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特許7480171モジュール式外科用システムのための自動超音波エネルギー起動回路設計
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】モジュール式外科用システムのための自動超音波エネルギー起動回路設計
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021557282
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 US2019049970
(87)【国際公開番号】W WO2020204987
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】62/826,588
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/562,162
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/826,584
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/826,592
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】キャロル・アンドリュー・ダブリュ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/180428(WO,A1)
【文献】特開2000-271144(JP,A)
【文献】特表2014-500063(JP,A)
【文献】特表2012-533346(JP,A)
【文献】特表2016-537129(JP,A)
【文献】特表2006-525036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用システムであって、
超音波外科用器具を備え、前記超音波外科用器具が、
ハウジングと、
超音波トランスデューサと、
制御回路と、
クランプジョー及び超音波ブレードを備えるエンドエフェクタであって、前記超音波ブレードは前記超音波トランスデューサに音響的に結合されている、エンドエフェクタと、
前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の組織の存在を感知し、前記制御回路に信号を提供するように構成された容量性タッチセンサであって、前記信号が、前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の前記組織の存在を示す、容量性タッチセンサと、
前記超音波トランスデューサに連結された発生器であって、前記超音波ブレードに治療用超音波エネルギーを送達するように構成された発生器と、を備え、
前記クランプジョーが、導電性素子を備え、
前記制御回路が、前記導電性素子と前記超音波ブレードとの間に非治療エネルギーを供給して、前記組織の容量を充電しつつ、前記容量性タッチセンサが、前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の前記組織の存在を感知して、前記制御回路に前記信号を提供し、
前記制御回路が、前記信号に基づいて、前記発生器を起動して、前記治療用超音波エネルギーを前記超音波ブレードに印加するように構成されている、外科用システム。
【請求項2】
前記容量性タッチセンサが、前記ハウジングに位置付けられている、請求項1に記載の外科用システム
【請求項3】
前記容量性タッチセンサが、前記超音波ブレードに面する前記クランプジョー上に位置付けられている、請求項1に記載の外科用システム
【請求項4】
前記制御回路と前記容量性タッチセンサとの間に結合された電気導体を更に備え、前記制御回路が、前記容量性タッチセンサに電力を供給するように構成されている、請求項3に記載の外科用システム
【請求項5】
前記導電性素子が、前記容量性タッチセンサに結合されている、請求項に記載の外科用システム
【請求項6】
前記制御回路が、前記治療用超音波エネルギーを前記超音波ブレードに印加している際に、前記制御回路が前記信号を受信しなくなると、前記制御回路は、前記治療用超音波エネルギーを前記超音波ブレードに印加することを停止する、請求項に記載の外科用システム
【請求項7】
前記導電性素子が、導電性パッドである、請求項5に記載の外科用システム
【請求項8】
前記導電性素子が、パッドに統合された電極である、請求項5に記載の外科用システム
【請求項9】
前記容量性タッチセンサが、第1の容量性タッチセンサであり、前記超音波外科用器具が、第2の容量性タッチセンサを備える、請求項1に記載の外科用システム
【請求項10】
前記第1の容量性タッチセンサが、前記クランプジョー上に位置付けられており、かつ前記超音波ブレードに面し、前記第2の容量性タッチセンサが、前記超音波ブレード上に位置付けられており、かつ前記クランプジョーに面する、請求項9に記載の外科用システム
【請求項11】
前記信号が、前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の前記組織の存在を示す第1の信号であり、前記第2の容量性タッチセンサが、前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の前記組織の存在を示す第2の信号を提供するように構成されている、請求項10に記載の外科用システム
【請求項12】
前記制御回路は、前記制御回路が前記第1の信号及び前記第2の信号の両方を同時に受信することに基づいて、前記超音波ブレードに前記治療用超音波エネルギーを印加するために、前記超音波トランスデューサに電気エネルギーを供給するように前記発生器を制御するように更に構成されており、前記制御回路は、前記制御回路が前記第1の信号又は前記第2の信号のうちの1つのみを受信することに基づいて、前記発生器への電気エネルギーの供給を停止するように前記発生器を制御するように構成されている、請求項11に記載の外科用システム
【請求項13】
超音波外科用器具の超音波ブレードに治療用超音波エネルギーを自動的に供給するための超音波外科用器具の制御回路の動作方法であって、
前記超音波外科用器具が、
ハウジングと、
超音波トランスデューサと、
前記制御回路と、
クランプジョー及び前記超音波ブレードを備えるエンドエフェクタであって、前記超音波ブレードは前記超音波トランスデューサに音響的に結合されている、エンドエフェクタと、
前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の組織の存在を感知し、前記制御回路に信号を提供するように構成された容量性タッチセンサであって、前記信号が、前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の前記組織の存在を示す、容量性タッチセンサと、
前記超音波トランスデューサに連結された超音波発生器であって、前記超音波ブレードに前記治療用超音波エネルギーを送達するように構成された超音波発生器と、を備え、
前記クランプジョーが、導電性素子を備え、
前記制御回路が、前記導電性素子と前記超音波ブレードとの間に非治療エネルギーを供給して、前記組織の容量を充電しつつ、前記信号を前記容量性タッチセンサから受信することと、
前記制御回路前記信号に基づいて、前記超音波発生器から前記超音波ブレードに連結された前記超音波トランスデューサに前記治療用超音波エネルギーを方向付けることと、を含む、超音波外科用器具の制御回路の動作方法。
【請求項14】
前記容量性タッチセンサが前記超音波ブレードに面する前記クランプジョー上に位置付けられている、請求項13に記載の超音波外科用器具の制御回路の動作方法。
【請求項15】
前記容量性タッチセンサが、第1の容量性タッチセンサであり、
前記超音波外科用器具が、第2の容量性タッチセンサを備え、
前記第1の容量性タッチセンサが、前記超音波ブレードに面する前記クランプジョー上に位置付けられており、
前記第2の容量性タッチセンサが、前記クランプジョーに面する前記超音波ブレード上に位置付けられている、請求項13に記載の超音波外科用器具の制御回路の動作方法。
【請求項16】
前記制御回路が、前記治療用超音波エネルギーを前記超音波トランスデューサに方向付けしている際に、前記制御回路が前記信号を受信しなくなると、前記制御回路は、前記治療用超音波エネルギーを前記超音波トランスデューサに方向付けすることを停止する、請求項13に記載の超音波外科用器具の制御回路の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年9月5日に出願された「AUTOMATIC ULTRASONIC ENERGY ACTIVATION CIRCUIT DESIGN FOR MODULAR SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許非仮出願第16/562,162号の利益を主張し、その開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願はまた、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月29日に出願された「MODULAR SURGICAL PLATFORM ELECTRICAL ARCHITECTURE」と題する米国仮特許出願第62/826,584号の利益も主張する。
【0003】
本出願はまた、2019年3月29日に出願された「MODULAR ENERGY SYSTEM INSTRUMENT COMMUNICATION TECHNIQUES」と題する米国仮特許出願第62/826,588号の利益も主張し、その開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本出願はまた、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月29日に出願された「MODULAR ENERGY DELIVERY SYSTEM」と題する米国仮特許出願第62/826,592号の利益も主張する。
【背景技術】
【0005】
本開示は、モジュール式電気外科及び/又は超音波外科システムを含む、様々な外科システムに関する。手術室(operating room、OR)は、各外科処置を完了するために必要とされる異なる装置の数に起因する、コード、装置、及び人の絡み合った網であるため、ORは合理化された資本解決策を必要としている。これは、世界中のあらゆる市場の全てのORの現実である。資本設備は、大抵の資本設備が1つのタスク又はジョブを実施し、資本設備の各タイプが、使用するための固有の技術又は方法を必要とし、固有のユーザインターフェースを有するので、OR内に混乱を生み出す主な原因となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、OR内の設備の設置面積を減少させ、設備のインターフェースを合理化し、外科スタッフが操作する必要のある装置の数を減少させることによって、外科処置中の外科スタッフの効率を改善するために、資本設備及び他の外科技術を統合するという、満たされていない消費者のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
外科用システムが、超音波手術器具を備え、超音波手術器具は、導管と、超音波トランスデューサと、制御回路と、クランプジョーと超音波ブレードとを備えるエンドエフェクタであって、超音波ブレードが超音波トランスデューサに音響的に連結されている、エンドエフェクタと、クランプジョーと超音波ブレードとの間の組織の存在を感知し、制御回路に信号を提供するように構成された容量性タッチセンサであって、信号が、クランプジョーと超音波ブレードとの間の組織の存在を示す、容量性タッチセンサと、超音波トランスデューサに連結された発生器であって、治療用超音波エネルギーを超音波ブレードに送達するように構成されている発生器と、を備え制御回路は、クランプジョーと超音波ブレードとの間の組織の存在を示す信号に基づいて、発生器を起動して、超音波治療エネルギーを超音波ブレードに印加するように構成されている、超音波器具。
【0008】
超音波外科用器具の超音波ブレードにエネルギーを自動的に供給するための外科用器具の方法であって、外科用器具の制御回路によって、外科用器具の容量性タッチセンサに非治療エネルギーを送達することと、容量性タッチセンサによって、導電性組織から容量性読み取り値を受信することと、容量性タッチセンサによって制御回路に、容量性読み取り値を受信することを示す信号入力を送信することと、制御回路によって、超音波発生器から超音波ブレードに連結された超音波トランスデューサにエネルギーを方向付けることと、を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
構成及び操作方法の両方に関して本明細書で説明する様々な態様は、それらの他の目的及び利点とともに、以下の説明を以下の添付図面と併せて参照することで最良に理解され得る。
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのブロック図である。
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、手術室内で外科処置を実施するために使用される外科システムである。
図3】本開示の少なくとも1つの態様による、可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブである。
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブエンクロージャ、及び外科用ハブエンクロージャのドロアー内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールの部分斜視図である。
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、双極接点、超音波接点、及び単極接点、並びに排煙構成要素を備える組み合わせ発生器モジュールの斜視図である。
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジングの複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された垂直モジュール式ハウジングを示す。
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科手術のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に位置しているモジュール式装置をクラウドに接続するように構成されたモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワークを示す。
図9】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムを示す。
図10】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを備える外科用ハブを示す。
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)ネットワークハブ装置の一態様を示す。
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの制御システムの論理図を示す。
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路を示す。
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す。
図15】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を実施するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、本明細書で記載される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具の概略図である。
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具の概略図である。
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式通信ハブを備える外科用データネットワーク内で適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを実行するように構成されたシステムである。
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器の一例を示す。
図22】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器及び発生器とともに使用可能な様々な外科用器具を備える外科システムである。
図23】本開示の少なくとも1つの態様による、状況認識外科システムの図である。
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式エネルギーシステムをカスタマイズするために組み合わせることができる様々なモジュール及び他の構成要素の図である。
図25A】本開示の少なくとも1つの態様による、ヘッダモジュールと、ヘッダモジュールに接続されたモジュールに関する情報を中継するためのグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)をレンダリングするディスプレイスクリーンと、を含む、第1の例示的なモジュール式エネルギーシステム構成である。
図25B】本開示の少なくとも1つの態様による、カートに装着された図25Aに示されるモジュール式エネルギーシステムである。
図26A】本開示の少なくとも1つの態様による、一緒に接続され、カートに装着されたヘッダモジュールと、ディスプレイスクリーンと、エネルギーモジュールと、拡張エネルギーモジュールと、を含む、第2の例示的なモジュール式エネルギーシステム構成である。
図26B】本開示の少なくとも1つの態様による、ヘッダモジュールがディスプレイスクリーンを欠いていることを除いて、図25Aに示される第2の構成と同様の第3の例示的なモジュール式エネルギーシステム構成である。
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、一緒に接続され、カートに装着されたヘッダモジュールと、ディスプレイスクリーンと、エネルギーモジュールと、アエ拡張エネルギーモジュールと、技術モジュールと、を含む、第4の例示的なモジュール式エネルギーシステム構成である。
図28】本開示の少なくとも1つの態様による、一緒に接続され、カートに装着されたヘッダモジュールと、ディスプレイスクリーンと、エネルギーモジュールと、拡張エネルギーモジュールと、技術モジュールと、可視化モジュールと、を含む、第5の例示的なモジュール式エネルギーシステム構成である。
図29】本開示の少なくとも1つの態様による、通信可能に接続可能な外科用プラットフォームを含むモジュール式エネルギーシステムの図である。
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、ユーザインターフェースを含むモジュール式エネルギーシステムのヘッダモジュールの斜視図である。
図31】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式エネルギーシステムのスタンドアロンハブ構成のブロック図である。
図32】本開示の少なくとも1つの態様による、外科制御システムと統合されたモジュール式エネルギーシステムのハブ構成のブロック図である。
図33】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式エネルギーシステムの通信モジュールに連結されたユーザインターフェースモジュールのブロック図である。
図34】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式エネルギーシステムのエネルギーモジュールのブロック図である。
図35A】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式エネルギーシステムのヘッダモジュールに連結されたエネルギーモジュールのブロック図を示す。
図35B】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式エネルギーシステムのヘッダモジュールに連結されたエネルギーモジュールのブロック図を示す。
図36A】本開示の少なくとも1つの態様による、図33に示されるヘッダモジュールなどのハブのモジュール式エネルギーシステムのヘッダ/ユーザインターフェース(UI)モジュールのブロック図を示す。
図36B】本開示の少なくとも1つの態様による、図33に示されるヘッダモジュールなどのハブのモジュール式エネルギーシステムのヘッダ/ユーザインターフェース(UI)モジュールのブロック図を示す。
図37】本開示の少なくとも1つの態様による、図31図36Bに示されるエネルギーモジュールなどのハブのエネルギーモジュールのブロック図である。
図38】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用装置の自動超音波起動の例示的実装形態の図を示す。
図39】本開示の少なくとも1つの態様による、容量性タッチセンサを使用した自動作動能力を有する器具の様々な構成要素のブロック図を示す。
図40】本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタに位置付けられた容量性タッチセンサを有する、自動超音波起動を有する器具の別の変形例を示す。
図41】本開示の少なくとも1つの態様による、治療エネルギーを自動的に起動させるために、一部の容量性読み取りを同時に位置合わせするように構成された一対の容量性タッチセンサを示す。
図42】本開示の少なくとも1つの態様による、器具によって治療超音波エネルギーを自動的に起動するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、同時に出願された以下の米国特許出願を所有する。
・「METHOD FOR CONSTRUCTING AND USING A MODULAR SURGICAL ENERGY SYSTEM WITH MULTIPLE DEVICES」と題する米国特許出願整理番号第END9067USNP1/180679-1M号、
・「METHOD FOR ENERGY DISTRIBUTION IN A SURGICAL MODULAR ENERGY SYSTEM」と題する米国特許出願整理番号第END9069USNP1/180681-1M号、
・「SURGICAL MODULAR ENERGY SYSTEM WITH A SEGMENTED BACKPLANE」と題する米国特許出願整理番号第END9069USNP2/180681-2号、
・「SURGICAL MODULAR ENERGY SYSTEM WITH FOOTER MODULE」と題する米国特許出願整理番号第END9069USNP3/180681-3号、
・「POWER AND COMMUNICATION MITIGATION ARRANGEMENT FOR MODULAR SURGICAL ENERGY SYSTEM」と題する米国特許出願整理番号END9069USNP4/180681-4号、
・「MODULAR SURGICAL ENERGY SYSTEM WITH MODULE POSITIONAL AWARENESS SENSING WITH VOLTAGE DETECTION」と題する米国特許出願整理番号第END9069USNP5/180681-5号、
・「MODULAR SURGICAL ENERGY SYSTEM WITH MODULE POSITIONAL AWARENESS SENSING WITH TIME COUNTER」と題する米国特許出願整理番号第END9069USNP6/180681-6号、
・「MODULAR SURGICAL ENERGY SYSTEM WITH MODULE POSITIONAL AWARENESS WITH DIGITAL LOGIC」と題する米国特許出願整理番号第END9069USNP7/180681-7号、
・「METHOD FOR CONTROLLING AN ENERGY MODULE OUTPUT」と題する米国特許出願整理番号第END9068USNP1/180680-1M号、
・「ENERGY MODULE FOR DRIVING MULTIPLE ENERGY MODALITIES」と題する米国特許出願整理番号第END9068USNP2/180680-2号、
・「GROUNDING ARRANGEMENT OF ENERGY MODULES」と題する米国特許出願整理番号第END9068USNP3/180680-3号、
・「BACKPLANE CONNECTOR DESIGN TO CONNECT STACKED ENERGY MODULES」と題する米国特許出願整理番号第END9068USNP4/180680-4号、
・「ENERGY MODULE FOR DRIVING MULTIPLE ENERGY MODALITIES THROUGH A PORT」と題する米国特許出願整理番号第END9068USNP5/180680-5号、
・「SURGICAL INSTRUMENT UTILIZING DRIVE SIGNAL TO POWER SECONDARY FUNCTION」と題する米国特許出願整理番号第END9068USNP6/180680-6号、
・「METHOD FOR CONTROLLING A MODULAR ENERGY SYSTEM USER INTERFACE」と題する米国特許出願整理番号第END9038USNP1/180529-1M号、
・「PASSIVE HEADER MODULE FOR A MODULAR ENERGY SYSTEM」と題する米国特許出願整理番号第END9038USNP2/180529-2号、
・「CONSOLIDATED USER INTERFACE FOR MODULAR ENERGY SYSTEM」と題する米国特許出願整理番号第END9038USNP3/180529-3号、
・「AUDIO TONE CONSTRUCTION FOR AN ENERGY MODULE OF A MODULAR ENERGY SYSTEM」と題する米国特許出願整理番号第END9038USNP4/180529-4号、
・「ADAPTABLY CONNECTABLE AND REASSIGNABLE SYSTEM ACCESSORIES FOR MODULAR ENERGY SYSTEM」と題する米国特許出願整理番号第END9038USNP5/180529-5号、
・「METHOD FOR COMMUNICATING BETWEEN MODULES AND DEVICES IN A MODULAR SURGICAL SYSTEM」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP1/180682-1M号、
・「FLEXIBLE HAND-SWITCH CIRCUIT」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP2/180682-2号、
・「FIRST AND SECOND COMMUNICATION PROTOCOL ARRANGEMENT FOR DRIVING PRIMARY AND SECONDARY DEVICES THROUGH A SINGLE PORT」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP3/180682-3号、
・「FLEXIBLE NEUTRAL ELECTRODE」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP4/180682-4号、
・「SMART RETURN PAD SENSING THROUGH MODULATION OF NEAR FIELD COMMUNICATION AND CONTACT QUALITY MONITORING SIGNALS」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP5/180682-5号、
・「AUTOMATIC ULTRASONIC ENERGY ACTIVATION CIRCUIT DESIGN FOR MODULAR SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP6/180682-6号、
・「COORDINATED ENERGY OUTPUTS OF SEPARATE BUT CONNECTED MODULES」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP7/180682-7号、
・「MANAGING SIMULTANEOUS MONOPOLAR OUTPUTS USING DUTY CYCLE AND SYNCHRONIZATION」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP8/180682-8号、
・「PORT PRESENCE DETECTION SYSTEM FOR MODULAR ENERGY SYSTEM」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP9/180682-9号、
・「INSTRUMENT TRACKING ARRANGEMENT BASED ON REAL TIME CLOCK INFORMATION」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP10/180682-10号、
・「REGIONAL LOCATION TRACKING OF COMPONENTS OF A MODULAR ENERGY SYSTEM」と題する米国特許出願整理番号第END9070USNP11/180682-11号、
・「ENERGY MODULE」と題する米国特許出願整理番号第END9212USDP1/190370D号、
・「ENERGY MODULE MONOPOLAR PORT WITH FOURTH SOCKET AMONG THREE OTHER SOCKETS」と題する米国特許出願整理番号第END9213USDP1/190371D号、
・「BACKPLANE CONNECTOR FOR ENERGY MODULE」と題する米国特許出願整理番号第END9214USDP1/190372D号、及び
・「ALERT SCREEN FOR ENERGY MODULE」と題する米国特許出願整理番号第END9215USDP1/190373D号。
【0011】
外科用装置及び発生器の様々な態様を詳細に説明する前に、例示の実施例は、適用又は用途において、添付の図面及び説明で示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに注意を喚起しておく。例示の実施例は、他の態様、変形形態、及び修正形態で実装されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示の実施例を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の表現、及び/又は実施例のうち1つ又は2つ以上を、以下に記述される他の態様、態様の表現、及び/又は実施例のうち任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0012】
様々な態様が、改善された超音波外科用装置、電気外科用装置、及びこれとともに使用するための発生器を対象とする。超音波外科用装置の態様は、例えば、外科処置中に組織を横切開及び/又は凝固するように構成され得る。電気外科用装置の態様は、例えば、外科処置中に、組織を横切開、凝固、スケーリング、溶接及び/又は乾燥させるように構成され得る。
【0013】
外科システムのハードウェア
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100は、1つ又は2つ以上の外科システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージ装置105に連結されたリモートサーバ113を含むことができるクラウド104)と、を含む。各外科システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する、少なくとも1つの外科用ハブ106を含む。一実施例では、図1に示すように、外科システム102は、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成された、可視化システム108と、ロボットシステム110と、ハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含む。いくつかの態様では、外科システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個のハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含んでもよく、ここでM、N、O及びPは1以上の整数である。
【0014】
図2は、外科手術室116内の手術台114上に横たわる患者に対して外科処置を実施するために使用される外科システム102の一例を示す。ロボットシステム110は、外科処置において外科システム102の一部として使用される。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ122と、を含む。外科医が外科医のコンソール118を介して手術部位を見る間、患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開部を介して、少なくとも1つの取り外し可能に連結された外科用ツール117を操作することができる。手術部位の画像は医療用撮像装置124によって得ることができ、医療用撮像装置124は、患者側カート120によって操作され、撮像装置124を向けさせ得る。ロボットハブ122は、手術部位の画像を処理し、その後処理した画像を外科医のコンソール118を介して外科医に対して表示させるために使用することができる。
【0015】
他のタイプのロボットシステムを、外科システム102とともに使用するために容易に適合させることができる。本開示とともに使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,339号に記載されている。
【0016】
クラウド104によって実施され、本開示とともに使用するのに好適なクラウドベース分析法の様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国仮特許出願第62/611,340号に記載されている。
【0017】
様々な態様では、撮像装置124は、少なくとも1つの画像センサと、1つ若しくは2つ以上の光学構成要素と、を含む。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(Charge-Coupled Device、CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide Semiconductor、CMOS)センサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
撮像装置124の光学構成要素は、1つ若しくは2つ以上の照明光源及び/又は1つ若しくは2つ以上のレンズを含んでもよい。1つ若しくは2つ以上の照明光源は、手術野の一部を照明するように方向付けられてもよい。1つ若しくは2つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、手術野から反射又は屈折された光を受光することができる。
【0019】
1つ若しくは2つ以上の照明光源は、可視スペクトル及び不可視スペクトル内の電磁エネルギーを放射するように構成され得る。光学スペクトル又は発光スペクトルと称されることもある可視スペクトルは、人間の目に可視の(すなわち、人間の目で検出可能な)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と称されることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に反応する。
【0020】
不可視スペクトル(すなわち、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長の)電磁スペクトルの一部分である。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(IR)、マイクロ波及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線及びガンマ線電磁放射線になる。
【0021】
様々な態様では、撮像装置124は、低侵襲性手術で使用するように構成されている。本開示とともに使用するのに好適な撮像装置の例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、膀胱鏡、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
一態様では、撮像装置は、トポグラフィーと下層構造とを区別するためにマルチスペクトルモニタリングを用いる。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトル全体から特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR及び紫外光を含む特定の波長の光を感知できる器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像法は、人間の目がその赤色、緑色及び青色の受容体で捕捉することのできない追加情報の抽出を可能にすることができる。マルチスペクトル撮像法の使用は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で詳細に説明されている。マルチスペクトルモニタリングは、治療される組織上で上述の試験の1つ又は2つ以上を実施するため、外科的タスクが完了した後に手術野を再配置するのに有用なツールであり得る。
【0023】
いかなる外科手術においても手術室及び外科用設備の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「外科施術の行われる現場(surgical theater)」、すなわち手術室(operating room)又は処置室(treatment room)に必要とされる厳格な衛生及び滅菌条件は、全ての医療装置及び設備の最大級の滅菌性を必要とする。上記の滅菌プロセスの一部としては、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるもの(撮像装置124並びにその付属品及び構成要素を含む)を滅菌する必要が挙げられる。滅菌野は、トレイ内若しくは滅菌タオル上などの微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされ得ること、又は滅菌野は、外科処置のために準備された患者のすぐ周囲の領域と見なされ得ることは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0024】
様々な態様では、可視化システム108は、図2に示されるように、滅菌野に対して戦略的に配置される1つ又は2つ以上の撮像センサと、1つ又は2つ以上の画像処理ユニットと、1つ又は2つ以上のストレージアレイと、1つ又は2つ以上のディスプレイと、を含む。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS及びEMRのインターフェースを含む。可視化システム108の様々な構成要素については、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で説明されている。
【0025】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114に位置するオペレータに可視であるように滅菌野内に位置付けされる。加えて、可視化タワー111が、滅菌野の外に位置付けされる。可視化タワー111は、互いに離れる方に面する第1の非滅菌ディスプレイ107及び第2の非滅菌ディスプレイ109を含む。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109及び119を利用して、滅菌野の内側及び外側のオペレータに対する情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106は、可視化システム108に一次ディスプレイ119上の手術部位のライブ映像を維持させながら、撮像装置124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットは、例えば、非滅菌オペレータにより、外科処置に関連する診断ステップを実施可能とすることができる。
【0026】
一態様では、ハブ106は、滅菌野内で、可視化タワー111にある非滅菌オペレータによって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌領域内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台に位置する滅菌オペレータが見ることができるようにも構成されている。一実施例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることのできる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットに対する修正の形態であってもよい。
【0027】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成されている。例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号における。可視化タワー111にある非滅菌オペレータによって入力される診断入力又はフィードバックは、ハブ106によって滅菌野内の外科用器具ディスプレイ115に送られ得、ここで診断入力又はフィードバックを、外科用器具112のオペレータが見ることができる。外科システム102とともに使用するのに好適な例示的な外科用器具については、例えば、「外科用器具のハードウェア(SURGICAL INSTRUMENT HARDWARE)」の項で、及びその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号で説明されている。
【0028】
ここで図3を参照すると、可視化システム108、ロボットシステム110及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信するハブ106が示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135、撮像モジュール138、発生器モジュール140、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、及びストレージアレイ134を含む。特定の態様では、図3に示すように、ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。
【0029】
外科処置中、封止及び/又は切断のために、組織へのエネルギー印加することには、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注と関連付けられる。異なる供給源からの流体ライン、電力ライン及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式エンクロージャ136は、電力ライン、データライン、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。
【0030】
本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科処置において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブエンクロージャと、ハブエンクロージャのドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ接点及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ又は3つ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールはまた、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。
【0031】
一態様では、上記の流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブエンクロージャ内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延在している。一態様では、ハブエンクロージャは、流体インターフェースを備える。
【0032】
特定の外科処置は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式エンクロージャ136が様々な発生器を収容して、これらの間のインタラクティブ通信を促進するように構成されているという解決法を提示する。ハブのモジュール式エンクロージャ136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。
【0033】
本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用エンクロージャを提示する。モジュール式外科用エンクロージャは、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0034】
上記に加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ及び電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0035】
加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成された、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを含む。
【0036】
図3図7を参照すると、発生器モジュール140と、排煙モジュール126と、吸引/灌注モジュール128との、モジュール式統合を可能にするハブのモジュール式エンクロージャ136に関する本開示の態様が提示される。ハブのモジュール式エンクロージャ136は、モジュール140とモジュール126とモジュール128と間のインタラクティブ通信を更に促進する。図5に示すように、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式エンクロージャ136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット139内に支持される、一体化された単極構成要素、双極構成要素及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。図5に示すように、発生器モジュール140は、単極装置146、双極装置147、及び超音波装置148に接続するように構成することができる。代替的に、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式エンクロージャ136を介して相互作用する一連の単極、双極発生器モジュール及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。ハブのモジュール式エンクロージャ136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、ハブのモジュール式エンクロージャ136にドッキングされた発生器間のインタラクティブ通信と、を促進するように構成されてもよい。
【0037】
一態様では、ハブのモジュール式エンクロージャ136は、モジュール140、126、128の取り外し可能な取り付け及びそれらの間のインタラクティブ通信を可能にするために、外部及び無線通信ヘッダを備えるモジュール式電力及び通信バックプレーン149を備える。
【0038】
一態様では、ハブのモジュール式エンクロージャ136は、モジュール140、126、128を摺動可能に受容するように構成された、本明細書ではドロアーとも称されるドッキングステーション又はドロアー151を含む。図4は、外科用ハブエンクロージャ136、及び外科用ハブエンクロージャ136のドッキングステーション151に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュール145の部分斜視図を示す。組み合わせ発生器モジュール145の後側には、電力及びデータ接点を有するドッキングポート152があり、そのドッキングポート152は、組み合わせ発生器モジュール145がハブのモジュール式エンクロージャ136の対応するドッキングステーション151内の所定の位置へと摺動されると、ハブのモジュール式エンクロージャ136の対応するドッキングステーション151の、電力及びデータ接点を有する対応するドッキングポート150と係合するように構成されている。一態様では、組み合わせ発生器モジュール145は、図5に示すように、単一のハウジングユニット139内に一緒に統合された、双極、超音波及び単極モジュールと、排煙モジュールと、を含む。
【0039】
様々な態様では、排煙モジュール126は、捕捉/回収された煙及び/又は流体を手術部位から遠ざけ、例えば、排煙モジュール126へと搬送する、流体ライン154を含む。排煙モジュール126から発生する真空吸引は、煙を手術部位のユーティリティ導管の開口部に引き込むことができる。流体ラインに連結されたユーティリティ導管は、排煙モジュール126で終端する可撓管の形態であってもよい。ユーティリティ導管及び流体ラインは、ハブエンクロージャ136内に受容される排煙モジュール126に向かって延在する流体経路を画定する。
【0040】
様々な態様では、吸引/灌注モジュール128は、吸い込み流体ライン及び吸引流体ラインを含む外科用ツールに連結されている。一実施例では、吸い込み及び吸引流体ラインは、手術部位から吸引/灌注モジュール128に向かって延在する可撓管の形態である。1つ又は2つ以上の駆動システムは、手術部位への、及び手術部位に対する流体の灌注及び吸い込みを引き起こすように構成され得る。
【0041】
一態様では、外科用ツールは、その遠位端にエンドエフェクタを有しかつエンドエフェクタに関連付けられた少なくとも1つのエネルギー処置部を有するシャフトと、吸い込み管と、灌注管と、を含む。吸い込み管は、その遠位端に入口ポートを有することができ、吸い込み管はシャフトを通って延在する。同様に、灌注管はシャフトを通って延在することができ、かつエネルギー送達器具に近接した入口ポートを有することができる。エネルギー送達器具は、超音波エネルギー及び/又はRFエネルギーを手術部位に送達するように構成されており、最初にシャフトを通って延在するケーブルによって発生器モジュール140に連結されている。
【0042】
灌注管は流体源と流体連通することができ、吸い込み管は真空源と流体連通することができる。流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128内に収容され得る。一実施例では、流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128とは別に、ハブエンクロージャ136内に収容され得る。このような例では、流体インターフェースが、吸引/灌注モジュール128を流体源及び/又は真空源に接続するように構成され得る。
【0043】
一態様では、モジュール140、126、128、及び/又はハブのモジュール式エンクロージャ136上のそれらの対応するドッキングステーションは、モジュールのドッキングポートを位置合わせして、ハブのモジュール式エンクロージャ136のドッキングステーション内のこれらの対応部品と係合させるように構成された位置合わせ機構を含み得る。例えば、図4に示すように、組み合わせ発生器モジュール145は、側部ブラケット155を含み、その側部ブラケット155は、ハブのモジュール式エンクロージャ136の対応するドッキングステーション151の対応するブラケット156と摺動可能に係合するように構成されている。上記の複数のブラケットは協働して、組み合わせ発生器モジュール145のドッキングポート接点をハブのモジュール式エンクロージャ136のドッキングポート接点と電気的に係合させるように誘導する。
【0044】
いくつかの態様では、ハブのモジュール式エンクロージャ136のドロアー151は、サイズが同じ又は実質的に同じであり、モジュールはドロアー151内に受容されるサイズに調整される。例えば、側部ブラケット155及び/又は156は、モジュールのサイズに応じてより大きくなっても小さくなってもよい。他の態様では、ドロアー151どうしは互いにサイズが異なり、各々特定のモジュールを収容するように設計される。
【0045】
更に、適合しない接点を備えるドロアーにモジュールを挿入することを避けるため、特定のモジュールの接点を特定のドロアーの接点と係合するように、キー構造を設けてもよい。
【0046】
図4に示すように、1つのドロアー151のドッキングポート150は、通信リンク157を介して別のドロアー151のドッキングポート150に連結されて、ハブのモジュール式エンクロージャ136内に収容されたモジュール間のインタラクティブ通信を容易にすることができる。代替的又は追加的に、ハブのモジュール式エンクロージャ136のドッキングポート150は、ハブのモジュール式エンクロージャ136内に収容されたモジュール間の無線インタラクティブ通信を容易にしてもよい。例えば、Air Titan-Bluetoothなどの任意の好適な無線通信を用いてもよい。
【0047】
図6は、外科用ハブ206の複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジング160の複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。横方向モジュール式ハウジング160は、モジュール161を横方向に受容して相互接続するように構成されている。モジュール161は、モジュール161を相互接続するためのバックプレーンを含む横方向モジュール式ハウジング160のドッキングステーション162内に摺動可能に挿入されている。図6に示すように、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング160内で横方向に配置されている。代替的に、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング内で垂直方向に配置されてもよい。
【0048】
図7は、外科用ハブ106の複数のモジュール165を受容するように構成された垂直モジュール式ハウジング164を示す。モジュール165は、モジュール165を相互接続するためのバックプレーンを含む垂直モジュール式ハウジング164のドッキングステーション又はドロアー167内に摺動可能に挿入されている。垂直モジュール式ハウジング164のドロアー167は垂直方向に配置されているが、特定の場合では、垂直モジュール式ハウジング164は、横方向に配置されたドロアーを含んでもよい。更に、モジュール165は、垂直モジュール式ハウジング164のドッキングポートを介して互いに相互作用し得る。図7の実施例では、モジュール165の動作に関連するデータを表示するためのディスプレイ177が提供される。加えて、垂直モジュール式ハウジング164は、マスタモジュール178を含み、マスタモジュール178は、マスタモジュール178内に摺動可能に受容される複数のサブモジュールを収容する。
【0049】
様々な態様では、撮像モジュール138は、内蔵型のビデオプロセッサ及びモジュール式光源を備え、様々な撮像装置とともに使用するように適合されている。一態様では、撮像装置は、光源モジュール及びカメラモジュールとともに組み立てることが可能なモジュール式ハウジングで構成されている。ハウジングは、使い捨て式ハウジングであってもよい。少なくとも1つの例では、使い捨て式ハウジングは、再利用可能なコントローラ、光源モジュール、及びカメラモジュールと取り外し可能に連結されている。光源モジュール及び/又はカメラモジュールは、外科処置のタイプに応じて選択的に選択することができる。一態様では、カメラモジュールはCCDセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはCMOSセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはビーム走査式撮像用に構成されている。同様に、光源モジュールは、外科処置に応じて白色光又は異なる光を送達するように構成することができる。
【0050】
外科処置中に、手術野から外科用装置を除去して異なるカメラ又は異なる光源を含む別の外科用装置と交換することは非効率的であり得る。手術野の視野を一時的に喪失することは、望ましくない結果をもたらし得る。本開示のモジュール式撮像装置は、手術野から撮像装置を除去する必要なく、外科処置中に光源モジュール又はカメラモジュール中間体(midstream)の交換を可能にするように構成されている。
【0051】
一態様では、撮像装置は、複数のチャネルを含む管状ハウジングを備える。第1のチャネルは、第1のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得るカメラモジュールを摺動可能に受容するように構成されている。第2のチャネルは、第2のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得る光源モジュールを摺動可能に受容するように構成されている。別の例では、カメラモジュール及び/又は光源モジュールは、これらの対応するチャネル内の最終位置へと回転させることができる。スナップ嵌め係合の代わりにねじ係合が用いられてもよい。
【0052】
様々な実施例では、複数の撮像装置が、複数の視野を提供するために手術野内の様々な位置に配置される。撮像モジュール138は、最適な視野を提供するために撮像装置間を切り替えるように構成することができる。様々な態様では、撮像モジュール138は、異なる撮像装置からの画像を統合するように構成することができる。
【0053】
本開示とともに使用するのに好適な様々な画像プロセッサ及び撮像装置は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「COMBINED SBI AND CONVENTIONAL IMAGE PROCESSOR」と題する2011年8月9日発行の米国特許第7,995,045号に記載されている。加えて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SBI MOTION ARTIFACT REMOVAL APPARATUS AND METHOD」と題する2011年7月19日発行の米国特許第7,982,776号は、画像データからモーションアーチファクトを除去するための様々なシステムについて記載している。こうしたシステムは、撮像モジュール138と一体化され得る。更に、「CONTROLLABLE MAGNETIC SOURCE TO FIXTURE INTRACORPOREAL APPARATUS」と題する2011年12月15日公開の米国特許出願公開第2011/0306840号、及び「SYSTEM FOR PERFORMING A MINIMALLY INVASIVE SURGICAL PROCEDURE」と題する2014年8月28日公開の米国特許出願公開第2014/0243597号は、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
図8は、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科手術のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に位置するモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えばストレージ装置205に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203はまた、ローカルコンピュータシステム210に連結することができ、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供することができる。外科用データネットワーク201は、受動的、インテリジェント又は切り替え式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェント外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機構を含む。インテリジェント外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0055】
手術室に位置するモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。装置1a~1nに関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
【0056】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受容するように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
【0057】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ(複数可)、ネットワークスイッチ(複数可)及びネットワークルータ(複数可)との組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、コンピューティングリソースを共有することに依存することは理解されるであろう。「クラウド」という語は、「インターネット」の隠喩として使用され得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、「クラウドコンピューティング」という用語は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために使用することができ、この場合、サーバ、ストレージ及びアプリケーションなどの様々なサービスは、インターネットを介して、手術室(例えば、固定式、移動式、一時的又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、かつモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて多数の計算を実施することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0058】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的結果の改善、コスト低減及び患者満足度の改善を提供する。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織の試料の画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病理を識別するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。そのようなデータには、組織の位置特定及びマージン確認並びに表現型が含まれる。撮像装置と一体化された様々なセンサを使用し、かつ複数の撮像装置によって捕捉された画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を識別するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析されてもよい。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に用いてもよく、標準化された手法を使用することは、外科的治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科的治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0059】
一実装形態では、手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて有線チャネル又は無線チャネルを介して、モジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(Open System Interconnection、OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供する。ネットワークハブ207は、パケット形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信する。ネットワークハブ207は、いかなる装置データを転送するための媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(media access control、MAC/Internet Protocol、IP)も記憶しない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関するルーティングテーブル又はインテリジェンスを有さず、全てのネットワークデータを各コネクション全体及びクラウド204上のリモートサーバ213(図9)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0060】
別の実装形態では、手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続されてもよい。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置である。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
【0061】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結されている。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケット形態のデータをクラウド204に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0062】
一実施例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線機能又は無線機能を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために用いられてもよい。
【0063】
他の実施例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。他の態様では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができ、そのような規格又はプロトコルとしては、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT及びこれらのイーサネット派生物のみならず3G、4G、5G及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどのより短距離の無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどのより長距離の無線通信専用であってもよい。
【0064】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱う。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送する。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は本明細書に記載されるように、数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによって、このデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0065】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよいか、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ203は手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
【0066】
図9は、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で外科システム102と類似する1つ又は2つ以上の外科システム202を含む。各外科システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。図10に示すように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。図9の実施例に示すように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結された撮像モジュール238、エネルギー装置241に連結された発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意選択的にディスプレイ237に連結されたスマート装置/器具235及び非接触センサモジュール242に連結されている。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結されている。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。とりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載されるように、有線又は無線通信規格又はプロトコルを介して、モジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイはまた、モジュール式制御タワーに接続された装置から受信したデータを、画像及びオーバーレイ画像とともに表示してもよい。
【0067】
図10は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えばローカルでの処理、可視化及び撮像を行うためのコンピュータシステム210と、を備える。図10に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続できるモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送することができる。図10に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチの各々は、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含む。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続されている。クラウド204への通信は、有線通信チャネル又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0068】
外科用ハブ206は、非接触センサモジュール242を使用して、手術室の寸法を測定し、また超音波非接触測定装置又はレーザ型非接触測定装置のいずれかを使用して手術室のマップを生成する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号では、センサモジュールが、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成されているが、同文献中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の項で説明されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の外壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室を走査する。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信することによって手術室を走査し、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して手術室のサイズを判定し、Bluetoothペアリング距離限界を調整する。
【0069】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244と、ネットワークインターフェース245と、を備える。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、ストレージ248、メモリ249、不揮発性メモリ250及び入力/出力インターフェース251に連結されている。システムバスは、任意の様々な利用可能なバスアーキテクチャを使用する、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造(複数可)のうちのいずれかであってもよく、それらのアーキテクチャの例としては、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、周辺装置相互接続(PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、小型計算機システムインターフェース(SCSI)又は任意の他の独自バス(proprietary bus)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。このプロセッサコアは、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)及び/又は、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。なお、その詳細は、製品データシートで入手可能である。
【0071】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0072】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが挙げられる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0073】
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性のコンピュータストレージ媒体、例えばディスクストレージなどを含む。ディスクストレージとしては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード又はメモリスティックのような装置が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスクストレージは、上記のストレージ媒体を、独立して、又は他のストレージ媒体との組み合わせで含むことができる。他のストレージ媒体としては、コンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない。ディスクストレージ装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0074】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含むことを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムが挙げられる。ディスクストレージ上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能する。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスクストレージ上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用する。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0075】
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力装置(複数可)を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力する。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティング装置、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポート(複数可)を介し、システムバスを通じてプロセッサに接続する。インターフェースポート(複数可)としては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート及びUSBが挙げられる。出力装置(複数可)は、入力装置(複数可)と同じタイプのポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、コンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とする出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在することを示すために提供される。出力アダプタとしては、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードが挙げられるが、これは例示としてのものであり、限定するものではない。リモートコンピュータ(複数可)などの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供することに留意されたい。
【0076】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータ(複数可)などの1つ若しくは2つ以上のリモートコンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。遠隔クラウドコンピュータ(複数可)は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置又は他の一般的なネットワークノードなどであり得るが、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、リモートコンピュータ(複数可)とともに、メモリストレージ装置のみが示される。リモートコンピュータ(複数可)は、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続部を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含する。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などが挙げられる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク並びにデジタル加入者回線(DSL)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
様々な態様では、図10のコンピュータシステム210、図9図10の撮像モジュール238及び/又は可視化システム208及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ又はデジタル画像の処理に使用される任意の専門的なデジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを用いて速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実施することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0078】
通信接続部(複数可)とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明瞭さのため通信接続部はコンピュータシステム内部に示されているが、通信接続部はコンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術が挙げられる。
【0079】
図11は、本開示の少なくとも1つの態様による、USBネットワークハブ300装置の一態様の機能ブロック図を示す。示される態様では、USBネットワークハブ装置300は、Texas Instruments製のTUSB2036集積回路ハブを用いる。USBネットワークハブ300は、USB2.0規格に準拠する、上流USB送受信機ポート302と、最大3つの下流USB送受信機ポート304、306、308と、を提供するCMOS装置である。上流USB送受信機ポート302は、差動データプラス(DP0)入力とペアリングされた差動データマイナス(DM0)入力を含む差動ルートデータポートである。3つの下流USB送受信機ポート304、306、308は、各ポートが差動データマイナス(DM1~DM3)出力とペアリングした差動データプラス(DP1~DP3)出力を含む差動データポートである。
【0080】
USBネットワークハブ300装置は、マイクロコントローラの代わりにデジタル状態マシンを備えて実装され、ファームウェアのプログラミングを必要としない。完全準拠したUSB送受信機が、上流USB送受信機ポート302及び全ての下流USB送受信機ポート304、306、308の回路に組み込まれている。下流USB送受信機ポート304、306、308は、ポートに取り付けられた装置の速度に応じて立ち上がり速度を自動的に設定することによって、最高速度及び低速の装置の両方を支持する。USBネットワークハブ300装置は、バスパワーモード又はセルフパワーモードのいずれかで構成されてもよく、電力を管理するためのハブパワー論理312を含む。
【0081】
USBネットワークハブ300装置は、シリアルインターフェースエンジン310(SIE)を含む。SIE310は、USBネットワークハブ300ハードウェアのフロントエンドであり、USB仕様書の第8章に記載されているプロトコルの大部分を取り扱う。SIE310は、典型的には、トランザクションレベルまでのシグナリングを理解する。これが取り扱う機能としては、パケット認識、トランザクションの並べ替え、SOP、EOP、RESET及びRESUME信号の検出/生成、クロック/データ分離、非ゼロ復帰逆転(NRZI)データ符号化/復号及びビットスタッフィング、CRC生成及びチェック(トークン及びデータ)、パケットID(PID)の生成及びチェック/復号、並びに/又はシリアル-パラレル/パラレル-シリアル変換が挙げられ得る。310は、クロック入力314を受信し、ポート論理回路320、322、324を介して上流USB送受信機ポート302と下流USB送受信機ポート304、306、308との間の通信を制御するため、サスペンド/レジューム論理並びにフレームタイマ316回路及びハブリピータ回路318に連結されている。SIE310は、シリアルEEPROMインターフェース330を介してシリアルEEPROMからコマンドを制御するように、インターフェース論理を介してコマンドデコーダ326に連結される。
【0082】
様々な態様では、USBネットワークハブ300は、最大6つの論理層(階層)内に構成された127個の機能を単一のコンピュータに接続することができる。更に、USBネットワークハブ300は、通信及び電力分配の両方を提供する標準化された4本のワイヤケーブルを使用して全ての周辺機器に接続することができる。電力構成は、バスパワーモード及びセルフパワーモードである。USBネットワークハブ300は、個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるバスパワーハブ及び個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるセルフパワーハブの、電力管理の4つのモードを支持するように構成されてもよい。一態様では、USBケーブル、USBネットワークハブ300を使用して、上流USB送受信機ポート302はUSBホストコントローラにプラグ接続され、下流USB送受信機ポート304、306、308はUSBに互換性のある装置を接続するために露出される、といった具合である。
【0083】
外科用器具のハードウェア
図12は、本開示の1つ又は2つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム470の論理図を示す。システム470は、制御回路を備える。制御回路は、プロセッサ462及びメモリ468を備えるマイクロコントローラ461を含む。例えば、センサ472、474、476のうちの1つ又は2つ以上が、プロセッサ462にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータ駆動器492によって駆動されるモータ482は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、クランプアーム閉鎖部材を駆動する。追跡システム480は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を判定するように構成されている。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置及び閉鎖部材の位置を判定するようにプログラム又は構成可能なプロセッサ462に提供される。閉鎖管の移動、シャフトの回転、関節運動、若しくはクランプアームの閉鎖、又は上記の組み合わせを制御するために、ツールドライバインターフェースに追加のモータが提供されてもよい。ディスプレイ473は、器具の様々な動作条件を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含んでもよい。ディスプレイ473上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイさせることができる。
【0084】
一態様では、マイクロコントローラ461は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、主マイクロコントローラ461は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ若しくは2つ以上のPWMモジュール、1つ若しくは2つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0085】
一態様では、マイクロコントローラ461は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0086】
マイクロコントローラ461は、ナイフ、関節運動システム、クランプアーム、又は上記の組み合わせの速度及び位置の正確な制御などの様々な機能を実施するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ461は、プロセッサ462及びメモリ468を含む。電気モータ482は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。一態様では、モータドライバ492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバを、絶対位置付けシステムを備える追跡システム480で使用するために容易に代用することができる。絶対位置付けシステムの詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
【0087】
マイクロコントローラ461は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ461は、マイクロコントローラ461のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に使用される。観測された応答は、シミュレートされた応答の滑らかで連続的な性質と、測定された応答とのバランスをとる好適な調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0088】
一態様では、モータ482は、モータドライバ492によって制御されてもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって用いられ得る。様々な形態において、モータ482は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。他の構成では、モータ482としては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータが挙げられ得る。モータ駆動体492は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)を含むHブリッジドライバを備えてもよい。モータ482は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドル組立体又はツールハウジングに解除可能に装着された電源組立体によって給電され得る。電源組立体は、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を備えてもよい。特定の状況下では、電源組立体の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能な電池セルであってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源組立体に連結可能かつ電源組立体から分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
【0089】
モータドライバ492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941 492は、特にブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)とともに使用するためのフルブリッジコントローラである。ドライバ492は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を使用して高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードでは、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータドライバを、絶対位置付けシステムを備えた追跡システム480で使用するために容易に代用することができる。
【0090】
追跡システム480は、本開示の一態様による位置センサ472を備える制御されたモータ駆動回路配置を備える。絶対位置付けシステム用の位置センサ472は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を提供する。一態様では、変位部材は、ギア減速機組立体の対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。他の態様では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適合され、構成され得る発射部材を表す。更に別の態様では、変位部材は、クランプアームを開閉するための長手方向変位部材を表し、これは駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る。他の態様では、変位部材は、ステープラ、超音波、若しくは電気外科用装置のクランプアーム、又は上記の組み合わせを開閉するように構成されたクランプアーム閉鎖部材を表す。したがって、本明細書で使用されるとき、変位部材という用語は、一般的に、駆動部材、クランプアーム、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具又はツールの任意の可動部材を指すために使用される。したがって、絶対位置付けシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、クランプアームの変位を追跡することができる。他の態様では、絶対位置付けシステムは、開閉プロセスにおけるクランプアームの位置を追跡するように構成され得る。様々な他の態様では、変位部材は、直線変位を測定するのに好適な任意の位置センサ472に連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材、若しくはクランプアーム、又はこれらの組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結されてもよい。直線変位センサは、接触式変位センサ又は非接触式変位センサを含んでもよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線状に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線状に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線状に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線状に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0091】
電気モータ482は、変位部材上の駆動歯の組又はラックと噛合係合で装着されるギア組立体と動作可能にインターフェースする回転式シャフトを含んでもよい。センサ素子は、位置センサ472素子の1回転が、変位部材のいくつかの直線長手方向並進に対応するように、ギア組立体に動作可能に連結されてもよい。ギアリング及びセンサの構成は、ラックピニオン構成によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置付けシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置付けシステムの出力を表示することができる。変位部材は、ギア減速機組立体の対応する駆動ギアと噛合係合するための、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。変位部材は、クランプアームを開閉する長手方向に移動可能な発射部材を表す。
【0092】
位置センサ472に関連付けられるセンサ素子の1回転は、変位部材の長手方向直線変位dに相当し、dは、変位部材に連結したセンサ素子の1回転した後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ機構は、位置センサ472が変位部材のフルストロークに対して1回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して連結されてもよい。位置センサ472は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0093】
位置センサ472の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1よりも大きい整数である)が、単独で、又はギアの減速との組み合わせで用いられてもよい。スイッチの状態はマイクロコントローラ461にフィードバックされ、マイクロコントローラ461は論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d+d+...dに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ472の出力はマイクロコントローラ461に提供される。センサ機構の位置センサ472は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0094】
位置センサ472は、例えば、全磁界又は磁界のベクトル成分を測定するかどうかに基づいて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために使用される技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁界の感知に使用される技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動(nuclear precession)、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサが挙げられる。
【0095】
一態様では、絶対位置付けシステムを備える追跡システム480の位置センサ472は、磁気回転絶対位置付けシステムを備える。位置センサ472は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ472は、マイクロコントローラ461とインターフェースされて絶対位置付けシステムを提供する。位置センサ472は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石の上方に位置する位置センサ472のエリアに、4つのホール効果素子を含む。また、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラがチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(CORDIC)プロセッサが設けられる。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ461に伝送される。位置センサ472は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ472は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0096】
絶対位置付けシステムを備える追跡システム480は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源は、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ472によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ(複数可)が設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ配置を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置付けシステムはデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置付けシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置付けシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを使用して、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。
【0097】
絶対位置付けシステムは、単にモータ482がとった前方又は後方へのステップの数を計数して装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供する。
【0098】
例えば歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ474は、例えば、アンビルに適用される閉鎖力を示すことができる、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成される。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。センサ474の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ476が、閉鎖駆動システムが超音波又は電気外科用器具内のステープラ又はクランプアーム内のアンビルに加える閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ476は、外科用器具若しくはツールのクランプアームに連結された閉鎖部材に加えられる発射力、又はクランプアームによって超音波若しくは電気外科用器具のジョー内に位置する組織に加えられる力を測定することができる。代替的に、モータ482により引き込まれる電流を測定するために、電流センサ478を用いることができる。変位部材はまた、クランプアームに係合してクランプアームを開閉するように構成されてもよい。力センサは、組織上のクランプ力を測定するように構成されてもよい。変位部材を前進させるのに必要な力は、例えば、モータ482によって引き込まれる電流に相当し得る。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。
【0099】
一形態では、歪みゲージセンサ474を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療されている組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に加えられる力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成された微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ474を備える。一態様では、歪みゲージセンサ474は、組織圧縮を示し得る、クランプ動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は規模を測定することができる。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、マイクロコントローラ461のプロセッサ462に提供される。負荷センサ476は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を動作させるために使用される力を測定することができる。負荷センサ476は、例えば、クランプアームと超音波ブレードとの間に組織を捕捉するために、又はクランプアームと電気外科用器具のジョーとの間に組織を捕捉するために、クランプアーム要素を操作するのに使用される力を測定することができる。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサの測定値もデジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
【0100】
センサ474、476によってそれぞれ測定される、組織圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するのに必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ461によって使用することができる。一例では、メモリ468は、評価の際にマイクロコントローラ461によって用いることができる技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
【0101】
外科用器具又はツールの制御システム470はまた、図8図11に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するための有線通信回路又は無線通信回路を備えてもよい。
【0102】
図13は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路500を示す。制御回路500は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路500は、少なくとも1つのメモリ回路504に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ502(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるマイクロコントローラを備えることができる。メモリ回路504は、プロセッサ502によって実行されると、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ502に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ502は、当該技術分野で既知の多数のシングルコア又はマルチコアプロセッサのうちの任意の1つであってもよい。メモリ回路504は、揮発性及び不揮発性の記憶媒体を備えることができる。プロセッサ502は、命令処理ユニット506及び演算ユニット508を含んでもよい。命令処理ユニットは、本開示のメモリ回路504から命令を受信するように構成されてもよい。
【0103】
図14は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路510を示す。組み合わせ論理回路510は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。組み合わせ論理回路510は、入力514で外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理512によってデータを処理し、出力516を提供するように構成された組み合わせ論理512を備える有限状態マシンを備えてもよい。
【0104】
図15は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路520を示す。順序論理回路520又は組み合わせ論理522は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。順序論理回路520は有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路520は、例えば、組み合わせ論理522、少なくとも1つのメモリ回路524、及びクロック529を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路524は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路520は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理522は、入力526から外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理522によってデータを処理し、出力528を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ(例えば、図13のプロセッサ502)と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路(例えば図14の組み合わせ論理回路510)と順序論理回路520との組み合わせを含むことができる。
【0105】
図16は、様々な機能を実施するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。特定の例では、第1のモータを起動させて第1の機能を実施することができ、第2のモータを起動させて第2の機能を実施することができ、第3のモータを起動させて第3の機能を実施することができ、第4のモータを起動させて第4の機能を実施することができる、といった具合である。特定の例では、ロボット外科用器具600の複数のモータは個々に起動されて、エンドエフェクタにおいて発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動は、例えばシャフト組立体を介してエンドエフェクタに伝達することができる。
【0106】
特定の例では、外科用器具システム又はツールは発射モータ602を含んでもよい。発射モータ602は、具体的にはクランプアーム閉鎖部材を変位させるために、モータ602によって生成された発射運動をエンドエフェクタに伝達するように構成することができる、発射モータ駆動組立体604に動作可能に連結されてもよい。閉鎖部材は、モータ602の方向を逆転させることによって後退させられて、それによって更にクランプアームを開放させてもよい。
【0107】
特定の例では、外科用器具又はツールは閉鎖モータ603を含んでもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてアンビルを閉鎖し、アンビルとステープルカートリッジとの間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動組立体605と動作可能に連結されてもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてクランプアームを閉鎖し、クランプアームと、電気外科用装置の超音波ブレード又はジョー部材のいずれかと、の間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動組立体605と動作可能に連結されてもよい。閉鎖運動によって、例えば、エンドエフェクタが開放構成から近似構成へと移行して組織を捕捉することができる。エンドエフェクタは、モータ603の方向を逆転させることによって開放位置に移行され得る。
【0108】
特定の例では、外科用器具又はツールは、例えば、1つ又は2つ以上の関節運動モータ606a、606bを含んでもよい。モータ606a、606bは、モータ606a、606bによって生成された関節運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、対応する関節運動モータ駆動組立体608a、608bに動作可能に連結され得る。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
【0109】
上述したように、外科用器具又はツールは、様々な独立した機能を実施するように構成され得る複数のモータを含んでもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、他のモータが停止した状態を維持している間に、個別に又は別個に起動させて、1つ又は2つ以上の機能を実施することができる。例えば、関節運動モータ606a、606bを起動させて、発射モータ602が停止した状態を維持している間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。代替的に、発射モータ602を起動させて、関節運動モータ606が停止した状態を維持している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は切刃を前進させることができる。更に、閉鎖モータ603は、本明細書の以下でより詳細に説明されるとおり、閉鎖管又は閉鎖部材を遠位に前進させるために、発射モータ602と同時に起動させてもよい。
【0110】
特定の例では、外科用器具又はツールは、外科用器具又はツールの複数のモータとともに用いることができる、共通の制御モジュール610を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール610は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通の制御モジュール610は、ロボット外科用器具の複数のモータに対して個々に連結可能かつ分離可能であってもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610などの1つ又は2つ以上の共通の制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610に独立してかつ選択的に係合することができる。特定の例では、共通の制御モジュール610は、外科用器具又はツールの複数のモータのうちの一方とのインターフェース接続から、外科用器具又はツールの複数のモータのうちのもう一方とのインターフェース接続へと選択的に切り替えることができる。
【0111】
少なくとも1つの例では、共通の制御モジュール610は、関節運動モータ606a、606bとの動作可能な係合と、発射モータ602又は閉鎖モータ603のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、図16に示すように、スイッチ614は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は移行させることができる。例えば、第1の位置616では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を発射モータ602と電気的に連結してもよく、第2の位置617では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を閉鎖モータ603と電気的に連結してもよく、第3の位置618aでは、例えば、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第1の関節運動モータ606aと電気的に連結してもよく、第4の位置618bでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第2の関節運動モータ606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、同時に、別個の共通の制御モジュール610を、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、スイッチ614は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替え機構であってもよい。
【0112】
モータ602、603、606a、606bの各々は、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを備えてもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の様式で感知されてもよい。
【0113】
様々な例では、図16に示されるように、共通の制御モジュール610は、1つ又は2つ以上のHブリッジFETを備え得るモータドライバ626を備えてもよい。モータドライバ626は、例えば、マイクロコントローラ620(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源628から共通の制御モジュール610に連結されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、上述したように、例えば、モータが共通の制御モジュール610に連結されている間にマイクロコントローラ620を用いて、モータによって引き込まれる電流を判定することができる。
【0114】
特定の例では、マイクロコントローラ620は、マイクロプロセッサ622(「プロセッサ」)と、1つ若しくは2つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体又はメモリユニット624(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ624は、様々なプログラム命令を記憶することができ、それが実行されると、プロセッサ622に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させることができる。特定の例では、メモリユニット624のうちの1つ又は2つ以上が、例えば、プロセッサ622に連結されてもよい。様々な態様では、マイクロコントローラ620は、有線若しくは無線チャネル、又はこれらの組み合わせを介して通信してもよい。
【0115】
特定の例では、電源628を用いて、例えばマイクロコントローラ620に電力を供給してもよい。特定の例では、電源628は、例えばリチウムイオン電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「電源パック」)を含んでもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具600に電力を供給するため、ハンドルに解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源628として使用してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0116】
様々な例では、プロセッサ622は、モータドライバ626を制御して、共通の制御モジュール610に連結されたモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御することができる。特定の例では、プロセッサ622は、モータドライバ626に信号伝達して、共通の制御モジュール610に連結されるモータを停止及び/又は無効化することができる。「プロセッサ」という用語は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(central processing unit、CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上で統合した他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサ622は、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラム可能装置である。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作する。
【0117】
一例では、プロセッサ622は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ620は、例えばTexas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの実施例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートで容易に利用可能な機能の中でもとりわけ、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ又は2つ以上のPWMモジュール、1つ又は2つ以上のQEIアナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットADCを含むARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共ともに使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0118】
特定の例では、メモリ624は、共通の制御モジュール610に連結可能な外科用器具600のモータの各々を制御するためのプログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ624は、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ622に、外科用器具又はツールのアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。
【0119】
特定の例では、例えば、センサ630などの1つ又は2つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ622に警報することができる。例えば、センサ630は、エンドエフェクタの発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ622に警報することができる。特定の例では、センサ630は、例えば、スイッチ614の位置を感知するために用いることができる位置センサを備えてもよい。したがって、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第1の位置616にあることを検出すると、エンドエフェクタのクランプアームに連結された閉鎖部材の発射と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第2の位置617にあることを検出すると、アンビルの閉鎖と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第3の位置618a又は第4の位置618bにあることを検出すると、エンドエフェクタの関節運動と関連付けられたプログラム命令を使用することができる。
【0120】
図17は、本開示の一態様による、本明細書に記載される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具700の概略図である。ロボット外科用器具700は、単一又は複数の関節運動駆動連結部のいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成されてもよい。一態様では、外科用器具700は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材若しくは1つ又は2つ以上の関節運動部材、又はこれらの組み合わせを個別に制御するようにプログラム又は構成されてもよい。外科用器具700は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材若しくは1つ又は2つ以上の関節運動部材、又はこれらの組み合わせを制御するように構成された制御回路710を備える。
【0121】
一態様では、ロボット外科用器具700は、複数のモータ704a~704eを介して、エンドエフェクタ702のクランプアーム716及び閉鎖部材714部分と、超音波発生器721によって励起される超音波変換器719に連結された超音波ブレード718と、シャフト740と、1つ又は2つ以上の関節運動部材742a、742bと、を制御するように構成された制御回路710を備える。位置センサ734は、閉鎖部材714の位置フィードバックを制御回路710に提供するように構成されてもよい。他のセンサ738は、制御回路710にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマ/カウンタ731は、制御回路710にタイミング及びカウント情報を提供する。モータ704a~704eを動作させるためにエネルギー源712が設けられてもよく、電流センサ736はモータ電流フィードバックを制御回路710に提供する。モータ704a~704eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御において制御回路710によって個別に操作することができる。
【0122】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ(複数可)に、1つ又は2つ以上のタスクを実施させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマ/カウンタ731は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710に提供して位置センサ734によって判定された閉鎖部材714の位置をタイマ/カウンタ731の出力と相関させ、その結果、制御回路710は、閉鎖部材714が開始位置に対して特定の位置にあるときの、開始位置又は時間(t)に対する特定の時間(t)における閉鎖部材714の位置を判定することができる。タイマ/カウンタ731は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてもよい。
【0123】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ702の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に治療するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。閉鎖制御プログラムは、クランプアーム716によって組織に加えられる閉鎖力を制御し得る。他の制御プログラムは、シャフト740及び関節運動部材742a、742bの回転を制御する。
【0124】
一態様では、制御回路710は、モータ設定点信号を生成することができる。モータ設定点信号は、様々なモータコントローラ708a~708eに提供されてもよい。モータコントローラ708a~708eは、本明細書で説明するように、モータ704a~704eにモータ駆動信号を提供してモータ704a~704eを駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、モータ704a~704eはブラシ付きDC電気モータであってもよい。例えば、モータ704a~704eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの例では、モータ704a~704eはブラシレスDC電気モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号は、モータ704a~704eの1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ708a~708eは省略されてもよく、制御回路710がモータ駆動信号を直接生成してもよい。
【0125】
一態様では、制御回路710は、最初に、モータ704a~704eの各々を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間のロボット外科用器具700の応答に基づいて、制御回路710は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ704a~704eのうちの1つに提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後で、制御回路710は、変位部材ストロークの第2の部分に対して選択された発射制御プログラムを実装してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路710は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ704a~704eのうちの1つを閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0126】
一態様では、モータ704a~704eは、エネルギー源712から電力を受け取ることができる。エネルギー源712は、主交流電源、電池、スーパーキャパシタ又は任意の他の好適なエネルギー源によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ704a~704eは、それぞれの伝達機構706a~706eを介して、閉鎖部材714、クランプアーム716、シャフト740、関節742a及び関節742bなどの個々の可動機械的要素に機械的に連結されてもよい。伝達機構706a~706eは、モータ704a~704eを可動機械的要素に連結するための1つ若しくは2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ734は、閉鎖部材714の位置を感知し得る。位置センサ734は、閉鎖部材714の位置を示す位置データを生成することができる任意のタイプのセンサであってもよいか、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ734は、閉鎖部材714が遠位方向及び近位方向に並進すると、一連のパルスを制御回路710に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路710は、パルスを追跡して閉鎖部材714の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他のタイプの位置センサは、閉鎖部材714の動きを示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの例では、位置センサ734は省略されてもよい。モータ704a~704eのいずれかがステッパモータである場合、制御回路710は、モータ704が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、閉鎖部材714の位置を追跡することができる。位置センサ734は、エンドエフェクタ702内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。モータ704a~704eの各々の出力は、力を感知するためのトルクセンサ744a~744eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
【0127】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702の閉鎖部材714部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路710はモータ制御部708aにモータ設定点を提供し、モータ制御部708aはモータ704aに駆動信号を提供する。モータ704aの出力シャフトは、トルクセンサ744aに連結されている。トルクセンサ744aは、閉鎖部材714に連結された伝達機構706aに連結されている。伝達機構706aは、エンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向への閉鎖部材714の移動を制御するための回転要素及び発射部材などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ704aは、第1のナイフ駆動ギア及び第2のナイフ駆動ギアを含むナイフギア減速セットを含むナイフギア組立体に連結されていてもよい。トルクセンサ744aは、制御回路710に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、閉鎖部材714を発射又は変位させるのに必要な力を表す。位置センサ734は、発射ストロークに沿った閉鎖部材714の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されていてもよい。エンドエフェクタ702は、制御回路710にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ738を含んでもよい。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708aに発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ704aは、発射部材をエンドエフェクタ702の長手方向軸に沿って近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位側にあるストローク終了位置まで、遠位方向に駆動することができる。閉鎖部材714が遠位方向に並進すると、クランプアーム716は超音波ブレード718に向かって閉鎖する。
【0128】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のクランプアーム716部分などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、モータ704bに駆動信号を提供するモータ制御部708bにモータ設定値を提供する。モータ704bの出力シャフトは、トルクセンサ744bに連結される。トルクセンサ744bは、クランプアーム716に連結された伝達機構706bに連結されている。伝達機構706bは、開放位置及び閉鎖位置からのクランプアーム716の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704bは、閉鎖スパーギアと噛合係合して支持される閉鎖減速ギアセットを含む閉鎖ギア組立体に連結されている。トルクセンサ744bは、制御回路710に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、クランプアーム716に加えられる閉鎖力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702内の追加のセンサ738は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路710に提供することができる。枢動可能なクランプアーム716は、超音波ブレード718の反対側に位置付けされている。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708bに閉鎖信号を提供することができる。閉鎖信号に応答して、モータ704bは閉鎖部材を前進させて、クランプアーム716と超音波ブレード718との間に組織を把持する。
【0129】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を回転させるために、シャフト740などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路710は、モータ制御部708cにモータ設定点を提供し、モータ制御部708cは、モータ704cに駆動信号を提供する。モータ704cの出力シャフトは、トルクセンサ744cに連結される。トルクセンサ744cは、シャフト740に連結された伝達機構706cに連結されている。伝達機構706cは、シャフト740の時計回り又は反時計回りの回転を、360度まで及びそれを超えて制御するための回転要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704cは、ツール装着プレート上に動作可能に支持された回転ギア組立体によって動作可能に係合されるように、近位閉鎖管の近位端上に形成された(又はこれに取り付けられた)管状ギアセグメントを含む回転伝達機構組立体に連結されている。トルクセンサ744cは、制御回路710に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト740に加えられる回転力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ738が、シャフト740の回転位置を制御回路710に提供してもよい。
【0130】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を関節運動させるように構成されている。制御回路710は、モータ制御部708dにモータ設定点を提供し、モータ制御部708dは、モータ704dに駆動信号を提供する。モータ704dの出力シャフトは、トルクセンサ744dに連結される。トルクセンサ744dは、関節運動部材742aに連結された伝達機構706dに連結されている。伝達機構706dは、エンドエフェクタ702の±65°の関節運動を制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704dは、関節運動ナットに連結され、関節運動ナットは、遠位スパイン部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位スパイン部分の近位端部分上で関節運動ギア組立体によって回転可能に駆動される。トルクセンサ744dは、制御回路710に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ702に加えられる関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ738は、エンドエフェクタ702の関節運動位置を制御回路710に提供してもよい。
【0131】
別の態様では、ロボット外科システム700の関節運動機能は、2つの関節運動部材又は連結部742a、742bを含んでもよい。これらの関節運動部材742a、742bは、2つのモータ708d、708eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の個別のディスクによって駆動される。個別の発射モータ704aが提供されると、ヘッドが運動していないときにヘッドに抵抗保持運動及び負荷を提供するために、かつヘッドが関節運動しているときに関節運動を提供するために、関節運動連結部742a、742bのそれぞれは、他の連結部に対して拮抗的に駆動され得る。関節運動部材742a、742bは、ヘッドが回転するときに規定の半径でヘッドに取り付けられる。したがって、ヘッドが回転するとプッシュプル連結部の機械的利益は変化する。この機械的利点の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であり得る。
【0132】
一態様では、1つ又は2つ以上のモータ704a~704eは、ギアボックスと、発射部材、閉鎖部材又は関節運動部材への機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータと、を備えてもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電気モータ704a~704eが挙げられる。外部影響とは、組織、周囲体及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ704a~704eの1つに反して作用する障害(drag)と称されることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0133】
一態様では、位置センサ734は、絶対位置付けシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ734は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置付けシステムを備えてもよい。位置センサ734は、制御回路710とインターフェース接続して絶対位置付けシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられ、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0134】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のセンサ738と通信してもよい。センサ738は、エンドエフェクタ702上に位置付けされ、ロボット外科用器具700とともに動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ738は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光センサ及び/又はエンドエフェクタ702の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ738は、1つ又は2つ以上のセンサを含むことができる。センサ738は、分割された電極を使用して組織の位置を判定するために、クランプアーム716上に位置してもよい。トルクセンサ744a~744eは、とりわけ、発射力、閉鎖力及び/又は関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路710は、(1)遠位閉鎖管によって経験される閉鎖負荷及びその位置、(2)ラックにある発射部材及びその位置、(3)超音波ブレード718のどの部分がその上に組織を有しているか、及び(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することができる。
【0135】
一態様では、1つ又は2つ以上のセンサ738は、クランプ状態の間のクランプアーム716における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの規模に伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738は、クランプアーム716と超音波ブレード718との間に圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ738は、クランプアーム716と超音波ブレード718との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0136】
一態様では、センサ738は、とりわけ、1つ又は2つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(MR)装置、巨大磁気抵抗(GMR)装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計及び慣性センサを含んでもよい。
【0137】
一態様では、センサ738は、閉鎖駆動システムによってクランプアーム716に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ738は、閉鎖管によってクランプアーム716に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とクランプアーム716との間の相互作用点に位置してもよい。クランプアーム716に対して及ぼされる力は、クランプアーム716と超音波ブレード718との間に捕捉された組織切片によって経験される組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ738は、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に位置付けされて、閉鎖駆動システムによってクランプアーム716に加えられる閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ738は、クランプ動作中にリアルタイムで、制御回路710のプロセッサによってサンプリングされてもよい。制御回路710は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、クランプアーム716に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0138】
一態様では、電流センサ736を用いて、モータ704a~704eの各々によって引き込まれる電流を測定することができる。閉鎖部材714などの可動機械的要素のいずれかを前進させるのに必要な力は、モータ704a~704eのうちの1つによって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路710に提供される。制御回路710は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ702内の閉鎖部材714を目標速度又はその付近で移動させることができる。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、線形二次(LQR)及び/又は適応型コントローラが挙げられるがこれらに限定されない、任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。追加の詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月29日出願の「CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/636,829号に開示されている。
【0139】
図18は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するように構成された外科用器具750の概略図を示す。一態様では、外科用器具750は、閉鎖部材764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具750は、クランプアーム766と、閉鎖部材764と、超音波発生器771によって駆動される超音波変換器769に連結された超音波ブレード768と、を備え得るエンドエフェクタ752を備える。
【0140】
閉鎖部材764などの直線変位部材の位置、移動、変位及び/又は並進は、絶対位置付けシステム、センサ機構及び位置センサ784によって測定することができる。閉鎖部材764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、閉鎖部材764の位置は、位置センサ784を使用して、長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、閉鎖部材764の位置、変位及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、閉鎖部材764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの例では、制御回路760は、プロセッサ(複数化)に、記載される方法で変位部材、例えば閉鎖部材764を制御させる命令を実行するため、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマ/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定された閉鎖部材764の位置をタイマ/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)における閉鎖部材764の位置を判定することができる。タイマ/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてもよい。
【0141】
制御回路760は、モータ設定点信号772を生成してもよい。モータ設定点信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、モータ754は、ブラシ付きDC電気モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電気モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0142】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、スーパーキャパシタ若しくは任意の他の好適なエネルギー源であってもよいか、又はそれを含んでもよい。モータ754は、伝達機構756を介して閉鎖部材764に機械的に連結され得る。伝達機構756は、モータ754を閉鎖部材764に連結するための1つ若しくは2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、閉鎖部材764の位置を感知し得る。位置センサ784は、閉鎖部材764の位置を示す位置データを生成することができる任意のタイプのセンサであってもよいか、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、閉鎖部材764が遠位方向及び近位方向に並進すると、一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡して閉鎖部材764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他のタイプの位置センサは、閉鎖部材764の動きを示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステッパモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、閉鎖部材764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0143】
制御回路760は、1つ又は2つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ752上に位置付けされ、外科用器具750とともに動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光センサ、及び/又はエンドエフェクタ752の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ788は、1つ又は2つ以上のセンサを含むことができる。
【0144】
1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプ状態の間のクランプアーム766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの規模に伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ788は、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0145】
センサ788は、閉鎖駆動システムによってクランプアーム766に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってクランプアーム766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とクランプアーム766との間の相互作用点に位置してもよい。クランプアーム766に対して及ぼされる力は、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に捕捉された組織切片によって経験される組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に位置付けられて、閉鎖駆動システムによってクランプアーム766に加えられる閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプ動作中にリアルタイムで、制御回路760のプロセッサによってサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、クランプアーム766に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0146】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。閉鎖部材764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0147】
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内の閉鎖部材764を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない、任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0148】
外科用器具750の実際の駆動システムは、ギアボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材又は閉鎖部材764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフト組立体の、例えば変位部材及び関節運動ドライバを動作させる電気モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ754に反して作用する障害と称されることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0149】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用封止及び切断器具を有するエンドエフェクタ752を備える外科用器具750を対象とする。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なクランプアーム766と、使用のために構成されるときは、クランプアーム766の反対側に位置付けられた超音波ブレード768と、を備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、クランプアーム766と超音波ブレード768との間に組織を把持してもよい。器具750を使用する準備が整うと、臨床医は、例えば、器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸に沿って、近位のストローク開始位置から、ストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで、遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備える閉鎖部材764は、超音波ブレード768とクランプアーム766との間の組織を切断することができる。
【0150】
様々な実施例では、外科用器具750は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいて、例えば、閉鎖部材764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を備えてもよい。制御回路760は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路760は、組織状態に基づいて制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0151】
いくつかの例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などを挙げることができる。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実装してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。追加の詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日出願の「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/720,852号に開示されている。
【0152】
図19は、本開示の一態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具790の概略図である。一態様では、外科用器具790は、閉鎖部材764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具790は、クランプアーム766と、閉鎖部材764と、1つ若しくは2つ以上のRF電極796(破線で示される)と交換されるか、又はそれと連動して動作し得る超音波ブレード768と、を備え得るエンドエフェクタ792を備える。超音波ブレード768は、超音波発生器771によって駆動される超音波変換器769に連結されている。
【0153】
一態様では、センサ788は、とりわけ、リミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、MR装置、GMR装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ638は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ788は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計及び慣性センサを含んでもよい。
【0154】
一態様では、位置センサ784は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置付けシステムを備える絶対位置付けシステムとして実装されてもよい。位置センサ784は、制御回路760とインターフェース接続して絶対位置付けシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられ、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0155】
いくつかの例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステッパモータである場合、制御回路760は、モータが実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、閉鎖部材764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ792内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0156】
制御回路760は、1つ又は2つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ792上に位置付けられ、外科用器具790とともに動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光センサ及び/又はエンドエフェクタ792の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ788は、1つ又は2つ以上のセンサを含むことができる。
【0157】
RFエネルギー源794は、エンドエフェクタ792に連結され、RF電極796が超音波ブレード768の代わりにエンドエフェクタ792内に提供されるとき、又は超音波ブレード768と連動して動作するように提供されるとき、RF電極796に印加される。例えば、超音波ブレードは、導電性金属で作製され、電気外科用RF電流のリターンパスとして使用されてもよい。制御回路760は、RF電極796へのRFエネルギーの送達を制御する。
【0158】
追加の詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月28日出願の「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号に開示されている。
【0159】
発生器ハードウェア
様々な態様では、スマート超音波エネルギー装置は、超音波ブレードの動作を制御するための適応アルゴリズムを含んでもよい。一態様では、超音波ブレード適応制御アルゴリズムは、組織のタイプを識別し、装置パラメータを調整するように構成される。一態様では、超音波ブレード制御アルゴリズムは、組織のタイプをパラメータ化するように構成される。超音波ブレードの遠位先端の振幅を調整するために組織のコラーゲン/弾性比を検出するためのアルゴリズムが、本開示の以下の項で説明される。スマート超音波エネルギー装置の様々な態様が、例えば図12図19に関連して本明細書で説明される。したがって、適応型超音波ブレード制御アルゴリズムの以下の説明は、図12図19及びこれらに関連する説明と併せて読まれるべきである。
【0160】
特定の外科処置では、適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを用いることが望ましい。一態様では、超音波ブレードと接触する組織のタイプに基づいて、超音波装置のパラメータを調節するために、適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを用いてもよい。一態様では、超音波装置のパラメータは、超音波エンドエフェクタのジョー内の組織の位置、例えば、クランプアームと超音波ブレードとの間の組織の位置に基づいて調節されてもよい。超音波トランスデューサのインピーダンスは、組織の何パーセントがエンドエフェクタの遠位端又は近位端に位置するかを識別するために用いられてもよい。超音波装置の反応は、組織のタイプ又は組織の圧縮率に基づき得る。別の態様では、超音波装置のパラメータは、識別された組織のタイプ又はパラメータ化に基づいて調節されてもよい。例えば、超音波ブレードの遠位先端の機械的変位振幅は、組織識別処置中に検出されたエラスチン組織に対するコラーゲンの割り当て量(ration)に基づいて調整されてもよい。コラーゲンとエラスチン組織との比は、赤外線(IR)表面反射率及び放射率を含む様々な技術を使用して検出され得る。クランプアーム及び/又はクランプアームのストロークによって組織に加えられて間隙及び圧縮を生じさせる力。電極を備えたジョー全体の電気的導通を用いて、ジョーの何パーセントが組織で覆われているかを判定することができる。
【0161】
図20は、本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式通信ハブを備える外科用データネットワーク内で適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを実行するように構成されたシステム800である。一態様では、発生器モジュール240は、適応型超音波ブレード制御アルゴリズム(複数可)802を実行するように構成される。別の態様では、装置/器具235は、適応型超音波ブレード制御アルゴリズム(複数可)804を実行するように構成される。別の態様では、発生器モジュール240及び装置/器具235の両方が、適応型超音波ブレード制御アルゴリズム802、804を実行するように構成される。
【0162】
発生器モジュール240は、電力変圧器を介して非絶縁段階と通信する患者絶縁段階を備えてもよい。電力変圧器の二次巻線は、絶縁段階内に収容され、例えば、超音波外科用器具、RF電気外科用器具、並びに単独又は同時に送達可能な超音波及びRFエネルギーモードを含む多機能型外科用器具などの様々な外科用器具に駆動信号を送達するために駆動信号出力部を画定するためのタップ構成(例えば、センタタップ又は非センタタップ構成)を備え得る。具体的には、駆動信号出力部は、超音波駆動信号(例えば、420Vの二乗平均平方根(root-mean-square、RMS)駆動信号)を超音波外科用器具241に出力することができ、駆動信号出力部は、RF電気外科駆動信号(例えば、100VのRMS駆動信号)をRF電気外科用器具241に出力することができる。発生器モジュール240の態様は、図21図22を参照して本明細書で説明される。
【0163】
発生器モジュール240、若しくは装置/器具235、又はその両方は、例えば、図8図11を参照して説明されている、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236に連結されている。
【0164】
図21は、超音波器具と連結するように構成され、かつ、図20に示すモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワーク内で適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを実行するように更に構成された発生器の一形態である、発生器900の一実施例を示す。発生器900は、複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するように構成されている。発生器900は、エネルギーを外科用器具に送達するためのRF信号及び超音波信号を単独で又は同時にのいずれかで提供する。RF信号及び超音波信号は、単独で又は組み合わせて提供されてもよく、また同時に提供されてもよい。上述したように、少なくとも1つの発生器出力部は、単一のポートを通して複数のエネルギーモダリティ(例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法並びに/又はマイクロ波エネルギー)を送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために個別に又は同時にエンドエフェクタに送達することができる。発生器900は、波形発生器904に連結されたプロセッサ902を備える。プロセッサ902及び波形発生器904は、開示を明瞭にするために示されていない、プロセッサ902に連結されたメモリに記憶された情報に基づいて、様々な信号波形を発生するように構成されている。波形に関連するデジタル情報は、デジタル入力をアナログ出力に変換するために1つ又は2つ以上のDAC回路を含む波形発生器904に提供される。アナログ出力は、信号調節及び増幅のために、増幅器1106に供給される。増幅器906の、調節され増幅された出力は、電力変圧器908に連結されている。信号は、電力変圧器908を横断して患者絶縁側にある二次側に連結されている。第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、外科用器具のENERGY及びRETURNと標識された端子間に提供される。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ910を横断して連結され、外科用器具のENERGY及びRETURNと標識された端子間に提供される。2つを超えるエネルギーモダリティが出力されてもよく、したがって添え字「n」は、最大n個のENERGY端子が提供され得ることを示すために使用することができ、ここでnは、1超の正の整数であることが理解されよう。最大「n」個のリターンパス(RETURN)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供されてもよいことも理解されよう。
【0165】
第1の電圧感知回路912は、ENERGY及びRETURNパスと標識された端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。第2の電圧感知回路924は、ENERGY及びRETURNパスと標識された端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。電流感知回路914は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、示される電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配設される。異なるリターンパスが各エネルギーモダリティに対して提供される場合、別個の電流感知回路は各リターン区間で提供されねばならない。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力が対応の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器918に提供される。電力変圧器908の一次側(非患者絶縁側)における絶縁変圧器916、928、922の出力は、1つ又は2つ以上のADC回路926に提供される。ADC回路926のデジタル化された出力は、更なる処理及び計算のためにプロセッサ902に提供される。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用器具に提供される出力電圧及び電流を調整するために、出力インピーダンスなどのパラメータを計算するために使用することができる。プロセッサ902と患者絶縁回路との間の入力/出力通信は、インターフェース回路920を介して提供される。センサもまた、インターフェース回路920を介してプロセッサ902と電気通信してもよい。
【0166】
一態様では、インピーダンスは、ENERGY/RETURNと標識された端子にわたって連結された第1の電圧感知回路912又はENERGY/RETURNと標識された端子にわたって連結された第2の電圧感知回路924のいずれかの出力を、電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配設された電流感知回路914の出力で除算することによって、プロセッサ902により判定され得る。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力は、個別の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器916に提供される。ADC回路926からのデジタル化された電圧及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ902に提供される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGYは超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGYはRFエネルギーであってもよい。それでも、超音波エネルギーモダリティ及び双極又は単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティには、数ある中でも不可逆並びに/又は可逆電気穿孔法及び/若しくはマイクロ波エネルギーが挙げられる。また、図21に示された例は、単一のリターンパス(RETURN)が2つ又は3つ以上のエネルギーモダリティに提供され得ることを示しているが、他の態様では、複数のリターンパスRETURNが、各エネルギーモダリティENERGYに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波トランスデューサのインピーダンスは、第1の電圧感知回路912の出力を電流感知回路914で除算することによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路924の出力を電流感知回路914で除算することによって測定されてもよい。
【0167】
図21に示すように、少なくとも1つの出力ポートを備える発生器900は、実施される組織の治療のタイプに応じて、電力を、例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどの1つ又は2つ以上のエネルギーモダリティの形態でエンドエフェクタに提供するために、単一の出力部を有し、かつ複数のタップを有する電力変圧器908を含むことができる。例えば、発生器900は、超音波トランスデューサを駆動するために高電圧かつ低電流のエネルギーを送達し、RF電極を駆動して組織を封止するために低電圧かつ高電流のエネルギーを送達し、又は単極又は双極RF電気外科用電極のいずれかを使用したスポット凝固のために凝固波形を有するエネルギーを送達することができる。発生器900からの出力波形は、周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供するために、誘導、切り替え又はフィルタリングされ得る。超音波トランスデューサの、発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、図21に示すようにENERGYと標識された出力部とRETURNとの間に位置するであろう。一例では、RF双極電極の、発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、ENERGYと標識された出力部とRETURNとの間に位置するであろう。単極出力の場合、ENERGY出力部へ活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)を接続し、RETURN出力部に好適なリターンパッドを接続することが好ましいであろう。
【0168】
追加の詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」と題する2017年3月30日公開の米国特許出願公開第2017/0086914号に開示されている。
【0169】
本説明全体で使用されるとき、「無線」という用語及びその派生語は、非固体媒体を介して変調電磁放射線の使用を通じてデータを通信し得る回路、装置、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するために使用されてもよい。この用語は、関連する装置がいかなる有線も含まないことを意味するものではないが、いくつかの態様では、それらは存在しない可能性がある。通信モジュールは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、これらのイーサネット派生物のみならず、3G、4G、5G及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない、多数の無線又は有線通信規格又はプロトコルのうちのいずれかを実装してもよい。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0170】
本明細書で使用されるとき、プロセッサ又は処理ユニットは、いくつかの外部データソース(通常はメモリ)又は何らかの他のデータストリーム上で動作を実施する電子回路である。この用語は、本明細書では、多くの専門的な「プロセッサ」を組み合わせたシステム又はコンピュータシステム(特にシステムオンチップ(systems on a chip、SoC))内の中央プロセッサ(中央処理ユニット)を指すために使用される。
【0171】
本明細書で使用されるとき、システムオンチップ(SoC又はSOC)は、コンピュータ又は他の電子システムの全ての構成要素を統合する集積回路(「IC」又は「チップ」としても知られる)である。これは、デジタル、アナログ、混合信号、及び多くの場合は高周波数機能を、全て単一の基材上に含むことができる。SoCは、マイクロコントローラ(又はマイクロプロセッサ)を、グラフィックス処理ユニット(GPU)、Wi-Fiモジュール又はコプロセッサなどの最新の周辺装置と統合する。SoCは、内蔵メモリを含んでもよく、含まなくてもよい。
【0172】
本明細書で使用されるとき、マイクロコントローラ又はコントローラは、マイクロプロセッサを周辺回路及びメモリと統合するシステムである。マイクロコントローラ(又はマイクロコントローラユニットのMCU)は、単一の集積回路上の小型コンピュータとして実装されてもよい。これはSoCと同様であってもよく、SoCは、その構成要素の1つとしてマイクロコントローラを含み得る。マイクロコントローラは、1つ又は2つ以上のコア処理ユニット(CPU)とともにメモリ及びプログラム可能な入力/出力周辺機器を収容することができる。強誘電性のRAM、NORフラッシュ又はOTP ROMの形態のプログラムメモリ及び少量のRAMもまた、チップ上にしばしば含まれる。マイクロコントローラは、パーソナルコンピュータ又は様々な個別のチップで構成された他の汎用用途で使用されるマイクロプロセッサとは対照的に、組み込み型用途用に用いられ得る。
【0173】
本明細書で使用されるとき、コントローラ又はマイクロコントローラという用語は、周辺装置とインターフェース接続するスタンドアロンIC又はチップ装置であってもよい。これは、その装置の動作(及び当該装置との接続)を管理する外部装置上のコンピュータ又はコントローラの2つの部分間の連結部であってもよい。
【0174】
本明細書で説明されるプロセッサ又はマイクロコントローラはいずれも、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。このプロセッサコアは、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(quadrature encoder input、QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。なお、その詳細は、製品データシートで入手可能である。
【0175】
一態様では、プロセッサは、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0176】
モジュール式装置は、外科用ハブ内に受容可能な(例えば図3及び図9に関連して説明される)モジュールと、対応する外科用ハブと接続又はペアリングするために様々なモジュールに接続することができる外科用装置又は器具と、を含む。モジュール式装置としては、例えば、インテリジェント外科用器具、医療用撮像装置、吸引/灌注装置、排煙器、エネルギー発生器、ベンチレータ、吸入器、及びディスプレイが挙げられる。本明細書に記載されるモジュール式装置は、制御アルゴリズムによって制御することができる。制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体上で、特定のモジュール式装置がペアリングされる外科用ハブ上で、又はモジュール式装置及び外科用ハブの両方の上で(例えば、分散コンピューティングアーキテクチャを介して)、実行され得る。いくつかの例示では、モジュール式装置の制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体によって(すなわち、モジュール式装置内の、モジュール式装置上の、又はモジュール式装置に接続されたセンサによって)感知されたデータに基づいて装置を制御する。このデータは、手術中の患者に関連するもの(例えば、組織特性又は送気圧)であってもよく、又はモジュール式装置自体(例えば、前進するナイフの速度、モータ電流、又はエネルギーレベル)に関連するものであってもよい。例えば、外科用ステープル留め及び切断器具の制御アルゴリズムは、ナイフが前進する際にナイフにより生じた抵抗に基づき、器具のモータが組織を貫いてそのナイフを駆動させる速度を制御することができる。
【0177】
図22は、発生器1100と、これとともに使用可能な様々な外科用器具1104、1106、1108と、を備える外科システム1000の一形態を示し、外科用器具1104は超音波外科用器具であり、外科用器具1106はRF電気外科用器具であり、多機能型外科用器具1108は組み合わせ超音波/RF電気外科用器具である。発生器1100は、様々な外科用器具とともに使用するように構成可能である。様々な形態によれば、発生器1100は、例えば、超音波外科用器具1104、RF電気外科用器具1106、並びに発生器1100から同時に送達されるRFエネルギー及び超音波エネルギーを統合する多機能型外科用器具1108を含む異なるタイプの様々な外科用装置とともに使用するように構成可能であり得る。図22の形態では、発生器1100は、外科用器具1104、1106、1108とは別個に示されているが、一形態では、発生器1100は、外科用器具1104、1106、1108のうちのいずれかと一体的に形成されて、一体型外科システムを形成してもよい。発生器1100は、発生器1100のコンソールの前側パネル上に位置する入力装置1110を含む。入力装置1110は、発生器1100の動作をプログラムするのに好適な信号を生成する任意の好適な装置を含むことができる。発生器1100は、有線又は無線通信用に構成されてもよい。
【0178】
発生器1100は、複数の外科用器具1104、1106、1108を駆動するように構成される。第1の外科用器具は超音波外科用器具1104であり、ハンドピース1105(handpiece、HP)、超音波トランスデューサ1120、シャフト1126、及びエンドエフェクタ1122を備える。エンドエフェクタ1122は、超音波トランスデューサ1120と音響的に連結された超音波ブレード1128及びクランプアーム1140を備える。ハンドピース1105は、クランプアーム1140を動作させるトリガ1143と、超音波ブレード1128又は他の機能にエネルギーを供給し、駆動するためのトグルボタン1134a、1134b、1134cの組み合わせと、を備える。トグルボタン1134a、1134b、1134cは、発生器1100を用いて超音波トランスデューサ1120にエネルギーを供給するように構成することができる。
【0179】
発生器1100はまた、第2の外科用器具1106を駆動するようにも構成される。第2の外科用器具1106は、RF電気外科用器具であり、ハンドピース1107(HP)、シャフト1127、及びエンドエフェクタ1124を備える。エンドエフェクタ1124は、クランプアーム1142a、1142b内に電極を備え、シャフト1127の導電体部分を通って戻る。電極は、発生器1100内の双極エネルギー源に連結され、双極エネルギー源によってエネルギーを供給される。ハンドピース1107は、クランプアーム1142a、1142bを動作させるためのトリガ1145と、エンドエフェクタ1124内の電極にエネルギーを供給するためのエネルギースイッチを作動するためのエネルギーボタン1135と、を備える。
【0180】
発生器1100はまた、多機能型外科用器具1108を駆動するようにも構成される。多機能型外科用器具1108は、ハンドピース1109(HP)、シャフト1129、及びエンドエフェクタ1125を備える。エンドエフェクタ1125は、超音波ブレード1149及びクランプアーム1146を備える。超音波ブレード1149は、超音波トランスデューサ1120と音響的に連結される。ハンドピース1109は、クランプアーム1146を動作させるトリガ1147と、超音波ブレード1149又は他の機能にエネルギーを供給し、駆動するためのトグルボタン1137a、1137b、1137cの組み合わせと、を備える。トグルボタン1137a、1137b、1137cは、発生器1100を用いて超音波トランスデューサ1120にエネルギーを供給し、かつ同様に発生器1100内に収容された双極エネルギー源を用いて超音波ブレード1149にエネルギーを供給するように構成することができる。
【0181】
発生器1100は、様々な外科用器具とともに使用するように構成可能である。様々な形態によれば、発生器1100は、例えば、超音波外科用器具1104、RF電気外科用器具1106、並びに発生器1100から同時に送達されるRFエネルギー及び超音波エネルギーを統合する多機能型外科用器具1108を含む異なるタイプの異なる外科用装置とともに使用するように構成可能であり得る。図22の形態では、発生器1100は、外科用器具1104、1106、1108とは別個に示されているが、別の形態では、発生器1100は、外科用器具1104、1106、1108のうちのいずれか1つと一体的に形成されて、一体型外科システムを形成してもよい。上述したように、発生器1100は、発生器1100のコンソールの前側パネル上に位置する入力装置1110を含む。入力装置1110は、発生器1100の動作をプログラムするのに好適な信号を生成する任意の好適な装置を含むことができる。発生器1100はまた、1つ又は2つ以上の出力装置1112を含んでもよい。電気信号波形をデジタル的に発生させるための発生器、及び外科用器具の更なる態様は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第US-2017-0086914-A1号に記載されている。
【0182】
状況認識
感知されたデータに応答する制御アルゴリズムを含む「インテリジェント」装置は、感知されたデータを考慮することなく動作する「データ処理能力のない(dumb)」装置に改善を加えたものであり得るが、いくつかの感知されたデータは、単独で考慮される場合、すなわち、実施される外科処置のタイプ又は手術されている組織のタイプのコンテキストなしには、不完全又は決定的ではない可能性がある。処置コンテキストを知る(例えば、手術される組織のタイプ又は実施されている処置のタイプを知る)ことがなければ、制御アルゴリズムは、特定のコンテキストを含まない感知データが与えられると、モジュール式装置を不正確に又は準最適に制御することがある。例えば、特定の感知されたパラメータに応答して外科用器具を制御するための制御アルゴリズムの最適な方法は、手術されている特定の組織のタイプによって変化する可能性がある。これは、異なる組織のタイプが異なる特性(例えば、引き裂きに対する抵抗)を有し、そのため、外科用器具によってとられた動作に対して異なって応答するという事実に起因する。したがって、特定のパラメータについて同じ測定値が感知された場合であっても、外科用器具が異なる動作をとることが望ましいことがある。1つの具体的な例として、外科用ステープル留め及び切断器具がそのエンドエフェクタを閉鎖するために予想外に高い力を感知することに応答してその器具を制御する最適な方法は、組織のタイプが引き裂きの影響を受けやすいか、又はこれに耐性があるかによって異なる。肺組織など、引き裂きの影響を受けやすい組織の場合、器具の制御アルゴリズムは、組織の引き裂きを回避するために、閉鎖するための予想外に高い力に応答してモータを最適にランプダウンさせる。胃組織など、引き裂きに耐性がある組織の場合、器具の制御アルゴリズムは、エンドエフェクタが組織に適切にクランプされることを確実にするために、閉鎖するための予想外に高い力に応答してモータを最適にランプアップさせる。肺組織がクランプされているのか、胃組織がクランプされているのかを知らなければ、制御アルゴリズムは、準最適な決定を行う可能性がある。
【0183】
1つの解決策は、様々なデータソースから受信したデータに基づいて実施されている外科処置に関する情報を導出し、次いで、ペアリングされたモジュール式装置を適宜制御するように構成されたシステムを含む、外科用ハブを利用する。換言すれば、外科用ハブは、受信したデータから外科処置に関する情報を推測し、次いで、外科処置の推定されたコンテキストに基づいて、外科用ハブとペアリングされたモジュール式装置を制御するように構成されている。図23は、本開示の少なくとも1つの態様による、状況認識外科システム5100の図を示す。いくつかの例示では、データソース5126は、例えば、モジュール式装置5102(患者及び/又はモジュール式装置自体に関連付けられたパラメータを検出するように構成されたセンサを含み得る)、データベース5122(例えば、患者記録を含むEMRデータベース)、及び患者監視装置5124(例えば、血圧(BP)モニタ及び心電図(EKG)モニタ)を含む。外科用ハブ5104は、例えば、受信したデータの特定の組み合わせ又はデータソース5126からデータが受信される特定の順序に基づいて、データから外科処置に関するコンテキスト情報を導出するように構成され得る。受信したデータから推定されるコンテキスト情報は、例えば、実施される外科処置のタイプ、外科医が実施している外科処置の特定のステップ、手術されている組織のタイプ、又は処置の対象である体腔を含み得る。受信したデータから外科処置に関連する情報を導出又は推定するための外科用ハブ5104のいくつかの態様によるこの能力は、「状況認識」と称され得る。1つの例示では、外科用ハブ5104は、受信したデータから外科処置に関連するコンテキスト情報を導出する外科用ハブ5104に関連付けられたハードウェア及び/又はプログラミングである状況認識システムを組み込むことができる。
【0184】
外科用ハブ5104の状況認識システムは、様々な異なる方法でデータソース5126から受信したデータからコンテキスト情報を導出するように構成され得る。1つの例示では、状況認識システムは、様々な入力(例えば、データベース5122、患者監視装置5124、及び/又はモジュール式装置5102からのデータ)を、外科処置に関する対応するコンテキスト情報と相関させるために、訓練データで訓練されたパターン認識システム、又は機械学習システム(例えば、人工ニューラルネットワーク)を含む。換言すれば、機械学習システムは、提供された入力から外科処置に関するコンテキスト情報を正確に導出するように訓練され得る。別の例示では、状況認識システムは、外科処置に関する事前に特徴付けされたコンテキスト情報を、コンテキスト情報に対応する1つ又は2つ以上の入力(又は入力の範囲)と対応させて記憶する、ルックアップテーブルを含み得る。1つ又は2つ以上の入力による問い合わせに応答して、ルックアップテーブルは、モジュール式装置5102を制御するために状況認識システムの対応するコンテキスト情報を返すことができる。1つの例示では、外科用ハブ5104の状況認識システムによって受信されたコンテキスト情報は、1つ又は2つ以上のモジュール式装置5102の特定の制御調整又は一連の制御調整に関連付けられる。別の例示では、状況認識システムは、コンテキスト情報を入力として提供されたときに1つ又は2つ以上のモジュール式装置5102の1つ又は2つ以上の制御調整を生成又は検索する、更なる機械学習システム、ルックアップテーブル、又は他のそのようなシステムを含む。
【0185】
状況認識システムを組み込む外科用ハブ5104は、外科システム5100に多くの利益を提供する。1つの利益は、感知及び収集されたデータの解釈を改善することを含み、これは、外科処置の過程中の処理精度及び/又はデータの使用を改善する。以前の例に戻るために、状況認識した外科用ハブ5104は、どのタイプの組織が手術されているかを判定することができ、したがって、外科用器具のエンドエフェクタを閉じるために予想外に高い力が検出されると、状況認識した外科用ハブ5104は、組織のタイプに合わせて外科用器具のモータを正しくランプアップ又はランプダウンさせることができる。
【0186】
別の実施例として、手術されている組織のタイプは、特定の組織間隙測定のための外科用ステープル留め及び切断器具の圧縮速度及び負荷閾値になされる調整に影響を及ぼし得る。状況認識した外科用ハブ5104は、実施されている外科処置が胸部処置であるのか又は腹部処置であるのかを推定することができ、これにより外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具のエンドエフェクタによってクランプされている組織が肺であるのか(胸部手術の場合)又は胃であるのか(腹部手術の場合)を判定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具の圧縮速度及び負荷閾値を、組織のタイプに合わせて適切に調整することができる。
【0187】
更に別の実施例として、送気処置中に手術されている体腔のタイプは、煙排出器の機能に影響を及ぼし得る。状況認識した手術ハブ5104は、手術部位が(外科処置が送気を利用していると判定することによって)圧力下にあるかどうかを判定し、処置タイプを判定することができる。処置タイプは概して特定の体腔内で実施されるため、外科用ハブ5104は、手術されている体腔に合わせて適切に煙排出器のモータ速度を制御することができる。したがって、状況認識した手術ハブ5104は、胸部手術及び腹部手術の両方のために一定量の煙排出を提供することができる。
【0188】
更に別の実施例として、実施されている処置のタイプは、超音波外科用器具又は高周波(RF)電気外科用器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。例えば、関節鏡処置は、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエンドエフェクタが流体中に浸漬されるため、より高いエネルギーレベルを必要とする。状況認識した外科用ハブ5104は、外科処置が関節鏡処置であるかどうかを判定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、流体充填環境を補償するために、発生器のRF電力レベル又は超音波振幅(すなわち、「エネルギーレベル」)を調整することができる。関連して、手術されている組織のタイプは、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。状況認識した外科用ハブ5104は、どのタイプの外科処置が実施されているかを判定し、次いで、外科処置に関する予想される組織プロファイルに従って超音波外科用器具又はRF電気外用器具のエネルギーレベルをそれぞれカスタマイズすることができる。更に、状況認識した外科用ハブ5104は、処置別のみではなく、外科処置の過程にわたって、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエネルギーレベルを調整するように構成され得る。状況認識した外科用ハブ5104は、外科処置のどのステップが実施されているか、又はその後に実施されるかを判定し、次いで発生器及び/又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具の制御アルゴリズムを更新して、外科処置のステップに従って予想される組織タイプに適切な値にエネルギーレベルを設定することができる。
【0189】
更に別の例として、外科用ハブ5104が1つのデータソース5126から引き出す結論を改善するために、追加のデータソース5126からデータを引き出してもよい。状況認識した外科用ハブ5104は、モジュール式装置5102から受信したデータを、他のデータソース5126から外科処置に関して構築したコンテキスト情報で増強することができる。例えば、状況認識した外科用ハブ5104は、医療用撮像装置から受信したビデオ又は画像データに従って、止血が発生したかどうか(すなわち、手術部位での出血が止まったかどうか)を判定するように構成され得る。しかしながら、場合によっては、ビデオ又は画像データは、決定的ではない可能性がある。したがって、1つの例示では、外科用ハブ5104は、生理学的測定(例えば、外科用ハブ5104に通信可能に接続されたBPモニタによって感知された血圧)を、(例えば、外科用ハブ5104に通信可能に連結された医療用撮像装置124(図2)からの)止血の視覚データ又は画像データと比較して、ステープルライン又は組織溶着の完全性についての判定を行うように更に構成され得る。換言すれば、外科用ハブ5104の状況認識システムは、生理学的測定データを考慮して、可視化データを分析する際に追加のコンテキストを提供することができる。追加のコンテキストは、可視化データがそれ自体では決定的ではないか、又は不完全であり得る場合に有用であり得る。
【0190】
別の利益としては、外科処置の過程中に医療従事者が外科システム5100と相互作用するか又はこれを制御するために必要とされる回数を低減するために、実施されている外科処置の特定のステップに従って、ペアリングされたモジュール式装置5102を積極的かつ自動的に制御することが挙げられる。例えば、状況認識した外科用ハブ5104は、処置の後続のステップが器具の使用を必要とすると判定した場合に、RF電気外科用器具が接続されている発生器を積極的に起動させることができる。エネルギー源を積極的に起動することにより、処置の先行するステップが完了するとすぐに器具を使用準備完了にすることができる。
【0191】
別の実施例として、状況認識した外科用ハブ5104は、外科処置の現在又は後続のステップが、ディスプレイ上の異なる視界又は拡大の度合いを必要とするかどうかを、外科医が見る必要があると予想される手術部位における特徴(複数可)に従って判定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、(例えば、可視化システム108のために医療用撮像装置によって供給される)表示された視界を適切に積極的に変更することができ、その結果、ディスプレイは外科処置にわたって自動的に調整するようになる。
【0192】
更に別の例として、状況認識した手術ハブ5104は、外科処置のどのステップが実施されているか、又はその後に実施されるか、及び特定のデータ又はデータ間の比較が外科処置のそのステップに必要とされるかどうかを判定することができる。外科用ハブ5104は、外科医が特定の情報を尋ねるのを待つことなく、実施されている外科処置のステップに基づいて、自動的にデータスクリーンを呼び出すように構成され得る。
【0193】
別の利益としては、外科処置のセットアップ中又は外科処置の過程中にエラーをチェックすることが挙げられる。例えば、状況認識した外科用ハブ5104は、手術現場が、実施される外科処置のために適切に又は最適にセットアップされているかどうかを判定することができる。外科用ハブ5104は、実施されている外科処置のタイプを判定し、(例えば、メモリから)対応するチェックリスト、製品位置、又はセットアップニーズを読み出し、次いで、現在の手術現場のレイアウトを、外科用ハブ5104が実施されていると判定した外科処置のタイプの標準レイアウトと比較するように構成され得る。1つの例示では、外科用ハブ5104は、(例えば、好適なスキャナによってスキャンされた)処置のための項目リスト、及び/又は外科用ハブ5104とペアリングされた装置のリストを、所与の外科処置のための項目及び/又は装置の推奨される又は予想されるマニフェストと比較するように構成され得る。リスト間に不連続性が存在する場合、外科用ハブ5104は、特定のモジュール式装置5102、患者監視装置5124、及び/又は他の外科用アイテムが欠落していることを示す警告を提供するように構成され得る。1つの例示では、外科用ハブ5104は、例えば、近接センサによってモジュール式装置5102及び患者監視装置5124の相対距離又は位置を判定するように構成され得る。外科用ハブ5104は、装置の相対位置を、特定の外科処置のための推奨される又は予想されるレイアウトと比較することができる。レイアウト間に不連続性が存在する場合、外科用ハブ5104は、外科処置の現在のレイアウトが推奨されるレイアウトから逸脱していることを示す警告を提供するように構成され得る。
【0194】
別の例として、状況認識した外科用ハブ5104は、外科医(又は他の医療従事者)が誤りを犯しているか、又は別の方法で外科処置の過程中に求められる一連の行動から逸脱しているかどうかを判定することができる。例えば、外科用ハブ5104は、実施されている外科処置のタイプを判定し、(例えば、メモリから)設備使用のステップ又は順序の対応するリストを読み出し、次いで、外科処置の過程中に実施されているステップ、又は使用されている設備を、外科用ハブ5104が実施されていると判定した外科処置のタイプの予想されたステップ又は設備と比較するように構成され得る。1つの例示では、外科用ハブ5104は、外科処理における特定のステップで、予期せぬ行為が実施されているか、又は予期せぬ装置が利用されていることを示す警告を提供するように構成され得る。
【0195】
全体的に、外科用ハブ5104のための状況認識システムは、各外科処置の特定のコンテキストのために外科用器具(及び他のモジュール式装置5102)を調整し(例えば、異なる組織のタイプに調整する)、手術処置中の行動を検証することによって、外科処置の結果を改善する。状況認識システムはまた、処置の特定のコンテキストに従って、次のステップを自動的に示唆すること、データを提供すること、及び手術現場内のディスプレイ及び他のモジュール式装置5102を調整することによって、外科処置を実施する際の外科医の効率を改善する。
【0196】
モジュール式エネルギーシステム
外科処置を実施するために必要な設備の量に起因して、ORは世界中で、コード、装置、及び人の絡まった網になっている。大部分の外科用資本設備が単一の専門的なタスクを実施するため、外科用資本設備は、この問題の主な原因となる傾向がある。それらの専門的な性質に起因して、外科医は、単一の外科処置の過程で複数の異なるタイプの装置を利用する必要があるため、ORはエネルギー発生器などの外科用資本設備の2つ又は更にはより多くの部品を備蓄することを余儀なくされる場合がある。これらの外科用資本設備の各々は、電源に個別にプラグ接続されていなければならず、ORの職員の間で渡されている1つ又は2つ以上の他の装置に接続されて、誘導されなければならないコードの角度を作成することができる。現代のORで直面する別の問題は、これらの専門的な外科用資本設備の各々がその自身のユーザインターフェースを有し、またOR内の他の設備から独立して制御されなければならないことである。これにより、互いに接続して複数の異なる装置を適切に制御することが複雑になり、ユーザは異なるタイプのユーザインターフェースの訓練を受け、これらのユーザインターフェースを記憶しなければならなくなる(これらのユーザインターフェースは、資本設備の各々の間での変更に加え、実施されるタスク又は外科処置に基づいて更に変更されることがある)。この煩雑で複雑なプロセスは、更により多くの個人がOR内に存在する必要性を必要とする場合があり、複数の装置が互いに適切に制御されていない場合に危険を生じさせる可能性がある。したがって、OR内での外科用資本設備の設置面積を減少させるために、外科医のニーズに柔軟に対応できる単一のシステムに外科用資本設備技術を統合することは、ユーザ体験を単純化し、OR内の乱雑さを減少させ、複数の資本設備を同時に制御することに関連付けられた困難及び危険を防止することになる。更に、このようなシステムを拡張可能又はカスタマイズ可能にすることにより、新しい技術を既存の外科システムに便利に組み込むことが可能になり、外科システム全体を交換する必要性がなくなり、又はORの職員が各新技術で新しいユーザインターフェース若しくは設備制御を学習する必要がなくなる。
【0197】
図1図11で説明するように、外科用ハブ106は、様々なモジュールを互換的に受容するように構成することができ、このモジュールは、外科用装置(例えば、外科用器具又は排煙器)とインターフェース接続するか、又は様々な他の機能(例えば、通信)を提供することができる。一態様では、外科用ハブ106は、図24図30に関連して示されるモジュール式エネルギーシステム2000として具現化することができる。モジュール式エネルギーシステム2000は、積み重ねられた構成で互いに接続可能な様々な異なるモジュール2001を含むことができる。一態様では、モジュール2001は、積み重ねられたとき、又は別の方法で一体に単一の組立体に接続されたとき、物理的かつ通信可能に連結され得る。更に、モジュール2001は、異なる組み合わせ又は配置で互いに互換的に接続可能であり得る。一態様では、モジュール2001の各々は、それらの上側表面及び下側表面に沿って配設されたコネクタの一貫した又は普遍的なアレイを含むことができ、それによって、任意のモジュール2001が任意の配置で別のモジュール2001に接続されることを可能にする(ただし、いくつかの態様では、ヘッダモジュール2002などの特定のモジュールタイプは、例えば、積み重ね体内の最上モジュールとして機能するように構成することができる)。別の態様では、モジュール式エネルギーシステム2000は、図3及び図4に示されるようにモジュール2001を受容及び保持するように構成されたハウジングを含むことができる。モジュール式エネルギーシステム2000はまた、モジュール2001にも接続可能であるか又は別の方法で関連付けることができる、様々な異なる構成要素又は付属品も含むことができる。別の態様では、モジュール式エネルギーシステム2000は、外科用ハブ106の発生器モジュール140、240として具現化することができる(図3及び図10)。更に別の態様では、モジュール式エネルギーシステム2000は、外科用ハブ106とは別個のシステムであり得る。このような態様では、モジュール式エネルギーシステム2000は、外科用ハブ206に、それらの間でデータを送信及び/又は受信するために通信可能に連結可能であり得る。
【0198】
モジュール式エネルギーシステム2000は、様々な異なるモジュール2001から組み立てることができ、そのいくつかの例を図24に示す。異なるタイプのモジュール2001の各々は、異なる機能を提供することができ、それによって、各モジュール式エネルギーシステム2000に含まれるモジュール2001をカスタマイズすることによって、モジュールエネルギーシステム2000の機能(function)及び機能(capability)をカスタマイズするために、モジュール式エネルギーシステム2000を異なる構成に組み立てることができる。モジュール式エネルギーシステム2000のモジュール2001は、例えば、ヘッダモジュール2002(ディスプレイスクリーン2006を含み得る)と、エネルギーモジュール2004と、技術モジュール2040と、可視化モジュール2042と、を含むことができる。示される態様では、ヘッダモジュール2002は、モジュール式エネルギーシステム積み重ね体内の上部又は最上部モジュールとして機能するように構成され、したがって、その上面に沿ってコネクタを欠いてもよい。別の態様では、ヘッダモジュール2002は、モジュール式エネルギーシステム積み重ね体内の底部又は最下部モジュールに位置付けられるように構成することができ、したがって、その底部表面に沿ってコネクタを欠いてもよい。更に別の態様では、ヘッダモジュール2002は、モジュール式エネルギーシステム積み重ね体内の中間位置に位置付けられるように構成することができ、したがって、その底部表面及び頂部表面の両方に沿ってコネクタを含んでいてもよい。ヘッダモジュール2002は、各モジュール2001のシステムワイド設定及びその上の物理的制御部2011を通じて接続された構成要素、及び/又はディスプレイスクリーン2006上にレンダリングされたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)2008を制御するように構成され得る。このような設定は、モジュール式エネルギーシステム2000の起動、警報の音量、フットスイッチ設定、設定アイコン、ユーザインターフェースの外観若しくは構成、モジュール式エネルギーシステム2000にログインした外科医プロファイル、及び/又は実施される外科処置のタイプを含むことができる。ヘッダモジュール2002はまた、ヘッダモジュール2002に接続されたモジュール2001の通信、処理、及び/又は電力を提供するように構成することもできる。発生器モジュール140、240(図3及び図10)とも称され得るエネルギーモジュール2004は、図21に示される発生器900に関連して上述したような、電気外科用及び/又は超音波外科用器具を駆動するための1つ又は複数のエネルギーモダリティを生成するように構成され得る。技術モジュール2040は、追加又は拡張制御アルゴリズム(例えば、エネルギーモジュール2004のエネルギー出力を制御するための電気外科用又は超音波制御アルゴリズム)を提供するように構成され得る。可視化モジュール2042は、可視化装置(すなわち、スコープ)とインターフェース接続するように構成することができ、したがって、増大した可視化機能を提供することができる。
【0199】
モジュール式エネルギーシステム2000は、モジュール2001の機能を制御するためにモジュール2001に接続可能であるか、又はモジュール式エネルギーシステム2000と連携して機能するように構成されている、様々な付属品2029を更に含むことができる。付属品2029は、例えば、シングルペダルフットスイッチ2032、デュアルペダルフットスイッチ2034、及びモジュール式エネルギーシステム2000を上部で支持するためのカート2030を含むことができる。フットスイッチ2032、2034は、例えば、エネルギーモジュール2004によって出力される特定のエネルギーモダリティの起動又は機能を制御するように構成され得る。
【0200】
モジュール式構成要素を利用することによって、示されたモジュール式エネルギーシステム2000は、技術の利用可能性とともに成長し、施設及び/又は外科医の必要性にカスタマイズ可能である外科用プラットフォームを提供する。更に、モジュール式エネルギーシステム2000は、組み合わせ装置(例えば、二重電気外科及び超音波エネルギー発生器)を支持し、カスタマイズされた組織効果のためのソフトウェア駆動アルゴリズムを支持する。なお更に、外科システムアーキテクチャは、手術にとって重要な複数の技術を単一のシステムに組み合わせることによって、主要設置面積を減少させる。
【0201】
モジュール式エネルギーシステム2000に関連して利用可能な様々なモジュール式構成要素は、単極エネルギー発生器、双極エネルギー発生器、デュアル電気外科用/超音波エネルギー発生器、ディスプレイスクリーン、並びに様々な他のモジュール及び/又は他の構成要素を含むことができ、これらのいくつかはまた、図1図11にも関連して上述されている。
【0202】
ここで図25Aを参照すると、ヘッダモジュール2002は、いくつかの態様では、ヘッダモジュール2002に接続されたモジュール2001に関する情報を中継するためのGUI 2008をレンダリングするディスプレイスクリーン2006を含むことができる。いくつかの態様では、ディスプレイスクリーン2006のGUI2008は、モジュール式エネルギーシステム2000の特定の構成を構成するモジュール2001の全ての統合された制御点を提供することができる。GUI2008の様々な態様は、図30に関連して以下でより詳細に説明する。代替の態様では、ヘッダモジュール2002は、ディスプレイスクリーン2006を欠いていてもよいか、又はディスプレイスクリーン2006は、ヘッダモジュール2002のハウジング2010に取り外し可能に接続されてもよい。このような態様では、ヘッダモジュール2002は、モジュール式エネルギーシステム2000のモジュール2001によって生成された情報を表示するように構成された外部システムに通信可能に連結可能であり得る。例えば、ロボット外科用途では、モジュール式エネルギーシステム2000は、ロボットカート又はロボット制御コンソールに通信可能に連結可能であり得、ロボット式カート又はロボット制御コンソールは、モジュール式エネルギーシステム2000によって生成された情報をロボット外科システムのオペレータに表示するように構成される。別の例として、モジュール式エネルギーシステム2000は、それによって見るために外科スタッフメンバーに搬送又は固定され得るモバイルディスプレイに通信可能に連結可能であり得る。更に別の例では、モジュール式エネルギーシステム2000は、図29に示されるように、外科用ハブ2100、又はディスプレイ2104を含むことができる別のコンピュータシステムに通信可能に連結可能であり得る。モジュール式エネルギーシステム2000とは別個であるか、又は別の方法で別個であるユーザインターフェースを利用する態様では、ユーザインターフェースは、ユーザインターフェースが接続されたモジュール2001からの情報を表示することができるように、モジュール式エネルギーシステム2000全体と、又はそのうちの1つ若しくは2つ以上のモジュール2001と無線接続可能であり得る。
【0203】
更に図25Aを参照すると、エネルギーモジュール2004は、それに接続可能な対応する外科用器具に異なるエネルギーモダリティを送達するように構成された多数の異なるポートを含むポート組立体2012を含むことができる。図24図30に示される特定の態様では、ポート組立体2012は、双極ポート2014と、第1の単極ポート2016aと、第2の単極ポート2018bと、中立電極ポート2018(単極リターンパッドが接続可能である)と、組み合わせエネルギーポート2020と、を含む。しかしながら、ポートのこの特定の組み合わせは、単に例示目的のために提供され、ポート及び/又はエネルギーモダリティの代替の組み合わせが、ポート組立体2012に対して可能であり得る。
【0204】
上述したように、モジュール式エネルギーシステム2000は、異なる構成に組み立てることができる。更に、モジュール式エネルギーシステム2000の異なる構成はまた、異なる外科処置タイプ及び/又は異なるタスクに対して利用可能でもあり得る。例えば、図25A及び図25Bは、一緒に接続されたヘッダモジュール2002(ディスプレイスクリーン2006を含む)と、エネルギーモジュール2004と、を含むモジュール式エネルギーシステム2000の第1の例示的な構成を示す。このような構成は、例えば、腹腔鏡手術及び開腹手術処置に好適であり得る。
【0205】
図26Aは、一緒に接続されたヘッダモジュール2002(ディスプレイスクリーン2006を含む)と、第1のエネルギーモジュール2004aと、第2のエネルギーモジュール2004bと、を含むモジュール式エネルギーシステム2000の第2の例示的な構成を示す。2つのエネルギーモジュール2004a、2004bを積み重ねることによって、モジュール式エネルギーシステム2000は、モジュール式エネルギーシステム2000によって第1の構成から送達可能なエネルギーモダリティのアレイを拡張するための一対のポート組立体2012a、2012bを提供することができる。したがって、モジュール式エネルギーシステム2000の第2の構成は、2つ以上の双極/単極電気外科用器具、3つ以上の双極/単極電気外科用器具などを収容することができる。このような構成は、特に複雑な腹腔鏡手術及び開腹手術処置に好適であり得る。図26Bは、ヘッダモジュール2002がディスプレイスクリーン2006を欠いていることを除いて、第2の構成と同様の第3の例示的な構成を示す。この構成は、上述のように、ロボット外科用途又はモバイルディスプレイ用途に好適であり得る。
【0206】
図27は、一緒に接続されたヘッダモジュール2002(ディスプレイスクリーン2006を含む)と、第1のエネルギーモジュール2004aと、第2のエネルギーモジュール2004bと、技術モジュール2040と、を含むモジュール式エネルギーシステム2000の第4の例示的な構成を示す。このような構成は、特に複雑な又は計算集約的な制御アルゴリズムが必要とされる外科用途に好適であり得る。代替的に、技術モジュール2040は、以前に公開されたモジュール(エネルギーモジュール2004など)の機能を補完するか又は拡張する、新たに公開されるモジュールであってもよい。
【0207】
図28は、一緒に接続されたヘッダモジュール2002(ディスプレイスクリーン2006を含む)と、第1のエネルギーモジュール2004aと、第2のエネルギーモジュール2004bと、技術モジュール2040と、可視化モジュール2042と、を含むモジュール式エネルギーシステム2000の第5の例示的な構成を示す。このような構成は、ビデオフィードを可視化モジュール2042に連結されたスコープから中継するための専用の外科用ディスプレイ2044を提供することによって、内視鏡処置に好適なものになり得る。図25A図29に示され、上述された構成は、モジュール式エネルギーシステム2000の様々な概念を単に例示するために提供されており、モジュール式エネルギーシステム2000を特定の前述の構成に制限するように解釈されるべきではないことには留意すべきである。
【0208】
上述したように、モジュール式エネルギーシステム2000は、図29に示すように、外科用ハブ2100などの外部システムに通信可能に連結可能であり得る。このような外部システムは、内視鏡(又はカメラ若しくは別のそのような可視化装置)からの視覚的フィード及び/又はモジュール式エネルギーシステム2000からのデータを表示するためのディスプレイスクリーン2104を含むことができる。このような外部システムはまた、計算を実施するための、又は他の方法でモジュール式エネルギーシステム2000によって生成若しくは提供されたデータを分析するための、モジュール式エネルギーシステム2000の機能又はモードを制御するための、及び/又はクラウドコンピューティングシステム若しくは別のコンピュータシステムにデータを中継するためのコンピュータシステム2102を含むことができる。このような外部システムはまた、複数のモジュール式エネルギーシステム2000及び/又は他の外科システム(例えば、図1及び図2に関連して説明されるように、可視化システム108及び/又はロボットシステム110)間の動作を調整することもできる。
【0209】
ここで図30を参照すると、いくつかの態様では、ヘッダモジュール2002は、上述のようにGUI2008を表示するように構成されたディスプレイ2006を含むか、又はこれを支持することができる。ディスプレイスクリーン2006は、情報を表示することに加えて、ユーザから入力を受け取るためのタッチスクリーンを含むことができる。GUI2008上に表示された制御部は、ヘッダモジュール2002に接続されたモジュール(複数可)2001に対応することができる。いくつかの態様では、GUI2008の異なる部分又は領域は、特定のモジュール2001に対応することができる。例えば、GUI2008の第1の部分又は領域は、第1のモジュールに対応することができ、GUI2008の第2の部分又は領域は、第2のモジュールに対応することができる。異なる及び/又は追加のモジュール2001がモジュール式エネルギーシステム積み重ね体に接続されると、GUI2008は、新たに追加された各モジュール2001に対して異なる及び/又は追加の制御部に対応するか、又は取り外される各モジュール2001の制御部を取り外すように調節することができる。ヘッダモジュール2002に接続された特定のモジュールに対応するディスプレイの各部分は、そのモジュールに対応する制御部、データ、ユーザプロンプト、及び/又は他の情報を表示することができる。例えば、図30では、示されたGUI2008の第1の又は上側部分2052は、ヘッダモジュール2002に接続されたエネルギーモジュール2004に関連付けられた制御及びデータを表示する。具体的には、エネルギーモジュール2004のGUI2008の第1の部分2052は、双極ポート2014に対応する第1のウィジェット2056a、第1の単極ポート2016aに対応する第2のウィジェット2056b、第2の単極ポート2016bに対応する第3のウィジェット2056c、及び組み合わせエネルギーポート2020に対応する第4のウィジェット2056dを提供する。これらのウィジェット2056a~dの各々は、ポート組立体2012のウィジェットの対応するポートに関連するデータ、及びポート組立体2012のそれぞれのポートを通じてエネルギーモジュール2004によって送達されるエネルギーモダリティのモード及び他の特徴部を制御するための制御部を提供する。例えば、ウィジェット2056a~dは、それぞれのポートに接続された外科用器具の電力レベルの表示、及びそれぞれのポートに接続された外科用器具の動作モードの変更(例えば、外科用器具を第1の電力レベルから第2の電力レベルに変更し、及び/又は単極外科用器具を「スプレー」モードから「ブレンド」モードに変更すること)などを行うように構成されてもよい。
【0210】
一態様では、ヘッダモジュール2002は、GUI2008に加えて又はその代わりに、様々な物理的制御部2011を含み得る。このような物理的制御部2011は、例えば、モジュール式エネルギーシステム2000内のヘッダモジュール2002に接続される各モジュール2001の起動を制御する電源ボタンを含むことができる。代替的に、電源ボタンは、GUI2008の一部として表示されてもよい。したがって、ヘッダモジュール2002は、単一の接触点として機能することができ、モジュール式エネルギーシステム2000が構築される各個々のモジュール2001を個別に起動及び無効化する必要性をなくすことができる。
【0211】
一態様では、ヘッダモジュール2002は、モジュール式エネルギーシステム2000が構築される外科用モジュール2001、又はモジュール式エネルギーシステム2000に通信可能に連結される外科用装置と関連付けられた静止画像、ビデオ、動画、及び/又は情報を表示することができる。ヘッダモジュール2002によって表示される静止画像及び/又はビデオは、モジュール式エネルギーシステム2000に通信可能に連結された内視鏡又は別の可視化装置から受信することができる。GUI2008の動画及び/又は情報は、画像又はビデオフィード上に重ね合わせるか、又はそれに隣接して表示することができる。
【0212】
一態様では、ヘッダモジュール2002以外のモジュール2001は、同様に情報をユーザに中継するように構成することができる。例えば、エネルギーモジュール2004は、ポート組立体2012のポートの各々の周囲に配設された光組立体2015を含み得る。光組立体2015は、それらの色又は状態(例えば、点滅)に従って、ポートに関する情報をユーザに中継するように構成することができる。例えば、光組立体2015は、プラグがそれぞれのポート内に完全に着座されたときに、第1の色から第2の色に変化することができる。一態様では、光組立体2015の色又は状態は、ヘッダモジュール2002によって制御されてもよい。例えば、ヘッダモジュール2002は、各ポートの光組立体2015に、GUI2008上のポートの色表示に対応する色を表示させることができる。
【0213】
図31は、本開示の少なくとも1つの態様によるモジュール式エネルギーシステム3000のスタンドアロンハブ構成のブロック図であり、図32は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用制御システム3010と統合されたモジュール式エネルギーシステム3000のハブ構成のブロック図である。図31及び図32に示すように、モジュール式エネルギーシステム3000は、スタンドアロンユニットとして利用されるか、又は1つ若しくは2つ以上の外科用ハブユニットからデータを制御及び/又は受信する外科用制御システム3010と統合され得る。図31及び図32に示される実施例では、モジュール式エネルギーシステム3000の統合ヘッダ/UIモジュール3002は、ヘッダモジュールと、単一モジュールとして一緒に統合されたUIモジュールと、を含む。他の態様では、ヘッダモジュール及びUIモジュールは、データバス3008を通じて通信可能に連結される別個の構成要素として提供され得る。
【0214】
図31に示すように、スタンドアロンモジュール式エネルギーシステム3000の例は、エネルギーモジュール3004に連結された統合ヘッダモジュール/ユーザインターフェース(UI)モジュール3002を含む。電力及びデータは、統合ヘッダ/UIモジュール3002とエネルギーモジュール3004との間で電力インターフェース3006及びデータインターフェース3008を通じて送信される。例えば、統合ヘッダ/UIモジュール3002は、データインターフェース3008を通じてエネルギーモジュール3004に様々なコマンドを送信することができる。このようなコマンドは、UIからのユーザ入力に基づくことができる。更なる例として、電力は、電力インターフェース3006を通じてエネルギーモジュール3004に送信されてもよい。
【0215】
図32では、外科用ハブ構成は、制御システム3010と統合されたモジュール式エネルギーシステム3000と、モジュール式エネルギーシステム3000への及び/又はモジュール式エネルギーシステム3000からのデータ及び電力伝送を管理するためのインターフェースシステム3022と、を含む。図32に示されるモジュール式エネルギーシステムは、統合ヘッダモジュール/UIモジュール3002と、第1のエネルギーモジュール3004と、第2のエネルギーモジュール3012と、を含む。一実施例では、制御システム3010のシステム制御ユニット3024と、第2のエネルギーモジュール3012と(第1のエネルギーモジュール3004を通じて)、ヘッダ/UIモジュール3002と(データインターフェース3008を通じて)の間にデータ送信経路が確立される。加えて、電力経路は、統合ヘッダ/UIモジュール3002と第2のエネルギーモジュール3012との間に、電力インターフェース3006を通って第1のエネルギーモジュール3004を通って延在する。換言すれば、一態様では、第1のエネルギーモジュール3004は、第2のエネルギーモジュール3012と、統合ヘッダ/UIモジュール3002との間で、電力インターフェース3006及びデータインターフェース3008を通じて電力及びデータインターフェースとして機能するように構成される。この配置により、モジュール式エネルギーシステム3000は、統合ヘッダ/UIモジュール3002内の専用電力及びエネルギーインターフェースを必要とせずに、統合ヘッダ/UIモジュール3002に既に接続されているエネルギーモジュール3004、3012に、追加のエネルギーモジュールをシームレスに接続することによって拡張することができるようになる。
【0216】
本明細書で制御回路、制御論理、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、論理、若しくはFPGA、又はこれらの様々な組み合わせと称され得るシステム制御ユニット3024は、エネルギーインターフェース3026及び器具通信インターフェース3028を介してシステムインターフェース3022に連結される。システムインターフェース3022は、第1のエネルギーインターフェース3014及び第1の器具通信インターフェース3016を介して第1のエネルギーモジュール3004に連結される。システムインターフェース3022は、第2のエネルギーインターフェース3018及び第2の器具通信インターフェース3020を介して第2のエネルギーモジュール3012に連結される。追加のエネルギーモジュールなどの追加のモジュールがモジュール式エネルギーシステム3000内に積み重ねられると、追加のエネルギー及び通信インターフェースがシステムインターフェース3022と追加モジュールとの間に提供される。
【0217】
以下でより詳細に説明するように、エネルギーモジュール3004、3012は、ハブに接続可能であり、様々なエネルギー外科用器具のための電気外科エネルギー(例えば、双極若しくは単極)、超音波エネルギー、又はこれらの組み合わせ(本明細書では「高度エネルギー」モジュールと称される)を発生させるように構成することができる。一般に、エネルギーモジュール3004、3012は、ハードウェア/ソフトウェアインターフェースと、超音波コントローラと、高度エネルギーRFコントローラと、双極RFコントローラと、コントローラからの出力を受信し、それに応じて様々なエネルギーモジュール3004、3012の動作を制御するコントローラによって実行される制御アルゴリズムと、を含む。本開示の様々な態様では、本明細書に記載されるコントローラは、制御回路、制御論理、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、論理、若しくはFPGA、又はこれらの様々な組み合わせとして実装されてもよい。
【0218】
図33図35は、本開示の少なくとも1つの態様による、ハブを形成するために一緒に接続された様々なモジュール式エネルギーシステムのブロック図である。図33図35は、ハブモジュールの様々な図(例えば、回路又は制御図)を示す。モジュール式エネルギーシステム3000は、本開示の少なくとも1つの態様による、複数のエネルギーモジュール3004(図34)と、3012(図35)と、ヘッダモジュール3150(図35)と、UIモジュール3030(図33)と、通信モジュール3032(図33)と、を含む。UIモジュール3030は、モジュール式エネルギーシステム3000の1つ又は2つ以上のパラメータを制御するための様々な関連情報及び様々なユーザ制御を表示するタッチスクリーン3046を含む。UIモジュール3030は、頂部ヘッダモジュール3150に取り付けられているが、ヘッダモジュール3150とは独立して操作することができるように別々に収容される。例えば、UIモジュール3030は、ユーザによってピックアップされ、及び/又はヘッダモジュール3150に再取り付けされてもよい。追加的に、又は代替的に、UIモジュール3030は、ヘッダモジュール3150に対してわずかに移動して、その位置及び/又は配向を調節することができる。例えば、UIモジュール3030は、ヘッダモジュール3150に対して傾斜及び/又は回転させることができる。
【0219】
いくつかの態様では、様々なハブモジュールは、器具状態を通信するための物理的ポートの周りの光配管を含むことができ、また、対応する器具にスクリーン上の素子を接続することもできる。光配管は、物理的ポートに取り付けられた/接続された外科用器具の状態をユーザに警報するために用いられ得る照明技術の一例である。一態様では、物理的ポートを特定の光で照明することにより、ユーザに外科用器具を物理的ポートに接続するように指示する。別の実施例では、物理的ポートを特定の光で照明することにより、ユーザは、外科用器具との既存の接続に関連するエラーを警報する。
【0220】
図33を参照すると、本開示の少なくとも1つの態様による、パススルーハブコネクタ3034を介して通信モジュール3032に連結されたユーザインターフェース(UI)モジュール3030のブロック図が示されている。UIモジュール3030は、ヘッダモジュール3150(図35に示される)から別個の構成要素として提供され、例えば、通信モジュール3032を介してヘッダモジュール3150に通信可能に連結されてもよい。一態様では、UIモジュール3030は、他の接続されたモジュールから受信した宣言的な可視化及び挙動を表し、またシステム構成(例えば、言語選択、モジュール関連付けなど)などの他の集中的UI機能を実施するように構成されたUIプロセッサ3040を含むことができる。UIプロセッサ3040は、例えば、Qt、.NET WPF、又はウェブサーバなどのフレームワークを実行するプロセッサ又はシステムオンモジュール(SOM)であり得る。
【0221】
示された例では、UIモジュール3030は、タッチスクリーン3046と、液晶ディスプレイ3048(liquid crystal display、LCD)と、オーディオ出力3052(例えば、スピーカー、ブザー)と、を含む。UIプロセッサ3040は、タッチスクリーン3046とUIプロセッサ3040との間に連結されたタッチコントローラ3044からのタッチスクリーン入力を受信するように構成される。UIプロセッサ3040は、LCDディスプレイ3048に視覚情報を出力し、オーディオ増幅器3050を介してオーディオ出力3052に音声情報を出力するように構成される。UIプロセッサ3040は、パススルーハブコネクタ3034に連結されたスイッチ3042を介して通信モジュール3032にインターフェース接続して、ソース装置から宛先装置へのデータを受信、処理、及び転送し、それらの間のデータ通信を制御するように構成される。DC電力は、DC/DC変換器モジュール3054を介してUIモジュール3030に供給される。DC電力は、パススルーハブコネクタ3034を通過して、電力バス3006を通じて通信モジュール3032に渡される。データは、パススルーハブコネクタ3034を通って、データバス3008を通じて通信モジュール3032に渡される。スイッチ3042、3056は、ソース装置から宛先装置へのデータを受信、処理、及び転送する。
【0222】
図33を続けると、通信モジュール3032、並びに様々な外科用ハブ及び/又は外科システムは、異なるプロトコルを実行している2つの異なるネットワーク(例えば、内部ネットワーク及び/又は病院ネットワーク)間の選択トラフィック(すなわち、データ)をシャトルするように構成されたゲートウェイ3058を含むことができる。通信モジュール3032は、通信モジュール3032を他のモジュールに連結するための第1のパススルーハブコネクタ3036を含む。示された例では、通信モジュール3032は、UIモジュール3030に連結される。通信モジュール3032は、第2のパススルーハブコネクタ3038を介して他のモジュール(例えば、エネルギーモジュール)に連結されて、第1のパススルーハブコネクタ3036と第2のパススルーハブコネクタ3038との間に配設されたスイッチ3056を介して通信モジュール3032を他のモジュールに連結して、ソース装置から宛先装置へとデータを受信、処理、及び転送し、その間のデータ通信を制御するように構成される。スイッチ3056はまた、外部通信ポートとUIモジュール3030及び他の接続されたモジュールとの間で情報を通信するように、ゲートウェイ3058とも連結される。ゲートウェイ3058は、例えば、病院又は他のローカルネットワークと通信するためのイーサネットモジュール3060、ユニバーサルシリアルバス(USB)モジュール3062、WiFiモジュール3064、及びBluetoothモジュール3066などの様々な通信モジュールに連結されてもよい。通信モジュールは、通信モジュール3032内に位置している物理的基板であってもよく、又は遠隔通信ボードに連結するポートであってもよい。
【0223】
いくつかの態様では、モジュール(すなわち、取り外し可能なハードウェア)の全ては、ヘッダモジュール上に、又はヘッダモジュールと一体に配設される単一のUIモジュール3030によって制御される。図35は、UIモジュール3030を取り付けることができるスタンドアロンヘッダモジュール3150を示す。図31図32、及び図36は、統合ヘッダ/UIモジュール3002を示す。ここで図33に戻ると、様々な態様では、モジュールの全てを単一の応答性UIモジュール3002に統合することによって、システムは、一度に複数の設備を制御及び監視するためのより単純な方法を提供する。このアプローチは、手術室(OR)における設置面積及び複雑さを大幅に減少する。
【0224】
図34を参照すると、本開示の少なくとも1つの態様による、エネルギーモジュール3004のブロック図が示される。通信モジュール3032(図33)は、通信モジュール3032の第2のパススルーハブコネクタ3038、及びエネルギーモジュール3004の第1のパススルーハブコネクタ3074を介して、エネルギーモジュール3004に連結される。エネルギーモジュール3004は、第2のパススルーハブコネクタ3078を介して図35に示される第2のエネルギーモジュール3012などの他のモジュールに連結されてもよい。図34に戻ると、第1のパススルーハブコネクタ3074と第2のパススルーハブコネクタ3078との間に配設されたスイッチ3076は、ソース装置から宛先装置へのデータを受信、処理、及び転送し、それらの間のデータ通信を制御する。データはデータバス3008を通じて受信及び送信される。エネルギーモジュール3032は、エネルギーモジュール3004の様々な通信及び処理機能を制御するためのコントローラ3082を含む。
【0225】
DC電力は、エネルギーモジュール3004によって電力バス3006を通じて受信及び送信される。電力バス3006は、DC/DC変換器モジュール3138に連結されて、調節可能なレギュレータ3084、3107及び絶縁DC/DC変換器ポート3096、3112、3132に電力を供給する。
【0226】
一態様では、エネルギーモジュール3004は超音波広帯域増幅器3086を含むことができ、超音波広帯域増幅器3086は、一態様では、低全高調波歪み(THD)レベルで任意の波形を発生させることができる線形クラスH増幅器であり、高調波トランスデューサを駆動することができる。超音波広帯域増幅器3086は、効率を最大化するために降圧調節可能なレギュレータ3084によって供給され、例えば、直接デジタル合成装置(direct digital synthesizer、DDS)を介してデジタル信号プロセッサ(DSP)として実装され得るコントローラ3082によって制御される。DDSは、例えば、DSPに埋め込むか、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)内に実装することができる。コントローラ3082は、デジタル-アナログ変換器3106(digital-to-analog converter、DAC)を介して超音波広帯域増幅器3086を制御する。超音波広帯域増幅器3086の出力は、超音波電力変圧器3088に供給され、超音波電力変圧器3088は、高度エネルギー受容部3100の超音波エネルギー出力部分に連結される。超音波インピーダンスを計算するために使用され得る超音波電圧(V)及び電流(I)フィードバック(FB)信号は、超音波VI FB変圧器3092を介して、高度エネルギー受容部3100の入力部分を通じてコントローラ3082にフィードバックされる。超音波電圧及び電流フィードバック信号は、アナログ-デジタル変換器3102(A/D)を通じてコントローラ3082にルーティングされる。また、高度エネルギー受容部3100を通じてコントローラ3082に連結されているのは、電力バス3006からDC電力を受け取る絶縁DC/DC変換器ポート3096、及び中帯域幅データポート3098である。
【0227】
一態様では、エネルギーモジュール3004は、広帯域RF電力増幅器3108を含むことができ、この広帯域RF電力増幅器3108は、一態様では、任意の波形を発生させることができる線形クラスH増幅器であり、RF負荷を出力周波数の範囲で駆動することができる。広帯域RF電力増幅器3108は、効率を最大化するために調節可能な降圧レギュレータ3107によって供給され、DDSを介してDSPとして実装され得るコントローラ3082によって制御される。DDSは、例えば、DSPに埋め込むか、又はFPGA内に実装することができる。コントローラ3082は、DAC 3122を介して広帯域RF増幅器3086を制御する。広帯域RF電力増幅器3108の出力は、RF選択リレー3124を通じて供給されてもよい。RF選択リレー3124は、広帯域RF電力増幅器3108の出力信号を受信し、エネルギーモジュール3004の様々な他の構成要素に選択的に送信するように構成される。一態様では、広帯域RF電力増幅器3108の出力信号は、RF選択リレー3124を通じて、双極RFエネルギー受容部3118のRF出力部分に連結されたRF電力変圧器3110に供給され得る。RFインピーダンスを計算するために用いられ得る双極RF電圧(V)及び電流(I)フィードバック(FB)信号は、RF VI FB変圧器3114を介して、双極RFエネルギー受容部3118の入力部分を通じてコントローラ3082にフィードバックされる。RF電圧及び電流フィードバック信号は、A/D 3120を通じてコントローラ3082に戻される。また、双極RFエネルギー受容部3118を通じてコントローラ3082に連結されるのは、電力バス3006からDC電力を受信する絶縁DC/DC変換器ポート3112、及び低帯域幅データポート3116である。
【0228】
上述したように、一態様では、エネルギーモジュール3004は、作動のために定格コイル電流でコントローラ3082(例えば、FPGA)によって駆動されるRF選択リレー3124を含むことができ、定常状態の電力散逸を制限するためにパルス幅変調(PWM)を介して、より低い保持電流に設定することもできる。RF選択リレー3124の切り替えは、力誘導(安全)リレーによって達成され、接触状態の状態は、任意の単一の故障状態の緩和としてコントローラ3082によって感知される。一態様では、RF選択リレー3124は、第1の状態にあるように構成され、広帯域RF電力増幅器3108などのRF源から受信された出力RF信号が、双極エネルギー受容部3118のRF電力変圧器3110などのエネルギーモジュール3004の第1の構成要素に送信される。第2の態様では、RF選択リレー3124は、第2の状態にあるように構成され、広帯域RF電力増幅器3108などのRF源から受信された出力RF信号が、以下により詳細に記載される単極エネルギー受容部3136のRF電力変圧器3128などの第2の構成要素に送信される。一般的な態様では、RF選択リレー3124は、コントローラ3082によって駆動されて、第1の状態及び第2の状態などの複数の状態の間で切り替え、エネルギーモジュール3004の異なるエネルギー受容部間でRF電力増幅器3108から受信した出力RF信号を送信するように構成される。
【0229】
上述したように、広帯域RF電力増幅器3108の出力はまた、RF選択リレー3124を通じてRF単極受容部3136の広帯域RF電力変圧器3128に供給することもできる。RFインピーダンスを計算するために用いられ得る単極RF電圧(V)及び電流(I)フィードバック(FB)信号は、RF VI FB変圧器3130を介して、単極RFエネルギー受容部3136の入力部分を通じてコントローラ3082にフィードバックされる。RF電圧及び電流フィードバック信号は、A/D3126を介してコントローラ3082に戻される。また、単極RFエネルギー受容部3136を通じてコントローラ3082に連結されるのは、電力バス3006からDC電力を受信する絶縁DC/DC変換器ポート3132、及び低帯域幅データポート3134である。
【0230】
広帯域RF電力増幅器3108の出力はまた、RF選択リレー3124を通って、高度エネルギー受容部3100の広帯域RF電力変圧器3090に供給されてもよい。RFインピーダンスを計算するために用いられ得るRF電圧(V)及び電流(I)フィードバック(FB)信号は、RF VI FB変圧器3094を介して、高度エネルギー受容部3100の入力部分を通じてコントローラ3082にフィードバックされる。RF電圧及び電流フィードバック信号は、A/D3104を通じてコントローラ3082に戻される。
【0231】
図35は、本開示の少なくとも1つの態様による、ヘッダモジュール3150に連結された第2のエネルギーモジュール3012のブロック図である。図34に示される第1のエネルギーモジュール3004は、第1のエネルギーモジュール3004の第2のパススルーハブコネクタ3078を第2のエネルギーモジュール3012の第1のパススルーハブコネクタ3074に連結することによって、図35に示す第2のエネルギーモジュール3012に連結される。一態様では、第2のエネルギーモジュール3012は、図35に示すように、第1のエネルギーモジュール3004と同様のエネルギーモジュールであってもよい。別の態様では、第2のエネルギーモジュール2012は、より詳細に説明される図37に示されるエネルギーモジュールなどの第1のエネルギーモジュールとは異なるエネルギーモジュールであってもよい。第2のエネルギーモジュール3012を第1のエネルギーモジュール3004に追加すると、モジュール式エネルギーシステム3000に機能性が追加される。
【0232】
第2のエネルギーモジュール3012は、パススルーハブコネクタ3078をヘッダモジュール3150のパススルーハブコネクタ3152に接続することによって、ヘッダモジュール3150に連結される。一態様では、ヘッダモジュール3150は、電源ボタン機能3166、アップグレードUSBモジュール3162を通じたソフトウェアアップグレード、システム時間管理、及び異なるプロトコルを実行してもよいイーサネットモジュール3164を介した外部ネットワーク(すなわち、病院又はクラウド)へのゲートウェイを管理するように構成されたヘッダプロセッサ3158を含むことができる。データは、パススルーハブコネクタ3152を通じてヘッダモジュール3150によって受信される。ヘッダプロセッサ3158はまた、スイッチ3160に連結されて、ソース装置から宛先装置へのデータを受信、処理、及び転送し、それらの間のデータ通信を制御する。ヘッダプロセッサ3158はまた、本線からの電力入力モジュール3154に連結されたOTS電源3156に連結される。
【0233】
図36は、本開示の少なくとも1つの態様による、図33に示されるヘッダモジュールなどのハブ用のヘッダ/ユーザインターフェース(UI)モジュール3002のブロック図である。ヘッダ/UIモジュール3002は、ヘッダ電力モジュール3172と、ヘッダ無線モジュール3174と、ヘッダUSBモジュール3176と、ヘッダオーディオ/スクリーンモジュール3178と、ヘッダネットワークモジュール3180(例えば、イーサネット)と、バックプレーンコネクタ3182と、ヘッダ待機プロセッサモジュール3184と、ヘッダフットスイッチモジュール3186と、を含む。これらの機能モジュールは、ヘッダ/UI3002機能を提供するように相互作用する。ヘッダ/UIコントローラ3170は、機能モジュールの各々及びそれらの間の通信を制御し、ヘッダ/UIコントローラ3170とヘッダフットスイッチモジュール3186に連結された絶縁通信モジュール3234との間に連結された安全限界制御ロジックモジュール3230、3232を含む。セキュリティコプロセッサ3188は、ヘッダ/UIコントローラ3170に連結される。
【0234】
ヘッダ電力モジュール3172は、OTS電源ユニット3192(PSU)に連結された本線からの電力エントリモジュール3190を含む。低電圧直流(例えば、5V)待機電力が、OTS PSU3192から低電圧電力バス3198を通じてヘッダ/UIモジュール3002及び他のモジュールに供給される。高電圧直流(例えば、60V)は、OTS PSU3192から高電圧バス3200を通じてヘッダ/UIモジュール3002に供給される。高電圧DCは、DC/DC変換器モジュール3196、並びに絶縁DC/DC変換器モジュール3236に供給する。ヘッダ/待機モジュール3184の待機プロセッサ3204は、PSU/イネーブル信号3202をOTS PSU3192に提供する。
【0235】
ヘッダ無線モジュール3174は、WiFiモジュール3212及びBluetoothモジュール3214を含む。WiFiモジュール3212及びBluetoothモジュール3214の両方は、ヘッダ/UIコントローラ3170に連結される。Bluetoothモジュール3214は、ケーブルを使用せずに装置を接続するために使用され、WiFiモジュール3212は、インターネットなどのネットワークへの高速アクセスを提供し、手術室内に位置する他の装置の中で、複数の装置、例えば、複数のエネルギーモジュール又は他のモジュール及び外科用器具などをリンクすることができる無線ネットワークを作成するために用いることができる。Bluetoothは、30フィート未満などの短い距離でデータを交換するために使用される無線技術規格である。
【0236】
ヘッダUSBモジュール3176は、ヘッダ/UIコントローラ3170に連結されたUSBポート3216を含む。USBモジュール3176は、近距離デジタルデータ通信を介してモジュール及び他の電子機器装置用の標準ケーブル接続インターフェースを提供する。USBモジュール3176は、USB装置を備えるモジュールが、USBケーブルを介して互いに接続されてデジタルデータを転送することを可能にする。
【0237】
ヘッダオーディオ/スクリーンモジュール3178は、タッチコントローラ3218に連結されたタッチスクリーン3220を含む。タッチコントローラ3218は、ヘッダ/UIコントローラ3170に連結されて、タッチスクリーン3220からの入力を読み取る。ヘッダ/UIコントローラ3170は、ディスプレイ/ポートビデオ出力信号3222を介してLCDディスプレイ3224を駆動する。ヘッダ/UIコントローラ3170は、1つ又は2つ以上のスピーカ3228を駆動するためにオーディオ増幅器3226に連結される。
【0238】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、モジュール式エネルギーシステム3000内の1つの制御部又はヘッダモジュール3002に接続されたモジュールを制御するように構成されたタッチスクリーン3220ユーザインターフェースを提供する。タッチスクリーン3220は、モジュール式エネルギーシステム3000内に接続された全てのモジュールを調節するために、ユーザに対する単一のアクセスポイントを維持するために使用することができる。追加のハードウェアモジュール(例えば、排煙モジュール)は、ヘッダ/UIモジュール3002に接続されたときに、ユーザインターフェースLCDディスプレイ3224の底部に見られてもよく、ヘッダ/UIモジュール3002から切断されたときに、ユーザインターフェースLCDディスプレイ3224から消えてもよい。
【0239】
更に、ユーザタッチスクリーン3220は、モジュール式エネルギーシステム3000に取り付けられたモジュールの設定へのアクセスを提供することができる。更に、ユーザインターフェースLCDディスプレイ3224の配置は、ヘッダ/UIモジュール3002に接続されているモジュールの数及びタイプに従って変化するように構成されてもよい。例えば、1つのエネルギーモジュール及び1つの排煙モジュールがヘッダ/UIモジュール3002に接続される第1の用途のために、第1のユーザインターフェースをLCDディスプレイ3224上に表示することができ、2つのエネルギーモジュールがヘッダ/UIモジュール3002に接続されている第2の用途のために、第2のユーザインターフェースをLCDディスプレイ3224上に表示することができる。更に、モジュールがモジュール式エネルギーシステム3000から接続及び切断されると、ユーザインターフェースはLCDディスプレイ3224上のその表示を変更することができる。
【0240】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、着色するLCDディスプレイ上に表示するように構成されたユーザインターフェースLCDディスプレイ3224を提供し、ポート照明に対応する。一態様では、器具パネル及びその対応するポートの周囲のLED光の着色は、同じであるか、又は別の方法で互いに対応する。各色は、例えば、独特の意味を伝えることができる。このようにして、ユーザは、指示がどの器具を参照しているか、及び指示の性質を迅速に評価することができる。更に、器具に関する指示は、その対応するポートの周りに並ぶLEDライトの色の変化、及びそのモジュールの着色によって表すことができる。更に、スクリーン上のメッセージ及びハードウェア/ソフトウェアポートの位置合わせはまた、インターフェース上ではなく、ハードウェア上でアクションをとらなければならないことを伝える役割を果たすことができる。様々な態様では、警報が他の器具上で発生している間、全ての他の器具を使用することができる。これにより、ユーザは、指示がどの器具を参照しているか、及び指示の性質を迅速に評価することができる。
【0241】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、ユーザに処置オプションを提示するためにLCDディスプレイ3224上に表示するように構成されたユーザインターフェーススクリーンを提供する。一態様では、ユーザインターフェースは、ユーザに一連のオプション(例えば、大まかなものから詳細のものまで配置することができる)でユーザに提示するように構成されてもよい。各選択が行われた後、モジュール式エネルギーシステム3000は、全ての選択が完了するまで次のレベルを表す。これらの設定は、ローカルで管理され、二次手段(USBサムドライブなど)を介して転送されてもよい。代替的に、設定はポータルを介して管理され、病院内の全ての接続されたシステムに自動的に分散されてもよい。
【0242】
処置オプションとしては、例えば、専門家、処置、及び処置のタイプによって分類される工場出荷時に事前設定されたオプションのリストを含むことができる。ユーザ選択を完了すると、ヘッダモジュールは、任意の接続された器具を、その特定の処置のための事前設定された設定に設定するように構成することができる。処置オプションはまた、例えば、外科医のリスト、次いで、専門家、処置、及びタイプを含むことができる。ユーザが選択を完了すると、システムは、外科医の好ましい器具を提案し、外科医の選好(すなわち、外科医の選好を記憶する各外科医に関連付けられたプロファイル)に従って、それらの器具の設定を設定することができる。
【0243】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、LCDディスプレイ3224上に重要な器具設定を表示するように構成されたユーザインターフェーススクリーンを提供する。一態様では、ユーザインターフェースのLCDディスプレイ3224上に表示された各器具パネルは、配置及び内容において、モジュール式エネルギーシステム3000に差し込まれた器具に対応する。ユーザがパネルをタップすると、その特定の器具及び画面の残りの部分のための追加の設定及びオプションを明らかにするために拡張することができ、スクリーンの残りの部分は、例えば、暗くするか、又は別の方法で強調されないようにすることができる。
【0244】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、器具に固有の制御部を備える/表示するように構成されたユーザインターフェースの器具設定パネルを提供し、ユーザがその出力の強度を増大又は減少させ、特定の機能を切り替え、それをヘッダフットスイッチモジュール3186に接続されたフットスイッチのようなシステム付属品とペアリングし、高度な器具設定にアクセスし、器具に関する追加の情報を見つけることを可能にする。一態様では、ユーザは、「高度な設定」制御部をタップ/選択して、ユーザインターフェースLCDディスプレイ3224上に表示された高度な設定ドロアーを展開することができる。一態様では、ユーザは、次いで、器具設定パネルの右上の角部でアイコンをタップ/選択するか、又はパネルの外側の任意の場所をタップすることができ、パネルは、その元の状態へと縮小される。これらの態様では、ユーザインターフェースは、各器具パネルのレディー/ホームスクリーン上で、電力レベル及び電力モードなどの最も重要な器具設定のみをLCDディスプレイ3224に表示するように構成される。これは、遠隔からのシステムのサイズ及び可読性を最大化するためである。いくつかの態様では、パネル及びその中の設定は、可読性を更に改善するために、システムに接続された器具の数に比例してスケーリングすることができる。より多くの器具が接続されると、パネルは、より多くの量の情報を収容するようにスケーリングされる。
【0245】
ヘッダネットワークモジュール3180は、ヘッダ/UIモジュール3002をモジュール式エネルギーシステム3000の他のモジュールにネットワーク接続するための複数のネットワークインターフェース3264、3266、3268(例えば、イーサネット)を含む。示された例では、1つのネットワークインターフェース3264はサードパーティネットワークインターフェースであってもよく、別のネットワークインターフェース3266は病院ネットワークインターフェースであってもよく、更に別のネットワークインターフェース3268は、バックプレーンネットワークインターフェースコネクタ3182上に位置していてもよい。
【0246】
ヘッダ待機プロセッサモジュール3184は、オン/オフスイッチ3210に連結された待機プロセッサ3204を含む。待機プロセッサ3204は、電流が導通ループ3206内を流れるかどうかを確認することによって、電気的導通試験を行う。導通試験は、連続性ループ3206にわたって小さい電圧を配置することによって実施される。シリアルバス3208は、待機プロセッサ3204をバックプレーンコネクタ3182に連結する。
【0247】
ヘッダフットスイッチモジュール3186は、複数の対応する存在/ID及びスイッチ状態モジュール3242、3244、3246を通じて、複数のアナログフットスイッチポート3254、3256、3258に連結されたコントローラ3240をそれぞれ含む。コントローラ3240はまた、存在/ID及びスイッチ状態モジュール3248及び送受信機モジュール3250を介して補助ポート3260に連結される。補助ポート3260は、補助電力モジュール3252によって電力供給される。コントローラ3240は、絶縁通信モジュール3234、並びに第1の安全限界制御モジュール及び第2の安全限界制御モジュール3230、3232を介してヘッダ/UIコントローラ3170に連結される。ヘッダフットスイッチモジュール3186はまた、DC/DC変換器モジュール3238を含む。
【0248】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、アナログフットスイッチポート3254、3256、3258のうちのいずれか1つに接続されたフットスイッチを制御するために、LCDディスプレイ3224上に表示するように構成されたユーザインターフェーススクリーンを提供する。いくつかの態様では、ユーザが、手で起動しない器具内のアナログフットスイッチポート3254、3256、3258のうちのいずれか1つに差し込むと、器具パネルは、フットスイッチアイコンの隣の警告アイコンとともに出現する。器具は、フットスイッチを使用せずに起動することができないため、器具設定は、例えばグレーアウトされてもよい。
【0249】
ユーザがフットスイッチ内でアナログフットスイッチポート3254、3256、3258のうちのいずれか1つに差し込むと、フットスイッチがその器具に割り当てられていることを示すポップアップが出現する。フットスイッチアイコンは、フットスイッチが、器具に差し込まれ、割り当てられていることを示す。次いで、ユーザは、そのアイコン上でタップ/選択して、そのフットスイッチに関連付けられた設定を割り当て、再割り当て、割り当て解除、又は他の方法で変更することができる。これらの態様では、システムは、ロジックを使用して、フットスイッチを手で起動されない器具に自動的に割り当てるように構成されており、これにより、単一又は二重ペダルフットスイッチを適切な器具に更に割り当てることができる。ユーザがフットスイッチを割り当て/再割り当てすることを望む場合、利用することができる2つのフローがある。
【0250】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、グローバルフットスイッチボタンを提供する。ユーザがグローバルフットスイッチアイコン(ユーザインターフェースLCDディスプレイ3224の右上に位置する)をタップすると、フットスイッチ割り当てオーバーレイが出現し、器具モジュールの内容が薄暗くなる。各取り付けられたフットスイッチ(デュアル又はシングルペダル)の(例えば、写真のように現実的な)表現は、器具に割り当てられていない場合には底部に表示されるか、又は対応する器具パネル上に出現する。したがって、ユーザは、これらのイラストレーションを、フットスイッチ割り当てオーバーオーバーレイ内のボックス化されたアイコンとの間でドラッグアンドドロップし、フットスイッチをそれぞれの器具に割り当て、割り当て解除、及び再割り当てすることができる。
【0251】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、本開示の少なくとも1つの態様による、フットスイッチ自動割り当てを示す、LCDディスプレイ3224上に表示されるユーザインターフェーススクリーンを提供する。上述したように、モジュール式エネルギーシステム3000は、手による起動を伴わない器具にフットスイッチを自動割り当てするように構成することができる。いくつかの態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、ユーザインターフェース要素を使用して物理的ポートを追跡する手段として、ユーザインターフェースLCDディスプレイ3224上に表示された色をモジュール自体の光に相関させるように構成することができる。
【0252】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、モジュール式エネルギーシステム3000に接続された異なる数のモジュールを有するユーザインターフェースの様々な用途を示すように構成されてもよい。様々な態様では、LCDディスプレイ3224上に表示されるユーザインターフェース要素の全体的なレイアウト又は割合は、ヘッダ/UIモジュール3002に差し込まれた器具の数及びタイプに基づいていてもよい。これらのスケーリング可能なグラフィックは、より良好な可視化のために、スクリーンのより多くを利用する手段を提供することができる。
【0253】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、モジュール式エネルギーシステム3000に接続されたモジュールのどのポートがアクティブであるかを示すために、LCDディスプレイ3224上のユーザインターフェーススクリーンを示すように構成されてもよい。いくつかの態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、アクティブポートを強調表示し、非アクティブポートを薄暗くすることによって、アクティブポート対非アクティブポートを示すように構成することができる。一態様では、ポートは、アクティブであるときに色で表現することができる(例えば、黄色で単極組織凝固、青色で双極組織切断、青色で双極組織切断、及び暖白色で高度エネルギー組織切断を表現するなど)。更に、表示された色は、ポートの周囲の光配管の色と一致する。着色は、器具がアクティブである間、ユーザが他の器具の設定を変更できないことを更に示すことができる。別の例として、ヘッダ/UIモジュール3002は、第1のエネルギーモジュールの双極、単極、及び超音波ポートをアクティブとして、第2のエネルギーモジュールの単極ポートを同様にアクティブとして示すように構成することができる。
【0254】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、グローバル設定メニューを表示するためのLCDディスプレイ3224上のユーザインターフェーススクリーンを示すように構成されてもよい。一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、モジュール式エネルギーシステム3000に接続された任意のモジュールにわたって全体的な設定を制御するために、LCDディスプレイ3224上にメニューを表示するように構成されてもよい。グローバル設定メニューは、例えば、常に一貫した位置に表示されてもよい(例えば、主スクリーンの右上の角部で常に利用可能である)。
【0255】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、外科用器具が使用されている間に設定の変更を防止するように構成されたLCDディスプレイ3224上のユーザインターフェーススクリーンを示すように構成されてもよい。一実施例では、ヘッダ/UIモジュール3002は、接続された器具がアクティブであるときに、表示されたメニューを介して設定が変更されることを防止するように構成されてもよい。ユーザインターフェーススクリーンは、例えば、設定メニューが開いている間に器具の起動を示すために予約されるエリア(例えば、左上の角部)を含むことができる。一態様では、ユーザは、単極凝固がアクティブである間に双極設定を開いている。一態様では、次に、起動が完了すると、設定メニューを使用することができる。一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、重要な情報の表示を維持するために、重要な器具情報を示すために、専用のエリアにわたっていかなるメニュー又は他の情報をもオーバーレイしないように構成され得る。
【0256】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、器具エラーを表示するように構成されたLCDディスプレイ3224上のユーザインターフェーススクリーンを示すように構成されてもよい。一態様では、器具のエラー警告は、器具パネル自体に表示されてもよく、看護師がエラーのトラブルシューティングを行っている間に、ユーザが他の器具を使用し続けることを可能にする。これにより、ユーザは、手術を停止して器具をデバッグする必要なく手術を継続することができる。
【0257】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、様々な器具に利用可能な異なるモード又は設定を表示するためのLCDディスプレイ3224上のユーザインターフェーススクリーンを示すように構成されてもよい。様々な態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、積み重ね体/ハブに接続された外科用器具(複数可)のタイプ又は用途に適切な設定メニューを表示するように構成されてもよい。各設定メニューは、特定の器具タイプに適切な異なる電力レベル、及びエネルギー送達プロファイルなどのオプションを提供することができる。一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、双極切断、単極切断、及び単極凝固用途に利用可能な異なるモードを表示するように構成されてもよい。
【0258】
一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、予め選択された設定を表示するためのLCDディスプレイ3224上のユーザインターフェーススクリーンを示すように構成されてもよい。一態様では、ヘッダ/UIモジュール3002は、患者が手術室に入る前にモジュール式エネルギーシステム3000が準備されるように、器具/装置設定の選択を受信するように構成されてもよい。一態様では、ユーザは、単にポートをクリックし、その後、そのポートの設定を変更することができる。図示された態様では選択されたポートは、設定が設定されていることを示すために消えかかったように出現するが、そのポートには器具は差し込まれていない。
【0259】
図37は、本開示の少なくとも1つの態様による、図31図32図34、及び図35に示されるエネルギーモジュールなどのハブのエネルギーモジュール3270のブロック図である。エネルギーモジュール3270は、第1のパススルーハブコネクタ及び第2のパススルーハブコネクタ3272、3276を介してヘッダモジュール、ヘッダ/UIモジュール、及び他のエネルギーモジュールに連結するように構成される。第1のパススルーハブコネクタ3272と第2のパススルーハブコネクタ3276との間に配設されたスイッチ3076は、ソース装置から宛先装置へのデータを受信、処理、及び転送し、それらの間のデータ通信を制御する。データはデータバス3008を通じて受信及び送信される。エネルギーモジュール3270は、エネルギーモジュール3270の様々な通信及び処理機能を制御するためのコントローラ3082を含む。
【0260】
DC電力は、エネルギーモジュール3270によって電力バス3006を通じて受信及び送信される。電力バス3006は、DC/DC変換器モジュール3138に連結されて、調節可能なレギュレータ3084、3107及び絶縁DC/DC変換器ポート3096、3112、3132に電力を供給する。
【0261】
一態様では、エネルギーモジュール3270は超音波広帯域増幅器3086を含むことができ、超音波広帯域増幅器3086は、一態様では、低全高調波歪み(THD)レベルで任意の波形を発生させることができる線形クラスH増幅器であり、高調波トランスデューサを駆動することができる。超音波広帯域増幅器3086は、効率を最大化するために降圧調節可能な調節器3084によって供給され、例えば、直接デジタル合成装置(DDS)を介してデジタル信号プロセッサ(DSP)として実装され得るコントローラ3082によって制御される。DDSは、例えば、トランスデューサDSPに埋め込むか、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)内に実装することができる。コントローラ3082は、デジタル-アナログ変換器3106(DAC)を介して超音波広帯域増幅器3086を制御する。超音波広帯域増幅器3086の出力は、超音波電力変圧器3088に供給され、超音波電力変圧器3088は、高度エネルギー受容部3100の超音波エネルギー出力部分に連結される。超音波インピーダンスを計算するために使用され得る超音波電圧(V)及び電流(I)フィードバック(FB)信号は、超音波VI FB変圧器3092を介して、高度エネルギー受容部3100の入力部分を通じてコントローラ3082にフィードバックされる。超音波電圧及び電流フィードバック信号は、アナログマルチプレクサ3280及びデュアルアナログ(デジタル変換器3278(A/D)を通じてコントローラ3082にルーティングされる。一態様では、デュアルA/D 3278は、80 MSPSのサンプリングレートを有する。また、高度エネルギー受容部3100を通じてコントローラ3082に連結されているのは、電力バス3006からDC電力を受信する絶縁DC/DC変換器ポート3096、及び中帯域幅データポート3098である。
【0262】
一態様では、エネルギーモジュール3270は、とりわけ、複数の広帯域RF電力増幅器3108、3286、3288を含むことができ、一態様では、広帯域RF電力増幅器3108、3286、3288の各々は、任意の波形を発生させることができる線形クラスH増幅器であり、RF負荷を出力周波数の範囲で駆動することができる。広帯域RF電力増幅器3108、3286、3288の各々は、効率を最大化するために調節可能な降圧レギュレータ3107によって供給され、DDSを介してDSPとして実装され得るコントローラ3082によって制御される。DDSは、例えば、DSPに埋め込むか、又はFPGA内に実装することができる。コントローラ3082は、DAC3122を介して第1の広帯域RF電力増幅器3108を制御する。
【0263】
図34及び図35に示され、説明されるエネルギーモジュール3004、3012とは異なり、エネルギーモジュール3270は、調節可能な降圧レギュレータ3107からのRF出力信号を受信するように構成されたRF選択リレーを含まない。加えて、図34及び図35に図示及び説明されるエネルギーモジュール3004、3012とは異なり、エネルギーモジュール3270は、単一のRF電力増幅器の代わりに複数の広帯域RF電力増幅器3108、3286、3288を含む。一態様では、調節可能な降圧レギュレータ3107は、複数の状態の間で切り替わることができ、この状態では、調節可能な降圧レギュレータ3107は、それに接続された複数の広帯域RF電力増幅器3108、3286、3288のうちの1つに出力RF信号を出力する。コントローラ3082は、調節可能な降圧レギュレータ3107を複数の状態の間で切り替わるように構成される。第1の状態では、コントローラは、RFエネルギー信号を第1の広帯域RF電力増幅器3108に出力するように調節可能な降圧レギュレータ3107を駆動する。第2の状態では、コントローラは、RFエネルギー信号を第2の広帯域RF電力増幅器3286に出力するように調節可能な降圧レギュレータ3107を駆動する。第3の状態では、コントローラは、RFエネルギー信号を第3の広帯域RF電力増幅器3288に出力するように調節可能な降圧レギュレータ3107を駆動する。
【0264】
第1の広帯域RF電力増幅器3108の出力は、高度エネルギー受容部3100のRF出力部分に連結されたRF電力変圧器3090に供給することができる。RFインピーダンスを計算するために用いられ得るRF電圧(V)及び電流(I)フィードバック(FB)信号は、RF VI FB変圧器3094を介して、高度エネルギー受容部3100の入力部分を通じてコントローラ3082にフィードバックされる。RF電圧及び電流フィードバック信号は、アナログマルチプレクサ3284及びコントローラ3082に連結されたデュアルA/D3282に連結された、RF VI FB変圧器3094を通じてコントローラ3082にルーティングされる。一態様では、デュアルA/D3282は、80MSPSのサンプリングレートを有する。
【0265】
第2のRF広帯域電力増幅器3286の出力は、RF単極受容部3136のRF電力変圧器3128を通じて供給される。RFインピーダンスを計算するために用いられ得る単極RF電圧(V)及び電流(I)フィードバック(FB)信号は、RF VI FB変圧器3130を介して、単極RFエネルギー受容部3136の入力部分を通じてコントローラ3082にフィードバックされる。RF電圧及び電流フィードバック信号は、アナログマルチプレクサ3284及びデュアルA/D3282を通じてコントローラ3082にルーティングされる。また、単極RFエネルギー受容部3136を通じてコントローラ3082に連結されるのは、電力バス3006からDC電力を受信する絶縁DC/DC変換器ポート3132、及び低帯域幅データポート3134である。
【0266】
第3のRF広帯域電力増幅器3288の出力は、双極RF受容部3118のRF電力変圧器3110を通じて供給される。RFインピーダンスを計算するために使用され得る双極RF電圧(V)及び電流(I)フィードバック(FB)信号は、RF VI FB変圧器3114を介して、双極RFエネルギー受容部3118の入力部分を通じてコントローラ3082にフィードバックされる。RF電圧及び電流フィードバック信号は、アナログマルチプレクサ3280及びデュアルA/D 3278を通じてコントローラ3082にルーティングされる。また、双極RFエネルギー受容部3118を通じてコントローラ3082に連結されるのは、電力バス3006からDC電力を受信する絶縁DC/DC変換器ポート3112、及び低帯域幅データポート3116である。
【0267】
接触モニタ3290は、NE受容部3292に連結される。電力は、単極受容部3136からNE受容部3292に供給される。
【0268】
一態様では、図31図37を参照すると、モジュール式エネルギーシステム3000は、受容部3100、3118、3136内の器具の存在を、フォトインタラプタ、磁気センサ、又は受容部3100、3118、3136に統合された他の非接触センサを介して検出するように構成することができる。このアプローチは、MTDコネクタ上の専用の存在ピンを単一の目的に割り当てる必要性を防止し、代わりに、器具の存在を継続的に監視しながらMTD信号ピン6~9の多目的機能を可能にする。
【0269】
一態様では、図31図37を参照すると、モジュール式エネルギーシステム3000のモジュールは、患者の絶縁境界を横切る高速通信(10~50Mb/秒)を可能にする光学リンクを含むことができる。このリンクは、装置通信、緩和信号(ウォッチドッグなど)、及び低帯域幅ランタイムデータを伝送する。いくつかの態様では、光学リンクは、非絶縁側で行うことができるリアルタイムサンプリングデータを含まない。
【0270】
一態様では、図31図37を参照すると、モジュール式エネルギーシステム3000のモジュールは、(i)A/D及び電流源を介して存在抵抗値を読み取ることと、(ii)ハンドスイッチQプロトコルを介してレガシーの器具と通信することと、(iii)ローカルバス1-Wireプロトコルを介して器具と通信することと、(iv)CAN FD対応外科用器具と通信することと、を行うことができる多機能回路ブロックを含むことができる。外科用器具がエネルギー発生器モジュールによって適切に識別されると、関連するピン機能及び通信回路が有効化され、一方、他の未使用の機能は無効化され、高インピーダンス状態に設定される。
【0271】
一態様では、図31図37を参照すると、モジュール式エネルギーシステム3000のモジュールは、増幅器パルス/刺激/補助DC増幅器を含むことができる。これは、フルブリッジ出力に基づく柔軟に使用できる増幅器であり、機能的絶縁を組み込む。これにより、その差動出力は、印加された部分上の任意の出力接続を参照することができる(いくつかの態様では、単極活性電極を除く)。増幅器出力は、DCモータ、照明、FET駆動などのDC用途のための中程度の出力電力で、DAC又は方形波駆動によって提供される波形駆動を有する小さい信号線形(パルス/刺激)のいずれかであり得る。出力電圧及び電流は、機能的に絶縁された電圧及び電流フィードバックで感知されて、正確なインピーダンス及び電力測定値をFPGAに提供する。CAN FD対応の器具と対になって、この出力はモータ/運動制御駆動を提供することができ、一方、位置又は速度フィードバックは、閉ループ制御のためのCAN FDインターフェースによって提供される。
【0272】
モジュール式外科用システム用の自動超音波エネルギー作動回路設計
本開示の態様は、モジュール式外科用システムのための自動超音波エネルギー活性化を提供する回路設計のために提示される。いくつかの態様では、超音波外科用器具内の制御回路は、いくつかの閾値基準が満たされたに基づいて超音波機能を自動的に起動させた後に、治療エネルギーが発生器から超音波外科用器具へと通過することを可能にするモジュール式エネルギーシステムに接続されてもよい。いくつかの態様では、超音波器具は、タッチセンサが適切な組織に接触したときに、治療用超音波エネルギーを自動的に起動させる信号を送る容量性タッチセンサを含んでもよい。
【0273】
外科的環境において、外科手術を安全かつクリーンに実行するために、多くの器具が使用されてもよい。複数の参加者は、異なる時点で異なる器具を1人以上の外科医に手で提供してもよく、タイミングは最適なケアを提供するために重要であり得る。異なる外科用器具に電力を提供する複数の外科用モジュールもまた、患者の周囲に存在してもよい。エラーの発生機会は、存在する、より多くの器具、移動部分、及び変数を増加させる。安全及び外科手術を改善するために、自動化が外科手術の適切な状況内で正確に適合することを条件として、可能な限り多くの機能を自動化することが望ましい。
【0274】
したがって、超音波治療エネルギーを適切な時間に自動的に作動させ、かつ超音波エネルギーを正しく自動的にオフにすることが望ましいであろう。したがって、いくつかの態様では、エンドエフェクタに連結されたセンサは、超音波エネルギーを印加又はオフにするべきときに正確に正確なフィードバックを提供し得る。一部の態様では、容量性タッチセンサは、患者組織又は超音波器具のユーザとの接触などの導電性接触に起因して、容量性タッチスクリーンの一部分にわたる電圧降下を測定するように構成されている。このようにして、超音波器具を起動するタイミングは、必要とされるときに正確に対応し得る。
【0275】
図38は、本開示の少なくとも1つの態様による、超音波エネルギーの自動起動の例示的実装形態を示す。ここで、超音波発生器17505は、ユーザによって保持される器具17510に電気的に連結されている。この場合、容量性タッチ面17520は、器具を操作している間に使用者が指でタッチすることができる範囲で、超音波器具の本体部分に固定される。他の場合には、容量性タッチセンサ17520は、以下でより詳細に考察されるエンドエフェクタ17515に固定されてもよい。次いで、容量性タッチセンサ17520は、信号を送信して、LED17525などの可視的インジケータを起動することによって応答する。これは、容量性センサが活性化されるというフィードバックを提供する。場合によっては、容量性タッチセンサ17520は、導電性活性に応答する電極であってもよく、他の場合には、容量性センサは、容量性タッチスクリーン内のコンテンツと同様に、表面又は投射パッドであってもよい。
【0276】
図39を参照すると、本開示の少なくとも1つの態様による、容量性タッチセンサ17620を使用する自動起動能力を有する超音波器具17602の様々な構成要素のブロック図が示されている。超音波器具17602のハウジング17610は、ASIC又はFPGAなどの制御回路17615を含んでもよい。制御回路17615は、超音波トランスデューサ17604を起動させて、超音波ブレード17630とクランプジョー17625との間にクランプされた組織17635に治療用超音波エネルギーを印加するように構成された超音波発生器17605に電気的に連結されてもよい。クランプジョー17625は、統合された導電パッド17710又は集積電極を有するパッドを含んでもよい。非治療的電気信号は、導電パッド17710又は統合された電極を有するパッドと、導電性超音波ブレード17630との間に適用されてもよく、組織17635の容量17640を充電し、ハウジング17610に含まれる容量性タッチセンサ17620によって組織17635の存在を検出する。容量性タッチセンサ17620は、制御回路17615に結合されている。電力は、AVDDポートを介して容量性タッチセンサ17620に供給されてもよく、アナログ容量性タッチセンサ17620に電力を提供する。組織17635などの導電性媒体が導電パッド17710及び導電性超音波ブレード17630の両方に接触すると、容量性タッチセンサ17620は、組織17635の存在を検出し、組織17635の存在を示す信号を制御回路17615に提供する。制御回路17615は次に、発生器17605を起動することを決定してもよく、これにより、超音波トランスデューサ17604に電気エネルギーを供給して、エンドエフェクタの超音波ブレード17630を起動させて、超音波ブレード17630とエンドエフェクタのジョー17625との間にクランプされた組織17635に治療エネルギーを印加してもよい。超音波ブレード17630は、容量性タッチセンサ17620が組織17635の存在によって適切にトリガされた後に治療用超音波エネルギーを送達する。ジョー17625及び超音波ブレード17630は、患者の組織17635にクランプされて示されており、図は、患者の身体の容量17640を示すように完成されている。
【0277】
図40を参照すると、本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタに位置付けられた容量性タッチセンサによる自動超音波起動を有する器具の別の変形例が示されている。図39と同様に、器具17610は、発生器17605に連結され、制御回路17615を含む。この場合、容量性タッチセンサ17705は、例えば、ジョー17625又は超音波ブレード17630のいずれかに固定されたエンドエフェクタに位置付けられてもよい。センサ17705は、ジョー17625が開放されたときに患者の組織17635と接触し、次いで組織17635の一部分上にクランプされるように構成されてもよい。一態様では、センサ17705の位置は超音波ブレード17630の下にある間、ジョー17625が組織17635上にクランプされたときに、センサ17705は、患者組織17635に面するように、ジョー17625の内側に位置付けられてもよい。
【0278】
場合によっては、容量性タッチセンサの信号は、組織17635がジョー17625と超音波ブレード17630との間にクランプされると、容量性タッチセンサ17705を含む回路が完了したときに起動してもよい。導電パッド17710又は統合された電極を有するパッドは、組織17635がジョー17625と超音波ブレード17630との間にクランプされると、容量性タッチセンサに通過する非治療エネルギーを送達するように構成されてもよい。つまり、電流経路を完成させるために、患者の組織17635が使用されてもよい。電流経路の完了により、導電パッド17710と、組織17635と、超音波ブレード17630との間を流れる非治療エネルギーを使用して、容量性タッチセンサ17705を起動させ、それによって、センサ17705が信号を制御回路17615に戻る入力として送信し、超音波ブレード17630への治療エネルギーを起動させてもよい。この構成では、1つの導体が超音波ブレード17630に結合されてもよく、1つの導体は、非治療エネルギーを送達するために導電パッド17710に結合されてもよい。
【0279】
いくつかの態様では、エンドエフェクタにおける容量性タッチセンサ17705は、超音波ブレード17630を迂回して、制御回路17615から直接電力を受信してもよい。この場合、容量性タッチセンサ17705は、組織17635などの容量性ソースに接触したときに活性化され、応答する準備ができてもよい。次いで、容量性センサ17705は、制御回路17615への入力としてトリガ又は起動信号を送達してもよく、その後、超音波ブレード17630への治療エネルギーをオンにしてもよい。
【0280】
別の変形形態の図41を参照すると、いくつかの態様では、一対の容量性タッチセンサ17805、17705は、治療エネルギーを自動的に起動させるために、一部の容量性読み取りを同時に位置合わせする必要があり得る。ここでは、クランプジョー17625に固定された第2のタッチセンサ17805も含まれる。図示されるセンサ17805の位置は、クランプジョー17625の頂部に向かっているが、センサ17805は、クランプジョー17625の底部に位置付けられてもよく、ここでは、センサ17805は、組織17635と接触すると同時に、センサ17705も、組織17635に接触することができる(センサ17705の位置付けがジョーの内側部分におけることが考察されている上記を参照)。この場合、センサ17805、17705の両方に非治療エネルギーが供給されてもよく、両方とも、読み取り値を感知する制御回路17615への入力を提供するように構成されてもよい。両者が制御回路17615への信号入力を提供する場合にのみ、制御回路17615は、超音波ブレード17630に治療エネルギーを提供してもよい。
【0281】
これらの実施例では超音波ブレードが考察されているが、エンドエフェクタにおける他の種類の要素を使用して治療エネルギーを供給してもよい。これらは、グリッパー、クランプ、歯、フラットパネルなどを含んでもよい。
【0282】
図42を参照すると、本開示の少なくとも1つの態様による、器具によって治療超音波エネルギーを自動的に起動するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理図17900である。これらのステップは図38図41における説明と一貫してもよい。外科用器具の制御回路は、非治療エネルギー信号を容量性タッチセンサに送達してもよい(17905)。信号は、タッチセンサに電力を供給するために使用されてもよい。場合によっては、容量性タッチセンサは、患者の組織が容量性タッチセンサを介してエンドエフェクタに接触しているときにそれを感知する位置において、外科用器具のエンドエフェクタに位置付けられてもよい。場合によっては、エネルギーは、容量性タッチセンサに直接送達されてもよく、一方、他の場合には、エネルギーは、超音波ブレードなどのエンドエフェクタの導電部分を有する回路の完成を通じて、及び患者組織と接触するブレード及び容量性タッチセンサを通じて、送達されてもよい。
【0283】
容量性タッチセンサは、例えば、患者の組織に触れることによって、容量性読み取り値を受信したことを判定してもよい(17910)。表面容量性センサ又は投射容量性センサを介するなど、当業者に既知である、これらの読み取り値が達成されてもよい多くの方法が存在し、態様はそのように限定されない。読み取り値が得られると、容量性タッチセンサは、制御回路に、起動信号を入力として送信してもよい(17915)。次いで、入力信号に応答して、制御回路は、例えば、超音波ブレード又は治療エネルギーを利用するように構成された他の要素において、エンドエフェクタに治療エネルギーを自動的に送達してもよい(17920)。
【0284】
前述のように、場合によっては、制御回路は、エンドエフェクタが複数の場所で患者組織に接触していることを更により確実に確認するために、制御回路は、2つ以上のソースからの2つ以上の起動信号を必要とする場合がある。1つの起動信号が制御回路に送信されなくなると、制御回路は、治療エネルギーの送達を自動的に停止してもよい。
【0285】
いくつかの態様では、電力監視及びシーケンシング回路は、超音波外科用器具にエネルギーを供給するために使用されるエネルギーモジュールに関連する回路を供給する電力レールを監視するために用いられてもよい。電力監視及びシーケンシングは、非臨界電源故障に起因する特定の回路の不正確な遮断の危険性を回避するために使用することができる。一実装形態では、アナログ装置によるADM1186-1及びADM1186-2などの集積された4チャネル電圧監視及びシーケンシング装置を、複数の電圧供給レールを監視するために用いてもよい。電源投入シーケンスの間、集積回路内の状態マシンは、各電源を順に有効化する。ブランキング時間と呼ばれる既定の持続時間内で所定の上限電圧閾値を超えて上昇するかどうかを判定するために、供給出力電圧が監視される。供給レールが上限電圧閾値を超えて上昇すると、シーケンス内の次のイネーブル出力がオンになる。ブランキング時間に加えて、ユーザはまた、各イネーブル出力がオンになる前に、シーケンス時間遅延を定義することができる。集積回路は、個別に使用されてもよく、又はカスケード化されてもよい。
【実施例
【0286】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0287】
実施例1.外科用システムであって、超音波外科用器具を備え、超音波外科用器具が、ハウジングと、超音波トランスデューサと、制御回路と、クランプジョーと超音波ブレードとを備えるエンドエフェクタであって、超音波ブレードが超音波トランスデューサに音響的に連結されている、エンドエフェクタと、クランプジョーと超音波ブレードとの間の組織の存在を感知し、制御回路に信号を提供するように構成された容量性タッチセンサであって、信号が、クランプジョーと超音波ブレードとの間の組織の存在を示す、容量性タッチセンサと、超音波トランスデューサに連結された発生器であって、治療用超音波エネルギーを超音波ブレードに送達するように構成されている発生器と、を備え制御回路が、クランプジョーと超音波ブレードとの間の組織の存在を示す信号に基づいて、発生器を起動して、超音波治療エネルギーを超音波ブレードに印加するように構成されている、超音波器具と、を備える、外科用システム。
【0288】
実施例2.容量性タッチセンサが、ハウジングに位置付けられている、実施例1に記載の外科用器具。
【0289】
実施例3.容量性タッチセンサが、クランプジョーと超音波ブレードとの間に位置する存在組織を検出するために、超音波ブレードに面するクランプジョー上に位置付けられている、実施例1又は2に記載の外科用器具。
【0290】
実施例4.制御回路と容量性タッチセンサとの間に結合された電気導体を更に備え、制御回路が、容量性タッチセンサに電力を供給するように構成されている、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0291】
実施例5.クランプジョーが、容量性タッチセンサに結合された導電性素子を更に備える、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0292】
実施例6.容量性タッチセンサが、導電性素子と超音波ブレードとの間に印加される非治療エネルギーによって電源オンされるように更に構成されている、実施例5に記載の外科用器具。
【0293】
実施例7.導電性素子が、導電性パッドである、実施例5又は6のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0294】
実施例8.導電性素子が、パッドに統合された電極である、実施例5又は6のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0295】
実施例9.容量性タッチセンサが、第1の容量性タッチセンサであり、外科用器具が、第2の容量性タッチセンサを備える、実施例1~8のいずれか1つに記載の外科用器具。
【0296】
実施例10.第1の容量性タッチセンサが、クランプジョー上に位置付けられており、かつ超音波ブレードに面し、第2の容量性タッチセンサが、超音波ブレード上に位置付けられており、かつクランプジョーに面する、実施例9に記載の外科用器具。
【0297】
実施例11.クランプジョーと超音波ブレードとの間の組織の存在を示す信号が、クランプジョーと超音波ブレードとの間の組織の存在を示す第1の信号であり、第2の容量性タッチセンサが、クランプジョーと超音波ブレードとの間の組織の存在を示す第2の信号を提供するように構成されている、実施例10に記載の外科用器具。
【0298】
実施例12.制御回路が、第1の信号及び第2の信号の両方を同時に受信する制御回路に基づいて、超音波トランスデューサに電気エネルギーを供給するように発生器を制御して、超音波ブレードに治療エネルギーを印加するように更に構成されており、制御回路は、制御回路が第1の信号又は第2の信号のうちの1つのみを受信することに基づいて、発生器への電気エネルギーの供給を停止するように発生器を制御するように構成されている、実施例11に記載の外科用器具。
【0299】
実施例13.超音波外科用器具の超音波ブレードにエネルギーを自動的に供給するための外科用器具の方法であって、外科用器具の制御回路によって、外科用器具の容量性タッチセンサに非治療エネルギーを送達することと、容量性タッチセンサによって、導電性組織から容量性読み取り値を受信することと、容量性タッチセンサによって制御回路に、容量性読み取り値を受信することを示す信号入力を送信することと、制御回路によって、超音波発生器から超音波ブレードに連結された超音波トランスデューサにエネルギーを方向付けることと、を含む、方法。
【0300】
実施例14.容量性タッチセンサが、クランプジョーと超音波ブレードとの間の導電性組織の存在に基づいて容量性読み取り値を生成するために、超音波ブレードに面するクランプジョー上に位置付けられている、実施例13に記載の方法。
【0301】
実施例15.外科用器具が、制御回路と容量性タッチセンサとの間に結合された電気導体を更に備え、この方法が、電気導体を通して容量性タッチセンサに通電することを含む、実施例14に記載の方法。
【0302】
実施例16.クランプジョーが、導電性素子を備え、この方法が、電気導体を通して導電性素子に非治療エネルギーを供給することを更に含む、実施例15に記載の方法。
【0303】
実施例17.導電性素子と超音波ブレードとの間に組織をクランプすることと、非治療エネルギーによって、制御回路の完全な回路経路を介して、導電性素子、導電性組織、及び容量性タッチセンサに電力を供給することと、を更に含む、実施例16に記載の方法。
【0304】
実施例18.容量性タッチセンサが、第1の容量性タッチセンサであり、外科用器具が、第2の容量性タッチセンサを備え、第1の容量性タッチセンサが、超音波ブレードに面するクランプジョー上に位置付けられており、第2の容量性タッチセンサが、クランプジョーに面する超音波ブレード上に位置付けられており、信号入力が、第1の信号入力であり、容量性読み取り値が、第1の容量性読み取り値であり、この方法が、第2の容量性タッチセンサによって、第2の容量性読み取り値を受信することと、第2の容量性読み取り値に基づく第2の信号入力を制御回路に提供することと、を更に含む、実施例13~17のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
実施例19.制御回路によって、制御回路が第1の容量性読み取り値及び第2の容量性読み取り値の両方を受信することに基づいて、超音波ブレードへの治療エネルギーの送達を制御することを更に含む、実施例18に記載の方法。
【0306】
実施例20.制御回路が第1の容量性読み取り値又は第2の容量性読み取り値のうちの1つを受信しないことに基づいて、エンドエフェクタへの治療エネルギーの送達を停止することを更に含む、実施例19に記載の方法。
【0307】
いくつかの形態が示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多くの修正、変形、変更、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって実施される機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変更、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0308】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート及び/又は実施例を用いて、装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート及び/又は実施例が1つ若しくは2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フローチャート及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台若しくはフ2台以上のコンピュータ上で稼働する1つ若しくはフ2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台若しくはフ2台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ若しくはフ2つ以上のプログラムとして)、1つ若しくはフ2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ若しくはフ2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ若しくはフ2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ若しくは2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実装することができ、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。加えて、当業者には理解されることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式で1つ又は2つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に実行するために使用される信号搬送媒体の特定のタイプにかかわらず適用される。
【0309】
様々な開示された態様を実施するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ又は他のストレージなどのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって配布され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意のタイプの有形機械可読媒体が挙げられる。
【0310】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「制御回路」という用語は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ又は2つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、プログラマブル論理装置(programmable logic device、PLD)、プログラマブル論理アレイ(programmable logic array、PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用されるとき、「制御回路」は、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路及び/又は通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ形式若しくはデジタル形式、又はこれらのいくつかの組み合わせで実装されてもよいことを認識するであろう。
【0311】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「論理」という用語は、前述の動作のいずれかを実施するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令、若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0312】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「構成要素」、「システム」、「モジュール」などという用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0313】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながるステップの自己無撞着シーケンスを指し、「ステップ」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、組み合わせ、比較、及び別様に操作されることが可能な電気信号又は磁気信号の形態を採ることができる物理量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利な標識である。
【0314】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0315】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理すること(processing)」、「計算すること(computing)」、「算出すること(calculating)」、「判定すること(determining)」、「表示すること(displaying)」などの用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又は他のそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置のアクション及び処理を指していることが理解されよう。
【0316】
1つ又は2つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンドバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0317】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0318】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又は2つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ又は2つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ又は2つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0319】
加えて、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ又は3つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0320】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、示されたもの以外の順序で実施されてもよく、又は同時に実施されてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0321】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機構、構造又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0322】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0323】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例とともに、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用することを可能にするようにするために、選択及び記載されたものである。本明細書とともに提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0324】
〔実施の態様〕
(1) 外科用システムであって、
超音波外科用器具を備え、前記超音波外科用器具が、
ハウジングと、
超音波トランスデューサと、
制御回路と、
クランプジョー及び超音波ブレードを備えるエンドエフェクタであって、前記超音波ブレードは前記超音波トランスデューサに音響的に結合されている、エンドエフェクタと、
前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の組織の存在を感知し、前記制御回路に信号を提供するように構成された容量性タッチセンサであって、前記信号が、前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の前記組織の存在を示す、容量性タッチセンサと、
前記超音波トランスデューサに連結された発生器であって、前記超音波ブレードに治療用超音波エネルギーを送達するように構成された発生器と、を備え、
前記制御回路が、前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の前記組織の存在を示す前記信号に基づいて、前記発生器を起動して、超音波治療エネルギーを前記超音波ブレードに印加するように構成されている、外科用システム。
(2) 前記容量性タッチセンサが、前記ハウジングに位置付けられている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記容量性タッチセンサが、前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間に位置する前記存在組織を検出するために、前記超音波ブレードに面する前記クランプジョー上に位置付けられている、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記制御回路と前記容量性タッチセンサとの間に結合された電気導体を更に備え、前記制御回路が、前記容量性タッチセンサに電力を供給するように構成されている、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記クランプジョーが、前記容量性タッチセンサに結合された導電性素子を更に備える、実施態様3に記載の外科用器具。
【0325】
(6) 前記容量性タッチセンサが、前記導電性素子と前記超音波ブレードとの間に印加される非治療エネルギーによって電源オンされるように更に構成されている、実施態様5に記載の外科用器具。
(7) 前記導電性素子が、導電性パッドである、実施態様5に記載の外科用器具。
(8) 前記導電性素子が、パッドに統合された電極である、実施態様5に記載の外科用器具。
(9) 前記容量性タッチセンサが、第1の容量性タッチセンサであり、前記外科用器具が、第2の容量性タッチセンサを備える、実施態様1に記載の外科用器具。
(10) 前記第1の容量性タッチセンサが、前記クランプジョー上に位置付けられており、かつ前記超音波ブレードに面し、前記第2の容量性タッチセンサが、前記超音波ブレード上に位置付けられており、かつ前記クランプジョーに面する、実施態様9に記載の外科用器具。
【0326】
(11) 前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の前記組織の存在を示す前記信号が、前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の前記組織の存在を示す第1の信号であり、前記第2の容量性タッチセンサが、前記クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の前記組織の存在を示す第2の信号を提供するように構成されている、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記制御回路は、前記制御回路が前記第1の信号及び前記第2の信号の両方を同時に受信することに基づいて、前記超音波ブレードに治療エネルギーを印加するために、前記超音波トランスデューサに電気エネルギーを供給するように前記発生器を制御するように更に構成されており、前記制御回路は、前記制御回路が前記第1の信号又は前記第2の信号のうちの1つのみを受信することに基づいて、前記発生器への電気エネルギーの供給を停止するように前記発生器を制御するように構成されている、実施態様11に記載の外科用器具。
(13) 超音波外科用器具の超音波ブレードにエネルギーを自動的に供給するための外科用器具の方法であって、
前記外科用器具の制御回路によって、前記外科用器具の容量性タッチセンサに非治療エネルギーを送達することと、
前記容量性タッチセンサによって、導電性組織から容量性読み取り値を受信することと、
前記容量性タッチセンサによって前記制御回路に、前記容量性読み取り値を受信することを示す信号入力を送信することと、
前記制御回路によって、超音波発生器から前記超音波ブレードに連結された超音波トランスデューサにエネルギーを方向付けることと、を含む、方法。
(14) 前記容量性タッチセンサが、クランプジョーと前記超音波ブレードとの間の導電性組織の存在に基づいて、前記容量性読み取り値を生成するように、前記超音波ブレードに面する前記クランプジョー上に位置付けられている、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記外科用器具が、前記制御回路と前記容量性タッチセンサとの間に結合された電気導体を更に備え、前記方法が、前記電気導体を通して前記容量性タッチセンサに通電することを含む、実施態様14に記載の方法。
【0327】
(16) 前記クランプジョーが、導電性素子を備え、前記方法が、前記電気導体を通して前記導電性素子に非治療エネルギーを供給することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記導電性素子と前記超音波ブレードとの間に組織をクランプすることと、
前記導電性素子、前記導電性組織、及び前記容量性タッチセンサへの前記制御回路の完全な回路経路を介して、前記非治療エネルギーによって、前記容量性タッチセンサに電力を供給することと、を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記容量性タッチセンサが、第1の容量性タッチセンサであり、
前記外科用器具が、第2の容量性タッチセンサを備え、
前記第1の容量性タッチセンサが、前記超音波ブレードに面するクランプジョー上に位置付けられており、
前記第2の容量性タッチセンサが、前記クランプジョーに面する前記超音波ブレード上に位置付けられており、
前記信号入力が、第1の信号入力であり、
前記容量性読み取り値が、第1の容量性読み取り値であり、
前記方法が、
前記第2の容量性タッチセンサによって、第2の容量性読み取り値を受信することと、
前記制御回路に、前記第2の容量性読み取り値に基づいて、第2の信号入力を提供することと、を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記制御回路によって、前記制御回路が前記第1の容量性読み取り値及び前記第2の容量性読み取り値の両方を受信することに基づいて、前記超音波ブレードへの前記治療エネルギーの送達を制御することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記制御回路が前記第1の容量性読み取り値又は前記第2の容量性読み取り値のうちの1つを受信しないことに基づいて、前記エンドエフェクタへの前記治療エネルギーの送達を停止することを更に含む、実施態様19に記載の方法。
図1
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