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特許7480184ビスピラニリデン類、ジチオビスピラニリデン類及びジセレノビスピラニリデン類及びそれらの使用
<図1>
  • 特許-ビスピラニリデン類、ジチオビスピラニリデン類及びジセレノビスピラニリデン類及びそれらの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ビスピラニリデン類、ジチオビスピラニリデン類及びジセレノビスピラニリデン類及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 409/04 20060101AFI20240430BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20240430BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240430BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20240430BHJP
   H10K 30/50 20230101ALN20240430BHJP
【FI】
C07D409/04 CSP
C07D495/04 101
H05B33/14 A
H05B33/22 D
H10K30/50
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021569038
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2020063434
(87)【国際公開番号】W WO2020239456
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】102019114456.6
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521336141
【氏名又は名称】ゼノリクス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ツァイカ・オーラフ
(72)【発明者】
【氏名】カイザー・クリスティナ
(72)【発明者】
【氏名】ファンデヴァル・クーン
(72)【発明者】
【氏名】ジークムント・ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ベントフーン・ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】トロピアーノ・マヌエル
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0083730(US,A1)
【文献】特表2016-503581(JP,A)
【文献】特開2005-035980(JP,A)
【文献】Chem. Mater.,2009年,21,4350-4352
【文献】New. J. Chem.,1989年,13,601-607
【文献】Chem. Mater.,2019年,31,9325-9330
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 407/14
C07D 409/04
C07D 495/04
H10K 50/10
H10K 50/15
H10K 30/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)に従う化合物。
【化1】
式中、
及びXは、それぞれ互いに独立して、酸素、硫黄及びセレンを含む群から選択され
及びR は、それぞれ互いに独立して、
【化2】
を含む群から選択され、
ここで、R は、C1~C20アルキル残基及びシクロアルキル残基、C1~C20パーフルオロアルキル残基、C1~C20アリール残基及びヘテロアリール残基、C1~C20アルコキシ残基及びチアアルコキシ残基、及び第一級、第二級及び第三級C1~C20アルキルアミノ残基から選択される。
【請求項2】
が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、iso-ペンタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、tert-ノナフルオロブチル、iso-ノナフルオロブチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ウノドデカフルオロヘキシル、フェニル、ベンジル、ジフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピリジル、フラニル、チエニル、チアジル、オキサジル、イミダジル、ピリミジル、チアジニル残基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、チオメトキシ、チオエトキシ、チオプロポキシ、iso-チオプロポキシ、チオブトキシ、iso-チオブトキシ、tert-チオブトキシ、チオヘキソキシ、iso-チオヘキソキシ、アミノ、メチルアミノ、ブチルアミノ、トリルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルフェニルアミノ、メチルトリルアミノ、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン及びジトリルアミンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項に記載の化合物。
【請求項3】
及びRが同一であることを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
及びXが、それぞれ互いに独立して、硫黄及びセレンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項5】
及びXが同一であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項6】
及びXが、酸素と硫黄、酸素とセレン、または硫黄とセレンであることを特徴とする、請求項1~のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一つに記載の式(I)に従う少なくとも一種の化合物の、光吸収体またはIR吸収体としての使用。
【請求項8】
電子または光電子デバイスにおける請求項に記載の使用。
【請求項9】
有機太陽電池(organic solar cells、OSC)におけるドナー吸収材料としての、色素増感太陽電池、有機集積回路(organic integrated circuits、O-IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(organic thin film transistor、O-TFT)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)、光検出器及びIRセンサにおける正孔輸送材料(hole transport material,HTM)としての、請求項またはに記載の使用。
【請求項10】
赤外(IR)電荷移動(CT)吸収センサにおける、請求項に記載の使用。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一つに記載の式(I)に従う少なくとも一種の化合物を含む電子または光電子デバイス。
【請求項12】
少なくとも一種の更に別の化合物を含む、請求項11に記載の電子または光電子デバイス。
【請求項13】
少なくとも一種の電子アクセプタ化合物を含む、請求項11に記載の電子または光電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)に従うビスピラニリデン、ジチオビスピラニリデン及びジセレノビスピラニリデン、光またはIR吸収体としてのそれらの使用、及び式(I)の少なくとも一種の化合物を含む電子または光電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光電子デバイスは、光、特に太陽光を電気に変換するか、またはその逆の特性を持つ。この部類のデバイスには、太陽電池、OLED及びセンサ、特に光検出器などが含まれる。太陽電池は、太陽光のできるだけ多くの部分を電力に変換できるように最適化される。他方、検出器は、多くの場合に、検出領域におけるより高い外部量子効率及びより迅速な応答時間を達成するために、外部から印加された電圧で作動する。検出領域は、可視光内及び可視光外であることができる。
【0003】
有機電界効果トランジスタ(OFET)などの電子デバイスは、三つの接点(ソース、ドレイン、ゲート)の他に、非常に薄い絶縁体フィルム及び有機半導体層からなることができ、それのドレイン電圧/電流特性曲線は、ゲート電圧に本質的に依存する。
【0004】
電子及び光電子デバイスに使用するための化合物の開発は、現在、徹底した研究の対象となっている。目的は、特に吸収領域、電気的移動度及びそれ故、デバイス効率に関して向上した特性プロフィルを可能にする化合物を開発及び調査することである。
【0005】
Strzeleckaらは、置換されていない並びにメチル基、アリール基またはチオフェン基で置換されたジピラニリデン及びジチオピラニリデンの光学及び電気的特性の調査を開示している(Strzelecka et al.1979)。これらの化合物は、TCNQ分子錯体の製造のために使用される。
【0006】
Fabreらは、様々な芳香族残基、特にフェニル基、p-トリル基またはチオフェン基で置換されたジピラニリデンを開示している(Fabre et al.1976)。
【0007】
Mabonらは、様々な四置換ジピラニリデン、特に、メチル基またはアリール基、例えばフェニル基、チオフェン基またはアニシル基で置換された対称的及び非対称的ジピラニリデンを製造する方法を開示している(Mabon et al.1989)。
【0008】
光電子部品、例えば太陽光電池及び光検出器、特に近赤外(NIR)センサ及び赤外(IR)センサの特性プロフィルを改善するための一つの変形は、いわゆる電荷移動遷移の利用である。電荷移動遷移(CT、Ladungstransfer-Uebergaenge)は、分子内電荷移動遷移及び分子間電荷移動遷移に分けられる。電荷移動遷移は、ドナー化合物からアクセプタ化合物への完全なまたはほぼ完全な電荷移動である。両化合物が同じ分子中に固定される場合には、分子間電荷移動遷移が存在する。配位的な相互作用によってゆるく結合していてもよい異なる(別個の)分子がドナー化合物及びアクセプタ化合物として働く場合は、これは、分子間電荷遷移と呼ばれる。分子間電荷移動遷移は、典型的には、静電的に結合したドナー-アクセプタ複合体を与える。
【0009】
分子間電荷移動状態は、LUMO(または、エネルギーがより高い状態)における励起電子と、HOMO(または、エネルギーがより低い状態)における正孔との間の弱結合状態であり、この際、前記の正孔及び電子は、空間的に個別の分子上に存在する。好ましくは、電荷移動状態は、ドナー化合物とアクセプタ化合物との間の境界面に形成される。次いで、電磁放射線の吸収の結果として励起されたドナー化合物は、発色団間(interchromophore)電荷移動を介してLUMOの負の電荷をアクセプタ化合物のLUMOに移動させるか、または再結合によって根底状態に移行する。
【0010】
EP3152785B1(特許文献1)及びSiegmundらは、分子間電荷移動吸収に基づく近赤外線光検出器を開示しており(Siegmung et al.2017)、特に、電荷移動吸収のスペクトル範囲において典型的には無視し得る程小さい外部量子効率(EQE)を40倍超高めるための光学的マイクロキャビティの利用を開示している。Siegmundらは、C60フラーレンと高いHOMOレベルを有するドナー材料との混合物、特にZnPc:C60及びTPDP:C60をベースとして、20%を超えるEQE並びに最小36nmまでのスペクトル線幅及び810nmと1550nmとの間の共振波長を記載している。
【0011】
EP3152785B1(特許文献1)は、ドナー化合物、好ましくはフタロシアニン類、例えば亜鉛フタロシアニンまたは鉄フラロシアニン;ピラン類、ビスピラニリデン類、特にTPDP;フルバレン類、例えばテトラチオフルバレン、または芳香族アミン類、例えばN,N,N’,N’-テトラキス(4-メトキシフェニル)ベンジジン、2,7-ビス[N,N-ビス(4-メトキシ-フェニル)アミノ]9,9-スピロ-ビフルオレンまたは4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニル-フェニルアミノ)トリフェニルアミン)、ビスチオピラニリデン類、ビピリジニリデン類、またはジケトピロロピロール類の物質群から選択されるドナー化合物、及びアクセプタ化合物、好ましくはフラーレン類、例えばC60から選択されるアクセプタ化合物を使用した、780nm~10μmのスペクトル波長範囲における電磁信号の検出を記載している。
【0012】
Bolagらは、テトラフェニルジピラニリデン類(TPDP)及びそれらの硫黄類似体をベースとする電界トランジスタを開示している(Bolagら、2009)。Bolagらは、テトラフェニルジピラニリデン類のカチオン及びジカチオンの安定性、分子間相互作用に有利な拡張π系、簡単な製造方法、及び可視光範囲での高い吸収を記載している。更に、Bolagらは、より高い結晶化度の故のテトラフェニルジピラニリデン類に対する硫黄化合物のより高い性能、及び安定性及び溶解性を高めるためのハロゲン置換基の導入を開示している。
【0013】
DE102015101768A1(特許文献2)は、置換されていない及び置換されたキノイド系芳香族、ポリ芳香族、ヘテロ芳香族またはポリヘテロ芳香族化合物、光電子デバイスにおけるそれらの使用、並びに該光電子デバイス及びフィルムや薄層における、特に断熱性ガラスにおけるIR吸収体としてのそれらの使用を開示している。
【0014】
US2011/0083730A1(特許文献3)は、次式(I)の対称的及び非対称的化合物、並びに電子及び光電子部品におけるそれらの使用を開示している。
【0015】
【化1】
式中、X及びXは、互いに独立して、N、P、O、S、Se及びTeから選択され、R及びRは、互いに独立して、炭素原子数4~10の置換されていないまたは置換された芳香族類及びヘテロ芳香族類から選択される。ヘテロ芳香族類としては、チオフェニル残基及びアルコキシチオフェニル残基;特に
【0016】
【化2】
フリル残基、ピロリル残基、ピリジル残基、ピラジル残基、ピラゾリル残基、ピリダジル残基、ピリミジル残基、トリアジル残基、イミダゾリル残基、オキサゾリル残基、インジル残基、インダゾリル残基、キノリル残基及びキノキサリル残基が開示されている。
【0017】
光電子デバイスのための異なる方策によって達成された改善された効率にもかかわらず、現在達成される効率及びデバイス寿命は、商業的な使用のためにはまだ十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】EP3152785B1
【文献】DE102015101768A1
【文献】US2011/0083730A1
【非特許文献】
【0019】
【文献】Bolag A,Mamada M,Nishida J,Yamashita Y(2009)Field-Effect Transistors Based on Tetraphenyldipyranylidenes and the Sulfur Analogues.Chem.Mater.21,4350-4352
【文献】Detty MR,Hassett JW,Murray BJ,Reynolds GA(1985)Δ4,4-4-Chalcogenpyranyl-4H-Chalcogenapyrans.Tetrahedron 41,4853-4859
【文献】Fabre C,Fugnitto R,Strzelecka H(1976)Sur la synthese de dipyranylidenes.Comptes rendus des seances de l’Academie des Sciences.Serie C,Sciences chimiques 282(3),175-177
【文献】Mabon G,Cariou M,Simonet J(1989)The cathodic coupling of heterocyclic activat-ed thioketones.A new and efficient route to π-donors (I) -the synthesis of polysubstituted bipyranylidenes from 4H-pyran 4-thiones.New journal of chemistry 13(8-9),601-607
【文献】Negishi K,Aikawa K,Mikami K(2016)Cyclic‐Protected Hexafluoroacetone as an Air‐Stable Liquid Reagent for Trifluoromethylations.European Journal of Organic Chemistry 23,4099-4104
【文献】Reynolds GA,Chen CH (1980)Synthesis of unsymmetrical Δ4,4-4-bi-4H-pyrans and thiopyrans.Journal of Organic Chemistry 45,2458-2459
【文献】Siegmund B,Mischok A,Benduhn J,Zeika O,Ullbrich S,Nehm F,Boehm M,Spoltore D,Froeb H,Koerner C,Leo K,Vandewal K(2017)Organic narrowband near-infrared photodetectors based on intermolecular charge-transfer absorption.Nature Communications 8,15421
【文献】Strezelecka H,Schoenfelder W,Rivory J(1979)Electrical and optical properties of conducting TCNQ salts.Molecular Crystals and Liquid Crystals 52,307-317
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
それ故、本発明の課題は、高い吸収強度を有する有機系光活性化合物を提供することにある。
【0021】
更に、高い効率を有する電子または光電子デバイスを提供することも本発明の課題である。
【0022】
本発明によれば、前記課題は、次式(I)の化合物によって解決される。
【0023】
【化3】
式中、X及びXは、それぞれ互いに独立して、酸素、硫黄及びセレンを含む群から選択され、R及びRは、それぞれ互いに独立して、置換されたチオフェン残基及びセレノフェン残基を含む群から選択される。
【0024】
本発明による化合物は、有利に、高い熱安定性を有する。本発明による化合物は、有利に、高真空下に昇華可能である。更に有利なことに、本発明による化合物は、可視光範囲及び赤外範囲において光活性を有する。有利なことに、本発明による化合物は、電子ドナー化合物であり、特に有利には、本発明による化合物は、適切なp-アクセプタ材料と共に、長波長でかつ強い吸収性電荷移動(CT、Ladungstransfer)遷移を示す。置換されたチオフェン及びセレノフェン残基を有する本発明による化合物の吸収が、CT状態を介して更に赤いまたはそれより長波長の吸収領域にシフトする理由は、HOMO状態の拡大及び増強にあり、それによって、LUMOエネルギーとの重複が大きくなり、それと共に、使用したアクセプタとの重複も大きくなる。
【0025】
更に別の実施形態では、R及びRは、それぞれ互いに独立して、
【0026】
【化4】
を含む群から選択され、ここでRは、C1~C20アルキル残基及びシクロアルキル残基、C1~C20パーフルオロアルキル残基、C1~C20アリール残基及びヘテロアリール残基、C1~C20アルコキシ残基及びチアアルコキシ残基、及び第一級、第二級及び第三級C1~C20アルキルアミノ残基から選択される。
【0027】
「パーフルオロアルキル残基」とは、全ての水素原子がフッ素原子で置き換えられたアルキル残基を意味する。好ましくは、パーフルオロアルキル残基は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロプル、iso-ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、tert-ノナフルオロブチル及びiso-ノナフルオロブチルを含む群から選択される。
【0028】
「第一級アルキルアミン残基」は、一つの水素原子がアルキル残基で置き換えられたアンモニアの誘導体、例えばメチルアミンを意味する。
【0029】
「第二級アルキルアミン残基」は、二つの水素原子がそれぞれ一つのアルキル残基で置き換えられたアンモニアの誘導体、例えばジメチルアミンまたはエチルメチルアミンを意味する。
【0030】
「第三級アルキルアミン残基」は、三つの水素原子がそれぞれ一つのアルキル残基で置き換えられたアンモニアの誘導体、例えばトリメチルアミンまたはエチルジメチルアミンを意味する。
【0031】
更に別の実施形態では、第一級、第二級及び第三級C1~C20アルキルアミン残基は、環状アミン、特に環状第二級アミン、及びビストリルアミンを含む。
【0032】
更に別の実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、iso-ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、tert-ノナフルオロブチル、iso-ノナフルオロブチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ウノ(Uno)ドデカフルオロヘキシル、フェニル、ベンジル、ジフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピリジル、フラニル、チエニル、チアジル、オキサジル、イミダジル、ピリミジル、チアジニル残基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、チオメトキシ、チオエトキシ、チオプロポキシ、iso-チオプロポキシ、チオブトキシ、iso-チオブトキシ、tert-チオブトキシ、チオヘキソキシ、iso-チオヘキソキシ、アミノ、メチルアミノ、ブチルアミノ、トリルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルフェニルアミノ、メチルトリルアミノ、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン及びジトリルアミンを含む群から選択される。
【0033】
好ましい実施形態の一つでは、Rは、置換されていない及び置換されたC1~C20アルキル残基を含む群から、特に好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルを含む群から選択される。
【0034】
一実施形態では、R及びRは同一である。
【0035】
更に別の実施形態では、X及びXは、酸素と硫黄、酸素とセレン、または硫黄とセレンである。
【0036】
好ましい実施形態では、X及びXは、それぞれ互いに独立して、硫黄及びセレンを含む群から選択される。
【0037】
好ましい実施形態の一つでは、X及びXは同一である。好ましい実施形態の一つでは、X及びXは、酸素、硫黄及びセレンを含む群から選択され、特に好ましくはX及びXは硫黄である。
【0038】
更に別の実施形態では、本発明による化合物は対称的であり、RとR、及びXとXは同一である。
【0039】
本発明による化合物の特に好ましい実施形態は、次の個々の化合物である:
2,2’,6,6’-テトラ-(2-メチルチエニル)-4,4’-ビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-エチルチエニル)-4,4’-ビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-プロピルチエニル)-4,4’-ビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ブチルチエニル)-4,4’-ビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ペンチルチエニル)-4,4’-ビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ヘキシルチエニル)-4,4’-ビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラキス(7-メチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル)-4,4’-ビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ヘプチルチエニル)-4,4’-ビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-メチルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-エチルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-プロピルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ブチルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ペンチルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ヘキシルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ヘプチルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラキス(7-メチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-メチルチエニル)-4,4’-ジセレノビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-エチルチエニル)-4,4’-ジセレノビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-プロピルチエニル)-4,4’-ジセレノビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ブチルチエニル)-4,4’-ジセレノビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ペンチルチエニル)-4,4’-ジセレノビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ヘキシルチエニル)-4,4’-ジセレノビスピラニリデン、
2,2’,6,6’-テトラ-(2-ヘプチルチエニル)-4,4’-ジセレノビスピラニリデン、または
2,2’,6,6’-テトラキス(7-メチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル)-4,4’-ジセレノビスピラニリデン。
【0040】
また、更に別の本発明の対象は、特に電子または光電子デバイスにおける、光吸収体またはIR吸収体としての式(I)の少なくとも一種の化合物の使用であり、式中、X及びXは、それぞれ互いに独立して、酸素、硫黄及びセレンを含む群から選択され、R及びRは、それぞれ互いに独立して、置換されたチオフェン残基及びセレノフェン残基を含む群から選択される。
【0041】
「光」とは、380nm~780nmの範囲の波長を有する電磁放射線のことを意味する。赤外(IR)とは、780nm~1mmの範囲の波長を有する電磁放射線のことを意味する。「近赤外(NIR)」とは、780nm~3μmの波長範囲の電磁放射線のことを意味する。
【0042】
「光検出体またはIR検出体」とは、380nm~1mmの範囲の波長を有する電磁放射線の少なくとも一部を吸収できる化合物のことを意味する。
【0043】
「光電子デバイス」とは、電気的部品及び光学的部品との間のインターフェースであるデバイスを意味する。実施形態では、光電子デバイスは、有機太陽電池(organic solar cells、OSC)、色素増感太陽電池、有機集積回路(organic integrated circuits、O-IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(organic thin film transistor、O-TFT)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)、光検出器及びIRセンサ、特に赤外(IR)電荷移動(CT)吸収センサを含む群から選択される。
【0044】
様々な実施形態において、電子アクセプタ、好ましくはフラーレン類、特に好ましくはC60-またはC70-フラーレン;またはフラーレン誘導体、例えば1-(3-メトキシカルボニル)-プロピル-1-1-フェニル-(6,6)C61(PCBM)と組み合わせた、光吸収体またはIR吸収体としての少なくとも一種の本発明による化合物の使用は、光電子デバイス中での光活性混合層として行われる。有利には、本発明による化合物による光またはIR放射線の吸収の後には、電子アクセプタへの電子の移動が起こる。好ましくは、電子は、電子移動層を介して電極に到達する。
【0045】
更に別の実施形態では、該使用は、有機太陽電池(organic solar cells、OSC)におけるドナー吸収材料としての、色素増感太陽電池、有機集積回路(organic integrated circuits、O-IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(organic thin film transistor、O-TFT)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)、光検出器及びIRセンサ、特に赤外(IR)電荷移動(CT)吸収センサにおける正孔輸送材料として行われる。
【0046】
好ましくは、少なくとも一種の本発明による化合物の使用は、赤外(IR)電荷移動(CT)吸収センサにおいて行われる。本発明による化合物を用いたIR-CT吸収センサは、有利に、最大100nm、好ましくは最大50nm、特に好ましくは最大15nmのスペクトル線幅を達成する。
【0047】
また、更に別の本発明の対象は、780nm~10μmの波長範囲における電磁放射信号の検出のための方法における、式(I)による少なくとも一種の化合物の使用であり、前記式中、X及びXは、それぞれ互いに独立して、酸素、硫黄及びセレンを含む群から選択され、R及びRは、それぞれ互いに独立して、置換されたチオフェン残基及びセレノフェン残基を含む群から選択される。
【0048】
好ましくは、該使用は、次のステップを含む、780nm~10μmの波長範囲の電磁信号の検出のための方法において行われる:
a)基材上に配置されている光電子デバイスを提供するステップであって、前記光電子デバイスは、
i.光学的マイクロキャビティを形成する、互いに隔離しかつ向かい合っている二つの鏡面を含み、
ii.式(I)による少なくとも一種の化合物及び更に別の化合物を含む、前記鏡面の間に配置された光活性層を含み、
ここで、前記更に別の化合物は、好ましくは、フラーレン類、好ましくはC60またはC70-フラーレン類、またはフラーレン誘導体、好ましくは1-(3-メトキシカルボニル)-プロピル-1-1-フェニル-(6,6)C61(PCBM)から選択され、この際、式(I)による化合物のHOMOエネルギーと、前記更に別の化合物のLUMOエネルギーとの間のエネルギー差は1.6eV未満であり、
鏡面間の光学的距離は、検出すべき信号の波長の25~75%の範囲にあり、及び
検出すべき電磁信号の波長範囲のエネルギー換算値は、
-式(I)による化合物のHOMOエネルギー及び前記更に別の化合物のLUMOエネルギーによって定義されるエネルギー差、及び
-式(I)による化合物のHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーによって定義されるエネルギー差、
の範囲に存在し、
光活性層は、光学的マイクロキャビティ内において、前記鏡面間での検出すべき電磁信号の波長の空間的強度最大に配向されているステップ;
b)780nm~10mmの波長範囲内の電磁信号で該光電子デバイスを照射するステップ;
c)光学的マイクロキャビティ内で、検出すべき電磁信号を増幅するステップであって、検出すべき信号の波長によって誘導して、式(I)による化合物から前記更に別の化合物への直接的な発色団間電荷移動が行われるステップ;
d)電磁信号を電気信号に変換するステップ。
【0049】
本発明の更に別の観点の一つは、式(I)による少なくとも一種の化合物を含む電子または光電子デバイスであって、式中、X及びXは、それぞれ互いに独立して、酸素、硫黄及びセレンを含む群から選択され、R及びRは、それぞれ互いに独立して、置換されたチオフェン残基及びセレノフェン残基を含む群から選択される、電子または光電子デバイスに関する。
【0050】
実施形態では、前記光電子デバイスは、少なくとも一種の更に別の化合物、特に電子アクセプタ化合物(アクセプト化合物)を更に含み、ここで、前記更に別の化合物は、好ましくは、フラーレン類、好ましくはC60-またはC70-フラーレン類、またはフラーレン誘導体、好ましくは1-(3-メトキシカルボニル)-プロピル-1-1-フェニル-(6,6)C61(PCBM)から選択される。好ましくは、該光電子デバイスは、少なくとも一種の本発明による化合物及び少なくとも一種の更に別の化合物を、光活性混合層として含む。
【0051】
更に別の実施形態では、該光電子デバイス、特に有機太陽電池は、二つ以上の光活性層(多接合デバイス)を含み、ここで、これらの光活性層は、大概は、いわゆる再結合接点を介して連結して接続している、ほぼ垂直に直接積み重ねて加工された個々の太陽電池中に収容されている。
【0052】
様々な実施形態において、該光電子デバイス、特に有機太陽電池は、いわゆるカスケード型構造において本発明による化合物を光吸収体として含む。この際、太陽電池の光活性層は、複数のドナー分子の配列と、それに続く複数のアクセプタ分子から構成される(設計に応じて、p-i-n構造としてまたは逆順列でn-i-p構造としても構成される)。他の実施形態の一つでは、光活性層を形成し、それにより太陽光のより幅の広いスペクトル範囲をカバーするために、複数種のドナーを複数種のアクセプタと混合することもできる。
【0053】
光電子デバイスの荷電移動の強度は、有利なことに、テトラフェニルジピラニリド(TPDP)を含む光電子デバイスよりも二倍から三倍大きい。
【0054】
一実施形態では、本発明による光電子デバイスは、少なくとも1000nmまで、好ましくは少なくとも1300nmまで、特に好ましくは少なくとも1600nmまでの波長の吸収領域を有する。
【0055】
好ましい実施形態では、本発明による光電子デバイスは、810nm~1665nm、好ましくは900nm~1300nmの吸収波長を有する。
【0056】
更に別の実施形態では、該光電子デバイスは、金属、伝導性酸化物、特に酸化インジウムスズ(indium tin oxide、ITO)、ZnO:Al、または他の透明で電気伝導性酸化物(transparent conductive oxide、TCO);または伝導性ポリマー、特にPEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシ-チオフェン)po-(スチレンスルホネート))またはPANI(ポリアニリン)からなる電極を含む。
【0057】
様々な実施形態において、基材上に配置されている電極は、光に対して透光性に設計される。「透光性」とは、少なくともある特定の光波長範囲において1%~100%の範囲の透過性をもつ、材料の部分的な光透過性のことを意味する。
【0058】
実施形態では、該光電子デバイスは、少なくとも、
i.光学的マイクロキャビティを形成する、互いに隔離しかつ向かい合っている二つの鏡面、
ii.式(I)に従う少なくとも一種の化合物及び更に別の化合物を含む、これらの鏡面の間に配置された光活性層、
を基材上に有し、ここで、前記更に別の化合物は、好ましくは、フラーレン類、好ましくはC60またはC70-フラーレン類、またはフラーレン誘導体、好ましくは1-(3-メトキシカルボニル)-プロピル-1-1-フェニル-(6,6)C61(PCBM)から選択され、この際、式(I)による化合物のHOMOエネルギーと、前記更に別の化合物のLUMOエネルギーとの間のエネルギー差は1.6eV未満であり、
前記鏡面間の光学的距離は、検出すべき信号の波長の25~75%の範囲にあり、及び
検出すべき電磁信号の波長範囲のエネルギー換算値は、
-式(I)による化合物のHOMOエネルギー及び前記更に別の化合物のLUMOエネルギーによって定義されるエネルギー差、及び
-式(I)による化合物のHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーによって定義されるエネルギー差、
の範囲に存在し、
前記光活性層は、光学的マイクロキャビティ内において、前記鏡面間での検出すべき電磁信号の波長の空間的強度最大に配向されている。
【0059】
本発明の更に別の観点の一つは、空間分解能、時間分解能及び/またはスペクトル分解能をもって780nm~10μmの波長範囲内で電磁信号を検出するための並びにそれの二次加工のための該光電子デバイスの使用に関する。
【0060】
本発明の実現のためには、先に述べた請求項の態様及び特徴を組み合わせること、特に本発明による化合物の先に述べた実施形態を、上記の使用及び上記の電子または光電子デバイスに使用することも有利である。
【0061】
以下には、本発明を、幾つかの実施例及び添付の図面に基づいて、より詳しく説明する。この際、実施例は本発明を説明するものであるが、これを限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】ジメチルホルムアミド(DMF)中(c=10-5モル/L)のチエニル置換ビスピラニリデン及びジチオビスピラニリデンのUV-Vis吸収スペクトル。
図2】2,2’,6,6’-テトラチエニル-4,4’-ジチオビスピラニリデン(参考例)(円)または2,2’,6,6’-テトラ(2-メチルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン(四角)及びC60を含む光電子デバイスの外部量子効率(EQE)及び内部量子効率(IQE)の測定。白抜きの記号は、425nm~525nmのスペクトル範囲のIQEを示す(IQE=EQE/吸収-1)。点線は平均IQEを示す。黒塗りの記号はEQEを示す。
図3】a:該化合物とC60との混合物のCT吸収プロフィルσCT(線形及び対数スケール)。b:振動子強度fσ。c:対称的チエニル置換ビスピラニリデン類及びジチオビスピラニリデン類の構造。
【0063】
一般的合成作業技術
溶剤は、使用の前に標準技術に従って精製、乾燥する。
【0064】
エレクトロスプレーイオン化質量分析(Electron Spray Ionization-Mass Spectrometry,ESI-MS)
質量分析は、ブルカー社製エスクワイア・イオン・トラップ(ESI/APCI)及び2mg/Lの試料濃度を用いて行う。
【0065】
核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance、NMR)分析
NMRスペクトルの測定は、ブルカーAC300、AC-600またはブルカーDRX500核磁気共鳴分析器のいずれかを用いて、重水素化溶剤中で、26~30℃で実施する。H及び13C共鳴のシフトは、非重水素化溶剤の残留信号に対してppmとして示す。結合定数は、符号を表記することなくHzで示し、ここで、個々の信号の多重度については、以下の略語を使用する:s:シングレット;d:ダブレット;dd:ダブルダブレット;t:トリプレット;qua:クオタレット;qi:クインテッド;sep:セプテット;m:マルチプレット;br.s.:ブロード信号。
【0066】
紫外線-可視光(UV-Vis)吸収分光分析
光学的特徴付けは、光学帯域幅、吸収帯域の形状及び吸光係数の決定のために、UV-Vis分光分析を用いて行う。UV-Visスペクトルは、パーキンエルマー社製ラムダ25UV/VIS分光分析器を用いて600nm/分の走査速度で測定する。
【0067】
1,5-ジ-(2-チエニル)ペンタン-1,5-ジオンの合成指針
15ml水不含ジクロロメタン(DCM)を、100mLの丸底フラスコ中で、保護ガス雰囲気下に16.0g(120mmol、2当量)の塩化アルミニウムに加える。15mlのDCM中の11.6ml(120mmol、2.4当量)のチオフェン及び6.4ml(50mmol、1当量)のグルタリルクロライドからなる溶液を10分間かけて滴下する。この滴下の時、色が淡いオレンジ色から暗い赤色へと変化する。この溶液を一晩攪拌し、そしてフラスコを氷浴中で冷却する。反応を、氷及び濃塩酸(2ml)を用いて停止する。過剰の塩化アルミニウムとの発熱反応が終了するまで、攪拌しながら水を加える。この混合物を50mLのDCMで希釈し、そして2時間攪拌する。有機相を温かいDCMで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空下に濃縮する。粗製生成物を粉砕し、そして冷たいジエチルエーテルで洗浄する。
【0068】
【化5】
実験式:C1312(264.03g/mol)
収量:11.2g(42.3mmol,85%)
ESI-MS:m/z265[M]
H-NMR(500MHz,CDCl,ppm):δ=7.73(dd,J=3.8,1.1Hz,1H),7.61(dd,J=4.9,1.1Hz,1H),7.10(dd,J=4.9,3.8Hz,1H),3.04(t,J=7.0Hz,2H),2.19(qt,J=7.0,3.5Hz,1H)。
13C-NMR(75MHz,CDCl,ppm):δ=193.39,144.81,134.22,132.68,128.78,38.81,19.96。
【0069】
2,6-ジ-(2-チエニル)ピリリウムテトラフルオロボレートの合成指針
9.7ml(76.2mmol、10当量)のテトラフルオロホウ酸溶液(水中50%(m/m))を、50mlの無水酢酸中の2.0g(7.6mmol、1当量)の1,5-ジ-(2-チエニル)ペンタン-1,5-ジオンからなる懸濁液に30分間かけて滴下し、この際、温度は、氷浴を用いて15℃未満に維持する。この添加の完了後、この混合物を室温で更に2時間攪拌し、そして一晩5℃に放置する。500mlのヘキサン/ジエチルエーテル(1:10)の添加後、褐色の沈殿物が沈降する。生成物を、真空濾過、ジエチルエーテルでの洗浄及び室温下での真空乾燥によって得る。
【0070】
【化6】
実験式:C13BFOS(332.01g/mol)
収量:1.59g(4.8mmol,63%)
ESI-MS:m/z245[M-BF,277[M-BF+CHOH]
吸収(DCM):αmax=489nm(ε=30458Lmol-1cm-1
H-NMR(500MHz,アセトニトリル,ppm):δ=8.61(t,J=8.4Hz,1H),8.28(dd,J=4.0,1.1Hz,2H),8.21(dd,J=4.9,1.1Hz,2H),8.08(d,J=8.4Hz,2H),7.44(dd,J=4.9,4.1Hz,2H)。
13C-NMR(75MHz,アセトニトリル,ppm):δ=167.00,155.90,140.54,186.98,188.28,181.95,117.71。
【0071】
2,2’,6,6’-テトラチエニル-4,4’-ビスピラニリデンの合成指針
保護ガス下に、1.2ml(4.7mmol、1当量)のトリブチルホスフィンを、50mlの乾燥したアセトニトリル中の1.56g(4.7mmol、1当量)の2,6-ジ-(2-チエニル)ピリリウムテトラフルオロボレートからなるオレンジ色の懸濁液に加える。この混合物は、色を黄色に変化し、そして室温下に2.5時間攪拌する。次いで、4.0ml(23.5mmol、5当量)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加える。この混合物を、環流下に95℃で2時間、保護ガス雰囲気下に沸騰させ、そして一晩放置する。生成物は、濾過、アセトニトリルを用いた洗浄及び空気乾燥の後に黒色の固形物として得られる。
【0072】
【化7】
実験式:C2616(488.00g/mol)
収量:0.62g(1.27mmol,54%)
ESI-MS:m/z488[M]
吸収(DMF):αmax=482nm(ε=29610Lmol-1cm-1
融点:239℃
H-NMR(500MHz,CDCl,ppm):δ=7.74(dd,J=3.7,1.1Hz,1H),7.65(dd,J=5.0,1.1Hz,1H),7.21(dd,J=5.0,3.7Hz,1H),6.95(s,1H)。
13C-NMR(125.75MHz,CDCl,ppm):δ=144.90,136.50,12.08,126.42,124.15,113.68,101.85。
【0073】
2,6-ジチエニルチオピリリウムパークロラートの合成指針
250ml丸底フラスコ中に、7.80g(29.5mmol、1.0当量)の1,5-ジ-(2-チエニル)ペンタン-1,5-ジオン、9.86g(44.3mmol、1.5当量)の硫化燐(V)、180mlの酢酸及び18.90g(60mmol、6.0当量)の過塩素酸リチウムを順番に導入する。この混合物を環流下に3時間沸騰させる。色がオレンジ色から暗赤色に変化する。濾過及び熱い酢酸を用いた洗浄によって緑色の固形物が得られる。濾液を真空下に濃縮し、そして過剰のジエチルエーテルを添加し、そして5℃で一晩保管することによって、黒色の固形物が得られる。この粗製生成物を酢酸中で再結晶化して、緑色の結晶を得る。
【0074】
【化8】
実験式:C13ClO(359.94g/mol)
収量:3.0g(8.3mmol,28%)
ESI-MS:m/z261[M-ClO
吸収(DCM):αmax=514nm(ε=31902Lmol-1cm-1
H-NMR(500MHz,アセトニトリル,ppm):δ=8.55(t,J=8.8Hz,1H),8.43(d,J=8.7Hz,2H),8.20-8.04(m,4H),7.42(dd,J=4.9,4.0Hz,2H)。
13C-NMR(125.75MHz,アセトニトリル,ppm):δ=162.24,151.35,139.07,137.80,134.81,132.50,130.26。
【0075】
2,2’,6,6’-テトラチエニル-4,4’-ジチオビスピラニリデンの合成指針(参考例)
保護ガス下に、0.65ml(2.6mmol、1当量)のトリブチルホスフィンを、50mlの乾燥したアセトニトリル中の0.95g(2.6mmol、1当量)の2,6-ジチエニルチオピリリウムパークロラートからなる紫色の懸濁液に加える。この混合物は、色を灰色に変化し、そして室温下に2.5時間攪拌する。次いで、2.2ml(13.0mmol、5当量)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加える。この混合物を、環流下に95℃で2時間、保護ガス雰囲気下に沸騰させ、そして一晩放置する。濾過及びDMSOからの再結晶化の後に生成物が黒色の固形物として得られる。
【0076】
【化9】
実験式:C2616(519.96g/mol)
収量:0.26g(0.5mmol,39%)
ESI-MS:m/z520[M]
吸収(DMF):αmax=512nm
融点:314℃
H-NMR(500MHz,ピリジン,ppm):δ=7.52(dd,J=5.1,1.1Hz,1H),7.50 1 7.46(m,1H),7.40(s,1H),7.13(dd,J=5.1,3.7Hz,1H)。
【0077】
1,5-ジ-(2-(5-メチル)チエニル)ペンタン-1,5-ジオンの合成指針
15ml水不含ジクロロメタン(DCM)を、100mLの丸底フラスコ中で、保護ガス雰囲気下に16.0g(120mmol、2当量)の塩化アルミニウムに加える。15mlのDCM中の11.6ml(120mmol、2.4当量)の2-メチルチオフェン及び6.4ml(50mmol、1当量)のグルタリルクロライドからなる溶液を10分間かけて滴下する。この滴下の時、色が淡いオレンジ色から暗い赤色へと変化する。この溶液を一晩攪拌し、そしてフラスコを氷浴中で冷却する。反応を、氷及び濃塩酸(2ml)を用いて停止する。過剰の塩化アルミニウムとの発熱反応が終了するまで、攪拌しながら水を加える。この混合物を50mLのDCMで希釈し、そして2時間攪拌する。有機相を温かいDCMで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空下に濃縮する。粗製生成物を粉砕し、そして冷たいジエチルエーテルで洗浄する。
【0078】
【化10】
実験式:C1516(292.06g/mol)
収量:9.9g(33.8mmol,68%)
ESI-MS:m/z293[M]
H-NMR(500MHz,CDCl,ppm):δ=7.53(d,J=3.7Hz,1H),6.76(m,1H),2.94(t,J=7.0Hz,2H),2.51(d,J=0.7Hz,3H),2.13(p,J=7.0Hz,1H)。
13C-NMR(125.75MHz,CDCl,ppm):δ=192.47,149.60,141.96,132.64,126.74,37.75,19.72,15.60。
【0079】
2,6-ジ-(2-(5-メチル)チエニル)ピリリウムテトラフルオロボレートの合成指針
9.7ml(76.2mmol、10当量)のテトラフルオロホウ酸溶液(水中50%(m/m))を、50mlの無水酢酸中の2.2g(7.6mmol、1当量)の1,5-ジ-(2-(5-メチル)チエニル)ペンタン-1,5-ジオンからなる懸濁液に30分間かけて滴下し、この際、温度は、氷浴を用いて15℃未満に維持する。この添加の完了後、この混合物を室温で更に2時間攪拌し、そして一晩5℃に放置する。500mlのヘキサン/ジエチルエーテル(1:10)の添加後、赤色の沈殿物が沈降する。生成物が、真空濾過、ジエチルエーテルでの洗浄及び室温下での真空乾燥によって得られる。
【0080】
【化11】
実験式:C1513BFOS(360.04g/mol)
収量:1.0g(2.8mmol,37%)
ESI-MS:m/z273[M-BF,305[M-BF+CHOH]
吸収(DCM):αmax=520nm(ε=27691Lmol-1cm-1
H-NMR(500MHz,アセトニトリル,ppm):δ=8.45(t,J=8.4Hz,1H),8.06(d,J=4.0Hz,2H),7.88(d,J=8.4Hz,2H),7.13(dd,J=4.0,0.9Hz,2H),2.66(s,6H)。
13C-NMR(75MHz,アセトニトリル,ppm):δ=166.03,157.53,154.45,137.45,131.13,130.83,116.23,16.58。
【0081】
2,2’,6,6’-テトラ-(2-メチルチエニル)-4,4’-ビスピラニリデンの合成指針
保護ガス下に、1.2ml(4.7mmol、1当量)のトリブチルホスフィンを、50mlの乾燥したアセトニトリル中の1.69g(4.7mmol、1当量)の2,6-ジ-(2-(5-メチル)チエニル)ピリリウムテトラフルオロボレートからなるオレンジ色の懸濁液に加える。この混合物は、色を黄色に変化し、そして室温下に2.5時間攪拌する。次いで、4.0ml(23.5mmol、5当量)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加える。この混合物を、環流下に95℃で2時間、保護ガス雰囲気下に沸騰させ、そして一晩放置する。生成物は、濾過、アセトニトリルを用いた洗浄及び空気乾燥の後に黒色の固形物として得られる。
【0082】
【化12】
実験式:C3024(544.07g/mol)
収量:0.89g(1.64mmol,70%)
HR-EI-MS:m/z544.0661[M]
吸収(DMF):αmax=488nm(ε=44663Lmol-1cm-1
融点:328℃
H-NMR(600MHz,ベンゼン,ppm):δ=7.16(s,1H),6.45(d,J=3.0Hz,1H),6.40(br.s.,1H),2.11(br.s.,3H)。
【0083】
2,6-ジ(5-メチルチエニル)チオピリリウムパークロラートの合成指針
250ml丸底フラスコ中に、5.00g(17.1mmol、1.0当量)の1.5-ジ-(2-(5-メチル)チエニル)ペンタン-1,5-ジオン、5.72g(25.7mmol、1.5当量)の硫化燐(V)、250mlの酢酸及び10.90g(102.2mmol、6.0当量)の過塩素酸リチウムを順番に導入する。この混合物を環流下に3時間沸騰させる。色がオレンジ色から深紫色に変化する。この混合物を熱濾過し、そして48時間放置する。緑色の結晶を、ジエチルエーテルで洗浄し、そして空気乾燥する。
【0084】
【化13】
実験式:C1513ClO(387.97g/mol)
収量:2.16g(5.6mmol,33%)
ESI-MS:m/z289[M-ClO
吸収(DCM):αmax=552nm(ε=37946Lmol-1cm-1
H-NMR(500MHz,アセトニトリル,ppm):δ=3.33(dd,J=9.5,3.1Hz,1H),3.25 4 3.15(m,2H),7.93(d,J=4.0Hz,2H),7.13(dd,J=4.0,1.0Hz,2H),2.65(s,6H)。
13C-NMR(75MHz,アセトニトリル,ppm):δ=161.09,156.02,150.44,135.56,135.27,131.57,123.49,16.76。
【0085】
2,2’,6,6’-テトラ(2-メチルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデンの合成指針
保護ガス下に、0.7ml(2.8mmol、1当量)のトリブチルホスフィンを、50mlの乾燥したアセトニトリル中の1.10g(2.8mmol、1当量)の2,6-ジ(5-メチルチエニル)チオピリリウムパークロラートからなる紫色の懸濁液に加える。この混合物は、色を灰色に変化し、そして室温下に2.5時間攪拌する。次いで、2.4ml(14.0mmol、5当量)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加える。この混合物を、環流下に95℃で2時間、保護ガス雰囲気下に沸騰させ、そして一晩放置する。濾過及びDMSOからの再結晶化の後に生成物が黒色の固形物として得られる。
【0086】
【化14】
実験式:C3024(576.02g/mol)
収量:0.58g(1.0mmol,72%)
ESI-MS:m/z576[M]
吸収(DMF):αmax=521nm
融点:304℃
H-NMR(500MHz,ピリジン,ppm):δ=7.35(m,1H),7.29(d,J=3.6Hz,1H),6.76(dd,J=3.6,1.1Hz,1H),2.33(s,3H)。
【0087】
1,5-ジ-(2-(5-エチル)チエニル)ペンタン-1,5-ジオンの合成指針
15ml水不含ジクロロメタン(DCM)を、100mLの丸底フラスコ中で、保護ガス雰囲気下に16.0g(120mmol、2当量)の塩化アルミニウムに加える。15mlのDCM中の12.7ml(120mmol、2.4当量)の2-エチルチオフェン及び6.4ml(50mmol、1当量)のグルタリルクロライドからなる溶液を10分間かけて滴下する。この滴下の時、色が淡いオレンジ色から暗い赤色へと変化する。この溶液を一晩攪拌し、そしてフラスコを氷浴中で冷却する。反応を、氷及び濃塩酸(2ml)を用いて停止する。過剰の塩化アルミニウムとの発熱反応が終了するまで、攪拌しながら水を加える。この混合物を50mLのDCMで希釈し、そして2時間攪拌する。有機相を温かいDCMで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空下に濃縮する。粗製生成物を粉砕し、そしてジエチルエーテルから再結晶化する。
【0088】
【化15】
実験式:C1720(320.09g/mol)
収量:10.3g(32.1mmol,64%)
ESI-MS:m/z321[M]
H-NMR(500MHz,CDCl,ppm):δ=7.55(d,J=3.8Hz,1H),6.79(dt,J=3.8,0.9Hz,1H),2.95(t,J=7.0Hz,2H),2.85(qd,J=7.5,0.6Hz,2H),2.14(p,J=7.0Hz,1H),1.30(t,J=7.5Hz,3H)。
13C-NMR(75MHz,CDCl,ppm):δ=192.52,157.16,141.46,132.47,124.90,37.76,24.00,19.74,15.53。
【0089】
2,6-ジ-(2-(5-エチル)チエニル)ピリリウムテトラフルオロボレートの合成指針
9.7ml(76.2mmol、10当量)のテトラフルオロホウ酸溶液(水中50%(m/m))を、50mlの無水酢酸中の2.4g(7.6mmol、1当量)の1,5-ジ-(2-(5-エチル)チエニル)ペンタン-1,5-ジオンからなる懸濁液に30分間かけて滴下し、この際、温度は、氷浴を用いて15℃未満に維持する。この添加の完了後、この混合物を室温で更に2時間攪拌し、そして一晩5℃に放置する。500mlのヘキサン/ジエチルエーテル(1:10)の添加後、赤色の沈殿物が沈降する。生成物を、真空濾過、ジエチルエーテルでの洗浄及び室温下での真空乾燥によって得る。
【0090】
【化16】
実験式:C1717BFOS(388.07g/mol)
収量:1.4g(3.6mmol,48%)
ESI-MS:m/z301[M-BF
吸収(DCM):αmax=524nm(ε=31596Lmol-1cm-1
H-NMR(500MHz,アセトニトリル,ppm):δ=8.45(t,J=8.4Hz,1H),8.11(d,J=4.1Hz,2H),7.89(d,J=8.4Hz,2H),7.20(dt,J=4.1,0.9Hz,2H),3.05(q,J=7.5Hz,4H),1.39(t,J=7.5Hz,6H)。
13C-NMR(75MHz,アセトニトリル,ppm):δ=165.95,164.53,154.10,137.05,130.22,129.13,115.99,24.79,15.56。
【0091】
2,2’,6,6’-テトラ-(2-エチルチエニル)-4,4’-ビスピラニリデンの合成指針
保護ガス下に、1.3ml(5.2mmol、1当量)のトリブチルホスフィンを、60mlの乾燥したアセトニトリル中の2.0g(5.2mmol、1当量)の2,6-ジ-(2-(5-エチル)チエニル)ピリリウムテトラフルオロボレートからなるオレンジ色の懸濁液に加える。この混合物は、色を黄色に変化し、そして室温下に2.5時間攪拌する。次いで、4.4ml(26mmol、5当量)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加える。この混合物を、環流下に95℃で2時間、保護ガス雰囲気下に沸騰させ、そして一晩放置する。生成物は、濾過、アセトニトリルを用いた洗浄及び空気乾燥の後に黒色の固形物として得られる。
【0092】
【化17】
実験式:C3432(600.13g/mol)
収量:1.0g(1.67mmol,64%)
HR-EI-MS:m/z600.1288[M]
吸収(DMF):αmax=488nm(ε=51749Lmol-1cm-1
融点:221℃
H-NMR(500MHz,ベンゼン,ppm):δ=7.16(s,1H),6.52(d,J=3.5Hz,1H),6.44(br.s.,1H),2.53(br.s.,2H),1.07(t,J=7.6HZ,3H)。
【0093】
2,6-ジ(5-エチルチエニル)チオピリリウムパークロラートの合成指針
250ml丸底フラスコ中に、4.00g(12.6mmol、1.0当量)の1.5-ジ-(2-(5-エチル)チエニル)ペンタン-1,5-ジオン、4.21g(18.9mmol、1.5当量)の硫化燐(V)、250mlの酢酸及び8.07g(75.6mmol、6.0当量)の過塩素酸リチウムを順番に導入する。この混合物を環流下に3時間沸騰させる。色がオレンジ色から深紫色に変化する。この混合物を熱濾過し、そして48時間放置する。緑色の結晶を、ジエチルエーテルで洗浄し、そして空気乾燥する。
【0094】
【化18】
実験式:C1717ClO(416.00g/mol)
収量:2.23g(5.4mmol,43%)
ESI-MS:m/z317[M-ClO
吸収(DCM):αmax=554nm(ε=39270Lmol-1cm-1
H-NMR(300MHz,アセトニトリル,ppm):δ=8.39(dd,J=9.6,3.0Hz,1H),8.26-8.16(m,2H),7.95(d,J=4.0Hz,2H),7.18(dt,J=4.0,0.9Hz,2H),3.01(q,J=7.5Hz,4H),1.37(t,J=7.5Hz,6H)。
13C-NMR(125.75MHz,CDCl,ppm):δ=161.92,159.34,149.72,134.38,133.70,128.64,126.94,24.42,15.28。
【0095】
2,2’,6,6’-テトラ(2-エチルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデンの合成指針
保護ガス下に、0.6ml(2.4mmol、1当量)のトリブチルホスフィンを、50mlの乾燥したアセトニトリル中の1.0g(2.4mmol、1当量)の2,6-ジ(5-エチルチエニル)チオピリリウムパークロラートからなる紫色の懸濁液に加える。この混合物は、色を灰色に変化し、そして室温下に2.5時間攪拌する。次いで、2.1ml(12.0mmol、5当量)のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加える。この混合物を、環流下に95℃で2時間、保護ガス雰囲気下に沸騰させ、そして一晩放置する。生成物は、濾過、アセトニトリルを用いた洗浄及び空気乾燥の後に黒色の結晶の形で得られる。
【0096】
【化19】
実験式:C3432(632.08g/mol)
収量:0.46g(0.73mmol,61%)
ESI-MS:m/z632[M]
吸収(DMF):αmax=521nm(ε=72122Lmol-1cm-1
融点:253℃
H-NMR(500MHz,ピリジン,ppm):δ=7.41(s,1H),7.34(d,J=3.6Hz,1H),6.80(d,J=3.6Hz,1H),2.70(q,J=7.5Hz,2H),1.17(t,J=7.5Hz,3H)。
13C-NMR(125.75MHz,ベンゼン,ppm):δ=147.99,139.99,127.12,125.02,124.74,124.42,119.13,24.16,16.34。
【0097】
図1は、ジメチルホルムアミド(DMF)中のチエニル置換ビスピラニリデン及びジチオビスピラニリデンのUV-Vis吸収スペクトルを示す。曲線は、それぞれ最も大きいπ-π遷移に正規化されている。チエニル置換ビスピラニリデンでは、吸収帯域は二つのピークに分かれており、そして強度の低い二つの赤方偏移した肩部を有する。チエニル置換ジチオビスピラニリデンは、同等のチエニル置換ビスピラニリデンと比べて約100nm赤色偏移したλmaxを有する吸収帯域を示す。更に、メチル-またはエチル置換チエニル化合物は、置換されていないチエニル化合物に対して赤色偏移を示す。
【0098】
1,5-ビス(7-メチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル])ペンタン-1,5-ジオンの合成指針
2.33gのAlClを、20mlの乾燥したDCMを用いて強力な撹拌下に懸濁し、そして氷で冷却する。氷冷却下に、2.72gの5-メチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル、1.4gのグルタリルクロライド及び20mlのDCMからなる溶液をゆっくりと滴下する。次いで、更に24時間、室温で攪拌する。
【0099】
【化20】
実験式:C1920(408.48g/mol)
収量:2.7g(80%)
ESI-MS:m/z409.1[MH]
2,6-ビス(7-メチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル])チオピリリウムパークロラートの合成指針
2.5gの1,5-ビス(7-メチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル])ペンタン-1,5-ジオン、2.1gのP10、及び3.9gのLiClOを、80mlの酢酸中で、3時間環流下に加熱する。冷却及び一晩放置した後、紫色の固形物を吸引濾過し、そしてエーテルで洗浄する。
【0100】
【化21】
実験式:C1917ClO(504.98g/mol)
収量:1.92g(77%)
ESI-MS:m/z405.1[M-ClO
2,2’,6,6’-テトラキス(7-メチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン
1.5gの然るべきチオピリリウム塩を、Nパージ下に40mlのアセトニトリル中に溶解し、そして0.73mlのPBuを加える。この混合物を2時間、室温下に攪拌し、1.5mlのヒューニッヒ塩基を加え、そして2時間、環流下に加熱する。冷却後に結晶が生じ、これを吸引濾過し、そして適切な溶剤で洗浄する。
【0101】
【化22】
実験式:C3832(809.03g/mol)
収量:0.88g(73%)
ESI-MS:m/z808.1[M]
ジセレノビスピラニリデン合成のための一般指針
ジセレノビスピラニリデンは、例えば、セレノピラノンからセレノピランチオンを介して入手できる(Detty et al.1985)。10mmolの然るべきセレノピラノチオン及び3gの銅粉末を、30mlのトルエン中で、攪拌並びに不活性ガス下に16時間環流下に加熱する。この反応混合物を、適切な仕上げ処理に付し、そしてアセトニトリルから再結晶化する。
【0102】
【化23】
【0103】
非対称的ビスピラニリデン合成のための一般指針
非対称的なビスピラニリデンは、対称的な化合物と同様にして、ホスホニウム塩を介して、レイノルズ及びチェンによる二段階反応において合成できる(Reynolds und Chen 1980)。チオ(セレノ)ピリリウム塩は、後でピリリウム塩と反応できるようにホスホニル化することもできる。
【0104】
25mlのアセトニトリル中の10mmolのピリリウム塩からなる溶液を、強い黄色の色が消えるまで2時間室温で攪拌する。白色の沈降物を吸引濾過し、そしてアセトニトリルで洗浄する。
【0105】
【化24】
第二段階で、35mlのTHF中の予め製造した然るべき2mmolのホスホニウム塩からなる懸濁液を、保護ガス下に撹拌下に-78℃に冷却する。0.9mlの2.5Mn-BuLiをゆっくりと添加し、そして更に5分間攪拌する。次いで、2mmolの目的のチオ-またはセレノピリリウム塩を加え、そして1時間、-78℃で攪拌し、その後、5mlのトリエチルアミンを添加する。反応混合物を一晩でゆっくりと室温まで温め、そしてクロマトグラフィにより精製する。この際、良好な乃至非常に良好な収量を達成できる。
【0106】
【化25】
【0107】
トリフルオロメチル化手順
Negishiらは、トリフルオロメチル化手順を記載しており、それにより、パーフルオロアルキル残基を有する本発明による化合物が製造される(Negishi et al.2016)。
【0108】
電気化学的特徴付け
サイクリックボルタンメトリ(Cyclic Voltammetry,CV)
酸化還元電位の測定及びHOMO/LUMOエネルギーレベルの更なる決定のために、サイクリックボルタンメトリを、ポテンシオスタット(メトローム社、μ-オートラボ)及び3電極セル構成を用いて行う。電解質としては乾燥したジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルスルホキシド(DMSO)中のテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(0.1M)を、作用電極としてはガラス-白金電極を、対電極としては白金ワイヤを、そして疑似参照電極としてはAg/AgClを使用する。内部標準としては、測定電位を計るためにフェロセン/フェロセニウムを使用する。全ての溶剤は、測定の前に窒素を用いて脱酸素化する。測定は、50mV/s及び100mV/sの走査速度で-1V~1Vの範囲で行う。試料は、1mM/Lの濃度で測定する。
【0109】
動的示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)
熱的特徴付けは、相移動、溶融温度及び分解温度を測定するために動的示差走査熱量測定(DSC)を用いて行う。DSCは、窒素雰囲気下に、メトラー・トレドDSC1及び5K/分の走査速度を用いて行う。
【0110】
昇華
化合物を、純度向上のために二回乃至三回、結晶化する。昇華は、HEVホーホ・ヴァクーム・ドレスデン社の3ゾーン勾配オーブンを用いて行う。
【0111】
光電子デバイスの製造
光電子デバイスは、例えば、超高真空(8~10mbar)下に、予め構造化されたITO接点を備えたガラス基材(米国、シン・フィルム・デバイセズ社)上に熱蒸着によって製造される。その上に、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BPhen):Cs、C60、2,2’,6,6’-テトラチエニル-4,4’-ジチオビスピラニリデンまたは2,2’,6,6’-テトラ(2-メチルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン:C60(C60中の混合物5%(m/m))、N4,N4’-ビス(9,9-ジメチル-9H-265-フルオレン-2-イル)-N4,N4’-ジフェニルビフェニル-4,4’-ジアミン(BF-DPB):F6-TCNNQ、2,2’-(パーフルオロナフタレン-2,6-ジイリデン)ジマロノニトリル(F6-TCNNQ)及びAlの層を堆積する。この部品は、6.44mの下側及び上側の接点の幾何学的重なりによって特徴付けされる。有機領域は、小さなガラス基材と接着する。
【0112】
センシティブ外部量子効率(EQE)測定
外部量子効率の測定は、短絡条件下に有機太陽電池(OSC)中に電流を発生させるために、単色光源を用いて行う。生じた電流は予め増幅し、そしてロックインアンプ(Siginal Recovery 7280 DSP社)を用いて分析する。
【0113】
図2は、2,2’,6,6’-テトラチエニル-4,4’-ジチオビスピラニリデン(参考例)(円)または2,2’,6,6’-テトラ(2-メチルチエニル)-4,4’-ジチオビスピラニリデン(四角)及びC60の混合物を含む光電子部品の外部量子効率(EQE)及び内部量子効率(IQE)の測定結果を示す。IQEは、425nm~525nmのスペクトル範囲で計算し(IQE=EQE・吸収-1)、そして平均IQEは、IQEが励起波長に依存しないと仮定して計算した。
【0114】
50nmの薄い層中のIQE及びドナー分子の密度を使用して、EQEスペクトルを吸収プロフィルσCT図3)に換算する。メチル化された化合物は、同等の非メチル化化合物と比べて、赤方偏移したCT吸収を示す。ピラニリデン核中への硫黄の導入は、ピークσCT 及びfσを二倍にまで高める。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1. 次式(I)に従う化合物。
【化26】
式中、
及びX は、それぞれ互いに独立して、酸素、硫黄及びセレンを含む群から選択され、
及びR は、それぞれ互いに独立して、置換されたチオフェン残基及びセレノフェン残基を含む群から選択される。
2. R 及びR が、それぞれ互いに独立して、
【化27】
を含む群から選択され、
ここで、R は、C1~C20アルキル残基及びシクロアルキル残基、C1~C20パーフルオロアルキル残基、C1~C20アリール残基及びヘテロアリール残基、C1~C20アルコキシ残基及びチアアルコキシ残基、及び第一級、第二級及び第三級C1~C20アルキルアミノ残基から選択される、
ことを特徴とする、前記1.に記載の化合物。
3. R が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、iso-ペンタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、tert-ノナフルオロブチル、iso-ノナフルオロブチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ウノドデカフルオロヘキシル、フェニル、ベンジル、ジフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ピリジル、フラニル、チエニル、チアジル、オキサジル、イミダジル、ピリミジル、チアジニル残基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、チオメトキシ、チオエトキシ、チオプロポキシ、iso-チオプロポキシ、チオブトキシ、iso-チオブトキシ、tert-チオブトキシ、チオヘキソキシ、iso-チオヘキソキシ、アミノ、メチルアミノ、ブチルアミノ、トリルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルフェニルアミノ、メチルトリルアミノ、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン及びジトリルアミンを含む群から選択されることを特徴とする、前記1.または2.に記載の化合物。
4. R 及びR が同一であることを特徴とする、前記1.~3.のいずれか一つに記載の化合物。
5. X 及びX が、それぞれ互いに独立して、硫黄及びセレンを含む群から選択されることを特徴とする、前記1.~4.のいずれか一つに記載の化合物。
6. X 及びX が同一であることを特徴とする、前記1.~5.のいずれか一つに記載の化合物。
7. X 及びX が、酸素と硫黄、酸素とセレン、または硫黄とセレンであることを特徴とする、前記1.~5.のいずれか一つに記載の化合物。
8. 式(I)に従う化合物であって、ここで
及びX は、それぞれ互いに独立して、酸素、硫黄及びセレンを含む群から選択され、
及びR は、それぞれ互いに独立して、置換されたチオフェン残基及びセレノフェン残基を含む群から選択される、
少なくとも一種の化合物の、光吸収体またはIR吸収体としての使用。
9. 電子または光電子デバイスにおける前記8.に記載の使用。
10. 有機太陽電池(organic solar cells、OSC)におけるドナー吸収材料としての、色素増感太陽電池、有機集積回路(organic integrated circuits、O-IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(organic thin film transistor、O-TFT)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)、光検出器及びIRセンサにおける正孔輸送材料(hole transport material,HTM)としての、前記8.または9.に記載の使用。
11. 赤外(IR)電荷移動(CT)吸収センサにおける、前記10.に記載の使用。
12. 式(I)に従う化合物であって、
及びX は、それぞれ互いに独立して、酸素、硫黄及びセレンを含む群から選択され、
及びR は、それぞれ互いに独立して、置換されたチオフェン残基及びセレノフェン残基を含む群から選択される、
少なくとも一種の化合物を含む電子または光電子デバイス。
13. 少なくとも一種の更に別の化合物、特に電子アクセプタ化合物を含む、前記12.に記載の電子または光電子デバイス。
【0115】
[引用非特許文献]
[非特許文献1]Bolag A,Mamada M,Nishida J,Yamashita Y(2009)Field-Effect Transistors Based on Tetraphenyldipyranylidenes and the Sulfur Analogues.Chem.Mater.21,4350-4352
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図1
図2
図3