は、吸入装置による送達を意図した物質の気化温度である。任意選択的に、目標温度は、気化温度より高い温度である。任意選択的に、目標温度は気化温度未満である。任意選択的に、目標温度は、気化温度よりも高い及び/又は低い選択された範囲内にある。それに加えて、または、その代わりに、気化温度は、原材料の燃焼温度または原材料の一部の燃焼温度より低い温度である。
【0111】
第1温度は、原材料(またはその任意の一部)の燃焼温度未満であるが、任意選択で、原材料中の物質の気化温度を超え、任意選択で、5℃-50℃の間または目標温度を超える10℃-30℃の間の範囲内であるように選択することができる。第2温度は、原材料の最大温度が加熱中に第1温度を超えないように、十分に低くてもよい。任意選択的に、第2温度は、5℃-50℃の間、または物質の目標温度未満の10℃-30℃の間である。
【0112】
いくつかの実施形態では、原材料の第1表面は、上流表面である。そのような実施形態では、第1表面の第1温度および第2温度は、第2(下流の)表面の温度が、第1表面の温度に等しく、および/または第1表面の温度よりも高くなるように選択されるが、(任意選択で)第2(下流の)表面の温度が原材料(またはその任意の部分)の燃焼温度よりも低いように選択される。
【0113】
いくつかの実施形態では、原材料の第1表面は、下流表面である。いくつかのそのような実施形態では、第1表面の第1温度および第2温度は、第2(上流)表面の温度または原材料内の温度が、第1表面の温度に等しく、および/または第1表面の温度よりも低くなるように選択される。第1表面の第1温度および第2温度は、任意選択で、第2(上流)表面の温度または原材料内の温度が、この制御された温度減少ステップの少なくとも50%、70%、80%、90%、95%、または全持続時間にわたって、吸入装置による送達が意図される物質の気化温度よりも高くなるように選択される。
【0114】
なお、所与の温度は、所与の場所で実際に感知された温度、または同じ場所および/または他の場所での温度の感知に従って計算または推定された温度としても良い。任意選択で、所与の温度は、実験中および/または吸入装置の実際の使用中に感知される温度である。
【0115】
本明細書に記載されるように、上流表面および/または原材料および/または下流表面の加熱は、吸入装置によるユーザへの送達のために、原材料ユニット内に位置する1つ以上の物質に適合する目標気化温度を超える、および/または、目標気化温度に達する、および/または、目標気化温度を維持する、および/または目標気化温度に近似することが意図される。
【0116】
いくつかの実施形態では、原材料は、植物材料、例えば、カンナビス(cannabis)および/またはタバコ(tobacco)を含み、活性物質(例えば、THCおよび/またはニコチン(nicotine))は、植物材料を通る植物材料および/または空気流を加熱することによって抽出される。植物材料の他の例としては、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)、アカシア属(Acacia spp.)、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、ヤーへ(Yage)、ベラドンナ(Atropa Belladonna)、ビンロウジュ(Areca Catechu)、チョウセンアサガオ(Brugmansia spp.)、ニオイバンマツリ(Brunfelsia latifolia)、ハイクサネム(Desmanthus illinoensis)、バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi)、トリコケレウス属(Trichocereus spp.)、テオブロマカカオ(Theobroma cacao)、トウガラシ属(Capsicum spp.)、キチョウジ属(Cestrum spp.)、コカ(Erythroxylum coca)、コリウス(Solenostemon scutellarioides)、アルンドドナックス(Arundo donax)、コーヒーノキ(Coffea arabica)、ダツラ属(Datura spp.)、デスフォンタイニア属(Desfontainia spp.)、ディプロプテリス・カブレラナ(Diplopterys cabrerana)、シナマオウ(Ephedra sinica)、バッカクキン(Claviceps purpurea)、ガラナ(Paullinia cupana)、オオバアサガオ(Argyreia nervosa)、ヒヨス(Hyoscyamus niger)、イボガ(Tabernanthe iboga)、ミント(Lagochilus inebriens)、ユスティキア・ペクトラリス(Justicia pectoralis)、スケレチウム・トルトゥオスム(Sceletium tortuosum)、カヴァ(Piper methysticum)、アラビアチャノキ(Catha edulis)、ミトラガイナ(Mitragyna speciosa)、レオノチス(Leonotis leonurus)、スイレン属(Nymphaea spp.)、ネルンボ属(Nelumbo spp.)、テキサスマウンテンローレル(Sophora secundiflora)、ムクナ(Mucuna pruriens)、マンドラゴラ・オフィシナルム(Mandragora officinarum)、ミモザ・テヌイフローラ(Mimosa tenuiflora)、キバナハナヒルガオ(Ipomoea violacea)、シビレタケ属(Psilocybe spp.)、ワライタケ属(Panaeolus spp.)、ニクズク(Myristica fragrans)、タービナ・コリボサ(Turbina corymbosa)、チャボトケイソウ(Passiflora incarnata)、ペヨーテ(Lophophora williamsii)、クサヨシ属(Phalaris spp.)、ピチュリ(Duboisia hopwoodii)、ケシ(Papaver somniferum)、プシコトリア・ウィリディス(Psychotrit viridis)、サルビア・ディビノラム(Salvia divinorum)、サケーナー(Combretum quadrangulare)、トリコケレウス・パチャノイ(Trichocereus Pachanoi)、シニクイチ(Heimia salicifolia)、スティパ・ロブスタ(Stipa robusta)、ソランドラ属(Solandra spp.)、セイヨウオトギリ(Hypericum perforatum)、タベナエモンタナ属(Tabernaemontana spp.)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)、ニコチアナ・ルスティカ(Nicotiana rustica)、ビロラ・セイドラ(Virola theidora)、ボアンガ・アフリカーナ)Voacanga africana)、ワイルドレタス(Lactuca virosa)、ニガヨモギ(Artemisia absinthium)、イェルバ・マテ(Ilex paraguariensis)、アナデナンセラ属(Anadenanthera spp.)、コリナンセ・ヨヒンベ(Corynanthe yohimbe)、カレア・ザカテチチ(Calea zacatechichi)、コーヒー属(アカネ科)(Coffea spp.(Rubiaaeae))、ムクロジ科(Sapindaceae spp.)、ツバキ属(Cameallia spp.)、アオイ科(Malvaceae spp.)、モチノキ科(Aquifoliaceae spp.)、フーディア属(Hoodia spp.)、カミツレ(Chamomilla recutita)、パッシフローラ・インカルナタ(Passiflora incarnate)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、ペパーミント(Mentha piperita)、スペアミント(Mentha spicata)、ヨーロッパキイチゴ(Rubus idaeus)、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)、真正ラベンダー(Lavandula offiCinalis)、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)、レモンバーム(Melissa officinalis)、タバコ(Tobacco)、アロエベラ(Aloe Vera)、アンジェリカ(Angelica)、アニス(Anise)、アヤワスカ(バニステリオプシス・カーピ)(Ayahuasca (Banisteriopsis caapi))、メギ(Barberry)、ブラックホールハウンド(Black Horehound)、ブルーロータス(Blue lotus)、ゴボウ(Burdock)、カモミール(Camomille/Chamomile)、キャラウェイ(Caraway)、キャッツクロー(Cat’s claw)、クローブ(Clove)、コンフリー(Comfrey)、コーンシルク(Corn Silk)、カウチグラス(Couch Grass)、ダミアナ(Damiana)、タンポポ(Dandelion)、エフェドラ(Ephedra)、ユーカリ(Eucalyptus)、マツヨイグサ(Evening primrose)、フェンネル(Fennel)、ナツシロギク(Feverfew)、アメリカヒトツバタゴ(Fringe Tree)、ガーリック(GArlic)、ジンジャー(Ginger)、イチョウ(Ginkgo)、ニンジン(Ginseng)、アキノキリンソウ(Goldenrod)、ゴールデンシール(Goldenseal)、ゴツコラ(Gotu Kola)、グリーンティー(Green tea)、ガラナ(Guarana)、ホーソン(Hawthorn)、ホップス(Hops)、ホーステイル(Horsetail)、ヒソップ(Hyssop)、コーラ・ナッツ(Kola Nut)、ミトラガイナ(Kratom)、ラベンダー(Lavender)、レモンバーム(Lemon baLm)、リコリス(Licorice)、レオノチス(カワンキセワタ)(Lion’s tail(Wild dagga))、マカルート(Maca Root)、マシュマロ(Marshmallow)、メドウスイート(Meadowsweet)、オオアザミ(Milk thistle)、マザーワート(Motherwort)、パッションフラワー(Passion Flower)、ペパーミント(Peppermint)、プリックリー・ポッピー(Prickly poppy)、スベリヒユ(Purslane)、ラズベリーリーフ(Raspcerry leaf)、レッドポッピー(Red poppy)、セージ(Sage)、ノコギリヤシ(Saw palmetto)、マルバキンゴジカ(Sida cordifolia)、シニクイチ(マヤサンオープナー)(Sinicuichi(Mayan Sun Opener))、スペアミント(Spearmint)、スイートフラグ(Sweet Flag)、シリアンルー(ペガヌム・ハルマラ)(Syrian Rue(Peganum harmala))、タイム(Thyme)、ターメリック(Turmeric)、ヴァレリアン(Valerian)、ワイルドヤム(Wild Yam)、ヨモギ(Wormwood)、ヤロウ(Yarrow)、イェルバ・マテ(Yerba Mate)、および/または、ヨヒンベ(Yohimbe)である。植物物質の投薬は、任意選択で、このリストからの植物材料、および/または他の植物材料の任意の組合せを含む。任意に、原材料は、キャリア材料に添加されるかまたはキャリア材料上に適用される1つ以上の合成または抽出された薬物を含み、添加された薬物および/または原材料は、固体材料、ゲル、粉末、カプセル化液体、顆粒化粒子、および/または他の形態であり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態では、原材料は、1つ以上の合成または抽出された薬物が添加または適用された植物材料を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、上流表面および下流表面は、そこを通る空気流を許容するが、原材料(例えば、原材料の粒子)の通過を許容しないように構成されたフィルタまたはフィルタ型構造を含む。いくつかの実施形態では、原材料を通過する空気流は、生成された蒸気またはエアロゾル、例えば、原材料のより上流の部分から放出された物質の蒸気を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、フィルタは、複数の層および/または部分を含み、少なくとも1つは、原材料を維持するように構成され、少なくとも1つは、表面を加熱するように構成される。任意選択的に、上流フィルタ(加熱される原材料の上流)の加熱は、下流フィルタ(加熱される原材料の下流)の加熱および/または冷却を間接的に制御するように制御される。いくつかの実施形態において、上流フィルタ及び下流フィルタは、一体構造であり、単一のフィルタ構造に含まれ、例えば、上流フィルタ及び下流フィルタを機能的に作り出すために、原材料ユニット内の原材料の周囲にU字形状に折り畳まれた構造である。いくつかの実施形態では、上流フィルタおよび下流フィルタは、異なる構造であり、任意選択で物理的に分離されている。
【0119】
いくつかの実施形態では、上流および下流表面の加熱の検知は、各表面を検知するための少なくとも1つの温度センサによって行われる。いくつかの実施形態では、加熱の検知は、上流表面または下流表面上で行われる。いくつかの実施形態では、検知は実行されない。いくつかの実施形態では、加熱は、吸入装置の構成要素である少なくとも1つの加熱要素によって行われる。
【0120】
いくつかの実施形態では、加熱は、原材料ユニットの構成要素によって行われる。任意選択的に、加熱は、吸入装置および原材料ユニットの両方からの少なくとも1つの加熱要素を組み合わせることにより実行される。任意選択で、少なくとも1つの加熱要素は、少なくとも1つの電極、および/または、フィルタもしくはメッシュのような熱伝導性構造、および/または、原材料自身の構造/構成要素である、または、それらを含む。任意選択的に、加熱要素の組み合わせは、吸入装置内の少なくとも1つの電極と、原材料またはその一部と熱伝導接触している少なくとも1つの電気伝導性要素とを含み、その結果、電極を通して電気伝導性要素に電流を流すと、それが加熱され、それによって原材料が加熱される。いくつかの実施形態では、吸入装置は、原材料を加熱するのに十分なエネルギーを供給するための電気接点を備える。任意に、電気接点は、原材料ユニットの電気抵抗要素に電流を伝導させ、それによって原材料を加熱するための少なくとも1つの電極を備える。使用され得る加熱要素の他の任意の例は、例として、レーザー、磁気(例えば、誘導)、赤外線およびマイクロ波を使用した加熱を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、原材料からの1つまたは複数の物質の放出を制御するために、原材料の加熱プロファイルが選択される。いくつかの実施形態では、2つ以上の気化可能な物質(例えば、2、3、5、10の物質、または中間の、より多い、またはより少ない量)が、原材料中に含まれ、それらの放出は、原材料が加熱される温度を制御することによって少なくとも部分的に制御される。加熱プロファイルを制御することによって、放出される物質の種類、放出される物質の量、放出される2つ以上の物質間の比率、放出される物質の持続時間、2つ以上の物質の放出のための相対的なタイミングなどのパラメータを制御することができる。いくつかの実施形態では、加熱プロファイルは、放出可能な物質の熱的および/または化学的および/または構造的特性に従って選択される。例えば、加熱プロファイルは、原材料の温度を急速に上昇させ、それによって、比較的高い速度および/または量で第1物質の放出、ならびに任意選択で異なる特性を有する第2物質の放出を、より低い速度および/または量で生じさせるように選択することができる。別の例では、加熱プロファイルは、原材料の温度を第1物質の気化温度の範囲内にある温度に上昇させ、次いで、任意選択で加熱を減少または終了させ、次いで、温度を第2物質の気化温度の範囲内にある温度に変化させて、第2物質の放出を引き続き生じさせ、および/または、部分的に重複して生じさせ、および/または、第1物質の放出後の選択された期間で生じさせるように選択されてもよい。別の例では、加熱は、原材料から放出される物質のパーセンテージを増加させるように制御され、潜在的に有用性を改善する。
【0122】
いくつかの実施形態では、原材料を通る空気流プロファイルが制御される。任意選択で、空気流プロファイルは、1つまたは複数の物質の放出を制御および/または影響を及ぼすために、加熱プロファイルと同期される。一例では、物質放出を加速するために、原材料を通る空気流量を増加させると同時に温度を上昇させる。
【0123】
いくつかの実施形態では、加熱プロファイルおよび/または空気流プロファイルは、ユーザの1回の吸入の間に2つ以上の物質を吸入ユーザに送達するように制御される。
【0124】
いくつかの実施形態の一態様は、原材料の1つまたは複数の加熱要素の加熱プロファイルを設定することによって、空気が流れることを許容する原材料の制御された加熱に関する。いくつかの実施形態では、2つの加熱要素が、原材料パレットの2つの表面と熱連通して(任意で、接触して)配置される。使用時には、空気は、例えば、第1加熱要素を通って、パレットの原材料を通って、次いで、第2加熱要素を通って流れることが許容される。いくつかの実施形態では、加熱要素の各々の加熱は、例えば、パレットを通る空気流量、パレットの厚さ、原材料の密度、および/または他のパラメータを含むパラメータに従って、加熱のパラメータ(最大温度、加熱率、加熱持続時間、および/または他のパラメータなど)を設定する回路によって制御される。いくつかの実施形態では、加熱要素の加熱は、原材料を目標温度範囲内にもたらし、任意選択で維持するように制御される。任意選択的に、目標温度範囲は、少なくとも1つの選択された物質が原材料から気化する範囲である。
【0125】
いくつかの実施形態では、加熱は、空気流によって引き起こされる冷却および/または加熱効果を補償するように制御される。例えば、空気流は、パレットへの空気流入口に隣接する原材料パレットの層を冷却することができ、例えば、空気流は、第1(上流)加熱要素によって加熱され、それによって、パレットのより多くの下流層が上流層よりも加熱されるようにすることができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、加熱要素の加熱は、例えば、空気流を変化させることによって、例えば、空気流量および/または方向を変化させることによって、間接的に制御される。
【0127】
いくつかの実施形態では、その反対側で加熱される原材料パレット内のモデル化された温度分布は、原材料を目標温度または範囲まで加熱するために必要な温度プロファイルの予測に使用される。モデル化された温度分布は、いくつかの実施形態によれば、パレットを通過する空気流の影響を考慮に入れている。
【0128】
いくつかの実施形態では、反対側の加熱要素は、単一のユニットとして形成される。一例では、反対側の加熱要素は、U字型ユニットのアームを画定する。いくつかの実施形態では、電流は、ユニットを単一のユニットとして加熱するために印加される。いくつかの実施形態では、U字型ユニットの例では、反対側の加熱要素のそれぞれに、例えば、空気流(例えば、パレットを通る)、構造的条件(例えば、加熱要素に近接して配置されたデバイス部品)および/または他の条件を含む様々な条件の結果として、異なる温度が発生する。ユニットが周囲の影響を受けていない場合、両方の加熱要素が同様の温度に加熱されるように、任意に、単一ユニットに加熱が加えられる。任意に、U字型の曲げ部分は、両方のアームからの熱の伝導などにより、より高い温度に加熱される。
【0129】
いくつかの実施形態では、加熱の閉ループ制御が行われる。任意選択で、1つまたは複数の温度センサおよび/または1つまたは複数の流量センサからの指示が制御回路(例えば、デバイスコントローラ)によって受信され、1つまたは両方の加熱要素の加熱が、センサから受信された指示に基づいて開始され、増加され、減少され、維持され、および/または終了される。いくつかの実施形態では、温度の指標は、センサではなく、例えば、装置回路のインピーダンス/伝導率特性や、加熱要素の電気抵抗に基づいて受信される。
【0130】
あるいは、いくつかの実施形態では、加熱は、閉ループ制御下ではなく、またはフィードバックに基づく。そのような実施形態では、加熱は、1つ以上の所定のプロファイルに従って適用されてもよい。任意に、所定のプロファイルは、加熱の持続時間、温度プロファイル(例えば、一定の温度または時間とともに変化する温度)、加熱要素への電力供給を規定する(任意に、加熱要素のそれぞれに対して)。いくつかの実施形態では、加熱プロファイルのパラメータは、データベース、ルックアップテーブル、公式などに従って決定または計算される。任意選択で、加熱プロファイルパラメータは、実験結果に基づいて決定または計算される。
【0131】
本明細書で言及されるように、ある温度への、または温度プロファイルに従った加熱要素の加熱は、加熱要素の実際の温度を上昇または低下させ得る流れまたは空気および/または他の効果がないと仮定して、加熱要素をその温度まで加熱するのに十分なエネルギーを入力することを含み得る。いくつかの実施形態では、加熱要素をある温度まで加熱することは、電気抵抗加熱要素の温度を選択された温度まで上昇させるのに適した電力を供給することを含む。本明細書に記載される実施例は、任意の吸入装置における任意の原材料ユニットについて同様に存在する動作条件下で不均一な熱性能を示す任意の構造に適用され得ることが理解される。
【0132】
図1は、いくつかの実施形態による、吸入装置内の使用位置に配置された原材料ユニット102を有する吸入装置100の概略図である。ユーザ208(
図2に関してより詳細に示され、説明される)に物質を吸収した空気流を送達するように動作する空気流導管104は、原材料ユニット102の下流で、吸入装置100に含まれる。吸入装置100への空気流は、ユーザ208が吸入装置100を吸入し、オリフィス120(その後、空気流113として原材料に入る)への吸入空気流118、および任意選択で、補償空気流調整器106を生成することから生じることを理解され得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、補償空気流122を調整するための補償空気流調整器106が、ユーザ208に送達される空気流116を修正するために、導管104を通る空気流出力に加えて含まれる。いくつかの実施形態では、補償空気流調整器106は、原材料ユニットから出てくる空気流114の中への空気流112を調整するために開放または閉鎖または部分的に閉鎖することができる制御可能な弁108を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、原材料ユニット102の加熱は、予めプログラムされた作動パラメータに従って少なくとも1つの加熱要素を制御するコントローラ212(
図2に関してより詳細に示され、説明される)によって制御される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサ110は、例えば、圧力センサを使用して、空気流または空気流量を示すパラメータを測定および/または検知/検出する。任意に、センサ110がオリフィス120の近くに配置されて、空気流および/または空気流量を検出する。
【0135】
図2は、いくつかの実施形態による、原材料ユニット102の温度を制御するように構成された吸入装置200の、いくつかの任意選択の構成要素を示すブロック図である。装置200は、上流フィルタ402及び/又は下流フィルタ404(例えば、
図4に示すように、同じフィルタの2つの異なる部分とすることができる)の動作温度及び/又は加熱を制御して、原材料ユニット102内の原材料304の所望の加熱を提供するように構成され得る。例えば、原材料の所望の目標温度を達成および/または保持および/または近似するためである。いくつかの実施形態では、目標温度を達成すること、および/または、維持すること、および/または、近似することが、ユーザ208が気化物質を吸入することを可能にするように、原材料ユニット102内の原材料304に関連する1つまたは複数の物質の気化温度に目標温度がリンクされる。
【0136】
いくつかの実施形態では、いくつかの別個の物質が同時に送達され、物質が任意選択で異なる気化温度を有する場合、目標温度は、気化温度の中で最高、最低、またはその間の任意の温度のいずれかであるように、それぞれの気化温度に従って選択されてもよい。最高温度を使用することの利点は、全ての物質のより速い気化であり得る。より低い温度を使用することは、より高い気化温度を有する物質のより効率的でない気化をもたらし得るが、より低い気化温度を有する1つ以上の物質に対する加熱損傷を低減または防止し得る。
【0137】
任意選択で、例えば
図6Aに示す温度プロットに示すように、多段階プロセス600が実行される。いくつかの実施形態によれば、物質ユニットの第1表面は、第1温度(T1)に達するまで加熱される(602)。いくつかの実施形態では、次に、温度を低下させて(604)、第2温度(T2)に到達させる。次いで、いくつかの実施形態では、第1温度よりも高い第3温度(T3)に達するように後続の加熱が実行され(606)、次いで、任意選択で第4温度(T4)に還元され(608)、その後、加熱が任意選択で終了される(610)。この例では、T1およびT2は、第1目標温度、例えば、第1物質の気化温度に従って選択され、T1は、第1物質に損傷を与えることができる温度よりも任意に低い。T3およびT4は、第2目標温度に従って選択され、任意選択で、T3およびT4のうちの少なくとも1つは、より低い気化温度を有する物質に損傷を与えるのに十分に高い。
【0138】
任意選択で、例えば
図6Bに示す温度プロットに示すように、多段階プロセス630が実行される。いくつかの実施形態によれば、物質ユニットの第1表面は、第1温度(T1)に達するまで加熱される(612)。いくつかの実施形態では、次に、温度を低下させて第2温度(T2)に到達させ(614)、次いで、いくつかの実施形態では、第1温度よりも低い第3温度(T3)に到達するように後続の加熱を制御する(616)。
図6Bに示す例では、T3に到達するように制御すること(616)は、(例えば、加熱を短時間停止することによって)急速冷却ステップとして示されているが、T3がT2よりも高い温度である場合には、加熱を実行することができる。いくつかの実施形態では、T3はT2よりも低いが、T2からT3への冷却は、例えば冷却速度を制御するために、加熱が維持されている間に行われる。任意選択的に、T2はT3に等しく、T1とT2との間の勾配のみが、T2とT3との間に示される勾配位相を通過することなく、T3とT4との間の勾配になるように変化する。その後、加熱は、再び第4温度T4まで制御可能に減少され(618)、その後、加熱は、任意に終了される(620)。この例では、T1およびT2は、第1目標温度(例えば、第1および第2物質の両方の気化温度よりも高いことによって、第1および第2物質を効率的に気化させるのに十分に高いT1を有する第1物質の気化温度)に従って選択され、T3およびT4は、より低い気化温度を有する物質のみを効率的に気化させるのに十分に低い第2目標温度(例えば、2つの物質の気化温度の間にあることによって)に従って選択される。
【0139】
いくつかの実施形態では、記載された加熱プロセスは、第1加熱期間中に第1物質および第2物質を気化させ、次いで、第1物質の放出を終了させ、第2物質のみの放出を継続することができる。このプロセスは、物質のそれぞれの放出速度および/または気化温度に従って、第1および第2物質の選択された比率の放出を設計するために利用されてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、原材料ユニット102は、上流フィルタ402および/または下流フィルタ404の加熱に加えて、その代わりに、またはその加熱とは別に、内部から加熱され(例えば、少なくとも1つの加熱要素またはその一部がそこを通って延びる状態で)、原材料ユニットの上流表面および/または下流表面が熱的に制御される。いくつかの実施形態では、上流フィルタ402および/または下流フィルタ404の温度制御は、少なくとも1つのフィルタ402、404に電流を印加することによって達成される(それによって、フィルタは加熱要素としても機能する)。いくつかの実施形態では、電流は、フィルタ402、404の一方または両方と接触している電極214、216を通して印加され、電流制御は、任意選択で、上流フィルタ402および/または下流フィルタ404からの温度感知フィードバックによって少なくとも部分的に調整される。
【0141】
図3および
図4を参照すると、原材料ユニット102内の原材料304の所望の加熱を提供するために採用され得る異なる動作シナリオが存在する。いくつかの実施形態では、傾斜温度性能プロファイルが、任意選択で表面/フィルタのうちの1つの温度検知と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、上流フィルタ402の温度を検知するために、例えば、赤外線センサまたはインピーダンスセンサ等の、上流フィルタ402の近位に配置される。上流フィルタ402に印加される電流は、それを、目標温度よりも高い、一部の実施形態では、第1温度T1まで加熱させる。所定の時間が経過した後、および/または所定の温度に達した、または、それを超えたという指示を検知した後、電流を減少または除去して、上流フィルタ402の冷却を、任意選択で、目標温度よりも低い温度T2に誘導する。任意選択的に、目標温度は気化温度である。原材料ユニット102を通る空気流113と組み合わせて、上流フィルタ402の加熱も、少なくとも部分的には対流による下流フィルタの加熱を引き起こし得ることが理解され得る。いくつかの実施形態では、傾斜した(例えば、より高温からより低温の)プロファイルにおける上流フィルタ402の温度の制御は、下流フィルタ404の温度に影響を及ぼし、したがって、その熱制御を実行する。いくつかの実施形態では、上流表面および下流表面の傾斜した温度プロファイルは、実際には、原材料ユニット102内の原材料304の比較的一定の温度を維持する。
【0142】
第2任意の例では、少なくとも1つの温度センサが、上流フィルタおよび下流フィルタのそれぞれに配置され、各フィルタの検知された温度を使用して、フィルタに印加される電流が、許容可能な温度の予め設定されたウィンドウ内に各フィルタを維持するように調整される。つまり、コントローラ212は、センサの読み取り値を取り、電流が、上流フィルタ402および下流フィルタ404を所定の温度範囲内に維持するのに十分なほど高くなるように、電流を印加することになる。
【0143】
例えば、上流フィルタ402および下流フィルタ404の両方が単一の加熱要素の一部である場合、両方のフィルタから検知した温度のフィードバックの組み合わせに基づいて、両方の温度が所定の範囲内にあるように、要素を通して駆動される電流を制御することができる。代替的に、電流は、同じフィルタに対するセンサ読値に基づいて、温度が第1温度から第2温度までの所定の傾斜を示すように、1つのフィルタ(例えば、上流フィルタ)の温度に影響を及ぼすように制御される。別のオプションでは、電流は、リアルタイムの温度のフィードバックまたは検知を行わずに、事前定義されたパラメータに従って送達される。
【0144】
いずれのシナリオにおいても、上流および下流の表面/フィルタのいずれかまたは両方で温度を検知するために、複数のセンサを使用してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサ(例えば、空気圧センサ)が、吸入装置200内に配置されて、吸入装置200内の空気流および/または空気流を示すパラメータを検出する。任意選択的に、いずれのシナリオにおいても、原材料304の温度は、目標温度(例えば、原材料304内の少なくとも1つの物質の気化温度)の上下で、例えば、10℃~50℃のウィンドウ内で制御されてもよい。任意選択的に、ウィンドウは、気化温度の上下25℃である。任意選択的に、ウィンドウは、気化温度の上下10℃である。任意選択的に、ウィンドウは、気化温度より25℃高く、10℃低い。オプションとして、ウィンドウが対称になり、ターゲット温度が第1温度と第2温度の間で均等になるようにする。あるいは、ウィンドウはターゲット温度の周囲で非対称になる。
【0145】
上述のような上流および下流フィルタの熱制御技術および構造に加えて、任意に、装置200内の空気流が、フィルタ熱制御技術および構造と連動して作動するように制御されてもよい。いくつかの実施形態では、吸入装置200全体の流れは、概して、3つの主な流路に分けることができる。第1流路は、空気流113が原材料ユニット102を通過し、空気流114として出ることを許容する。任意の第2流路は、補償空気流112と第1空気流114を接合する。そして、装置のユーザ208に向かう第3主空気流116が生成される。本明細書に示される概略図では、ユーザ208の吸入は、装置200内への空気流118を生成する。いくつかの実施形態では、原材料ユニット102は、吸入装置200のホルダによって使用位置に保持される。ホルダは、空気流113の少なくとも90%が原材料ユニット102およびその中の原材料を通過して空気流114になるように、および/または、空気流114の少なくとも95%、97%、または、さらに少なくとも99%、または、さらに100%が空気流113からなるように、原材料ユニット102を密閉、または、ほぼ密閉した状態で、空気流113、114と連通して保持するように構成される。いくつかの実施形態では、空気流113の少なくとも98%、または、さらに100%が原材料ユニット102を通過する。例えば、ホルダは、原材料ユニット102を通過する空気流113のみ(または大部分)が、空気流112のみに加えて、装置200のマウスピースに到達するように原材料ユニット102を位置決めすることができる。
【0146】
原材料ユニット102を通る流量を、任意選択で目標性能プロファイルに従って制御するために、および/または一定/安定化された空気流を提供するために、吸入装置200への補償空気流122を動的に管理するために、補償空気流調整器106が任意選択で提供される。いくつかの実施形態では、装置200に入った補償空気流122は、(補償空気流調整器106を介して)原材料ユニット102を既に通過した空気流114に接合するように導かれる。いくつかの実施形態では、原材料304を通るフロー(flow)の目標プロファイルを達成および/または維持するために、フローの動的修正が実行される。任意選択で、ターゲットプロファイルは、例えば、0.5リットル/分(L/min)、1L/min、4L/min、または中間の、より高い、またはより低い流量で、原材料304を通るフローを一定の速度で維持することを含む。任意選択で、原材料304を通るフローのプロファイルは、例えば、直線的に増加する量、直線的に減少する量、および/または任意の他のプロファイルを含む、変化フロープロファイルを含む。
【0147】
図3は、いくつかの実施形態による原材料ユニット102の部分分解斜視図である。任意選択的に、原材料ユニット102は、任意選択的にパレットとして形成される原材料304(例えば、植物材料)を含む。任意選択で、原材料は、粉末または他の接地材料として形成される。任意選択で、原材料は、例えば、0.5~1mm、0.05~0.5mm、0.2~0.8mm、0.5~0.9mm、または中間の厚さ、より大きいまたはより小さい厚さに平坦化される。原材料の平坦化されたパレットの潜在的な利点は、パレットを横切る熱のより統一された分布を達成することを含み得る。平坦化された薄いパレットの別の潜在的な利点は、通過する空気流に対する干渉がより少ないことを含み得る。平坦化された薄いパレットの別の潜在的な利点は、より高い表面積対体積比を含み得、これは、気化を改善し得、例えば、より高い気化速度を可能にする。
【0148】
いくつかの実施形態では、パレットは、気化性物質の気化および吸入を可能にするように選択および/または設計された固体キャリア材料を含み、任意選択で、気化性物質はパレット上に適用される。任意選択的に、気化性物質の塗布は、キャリア材料を物質に浸漬し、噴霧し、および/またはキャリア材料を物質でコーティングすることによって行われる。任意選択で、キャリア材料は、空気透過性マトリックスを含む。任意選択的に、キャリアは、気化性物質と接触したときに、気化性物質に対して、少なくとも、予想される最低貯蔵温度と同程度の低い温度範囲内で、かつ作動温度(例えば、少なくとも1つの物質の気化温度)まで、実質的に非反応性(化学的に不活性)である。蒸気の温度範囲は、おそらくは、いくつかのより大きな信頼範囲(例えば、貯蔵温度未満の50℃から作動温度を超える約50℃まで)を有する。任意選択的に、気化性物質は、液体溶液の形態である。任意選択的に、パレットは溶液に浸漬されて吸収される。
【0149】
いくつかの実施形態では、原材料は、キャビティ306内に配置された、および/またはそうでなければフレームまたは他の適切な構造内に収容された微粒子(例えば、顆粒)である。任意選択的に、原材料ユニット102は、原材料304のための機械的支持体(例えば、任意選択的にフレーム形状であるハウジング308内のキャビティ306内)を備える。任意選択的に、原材料ユニット102は、原材料ユニット102の輸送を容易にするための取り付け要素(例えば、ラッチ下顎310)を備える。任意選択で、原材料ユニット102は、原材料304を気化させるための手段(例えば、電気抵抗加熱要素、任意選択でフィルタ、またはメッシュ、および/または原材料を内部から加熱するために原材料を通過する構造)を備える。
【0150】
いくつかの実施形態では、構築された原材料ユニットにおいて、原材料304は、フィルタ300によって少なくとも部分的に取り囲まれる。原材料、および、それを保持するフィルタのアセンブリは、ハウジング308によって支持され(任意選択で収容され)、それによって、ハウジングのキャビティ306は、空気がフィルタの第1側を通り、原材料を通り、フィルタの反対側の第2側を通って流れることを可能にする。
【0151】
上記に列挙された要素(および
図2に導入された構成要素)の異なる例は、米国特許第9,993,602号、第10,099,020号、第10,008,051号、および第9,839,241号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、ならびにこれらの要素のうちの少なくとも1つを欠く原材料ユニットの実施形態の例を含む、関連出願に記載される。異なる要素の実施形態は、他の組み合わせ(例えば、任意のフレーム設計が提供される任意の加熱要素設計)で組み立てられた原材料ユニットの実施形態において任意に組み合わされることが理解され得る。任意選択的に、使用済みの原材料ユニット102の個々(または任意選択的に一群)は、使用後に排出される。
【0152】
また、マガジンまたはカートリッジなどの複数の原材料ユニット構造を、本明細書に記載の吸入装置のいずれかに設けて、個々の原材料ユニット102が使用されるたびに、マガジンからユーザが使用するために新しいものが供給されるようにすることもできることを理解され得る。任意選択的に、使用済みの原材料ユニット102は、既に使用されているにもかかわらず、原材料ユニット構造内に残る(および、その中の原材料ユニットのすべてが使用された場合、構造全体が廃棄される)。原材料ユニット構造の一例が、カルーセル型マガジンの米国特許第9,993,602号の
図15に示されている。カルーセルが示されているが、マガジンは、直線状(原材料ユニット102が吸入装置内の使用可能な位置に供給されることを除いて、半自動ピストルマガジンのようである)であってもよく、または、ユーザに複数の原材料ユニット102を直列または並列に適宜提供することができることを目的として、任意の他の構成であってもよい。原材料ユニット構造(例えば、カートリッジ、マガジン)の追加の例は、例えば、2つの別個のカルーセル内に保持され、潜在的に同時投与のために配置された原材料ユニットを示す米国特許第10,099,020号の
図10、および原材料ユニットの線形マガジンを概略的に示す米国特許第10,099,020号の
図11に示されるようなものである。
【0153】
いくつかの実施形態では、複数の原材料ユニットが、吸入装置内の動作可能な位置に予め配置され、その結果、原材料ユニットのそれぞれが、個別に活性化され得る。任意選択的に、原材料ユニットは、例えば、ユーザの吸入が検知されたときに、要求に応じて、連続的に作動される。任意選択で、例えば、各原材料ユニットが完全用量未満を含む場合、またはユーザが単一吸入で完全用量を超える投与を所望する場合、および/または各ユニットから異なる物質を送達するために、2つ以上の原材料ユニットが同時に活性化される。
【0154】
任意選択で、原材料ユニット102は使い捨てである。使い捨て原材料ユニット102の潜在的な利点には、廃棄のための原材料および/または残留物質の封じ込め、用量支持体の密接な統合、および気化装置内の信頼できる用量輸送、および/または経時的に性能を低下させる可能性がある条件にさらされる気化装置(気化加熱要素)の部分を維持および/または監視する必要性の低減が含まれ得る。
【0155】
任意選択的に、原材料ユニット102は、単一の吸入で使用するためのものである。単一使用の原材料ユニット102の潜在的な利点は、気化される物質の量を制御する際の精度および/または信頼性を改善すること、汚染および使用損傷に関連する問題を低減することを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、原材料ユニット102または原材料304の寸法は、例えば、露出された表面積にわたって、約6×10mm、約8×8mm、約4×6mm、または中間の、より大きい、またはより小さい寸法である。任意選択で、原材料304は、0.5~1mm、0.2~0.8mm、0.5~0.9mm、または中間の、より大きい、またはより小さい厚さの範囲の厚さを有する。任意に、原材料304(例えば、パレットとして形成される場合)は、使用中に空気流に対して垂直に配置され、空気が原材料304の厚さ全体を流れるようにする。任意選択で、原材料304の厚さは、約0.2~1.0mmの範囲である。任意選択で、原材料304は、1.00mmを超える厚さ、または0.2mm未満の厚さを有することができる。必要に応じて、原材料304の面領域は、20mm2、40mm2、50mm2、60mm2、80mm2、または他のより大きい、より小さい、または中間面領域など、約20~100mm2の範囲内にある。原材料304は、任意に、正方形またはほぼ正方形のパレット形状の構造(例えば、約8×8×1mm、5×5×0.5mm、10×10×2mmまたは中間、より大きいまたはより小さい寸法)に形成される。あるいは、パレットは、長さ対幅の比が、例えば、1:2、1:3、1:4、1:10、または幅の別のより大きい、より小さい、もしくは中間の比を有する長方形の形状を有する。いくつかの実施形態では、パレットは、矩形の形状(鋭いおよび/または丸い角を有する)、または任意の他の形状を備え、空気流は、最短流路を通って材料の最大露出表面間を通過する。任意選択で、原材料を通る空気流路は、原材料の厚さに対応し、例えば、長さ2mm以下、長さ1mm、さらには0.5mm、または別のより長い、より短い、または中間の長さである。任意選択的に、パレットは、例えば、約30×2×1mmの寸法である。いくつかの実施形態において、対応する物質の重量負荷は、約10~25mg(例えば、13.5、15または17mg)である。いくつかの実施形態では、原材料304の物質負荷は、約5~100mgまたは5~25mgまたは10~20mgの範囲内、あるいは同じ、より大きい、より小さい、および/または中間の境界を有する別の範囲から選択される。
【0157】
より大きな機械的安定性のために、フレームハウジング308で原材料304を少なくとも部分的に取り囲むことは、潜在的な利点である。例えば、原材料304を形成するために使用される植物性物質は、原材料304が、特に曲げられ、および/または撹拌された場合に、粒子を落としやすいように、潜在的に脆弱な材料を含む。カートリッジフレーム内のエンクロージャは、原材料304を、原材料304自体に直接応力を加えることなくシステム内で移動させることを可能にし、および/または任意に、カートリッジフレームが原材料304に少なくともいくつかの構造的支持を提供する場合に、それを撹拌に対してより反応しにくいようにする。いくつかの実施形態では、カートリッジの全長および全幅は、約20×10mm、または別のより大きい、より小さい、もしくは中間のサイズである。製造中、フレームハウジングは、パレットの加熱中に放出された揮発性物質を拾い上げるために空気が流れる導管の嵌合閉塞のための正しいサイズのパレットを形成するための潜在的な利点である。
【0158】
いくつかの実施形態では、原材料304に関連する1つまたは複数の物質(例えば、揮発性物質)の気化は、電気抵抗加熱要素(例えば、任意選択でメッシュとして構成されるフィルタ300、または本明細書の他の箇所で説明されるような他の形態の抵抗加熱要素)による加熱を含む。抵抗加熱要素は、任意選択で、実質的な電気抵抗加熱を示す材料、例えば、ニクロム(約1~1.5μΩmの典型的な抵抗率)、FeCrAL(約1.45μΩmの典型的な抵抗率)、ステンレススチール(約10~100μΩmの典型的な抵抗率)、タングステン(約52.8nΩmの典型的な抵抗率)、および/またはキュプロニケル(約19~50μΩmの典型的な抵抗率)を含む。金属の選択によれば、加熱要素の長さおよび幅、金属の厚さ、アパーチャサイズおよび/またはアパーチャパターンなどのパラメータは、例えば、約0.05~1Ω、0.5~2Ω、0.1~3Ω、2~4Ωの範囲、または同じ、より高い、より低い、および/または中間の境界を有する別の範囲内である、抵抗加熱要素を横切る全抵抗を含むように調整される。
【0159】
図4は、いくつかの実施形態による原材料ユニット102の断面図である。いくつかの実施形態では、原材料ユニット102に埋め込まれる原材料304は、フィルタ402である第1上流表面と、フィルタ404である第2下流表面(第1上流表面402に対して原材料ユニット102の表側にある)とを有する。吸入装置の操作および/または使用中、空気流は、表面間の横方向距離を通過し、その中に原材料304が配置される。いくつかの実施態様において、これらの表面は、フィルタ402、404を含むか、又はこれらから形成される。任意選択で、フィルタ402および404は、単一のフィルタ300の一部であり、フィルタの一方の側が原材料の上流に配置され、フィルタの反対側が原材料の下流に配置されるように、原材料ユニット102の上にほぼU字形に折り畳まれる。いくつかの実施形態では、上流フィルタおよび下流フィルタは、別個のユニットである。いくつかの実施形態では、上流表面および下流表面は、フィルタではなく、原材料304自体の表面である。
【0160】
図5は、いくつかの実施形態による、吸入装置200における原材料ユニット102の温度を制御するための方法のフローチャート500である。いくつかの実施形態では、ユーザ208が吸入すると、吸入装置200は、上流表面(またはフィルタ)および下流表面(またはフィルタ)を有する原材料304を通る一定の空気流を適用する(502)ように、空気流を(任意選択で)修正する。加熱(504)は、表面402および/または表面404が第1温度に達するように、直接的および/または間接的に原材料304に適用される。例えば、加熱(504)は、上流表面402を加熱することによって適用され、伝導によって原材料304の加熱を達成する。いくつかの実施形態では、熱は、表面の一方または両方から直接原材料に伝導される。いくつかの実施形態では、熱は、2つの表面を横切って、および/または表面を接続する部分を横切って、例えば、U字形構成で伝導される。任意に、一方または両方の表面402、404は、一方または両方の表面に接触している1つまたは複数の加熱要素を通る電流を駆動することによって加熱される。任意選択で、1つまたは複数の加熱要素は、フィルタまたはその一部を含む。いくつかの実施形態では、下流表面404は、対流(加熱された原材料304を通過する空気流114)によって冷却または加熱されてもよい。任意選択的に、上流表面402は、原材料304内に流れる空気流114による対流によって冷却することができる。
【0161】
いくつかの実施形態では、加熱(504)が達成され、第1温度に達すると、表面402、404の温度を第2温度に下げるように制御される(506)。本明細書の他の箇所で説明されるように、第1温度から第2温度への遷移は、表面402、404のうちの少なくとも1つに対して傾斜した温度プロファイルを生成し、任意選択で、表面402、404の間の原材料ユニット102内の原材料304の少なくとも一部に対して比較的均一な温度プロファイルを生成する。
【0162】
いくつかの実施形態では、(原材料のパレットの厚さを横切る、および/またはパレットの表面を横切るなど)原材料を横切る不均一な(すなわち、変化する)温度分布に到達することが望ましい場合がある。任意選択的に、そのような状況では、上流および/または下流表面の温度プロファイルは、原材料全体にわたる所望の温度分布に従って選択することができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、下流表面404は、下流表面404に電流を直接印加することによって第1温度に加熱される(504)(すなわち、下流表面404が検知され、電流がコントローラ212によって印加されて、表面404の温度を直接制御するが、これは、上流表面402の温度を検知し、上流表面402の温度を制御して、対流および/または伝導によって下流表面404の温度を間接的に制御することとは区別される)。
【0164】
いくつかの実施形態では、第1温度での期間および/または第2温度に遷移する期間および/または第2温度での期間の後に、加熱が終了される(508)。以下、具体例をより詳細に説明する。この期間は、所与の吸入中にユーザに送達される物質の量に比例する場合がある。
【0165】
任意の動作は、例えば、加熱が終了した後に(510)原材料304を通る空気流を許容し(508)、例えば、吸入装置200から原材料残留物を除去すること、および、例えば、原材料ユニット102/原材料304/上流表面402/下流表面404の冷却を容易にするために、吸入装置200を通る空気流を減少または防止すること(512)を含む。いくつかの実施形態では、弁108の閉鎖は、100~500ミリ秒(ms)を要する。任意に、弁108の閉鎖は、最大150~400msを要する。任意に、弁の閉鎖には最大200~300msを要する。任意に、弁の閉鎖に100ms未満を要する。いくつかの実施形態では、弁108は、1秒まで閉鎖されたままである。任意に、弁108は、850msまで閉じたままである。任意に、弁108は、700msまで閉じたままである。いくつかの実施形態では、空気は、原材料304を通って0.5L/m~3L/mの範囲内で流れる。オプションで、0.8L/m~2L/mの範囲で空気が流れる。
【0166】
いくつかの実施形態では、例えば、原材料304としてカンナビスを使用する場合、ユーザ208が吸入を開始すると、吸入装置は、例えば、補償空気流調整器106およびその弁108を使用して、不十分なまたは過剰な空気流を補償し、カンナビスを含む少なくとも原材料ユニット102を通る空気流114を安定化する。いくつかの実施形態では、吸入は、圧力センサ110によって、例えば、吸入装置内の圧力降下(例えば、少なくとも50Paの降下)を検知することによって検知される。いくつかの実施形態では、「安定化気流」とは、設定点、および/または一定時間にわたって、例えば(-300)~(-400)Pa設定点、±35Pa、および、少なくとも150msの範囲を含む、所定のパラメータセット内に空気流があることを意味する。安全性および/または品質管理の理由から、安定化がある時間枠内に達成されない場合(ユーザインターフェース201または医師インターフェース203を介してコントローラ212で設定することができ、または工場で事前にプログラムすることができる)、例えば700msで、吸入装置200の操作は終了し、ユーザ208に警告される。
【0167】
空気流の安定化が達成されると、カンナビノイドを含む物質、特に、カンナビス原材料内のTHCAおよびTHCの少なくとも1つを含む物質をその気化温度まで加熱し、場合によってはそのカルボキシル化を引き起こすことを目的として、原材料ユニット102の加熱が活性化されて、検知される少なくとも上流表面の第1温度T1が200℃で400msに達する。次いで、加熱を制御して、約1220msの端に上流表面を165℃に冷却し(約13.5mgのカンナビス顆粒内に約3mgのTHCおよびTHCAを含有する原材料304中に0.5mgのTHCを送達するため)、その後、加熱を終了する。
【0168】
いくつかの実施形態において、温度が意図されたレベルまで上昇しない場合、および/または温度が意図されたレベルを超える場合、プロセスは、コントローラ212によって終了され得る。任意選択で、ユーザに通知する。任意選択で、ユーザ208は、任意の時点で、例えばユーザインターフェース201を介して、プロセスを終了する能力を提供される。
【0169】
いくつかの実施形態では、加熱は、加熱プロファイルが、および/または、目標温度が、所定の温度値またはパーセンテージ、および/または、温度における所定の時間だけ逸脱している場合に、停止される。例えば、所定の温度値は、選択された温度よりも少なくとも3℃高いか又は低い。任意選択的に、所定の温度値は、選択された温度よりも少なくとも5℃高いかまたは低いか、または選択された温度よりも少なくとも7℃、10℃または15℃高いかまたは低い。いくつかの実施形態では、温度は、逸脱が温度低下期間の長さの少なくとも1%である期間持続する場合、選択された温度から逸脱すると見なされる。任意選択で、温度は、逸脱が、温度低下期間の長さの少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも5%、またはさらには少なくとも10%である期間継続する場合、選択された温度から逸脱すると見なされる。いくつかの実施形態では、逸脱が少なくとも15msの長さである期間持続する場合、温度は、選択された温度から逸脱すると見なされる。任意選択で、逸脱が少なくとも10ms、15ms、またはさらには25msの長さである期間持続する場合、温度は、選択された温度から逸脱すると見なされる。
【0170】
追加的に又は代替的に、加熱は、選択された空気流及び/又は空気圧力パラメータから少なくとも所定の空気流、及び/又は圧力値又はそれを示す測定値だけ逸脱した場合に停止される。いくつかの実施形態では、所定の圧力値は、選択された空気圧力パラメータよりも少なくとも5Pa、少なくとも10Pa、少なくとも15Pa、少なくとも25Pa、またはさらには少なくとも35Pa高い。いくつかの実施形態では、所定の圧力値は、選択された空気圧力パラメータよりも少なくとも5Pa、少なくとも10Pa、少なくとも15Pa、少なくとも25Pa、またはさらには少なくとも35Pa低い。任意に、逸脱が、温度低下期間の長さの少なくとも5%である期間持続する場合、空気流パラメータは、選択された空気流パラメータから逸脱していると見なされる。随意的に、逸脱が少なくとも2%、少なくとも5%、又は更には温度低下期間の長さの10%である期間持続する場合、空気圧力パラメータは、選択された空気圧力パラメータから逸脱すると見なされる。実施形態では、逸脱が少なくとも5msの長さである時間持続する場合、空気圧力パラメータは、選択された空気圧力パラメータから逸脱すると見なされる。任意に、逸脱が少なくとも25msの長さ、少なくとも35ms、少なくとも50ms、又は少なくとも70msの長さでさえある期間持続する場合、空気圧力パラメータは、選択された空気圧力パラメータから逸脱すると見なされる。
【0171】
いくつかの実施形態では、吸入装置200から残留物を洗い流すかまたは除去するために、および/または原材料ユニットの冷却を容易にするために、加熱が終了した後、原材料および/または吸入ユーザのマウントに通じる流路を通る空気流が継続する。
【0172】
いくつかの実施形態では、ユーザ208の吸入開始からパルスの終了までのプロセスは、約3秒以下、約5秒以下、約1.5秒以下、または中間、より長い、またはより短い持続時間である。
【0173】
温度、時間、圧力(まとめて性能プロファイル)は、使用される1つまたは複数の原材料、使用される1つまたは複数の原材料の量、1つまたは複数の原材料および/または原材料ユニットの厚さなどの様々な要因に応じて変化することを理解され得る。特に、異なる材料は異なる気化温度を示すためである。
【0174】
図7A~Bは、いくつかの実施形態による、1つ以上の物質の放出を制御または影響するための温度プロファイルを選択するための方法のフローチャートである。
【0175】
図7Aを参照すると、いくつかの実施形態では、空気流は、原材料(702)を通して、例えば、通気性フレームによって保持または支持された原材料を通ることを許容される。任意選択的に、空気流は、例えば、原材料ユニットと流体連通する導管を介して原材料を通って導かれる。704において、いくつかの実施形態によれば、原材料は、気化によって原材料から少なくとも1つの物質を放出するために加熱される。706において、いくつかの実施形態によれば、原材料を加熱する温度プロファイルは、物質放出の持続時間、放出される物質の量、および任意選択で放出される物質のタイプ(原材料が2つ以上の放出可能な物質を含む場合)のうちの1つまたは複数を制御および/または影響を及ぼすように制御される。
【0176】
いくつかの実施形態では、2つ以上の異なる物質が、同じ原材料から放出される(例えば、カンナビスから放出されるTHC、CBD)。
【0177】
いくつかの実施形態では、1つの物質は、別の物質、例えば、THCおよびTHCA、CBDおよびCBDAの化学誘導体である。
【0178】
いくつかの実施形態では、2つ以上の異なる物質が、任意選択で同じユニットまたはフレーム内に含まれる2つ以上のタイプの原材料から放出される。
【0179】
いくつかの実施形態では、温度プロファイルは、放出される物質のそれぞれの気化温度に基づいて制御される。任意選択で、温度値および/または温度変化の傾向(例えば、上昇、降下)は、物質が放出される時間、物質が放出される持続時間、放出される物質の量を制御または影響する。原材料および/または原材料から放出される物質の熱的および/または化学的特性に従って加熱プロファイルを制御することによって、物質の放出の選択された比率および/または相対的タイミングを含む、物質の所望の組み合わせを放出することができる。
【0180】
図7Bは、いくつかの実施形態による、温度プロファイルを制御することによる物質放出のタイミングに関する。720において、いくつかの実施形態によれば、空気流は、原材料を通ることが許容される(および/または導かれる)。722において、いくつかの実施形態では、原材料は、第1物質を放出し、同時にまたは連続して、同じ原材料から1つまたは複数の追加の物質を放出するように選択された温度プロファイルに従って加熱される。いくつかの実施形態では、第1物質の放出と1つまたは複数の追加の物質の放出との間に重複がある。追加的にまたは代替的に、物質は、任意選択的に間に時間間隔をおいて、次々に放出される。
【0181】
いくつかの実施形態では、原材料を通る空気流(例えば、空気流量、体積)の通過は、物質放出を制御するために、任意選択で加熱プロファイルと同期して制御される。一例では、空気流量を増加させること(例えば、選択された加熱温度に到達した後)は、第2物質の放出に対して、減少された、または、より低い効果を有しながら、第1物質の放出を加速することができる。
【0182】
加熱プロファイルを制御することによって、および/または、原材料を通る空気流プロファイルを制御することによって、2つ以上の物質の放出を制御する潜在的な利点は、物質放出の精度を改善すること、例えば、放出のタイミング、放出される物質の量、放出される物質のタイプに対する改善された制御を提供することを含み得る。この二重制御(空気流プロファイルおよび加熱プロファイルの制御)は、複数の制御パラメータ(例えば、空気流量、空気流の体積流量、加熱速度、最大加熱温度、最小加熱温度、加熱勾配、加熱持続時間、空気流の持続時間、および/または他の制御パラメータ)のセットを提供することができ、パラメータのうちの1つまたは複数の変化は、放出される物質の含有量(タイプ、持続時間、量、比率など)の制御された変化を生成することができる。
【0183】
以下の表は、植物材料、植物材料から放出可能な1つ以上の活性成分、活性成分の融点および活性成分の沸点のいくつかの例を列挙する。融点は、成分が固体状態から液体状態に移動する温度を指すことができ、沸点は、成分が気化する温度を指すことができる。
【0184】
いくつかの実施形態では、加熱は、原材料の温度を融点と沸点との間の温度に上昇させるために適用される。いくつかの実施形態では、この目標温度は、沸点と比較して低すぎる温度(潜在的に成分の放出に必要な時間を増加させる)と、高すぎる温度(例えば、沸点自体または沸点を超える温度)との間のトレードオフとして選択され、放出される成分の量(例えば、短すぎる時間にわたって放出される大量)のオーバーシュートをもたらし得る。
【0185】
いくつかの実施形態では、目標温度は、異なる分子(同じ成分であっても)が異なる時点で沸点に達し、必ずしも完全ではないことを考慮して選択される。一部の分子は、原材料温度が目標温度に達する前に気化することがある。
【0186】
【0187】
図8A~Bは、例えば
図6A~Bに示されるような温度プロファイルと相関する物質放出の例を示すグラフである。
【0188】
図8Aにおいて、温度T1への加熱は、破線によって示される第1物質「A」の放出を生じることが示される。いくつかの実施形態では、放出される物質の量は、T1に到達した後の特定の期間、例えば、1ミリ秒~2秒間、0.5秒~3秒間、0.1秒~1秒間、または中間、T1に到達した後のより長い、または、より短い期間にピーク量801に到達する。任意選択的に、T1からT2に達するまで加熱を減少させると、放出される物質Aの量が徐々に減少し、任意選択的に完全に停止する。これに加えて、またはこれに代えて、この時点で物質Aは完全に放出されており(追加の物質Aが原材料から放出され得ないように)、放出の減少および/または停止を引き起こす。
【0189】
いくつかの実施形態では、物質「B」(実線によって示される)の放出は、示されるように、物質Aが依然として放出されている間に開始する。あるいは、物質Bの放出は、物質Aの放出が停止した後(例えば、物質Aの放出が停止した直後または一定期間後)にのみ開始する。物質Bのピーク量803に達し、この例では、温度T3に達するまで再び加熱した後のある時間に達する。必要に応じて、加熱を減らす(または停止する)(T4またはより低い温度に達する)ことにより、物質Bの放出が減速される。さらに、または代替的に、この時点での物質Bは完全に放出され(その結果、追加の物質Aが原材料から放出されることはない)、放出の減少および/または停止を引き起こす。
【0190】
いくつかの実施形態では、この実施形態に示すように、温度T1は、物質Aの放出を生成するのに十分に高くなるように選択される(任意選択で、物質Aの気化温度に等しいかまたはそれより高く、任意選択で、気化温度の5℃、2℃、10℃、または中間、より大きいかまたはより小さい範囲内にある)。いくつかの実施形態では、温度T1は、例えば、物質Bが物質Aよりも高い気化温度を有する場合に、物質Bの放出を低減または防止するのに十分に低くなるように選択され、任意選択で、示されるように、物質Bは、より高い温度T3(T1よりも高い)に加熱する場合にのみ放出される。任意選択的に、物質Bの放出時に、物質Aの全潜在量が既に放出されているので、温度をT2からT3に上昇させても、物質Aの放出は生じない。
【0191】
追加的にまたは代替的に、いくつかの実施形態では、物質の放出(または放出の防止/低減)は、物質に1つ以上の分子変化を意図的に引き起こすことによって達成される。分子変化のいくつかの例には、脱酸、劣化、加水分解および/または他の分子変化が含まれる。任意選択的に、分子構造の変化は、物質の気化温度に影響を及ぼす。
【0192】
図8Bの例では、温度プロファイルは、比較的多量の物質「C」(破線で示す)の迅速な放出を生成するように選択される。物質「C」の放出は、比較的少量の一定量の物質「D」(実線で示す)の緩やかな放出と、任意的に同時にまたは少なくとも部分的にオーバーラップする。この例では、温度T1まで加熱すると、比較的多量の物質Cが即座に放出され、同時に、物質Dは、より低い速度および/または量で放出される。加熱が徐々に低下すると、物質Cの放出はT2に達した後に密接に停止し、物質Cの放出は、T4に続いて加熱を終了するまで比較的一定の様式で継続する。
【0193】
なお、
図8A~Bの例では、2つの物質の放出を概略的に示すが、より多くの物質(例えば、3、4、6、10、20)または中間の、より多くのまたはより少ない数の異なる物質が放出され得る。任意選択的に、1回のユーザの吸入の間に、2つ以上の物質が放出される。
【0194】
図9は、いくつかの実施形態による、原材料を加熱するための加熱モジュールの概略図である。本明細書に記載されるようなモジュールは、例えば、原材料から放出された1つ以上の物質を吸入ユーザに送達するための吸入装置に実装されてもよい。
【0195】
いくつかの実施形態では、原材料902は、パレットの形態で包装される。いくつかの実施形態では、パレットは、0.5~1mm、0.05~0.5mm、0.2~0.8mm、0.5~0.9mm、または中間の、より大きい、または、より小さい厚さの厚さ904を含む。いくつかの実施形態では、パレットは、任意選択で細かくされた粒子および/または他の方法で処理された粒子を含む。いくつかの実施形態では、原材料は、その微細構造植物構造を無傷で維持する植物物質を含むか、または植物物質から形成される。一例では、原材料は、カンナビストリコーム(cannabis trichomes)を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、粒子は、空気が原材料を通って流れ、任意選択で粒子間を通過することができるように、それらの間に空間をあけて分散される。
【0197】
いくつかの実施形態では、原材料パレットは、1つ以上の加熱要素によって加熱される。いくつかの実施形態では、この例に示されるように、2つの加熱要素906、908は、パレットを2つの反対方向から加熱するように配置される。任意選択的に、各加熱要素は、パレットの表面と接触し、例えば、パレットの表面の少なくとも一部を横切って延在する。
【0198】
いくつかの実施形態では、加熱要素は、電気抵抗要素を備え、例えば、加熱要素と接触するか、または移動して接触する電極を介して、電流が印加されると、加熱するように構成される。いくつかの実施形態では、加熱要素は、例えば、空間または開口部を含むことで、空気が流れることを許容するように成形される。いくつかの例では、加熱要素は、メッシュ(例えばステンレス鋼メッシュ)として形成される。
【0199】
いくつかの実施形態では、コントローラ910は、加熱要素を加熱する1つまたは複数のパラメータ、例えば、加熱の開始、加熱の持続時間、加熱の終了、加熱の増加、加熱の減少、加熱要素の目標加熱温度の設定、原材料自体の目標加熱温度および/または目標温度範囲の設定、および/または他の加熱パラメータを制御するように構成される。
【0200】
いくつかの実施形態では、(加熱要素に電流を伝導することなどによって)加熱要素の加熱を作動させるための電力が、電源912によって供給される。いくつかの実施形態では、コントローラ910は、電源912によって電力供給を制御する。
【0201】
いくつかの実施形態では、センサ914は、加熱要素906、加熱要素908、原材料902、またはそれらの特定の部分のうちの少なくとも1つの温度を測定するように配置され、構成される。いくつかの実施形態では、複数のセンサ(例えば、2、3、5、6、または中間の、より多い、またはより少ない量のセンサ)が使用され、任意選択で、異なる位置に配置される。センサ914は、加熱要素または加熱要素に隣接して配置されてもよく、パレットの内側に配置されてもよく、パレットの表面上に配置されてもよく、および/または加熱要素および/または原材料の一方または両方の温度を測定するのに適した他の位置に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、センサ914は、加熱要素に接触することによって、加熱要素の温度を測定する。いくつかの実施形態では、センサ914は、表面に接触することによって原材料表面の温度を測定する。加えて、または代替的に、センサ914は、加熱要素または原材料表面から例えば0.1~10mmの距離から、加熱要素および/または原材料表面の温度を測定するように構成される。例えば、IRセンサは、加熱要素の温度を検出するために、加熱要素から3mm~20mm、6mm~15mmまたは中間、より大きいまたはより小さい距離の距離に配置される。
【0202】
いくつかの実施形態では、センサ914は、インピーダンスに基づく温度センサ、光に基づく温度センサ、抵抗に基づく温度センサ、赤外線温度センサである。
【0203】
追加的に又は代替的に、加熱要素の抵抗が(例えば、適切な回路を介して)検出され、温度の尺度として使用される。
【0204】
いくつかの実施形態では、コントローラ910は、センサから受け取った指示に従って加熱を制御する。任意選択的に、閉ループ温度制御が実行され、例えば、コントローラが加熱要素の加熱を開始し、加熱要素および/または原材料の一方または両方の温度がセンサによって検出され、温度の指示がコントローラによって受信され、コントローラは、センサからの指示に基づいて、さらなる加熱を設定する、または加熱を停止するように指示する。いくつかの実施形態では、センサは、定期的に、例えば、加熱前/加熱中および/または加熱後の選択された時間に、および/または特定の時間間隔で温度を測定する。オプションで、センサは温度を連続的に追跡する。
【0205】
いくつかの実施形態では、コントローラ910は、加熱要素の一方または両方の加熱を、原材料から1つまたは複数の物質が気化される温度範囲まで原材料を加熱させるのに適した温度に設定する。いくつかの実施形態では、加熱要素906および/または加熱要素908は、それぞれ、原材料の目標気化温度(または温度範囲)とは異なる温度に加熱される。任意選択的に、加熱要素は、互いに異なる温度に加熱される。
【0206】
例えば、低い閾値がT1であり、高い閾値がT2である温度範囲に原材料を加熱するために、加熱要素は、第3温度T3に加熱されてもよい。任意選択的に、T3はT2よりも高い。任意選択で、第2加熱要素は、T3よりも高いかまたは低い第4温度T4に加熱される。
【0207】
一例では、カンナビスからTHCを放出するために、原材料は、温度150℃の、±15℃、±20℃、±30℃または中間、それ以上またはそれ以下の範囲で加熱される。任意選択で、加熱要素は、150℃より高い温度、例えば、170℃、180℃、200℃、210℃、220℃、または中間、より高い、もしくはより低い温度に加熱される。
【0208】
別の例では、カンナビスからCBDを放出するために、原材料は、温度160℃の、±15℃、±20℃、±30℃、または中間、より高い、またはより低い範囲で加熱される。
【0209】
いくつかの実施形態では、加熱要素が加熱される温度は、原材料の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または中間の、より小さい、または、より大きいパーセンテージが、気化温度範囲に加熱されるように選択される。
【0210】
いくつかの実施形態では、加熱要素が加熱される温度は、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または中間の、より小さい、またはより大きいパーセンテージの原材料を、原材料の燃焼温度よりも低い温度に、維持するように選択される。
【0211】
いくつかの実施形態では、加熱要素が加熱される温度は、例えば、気化のために選択された物質のうちの1つ以上よりも高い温度で気化する1つ以上の物質の放出を防止するために、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または中間の、より小さい、またはより大きいパーセンテージの原材料を、最大温度閾値未満に維持するように選択される。
【0212】
いくつかの実施形態では、加熱要素の一方または両方の加熱プロファイルは、原材料を特定の温度、温度範囲、または温度プロファイルに加熱させるように選択される。温度プロファイルは、時間および/または空間において変化し得る。例えば、加熱は、パレットの表面を横切る等、パレットの厚さに沿う、選択された温度分布を得るように制御され得る。例えば、加熱は、時間選択された温度プロファイルを得るように制御されてもよい。一例は、原材料をピーク温度まで加熱するステップと、原材料を選択された温度範囲内に選択された期間(例えば、ユーザの吸入を通じて)任意選択で維持するステップと、次いで、任意選択で加熱を終了するステップとを含むことができる。
【0213】
いくつかの実施形態では、コントローラは、例えば、原材料の特性に基づいて、加熱パラメータ(例えば、ターゲット温度または範囲、加熱の持続時間、加熱の開始および/または終了)を設定するようにプログラムされる。原材料の特性は。例えば、原材料の種類、パレットの厚さ、パレットの表面積、原材料粒子の密度、原材料の充填構成、原材料粒子のサイズ(例えば、直径)、原材料の量である。
【0214】
いくつかの実施形態では、コントローラは、放出された物質を原材料から運ぶ空気流の特性に基づいて加熱パラメータを設定するようにプログラムされる。いくつかの実施形態では、原材料の加熱は、原材料を通る、および/または、原材料を横切る空気の流れによって影響される。例えば、パレットに沿った(例えば、厚さ寸法に沿った)温度分布は、通過する空気の方向、及び/又は、空気の量、及び/又は、空気の体積によって影響を受ける。一例では、空気は、矢印914によって示される方向にパレットを通って流れる。両方の加熱要素が同様の温度(例えば、T3=T4)に加熱される場合、空気流の通過は、下流加熱要素908により近い層を、要素906に向かって、より上流方向に位置する層よりも高い温度に加熱させることができる。場合によっては、これは、空気流による熱の対流および/または原材料による熱の伝導の結果であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、コントローラは、空気流のパラメータを考慮して、原材料を所望の気化温度範囲にするために必要な温度プロファイルを計算するように、予めプログラムされ、および/または構成される。
【0215】
いくつかの実施形態では、加熱要素906は、原材料を加熱することに加えて、原材料に流入する空気を加熱する。空気流のさらなる効果は、原材料部分、例えば、パレットへの気流の入口に位置する部分の冷却を含むことができる。
【0216】
いくつかの実施形態では、コントローラは、パレットおよび/または周囲構造の物理的特性に基づいて、加熱パラメータを設定するようにプログラムされる。物理的特性は、例えば、加熱要素とパレットとの接触表面積、加熱要素間の距離、加熱要素とパレットとの間の距離、加熱要素が存在する場合には、加熱要素とパレットとの間の距離、パレットが受容または保持されるフレームおよび/または他の支持構造の形状、加熱要素(例えば、メッシュ)を形成する材料の電気抵抗/コンダクタンス特性である。
【0217】
いくつかの実施形態では、対向する加熱要素は、例えばU字形状を有する単一ピースとして形成され、U字形状のアームは、パレットの表面を横切って延在する。いくつかの実施形態では、U字形状のアームは、対向する加熱要素を画定する2つの平面部分を接続する。いくつかの実施形態では、使用中に、U字形状の曲げ部分は、最も加熱される(場合によっては、そこを通る空気の流れの不足、熱対流、2つの平面部分からの熱伝導、それを通る、および/または他の原因により加熱される)。いくつかの実施形態では、U字形状の潜在的に過熱される曲げ部分の影響を低減または防止するために、曲げ部分と原材料との接触は、例えば、スペーサ(例えば、パレットを保持するフレームの一部が、曲げ部分とパレットの中間に位置決めされる)によって、低減または防止される。
【0218】
いくつかの実施態様において、単一のユニットとしてU字形状要素に電気を印加する。任意選択で、電流は、U字形状の両方のアーム(アームを形成するメッシュに、およびメッシュを通ってなど)に均等に伝導される。場合によっては、パレットおよび加熱要素を通過する空気流の方向によって、U字の一方のアームが他方よりも加熱される。任意に、U字のアームのみの温度を検知することによって、反対側のアームの温度を計算または推定することができる。いくつかの実施形態では、加熱の制御は、U字の両アーム上の加熱要素の実際の温度におけるこの予め知られている差を考慮に入れる。
【0219】
図10は、いくつかの実施形態による、原材料の制御された加熱のための方法のフローチャートである。
【0220】
いくつかの実施形態では、気化によって原材料から1つまたは複数の物質を放出するために、原材料の加熱の前、および/または、原材料の加熱の、間および/または、原材料の加熱の後に(例えば加熱の直後に)、空気流は、原材料に渡され、いくつかの実施形態では原材料を通って通過する。
【0221】
いくつかの実施形態では、空気流は、原材料(1002)に許容し、および/または導かれる。任意に、空気流は、例えば、パレットの片側に入り、パレットの反対側から出る(例えば、パレットの厚さ寸法に沿って流れる)ようにして原材料を通過する。加えて、または代替的に、空気流はパレットの1つまたは複数の表面を横切って流れる。任意選択で、パレットの1つまたは複数の表面は、空気流が放出された物質の気化ガスを拾い上げることができるように、少なくとも部分的に露出される。
【0222】
いくつかの実施形態では、原材料の第1加熱要素は、第1温度まで加熱される、または第1温度プロファイルに従って加熱される(1004)。任意選択で、加熱要素は、選択された温度に達するまで加熱され、選択された温度は、いくつかの実施形態では、経時的にさらに一定に維持することができる。任意選択的に、加熱要素は、例えば、特定のタイミングで到達されるべき複数の温度を含む、変化する温度プロファイルに従って加熱される。
【0223】
いくつかの実施形態では、加熱要素は、原材料の目標温度とは異なる、および/または原材料の目標温度範囲とは異なる(すなわち、その範囲内に入らない)温度に加熱される。いくつかの実施形態では、原材料の目標温度または目標温度範囲は、1つまたは複数の選択された物質が原材料から気化する温度または範囲を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、原材料の2つ以上の加熱要素が加熱される。1006において、いくつかの実施形態によれば、原材料の第2加熱要素は、第2温度まで加熱される、または第2温度プロファイルに従って加熱される。いくつかの実施形態では、第2温度または第2温度プロファイルは、第1加熱要素が加熱された温度またはプロファイルとは異なる。例えば、1つの加熱要素は、他の加熱要素よりも少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも60%、少なくとも80%高い温度に加熱される。例えば、1つの加熱要素は、他の加熱要素よりも高い、少なくとも5℃、少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも70℃、少なくとも100℃または中間の温度に加熱される。例えば、一方の加熱要素は、加熱を増加させ、次いで停止させることによって加熱され、他方の加熱要素は、連続的に加熱される。例えば、一方の加熱要素は、他方の加熱要素の前に加熱される。
【0225】
任意に、2つ以上の要素の加熱は、原材料を目標温度または範囲に正確に加熱するために同期または相関される。例えば、2つ以上の加熱要素の加熱のタイミングが設定され、加熱要素の各々についての温度プロファイルが設定される。ここで、本明細書で前述したように、温度プロファイルは、加熱要素の各々について異なってもよい。
【0226】
いくつかの実施形態では、加熱は、任意選択で、原材料を目標温度または目標温度範囲内に維持するように制御される(1008)。いくつかの実施形態では、目標温度または範囲は、放出される物質の量に応じて、かつ、物質放出速度を考慮して選択された持続時間にわたって維持される。いくつかの実施形態では、目標温度または範囲は、ユーザの吸入と同じ長さの持続時間にわたって維持される。いくつかの実施形態では、目標温度または範囲は、原材料から全ての潜在的な物質を放出するのに必要な限り維持される。
【0227】
いくつかの実施形態では、加熱は、パレットの実質的にすべての部分が目標温度または範囲に加熱されることを確実にするように制御される。任意選択的に、加熱は、例えば、より高い温度で気化する物質の放出を防止または低減するために、および/または、原材料またはその成分の燃焼を防止または低減するために、物質のいかなる部分も規定された最大閾値を超える温度まで加熱しないことを確実にするように制御される。
【0228】
いくつかの実施形態では、加熱の制御は、加熱要素の温度、原材料または、その一部の温度、周囲のパレットの温度、流量、気化速度、および/または他の表示に関する表示を提供する1つまたは複数のセンサを使用して実行される。
【0229】
いくつかの実施形態では、加熱を制御することは、加熱要素を加熱するために入力されるエネルギーの量を増加および/または減少させることを含む。任意に、加熱要素への電力供給が変更される。任意に、加熱要素に印加される電流(例えば、電極を介して)は、修正される。
【0230】
いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載されるようなシステム(例えば、システムコントローラ)は、加熱のパラメータを自動的に設定する。いくつかの実施形態では、パラメータは、ルックアップテーブルに従って設定され、このテーブルでは、パレットを通る空気流量、パレットの厚さ、使用される原材料の密度、および/または1つ以上の加熱要素を加熱するための温度プロファイルを伴う他のパラメータなどのパラメータ間のいくつかの例における結びつきが含まれる。
【0231】
いくつかの実施形態では、加熱は、ルックアップテーブルに基づいて修正される。例えば、パレットを通る空気流量の変化に応答する。コントローラは、例えば、加熱要素の温度を低減または上昇させることによって、加熱要素の加熱プロファイルを修正することができる。
【0232】
図11は、いくつかの実施形態による、時間経過に伴う原材料の温度プロファイルのグラフ表示である。
【0233】
示された例では、0秒での加熱の開始時に、原材料は、破線の間に示された範囲である目標温度または目標温度範囲に達するように(任意選択的に線形または線形に近い方法で)加熱される。
【0234】
いくつかの実施形態では、加熱は、室温または周囲温度、例えば、25℃、20℃、18℃または中間の高温または低温からである。
【0235】
いくつかの実施形態では、原材料は、例えば、1.5秒未満、1秒未満、0.8秒未満、0.5秒未満、または中間、より長い、またはより短い時間内に、目標温度または範囲まで急速に加熱される。いくつかの実施形態では、原材料は、200~600ミリ秒の加熱、例えば、300、400、500ミリ秒以内の加熱で、目標温度(任意選択で気化温度)に加熱される。
【0236】
いくつかの実施形態では、加熱の次の段階で、原材料が目標温度または目標範囲に達したとき、原材料を目標範囲内に維持するように加熱が制御される。いくつかの実施形態では、加熱は、0.5秒~10秒の間の期間、例えば、2秒、4秒、6秒、または中間の、より長い、またはより短い期間の間、原材料を目標温度範囲内に維持するために適用されてもよい。示された例では、加熱は、約2秒間(秒1と秒3との間)の期間、原材料を目標範囲内に維持するように制御される。任意選択的に、温度が目標範囲に維持される期間は、装置からのユーザの1回の吸入と同じ長さである。
【0237】
いくつかの実施形態では、目標範囲内の原材料の温度を維持するための持続時間は、ルックアップテーブルを使用して選択される。例えば、ルックアップテーブルは、異なる持続時間を、放出される物質の異なる量と結びつける。例えば、ルックアップテーブルは、異なる持続時間を、送達される物質のタイプと結びつける。例えば、ルックアップテーブルは、例えば、年齢、性別、身体状態、治療されている状態などに基づいて、ユーザの1つ以上の個人的な特性、および、任意選択で、ユーザの予想される吸入持続時間と、異なる持続時間とを結び付ける。
【0238】
いくつかの実施形態では、装置は、例えば、異なる投与計画のために、予め規定された加熱プロファイルでプログラムされる。例えば、第1加熱プロファイルは、1100~1900ミリ秒、1200~1600ミリ秒、1000~1500ミリ秒、または中間、より長い、またはより短い持続時間の間、原材料を目標温度範囲内に維持するように設定される。
【0239】
いくつかの実施形態では、原材料を目標温度範囲に維持するために、加熱要素は、任意選択的にサイクルで、加熱され、かつ/または冷却されてもよい。
【0240】
いくつかの実施形態では、加熱は、次いで冷却を可能にするために、低減されるか、または終了される。いくつかの実施形態では、冷却を潜在的に加速するために、空気流量が増加される。いくつかの実施形態では、冷却を潜在的に加速するために、異なる方向からの空気流(例えば、原材料ユニットの長さにわたる空気流)が追加される。
【0241】
いくつかの実施形態において、1つ以上の選択された物質の気化温度を含むように設定される目標温度範囲のいくつかの例は、カンナビスからのTHCのための150℃の±20℃の気化範囲、カンナビスからのCBDのための160±20℃の気化範囲、タバコからのニコチンのための250~350℃の気化範囲を含んでもよい。
【0242】
原材料から放出される物質の他の例およびそれらのそれぞれの放出条件は、例えば、タイトルが「METHOD AND INHALER FOR PROVIDING TWO OR MORE SUBSTANCES BY INHALATION」である、PCT公開WO2019/159170に記載されているようなものであり、例として表1~5を参照されたい。
【0243】
図12A~Cは、一部の実施形態に従い、パレットの1つ又は2つの表面からの原材料パレットを加熱することの推定効果を模式的に説明している。いくつかの実施形態では、加熱は、原材料内の予想される熱分布パターンに従って行われる。予想されるパターンは、いくつかの実施形態では、実験の結果(実験室で行われる温度測定など)に基づいて推定される。
【0244】
いくつかの実施形態では、原材料パレット1202内の熱分布パターンは、この例では矢印1204で示される方向にパレットを流れる空気によって影響される。
【0245】
図12Aは、いくつかの実施形態に従った、上流に位置する加熱要素1206を加熱する効果を示す。加熱された加熱要素に隣接する層の原材料は、対向する加熱要素1208(この例では、加熱されていない)の下流により近くに位置する層よりも高い温度に達するように示されている。
【0246】
図12Bは、下流加熱要素1208を加熱する効果を示す。要素1208に隣接する原材料層は、加熱要素1206により近い、上流に位置する層よりも高い温度に到達するように示される。原材料を通る空気の通過および流れの方向のために、この加熱構成における要素1206により近い層は、
図12Aにおける要素1208により近い層と比較して、より低い温度に加熱される。
【0247】
図12Cは、両方の加熱要素1206および1208を同様の温度に加熱する効果を示す。両方の加熱要素に隣接する層は、任意選択的に、同様の程度に加熱されるが、空気が原材料を通過すること及び流れの方向のために、上流端により近いより中心の層は、周囲の層と比較して、低減された温度を有することができる。従って、空気流の通過により、両加熱要素を同様の温度に加熱した場合でも、不均一で自然に均一でない温度分布パターンが存在する。
【0248】
上記に鑑みて、いくつかの実施形態では、加熱要素の一方または両方の加熱は、原材料内部の予想される、任意選択で不均一な温度分布を考慮して制御される。
【0249】
一部の実施形態では、温度分布パターンは、原材料内の実際の温度分布の予測に使用される。
【0250】
図12D~Eにより、いくつかの実施形態に従った、パレットを通って空気流が存在する場合と、パレットを通って空気流が存在しない場合との、原材料パレット1210の加熱をグラフで比較する。グラフには、パレットの寸法Xに沿った温度分布が表示される。これは、パレットの厚さを表している。
【0251】
図12Dによると、空気流が存在しない場合、パレットの対向する2つの表面でパレットを加熱すると、時間の経過とともに、加熱要素(破線で示される)により近い原材料層が潜在的に同様の程度(加熱要素の同一の加熱を仮定する)に加熱される一方、より多くの中央層がより低い程度に加熱される温度分布が生成される。
【0252】
図12Eによると、パレットの片側を通って入り、反対側を通って出る空気流の存在は、例えば、空気が流れ込むパレット側に隣接する層に起因する冷却のために、温度分布を変化させる。
【0253】
図13は、いくつかの実施形態に従う、原材料パレットの1つ以上の表面にわたる空気流スキームの概略図である。
【0254】
いくつかの実施形態では、空気流は、パレットの長い寸法に沿って通過することを許容れ、および/または、導かれる。いくつかの実施形態では、長い寸法に沿った流れは、短い寸法に沿った流れ(例えば、パレットの厚さにわたって)に追加される。任意選択で、加熱および/または空気流は、パレットの表面のそれぞれについて独立して制御される。任意選択的に、加熱要素の各々の加熱は、別々に制御される。任意に、各加熱要素を横切る空気流は、別々に制御される。
【0255】
いくつかの実施形態では、流れは、パレットの長い寸法に沿うのみである。
【0256】
いくつかの実施態様では、空気流1300は、パレット1302の表面を横切って、例えば、上面を横切って、および/またはパレットの底面を横切って通過するように指向される。いくつかの実施形態では、空気流は、加熱要素1304および/または1306を横切って導かれ、かつ/または許容される。任意選択で、空気流は、パレットから放出された1つまたは複数の物質の気化ガス、例えば、加熱要素(例えば、メッシュの形態の加熱要素)の開口を通って放出された気化ガスを拾い上げる。
【0257】
いくつかの実施形態では、空気流の方向(例えば、パレットの水平軸に沿って、右から左または反対の方向)が制御される。いくつかの実施形態において、水平軸に沿った流れの方向は、パレットの両側について同様である。あるいは、水平軸に沿った流れの方向がパレットの各辺で異なる。
【0258】
本出願から成熟する特許の存続期間中に、多くの関連する吸入装置および/または原材料ユニット/用量カートリッジが開発されることが予想され、これらの用語の範囲は、このような新しい技術の全てを先験的に含むことが意図される。
【0259】
用語「含む」、「備える」、「有する」、およびそれらの複合体は、「含むが、これに限定されない」を意味する。
【0260】
「から成る」という用語は、「含むがこれに限定される」を意味する。
【0261】
「から本質的になる」という用語は、組成物、方法または構造が、追加の成分、工程および/または一部を含んでもよいが、追加の成分、工程および/または一部のが、特許請求される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0262】
本明細書で使用される「複数の」とは、2つ以上を意味し、本明細書で使用される場合、単数形は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の言及を含む。例えば、用語「化合物」または「少なくとも1つの化合物」は、それらの混合物を含む複数の化合物を含むことができる。
【0263】
本出願を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲フォーマットで提示されてもよい。範囲形式での説明は、単に便宜および簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内のすべての可能な部分範囲ならびに個々の数値を具体的に開示したものとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などのサブ範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、および6などを具体的に開示したサブ範囲を有すると考えるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0264】
本明細書で使用される「方法」という用語は、化学、薬理学、生物学、生化学、および医学の分野の実務者によって知られているか、または知られている方法、手段、技法、および手順から容易に開発される方法、手段、技法、および手順を含むが、これらに限定されない、所与のタスクを達成するための方法、手段、技法、および手順を指す。
【0265】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴は、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで、または本発明の任意の他の説明された実施形態で適切なものとして提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしで動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0266】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者には明らかであろうことは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲内にある、そのような代替、修正、および変形のすべてを包含することが意図される。
【0267】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許または特許出願が、参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。さらに、本出願における任意の参考文献の引用または同定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを容認するものとして解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用される限り、それらは必ずしも限定するものと解釈されるべきではない。さらに、本出願の任意の優先権文書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
含む加熱方法に関する。