(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームのコントロール
(51)【国際特許分類】
H04L 27/00 20060101AFI20240430BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20240430BHJP
H04W 28/18 20090101ALI20240430BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240430BHJP
【FI】
H04L27/00 Z
H04L27/26 100
H04W28/18 110
H04W16/28 130
(21)【出願番号】P 2022107135
(22)【出願日】2022-07-01
(62)【分割の表示】P 2020001886の分割
【原出願日】2012-02-20
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】513311642
【氏名又は名称】ノキア ソリューションズ アンド ネットワークス オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ラヘトカンガス エーヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ラーフ ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】パユコスキ カリ ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】ティイロラ エサ タパニ
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-193520(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0183523(US,A1)
【文献】特開2006-217173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0150096(US,A1)
【文献】IEEE,IEEE 802.11-10/1361r3 Proposed TGac Draft Amendment,IEEE 802.11,米国,2011年01月18日,Pages 139-148
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/00
H04L 27/26
H04W 28/18
H04W 16/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラと、
トランシーバと、
を備えた
ユーザ装置であって、
前記トランシーバに接続された前記コントローラは、前記
ユーザ装置を、
64直角振幅変調(QAM)までの変調スキームに対応する変調及びコード化スキーム(MCS)インデックスを含む第1のMCSインデックステーブルに基づいて、基地局によって制御される、前記基地局と前記ユーザ装置の間の初期通信を実行し、
前記第1のMCSインデックステーブルと、256QAMまでの変調スキームに対応するMCSインデックスを含む第2のMCSインデックステーブルとを含むMCSインデックステーブル
から選択されたMCSテーブルを示す無線リソースコントロール(RRC)信号を受信し、
前記
選択されたMCSインデックステーブ
ルに基づいて
、前記基地局によって制御される変調及びコード化スキームに基づいて前記基地局と前記とユーザ装置の間で通信を実行する、
ようにコントロールするよう構成される、
ユーザ装置。
【請求項2】
前記第1のMCSインデックステーブル及び前記第2のMCSインデックステーブルは、同じサイズをもつ、請求項1に記載の
ユーザ装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記
ユーザ装置を、前記通信のためのMCSインデックスフィールドを含むダウンリンクコントロール情報(DCI)を
受信するようにコントロールするようさらに構成される、請求項1に記載の
ユーザ装置。
【請求項4】
前記MCSインデックスフィールドのサイズは5ビットである、請求項3に記載の
ユーザ装置。
【請求項5】
前記第1のMCSインデックステーブルは、直角位相偏移変調(QPSK)、16QAM及び64QAMのうちの1つに対応する32のMCSインデックスを含み、
前記第2のMCSインデックステーブルは、QPSK、16QAM、64QAM及び256QAMのうちの1つに対応する32のMCSインデックスを含む、請求項1に記載の
ユーザ装置。
【請求項6】
64直角振幅変調(QAM)までの変調スキームに対応する変調及びコード化スキーム(MCS)インデックスを含む第1のMCSインデックステーブルに基づいて、基地局によって制御される、前記基地局とユーザ装置の間の初期通信を実行し、
前記第1のMCSインデックステーブルと、256QAMまでの変調スキームに対応するMCSインデックスを含む第2のMCSインデックステーブルとを含むMCSインデックステーブル
から選択されたMCSテーブルを示す無線リソースコントロール(RRC)信号を受信し、
前記
選択されたMCSインデックステーブ
ルに基づいて
、前記基地局によって制御される変調及びコード化スキームに基づいて前
記基地局と前記とユーザ装置の間で通信を実行する、
ことを含む方法。
【請求項7】
前記第1のMCSインデックステーブル及び前記第2のMCSインデックステーブルは、同じサイズをもつ、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
更に、前記通信のためのMCSインデックスフィールドを含むダウンリンクコントロール情報(DCI)を
受信することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記MCSインデックスフィールドのサイズは5ビットである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のMCSインデックステーブルは、直角位相偏移変調(QPSK)、16QAM及び64QAMのうちの1つに対応する32のMCSインデックスを含み、
前記第2のMCSインデックステーブルは、QPSK、16QAM、64QAM及び256QAMのうちの1つに対応する32のMCSインデックスを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
コントローラと、
トランシーバと、
を備えた
基地局であって、
前記トランシーバに接続された前記コントローラは、前記
基地局を、
64直角振幅変調(QAM)までの変調スキームに対応する変調及びコード化スキーム(MCS)インデックスを含む第1のMCSインデックステーブルに基づいて、前記基地局とユーザ装置の間の初期送信を制御し、
前記第1のMCSインデックステーブルと、256QAMまでの変調スキームに対応するMCSインデックスを含む第2のMCSインデックステーブルとを含むMCSインデックステーブル
から選択されたMCSテーブルを示す無線リソースコントロール(RRC)信号を送信し、
前記
選択されたMCSインデックステーブ
ルに基づいて
、前記基地局によって制御される変調及びコード化スキームに基づいて前記基地局と前記とユーザ装置の間で通信を実行する、
ようにコントロールするよう構成される、
基地局。
【請求項12】
前記第1のMCSインデックステーブル及び前記第2のMCSインデックステーブルは、同じサイズをもつ、請求項11に記載の
基地局。
【請求項13】
前記コントローラは、前記
基地局を、前記通信のためのMCSインデックスフィールドを含むダウンリンクコントロール情報(DCI)を送信するようにコントロールするようさらに構成される、請求項11に記載の
基地局。
【請求項14】
前記MCSインデックスフィールドのサイズは5ビットである、請求項13に記載の
基地局。
【請求項15】
前記第1のMCSインデックステーブルは、直角位相偏移変調(QPSK)、16QAM及び64QAMのうちの1つに対応する32のMCSインデックスを含み、
前記第2のMCSインデックステーブルは、QPSK、16QAM、64QAM及び256QAMのうちの1つに対応する32のMCSインデックスを含む、請求項11に記載の
基地局。
【請求項16】
64直角振幅変調(QAM)までの変調スキームに対応する変調及びコード化スキーム(MCS)インデックスを含む第1のMCSインデックステーブルに基づいて、基地局とユーザ装置の間の初期送信を制御し、
前記第1のMCSインデックステーブルと、256QAMまでの変調スキームに対応するMCSインデックスを含む第2のMCSインデックステーブルとを含むMCSインデックステーブル
から選択されたMCSテーブルを示す無線リソースコントロール(RRC)信号を送信し、
前記
選択されたMCSインデックステーブ
ルに基づいて
、前記基地局によって制御される変調及びコード化スキームに基づいて前記基地局と前記とユーザ装置の間で通信を実行する、
ことを含む方法。
【請求項17】
前記第1のMCSインデックステーブル及び前記第2のMCSインデックステーブルは、同じサイズをもつ、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
更に、前記通信のためのMCSインデックスフィールドを含むダウンリンクコントロール情報(DCI)を送信することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記MCSインデックスフィールドのサイズは5ビットである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のMCSインデックステーブルは、直角位相偏移変調(QPSK)、16QAM及び64QAMのうちの1つに対応する32のMCSインデックスを含み、
前記第2のMCSインデックステーブルは、QPSK、16QAM、64QAM及び256QAMのうちの1つに対応する32のMCSインデックスを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラーネットワークの分野、特に、LTEネットワークの進化に関するもので、より特定すれば、LTEネットワーク及び進化型LTEネットワークを含むネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
LTEについては更なる開発がなされており、例えば、2020年に商業的に入手できると仮定したビヨンド4G(B4G)無線システムに関して開発がなされている。しかしながら、新規リリース内のいずれかの日にLTEの進化が導入されるかもしれない。
【0003】
LTEは、64QAM変調及び8×8MIMO送信を使用することで30bps/Hzのピークビットレートを発揮する。その結果、B4Gは、将来の要件を満足するために、64QAMより高次の変調、例えば、256QAMを必要とする。高次の変調は、優れたチャンネル品質及び優れた高周波(RF)特性のために、例えば、リレーバックホールに適切であり、それらの特性は、ユーザ装置(UE)又は分離型屋内セルよりもリレーに対して容易に実現可能であり、その場合、UEは、アクセスポイントに接近していて、ひいては、アクセスポイントへの良好なリンクを有し、且つ他のアクセスポイントからの干渉は壁による減衰のためにほとんど又は全くない。
【0004】
LTEリリース10の変調次数の決定は、TS36.213 V10.3、チャプター7.1.7及びCQI定義、チャプター7.2.3に記載されている。LTE(及びLTE-アドバンスト)では、理論的なスペクトル効率が64QAM変調により制限される。256QAMへの拡張でスペクトル効率の改善が得られる。
【0005】
LTE規格では、MCS(modulation and coding scheme, 変調及びコード化スキーム)インデックス及び変調テーブル並びにCQI(channel quality indicator, チャンネル品質指示子)テーブルが定義される。それらは、適切な変調及びコード化スキームを決定しそして選択するために使用される。現在テーブルは、64QAMまでサポートする。問題は、上位互換性を維持し且つ著しい複雑さを回避しながら、256QAM拡張、又はLTEのための他の高次変調拡張をどのように導入するかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LTEのための上位互換性を維持しながら高次の変調への拡張を許すように適応される改良された且つ融通性のあるシステム及び方法が要望される。特に、シグナリングフォーマットを維持し、より詳細には、異なるエンコードスキームを使用する必要があり且つ潜在的にいわゆるブラインドデコーディングを適用すべき場合と同じビット数を使用することが要望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記要望は、独立請求項に基づく要旨によって満足される。本発明の効果的な実施形態は、従属請求項に記載する。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームをコントロールする方法であって、その変調及びコード化スキームは、第1の最大変調次数をもつ複数の変調及びコード化スキームに対応するエントリを含む第1の変調及びコード化スキームテーブルに基づいて選択可能であるか、又は第2の最大変調次数をもつ複数の変調及びコード化スキームに対応するエントリを含む第2の変調及びコード化スキームテーブルに基づいて選択可能である方法が提供される。この方法は、第1の変調及びコード化スキームテーブル又は第2の変調及びコード化スキームテーブルをベースステーションにより選択し、そしてベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームを、その選択された変調及びコード化スキームテーブルに基づいて、ベースステーションによりコントロールする、ことを含む。
【0009】
本発明のこの態様は、上位互換性を維持しながら、変調及びコード化スキームテーブルをより高次の変調へ拡張するという考え方に基づく。第1のテーブルは、例えば、64QAM(直角振幅変調)までサポートし、そして第2のテーブルは、例えば、256QAM、又は他のより高次の変調拡張までサポートする。ここでは、256QAMを明確に述べるが、第1のテーブルに使用されるものより高次の他の変調、例えば、128QAMも使用できるし、或いは一般的に、変調次数又はコード化スキーム又はその両方により特徴付けられる高次の変調及びコード化スキーム(MCS)も使用できることに注意されたい。
【0010】
この方法の考え方は、低い変調次数に対して導入される変調及びコード化スキーム(MCS)テーブルを依然サポートしながら、より高次の変調を導入することである。
【0011】
本書において「変調次数(modulation order)」という語は、それを使用して送信できる異なる記号の数で決定される。一般的に、MCSは、異なるコードレートも考慮し、従って、記号当たりに送信できるペイロードビットの平均数を指示する。第1の最大変調次数及び第2の最大変調次数は、同じでもよいし、異なってもよい。
【0012】
「変調及びコード化スキームテーブル」という語は、LTEで定義されるMCSテーブルを指し、適当な変調及びコード化スキームを決定及び選択するのに使用されるものである。第2のテーブルは、LTEで定義されるMCSに基づく拡張型MCSテーブルであるが、高次の変調に対応するエントリを含む。例えば、上位互換性は、第1のテーブルを、LTE規格で現在定義されたように厳密なものにすることで保証される。
【0013】
第1及び第2のテーブルは、幾つかの観点が異なってもよい。例えば、1つのテーブルは、低いMCSに向かって偏るようにされ、そして第2のテーブルは、高いMCS値に向かって偏るようにされてもよい。例えば、1つのテーブルは、あるスレッシュホールドMCSより低いMCS値をより多く有してもよい。又、低いMCSにおけるMCS値の密度が一方のテーブルにおいて高くてもよく、或いはMCS値の重心又は平均が一方のテーブルにおいて低くてもよい。1つの実施形態では、一方のテーブルが他方の鏡像であり、例えば、中央のMCSにおいて鏡像化される。
【0014】
本書において「ベースステーション」という語は、そのようなMCSテーブルから変調及びコード化スキームを選択することによりユーザ装置又は他のネットワーク装置と通信できる任意の種類の物理的エンティティを表わす。本書におけるベースステーションは、方法のための所要の機能を提供する任意の種類のネットワーク装置でもよいし、中央エンティティと通信するトランシーバノードでもよい。ベースステーションは、例えば、NodeB又はeNBである。
【0015】
ベースステーションは、使用するMCSテーブルの変更についてUEに明確に通知するか、或いは能力問合せ手順の一部分として通知しそしてMCSテーブルを暗示的に選択する。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第2の最大変調次数は、第1の最大変調次数より高い。特に、第1の最大変調次数は、64QAMに対応し、そして第2の最大変調次数は、256QAMに対応する。
【0017】
他の変調次数、例えば、128QAMも使用できることに注意されたい。
【0018】
更に、チャンネルが突然良好になった場合に素早く反応できるように前記第1のテーブルには少数の高いMCSが含まれる。
【0019】
本発明の更に別の実施形態によれば、最大変調次数は、最も高い変調及びコード化スキーム(MCS)に対応する。更に、その最も高い変調及びコード化スキームは、両テーブルについて同じである。
【0020】
本発明の更に別の実施形態によれば、前記方法は、更に、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に使用される無線送信チャンネルの実際のチャンネル状態をベースステーションにより決定し、その決定された実際のチャンネル状態に基づいて最大のサポートされる変調次数をベースステーションにより決定し、そしてその最大のサポートされる変調次数と第1の最大の変調次数及び第2の最大の変調次数との比較に基づいて第1の変調及びコード化スキームテーブル又は第2の変調及びコード化スキームテーブルをベースステーションにより選択する、ことを含む。
【0021】
実際のチャンネル状態が高次の変調をサポートしないか又はユーザ装置(UE)が高次の変調をサポートできない場合には、ベースステーションは、第1のテーブルに基づいて送信のための変調及びコード化を遂行する。実際のチャンネル状態が高次の変調に充分なほど良好であり且つUEが高次の変調をサポートする場合には、ベースステーションは、例えば、256QAMまでの高次の変調をサポートする第2のテーブルに基づき変調及びコード化を遂行する。
【0022】
本発明の更に別の実施形態によれば、前記方法は、更に、その選択された変調及びコード化スキームテーブルを表わす情報をユーザ装置へ送信することを含む。
【0023】
ベースステーションは、選択され使用されるMCSテーブルに関する情報を含む信号をUEに与える。次いで、UEは、その情報に基づいてCQIレポートのような更なるアクションを遂行する。
【0024】
本発明の更に別の実施形態によれば、ユーザ装置への情報の送信は、無線リソースコントロールシグナリングに基づく。
【0025】
共通のシグナリンクを使用することにより、UEは、選択されたMCSテーブルに関して容易に通知される。この情報は、他のリソースコントロールに鑑みUEの情報より成る任意の情報信号にも含まれる。
【0026】
本発明の更に別の実施形態によれば、ユーザ装置への情報の送信は、暗示的なシグナリングに基づく。
【0027】
これは、UEがベースステーションから情報を受け取りそしてその情報に基づいて前記選択されたMCSテーブルを決定するケースを指す。これは、例えば、能力をeNBに利用できるようにもする能力問合せ手順の一部分としてのケースである。eNBがUEの能力を決定するこの種の設定手順の間に、テーブルが切り替えられ、そしてUEは、特定のシグナリングを伴わずに暗示的に通知される。
【0028】
本発明の更に別の実施形態によれば、前記方法は、選択された変調及びコード化スキームテーブルの行われた変更を表わす確認情報をユーザ装置から受信することを含む。
【0029】
ベースステーションは、UEから確認信号を受信した後に1つのテーブルから選択されたMCSテーブルへの変更を実行する。従って、確認信号は、ベースステーションにより実行されるMCSテーブルの最終的な変更を表わす。
【0030】
本発明の更に別の実施形態によれば、第1の変調及びコード化スキームテーブル並びに第2の変調及びコード化スキームテーブルは、各々、第1の変調及びコード化スキームテーブル並びに第2の変調及びコード化スキームテーブル内の同じ位置に配置された等しいエントリの共通サブセットを含む。特に、この方法は、選択された変調及びコード化スキームテーブルを表わす情報をユーザ装置へ送信した後であって且つユーザ装置から確認情報を受信する前に、前記選択された変調及びコード化スキームテーブルに基づくベースステーションとユーザ装置との間の送信のための変調及びコード化スキームを、エントリの共通サブセットに基づいてコントロールすることを含む。
【0031】
両MCSテーブルに共通のエントリを使用することで、ベースステーションは、UEからの確認信号がない限り、共通のエントリを使用する。これは、両部分(ベースステーション及びUE)が(おそらく異なるテーブルを使用するが)同じ変調及びコード化スキームを使用するので誤解や誤った変調及びコード化がないという効果を発揮する。
【0032】
本発明の更に別の実施形態によれば、ベースステーションとユーザ装置との間の最初の送信をコントロールすることは、第1の変調及びコード化スキームテーブルに基づく。
【0033】
ベースステーション及びUEは、各通信の始めに最大変調次数の低いMCSテーブルを使用する。これは、各通信が同じテーブルで開始し、そしてその後、ベースステーションがMCSテーブルを変更すべきかどうか判断するという効果を発揮する。次いで、高次の変調をサポートするMCSテーブルをUEがサポートできる場合には、実際のチャンネル状態に基づいて変更が行われる。
【0034】
本発明の更に別の実施形態によれば、変調及びコード化スキームインデックスを搬送するビットは、第1の変調及びコード化スキームテーブルと、第2の変調及びコード化スキームテーブルとについて同じである。
【0035】
従って、MCSテーブルの既存の形態を変更することもそのテーブルからの選択を搬送するのに使用されるコード化及び送信メカニズムを変更することも必要なく、上位互換性があることが保証される。より特定の実施形態では、テーブルは、同じサイズをもつ。特に、第1のMCSテーブル及び第2のMCSテーブルの一部分が等しく、上述した共通のエントリを与える。非常に低い変調次数に関連した第1のMCSテーブルのエントリは、第2のMCSテーブルに対して交換(再定義)され、より高次の変調を含む。
【0036】
本発明の更に別の実施形態によれば、実際のチャンネル状態は、第1の最大変調次数をサポートする第1のチャンネル品質指示子テーブルに基づくか又は第2の最大変調次数をサポートする第2のチャンネル品質指示子テーブルに基づいて選択可能なチャンネル品質指示子に基づいて決定され、この方法は、ユーザ装置からのチャンネル品質指示子をベースステーションにより受信し、そしてその受信したチャンネル品質指示子に基づいてベースステーションとユーザ装置との間の送信に使用される無線送信チャンネルの実際のチャンネル状態をベースステーションにより決定することを含む。
【0037】
MCSテーブルと同様に、CQIテーブルも、MCSテーブルの選択に基づいて選択される。第1のMCSテーブルから第2のMCSテーブルへの切り換え又は変更がある場合には、第1のCQIテーブルから第2のCQIテーブルへの変更もある。従って、UEは、選択されたMCSテーブルに対応するテーブルに基づいてCQIを決定する。
【0038】
本発明の更に別の実施形態によれば、この方法は、選択された変調及びコード化スキームテーブルに基づいて第1のチャンネル品質指示子テーブル又は第2のチャンネル品質指示子テーブルをベースステーションにより選択し、そしてその選択されたチャンネル品質指示子テーブルを表わす情報をユーザ装置へ送信することを含む。
【0039】
選択されたCQIテーブルの情報は、ベースステーションからUEに与えられる。又、その情報は、選択されたMCSテーブルをユーザ装置に通知することにより暗示的に与えられてもよい。
【0040】
本発明の更に別の実施形態によれば、第1のチャンネル品質指示子テーブル及び第2のチャンネル品質指示子テーブルは、各々、第1のチャンネル品質指示子テーブル及び第2のチャンネル品質指示子テーブル内の同じ位置に配置された等しいエントリの共通サブセットを含む。
【0041】
MCSテーブルと同様に、CQIテーブルも、共通のサブセットを含む。従って、切り換えの間に、UEとベースステーションとの間に誤解がないことが保証される。
【0042】
本発明の第2の態様によれば、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームをコントロールするためのベースステーションであって、その変調及びコード化スキームは、第1の最大変調次数をもつ複数の変調及びコード化スキームに対応するエントリを含む第1の変調及びコード化スキームテーブルに基づいて選択可能であるか、又は第2の最大変調次数をもつ複数の変調及びコード化スキームに対応するエントリを含む第2の変調及びコード化スキームテーブルに基づいて選択可能であるベースステーションが提供される。このベースステーションは、第1の変調及びコード化スキームテーブル又は第2の変調及びコード化スキームテーブルを選択するための選択ユニットと、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームを、その選択された変調及びコード化スキームテーブルに基づいてコントロールするためのコントロールユニットと、を備えている。
【0043】
ベースステーションは、セルラーネットワークシステムへのワイヤレスアクセスを与えることのできる任意の形式のアクセスポイント又は取り付けポイントである。従って、ワイヤレスアクセスは、ワイヤレスで通信できるユーザ装置又は他のネットワーク装置に対して行われる。ベースステーションは、NodeB、eNB、ホームNodeB又はHeNB、或いは他の種類のアクセスポイント又はマルチホップノード又はリレーである。ベースステーションは、特に、B4G、LTE又は3GPPセル及び通信に使用される。
【0044】
ベースステーションは、受信ユニット、例えば、当業者に知られた受信器を含む。又、ベースステーションは、送信ユニット又は伝送ユニット、例えば、送信器も含む。受信器及び送信器は、単一のユニット、例えば、トランシーバとして実施されてもよい。トランシーバ、又は受信ユニット・送信ユニットは、アンテナを経てユーザ装置と通信するようにされる。
【0045】
ベースステーションは、更に、選択ユニット及びコントロールユニットを備えている。選択ユニット及びコントロールユニットは、単一のユニットとして実施されてもよいし、又は例えば、CPU又はマイクロコントローラのような標準的なコントロールユニットの一部分として実施されてもよい。
【0046】
1つの実施形態において、ベースステーションは、更に、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に使用される無線送信チャンネルの実際のチャンネル状態を決定すると共に、その決定された実際のチャンネル状態に基づいて最大のサポートされる変調次数を決定するための決定ユニットも備えている。選択ユニットは、最大のサポートされる変調次数と第1の最大変調次数及び第2の最大変調次数との比較に基づいて第1の変調及びコード化スキームテーブル又は第2の変調及びコード化スキームテーブルを選択する。
【0047】
決定ユニットは、単一のユニットとして実施されてもよいし、又はCPU又はマイクロコントローラのような標準的なコントロールユニットの一部分として実施されてもよい。
【0048】
ユーザ装置(UE)は、ここに述べるベースステーションに接続することのできる任意の形式の通信端装置である。UEは、特に、セルラー移動電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ノートブックコンピュータ、プリンタ、及び/又は任意の他の移動通信装置である。
【0049】
ユーザ装置は、ベースステーションからの信号を受信するための受信ユニット又は受信器を備えている。ユーザ装置は、信号を送信するための送信ユニットを備えている。送信ユニットは、当業者に知られた送信器である。受信器及び送信ユニットは、単一のユニット、例えば、トランシーバとして実施されてもよい。トランシーバ、又は受信器及び送信ユニットは、アンテナを経てベースステーションと通信するようにされる。
【0050】
ユーザ装置は、更に、選択されたMCSテーブルを表わすベースステーションから受信した情報に基づいて送信をコントロール及び構成するためのコントロールユニットを備えている。このコントロールユニットは、単一のユニットとして実施されてもよいし、又は例えば、CPU又はマイクロコントローラのような標準的コントロールユニットの一部分として実施されてもよい。
【0051】
本発明の第3の態様によれば、セルラーネットワークシステムが提供される。セルラーネットワークシステムは、上述したベースステーションを備えている。
【0052】
ここでは、一般的に、第1の態様による方法及び方法の実施形態は、第2又は第3の態様或いはその実施形態に関して述べた1つ以上の機能を遂行することを含む。その逆のことも言え、第2及び第3の態様によるベースステーション又はセルラーネットワークシステム及びその実施形態は、第1の態様又はその実施形態に関して述べた1つ以上の機能を遂行するためのユニット又は装置を含む。
【0053】
ここに開示する要旨の第4の態様によれば、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に対する変調及びコード化スキームをコントロールするためのコンピュータプログラムが提供され、そのコンピュータプログラムは、データプロセッサアッセンブリにより実行されたときに、第1の態様又はその実施形態で述べた方法をコントロールするためのものである。
【0054】
ここで使用するコンピュータプログラムという語は、上述した方法の実行を整合するためにコンピュータシステムをコントロールするインストラクションを収容するプログラムエレメント及び/又はコンピュータ読み取り可能な媒体という語と同等である。
【0055】
コンピュータプログラムは、例えば、JAVA(登録商標)、C++のような適当なプログラミング言語の使用によりコンピュータ読み取り可能なインストラクションコードとして実施され、そしてコンピュータ読み取り可能な媒体(取り外し可能なディスク、揮発性又は不揮発性メモリ、埋め込み型メモリ/プロセッサ、等)に記憶される。インストラクションコードは、意図される機能を実行するようにコンピュータ又は他のプログラム可能な装置をプログラムするように働く。コンピュータプログラムは、それがダウンロードされるワールドワイドウェブのようなネットワークから入手できる。
【0056】
ここに開示する要旨は、コンピュータプログラム各々ソフトウェアにより実現することができる。しかしながら、ここに開示する要旨は、1つ以上の特定の電子回路各々ハードウェアにより実現されてもよい。更に、ここに開示する要旨は、混成形態、即ちソフトウェアモジュール及びハードウェアモジュールの組み合わせで実現されてもよい。
【0057】
以上、ここに開示する要旨の規範的な実施形態を述べたが、以下、セルラーネットワークシステム、ベースステーション、及びベースステーションとユーザ装置との間の送信のための変調及びコード化スキームをコントロールする方法について詳細に説明する。当然、ここに開示する要旨の異なる態様に関する特徴の組み合わせも考えられることを指摘しておく。特に、ある実施形態は、装置形式の実施形態を参照して説明し、一方、他の実施形態は、方法形式の実施形態を参照して説明する。しかしながら、当業者であれば、以上及び以下の説明から、特に指示のない限り、1つの態様に属する特徴の組み合わせに加えて、異なる態様又は実施形態に関する特徴間の組み合わせ、例えば、装置形式の実施形態の特徴と方法形式の実施形態の特徴との間の組み合わせが、本出願と共に開示されると考えられる。
【0058】
上述した態様及び実施形態並びに本発明の更に別の態様及び実施形態は、以下に述べる実施例から明らかであり、図面を参照して説明するが、本発明は、それに限定されない。異なる図面において、同じ又は同様の要素は、同じ参照文字で示されていることに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明の規範的な実施形態によるセルラーネットワークシステムを示す。
【
図2】64QAM及び256QAMに対するスペクトル効率のシミュレーションを示す。
【
図3】各々64QAM及び256QAMに対して4×4MIMO及び2×2MIMOのスペクトル効率のシミュレーションを示す。
【
図4】本発明の規範的な実施形態によるセルラーネットワークシステム内のベースステーション及びユーザ装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、ここに開示する要旨の実施形態は、添付図面を参照し、及びLTEのような現在規格の観点及びそれらの更なる展開を参照して説明する。しかしながら、現在規格を参照することは、単なる例示に過ぎず、特許請求の範囲をそれに限定するものではない。
【0061】
図1は、セルラーネットワークシステム100を示す。ユーザ装置102は、セルラーネットワークシステムの第1のセル103のサービスを受ける。第1のセルは、ベースステーション101に指定される。
【0062】
ベースステーションとユーザ装置との間の送信及び通信は、変調及びコード化スキームに基づいてコントロールされる。その変調及びコード化スキームは、第1の最大変調次数をもつ複数の変調及びコード化スキームに対応するエントリを含む第1の変調及びコード化スキームテーブルに基づいて選択可能であるか、又は第2の最大変調次数をもつ複数の変調及びコード化スキームに対応するエントリを含む第2の変調及びコード化スキームテーブルに基づいて選択可能である。1つの実施形態では、第2の最大変調次数が、第1の最大変調次数(例えば、64QAMまで)より高い(例えば、256QAMまで)。
【0063】
ベースステーションは、ベースステーションとユーザ装置との間の送信に使用される無線送信チャンネルの実際のチャンネル状態を決定する。次いで、ベースステーションは、その決定された実際のチャンネル状態に基づいて、且つ最終的には、ユーザ装置によってどの変調次数をサポートできるかのユーザ装置からの情報に基づいて、最大のサポートされる変調次数を決定する。次いで、ベースステーションは、その最大のサポートされる変調次数と第1の最大の変調次数及び第2の最大の変調次数との比較に基づいて第1の変調及びコード化スキームテーブル又は第2の変調及びコード化スキームテーブルを選択する。従って、ベースステーションとユーザ装置との間の送信のための変調及びコード化スキーム(MCS)は、選択された変調及びコード化スキームテーブルに基づいてコントロールされる。
【0064】
又、ベースステーションは、他の情報、例えば、既定の選択基準に基づいてテーブルを選択してもよい。
【0065】
LTE(及びLTE-アドバンスト)では、理論的なスペクトル効率が64QAM変調により制限される。
図2は、空間的相関のない1タップのレイリーチャンネルにおいて、8×8MIMO、及び64QAMに制限された変調でシミュレーションされたLTE-アドバンストスループット(参照番号201)(コードレート8/9)を示す。又、
図2には、比較のために、256QAMへの拡張で得られるスペクトル効率もプロットされている(参照番号202)。256QAMへの拡張は、ほぼ25dBのSNR範囲で作用を及ぼし始めることが明らかである。この図において、平均SINRがスループットに対してプロットされている。平均がその領域より低くても、フェージングのために256QAMが利得を与えるかどうかに関わらず、チャンネル状態は、しばらくは、依然良好である。
【0066】
LTEのスループットは、大きなランクの使用を制限する高い空間的チャンネル相関が生じるより実際的なシナリオ(例えば、リレーバックホールのケース)でも、MCSにより制限される。これは、
図3に示されており、ここでは、高いスペクトル相関シナリオにおいて適応ランク及びMCS選択を伴う2×2及び4×4MIMOスキームに対するスペクトル効率が平均信号対雑音比の関数としてプロットされている。2×2及び4×4の両スキームでは、2つの曲線が示され、その一方では、MCSが64QAMに制限され(2×2:304、4×4:302)、そしてその他方では、MCSが256QAMへ拡張される(2×2:303、4×4:301)。256QAMへの拡張は、これらのシナリオにおいてほぼ10dBのSNR範囲からスループットを既に増加することが明らかである。これは、スループットが、64QAMで可能である最大スループットよりかなり低いことが既に危惧されることを意味する。
【0067】
問題は、上位互換性を維持すると共に、著しい複雑さを回避するためにLTEのための256QAMをどのように導入するかである。256QAMの追加は、LTE規格で定義されたMCSインデックス及び変調テーブルと、CQIテーブルとの両方に対して実行する必要がある。
【0068】
リリース10では、8レイヤまでの閉ループMIMOをサポートするために新規DCIフォーマット2cが追加された。1つの単純な解決策は、256QAMのための新規DCIフォーマットを定義する(そしてDCIの変調及びコード化スキームフィールドに対して6ビット以上を使用する)ことである。これは、望ましい解決策ではない。というのは、DCIフォーマットの数を倍増し、著しく複雑さを増すからである。UMTSでも、1つの特別なシグナリングビット[R1-070635 R1-070570]を追加することにより16QAMから64QAMへの拡張がなされる。その特別なビットは、悪いデコーディング性能及びより多くのブラインドデコーディングを犠牲にして新規なDCIフォーマットを定義するか、又は少なくともより多くの任意のDCIサイズを定義することで、設けることができる。或いは、何らかの他のシグナリングからビットが「盗まれ」、64QAMがイネーブルされる場合にその半分のエントリしかサポートしないコード割り当てテーブルからビットが盗まれる可能性を、例えば、HSDPAにおいて制限する。
【0069】
別の考えられる解決策は、既存のMCS/CQIインデックステーブルを基礎として取り上げ、その使用を切り換えて、現在MCS値のサブセットだけを使用し、例えば、3番目ごとにドロップさせて、付加的な256QAM値のための余地を作るようにする。これは、チャンネル状態を粗く適応させるもので、望ましくない。以下、この方法は、サブ・サンプリングと称される。
【0070】
ここに述べる方法の考え方は、既存のDCIフォーマットを使用して良好なチャンネル状態において256QAMの使用を許す新規な手順を定義することである。この目的のために、256QAMへの拡張(Qm=8)を伴う付加的な新規なMCS及びCQIインデックステーブルが作成される。この新規のテーブルは、通常のものと同じサイズである。オリジナルのインデックステーブルが使用されるか又は256QAMの拡張を伴うテーブルが使用されるかの判断は、ベースステーション(又はeNB)によって決定され、そしてその切り換えは、シグナリングメッセージでUEに指示されるか、又は暗示的な仕方で判断される。
【0071】
1つの実施形態では、オリジナルテーブル及び256QAM拡張を伴うテーブルの両方に共通の共通インデックスエリアがあり、ここで、MCS/CQIインデックス、変調次数及びTBSインデックスは、両テーブルにおいて同一であると共に同一の位置にある。曖昧さを回避するためテーブルを切り換える間にはこの共通のMCSインデックスエリアのみが使用される。
【0072】
1つの実施形態では、256QAMに関連したTB(トランスポートブロック)サイズのための余地が、元々低いTBサイズからとられるように、256QAM拡張を伴うMCS/CQIインデックステーブルが形成される。更に、拡張された256QAMテーブルが使用され且つチャンネル状態が急速に下降する状況に対して設定された低い範囲の変調から共通のMCSインデックスエリアにおいて若干の共通の変調/TBサイズがある。これらのインデックスは、低いTBSエリアからサブ・サンプリングすることができる。
【0073】
UEに切り換えが分かり且つ切り換え中に曖昧なテーブルエントリを使用しないように保証するために、CQIインデックステーブル切り換えに対して2段階の切り換え手順が設けられる。MCSテーブルは、256QAMバージョンに予め切り換えられる。
【0074】
又、例えば、初期のコール設定中に明確な選択が行われる前に、又は良好な品質に向かう迅速な反応を許すために、256QAMを素早く使用しなければならない状況に対して設定された高い範囲の変調から共通のMCSインデックスエリアにおいて若干の共通の変調/TBサイズもある。
【0075】
MCS及びCQIインデックステーブルに対してここに述べる第2のテーブルは、36.213テーブル7.1.7-1に対応して発生されるが、256QAMへの拡張(Qm=8)を伴う。1つの選択肢は、オリジナルテーブル7.1.7-1、及び256QAM拡張を伴うテーブルがeNBによりRRCメッセージで切り換えられることである(或いは又、MAC又はコントロールシグナリングメッセージを考慮することもできる)。この場合に、この切り換えの役割を果たすアルゴリズムは、eNBベンダー特有であるが、明らかに、UEからのCQIレポートを考慮する。UEは、RRCメッセージに基づいてMCSインデックステーブルを切り換え、そして受け取ったRRCメッセージに関して確認をeNBへ送信する役割を果たす(確認は、重要ではないが、切り換えをサポートしないUEはコマンドを確認しないので、上位互換性の問題を回避する上で助けとなる)。
【0076】
RRCメッセージがUEにおいて有効になるのに約100-200msを要し(上位レイヤの処理遅延は標準化されておらず、検出エラーの場合にはそれらがどれほど頻繁に再送信されるかに依存する)、そして(1)RRCメッセージが失われ且つ(2)新規構成がUEにより使用されるときにはスタート時間に関連した不確実性があるので、不確実性の時間中にもデータスケジューリングを許す、両テーブルに共通のMCSインデックスエリアがなければならない。これは、切り換えが既に行われたかどうかに関わらず、そのエリアからのMCSが正しく理解されることを保証する。この共通のエリアは、連続的なもので、即ち連続的なMCSエントリを有し、切り換え中にも微細な適応を許す。MCSインデックス、変調次数及びTBSインデックスは、このエリアの両方のMCSインデックステーブルにおいて同一である。例えば、テーブルを切り換えるRRC手順の間に、MCSインデックステーブルを切り換えるRRCメッセージを受信したという確認をUEからeNBが受信する前には、この共通のMCSインデックスエリアしか使用することができない。又、この共通のインデックスエリアは、暗示的なテーブル切り換えが使用される場合にも使用され、このケースでは、暗示的な切り換え手順の間に共通のエリアしか使用できない。
【0077】
更に、拡張された256QAMテーブルが使用され且つチャンネル状態が急速に降下する状況に対して共通のMCSインデックスエリアには若干の共通の低い変調/TBサイズがある。切り換えコマンドを送信するために要求されるTBサイズは、共通のMCSインデックスエリアにおいて得られる。
【0078】
新規のTBサイズは、256QAMでのスペクトル効率を高めるために、256QAM拡張を伴うMCS/CQIインデックステーブルに導入される。
●これらの新規TBサイズのための余地を現在の低いTBサイズ(QPSK及びおそらくは低い16QAM)からとることができる。
●QAMのための予約されたTBSサイズも低変調の共通のMCSエリアにある。このMCSは、特に、以前の初期送信が高いMCS、特に、高い変調次数、又は異なる数の指定リソースで行われた場合には、悪いチャンネル状態での再送信に使用される。しかしながら、含まれた256QAMに対してエントリを予約する必要はない。
●又、256QAMを素早く使用することが有用なコール設定のような状況では共通のエリアに幾つかの256QAMエントリがある(上位互換性を失い且つ「普通」の範囲で得られる入力が少ないことを犠牲にして)。高いダイナミックレンジを得るためにサブ・サンプリングが使用されるそのようなデフォールト「妥協」MCSテーブルは、eNBがUEの能力に気付くや否や使用することができる。レガシーテーブル、即ち低い最大変調次数をもつものから、その妥協テーブル、即ち高い最大変調次数をもつものへの切り換えは、eNBに能力を利用できるようにする能力問合せ手順の一部分として暗示的に行うことができる。その後、低い又は高いMCSに焦点を合わせたテーブルへの明確な切り換えが行われるが、チャンネル状態が迅速に変化して明確な切り換えを実現できない場合には、サブ・サンプリングされるテーブルへの明確な切り換えも行われる。
【0079】
MCSインデックス及び256QAM拡張を伴う変調テーブルの一例がテーブル1に示されている。MCSインデックス12から31は、連続的な共通のMCSインデックスエリアを指す。MCSインデックス0、5及び10は、サブ・サンプリングされる低変調の共通MCSインデックスエリアを指し、そしてMCSインデックス1から4、6から9及び1は、256QAM拡張を指す。
【0080】
【0081】
MCSインデックステーブルと同様に、256QAM拡張及び共通インデックスエリアを伴う新規なCQIインデックステーブルが使用される。CQIテーブルは、MCSインデックステーブル切り換えの役割を果たす同じRRCメッセージで切り換えられる。別のケースでは、CQIテーブルは、暗示的に切り換えられる。eNBは、このRRC手順の間の厳密な時間にUEがどのテーブルを使用するか知らないことにより生じる考えられるエラー状況を取り扱うという役割を果たす。eNBは、例えば、非共通CQIインデックスを単に無視し、それらを最も近い共通のインデックスへと丸めるか又はリスクを負い、そしてどのテーブルに関連している見込みが最も高いか発見的手法に基づいて判断することができる。そのようなエラーケースが生じるのは、eNBが変更を開始し、それ故、切り換え中の曖昧なエントリを回避できるMCS選択とは対照的に、CQIでは、UEが差し迫った切り換えに気付かず、従って、それを回避できない(無益に常時それを回避しない限り)からである。曖昧なテーブルエントリの場合にeNBが正しい判断を選ぶ見込みを高めるためには、MCSインデックスに対するTBSの最小の差を最大にしなければならない。これは、テーブル1のケースである。というのは、256及びQAMの両方のケースについてTBSを高めるようにエントリが配置されているからである。256QAMのケースが逆の順序である場合には、MCSインデックス9に対して、TBSが26(256QAMの場合)又は8(QPSKの場合)であり、即ち差は、26-8=18であり、一方、テーブル1では、その差が33-8=25である。この差が大きいほど、eNBが発見的手法を使用できない見込みが少なくなる(例えば、チャンネルが25段階のその量だけ実際に変更される場合)。同じ理由で、予約された256QAMエントリを、最も高いMCSインデックスに、即ちテーブル1のMCSインデックス11に対して配置するのが有益である。その予約されたエントリは、アップリンクではなく、ダウンリンクについてのみ関与する。それ故、アップリンクテーブルでは、それを容易にドロップさせて、QAMの通常のエントリ(テーブル1ではTBS10)に置き換えることができる。
【0082】
切り換え時間中に曖昧なCQIレポートを回避するために、2段階切り換え手順を使用することができ、第1のコマンドでは、eNBが切り換えを通知する。次いで、UEには共通のMCSエリアからのCQIレポートだけが使用される。第2のコマンドにおいて、eNBは、切り換えの実行を指令する。次いで、UEは、高いMCSのテーブルを完全に使用する。ここで、2つの曖昧な周期があるという事実にも関わらず、誤解のおそれはない。即ち、両方の曖昧な周期の間に、UEは、充分に定義されたMCSテーブル(第1の曖昧な周期中のオリジナルのもの及び第2の周期中の最終的なもの)を使用するか、又は共通のMCSエリアからのMCSのみを使用し、この共通のエリアでは、誤解のおそれがない。これは、共通のMCSエリアからのエントリが両テーブルにおいて同一にコード化されるためである。これは、高MCSエリアのエントリの順序を非連続的にするが、これは、あまり複雑ではなく、例えば、ルックアップテーブルを実施することにより解決することができる。
【0083】
この実施形態によるメッセージの流れは、次の通りである。
1)eNBからUE:MCSテーブルを切り換えそして共通のインデックスエリアへのCQIレポートを制限するためのRRCメッセージ。eNBは、MCSに対して共通のインデックスエリアのみを使用する。
2)UEからeNB:確認(及び暗示的メッセージ)、eNBは、ここで、新規なMCSテーブルの完全なインデックスエリアを使用し、eNBは、UEが新規なCQIテーブル(最初は共通のインデックスエリアのみ)を使用することを知る。
3)eNBからUE:確認、UEは、ここで、新規なCQIテーブルの完全なインデックスエリアを使用する。
【0084】
実際には2つのハンドシェークがあるにも関わらず、4つのメッセージを使用せず、2つだけである。というのは、中間のメッセージがCQI及びMCSの両テーブルにおいて2つの意味をもつからである。
【0085】
曖昧なCQIレポートを回避するための別の解決策は、UEがCQIに対するテーブルの切り換えを開始し、そしてeNBがMCSに対する切り換えを開始できるようにすることである。従って、常に、メッセージの発信者は、対応するテーブルへ切り換え、それ故、曖昧な周期中に共通のインデックスエリアへ使用を制限することができる。
【0086】
256QAMをサポートするUEの能力を指示するには、256QAMが含まれた新規なUEカテゴリーが必要である。UEが256QAMをサポートしない場合には、前記プロセス、及び256QAM拡張を伴うMCS/CQIインデックステーブルが使用されない。或いは又、eNBは、切り換えコマンドを送信し、そしてUEが256QAMをサポートするかどうかに関わらず応答を決定することができる。初期のアクセス段階では、eNBにUEの能力がまだ分からないので、256QAM、ひいては、より高い変調次数のMCSテーブルを使用してはならない。
【0087】
上述したプロセスは、より高いMCSへの拡張に使用することができる。又、このプロセスは、3つ以上のテーブルをカバーしてそれらの間を切り換えるように拡張することができる。2つ以上のテーブルに表わされる共通のMCSは、常に、同一の位置でなければならない。テーブル間では共通のインデックスエリアのサイズ及び形態に差があり、例えば、異なるテーブルに異なるレベルのサブ・サンプリングをもたせることができる。例えば、低、中間及び高の3つのテーブルがある。中間テーブルは、低変調エリアに1つおきのMCSエントリを含むことができ、一方、高テーブルは、(テーブル1と同様に)3つおきのエントリしか使用せず、それらのエントリは、中間テーブルにも存在するものから選択される。これが可能であるのは、2が4の約数だからであり、それ故、高テーブルのサブ・サンプリングは、適合しない2つおき又は4つおきのエントリを選択してはならない。又、これは、CQI値の広い範囲をカバーするテーブル1に使用されてもよい。
【0088】
ここに提案する解決策には多数の効果がある。既存のDCIフォーマット設計は、不変である。これは、UEにおける既存のDCIブラインドデコーディング負担を維持しながら、各DL DCIフォーマットに対して256QAMをサポートできるようにする。ここに提案するスキームは、eNBがシグナリングエラーによる複雑なエラーのケースを容易に回避するための手段を提供する。ここに提案する設計は、既存のDLリソース割り当て(CQI/MCSインデックステーブル)の基本的な機能を不変に保持できるようにする。従って、DLスケジューラ動作への影響は、最小であるに過ぎない。
【0089】
図4は、本発明の規範的実施形態によるセルラーネットワークシステム400を示す。このセルラーネットワークシステムは、ベースステーション101と、このベースステーションのサービスを受けるユーザ装置102とを備えている。
【0090】
以下、ベースステーションは、決定ユニットと共に説明する。しかしながら、決定ユニットは、任意であることに注意されたい。
【0091】
ベースステーションは、ベースステーション101とユーザ装置102との間の送信に使用される無線送信チャンネルの実際のチャンネル状態を決定すると共に、その決定された実際のチャンネル状態に基づいて最大のサポートされる変調次数を決定するための決定ユニット402を備えている。ベースステーションは、更に、既定の基準に基づくか、又は最大のサポートされる変調次数と第1の最大の変調次数及び第2の最大の変調次数との比較に基づいて、第1の変調及びコード化スキームテーブル又は第2の変調及びコード化スキームテーブルを選択するための選択ユニット403を備えている。更に、ベースステーションは、その選択された変調及びコード化スキームテーブルに基づいてベースステーションとユーザ装置との間の送信に対して変調及びコード化スキームをコントロールするためのコントロールユニット404を備えている。
【0092】
ベースステーションは、セルラーネットワークシステムへのワイヤレスアクセスを与えることのできる任意の形式のアクセスポイント又は取り付けポイントである。従って、ワイヤレスアクセスは、ワイヤレスで通信できるユーザ装置又は他のネットワーク装置に対して行われる。ベースステーションは、NodeB、eNB、ホームNodeB又はHeNB、或いは他の種類のアクセスポイントである。
【0093】
ベースステーションは、受信ユニット、例えば、当業者に知られた受信器を含む。又、ベースステーションは、送信ユニット又は伝送ユニット、例えば、送信器も含む。受信器及び送信器は、単一のユニット、例えば、トランシーバ401として実施されてもよい。トランシーバ、又は受信ユニット・送信ユニットは、アンテナを経てユーザ装置と通信するようにされる。
【0094】
決定ユニット402、選択ユニット403及びコントロールユニット404は、単一のユニットとして実施されてもよいし、或いは例えば、CPU又はマイクロコントローラのような標準コントロールユニットの一部分として実施されてもよい。
【0095】
ユーザ装置(UE)は、ここに述べるベースステーションに接続することのできる任意の形式の通信端装置である。UEは、特に、セルラー移動電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ノートブックコンピュータ、プリンタ、及び/又は任意の他の移動通信装置である。
【0096】
ユーザ装置は、ベースステーションからの信号を受信するための受信ユニット又は受信器を備えている。ユーザ装置は、信号を送信するための送信ユニットを備えている。送信ユニットは、当業者に知られた送信器である。受信器及び送信ユニットは、単一のユニット、例えば、トランシーバ405として実施されてもよい。トランシーバ、或いは受信器及び送信ユニットは、アンテナを経てベースステーションと通信するようにされる。
【0097】
ユーザ装置は、更に、選択されたMCSテーブルを表わすベースステーションから受信した情報に基づいて送信をコントロール及び構成するためのコントロールユニット406を備えている。このコントロールユニットは、単一のユニットとして実施されてもよいし、或いは例えば、CPU又はマイクロコントローラのような標準的コントロールユニットの一部分として実施されてもよい。
【0098】
ここに開示する要旨に関して、ある実施形態は、「ベースステーション」「eNB」等を言及するが、それらの各言及は、一般的な用語「ネットワークコンポーネント」或いは他の実施形態では用語「ネットワークアクセスノード」を暗示的に開示すると考えられることを理解されたい。又、特定の規格又は特定の通信技術に関する他の用語も、望ましい機能を伴う各一般的な用語を暗示的に開示すると考えられる。
【0099】
更に、ここに開示するベースステーションは、幾つかの実施形態で述べる専用エンティティに限定されないことに注意されたい。むしろ、ここに述べる要旨は、望ましい機能を発揮しながら、通信ネットワークの種々の位置において種々の仕方で実施することができる。
【0100】
本発明の実施形態によれば、ここに開示する適当なエンティティ(例えば、コンポーネント、ユニット及び装置)、例えば、決定ユニットは、ここに開示する各エンティティの機能をプロセッサ装置が発揮できるようにする各コンピュータプログラムの形態で、少なくとも一部分、提供されてもよい。他の実施形態によれば、ここに開示する適当なエンティティは、ハードウェアで提供されてもよい。他の混成実施形態によれば、あるエンティティは、ソフトウェアで提供され、一方、他のエンティティは、ハードウェアで提供される。
【0101】
ここに開示するエンティティ(例えば、コンポーネント、ユニット及び装置)は、幾つかの実施形態で述べる専用のエンティティに限定されないことに注意されたい。むしろ、ここに開示する要旨は、望ましい機能を発揮しながら、種々の仕方で及び装置レベルでの種々の粒度で実施することができる。更に、実施形態によれば、ここに開示する各機能に対して個別のエンティティ(例えば、ソフトウェアモジュール、ハードウェアモジュール又は混成モジュール)が提供されてもよいことに注意されたい。他の実施形態によれば、ここに開示する2つ以上の機能を提供するようにエンティティ(例えば、ソフトウェアモジュール、ハードウェアモジュール、又は混成モジュール(ソフトウェア/ハードウェア複合モジュール))が構成される。
【0102】
「備える」という語は、他の要素又は段階を除外するものでないことに注意されたい。又、本発明の更なる洗練化において、上述した異なる実施形態からの特徴を結合することもできる。又、請求項における参照符号は、請求項の範囲を限定するものと解釈されてはならないことにも注意されたい。
【符号の説明】
【0103】
100:セルラーネットワークシステム
101:ベースステーション
102:ユーザ装置
103:セル
201:64QAMの8×8MIMO
202:256QAMの8×8MIMO
301:256QAMの4×4MIMO
302:64QAMの4×4MIMO
303:256QAMの2×2MIMO
304:64QAMの2×2MIMO
400:セルラーネットワークシステム
401:ベースステーションのトランシーバ
402:ベースステーションの決定ユニット
403:ベースステーションの選択ユニット
404:ベースステーションのコントロールユニット
405:ユーザ装置のトランシーバ
406:ユーザ装置のコントロールユニット