(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】織物シール部材を含む患者インターフェースのためのシール形成構造
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
A61M16/06 A
(21)【出願番号】P 2021577613
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 IB2020055968
(87)【国際公開番号】W WO2020261139
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-26
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レミー・ガー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・マイケル・カークパトリック
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/119058(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェースであって:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを部分的に形成し、少なくとも部分的に織物から形成されるフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、前記シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置され、前記シール形成構造は、使用時に患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材を含む、シール形成構造と、
前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、少なくとも部分的に織物から形成されかつ少なくとも1つのストラップおよび一対の導管を含む、位置決めおよび安定化構造と、
を含み、
前記フレームは、プレナムチャンバ部を含み、前記シール形成構造は、前記プレナムチャンバ部の後方対向面に設けられ、前記プレナムチャンバ部は、前記シール形成構造の穴部上へ延び、
前記一対の導管はそれぞれ、前記フレームに直接接続された導管コネクタに接続されており、前記一対の導管は、患者の頭部の上方部分に接触しかつ患者の頭部の両側において患者の耳と患者の目との間に位置するよう構成されており、
前記フレームは、前記シール形成構造の穴部から離隔方向において前記シール形成構造を超えて延びる側方部を含み、
前記側方部により、前記フレームがワンピース織物構造を介して前記位置決めおよび安定化構造の少なくとも1つの前記ストラップへ接続され、少なくとも1つの
前記ストラップは、患者の頬骨の下側において患者の頬にわたって配置されるように構成されている、患者インターフェース。
【請求項2】
患者インターフェースであって:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを部分的に形成し、少なくとも部分的に織物から形成されるフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、前記シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置され、前記シール形成構造は、使用時に患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材を含む、シール形成構造と、
前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、前記位置決めおよび安定化構造は、少なくとも部分的に織物から形成され、前記位置決めおよび安定化構造は、上ストラップを含む、位置決めおよび安定化構造と、
治療圧力における空気流れを患者による呼吸のために前記プレナムチャンバへ送達させるように構成された少なくとも1つの導管と、を含み、
前記フレーム、シール形成構造、位置決めおよび安定化構造、および少なくとも1つの導管は、ワンピース織物構造を介して共に接続され、
少なくとも1つの
前記導管は、前記上ストラップ上に重ね置かれる、患者インターフェース。
【請求項3】
前記シール形成構造は、患者の鼻孔のみの周囲または患者の鼻孔および患者の口の周囲にシールを形成するように構成される、請求項
2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記位置決めおよび安定化構造により、少なくとも1つの
前記導管のうち少なくとも一部が形成される、請求項
2または3に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
少なくとも1つの
前記導管は、第1の導管および第2の導管を含み、第1の導管および第2の導管はそれぞれ、患者の眼および耳のうち対応する1つの間において患者頭部の横側部に沿って送られる、請求項
2~3のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
少なくとも1つの
前記導管は、前記位置決めおよび安定化構造に相対して並進的に固定される、請求項
2~5のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
少なくとも1つの
前記導管は、患者の鼻孔縁周囲をシールするように構成された少なくとも1つの鼻開口部を含む、請求項
2~6のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
少なくとも1つの
前記導管は、加圧空気を患者の口へ搬送するように構成された口腔開口部をさらに含む、請求項
7に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記フレームの前方対向面上に少なくとも部分的に設けられかつワンピース構造を介して前記フレームへ接続された剛性付与部をさらに含む、請求項
2~8のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記剛性付与部は、前記フレームと異なる材料から構築される、請求項
9に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記剛性付与部は、
前記位置決めおよび安定化構造の前記上ストラップに沿って延びる上部と、
前記位置決めおよび安定化構造の下ストラップに沿って延びる下部と、をさらに含み、
前記上部および下部は、ワンピース構造を介して前記位置決めおよび安定化構造へ接続される、請求項
9または10に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記上部および下部は、少なくとも1つの
前記導管よりもさらに横方向に延びる、請求項
11に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記上部および下部は、患者頭部から実質的に同じ距離だけ延びる、請求項
12に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記剛性付与部は、発泡体から構築される、請求項
9~12のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月28日に出願されたオーストラリア国仮特許出願第201902284号の恩恵を主張する。本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する。
【0002】
2 技術の背景
2.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連疾患のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。
【背景技術】
【0003】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸領域と呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0005】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0006】
呼吸器疾患の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0007】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。特許文献1:米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0008】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CSRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。特許文献2:米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0009】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0010】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0011】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0012】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0013】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0014】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0015】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0016】
2.2.2 治療法
多様な療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療法、非侵襲的換気(NIV)および侵襲的換気(IV))が上記の呼吸器疾患の1つ以上の治療のために用いられている。
【0017】
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0018】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0019】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0020】
2.2.3 治療システム
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0021】
治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0022】
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0023】
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口へのマスク、口への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0024】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0025】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0026】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0027】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0028】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0029】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0030】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸器疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0031】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0032】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0033】
2.2.3.1.1 シール形成構造
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0034】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻ブリッジ領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより口領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0035】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0036】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0037】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0038】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0039】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0040】
別の形態のシール形成構造は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0041】
一定範囲の患者インターフェースシール形成構造の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:WO1998/004,310;WO2006/074,513;WO2010/135,785)に開示がある。
【0042】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0043】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイス型マスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイスマスクの様相を記載);国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0044】
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0045】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0046】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
【0047】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。この空気流れは、加圧され得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0048】
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0049】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0050】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH
2Oにて測定)。
【表1】
【0051】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の実施例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0052】
ResMed Elisアクサンテギュee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(登録商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0053】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
【0054】
2.2.3.3 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。
【0055】
一定範囲の人工的加湿機器およびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0056】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快感であり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0057】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
【0058】
2.2.3.4 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0059】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0060】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【0061】
2.2.3.5 下顎の再位置決め
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口腔内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部位を含む。この下顎からの機械的突出部は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
【0062】
特定の実施例において、下顎前方固定デバイスは、上顎または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎または下顎上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
【0063】
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口中に配置されたときに下顎が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎の突出レベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突出レベルを下顎に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
【0064】
下顎を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(登録商標)MRDなどの他のMADのように、下顎を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または回避するように構成される。
【0065】
2.2.3.6 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0066】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0067】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:国際特許出願公開第WO1998/034、665;国際特許出願公開第WO2000/078、381;米国特許第6、581、594号;米国特許出願公開第US2009/0050156;米国特許出願公開第2009/0044808。
【0068】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmH
2O圧力)
【表2】
【0069】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)
【0070】
【0071】
2.2.4 スクリーニング、診断システムおよびモニタリングシステム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。睡眠呼吸障害のスクリーニング/診断/監視は家庭において特に不向きである。
【0072】
一般に、スクリーニングおよび診断は、疾患の兆候と症状によって疾患を特定することである。通常、スクリーニングは、患者のSDBがさらなる調査を求める程であるかないかを示す真/偽結果を出すいっぽう、診断は、臨床で実行可能な情報を出すことが多い。スクリーニングおよび診断は、一回性手続きになる傾向であることに反して、疾患の経過をモニタリングすることは無限定に続けられる。いくつかのスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適合されているが、いくつかはモニタリングにも使用することができる。
【0073】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断またはモニタリングをPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【文献】米国特許第4,944,310号明細書
【文献】米国特許第6,532,959号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0075】
3 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、モニタリング、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0076】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0077】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0078】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0079】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを少なくとも部分的に形成するフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、を含み、
シール形成構造は、フレームに設けられたコンプライアント部と、コンプライアント部内に設けられた剛性付与要素と、使用時において患者の顔と密閉係合するように適合されたシール部材とを含み、
フレームおよびシール部材は、織物材料から少なくとも部分的に構築され、コンプライアント部は、織物材料と異なる弾性材料から構築される。
【0080】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを部分的に形成し、少なくとも部分的に織物から形成されるフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置され、前記シール形成構造は、使用時に患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材を含む、シール形成構造と、
前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、少なくとも部分的に織物から形成される、位置決めおよび安定化構造とを含み、
フレームは、プレナムチャンバ部を含み、シール形成構造は、プレナムチャンバ部の後方対向面に設けられ、プレナムチャンバ部は、シール形成構造の穴部上へ延び、
フレームは、シール形成構造の穴部から離隔方向においてシール形成構造を超えて延びる側方部を含み、
側方部により、フレームがワンピース織物構造を介して位置決めおよび安定化構造へ接続される。
【0081】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを少なくとも部分的に形成するフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、を含み、
前記シール形成構造は:
前記フレームに設けられたコンプライアント部と、
コンプライアント部内に設けられた1つ以上の剛性付与要素であって、コンプライアント部と異なる材料によって構成される、1つ以上の剛性付与要素と、
コンプライアント部に設けられかつ使用時に患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材と、を含む。
【0082】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを少なくとも部分的に形成するフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、を含み、
シール形成構造は、フレームに設けられたコンプライアント部と、患者の気道への入口を包囲し、使用時において患者の顔と密閉係合するように適合される織物シール部材とを含み、
フレームおよびシール部材は、織物材料から少なくとも部分的に構築され、コンプライアント部は、織物材料と異なる弾性材料から構築される。
【0083】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを少なくとも部分的に形成するフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、を含み、
前記シール形成構造は:
フレームに設けられたコンプライアント部であって、コンプライアント部の幅は、前記コンプライアント部の厚さよりも大きい、コンプライアント部と、
コンプライアント部に設けられかつ使用時において患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材であって、織物シール部材は、コンプライアント部に対して片持ち梁構成を有し、フレームは、織物シール部材に対して概して平行に延びる、織物シール部材と、を含む。
【0084】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを少なくとも部分的に形成するフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、を含み、
前記シール形成構造は:
フレームに設けられたコンプライアント部と、
コンプライアント部内に設けられた1つ以上の剛性付与要素であって、コンプライアント部と異なる材料によって構成される、1つ以上の剛性付与要素と、
コンプライアント部に設けられかつ使用時に患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材であって、織物シール部材は、コンプライアント部から延びるオーバーハング部を含む、織物シール部材と、を含む。
【0085】
例において、織物シール部材のオーバーハング部は、ラジアル方向に内方の方向においてコンプライアント部から延び得る。
【0086】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを少なくとも部分的に形成し、少なくとも部分的に織物材料から形成されるフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、前記シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、を含み、
前記シール形成構造は、使用時に患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材を含み、
織物シール部材は、少なくとも1つのシール向上フィーチャを織物シール部材の後方対向面上に含み、
フレームは、シール形成構造の長さに沿って織物シール部材に対して概して平行に延びる。
【0087】
前述の態様の実施例において:(a)フレームは、可撓性であり;(b)フレームは、可撓性材料によって構成され;(c)フレームは、織物材料によって全体的に構成され;(d)フレームはプレナムチャンバ部を含み、シール形成構造は、プレナムチャンバ部の後方対向面へ設けられ、プレナムチャンバ部は、シール形成構造の穴部上に延び、シール形成構造の穴部を通じて、治療圧力における空気流れは、少なくとも患者の鼻孔への入口へ送達され;(e)フレームは、シール形成構造の穴部から離隔方向においてシール形成構造を超えて延びる側方部を含み;(f)剛性付与要素は、雰囲気へ露出される。
【0088】
前述の態様の実施例において:(a)シール形成構造は、使用時に患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材を含み、(b)織物シール部材は、患者の気道への入口を包囲し、使用時において患者の顔と密閉係合するように適合され;(c)織物シール部材の幅は、自身の長さに沿って変化し;(d)織物シール部材は空気不透過性であり;織物シール部材は空気透過性であり;(e)シール形成構造は、フレームに設けられたコンプライアント部を含み、織物シール部材は、コンプライアント部に設けられ、使用時において患者の顔と密閉係合するように適合され;(f)コンプライアント部の幅は、コンプライアント部の厚さよりも大きく;(g)コンプライアント部の厚さは、シール形成構造の異なる領域間において変化し;(h)コンプライアント部の幅は、シール形成構造の異なる領域間において変化し;コンプライアント部は、発泡体材料によって構成され;(i)コンプライアント部は、コンプライアント特性を提供する構造を有し;(j)織物シール部材は、コンプライアント部から延びるオーバーハング部を含み;(k)織物シール部材のオーバーハング部は、ラジアル方向に内方の方向においてコンプライアント部にオーバーハングし;(l)織物シール部材のオーバーハング部は、圧力アシスト型シールを提供し;(m)1つ以上の剛性付与要素は、雰囲気へ露出され;(n)1つ以上の剛性付与要素により、コンプライアント部の圧縮が限定され、フレームと織物シール部材との間の厚さが維持される。
【0089】
前述の態様の実施例において:(a)織物シール部材は、少なくとも1つのシール向上フィーチャを織物シール部材の後方対向面上に含み;(b)シール向上フィーチャにより、織物シール部材の粘着性が高まり;(c)シール向上フィーチャは、シール向上材料の層を含み;(d)シール向上フィーチャは、不連続に設けられたシール向上材料を含み;(e)シール向上材料は、ポリウレタンおよびシリコーンのうち1つ以上であり;(f)シール向上フィーチャは、織物シール部材の長さに沿って選択領域(複数可)内に設けられ;(g)シール向上フィーチャは、1つ以上の他の領域よりも選択領域においてより広範囲に設けられ;(h)シール向上フィーチャは、使用時において鼻または鼻梁領域と接触するかまたは患者の顔の鼻筋領域上の領域においてより広範囲に設けられ;(i)シール向上フィーチャは、織物の長さ全体に沿って設けられる。
【0090】
前述の態様の実施例において:(a)患者インターフェースは、位置決めおよび安定化構造を含み、位置決めおよび安定化構造は、シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供し、(b)位置決めおよび安定化構造は、フレームに設けられ;(c)位置決めおよび安定化構造は、フレームと共に縫い付けられるか、接合されるか、または一体形成され;(d)位置決めおよび安定化構造のうち少なくとも一部は、弾性である。
【0091】
前述の態様の実施例において:(a)患者インターフェースは、治療圧力における空気流れを患者による呼吸のためにプレナムチャンバへ送達させるように構成された少なくとも1つの導管を含み;(b)導管は、フレーム上において中間および下方位置に設けられ;(c)第1の導管および第2の導管は、患者の眼および耳のうち対応する1つ間の患者頭部の横側部間に沿って送られ;(d)第1の導管および第2の導管により、位置決めおよび安定化構造の一部が形成される。
【0092】
前述の態様の実施例において:(a)患者インターフェースは、患者が呼気したガスが連続的にプレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にするための通気構造を含み、通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる;(b)通気構造は、通気孔をフレームの可撓性材料中に含み;(c)通気構造は、フレームに設けられた剛性インサート中に通気孔を含み;(d)通気構造は、フレームの空気透過性部を含み;(e)通気構造は、フレームに設けられた接続ポート中に設けられる。
【0093】
前述の態様の他の実施例において:(a)シール部材は、使用時において患者の鼻筋および患者のオトガイと接触し;(b)シール部材は、患者の鼻尖点の近隣に配置され、使用時において患者の横方向および/または大鼻翼軟骨に隣接して配置されるように構成され;(c)シール部材の最上点は、使用時において患者のフランクフルト水平面と実質的に整列されるように構成され;(d)シール部材により周囲が形成され、患者の鼻唇溝は、使用時において周囲内に配置されるように構成される。
【0094】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを少なくとも部分的に形成するフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、を含む。
【0095】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを部分的に形成するフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造と、
前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造とを含む。
【0096】
本技術の一形態は、シール形成構造を含む。シール形成構造は:
前記フレームに設けられたコンプライアント部と、
コンプライアント部内に設けられた1つ以上の剛性付与要素であって、1つ以上の剛性付与要素は、コンプライアント部と異なる材料によって構成される、1つ以上の剛性付与要素と、
コンプライアント部に設けられかつ使用時に患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材であって、織物シール部材は、コンプライアント部から延びるオーバーハング部を含む、織物シール部材と、を含む。
【0097】
本技術の一形態は、シール形成構造を含む。シール形成構造は:
前記フレームに設けられたコンプライアント部と、
コンプライアント部内に設けられた1つ以上の剛性付与要素であって、コンプライアント部と異なる材料によって構成される、1つ以上の剛性付与要素と、
コンプライアント部に設けられかつ使用時に患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材と、を含む。
【0098】
本技術の一形態は、シール形成構造を含む。シール形成構造は:
フレームに設けられたコンプライアント部であって、コンプライアント部の幅は、前記コンプライアント部の厚さよりも大きい、コンプライアント部と、
コンプライアント部に設けられかつ使用時において患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材であって、織物シール部材は、コンプライアント部に対して片持ち梁構成を有し、フレームは、織物シール部材に対して概して平行に延びる、織物シール部材と、を含む。
【0099】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
前述の態様またはその例のいずれかによるフレームであって、フレームは、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバを少なくとも部分的に形成し、上記プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、フレームと、
前述の態様またはその例のうちいずれかによるシール形成構造であって、シール形成構造は、患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置され、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造と、
前述の態様またはその例のうちいずれかによる位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供し、位置決めおよび安定化構造は、タイを含み、タイは、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造と、
患者が呼気したガスが連続的にプレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にする通気構造であって、通気構造は、使用時にプレナムチャンバ内の治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、
当該患者インターフェースは、プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に患者が自身の口腔を通じて雰囲気から呼吸することを可能にするように構成されるか、あるいは、患者インターフェースは、患者の口腔を露出させたままにするように構成される。
【0100】
本技術の一形態は、患者インターフェースを含む。患者インターフェースは:
フレームであって、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを部分的に形成し、少なくとも部分的に織物から形成されるフレームと、
患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造であって、前記シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置され、前記シール形成構造は、使用時に患者の顔と密閉係合するように適合された織物シール部材を含む、シール形成構造と、
前記シール形成構造を患者頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、少なくとも部分的に織物から形成され、位置決めおよび安定化構造は、患者の目と耳との間を通過するように構成された上ストラップを含む、位置決めおよび安定化構造と、
治療圧力における空気流れを患者による呼吸のためにプレナムチャンバへ送達させるように構成された少なくとも1つの導管と、を含み、
フレーム、シール形成構造、位置決めおよび安定化構造、および少なくとも1つの導管は、ワンピース織物構造を介して共に接続され、
少なくとも1つの導管は、上ストラップ上に重ね置かれる。
【0101】
前述の態様の実施例において:(a)シール形成構造は、患者の鼻孔のみの周囲または患者の鼻孔および患者の口の周囲にシールを形成するように構成され;(b)位置決めおよび安定化構造により、少なくとも1つの導管のうち少なくとも一部が形成され;(c)少なくとも1つの導管は、第1の導管および第2の導管を含み、第1の導管および第2の導管はそれぞれ、患者の眼および耳のうち対応する1つの間において患者頭部の横側部に沿って送られる;(d)少なくとも1つの導管は、位置決めおよび安定化構造に相対して並進的に固定され;(e)少なくとも1つの導管は、患者の鼻孔縁周囲をシールするように構成された少なくとも1つの鼻開口部を含み;かつ/または(f)少なくとも1つの導管は、加圧空気を患者の口へ搬送するように構成された口腔開口部をさらに含む。
【0102】
前述の態様の実施例において:(a)フレームの前方対向面上に少なくとも部分的に設けられかつワンピース構造を介してフレームへ接続された剛性付与部と;(b)剛性付与部は、フレームと異なる材料から構築され;(c)位置決めおよび安定化構造の上ストラップに沿って延びる上部と、位置決めおよび安定化構造の下ストラップに沿って延びる下部と;(d)上部および下部は、ワンピース構造を介して位置決めおよび安定化構造へ接続され;(e)上部および下部は、少なくとも1つの導管よりもさらに横方向に延び;(f)上部および下部は、患者頭部から実質的に同じ距離だけ延び;かつ/または(g)剛性付与部は、発泡体から構築される。
【0103】
本技術の一形態の別の態様は、意図される装着者の形状に対して相補的である周辺形状と共に成形または他の場合に構築された患者インターフェースである。
【0104】
本技術の一形態の一態様は、装置の製造方法である。
【0105】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0106】
本技術の一形態の一態様は、人間が(例えば、自宅周囲において)持ち運び可能な、携帯用RPTデバイスである。
【0107】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0108】
記載される方法、システム、デバイスおよび装置により、プロセッサにおける機能(例えば、特定目的用コンピュータのプロセッサ、呼吸モニターおよび/または呼吸治療装置の機能)の向上が可能となるように具現され得る。さらに、記載の方法、システム、デバイスおよび装置により、呼吸状態(例えば、睡眠障害呼吸)の自動管理、監視および/または治療の技術分野における向上が可能になる。
【0109】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0110】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【0111】
4 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
【図面の簡単な説明】
【0112】
【
図1A】4.1 治療システム:患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
【
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。4.2 呼吸システムおよび顔の解剖学的構造
【
図2A】鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
【
図2B】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、口咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
【
図2C】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も記載される。
【
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、上耳底点および下耳底点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
【
図2E】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。冠状面も記載される。
【
図2F】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および正中矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
【
図2H】外側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
【
図2I】正中矢状面から約数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
【
図2J】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎骨と共に図示されている。
【
図2K】頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が図示されている:前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨および後頭骨。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉が図示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
【
図2L】鼻の前外側を示す。4.3 患者インターフェース
【
図3A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図3B】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、3Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3C】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図3Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3D】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
【
図3E】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3F】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3G】2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。ドーム領域および鞍状領域が図示される。
【
図3H】マスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つの鞍状領域およびドーム領域が図示される。
【
図3I】構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。図示の平面曲線は、一次元穴の境界を形成する。
【
図3J】
図3Iの構造を通じた断面図である。図示の表面は、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける。
【
図3K】二次元穴および一次元穴を含む
図3Iの構造の斜視図である。また、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける表面が図示される。
【
図3L】クッションとしての可膨張性ブラダーを有するマスクを示す。
【
図3M】
図3Lのマスクの断面図であり、ブラダーの内面を示す。内面により、マスク中の二次元穴が境界付けられる。
【
図3N】
図3Lのマスクを通じたさらなる断面を示す。内面も図示される。
【
図3T】マスクの異なる領域内の密閉膜の縁部によって規定された空間曲線のねじれのサインを含むマスクの図である。
【
図3U】正中矢状面および中央接触面を示す、プレナムチャンバ3200の図である。
【
図3V】
図3Uのプレナムチャンバの後方の図である。図中の方向は、中央接触面に対して垂直である。
図3V中、正中矢状面により、プレナムチャンバが左手側および右手側に二等分される。
【
図3W】
図3Vのプレナムチャンバを通じた断面図であり、この断面は、
図3Vに示す正中矢状面においてとられる。「中央接触」面が図示される。中央接触面は、正中矢状面に対して垂直である。中央接触面の方位は、腱3210の方位に対応する。腱3210は、正中矢状面上に載置され、正中矢状面上の2点(すなわち、上点3220および下点3229)においてプレナムチャンバのクッションのみと接触する。この領域におけるクッションのジオメトリに応じて、中央接触面は、上点および下点双方に接し得る。
【
図3X】
図3Uのプレナムチャンバ3200が顔面上の使用位置にある状態を示す。プレナムチャンバ3200の正中矢状面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、顔の正中矢状面と概して一致する。中央接触面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、「顔の面」に概して対応する。
図3Xにおいて、プレナムチャンバ3200は鼻マスクのものであり、上点3220はほぼセリオン上に載置され、下点3229は上唇上に載置される。4.4 RPTデバイス
【
図4A】本技術の一形態によるRPTデバイスを示す。
【
図4B】本技術の一形態に従ったRPTデバイスの空気回路の概略図である。上流および下流の方向が、送風機および患者インターフェースに対して示される。任意の特定の瞬間における実際の流れ方向に関係無く、送風機は患者インターフェースの上流にあるものとして規定され、患者インターフェースは送風機の下流にあるものとして規定される。送風機と患者インターフェースとの間の空気圧経路内に配置されたアイテムは、送風機の下流および患者インターフェースの上流にある。
【
図4C】本技術の一形態によるRPTデバイスの電気構成要素の模式図である。4.5 加湿器
【
図5A】本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示す。
【
図5B】本技術の1つの形態による加湿器の等角図を示し、加湿器リザーバ5110が加湿器リザーバドック5130から取り外された様子を示す。
【
図5C】本技術の一形態による加湿器の模式図である。4.6 呼吸波形
【
図6】睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。4.7 本技術の患者インターフェースの実施例
【
図7-1】本技術の一例による患者インターフェース6000の側面図である。
【
図7-2】
図7-1の患者インターフェースの正面図ある。
【
図7-3】本技術の一例による
図7-1のシール形成構造6200の正面図である。
【
図7-4】
図7-1の患者インターフェースのシール形成構造6200の斜視図である。
【
図7-5】
図7-1の患者インターフェースのシール形成構造の側面図である。
【
図8-1】本技術の一例によるシール形成構造6200の断面図である。
【
図8-2】本技術の一実施例による
図8-1のシール形成構造6200の断面を示す。
【
図8-3】本技術の別の実施例による
図8-1のシール形成構造6200の断面を示す。
【
図9-1】本技術の別の実施例による患者インターフェース6000の側面図である。
【
図9-2】
図9-1の患者インターフェース6000の斜視図であり、接続ポートがフレームへ挿入された様子を示す。
【
図9-3】
図9-1の患者インターフェース6000の背面図あり、フレームへの接続ポートを保持する突起を示す。
【
図10-1】本技術のさらなる実施例による患者インターフェース6000の正面図である。
【
図10-2】本技術の別の実施例による患者インターフェース6000の正面図である。
【
図11】本技術の追加の実施例による患者インターフェース6000の側面図である。
【
図12-1】本技術の追加の実施例による患者インターフェース9000の斜視図である。
【
図12-2】
図12-1の患者インターフェースの側面図である。
【
図12-3】
図12-2の患者インターフェースの正面図ある。
【
図12-4】
図12-1の患者インターフェースのシール形成構造の側面図である。
【
図12-5】
図12-1の患者インターフェースの背面図ある。
【
図13】本技術のさらなる実施例による患者インターフェース12000の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
5 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0114】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0115】
5.1 治療法
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0116】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0117】
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0118】
5.2 治療システム
1つの形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
【0119】
5.3 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0120】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0121】
本技術の一形態による患者インターフェースは、周囲に対して少なくとも6cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0122】
本技術の一形態による患者インターフェースは、周囲に対して少なくとも10cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0123】
本技術の一形態による患者インターフェースは、周囲に対して少なくとも20cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0124】
本技術の一形態による患者インターフェースは、使用時において口内に患者インターフェース構造が進入しないように構成される。
【0125】
図7-1に示す本技術の例による非侵襲的患者インターフェース6000は、フレーム6100(ファスキアとも呼ばれ得る)と、シール形成構造6200と、位置決めおよび安定化構造(例えば、ヘッドギア6300)とを含む。
【0126】
図12-1に示す本技術の他の例による非侵襲的患者インターフェース9000は、フレーム9100(ファスキアとも呼ばれ得る)と、シール形成構造9200と、位置決めおよび安定化構造(例えば、ヘッドギア9300)とを含む。
【0127】
図13に示す本技術の例による非侵襲的患者インターフェース12000は、フレーム12100(ファスキアとも呼ばれ得る)と、シール形成構造12200と、位置決めおよび安定化構造(例えば、ヘッドギア12300)とを含む。
【0128】
患者インターフェース9000および12000は、患者インターフェース6000に実質的に類似しており、患者インターフェース6000に関連する記載は、他に明記無き限り、患者インターフェース9000および12000に概して適用される。以下、患者インターフェース6000、9000および12000間のいくつかの類似点および差違点のみについて説明する。類似の特徴は、同一の参照符号に「3000」または「6000」を足したものをそれぞれ有し得る。
【0129】
5.3.1 フレーム
本技術の一形態において、患者インターフェース6000のフレーム6100は、可撓性材料から構築される。この可撓性により、フレームが患者の顔の曲率に追随および適合することが可能になることが考えられる。例において、可撓性材料は、比較的肉薄のシート状構造を有し得る。これにより、比較的目立たない外形を患者の顔、上に(特に前方向に)提供することが支援され得ることが考えられる。
【0130】
特定の例において、可撓性フレーム6100は、気密性のまたは不浸透性の織物材料から構成され得る。織物材料の使用により、患者インターフェースの外観および感触が医療器具というよりもむしろ衣料品のようになることが支援され得るため、患者の治療コンプライアンスが向上し得る。
【0131】
特定の例において、織物材料は、可撓性フレーム6100のカバーとして用いられ得る。織物は、可撓性でもあり、フレーム6100の可撓性を妨げない。カバーによって得られる外観により、患者は、医療器具と対照的な衣料品として付き合い得る。衣料品の感触を提供するために、カバー中の織物材料は、使用時において患者とも接触し得る。例えば、これは、(例えば、シリコーンと対照的な)より柔らかいテクスチャ、吸湿能力および他の特性を含み得る。さらなる可撓性材料(例えば、シリコーン)を織物の下側に設けることにより、さらなる不透過性および/または構造的支持が得られ得る。
【0132】
特定の例において、可撓性フレーム6100は、織物材料から全体的に構築される。織物は、可撓性フレーム6100が自身の形状を維持できるくらいの十分な頑強性を持つように若干剛性化され得るが、可撓性フレーム6100が屈曲または屈伸できないくらいの完全な剛性化は施されない。織物の剛性化は、コーティング、ラミネート、織物中に編み込まれた剛性糸または任意の類似の手段を用いて行われ得る。可撓性フレーム6100全体を織物材料から構築することにより、可撓性フレームを織物カバーを用いた可撓性フレーム6100よりも軽量にすることが可能になり得る。フレーム6100をより軽量にすると、患者の自身の顔上にかかる重量も低下し得るため、患者インターフェース6000を着用している患者にとって有用であり得る。
【0133】
特定の例において、可撓性フレーム6100は、発泡体材料から構成され得る。
【0134】
一実施例において、可撓性フレームの材料の片側または両側(すなわち、フレームの内部および/または外部表面)は、気密または不透過性構造を提供するために、コーティングされるか、層状にされるか、密閉されるか、そうでなければ不透過性表面(例えば織物材料内に埋め込まれた不透過性シリコン層または膜)が設けられる。このような配置構成により、不浸透性の構造が得られる。
【0135】
特定の例において、可撓性フレーム6100は、可撓性ポリマーから構成され得る。適切な可撓性ポリマーの例は、シリコーン、熱可塑性エラストマーまたは他の生体適合性ポリマーを含み得る。
【0136】
特定の例において、患者インターフェース6000は、1つ以上の剛性付与要素(すなわち、剛化物)を含み得る。例において、可撓性フレーム6100は、フレーム6100を構成する可撓性材料よりも高剛性の剛化物を含み得る。このような剛化物は、支持、形状、形態および/または強度のうち1つ以上をフレーム6100へ付与するために用いられ得る。例として、フレーム6100は、患者の鼻に空間を設けるような形状にされ得、フレーム6100が患者の鼻と接触しないようにすることができ得る。このような剛化物は、例えばワイヤー、ポリマー、織物、肉厚部または折り目のうち1つ以上を含み得る。例において、剛化物は、例えばフレーム6100が異なる顔形状に適するようにフレーム6100を調節するように調節可能であり得る。調節可能な剛化物は、半剛性であり得るため、選択された形状を維持することができるが、単一の形状に限定されない。剛化物の調節は、材料に応じて一回行ってもよいし、あるいは繰り返し行ってもよい。
【0137】
一形態において、全体が織物材料によって構築された可撓性フレーム6100は、フレームの所望の形状を維持するためにさらなる支持を必要とする場合がある。換言すると、織物のみから構築されたフレーム6100は、重力下において撓み得るかまたは屈曲し得るため、フレーム6100の所望の形状が達成されない。織物へ三次元形状を付与するために、剛化物が可撓性フレーム6100へ追加され得る。これらの剛化物は、可撓性フレーム6100の重量が実質的に増加しないように、軽量にされ得る。このようにして、患者は、軽量フレーム6100による恩恵を同様に達成しつつ、織物よりも高剛性の材料の構造的支持も有することができる。
【0138】
剛化物は、半剛性であり得る。換言すると、剛化物は、織物材料よりも高剛性であり得るが、完全に剛性ではない。このようにして、剛化物は、フレーム6100へ構造を付与することができつつ、可撓性であるため、屈曲が可能である。患者および/または医療専門家は、個別調整された支持を個々の患者に提供するために、剛化物を調節し得るかまたは屈曲させ得る。剛化物は、初めは半剛性であってもよく、一定期間後に剛性になり得る。例えば、医療専門家は、可撓性フレーム6100が個々の患者の顔に適するように、剛化物形状を調節し得る。次に、剛化物に処理(例えば、熱処理)を施して、形状を設定することが行われ得る。
【0139】
本技術の特定の形態において、フレーム6100またはその一部は、透明材料または少なくとも半透明の材料から構築される。例えば、フレーム6100は、薄手の織物または透明のポリマーによって構成され得る。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェース6000の配置様態および機能を確認することが補助され得る。透明の材料も患者コンプライアンス支援になり得る理由として、患者インターフェース6000を着用している患者が自身の口腔鼻領域のうち少なくとも一部を鏡で観察することが可能になるため、医療デバイスではなく衣料品の感触または着用が可能になり得る。透明または半透明の物質を透明の材料へ追加(例えばコーティング、積層)すると、織物または他の材料の透明度の妥協無しに気密性の表面が得られ得る。透明材料のうち一部が透明のままにされるように、不透明の物質が当該透明材料のごく一部に付加され得る。よって、臨床医および/または患者は、患者インターフェース6000の配置される様態を観察することができ得る。
【0140】
本技術の特定の形態において、フレーム6100は、患者インターフェース6000のプレナムチャンバを少なくとも部分的に形成する。プレナムチャンバは、周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH
2Oの治療圧力まで加圧可能であり得る。
図7-4に示すように、シール形成構造6200は、患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置される。シール形成構造6200は、その中に穴有し、これにより、上記治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達される。空気流れは、患者の口へも送達され得る(すなわち、シール形成構造の穴部6200が患者の口も包囲する場合)。フレーム6100のプレナムチャンバ部6102は、後方対向面6104と、前方対向面6106とを有する。プレナムチャンバ部6102は、シール形成構造の穴部6200にわたって延び、プレナムチャンバ部6102およびシール形成構造6200は、協働してプレナムチャンバを形成する。患者の顔とフレーム6100のプレナムチャンバ部6102との間において一定の接触は発生し得るが、シール形成構造6200は、フレーム6100を患者の顔から離隔方向に間隔を空けて配置することにより接触を限定することを意図している。フレーム6100は、患者の顔との接触の制限を支援するような形状にもされ得る。シールは、シール形成構造6200によって提供される。
【0141】
本技術の特定の形態において、可撓性フレーム6100は、シール形成構造6200の穴部から離隔方向(すなわち、プレナムチャンバから離隔方向)においてシール形成構造6200を超えて延び得る。より詳細には、フレーム6100の側方部6108は、使用時においてヘッドギア6300への接続のために後方に延び得る。一形態において、可撓性フレーム6100およびヘッドギア6300は、単一の材料ピース(例えば、織物シート)から形成され得、これにより、フレーム6100およびヘッドギア6300はシームまたは他のコネクタ無しに接続される。側方部6108は、フレーム6100の終了箇所およびヘッドギア6300の開始箇所を境界付けるための移行部を示し得る。これは、フレーム6100とヘッドギア6300との間の側方部6108の幅および/または厚さの変化(例えば、漸減)によって示され得る。
【0142】
本技術のいくつかの形態において、フレーム6100(より具体的には、プレナムチャンバ)は、使用時において患者の眼を被覆しない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧空間外にある。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、治療コンプライアンスが向上し得る。
【0143】
本技術の特定の形態において、フレームは、プレナムチャンバ3200をシェルの形態で含み、シェル内面およびシェル外面を有する。シェル内面は、使用時において治療圧力となるように配置され、シェル外面は、使用時において雰囲気圧力となるように配置される。本技術の例による患者インターフェースが企図され、フレームは、(例えば、
図3Aに示すように)実質的に剛性であり、シール形成構造6200(例えば、
図7-3~
図8-1に示すようなシール形成構造6200)を備える。
【0144】
本技術の特定の形態において、シェルは、雰囲気圧力を超える約30cmH2O未満の内圧を受けた際に剛性となるような構造にされる。
【0145】
本技術の特定の形態において、シェルは、硬質プラスチック材料(例えば、ポリカーボネート)から構築される。市販のポリカーボネートの一形態として、Apec1745がある(同商標下において販売されている一定範囲の製品群に含まれる)があり、製造元はCovestroAGである。
【0146】
本技術の特定の形態において、シェルは、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。
【0147】
本技術の特定の形態において、シェル内面は、凹型のドーム状領域を含むように構築される。
【0148】
5.3.2 シール形成構造
本技術の一形態において、シール形成構造6200は、目標シール形成領域を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造において密閉が発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。換言すると、実際のシール形成領域は、目標シール形成領域よりも大きくてもよいし、あるいは小さくてもよい。患者は、理想的には目標シール形成領域と異なる実際のシール形成領域の生成からこれらの要素を最小限に抑えたいと望んでいる。実際のシール形成領域を目標シール形成領域よりも小さくすると、治療有効性が低下し得る。実際のシール形成領域を目標シール形成領域よりも大きくすると、患者の顔のうち意図しない領域に治療圧力が付加されるため、患者にとって苦痛になり得る。
【0149】
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造6200の外面上に配置される。
【0150】
本技術の特定の形態において、シール形成構造6200は、生体適合性材料から構成される。生体適合性材料は、患者の皮膚に対して負の反応をしない任意の材料であり得る。例えば、シール形成構造6200は、患者の皮膚の炎症を発生させない織物から構成され得る。
【0151】
一形態において、シール形成構造6200は、患者の気道の内部において延びない。換言すると、シール形成構造6200は、患者の鼻孔および/または患者の口内に延びない。
【0152】
一形態において、シール形成構造6200は、使用時においてオトガイ隆起領域の下側に延びない。換言すると、シール形成構造6200は、患者の顔上に全体的に設けられ、患者の顎の下側から患者の首部にかけて延びない。
【0153】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くのシール形成構造6200を含むシステムが提供される。各シール形成構造6200は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造6200の一形態および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。RPTデバイス(これについては後述する)は、患者が患者にとって適したシール形成構造6200を特定することを支援し得る。例えば、RPTデバイスは、特定の患者用の目標シール形成領域が特定のサイズのシール形成構造6200と共に達成されていないことを感知した場合、患者へエラーを付与し得る。これにより、異なるサイズのシール形成構造6200に変更する必要がある旨が患者に警告される。
【0154】
一形態において、シール形成構造6200およびフレーム6100は、別個のピースであり得、患者および/または臨床医によって共に接続される。患者インターフェース6000は、個々の患者へのフィット感を個別調整するために、モジュール式に構築され得る。換言すると、フレーム6100は、複数のサイズ(例えば、小、中、大)で設けられ得、シール形成構造6200は、多様なサイズ(例えば、小、中、大)で設けられ得る。患者および/または臨床医は、1つのサイズのフレーム6100および1つのサイズのシール形成構造6200を選択し得るが、これらは必ずしも同一サイズでなくてもよい。次に、選択されたシール形成構造6200は、選択されたフレーム6100へ接着剤または類似のコネクタにより接続され得、これにより、実質的に気密性のインターフェースがフレーム6100とシール形成構造6200との間に設けられる。換言すると、フレーム6100およびシール形成構造6200は、接続インターフェースを通じた漏洩を回避または制限するために接続される。
【0155】
一形態において、シール形成構造6200およびフレーム6100は、恒久的に共に接続され得る。フレーム6100およびシール形成構造6200は、共に複数のサイズで設けられる(例えば、小、中、大)。換言すると、フレーム6100およびシール形成構造6200は、同一サイズである。しかし、いくつかの例において、患者インターフェース6000を個別仕様にしてもよく、その場合、所与の患者に対してより高精度のフィット感を提供するために、フレーム6100はシール形成構造6200と異なるサイズで形成される。一例において、シール形成構造6200およびフレーム6100は、患者インターフェース6000の製造時において共に形成されるため、シール形成構造6200はフレーム6100から分離されず、患者および/または臨床医が患者インターフェース6000を組み立てる必要が無い。選択されたサイズが不適切である場合、患者は、患者インターフェース6000全体を変更する。
【0156】
一形態において、シール形成構造6200およびフレーム6100は、恒久的に共に接続され得る。フレーム6100およびシール形成構造6200は、単一のサイズで設ける(例えば、1つのサイズで全てに対応するかまたは1つのサイズで大多数に対応する)ようにしてもよいし、あるいは、より広範囲の患者にフィットするサイズの組み合わせで設けてもよい(例えば、小~中、中~大)。例えば、単一のサイズおよび/またはスタイルの患者インターフェース6000が、複数のサイズおよび形状により患者の顔を有効にシールし得る。換言すると、1つのサイズで全てに対応しかつ/または1つのサイズで大多数に対応する患者インターフェース6000は、小型/中型/大型サイズの患者インターフェース6000の代わりに使用され得、なおかつ患者の顔に対するシールを実質的に同じ有効性で提供し得る。その理由として、織物は、シール形成構造(例えば、シリコーン)の構築に用いられる他の可撓性材料よりも可撓性が良好であるため、単一サイズのシール形成構造6200を広範囲の多様な患者の顔に適合させることが可能になる点があり得る。代替的にかつ/または追加的に、サイズの組み合わせ(例えば、小~中、中~大)により、より広範囲の多様な患者に対して同様のシール有用性を提供しつつ、顔のサイズが異なる患者に合わせてより個別調整することができ得る。いずれかの例において、患者インターフェース6000のサイズ数の低減により、製造簡易化が支援されつつ、(例えば、患者が不正確に選択し得るサイズの数が低減し得るため)患者に対する適切な患者インターフェース6000の確保の向上も得られる。
【0157】
フレームがプレナムチャンバ3200(すなわち、シェルを含むプレナムチャンバ)を含む実施例において、プレナムチャンバ3200は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的である形状の周囲を有する。使用時において、プレナムチャンバ3200の周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造6200によって提供される。シール形成構造6200は、使用時においてプレナムチャンバ3200の縁部全体の周りに延び得る。
【0158】
5.3.2.1 密閉機構
本技術の一形態において、シール形成構造6200は、患者の皮膚との密閉係合のために患者の顔に対向して配置された織物シール部材6202を含む。フレーム6100がシール形成構造6200へ(例えば、取り外し可能にまたは恒久的に)接続されると、織物シール部材6202により、患者インターフェース6000が少なくとも6cmH2Oの正の圧力を維持することが可能になる。
【0159】
上記の図示の例のうち1つにおいて、織物シール部材6202により、患者の口および患者の鼻双方を包含する周囲が形成されるが、他の例において、鼻のみを包含してもよいし、あるいは部分的に周囲をシールしてもよい(例えば、
図13を参照)。患者の顔上に配置されると、織物シール部材6202の最上部は、患者の鼻筋に対して配置される。換言すると、織物シール部材6202は、鼻中隔軟骨の近隣でありかつ患者のセリオンと鼻尖点との間の患者の鼻と接触する。図示の例において、織物シール部材6202は、鼻尖点に近接して配置され、患者の鼻中の外側軟骨および/または大鼻翼軟骨に隣接する。織物シール部材6202の最上部は、患者の顔のフランクフルト水平面と実質的に整列させてもよい。織物シール部材6202を鼻尖点に近接させて配置させることにより、シール形成に必要な総容積が低下する。なぜならば、織物シール部材6202の上端が(セリオンに近接されるのではなく)患者の鼻孔のより近隣に配置されるからである。
【0160】
織物シール部材6202の最下部は、オトガイに対向して配置される。換言すると、織物シール部材6202が患者の口の下側に配置されることにより、患者の下唇が加圧体積内に含まれる。患者の下唇は、患者の呼吸時に移動し得、織物シール部材6202を下唇上に配置した場合、この動きに起因して、織物シール部材6202が妨害され得る(例えば、下唇の動きに起因して漏洩が発生し得る)。下唇の下側の織物シール部材6202の最下点に配置すると、下唇の動きに一定の自由が得られかつシールの質に影響を与えないため、この発生が制限される。織物シール部材6202の最下点をオトガイに対向して配置すると、織物シール部材6202によって生成することが必要な加圧体積は有意に増加しない。他の例(図示せず)において、織物シール部材6202の最下点は、下唇に対向して配置され得る。
【0161】
織物シール部材6202は、患者の顔のいずれかの側部において患者の鼻および口の外側に延びて、織物シール部材の最上点と最下点との間を接続させる。実質的に少量の加圧空気を維持する(すなわち、患者の鼻または口を有意に超えて患者の頬の領域を含むことを回避する)ために、織物シール部材6202は、患者の口幅を有意に超えて延び得ない。例えば、鼻唇溝は、口幅よりも有意に幅広の領域を示すため、織物シール部材6202は、患者の顔のいずれかの側部(すなわち、右側および左側)において患者の鼻唇溝に近接に配置される。図示の例において、織物シール部材6202は、各鼻唇溝が加圧体積内に設けられるように、各鼻唇溝の外側に配置され得る。下唇と同様に、鼻唇溝は、患者の顔上における動きの位置を示し得る。換言すると、鼻唇溝は、患者の顔の動きに起因する襞である。この動きは、織物シール部材6202によって生成されるシールの質に影響を及ぼし得る。鼻唇溝は、患者の鼻に近接して延びるため、織物シール部材6202は、鼻唇溝に起因する動きを回避するために、鼻唇溝の外側に配置される。他の例(図示せず)において、織物シール部材6202は、鼻唇溝と接触し得る。
【0162】
他の形態(例えば、
図12-4を参照)において、織物シール部材9202は、患者の鼻孔および口の周囲をシールする。例えば、織物シール部材9202によって形成される周囲は、患者の口および患者の鼻のうち少なくとも一部(例えば、患者の鼻の一部のみ)を包含する。患者の顔上に配置されると、織物シール部材9202の最上部は、患者の鼻は、鼻柱と接触し得、患者の鼻下点と鼻尖点との間に設けられ得る。図示の例において、患者インターフェース9000の最上部は、患者の鼻尖点の下方に配置されるため、患者の患者インターフェース9000の着用時において、鼻尖点が露出される。織物シール部材9202の最上部はまた、患者の顔のフランクフルト水平面と実質的に整列され得る。織物シール部材9202を鼻尖点の下方に配置することにより、シール形成に必要な総容積が(例えば、上記の例と比較して)さらに低下する。なぜならば、織物シール部材9202の上端が患者の鼻孔にさらに近接して配置され、患者の鼻筋に対してシールされないからである。
【0163】
織物シール部材9202の最下部は、オトガイ隆起の周囲に配置され得る。換言すると、織物シール部材9202は、患者の顎の下側に配置されるため、患者の下唇およびオトガイは、加圧体積中に含まれる。織物シール部材9202が下唇上に配置された場合、患者の下唇は、患者の呼吸時に移動し得、この動きは、織物シール部材9202を妨害し得る(例えば、下唇の動きに起因して漏洩が発生し得る)。織物シール部材9202の最下点を下唇の下側に配置すると、下唇の移動において一定の自由が得られなおかつシールの質に影響を与えないため、この発生が制限される。織物シール部材9202の最下点をオトガイ隆起周囲に配置すると、織物シール部材9202によって生成することが必要な加圧体積が有意に増加しない。しかし、織物シール部材9202がシールをする際のアンカー点が得られ得、多様なサイズの患者におけるシール形成が支援され得る。換言すると、全てのサイズの顔の患者が、全てのサイズの顔にわたって実質的に同じ密閉力を生成するように、織物シール部材9202を自身の顎に対向して配置し得る(例えば、織物シール部材9202は、オトガイ隆起周囲において伸張し得、この張力により、織物シール部材9202の適切な配置が支援され得る)。他の例(図示せず)において、織物シール部材9202の最下点は、下唇またはオトガイに対向して配置され得る(例えば、患者インターフェース9000において、サイズの組み合わせが用いられ、個々の患者に合わせて若干より個別調整される場合)。
【0164】
織物シール部材9202は、患者の顔のいずれかの側部において患者の鼻および口の外側に延びて、織物シール部材9202の最上点と最下点との間を接続させる。実質的に少量の加圧空気を維持する(すなわち、患者の鼻または口を有意に超えて患者の頬の領域を含むことを回避する)ために、織物シール部材9202は、患者の口幅を有意に超えて延び得ない。例えば、鼻唇溝は、口幅よりも有意に幅広ではない領域を示すため、織物シール部材9202は、患者の顔のいずれかの側(すなわち、右側および左側)の患者の鼻唇溝に近接して配置される。図示の例において、織物シール部材9202は、各鼻唇溝の外部に配置され得るため、各鼻唇溝は加圧体積内に設けられる。下唇と同様に、鼻唇溝は、患者の顔上における動きの位置を示し得る。換言すると、鼻唇溝は、患者の顔の動きに起因する襞である。この動きに起因して、織物シール部材9202によって生成されるシールの質が影響を受け得る。鼻唇溝は、患者の鼻に近接して延びるため、織物シール部材9202は、鼻唇溝によって生成される動きを回避するように、鼻唇溝の外部に配置される。他の例(図示せず)において、織物シール部材9202は、鼻唇溝と接触し得る。
【0165】
織物シール部材6202によって形成される周囲は、上記した経路に沿って曲線状にされ得る。換言すると、織物シール部材6202は、単なる直線路ではなく、鼻筋からオトガイに向かう(または患者の顎突出部に向かう)円弧状経路に追随し得る。詳細には、織物シール部材6202の角部は、円弧状にされ得る。これにより、織物シール部材6202の不具合(例えば、シール破裂)に繋がり得る圧力集中領域の増加の制限が支援される。よって、円弧型の周囲を設けることにより、織物シール部材6202の寿命全体が増加し得る。
【0166】
織物シール部材6202の織物は、フレーム6100において用いられる織物と同じであってもよいし、フレーム6100の構築に用いられるものと異なる織物であってもよい。織物製であることにより、このシール部材6202の触覚特性は、患者の顔にとって柔らかくかつ快適な感触を提供し得る。さらに、このような材料により、(例えば、プラスチック、シリコーンなどから構築された)呼吸治療機器というよりは寝具に近い外観および感触の提供が支援され得、患者が患者インターフェースを着用しようという意欲が増加し、治療コンプライアンス向上が支援される。
【0167】
織物シール部材6202の織物材料の例は、ポリエステルーポリウレアコポリマー繊維(すなわち、スパンデックスまたはエラスタン織物)を含む織物を含み得る。
【0168】
図7-3~
図8-3に示す例において、織物シール部材6202は、比較的肉薄のシート状構造を有する。織物材料により、比較的高レベルの弾性が得られ得るため、シール形成時における織物シール部材6202の患者の顔の形状に対する適合が支援される。織物シール部材6202は、患者の顔上の密閉領域よりも若干小さくされ得るため、織物シール部材6202は、患者の顔に対して治療的に有効な位置に配置された際に拡張(例えば、伸張)する。織物シール部材6202における高レベルの弾性により、患者の顔との接触時において織物シール部材6202が拡張し、患者の顔と接触しなくなったときに弛緩して静止位置に戻ることが可能になる。シール部材6202の幅は、厚さよりもずっと大きいため、患者の顔と接触する表面積が大きくなり、シール部材6202を通じて付与される力の分布が支援され得、これにより不快感の可能性が低下する。
【0169】
本技術の特定の形態において、織物シール部材6202は、内部を通じた漏洩を回避するために、空気不透過性である。例において、織物シール部材6202は、空気不透過層(例えば、ポリウレタン(例えば、熱可塑性ポリウレタン)またはシリコーン)を備え得る。このような層は、例えば織物シール部材6202上においてフィルムの積層またはコーティングの噴霧を行うことにより、提供され得る。他の例において、織物シール部材6202の構築に用いられる織物そのものを不浸透性にしてもよく、これにより、さらなる不浸透性層の付加が不要になる。
【0170】
本技術の別の形態において、通気目的のための漏洩制御を可能にするために、織物シール部材6202は空気透過性にされる。織物シール部材6202の一部が不浸透性にされ(例えば、不浸透性層によりコーティングされ)得、他の部位は不浸透性にされ得ない。これにより、織物シール部材6202の部位における漏洩を制御しつつ、他の部位を不浸透性のままにすることが可能になる。空気透過性部の位置は、織物シール部材6202と患者の皮膚との間のシールの質に影響しない位置に設けられ得る。
【0171】
5.3.2.1.1 シール形成構造のコンプライアント部
本技術の特定の形態において、シール形成構造6200は、フレーム6100の後方対向面6104に設けられたコンプライアント部6204を含み、織物シール部材6202は、コンプライアント部6204に設けられる。コンプライアント構造またはコンポーネントとは、付与された負荷に応答して変形して、配置先である表面の形状(より詳細には、患者の顔の形状)をとるものである。これにより、通常は患者インターフェース6000が所定位置に保持された際に過度の力を受け得る患者の顔の調和点を通じて患者の快適性が支援され得る。また、これにより、シール部材6202が患者の顔の(特に鼻および口周囲における)曲率に適合する自由が得られるため、シール達成も促進され得る。コンプライアント部6204は、フレーム6100へ(例えば接着剤により)接続させてもよいし、あるいは、コンプライアント部6204をフレーム6100と共に(例えば、製造プロセスを介して)恒久的に形成してもよい。いずれの方法の場合も、コンプライアント部6204とフレーム6100との間のインターフェースは、インターフェースを通じた加圧空気の漏洩を制限するために実質的に不浸透性である。織物シール部材6202は、コンプライアント部6204と共に恒久的に形成され得る。これにより、シール形成構造6200を通じた加圧空気の意図しない漏洩を実質的に制限するために、コンプライアント部6204と織物シール部材6202との間における不浸透性インターフェースの生成が支援される。
【0172】
一例において、コンプライアント部6204は、シール部材6202に対して概して横断方向または直交方向に延び得る。フレーム6100およびコンプライアント部6204が共に接続される際、フレーム6100のうち少なくとも一部は、コンプライアント部6204に対して横断方向または直交方向に延びる。
図8-1に示すように、プレナムチャンバ6102は、厚さ方向に対して横断方向または直交方向に延びるため、プレナムチャンバ6102の一部がコンプライアント部6204に直接接触せず、シール部材6202に対して概して平行になる。プレナムチャンバ6102は、コンプライアント部6204に対して接線方向に延びてもよい。接線角度は、シール部材6202に対して平行な配置構成を近似するために、小さくされ得る(例えば、
図7-5を参照)。これらの配置構成により、患者インターフェース6000の外形を控えめに維持することが支援され得る。なぜならば、プレナムチャンバ6102の中央の曲率がコンプライアント部6204へ向かうにつれて徐々に曲線状にされ得るため、患者の顔とプレナムチャンバ6102との間の距離が厚さを実質的に超えなくなる。換言すると、コンプライアント部6204は、患者の顔に対して凹型にされ得る一方、コンプライアント部6204の曲率が患者の顔の輪郭に近似し得るため、後方対向面6104と後方方向における患者の皮膚上の最接近点との間の距離は、コンプライアント部6204の長さに沿って実質的に一定のままである。例えば、コンプライアント部は、患者の鼻の曲率に近似する曲率を含むため、後方対向面6104と患者の鼻尖点との間の距離は後方対向面6104とオトガイとの間の距離と実質的に同じである。
【0173】
一例において(例えば、
図12-4を参照)、コンプライアント部9204は、実質的に直線状であってもよいし、あるいは(例えば、
図7-5中の例と比較して)比較的小さな曲率を有してもよい。コンプライアント部9204は、患者の鼻尖点周囲に延びる必要が無いため、曲率無しに患者の顔により近接して配置することが可能であり得る。さらに、コンプライアント部9204は、患者の顎周囲に延びるため、(例えば、目立たない外観のために)患者の皮膚と密接に接触させる必要がある。曲率を設けると、密閉量の増加の原因になり得るため、曲率は不要になり得る。コンプライアント部9204は、(コンプライアント部6204について述べたように)患者の口から十分に離隔方向に間隔を開けて配置され得るため、患者は、自身の口を通じた呼吸を最小のインピーダンスと共に行うことができ得る。
【0174】
コンプライアント部6204は、シール部材6202をフレーム6100から分離させることも可能にさせるため、シール安定化が促進され得る。フレーム6100の一定の動きをシール部材6202から独立した様態で可能にすることにより、フレーム6100が受容する力(例えば、管引き摺りからのものまたは横臥時の枕からのもの)が完全にはシール部材6202へ伝えられなくなるため、シール部材6202使用時においてシール部材6202から付与されるシールの破損が回避されて、プレナムチャンバ内に治療圧力を維持するために必要なシールが患者の就寝時に妨害されなくなる。換言すると、プレナムチャンバ部6102の可撓性により、空気回路4170から付加される引張力のうち少なくとも一部が吸収され得、シール部材6202が実質的に患者の顔上に移動することが無くなる。これは、空気回路4170をプレナムチャンバ部6102へ接続させるために接続ポート3600を用いた場合に特に有用であり得る(例えば、
図9-2および
図9-3を参照)。よって、シール部材6202はフレーム6100から分離されているため、RPTデバイス4000に相対する患者の動き(例えば、睡眠時の寝返り)に起因してシール部材6202が実質的に妨害されることが無くなる。
【0175】
コンプライアント部6204は、シール部材6202とフレーム6100との間のスペーサとしても機能する。この間隔は、患者の鼻および唇の空間のために必要になり得る。本技術の特定の形態において、フレーム6100は、患者の顔特徴のための空間を設けるように形成されるかまたは他の様態で形状形成され得る(例えば、患者の顔の形状に近似した形状に形成される)。しかし、コンプライアント部6204の構成は、目立たない外観を維持しつつこの必要条件を達成し得ることが考えられる。換言すると、コンプライアント部6204は、フレーム6100の形状を患者の顔から離隔方向に可能な最短距離を空けて形状形成し、フレーム6100が患者の皮膚と接触することはほぼ回避される。フレーム6100の患者の顔に対する位置決めによって、プレナムチャンバ内の小さな容積も生成される。(例えば、一定量の加圧空気を支持するための)必要な空間のみがプレナムチャンバによって占有されるため、不要な空間が排除され、目立たない外観が得られる。
【0176】
患者インターフェース6000の目立たない外観により、フレーム6100が(例えば、管引き摺りからまたは横臥時の枕から)受容する力が全てシール部材6202に伝わる事態も低減し得る。患者インターフェース6000が目立たない外観形状であることにより、(例えば、患者の顔からさらに間隔を開けて配置された患者インターフェース6000と比較して)動的安定性が向上し得る。動的安定性は詳細には、動き(例えば、睡眠時の寝返り)時に患者インターフェース6000が患者の顔から「レバーオフ」される可能性を低下させるために、患者の顔上の嵩の低減(例えば、患者の顔のより近隣における重量低減)によって向上され得る。換言すると、目立たない外観により、支点が患者の顔により近接して得られるため、(例えば空気回路4170からの)付加された引張力に起因して織物シール部材6202が患者の顔から係合解除される事態がより発生しにくくなる。
【0177】
コンプライアント部6204は、織物から構築されない。本技術の特定の形態において、コンプライアント部6204は、発泡体材料製であり得る。適切な発泡体材料の例を左記に挙げる:力の付加が無くなると弛緩位置に戻る形状記憶発泡体(例えば、ResMedのUltraSoft(登録商標)形状記憶発泡体)またはシリコーン発泡体。例において、発泡体材料について、国際特許出願公開WO2014/117227、国際特許出願公開WO2016/054692または特許出願公開WO2017/049359に記載があり得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。よって、患者インターフェース6000において、織物、発泡体および織物が交互に用いられる。
【0178】
本技術の別の形態において、コンプライアント部6204は、コンプライアント特性を提供する別の種類の多泡性構造を有し得る(例えば、シリコーン製のハニカム構造)。
【0179】
本技術の別の形態において、コンプライアント部6204は、コンプライアント特性を提供する別のタイプの構造を有し得る(例えば、断面がC字型またはS字型のシリコーンバネ)。
【0180】
本技術の特定の形態において、シール形成構造6200は、1つ以上の剛化物を含む。このような剛化物は、例えば支持、形状、形態および/または強度のうち1つ以上をシール形成構造6200(および拡大解釈によりフレーム6100)へ提供するために用いられ得る。
図8-1の例において、剛化物6205は、コンプライアント部6204内に設けられ、コンプライアント部6204は、剛化物6205周囲に形成(例えば、成型、縫製)され得る。例において、剛化物6205は、調節可能となるように半剛性材料から形成され得、例えば異なる顔形状に適合するための調節を支援する。いくつかの例において、剛化物6205は、繰り返し調節可能であり得る(例えば、必要に応じて調節可能である)。これにより、患者および/または臨床医が患者インターフェース6000の寿命全体において多様な調節を行うことが可能になる。他の例において、剛化物6205は、選択位置にセットする前に1回調節することが可能であり得る。換言すると、剛化物6205は最初は半剛性要素であり得るが、処理(例えば、熱)の付加後に剛性にされ得る。剛化物6205は、個々の患者に合わせて個別調整され得、その後、(例えば、患者の顔上に良好なシールを提供するために)個々の患者に適した位置に固定され得る。いくつかの例において、剛化物6205は、フレーム6100のシール形成構造6100への接続時において雰囲気へ露出され得る(例えば、上側および下側に沿った
図7-1を参照)。
【0181】
剛化物6205により、外力(例えば、引張力)が(例えば、位置決めおよび安定化構造6300を介して)フレーム6100へ付加された際のシール形成構造6200の変形が低減され得る。このような変形低減により、シール形成構造6200を治療的に有効な位置に維持することが支援され得る。
【0182】
本技術の特定の形態において、織物シール部材6202は、コンプライアント部6204のうち少なくとも一部を被覆するオーバーレイ部と、コンプライアント部6204から延びるオーバーハング部とを含み、空気ギャップがオーバーハング部とフレーム6100との間に設けられる。本明細書中、織物シール部材6202のオーバーハング部は、フランジ6206と呼ばれ得る。例において、織物シール部材6202のオーバーハングは、フランジ6206がラジアル方向に内方の方向に片持ち梁の様態で延びるように行われる。この配置構成により、シール形成構造6200が圧力アシスト型の密閉機構を利用することが可能になり得る。使用時において、フランジ6206は、プレナムチャンバ内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト型シールは、漏洩の可能性が低くなり得、非圧力アシスト型のシールよりも安定性が高くなり得る。圧力アシスト機構は、1つ以上の他の要素と連動して機能し得る(例えば、ヘッドギア6300における弾性張力、患者の顔と対照的なシール部材6202の粘着性、シール部材6202の弾性)。
【0183】
本技術の特定の形態において、織物シール部材6202の幅(より詳細には、フランジ6206の幅)は、自身の長さに沿って変化し得る。より大きな幅およびよって表面積を提供すると概して有用であり得るが、これは、顔の特徴によって特定の位置において制約を受け得る。織物シール部材6202の幅を長さに沿って変化させると、これに対する対応の支援となり得る。一形態において、織物シール部材6202は、多様なサイズ(例えば、小/中/大)で設けられ得、ヒトの顔の平均的サイズに基づいて事前選択され得る異なる幅をそれぞれ備える。別の形態において、織物シール部材6202の幅は、個々の患者に基づいて選択され得る。例えば、患者の顔が測定され得、の測定に基づいて織物のピースが切断され得る。
【0184】
本技術の特定の形態において、コンプライアント部6204の幅は、コンプライアント部6204の厚さよりも大きくなっている。コンプライアント部6204の幅について言及する場合、当該幅は、患者インターフェース6000の患者による着用時におけるコンプライアント部6204のラジアル方向の寸法を意味するものとして理解されたい。コンプライアント部の厚さについて言及する場合、患者着用時におけるコンプライアント部の前後方向における寸法を意味するものとして理解されたい(すなわち、フレーム6100と織物シール部材6202との間の方向におけるコンプライアント部6204の寸法)。
【0185】
コンプライアント部6204において厚さを幅よりも小さくした場合、目立たない外観の維持が支援され得、横臥の促進および嵩最小化になる。さらに、コンプライアント部6204をより肉薄にした場合、フレーム6100と織物シール部材6202との間の相対的動きが低下することによって快適性支援になり得、患者インターフェース6000が(緩くなるのではなく)快適にぴったりと合うと感じられ得る。フレーム6100とシール部材6202との間の間隔を低減させると、(例えば、管引き摺りまたは患者の枕からの力に起因して)フレーム6100上に作用する不安定な力がシール部材6202に付加された場合の影響も小さくなり得る。上記したように、その理由は、支点(例えば、空気回路4170とフレーム6100との間の)支点が患者の顔に近接するため、応力中心距離がより小さくなるからであり得る。応力中心距離長さ(すなわち、半径)はトルクに直接関連するため、(例えば、目立たない外観の患者インターフェースの生成により)応力中心距離を低減させると、(例えば、フレーム6100を患者の皮膚から離隔方向に間隔を開けて配置した場合と比較して)トルクが低減し、管引き摺りが最小化される。
【0186】
本技術の特定の形態において、コンプライアント部6204の厚さおよび/または幅は、シール形成構造6200の異なる領域間において変化し得る。
【0187】
本技術の特定の形態において、織物シール部材6202の少なくとも一部は、可撓性フレーム6100のプレナムチャンバ部6102の後方対向面6104へ直接設けられ得る。例えば、コンプライアント部6204は、鼻または鼻梁領域内にもまたは患者の顔の鼻筋領域上にも設けられない場合がある。他の例において、コンプライアント部9204は、オトガイ隆起に近接して設けられない場合がある。別の形態において、コンプライアント部6204は、シール形成構造6200の全体に沿って設けられ得る。
【0188】
いくつかの形態において、フレーム6100およびコンプライアント部6204は、単一の同種の材料ピースから形成され得る。例えば、フレーム6100がシリコーン製であり、コンプライアント部6204が必要条件の特性を有するシリコーン構造である場合、フレーム6100およびコンプライアント部6204は、単一のピースとして製造され得る。織物カバーを後でフレームおよびコンプライアント部6204の周囲に追加すると、患者にとって病床のような外観および感触を低めることが可能になる。これらのコンポーネントが別個に製造された後に連結される実施形態(例えば、フレーム6100が織物から構築される場合)において、類似の材料を使用すると、(例えば、溶接または接着剤による)コンポーネントの連結の支援になり得ることが考えられる。これらのコンポーネント連結方法も、コンプライアント部6204を織物シール部材6202へ連結させる際に用いられ得る。
【0189】
5.3.2.1.2 シール形成構造の表面
一形態において、シール形成構造6200は、粘着面または接着面を有する領域を含む。これは、織物の材料特性であってもよいし、あるいは、(例えば、スプレー、コーティング、ラミネート、印刷、成型を介して)織物に別個に付加してもよい。本技術の特定の形態において、織物シール部材6202は、少なくとも1つのシール向上フィーチャ6208を織物シール部材の後方対向面(すなわち、目標シール形成領域)上に含む。シール向上フィーチャ6208により、患者の顔と織物シール部材6202の織物材料との間の良好なシールが促進され得かつ/または織物シール部材6202により患者の顔をグリップする動作が支援され得る。例において、シール向上フィーチャ6208により、織物シール部材6202の粘着性が高まり得る。
【0190】
一形態において、シール向上フィーチャ6208は、シール向上材料の層を含み得る。例として、コーティングは、ポリウレタンまたはシリコーンであり得る。
【0191】
別の形態において、シール向上フィーチャ6208のシール向上材料は、発泡体材料であり得る。
【0192】
一形態において、シール向上フィーチャ6208は、不連続に設けられたシール向上材料6210を含み得る(すなわち、隙間が形成されて織物シール部材6202が露出される)。このような例において、シール向上材料6210は、多様な様態で設けられ得る(例えば、ランダム、パターン(例えば、
図8-2に示すようなストライプ、
図8-3に示すようなダッシュ模様、またはドット模様)、螺旋、螺旋状トラックまたはこれらの組み合わせ)。粘着性向上が必要な場所またはシール向上が可能な場所において、織物シール部材6202は、シール向上材料6210をより集中して有し得る。これらの場所は、平均的な人に合わせて一般化してもよいし、あるいは、これらの場所を各個々の患者に合わせて(例えば、患者からの測定結果に基づいて)具体的に設けてもよい。これらの異なるパターンにより、異なる利点も得られ得るため、個々の患者に合ったフィット感および感触をカスタマイズする方法としてこれらのパターンを特定の患者に合わせて選択することができる。
【0193】
一形態において、シール向上フィーチャ6208は、選択領域(複数可)内に織物シール部材6202の長さに沿って設けられ得る。一形態において、シール向上フィーチャ6208は、選択領域(複数可)内においてより大きな範囲まで(例えば、より大きな領域にわたってまたはより高レベルの粘着性で)設けられ得る。例として、使用時において鼻または鼻梁領域と接触するかまたは患者の顔の鼻筋領域上に設けられる領域が、より高いシール向上と共に設けられ得る。一形態において、シール向上フィーチャ6208は、織物の長さに沿って設けられ得る。
【0194】
5.3.2.2 鼻梁または鼻堤領域
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の鼻梁領域上または鼻堤領域上にシールを形成する。
【0195】
例において、シール形成構造は、鼻梁上において患者の鼻尖点に向かって設けられ得る。例において、シール形成構造は、鼻梁の下方の患者の鼻筋上に設けられ得る。一般的に、鼻上の領域へ付加される力は閉塞の原因になり得るため、そのような力は低減させることが望ましい。しかし、本技術の例によるシール形成構造に必要な保持力を低下させると、患者から見たときの患者インターフェースの押しつけがましさを低減させるようなこの領域内におけるシール形成構造の位置決めが可能になり得る。
【0196】
他の形態において、シール形成構造は、全体的に患者の鼻尖点の下方に配置され得るため、鼻梁または鼻筋領域と共に形成されるシールが無くなる。これにより、患者から見たときの患者インターフェースの「押しつけがましさ」がさらに低減し得る。
【0197】
5.3.2.3 上唇領域
一形態において、シール形成構造は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に使用時に密閉を形成する。
【0198】
5.3.2.4 顎領域
一形態において、シール形成構造は、シール使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成する。
【0199】
5.3.2.5 前額領域
一形態において、シール形成構造は、シール使用時において患者の顔の前額領域上にシールを形成する。このような形態において、プレナムチャンバまたはフレームは、使用時において眼を被覆し得る。
【0200】
5.3.2.6 鼻枕
一形態において、シール形成構造は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構成および配置される。
【0201】
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
【0202】
5.3.3 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。
【0203】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ3200中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られる。
【0204】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られる。
【0205】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られる。
【0206】
一形態において、使用時における位置決めおよび安定化構造3300によって提供される保持力は、少なくとも(6(g-f/cm2)xマスク占有面積(cm2))である。
【0207】
一形態において、使用時における位置決めおよび安定化構造3300によって提供される力は、(30(g-f/cm2)xマスク占有面積(cm2))未満である。
【0208】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0209】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。本技術の一形態において設けられる位置決めおよび安定化構造3300は、使用時において、厚さが2cmを超えない後部を含む。
【0210】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。本技術の一形態において設けられる位置決めおよび安定化構造3300は、患者が側臥位睡眠位置で横たわっている際に患者頭部の下側に配置されるように構成された目立たない外観の側部を含む。
【0211】
本技術の一形態において、タイを含む位置決めおよび安定化構造3300が設けられる。紐の一部は、使用時において(位置決めおよび安定化構造が非剛直の結合解除部位を有する)頭頂骨の領域内の患者頭部の一部と係合するような寸法および構造にされる。
【0212】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前方部位と位置決めおよび安定化構造3300の後方部位との間に配置された結合解除部位を備える。この結合解除部位は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部の存在により後部への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝達されてシールが妨害される事態を回避できるように、構築および配置される。
【0213】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、布地患者接触層、発泡材料内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0214】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0215】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築および配置される。
【0216】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含む。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者頭部の下側の下耳底点の下側を通過し、患者頭部の後頭骨を被覆するかまたは患者頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築および配置される。
【0217】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイが相違に離隔方向に移動する傾向を低減させるように第1のタイおよび第2のタイを相互接続させるように構築および配置された第3のタイを含む。
【0218】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0219】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造の一部は、水蒸気が抜け出ることおよび/または透過することを可能にする通気性素材で構築される。
【0220】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含む。
【0221】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3300を含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造3300は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適しかつ大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造3300の一形態を含み得る。
【0222】
図7-1は、位置決めおよび安定化構造6300と、フレーム6100とを有する、本技術の一例による患者インターフェース6000を示す。本例中の位置決めおよび安定化構造6300は、患者の顔に対してシーリング位置においてフレーム6100を支持するために、フレーム6100の側方部6108へ接続された複数のヘッドギアストラップを含む。
【0223】
単一の「ストラップ」は、より長い長さを生成するために別個に切断または形成された後に端部において接合された複数の長さの材料(単数または複数)によって形成してもよいし、あるいは、単一の「ストラップ」を単一の長さの材料(単数または複数)にしてもよいことが理解される。例において、多様なストラップが、(相互にかつ/またはフレーム6100に対して)選択的に調節可能であり得る。例えば、アパチャを有する接続点が設けられ得る。このアパチャを通じてストラップを送り、自身にループバックさせて固定することができ得る。例えば、接触、バンド、バックル接続、クリップなどにより相互に解放可能に連結されるように構成されたフックアンドループ材料により、ストラップが解放可能に固定され得る。実施例において、1つ以上の磁石クリップは、ストラップを解放可能に固定するのに用いられ得、磁気クリップを含む位置決めおよび安定化構造のさらなる利点およびフィーチャについて、WO2014/110622に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。本技術の例において、左ストラップおよび右ストラップならびに/あるいは上ストラップおよび下ストラップを独立的に調節することが可能になるため、シール形成構造6300の形状形成および調節を所望のフィット様態が得られるように行うことが支援され得る。
【0224】
図7-1に示す例において、位置決めおよび安定化構造6300は、一対の上ストラップ6310を含む。各上ストラップ6310は、患者の各眼と耳との間を通過するようにことが構成される。さらに、位置決めおよび安定化構造6300は、患者の両頬上において患者の頬骨の下側に配置されるように構成された一対の下ストラップ6320を含む。
【0225】
本例において、フレーム6100は、フレーム6100の側方部6108におけるストラップへの4点接続を介して、所定位置に保持される。例において、ストラップは、フレーム6100と共に縫い付けられるか、接合されるか、または一体形成され得る。
【0226】
いくつかの例において、各側方部6108は、一対の下ストラップ6320と一体形成される。換言すると、側方部6108および下ストラップ6320は、単一の材料ピースから形成され得る。各下ストラップ6320は、フレーム6100へ延び得かつフレーム6100と接続し得る。側方部6108は、1対の下ストラップ6320のフレーム6100への連結を支援するための移行を示し得る。例えば、各側方部6108の幅は、下ストラップ6320の残り部分よりも大きくされ得る。側方部6108の最も幅広の部位は、(例えば、接続長さの増大に起因して)フレーム6100への接続をより確実にするためにフレーム6100へ連結され得る。換言すると、側方部6108からの力が(上ストラップ6310および下ストラップ6320を介して)フレーム6100の垂直長さ全体に沿って付加され得、これにより、フレーム6100の周囲全体への密閉力の提供が支援され得る。フレーム6100および側方部6108は、単一の材料ピースから構築してもよく、側方部6108の幅は、フレーム6100の形状に実質的に整合する(例えば、実質的に円滑な移行を形成する)ように漸減され得る。このような幅の変更により、上ストラップ6310および下ストラップ6320の幅を(例えば、不快感の最小化、患者の耳との接触の制限などのために)患者頭部の横側部に沿って比較的小さくすることが可能になり、患者頭部の前方における幅を大きくすることができる。
【0227】
一例において、上ストラップ6310および下ストラップ6320はそれぞれ、単一のピースとして構築され、側方部6108において接続される。換言すると、患者頭部の各側部における上ストラップ6310および下ストラップ6320は、(少なくとも上ストラップ6310および下ストラップ6320の合計幅と同じ大きさの幅を含む)側方部6108へ向かって収束する。上ストラップ6310および下ストラップ6320はそれぞれ、側方部6108を介してフレーム6100へ接続される。
【0228】
一例において(例えば、
図11を参照)、各側方部6108は、各下ストラップ6320のみから延び得る。換言すると、各下ストラップ6320は、各側方部6108に沿ってフレーム6100へ近づくほど幅が増加する。側方部6108は、各下ストラップ6320とフレーム6100との間の移行部であり、フレーム6100の形状に実質的に整合する(例えば、実質的に円滑な移行を形成する)ようにテーパー状にされ得る。
【0229】
位置決めおよび安定化構造6300は、頂頭冠ストラップ6330、一対の側方頭冠ストラップ6332および頸部ストラップ6334のうち1つ以上も含み得る。頂頭冠ストラップ6330は、患者の頭部周囲を通過し、上方および後方に対向する表面に対して配置されるように構成される。頂頭冠ストラップ6330は、患者の頭蓋骨の頭頂骨上に配置されるように構成され得る。頂頭冠ストラップ6330の各端部は、上ストラップ6310それぞれと、一対の側方頭冠ストラップ6332それぞれとにも接続する。側方頭冠ストラップ6332それぞれは、患者の頭部の各側部において上ストラップ6310と下ストラップ6320との間に接続される。側方頭冠ストラップ6332の下端は、頸部ストラップ6334によって相互接続される。頸部ストラップ6334は、矢状面にわたって通過し、患者の頭部の下方および/または後方を向く表面に対して配置されるかまたは患者の首の後ろ側に配置されるように構成され得る。頸部ストラップ6334は、患者の頭蓋骨の後頭骨の上側または下側に配置され得る。
【0230】
いくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造6300を構成するストラップは全て、単一の材料ピースから構築される。換言すると、個々のストラップは全て、締結具(例えば、縫製、クリップ、磁石)の使用無しに相互に接続される。その結果、製造簡易化に繋がり得、各ストラップ間のシームレスな移行が可能になる。
【0231】
いくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造6300の少なくとも1つのストラップは、その他のストラップと一体形成されない。例えば、1つのストラップは、さらなるストラップと共に連続するピース材料として形成されない端部を含み得る。この端部は、ストラップの恒久的固定のために、締結具(例えば、縫い付け、溶接)によりさらなるストラップへ連結され得る。あるいは、ストラップを取り外し可能な締結具(例えば、機械ラッチ、磁石)により共に連結することもでき、その場合、(例えば、長さ調節、取り外し支援のために)これらのストラップを選択的に連結することが可能になる。
【0232】
本技術の例において、位置決めおよび安定化構造6300または少なくともそのコンポーネントは、弾性材料製であり得る。位置決めおよび安定化構造6300は十分に伸張可能であり得るため、患者インターフェース6000の着脱をストラップのうち1つ以上を外すかまたは取り付ける必要無しに行うことが可能である。本技術の例によれば、フレーム6100は可撓性でありかつ/またはシール形成構造6200に必要な保持力は比較的小さいため、従来の患者インターフェースと比較して比較的容易に伸張する位置決めおよび安定化構造6300の使用が可能になり得る。
【0233】
5.3.4 通気部
一形態において、患者インターフェース3000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部3400を含む。
【0234】
特定の形態において、通気3400は、プレナムチャンバ内の圧力が雰囲気に対して正であるときにプレナムチャンバ3200の内部から雰囲気への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気部3400は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼気されたCO2の患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成される。
【0235】
本技術による一形態の通気部3400は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0236】
通気部3400は、プレナムチャンバ3200内に配置され得る。あるいは、通気部3400は、結合解除構造(例えば、スイベル)内に配置される。
【0237】
図9-1は、接続ポート3600上に設けられた通気部3400-1の例を示す。
図9-1は、フレーム6100に設けられたインサート6110中に形成された通気部3400-2の別の例も示し、インサート6110は、フレームよりも高剛性の材料によって構成され得る。インサート6110は、フレーム6100内に取り外し可能に位置決めされ得る。患者は、インサート6110をクリーニングのために選択的に取り外すことができ得る。インサート6110をフレーム6100へ恒久的に連結させることもでき、その場合、フレーム6100の損傷無しにインサート6110を取り外すことができなくなる。
【0238】
図10-1は、フレーム6100の一部が空気透過性材料によって構成された形態の通気部3400-3の例を示す。特定の例において、通気部3400-3は、フレーム6100の残り部分と異なる材料によって構成され得る(例えば、メッシュまたは空気透過性織物材料)。フレームが織物材料製である特定の例において、織物材料の片側または両側がに対してコーティング、ラミネート、シーリングまたは空気不透過性表面が付与され、織物材料の一部において空気不透過性表面が付与されないことにより、通気部3400-3が提供され得る。換言すると、通気部3400-3にはコーティング、ラミネート、シーリングまたは空気不透過性表面は付与されないため、フレームのこの部分は空気透過性となる。
図10-2は、フレーム6100中に直接形成された通気部3400-4の例を示す(すなわち、フレーム6100の材料中に設けられた穴部)。フレーム6100の表面全体(例えば、後面6104および前面6106)には、ラミネート、シーリングまたは空気不透過性表面が付与され得る。通気部3400-4の穴部は、後面6104および前面6106を通じて全体的に延びて、流体(例えば、呼気)を雰囲気へ逃がすための流路を提供する。
【0239】
5.3.5 結合解除構造(複数または単数)
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩)を含む。
【0240】
5.3.6 接続ポート
【0241】
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。
【0242】
図9-1の実施例において、接続ポート3600は、フレーム6100と空気回路4170との間に解放可能な接続が得られるような構造および配置構成のリング部材の形態をとる。接続ポート3600は、フレーム6100に対して旋回可能であり得、かつ/また空気回路4170への接続部も旋回可能であり得る。実施例において、接続ポート3600は、(例えばスイベルコネクタを介して)空気回路4170へ接続するように構成されたエルボーアセンブリと、フレーム6100へ接続するように構成されたリング部材とを含み得る。かかるエルボーアセンブリは、リング部材に対して繰り返し係合可能かつ取り外し可能に係合解除可能(すなわち、接続可能および接続解除可能)であるため、フレーム6100と空気回路4170との間の解放可能または分離可能な接続性が促進され得る。
【0243】
一例において(例えば、
図9-2および
図9-3を参照)、フレーム6100は、開口部6112(例えば、円形開口部)を含み得る。開口部6112(例えば、円形開口部)は、プレナムチャンバ6102を通じて延び、患者インターフェース6000を着用している患者と雰囲気環境との間の流体連通を提供する。接続ポート3600は、開口部に対して類似の形状をとり得る。しかし、接続ポート3600は、(例えば円形の接続ポート3600から)ラジアル方向に外方に延びる突出部3602を含み得る。接続ポート3600は、可撓性の弾性変形材料から構成され得る(例えば、不浸透性の織物、シリコーン)。患者が接続ポート3600を圧縮させると、突出部3602は、プレナムチャンバ6102の開口部6112内においてラジアル方向に設けられ得る。突出部3602が開口部6112を通じて移動した(例えば、後面6104に近接して配置された)後、患者は、圧縮力を解放させ得、これにより、接続ポート3600は、初期位置に戻る。突出部3602は、(接続ポート3600が再度変形するまでは)接続ポート3600がプレナムチャンバ6102から外れる事態を回避するように、後面6104に対向して配置され得る。接続ポート3600は、実質的にシールされたインターフェースをフレーム6100と接続ポート3600との間に形成するように、テーパー状にもされ得る。
【0244】
図9-2および
図9-3のフレーム6100も目立たない外観形状を含み得るため、接続ポート3600とフレーム6100との間の接続に起因する管引き摺りも、上記したように同様に制限され得る。
【0245】
別の例において、空気回路4170は、フレーム6100へ直接設けられ得る。
【0246】
5.3.7 前額支持部
一形態において、患者インターフェース3000は、前額支持部3700(例えば、
図3Aを参照)を含む。
【0247】
図7-1~
図11に示す本技術の患者インターフェースの実施例は、前額支持部を含まない。本技術の患者インターフェースの変形例は、前額支持部を含み得る。
【0248】
5.3.8 導管
本技術の実施例による患者インターフェース3000は、接続ポート3600からプレナムチャンバ3200の内部への加圧流れを得るための導管を含み得る。
【0249】
図9-1に示すような例において、患者インターフェース6000は、(
図9-1中に空気回路4170として示す)単一の導管と、接続ポート3600を介したフレーム6100への関連接続とを含む。
図9-1の例において、接続ポート3600は、フレームフレーム6100上において中間および下方位置に設けられる。
【0250】
図10-1および
図10-2の例に示すように、患者インターフェース6000は、患者の眼および耳のうち対応する1つ間の患者頭部の横側部に沿って延びる導管6900を含み得る。例えば、これらの導管6900は、患者の顔の類似の領域にわたって1対の上ストラップ6310として延び得る。導管6900は、加圧空気流れを患者へ提供するように、フレーム6100のプレナムチャンバへ接続され得る。これらの導管6900は、不浸透性の織物(例えば、フレームと同じ材料)、エラストマー(例えば、シリコーン)または他の適切な材料から構築され得る。例えば、導管6900は、熱成形構造であり得る。
【0251】
図10-1の第1の例において、第1の導管6900-1は、位置決めおよび安定化構造6300の上ストラップ6310に一体化され、導管接続部6902は、上ストラップ6310からフレーム6100のプレナムチャンバへ延びる。
【0252】
第1の導管6900-1は、空気送達および力伝達の2つの機能相応を提供し得る。換言すると、加圧空気の流れの患者への提供に加えて、第1の導管6900-1は、位置決めおよび安定化構造6300の部位を構成し、関連する力をフレーム6100へ伝達させて、織物シール部材6202の患者の顔に対するシーリングを支援し得る。
【0253】
図示の例において、第1の導管6900-1は、フレーム6100へ直接接続する(すなわち、中間側方部6108には接続しない)。下ストラップ6320は、加圧空気を搬送せず、シール形成構造6200の外部のフレーム6100へ接続されるため、第1の導管6900-1は、異なる場所においてフレーム6100に接続する。この場合、第1の導管6900-1は、患者インターフェース6000が着用された際に患者の鼻孔に近接する場所においてフレーム6100に接続する。換言すると、患者の鼻は、第1の導管6900-1の近隣に配置されるため、加圧された呼吸可能なガスは、第1の導管6900-1によって搬送され、患者の鼻孔へと方向付けられる。
【0254】
一例において、第1の導管6900-1は、接続部6902へ取り外し可能に接続される。患者は、(例えば、位置決めおよび安定化構造6300から付加される張力の低減による)第1の導管のクリーニングの支援ならびに/あるいは患者インターフェース6000の着用および/脱着の促進のために、第1の導管6900-1および接続部6902を接続解除させ得る。第1の導管6900-1と接続部6902との間の接続は、スナップまたは摩擦嵌めを介して行われ得る。接続部6902は、第1の導管6900-1に加えてまたは第1の導管6900-1の代わりに、類似の有用性を提供するために(例えば、接続ポート3600について上記した様態と同様に)フレーム6100へ取り外し可能に接続され得る。
【0255】
一例において、第1の導管6900-1および接続部6902は、共に恒久的に連結される。接続部6902およびフレーム6100も、共に恒久的に連結される。換言すると、第1の導管6900-1および接続部6902は、(例えば、縫い付け、溶接、接着剤を通じて)フレーム6100に固定されるため、患者が第1の導管6900-1をフレーム6100から取り外すことはできなくなり得る。
【0256】
別の例も
図10-2に示す。この例において、第2の導管6900-2は、位置決めおよび安定化構造6300の上ストラップ6310にわたって設けられる。導管6900-2の下端は、導管コネクタ6800へ接続する。導管コネクタ6800により、空気圧接続がフレーム6100内部に提供されて、加圧空気流れがプレナムチャンバへ提供される。導管コネクタ6800は、フレーム6100に対する中間コネクタへ(例えば、機械締結具、磁石を介して)恒久的にまたは解放可能に接続してもよいし、あるいは、フレーム6100へ直接接続してもよい。導管コネクタ6800は、接続ポート3600と類似の構造を有し得、フレーム6100からの取り外し可能も同様に行われ得る。導管コネクタ6800は、他の任意の適切な様態で共に連結させてもよい(例えば、導管コネクタ6800とフレーム6100との間のシールを生成する様態)。例えば、導管コネクタ6800とフレーム6100との間は圧入または摩擦嵌めされ得る。導管コネクタ6800とフレーム6100との間の接続の解放のために、患者による作動が可能な押しボタンを設けてもよい。導管コネクタ6800は、以下に述べるような他の機能を提供し得る(例えば、プレナムチャンバの通気、位置決めおよび安定化構造6300への接続、および窒息防止弁の包含による窒息防止)。導管コネクタ6800は、エラストマー材料(例えば、シリコーン)、剛性材料(例えば、プラスチック)および/または織物材料(例えば、フレーム6100と同じ材料)から構築され得る。
【0257】
導管6900により、患者の顔上のシール形成構造6200の安定化および位置決めも可能になり得る。よって、導管6900は、位置決めおよび安定化構造6300のタイと同様に機能し得る。導管6900は、国際出願公開WO2017/124155Al中に開示される類似の導管の特徴を含み得る。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。例えば、本技術の導管6900は、本文書の
図3A~
図3Lおよび関連する記載に記載のヘッドギア管3350のフィーチャを含み得る。
【0258】
図11に示す患者インターフェース6000の例において、本例において、位置決めおよび安定化構造6300は、一対の導管6900を含む。この一対の導管6900は、その上端において相互接続され、それぞれ、使用時において患者の頭部の上方および横方向の表面上に配置されるように構成される。導管6900はそれぞれ、使用時において患者の眼と耳との間に配置されるように構成される。各導管6900の下端は、フレーム6100のプレナムチャンバへ流体接続するように構成される。本例において、各導管6900の下端は、導管コネクタ6800へ接続する。位置決めおよび安定化構造6300は、導管6900の接合部において導管ヘッドギア入口6390を含む。導管ヘッドギア入口6390は、例えば接続ポート3600を含むエルボーを介して加圧ガス流を受容し、このガス流を導管6900の中空内部中へ流動させるように、構成される。導管6900は、加圧ガス流れをプレナムチャンバofフレーム6100へ供給する。
【0259】
位置決めおよび安定化構造6300は、これらの導管6900に加えて1つ以上のストラップを含み得る。本例において位置決めおよび安定化構造6300は、一対の側方頭冠ストラップ6332および一対の下ストラップ6320を含む。側方頭冠ストラップ6332および下ストラップ6320の後端は、頸部ストラップ6334によって共に連結される。側方頭冠ストラップ6332と下ストラップ6320との間の接合部は、患者の頭部の後面に配置されるように構成されるため、側方頭冠ストラップ6332および下ストラップ6320のアンカー固定が可能になる。側方頭冠ストラップ6332の前端は、導管6900へ接続する。本例において、各導管6900は、開口部を有するタブ6342を含む。この開口部を通じて、各側方頭冠ストラップ6332を通過させた後にループバックさせて自身に固定することにより、側方頭冠ストラップ6332を導管6900へ固定することができる。
【0260】
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの窒息防止弁を含む。
図10-2に示す例において、導管コネクタ6800は、窒息防止弁6802を含み得る。例として、窒息防止弁6802は、窒息防止弁孔を閉鎖位置において被覆する窒息防止弁フラップを含み得るため、窒息防止弁6802に進入する加圧空気流れが窒息防止弁フラップによって窒息防止弁孔を通じて周囲へ逃げる事態が回避され、この加圧空気流れは、プレナムチャンバ中へ方向付けられる。窒息防止弁フラップは、患者の呼吸サイクル(すなわち、吸息気および呼息)全体において閉鎖位置に留まるように構成され得る。そのため、患者は、吸息および呼息時において患者の気道において充分な開通性を確保するように、加圧空気流れを自身の気道において受容する。加圧空気流れが停止された場合、窒息防止弁フラップは、(窒息防止弁孔が被覆されていない)開口位置に配置されるため、患者は、窒息防止弁孔を介して周囲からの呼吸が可能になる。
【0261】
5.3.8.1 フルフェイスシールと一体構造の導管
いくつかの形態において、
図12-1~
図12-5に示すように、患者インターフェース9000は、単一のピース(例えば、一体型のシームレスな接続)として形成され得るため、フレーム9100、シール形成構造9200および位置決めおよび安定化構造9300が一体形成される。導管9900も、患者インターフェース9000の残り部分(すなわち、フレーム9100、シール形成構造9200および/または位置決めおよび安定化構造9300)と共に単一のピースとして形成され得る。しかし、いくつかの例において、導管9900のうち少なくとも1つは、(例えば、着脱、クリーニングの支援のために)フレーム9100から接続解除され得る。
【0262】
いくつかの形態において、患者インターフェース9000は、フルフェイスシールまたは超小型フルフェイスシールであり得、どちらのシールも、患者の口および患者の鼻孔双方の周囲をシールするため、加圧空気がいずれかのオリフィスを通じて吸気され得る。
【0263】
いくつかの形態において、導管9900は、位置決めおよび安定化構造9300と別個の構造である。換言すると、ストラップおよび導管9900は、同一構造ではない。
図12-1に示すように、導管9900は、上ストラップ9310上に重ね置かれる。しかし、上ストラップ9310のみが患者頭部と接触し、上ストラップ9310は、導管9900よりも幅広に延びる。
【0264】
いくつかの形態において、導管9900は、上ストラップ9310に相対して固定される。換言すると、導管9900および上ストラップ9310は、上記したように単一のピースから形成され得る。例えば、導管9900は、位置決めおよび安定化構造9300と同じ織物材料(例えば、ニット構造)から構築され得る。ワンピース型に形成されるため、導管9900は、上ストラップ9310の幅に沿って横方向移動することができなくなり得る。
【0265】
一形態において、上ストラップ9310は、導管9900へ接続され得、導管9900の壁部の一部を形成し得る。換言すると、各上ストラップ9310は、シームレスな接続により(例えば、熱シールを介して)各導管9900へ接続される。組立前の導管9900の一部は実質的にU字型であり得るため、導管9900が各上ストラップ9310へ連結されると、導管9900は封入される。上ストラップ9310は導管9900の内部通路の一部を形成するため、上ストラップ9310は、不浸透性であり得る(例えば、空気不透過性物質によるコーティング)。例えば、上ストラップ9310は、患者と接触しない側(すなわち、各導管9900の容積内の上ストラップ9310の側部)のみにおいて不浸透性であり得るため、患者接触側には織物特性(例えば、患者の皮膚に対する快適性)が含まれる。
【0266】
各上ストラップ9310および導管9900は単一構造として形成されるため、導管9900は、上ストラップ9310に相対して移動できない。上ストラップ9310は、(例えば、患者の睡眠時において所望の密閉力を維持するために)患者頭部上において比較的静的な状態になるように構成され得る。よって、導管9900はフレーム6100を引くこともフレーム6100へ力を付加することもできなくなり得るため、管引き摺り(またはフレーム6100によって受容される他の力)の低減および/または排除が可能になり得る。
【0267】
いくつかの形態において、患者インターフェース9000は、導管接続部を含まない場合がある。導管9900の代わりに、患者インターフェース9000は、コンプライアント部9204および/または織物シール部9202中へ直接延びてもよい。図示の例において、導管9900は、加圧空気を患者の鼻孔へ直接送達させるために、患者の鼻下点に近接する領域へ延びる。例えば、導管9900は、患者の鼻孔縁に対してシール形成する開口部を(例えば、各鼻孔に対して1つ)含み得る。よって、これらの導管9900は、患者の顔のうち少なくとも一部と直接接触する。これにより、患者の顔と各導管9900との間の応力中心距離がさらに低減されるため、管引き摺り発生のさらなる低減が支援され得る。
【0268】
いくつかの形態において、
図12-5に示すように、患者インターフェース9000の導管9900は、患者の気道への加圧空気の搬送のための3つの別個の開口部を含み得る。例えば、第1の2つの開口部9910(すなわち、鼻開口部)は、上記したように鼻開口部であり、織物シール部9202は、患者の鼻孔への加圧空気の送達のために患者の鼻孔縁周囲を実質的にシールする。織物シール部9202は、患者の鼻孔との重複を実質的に制限する(例えば、呼吸閉塞を制限する)ように配置してもよい。第3の開口部9920(すなわち、口腔開口部)は、開口部9910と実質的に反対方向に方向付けられ得、加圧空気をプレナムチャンバ9200の空洞9250中へ方向付け得る。この空気は、患者の口へ方向付けられ得るため、患者の口を通じた吸入によっても加圧空気が患者の気道へ導入される。
【0269】
いくつかの形態において、開口部9920は、(例えば、開口部9910と同様に)患者の気道中へ空気を直接搬送させるのではなく、患者の口周囲をシールせず、空気を患者の口へ方向転換させるだけであり得る。換言すると、開口部9920は、織物シーリング部9202の外周の内部に設けられる。開口部9920を通じて流れる空気は、患者の口中へ直接流れない。すなわち、加圧空気は、織物シール部9202によって加圧される容積中に流れ込み、その後患者はこの空気を吸入することができ得る。これにより、開口部9920を患者の口のサイズよりも小型にすることが可能になり、織物シール部9202の質向上に繋がり得る(例えば、漏洩発生の制限)。
【0270】
いくつかの形態において、開口部9910および9920は、フレーム6100の中心に概して近接して配置される。換言すると、開口部9910および9920は全て、患者の鼻柱に近接して配置される。開口部9920は、鼻柱と実質的に整列され得る一方、開口部9910は、鼻柱の外部に設けられ得、患者の鼻孔と整列され得る。開口部9910は、開口部9920と少なくとも部分的に重複し得る。
【0271】
導管9900は、加圧空気を開口部9910および9920のうちいずれか1つの内部に方向付けるインピーダンスを含まない場合がある。換言すると、加圧空気は、加圧空気を患者の口および患者の鼻へ搬送させるために、開口部9910および9920全てを通じて流動し得る。
【0272】
いくつかの形態において、患者インターフェース9000は、外部剛性付与部9350を含み得る。外部剛性付与部9350により、患者インターフェース9000の形状(例えば、詳細には導管9900および/またはフレーム9100)の維持が支援され得る。
【0273】
いくつかの形態において、剛性付与要素は、可撓性材料または半剛性材料から形成され得る。換言すると、剛性付与部9350は、織物シール部9202よりも高剛性であり得るが、剛性付与部9350は、剛性材料(例えば、硬質プラスチックまたは半剛性プラスチック)から形成されない場合がある。なくてもよい。このようにして、患者インターフェース9000は、柔らかくかつ/または柔順な感触を維持することができ得、よって患者コンプライアンスの促進および/または異質な寝室材料(例えば、シリコーン)の制限に繋がり得る。
【0274】
いくつかの形態において、剛性付与要素9350は、織物材料から構築され得る。例えば、剛性付与要素9350は、患者インターフェース9000の残り部分と同じ材料から構築され得る。これにより、材料全てが実質的に同一となるため、患者インターフェース9000のワンピースとしての構築が促進され得る。剛性糸を(例えば、患者インターフェース9000の組立の前または後に)剛性付与要素9350内に設けることにより、さらなる剛性が剛性付与要素9350へ付与される。
【0275】
いくつかの形態において、剛性付与要素9350は、患者インターフェース9000の他の部位において用いられる織物材料と異なる材料から構築され得る。例えば、剛性付与要素9350は、発泡体から構築され得る。発泡体は、患者インターフェースの他の部位において用いられる織物よりも高剛性であり得るが、柔らかくかつ/または柔順な感触も持っている。さらに、発泡体を患者インターフェース9000と一体化させると、織物および発泡体材料がワンピース構造における一体ピースとして形成される。
【0276】
いくつかの形態において、剛性付与部9350は、患者の口にわたって延び得る。
図12-3に示すように、患者の顔における上唇からオトガイ隆起の下側にかけての領域は、剛性付与部9350によって被覆され得る。剛性付与部9350は、フレーム9100を被覆し得るが、いくつかの例において、フレーム9100は、剛性付与部9350から構築される。剛性付与部9350は、導管9900のうち患者の鼻孔周囲をシールする部位は完全には被覆しない場合がある。換言すると、フレーム9100の最上部および/またはシール形成構造6200は、剛性付与部9350によって被覆されない。これにより、鼻領域の屈曲性が高くなり得、患者の鼻が患者インターフェース9000と接触する際、導管9900の可撓性材料が変形し得る。詳細には、これにより、患者インターフェース9000の鼻部が変形して幅広い多様なサイズの患者の鼻に適合することが可能になり得るため、1つのサイズで全てにフィットするかまたは1つのサイズでほとんどの患者インターフェース9000にフィットすることが促進され得る。
【0277】
いくつかの形態において、患者の顔の前方の剛性付与要素により、フレーム9100および/または空洞9250の形状の維持が支援され得る。換言すると、加圧空気は、空洞9250中に導入される際に、フレーム9100へ力を付加し得る。フレーム9100は、織物(または他の類似の可撓性材料)から構築され得るため、フレーム9100は、この力に起因して変形(例えば、破裂)する傾向を有し得る。この変形に起因して、患者インターフェース9000の目立たない外観が排除され得、応力中心距離の増加の可能性も発生し得る(すなわち、これにより管引き摺りの可能性が増す)。
【0278】
よって、剛性付与部9350により、空洞9250内の容積が実質的に一定に維持されるため、患者インターフェース9000の目立たない外観の維持を支援される。さらに、患者は、枕のような表面と顔が直接接触したままでは(呼吸が困難または不可能になることに起因して)睡眠ができなくなる場合があるため、剛性付与部9350が有ると、患者の睡眠時において不快感の原因になり得る。
【0279】
いくつかの形態において、剛性付与部9350は、上ストラップ9310および/または下ストラップ9320に沿って延び得る。剛性付与部9350は、連続する要素であり得るため、剛性付与部9350は、1つの上ストラップ9310から他方の上ストラップ9310へ(および同様に1つの下ストラップ9320から他方の下ストラップ9320へ)中断無しに延びる。
【0280】
いくつかの形態において、剛性付与部9350の下部9352は、下ストラップ9320全体を被覆しない場合がある。
図12-2に示すように、下部9352は、下ストラップ9320の最下部に沿って延び得る一方、下ストラップ9320の残り部分は、下部9352によって露出されたままにされる。
【0281】
いくつかの形態において、剛性付与部9350の上部9354は、上ストラップ9310全体を被覆しない場合がある。
図12-2に示すように、上部9354は、導管9900に隣接して延び得る。上部9354は、患者の耳から間隔を開けて配置され得るため、上ストラップ9310の残り部分は上部9354によって露出されたままとなる。
【0282】
いくつかの形態において、上部9354は、患者インターフェース9000の頂頭冠ストラップ9330へ延び得ない。上部9354は、上ストラップ9310、頂頭冠ストラップ9330および側方頭冠ストラップ9332間の接合部においてほぼ停止し得る。この接合部は、耳の螺旋部の上方に設けられ得る。
【0283】
いくつかの形態において、剛性付与部9350の下部9352および上部9354により、実質的にU字型またはV字型形状が患者頭部のいずれかの側部に沿って形成され得る。下部9352および上部9354は、患者の耳と接触しないよう、患者の耳のいずれかの側に配置され得る。
【0284】
いくつかの形態において、
図12-3に示すように、下部9352および/または上部9354は、患者インターフェース9000の残り部分よりもより横方向に延び得る。換言すると、下部9352および上部9354は、位置決めおよび安定化構造9300の残り部分と比較して、患者頭部から離隔方向に(すなわち、左右方向に)延び得る。例えば、上部9354は、導管9900よりもより横方向に延び得る。これは、睡眠時の姿勢が横臥である患者にとって有用であり得る。なぜならば、下部9352および/または上部9354が睡眠用面(例えば、ベッド、枕)と接触した後に、導管9900または位置決めおよび安定化構造9300の他の部位が睡眠用面と接触し得るからである。下部9352および/または上部9354は、導管9900と睡眠用面との間のスペーサとして機能し得るため、患者が横臥して睡眠をとった結果患者の体重に起因する導管9900の圧壊の可能性が低下し得る。下部9352および/または上部9354はより低剛性であるため、患者の体重下において圧縮されかつ/または圧壊する可能性は低くなり得る。このようにして、患者頭部の力が導管9900へ移動することが無くなり得る。
【0285】
一形態において、上部9354および下部9352は、患者頭部から離隔方向において横方向距離だけ延び得る。換言すると、矢状面に対して実質的に平行な面が、上部9354および下部9352と接触し得る。よって、患者頭部が睡眠用面上において均等に静置され得、その他の部位9354および9352から離隔方向に延びる1つの部位9352お9354に起因して傾斜することが無い。
【0286】
いくつかの形態において、下部9352および/または上部9354は、位置決めおよび安定化構造9300の残り部分(例えば、剛性化されていない織物から構築されたもの)よりもストレッチ性が低くなり得る。剛性付与部9350は導管9900へ連結されているため、導管9900の少なくとも一部(例えば、患者の顔の近接部)も、ストレッチ性が低くなり得る。これにより、管引き摺り低減がさらに支援され得る。なぜならば、導管9900の可能なストレッチ量が制限され得るため、導管9900がフレーム9100へ付加し得る力も制限され得るからである。
【0287】
5.3.8.2 導管および鼻シールの一体構造
いくつかの形態において、
図13に示すように、患者インターフェース12000は、単一のピース(例えば、一体のシームレスな接続)として形成され得るため、フレーム12100、シール形成構造12200および位置決めおよび安定化構造12300は一体形成される。導管12900は、患者インターフェース12000の残り部分と共に単一のピースとして形成してもよい。
【0288】
いくつかの形態において、患者インターフェース12000は、患者の鼻孔周囲のみをシールする鼻専用シールであり得る。この場合、加圧空気が患者の口へ送達されないため、鼻呼吸のみを行う患者にとって有効であり得る。
【0289】
図13に示すように、患者インターフェース12000は、
図12-1~
図12-5の患者インターフェースに実質的に類似する。しかし、
図13の患者インターフェース12000は、口を露出させたままである(すなわち、口は、加圧体積中においてシールされていない)。これにより、患者の顔がより低い比率で患者インターフェース12000によって被覆され、患者が患者インターフェース12000を着用してベッドに入ることがより快適になり得るため、患者コンプライアンス向上に繋がり得る。
【0290】
患者インターフェース12000は、加圧空気を患者の鼻孔のみへ送達させるため、患者インターフェース12000は、患者の鼻周囲をシールするだけですむ。換言すると、織物シール部材12202は、患者の鼻孔縁周囲をシールするだけですむため、織物シール部材12202の周囲は、患者インターフェース9000の場合よりも短くてよい。
【0291】
5.3.9 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0292】
5.4 RPTデバイス
本技術の一態様によるRPTデバイス4000は、機械、空気圧式、および/または電気部品を含み、1つ以上のアルゴリズム4300(例えば全体的にせよ部分的にせよ本明細書に記載の方法のうちいずれか)を実行するように構成される。RPTデバイス4000は、例えば本文書中のいずれかに記載の呼吸状態のうち1つ以上の治療のために患者の気道へ送達される空気流れを生成するように構成され得る。
【0293】
一形態において、RPTデバイス4000は、少なくとも6cmH2Oまたは少なくとも10cmH2Oまたは少なくとも20cmH2Oの陽圧を維持しつつ、空気流れを-20L/分~+150L/分の範囲で送達できるように構築および配置される。
【0294】
RPTデバイスは、外部ハウジング4010を持ち得る。外部ハウジング4010は、上部4012および下部4014の2つの部分によって形成される。さらに、外部ハウジング4010は、1つ以上のパネル(単数または複数)4015を含み得る。RPTデバイス4000は、RPTデバイス4000の1つ以上の内部コンポーネントを支持するシャーシ4016を含む。RPTデバイス4000は、ハンドル4018を含み得る。
【0295】
空気圧RPTデバイス4000の空気圧経路は、1つ以上の空気回路アイテム(例えば、入口空気フィルタ4112、入口マフラー4122、空気を陽圧で供給することが可能な圧力生成器4140(例えば、送風機4142)、出口マフラー4124)ならびに1つ以上の変換器4270(例えば、圧力センサ4272および流量センサ4274)を含み得る。
【0296】
空気経路アイテムのうち1つ以上は、空気圧ブロック4020と呼ばれる取り外し可能な一体構造内に配置され得る。空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に配置され得る。一形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるかまたはシャーシ4016の一部として形成される。
【0297】
RPTデバイス4000は、電源4210、1つ以上の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力生成器4140、1つ以上の保護回路4250、メモリ4260、変換器4270、データ通信インターフェース4280、および1つ以上の出力デバイス4290を有することができる。電気部品4200は、シングルプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けられ得る。一代替形態において、RPTデバイス4000は、1つよりも多くのPCBA4202を含み得る。
【0298】
5.4.1 RPTデバイス機械および空気圧式コンポーネント
RPTデバイスは、以下のコンポーネントのうち1つ以上を一体ユニット中に含み得る。一代替形態において、以下のコンポーネントのうち1つ以上が、それぞれの別個のユニットとして配置され得る。
【0299】
5.4.1.1 空気フィルタ(単数または複数)
本技術の一形態によるRPTデバイスは、空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含み得る。
【0300】
一形態において、入口空気フィルタ4112は、圧力生成器4140の空気圧経路上流の始まり部に配置される。
【0301】
一形態において、出口空気フィルタ4114(例えば抗菌ファクタ)は、空気圧ブロック4020の出口と、患者インターフェース3000との間に配置される。
【0302】
5.4.1.2 マフラー(単数または複数)
本技術の一形態によるRPTデバイスは、マフラー4120または複数のマフラー4120を含み得る。
【0303】
本技術の一形態において、入口マフラー4122は、空気圧経路内において圧力生成器4140の上方に配置される。
【0304】
本技術の一形態において、出口マフラー4124は、空気圧経路内において圧力生成器4140と患者インターフェース3000との間に配置される。
【0305】
5.4.1.3 圧力生成器
本技術の一形態において、空気の流れまたは供給を陽圧において生成する圧力生成器4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、1つ以上のインペラを備えたブラシレスDCモータ4144を含み得る。インペラが、ボリュート内へ配置され得る。送風機は、空気供給の送達を例えば約120リットル/分までの速度で、約4cmH2O~約20cmH2Oの範囲の陽圧で、または他の形態において約30cmH2Oまで行うことができる。送風機については、以下の特許または特許出願のうちいずれか1つに記載があり得。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する:米国特許第7,866,944号、米国特許第8,638、014号、米国特許第8,636,479号およびPCT特許出願公開WO2013/020167。
【0306】
圧力生成器4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御下にある。
【0307】
他の形態において、圧力生成器4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧源(例えば、圧縮空気リザーバ)へ接続された圧力調節器、またはベローズであり得る。
【0308】
5.4.1.4 変換器(単数または複数)
変換器は、RPTデバイスの内部に設けてもよいし、あるいはRPTデバイスの外部に設けてもよい。外部変換器は、例えば空気回路上に配置してもよいし、あるいは空気回路の一部を形成してもよい(例えば、患者インターフェース)。外部変換器は、非接触センサの形態をとり得る(例えば、データRPTデバイスを送るかまたは移動させるドップラーレーダー移動センサ)。
【0309】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270が、圧力生成器4140の上流および/または下流に配置され得る。1つ以上の変換器4270は、空気流れの特性を示す信号(例えば、空気圧経路中の当該ポイントにおける流量、圧力または温度)を生成するように、構築および配置され得る。
【0310】
本技術の一形態において、1つ以上の変換器4270は、患者インターフェース3000の近隣に配置され得る。
【0311】
一形態において、変換器4270からの信号が、(例えば、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによって)フィルタリングされ得る。
【0312】
5.4.1.4.1 流量センサ
本技術による流量センサ4274は、差圧変換器(例えば、SENSIRIONからのSDP600シリーズ差圧変換器)に基づき得る。
【0313】
一形態において、流量センサ4274からの流量を示す信号が、中央コントローラ4230によって受信される。
【0314】
5.4.1.4.2 圧力センサ
本技術による圧力センサ4272は、空気圧経路と流体連通して配置され得る。適切な圧力センサの一実施例として、HONEYWELL ASDXシリーズからの変換器がある。別の適切な圧力センサとして、GENERAL ELECTRICからのNPAシリーズからの変換器がある。
【0315】
1つの形態において、圧力センサ4272からの信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
【0316】
5.4.1.4.3 モータ速度変換器
本技術の一形態において、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するために、モータ速度変換器4276が用いられ得る。モータ速度変換器4276からのモータ速度信号は、治療装置コントローラ4240へ提供され得る。モータ速度変換器4276は、例えば速度センサであり得る(例えば、ホール効果センサ)。
【0317】
5.4.1.5 アンチスピルバック弁
本技術の一形態において、アンチスピルバック弁4160が、加湿器5000と、空気圧ブロック4020との間に配置され得る。アンチスピルバック弁は、水が加湿器5000から上流に(例えば、送風機のモータ4144へ)流れる危険性を低減させるように、構築および配置される。
【0318】
5.4.2 RPTデバイス電気部品
5.4.2.1 電源
電源4210は、RPTデバイス4000の外部ハウジング4010の内部または外部に配置され得る。
【0319】
本技術の一形態において、電源4210は、RPTデバイス4000にのみ電力を供給する。本技術の別の形態において、電源4210から、電力がRPTデバイス4000および加湿器5000双方へ提供される。
【0320】
5.4.2.2 入力デバイス
本技術の一形態において、RPTデバイス4000は、人間がデバイスと相互作用を可能にするためのボタン、スイッチまたはダイヤルの形態をとる1つ以上の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、タッチスクリーンを介してアクセスすることが可能な物理的デバイスまたはソフトウェアデバイスであり得る。ボタン、スイッチまたはダイヤルは、一形態において外部ハウジング4010に物理的に接続させてもよいし、あるいは、別の形態において中央コントローラ4230と電気接続された受信器と無線通信してもよい。
【0321】
一形態において、入力デバイス4220は、人間が値および/またはメニュー選択肢を選択することを可能にするように、構築および配置され得る。
【0322】
5.4.2.3 中央コントローラ
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000の制御に適した1つまたは複数のプロセッサである。
【0323】
適切なプロセッサは、ARM HoldingsからのARM(登録商標)Cortex(登録商標)-Mプロセッサに基づいたプロセッサであるx86INTELプロセッサを含み得る(例えば、ST マクロ電子からのS(登録商標)32シリーズのマイクロコントローラ)。本技術の特定の代替形態において、32ビットRISC CPU(例えば、ST MICRO電子SからのSTR9シリーズマクロコントローラ)または16ビットRISC CPU(例えば、TEXAS INSTRUMENTSによって製造されたマクロコントローラのMSP430ファミリーからのプロセッサ)も適切であり得る。
【0324】
本技術の一形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。
【0325】
一形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。別の形態において、中央コントローラ4230は、個別電子コンポーネントを含む。
【0326】
中央コントローラ4230は、1つ以上の変換器4270、1つ以上の入力デバイス4220および加湿器5000から入力信号(単数または複数)を受信するように、構成され得る。
【0327】
中央コントローラ4230は、出力信号(複数)を出力デバイス4290、治療装置コントローラ4240、データ通信インターフェース4280および加湿器5000のうち1つ以上へ提供するように、構成され得る。
【0328】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、本明細書中に記載の1つ以上の方法を具現するように、構成される(例えば、非一時的なコンピュータで読出可能な記録媒体のような(例えば、メモリ4260)中に記録されたコンピュータプログラムとして表現された1つ以上のアルゴリズム4300)。本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、RPTデバイス4000と一体化され得る。しかし、本技術のいくつかの形態において、いくつかの方法が、遠隔配置されたデバイスによって行われ得る。例えば、遠隔配置されたデバイスは、記録されたデータ(例えば、本明細書中に記載のセンサのうちいずれかからのもの)の分析により、人工呼吸器の制御設定を決定し得るか、または、呼吸関連イベントを検出し得る。
【0329】
5.4.2.4 時計
RPTデバイス4000は、中央コントローラ4230へ接続された時計4232を含み得る。
【0330】
5.4.2.5 治療装置コントローラ
本技術の一形態において、治療デバイスコントローラ4240は治療制御モジュール4330であり、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズム4300の一部を形成する。
【0331】
本技術の一形態において、治療装置コントローラ4240は、専用モータ制御集積回路である。例えば、一形態において、ONSEMIによって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが用いられる。
【0332】
5.4.2.6 保護回路
本技術による1つ以上の保護回路4250は、電気保護回路、温度および/または圧力安全回路を含み得る。
【0333】
5.4.2.7 メモリ
本技術の一形態によれば、RPTデバイス4000は、メモリ4260(例えば、不揮発性メモリ)を含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、電池式スタティックRAMを含み得る。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含み得る。
【0334】
メモリ4260は、PCBA4202上に配置され得る。メモリ4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態をとり得る。
【0335】
追加的にまたは代替的に、RPTデバイス4000は、取り外し可能なメモリ4260(例えば、セキュアデジタル(SD)規格に従って作製されたメモリカード)を含む。
【0336】
本技術の一形態において、メモリ4260は、非一時的コンピュータで読出可能な記録媒体として機能する。この記録媒体上に、本明細書中に記載の1つ以上の方法を表現するコンピュータプログラム命令(例えば、1つ以上のアルゴリズム4300)が記録される。
【0337】
5.4.2.8 データ通信システム
本技術の一形態において、データ通信インターフェース4280が設けられ、中央コントローラ4230へ接続される。データ通信インターフェース4280は、遠隔外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284へ接続可能であり得る。遠隔外部通信ネットワーク4282は、遠隔外部デバイス4286へ接続可能であり得る。ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288へ接続可能であり得る。
【0338】
一形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230の一部である。別の形態において、データ通信インターフェース4280は、中央コントローラ4230と別個であり、集積回路またはプロセッサを含み得る。
【0339】
一形態において、遠隔外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インターフェース4280は、インターネットへ接続するために、(例えば、イーサネットまたは光ファイバーを介して)有線通信を用得るかまたは無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM、LTE)を用い得る。
【0340】
一形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、1つ以上の通信規格(例えば、ブルートゥースまたはコンシューマー赤外線プロトコル)を用いる。
【0341】
一形態において、遠隔外部デバイス4286は、1つ以上のコンピュータ(例えば、ネットワーク化コンピュータのクラスタ)である。一形態において、遠隔外部デバイス4286は、物理的コンピュータではなく仮想コンピュータであり得る。いずれの場合も、このような遠隔外部デバイス4286は、適切に権限を付与された人間(例えば、臨床医)からのアクセスが可能であり得る。
【0342】
ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットまたはリモートコントロールであり得る。
【0343】
5.4.2.9 任意選択のディスプレイ、警報を含む出力デバイス
本技術による出力デバイス4290は、視覚、音声および触覚ユニットのうち1つ以上の形態をとり得る。視覚ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであり得る。
【0344】
5.4.2.9.1 ディスプレイドライバ
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上へ表示されるべき文字、記号または画像を入力として受信し、ディスプレイ4294にこれらの文字、記号または画像を表示させるコマンドへ変換する。
【0345】
5.4.2.9.2 ディスプレイ
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して、文字、記号または画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は8セグメントディスプレイであり得、その場合、ディスプレイドライバ4292は、各文字または記号(例えば、数字「0」)を、特定の文字または記号を表示するために各8個のセグメントを活性化させるべきかを示す8個の論理信号へ変換する。
【0346】
5.5 空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0347】
詳細には、空気回路4170は、空気圧ブロック4020の出口および患者インターフェースと流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0348】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0349】
5.5.1 酸素送達
本技術の一形態において、補充用酸素4180が、空気圧経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧ブロック4020の上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
【0350】
5.6 加湿器
5.6.1 加湿器の概要
本技術の一形態において、患者へ送達されるべき空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に相対して変化させるための加湿器5000が提供される(例えば、
図5Aに示すようなもの)。典型的には、加湿器5000は、患者気道へ送達される前に空気流れの(周囲空気に相対する)絶対湿度を増加させかつ温度を増加させるために、用いられる。
【0351】
加湿器5000は、加湿器リザーバ5110と、空気流れを受容する加湿器入口5002と、加湿された空気流れを送達させるための加湿器出口5004とを含み得る。
図5Aおよび
図5Bに示すようないくつかの形態において、加湿器リザーバ5110の入口および出口はそれぞれ、加湿器入口5002および加湿器出口5004であり得る。加湿器5000は、加湿器ベース5006をさらに含み得る。加湿器ベース5006は、加湿器リザーバ5110を受容するように適合され得、加熱要素5240を含み得る。
【0352】
5.6.2 加湿器コンポーネント
5.6.2.1 水リザーバ
1つの配置構成によれば、加湿器5000は、空気流れの加湿のために蒸発させるべき一定量の液体(例えば、水)を収容または保持するように構成された水リザーバ5110を含み得る。水リザーバ5110は、少なくとも呼吸治療セッション期間(例えば、一晩の睡眠)にわたって適切な加湿を提供するための所定の最大量の水を収容するように、構成され得る。典型的には、リザーバ5110は、数百ミリリットルの水(例えば、300ミリリットル(ml)、325ml、350mlまたは400ml)を収容するように、構成される。他の形態において、加湿器5000は、外部水源(例えば、建物の水供給システム)から水供給を受容するように、構成され得る。
【0353】
一態様によれば、水リザーバ5110は、空気流れがRPTデバイス4000を通過する際にRPTデバイス4000からの空気流れを加湿するように、構成される。一形態において、水リザーバ5110は、空気流れがリザーバ5110中の一定量の水と接触しつつ、空気流れのリザーバ5110中の蛇行経路の移動を促進するように、構成され得る。
【0354】
一形態によれば、リザーバ5110は、例えば
図5Aおよび
図5Bに示すように横方向において加湿器5000から取り外し可能であり得る。
【0355】
リザーバ5110は、例えばリザーバ5110がその通常の動作方向(例えば、任意のアパチャを通じておよび/またはそのサブコンポーネント間に)から変位および/または回転した時にリザーバ5110からの液体放出を抑制するようにも構成され得る。加湿器5000によって加湿すべき空気流れは加圧されていることが多いため、リザーバ5110は、漏洩および/または流れインピーダンスを通じた空気圧の損失を防止するようにも、構成され得る。
【0356】
5.6.2.2 伝導性部位
1つの配置によれば、リザーバ5110は、加熱要素5240からリザーバ5110中の一定量の液体への効率的な熱伝達を可能にするように構成された伝導性部位5120を含む。一形態において、伝導性部位5120はプレートとして配置され得るが、他の形状も適切であり得る。伝導性部位5120の全体または一部は、アルミニウムなどの熱伝導性材料(例えば、厚さおよそ2mm(例えば、1mm、1.5mm、2.5mmまたは3mm))、別の熱伝導金属また何らかのプラスチックによって構成され得る。いくつかの場合において、適切な熱伝導性が、適切なジオメトリのより低伝導性の材料により、達成され得る。
【0357】
5.6.2.3 加湿器リザーバドック
一形態において、加湿器5000は、加湿器リザーバ5110を受容するように構成された(
図5Bに示すような)加湿器リザーバドック5130を含み得る。いくつかの配置において、加湿器リザーバドック5130は、ロック機能を含み得る(例えば、リザーバ5110を加湿器リザーバドック5130内に保持するように構成されたロックレバー5135)。
【0358】
5.6.2.4 水位インジケータ
加湿器リザーバ5110は、
図5A~
図5Bに示すような水位インジケータ5150を含み得る。いくつかの形態において、水位インジケータ5150は、加湿器リザーバ5110中の水の量についての1つ以上の兆候を患者1000または介護者などのユーザへ提供し得る。水位インジケータ5150から提供されるこれら1つ以上の兆候は、最大の所定量の水、その任意の一部の通知を含み得る(例えば、25%、50%または75%または量(例えば、200ml、300mlまたは400ml))。
【0359】
5.6.2.5 加湿器変換器(単数または複数)
加湿器5000は、上記した変換器4270の代わりにまたは上記した変換器4270に加えて1つ以上の加湿器変換器(センサ)5210を含み得る。加湿器変換器5210は、
図5Cに示すような空気圧センサ5212、空気流量変換器5214、温度センサ5216または湿度センサ5218のうち1つ以上を含み得る。加湿器変換器5210は、1つ以上の出力信号を生成し得る。これらの出力信号は、コントローラ(例えば、中央コントローラ4230および/または加湿器コントローラ5250)へ通信され得る。いくつかの形態において、加湿器変換器は、出力信号をコントローラへ通信しつつ、加湿器5000の外部に(例えば、空気回路4170内に)配置され得る。
【0360】
5.6.2.5.1 圧力変換器
1つ以上の圧力変換器5212が、RPTデバイス4000内に設けられた圧力センサ4272に加えてまたはRPTデバイス内に設けられた圧力センサ4272の代わりに加湿器5000へ設けられ得る。
【0361】
5.6.2.5.2 流量変換器
RPTデバイス4000内に設けられた流量センサ4274に加えてまたはRPTデバイス内に設けられた流量センサ4274の代わりに、1つ以上の流量変換器5214が加湿器5000へ設けられ得る。
【0362】
5.6.2.5.3 温度変換器
加湿器5000は、1つ以上の温度変換器5216を含み得る。1つ以上の温度変換器5216は、1つ以上の温度(例えば、加熱要素5240の温度および/または加湿器出口5004の空気流れ下流の温度)を測定するように構成され得る。いくつかの形態において、加湿器5000は、周囲空気の温度を検出する温度センサ5216をさらに含み得る。
【0363】
5.6.2.5.4 湿度変換器
一形態において、加湿器5000は、周囲空気などのガスの湿度を検出する1つ以上の湿度センサ5218を含み得る。いくつかの形態において、湿度センサ5218は、加湿器5000から送達されるガスの湿度を測定するように、加湿器出口5004に向かって配置され得る。湿度センサは、絶対湿度センサであってもよいし、あるいは相対湿度センサであってもよい。
【0364】
5.6.2.6 加熱要素
いくつかの場合において、加熱要素5240は、加湿器リザーバ5110中の水量および/または空気流れへの水量のうち1つ以上へ熱入力を提供する加湿器5000へ設けられ得る。加熱要素5240は、電気抵抗加熱トラックなどの熱生成コンポーネントを含み得る。加熱要素5240の1つの適切な実施例として、例えばPCT特許出願公開第WO2012/171072号に記載の層状加熱要素がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0365】
いくつかの形態において、加熱要素5240は、加湿器ベース5006中へ設けられ得る。加湿器ベース5006において、
図5Bに示すように主に伝導により熱が加湿器リザーバ5110へ送られ得る。
【0366】
5.6.2.7 加湿器コントローラ
本技術の1つの配置によれば、加湿器5000は、
図5Cに示すような加湿器コントローラ5250を含み得る。一形態において、加湿器コントローラ5250は、中央コントローラ4230の一部であり得る。別の形態において、加湿器コントローラ5250は、中央コントローラ4230と通信し得る別個のコントローラであり得る。
【0367】
一形態において、加湿器コントローラ5250は、特性(例えば、温度、湿度、圧力および/または流量)の測定を入力として受信し得る(例えばリザーバ5110中および/または加湿器5000中の空気流れ、水の測定)。加湿器コントローラ5250は、加湿器アルゴリズムの実行または実施ならびに/あるいは1つ以上の出力信号の送達を行うようにも、構成され得る。
【0368】
図5Cに示すように、加湿器コントローラ5250は、1つ以上のコントローラを含み得る(例えば、中央加湿器コントローラ5251、加熱空気回路4171の温度を制御するように構成された加熱空気回路コントローラ5254および/または加熱要素5240の温度を制御するように構成された加熱要素コントローラ5252)。
【0369】
5.7 呼吸波形
図6は、睡眠時のヒトの典型的な呼吸波形のモデルを示す。水平軸は時間であり、垂直軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動し得るため、典型的な呼吸は、以下のおおよその値を持ち得る:一回換気量、Vt、0.5L、吸息時間、Ti、1.6秒、ピーク吸気流量、Qピーク、0.4L/秒、呼息時間、Te、2.4s、ピーク呼気流量、Qピーク、-0.5L/秒。呼吸の全持続時間Ttotは約4秒である。人間は典型的には、1分あたり呼吸を約15回行い(BPM)、換気Ventは約7.5L/minである。典型的な負荷サイクル、TiとTtotの比は約40%である。
【0370】
5.8 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0371】
5.8.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0372】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0373】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0374】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0375】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0376】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0377】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0378】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0379】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。合計流量Qtは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0380】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸状態を改善するために治療上有益な量の水(H2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0381】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対する回りエルボーにおいて発生し得る。
【0382】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0383】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0384】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気孔)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0385】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0386】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、及びヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0387】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0388】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0389】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0390】
5.8.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0391】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0392】
5.8.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0393】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0394】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
・ 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
・ 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0395】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
【0396】
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0397】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0398】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0399】
粘着度または粘着性:接触している材料間の粘着力および/または接着力に起因して材料が(特に室温において)別の材料へ粘着する傾向。
【0400】
5.8.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0401】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0402】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0403】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0404】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0405】
流れ制限:流れ制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流れ制限が発生した場合、当該流れ制限は吸気流れ制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流れ制限が発生した場合、当該流れ制限は呼気流れ制限と称することができる。
【0406】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0407】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0408】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0409】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0410】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0411】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0412】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0413】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0414】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。原則的に、吸気量Vi(吸気された空気の量)は、呼気量Ve(呼気された空気の量)に等しいため、単一の一回換気量Vtは、いずれかの量に等しいものとして規定され得る。実際には、一回換気量Vtは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Viと呼気量Veの平均)として推定される。
【0415】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0416】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0417】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0418】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0419】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流れ制限の状態と関連し得る。
【0420】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0421】
5.8.3 換気
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0422】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0423】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0424】
呼気の気道陽圧(EPAP):、人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加される基本圧力。
【0425】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0426】
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のマスク圧力。
【0427】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0428】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0429】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0430】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0431】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0432】
5.8.4 解剖学的構造
5.8.4.1 顔の解剖学的構造
翼(Ala):外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)
【0433】
Alare:鼻翼上の最外側の点。
【0434】
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0435】
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0436】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0437】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0438】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0439】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0440】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0441】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
【0442】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0443】
下唇(ラブラーレ‐インフェリウス):口と頤との間の顔上の点であり、正中矢状平面内に存在する。
【0444】
上唇(ラブラーレ‐スーペリウス):口と鼻との間の顔上の点であり、正中矢状平面内に存在する。
【0445】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0446】
鼻孔(小鼻):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0447】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0448】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0449】
下耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0450】
上耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0451】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0452】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0453】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0454】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0455】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面である。正中矢状面は、右半分および左半分に分割する矢状面である。
【0456】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0457】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0458】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0459】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
【0460】
スプラメントン:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
5.8.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
【0461】
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0462】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0463】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0464】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0465】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0466】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0467】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0468】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0469】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0470】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
【0471】
5.8.4.3 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0472】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0473】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0474】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介(nasal conchae)(単数形「concha」)または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0475】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、口咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0476】
5.8.5 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0477】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0478】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0479】
機能的死腔:(説明をここに挿入)
【0480】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および布地の層状複合材)によって形成される。
【0481】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0482】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。形態において、フレームは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。いくつかの形態において、シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0483】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0484】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0485】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0486】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0487】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
【0488】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0489】
通気:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0490】
5.8.6 構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の実施例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の実施例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0491】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。
図3B~
図3Fを参照されたい。
図3B~
図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。
図3B~
図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの実施例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
【0492】
5.8.6.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0493】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。
図3B(
図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および
図3C(
図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0494】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。
図3Dを参照されたい。
【0495】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。
図3E(
図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および
図3F(
図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
【0496】
5.8.6.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図3B~
図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0497】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。
図3B~
図3Fの実施例において、最大曲率は
図3Bにおいて発生し、最小は
図3Fにおいて発生するため、
図3Bおよび
図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0498】
表面の領域:表面上の連結された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0499】
鞍状領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0500】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0501】
円筒領域:1つの主要な曲率がゼロ(または例えば製造交差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0502】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0503】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0504】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0505】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0506】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
【0507】
5.8.6.3 空間曲線
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(
図3Qを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(
図3Rを参照)。
図3Sは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0508】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0509】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0510】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば
図3Pを参照)または表すあるいは左手の法則(
図3O)によって決定され得る。
【0511】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。
図3Oおよび
図3Pを参照されたい。
【0512】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。
図3Sを参照して、T2>T1であるため、
図3Sの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、
図3Sの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
【0513】
図3Pの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、
図3Sに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0514】
同様に、左手の法則(
図3Oを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。
図3Tを参照されたい。
【0515】
5.8.6.4 穴
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、
図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
【0516】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤ内面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の実施例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば
図3Lのクッション、および二次元穴を境界付ける内面が示される
図3Mおよび
図3Nにおける
図3Lの例示的断面を参照されたい。さらに別の実施例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。
図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
【0517】
5.9 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0518】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0519】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0520】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的な方法および材料が本明細書中に記載される。
【0521】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0522】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0523】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0524】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0525】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0526】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0527】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0528】
1000 患者
1100 同床者
3000 患者インターフェース
3100 シール形成構造
3200 プレナムチャンバ
3210 腱
3220 上点
3229 下点
3300 位置決めおよび安定化構造
3400 通気部
3600 接続ポート
3602 突起
4000 RPTデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上部
4014 下部
4015 パネル
4016 シャーシ
4018 ハンドル
4020 空気圧ブロック
4110 空気フィルタ
4112 入口空気フィルタ
4114 出口空気フィルタ
4120 マフラー
4122 入口マフラー
4124 出口マフラー
4140 圧力生成器
4142 送風機
4144 モータ
4160 アンチスピルバック弁
4170 空気回路
4180 補充酸素
4200 電気部品
4202 プリント回路基板アセンブリ(PBCA)
4210 電源
4220 入力デバイス
4230 中央コントローラ
4232 時計
4240 治療デバイスコントローラ
4250 保護回路
4260 メモリ
4270 変換器
4272 圧力センサ
4274 流量センサ
4276 モータ速度変換器
4280 データ通信インターフェース
4282 遠隔外部通信ネットワーク
4284 ローカル外部通信ネットワーク
4286 遠隔外部デバイス
4288 ローカル外部デバイス
4290 出力デバイス
4292 ディスプレイドライバ
4294 ディスプレイ
5000 加湿器
5002 加湿器入口
5004 加湿器出口
5006 加湿器ベース
5110 加湿器リザーバ
5110 リザーバ
5120 伝導性部位
5130 加湿器リザーバドック
5135 ロックレバー
5150 水位インジケータ
5210 加湿器変換器
5212 空気圧力センサ
5214 流量変換器
5216 温度センサ
5218 湿度センサ
5240 加熱要素
5250 加湿器コントローラ
5251 中央加湿器コントローラ
5252 加熱要素コントローラ
5254 空気回路コントローラ
6000 患者インターフェース
6100 フレーム
6102 プレナムチャンバ部位
6104 後方対向面
6106 前方対向面
6108 側方部位
6110 フレームインサート
6112 開口部
6200 シール形成構造
6202 織物シール部材
6204 コンプライアント部
6205 リジダイザ
6206 フランジ
6208 シール向上フィーチャ
6210 シール向上材料
6300 位置決めおよび安定化構造
6310 上ストラップ
6320 下ストラップ
6330 頂頭冠ストラップ
6332 側方頭冠ストラップ
6334 頸部ストラップ
6342 タブ
6390 導管ヘッドギア入口
6800 導管コネクタ
6802 窒息防止弁
6900 導管
6902 導管接続部位
9000 患者インターフェース
9100 フレーム
9102 プレナムチャンバ部位
9104 後方対向面
9106 前方対向面
9200 シール形成構造
9202 織物シール部材
9204 コンプライアント部
9250 キャビティ
9300 位置決めおよび安定化構造
9310 上ストラップ
9320 下ストラップ
9330 頂頭冠ストラップ
9332 側方頭冠ストラップ
9350 剛性付与部
9352 下部
9354 上部
9900 導管
9910 鼻開口部
9920 口腔開口部
12000 患者インターフェース
12100 フレーム
12102 プレナムチャンバ部位
12200 シール形成構造
12202 織物シール部材
12204 コンプライアント部
12300 位置決めおよび安定化構造
12310 上ストラップ
12320 下ストラップ
12330 頂頭冠ストラップ
12332 側方頭冠ストラップ
12350 剛性付与部
12352 下部
12354 上部
12900 導管