IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アースレックス インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-外科手術装置 図1
  • 特許-外科手術装置 図2
  • 特許-外科手術装置 図3
  • 特許-外科手術装置 図4
  • 特許-外科手術装置 図5
  • 特許-外科手術装置 図6
  • 特許-外科手術装置 図7
  • 特許-外科手術装置 図8
  • 特許-外科手術装置 図9
  • 特許-外科手術装置 図10
  • 特許-外科手術装置 図11
  • 特許-外科手術装置 図12
  • 特許-外科手術装置 図13
  • 特許-外科手術装置 図14
  • 特許-外科手術装置 図15
  • 特許-外科手術装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】外科手術装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/062 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
A61B17/062
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021564171
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 US2020020734
(87)【国際公開番号】W WO2020222906
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】16/401,634
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジョンソン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0325867(US,A1)
【文献】特表2008-538510(JP,A)
【文献】特開昭54-115598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 17/06 - A61B 17/062
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術装置であって、
穴を含むハンドルと、
前記ハンドルの前記穴を通して針を前進または後退するように構成されたトリガーであって、前記トリガーが、旋回軸を中心として回転するように構成され、さらに遠位方向および近位方向に摺動するように構成される、トリガーと、を備え、
前記トリガーが、第一の回転位置と第二の回転位置との間で、前記旋回軸を中心として回転するように構成され、
前記トリガーが、前記第二の回転位置にある前記ハンドルの前記穴の中心軸により近く、
前記トリガーが前記第一の回転位置にある時に、前記トリガーの下面が前記針に接触しないように構成され、
前記トリガーが前記第二の回転位置にある時に、前記トリガーの下面が前記針に接触するように構成される、
外科手術装置。
【請求項2】
前記トリガーの下面がチャネルを含み、
前記トリガーが、前記チャネル内に突出するインサートを含み、
前記トリガーが前記第二の回転位置にある時に、前記インサートが前記針に接触するように構成される、請求項に記載の外科手術装置。
【請求項3】
前記インサートが金属材料から作製される、請求項に記載の外科手術装置。
【請求項4】
前記トリガー、トリガーハウジング、およびピンを含むトリガー組立品を含み、前記トリガーが、前記トリガーハウジングに対して前記ピンを中心に回転するように構成される、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項5】
前記ピンが、前記ハンドルの前記穴の中心軸に垂直な前記旋回軸を画定する、請求項に記載の外科手術装置。
【請求項6】
前記トリガーハウジングが、前記針が通過して移動できるように構成された穴を含み、前記トリガーハウジングの前記穴が前記ハンドルの前記穴の中心軸と同軸である、請求項に記載の外科手術装置。
【請求項7】
前記トリガーハウジングが、前記トリガーハウジングの上面から前記トリガーハウジングの前記穴まで延在するチャネルを含み、
前記トリガーの一部分が前記チャネル内にある、請求項に記載の外科手術装置。
【請求項8】
前記トリガー組立品が、前記ハンドルの前記穴の中心軸から離れた方向に前記トリガーを付勢するように構成されたばねを含む、請求項に記載の外科手術装置。
【請求項9】
前記トリガー組立品が、前記トリガーのスロットに収容された第二のピンをさらに含み、
前記スロットが、前記トリガーハウジングに対する前記トリガーの回転運動を制限するような形状をした、請求項に記載の外科手術装置。
【請求項10】
前記トリガー組立品全体が、前記ハンドルに対して前記遠位方向および近位方向に摺動するように構成される、請求項に記載の外科手術装置。
【請求項11】
前記トリガーを前記近位方向に付勢するように構成されたばねをさらに備える、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項12】
前記ばねが、前記ハンドルの前記穴の中心軸の周りに配置されたコイルばねである、請求項11に記載の外科手術装置。
【請求項13】
前記針に接続された第一の端と、別の針に接続された第二の端とを含む縫合糸をさらに備える、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項14】
前記ハンドルの上面に対する前記トリガーの上面の寸法が、遠位に行くほど漸次大きくなる、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項15】
前記ハンドルの前記上面に対する前記トリガーの前記上面の前記寸法が、前記トリガーの前記上面に対する接線が前記穴の中心軸に対して実質的に垂直になるまで、遠位に行くほど漸次大きくなる、請求項14に記載の外科手術装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、回転および摺動するように構成された単一トリガーを有する外科手術装置に関する。本開示はまた、損傷した組織を修復する方法に関する。
【0002】
整形外科的処置は、しばしば、スポーツ活動中に受けるものなどの筋骨格系の損傷を修復するために実施される。半月板の断裂は、断裂の両側に縫合糸を配置し、縫合糸に張力をかけて断裂を閉じ、治癒させることによって修復されることが知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、回転および摺動するように構成された単一の(例えば、親指)トリガーを有する外科手術装置に関する。本開示はまた、損傷した組織を修復する方法に関する。本開示の例示的な態様による外科手術装置は、特に、穴を含むハンドルと、ハンドルの穴を通して針を前進または後退するように構成されたトリガーとを含む。トリガーは、旋回軸を中心に回転するように構成され、さらに遠位方向および近位方向に摺動するように構成される。装置は片手で操作されてもよく、外科医などのユーザーは、直感的で比較的簡単な親指の動きを使用して、装置を通して針を前進させることができる。装置は他の技術でも使用されうるが、インサイドアウト半月板修復を含む半月板修復に特に有用である。
【0004】
本開示の例示的な態様による外科手術装置は、特に、穴を含むハンドルと、ハンドルの穴を通して針を前進または後退するように構成されたトリガーとを含む。トリガーは、旋回軸を中心に回転するように構成され、さらに遠位方向および近位方向に摺動するように構成される。
【0005】
本開示の例示的な態様による方法は、特に、トリガーが針と接触するように回転し、遠位方向に動いて、外科手術装置のハンドルの穴内で針を前進させるように、外科手術装置のトリガーを押すことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、外科手術装置の例を示す。
図2図2は、外科手術装置の一部分の断面図である。
図3図3は、例示的なトリガー組立品の分解斜視図である。
図4図4は、トリガー組立品の斜視図である。
図5図5は、トリガーが第一の回転位置にあるトリガー組立品の断面図である。
図6図6は、トリガーが第二の回転位置にあるトリガー組立品の断面図である。
図7図7は、トリガーの端面図である。
図8図8は、トリガーの部分断面図である。
図9図9は、参照のためにトリガー組立品が取り除かれた外科手術装置の部分断面図である。
図10図10は、構築物の例を示す。
図11図11は、ユーザーが外科手術装置に針を装填しているところを示す。
図12図12は、半月板断裂の第一の側面に隣接して位置付けられている外科手術装置を示す。
図13図13は、第一の針が半月板を通過するところを示す。
図14図14は、第一の針が半月板を完全に通過した状態を示す。
図15図15は、半月板断裂の第二の側面に隣接して位置付けられている外科手術装置を示す。
図16図16は、第二の針が半月板を完全に通過した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、回転および摺動するように構成された単一トリガー(例えば、親指トリガー)を有する外科手術装置に関する。本開示はまた、損傷した組織を修復する方法に関する。本開示の例示的な態様による外科手術装置は、特に、穴を含むハンドルと、ハンドルの穴を通して針を前進または後退するように構成されたトリガーとを含む。トリガーは、旋回軸を中心に回転するように構成され、さらに遠位方向および近位方向に摺動するように構成される。装置は、片手で操作されてもよく、外科医などのユーザーが、直感的で比較的簡単な親指の動きを使用して、装置を通して針を前進させることができる。装置は他の技術でも使用されうるが、インサイドアウト半月板修復を含む半月板修復に特に有用である。
【0008】
本開示の例示的な態様による外科手術装置は、特に、穴を含むハンドルと、ハンドルの穴を通して針を前進または後退するように構成されたトリガーとを含む。トリガーは、旋回軸を中心に回転するように構成され、さらに遠位方向および近位方向に摺動するように構成される。
【0009】
さらなる実施形態では、トリガーは、第一の回転位置と第二の回転位置との間で旋回軸を中心として回転するように構成され、トリガーは、第二の回転位置におけるハンドルの穴の中心軸により近い。
【0010】
さらなる実施形態では、トリガーの下面は、トリガーが第二の回転位置にある時に、針に接触するように構成される。
【0011】
さらなる実施形態では、トリガーの下面は、チャネルを含み、トリガーは、チャネル内に突出するインサートを含み、インサートは、トリガーが第二の回転位置にある時に針に接触するように構成される。
【0012】
さらなる実施形態では、インサートは金属材料で作製される。
【0013】
さらなる実施形態では、外科手術装置は、トリガー、トリガーハウジング、およびピンを含むトリガー組立品を含む。トリガーは、ピンを中心としてトリガーハウジングに対して回転するように構成される。
【0014】
さらなる実施形態では、ピンは、ハンドルの穴の中心軸に垂直な旋回軸を画定する。
【0015】
さらなる実施形態では、トリガーハウジングは、針が通過して動くように構成された穴を含み、トリガーハウジングの穴は、ハンドルの穴の中心軸と同軸である。
【0016】
さらなる実施形態では、トリガーハウジングは、トリガーハウジングの上面からトリガーハウジングの穴まで延在するチャネルを含み、トリガーの一部分はチャネル内にある。
【0017】
さらなる実施形態では、トリガー組立品は、ハンドルの穴の中心軸から離れた方向にトリガーを付勢するように構成されたばねを含む。
【0018】
さらなる実施形態では、トリガー組立品は、トリガーのスロット内に受信された第二のピンをさらに含み、スロットは、トリガーの回転運動を制限するような形状をしている。
【0019】
さらなる実施形態では、トリガー組立品全体は、ハンドルに対して遠位方向および近位方向に摺動するように構成される。
【0020】
さらなる実施形態では、外科手術装置は、トリガーを近位方向に付勢するように構成されたばねを含む。
【0021】
さらなる実施形態では、ばねは、ハンドルの穴の中心軸の周りに配置されたコイルばねである。
【0022】
さらなる実施形態では、外科手術装置は、針に接続された第一の端と、別の針に接続された第二の端とを含む縫合糸をさらに備える。
【0023】
さらなる実施形態では、ハンドルの上面に対するトリガーの上面の寸法は、遠位に行くほど漸次大きくなる。
【0024】
さらなる実施形態では、ハンドルの上面に対するトリガーの上面の寸法は、トリガーの上面に対する接線が、穴の中心軸に対して実質的に垂直になるまで、遠位に行くほど漸次大きくなる。
【0025】
本開示の例示的な態様による方法は、特に、トリガーが針と接触するように回転し、遠位方向に動いて、外科手術装置のハンドルの穴内で針を前進させるように、外科手術装置のトリガーを押すことを含む。
【0026】
さらなる実施形態では、本方法は、トリガーが針と接触しない状態で回転し、近位方向に動くように、トリガーに加わる力を低減することを含む。
【0027】
さらなる実施形態では、本方法は、半月板を通して針を前進させるために、押すことと低減することを繰り返すことを含む。
【0028】
図1は、本開示による例示的な外科手術装置10を示す。外科手術装置10は、ハンドル12およびハンドル12から遠位(参照のために様々な図で「遠位」方向がラベル付けされている)に突出するカニューレ14を含む。ハンドル12は、トリガー16を含み、この実施例では親指トリガーである。トリガー16は、外科手術装置10を通して針を前進または後退するために、遠位方向および近位方向(近位方向は様々な図の参照でラベル付けされている)に移動可能である。遠位方向および近位方向に移動可能であることに加えて、トリガー16は、例えば、以下で詳細に説明するように、トリガー16の遠位の動きが針を遠位に前進させるように、針を選択的に掴むために回転することもできる。
【0029】
図2は、参照しやすくするために、カニューレ14が取り除かれた外科手術装置10の部分断面図である。図2に示すように、ハンドル12は、中心軸Aに沿って延在する穴18を含む。穴18は、ハンドル12の全体を貫いて延在し、特にハンドル12の近位端20からハンドル12の遠位端22まで延在する。穴18は、穴18を通って前進する針がカニューレ14内に供給されるように、カニューレ14の穴と同軸である。穴18は、ハンドル12の近位端20に隣接して漸次広くなり、針の装填を容易にする。
【0030】
トリガー16は、図3~6を参照してより詳細に説明される。外科手術装置10は、ハンドル12の凹部26(図2)内に収容されるトリガー組立品24を含む。トリガー組立品24は、トリガーハウジング28、トリガー16、ばね30、第一のピン32、および第二のピン34を含む。この例では、ばね30はコイルばねであり、ピン32、34は円筒軸である。トリガーハウジング28は、トリガーハウジング28の上面から延在し、トリガー16の一部分を受けるチャネル36を含む。トリガーハウジング28は、ハンドル12の穴18と同軸である穴38をさらに含む。チャネル36は、トリガーハウジング28の上面から穴38まで延在する。トリガーハウジング28はまた、ばね30の少なくとも一部分を受ける凹部40を含む。
【0031】
トリガー16は、トリガーハウジング28に対して、第一のピン32によって画定される旋回軸Pを中心に、第一および第二の方向D、Dに回転するように構成される。ばね30および凹部40は、旋回軸Pとしてトリガーハウジング28の概して対向する端部に配置される。トリガー16は、第一の回転位置(図5)と第二の回転位置(図6)との間で、旋回軸Pを中心として回転するように構成される。
【0032】
第一の回転位置から第二の回転位置へ移動するために、外科医などのユーザーは、例えば、親指を使用してトリガー16の上面42に力を加え、これによりトリガー16を方向Dに回転させる。外科医によって加えられる力は、ばね30によってトリガー16に対して第二の方向Dにかかり、一般に中心軸Aから離れた方向にかかる付勢力を克服する。第二の回転位置にある時、トリガー16は、穴18の中心軸Aにより近く、またここでも穴38は再び同軸である。
【0033】
トリガーハウジング28に対するトリガー16の回転運動は、部分的にスロット44によって決定される。スロット44は、方向D、Dへのトリガー16の回転を制限するような形状をしている。特に、第二のピン34は、スロット44を通って旋回軸Pに平行な方向に延在する。ピン34とスロット44の端との間の接触は、トリガー16の回転運動を制限する。
【0034】
第二の回転位置にある時、トリガー16は、トリガー組立品24の遠位または近位の動きが、針の対応する遠位または近位の動きをもたらすように、穴38内で針と接触し、針を穴38に対して保持するように構成される。トリガー16の下面46は、トリガーが第二の回転位置にある時に針との接触を促進するように構成される。図7および図8を特に参照すると、トリガー16の下面は、中心軸Aと整列し、トリガー16に対して針を誘導するように構成されるチャネル48を含む。チャネル48は、穴38内で針を誘導するのに役立つ。さらに、チャネル48は、トリガー16が第二の回転位置にある時に、実質的に平坦であり、かつ中心軸Aに実質的に平行に延在するように形成される。
【0035】
トリガー16内のインサート50(図8)は、チャネル48内に突出し、トリガー16が第二の回転位置にある時に針に接触するように構成される。図8の例では、インサート50はチャネル48内に突出するが、下面46を超えては突出しない。この配置は、トリガー16の残りの部分より前に、インサート50が針に接触するようにする。チャネル48は、すべての実施例で必要とされるわけではない。
【0036】
インサート50は、針の材料と一致する材料から作製されてもよい。インサート50はまた、トリガー16の残りの部分とは異なる材料で作製されてもよい。一実施例では、トリガー16はポリマー材料から作製され、インサート50は金属材料から作製される。金属材料のインサート50を作製すると、トリガー16と針との間の摩擦が増加し、針の前進または後退の容易さが増大する。
【0037】
トリガー組立品24に加えて、ハンドル12は、その遠位端22に隣接する迅速接続金具52を含む。図2および図9に示す迅速接続金具52は、カニューレ14を、工具を使用することなく、手で、ハンドル12に比較的迅速に接続するように構成される。迅速接続金具52は、穴18と同軸である穴53(図2)を含み、例えば、針がそれを通過できるようにする。迅速接続金具52は、外科医がカニューレ14を好都合に選択または変更できるようにする。
【0038】
この例の迅速接続金具52は、凹部26に向かって近位に突出するシャフト54(おそらくは図2で最もよく分かる)を含む。ばね56は、シャフト54の周りに配置される。ばね56は、コイルばねであり、この実施例では、中心軸Aの周りに配置されている。ばね56はまた、トリガー組立品24と接触し、トリガー組立品24を近位に付勢するように構成される。この目的のために、トリガー組立品24全体が、凹部26内で遠位および近位に摺動するように構成される。凹部26は、ハンドル12に対してトリガー組立品24が摺動する範囲を制限するようなサイズおよび形状である。
【0039】
外科手術装置10は、外科医が、片手を使用して、特に円滑で直感的な親指の動きを使用して、半月板修復針などの外科用縫合針を前進または後退できるようにする。外科医がハンドル12を掴んだ時、外科医の指は、ハンドル12の下部分にある指止め58(図2)に快適に隣接する位置にある。一つの例では、外科医の人差し指は指止め58の遠位にあり、中指、薬指、および小指は指止め58の近位にある。外科医の親指は、トリガー16に快適に隣接する位置にある。
【0040】
外科手術装置10を通して針を前進させるために、外科医がトリガー16を押し下げると、トリガー16は第二の回転位置に旋回して針と接触するようになり、その後、トリガー16を押し続けている間、外科医は親指アクチュエータを遠位に摺動させて針を遠位に前進させる。トリガー16の配置により、外科医は、単一の流動的な動作で押し下げて前方に動かすことで針を前進させることができる。次に外科医が、トリガー16から親指を離すか、またはトリガー16にかける圧力を減少させることによって、トリガー16にかかる力を減少させると、トリガー16は、ばね30の力によって針を解放し、ばね56の力によって近位に摺動する。針を前進させ続けるために、このプロセスが繰り返される。
【0041】
外科手術装置10を通して針を完全に前進させるには、親指を反復して何回も動かすことが必要となる場合がある。トリガー16は、こうした動作の便宜を図るのに適している。特に、上面42は、トリガー16の残りの部分よりも幅が広く、ハンドル12の上面の上方に突出する。具体的には、図2のように、第一の回転位置では、上面42は、ハンドル12の上面60の上方の高さHに突出する。遠位に移動すると、高さHは、トリガー16の長さに沿って実質的に一定であるが、ただし、トリガー16の遠位端部分に近づくにつれて、上面42はハンドル12から離れて湾曲する。特定の実施例では、トリガー16の遠位端部分に隣接する上面42は、ハンドル12より上方の原点Oを有する半径Rによって画定される。原点Oは、中心軸Aに対して垂直に延在する。寸法Hは、上面42への接線Tが中心軸Aに対して実質的に垂直になるまで、継続的に半径Rを増大させそれに従う。トリガー16の上面42の配置は、特に、外科医が遠位におよび回転方向Dの両方にトリガー16を押すのに適している。
【0042】
図10は、外科手術装置10と併用されるように構成された例示的な構築物62を示す。この実施例では、構築物62は、第一の針68に接続された第一の端66および第二の針72に接続された第二の端70を有する、縫合糸64を含む。第一の針68および第二の針72は、外科手術装置10を通して前進または後退するように構成される。針68、72は、この例では金属製の半月板修復針である。
【0043】
縫合糸64は、FiberWire(登録商標)、TigerWire(登録商標)、またはFiberChain(登録商標)縫合糸タイプの例のうちのどれか一つによって提供され、それぞれArthrex, Inc.から入手可能である。ところが、当然のことながら、コアのある縫合糸またはコアレス縫合糸を含む、任意のタイプの縫合糸が使用されうる。別の実施形態では、縫合糸64は、FiberTape(登録商標)またはSutureTape(登録商標)縫合糸などの平坦な縫合糸であり、これもArthrex, Inc.から入手可能である。縫合糸64はまた、上述のように、「返し」付きのモノフィラメント縫合糸であってもよい。さらに、縫合糸64は、任意の軟質の可撓性材料のストランドを含んでもよく、縫合糸に限定されない。
【0044】
ここで、使用方法の例を説明する。図11では、外科医は、外科手術装置10を片手で掴み、外科手術装置10の近位端20の穴18に挿入することによって、第一の針68を外科手術装置10に装填する。
【0045】
図12を参照すると、外科医は、膝関節の関節腔、すなわち大腿骨と脛骨の間の腔など、膝の関節腔74内で外科手術装置10を移動させる。膝関節が図示されているが、本開示は他の関節に拡張されることが理解されるべきである。図12に図示するように、半月板78には断裂76がある。半月板78は、内側面78M、すなわち内面、および外側面78L、すなわち外面を含む。外科医が断裂78を閉じて治癒させることができるように、外科手術装置10は、断裂76に隣接する半月板78を通して針68、72を前進させて、断裂78に隣接して縫合糸64を配置するために使用される。
【0046】
図13では、カニューレ14が断裂76に隣接して配置された状態で、外科医が、トリガー16を親指で押すことで、半月板78を通して第一の針68を前進させると、それによってトリガー16が方向Dに回転し、また遠位に移動させてから、トリガー16にかけられた圧力を解放すると、トリガー16が方向Dに回転し、ばね30、56の力によって近位に移動するようになる。外科医は、押すことおよび開放することを何度も繰り返す。毎回、トリガー16は、カニューレ14を出て半月板78を貫通するまで、穴18を通して第一の針68をさらに前進させる。第一の針68が半月板78を十分に貫通すると、外科医は、例えば、ツールを使用して、半月板78を通して第一の針68を完全に引き抜くことができる。
【0047】
図14は、縫合糸64が断裂76に隣接する半月板78を通過するように、第一の針68が半月板78を完全に通過した状態を表す。次に、外科医は、図15に示すように、外科手術装置10を断裂76のもう一方の側に移動し、次いで、外科医は第二の針72を外科手術装置10に装填し、上述の同じプロセスに従ってトリガー16を使用して半月板78を通して前進させる。外科医は次に、図16に示すように、縫合糸64の両端に張力をかけて断裂76を閉じる。外科医は次に、縫合糸64を使用して、結び目が外側面78Lに当接するように結び目を結んでもよい。図11図16に関連して説明されるプロセスは、インサイドアウト半月板修復と呼ばれることがある。外科手術装置10は、例えば、他の手順で使用することができ、半月板または膝に対する使用に限定されるものではない。
【0048】
当然のことながら、例えば、「外側」、「内側」、「遠位」、「近位」、「上側」、および「下側」などの用語は、当該用語が当技術分野で使用される方法と一致するように上記で用いられる。さらに、これらの用語は、本明細書において説明の目的で使用されており、他の点では制限的であるとみなされるべきではない。「概して」、「実質的に」、および「約」などの用語は、境界のない用語であることを意図しておらず、当業者がそれらの用語を解釈する方法と整合的に解釈されるべきである。
【0049】
異なる実施例で、特定の構成要素を有するものとして図示されているが、本開示の実施形態は、それらの特定の組み合わせに限定されない。実施例の一つからの構成要素または特徴の一部を、実施例の別の一つの特徴または構成要素と組み合わせて使用することができる。
【0050】
当業者であれば、上述の実施形態が例示的かつ非限定的であることを理解するであろう。すなわち、本開示の修正は、特許請求の範囲に含まれることになる。したがって、以下の特許請求の範囲が、その真の範囲および内容を決定するために検討されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16