(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】可撓性配線基板ユニット、及び調光ユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 1/03 20060101AFI20240430BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240430BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20240430BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H05K1/03 670
G02F1/13 505
G02F1/1334
G02F1/1345
(21)【出願番号】P 2022083618
(22)【出願日】2022-05-23
【審査請求日】2022-10-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】辻 真樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 玄
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】丸山 高政
【審判官】稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-57925(JP,A)
【文献】特開2019-29534(JP,A)
【文献】特開2008-226965(JP,A)
【文献】特開2008-108758(JP,A)
【文献】特開2009-104801(JP,A)
【文献】特開2001-210919(JP,A)
【文献】特開平7-92480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K
G02F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる第1可撓性配線基板と、
第2方向に延び、前記第2方向が前記第1方向と交差するように前記第1可撓性配線基板に接続される第2可撓性配線基板と、を備え、
前記第1可撓性配線基板は、
絶縁性の第1外側フィルム層、内側フィルム層、及び、第2外側フィルム層と、導電性の第1導体層及び第2導体層と、を備え、前記内側フィルム層が前記第1導体層と前記第2導体層との間に配置され、前記第1外側フィルム層が前記第1導体層に接し、かつ、前記第2外側フィルム層が前記第2導体層に接するように、前記第1外側フィルム層と前記第2外側フィルム層との間に前記第1導体層、前記内側フィルム層、及び、前記第2導体層が配置される両面構造を有し、
前記第1方向に並ぶ第1被接着端子及び第2被接着端子と、
前記第1可撓性配線基板の内部において、前記第1被接着端子に電気的に接続される第1中継端子と、前記第2被接着端子に電気的に接続される第2中継端子と、を備え、
前記第1被接着端子は、前記第1導体層が前記第1外側フィルム層から露出した部分であり、
前記第2被接着端子、前記第1中継端子、及び、前記第2中継端子は、前記第2導体層が前記第2外側フィルム層から露出した部分であり、
前記第2可撓性配線基板は、
絶縁性の第1フィルム層及び第2フィルム層と、前記第1フィルム層と前記第2フィルム層との間に配置される導電性の導体層と、を備える片面構造であって、前記両面構造よりも構成する層が少ない
前記片面構造を有し、
前記第2方向の一端に位置する第3中継端子及び第4中継端子と、
前記第2方向の他端に位置する第1電源端子及び第2電源端子と、を備え、
前記第2可撓性配線基板の内部において、前記第3中継端子と前記第1電源端子とが電気的に接続され、前記第4中継端子と前記第2電源端子とが電気的に接続され、
前記第3中継端子、前記第4中継端子、前記第1電源端子、及び前記第2電源端子は、前記導体層が前記第1フィルム層から露出した部分であり、
前記第3中継端子が、
導電性接着剤を介して前記第1中継端子と電気的に接続され、かつ前記第4中継端子が、
導電性接着剤を介して前記第2中継端子と電気的に接続されるように、前記第1方向及び前記第2方向を含む面内において、前記第1中継端子に対する前記第2中継端子の相対位置は、前記第3中継端子に対する前記第4中継端子の相対位置に等しく、
前記第1可撓性配線基板において、
前記第1被接着端子は、前記第2被接着端子、前記第1中継端子、及び、前記第2中継端子と相反する方向に面し、
前記第2可撓性配線基板において、
前記第3中継端子、前記第4中継端子、前記第1電源端子、及び前記第2電源端子は、互いに同じ方向に面し、
前記第1電源端子及び前記第2電源端子は、それぞれ外部電源に接続される
可撓性配線基板ユニット。
【請求項2】
前記第2方向は、前記第1方向と直交する方向である
請求項1に記載の可撓性配線基板ユニット。
【請求項3】
前記第2可撓性配線基板は、前記第1可撓性配線基板における前記第1方向の中央において、前記第1可撓性配線基板に対して接続される
請求項2に記載の可撓性配線基板ユニット。
【請求項4】
前記第2可撓性配線基板は、前記第1可撓性配線基板における前記第1方向の中央から一方の端部の側に偏倚した位置において、前記第1可撓性配線基板に対して接続される
請求項2に記載の可撓性配線基板ユニット。
【請求項5】
第1方向に延びる縁部を備えた調光シートと、
前記縁部に接着された可撓性配線基板ユニットと、を備える調光ユニットであって、
前記調光シートは、
第1電極端子を備える第1透明電極シートと、
第2電極端子を備える第2透明電極シートと、
前記第1電極端子と前記第2電極端子とが調光層から露出するように前記第1透明電極シートと前記第2透明電極シートとの間に位置する前記調光層と、を備え、
前記第1電極端子と前記第2電極端子とが前記縁部を構成し、かつ前記第1方向に沿って並び、
前記可撓性配線基板ユニットは、
前記第1方向に延びる第1可撓性配線基板と、
第2方向に延び、前記第2方向が前記第1方向と交差するように前記第1可撓性配線基板と接続される第2可撓性配線基板と、を備え、
前記第1可撓性配線基板は、
絶縁性の第1外側フィルム層、内側フィルム層、及び、第2外側フィルム層と、導電性の第1導体層及び第2導体層と、を備え、前記内側フィルム層が前記第1導体層と前記第2導体層との間に配置され、前記第1外側フィルム層が前記第1導体層に接し、かつ、前記第2外側フィルム層が前記第2導体層に接するように、前記第1外側フィルム層と前記第2外側フィルム層との間に前記第1導体層、前記内側フィルム層、及び、前記第2導体層が配置される両面構造を有し、
前記第1方向に並ぶ第1被接着端子及び第2被接着端子と、
前記第1可撓性配線基板の内部において、前記第1被接着端子に電気的に接続される第1中継端子と、前記第2被接着端子に電気的に接続される第2中継端子と、を備え、
前記第1被接着端子は、前記第1電極端子と導通可能に接着され、
前記第2被接着端子は、前記第2電極端子と導通可能に接着され、
前記第1被接着端子は、前記第1導体層が前記第1外側フィルム層から露出した部分であり、
前記第2被接着端子、前記第1中継端子、及び、前記第2中継端子は、前記第2導体層が前記第2外側フィルム層から露出した部分であり、
前記第2可撓性配線基板は、
絶縁性の第1フィルム層及び第2フィルム層と、前記第1フィルム層と前記第2フィルム層との間に配置される導電性の導体層と、を備える片面構造であって、前記両面構造よりも構成する層が少ない
前記片面構造を有し、
前記第2方向の一端に位置する第3中継端子及び第4中継端子と、
前記第2方向の他端に位置する第1電源端子及び第2電源端子と、を備え、
前記第2可撓性配線基板の内部において、前記第3中継端子と前記第1電源端子とが電気的に接続され、前記第4中継端子と前記第2電源端子とが電気的に接続され、
前記第3中継端子、前記第4中継端子、前記第1電源端子、及び前記第2電源端子は、前記導体層が前記第1フィルム層から露出した部分であり、
前記第3中継端子は、
導電性接着剤を介して前記第1中継端子と電気的に接続され、
前記第4中継端子は、
導電性接着剤を介して前記第2中継端子と電気的に接続され、
前記第1可撓性配線基板において、
前記第1被接着端子は、前記第2被接着端子、前記第1中継端子、及び、前記第2中継端子と相反する方向に面し、
前記第2可撓性配線基板において、
前記第3中継端子、前記第4中継端子、前記第1電源端子、及び前記第2電源端子は、互いに同じ方向に面し、
前記第1電源端子及び前記第2電源端子は、それぞれ外部電源に接続される
調光ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の可撓性配線基板が電気的に接続可能に構成された可撓性配線基板ユニット、及び当該可撓性配線基板ユニットを備えた調光ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、2つの透明電極シートと、2つの透明電極シートの間に挟まれた調光層とを備える。各透明電極シートは、一方の透明電極シートが、調光層及び他方の透明電極シートから露出した電極端子を備える。各透明電極シートが備える電極端子は、調光シートが備える縁部に位置する。各電極端子には、可撓性配線基板が備える被接着端子が1つずつ接着される(例えば、特許文献1,2を参照)。調光シートは、可撓性配線基板を通じて2つの透明電極シート間に電圧が印加されることによって、電圧の印加前に対して調光層の光透過率が変更される。
【0003】
例えば、
図9が示すように、調光シート100は、第1透明電極シート110と、第2透明電極シート120と、第1透明電極シート110と第2透明電極シート120との間に位置する調光層とを備える。なお、
図9では、第1透明電極シート110が第2透明電極シート120に対して紙面手前側に位置する。また、
図9では、各シートの形状を説明する便宜上、第1透明電極シート110を太線によって示すとともに、第2透明電極シート120を細線によって示す。
【0004】
第1透明電極シート110は、
図9中に破線で示すように、その一部が第2透明電極シート120及び調光層から露出した第1端子110Pを備える。なお、第1端子110Pは、
図9において紙面の奥側に向けて面する。第2透明電極シート120は、
図9中にドットで示すように、その一部が第1透明電極シート110及び調光層から露出した第2端子120Pを備える。第2端子120Pは、
図9において紙面の手前側に向けて面する。
【0005】
調光シート100は、第1方向D1に沿って延びる1つの縁部100Eを備える。第1端子110P及び第2端子120Pは、縁部100Eに並設される。第1端子110Pと第2端子120Pとの間には、縁部100Eの一部が切り欠かれた切欠き100E1が設けられる。
【0006】
調光シート100は、可撓性配線基板130を通じて外部電源140に接続される。可撓性配線基板130は、フレキシブルプリント基板(FPC: Flexible Printed Circuits)である。可撓性配線基板130は、第1部分131と、第2部分132とを備える。第1部分131は、第1方向D1に沿って延びる。第2部分132は、第1部分131における第1方向D1の中央から、第1方向D1と直交する第2方向D2に沿って調光シート100と反対側に延びる。可撓性配線基板130は、第1部分131と第2部分132とによって、略T字状の外形を有する。
【0007】
第1部分131は、第1被接着端子131P1と、第2被接着端子131P2とを備える。第1被接着端子131P1及び第2被接着端子131P2は、それぞれ第1部分131における第1方向D1の各端に設けられる。第1被接着端子131P1は、
図9において紙面の手前側に向けて面する。第1被接着端子131P1は、第1端子110Pと電気的に接続される。第2被接着端子131P2は、
図9において紙面の奥側に向けて面する。第2被接着端子131P2は、第2端子120Pと電気的に接続される。
【0008】
第2部分132は、第1電源端子132P1と、第2電源端子132P2とを備える。第1電源端子132P1及び第2電源端子132P2は、それぞれ第2部分132における第2方向D2の先端に設けられる。第1電源端子132P1及び第2電源端子132P2は、
図9において紙面の手前側に向けて面する。第1電源端子132P1は、可撓性配線基板130の内部で第1被接着端子131P1と電気的に接続される。第2電源端子132P2は、可撓性配線基板130の内部で第2被接着端子131P2と電気的に接続される。第1電源端子132P1及び第2電源端子132P2は、外部電源140と電気的に接続される。外部電源140は、可撓性配線基板130を介して第1透明電極シート110と第2透明電極シート120との間に電圧を印加する。これにより、調光層が光透過率を変える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-57925号公報
【文献】特開2020-38265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図10に示すように、可撓性配線基板130を製造する際には、2層の樹脂材料の間に導体が挟まれて構成される積層シート200のなかに、複数の可撓性配線基板130が面付けされる。
図10に示す例では、第2方向D2に沿って、隣り合う可撓性配線基板130が180度反転された状態で交互に並べられている。
【0011】
可撓性配線基板130の製造においては、積層シート200全体の面積に対して可撓性配線基板130として使用される面積の割合が小さいため、歩留まりの改善が望まれている。特に、調光シート100の大型化に伴って、第1部分131における第1方向D1に沿う幅W131が大きくなる程、積層シート200の面積に対して可撓性配線基板130として使用される面積の割合が小さくなる。同様に、第2部分132における第2方向D2に沿う幅W132が大きくなる程、積層シート200全体の面積に対して可撓性配線基板130として使用される面積の割合が小さくなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための可撓性配線基板ユニットは、第1方向に延びる第1可撓性配線基板と、第2方向に延び、前記第2方向が前記第1方向と交差するように前記第1可撓性配線基板に接続される第2可撓性配線基板と、を備え、前記第1可撓性配線基板は、前記第1方向に並ぶ第1被接着端子及び第2被接着端子と、前記第1可撓性配線基板の内部において、前記第1被接着端子に電気的に接続される第1中継端子と、前記第2被接着端子に電気的に接続される第2中継端子と、を備え、前記第2可撓性配線基板は、前記第2方向の一端に位置する第3中継端子及び第4中継端子と、前記第2方向の他端に位置する第1電源端子及び第2電源端子と、を備え、前記第2可撓性配線基板の内部において、前記第3中継端子と前記第1電源端子とが電気的に接続され、前記第4中継端子と前記第2電源端子とが電気的に接続され、前記第3中継端子が、前記第1中継端子と電気的に接続され、かつ前記第4中継端子が、前記第2中継端子と電気的に接続されるように、前記第1方向及び前記第2方向を含む面内において、前記第1中継端子に対する前記第2中継端子の相対位置は、前記第3中継端子に対する前記第4中継端子の相対位置に等しく、前記第1電源端子及び前記第2電源端子は、それぞれ外部電源に接続される。
【0013】
上記課題を解決するための調光ユニットは、第1方向に延びる縁部を備えた調光シートと、前記縁部に接着された可撓性配線基板ユニットと、を備える調光ユニットであって、前記調光シートは、第1電極端子を備える第1透明電極シートと、第2電極端子を備える第2透明電極シートと、前記第1電極端子と前記第2電極端子とが調光層から露出するように前記第1透明電極シートと前記第2透明電極シートとの間に位置する前記調光層と、を備え、前記第1電極端子と前記第2電極端子とが前記縁部を構成し、かつ前記第1方向に沿って並び、前記可撓性配線基板ユニットは、前記第1方向に延びる第1可撓性配線基板と、第2方向に延び、前記第2方向が前記第1方向と交差するように前記第1可撓性配線基板と接続される第2可撓性配線基板と、を備え、前記第1可撓性配線基板は、前記第1方向に並ぶ第1被接着端子及び第2被接着端子と、前記第1可撓性配線基板の内部において、前記第1被接着端子に電気的に接続される第1中継端子と、前記第2被接着端子に電気的に接続される第2中継端子と、を備え、前記第1被接着端子は、前記第1電極端子と導通可能に接着され、前記第2被接着端子は、前記第2電極端子と導通可能に接着され、前記第2可撓性配線基板は、前記第2方向の一端に位置する第3中継端子及び第4中継端子と、前記第2方向の他端に位置する第1電源端子及び第2電源端子と、を備え、前記第2可撓性配線基板の内部において、前記第3中継端子と前記第1電源端子とが電気的に接続され、前記第4中継端子と前記第2電源端子とが電気的に接続され、前記第3中継端子は、前記第1中継端子と電気的に接続され、前記第4中継端子は、前記第2中継端子と電気的に接続され、前記第1電源端子及び前記第2電源端子は、それぞれ外部電源に接続される。
【0014】
上記各構成によれば、第1方向に延びる第1可撓性配線基板と、第2方向に延びる第2可撓性配線基板とを各別に製造した後に、中継端子を介して電気的に接続することで、可撓性配線基板ユニットが構成される。延在方向が異なる2つの可撓性配線基板を各別に面付けすることで、第1可撓性配線基板と第2可撓性配線基板とを1つの可撓性配線基板として製造する場合と比較して、面付けの効率化、ひいては歩留まりの向上が可能となる。
【0015】
上記可撓性配線基板ユニットにおいて、前記第1可撓性配線基板において、前記第1被接着端子は、前記第2被接着端子、前記第1中継端子、及び、前記第2中継端子と相反する方向に面し、前記第2可撓性配線基板において、前記第3中継端子、前記第4中継端子、前記第1電源端子、及び前記第2電源端子は、互いに同じ方向に面することが好ましい。上記構成によれば、第1可撓性配線基板が備える2つの被接着端子が相反する方向に面することを要する場合であっても、第2可撓性配線基板が備える2つの中継端子及び2つの電源端子を、互いに同じ方向に面するように配置することができる。1つの可撓性配線基板が備える複数の端子が相反する方向に面する構成(以下、両面構造とする)は、1つの可撓性配線基板が備える複数の端子が1つの方向に面する構成(以下、片面構造とする)よりも可撓性配線基板の層構成が複雑となる。例えば、第1可撓性配線基板と第2可撓性配線基板とを1つの可撓性配線基板として製造する場合では、その全体を両面構造に対応可能とされた材料で構成する必要が有る。この点、可撓性配線基板ユニットのなかで第1可撓性配線基板を両面構造とし、かつ、第2可撓性配線基板を片面構造とすることで、第2可撓性配線基板の層構成を簡素化することができ、結果として製造コストの削減ともなる。
【0016】
上記可撓性配線基板ユニットにおいて、前記第2方向は、前記第1方向と直交する方向であることが好ましい。第1方向に延びる第1可撓性配線基板と、第1方向と直交する第2方向に延びる第2可撓性配線基板とを1つの可撓性配線基板として製造する場合には、特に面付け効率が悪くなり、これによって歩留まりが悪くなる。この点、第1可撓性配線基板と第2可撓性配線基板とを各別に製造することで、可撓性配線基板ユニットを1つの可撓性配線基板として製造する場合と比較したときの面付けの効率化、及びそれに伴う歩留まりの向上効果がより大きくなる。
【0017】
上記可撓性配線基板ユニットにおいて、前記第2可撓性配線基板は、前記第1可撓性配線基板における前記第1方向の中央において、前記第1可撓性配線基板に対して接続されることが好ましい。第2方向が第1方向と直交する方向であり、かつ、第1可撓性配線基板における第1方向の中央で、第1可撓性配線基板と第2可撓性配線基板とが接続される構成を、1つの可撓性配線基板として製造する場合には、特に面付け効率が悪くなる。この点、第1可撓性配線基板と第2可撓性配線基板とを各別に製造することで、可撓性配線基板ユニットを1つの可撓性配線基板として製造する場合と比較したときの面付けの効率化、及びそれに伴う歩留まりの向上効果がより大きくなる。
【0018】
上記可撓性配線基板ユニットにおいて、前記第2可撓性配線基板は、前記第1可撓性配線基板における前記第1方向の中央から一方の端部の側に偏倚した位置において、前記第1可撓性配線基板に対して接続されてもよい。このような構成であれば、被接着端子が接続される給電対象から外部電源までの配線経路の自由度が高められる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、可撓性配線基板の製造における歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線から見た断面図である。
【
図4】
図4は、可撓性配線基板ユニットを構成する第1可撓性配線基板及び第2可撓性配線基板の平面図である。
【
図5】
図5は、第1可撓性配線基板の面付けの一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、第1可撓性配線基板を製造するための第1積層シートの断面構造を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第2可撓性配線基板の面付けの一例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第2可撓性配線基板を製造するための第2積層シートの断面構造を示す模式図である。
【
図9】
図9は、調光シート及び可撓性配線基板の従来例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、調光ユニットの一実施形態について
図1~
図8を参照して説明する。
[調光ユニット]
図1に示すように、調光ユニット1は、調光シート10と、可撓性配線基板ユニット50とを備える。調光シート10は、第1方向D1に延びる1つの縁部10Eを備える。可撓性配線基板ユニット50は、調光シート10が備える縁部10Eに接続される。
【0022】
調光シート10は、第1透明電極シート20と、第2透明電極シート30とを備える。
図1において、第1透明電極シート20は、第2透明電極シート30に対して紙面手前側に位置する。
図1において、第2透明電極シート30は、第1透明電極シート20に対して紙面奥側に位置する。なお、
図1では、第1透明電極シート20と第2透明電極シート30との相対的な位置を説明する便宜上から、第1透明電極シート20を太線によって示すとともに、第2透明電極シート30を細線によって示す。
【0023】
調光シート10は、調光シート10が位置する空間を2つに区切る。
図1において、調光シート10に区切られた2つの空間のうち第1透明電極シート20に接する紙面手前側の空間が第1空間である。
図1において、調光シート10に区切られた2つの空間のうち第2透明電極シート30に接する紙面奥側の空間が第2空間である。
【0024】
調光シート10は、第1電極端子22Pと、第2電極端子32Pとを備える。第1電極端子22Pは、調光シート10のなかで第1透明電極シート20が第2透明電極シート30から露出した部分である。第1電極端子22Pは、第2空間(
図1中、紙面奥側)に面する。第2電極端子32Pは、調光シート10のなかで第2透明電極シート30が第1透明電極シート20から露出した部分である。第2電極端子32Pは、第1空間(
図1中、紙面手前側)に面する。第1電極端子22P及び第2電極端子32Pは、第1方向D1に沿って距離を空けて並ぶ。なお、
図1では、第1電極端子22Pを破線で囲うとともに、第2電極端子32Pにドットを付す。
【0025】
縁部10Eは、切欠き10Aを備える。切欠き10Aは、縁部10Eの一部が縁部10Eから調光シート10の内側に向かって凹んだ窪みである。切欠き10Aは、縁部10Eにおいて、第1電極端子22Pと第2電極端子32Pとの間に位置する。
【0026】
可撓性配線基板ユニット50は、第1方向D1に延びる第1可撓性配線基板60と、第1方向D1と交差する第2方向D2に延びる第2可撓性配線基板70とを備える。第2方向D2は、一例として、第1方向D1と直交する方向である。第1可撓性配線基板60及び第2可撓性配線基板70は、それぞれ1つのフレキシブルプリント基板(FPC)である。
【0027】
第1可撓性配線基板60は、第1被接着端子61Pと、第2被接着端子62Pとを備える。第1被接着端子61Pは、一例として、第1方向D1に沿って所定のピッチで櫛歯状に並ぶ歯端子を備える。第1被接着端子61Pは、第1電極端子22Pに対して第2空間側(
図1中、紙面奥側)に位置する。第1被接着端子61Pは、第1電極端子22Pと対向した状態で、第1電極端子22Pに対して電気的に接続するように接着される。
【0028】
第2被接着端子62Pは、一例として、第1方向D1に沿って所定のピッチで櫛歯状に並ぶ歯端子を備える。第2被接着端子62Pは、第2電極端子32Pに対して第1空間側(
図1中、紙面手前側)に位置する。第2被接着端子62Pは、第2電極端子32Pと対向した状態で、第2電極端子32Pに対して電気的に接続するように接着される。
【0029】
第1被接着端子61P及び第2被接着端子62Pは、第1可撓性配線基板60のなかで第1方向D1に沿って並ぶ。第1被接着端子61Pは、第1可撓性配線基板60のなかで第1方向D1における一端に位置する。第2被接着端子62Pは、第1可撓性配線基板60のなかで第1方向D1における他端に位置する。第1可撓性配線基板60は、切欠き10Aを介して、第1被接着端子61Pが調光シート10に対して第2空間に位置し、かつ第2被接着端子62Pが調光シート10に対して第1空間に位置するように配置される。
【0030】
第1可撓性配線基板60は、凸部65を備える。凸部65は、第1可撓性配線基板60のなかで、第1方向D1において、第1被接着端子61Pと第2被接着端子62Pとの間に位置する。凸部65は、第2方向D2に沿って、調光シート10に向かって突き出る。第1方向D1において、凸部65の幅は、切欠き10Aの幅よりも小さい。凸部65は、可撓性配線基板ユニット50が調光シート10に取り付けられた状態で、切欠き10Aの内側に位置する。
【0031】
例えば、凸部65が切欠き10Aの内側に位置した状態で、第1方向D1において、第1電極端子22Pに対する第1被接着端子61Pの位置が適切な配置になることが好ましい。同時に、第1方向D1において、第2電極端子32Pに対する第1被接着端子61Pの位置が適切な配置になることが好ましい。このような構成であれば、第1方向D1において、切欠き10Aに対する凸部65の配置に基づいて、可撓性配線基板ユニット50を適切な位置に取り付けることができる。
【0032】
第2可撓性配線基板70は、第1可撓性配線基板60における第1方向D1の中央において、第2方向D2の一端が第1可撓性配線基板60に対して機械的かつ電気的に接続される。第2可撓性配線基板70は、第1可撓性配線基板60との接続部分から、第2方向D2に沿って調光シート10と反対側に延びる。可撓性配線基板ユニット50は、第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とによって、略T字状の外形を有する。
【0033】
第2可撓性配線基板70は、第1電源端子73Pと、第2電源端子74Pとを備える。第1電源端子73P及び第2電源端子74Pは、それぞれ外部電源1Aに接続される。外部電源1Aは、可撓性配線基板ユニット50を介して、第1透明電極シート20と第2透明電極シート30との間に電圧を印加する。これにより、調光シート10が光透過率を変える。
【0034】
[調光シートの断面構造]
図2に示すように、調光シート10は、第1透明電極シート20と、第2透明電極シート30と、調光層40とを備える。第1透明電極シート20は、第1透明基材21と、第1透明電極層22とを備える。第2透明電極シート30は、第2透明基材31と、第2透明電極層32とを備える。調光層40は、第1透明電極層22と第2透明電極層32との間に位置する。調光シート10は、第1透明基材21、第1透明電極層22、調光層40、第2透明電極層32、及び、第2透明基材31がこの順に積層されている。
【0035】
第1透明基材21及び第2透明基材31は、それぞれ可視光を透過する光透過性及び電気的な絶縁性を有する。第1透明基材21及び第2透明基材31を構成する材料は、それぞれ有機高分子化合物、または無機高分子化合物である。有機高分子化合物の一例は、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つである。無機高分子化合物の一例は、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、及び、窒化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0036】
第1透明電極層22及び第2透明電極層32は、それぞれ可視光を透過する光透過性及び電気的な導電性を有する。第1透明電極層22及び第2透明電極層32を構成する材料の一例は、それぞれ酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、ポリ3,4‐エチレンジオキシチオフェンからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0037】
調光層40は、第1透明電極層22及び第2透明電極層32を介した電圧の印加によって印加後の光透過率を印加前の光透過率とは異ならせる。調光層40の一例は、透明有機高分子層と液晶組成物とを備える。透明有機高分子層は、第1透明電極層22と第2透明電極層32との間に、液晶組成物によって充填される空隙を区画する。液晶組成物は、透明有機高分子層が有する空隙に充填されている。液晶組成物は、液晶化合物を含む。液晶化合物の一例は、シッフ塩基系化合物、アゾ系化合物、アゾキシ系化合物、ビフェニル系化合物、ターフェニル系化合物、安息香酸エステル系化合物、トラン系化合物、ピリミジン系化合物、シクロヘキサンカルボン酸エステル系化合物、フェニルシクロヘキサン系化合物、ジオキサン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0038】
調光層40における液晶組成物の保持型式の一例は、高分子ネットワーク型、高分子分散型、及びカプセル型から構成される群から選択されるいずれか1つである。高分子ネットワーク型は、3次元の網目状を有した透明な高分子ネットワークを備え、相互に連通した網目状の空隙のなかに液晶組成物を保持する。高分子ネットワークは、透明有機高分子層の一例である。高分子分散型は、孤立した多数の空隙を透明有機高分子層のなかに備え、高分子層に分散した空隙のなかに液晶組成物を保持する。カプセル型は、カプセル状を有した液晶組成物を透明有機高分子層のなかに保持する。なお、液晶組成物は、上述した液晶化合物以外に、透明有機高分子層を形成するためのモノマー、及び二色性色素を含有してもよい。
【0039】
第1電極端子22Pは、調光シート10のなかで、第1透明電極層22が第2透明電極シート30及び調光層40から露出した部分である。第1電極端子22Pには、第1導電性接着剤61Aを介して第1可撓性配線基板60の第1被接着端子61Pが導通可能に接着される。第1導電性接着剤61Aは、例えば、異方性導電フィルム(ACF: Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP: Anisotropic Conductive Paste)、等方性導電フィルム(ICF: Isotropic Conductive Film)、及び等方性導電ペースト(ICP: Isotropic Conductive Paste)からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0040】
第1電極端子22Pには、調光層40の端面を覆うための第1封止部61Bが設けられる。第1封止部61Bは、絶縁性の樹脂である。第1封止部61Bは、一例として、エポキシ樹脂やアクリル系樹脂等から構成される。第1封止部61Bは、第1電極端子22Pと密着し、かつ、第2透明電極シート30の端面及び調光層40の端面に密着している。
【0041】
図3に示すように、第2電極端子32Pは、調光シート10のなかで、第2透明電極層32が第1透明電極シート20及び調光層40から露出した部分である。第2電極端子32Pには、第2導電性接着剤62Aを介して第1可撓性配線基板60の第2被接着端子62Pが導通可能に接着される。第2導電性接着剤62Aは、例えば、第1導電性接着剤61Aと同種の材料によって構成される。
【0042】
第2電極端子32Pには、調光層40の端面を覆うための第2封止部62Bが設けられる。第2封止部62Bは、絶縁性の樹脂であって、一例として、エポキシ樹脂やアクリル系樹脂等から構成される。第2封止部62Bは、第2電極端子32Pと密着し、かつ、第1透明電極シート20の端面及び調光層40の端面に密着している。第1封止部61B及び第2封止部62Bは、調光層40の端面を覆うことで、調光層40を構成する液晶組成物が外部に漏出することを防ぐとともに、液晶組成物が酸、水分、紫外線などによって劣化することを抑制する。
【0043】
[可撓性配線基板ユニット]
図4に示すように、可撓性配線基板ユニット50は、第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とが電気的に接続されることによって構成される。第1可撓性配線基板60は、第1方向D1に沿う幅W1が、第2方向D2に沿う幅W2よりも大きい。第2可撓性配線基板70は、第2方向D2に沿う幅W4が、第1方向D1に沿う幅W3よりも大きい。幅W3は、一例として、幅W1に対して50%未満であり、例えば、30%以下である。幅W2は、一例として、幅W4に対して50%未満であり、例えば、30%以下である。
【0044】
第1可撓性配線基板60は、第1中継端子63Pと、第2中継端子64Pとを備える。第1中継端子63P及び第2中継端子64Pは、第1方向D1において、第1被接着端子61Pと第2被接着端子62Pとの間に位置する。第1中継端子63P及び第2中継端子64Pは、一例として、第1方向D1において、第1可撓性配線基板60の中央に位置する。
【0045】
第1中継端子63Pは、一例として、第1方向D1に沿って所定のピッチで櫛歯状に並ぶ歯端子を備える。第1中継端子63Pは、第1可撓性配線基板60の内部において、第1被接着端子61Pと電気的に接続される。第1被接着端子61P及び第1中継端子63Pは、スルーホール66を介して、互いに相反する方向に面するように配置される。なお、第1被接着端子61Pは、
図4では紙面手前側に面する。また、第1中継端子63Pは、
図4では紙面奥側に面する。
【0046】
第2中継端子64Pは、一例として、第1方向D1に沿って所定のピッチで櫛歯状に並ぶ歯端子を備える。第2中継端子64Pは、第1可撓性配線基板60の内部において、第2被接着端子62Pと電気的に接続される。第2中継端子64Pは、第2被接着端子62Pと同じ方向(
図4では紙面奥側)に面する。したがって、第1可撓性配線基板60のなかで、第1被接着端子61Pは、第2被接着端子62P、第1中継端子63P、及び、第2中継端子64Pと相反する方向に面する。
【0047】
第2可撓性配線基板70は、第3中継端子71Pと、第4中継端子72Pとを備える。第3中継端子71P及び第4中継端子72Pは、第2方向D2において、第1電源端子73P及び第2電源端子74Pが位置する端部と反対側の端部に位置する。第1方向D1及び第2方向D2を含む面内において、第1中継端子63Pに対する第2中継端子64Pの相対位置は、第3中継端子71Pに対する第4中継端子72Pの相対位置に等しい。
【0048】
第3中継端子71Pは、一例として、第1方向D1に沿って第1中継端子63Pと同じピッチで櫛歯状に並ぶ歯端子を備える。第3中継端子71Pは、第1可撓性配線基板60の内部において、第1電源端子73Pと電気的に接続される。第4中継端子72Pは、一例として、第1方向D1に沿って第2中継端子64Pと同じピッチで櫛歯状に並ぶ歯端子を備える。第4中継端子72Pは、第1可撓性配線基板60の内部において、第2電源端子74Pと電気的に接続される。第2可撓性配線基板70は、第3中継端子71P、第4中継端子72P、第1電源端子73P、及び第2電源端子74Pの何れもが同じ方向(
図4では紙面手前側)に面する。
【0049】
第3中継端子71Pは、第1中継端子63Pと対向した状態で、第1中継端子63Pと電気的に接続される。第4中継端子72Pは、第2中継端子64Pと対向した状態で、第2中継端子64Pと電気的に接続される。第1中継端子63Pと第3中継端子71Pとの接続、及び、第2中継端子64Pと第4中継端子72Pとの接続には、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、等方性導電フィルム、及び等方性導電ペーストからなる群から選択される少なくとも一種からなる接着剤が用いられる。第1可撓性配線基板60及び第2可撓性配線基板70は、第1中継端子63Pと第3中継端子71Pとの接続、及び、第2中継端子64Pと第4中継端子72Pとの接続によって一体に構成される。
【0050】
第1被接着端子61Pは、第1中継端子63Pと第3中継端子71Pとを介して第1電源端子73Pと導通する。したがって、外部電源1Aは、第1電源端子73P、第3中継端子71P、第1中継端子63P、第1被接着端子61P、第1電極端子22Pを介して、第1透明電極シート20と電気的に接続される。
【0051】
第2被接着端子62Pは、第2中継端子64Pと第4中継端子72Pとを介して第2電源端子74Pと導通する。したがって、外部電源1Aは、第2電源端子74P、第4中継端子72P、第2中継端子64P、第2被接着端子62P、第2電極端子32Pを介して、第2透明電極シート30と電気的に接続される。
【0052】
[可撓性配線基板の面付け]
図5に示すように、第1可撓性配線基板60を製造する際には、第1可撓性配線基板60を構成する材料が積層された第1積層シート80のなかに複数の第1可撓性配線基板60が面付けされる。第1積層シート80には、一例として、第2方向D2に沿って複数の第1可撓性配線基板60が面付けされる。
【0053】
図6に示すように、第1積層シート80は、2層の外側フィルム層81,82と、2層の外側フィルム層81,82の間に配置された両面導体層83とを備える両面構造を有する。両面導体層83は、一例として、導電性を有した2層の導体層84,85と、2層の導体層84,85の間に配置された内側フィルム層86とを備える。2層の外側フィルム層81,82及び内側フィルム層86は、絶縁性を有した樹脂フィルムであって、一例として、ポリイミドによって構成される。2層の導体層84,85は、一例として、銅箔によって構成される。導体層84は、外側フィルム層81と接する。導体層85は、外側フィルム層82と接する。
【0054】
また、
図6では、第1被接着端子61Pと、第1中継端子63Pと、スルーホール66とを1つの断面中に模式的に示している。第1被接着端子61Pは、外側フィルム層81が取り除かれることで、導体層84が露出した部分である。第1中継端子63Pは、外側フィルム層82が取り除かれることで、導体層85が露出した部分である。これによって、第1被接着端子61P及び第1中継端子63Pは、互いに相反する方向に面する。第1被接着端子61P及び第1中継端子63Pの間に位置する2つの導体層84,85は、スルーホール66を介して電気的に接続される。なお、第2被接着端子62P及び第2中継端子64Pは、外側フィルム層82が取り除かれることで、導体層85が露出した部分であって、これにより、第1中継端子63Pと同じ方向に面する。
【0055】
図7に示すように、第2可撓性配線基板70を製造する際には、第2可撓性配線基板70を構成する材料が積層された第2積層シート90のなかに複数の第2可撓性配線基板70が面付けされる。第2積層シート90には、一例として、第2方向D2に沿って複数の第2可撓性配線基板70が並び、かつ、第1方向D1に沿って、隣り合う第2可撓性配線基板70が180度反転された状態で交互に並ぶように面付けされる。
【0056】
図8に示すように、第2積層シート90は、2層のフィルム層91,92と、2層のフィルム層91,92の間に配置された導体層93とを備える片面構造を有する。2層のフィルム層91,92は、それぞれ絶縁性を有した樹脂フィルムであって、一例として、ポリイミドによって構成される。導体層93は、一例として、銅箔によって構成される。
【0057】
また、
図8では、第3中継端子71P、第4中継端子72P、第1電源端子73P、及び第2電源端子74Pを1つの断面中に模式的に示している。第3中継端子71P、第4中継端子72P、第1電源端子73P、及び第2電源端子74Pは、フィルム層91が取り除かれることで、導体層93が露出した部分である。これによって、第3中継端子71P、第4中継端子72P、第1電源端子73P、及び第2電源端子74Pは、互いに同じ方向に面する。
【0058】
可撓性配線基板ユニット50は、延在方向が互いに異なる第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とを各別に製造した後に、それらを一体に接続することによって構成される。これにより、第1積層シート80のなかで第1可撓性配線基板60を歩留まりが高くなるように効率的に面付けすることができる。同様に、第2積層シート90のなかで第2可撓性配線基板70を歩留まりが高くなるように効率的に面付けすることができる。したがって、第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とを1つの可撓性配線基板として製造する場合よりも、歩留まりを向上させることができる。
【0059】
第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とを各別に製造することで、第1可撓性配線基板60を両面構造としつつ、第2可撓性配線基板70を片面構造とすることが可能となる。仮に、第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とを1つの可撓性配線基板として製造する場合、当該可撓性配線基板の全体が両面構造を有する第1積層シート80から構成される。片面構造を有する第2積層シート90は、両面構造を有する第1積層シート80と比較して、構成する層の数が少ない分だけ厚さが薄く、これにより高い柔軟性及び耐屈曲性を有する。また、構成する層の数が少ない分だけ、製造コストも安価になる。そのため、第1可撓性配線基板60を両面構造としつつ、第2可撓性配線基板70を片面構造とすることで、第2可撓性配線基板70の層構成を簡素化して柔軟性を高めることができる。また、可撓性配線基板ユニット50の全体が両面構造で構成される場合と比較して、製造コストを抑えることも可能となる。
【0060】
第1中継端子63P及び第2中継端子64Pは、第1可撓性配線基板60のなかで、互いに同じ方向に面するように配置される。同様に、第3中継端子71P及び第4中継端子72Pは、第2可撓性配線基板70のなかで互いに同じ方向に面するように配置される。そのため、第1中継端子63Pと第3中継端子71Pとの接続、及び、第2中継端子64Pと第4中継端子72Pとの接続を同時に行うことができる。これにより、第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70との接続を効率よく行うことができる。
【0061】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)延在方向が互いに異なる第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とを各別に製造した後に、それらを一体に接続することで可撓性配線基板ユニット50が構成される。したがって、第1可撓性配線基板60及び第2可撓性配線基板70のそれぞれを歩留まりが高くなるように効率的に面付けすることができる。これにより、第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とを1つの可撓性配線基板として製造する場合よりも、歩留まりを向上させることができる。
【0062】
(2)第1可撓性配線基板60を両面構造とし、第2可撓性配線基板70を片面構造とすることで、可撓性配線基板ユニット50の全体を両面構造とした場合と比較して、第2可撓性配線基板70の層構成を簡素化することができる。これにより、第2可撓性配線基板70の柔軟性を高めることができる。また、製造コストの削減が可能ともなる。
【0063】
(3)第1中継端子63Pと第2中継端子64Pとを同じ方向に面するように配置し、かつ、第3中継端子71Pと第4中継端子72Pとを同じ方向に面するように配置することで、第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とを効率よく接続できる。
【0064】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、以下に示す変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0065】
・第2可撓性配線基板70は、第1可撓性配線基板60における第1方向D1の中央から一方の端部の側に偏倚した位置において、第1可撓性配線基板60に対して接続されてもよい。すなわち、第1中継端子63P及び第2中継端子64Pは、第1方向D1において、第1被接着端子61Pの側に偏倚して位置してもよいし、第2被接着端子62Pの側に偏倚して位置してもよい。例えば、第1中継端子63P及び第2中継端子64Pは、第1可撓性配線基板60における第1方向D1の一端に位置してもよい。この場合、第2可撓性配線基板70は、第1可撓性配線基板60における第1方向D1の一端において、第1可撓性配線基板60に対して接続される。このような構成であれば、給電対象の一例である調光シート10から外部電源1Aまでの配線経路の自由度が高められる。また、この場合であっても、上記(1)、(2)に準じた効果を得ることができる。なお、第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とが、第1可撓性配線基板60における第1方向D1の中央で接続される構成を、1つの可撓性配線基板として製造する場合には、特に面付け効率が悪くなる。このような場合に、第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とを各別に製造することで、可撓性配線基板ユニット50を1つの可撓性配線基板として製造する場合と比較したときの歩留まりの向上効果がより大きくなる。
【0066】
・第1方向D1が第2方向D2と直交する構成を例示したが、第2方向D2は、第1方向D1と交差する方向であればよい。例えば、第1可撓性配線基板60に対して、第2可撓性配線基板70が斜めに接続される構成であってもよい。この場合であっても、上記(1)、(2)に準じた効果を得ることができる。なお、第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70との組み合わせのように、2つの可撓性配線基板の延在方向が直交する可撓性配線基板ユニット50を1つの可撓性配線基板として製造する場合には、特に面付け効率が悪くなる。この点、延在方向が直交する第1可撓性配線基板60と第2可撓性配線基板70とを各別に製造することで、可撓性配線基板ユニット50を1つの可撓性配線基板として製造する場合と比較したときの歩留まりの向上効果がより大きくなる。
【0067】
・第2可撓性配線基板70は、両面構造であってもよい。例えば、第1電源端子73Pと第2電源端子74Pとが互いに相反する方向に面してもよい。この場合、第3中継端子71Pと第1電源端子73Pとの間、もしくは、第4中継端子72Pと第2電源端子74Pとの間にスルーホールが設けられる。このような構成の場合、第1電源端子73P及び第2電源端子74Pと外部電源1Aとの接続形態の自由度が高められる。
【0068】
・第1透明電極シート20は、紫外線遮蔽層、赤外線遮蔽層、配向層、粘着層、保護層などの他の機能層を備えてもよい。第2透明電極シート30は、紫外線遮蔽層、赤外線遮蔽層、配向層、粘着層、保護層などの他の機能層を備えてもよい。
【0069】
・調光シート10は、矩形状に限らず、矩形状以外の多角形状、円形状、楕円形状などの幾何学形状でもよいし、幾何学形状以外の不定形状でもよい。調光シート10は、二次元の平面状に限らず、円筒面状、球面状、波状などの曲面状でもよい。
【符号の説明】
【0070】
D1…第1方向
D2…第2方向
1…調光ユニット
1A…外部電源
10…調光シート
10E…縁部
20…第1透明電極シート
21…第1透明基材
22…第1透明電極層
22P…第1電極端子
30…第2透明電極シート
31…第2透明基材
32…第2透明電極層
32P…第2電極端子
40…調光層
50…可撓性配線基板ユニット
60…第1可撓性配線基板
61P…第1被接着端子
62P…第2被接着端子
63P…第1中継端子
64P…第2中継端子
70…第2可撓性配線基板
71P…第3中継端子
72P…第4中継端子
73P…第1電源端子
74P…第2電源端子