(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】再捕捉可能な左心耳クリップ装置および左心耳クリップを再補足するための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20240430BHJP
A61B 17/128 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A61B17/122
A61B17/128
(21)【出願番号】P 2021565023
(86)(22)【出願日】2020-05-03
(86)【国際出願番号】 US2020031228
(87)【国際公開番号】W WO2020227174
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-20
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(72)【発明者】
【氏名】ダビール,デレク,ディー
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,マシュー,エー.
(72)【発明者】
【氏名】カートリッジ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ベールズ ジュニア,トーマス,オー.
(72)【発明者】
【氏名】マクブレイヤー,エム.,シーン
(72)【発明者】
【氏名】ベールズ,ウィリアム,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】カーク,マイケル,ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】ラゲブ,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】リベラ,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】タトゥーロ,ヴィンセント
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-334649(JP,A)
【文献】特表2002-503131(JP,A)
【文献】特表2009-536082(JP,A)
【文献】特表2014-529429(JP,A)
【文献】特表2018-526164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/122 ― 17/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左心耳(LAA)を外部から再捕捉可能な隔離クリップシステムであって、
LAA隔離クリップであって、
第1のクリップ支柱と、
第2のクリップ支柱と、
を含み、前記第1のクリップ支柱および前記第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、ロックの第1の部分を備えるコネクタ接合面を有する、LAA隔離クリップと、
留置装置であって、
ジョー制御部およびロック制御部を備えるハンドルと、
前記ハンドルに接続されたエンドエフェクタと、
を含む留置装置と、
を備え、
前記エンドエフェクタは、
U字継ぎ手と、
第1のジョーおよび第2のジョーと、
を備え、
前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは、前記U字継ぎ手に接続され、前記ジョー制御部に動作可能に接続されて、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーのうちの少なくとも一方を他方に対して能動的に関節運動させ、
前記第1のジョーおよび前記第2のジョーのうちの少なくとも一方は、前記ロック制御部に動作可能に接続されて前記ロックの第1の部分と取り外し可能にロックする前記ロックの第2の部分を備えるコネクタを有し、
前記ロックの第1の部分および前記ロックの第2の部分は、ロック状態を有し、前記ロック制御部が作動した際に前記ロック状態を解除するように構成され
、かつ、前記ロックの第1の部分と前記ロックの第2の部分とが共に移動した際に自動的に前記ロック状態に入るように構成されている、システム。
【請求項2】
前記コネクタ接合面は、第1の内部コネクタ接合面と、第2の内部コネクタ接合面と、を有し、
前記第1のクリップ支柱は、前記第1の内部コネクタ接合面を画定する第1の近位端を有し、
前記第2のクリップ支柱は、前記第2の内部コネクタ接合面を画定する第2の近位端を有し、
前記コネクタは、
・ 前記第1の内部コネクタ接合面内で接続されるように形成された第1の内部コネクタと、
・ 前記第2の内部コネクタ接合面内で接続されるように形成された第2の内部コネクタと、
を備え、
前記第1のジョーは、前記第1の内部コネクタを備え、
前記第2のジョーは、前記第2の内部コネクタを備え、
前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタのうちの一方のコネクタは、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタのうちの他方のコネクタよりも長い、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の内部コネクタは、前記第1の内部コネクタ接合面および前記第2の内部コネクタ接合面のいずれかに接続されるように形成され、
前記第2の内部コネクタは、前記第1の内部コネクタ接合面および前記第2の内部コネクタ接合面のいずれかに接続されるように形成される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のクリップ支柱および前記第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、前記コネクタ接合面を、前記ロックの第1の部分であるロックオリフィスを含む穴として画定する近位端を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のクリップ支柱は、第1の内部コネクタ接合面を穴として画定する第1の近位端を備え、前記ロックの第1の部分は、前記穴に接続され、
前記第2のクリップ支柱は、第2の内部コネクタ接合面を穴として画定する第2の近位端を備え、前記ロックの第1の部分は、前記穴に接続される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のクリップ支柱は、第1の内部コネクタ接合面を第1の穴として画定する第1の近位端を備え、前記ロックの第1の部分は、前記第1の穴に接続され、
前記第2のクリップ支柱は、第2の内部コネクタ接合面を第2の穴として画定する第2の近位端を備え、前記ロックの第1の部分は、前記第2の穴に接続され、
前記第1のジョーは、第1の内部コネクタとして前記コネクタを備え、
前記第1の内部コネクタは、前記ロックの第2の部分を備え、前記第1の内部コネクタ接合面内で接続されるように形成され、
前記第2のジョーは、第2の内部コネクタとして前記コネクタを備え、
前記第2の内部コネクタは、前記ロックの第2の部分を備え、前記第2の内部コネクタ接合面内で接続されるように形成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタは、異なる長さを有し、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタの各々は、前記U字継ぎ手に枢動可能に接続され、これにより、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタのうちの長い方のコネクタが前記第1の内部コネクタ接合面および前記第2の内部コネクタ接合面のうちの一方に少なくとも部分的に挿入され、前記ハンドルの動きによって、ユーザは、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタのうちの短い方のコネクタを前記第1の内部コネクタ接合面および前記第2の内部コネクタ接合面のうちの他方と受動的に整列させることができる、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタのそれぞれの前記ロックの第2の部分は、前記ロック制御部に動作可能に接続され、前記ロック制御部が作動した際に対応する前記ロックの第1の部分とのロックを解除するように構成される、
請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記コネクタ接合面は、内部コネクタ接合面であり、
前記コネクタは、前記ロックの第2の部分を備える内部コネクタであり、
前記第1のクリップ支柱および前記第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、前記内部コネクタ接合面を穴として画定する近位端を備え、前記ロックの第1の部分は、前記穴に接続され、
前記第1のジョーおよび前記第2のジョーのうちの少なくとも一方は、前記内部コネクタを備え、前記内部コネクタ接合面内で接続されるように形成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のジョーおよび前記第2のジョーの各々は、前記U字継ぎ手に枢動可能に接続され、
前記第1のジョーは、前記U字継ぎ手に対して能動的に関節運動するように前記ジョー制御部に動作可能に接続され、
前記第2のジョーは、前記U字継ぎ手に対して能動的に関節運動するように前記ジョー制御部に動作可能に接続される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ジョー制御部の第1の作動方向によって、前記第1のジョーと前記第2のジョーとが互いから離れ、前記ジョー制御部の第2の作動方向によって、前記第1のジョーと前記第2のジョーとが互いに向けて移動する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ロックの第2の部分は、前記ロックの第1の部分と取り外し可能にロックするように形成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記エンドエフェクタを前記ハンドルに接続するシャフトをさらに備え、
前記ジョー制御部は、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーのうちの少なくとも一方に接続されたジョー制御ケーブルを備え、
前記ロック制御部は、前記ロックの第2の部分に接続された少なくとも1つのロック解放ケーブルを備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のクリップ支柱は、第1の組織接触面を有し、
前記第2のクリップ支柱は、前記第1の組織接触面に対向する第2の組織接触面を有し、
前記ジョー制御部の作動によって、支柱平面において、前記第1の組織接触面および前記第2の組織接触面を互いに向かうようにまたは互いから離れるように選択的に移動させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のクリップ支柱および前記第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、近位端を有し、
前記コネクタ接合面は、前記近位端から前記第1のクリップ支柱および前記第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方まで延在し、前記ロックの第1の部分としてロックオリフィスを備え、
前記コネクタは、前記ロックの第2の部分としてケーブルロックを備え、前記ケーブルロックは、前記ロックオリフィスに取り外し可能に固定されるように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記LAA隔離クリップの全体は、10mm以下の所与の外径を有する横断方向の断面円を画定し、
前記エンドエフェクタは、前記所与の外径以下の外径を有する横方向の断面円を画定する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
左心耳(LAA)を外部から再捕捉可能な隔離クリップシステムであって、
LAA隔離クリップであって、
第1のクリップ支柱と、
第2のクリップ支柱と、
を含み、前記第1のクリップ支柱および前記第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、ロックの第1の部分を備える内部コネクタ接合面を有する、LAA隔離クリップと、
留置装置であって、
ジョー制御部およびロック制御部を備えるハンドルと、
前記ハンドルに接続されたエンドエフェクタと、
を含む留置装置と、
を備え、
前記エンドエフェクタは、
U字継ぎ手と、
第1のジョーおよび第2のジョーと、
を備え、
前記第1のジョーおよび前記第2のジョーは、前記U字継ぎ手に接続され、前記ジョー制御部に動作可能に接続されて、前記第1のジョーおよび前記第2のジョーのうちの少なくとも一方を他方に対して能動的に関節運動させ、
前記第1のジョーおよび前記第2のジョーのうちの少なくとも一方は、前記ロック制御部に動作可能に接続されて前記ロックの第1の部分と取り外し可能にロックする前記ロックの第2の部分を備えるコネクタを有し、
前記ロックの第1の部分および前記ロックの第2の部分は、ロック状態を有し、前記ロック制御部が作動した際に前記ロック状態を解除するように、および前記ロックの第1の部分および前記ロックの第2の部分が共に移動した際に自動的に前記ロック状態に入るように構成される、
システム。
【請求項18】
前記第1のクリップ支柱および前記第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方において、
前記第1のクリップ支柱は、前記内部コネクタ接合面を、前記ロックの第1の部分を含む穴として画定する第1の近位端を備え、
前記第2のクリップ支柱は、前記内部コネクタ接合面を、前記ロックの第1の部分を含む穴として画定する第2の近位端を備え、
前記第1のジョーおよび前記第2のジョーのうちの少なくとも一方において、
前記第1のジョーは、前記ロックの第2の部分を含む内部コネクタとして前記コネクタを備え、前記内部コネクタ接合面内で接続されるように形成され、
前記第2のジョーは、前記ロックの第2の部分を含む内部コネクタとして前記コネクタを備え、前記内部コネクタ接合面内で接続されるように形成される、
請求項
17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のクリップ支柱は、第1の内部コネクタ接合面を、前記ロックの第1の部分を含む穴として画定する第1の近位端を備え、
前記第2のクリップ支柱は、第2の内部コネクタ接合面を、前記ロックの第1の部分を含む穴として画定する第2の近位端を備え、
前記第1のジョーは、前記ロックの第2の部分を含む第1の内部コネクタとして前記コネクタを備え、前記第1の内部コネクタ接合面内で接続されるように形成され、
前記第2のジョーは、前記ロックの第2の部分を含む第2の内部コネクタとして前記コネクタを備え、前記第2の内部コネクタ接合面内で接続されるように形成され、
前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタは、異なる長さを有し、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタの各々は、前記U字継ぎ手に枢動可能に接続され、これにより、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタのうちの長い方のコネクタが前記第1の内部コネクタ接合面および前記第2の内部コネクタ接合面のうちの一方に少なくとも部分的に挿入され、前記ハンドルの動きによって、ユーザは、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタのうちの短い方のコネクタを前記第1の内部コネクタ接合面および前記第2の内部コネクタ接合面のうちの他方と受動的に整列させることができる、
請求項
17に記載のシステム。
【請求項20】
左心耳(LAA)を外部から再捕捉可能な隔離クリップシステムであって、
LAA隔離クリップであって、
第1の組織接触面を有する第1のクリップ支柱と、
前記第1の組織接触面に対向する第2の組織接触面を有する第2のクリップ支柱と、
前記第1のクリップ支柱と前記第2のクリップ支柱とを互いに移動可能に接続するバイアス装置と、
を含み、前記第1のクリップ支柱および前記第2のクリップ支柱は、前記LAAの両側と嵌合するように形成され、前記第1のクリップ支柱および前記第2のクリップ支柱の各々は、内部コネクタ接合面を有し、前記第1のクリップ支柱および前記第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、ロックの第1の部分を備える、LAA隔離クリップと、
留置装置であって、
内腔を画定する中空のシャフト、前記内腔を通過するクリップロックケーブルを有するロック制御部、および前記内腔を通過するエンドエフェクタケーブルを有するジョートリガーを含むハンドルと、
前記シャフトに取り付けられたエンドエフェクタと、
を含む留置装置と、
を備え、
前記エンドエフェクタは、
U字継ぎ手と、
第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタと、
を備え、
前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタは、前記エンドエフェクタケーブルに動作可能に接続されて、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタを前記U字継ぎ手に対して枢動させ、
前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタのうちの少なくとも一方は、前記クリップロックケーブルに動作可能に接続されて前記ロックの第1の部分と取り外し可能にロックするように形成された前記ロックの第2の部分を有し、
前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタは、異なる長さを有し、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタの各々は、前記U字継ぎ手に枢動可能に接続され、これにより、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタのうちの長い方のコネクタが前記第1の内部コネクタ接合面および前記第2の内部コネクタ接合面のうちの一方に少なくとも部分的に挿入され、前記ハンドルの動きによって、ユーザは、前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタのうちの短い方のコネクタを前記第1の内部コネクタ接合面および前記第2の内部コネクタ接合面のうちの他方と受動的に整列させることができ、
前記ロックの第1の部分および前記ロックの第2の部分は、ロック状態を有し、ロックされているときに前記ロック制御部が作動した際に前記ロック状態を解除するように、および前記ロック制御部を作動することなく、前記ロックの第1の部分および前記ロックの第2の部分が共に移動した際に自動的にロック状態に入るように構成される、
システム。
【請求項21】
前記第1の内部コネクタ接合面および前記第2の内部コネクタ接合面の各々は、前記ロックの第1の部分を備え、
前記第1の内部コネクタおよび前記第2の内部コネクタの各々は、対応する前記ロックの第1の部分が取り外し可能に固定される、前記ロックの第2の部分を備える、
請求項
20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のシステム、装置および方法は、一般に、中空組織構造の流体通路を外部から閉塞するための外科的アプローチの分野に含まれる。具体的には、本発明は、心臓の左心耳(left atrial appendage:LAA)を外部からクリップし、心臓の左心房からLAAを除去して、LAAと左心房との間の流体通路を効果的に閉鎖し、植え込まれた後のクリップを再捕捉することができる装置、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、米国で最も一般的なタイプの心不整脈は、心臓の上室における無秩序型で頻脈性の電気活動として特徴付けられる心房細動(atrial fibrillation:AF)である。心房細動の発症につながるいくつかの原因および危険因子として、高血圧、急性および慢性のリュウマチ性心疾患、ならびに甲状腺機能亢進症が挙げられる。このような心臓リズムの異常により、心房繊維の収縮が非同期的(調和していないまたは一致していない)になるため、心臓のポンプ機能が完全に停止してしまう可能性がある。そのため、心房細動で起こる最も危険な状態の1つとして、心房内の血流の乱れやうっ血がある。これは、血栓の形成につながり、患者の心臓発作や塞栓性脳卒中が起きる可能性が高くなる。心房細動に起因する血栓は、LAAの解剖学的位置および生理学的特性により、LAAで発生することが多い。LAAは、僧帽弁と左肺静脈の根との間の左心房の側壁につながる、有茎性で指形の袋状になっている空洞である。このように、LAAは、心臓が正常且つ協調的なペースで血液を心室に押し込むために収縮していないときに、停滞した血液が有害に溜まったり蓄積したりしやすい部位である。その結果、血栓が容易に形成されてLAA内で蓄積し、さらにその上に蓄積して、LAAから心房内に伝播する可能性がある。したがって、LAAが血栓の形成の素因となるので、心房細動患者のLAA内に形成された血栓を封じ込めたり除去したりすれば、その患者の卒中の発生率を大幅に削減することができる。
【0003】
血液希釈剤、抗凝固薬および抗血小板薬を含む薬理学的治療はよく知られており、血栓の形成のリスクを低減するために日常的に使用されている。しかしながら、これらの薬物は、過度の出血、頭痛、めまい、疲労および禁忌症を含む有害で苦痛な副作用や合併症を伴うことが多く、患者の服薬順守や忍耐が試される。そのため、有効性を高め、危険で慢性的な副作用を制限し、患者のクオリティ・オブ・ライフを向上させる代替薬の開発には強い関心が寄せられている。
【0004】
また、LAA内での血栓の形成のリスクを低減または完全に除去する別のアプローチには、LAAと左心房との間の血流を効果的に遮断または実質的に制限する開心術、開胸術、胸腔鏡下手術、または外科的な経皮的インターベンションによるものがある。心血管系の一部としてのLAAの正確な役割は、完全に明らかになっていない。左心室収縮期や左心房圧が高いその他の期間に、一種の減圧室として機能するのに適していると考えられている。しかしながら、LAAは、必要な機能を果たしているようには見えず、心臓の解剖学的構造および機能にとって、生理学的に重要ではないと考えられている。そのため、LAAへの流体連通を外科的に切断することや、LAAを心臓から完全に閉塞する(すなわち取り除く)ことは、LAAにおける血栓の形成を劇的に減少させるための有望で実現可能なアプローチである。
【0005】
既存の外科的アプローチの各々は、関連する利点および欠点を有する。例えば、LAAを完全に取り除くと、そこに将来血栓が形成される危険性をすべて排除することができる。しかしながら、手術中に既に存在している血栓が外れて血管内に流れる可能性がある。また、LAAを取り除くと、心臓に大きな創部ができる。これは、多量の出血を防ぐために、慎重に制御し、専門的に挟み、絶対的な精度で縫合する必要がある。さらに、LAAを取り除くと、明らかに劇的な解剖学的な変化が起きる。LAAの血行力学的およびホルモンの役割は現時点でも継続的な研究と理解が必要であるため、その除去は慎重に検討する必要がある。
【0006】
その他の外科的アプローチは、解剖学的構造物を一切取り除くことなく、LAAと左心房との間の流体通路を封鎖、遮断または閉塞することを目的としている。例えば、外科医がLAAを(例えば直接心房内縫合または外部からの結紮を介して)外科的に縫合またはステープルして通路を効果的に閉鎖することで、LAAを左心房から隔離された盲管にまで減少させることができる。さらなる一例において、生体適合性バリア装置が、LAAの入口において左心房内から植え込まれて、(血管カテーテルなどの)経皮的留置装置を使用して通路内に固定(anchored)することができる。このような装置の一例として、ボストン・サイエンティフィック社によるWATCHMAN(商標)左心耳閉鎖装置が挙げられる。これらの処置の中には、低侵襲的技術(開胸術、胸腔鏡下手術など)を用いて実施するものもあるが、心臓組織に穴を開けたり心臓に侵入したりするため、かなりのリスクが残る。さらに、これらの処置の有効性は、ステープル、縫合糸、植え込みまたは他の閉塞装置の正確な配置に依存するため、外科医には非常に高い精密さが求められる。また、心室に残された装置は、一部の生体適合性材料が最終的に壊れたり血栓の形成を促進したりする可能性があるため、今後血栓発生部位になる可能性がある。したがって、実際に心臓組織に穴を開けることなく、LAAを閉鎖または隔離するための様々な外科的アプローチを開発することが求められている。
【0007】
そのような処置の一例として、LAAの外面に隔離クリップを恒久的且つ外科的に取り付けることが挙げられる。具体的には、隔離クリップは、心臓に進入することなく、LAAと心房との間の内部流体通路を効果的に閉鎖するのに十分な挟圧または締め付け圧を加えるように、LAAの基部の周りでその近傍に配置される。そのため、心臓で生じる制御不能な出血やその他の外傷が発生する可能性を大幅に低減することができる。また、隔離クリップの要素が心血管系に導入されないため、血栓の形成が将来的に促進される部位を不用意に作製してしまうリスクを最小限に抑えることができる。それでもなお、既存の隔離クリップの設計や、隔離クリップを取り付けるために現在使用されているシステム、プロセスおよび留置装置には、いくつかの固有の制限がある。
【0008】
背景として、LAAを隔離するために採用されている既存の隔離クリップは、一般に、1つまたは複数のばね部材によって互いに対して付勢される、互いに対向する1対の細長い締め付け部材から形成される。LAAへの隔離クリップの取り付け前に、留置装置が隔離クリップと係合し、1つまたは複数のばね部材による閉鎖方向のばね付勢力に対する反力を加える。これにより、締め付け部材が互いから離れて、その間に内部空間が形成される。取り付け時に、LAAは、隔離クリップの内部空間に配置されて、互いに対向する締め付け部材の間で受容される。LAAに対して隔離クリップが所望の位置にあると外科医が判断すると、クリップの留置装置は、1つまたは複数のばね部材に加えられた反力を解放して隔離クリップから係合解除される。その結果、締め付け部材は、その内向きにばね付勢された状態に戻り、グリップのようにLAAを緊密に取り囲み、LAAの外面に対して締め付け作用を生じさせる。このような装置の一例として、AtriCure社によるATRIクリップ(登録商標)左心耳隔離システムが挙げられる。
【0009】
現在、隔離クリップは、開放端式または閉鎖ループ式のいずれかであるように設計されている。閉鎖ループ式隔離クリップは、一般に、ループを形成するために両端でばね部材によって接続された平行且つ互いに対向する1対の締め付け部材から構成される。対照的に、開放端式の隔離クリップは、ばねやばね付勢されたヒンジ状の部材によって、一端だけで互いに接続された互いに対向する1対の締め付け部材を含む。ばねやばね付勢されたヒンジ状の部材は、必要な締め付け作用を生成するために締め付け部材を互いに向けて付勢する。
【0010】
したがって、LAAを隔離するための隔離クリップのアプローチの有効性および安全性を確保するため、およびLAAやその他の周囲の構造物を切断または損傷させないようにしながら、LAAに出入りする血流を十分且つ恒久的に閉鎖するために、LAAと心臓の残りの部分に対して正確に且つ十分な圧力を有するように隔離クリップを配置する必要がある。そのため、外科医は、隔離クリップの配置を巧みに制御し、クリップが十分に閉じて所望の位置に固定されたことを確認する必要がある。これは、大変困難な作業である。隔離クリップがLAA上に設置されると、介在する組織が乾燥するか収縮して変化する。ここで、LAAを適切に封鎖するために、異なるより大きな締め付け力が必要である。
【0011】
既存の隔離クリップの設計(特に閉鎖ループ式の設計)におけるさらなる制限として、互いに対向する締め付け部材の間の内部開口部の距離が、1つまたは複数のばね部材によって付勢されたばね付勢力によって制限されることが挙げられる。ここで、ばね付勢力は、1つまたは複数のばね部材が撓むことができる度合いに依存する。その結果、患者のLAAが比較的大きい場合、外科医が隔離クリップを取り付けるのに苦労する可能性がある。
【0012】
開放端式のLAA隔離クリップは、側方からのアプローチのみでLAAに到達することができる。そのため、心臓へのアプローチが制限されている状態であっても、比較的低侵襲的な処置で配置することができるので、閉鎖端式のクリップよりも好ましい場合がある。しかしながら、開放端式のクリップの欠点として、LAAの全幅にわたってクリップが完全に配置されたかどうかを外科医が判断しにくい場合が多いことが挙げられる。クリップを配置するために側方から接近するため、LAAの遠位端は、通常、外科医には見えない。ここで、外科医は、クリップの遠位端の位置を推定し、クリップがLAAを完全に横切ったと外科医が確信したときに、クリップを解放する必要がある。外科医の推定が誤っていて、開放端式のクリップが締め付け状態でLAAを部分的にしか横切っていない場合、LAAは部分的にしか隔離されていない。このような植え込みは、合併症を引き起こす可能性が高く、部分的な隔離を修正するためにさらなる手術が必要となる。
【0013】
そのため、当該技術分野において、クリップが締め付けられて植え込まれた状態で解放される前に、クリップがLAAを完全に横切って配置されていることを外科医に明確に示すことができる開放端式のLAA隔離クリップのための取り付け装置が求められている。
【0014】
さらに、上述したように、隔離クリップの取り付け中に隔離クリップの内部空間にLAAを入れ込むために、LAAが適切に配向されて安定した位置で保持される必要がある。したがって、典型的には、クリップ留置装置とは別の外科手術用鉗子(grasper)のような器具がLAAを所定の位置に移動するために使用される。実際、LAAのすべての閉塞、隔離および除去処置において、LAAを正しい位置に配向するためにのみ専用の器具を個別に使用する必要がある。その結果、隔離クリップによる処置において、外科医は、同時にクリップ留置装置と安定化器具を同時に操作する(または同時に心臓を直接安定化する)必要があり、これにより、外科医の両手がふさがることになる。これは、外科医の可動性と自由度を制限して、外科医の疲労につながる可能性がある。重要なことに、LAAに単純な移動を慎重に行わないと、僅かなミスだけでLAAが破れたりLAAを貫いたりする可能性がある。これは、生命を脅かす出血の危険性を即座に生じさせる。そのため、当該技術分野において、隔離クリップとLAAとの間の相互作用の精度を単純化して向上させ、且つLAA用とは別の把持装置または押下(nudging)装置の必要性および/または関与を最小化または排除する隔離クリップおよび留置装置システムが求められている。
【0015】
また、当該技術分野において、クリップが所定の位置に配置されたときに、クリップの締め付け部材とLAAおよび左心房との間の表面間の相互作用を改善させ、且つ外科的処置の間だけでなく、植え込まれたクリップの寿命にわたって、組織に損傷を与えることなく、LAA周りの把持力を向上させる形状、材料特性、公差および表面積などの特徴を有する隔離クリップが求められている。
【0016】
隔離クリップの植え込みの際、外科医は、クリップが所望の位置にあると推定しながら植え込みを行ったが、留置装置から隔離クリップを解放した後に、クリップを取り除いて再度植え込むべきだと確信する場合があり得る。そのため、当該技術分野において、LAAに植え込まれた後に隔離クリップを再捕捉し、より望ましい位置に再度植え込むために隔離クリップを開くことができる留置装置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
このように、上述した先行技術のシステム、設計およびプロセスの課題を克服する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本明細書に記載する本発明のシステム、装置および方法は、一般的なタイプの既知の装置および方法の上述した欠点を克服する、左心耳の外面をクリップして、左心房からLAAの内部を流体的に切り離す装置、システムおよび方法を提供する。より具体的には、本明細書に記載する本発明のシステム、装置および方法は、隔離クリップを外科的に取り付けている間に、LAA隔離クリップの再捕捉および再植え込みまたは除去を可能にするように作用する構造的特徴を有するLAA隔離クリップのための留置装置を提供する。このような留置装置によって、隔離クリップに対してLAAを移動するための留置装置とは別の安定化器具の必要性を有利に最小限に抑えることができるか、その必要性を取り除くことができる。これにより、装置に触れることなく片手で処置を行うことができる。
【0019】
さらに、本明細書に記載する本発明のシステム、装置および方法は、加えられる締め付け圧の度合いについて、外科医に、より高い精度および制御を与え、且つクリップの互いに対向する締め付け部材の末端を接続するためにばね部材を採用したことによる従来の制約がない、閉鎖ループ式隔離クリップを提供する。
【0020】
一実施形態において、留置装置は、近位端および遠位端を有するシャフトと、シャフトの近位端に接続された1つまたは複数の制御部を収容するハンドルと、シャフトの遠位端に接続された取り付けヘッドと、を備える。取り付けヘッドは、開放端式の隔離クリップを受容するように構成された互いに対向する2つのジョー(jaw)を備える。ジョーは、シャフトに取り付けられた取り付けヘッドの近位端またはその近傍に位置する枢動組立体によって、閉位置と開位置との間を枢動することができる。ジョーの枢動動作は、ハンドル上の1つまたは複数の制御部によって制御される。各ジョーの先端には、例えば内部コネクタなどの保持部材が設けられる。
【0021】
留置装置は、当該技術分野において既知の設計、または本明細書に記載の設計を含む多数の異なる設計を有する隔離クリップと共に使用することができる。開放端式の隔離クリップの一実施形態において、クリップは、クリップの開放端をジョーの先端の方向に遠位に向けた状態で、互いに対向する2つのジョーに配置される。隔離クリップの平行な締め付け部材の各々は、対応するジョーに解放可能に固定される。このようにして、互いに対向するジョーが引き離すように装置のハンドル上の制御部が作動すると、隔離クリップは、強制的に開けられる。互いに対向するジョーを閉鎖するように制御部が作動すると、隔離クリップ内のばねがジョーを閉じるように付勢する。
【0022】
隔離クリップは、多数の異なる方法でジョーに解放可能に固定することができる。様々な例示的な実施形態は、隔離クリップの支柱(struts)の内部空間内に取り外し可能に固定されるロックを用いる。隔離クリップが正しく配置されたことに操作者が納得したときに、解放部が作動して(例えばケーブルが引っ張られて)隔離クリップを取り付けU字継ぎ手(clevis)またはヘッドから取り除くことができる。これにより、隔離クリップが留置装置から解放される。
【0023】
運用時には、外科医は、ハンドル上の適切な制御部を作動させてジョーと隔離クリップを開き、隔離クリップの取り付けを開始する。隔離クリップの開放端式の実施形態において、開放端は、側方からのアプローチを用いてLAAを横切るように配置される。外科医は、クリップが十分に挿入されて閉鎖した際にLAAを完全にまたがると確信したときに、ハンドル制御部を作動させて、クリップを閉鎖させ、LAAを締め付ける。外科医がクリップの挿入距離を正しく推定した場合、互いに対向するジョーの先端は、(LAAなどの)構造物が間にない状態で互いに非常に近接する。次いで、外科医は、クリップを再び開いて、所望の植え込み位置が得られるまで、クリップを正しく配置するように試みることができる。次いで、外科医が解放部を作動することで、隔離クリップが留置装置のジョーから解放される。留置装置の取り外しをもって植え込みが完了する。外科医の所望に応じて、留置装置を隔離クリップと再係合させることができる。
【0024】
上述した目的および他の目的を鑑みて、左心耳(LAA)を外部から再捕捉可能な隔離クリップシステムが提供される。当該システムは、LAA隔離クリップと、留置装置と、を備える。隔離クリップは、第1のクリップ支柱と、第2のクリップ支柱と、を備える。
【0025】
第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、ロックの第1の部分を備えるコネクタ接合面(interface)を有する。留置装置は、ジョー制御部およびロック制御部を備えるハンドルと、ハンドルに接続されたエンドエフェクタと、を備える。エンドエフェクタは、U字継ぎ手と、第1のジョーおよび第2のジョーと、を備える。第1のジョーおよび第2のジョーは、U字継ぎ手に接続され、ジョー制御部に動作可能に接続されて、第1のジョーおよび第2のジョーのうちの少なくとも一方を他方に対して能動的に関節運動させる。第1のジョーおよび第2のジョーのうちの少なくとも一方は、ロック制御部に動作可能に接続されてロックの第1の部分と取り外し可能にロックするロックの第2の部分を備えるコネクタを有する。ロックの第1の部分および第2の部分は、ロック状態を有し、ロック制御部が作動した際にロック状態を解除するように構成される。
【0026】
また、上述した目的を鑑みて、LAAを外部から再捕捉可能な隔離クリップシステムが提供される。当該システムは、LAA隔離クリップと、留置装置と、を備える。LAA隔離クリップは、第1のクリップ支柱と、第2のクリップ支柱と、を備える。第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、ロックの第1の部分を備える内部コネクタ接合面を有する。留置装置は、ジョー制御部およびロック制御部を備えるハンドルと、ハンドルに接続されたエンドエフェクタと、を備える。エンドエフェクタは、U字継ぎ手と、第1のジョーおよび第2のジョーと、を備える。第1のジョーおよび第2のジョーは、U字継ぎ手に接続され、ジョー制御部に動作可能に接続されて、第1のジョーおよび第2のジョーのうちの少なくとも一方を他方に対して能動的に関節運動させる。第1のジョーおよび第2のジョーのうちの少なくとも一方は、ロック制御部に動作可能に接続されてロックの第1の部分と取り外し可能にロックするロックの第2の部分を備えるコネクタを有する。ロックの第1の部分および第2の部分は、ロック状態を有し、ロック制御部が作動した際にロック状態を解除するように、およびロックの第1の部分および第2の部分が共に移動した際に自動的にロック状態に入るように構成される。
【0027】
また、上述した目的を鑑みて、LAAを外部から再捕捉可能な隔離クリップシステムが提供される。当該システムは、LAA隔離クリップおよび留置装置を備える。隔離クリップは、第1の組織接触面を有する第1のクリップ支柱と、第1の組織接触面に対向する第2の組織接触面を有する第2のクリップ支柱と、を備える。第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱は、LAAの両側と嵌合するように形成される。第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱の各々は、内部コネクタ接合面を有する。第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、ロックの第1の部分を備える。また、隔離クリップは、第1のクリップ支柱と第2のクリップ支柱とを互いに移動可能に接続するバイアス装置を備える。留置装置は、内腔を画定する中空のシャフト、内腔を通過するクリップロックケーブル(cord)を有するロック制御部、および内腔を通過するエンドエフェクタケーブルを有するジョートリガーを含むハンドルを備える。エンドエフェクタは、シャフトに取り付けられ、U字継ぎ手と、エンドエフェクタケーブルに動作可能に接続された第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタと、を備える。これにより、U字継ぎ手に対して第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタを枢動させることができる。第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタの少なくとも一方は、クリップロックケーブルに動作可能に接続されたロックの第2の部分を有する。ロックの第2の部分は、ロックの第1の部分と取り外し可能にロックするように形成される。また、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタは、異なる長さを有する。第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタの各々は、U字継ぎ手に枢動可能に接続される。これにより、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタのうちの長い方のコネクタが第1の内部コネクタ接合面および第2の内部コネクタ接合面のうちの一方に少なくとも部分的に挿入され、ハンドルの動きによって、ユーザは、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタのうちの短い方のコネクタを第1の内部コネクタ接合面および第2の内部コネクタ接合面のうちの他方と受動的に整列させることができる。ロックの第1の部分および第2の部分は、ロック状態を有し、ロックされているときにロック制御部が作動した際にロック状態を解除するように、およびロックの第1の部分と第2の部分とが共に移動した際にロック制御部が作動することなく自動的にロック状態に入るように構成される。
【0028】
別の特徴によれば、コネクタ接合面は、第1の内部コネクタ接合面と、第2の内部コネクタ接合面と、を有する。第1のクリップ支柱は、第1の内部コネクタ接合面を画定する第1の近位端を有する。第2のクリップ支柱は、第2の内部コネクタ接合面を画定する第2の近位端を有する。コネクタは、第1の内部コネクタ接合面内に接続するように形成された第1の内部コネクタと、第2の内部コネクタ接合面内に接続するように形成された第2の内部コネクタと、を備える。第1のジョーは、第1の内部コネクタを備える。第2のジョーは、第2の内部コネクタを備える。第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタのうちの一方のコネクタは、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタのうちの他方のコネクタよりも長い。
【0029】
さらなる特徴によれば、第1の内部コネクタは、第1の内部コネクタ接合面および第2の内部コネクタ接合面のいずれかに接続されるように形成され、第2の内部コネクタは、第1の内部コネクタ接合面および第2の内部コネクタ接合面のいずれかに接続されるように形成される。
【0030】
追加的な特徴によれば、第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、コネクタ接合面を、ロックの第1の部分であるロックオリフィスを含む穴として画定する近位端を有する。
【0031】
追加的な特徴によれば、第1のクリップ支柱は、第1の内部コネクタ接合面を穴として画定する第1の近位端を備える。ロックの第1の部分は、その穴に接続される。第2のクリップ支柱は、第2の内部コネクタ接合面を穴として画定する第2の近位端を備える。ロックの第1の部分は、その穴に接続される。
【0032】
さらに別の特徴によれば、第1のクリップ支柱は、第1の内部コネクタ接合面を第1の穴として画定する第1の近位端を備える。ロックの第1の部分は、第1の穴に接続される。第2のクリップ支柱は、第2の内部コネクタ接合面を第2の穴として画定する第2の近位端を備える。ロックの第1の部分は、第2の穴に接続される。第1のジョーは、第1の内部コネクタとしてコネクタを備える。第1の内部コネクタは、ロックの第2の部分を備え、第1の内部コネクタ接合面内で接続されるように形成される。第2のジョーは、第2の内部コネクタとしてコネクタを備える。第2の内部コネクタは、ロックの第2の部分を備え、第2の内部コネクタ接合面内で接続されるように形成される。
【0033】
さらなる特徴によれば、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタは、異なる長さを有する。第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタの各々は、U字継ぎ手に枢動可能に接続される。これにより、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタのうちの長い方のコネクタが第1の内部コネクタ接合面および第2の内部コネクタ接合面のうちの一方に少なくとも部分的に挿入され、ハンドルの動きによって、ユーザは、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタのうちの短い方のコネクタを第1の内部コネクタ接合面および第2の内部コネクタ接合面のうちの他方と受動的に整列させることができる。
【0034】
さらに追加的な特徴によれば、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタのそれぞれのロックの第2の部分は、ロック制御部に動作可能に接続され、ロック制御部が作動した際に対応するロックの第1の部分とのロックを解除するように構成される。
【0035】
さらに追加的な特徴によれば、コネクタ接合面は、内部コネクタ接合面であり、コネクタは、ロックの第2の部分を備える内部コネクタであり、第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、内部コネクタ接合面を穴として画定する近位端を備え、ロックの第1の部分は、その穴に接続され、第1のジョーおよび第2のジョーのうちの少なくとも一方は、内部コネクタを備え、内部コネクタ接合面内で接続されるように形成される。
【0036】
さらに別の特徴によれば、第1のジョーおよび第2のジョーの各々は、U字継ぎ手に枢動可能に接続される。第1のジョーは、U字継ぎ手に対して能動的に関節運動するようにジョー制御部に動作可能に接続され、第2のジョーは、U字継ぎ手に対して能動的に関節運動するようにジョー制御部に動作可能に接続される。
【0037】
さらに別の特徴によれば、ジョー制御部の第1の作動方向によって、第1のジョーと第2のジョーとが互いから離れ、ジョー制御部の第2の作動方向によって、第1のジョーと第2のジョーとが互いに向けて移動する。
【0038】
さらに追加的な特徴によれば、ロックの第2の部分は、ロックの第1の部分と取り外し可能にロックするように形成される。
【0039】
さらに追加的な特徴によれば、ロックの第1の部分および第2の部分は、ロックの第1の部分と第2の部分が共に移動した際に自動的にロック状態に入るように構成される。
【0040】
さらに別の特徴によれば、エンドエフェクタをハンドルに接続するシャフトが設けられる。ジョー制御部は、第1のジョーおよび第2のジョーのうちの少なくとも一方に接続されたジョー制御ケーブルを備える。ロック制御部は、ロックの第2の部分に接続された少なくとも1つのロック解放ケーブルを備える。
【0041】
さらになる特徴によれば、第1のクリップ支柱は、第1の組織接触面を有し、第2のクリップ支柱は、第1の組織接触面に対向する第2の組織接触面を有する。ジョー制御部の作動によって、支柱平面において、第1の組織接触面および第2の組織接触面を互いに向かうようにまたは互いから離れるように選択的に移動させる。
【0042】
さらに追加的な特徴によれば、第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方は、近位端を有する。コネクタ接合面は、近位端から第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方まで延在し、ロックの第1の部分としてロックオリフィスを備える。コネクタは、ロックの第2の部分としてケーブルロックを備える。ケーブルロックは、ロックオリフィスに取り外し可能に固定されるように構成される。
【0043】
さらに追加的な特徴によれば、LAA隔離クリップの全体は、10mm以下の所与の外径を有する横断方向の断面円を画定し、エンドエフェクタは、所与の外径以下の外径を有する横方向の断面円を画定する。
【0044】
さらに別の特徴によれば、第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱のうちの少なくとも一方において、第1のクリップ支柱は、内部コネクタ接合面を、ロックの第1の部分を含む穴として画定する第1の近位端を備え、第2のクリップ支柱は、内部コネクタ接合面を、ロックの第1の部分を含む穴として画定する第2の近位端を備える。第1のジョーおよび第2のジョーのうちの少なくとも一方において、第1のジョーは、ロックの第2の部分を含む内部コネクタとしてコネクタを備え、内部コネクタ接合面内で接続されるように形成され、第2のジョーは、ロックの第2の部分を含む内部コネクタとしてコネクタを備え、内部コネクタ接合面内で接続されるように形成される。
【0045】
さらに別の特徴によれば、第1のクリップ支柱は、第1の内部コネクタ接合面を、ロックの第1の部分を含む穴として画定する第1の近位端を備え、第2のクリップ支柱は、第2の内部コネクタ接合面を、ロックの第1の部分を含む穴として画定する第2の近位端を備える。第1のジョーは、ロックの第2の部分を含む第1の内部コネクタとしてコネクタを備え、第1の内部コネクタ接合面内で接続されるように形成される。第2のジョーは、ロックの第2の部分を含む第2の内部コネクタとしてコネクタを備え、第2の内部コネクタ接合面内で接続されるように形成される。第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタは、異なる長さを有する。第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタの各々は、U字継ぎ手に枢動可能に接続される。これにより、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタのうちの長い方のコネクタが第1の内部コネクタ接合面および第2の内部コネクタ接合面のうちの一方に少なくとも部分的に挿入され、ハンドルの動きによって、ユーザは、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタのうちの短い方のコネクタを第1の内部コネクタ接合面および第2の内部コネクタ接合面のうちの他方と受動的に整列させることができる。
【0046】
付随する特徴において、第1の内部コネクタ接合面および第2の内部コネクタ接合面の各々は、ロックの第1の部分を備え、第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタの各々は、対応するロックの第1の部分が取り外し可能に固定される、ロックの第2の部分を備える。
【0047】
本発明のシステム、装置および方法は、LAAを外部からクリップして、心臓の左心房からLAAを除外し、LAAと左心房との間の流体通路を効果的に閉鎖し、植え込み後のクリップを再捕捉する装置、システムおよび方法を包含するものとして本明細書に記載される。しかしながら、これらは、本発明の精神から逸脱することなく、また添付の特許請求の範囲の同等物の範囲内で、様々な修正および構造的変更を行うことができるので、本明細書に記載の詳細に限定されることを意図していない。また、本発明のシステム、装置および方法に関連する詳細を不明瞭にしないように、例示的な実施形態における既知の要素は、詳細には説明されないか、その説明自体を省略する。
【0048】
本発明のシステム、装置および方法の特徴的な追加の利点およびその他の特徴は、以下の詳細な説明に記載され、この説明から明らかになるか、例示的な実施形態の実現によって得ることができるであろう。また、本発明のシステム、装置および方法のさらなる利点は、添付の特許請求の範囲に特に記載された機器、方法またはそれらの組み合わせのいずれかによって実現されてもよい。
【0049】
本発明のシステム、装置および方法に特徴的であると考えられるその他の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載される。必要に応じて、本発明のシステム、装置および方法の詳細な実施形態が、本明細書に記載される。しかしながら、これらの実施形態は、様々な形態で包含され得る例示的なシステム、装置および方法に過ぎないことに留意されたい。そのため、本明細書に記載される特定の構造的および機能的な詳細な説明は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、添付の特許請求の範囲の基礎として、また、実質的に適切に詳細な構造のシステム、装置および方法を様々に採用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきであることに留意されたい。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、限定を意図するものではなく、本発明のシステム、装置および方法を理解できるような説明を提供することを意図している。本明細書は、新規とみなされる本発明のシステム、装置および方法を定義する添付の特許請求の範囲で締めくくられる。ただし、本発明のシステム、装置および方法は、同様の参照符号を示す添付の図面を参照して以下の説明を考慮することで、よりよく理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
添付の図面では、同様の参照符号が同一または機能的に同様の要素を示しており、要素は、縮尺に忠実に示していない。また、添付の図面は、以下の詳細な説明と共に組み込まれて本明細書の一部を構成しており、様々な実施形態を示すために、および本発明のシステム、装置および方法に従う様々な原理および利点を説明するために役立つ。本発明のシステム、装置および方法の実施形態の利点は、その例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。これらの説明は、添付の図面と共に考慮されるものである。
【
図1】左心耳を有するヒトの心臓の部分模式図である。
【
図2】クリップの支柱のみを示す、閉鎖または隔離クリップの例示的な実施形態の部分断面図である。
【
図3】クリップ留置装置の例示的な実施形態の側面図であり、ジョーが閉状態にあるU字継ぎ手およびジョーを有するエンドエフェクタ、シャフト、ハンドル、およびジョーに設置された閉塞クリップを示している。
【
図4】
図2に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分断面図であり、閉塞クリップがジョーから離間している状態を示している。
【
図5】
図4に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分断面図であり、閉塞クリップが第1の中間状態においてジョーに部分的に設置されている状態を示している。
【
図6】
図4に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分断面図であり、閉塞クリップが第2の中間状態においてジョーにさらに部分的に設置されている状態を示している。
【
図7】
図4に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分断面図であり、閉塞クリップがジョーに取り外し可能に設置されている状態を示している。
【
図8】
図7に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの中間部の部分拡大断面図である。
【
図8A】
図7に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの中間部の部分拡大断面図であり、エンドエフェクタの内部コネクタ、クリップ支柱の内部コネクタ接合面、および閉塞クリップをエンドエフェクタに取り外し可能に固定するロックのロック部の例示的な代替実施形態を示している。
【
図9】
図7に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分断面図であり、ジョーが開状態にあり、閉塞クリップの支柱が開いていて先端が互いから離れている状態を示している。
【
図10】
図7に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分断面図であり、ジョーが開状態にあり、閉塞クリップの支柱が開いていて先端が互いに向けられている状態を示している。
【
図11】
図7に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分斜視図である。
【
図12】ジョーが閉状態にあるU字継ぎ手およびジョーを有するエンドエフェクタ、およびジョーから離間している閉塞クリップの例示的な実施形態の部分斜視図であり、クリップの支柱のみを示している。
【
図13】
図12に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分斜視図であり、閉塞クリップが第1の中間状態においてジョーに部分的に設置されている状態を示している。
【
図14】
図12に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分斜視図であり、閉塞クリップが第2の中間状態においてジョーにさらに部分的に設置されている状態を示している。
【
図15】
図12に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分斜視図であり、閉塞クリップがジョーに取り外し可能に設置されている状態を示している。
【
図16】
図15に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分斜視図および部分透過図である。
【
図17】
図16に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分拡大斜視図および部分透過図であり、下側が見えるように回転された状態を示している。
【
図18】ジョーが閉状態にあるU字継ぎ手およびジョーを有するエンドエフェクタ、ならびにジョーから離間している閉塞クリップの例示的な実施形態の部分断面図であり、クリップの支柱のみを示している。
【
図19】
図18に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分断面図であり、閉塞クリップが中間状態においてジョーに部分的に設定されている状態を示している。
【
図20】
図18に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分断面図であり、閉塞クリップがジョーに取り外し可能されている状態を示している。
【
図21】
図20に示すエンドエフェクタおよび閉塞クリップの部分斜視図である。
【
図22】
図3に示すエンドエフェクタの部分斜視図である。
【
図24】
図22に示すエンドエフェクタおよびクリップの部分斜視図であり、クリップの開状態でLAAに隣接している状態を示している。
【
図25】
図22に示すエンドエフェクタおよびクリップの部分斜視図であり、クリップの開状態でLAAを取り囲んでいる状態を示している。
【
図26】
図22に示すエンドエフェクタおよびクリップの部分斜視図であり、クリップの閉状態でLAAを取り囲んでいる状態を示している。
【
図27】
図22に示すエンドエフェクタおよびクリップの部分斜視図であり、LAAを取り囲むクリップの設置状態でクリップが部分的に展開されている状態を示している。
【
図28】
図22に示すエンドエフェクタおよびクリップの部分斜視図であり、LAAを取り囲むクリップの設置状態でクリップが展開されている状態を示している。
【
図29】
図3に示す装置のエンドエフェクタの部分断面図および部分透過図であり、ジョーの閉状態を示している。
【
図30】
図3に示す装置のエンドエフェクタの部分断面図および部分透過図であり、ジョーの開状態を示している。
【
図31】
図3に示す装置のエンドエフェクタの部分断面図および部分透過図であり、ジョーの閉状態を示している。
【
図32】
図3に示す装置のエンドエフェクタの部分断面図および部分透過図であり、ジョーの中間開状態を示している。
【
図33】
図3に示す装置のエンドエフェクタの部分断面図および部分透過図であり、ジョーの開状態を示している。
【
図34】代表的なLAAに植え込まれた
図3に示すクリップ、およびクリップに隣接する
図3に示す装置の部分斜視図であり、クリップの第1の支柱の外側の第1の内部コネクタ、およびクリップの第2の支柱内に僅かにある第2の内部コネクタを示している。
【
図35】
図34に示すクリップおよび装置の部分斜視図であり、クリップの第2の支柱内に僅かにある第2の内部コネクタ、およびクリップの第1の支柱の入口に向けて第1の内部コネクタを移動させるように回転されたU字継ぎ手を示している。
【
図36】LAAに植え込まれた
図3に示すクリップ、ならびにクリップの第1の支柱に内に僅かにある第1の内部コネクタ、およびクリップの第2の支柱内に僅かにある第2の内部コネクタを有する
図3に示す装置の部分斜視図である。
【
図37】LAAに植え込まれた
図3に示すクリップ、ならびにクリップのそれぞれの支柱内に部分的にある第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタを有する
図3に示す装置の部分斜視図である。
【
図38】LAAに植え込まれた
図3に示すクリップ、ならびにクリップのそれぞれの支柱内にロックされた第1の内部コネクタおよび第2の内部コネクタを有する
図3に示す装置の部分斜視図である。
【
図39】
図3に示すエンドエフェクタおよびクリップの一部の部分斜視図であり、クリップの部分的な開状態を示している。
【
図40】
図3に示すエンドエフェクタおよびクリップの一部の部分斜視図であり、クリップの開状態を示している。
【
図41】閉状態または定常状態の配向にある、別の左心耳外科用植え込みクリップの例示的な実施形態の上方からの斜視図である。
【
図42】
図41に示すクリップの縦方向垂直断面の斜視図であり、上部および下部バイアス装置を通して、および第1のクリップ支柱を通して、クリップ留置装置の一部を受容するための第1のクリップ支柱の内部中空管を示している。
【
図43】
図41に示すクリップの第2のクリップ支柱の縦方向垂直断面の斜視図であり、上部および下部バイアス装置を通して、および第2のクリップ支柱を通して、クリップ留置装置の一部を受容するための第2のクリップ支柱の内部中空管を示している。
【
図49】
図41に示すクリップの近位端の下側からの斜視図である。
【
図50】
図41に示すクリップの第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱の中間部の外側の下側からの部分斜視図であり、上部および下部バイアス装置を取り除いて第1のクリップ支柱の外側を下方から見た図である。
【
図51】
図41に示すクリップの第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱の中間部の近位端の上方からの部分斜視図であり、上部バイアス装置を取り除いて第2のクリップ支柱の外側を上方から見た図である。
【
図52】
図41に示すクリップの第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱の中間部の近位端の上方からの部分斜視図であり、上部および下部バイアス装置を取り除いて第2のクリップ支柱の外側を上方から見た図である。
【
図53】閉状態または定常状態の配向にある、別の左心耳外科用植え込みクリップの例示的な実施形態の斜視図であり、第2のクリップ支柱に隣接する側を示す上部および下部バイアス装置の中心線を通る上部および下部バイアス装置の断面と、第2のクリップ支柱から離れて外向きに模式的に付勢された上部および下部バイアス装置とを示している。
【
図54】
図53に示すクリップの遠位端の立面図であり、第1のクリップ支柱に隣接する側を示す上部および下部バイアス装置の中心線を通る上部および下部バイアス装置の断面と、第1のクリップ支柱から離れて外向きに模式的に付勢された上部および下部バイアス装置とを示している。
【
図55】
図53に示すクリップの近位端の立面図であり、第2のクリップ支柱に隣接する側を示す上部および下部バイアス装置の中心線を通る上部および下部バイアス装置の断面と、第2のクリップ支柱から離れて外向きに模式的に付勢された上部および下部バイアス装置とを示している。
【
図56】
図53に示すクリップの遠位部の部分斜視図であり、第1のクリップ支柱に隣接する側を示す上部および下部バイアス装置の中心線を通る上部および下部バイアス装置の断面と、第1のクリップ支柱から離れて外向きに模式的に付勢された上部および下部バイアス装置とを示している。
【
図57】
図53に示すクリップの縦方向垂直断面の斜視図であり、上部および下部バイアス装置を通して、および第1のクリップ支柱を通して、クリップ留置装置の一部、上部および下部バイアス装置の一部、ならびに中空部分として示す第1のクリップ支柱を受容するための第1のクリップ支柱の内部中空管を示している。
【
図60】
図53に示すクリップの第1のクリップ支柱の外側の下方からの斜視図であり、上部バイアス装置を取り除いて、第2のクリップ支柱に隣接する側を示す下部バイアス装置の中心線を通る下部バイアス装置の断面と、第2のクリップ支柱から離れて外向きに模式的に付勢された下部バイアス装置とを示している。
【
図61】
図53に示すクリップの第1のクリップ支柱の外側の側面図であり、第1のクリップ支柱に隣接する側を示す上部および下部バイアス装置の中心線を通る上部および下部バイアス装置の断面と、第1のクリップ支柱から離れて外向きに模式的に付勢された上部および下部バイアス装置とを示している。
【
図62】
図53に示すクリップの近位端の上方からの斜視図であり、第2のクリップ支柱に隣接する側を示す上部および下部バイアス装置の中心線を通る上部および下部バイアス装置の断面と、第2のクリップ支柱から離れて外向きに模式的に付勢された上部および下部バイアス装置とを示している。
【
図63】
図53に示す第1のクリップ支柱の遠位端の外側の上方からの斜視図であり、クリップ留置装置のそれぞれの部分を受容するための第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱の内部中空管を示すクリップの縦方向水平断面と、第1のクリップ支柱に隣接する側を示す下部バイアス装置の中心線を通る下部バイアス装置の断面と、第1のクリップ支柱から離れて外向きに模式的に付勢された下部バイアス装置とを示しており、ここで、第1のクリップ支柱は、部分的に中空断面となっている。
【
図64】
図53に示す第2のクリップ支柱の近位端の外側の上方からの斜視図であり、第1のクリップ支柱に隣接する側を示す上部および下部バイアス装置の中心線を通る上部および下部バイアス装置の断面と、第1のクリップ支柱から離れて外向きに模式的に付勢された上部および下部バイアス装置を示している。
【
図65】
図53に示す第2のクリップ支柱の遠位端の外側の上方からの斜視図であり、第2のクリップ支柱の縦方向垂直および中空断面と、第1のクリップ支柱に隣接する側を示す上部および下部バイアス装置の中心線を通る上部および下部バイアス装置の断面と、第1のクリップ支柱から離れて外向きに模式的に付勢された上部および下部バイアス装置を示している。
【
図66】
図53に示すクリップの上方からの部分斜視図であり、クリップの近位端に取り外し可能に取り付けられたクリップ接触端を開閉する留置装置の遠位端の例示的な実施形態の上方からの図であり、植え込まれる準備ができているクリップの完全閉状態を示している。
【
図67】
図66に示すクリップおよび留置装置の斜視図であり、第1の中間クリップ開状態で、クリップの近位端が互いから離れている状態を示している。
【
図68】
図66に示すクリップおよび留置装置の斜視図であり、第2の中間クリップ開状態で、第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱を互いに実質的に平行に配置するように、クリップの近位端および遠位端が互いから離れている状態を示している。
【
図69】
図66に示すクリップおよび留置装置の斜視図であり、クリップの完全開状態で、第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱の遠位端を第1のクリップ支柱および第2のクリップ支柱の近位端よりも互いにさらに離れて配置するように、クリップの近位端および遠位端が互いから離れている状態を示している。
【
図70】
図53に示すクリップの近位端の立面図であり、第1のクリップ支柱に隣接する側を示す上部および下部バイアス装置の中心線を通る上部および下部バイアス装置の縦方向垂直断面を示している。
【
図72】留置装置とLAA隔離クリップとの間のロック構成の例示的な実施形態の模式的な断面図であり、留置装置におけるクリップのロック状態を示している。
【
図73】
図72に示す構成の模式的な断面図であり、クリップが留置装置から取り除かれる前の、留置装置におけるクリップのロック解除状態を示している。
【
図74】
図72に示す構成の模式的な断面図であり、クリップが留置装置から取り除かれた後の、留置装置におけるクリップのロック解除状態を示している。
【
図75】隔離クリップのためのバイアス装置の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図75A】
図75に示すバイアス装置の斜視図であり、曲げられる前の状態を示している。
【
図76】隔離クリップのためのバイアス装置の別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図76A】
図76に示すバイアス装置の斜視図であり、曲げられる前の状態を示している。
【
図77】クリップ留置装置の別の例示的な実施形態の側面図であり、ジョーが閉状態にあるU字継ぎ手およびジョーを有するエンドエフェクタ、シャフト、ならびにジョートリガー、ロック解除ボタンおよびシャフト回転ホイールを有するハンドルを示している。
【
図78】
図77に示すクリップ留置装置の側面図であり、エンドエフェクタのジョーに設置された閉塞クリップを示している。
【
図79】
図77に示すクリップ留置装置のシャフトおよびエンドエフェクタの遠位部の部分拡大側面図である。
【
図80】
図77に示すクリップ留置装置のシャフトおよびエンドエフェクタの遠位部の部分拡大側面図であり、エンドエフェクタのジョーおよびロック制御部を明確にするために、対向するU字継ぎ手を半分取り除いた状態で当該部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
必要に応じて、本発明のシステム、装置および方法の詳細な実施形態が本明細書に記載される。しかしながら、記載される実施形態は、様々な形態で包含され得る例示的なシステム、装置および方法に過ぎないことに留意されたい。そのため、本明細書に記載される特定の構造的および機能的な詳細は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、特許請求の範囲の基礎として解釈されるべきであり、実質的に詳細な構造においてシステム、装置および方法に様々に採用されることを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。さらに、本明細書で使用される用語および表現は、限定を意図するものではなく、本発明のシステム、装置および方法を理解できるような説明を提供することを意図している。本明細書は、新規とみなされるシステム、装置および方法の特徴を定義する特許請求の範囲で締めくくられる。ただし、本発明のシステム、装置および方法は、同様の参照符号を示す添付の図面を参照して以下の説明を考慮することで、よりよく理解されると考えられる。
【0052】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成し、実現可能な実施形態を示す添付の図面が参照される。他の実施形態が利用されてもよく、特許請求の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な変更が行われてもよいことに留意されたい。そのため、以下の詳細な説明は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、その実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその等価物によって定義される。
【0053】
また、代替実施形態が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく実現されてもよい。また、本発明のシステム、装置および方法に関連する詳細が不明確にならないように、本発明のシステム、装置および方法の例示的な実施形態の既知の要素は、詳細には説明されないか、その説明自体を省略する。
【0054】
本発明のシステム、装置および方法を記載および説明する前に、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明するためにのみ使用され、限定的なものではないことに留意されたい。「備える(comprises、comprising)」またはその他の変化形は、要素のリストを備えるプロセス、方法、成形品または装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に記載されていないその他の要素、またはそのようなプロセス、方法、成形品または装置に固有のその他の要素を、非排他的に包含できることを意図している。「~を備える(comprises …a)」の前に記載された要素は、さらなる制約なしに、その要素を構成するプロセス、方法、成形品または装置において追加的に同一の要素が存在することを排除するものではない。本明細書において使用される「含む(including)」および/または「有する(having)」という用語は、備える(すなわちオープンランゲージ)として定義される。本明細書において使用される不定冠詞(a、an)は、1つまたは複数として定義される。本明細書において使用される「複数(plurality)」という用語は、2つ以上として定義される。本明細書において使用される「別の(another)」という用語は、少なくとも2つ以上として定義される。本明細書は、「実施形態(embodiment、embodiments)」という用語を、1つの実施形態、複数の同様の実施形態、または複数の異なる実施形態として使用する場合がある。
【0055】
「結合(coupled)」および「接続(connected)」という用語ならびにそれらの派生用語が使用される場合がある。これらの用語は、互いに同義語として意図されていないことに留意されたい。むしろ、特定の実施形態において、「接続」は、2つ以上の要素が互いに物理的または電気的に直接接触していることを示すために使用される場合がある。「結合」は、2つ以上の要素が物理的または電気的に直接接触(例えば直接結合)していることを意味する場合もある。ただし、「結合」は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、互いに協働または相互作用(例えば間接的な結合)することを意味する場合がある。
【0056】
本説明の目的のために、「A/B」の形態の表現、または「Aおよび/またはB」の形態の表現、または「AおよびBの少なくとも一方」の形態の表現は、(A)、(B)、または(AおよびB)を意味する。ここで、AおよびBは、特定の物体または属性を示す不定要素である。使用される場合、この表現は、「および/または」という表現に類似する、AまたはB、またはAとBの両方を選択することを意図することをここに定義する。このような表現の中に2つ以上の不定要素が存在する場合、この表現は、不定要素のうちの1つだけ、不定要素のうちのいずれか1つ、不定要素のいずれかの組み合わせ、およびすべての不定要素を含むものとしてここに定義する。例えば、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」の形態の表現は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、BおよびC)を意味する。
【0057】
第1および第2、上部および下部などの関係性を有する用語は、ある物(entity)または行動と別の物または別の行動とを区別するためにのみ使用される場合がある。この場合、そのような物の間または行動の間の実際の関係または順序を必ずしも必要としたり示したりするものではない。本明細書は、上/下、後ろ/前、上部/下部、および近位/遠位のような、視点に基づく説明が使用される場合がある。このような説明は、単に説明を容易にするために使用され、記載された実施形態への適用を制限することを意図していない。実施形態の理解に役立つように、様々な動作が、複数の個別の動作として順番に記載される場合がある。しかしながら、説明の順番は、これらの動作がこの順序に依存することを意味すると解釈されるべきではない。
【0058】
本明細書において使用される「約(about)」や「略(approximately)」という用語は、明示的に記載されているか否かにかかわらず、すべての数値に適用される。これらの用語は、当業者であれば、一般的に引用された値と同等(すなわち同じ機能または結果を有する)であると想定できる数値の範囲を指す。多くの場合、これらの用語には、最も近い有効数に四捨五入された数値が含まれる。本明細書において使用される「実質的(substantial、substantially)」という用語は、様々な部分を互いに比較したときに、その比較された部分が、当業者であれば同じと想定できる寸法に等しいか、または十分に近いものであることを意味する。本明細書において使用される「実質的」は、単一の寸法に限定されるものではなく、具体的には、比較される部分の値の範囲を含む。値の上下の範囲(例えば「+/-」または以上/未満またはより大きい/より小さい)は、当業者であれば、記載された部分に対する許容可能な公差内であることが分かるような変動を含む。
【0059】
本明細書において、本発明のシステム、装置および方法の様々な実施形態が記載される。様々な実施形態の多くでは、特徴が類似している。そのため、冗長な説明を避けるために、これらの類似した特徴は一部でその説明を省略する。しかしながら、初めて現れた特徴の記載が、繰り返し記載されることなく、後に記載された類似の特徴にも適用されて、そこに組み込まれることに留意されたい。
【0060】
以下、例示的な実施形態を示す。まず、特に
図2~
図10を参照すると、クリップ留置装置1600の第1の例示的な実施形態の遠位部、および外部から植え込み可能且つばね付勢される左心耳隔離クリップ1500が示されている。
【0061】
図1に示す心臓10の前面像は、LAA20がどのように左心房12の外面14から離れて突出および当接してフラップを形成するかを示している。多くの場合、外面14に対するLAA20によって形成されたこのフラップは緩んでおり、外科医は、鋭利でないキットナー解剖器具を使用してLAA20を移動させてLAAを直立させることで、基部22におけるLAAの交差を可能にする。このような位置において、隔離クリップ1500の内部(例えば
図9では1572)は、LAA20の最も外側の地点に配置され、隔離クリップ1500が下方に下がってLAA20のすべての側部を取り囲む。これにより、外科医は、左心房12に対向するLAA20の側面24の基部において、左心房12または心膜の外面14に対向するLAA20の2つの側面に対して、クリップ1500の取り除かれるLAA側(例えば
図9の1511,1521)を配置することができる。このような場合、LAA20のフラップは、1つまたは複数の領域に固定されるため、外科医が左心房12の外面14からLAA20を離すように移動させることができない。より具体的には、LAA20の右側基部(
図1の左側)は、外科医が移動させることができるように開放されているが、反対側の左側基部(
図1の右側)は、LAA20の左側によって覆われている(LAA20が他の方向に成長した場合は、逆になる)。癒着が存在する場合には、LAA20をまだ十分に移動させて、LAA20と左心房12の外面14との間にロッド状の装置を挿入し、LAAの下方(前方から後方)にLAA20の基部22の左側に沿って(肺動脈に隣接する)LAA20の反対側まで通過させることができると考えられる。これは、LAA隔離クリップが、クリップの遠位端において閉じられたループを有する場合、外科医は、その特定のクリップを使用するために、LAAの左側を心臓の表面から物理的に分離する必要があることを意味する。この分離は、多くの問題を引き起こす。そのうちの1つは、致命的な結果をもたらすLAAの亀裂を引き起こす可能性があることである。そのため、このような場合、クリップ1500などの開放遠位端を有する隔離クリップを使用してLAA20にアプローチすることが望ましい。開放端式の隔離クリップによって、外科医は、左心房12の外面14からLAA20の癒着部分を引き剥がすことなく、LAA20の左側と左心房12との間にクリップの支柱の一方を差し込むことができる。
【0062】
LAA隔離クリップ(例えばクリップ1500)の望ましい特徴は、クリップの植え込み処置中であっても、クリップが植え込まれて一定期間LAA20上に存在した後であっても、植え込まれたクリップを容易に再捕捉することができることである。再捕捉は、多くの理由から望ましい。再捕捉が必要な理由の1つは、LAA隔離クリップが理想的でない方法で植え込まれた後に起きる。このような状況において、植え込み後の最終画像は、クリップの望ましくない配置を示し、その配置は、留置装置がクリップに接続されたまま(すなわち、クリップが設置されたが留置装置から展開されていないとき)見ることができない場合がある。クリップを植え込むためには、展開に有利な位置まで心臓を外科医が手動で移動させる必要がある。このような場合、留置装置は、心臓が正常な位置に戻ることを妨げるため、クリップを最終的な配置配向に配置するための画像化に支障をきたす可能性がある。また、留置装置には、解剖学的構造を変化させるような外力が作用している場合があり、良好な配置を積極的に確認することができない。留置装置が解剖学的構造の視認性を妨げて外科医がそれを完全に見ることができない場合、実際の配置を見るには、留置装置からクリップを解放するしかない。再捕捉が可能であれば、再接続によって、望ましい植え込み位置が得られるまで画像化と再捕捉を繰り返すことができる。クリップを最終的に配置した後に再捕捉できない場合、外科医が植え込みに不満足であれば、2つ目のクリップを使用して手術結果を改善する必要がある場合があり、または、正常でない位置に配置されたクリップを、クリップの切断や目的外の器具でクリップを把持するなどの手動な手段で取り除く必要がある場合がある。いずれの場合も、患者が怪我を負うリスクが非常に高くなる。複数のクリップを植え込むのは望ましくないため、再捕捉は、複数回のクリップ植え込みの必要性を最小限に抑えることができる。植え込まれたクリップの状況が2つ目のクリップを植え込んでも改善されない場合、1つ目のクリップをLAAから外科的に切断する必要がある場合がある。このような切断は、心房に穴を開ける可能性があり、重大な致命的な結果をもたらす可能性があるため、避けるべきである。つまり、LAAを最適に除去するには、外科医は、植え込まれたクリップの画像化、不適切に植え込まれたクリップのクリップ解除、クリップの再配置、再配置された植え込みクリップの画像化を繰り返し行うことができる必要がある。
【0063】
望ましくは、外科医は、満足のいく配置が得られるまで、所望に応じて、クリップ解除、再配置および植え込みステップを繰り返すことができる。
【0064】
クリップ1500の例示的な実施形態は、例えば10mm(30フレンチ)の所与の直径の内腔を有する胸腔鏡ポート内に嵌合する大きさにすることができる。クリップ1500は、互いに対向するクリップ支柱1510,1520を有する。これらの支柱1510,1520は、LAAの圧縮側部1511,1521を互いに対して付勢するように、
図2および
図4~
図21に図示しないばねなどのバイアス装置によって付勢されている。クリップ1500の他の特徴は、簡潔さのために省略する。支柱1510,1520の近位端の各々は、内部コネクタ接合面1512,1522を有する。これらの内部コネクタ接合面1512,1522は、入口1514,1524を有する。入口1514,1524には、留置装置1600のそれぞれの内部コネクタ1610,1620が挿入される。少なくとも1つの内部コネクタ接合面1512,1522は、ロックオリフィス1516,1526をそれぞれ有する。ロックオリフィス1516,1526には、内部コネクタ1610,1620のそれぞれのコネクタロック1614,1624が挿入される。コネクタ接合面1512,1522の両方は、例示的な実施形態に示すように、ロックオリフィス1516,1526を有することができる。
【0065】
留置装置1600は、クリップ1500をLAA20に留置するために使用される。
図3は、留置装置1600の例示的な実施形態をピストルグリップ構成で示す。留置装置1600は、エンドエフェクタ1601と、シャフト1609と、ハンドル部2000と、を有する。留置装置1600は、ハンドル部2000において、(例えば、クリップロックプルケーブルを介して作動する)ロック/ロック解除制御部2010を有する。作動した際には、ロック/ロック解除制御部2010は、クリップ支柱1510,1520におけるロック1614,1624を解放する力を(例えばクリップロックプルケーブルに)加える。これにより、クリップ1500が留置装置1600から離れて植え込まれる。クリップ1500を再捕捉するために、留置装置1600は、再捕捉位置に移動され、第1の内部コネクタ1610および第2の内部コネクタ1620(例えば
図4および
図5参照)は、クリップ支柱1510,1520の第1のコネクタ接合面1512および第2のコネクタ接合面1522にそれぞれ挿入される。本明細書に記載する例示的な実施形態において、ロック制御部(例えばロック解放ケーブル1610,1620およびロック/ロック解除制御部2010)は、再捕捉中に自動的にロックすることができ、または、ロックは、コネクタ接合面1512,1522内にコネクタ1610,1620をロックするために手動で移動することができる。
【0066】
図4~
図11は、支柱1510,1520のために選択可能なロック機構の第1の例示的な実施形態を示す。外径を最小にして、より良好なポートの互換性を提供するために(例えば約10mm/30Frまたはさらに小さい内径に対応するために)、クリップ支柱1510,1520の解放が、支柱1510,1520に対する留置装置の制御端の「内部」で生じることが望ましい。内部解放構造の一例として、止まり穴の形態で第1の内部コネクタ接合面1512および第2の内部コネクタ接合面1522内からクリップ1500を解放するものが挙げられる。
【0067】
図4~
図21に示す例示的な構成は、支柱1510,1520(したがってLAAクリップ)の留置装置の内部制御の変形例を示す。内部制御によって、クリップ1500を容易に再捕捉および再配置することができる。
【0068】
図4~
図11は、再捕捉を可能にする内部支柱制御機構の第1の例示的な実施形態を示す。
図4から
図7への進行は、支柱1510,1520を備えるクリップ1500の設置および植え込みにおける段階を示す(上記と同様に、図を明確にするためにクリップ1500の支柱1510,1520のみを示す)。
図4は、支柱1510,1520を留置装置1600から最終的に切り離すステップと、支柱1510,1520を留置装置1600に接続するステップと、の両方を示す。
【0069】
すべての実施形態において、留置装置1600は、支柱1510,1520にそれぞれ接続された第1の留置用カム1602および第2の留置用カム1604を備える。第1の留置用カム1602および第2の留置用カム1604は、遠位枢動部1603,1605において、第1の内部コネクタ1610および第2の内部コネクタ1620にそれぞれ枢動可能に接続される。第1の留置用カム1602および第2の留置用カム1604は、対応する第1の近位枢動部1606および第2の近位枢動部1607において、留置用U字継ぎ手1608にそれぞれ枢動可能に接続される。図示しないカム作動コネクタは、留置用カム1602,1604の互いに対する動き(例えば
図10および
図11に示すような開閉)を制御する。有益な特性は、第1の遠位枢動部1603および第2の遠位枢動部1605を用いて生じる。第1の内部コネクタ1610および第2の内部コネクタ1620が小さな角度(例えば0°超~約60°の範囲、特に約20°~約40°の範囲、特に約30°)について自由に枢動できるようにすることで、内部コネクタ1610,1620は、第2の内部コネクタ1620が(より長いので)内部コネクタ接合面(例えば1512,1522)に挿入されたときに、第2の内部コネクタ1620が比較的静止したまま第1の内部コネクタ1610を所望に枢動させることができるように、容易に自己整列を行うことができる。本明細書においてこれを受動的な整列と呼ぶ。内部コネクタ1610,1620の長さについては後述する。
【0070】
U字継ぎ手内の枢動ピンを中心に枢動するジョーの動作に対する例示的な代替実施形態において、例えば、ジョーおよびU字継ぎ手は、枢動のためのライブヒンジを有する単一の構成要素である。別の例示的な実施形態において、円弧状のトラックまたは拘束部が、ジョーが移動する仮想枢動を提供する。さらに、エンドエフェクタは、クリップ支柱の開閉動作を得るために枢動動作を必要としない。ジョーは、トラックや溝などのU字継ぎ手の拘束機能などの非回転ベースの動作によって、クリップ支柱間の中央垂直平面を中心に対称または非対称に移動することができる。トラックや溝は、第2のジョーに対する第1のジョーの動作を直線、曲線、またはその他の非直線の経路に沿って案内する。別の例示的な実施形態において、ジョーおよびU字継ぎ手は、撓みによって接続され得る。これにより、第1のジョーおよび第2のジョーを直線、曲線または他の非直線の経路に沿って移動させることができる。
【0071】
図4から
図7への進行は、支柱1510,1520が第1の内部コネクタ1610および第2の内部コネクタ1620にそれぞれどのように接続されるかを示している。例示的な本実施形態において、支柱1510,1520は、ここでは円筒状の止まり穴の形態を有する内部コネクタ接合面1512,1522をそれぞれ有する。同様に、第1の内部コネクタ1610および第2の内部コネクタ1620は、そこに嵌合するための内部コネクタ接合面1512,1522の各々に対応する外部形状を有する第1のシャフト1612および第2のシャフト1622をそれぞれ有する。ここで、形状は類似しており、円形の断面を有し、先端が丸みを帯びている。しかしながら、2つのシャフト1612,1622の形状は、異なっていてもよく、例えば、一方の断面が円形であり、他方の断面が多角形であってもよい。シャフト1612,1622を単に内部コネクタ接合面1512,1522に挿入した場合、支柱1510,1520が滑り落ちる可能性がある。支柱1510,1520をそれぞれのシャフト1612,1622に保持するために、内部コネクタ1610,1620の少なくとも一方にコネクタロック1614,1624が設けられるか、または内部コネクタ1610,1620の両方にコネクタロック1614,1624が設けられる。
図4~
図10に示す例示的な実施形態において、コネクタロック1614,1624は、三角形の形状を有する。この三角形は、「ワンウェイ」キャッチとして機能する変形可能なケーブル(例えばニチノールまたは別のNiTi合金ワイヤ)から形成される。キャッチは、内部コネクタ1610,1620を内部コネクタ接合面1512,1522に容易に挿入することができ(キャッチは、挿入を妨げないように曲がる)、所与の量の力が克服されるまで内部コネクタ接合面1512,1522から内部コネクタ1610,1620が取り除かれることに抵抗するので、ワンウェイ(一方向)であるとみなされる。より具体的には、
図4から
図7への進行について、クリップを留置装置1600上に取り外し可能に捕捉するために、シャフト1612,1622は、内部コネクタ接合面1512,1522にそれぞれ挿入される。
図5では、内部コネクタ1610,1620は、第1の中間挿入位置にある。ここで、遠位端支柱1622は、第2の内部コネクタ接合面1522の第2の入口1524に対して第2のコネクタロック1624の三角形部分に接触するのに十分なほど、第2の内部コネクタ接合面1522内にある。第2の入口1524(および第1の入口1514)の望ましい例示的な形状は、入口1524に最初に接触する第2のコネクタロック1624の三角形部分に対応する円錐角(例えば鋭角)を有する円錐形である。入口1524の円錐形状は、ユーザがシャフト1612,1622を内部コネクタ接合面1512,1522に挿入することを可能にし、シャフト1612,1622の中心軸が内部コネクタ接合面1512,1522の中心軸と僅かにずれていてもシャフト1612,1622をそこに入ることができるため、望ましい。コネクタロック1614,1624をロック解除するために、その近位端に第1のロック解放ケーブル1616および第2のロック解放ケーブル1618(例えば
図22参照)がそれぞれ接続され、第1のロック解放ケーブル1616および第2のロック解放ケーブル1618の近位端に加えられる力によって、コネクタロック1614,1624の三角形部分を変形させて折り畳み、これにより、ロックオリフィス1516,1526からキャッチを取り除くことができる。ロック解放ケーブル1616,1618およびロック/ロック解除制御部2010は、共にロック制御部を形成する。
図22に示すように、第1のロック解放ケーブル1616および第2のロック解放ケーブル1618は、留置装置1600であるエンドエフェクタの縦軸の反対側からアプローチする。第1のロック解放ケーブル1616および第2のロック解放ケーブル1618の交差によって、相対的に平行な配向で中心軸に向かう留置用カム1602,1604の付勢が維持され、少なくとも小さな交差角度で、第1のロック解放ケーブル1616および第2のロック解放ケーブル1618は、エンドエフェクタのジョーが閉じるようにジョーを付勢する。
【0072】
内部コネクタ接合面1512,1522の各々は、ロックオリフィス1516,1526を有する。シャフト1612,1622が内部コネクタ接合面1512,1522にさらに挿入されると、第2のコネクタロック1624は、第2の内部コネクタ接合面1522内で(
図6に示すように)変形する(例えばNiTiワイヤを折り畳むように変形する)。次いで、内部コネクタ1610,1620のさらなる挿入により、第1のコネクタロック1614が第1の内部コネクタ接合面1512内で変形する。
図7および
図8に示すように、内部コネクタ1610,1620が内部コネクタ接合面1512,1522内の最終挿入位置にあるときに、2つのコネクタロック1614,1624は、縦方向に配置されて拡大して、それぞれのロックオリフィス1516,1526に嵌め込まれる。コネクタロック1614,1624の変形性は、留置装置1600から支柱1510,1520が取り除かれたことを外科医が(例えば戦術的に)感じ取ることができるように設定されるが、植え込み中に支柱1510,1520の対向する組織接触面の間で圧縮される組織上で支柱1510,1520を大きく移動させるほど強くない。また、支柱1510,1520を留置装置1600にロックする理由として、(例えば
図9および
図10に示すように)支柱1510,1520を互いから離して拡張させる力によって、支柱1510,1520が内部コネクタ1610,1620から強制的に飛び出してしまう、留置装置1600の「スイカの種蒔き(watermelon seeding)」という現象が起こりやすくなることが挙げられる。留置装置1600と支柱1510,1520との間に自己ロック式の接続を有することの重要な利点の1つとして、クリップを留置装置1600にロックするために、ユーザが留置装置の近位端でなにかを作動させる(例えば、トリガーを引く、スライドを滑らせるなど)必要がないことが挙げられる。これは、再植え込みのための再捕捉時に特に有益である。コネクタロック1614,1624のランプ構成によって、支柱1510,1520を再ロックするためのユーザ入力の必要がない。言い換えれば、内部コネクタ1610,1620を支柱1510,1520内に滑り込ませるだけで、支柱1510,1520を留置装置上に自動的にロックすることができる。
【0073】
留置装置1600および支柱1510,1520(例えば
図4~
図10)の例示的な構成が示すように、内部コネクタ1610,1620は、異なる長さを有する。内部コネクタ1610,1620の両方が同じ長さを有する場合、操作者/外科医が、内部コネクタ1610,1620の各々が内部コネクタ接合面1512,1522に入るのを視認することは困難である。これは、視認性が二次元であり、内部コネクタ1610,1620の一方が他方を物理的に塞いでいる場合に特に該当する。ピンを1つずつ挿入するよりも、ピンを2つ同時に調整してそれぞれの穴に挿入することの方が困難である。これに対し、例示的な構成のように内部コネクタ1610,1620が異なる長さを有する場合、操作者は、長い方の内部コネクタ1620を、短い方の内部コネクタ1610よりもさらに視認できる位置に配置することができる。その結果、操作者が内部コネクタ1610,1620を内部コネクタ接合面1512,1522に移動させると、長い方のコネクタが対応する内部コネクタ接合面に入ることを視認することができ、その後、短い方のコネクタがその内部コネクタ接合面に入るのを障害もなく見ることができる。言い換えれば、操作者は、一方の内部コネクタ1620を対応する内部コネクタ接合面1522に並べて少し挿入することで、他方の内部コネクタ1610を容易に整列させて対応する内部コネクタ接合面1512に挿入することができる。ロック解放ケーブル1616,1618による内部コネクタ1610,1620および留置用カム1602,1604の平行方向の付勢によって、第2の内部コネクタ1620の整列を容易にするためにコネクタ1610,1620がほぼ正しい位置に配置される。また、第2のコネクタ1620が部分的に係合することによって(例えば
図5参照)、第1のコネクタ1610が内部コネクタ接合面1512と容易に整列されるように配置される。クリップ1500が組織に植え込まれると、支柱1510,1520の間の間隔とそれらがなす角度は、それらの間の組織によって決定される。これにより、相対的な角度が可変となり、コネクタ1610,1620およびカム1602,1604の角度と相対的な間隔を非常に軽い力で変更することができる。このようにして、コネクタ1610,1620およびカム1602,1604は、植え込まれたクリップ1500に合わせて移動することができ、コネクタ1610,1620は、可能な限り低い力で支柱1510,1520に合わせるように「フリーフローティング」となる。このコネクタ1610,1620とカム1602,1604のフリーフローティングの側面については後述する。そのため、図に示すように、第1の内部コネクタ1610は、第1のシャフト1612および第1のコネクタロック1614を備える組立体である。同様に、第2の内部コネクタ1620は、第2のシャフト1622および第2のコネクタロック1624を備える組立体である。
【0074】
図8Aは、内部コネクタ接合面1512,1522と内部コネクタ1610,1620との間の相互作用に関する別の例示的な実施形態を示す。第1の内部コネクタ1610および第2の内部コネクタ1620の異なる長さに(
図4~
図8と同様に)対応して異なる長さを有する内部コネクタ接合面1512,1522では、第1の内部コネクタ1610および第2の内部コネクタ1620は、
図4~
図8に示す1つの向きでのみ支柱1510,1520と係合することができる。第2の内部コネクタ接合面1522の第2のロックオリフィス1526を第1の内部コネクタ接合面1512の第1のロックオリフィス1516と同じ縦方向の位置に移動させ、第1の内部コネクタ接合面1512の(止まり)穴の距離を
図8Aに示すように少なくとも第2の内部コネクタ1620の長い方の第2のシャフト1622の長さに増加させることで、留置装置1600は、いずれかの向きで内部コネクタ1610,1620を挿入することができる(例えば左側からのアプローチまたは右側からのアプローチ)。
【0075】
図12~
図17は、再捕捉を可能にする内部支柱制御機構の第2の例示的な実施形態を示す。この機構のすべての側面は、
図4~
図11を参照して説明したものと同様であるため、その一部についてはここでは繰り返さない。しかしながら、そのすべての側面がここに組み込まれることに留意されたい。
図12から
図14への進行は、支柱1510,1520を備えるクリップの設置(
図12~
図14)および展開(
図14~
図12)における段階を示す(図を明確にするためにクリップの支柱1510,1520のみを示し、ここで説明するおよび/またはここに示すすべてのクリップは、これらの支柱1510,1520を有するクリップに適用可能である)。
図12は、留置装置1600から支柱1510,1520を最終的に切り離すステップと、支柱1510,1520を留置装置1600に接続するステップと、を示す。
図12から
図15への進行は、支柱1510,1520が第1の内部コネクタ1710および第2の内部コネクタ1720にそれぞれどのように接続され、第1の内部コネクタ接合面1532および第2の内部コネクタ接合面1542に挿どのように挿入されるかを示している。異なる参照符号を用いて示すように、第1の内部コネクタ1710および第2の内部コネクタ1720は、第1の内部コネクタ1610および第2の内部コネクタ1620とは異なり、第1の内部コネクタ接合面1532および第2の内部コネクタ接合面1542は、第1の内部コネクタ接合面1512および第2の内部コネクタ接合面1522とは異なる。
【0076】
図12~
図17に示す例示的な実施形態において、第1の内部コネクタ接合面1532および第2の内部コネクタ接合面1542は、互いに異なっている。第2の内部コネクタ接合面1542は、円筒状の止まり穴の形態を有する。そのため、第2の内部コネクタ接合面1542は、第2の内部コネクタ1720が挿入されるガイドを形成する。完全に挿入されると、第2の内部コネクタ1720は、第2の内部コネクタ接合面1542内で滑動可能に配置される。対照的に、第1の内部コネクタ1710は、ロックプランジャ1714が収容される中空の管状シェル1712と、プランジャ1714の近位端に接続され、第1の留置用カム1602に隣接するおよび/またはその内部の管状シェル1712内の図示しない近位位置に接地されたバイアス装置1716と、を備える組立体である。また、図示しない制御ケーブル(例えばロック解放ケーブル1616,1618)が設けられる。制御ケーブルは、一端がプランジャ1714の近位端に固定され、留置装置1600のハンドル2000(
図3参照)においてロック/ロック解除制御部2010に接続される。作動した際には、ロック/ロック解除制御部2010は、ロック解放ケーブル1616,1618に力を加えて、管状シェル1712内で近位側にプランジャ1714を移動させる。
図12~
図15は、プランジャ1714およびバイアス装置1716が見えるように、管状シェル1712を断面で示す。
【0077】
また、第1の内部コネクタ接合面1532は、様々な部分を有する組立体である。この組立体は、遠位端において支柱1510に接続され且つ留置装置1600に向かうように縦方向且つ近位方向に延在するロック1534を備える。ロック1534は、ロックプランジャ1714の対応するキーホール1715に入ってロックするように形成されたロック面1536を有する。これらの図では、管状シェル1712が断面となっているため、管状シェル1712の開口部1718が部分的に示されている。第1の内部コネクタ1710および第2の内部コネクタ1720の各々は、そこに嵌合するための第1の内部コネクタ接合面1532および第2の内部コネクタ接合面1542のそれぞれの内面に対応する外部形状を有する。ここで、外部形状は類似しており、円形の断面を有し、先端が丸みを帯びている。しかしながら、2つの内部コネクタ1532,1542の形状は、異なっていてもよく、例えば、一方の断面が円形であり、他方の断面が多角形であってもよい。ロック1534は、第1の内部コネクタ1710および第2の内部コネクタ1720が内部コネクタ接合面1532,1542に挿入された後、留置装置1600から支柱1510,1520が滑り落ちることを防止する。
【0078】
図13は、第2の内部コネクタ1720が第2の内部コネクタ接合面1542に挿入され、第1の内部コネクタ1710が第1の内部コネクタ接合面1532にまだ挿入されていない状態を示している。
図14は、第2の内部コネクタ1720が第2の内部コネクタ接合面1542にさらに挿入され、第1の内部コネクタ1710のロックプランジャ1714が第1の内部コネクタ接合面1532の近位部分に挿入された状態を示している。この状態では、ロック面1536は、キーホール1715にまだ挿入されていない。最後に、
図15は、第2の内部コネクタ1720が第2の内部コネクタ接合面1542に挿入され、管状シェル1712が第1の内部コネクタ接合面1532に十分に挿入されて、ロック面1536をロックプランジャ1714のキーホール1715内にロックする、クリップのロック状態を示している。ロック面1536がキーホール1715に挿入された状態で、支柱1510(およびそれに接続された第2の支柱1520)は、留置装置1600に一時的にロックされる。一時的とは、外科医がクリップ1500を植え込むために所望のときにクリップ1500のロックを解除することができることを意味する。
図23は、このロック状態の一例を示す。留置装置1600からクリップ1500をロック解除するために、操作者/外科医は、ハンドル2000におけるロック/ロック解除制御部2010を作動させて、ロックプランジャ1714に近接する力を加える。この力は、ロック1534がロックプランジャ1714に加える力よりも大きい。これにより、ロック1534がロック解除される。この特定の例示的な実施形態において、ロック面1536は、湾曲しているか、角度が付けられており、キーホール1715は、湾曲しているか、角度が付けられている。これにより、ロックプランジャ1714が近位側に強制されたときに、ロック1534が曲がって、キーホール1715からロック面1536が滑り出す。ここに記載するロックの特徴は、単に例示的なものであり、ロック接続部の他の形態も同様に可能である。
【0079】
図18~
図21は、再捕捉を可能にする内部支柱制御機構の第3の例示的な実施形態を示す。この機構のすべての側面は、
図4~
図17を参照して説明したものと同様であるため、その一部についてはここでは繰り返さない。しかしながら、そのすべての側面がここに組み込まれることに留意されたい。
図18から
図20への進行は、支柱1510,1520を備えるクリップの設置および展開/植え込みにおける段階を示す(図を明確にするためにクリップの支柱1510,1520のみを示し、ここで説明するおよび/またはここに示すすべてのクリップは、これらの支柱1510,1520を有するクリップに適用可能である)。他の実施形態と同様に、留置装置1600は、支柱1510,1520にそれぞれ接続された第1の留置用カム1602および第2の留置用カム1604を備える。第1の留置用カム1602および第2の留置用カム1604は、遠位枢動部1603,1605において、第1の内部コネクタ1810および第2の内部コネクタ1720にそれぞれ枢動可能に接続される。第1の留置用カム1602および第2の留置用カム1604は、近位枢動部1806において、留置用U字継ぎ手1608にそれぞれ枢動可能に接続される。図示しないカム作動コネクタは、留置用カム1602,1604の互いに対する動き(例えば
図9および
図10に示すような開閉)を制御する。有益な特性は、第1の遠位枢動部1603および第2の遠位枢動部1605を用いて生じる。第1の内部コネクタ1810および第2の内部コネクタ1720が小さな角度(例えば0°超~約60°の範囲、特に約20°~約40°の範囲、特に約30°)について自由に枢動できるようにすることで、内部コネクタ1810,1720は、第2の内部コネクタ1720が(より長いので)挿入されたときに、第2の内部コネクタ1720が比較的静止したまま第1の内部コネクタ1810を所望に枢動させることができるように、容易に自己整列を行うことができる。
【0080】
図18は、留置装置1600から支柱1510,1520を最終的に切り離すステップと、支柱1510,1520を留置装置1600に接続するステップと、を示す。
図18から
図20への進行は、支柱1510,1520が第1の内部コネクタ1810および第2の内部コネクタ1720にそれぞれどのように接続されるかを示している。異なる参照符号を用いて示すように、第1の内部コネクタ1810は、第1の内部コネクタ1610,1710とは異なり、第1の内部コネクタ接合面1912は、第1の内部コネクタ接合面1512,1532とは異なる。
図18~
図20に示す例示的な実施形態において、第1の内部コネクタ接合面1912および第2の内部コネクタ接合面1542は、互いに異なっている。第2の内部コネクタ接合面1542は、円筒状の止まり穴の形態を有する。そのため、第2の内部コネクタ接合面1542は、第2の内部コネクタ1720が挿入されるガイドを形成する。完全に挿入されると、第2の内部コネクタ1720は、第2の内部コネクタ接合面1542内で滑動可能に配置される。対照的に、第1の内部コネクタ1810は、ロックプランジャ1814が収容される中空の管状シェル1812と、プランジャ1814の近位端に接続され、第1の留置用カム1602に隣接するおよび/またはその内部の管状シェル1812内の図示しない近位位置に接地されたバイアス装置1716と、を備える組立体である。ロックプランジャ1814の近位端にロック制御ケーブル1816が固定される。ロック制御ケーブル1816は、留置装置1600のハンドル2000においてロック/ロック解除制御部2010に接続される。作動した際には、ロック/ロック解除制御部は、ロック制御ケーブル1816に力を加えて、例示的な実施形態ではばねであるバイアス装置1716の力に対抗して、管状シェル1812内で近位側にプランジャ1814を移動させる。
図18~
図20は、プランジャ1814およびバイアス装置1716が見えるように、管状シェル1812を断面で示す。
【0081】
例示的な本実施形態において、支柱1510,1520は、ここでは実質的に円筒状の止まり穴の形態を有する内部コネクタ接合面1912,1542をそれぞれ有する。第1の内部コネクタ1810は、管状シェル1812と、ロックプランジャ1814と、バイアス装置1716と、ロック制御ケーブル1816と、曲げられたケーブルロック1818と、を備える組立体である。第2の内部コネクタ1720は、そこに嵌合するための第2の内部コネクタ接合面1542に対応する外部形状を有する円筒状のシャフトである。ここで、第1の内部コネクタ1810および第2の内部コネクタ1720の外部形状は類似しており、円形の断面を有し、先端が丸みを帯びている。しかしながら、2つのコネクタ1810,1720の形状は異なっていてもよく、例えば、一方の断面が円形であり、他方の断面が多角形であってもよい。
【0082】
第2の内部コネクタ1720を単に第2の内部コネクタ接合面1542に挿入した場合、第2の内部コネクタ1720が滑り落ちる可能性がある。支柱1510,1520を留置用U字継ぎ手1608に保持するために、第1の内部コネクタ1810は、ここでは曲げられたワイヤの例示的な形態を有する曲げられたケーブルロック1818を備える。曲げられたワイヤは、変形可能な材料(例えばニチノールまたは別のNiTi合金)から形成されて、「ワンウェイ」キャッチとして機能する。キャッチは、第1の内部コネクタ1810を第1の内部コネクタ接合面1912に容易に挿入することができ(キャッチは、挿入を妨げないように曲がる)、所与の量の力が克服されるまで第1の内部コネクタ接合面1912から第1の内部コネクタ1810が取り除かれることに抵抗するので、ワンウェイであるとみなされる。より具体的には、
図18から
図20への進行について、クリップを留置装置1600上に取り外し可能に捕捉するために、第1の内部コネクタ1810および第2の内部コネクタ1720は、第1の内部コネクタ接合面1912および第2の内部コネクタ接合面1542に挿入される。
図19では、内部コネクタ1810,1720は、中間挿入位置にある。ここで、管状シェル1812は、ケーブルロック1818を第1の内部コネクタ接合面1912の第1の入口1914の近傍に配置するのに十分なほど、第1の内部コネクタ接合面1922内にある。第1の入口1914および第2の入口1524の望ましい例示的な形状は、円錐形である。入口1914,1524の円錐形状は、ユーザが内部コネクタ1810,1720を内部コネクタ接合面1912,1542に挿入することを可能にし、内部コネクタ接合面1912,1542の中心軸と僅かにずれていても内部コネクタ1810,1720をそこに入ることができるため、望ましい。
【0083】
第1の内部コネクタ接合面1912は、ロックオリフィス1916を有する。管状シェル1812が第1の内部コネクタ接合面1912にさらに挿入されると、曲げられたケーブルロック1818は、(図示しないが)第1の内部コネクタ接合面1912内で変形する(例えばNiTiワイヤを折り畳むように変形する)。内部コネクタ1810,1720のさらなる挿入により、曲げられたケーブルロック1818がロックオリフィス1916と整列し、
図20に示すように、曲げられたケーブルロック1818が内部コネクタ1810,1720の最終挿入位置でロックオリフィス内の変形から跳ね戻る。曲げられたケーブルロック1818の変形性は、留置装置1600から第1の内部コネクタ1810が取り除かれたことを外科医が感じ取ることができるように設定されるが、植え込み中に支柱1510,1520の対向する組織接触面の間で圧縮される組織上で支柱1510,1520を大きく移動させるほど強くない。上述したように、支柱1510,1520を留置装置1600にロックする理由として、留置装置1600からのクリップ1500の「スイカの種蒔き」現象が挙げられる。留置装置1600と支柱1510,1520との間に自己ロック式の接続を有することの重要な利点の1つとして、クリップ1500を留置装置1600にロックするために、ユーザが留置装置の近位端でなにかを作動させる(例えば、トリガーを引く、スライドを滑らせるなど)必要がないことが挙げられる。これは、再植え込みのための再捕捉時に特に有益である。言い換えれば、内部コネクタ1810,1720を支柱1510,1520内に滑り込ませるだけで、支柱1510,1520を留置装置1600上に自動的にロックすることができる。
【0084】
最後に、
図20は、第1の内部コネクタ1810が第1の内部コネクタ接合面1912に挿入され、管状シェル1812が第1の内部コネクタ接合面1912に十分に挿入されて、曲げられたケーブルロック1818をロックオリフィス1916内にロックする、クリップ1500のロック状態を示している。曲げられたケーブルロック1818がロックオリフィス1916に挿入された状態で、第1の支柱1510(およびそれに接続された第2の支柱1520)は、留置装置1600に一時的にロックされる。留置装置1600からクリップ1500をロック解除するために、操作者/外科医は、ハンドル2000におけるロック/ロック解除制御部2010を作動させて、ロック制御ケーブル1816に近接する力を加える。この力は、曲げられたケーブルロック1818がロックオリフィス1916に加える力よりも大きい。これにより、曲げられたケーブルロック1818がロック解除される。ここに記載するロックの特徴は、単に例示的なものであり、ロック接続部の他の形態も同様に可能である。
【0085】
上記において、クリップを留置装置にロックするための様々な例示的な実施形態を説明した。代替実施形態は、
図72~
図74に示す構成を含む。例示的な本実施形態において、少なくとも1つの内部コネクタ7200は、クリップ支柱(例えば1510,1520)のロックと係合する逆刺(barb)の機能を有する。この状態を、
図72において模式的に示す。図示しないジョー制御部が、第1および第2の内部コネクタ7200に最小の予圧開放力でジョーに接続され、ロック7210の逆刺機能に係合する。ロック内逆刺式(barb-in-lock)の係合は、適切なクリップ配置が得られるまで、クリップの解放を実質的に禁止する。クリップの位置が満足のいくものであれば、外科医は、
図73に模式的に示すように、ジョー制御部を用いて第1および第2の内部コネクタ7200の開放予圧を緩和して、
図74に模式的に示すように、ロック7210から逆刺を解放し、エンドエフェクタからクリップを切り離すことができる。
【0086】
留置装置へのクリップロックのさらなる例示的な実施形態は、拡張コレット、バルーンおよびスカーフカットを含む。拡張コレットまたはバルーンの実施形態において、内部コネクタは、摩擦によって、または密接する構成要素間の機械的干渉によって内部コネクタ接合面に係合する拡張、開口、またはその他の方法で形状変化する構造を備える。これは、摩擦を柔らかい表面に限定するものではない。内部コネクタ接合面または内部コネクタは、拡張時に係合するロック機能を有することができる。例示的な一実施形態において、内部コネクタは、内部コネクタ接合面の内部でフレア状に開いてクリップの離脱に対して十分な抵抗を提供する拡張ピンである。別の例示的な実施形態において、内部コネクタは、内部コネクタ接合面の内部で膨らませてクリップの離脱に対して十分な抵抗を提供するバルーンである。さらに別の例示的な実施形態において、内部コネクタは、スカーフ継手を有する。内部コネクタ接合面の内側では、ロック制御ケーブルを作動させることができ、これにより、内部コネクタのスカーフ継手に横方向のずれが生じて、クリップの離脱に対して十分な抵抗がもたらされる。ロック機能のための別の例示的な実施形態は、磁性材料に使用を含む。例示的な本実施形態において、内部コネクタは、バイアス部材(例えば
図12~
図20に示すばね)によって遠位側に付勢された、ロック制御ケーブルに取り付けられた内部磁石を有し、クリップ支柱は、内部コネクタ接合面の内側で磁性要素または磁性機能を有する。内部コネクタの磁石は、内部コネクタ接合面の内側の磁性要素または磁性機能に磁力を加えて、ユーザの操作なしにクリップの離脱に対して十分な抵抗を提供する。ロック制御ケーブルを作動させると、内部磁石が引っ込み、磁石と磁性要素との間の磁力が十分に弱まる。これにより、クリップの取り外しが可能になる。さらに別の例示的な実施形態において、コネクタは、クリップ支柱の外面に係合してもよい。ここで、ロック機能およびコネクタ接合面の両方が、内部および/または外部となり得る。
【0087】
図23~
図28は、LAA20への様々な植え込み状態における留置装置1600のエンドエフェクタに取り付けられたクリップ1500の例示的な実施形態を示す。
図23では、クリップ1500は閉じており、LAA20の基部の植え込み部位に接近している。
図24では、クリップ1500は開いており、LAA20の基部の植え込み位置に接近している。
図25では、クリップ1500は開いており、LAA20の基部を取り囲んでいる。
図26では、クリップ1500は、LAA20の基部上に閉鎖されているが、留置装置1600に取り付けられたままである。
図27では、クリップ1500は、留置装置1600から解放されており、LAA20の基部上に閉鎖されているが、内部コネクタは、支柱1510,1520の内部コネクタ接合面内に依然として残っている。最後に、
図28では、クリップ1500は、LAA20の基部上に植え込まれて、留置装置1600は、クリップ1500から完全に自由である。望ましい植え込みが得られた場合、ここで処置が終了する。しかしながら、別の植え込み向きが望ましい場合、内部コネクタを内部コネクタ接合面に再挿入し、クリップ1500を取り除いてLAA20上に再配置することができる。クリップ1500の満足のいく植え込みが得られるまでこれらのステップを繰り返すことができる。
【0088】
植え込まれたクリップ1500の支柱1510,1520が(例えば
図18~
図21に示す支柱1510,1520の接触する平行位置と比較して)互いに離れているだけでなく、支柱1510,1520が(例えば、支柱1510,1520の間に締め付けられた組織が均一でないときに)互いに平行でない場合もあるので、LAA20からのクリップ1500の再捕捉は、外科医にとって多少困難である場合があることに留意されたい。間隔と非平行性の両方が存在することは、クリップ1500の植え込み後には一般的である。留置装置1600の実施形態は、カム1602,1604、内部コネクタ1610,1620,1710,1720,1810、およびこれらの構造を接続し、それらが互いに対して移動することを可能にする枢動部1603,1605,1606,1607,1806の例示的な構成によって、上述した課題を克服することができる。これらの部分がどのようにして内部コネクタを独立して移動させて支柱において内部コネクタ接合面と整合するかを説明するために、
図29~
図33を参照されたい。留置用カム1602,1604内のカムスロットは、枢動部1603,1605から間隔を空けて配置されており、2つのカム1602,1604が広がり始めるストロークの始めではより少ない機械的利点を提供し、2つのカム1602,1604がさらに広がるストロークの中間および終わりでは著しく多くの機械的利点を提供するように形成される。より具体的には、
図29に示すように、トリガー2020が作動してカム1602,1604のジョーの開き動作を開始する。このトリガー2020は、ジョー制御ケーブル2022を介して、例示的な本実施形態において近位側に移動されると、角度aで枢動部1603,1605を中心にカム1602,1604に力を加えるカム遮断部2024に接続されている。この角度は比較的大きいため、縦方向の力は比較的小さくなる。しかしながら、トリガー2020が作動してさらにカム遮断部2024がさらに近位側に移動すると、枢動部1603,1605を中心にカム1602,1604に加えられる力は、今度は角度bになる。この角度は比較的小さいため、機械的利点の大部分は縦方向にあり、したがって、縦方向の力が比較的大きくなる。(
図31~
図33は、閉状態から中間開状態、さらに開状態への進行を示す。)そのため、角度が大きい(例えばa)閉位置では、いずれかのコネクタ1610,1620,1710,1720,1810の遠位端に作用する任意の横方向の力は、遠位端を比較的容易に移動させることができる。言い換えれば、ユーザがコネクタ1610,1620,1710,1720,1810のうちの1つの先端に指を置くことで、コネクタおよびカムを比較的容易に枢動させることができる(この特徴は、後述する
図34~
図38に示す)。これに比べて、カム1602,1604が枢動部1603,1605を中心にさらに回転すると、先端を横方向に移動させるための力の大きさが大幅に増加する。留置装置1600のこの機能を説明する別の方法は、カム1602,1604の第1の開き動作は支柱の近位端を開くだけ(
図32参照)であり、したがって、この開口部分では、全体の負荷の半分しか必要とされないことである。したがって、作動ピンが通るカム1602,1604の軌道は、負荷の少ない動作開始時において機械的利点が少なくなるように構成される。それに比べて、支柱1510,1520の全体が分離されるため、負荷が最大となる動作の終了時(
図33参照)において機械的利点が大きくなる。動作の最初の部分で機械的利点を低くすることで、カム1602,1604に広げる力を加えてシステムを「バックドライブ」させることができる。カム1602,1604が最も接近しているとき、カム1602,1604を広げるのに必要な力は最も小さくなる。これにより、操作者は、再捕捉時に支柱1510,1520内に配置される組織の幅に合わせてカム1602,1604を容易に移動させることができる。これは、長い方のコネクタ1620が係合していた支柱1520から離れ、他の支柱1510に向けてU字継ぎ手1608を総動作させることによって達成することができる。
図34から
図38への進行は、このような動作を示す。
図34では、クリップ1500は、LAA20の基部に植え込まれて、除去および/または再植え込みが望ましい状態にある。したがって、外科医は、第2の内部コネクタ1620の遠位端を支柱1520に挿入する。この時点で、外科医は、これを支点として、U字継ぎ手1608を総動作させて移動し、第1の内部コネクタ1610を第1のクリップ支柱1510の第1の内部コネクタ接合面1512と整列させることができる。
図35に示すように、外科医は、第2の内部コネクタ1620および第2の留置用カム1604を時計回りに枢動させる力(
図35では上側)を加えて、第2の内部コネクタ1620の遠位端を第1の内部コネクタ1610の遠位端から遠ざけるように移動させる。本実施例において、支柱1510,1520は、意図的に非平行になっている。したがって、第2の内部コネクタ1620が支柱1520に設置されると、第1の内部コネクタ1610は、第1の内部コネクタ接合面1512の軸と整列しない。
図36に示す留置装置1600の時計回りの総動作を用いて、外科医は、U字継ぎ手1608を回転させて、第1の内部コネクタ1610の遠位端を第1のクリップ支柱1510の内部コネクタ接合面と整列するように移動させる(
図37参照)。次いで、外科医は、支柱1510,1520に向けて遠位側にU字継ぎ手1608を押し、内部コネクタ1610,1620は、様々な枢動部1603,1605,1606,1607を中心とした部分の回転に伴って、それぞれの内部コネクタ接合面1512,1522内に自然に滑り込む。
図38に示すように、U字継ぎ手1608のさらなる遠位側への移動により、内部コネクタ1610,1620は、それぞれの内部コネクタ接合面1512,1522に完全に入り、コネクタロック1614,1624は、留置装置1600を支柱1510,1520にロックする。このロックによって、外科医が望むように、クリップを開いてLAA20上から取り除くかLAA20上に再配置することができる。
【0089】
図39および
図40を参照すると、クリップの別の例示的な実施形態において、バイアス部材2030は、穴2042,2052および関連するオーバーハング2044,2054に係合するばねにおける90度の曲げ部などの幾何学的特徴を介して、支柱2040,2050に取り付けられることができる。オーバーハング2044,2054は、バイアスばね2030が挿入のために拡張されるように、穴2042,2052と重なり、バイアス負荷が加えられている間、バイアスばね2030は、オーバーハング2044,2054によって保持され続けることができる。これにより、二次的なクリンプや機械的な保持具を使用することなく、バイアス部材2030と支柱2040,2050との間のねじれ剛性の高い接続が可能となり、部品点数とコストの削減や、植え込みの簡素化を実現することができる。このような構成により、材料、部品点数、および故障モードが低減される。
【0090】
図41~
図52に示す例示的な構成は、クリップ2100の別の例示的な実施形態を示す。
図41~
図52は、支柱2110,2120の上部と下部の両方にバイアス装置2130が存在するクリップ2100を示す。ここで、上部および下部という用語は、支柱2110,2120の両側を区別するためにのみ使用される。上部および下部という用語は、支柱2110,2120のうちの一方の上部が、それが配置される構造体の上部に必ずしもなければならないことを意味しない。LAAへのクリップ2100の植え込みのための一例において、支柱2110,2120の下部は、左心房に隣接する心臓の表面上に配置され、上部は、左心房から離れ、クリップ2100の上の心臓から離れるように延在するLAAのいくつかの組織に沿っているか、それらに当接している。例示的な本実施形態において、第1、第2、第3および第4のバイアスアンカーまたはバイアス装置コネクタ2114,2124,2115,2125は、支柱2110,2120と一体的に形成される。バイアス装置2130は、外部装置(別個のクリップまたはアンカーなど)によって支柱2110,2120に固定されず、代わりに、第1~第4のバイアスコネクタ2114,2124,2115,2125を含む支柱2110,2120上の様々な固定点の周りに巻き付けられる。このように、バイアス装置2130は、自己固定されると言うことができる。これは、バイアス装置2130を支柱2110,2120に固定するために必要な支柱2110,2120の外部構造がないことを意味する。例示的な実施形態において、支柱2110,2120の固定点の周りで曲げられた後、上部および下部バイアス装置2130の端部は、各支柱2110,2120の両側にあるバイアスポート2112,2122,2113,2123に挿入される。
図42および
図43の断面図と
図44および
図45の平面図は、バイアスポート2112,2122,2113,2123を示す。
【0091】
したがって、
図43を参照すると、上部バイアス装置2130は、バイアスポート2112から開始して上方向(
図42に対して)に向かい、クリップ2100の近位端に向けて縦方向に約90°曲がる。次いで、上部バイアス装置2130は、第1のバイアスコネクタ2114に対して、およびその下方を通過して、第1のクリップ支柱2110の近位端に向けて移動する。(ここで、「対して(against)」という用語は、上部バイアス装置2130が第1のクリップ支柱2110の上面上に配置されなければならないことを意味しない。上部バイアス装置2130は、その表面に配置されてもよく、そこから距離をおいて(隣接して)配置されてもよく、またはその部分が、そこから距離をおいて接触していてもよい。)第1のクリップ支柱2110の近位端の前、または第1のクリップ支柱2110の近位端の後のいずれかにおいて(本実施例は後者を参照する)、上部バイアス装置2130は、横断方向に約180°曲がり2132、第1のクリップ支柱2110の近傍を離れて、第2のクリップ支柱2120の近傍に入る。上部バイアス装置2130は、第2のクリップ支柱2120の近位端から遠位方向且つ縦方向に移動し、第2のバイアスコネクタ2124に対して、およびその下方を通過する。次いで、上部バイアス装置2130は、バイアスポート2122内に約90°内側に曲がり、
図43および
図44に示すように、バイアスポート2122内で終端する。
【0092】
下部バイアス装置2130は、バイアスポート2113から下方向(
図42/168に対して)に出発し、クリップ2100の近位端に向けて縦方向に約90°曲がる。次いで、下部バイアス装置2130は、第3のバイアスコネクタ2115に対して、およびその下方を通過して、第1のクリップ支柱2110の近位端に向けて移動する。第1のクリップ支柱2110の近位端の前、または第1のクリップ支柱2110の近位端の後のいずれかにおいて(本実施例は後者を参照する)、下部バイアス装置2130は、横断方向に約180°曲がり2132、第1のクリップ支柱2110の近傍を離れて、第2のクリップ支柱2120の近傍に入る。下部バイアス装置2130は、第2のクリップ支柱2120の近位端から遠位方向且つ縦方向に移動し、第4のバイアスコネクタ2125に対して、およびその下方を通過する。次いで、下部バイアス装置2130は、バイアスポート2123内に約90°内側に曲がり、
図43に示すように、バイアスポート2123内で終端する。
【0093】
図51および
図52は、クリップ支柱2120のバイアスポート2123内の下部バイアス装置2130の末端の例示的な実施形態を示す。本実施例が示すように、バイアスポート2123は、止まり穴ではなく、クリップ支柱2120を完全に通過してバイアスポート2122を出た後に、上部バイアス装置2130の経路内で終端する。したがって、90°横断方向に曲がった後の適切に選択された長さでは、最遠位端2134は、上部バイアス装置2130に押し付けられる(
図51および
図43参照)。これにより、上部バイアス装置2130を第2のバイアスアンカー2124の下側に押し付ける力が加えられ、上部バイアス装置2130を所定の位置に保持することを助けることができる。この構成は、
図42に示す第1のクリップ支柱2110においても同様に設けることができる。代替的に、バイアスポートは、バイアス装置2130のそれぞれの端部が終端する止まり穴とすることができる。
【0094】
上述したように、LAAクリップの植え込み処置中に最小の断面積を保持するために、クリップ1500,2100を植え込む留置装置1600の例示的な実施形態は、それぞれの内部中空管からクリップ支柱を把持するように構成される。この構成は、クリップ2100にも適用可能である。例えば
図47に示すように、クリップ支柱2110,2120の各々は、内部中空管2116,2126をそれぞれ有する。留置装置1600の例示的な実施形態が植え込みのために採用された場合、留置装置1600の遠位内部コネクタ1610,1620,1710,1720は、クリップ2100の移動および留置を一時的に固定するように、クリップ支柱2110,2120の内部中空管2116,2126に挿入される。留置装置1600の遠位内部コネクタ1610,1620,1710,1720と協働するために、クリップ支柱2110,2120は、全体が中空であるか、または、クリップ支柱2110,2120は、各クリップ支柱2110,2120の近位端から開始し、クリップ支柱2110,2120内を通過して、2つのクリップ支柱2110,2120の間の制御された分離と、クリップ支柱2110,2120の互いに対するヨーの制御を可能にするのに十分な内部距離まで延在する止まり穴を有する。
【0095】
留置装置(例えば装置1600)は、クリップ2100の外部からではなく、クリップ2100の内部からクリップ2100に接近して制御するため、留置装置の断面積を、クリップ2100の最大断面径と同じか、それよりも小さくすることができる。これは、クリップ2100の使用時には、ポートの幅が、留置装置の直径ではなく、クリップ2100の最大断面径まで最小化されることを意味する。
【0096】
上部および下部バイアス装置2130は、バイアス組立体を形成する。バイアス組立体は、第1のクリップ支柱2110と第2のクリップ支柱2120とを接続して、第1のクリップ支柱2110および第2のクリップ支柱2120を、組織接触面2118,2128を通過する支柱平面で整列させる。このようにして、上部および下部バイアス装置2130によって、第1のクリップ支柱2110および第2のクリップ支柱2120は、例えば、
図23から
図28への進行、
図29から
図33への進行、および
図35から
図38への進行に示すヨー運動を伴って、支柱平面内で移動することができる。換言すると、バイアス組立体は、支柱平面内での第1のクリップ支柱2110および第2のクリップ支柱2120のヨー運動を許容するように構成される。支柱平面内での第1のクリップ支柱2110のヨー運動は、支柱平面内での第2のクリップ支柱2120のヨー運動から独立していてもよい。
【0097】
バイアス組立体のこの位置によって、上部および下部バイアス装置2130は、第1のクリップ支柱2110および第2のクリップ支柱2120が支柱平面内で移動したときに、第1のクリップ支柱2110および第2のクリップ支柱2120がそれぞれの縦軸の周りで実質的に回転しないように、力を釣り合わせる。上部および下部バイアス装置2130は、第1のクリップ支柱2110および第2のクリップ支柱2120が支柱平面内で移動したときに、第1のクリップ支柱2110および第2のクリップ支柱2120が実質的にトルクをもたないように、力を釣り合わせる。
【0098】
上述したように、本明細書に記載するクリップ(クリップ2100を含む)は、例えば内径を有する腹腔鏡ポート内に嵌め込まれるような大きさを有する。これに関連して、第1のクリップ支柱2110および第2のクリップ支柱2120ならびにバイアス組立体2130は、組み合わされるとポートの内径よりも小さい最大外幅を有する。クリップ2100が挿入されるポートの例示的な実施形態は、10mmの胸腔鏡ポート(30フレンチ)である。このように、クリップの植え込み処置の間に、クリップ2100は、LAAに留置するための胸腔鏡ポート内に嵌め込まれ得る。より具体的には、
図46および
図47を参照すると、第1のクリップ支柱2110および第2のクリップ支柱2120の外面は、横断方向の断面において円2140を画定し、この円2140は、外径を有する。バイアス装置2130は、ポート内のクリップ2100の動きが妨げられないように、実質的にこの外径内に留まりながら、クリップ支柱2110,2120の一部を横断する。したがって、留置装置1600,2300のエンドエフェクタ1601,2301は、例えば約10mmの内径を有するポート内でシステム全体の動きを可能にするために、クリップ2100よりも小さい外径を有する。
【0099】
上部および下部バイアス装置2130の縦方向長さに関して、例えば、
図48に示すように、第1のクリップ支柱2110および第2のクリップ支柱2120は、(クリップ支柱2110,2120の縦軸に平行である)最大縦方向長さLを有し、上部および下部バイアス装置2130は、最大縦方向長さよりも短い縦方向長さを有する(
図41~
図45参照)。
【0100】
図53~
図65に示す構成は、支柱2210,2220を有するLAAクリップ2200の別の例示的な実施形態を示す。その特徴は、ここで説明するおよび/またはここに示すすべてのクリップに適用可能である。
図53~
図65は、支柱2210,2220の上部と下部の両方にバイアス装置2230が存在するクリップ2200を示す。
図53~
図65に示す構成において、図を明確にするためなどの理由で、バイアス装置2230の中心線2231で切断した断面で、バイアス装置2230を示す(上部バイアス装置2230および下部バイアス装置2230の両方)。そのため、各図では、バイアス装置2230は、クリップ2200の片側だけが示されている。特に
図53、
図55、
図58、
図59、
図60および
図62では、バイアス装置2230の半分が支柱2220についており、
図54、
図56、
図57、
図61、
図63、
図64および
図65では、バイアス装置2230の半分が支柱2210についている。さらに、上部および下部バイアス装置2230は、支柱2210,2220の側面を越えて、例えば
図54では支柱2210の左側(その近位端から見た場合)を越えて、
図55では支柱2220の左側(その遠位端から見た場合)を越えて延在するように示されている。
図53~
図65における上部および下部バイアス装置2230の延長線は、実際のLAAクリップ2200には存在しない。これは、2つの支柱2210,2220の間に組織が配置されていない場合であっても、2つの支柱2210,2220を互いに向かうように/互いに対抗するように矯正するバイアスを確立するために、上部および下部バイアス装置2230のばねに存在する予備負荷を単に例示するものである。そのため、特に
図58に示すように、断面が通過する上部および下部バイアス装置2230の中心線2231は、中央の縦軸2202と整列していない。しかしながら、LAAクリップ2200の構造上、上部および下部バイアス装置2230の中心線2231は、LAAクリップ2200の定常状態(例えば
図58および
図59に示すもの)において、2つの支柱2210,2220を分離する力がそれぞれの支柱について同様である限り、中央の縦軸2202と整列したままである。言い換えれば、一方の支柱が静止している間に他方の支柱に加えられる力がある場合、または一方の支柱に加えられている力が他方の支柱に加えられている力と異なる場合、上部および下部バイアス装置2230の中心線2231は、中央の縦軸2202と整列しない。バイアス装置2230の図示しない部分は、図示されている部分の鏡像である。
【0101】
ここで、上部および下部という用語は、上述したように定義され、支柱2210,2220の上部が、それが配置される構造体の上部に必ずしもなければならないことを意味しない。LAAへのクリップ2200の植え込みのための一例において、支柱2210,2220の下部は、左心房に隣接する心臓の表面上に配置され、上部は、左心房から離れ、クリップ2200の上の心臓から離れるように延在するLAAのいくつかの組織に沿っているか、それらに当接している。
【0102】
例示的な本実施形態において、支柱2210における第1、第2および第3のバイアスアンカーまたはバイアス装置コネクタ2214,2215,2216、ならびに支柱2220における第4、第5および第6のバイアスアンカーまたはバイアス装置コネクタ2224,2225,2226は、それぞれの支柱2210,2220と一体的に形成される。上述した例示的な実施形態と同様に、バイアス装置2230は、外部装置(クリップまたはアンカーなど)によって支柱2210,2220に固定されず、代わりに、第1~第6のバイアスコネクタ2214,2215,2216,2224,2225,2226を含む支柱2210,2220上の様々な固定点の周りに巻き付けられる。例示的な実施形態において、支柱2210,2220の固定点の周りで曲げられた後、上部および下部バイアス装置2230の端部は、各支柱2210,2220のバイアスポート2212,2213,2222,2223に挿入される。バイアスポート2212,2213,2222,2223の断面が、例えば、
図57および
図65の断面図ならびに
図57および
図64の斜視図に示されている。
【0103】
したがって、上部バイアス装置2230は、第3のバイアス装置コネクタ2216に存在する上部バイアスポート2212から開始して(
図57参照)、近位方向(
図57では左側)に延在する。続けて、上部バイアス装置2230は、第1のバイアス装置コネクタ2214の周りで、およびそれに対して(
図57では上側)、支柱2210の上部に向けて横断方向に約90°曲がる。次いで、上部バイアス装置2230は、別の約90°の角度で曲がり(
図57では左側)、支柱2210のバイアス端部2211に向けて縦方向に横断して、第2のバイアス装置コネクタ2215に対して、およびその周りを通過して、S字曲げ部が完成する。(ここで、「対して(against)」という用語は、上部バイアス装置2230が第1のクリップ支柱2210の上面上に配置されなければならないことを意味しない。上部バイアス装置2230は、その表面に配置されてもよく、そこから距離をおいて(隣接して)配置されてもよく、またはその部分が、そこから距離をおいて接触していてもよい。)次いで、上部バイアス装置2230は、第1のクリップ支柱2110の近位端に向けて(例えば
図57の左側においてバイアス端部2211に向けて)延在する。(例えば
図60および
図61に示すように)第1のクリップ支柱2210のバイアス端部2211の前、または第1のクリップ支柱2210の近位端の後のいずれかにおいて、上部バイアス装置2230は、横断方向に約180°曲がり(2232)、第1のクリップ支柱2210の近傍を離れて、第2のクリップ支柱2220の近傍に入る(例えば
図58参照)。クリップ支柱2210,2220のバイアス端部2211,2221の前に終了するこの曲げ2232は、クリップ支柱2210,2220の間で圧縮されたLAA組織が圧迫されてバイアス装置2230を超えて延在する場合に、LAA組織に接触するために利用可能なクリップ支柱2210,2220の材料がまだあることを確実にする例示的な特徴である。
【0104】
上部バイアス装置2230は、第2のクリップ支柱2220のバイアス端部2221から遠位方向且つ縦方向に移動し、第5のバイアスコネクタ2225(例えば
図56参照。上部バイアス装置2230のこの部分は
図56では省略)に対して、およびその周りを通過する。次いで、上部バイアス装置2230は、第4のバイアス装置コネクタ2224と第5のバイアス装置コネクタ2225との間且つその内側に約90°曲がり、上部バイアスポート2222に向けて約90°曲がり、第2のクリップ支柱2220の上部バイアスポート2222内で終端する。また、コネクタ2226の遠位側の壁22266は、バイアス装置2230の曲げ2238を所定の位置に保持するのに役立つ。
【0105】
対照的に、
図61を参照すると、下部バイアス装置2230は、バイアスポート2213の下部から開始して、遠位方向(
図61では上側)に延在する。下部バイアス装置2230は、第3のバイアス装置コネクタ2216に対して、およびその周りで、第1のクリップ支柱2210の下部に向けて横断方向に約180°曲がる(2234)。次いで、下部バイアス装置2230は、第3のバイアス装置コネクタ2216の下方に対しておよび/またはそれに沿って延在し、第1のクリップ支柱2210のバイアス端部に向けて第1のクリップ支柱2210に沿って移動する。(上記と同様に、「対して(against)」という用語は、下部バイアス装置2230が第1のクリップ支柱2210の下部を接触しなければならないことを意味しない。下部バイアス装置2230は、その表面に配置されてもよく、そこから距離をおいて(隣接して)配置されてもよく、またはその部分が、そこから距離をおいて接触していてもよい。)例示的な本実施形態において、
図60および
図61に示すように、下部バイアス装置2230は、第1のクリップ支柱2210のバイアス端部2211の直前まで延在する(代替的に、第1のクリップ支柱2110のバイアス端部2211を超えて延在することもできる)。下部バイアス装置2230は、横断方向に約180°曲がり(2236)、第1のクリップ支柱2210の近傍を離れて、例えば
図61および
図60の遷移が示すように、第2のクリップ支柱2220の近傍に入る。次いで、下部バイアス装置2230は、第2のクリップ支柱2220の下部のバイアス端部2211から近位方向(
図60では上側)且つ縦方向に延在し、第6のバイアス装置コネクタ2226に対して、およびその下方を通過する。次いで、下部バイアス装置2230は、第6のバイアス装置コネクタ2226に対して内側、且つその周りで約180°曲がり(2238)、下部バイアスポート2223に入り、
図53に示すように、下部バイアスポート2223内で終端する。コネクタ2216の遠位側の壁22166は、バイアス装置2230の曲げ部2234を所定の位置に保持するのに役立つ。
【0106】
図56は、クリップ支柱2220の上部および下部バイアスポート2222,2223内の上部および下部バイアス装置2230の末端部位の例示的な実施形態を示す(クリップ支柱2210のポート2212,2213は、類似している)。例示的な本構成が示すように、上部および下部バイアスポート2212,2213,2222,2223は、止まり穴ではなく、それぞれのクリップ支柱2210,2220において入口と出口を有し、各経路は、他方のバイアス装置が横断する経路内で終端する。したがって、各上部および下部バイアス装置2230の末端部の選択された長さでは、最遠位端は、他方のバイアス装置の一部に押し付けられるような大きさを有することができる(例えば各上部バイアス装置の端部は、下部バイアス装置の一部に押し付けられ、各下部バイアス装置の端部は、上部バイアス装置の一部に押し付けられ得る)。この接続は、他方のバイアス装置に対して力を加えて、上部および下部バイアス装置2230をクリップ2200の所定の位置に保持することを支援するために使用することができる。代替的に、上部および下部バイアス装置2230のそれぞれの末端部のいずれかまたは両方の選択された長さは、対応する他方のバイアス装置の一部に接触しないような大きさを有することができる。さらなる代替実施例において、上部および下部バイアスポート2212,2213,2222,2223は、図示しない止まり穴とすることができる。
【0107】
上述したように、LAAクリップ2200の植え込み処置中に最小の断面積を保持するために、クリップ(例えば1500,2100)で使用可能な留置装置1600の例示的な実施形態は、それぞれの内部中空管からクリップ支柱を把持するように構成される。この構成は、クリップ2200にも適用可能である。例えば
図54に示すように、クリップ支柱2210,2220の各々は、内部中空管2218,2228をそれぞれ有する。留置装置1600の例示的な実施形態がクリップ2200の植え込みのために採用された場合、留置装置1600の遠位内部コネクタ1610,1620は、クリップ2200の移動および留置を一時的に固定するように、クリップ支柱2210,2220の内部中空管2218,2228に挿入される。留置装置1600の内部コネクタ1610,1620と協働するために、クリップ支柱2210,2220は、貫通孔であるか、または、クリップ支柱2210,2220は、各クリップ支柱2210,2220の近位端から開始し、クリップ支柱2210,2220内を通過して、2つのクリップ支柱2210,2220の間の制御された分離と、クリップ支柱2210,2220の互いに対するヨーの制御とを可能にするのに十分な内部距離まで延在する止まり穴を有することができる(ヨーの制御の詳細については上述したとおりである)。
図57は、第1のクリップ支柱2210の内部中空管2218の止まり穴の構成の例示的な実施形態を示す。また、
図57は、留置装置1600の内部コネクタ1610,1620,1710,1720の実施形態のうちの1つのコネクタロック1614,1818の進入および一時的なロックを許容するように形成されたロックオリフィス1516,1916を示す(例えば
図4~
図6および
図18~
図20参照)。
【0108】
図66~
図69は、1つのクリップ(例えば1500,2100,2200)のうちの1つの制御、植え込み、取り除きおよび再植え込みのための留置装置2300の別の例示的な実施形態を示す。本実施例において、クリップ2200は、留置装置2300のエンドエフェクタ2301上に設置される。
図66から
図69への進行は、支柱2210,2220ならびに上部および下部バイアス装置2230を備えるクリップ2200の設置および植え込みにおける段階を示す。
図66は、留置装置2300の支柱2210,2220に対するクリップ2200の最初の接続および最終的な切り離しのステップを示し、また、例えば外科医がクリップを再配置することを決定した後にクリップ2200が再植え込みのためにLAAから取り除かれた後のステップを示す。
図67は、留置装置2300を用いてクリップ2200の支柱2210,2220を開くが、支柱2210,2220の遠位端2219,2229が互いに離れて移動する前の中間ステップを示す。また、
図67は、クリップ2200を
図66の定常状態に戻す前にクリップ2200を閉鎖する中間ステップを示す。
図66は、上部バイアス装置2230のみを示すが、
図67は、上部および下部バイアス装置2230の両方を示す。
図68は、クリップ2200の支柱2210,2220を開閉する中間ステップと、例えばクリップ2200がLAAに植え込まれた図示しない位置において、留置装置2300からの支柱2210,2220の最終的な切り離しでクリップ2200の植え込みが完了する直前のステップと、を示す。最後に、
図69は、クリップ2200の支柱2210,2220を、例えばLAAの両側でクリップ2200を操作することができる開位置まで完全に開く中間ステップを示す。図に示すように、上部および下部バイアス装置2230が支柱2210,2220のバイアス端部2211,2221にしかないため、LAAと係合するための大きな開口部が得られ、クリップ2200をLAAに沿って水平に、および/または垂直に滑らせ、上部バイアス装置2230の180°曲げ部2232と下部バイアス装置2230の180°曲げ部2236をストッパーまたはバックストッパーとして使用して、その間に配置したLAAがさらに近接した縦方向に移動しないようにすることができる。
【0109】
留置装置2300のエンドエフェクタ2301は、第1の留置用カム2302および第2の留置用カム2304を備える。第1の留置用カム2302および第2の留置用カム2304は、遠位端で、遠位枢動部2303,2305において、第1の内部コネクタ2310および第2の内部コネクタ2320にそれぞれ枢動可能に接続される。また、第1の留置用カム2302および第2の留置用カム2304は、対応する第1の近位枢動部2306および第2の近位枢動部2307において、留置用U字継ぎ手2308にそれぞれ枢動可能に接続される。図示しないカム作動コネクタは、留置用カム2302,2304の互いに対する動き(例えば
図66および
図69に示すような開閉)を制御する。有益な特性は、第1の遠位枢動部2303および第2の遠位枢動部2305を用いて生じる。第1の内部コネクタ2310および第2の内部コネクタ2320が小さな角度(例えば0°超~約60°の範囲、特に約20°~約40°の範囲、特に約30°)について自由に枢動できるようにすることで、内部コネクタ2310,2320は、第2の内部コネクタ2320が(例示的な実施形態においてより長いので)挿入されたときに、第2の内部コネクタ2320が比較的静止したまま第1の内部コネクタ2310を所望に枢動させることができるように、容易に自己整列を行うことができる。本明細書においてこれを受動的な整列と呼ぶ。内部コネクタ2310,2320の長さについては上述したとおりである。
【0110】
支柱2210,2220は、第1の内部コネクタ2310および第2の内部コネクタ2320にそれぞれ接続される。例示的な本実施形態において、支柱2310,2320は、ここでは円筒状の止まり穴の形態を有する内部中空管2218,2228をそれぞれ有する。同様に、第1の内部コネクタ2310および第2の内部コネクタ2320は、そこに嵌合するためのそれぞれの内部中空管2218,2228に対応する外部形状をそれぞれ有する第1のシャフトおよび第2のシャフトを有する。例示的な実施形態において、形状は、円形の断面を有し、先端が丸みを帯びていてもよい。しかしながら、2つのシャフトの形状は、異なっていてもよく、例えば、一方の断面が円形であり、他方の断面が多角形であってもよい。内部コネクタ2310,2320を単に内部中空管2218,2228に挿入した場合、支柱2210,2220が滑り落ちる可能性がある。支柱2210,2220をそれぞれの内部コネクタ2310,2320に保持するために、内部コネクタ2310,2320の少なくとも一方に図示しないコネクタロックが設けられるか、または内部コネクタ2310,2320の両方にコネクタロックが設けられる(ロックの例は上述したものであり、例えばロック1614,1624,1818である)。より具体的には、ロックによって、クリップ2200を留置装置2300上に取り外し可能に捕捉または固定することができる。内部中空管2218,2228のそれぞれの入口の望ましい例示的な形状は、円錐である。これにより、ユーザは、内部コネクタ2310,2320を内部中空管2218,2228に挿入することができ、内部コネクタ2310,2320の中心軸が内部中空管2218,2228の中心軸と僅かにずれていてもシャフトをそこに入れることができる。
【0111】
留置装置(例えば装置1600,2300)は、クリップ2200の外部からではなく、クリップ2200の内部からクリップ2200に接近して制御するため、留置装置の断面積を、クリップ2200の最大断面径と同じか、それよりも小さくすることができる。(なお、内部中空管をカム2302,2304の端部に配置することができ、内部コネクタを逆の構成で支柱に配置することができる。)これは、クリップ2200の使用時には、ポートの幅が、留置装置の直径ではなく、クリップ2200の最大の断面直径まで最小化されることを意味する。
【0112】
上部および下部バイアス装置2230は、バイアス組立体を形成する。バイアス組立体は、第1のクリップ支柱2210と第2のクリップ支柱2220とを接続して、第1のクリップ支柱2210および第2のクリップ支柱2220を、組織接触面2217,2227を通過する支柱平面で整列させる。このようにして、上部および下部バイアス装置2230によって、第1のクリップ支柱2210および第2のクリップ支柱2220は、例えば、
図66から
図69への進行に示すヨー運動を伴って、支柱平面内で移動することができる。上述したように、バイアス組立体は、支柱平面内での第1のクリップ支柱2210および第2のクリップ支柱2220のヨー運動を許容するように構成される。支柱平面内での第1のクリップ支柱2110のヨー運動は、支柱平面内での第2のクリップ支柱2120のヨー運動から独立していてもよい。バイアス組立体のこの位置によって、上部および下部バイアス装置2230は、第1のクリップ支柱2210および第2のクリップ支柱2220が支柱平面内で移動したときに、第1のクリップ支柱2210および第2のクリップ支柱2220がそれぞれの縦軸の周りで実質的に回転しないように、力を釣り合わせる。上部および下部バイアス装置2230は、第1のクリップ支柱2210および第2のクリップ支柱2220が支柱平面内で移動したときに、第1のクリップ支柱2210および第2のクリップ支柱2220が実質的にトルクをもたないように、力を釣り合わせる。
【0113】
上述したように、本明細書に記載するクリップ(LAAクリップ2200を含む)は、例えば内径を有する腹腔鏡ポート内に嵌め込まれるような大きさを有する。これに関連して、第1のクリップ支柱2210および第2のクリップ支柱2220ならびにバイアス組立体2230は、組み合わされるとポートの内径よりも小さい最大外幅を有する。LAAクリップ2200が挿入されるポートの例示的な実施形態は、10mmの胸腔鏡ポート(30フレンチ)である。このように、クリップの植え込み処置の間に、LAAクリップ2200は、LAAに留置するための胸腔鏡ポート内に嵌め込まれ得る。
【0114】
上部および下部バイアス装置2230の縦方向長さに関して、例えば、
図66に示すように、第1のクリップ支柱2210および第2のクリップ支柱2220は、(クリップ支柱2210,2220の縦軸に平行である)最大縦方向長さを有し、上部および下部バイアス装置2230は、最大縦方向長さよりも短い縦方向長さを有する。この大きさによって、クリップ支柱2210,2220の間で圧縮されたLAA組織が圧迫されてバイアス装置2230を超えて延在する場合に、LAA組織に接触するために利用可能なクリップ支柱2210,2220の材料がまだあることを確実にすることができる。
【0115】
なお、本明細書に記載する例示的な実施形態の一部は、支柱の両側に上部および下部バイアス装置2030,2130,2230を有し、その各々は、同じ側に遠位開放端を有し、同じ側に近位バイアス端部2211,2221を有することに留意されたい。
図71は、バイアス装置2030,2130,2230のうちの1つが180°回転し、2つのバイアス端部が互いに反対側にある代替的な構成を示す。
図71に示す例示的な構成において、バイアス装置2030,2130,2230は、クリップ支柱の両側にあるままである。そのため、この構成は、クリップの一端からクリップされる構造体(例えばLAA)の進入を防ぎ、クリップされる構造体は、クリップの下または上から中央のクリップ領域1970に進入する。
【0116】
上述したバイアス装置2030,2130,2230の例示的な実施形態において、上部および下部バイアス装置は、主に丸型の輪郭を有するケーブルから構成されるように示されている。しかしながら、他の利点を有する他の設計および構築方法が存在する。例えば、ケーブルは、
図75および
図75Aに示すように、正方形または長方形の輪郭を有することができる。これにより、ケーブルの輪郭における幅および高さを独立して変更することで、バイアス装置2330,2430の付勢力を慎重に調整することができる。さらに、多角形の輪郭を有するケーブルの縁部は、様々な半径を有するように丸みを帯びることができ、バイアス装置の縁部と繊細な組織との相互作用を考慮しながら、バイアス装置2030,2130,2230,2330,2430のさらなる調整を可能にする。
【0117】
また、上述したバイアス装置2030,2130,2230の実施形態において、上部および下部バイアス装置は、2つの末端をそれぞれ有する別個の構成要素として示されている。代替的に、バイアス装置2330,2430は、より少ないまたはより多くの別個の構成要素から構築することができ、その結果、より少ないまたはより多くの末端が得られる。例示的な実施形態において、上部および下部バイアス装置2030,2130,2230は、単一の部材とすることができる。例えば、バイアス装置2330,2430は、単一の連続したワイヤ形状、またはワイヤ形状ではないが、
図76および
図76Aに示す構成のような、平らなストックから切り出されて曲げられた構成要素であり得る。この構成要素は、その後切断されて曲げられる二次元形状である。
【0118】
例示的な実施形態において、上部および下部バイアス装置は、両端で接合されて、末端がない連続ループを形成する。別の例示的な実施形態において、上部および下部バイアス装置は、1か所で接合され、その結果、2つの末端が形成される。さらに別の実施形態において、最初に平坦な連続ループ形状を切断し、それを最終形状に曲げ、上述したバイアス装置2030,2130,2230の形状を模倣することで、バイアス装置が作製される。このような構成において、4つの末端は、2つの別個のバイアス装置と同様に終端していない場合があり、構造は、2つの末端で巻き付く1つの長いバイアス装置であるか、末端がない連続要素からなるバイアス装置であるかのいずれかであり得る。
【0119】
上述したエンドエフェクタの例示的な実施形態は、クリップの中心線、例えば中央縦軸2202に平行な方向ベクトルでジョーに作用するジョー制御ケーブルを示している。ジョー制御ケーブルは、約45°曲がり、U字継ぎ手およびシャフトの内腔内に留まる。この構成は、留置用カムの遠位端とU字継ぎ手の近位端との間に比較的長い距離を有する。以下、これを長い固定長(dead length)と呼ぶ。固定長が長いと、クリップの近位端と患者の組織構造との間に空間が必要となり、クリップの適切な配置が(特に狭い胸腔内において)より困難になる。
【0120】
より好ましい構成は、固定長を最小にし、外科医がエンドエフェクタおよびクリップを操作するのにより大きい空間を提供し、クリップの配置をより容易にすることができる。
図77~
図80に示す留置装置2400の例示的な実施形態は、固定長を短くすることで、性能を向上させる。
【0121】
図77~
図78に示す留置装置4200の別の例示的な実施形態は、クリップ1500,2100,2200をLAA20に留置するために使用される。例示的な本実施形態は、ピストルグリップ構成を有する。留置装置2400は、エンドエフェクタ2401と、ボタントリガーの形態のロック/ロック解除制御部2410を含むハンドル2409と、トリガーの形態のジョー制御部2420と、シャフト回転ノブ2432およびエンドエフェクタ2401を含むシャフト2430と、を有する。ロック/ロック解除制御部2410は、プルケーブルの形態のロック解放ケーブル2416を作動させて、クリップ1500,2100,2200のためのロック1614をロック解除する。作動した際には、ロック/ロック解除制御部2010は、クリップ支柱におけるロック1614を近位方向に解放する力を(例えばロック解放ケーブルに)加える。これにより、クリップが留置装置2400から離れて植え込まれる。ここでは1つのロック1614のみについて記載しているが、ここで説明され想定されるすべてのロックは、留置装置4200に等しく適用可能である。クリップを再捕捉するために、留置装置2400は、再捕捉位置に移動され、第1の内部コネクタ1610および第2の内部コネクタ1620は、クリップ支柱の第1のコネクタ接合面および第2のコネクタ接合面にそれぞれ挿入される。例示的な本実施形態において、ロック制御部(例えばロック解放ケーブル2416およびロック/ロック解除制御部2010)は、再捕捉中に自動的にロックすることができ、または、ロックは、クリップのコネクタ接合面内に内部コネクタ1610,1620をロックするために手動で移動することができる。ハンドル2409に対してエンドエフェクタ2410を回転させたい場合、外科医は、シャフト回転ノブ2432を所望の方向に回転させる。
【0122】
図79および
図80は、エンドエフェクタ2401におけるジョーおよびロック制御部を示す。
図80では、ロック1614に接続されたプルブロック2418に取り付けられたロック解放ケーブル2416と、遠位側または近位側に移動したときに、第1の留置用カム2402および第2の留置用カム2404をそれぞれの枢動部2406,2407に関して移動させるカム2424に接続されたジョー制御ケーブル2412と、を示すために、U字継ぎ手2408の対向する半分が取り除かれている。第1の内部コネクタ1610および第2の内部コネクタ1620は、第1の遠位枢動部2403および第2の遠位枢動部2405に関して、第1の留置用カム2402および第2の留置用カム2404にそれぞれ枢動可能に接続される。
【0123】
運用時には、ジョー制御ケーブル2422は、クリップの中心線と非平行な軸でジョー2402,2404に作用し、U字継ぎ手2401およびシャフト2430の内腔内に留まるために必要な約45°の曲げをなくす。これにより、固定長を短くすることができる。また、約45°の曲げをなくし、ジョー上でジョー制御ケーブル2422をよりインラインに作動させることで、ジョー制御ケーブル2422の摩擦と負荷を低減させ、システムの性能を向上させ、留置システムの摩耗を低減させることができる。要約すると、留置システム1600の遠位端における固定長が長いと、胸腔が狭い/窮屈な胸腔を有する患者においてクリップの配置がより困難になる。留置システム2400における固定長を短くすることで、ジョー制御ケーブルで行っていた45°の曲げをなくし、植え込み作業を容易にすることができる。
【0124】
例示的な構成において、制御ロッドを使用して、直進位置から角度が付けられた位置へと角度を変更することができる。このような構成によって、ユーザは、処置中に角度を調整することができ、シャフト2430およびエンドエフェクタ2401を、真っ直ぐなカニューラを介して操作することができる。
【0125】
本明細書の例示的な実施形態が示すように、クリップ支柱の断面は、実質的に長方形である。これは、単に例示的な実施形態であり、クリップ支柱の断面は、円形、楕円形、または多角形であり得る。したがって、4つの側部を説明するために使用される第1、第2、第3および第4という用語は、単に例示的なものであり、限定を意図するものではない。断面が円形または楕円形である実施形態において、列挙された断面は、四分円の第1、第2、第3および第4の部分または側部であり得る。
【0126】
本明細書における「ケーブル(cord)」という用語は、例えば、第1の解放ケーブル1616および第2の解放ケーブル1618、ロック制御ケーブル1816、およびジョー制御ケーブル2022に対して使用される。この用語は、広義に使用されるものであり、特定の材料または断面に限定されるものではない。ケーブルは、本明細書された構造および機能を備えることができる縦方向に延在するあらゆる材料を意味する。本明細書に定義するように、ケーブルという用語は、ケーブルを単一のものに限定するものではない。ケーブルは、複数のケーブルであり得る。そのため、ケーブルという用語は、単一および複数のケーブルの間で置き換え可能に使用される。また、ケーブルは、特定のタイプの材料に限定されるものではない。材料の例として、天然繊維、人工または合成繊維、プラスチックおよび/または金属などを挙げることができる。また、ケーブルは、特定の構造に限定されるものではない。材料は、ねじられたストランド、中央コアを有するねじられたストランド、単一のストランドまたはワイヤ、またはロッドから形成され得る。また、本明細書に記載される例示的な一実施形態は、編組ステンレス鋼ケーブルである。ただし、本明細書に記載される実施形態は、編組ステンレス鋼ケーブルの例が参照され、または編組ステンレスケーブルが本明細書で使用されたとしても、編組ステンレス鋼ケーブルに限定されるものではない。
【0127】
本明細書に記載された様々な態様において、穴は、「止まり」穴と呼ぶ場合がある。このような記載がある場合、例示的な代替実施形態において、いくつかの穴は、貫通した穴であり得る。
【0128】
本発明のプロセスおよびシステムの様々な個別の特徴は、本明細書の1つの例示的な実施形態においてのみ記載される場合があることに留意されたい。単一の例示的な実施形態に関して本明細書で説明するための特定の選択は、特定の特徴が、記載された実施形態にのみ適用可能であると限定するものではない。本明細書に記載されるすべての特徴は、本明細書に記載される他の例示的な実施形態のいずれかまたはすべてに、任意の組み合わせまたはグループまたは構成で同様に適用、追加、または交換可能である。特に、本明細書において特定の特徴を図示、定義、または説明するために単一の参照符号を使用することは、その特徴が別の図面または説明における別の特徴に関連付けるまたは同等にすることができないことを意味するものではない。さらに、図面において2つ以上の参照符号が使用される場合、これは、それらの実施形態または特徴のみに限定されるものと解釈されるべきではない。これらは、同様の特徴に同様に適用可能であるか、参照符号が使用されないか、別の参照符号で示されている。
【0129】
上述した説明および添付の図面は、本発明のシステム、装置および方法の原理、例示的な実施形態、および操作モードを示す。しかしながら、本発明のシステム、装置および方法は、上述した特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。当業者であれば、上述した実施形態の追加の変形例を理解し、上述した実施形態は限定的ではなく、例示的であるとみなすであろう。したがって、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に記載された本発明のシステム、装置および方法の範囲から逸脱することなく、それらの実施形態の変形例を作製することができることに留意されたい。