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特許7480172人工知能を用いたプロセス産業におけるプロダクションアカウンティングのための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】人工知能を用いたプロセス産業におけるプロダクションアカウンティングのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G05B23/02 302Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021557837
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2020053715
(87)【国際公開番号】W WO2020217155
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】201941016370
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バーツ、シュリカント
(72)【発明者】
【氏名】クマール-ビジ、ラフール
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-540325(JP,A)
【文献】特開2018-032382(JP,A)
【文献】特開2009-070071(JP,A)
【文献】特開2019-028834(JP,A)
【文献】特開2018-036939(JP,A)
【文献】特開2017-194341(JP,A)
【文献】特表2019-505888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスプラント内の複数の測定器(102)及びプロセス機器における不具合を検出するための方法であって、前記複数の測定器(102)は、プロセスに関連する1つ又は複数のパラメータを監視するように構成され、複数の測定信号は、前記監視に基づいて生成され、前記方法は、プロセス制御システムによって実行され、前記方法は、
前記複数の測定器(102)から前記複数の測定信号を受信することと、
前記複数の測定信号に存在するノイズを抽出することと、
前記複数の測定信号からの前記抽出されたノイズを、複数の基準信号から抽出されたノイズと相関させることと、ここで、前記複数の基準信号は、前記複数の測定器(102)に不具合がないときに取得されるものであり、
前記1つ又は複数のパラメータを所定の閾値範囲と相関させることにより偏差を識別することと、
前記相関されたノイズ及び前記1つ又は複数のパラメータの前記識別された偏差を使用して、前記複数の測定器(102)及び前記プロセス機器のうちの少なくとも1つにおける不具合を検出することと、ここで、前記検出された不具合は、前記プロセスプラントにおける前記プロセスを制御するために修正されるものである、
を備える方法。
【請求項2】
複数の前記抽出されたノイズを複数の基準ノイズと相関させることが、1つ又は複数の人工知能(AI)ベースのデータ分析技法を使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数のパラメータは、材料の質量、前記材料のエネルギー、及び前記材料の流量のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記不具合の検出は、センサの誤動作、センサのドリフト、センサの較正問題、前記プロセスプラント内の前記プロセス機器における材料の漏洩のうちの少なくとも1つを識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記検出された不具合がオペレータによって検証され、前記検証された不具合が後続の不具合検出で使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
プロセスプラント内の複数の測定器(102)及びプロセス機器における不具合を検出するためのプロセス制御システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリと
を備え、前記メモリは、プロセッサ命令を記憶し、前記プロセッサ命令は、実行時に、前記プロセッサに
前記複数の測定器(102)から複数の測定信号を受信することと、
前記複数の測定信号に存在するノイズを抽出することと、
前記複数の測定信号からの前記抽出されたノイズを、複数の基準信号から抽出されたノイズと相関させることと、ここで、前記複数の基準信号は、前記複数の測定器(102)に不具合がないときに取得されるものであり、
1つ又は複数のパラメータを所定の閾値範囲と相関させることにより偏差を識別することと、
前記相関されたノイズ及び前記1つ又は複数のパラメータの前記識別された偏差を使用して、前記複数の測定器(102)及び前記プロセス機器のうちの少なくとも1つにおける不具合を検出することと、ここで、前記検出された不具合は、前記プロセスプラントにおけるプロセスを制御するために修正されるものである、
を行わせる、プロセス制御システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、1つ又は複数の人工知能(AI)ベースのデータ分析技法を使用することを含む、複数の前記抽出されたノイズを複数の基準ノイズと相関させることを行うように構成されている、請求項6に記載のプロセス制御システム。
【請求項8】
前記1つ又は複数のパラメータは、材料の質量、前記材料のエネルギー、及び前記材料の流量のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のプロセス制御システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、センサの誤動作、センサのドリフト、センサの較正問題、前記プロセスプラント内の前記プロセス機器における材料の漏洩のうちの少なくとも1つを識別することを含む、不具合を検出することを行うように構成されている、請求項6に記載のプロセス制御システム。
【請求項10】
オペレータが前記検出された不具合を検証し、前記検証された不具合が後続の不具合検出で使用される、請求項6に記載のプロセス制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、産業プラント/プロセスプラントに関し、より詳細には、プロセスプラントにおいて人工知能を使用したプロダクションアカウンティングに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]一般に、プロセスプラントにおける材料在庫検証/プロダクションアカウンティングは、実際の在庫をシステムに記録されているものと検証することを伴う。プロセス機器内に存在する在庫を記録するために、プロセス機器に関連するセンサからの測定値が使用される。実際には、記録されている在庫と実際の在庫との間に偏差が存在することが観察される。在庫検証に関する問題は、主に、センサの較正問題、プロセス機器における漏洩、センサの誤動作、センサ測定のドリフトなどに起因する。不具合をリアルタイムで識別して予測するためのシステムを有することが重要である。これにより、製造の生産性が向上する。
【0003】
[0003]不具合を検出するために使用される既存の解決策は、標準的なデータリコンシリエーション及びグロスエラー検出技法を含む。これらの技法は、不具合の検出のために、空間的冗長性、例えば、プロセス機器における材料の質量及びエネルギーバランスを考慮する。
【0004】
[0004]グロスエラー検出技法は、履歴データに基づいている。アルゴリズムの統計的性質により、測定器の緩やかなドリフトは無視されて、平均化され得る。
【0005】
[0005]更に、グロスエラーが真に外れ値であり、漏洩や機器バイアスを反映したものではない場合、統計的技法(これは、確率的性質によりエラーが生じやすい)によって検出されなければ、良好な測定値と平均化されてしまう可能性がある。また、いくつかの良好な測定値は、グロスエラーとして誤って識別される可能性があり、その結果、調整されたデータの精度が影響を受ける。
【0006】
[0006]更に、グロスエラーを含む平均化された測定値が除去されず、リコンシリエーションで使用される場合、不具合を検出し損なう。
【0007】
[0007]既存の解決策に関する問題は、アルゴリズムの統計的性質により、測定器及びプロセス機器に複数の不具合がある確率が検出されない場合があることである。
【0008】
[0008]上記に鑑みて、上述した制限のうちの少なくとも1つに対処し、上述した問題を克服する方法及びシステムを提案する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
[0009]一実施形態では、本発明は、プロセスプラント内の複数の測定器及びプロセス機器における不具合を検出するための方法及びシステムに関する。一実施形態では、複数の測定器は、プロセスに関連する1つ又は複数のパラメータを監視するように構成される。一実施形態では、複数の測定信号は、監視に基づいて生成される。一実施形態では、プロセス制御システムは、複数の測定器から複数の測定信号を受信するように構成される。更に、プロセス制御システムは、複数の測定信号に存在するノイズを抽出するように構成される。更に、プロセス制御システムは、複数の測定信号からの抽出されたノイズを、複数の基準信号から抽出されたノイズと相関させるように構成される。複数の基準信号は、複数の測定器に不具合がないときに取得される。その後、プロセス制御システムは、1つ又は複数のパラメータにおける偏差を識別するように構成される。最後に、プロセス制御システムは、相関されたノイズ及び1つ又は複数のパラメータの識別された偏差のうちの少なくとも1つを使用して、複数の測定器及びプロセス機器のうちの少なくとも1つにおける不具合を検出するように構成される。検出された不具合は、プロセスプラントにおけるプロセスを制御するために修正される。
【0010】
[0010]一実施形態では、プロセス制御システムは、1つ又は複数の人工知能(AI)ベースのデータ分析技法を使用することを含む、複数の抽出されたノイズを複数の基準ノイズと相関させることを行う。
【0011】
[0011]一実施形態では、偏差を識別することは、1つ又は複数のパラメータにおける偏差を決定するために、1つ又は複数のパラメータを所定の閾値範囲と相関させることを含む。更に、1つ又は複数のパラメータは、材料の質量、材料のエネルギー、及び材料の流量のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
[0012]一実施形態では、不具合の検出は、センサの誤動作、センサのドリフト、センサの較正問題、プロセスプラント内のプロセス機器における材料の漏洩のうちの少なくとも1つを識別することを含む。
【0013】
[0013]一実施形態では、検出された不具合がオペレータによって検証され、検証された不具合が後続の不具合検出で使用される。
【0014】
[0014]様々な範囲のシステムが本明細書で説明される。本概要で説明した態様及び利点に加えて、更なる態様及び利点が、図面を参照することによって、及び以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0015】
[0015]本発明の主題は、図面に例示される好ましい例示的な実施形態を参照して以下の本文でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0016]本開示の実施形態による、プロセスプラントの例示的な環境を示す。
図2】[0017]本開示の実施形態による、例示的なプロセス制御システムを示す。
図3】[0018]本開示の実施形態による、測定器及びプロセス機器における不具合を検出するための例示的なフローチャートを例示する。
図4】[0019]本開示の実施形態による、プロセスプラントのプロセス機器における漏洩の例示的な不具合検出を例示する。
図5】[0020]本開示の実施形態による、プロセスプラントの流量センサの測定におけるドリフトの例示的な不具合検出を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0021]本発明は、人工知能を用いたプロセス産業におけるプロダクションアカウンティングのための方法及びシステムを開示する。
【0018】
[0022]図1は、プロセスプラント(100)の例示的な環境を示す。プロセスプラント(100)は、1つ又は複数のプロセス機器、例えば、材料を貯蔵するためのタンク(101A,101B)と、1つ又は複数のタンク(101A,101B)の材料を混合するためのミキサーと、1つ又は複数のタンク(101A,101B)と1つ又は複数のミキサーとを相互接続するための管と、タンク(101A,101B)への材料の流入及びタンク(101A,101B)からの材料の流出を制御するための弁と、タンク(101A,101B)に接続されており、あるタンク(101A,101B)から別のタンクへ材料を圧送するためのポンプと、温度センサ、圧力センサ、タンク(例えば、101A)に貯蔵された1つ又は複数の材料の組成物、タンクに貯蔵された材料の量を測定するための重量センサ、及びプロセス機器に関連する1つ又は複数のパラメータを監視するために、材料の流量を測定するための流量計を含む測定器(102A、102B)とを備える。当業者は、プロセスプラントが、複数のタンク(101A,・・・,101N)として表され得る「N」個のタンクを備え得ることを理解するであろう。以下では、簡略化のために、複数のタンクを参照番号101で表す。特定のタンクへの参照は、例えば対応する参照番号(101A)で表される。更に、当業者は、プロセス機器が複数の測定器(102A,・・・,102N)に関連付けられ得ることを理解するであろう。以下では、簡略化のために、測定器を参照番号102で表す。特定の測定器への参照は、例えば対応する参照番号(102A)で表される。更に、測定器(102)からの1つ又は複数の測定信号は、測定信号を集約するための加算ユニット(103)に送られる。集約された測定信号は、分析及び測定器(102)又はプロセス機器の不具合検出のためにプロセス制御システムに与えられる。
【0019】
[0023]ある実施形態では、プロセスプラント内のタンク(101A)は、1つ又は複数のタンク(101)から1つ又は複数の材料を受け入れるための入口を含む。プロセスプラント内のタンク(101A)は、タンク(101A)内に貯蔵された材料をプロセスプラント内の1つ又は複数のタンク(101)に圧送するための出口を含む。更に、1つ又は複数の信号を測定するための測定器(102)は、例えば、プロセス機器の内側、プロセス機器の下、又はプロセス機器の外面で、プロセス機器に関連付けられ得る。
【0020】
[0024]ある実施形態では、加算ユニット(103)から受信された集約信号は、プロセスの1つ又は複数のパラメータを抽出するために使用される。更に、抽出された1つ又は複数のパラメータは、プロセス制御システムを使用して、データリコンシリエーションを実行し、測定器(102)及びプロセス機器における不具合を検出するために、オペレータによって使用され得る。
【0021】
[0025]図2は、例示的なプロセス制御システムを示す。ある実施形態では、プロセス制御システム(200)は、プロセスプラント内の測定器及びプロセス機器における不具合を検出するための方法を実装するために使用され得る。プロセス制御システム(200)は、中央処理装置(「CPU」又は「プロセッサ」)(202)を備え得る。プロセッサ(202)は、統合システム(バス)コントローラ、メモリ管理制御ユニット、浮動小数点演算ユニット、グラフィックスプロセッシングユニット、デジタル信号処理ユニットなどの専用処理ユニットを含み得る。プロセッサ(202)は、I/Oインターフェース(201)を介して1つ又は複数の入力/出力(I/O)デバイス(図示せず)と通信するように配置され得る。I/Oインターフェース(201)を使用して、プロセス制御システム(200)は、1つ又は複数のI/Oデバイスと通信し得る。いくつかの実施形態では、プロセス制御システム(200)は、通信ネットワーク(206)を通してサービスオペレータに接続される。プロセッサ(202)は、ネットワークインターフェース(203)を介して通信ネットワーク(206)と通信するように配置され得る。ネットワークインターフェース(203)は、通信ネットワーク(206)と通信し得る。メモリ(205)は、ユーザインターフェース(206)、オペレーティングシステム(207)、ウェブサーバ(208)などを含むがそれらに限定されない、プログラム又はデータベース構成要素の一群を記憶し得る。いくつかの実施形態では、プロセス制御システム(200)は、本開示で説明されるように、データ、変数、記録などのユーザ/アプリケーションデータ(206)を記憶し得る。
【0022】
[0026]ある実施形態では、プロセス制御システムは、プロセスプラントのプロセス機器に関連する1つ又は複数の測定器から複数の測定信号を受信し得る。更に、プロセス制御システムは、複数の測定信号に存在するノイズを抽出する。更に、プロセス制御システムは、抽出されたノイズを、基準信号から抽出された複数のノイズと相関させる。基準信号は、不具合がないときにプロセス制御システムに記録及び記憶される。その後、プロセスに関連する1つ又は複数のパラメータにおける偏差が識別される。最後に、識別された偏差及び相関されたノイズは、プロセスプラントの測定器及びプロセス機器における不具合を検出するために使用される。
【0023】
[0027]図3は、測定器(102)及びプロセス機器における不具合を検出するための例示的なフローチャートを例示する。ステップ301において、プロセスプラントのプロセス機器に関連する測定器(102)は、1つ又は複数のパラメータを監視する。1つ又は複数の測定機器からの複数の測定信号は、加算ユニット(103)を通してプロセス制御システムによって受信される。加算ユニット(103)は、1つ又は複数の測定機器からの複数の信号を集約する。
【0024】
[0028]ステップ302において、プロセス制御システムは、複数の測定信号に存在するノイズを抽出する。ノイズの抽出は、標準的な信号処理技法によって行われる。
【0025】
[0029]ステップ303において、抽出されたノイズは、複数の基準信号からのノイズと相関される。更に、複数の抽出されたノイズと基準信号からの複数のノイズとの相関は、1つ又は複数の人工知能(AI)ベースのデータ分析技法、例えば時系列分析を使用して達成される。複数の基準信号は、プロセスプラント内に不具合がないときに取得され、プロセス制御システムに記憶される。複数の基準信号は、オペレータによって行われる手動検証に基づいて記憶される。一例が本明細書の後ろの図3で詳述される。
【0026】
[0030]ある実施形態では、1つ又は複数の測定器(102)からの複数の測定信号の定期的な測定は、固有の自己相関を有する。自己相関は、複数の測定信号と、遅延された複数の測定信号との間の類似性を示す。1つ又は複数の測定器(102)又はプロセス機器に関連する任意の不具合は、対応する測定に関連するノイズに反映される。従って、複数の測定信号のノイズの自己相関は、変化したり、影響を受けたりする。更に、複数の測定信号のノイズの相関におけるそのような変化を識別することは、プロセス機器又は1つ又は複数の測定器における不具合を検証するために使用される(102)。
【0027】
[0031]ステップ304において、プロセス制御システムは、1つ又は複数のパラメータにおける偏差を識別する。プロセスプラントは一般に、製品の所望の品質又は生産量(yield)を維持するために閉ループ制御システムを使用する。閉ループ制御システムでは、特定の測定信号における不具合と、プロセスプラントのプロセスに関連する他の1つ又は複数のパラメータに対するその影響との間に明確な相関が存在する。一例が本明細書の後ろの図4で詳述される。この相関は、製品の所望の品質又は生産量に影響を及ぼす。従って、プロセスに関連する1つ又は複数のパラメータに関する偏差は、相関に基づいて識別される。
【0028】
[0032]一実施形態では、1つ又は複数のパラメータにおける偏差を識別することは、1つ又は複数のパラメータを所定の閾値範囲と相関させることを含む。プロセス機器に関する閾値範囲は、プロセス機器に貯蔵される材料の最大量及び最小量、又はあるプロセス機器から別のプロセス機器へ流れる材料の最大量及び最小量を示し得る。所定の閾値範囲は、プロセス機器ごとに及びプロセスプラントごとに異なり得る。1つ又は複数のパラメータは、材料の質量、材料のエネルギー、及び材料の流量のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0029】
[0033]更にある実施形態では、人工知能(AI)ベースのデータ分析技法、例えば時系列分析が、プロセスプラントの1つ又は複数のパラメータにおける偏差を識別するために使用され得る。
【0030】
[0034]ステップ305において、プロセス制御システムは、ステップ303での1つ又は複数の相関されたノイズ及びステップ304での識別された偏差を使用して、測定器(102)又はプロセス機器における不具合を検出する。プロセス制御システムは、標準的な統計的技法、例えば外れ値を検出するために使用されるカルマンフィルタリング及び主成分分析を使用して不具合を検出し得る。
【0031】
[0035]ある実施形態では、プロセス制御システムによって検出された不具合は、オペレータによって検証される。プロセス制御システムによって検出された不具合に基づいて、オペレータは、プロセスプラント内の不具合を手動で確認又は検証することができ、検証は、プロセス制御システムに更新される。オペレータによって更新された検証に基づいて、プロセス制御システムは、ステップ303及びステップ304で使用されるAI技法のための適切な学習を組み込むことによって、不具合検出の確率を上げ得る。
【0032】
[0036]図4は、プロセスプラントのプロセス機器における漏洩の例示的な不具合検出を例示する。タンク(例えば、101A)は、1つ又は複数のタンク(101D及び101F)に接続されている。更に、図4に示されるように、タンク101Dは、101G及び101Hに接続されており、タンク101Fは、101H及び101Iに接続されている。タンク(例えば、101A)に関連する測定器(例えば、102A)は、複数の信号を測定し、それらを不具合検出のためにプロセス制御システムに送る。タンク101Cからタンク101Eへの流れに漏洩(401)があるとする。漏洩(401)は、タンク101Cからタンク101Eへの流れ、更にタンク101Eからタンク101Hへの流れ、そしてタンク101Eからタンク101Iへの流れの間の質量バランスに影響を及ぼす。更に、漏洩(401)は、タンク101Eにおける材料の蓄積に影響を及ぼす。漏洩がある間に1つ又は複数の測定信号にわたって抽出されたノイズ(401)は、1つ又は複数のAIベースのデータ分析技法を使用して、不具合又は漏洩がないときに取得された基準信号から抽出されたノイズと相関される。例えば、漏洩(401)に起因して、タンク101Eからタンク101H及びタンク101Iへの流れにおけるノイズ相関は、より高くなり得る。従って、取得されたノイズ相関と、従来のデータリコンシリエーションとにより、不具合又は漏洩(401)が識別される。
【0033】
[0037]図5は、プロセスプラントの流量センサの測定におけるドリフトの例示的な不具合検出を例示する。タンク(例えば、101A)は、1つ又は複数のタンク(101D及び101F)に接続されている。更に、図5に示されるように、タンク101Dは、101G及び101Hに接続されており、タンク101Fは、101H及び101Iに接続されている。タンク(例えば、101A)に関連する測定器(例えば、102A)は、複数の信号を測定し、それらを不具合検出のためにプロセス制御システムに送る。タンク101Aからタンク101Dへの流れに関連する流量センサ(501)によって測定された信号にドリフトがあるとする。この結果、タンク101H内の調合用の材料が少なくなる。製品の所望の品質又は生産量を達成するために、タンク101Eからタンク101Hへの流れをより多くして、タンク101H内の調合用のより少ない材料を補償する。閉ループシステム分析に基づいて、プロセス制御システムは、流量センサ(501)の測定流量を所定の閾値範囲と比較することによって、タンク101A及びタンク101Eからの材料の測定流量における偏差を識別する。従って、測定流量における識別された偏差と、従来のデータリコンシリエーションとにより、流量センサ(501)における不具合又はドリフトが識別される。
【0034】
[0038]本明細書は、本明細書において主題を説明するために、また、当業者が主題を作成及び使用することを可能にするために、最良の形態を含む例を使用する。主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義されており、当業者が想到する他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0035】
[参照番号]
101-タンク
102-測定器
103-加算ユニット
200-プロセス制御システム
201-I/Oインターフェース
202-プロセッサ
203-ネットワークインターフェース
204-ストレージインターフェース
205-メモリ
206-ユーザインターフェース
207-オペレーティングシステム
208-ウェブサーバ
206-通信ネットワーク
210-入力装置
211-出力装置
212-遠隔装置
401-漏洩
501-流量センサ
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] プロセスプラント内の複数の測定器(102)及びプロセス機器における不具合を検出するための方法であって、前記複数の測定器(102)は、プロセスに関連する1つ又は複数のパラメータを監視するように構成され、複数の測定信号は、前記監視に基づいて生成され、前記方法は、プロセス制御システムによって実行され、前記方法は、
前記複数の測定器(102)から前記複数の測定信号を受信することと、
前記複数の測定信号に存在するノイズを抽出することと、
前記複数の測定信号からの前記抽出されたノイズを、複数の基準信号から抽出されたノイズと相関させることと、ここで、前記複数の基準信号は、前記複数の測定器(102)に不具合がないときに取得されるものであり、
前記1つ又は複数のパラメータにおける偏差を識別することと、
前記相関されたノイズ及び前記1つ又は複数のパラメータの前記識別された偏差のうちの少なくとも1つを使用して、前記複数の測定器(102)及び前記プロセス機器のうちの少なくとも1つにおける不具合を検出することと、ここで、前記検出された不具合は、前記プロセスプラントにおける前記プロセスを制御するために修正されるものである、
を備える方法。
[2] 前記複数の抽出されたノイズを前記複数の基準ノイズと相関させることが、1つ又は複数の人工知能(AI)ベースのデータ分析技法を使用することを含む、[1]に記載の方法。
[3] 偏差を識別することは、前記1つ又は複数のパラメータにおける偏差を決定するために前記1つ又は複数のパラメータを所定の閾値範囲と相関させることを含み、前記1つ又は複数のパラメータは、材料の質量、前記材料のエネルギー、及び前記材料の流量のうちの少なくとも1つを含む、[1]に記載の方法。
[4] 前記不具合の検出は、センサの誤動作、センサのドリフト、センサの較正問題、前記プロセスプラント内の前記プロセス機器における材料の漏洩のうちの少なくとも1つを識別することを含む、[1]に記載の方法。
[5] 前記検出された不具合がオペレータによって検証され、前記検証された不具合が後続の不具合検出で使用される、[1]に記載の方法。
[6] プロセスプラント内の複数の測定器(102)及びプロセス機器における不具合を検出するためのプロセス制御システムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリと
を備え、前記メモリは、プロセッサ命令を記憶し、前記プロセッサ命令は、実行時に、前記プロセッサに
前記複数の測定器(102)から複数の測定信号を受信することと、
前記複数の測定信号に存在するノイズを抽出することと、
前記複数の測定信号からの前記抽出されたノイズを、複数の基準信号から抽出されたノイズと相関させることと、ここで、前記複数の基準信号は、前記複数の測定器(102)に不具合がないときに取得されるものであり、
1つ又は複数のパラメータにおける偏差を識別することと、
前記相関されたノイズ及び前記1つ又は複数のパラメータの前記識別された偏差のうちの少なくとも1つを使用して、前記複数の測定器(102)及び前記プロセス機器のうちの少なくとも1つにおける不具合を検出することと、ここで、前記検出された不具合は、前記プロセスプラントにおけるプロセスを制御するために修正されるものである、を行わせる、プロセス制御システム。
[7] 前記プロセッサは、1つ又は複数の人工知能(AI)ベースのデータ分析技法を使用することを含む、前記複数の抽出されたノイズを前記複数の基準ノイズと相関させることを行うように構成されている、[6]に記載のプロセス制御システム。
[8] 前記プロセッサは、前記1つ又は複数のパラメータにおける偏差を決定するために前記1つ又は複数のパラメータを所定の閾値範囲と相関させることを含む、偏差を識別することを行うように構成され、前記1つ又は複数のパラメータは、材料の質量、前記材料のエネルギー、及び前記材料の流量のうちの少なくとも1つを含む、[6]に記載のプロセス制御システム。
[9] 前記プロセッサは、センサの誤動作、センサのドリフト、センサの較正問題、前記プロセスプラント内の前記プロセス機器における材料の漏洩のうちの少なくとも1つを識別することを含む、不具合を検出することを行うように構成されている、[6]に記載のプロセス制御システム。
[10] オペレータが前記検出された不具合を検証し、前記検証された不具合が後続の不具合検出で使用される、[6]に記載のプロセス制御システム。
図1
図2
図3
図4
図5