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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池及び電池材料
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20240430BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20240430BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20240430BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240430BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240430BHJP
   H01M 4/136 20100101ALI20240430BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20240430BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240430BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20240430BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240430BHJP
   H01M 4/1397 20100101ALI20240430BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20240430BHJP
   H01M 4/74 20060101ALI20240430BHJP
   H01M 4/80 20060101ALI20240430BHJP
   C01B 17/22 20060101ALI20240430BHJP
   C01B 32/194 20170101ALI20240430BHJP
   C01B 32/198 20170101ALI20240430BHJP
   C01B 33/02 20060101ALI20240430BHJP
   C01B 33/06 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0566
H01M4/58
H01M4/38 Z
H01M4/62 Z
H01M4/136
H01M4/134
H01M4/66 A
H01M10/0567
H01M10/058
H01M4/1397
H01M4/1395
H01M4/74
H01M4/80 C
C01B17/22
C01B32/194
C01B32/198
C01B33/02 Z
C01B33/06
【請求項の数】 32
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022153675
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2021510262の分割
【原出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2022191280
(43)【公開日】2022-12-27
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】62/664,749
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/208,187
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520424560
【氏名又は名称】ライテン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・ランニング
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ダブリュ.・ストーウェル
(72)【発明者】
【氏名】ブライス・エイチ.・アンゼルモ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・クレイトン・ギブス
(72)【発明者】
【氏名】シュリーユクタ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ホサイン-アリ・ゲゼルバシュ
(72)【発明者】
【氏名】プラシャンス・ジャンパニ・ハナマンタ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・クック
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・タナー
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/081182(WO,A1)
【文献】特開2018-026193(JP,A)
【文献】特開平01-206571(JP,A)
【文献】特表2014-528139(JP,A)
【文献】特表2017-535913(JP,A)
【文献】特許第6270004(JP,B2)
【文献】国際公開第2017/116783(WO,A1)
【文献】特開2015-076211(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106207088(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/052
H01M 10/0566
H01M 4/58
H01M 4/38
H01M 4/62
H01M 4/136
H01M 4/134
H01M 4/66
H01M 10/0567
H01M 10/058
H01M 4/1397
H01M 4/1395
H01M 4/74
H01M 4/80
C01B 17/22
C01B 32/194
C01B 32/198
C01B 33/02
C01B 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材、
Li(ここで、xは0~2、yは1~8である)及び第1の粒状炭素を含むカソード混合物を含む、前記第1の基材上に配置されたカソード、
第2の基材、
ケイ素粒子及び第2の粒状炭素を含むアノード混合物を含む、前記第2の基材上に配置されたアノード、並びに
溶媒及びリチウム塩を含む、前記カソードと前記アノードとの間に配置された電解質を含む、リチウムイオン電池であって、
前記第1の粒状炭素又は前記第2の粒状炭素が、各カーボンナノ粒子がグラフェンを含む複数のカーボンナノ粒子を含む炭素凝集体を含み、
前記複数のカーボンナノ粒子中の前記グラフェンが、最大で15層を含み、
前記炭素凝集体中の水素以外の元素に対する炭素の割合が99%よりも大きく、
前記カーボンナノ粒子を含む前記炭素凝集体のメジアン径が、0.1μm~50μmであり、
前記炭素凝集体の表面積が、吸着質として窒素を用いるBrunauer-Emmett-Teller(BET)法によって測定した場合、10m/g~300m/gであり、
前記炭素凝集体は、圧縮されたとき、500S/m~20,000S/mの電気伝導度を有し、
前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が、メソポーラス構造をさらに含む、リチウムイオン電池。
【請求項2】
前記カソードがバインダをさらに含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項3】
前記アノードが酸化グラフェンをさらに含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項4】
前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が無核粒子をさらに含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項5】
前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が長鎖炭素同素体をさらに含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項6】
前記第1の基材又は第2の基材が、金属箔、炭素フォーム、金属フォーム、カーボン紙、炭素繊維、カーボンナノ繊維、炭素布、粒状炭素、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項7】
前記ケイ素粒子が、元素状ケイ素、リチウム-ケイ素、Li22Si、L22-xSi5-y(ここで、xは0~21.9、yは1~4.9である)、及びLi22-xSi5-y-z(ここで、xは0~21.9、yは1~4.9、zは1~4.9であり、Mは、S、Se、Sb、Sn、Ga又はAsである)からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項8】
前記電解質がレドックス添加剤をさらに含む、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項9】
前記レドックス添加剤が、第1のd-ブロック系列遷移金属、第2のd-ブロック系列遷移金属、及び第3のd-ブロック系列遷移金属からなる群から選択される遷移金属を含むメタロセンを含む、請求項8に記載のリチウムイオン電池。
【請求項10】
前記レドックス添加剤が、鉄、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、レニウム及びイリジウムからなる群から選択される遷移金属を含むメタロセンを含む、請求項8に記載のリチウムイオン電池。
【請求項11】
前記リチウムイオン電池が、100サイクル後にLiS 1グラム当たり400mAhよりも高い電池容量を有する、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項12】
前記カソード又はアノードがバインダを含有しない、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
【請求項13】
前記メソポーラス構造が、0.1nm~10nmのサイズの細孔及び10nm~100nmのサイズの細孔を含む孔径の多峰性分布を含む、請求項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項14】
リチウムイオン電池を製造する方法であって、
i) 第1の基材を用意する工程、前記第1の基材上に、Li(ここで、xは0~2、yは1~8である)及び第1の粒状炭素を含むカソード混合物を配置する工程を含む、カソードを組み立てること、
ii) 第2の基材を用意する工程、前記第2の基材上に、ケイ素粒子及び第2の粒状炭素を含むアノード混合物を配置する工程を含む、アノードを組み立てること、
iii) 溶媒を用意する工程、リチウム塩を用意する工程、並びに前記溶媒及び前記リチウム塩を合わせる工程を含む、電解質を調合すること、
iv) 前記アノードと前記カソードとの間に前記電解質を配置すること
を含み、
前記第1の粒状炭素又は前記第2の粒状炭素が、各カーボンナノ粒子がグラフェンを含む複数のカーボンナノ粒子を含む炭素凝集体を含み、
前記複数のカーボンナノ粒子中の前記グラフェンが、最大で15層を含み、
前記炭素凝集体中の水素以外の元素に対する炭素の比(割合)が99%よりも大きく、
前記カーボンナノ粒子を含む前記炭素凝集体のメジアン径が、0.1μm~50μmであり、
前記炭素凝集体の表面積が、吸着質として窒素を用いるBrunauer-Emmett-Teller(BET)法によって測定した場合、10m/g~300m/gであり、
前記炭素凝集体が、圧縮されたとき、500S/m~20,000S/mの電気伝導度を有し、
前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が、メソポーラス構造をさらに含む、方法。
【請求項15】
前記カソード又はアノードがバインダをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カソードがバインダをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記アノードが酸化グラフェンをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が無核粒子をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が長鎖炭素同素体をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の基材又は第2の基材が、金属箔、炭素フォーム、金属フォーム、カーボン紙、炭素繊維、カーボンナノ繊維、炭素布、粒状炭素、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記ケイ素粒子が、元素状ケイ素、リチウム-ケイ素、Li22Si、Li22-xSi5-y(ここで、xは0~21.9、yは1~4.9である)、及びLi22-xSi5-y-z(ここで、xは0~21.9、yは1~4.9、zは1~4.9であり、Mは、S、Se、Sb、Sn、Ga又はAsである)からなる群から選択される材料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記電解質がレドックス添加剤をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記レドックス添加剤が、第1のd-ブロック系列遷移金属、第2のd-ブロック系列遷移金属、及び第3のd-ブロック系列遷移金属からなる群から選択される遷移金属を含むメタロセンを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記レドックス添加剤が、鉄、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、レニウム及びイリジウムからなる群から選択される遷移金属を含むメタロセンを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記リチウムイオン電池の容量が、100サイクル後にLiS 1グラム当たり400mAhよりも高い、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記アノードと前記カソードとの間に配置されたセパレータをさらに含み、前記セパレータがポリマーマットであり、かつポリスルフィド撥水剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリマーマットが、押し出され、紡糸され、織られ、エレクトロスピニングされ、又は成型され、
前記セパレータが、メタロセンを含有するレドックスメディエーターをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の基材上に前記カソード混合物を配置することが、
前記カソード混合物を第1のスラリーに形成すること、
前記第1のスラリーを前記第1の基材上に堆積すること、及び
前記第1のスラリーを乾燥して、前記カソードを形成すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
記第1の基材上に、前記第1のスラリーの層が複数堆積され、
各層が、次の層が堆積される前に完全に又は部分的に乾燥される、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の基材上に前記アノード混合物を配置することが、
前記アノード混合物を第2のスラリーに形成すること、
前記第2のスラリーを前記第2の基材上に堆積すること、及び
前記第2のスラリーを乾燥して前記アノードを形成すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項31】
記第2の基材上に、前記第2のスラリーの層が複数堆積され、
各層が、次の層が堆積される前に完全に又は部分的に乾燥される、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記メソポーラス構造が、0.1nm~10nmのサイズの細孔及び10nm~100nmのサイズの細孔を含む孔径の多峰性分布をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年4月30日に出願されかつ「リチウムイオン電池及び電池材料(Lithium Ion Battery and Battery Materials)」という名称の米国仮特許出願第62/664,749号及び2018年12月3日に出願されかつ「リチウムイオン電池及び電池材料(Lithium Ion Battery and Battery Materials)」という名称の米国特許出願第16/208,187号の利益を主張し、これらはあらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン2次(再充電可能)電池は、自動車、モバイル電子デバイス及び小型又は大型電気エネルギー貯蔵システムを含む様々な用途に使用される。従来のリチウムイオン電池システムとは対照的に、Li/S電池のような新しいリチウムイオン電池の電極は多くの元素から構成され、したがって従来の電池よりも低いコストになることが約束される。さらに、Li/S電池は、類似の又はより良好な性能で、より高い比エネルギー及びエネルギー密度を提供する。しかし、性能の制約及び実際の製造上の難題によって、商業化は妨げられてきた。
【0003】
Li/S電池の実際の開発を依然として妨げている難題は、従来の電解質中でのポリスルフィドの高い溶解度である。ポリスルフィドの溶解は、より不十分な電池性能(例、繰り返されるサイクル動作による容量の損失)に繋がる。劣化が生ずる可能性のある1つのメカニズムは、溶解したポリスルフィド陰イオンが電解質中を移行でき、アノードに到達し、そこで反応してその表面に不溶性生成物を形成し、バッテリ動作を妨げることである。
【0004】
(従来のカソード及びアノード材料を有する)従来のリチウムイオン電池は、たとえば電池寿命及び性能といった電池特性が不十分である。たとえば、硫黄含有カソード材料は低い導電率を有する傾向があり、したがって導電性炭素が典型的にはカソードに添加されて、電気伝導度を増大させる。リチウム-硫黄電池がアノードで元素状リチウム金属を使用する場合、得られる電池は、不十分な電気サイクル性能及び安定性を有する傾向がある。
【発明の概要】
【0005】
一部の態様では、リチウムイオン電池は、第1の基材、カソード、第2の基材、アノード及び電解質を含む。カソードは、第1の基材上に配置され、Li(ここで、xは0~2、yは1~8である)と第1の粒状炭素を含むカソード混合物を含有することができる。アノードは、第2の基材上に配置され、ケイ素粒子と第2の粒状炭素を含むアノード混合物を含有することができる。電解質は、カソードとアノードとの間に配置され、溶媒とリチウム塩を含有することができる。一部の態様では、第1の粒状炭素及び/又は第2の粒状炭素は、各カーボンナノ粒子がグラフェンを含む、複数のカーボンナノ粒子を含む炭素凝集体を含有する。複数のカーボンナノ粒子中のグラフェンは、最大で15層含有することができる。炭素凝集体中の水素以外の元素に対する炭素の割合は、99%よりも大きくすることができる。カーボンナノ粒子を含む炭素凝集体のメジアン径は、0.1μm~50μmであり得る。炭素凝集体の表面積は、吸着質として窒素を用いるBrunauer-Emmett-Teller(BET)法によって測定した場合、10m/g~300m/gであり得る。炭素凝集体は、圧縮されたとき、500S/m~20,000S/mの電気伝導度を有することもできる。
【0006】
一部の態様では、リチウムイオン電池を製造する方法は、i)カソードを組み立てること、ii)アノードを組み立てること、iii)電解質を調合すること、iv)アノードとカソードとの間に電解質を配置することを含む。カソードを組み立てることは、第1の基材を用意すること及び第1の基材上にカソード混合物を配置することを含むことができる。カソード混合物は、Li(ここで、xは0~2、yは1~8である)及び第1の粒状炭素を含有することができる。アノードを組み立てることは、第2の基材を用意すること及び第2の基材上にアノード混合物を配置することを含むことができる。アノード混合物は、ケイ素粒子及び第2の粒状炭素を含有することができる。電解質を調合することは、溶媒を用意すること、リチウム塩を用意すること、並びに溶媒及びリチウム塩を組み合せることを含むことができる。一部の態様では、第1の粒状炭素及び/又は第2の粒状炭素は、各カーボンナノ粒子がグラフェンを含む複数のカーボンナノ粒子を含む、炭素凝集体を含有する。複数のカーボンナノ粒子中のグラフェンは、最大で15層含有することができる。炭素凝集体中の水素以外の元素に対する炭素の割合は、99%よりも大きくすることができる。カーボンナノ粒子を含む炭素凝集体のメジアン径は、0.1μm~50μmであり得る。炭素凝集体の表面積は、吸着質として窒素を用いるBET法によって測定した場合、10m/g~300m/gであり得る。多炭素凝集体は、圧縮されたとき、500S/m~20,000S/mの電気伝導度を有することもできる。
【0007】
一部の態様では、リチウムイオン電池は、メソポーラス構造を含む炭素メタ粒子を含むアノード、ケイ素を含む電気活性電極材料、及び金属集電体を含む。一部の態様では、リチウムイオン電池は、メソポーラス構造を含む炭素メタ粒子を含むカソード、硫黄又はLiSを含む電気活性電極材料、及び金属集電体を含む。一部の態様では、リチウムイオン電池は、上述した炭素メタ粒子を含むアノードと上述した炭素メタ粒子を含むカソードの両者を含む。
【0008】
一部の態様では、リチウムイオン電池の電極を形成する方法は、マイクロ波反応器内で炭素メタ粒子を形成すること及び炭素メタ粒子を電気伝導集電体基材上に堆積することを含む。上記方法の一部の態様では、炭素メタ粒子は、3Dメソポーラス構造の網状構造内に電気活性電極材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、一部の態様による、グラフェンを含有する粒状炭素からのラマンスペクトルを示す。
図1B図1Bは、一部の態様による、グラフェンを含有する粒状炭素からの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図1C図1Cは、一部の態様による、グラフェンを含有する粒状炭素からのSEM画像を示す。
図1D図1Dは、一部の態様による、グラフェンを含有する粒状炭素からの透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
図1E図1Eは、一部の態様による、グラフェンを含有する粒状炭素からのTEM画像を示す。
図2A図2Aは、一部の態様による、リチウムイオン電池の例である。
図2B図2Bは、一部の態様による、リチウムイオン電池(Li/S電池)の電極及び電池に関する理論上の容量及び実際の容量を示す。
図3図3は、一部の態様による、硫黄ベースのカソードの容量の実験例を示す。
図4A図4Aは、一部の態様による、ケイ素ベースのアノードの2つの異なる態様における容量を示す。
図4B図4Bは、一部の態様による、ケイ素ベースのアノードの2つの異なる態様における容量を示す。
図5図5は、一部の態様による、リチウムイオン電池の2つの例における性能を示す。
図6図6は、一部の態様による、リチウムイオン電池を製造する方法におけるフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書は、改善されたカソード、アノード、セパレータ、及び/又は電解質を備えたリチウムイオン電池について記載する。電極(アノード及びカソード)は、基材、たとえば炭素基材及び/又は金属箔基材を含有することができる。
【0011】
一部の態様では、本明細書に記載されたリチウムイオン電池は、Li/S電池又はSi-S-グラフェン電池である。本発明のカソードは、基材と、S及び/又はLiS並びに炭素添加剤(例、粒状炭素)を含有するカソード混合物を含有することができる。一部の態様において、カソード混合物は、たとえばニッケルコバルトマンガン(NCM)又はリチウム鉄ホスフェート(LFP)のような従来のリチウムイオン電池カソード材料を含有することもできる。本発明のアノードは、基材と、ケイ素及び/又はリチウム化ケイ素粒子並びに炭素添加剤(例、粒状炭素)を含有するアノード混合物を含有することができる。
【0012】
場合によっては、カソード及び/又はアノード材料は基材上に配置される。本発明のカソード及び/又はアノード用の基材は、稠密又は多孔質であることができ、任意の電気伝導材料を含有することができる。基材は、単層、多層、導電性及び非導電性材料の相互侵入網状構造、並びに/又は、導電性の多孔質若しくは中実の被膜若しくはコーティングを、非導電性ベース材料上に含有することができる。
【0013】
本発明のリチウムイオン電池の電解質は、1種以上の溶媒、リチウム塩及び任意にレドックス添加剤を含有することができる。セパレータを任意に使用することもでき、このセパレータは電解質で飽和されかつアノードとカソードとの間に配置される。セパレータは、ポリマーブレンドを含有することができ、任意に組み込まれた電気非伝導粒子を含有することができる。
【0014】
従来のLi/S電池及びリチウムイオン電池と比較して、本明細書に記載されたカソード及びアノードの材料及び構造並びに電解質の組成は、電池の性能、製造可能性、及び/又は安定性を改善する。
【0015】
たとえば、理論により制限されるものではないが、本発明のリチウムイオン電池のカソードの構造は、充放電中に形成されたポリスルフィドを捕捉する多くの小さいポケットを備えた高表面積を提供することにより、従来のカソードを備えた電池と比較してLi/S電池の寿命を改善する。その結果、アノードへのポリスルフィドの移行は軽減され、たとえば効率を増大させかつ1サイクル当たりの容量損失を軽減することによって電池性能を改善する。
【0016】
一部の態様では、カソード及び/又はアノード中の本発明の炭素添加剤は、従来の炭素添加剤材料と比較して性質を改善し、したがって本発明の炭素添加剤を利用する電極を含有する電池は、改善された電池性能(例、改善された容量又は安定性)を有する。たとえば、カソード及び/又はアノード中の本発明の炭素添加剤は、高い組成純度、高い電気伝導度及び高い表面積の粒状炭素を含有することができる。一部の態様では、粒状炭素は、広い孔径分布(例、多峰性分布)を備えたメソポーラス構造を有する。理論により制限されるものではないが、本明細書に記載の改善された炭素添加剤は、多くの電極/電解質界面に電子を効率的に(例、低い抵抗損失で)伝導する(例、高い表面積の粒状炭素によって可能になる)高い電気伝導度及び高い表面積を有するので、両者の電極に有益である。理論により制限されるものではないが、本明細書に記載の改善された炭素添加剤は、メソポーラス構造の小さい細孔が形成したポリスルフィドの一部を捕捉し、それらが電解質を経てアノードに移行することを防止するので、カソードにも有益である。
【0017】
別の例として、理論により制限されるものではないが、本発明のリチウムイオン電池のアノードにケイ素を使用することは、元素状リチウムで製造された従来のアノードと比較して、電池の性能及び安全性を改善する。元素状リチウムは反応性が高いので、電池動作中の安全性の課題を生じ、これをアノードに使用した電池を製造することは、コスト及び複雑さを増大させる。Li/S電池の元素状リチウム電極も、不十分な性能(例、低いクーロン効率)及び不十分な耐久性(例、サイクル動作中の容量損失)に悩まされる。
【0018】
別の例として、理論により制限されるものではないが、本発明の電解質中のレドックス添加剤は、ポリスルフィドがアノードに移行することを防ぐことにより、従来の電解質を持つ電池と比較してLi/S電池の寿命を改善する。異なる態様では、これはポリスルフィドのLiS及び硫黄への反応を促進させること、及びポリスルフィドをカソードで繋ぎ止めることを含む異なるメカニズムにより、並びに、安定な固体/電解質界面をアノード及び/又はカソードで形成することにより、実現することができる。異なる態様では、硫黄及び/又はLiSを、たとえばNCM又はLEPのような従来のカソード材料と混合して、性能を改善し過充電安全性メカニズムを提供することができる。
【0019】
リチウムイオン電池用の改善されたカソード、アノード、電解質及びそれぞれの構成要素について、以下でより詳細に説明する。改善された電池構成要素は、改善された電池を製造するために、同じ電池内で一緒に、又は従来の構成要素と組み合せて使用することができる。たとえば、改善されたリチウムイオン電池では、改善された硫黄ベースのカソードと従来のアノードと一緒に使用することができる。あるいは、従来の活性カソードを、改善されたアノードと組み合せて使用して、改善されたリチウムイオン電池を製造することができる。
【0020】
リチウムイオン電池用カソード
一部の態様では、リチウムイオン(例、Li/S)電池用のカソードは、基材と、たとえば元素状硫黄及び/又はLiSのような硫黄材料を含むカソード混合物を含有する。一部の態様では、カソード混合物は、硫黄を含む材料及び1種以上の粒状炭素材料を含有し、任意にバインダを含んでいてもよい。カソード混合物は任意の方法で製造することができる。たとえば、カソード混合物は、カソード混合物及び1種以上の溶媒(溶媒は、乾燥時に完全に又は部分的に除去することができる)を含有するスラリーを基材上に堆積する湿式コーティングプロセスで、又は乾式堆積プロセスで、製造することができる。乾式堆積プロセスの一例は、プラズマジェットにより構成要素(例、粒子及び/又は他のフィードストック材料)を基材上に堆積させるプラズマトーチの使用である。一部の態様では、カソード混合物が、硫黄を含む材料、1種以上の粒状炭素材料、及び、たとえばNCM又はLEPのような従来のリチウムイオンカソード材料を含有し、任意にバインダを含んでいてもよい。
【0021】
一部の態様では、硫黄含有カソードを備えるLi/S電池は、電気伝導材料(例、粒状炭素)を含有する構造化複合材料の細孔内に硫黄含有カソード材料を堆積することを含む、本明細書に記載された方法を使用して製造される。
【0022】
異なる態様では、カソードは、S、LiS、Li(ここで、x=0~2、y=1~8である)、ドープ型S、ドープ型LiS、又はこれらの組合せを含有することができる。一部の態様では、カソードは、S、LiS、Li、ドープ型S、ドープ型LiS、ドープ型LiS、NCM、LFP、又はこれらの組合せを含有する複合材料を、固体の形態で、又は懸濁液/溶解溶液として含有することができる。ドープ型S、ドープ型LiS又はドープ型LiSの例には、S、LiS又はLiSであって、P、N、C、及び/又はFがドープされたものが含まれる。
【0023】
一部の態様では、カソードは、粒度が5nm~100μmのLi(例、x=0~2、y=1~8)を含有する粒子を含有する。本明細書では、Liは、ドープ型又は非ドープ型Li材料を指すことができる。Li材料のいくつかの非限定的な例には、S、LiS、ドープ型S、ドープ型LiS、又はこれらの組合せが含まれる。一部の態様では、粒子はLiを含有する液相混合物中に含有される。
【0024】
一部の態様では、カソードは、たとえばアセトニトリルのような溶媒、又は本明細書に記載されたカソードスラリー溶媒と複合体を形成したLiを含有する。一部の態様では、カソードは、カソード溶媒(例、アセトニトリル)及び活性レドックス添加剤(例、フェロセンのようなメタロセン)と複合体を形成したLiを含有する。
【0025】
一部の態様では、カソードは、ポリエチレンオキシド/ポリビニルピロリドン(PEO/PVP)、ナフィオン(すなわち、スルホン化テトラフルオロエチレンをベースにしたフルオロポリマー-コポリマー)、ポリフッ化ビニリデン(PvDF)、及びこれらの組合せを含有するバインダを含有する。
【0026】
一部の態様では、カソード中の粒状炭素が広い孔径分布(例、多峰性分布)のメソポーラス構造を有する。たとえば、メソポーラス粒状炭素は、サイズが0.1nm~10nm、10nm~100nm、100nm~1μm、及び/又は1μmよりも大きい多峰性分布の細孔を含有することができる。たとえば細孔構造は、より小さい細孔(例、1nm~4nm)及びより大きい細孔(例、30~50nm)を含む、二峰性分布のサイズを有する細孔を含有することができる。理論により制限されるものではないが、より小さい細孔(例、1~4nm)は、カソード内に硫黄を閉じ込めることができ(場合によっては、硫黄及び/又は発生した硫黄化合物の飽和と結晶化度を制御する)、より大きい細孔(例、30~50nm、又は溶媒和リチウムイオンのサイズの2倍よりも大きい細孔)は、カソード内での溶媒和リチウムイオンの急速な拡散(又は物質移動)を可能にすることができるので、メソポーラス粒状炭素材料におけるそのような孔径の二峰性分布は、リチウムイオン電池の硫黄含有カソードにおいて有益な可能性がある。
【0027】
一部の態様では、メソポーラス粒状炭素及びカソード活物質は、メソポーラス炭素の細孔/チャネル内にカソード電気活物質(例、元素状硫黄)が配置されたメタ粒子フレームワークを形成する。理論により制限されるものではないが、メタ粒子フレームワークは、電池容量に有益な高い表面積構造を提供しつつ、絶縁カソード電気活物質(例、元素状硫黄)と集電体との間に低抵抗の電気接触をもたらすことができる。理論により制限されるものではないが、メソポーラス粒状炭素は、形成したポリスルフィドの一部を捕捉し、それが電解質を経てアノードに移行することを防ぐことにより、カソードを安定化することもできる。たとえば、カソード内のメソポーラス粒状炭素中の小さい細孔は、より低次のポリスルフィド(例、S及びLiS)の形成を推進し、アノードへのリチウムシャトル(すなわち、損失)を容易にするより高次の可溶性ポリスルフィド(例、yが3よりも大きいLi)の形成を防止することができる。本明細書に記載のとおり、粒状炭素及びカソード混合物の構造は、(たとえば、マイクロ波プラズマ又は熱反応器内での)粒状炭素の形成中に調整することができる。さらに、カソード電気活物質(例、元素状硫黄)のリチウム相形成に関連する溶解性及び結晶性は、マイクロ/メソポーラスフレームワーク内に閉じ込め/捕捉することができる。
【0028】
リチウムイオン電池用アノード
一部の態様では、リチウムイオン(例、Li/S)電池用のアノードは、基材(例、金属箔基材又は炭素基材)及びアノード混合物を含有する。一部の態様では、アノード混合物は、ケイ素材料(例、元素状ケイ素、LiSi、ケイ素ドープ型炭素同素体、及び本明細書に記載のグラフェン含有粒状炭素であってSiがドープされたもの)、1種以上の粒状炭素(例、本明細書に記載のグラフェン含有及び/又はドープ型粒状炭素)、任意に酸化グラフェン、任意に1種以上のポリマー材料、及び任意に1種以上のバインダを含有する。アノード混合物は、任意の方法で製造することができる。たとえば、アノード混合物は、アノード混合物及び1種以上の溶媒(溶媒は乾燥時に完全に又は部分的に除去することができる)を含有するスラリーを基材上に堆積する湿式コーティングプロセスで、又は乾式堆積プロセスで製造することができる。乾式堆積プロセスの一例は、プラズマジェットにより構成要素(例、粒子及び/又は他のフィードストック材料)を基材上に堆積されるプラズマトーチの使用である。一部の態様では、アノードは、ケイ素-炭素複合材料及び/又は炭素材料でコーティングされたケイ素粒子を含有する。一部の態様では、アノードは、ケイ素又は炭素のいずれかがコアにある、ケイ素を含有するコア-シェル粒子を含有する。一部の態様では、アノードは、ケイ素又は炭素のいずれかがコアにある、ケイ素の1つ以上の層及び炭素の1つ以上の層を含有する多層粒子を含有する。コア-シェル粒子及び多層粒子は、大きい表面積及び/又はメソポーラス構造を有するものを含む、任意の形状であってもよい。
【0029】
一部の態様では、ケイ素含有アノードを備えるLi/S電池は、多孔質媒体及び電気伝導材料(例、粒状炭素)を含有する構造化複合材料の細孔内にケイ素含有アノード材料を堆積することを含む、本明細書に記載された方法を使用して製造される。
【0030】
一部の態様では、アノードは、ケイ素粒子を含有するスラリーを含有する。ケイ素粒子は、元素状ケイ素又はリチウム-ケイ素化合物及びその炭素複合体を含有することができる。リチウム-ケイ素化合物の例は、Li22Si、Li22-xSi5-y(ここで、x=0~21.9、y=1~4.9である)、及びLi22-xSi5-y-z(ここで、x=0~21.9、y=1~4.9、z=1~4.9であり、MはS、Se、Sb、Sn、Ga又はAsである)である。ケイ素材料は、種々の態様では、非晶質、結晶質、半結晶質、ナノ結晶質又は多結晶質であり得る。ケイ素粒子は、ナノ粒子(すなわち、メジアン径が50nm未満、約100nm未満、約500nm未満、若しくは約1μm未満)、又は直径が約500nm~約10μmのマイクロメートルサイズの粒子であり得る。
【0031】
一部の態様では、アノードは、酸化グラフェンを含有する。一部の態様では、酸化グラフェンは、処理中及び/又は操作中に酸素をアノード中の材料に提供する。他の態様では、酸素は、別の方法を介して、たとえば酸化グラフェン以外の酸素含有化合物をアノードに組み込むことによって、アノード中の材料に提供することができる。
【0032】
一部の態様では、アノードは、たとえばポリアクリロニトリル(PAN)のような1種以上のポリマー材料を含有する。場合によっては、ポリマー材料は(たとえば、不活性ガス中で、室温より高い温度でのアニールを経て)炭素化されて、アノード内に導電性炭素の相を形成する。場合によっては、ポリマー材料は、アノード内でポリマーのままで、アノードを形成する粒状材料のバインダとして作用する。たとえば、ポリチオフェン、PvDF-HFP、CMC、ナフィオン、PAN、SBR、又はこれらの組合せを、アノード内でバインダとして使用することができる。
【0033】
一部の態様では、アノードは、活性アノード材料及び粒状炭素を含有し、この粒状炭素は、広い孔径分布(例、多峰性分布)のメソポーラス構造を有する。一部の態様では、アノードは、メソポーラス粒状炭素の細孔内にケイ素含有アノード材料を含む。一部の態様では、メソポーラス粒状炭素及びアノード活物質は、メソポーラス炭素細孔/チャネル内にアノード電気活物質(例、ケイ素)が配置されたメタ粒子フレームワークを形成する。理論により制限されるものではないが、メタ粒子フレームワークは、電池容量に有益な高い表面積構造を提供しつつ、アノード電気活物質(例、元素状ケイ素)と集電体との間に低抵抗の電気接触をもたらすことができる。場合によっては、Li/S電池アノード用の活性ケイ素含有アノード材料は、平均粒度が100nm未満又は50nm未満のケイ素含有粒子を含有する。理論により制限されるものではないが、小さいSi粒度は、電池動作中のSiの膨張に起因して、従来のケイ素含有アノードで一般に生じるSi含有アノード材料の劣化を防止するのに有利であり得る。たとえば、大きいSi粒子(例、平均直径が約100nm又は約50nmよりも大きい)を含有するアノードを備えたLi/S電池では、電池動作中にSiが大きく膨張するため、電池動作中に膨張したより大きな粒子が破砕する可能性がある。対照的に、より小さいSi粒子(例、平均直径が約100nm又は約50nm未満)を含有するアノードを備えたLi/S電池では、粒子の膨張サイズは比較的小さく、電池動作中のSi粒子の破砕が軽減される。
【0034】
リチウムイオン電池用の炭素微粒子
本発明のリチウムイオン電池は、カソード、アノード、及び/又は、基材の片方若しくは両者に、従来の炭素材料と比較して改善された特性で、粒状炭素を組み込むことができる。たとえば、粒状炭素は、従来の炭素材料と比較して、高い組成純度、高い電気伝導度、及び高い表面積を有することができる。一部の態様では、粒状炭素は、たとえば小さい孔径及び/又はメソポーラス構造といった電池の性質に有益な構造も有する。場合によっては、メソポーラス構造は、広い孔径分布(例、孔径の多峰性分布)によって特徴付けることができる。たとえば孔径の多峰性分布は、より大きな特徴的サイズを有する構造の材料を介して基材及び/又は集電体に効率的に接続される(すなわち、構造を通過する、より導電性の経路を提供する)、大きな表面積と大量の小さな細孔を有する構造を示している可能性がある。そのような構造の非限定的な例は、フラクタル構造、樹状構造、分枝構造、及び凝集構造であって種々のサイズの相互接続チャネル(例、概ね円筒状及び/又は球状の細孔及び/又は粒子から構成される)を備えたものである。
【0035】
一部の態様では、本明細書に記載の、基材、カソード及び/又はアノードに使用される粒状炭素材料は、たとえば、「マイクロ波化学処理(Microwave Chemical Processing)」という名称の米国特許第9,812,295号、又は「マイクロ波化学処理反応器(Microwave Chemical Processing Reactor)」という名称の米国特許第9,767,992号に記載の、適切なマイクロ波反応器及び/又は方法のような、マイクロ波プラズマ反応器及び方法を使用して製造され、これらの先行技術は本出願と同じ譲受人に譲渡されており、かつあらゆる目的で本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のカーボンナノ粒子及び凝集体を製造するためのマイクロ波プラズマガス処理システム方法及び装置に関する追加の情報及び態様も、本明細書で述べる関連する米国特許及び米国特許出願に記載されている。
【0036】
一部の態様では、基材、カソード、及び/又はアノードは、1種以上の粒状炭素材料を含有する。一部の態様では、本明細書に記載のリチウムイオン電池で使用される粒状炭素材料は、「炭素同素体を持つ無核粒子(Seedless Particles with Carbon Allotropes)」という名称の米国特許第9,997,334号に記載されており、これは本出願と同じ譲受人に譲渡されており、かつあらゆる目的で本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、粒状炭素材料はグラフェンをベースにした炭素層材料を含有し、この材料は複数の炭素凝集体を含み、各炭素凝集体は複数のカーボンナノ粒子を有し、各カーボンナノ粒子はグラフェンを含み、任意に多層球状フラーレンを含み、任意に無核粒子を有する(すなわち、核生成粒子を持たない)。場合によっては、粒状炭素材料はまた、触媒を使用することなく製造される。グラフェンをベースにした炭素材料中のグラフェンは、最大で15層を有する。炭素凝集体中の水素以外の元素に対する炭素の比(割合)は、99%よりも大きい。炭素凝集体のメジアン径は、1μm~50μm又は0.1μm~50μmである。炭素凝集体の表面積は、吸着質として窒素を用いるBET法を使用して測定した場合、少なくとも10m/g、少なくとも50m/g、10m/g~300m/g、又は50m/g~300m/gである。炭素凝集体は、圧縮されたとき、500S/mよりも大きい、5000S/mよりも大きい、又は500S/m~20,000S/mの電気伝導度を有する。
【0037】
一部の態様では、本明細書に記載されたリチウムイオン電池の基材、カソード、及び/又はアノードに使用される粒状炭素材料は、「炭素同素体(Carbon Allotropes)」という名称の米国特許第9,862,606号に記載されており、これは本出願と同じ譲受人に譲渡されており、かつあらゆる目的で本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。一部の態様では、粒状炭素材料は、少なくとも2つの接続された多層球状フラーレンと、接続された多層球状フラーレンをコーティングするグラフェンの層を含むカーボンナノ粒子を含有する。さらに、カーボンナノ粒子中の炭素同素体は、十分に整列させることができる。たとえば、532nmの入射光を使用するカーボンナノ粒子のラマンスペクトルは、約1350cm-1の第1のラマンピークと約1580cm-1の第2のラマンピークを有することがあり、第1のラマンピークの強度の第2のラマンピークの強度に対する比は、0.9~1.1である。場合によっては、グラフェン対多層球状フラーレンの原子比が、カーボンナノ粒子内で10%~80%である。
【0038】
一部の態様では、本明細書に記載された粒状炭素材料は、たとえば「プロセスガスのクラッキング(Cracking of a Process Gas)」という名称の米国特許出願第8,862,602号に記載の、適切な熱装置及び/又は方法のような、熱分解装置及び方法を使用して製造され、これは本出願と同じ譲受人に譲渡されており、かつあらゆる目的で本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のカーボンナノ粒子及び凝集体を製造するための熱分解法及び装置に関する追加の情報及び態様も、本明細書で述べる関連する米国特許及び米国特許出願に記載されている。
【0039】
一部の態様では、カソード及び/又はアノードに使用される粒状炭素は、複数のタイプの炭素同素体を含有する。たとえば、粒状炭素は、グラフェン、球状フラーレン、カーボンナノチューブ、非晶質炭素、及び/又は他の炭素同素体を含有することができる。これらの炭素同素体のいくつかは、本明細書で述べる関連する米国特許及び米国特許出願にも記載されている。さらに、粒状炭素中の種々の炭素同素体は、たとえば低アスペクト比と高アスペクト比、低い表面積と高い表面積、及び/又は、メソポーラス構造と非メソポーラス構造の混合物のように、種々の形態を有することができる。種々の同素体(場合によっては、種々の形態)を組み合せて粒状炭素を使用すると、電極の電気的及び機械的性質を高めることができる。粒状炭素中の第2の炭素同素体(例、長鎖炭素同素体)に対する第1の炭素同素体(例、高い電気伝導度及び/又はメソポーラス構造を有する)の質量比は、70:30~99:1、80:20~90:10、85:15~95:5、約85:15、約90:10、又は約95:5である。たとえば、粒状炭素中のメソポーラス炭素同素体は、高い表面積及び/又は高い電気伝導度を提供することができ、粒状炭素への長鎖(すなわち、高アスペクト比)炭素同素体の添加は、電池、カソード及び/又はアノードの、機械的強度、接着性及び/又は耐久性を改善することができる。
【0040】
一部の態様では、カソード及び/又はアノードで使用される粒状炭素は、グラフェンを含有する粒子(例、本明細書に記載の1以上の性質を有する)、及び長鎖炭素同素体を含有する粒子(例、ストリング様配置構成で接続された球状フラーレン、又はカーボンナノチューブの束)を含有する。一部の態様では、長鎖炭素同素体は、10:1よりも大きい、10:1~100:1の、約10:1の、約20:1の、約50:1の、又は約100:1のアスペクト比を有する。一部の態様では、長鎖炭素同素体は、50nm~200nmの幅で最大10μmの長さ、又は10nm~200nmの幅で2μm~10μmの長さである。長鎖炭素同素体を含有する追加の粒子は、本明細書で述べる関連する米国特許及び米国特許出願に記載されている。粒状炭素中のグラフェン含有炭素同素体対長鎖炭素同素体の質量比は、約85:15、約90:10、又は約95:5であり得る。一部の態様では、長鎖炭素同素体は、粒状炭素中の他の導電性(場合によっては、構造化された又はメソポーラスの)炭素同素体と相互に組み合うことができ、長鎖炭素同素体のない電極と比較して改善された機械的性質を備えた相互に組み合う混成複合同素体電極を形成することができる。一部の態様では、長鎖(例、繊維様)炭素の添加は、中間範囲(例、1μm~10μm)の導電率とその他の炭素同素体の分布を増大させ(例、たとえばメソポーラスグラフェン粒子のようなその他の炭素同素体の凝集を防止する)、機械的安定性を改善する。さらに、長鎖炭素同素体の添加は、炭素鎖の周りに追加の多孔度を提供することができ、電極におけるイオン伝導度及び移動度を増大させる。一態様では、これらの長鎖繊維は、製作中のカレンダー圧力を低減させることができ(このことは、局所空隙率又は多孔度が増大した電極をもたらす)、それと共に、より高い圧力でカレンダー処理される長鎖炭素のない電極と同じ(又は、より良好な)機械的安定性(すなわち、層剥離及び/又は亀裂に対する耐性)が維持される。低減されたカレンダー圧力は、より低い圧力で実現されたより高い多孔度がイオン伝導度及び/又は移動度の増大をもたらすので、有利であり得る。さらに、一部の態様では、長鎖炭素(例、繊維)の添加は、従来のスラリーキャスト電極よりも伸び/歪み耐性を改善することができる。場合によっては、伸び/歪み耐性(例、最大破損歪、又は所与の歪みに関する性能劣化の量)は、従来のスラリーキャスト電極よりも50%程度増大させることができる。一部の態様では、電極内の粒状炭素への長鎖炭素同素体の添加は、電極内でのより少ないバインダの使用又はバインダの排除を可能にする。
【0041】
非限定的な例において、機械的に堅牢な混成複合電極被膜は、より低い密度(例、メソポーラス)で階層的なグラフェン含有粒子(例、直径15~40μmの粒度を有する)、及び、接続された球状フラーレンの長鎖(例、50~200nmの幅で最大10μmの長さを有する)を含有するより高い密度の粒子を組み合せた粒状炭素を含有することができる。この例におけるグラフェン炭素同素体対長鎖同素体の質量比は、約85:15である。この例における粒状炭素は、(グラフェン及び/又は球状フラーレンの高い電気伝導度に起因する)高い電気伝導度を有し、長鎖同素体は機械的強化を提供する。
【0042】
導電性及び/又は活物質粒子を含有する従来の電極において、しばしば、電極の機械的性質を改善するためにバインダが使用される。一部の態様において、本発明の電極は、長鎖炭素同素体によって機械的に強化されており、このことは電極内のバインダの低減又は排除を可能にする。たとえば、メソポーラスグラフェン及び長鎖炭素同素体を含有する相互に組み合う混成複合同素体電極は、バインダを使用せずに、適切な機械的性質を持つ状態で製造することができる。バインダを含まないそのような電極は、自立電極であり得る。
【0043】
一部の態様では、相互に組み合う混成複合同素体電極は、炭素及び活物質をアセンブリ内で組み合わせた後(例、スラリーキャスト後)、粒状炭素を焼結することによって製造することができる。この方法は、複合電極構造を強固にし、かつ強化するために使用することができる。
【0044】
非限定的な例において、炭素粒子、並びに黒鉛及びグラフェンを含有する凝集体は、「マイクロ波化学処理反応器(Microwave Chemical Processing Reactor)」という名称の米国特許第9,767,992号に記載されるマイクロ波プラズマ反応器システムを使用して製造した。この例のマイクロ波プラズマ反応器は、石英内壁を有するステンレス鋼製であった。しかし、石英内壁は、全ての場合において必ずしも必要とは限らず、類似の炭素材料を、反応ゾーンの内部又は隣接する部位に石英を有さない反応器で製造することができる。一部の態様では、たとえば酸素などの材料が石英から分解し、望ましくない不純物として、製造された炭素材料中に組み込まれる可能性があるので、反応ゾーンの内部又は反応ゾーンに隣接した部位に石英を有さない反応器で粒状炭素を製造することが有益である。反応ゾーンの容積は約45cmであった。前駆体材料はメタンであり、任意に供給ガス(例、アルゴン)と混合した。メタンの流量は1~20L/分で、供給ガスの流量は0~70L/分であった。それらの流量及び装置の形状により、反応室内でのガスの滞留時間は約0.001秒~約2.0秒で、炭素粒子の生成速度は約0.1g/時~約15g/時であった。凝集体が合成され収集された後、それらは1000~2200℃、不活性雰囲気中で約60~約600分間アニールすることによって、後処理した。
【0045】
この例で製造された粒子は、複数のカーボンナノ粒子を含有する炭素凝集体を含有し、各カーボンナノ粒子は黒鉛及びグラフェンを含有し、核粒子は含有しなかった。この例における粒子は、約99.97%以上のその他の元素(水素以外)に対する炭素の比を有していた。
【0046】
図1Aは、532nmの入射光を使用して得た粒状炭素のラマンスペクトルを示す。図1Aの粒子は、アルゴンを含有する前駆体を使用して製造した。スペクトルは、約2690cm-1の2Dモードピーク110、約1580cm-1のGモードピーク120、及び約1350cm-1のDモードピーク130を有し、2D/G強度比は0.5よりも大きい。図1Aで製造された粒子の2D/G強度比は約0.7である。
【0047】
この例における凝集体のサイズは、合成時に約11.2μmの、アニール後に約11.6μmのメジアンである。合成時の凝集体のサイズ分布は、約2.7μmの10パーセンタイル、及び約18.3μmの90パーセンタイルであった。アニール後の凝集体のサイズ分布は、約4.2μmの10パーセンタイル、及び約25.5μmの90パーセンタイルであった。
【0048】
凝集体の電気伝導度はペレットへの圧縮後に測定した。合成時(すなわち、アニール前)材料の導電率は、圧力2000psiを使用して圧縮されたときは800S/mで、圧力12,000psiを使用して圧縮されたときは1200S/mであった。アニール後の材料の導電率は、圧力2000psiを使用して圧縮されたときは1600S/mで、圧力12,000psiを使用して圧縮されたときは3600S/mであった。
【0049】
黒鉛及びグラフェン同素体を示す粒状炭素の炭素凝集体のSEM画像を図1B及び1Cに、TEM画像を図1D及び1Eに示す。層状化グラフェンは、炭素の歪み(シワ)内にはっきりと示されている。炭素同素体の3D構造も確認できる。この炭素同素体は、階層的メソポーラスで、数層で、特定の縁部対基底面の比を持つグラフェン構造を備えた3D構造を有する。一部の態様では、本発明の粒状炭素中のグラフェンに関する縁部対基底面の比は、約1:10、約1:100、又は1:10~1:100である。
【0050】
この凝集体の表面積を窒素BET法及び密度汎関数理論(DFT)法で測定した。BET法で求めた凝集体の表面積は約85.9m/gであった。DFT法で求めた凝集体の表面積は約93.5m/gであった。
【0051】
従来製造されてきた炭素材料とは対照的に、このマイクロ波プラズマ反応器で製造した炭素粒子及び凝集体は、黒鉛及びグラフェンを含有し、これらは高純度、高電気伝導度、及び大表面積であった。さらに、これらの粒子は、高い秩序度のラマンスペクトルを示し、核粒子を含有していなかった。
【0052】
一部の態様では、カソード及び/又はアノードの粒状炭素は、ドープ型炭素材料(例、H、O、N、S、Li、Cl、F、Si、Se、Sb、Sn、Ga、As及び/又は他の金属がドープされた炭素)、非ドープ型炭素材料、又はこれらの組合せを含有する。ドープ型炭素は、(マトリックス中にない)炭素原子がドープされたマトリックス同素体、及び/又は他のタイプの炭素同素体がドープされたマトリックス同素体を有する炭素を含むこともできる。ドープ型炭素材料は、たとえばアミン(NH)基のような官能基をドープすることもできる。一部の態様では、ドープ型炭素材料はドーパント材料を使用して形成され、ドーパント材料は、気体、液体又はコロイド状分散体中に導入され、ドープ型粒状炭素の製造に使用される反応器内に供給される。たとえば、ドーパント材料は、炭化水素前駆体材料と組み合せ、反応器(例、マイクロ波プラズマ反応器又は熱反応器)内で分解し、ドープ型粒状炭素を製造することができる。
【0053】
一部の態様では、カソード及び/又はアノード内の粒状炭素は、ナノ混合粒状炭素を含有する。一部の態様では、本発明の粒状炭素材料の表面積、構造及び/又は表面活性は、炭素材料中の炭素粒子と他の材料の粒子をナノ混合することによって調整される。一部の態様では、ナノ混合添加剤材料の粒子は、粒子レベルでグラフェンベースの炭素粒子と有益に一体化することができ、本明細書ではこのことをナノ混合と呼ぶ。ナノ混合粒状炭素中のナノ混合添加剤材料及びグラフェンベースの炭素材料の粒子の平均直径は、1nm~1μm、1nm~500nm若しくは1nm~100nmであってもよく、又は0.1nm程度に小さくてもよい。一部の態様では、ナノ混合添加剤材料とグラフェンベースの炭素材料は、ナノ混合粒状炭素中で共に化学的又は物理的に結合している。一部の態様では、ナノ混合では、従来法のように後の工程で炭素原材料と添加剤を組み合せるのではなく、(たとえば、マイクロ波プラズマ反応器又は熱反応器内での炭化水素クラッキング工程における)微粒子形成中にナノ混合添加剤を導入し、その結果、炭素材料が得られるときにナノ混合添加剤材料がグラフェンベースの炭素材料と一体化される。一部の態様では、ナノ混合添加剤材料は、気体、液体又はコロイド状分散体として、ナノ混合粒状炭素の製造に使用する反応器に導入することができる。一例として、ケイ素を炭化水素ガス(又は、たとえば液体アルコールのような他の炭素含有材料)と共に反応器に導入し、グラフェン、グラフェンベースの炭素材料及び/又は他の炭素同素体とナノ混合されたケイ素を製造することができる。他の例では、本発明の態様で得られたナノ混合粒状炭素は、O、S、Li(ここで、x=0~2、y=1~8である)、Si、Li22Si、Li22-xSi5-y(ここで、x=0~21.9、y=1~4.9である)、Li22-xSi5-y-z(ここで、x=0~21.9、y=1~4.9、z=1~4.9であり、MはS、Se、Sb、Sn、Ga又はAsである)、及び/又は他の金属の粒子を含有することができる。
【0054】
一部の態様では、カソード及び/又はアノードで使用される粒状炭素が製造され、収集され、後処理は行われない。他の態様では、カソード及び/又はアノードで使用される粒状炭素が製造され、収集され、何らかの後処理が行われる。後処理の例には、たとえばボールミリング、粉砕、摩滅ミリング、マイクロ流動化、ジェットミリングのような機械的処理、及び内部に含有される炭素同素体を損傷させることなく粒度を低減させるその他の技法が含まれる。後処理の例には、剪断混合、化学エッチング、酸化(例、ハンマー法)、熱アニール、アニール中に元素(例、O、S、Li、Si、Se、Sb、Sn、Ga、As、及び/又は他の金属)を添加することによるドーピング、蒸気処理、濾過、及び凍結乾燥のような表面を薄片状にはぎ落す方法が含まれる。後処理の例には、スパークプラズマ焼結(直流焼結)、マイクロ波及びUV(紫外線)のような焼結法が含まれ、これは不活性ガス中、高圧高温で実行できる。一部の態様では、複数の後処理法を同時に又は連続して行うことができる。一部の態様では、後処理により、本明細書に記載の官能化カーボンナノ粒子又は凝集体が得られる。
【0055】
リチウムイオン電池用基材
一部の態様では、本発明のカソード及び/又はアノード材料は、稠密な基材又は多孔質の基材に配置され、任意の電気伝導性材料を含有することができる。本発明の基材に含めることができる電気伝導性材料の非限定的な例は、金属箔(例、Ti箔、Ti合金箔、ステンレス鋼箔、Cu箔、Cu合金箔又は他の金属箔)、カーボン紙、金属粒子、酸化物粒子、炭素粒子、炭素フォーム、及び/又は金属フォームである。一部の態様では、リチウムイオン(例、Li/S)電池用の電極(アノード及び/又はカソード)の基材は、カーボン紙、炭素繊維、カーボンナノ繊維、炭素布(例、織られた炭素繊維布)、粒状炭素、又はこれらの組合せを含有する。
【0056】
基材は、単層、多層、導電性及び非導電性材料の相互侵入網状構造、並びに/又は導電性の多孔質若しくは中実の被膜若しくはコーティングを、非導電性ベース材料上に含有することができ、それぞれは、上述した電気伝導性材料の1種以上を含むことができる。たとえば、基材は、導電性炭素同素体(例、グラフェン)を含有する多孔質層でコーティングされた金属箔から形成することができる。基材の別の例は、炭素同素体及び非導電性ポリマーの相互侵入網状構造である。
【0057】
一部の態様では、基材は、高い電気伝導度(例、500S/m又は1000S/mよりも大きい)及び/又は高い表面積(例、吸着質として窒素を用いるBET法を使用して測定した場合に、10m/g又は50m/gよりも大きい表面積)の炭素材料を含有する炭素基材であり得る。
【0058】
一部の態様では、基材はカーボン紙を含有することができる。一部の態様では、カーボン紙は、粒状炭素(例、本明細書に記載の粒状炭素)とポリマーベースの材料の混合物から形成された炭素繊維を含有する。たとえば、炭素繊維はエレクトロスピニングによって製造されてもよい。たとえば、カーボン紙用のポリマーベースの材料は、ポリアクリルニトリル(polyacrylnitrile)(PAN)、ポリアニリン(PAni)又はポリチオフェン(PTH)であってもよく、たとえばポリエチレンオキシド(PEO)又はポリビニルアルコール(PVA)のようなコポリマーを含んでいてもよい。一部の態様では、カーボン紙は、活性電極材料(例、硫黄又はケイ素)を含有することができる。
【0059】
一部の態様では、カソード及び/又はアノード用の基材は、複数の炭素同素体(例、部分的に整列された炭素とグラフェン、又は非晶質炭素とグラフェン)を持つ炭素繊維を組み込んだ電気伝導性炭素繊維マットのような混合同素体炭素ベースの材料を含有する。一部の態様では、マットの炭素繊維は、第1の炭素同素体(例、非晶質又は部分的に整列された炭素)及び高度に整列された第2の炭素同素体(例、グラフェン又はフラーレン)のマトリックスを含む。一部の態様では、炭素の高度に整列された第2の同素体は、たとえば本明細書に記載された粒状炭素材料のような特定の炭素材料、又は、フラーレン及び/若しくは接続されたフラーレンであって、従来の炭素材料よりも改善された性質(例、改善された原子秩序、表面積、純度、及び/又は電気伝導度)のものを含有する。一部の態様では、整列された又は高度に整列された炭素同素体は特定の結晶構造(例、グラフェンの場合には炭素原子が6角形に配置された結晶構造)を有し、(たとえば、ラマン分光法により測定した場合)低濃度の原子欠陥を有する炭素材料である。
【0060】
本発明の電池で使用することができる基材の追加の態様(上記混合同素体炭素繊維マットを含む)は、「混合同素体粒状炭素被膜及び炭素繊維マット(Mixed Allotrope Particulate Carbon Films and Carbon Fiber Mats)」という名称の米国特許出願第15/905,157号に記載されており、これは本出願と同じ譲受人に譲渡されており、かつあらゆる目的で本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
一部の態様では、基材は、さらなる導電性添加剤及び/又は非導電性レドックスメディエーター添加剤を含有する炭素フォーム又はカーボン紙である。一部の態様では、レドックスメディエーター添加剤は、結合効果を有していて炭素フォーム若しくはカーボン紙に繋ぎ止められており、及び/又はポリスルフィドをカソードに繋ぎ止める。
【0062】
一部の態様では、基材は炭素フォーム又はカーボン紙で、さらに、金属又は非金属導電性基材を含有する。一部の態様では、炭素フォーム又はカーボン紙は、金属又は非金属導電性基材と結合するか、又はその上に堆積される。一部の態様では、金属又は非金属層は炭素フォーム又はカーボン紙上に(たとえば、スパッタリングによって)堆積される。他の態様では、上述した金属又は非金属基材は多孔質又は非多孔質であってもよい。
【0063】
一部の態様では、基材は、ポリマー/炭素複合体(例、PANと混合した、整列された炭素粒子)から製造された炭素繊維を含む炭素フォーム又はカーボン紙である。場合によって、ポリマー/炭素複合体は、本明細書に記載の粒状炭素材料、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノ粒子、黒鉛、及び/又は非晶質炭素を含有する。これらのタイプの炭素繊維は、エレクトロスピニング又は他の繊維紡糸方法で製造することができる。
【0064】
さらに、金属フォーム又はワイヤメッシュをLi/S又はLiイオン電池の電極(アノード及びカソード)用の基材に使用することができる。基材として使用することができる金属フォームの例は、Niフォーム、Cuフォーム及びAlフォームである。基材として使用することができるワイヤメッシュの例は、Niワイヤメッシュ、Cuワイヤメッシュ及びAlワイヤメッシュである。
【0065】
一部の態様では、本発明の基材はメソポーラス構造を持つ粒状炭素を含み、活性カソード又はアノード材料はメソポーラス基材の細孔内に含有される。上述したのと同様の理由で、この構造は、高い表面積、小さい細孔及び集電体から活物質への低抵抗経路を提供することにより、たとえば容量及び/又は安定性といった電池特性に有益であり得る。
【0066】
一部の態様では、基材はドープ型粒状炭素(例、たとえば硫黄ドープ型CNOのような硫黄ドープ型炭素)を含有する。
【0067】
リチウムイオン電池用の電解質
電解質は、1種以上の溶媒、リチウム塩、及び任意にレドックス添加剤を含有することができる。場合によっては、1、2、3又は4種の溶媒が電解質中で使用される。電解質中で使用することができる溶媒の例は、非水性溶媒(例、フッ素化溶媒、ビニル溶媒、たとえばフッ素化エーテル及びフッ素化ジオキサン)である。電解質に使用することができるリチウム塩の例は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミドリチウム塩(LiTFSI)などである。この項の電解質は、リチウムイオン電池での使用に加え、Naイオン、Mgイオン又はKイオンがLiイオンと置き換わるものを含む他のタイプの次世代2次電池に使用することができる。
【0068】
一部の態様では、レドックス添加剤は、1種以上のメタロセンを含むことができる。たとえば、メタロセンは、遷移金属(例、第1のd-ブロック系列遷移金属、第2のd-ブロック系列遷移金属、及び/又は第3のd-ブロック系列遷移金属)を含有することができる。レドックス添加剤中に存在することができる遷移金属の例は、鉄、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、レニウム、イリジウム及びその組合せである。場合によっては、メタロセンは有機配位子を含有することができる。場合によっては、これらの有機配位子は、電子供与基及び電子求引基で置換されたN,N’配位子とすることができる。レドックス添加剤に含めることができる有機配位子の例は、シクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、2,2’-ビピリジン(bpy)、又はその組合せである。種々の態様において、電解質中のレドックス添加剤の濃度は5mM~0.5Mである。レドックス添加剤の例は、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、ルテニウム(Bpy)PF及びビス(シクロペンタジエニル)オスメニウムである。
【0069】
一部の態様では、電解質を、多孔質炭素ベースのポリマー材料で構成されるセパレータに浸み込ませる。セパレータに使用するポリマーの非限定的な例は、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン及びポリエチレン、又はその混合物である。あるいは、固体状態のセパレータの場合、セパレータはゲル又は固体であってもよい。場合によっては、固体状態のセパレータは、印刷により製造することができる。あるいは、セパレータは、ナフィオン又は他のポリスルフィド撥水剤及び/又はバインダを含有するポリマーマットであってもよく、上述したレドックスメディエーターを含む。ポリマーマットセパレータは、たとえば押出し、紡ぎ、織り、エレクトロスピニング、又は成型といった技法によって製造することができる。セパレータ(例、ポリマーマットセパレータ)内のバインダ、撥水剤及び/又はレドックスメディエーターは、カソードの表面付近にポリスルフィドを保持するように作用することができ、化学的に反発する電荷ベースの撥水剤として作用することにより、又はセパレータを経由するカソードから若しくはアノード表面へのポリスルフィドの拡散及び/若しくは移行に対する立体障害により、ポリスルフィドの移動を軽減する。加えて、ポリスルフィドの移行をさらに低減させるように、本明細書に記載された粒状炭素をセパレータに組み込むことができる。さらに、セパレータに組み込まれる微粒子は、ポリマーセパレータ内に分散された様々な粒子(例、非導電性酸化物、ドープ型酸化物、窒化物、炭化物)から構成することができる。粒子は、たとえば本明細書の他の箇所で論じられるメタロセンのような他のレドックス剤も含むことができる。セパレータ内に組み込まれる粒子は、ナノ粒子、ナノワイヤ及びナノロッドを含む様々な形態とすることができる。
【0070】
従来の電池材料との組合せ
一部の態様では、上述のカソード、アノード、炭素基材及び電解質は、従来の電池構成要素と組み合せたリチウムイオン電池(例、Li/S又はLiイオン)で利用することができる。たとえば、Liイオン電池は、本明細書に記載されたカソードと従来のリチウムイオンアノード材料(例、Li、Si、黒鉛、Cなど)を使用して、関連する従来の製造方法及び材料により構成することができる。別の例では、Liイオン電池は、本明細書に記載されたアノードと従来のリチウムイオンカソード材料(例、LCO、NCA、NMC、LFP、Sなど)を使用して、関連する従来の製造方法及び材料により構成することができる。別の例では、Liイオン電池は、本明細書に記載された電極と従来のリチウムイオン型電解質(例、たとえばLiPF、LiTFSI、LiFSIなどのリチウム塩、及び、たとえば炭酸エチレン(EC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸フルオロエチレン(FEC)、ジオキソラン(DOL)、ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン(DX)、アセトニトリルなどの溶媒を含有するもの)を使用して構成することができる。
【0071】
リチウムイオン電池の性能
図2Aは、本明細書に記載のいくつかの態様によるリチウムイオン電池200の例を示す。この例において、カソード202は基材201上に配置され、アノード204は基材205上に配置される。任意にセパレータを含む電解質203は、カソード電極とアノード電極との間に配置されて電池を形成する。別の態様では、基材201及び205、カソード202、アノード204、並びに電解質203は、上述の材料のいずれかを含有することができる。
【0072】
図2Bは、リチウムイオン電池(Li/S電池)の電極と、種々のアノード及びカソード材料の非限定的な例を含有する電池についての、理論上の容量及び実際の容量を示す。図2Bは、他の従来のアノード化合物(Li及びC)と比較して、リチウムイオン電池のアノードの容量を改善する本発明のケイ素ベースのアノード(この例ではLi22-x5-y又は元素状ケイ素)の将来性を示す。図2Bは、従来のカソード材料(LCO及びNMC)と比較して、リチウムイオン電池のカソードの容量を改善する本発明の硫黄カソード(この例では元素状硫黄又はLiS)の将来性も示す。図2Bは、NMCカソード及びLiCアノードを有する従来のセルと比較した、LiSカソード及びLi22-x5-y又は元素状ケイ素アノードを使用する完全電池の非限定的な例も示し、実際の電池の比エネルギー(単位はWh/kgで、kgを単位とした質量はパッケージングを含む一体化された電池全体の質量を指す)は、160Wh/kgからそれぞれ345Wh/kg超又は600Wh/kg超に改善されている。本明細書に記載された一部の態様では、リチウムイオン電池の容量は300Wh/kg超、400Wh/kg超、500Wh/kg超、600Wh/kg超、800Wh/kg超又は1000Wh/kg超である。本明細書に記載された一部の態様では、リチウムイオン電池の容量は、従来のリチウムイオン電池と比較して2倍、3倍、4倍、5倍又は5倍よりも大きく改善することができる。
【0073】
図3は、約350回の充放電サイクルにわたる、本明細書に記載の硫黄ベースのカソードの容量の実験を示す。この例では、カソードは、LiS活物質及び粒状炭素を2:1の質量比で含有していた。アノードは元素状リチウムで、電解質は体積比1:1のDOL:DME溶媒中のリチウムビス(フルオロメタン)スルホンイミドとフェロセンレドックスメディエーターとの混合物であった。カソードの集電体はカーボン紙で、アノードの集電体は銅箔であった。この例における粒状炭素は、前述の米国特許に記載されたマイクロ波反応器を用いて製造した。y軸の単位は、カソードの重量1グラム当たりのmAhである(硫黄1グラム当たりではない)。たとえば、曲線210に示される硫黄カソードは約300サイクルにわたり、カソード材料1グラム当たり約300mAhの容量を有し、これはリチウムイオン電池の従来の金属酸化物カソードの場合の約2倍である。図3に示される結果は、一部の態様において、本発明のカソードの容量が、カソード1グラム当たり、300mAh超、400mAh超、500mAh超、又は300~600mAhであることを示す。しかし、この例におけるカソードの処理条件は最適化されておらず、これらの結果は、さらにプロセスを最適化した場合、本発明のカソードの容量は、100サイクル後、200サイクル後、300サイクル後又は300サイクル超の後に、カソード1グラム当たり、400mAh超、600mAh超、800mAh超、1000mAh超又は400mAh~1200mAhとなる可能性がある。
【0074】
一部の態様では、本発明のカソードは、たとえば図3に示されるような高い容量を有し、この高い容量は速い放電速度で維持される。たとえば、本明細書に記載された硫黄カソードの放電速度は、遅い放電速度(たとえば、C/18及びC/10速度、ここで、全容量Cはそれぞれ18時間及び10時間で放電される)では、カソード1グラム当たり約500mAhで、約10倍速い速度(たとえば1C速度、ここで、全容量Cは1時間で放電される)では、カソード1グラム当たり約400mAhに、ごく僅かに低減する。一部の態様では、硫黄ベースのカソードの容量の低減は、速度C/10からC/2の変化で2%~10%である。
【0075】
図4A及び4Bは、約100~200回の充放電サイクルにわたる2つの異なる態様における、本明細書に記載されたケイ素ベースのアノードの容量を示す。図4Aのアノードは、粒状LiSi活物質及び粒状炭素を60:40の質量比で含有する。図4Bのアノードは、60質量%の粒状Si活物質、20質量%のPANバインダ、19質量%のSドープ型粒状炭素及び1質量%の酸化グラフェンを含有する。これらの例における粒状炭素及びSドープ型粒状炭素は、前述の米国特許に記載されたマイクロ波反応器を用いて製造した。これらの例のカソードは元素状リチウム箔で、電解質は体積比1:1のDOL:DME溶媒中のリチウムビス(フルオロメタン)スルホンイミドとフェロセンレドックスメディエーターとの混合物であった。これらの例におけるカソードの集電体はリチウム箔で、アノードの集電体はカーボン紙であった。図4A及び4Bのy軸は、その単位がアノードの重量1グラム当たりのmAhである(ケイ素1グラム当たりではない)。たとえば、図4Aの曲線310及び320に示されるLiSiアノードは、100サイクル超にわたりアノード材料1グラム当たり約800mAh容量を有し、これはリチウムイオン電池の従来の黒鉛アノードの場合の2倍超である。Siアノードの容量を曲線350及び360に示す。これらのアノードは、100サイクル超にわたりアノード材料1グラム当たり約750mAh及び900mAhの容量を有し、これはリチウムイオン電池の従来の黒鉛アノードの場合の2倍超又は約3倍である。図4A及び4Bに示される結果は、一部の態様では、本発明のアノードの容量が、100サイクル後に、アノード1グラム当たり500mAh超、750mAh超、900mAh超、又は500mAh~1100mAhであることを示す。しかし、この例におけるアノードの処理条件は最適化されておらず、これらの結果は、さらにプロセスを最適化した場合、本発明のカソードの容量が、100サイクル後、200サイクル後、300サイクル後又は300サイクル超の後に、アノード1グラム当たり、1000mAh超、1500mAh超、2000mAh超、3000mAh超又は1000mAh~3500mAhとなる可能性がある。
【0076】
一部の態様では、本発明のアノードは、たとえば図4A及び4Bに示されるような高い容量を有し、この高い容量は速い放電速度で維持される。たとえば、本明細書に記載されたケイ素ベースのアノードの放電速度は、速度C/2(低速で測定される全容量Cは、2時間で放電される)と比較して、速度C/10(全容量Cは10時間で放電される)で約5倍遅くすることができる。一部の態様では、ケイ素ベースのアノードの容量の低減は、速度C/10からC/2の変化で2%~10%である。
【0077】
図5は、約40回の充放電サイクルにわたる、本発明のリチウムイオン電池(すなわち、セル)の2つの例における性能を示す。セル410及び420の比エネルギーを、Wh/kgを単位として図5にプロットする(ここで、kgを単位とする質量は、パッケージングを含めた一体化された電池全体の質量を指す)。従来のリチウムイオン電池(金属酸化物のカソード及び黒鉛のアノードを含有する)の比エネルギーを430で示し、従来のリチウムイオン電池の比エネルギーの2倍を440で示す。この例におけるセルは、粒状LiSi活物質及びPANバインダを質量比0.75:1で含有するアノードを含んでいた。この例のセルは、LiS活物質及び粒状炭素を質量比2:1で含有するカソードを含んでいだ。この例のセルは、LiFSIと体積比1:2のDX:DME溶媒にポリスルフィドが添加されたものを含有する電解質も含んでいだ。アノード用集電体は銅箔で、カソード用集電体はアルミ箔であった。この例におけるセルは、300Wh/kg~350Wh/kgの初期比エネルギーを示し、これは従来のリチウムイオン電池の比エネルギーの約2倍である。曲線450は、一部の態様における、本発明のセルの比エネルギーの例を示す。図5に示される結果は、一部の態様では、本発明のセルの比エネルギーが、10、20、30又は40サイクル後に、200Wh/kg超、250Wh/kg超、300Wh/kg超、又は200Wh/kg~350Wh/kgであることを示す。しかし、この例におけるセルの処理条件は最適化されておらず、これらの結果は、さらにプロセスを最適化した場合に、本発明のセルの比エネルギーが、10、20、30、40、又は40サイクル超の後で、350Wh/kg超、400Wh/kg超、450Wh/kg超、500Wh/kg超、又は300Wh/kg~600Wh/kgである可能性があることも示す。
【0078】
一部の態様では、比エネルギーは約500Wh/kgで、エネルギー密度は約500Wh/Lである(ここで、Lを単位とする体積は、パッケージングを含む電池全体の体積を指す)。一部の態様では、リチウムイオン電池のエネルギー密度は300Wh/L超、400Wh/L超、500Wh/L超、600Wh/L超、800Wh/L超、1000Wh/L超、又は300~1200Wh/Lである。
【0079】
リチウムイオン電池を製造する方法
図6は、一部の態様による、リチウムイオン電池を製造する方法600の例を示す。この例では、リチウムイオン電池を製造する方法は、カソードを組み立てること610、アノードを組み立てること620、電解質を調合すること630、任意に電解質を含有するセパレータを用意すること(図示せず)、並びに電解質及び任意のセパレータをアノードとカソードの間に配置すること640を含む。
【0080】
上記方法の一部の態様では、カソード組み立てること610は、たとえば炭素繊維紙又は金属箔のような基材を用意する工程;S、LiS、NCM、LFP、第1の粒状炭素及び任意にバインダを含むスラリーを調合する工程;並びにスラリーを基材の内部又は基材上で加圧する工程を含む。
【0081】
上記方法の一部の態様では、アノードを組み立てること620は、たとえば炭素繊維紙又は金属箔のような基材を用意する工程;ケイ素又はLiSi粒子、第2の粒状炭素、酸化グラフェン(又は他の酸素供給源)、ポリマー、及び第1の溶媒を含むスラリーを調合する工程;並びにスラリーを基材の内部又は基材の上で加圧する工程を含む。
【0082】
一部の態様では、カソードは、硫黄材料(例、元素状硫黄及び/又はLiS)、1種以上の粒状炭素、任意に従来のリチウムイオンカソード材料、任意に1種以上のポリマー材料、任意に1種以上のバインダ、及び1種以上の溶媒を含有するカソードスラリーから形成される。カソードスラリーに含めることができる溶媒の例は、アセトニトリル、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジグライム、ジメトキシエタン(DME)、セプタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、エタノール及びこれらの変種である。従来のリチウムイオンカソード材料の例には、NCM、LFP、リチウムコバルト(LCO)及びニッケルコバルトアルミニウム(NCA)が含まれる。
【0083】
一部の態様では、アノードは、アノードスラリーから堆積される。場合によっては、アノード基材に、アノードスラリーをコーティング後、乾燥して(又は、アノードスラリーを押しつけ若しくは押し込んで)、アノードを形成することができる。一部の態様では、アノードスラリーは、ケイ素材料(例、元素状ケイ素、LiSi、ケイ素ドープ型CNO)、1種以上の粒状炭素、1種以上の溶媒、任意に酸化グラフェン、任意に1種以上のポリマー材料、及び任意に1種以上のバインダを含有する。アノードスラリーに使用することができる溶媒の例は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジグライム、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEGDME)、水、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、これらの変種、及び使用するSiベースのアノードに適合性のある他の溶媒である。
【0084】
場合によっては、カソードは、他の溶液ベースの方法を使用して製造することができる。たとえば、LiS活物質を溶媒に溶解し、溶媒混合物を基材上にコーティングし、乾燥時にLiSを沈殿させて、カソード内にLiS粒子を形成することができる。
【0085】
上記方法の一部の態様では、電解質を調合すること630は、第2の溶媒、リチウム塩及びメタロセンを含むレドックス添加剤を用意する工程;並びに第2の溶媒、リチウム塩及びレドックス添加剤を組み合せる工程を含む。
【0086】
他の態様では、たとえば気体、液体及び/又はコロイド状の分散体前駆体のクラッキングによる粒状炭素の形成において反応器が使用される。場合によっては、粒状炭素の製造に使用する反応器は、製造された粒子を基材上に直接堆積するように改造される(例、ドラムコーター型装置内での基材の移動)。そのような方法は、スラリープロセスを排除することができ、製造が単純化されるので有利であり得る。一部の態様では、本明細書に記載されたマイクロ波プラズマ反応器が、本明細書に記載の粒状炭素材料を製造し、様々な炭素同素体及び/又は数多くの他の元素及び化合物を単独で又は組み合せて構成された被膜を製造するために用いられる。
【0087】
一部の態様では、本発明のリチウムイオン電池のアノード及び/又はカソードを、プラズマスプレー法により製造する。
【0088】
一部の態様では、プラズマスプレー法は、複数の粒子(例、粒状炭素、ドープ型粒状炭素又はナノ混合粒状炭素)を供給すること、及び標的材料(例、活性カソード又はアノード材料)から複数のイオン性種を発生させることを含み、前記イオン性種は、粒子上にコーティングを形成して、複数のコーティングを有する粒子(例、活性カソード又はアノード材料が細孔内に堆積したメソポーラス粒状炭素)を形成する。次いで複数のコーティングを有する粒子をイオン化し、複数のイオン化粒子を形成し、複数のイオン化粒子を含むプラズマジェットが発生する。次いで複数のイオン化粒子を加速し、第3の段階でイオン化粒子を含むプラズマスプレーを形成する。次いで一部の態様では、複数の加速されたイオン化粒子が基材に向けられ、基材上にコーティングを形成する。
【0089】
上記方法のいずれかの一部の態様では、アノード及び/又はカソード用の基材はカーボン紙を含有することができる。上記方法のいずれかにおいて、カーボン紙は、炭素粒子材料及びポリマーベースの材料の混合物から形成される炭素繊維紙であってもよい。炭素繊維は、たとえばエレクトロスピニングによって形成されてもよい。炭素粒子は、グラフェン、カーボンナノ粒子、及び/又は、熱若しくはマイクロ波分解によって製造された他の炭素粒子であってもよいが、これらに限定するものではない。一部の態様では、活物質-すなわち、カソード用の硫黄材料若しくは複合材料又はアノード用のシリコン材料若しくは複合材料-は、カーボン紙の製造中にカーボン紙に組み込まれてもよい。
【0090】
リチウムイオン電池、及び炭素メタ粒子を含有する電池材料
従来のリチウムイオン電池には、低いエネルギー密度並びに不十分なサイクル寿命及び/又は安定性などの制約がある。従来のリチウムイオン電池の性能の低さは、(たとえば、従来の液体リチウムイオン含有電解質に接触した場合の)部分的には従来のリチウムイオン電池における電気活性材料の絶縁性並びに微小機械的及び化学的に不安定な性質に起因する。前述の制約に対処する1つの手法では、炭素メタ粒子を電気活性材料と組み合せることを含む。
【0091】
したがって以下の態様では、炭素メタ粒子と、従来の電気活性電池材料よりも高い比容量を有する電気活性材料、たとえば理論上の比容量がそれぞれ4199mAh/g及び1672mAh/gであるケイ素及び硫黄のような電気活性材料を含むリチウムイオン電池について説明する。本明細書では「炭素メタ粒子」という用語は、広い孔径分布(例、多峰性分布、又は、0.1nm~10nmの細孔及び10nm~100nmの細孔を含む)を有するメソポーラス炭素粒子を指す。炭素メタ粒子は、上述のように、従来の炭素粒子と比較して改善された特性(例、より高い表面積及び電気伝導度)を有することができ、リチウムイオン電池のいくつかの構成要素(例、アノード、カソード及び集電体)で使用することができる。一部の態様では、炭素メタ粒子は、たとえば電気活性材料、アルカリ金属、酸化物材料、及び/又は不純物(例、水素、及び、少量、たとえば1%未満の、たとえば酸素及び/又は金属といった他の元素)のような炭素以外の材料を含むこともできる。改善されたリチウムイオン電池用の整合ケイ素/炭素アノード及び硫黄/炭素カソード電極についても説明し、この整合ケイ素/炭素アノード及び硫黄/炭素カソード電極は、従来のリチウムイオン電池と比較して、改善された安定性及び/又はサイクル寿命を示す。さらに、一部の態様では、これらの電極は一体化完全ケイ素-硫黄セルに組み込まれている。一部の態様では、これらの一体化セル(すなわち、電池)はパウチ型のセルである。
【0092】
一部の態様では、炭素メタ粒子を含有する電極アーキテクチャは、リチウム化/脱リチウム化中に本質的に安定でもあり、大規模で確実に製造可能でもある。
【0093】
多くのサイクル数にわたって安定で、高い比容量を有するリチウムイオン電池には、多くの用途がある。たとえば、衛星及び他の宇宙技術(例、宇宙ベースの通信のための技術)は、信頼性のある電力及びエネルギー貯蔵を必要とし、したがって、エネルギー密度及び安定性(安全性及びサイクル寿命)の改善は、それらの用途に有益である。
【0094】
一部の態様では、このメソポーラス炭素メタ粒子は、既存のリチウムイオン電池に勝る耐破壊性向上及びコスト削減の可能性を有する再充電可能な電池の電極構成に可能なプラットフォーム/アーキテクチャを提供する。場合によっては、大気圧で動作するマイクロ波反応器を使用して、メソポーラス炭素メタ粒子を製造することができる。一部の態様では、炭素メタ粒子は、3Dナノ構造を種々の長さ(例、nmからμm)で含有するか、階層的3D構造(例、フラクタル型構造)を種々の長さ(例、nmからμm)で含有する。本発明の炭素メタ粒子は、電子伝導度、機械的耐久性及び比容量について、コア炭素フレームワークの機能性の改善により、電池性能及び耐久性を改善することができる。さらに、たとえば、S、Si、F、Al、Ge、Sn、Sb、Fe及びこれらの組合せといった特定の電気活性材料を、(たとえば、粒子の製作中又は電極製作中に)、炭素メタ粒子のメソポーラス構造に組み込んで、さらに大きい容量及び安定性(すなわち、より大きい放電深度で、延びたサイクル寿命)をもたらすことができる。一部の態様では、ケイ素及び/又は硫黄電気活性材料を組み合せたメソポーラス炭素メタ粒子は、現在の現況技術の電池と比較して、改善された性能及び安全性を有する電池を提供する。一部の態様では、前述の炭素メタ粒子及び/又は電気活性材料を持つ電池は、100,000サイクルで1,350mAh/g~1,800mAh/gの比容量を有する。
【0095】
いくつかの従来のLiイオン電池の設計では、(高い交換電流密度の)高速レドックス反応のために重要な電子及びイオン伝導経路並びに3相境界部位は、炭素及び活物質粒子(たとえば1~3μmのサイズを有する)並びにバインダをスラリー(例、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)ベース)に混合し、スラリー混合物を金属集電体(例、アノードでは銅、及びカソードではアルミニウム)上に流し込み、次いでスラリーでコーティングされた集電体を乾燥することによって製造される。従来の電池では、活性材料対不活性材料の比は、性能を最適化するように調節され、アノード/カソード電極の厚さは、容量を最適化するように調節される(リチウムの利用/利用可能性を各電極に一致させる)。従来の液体電解質の化学的性質は、容量の低下及び不安定性の低減(並びに電気化学ウインドの安定性の増大)のために、活性粒子表面で「準安定」固体電解質界面(SEI)を形成するように調整されてきた。しかし、活性粒子と液体電解質との間の界面は本質的に不安定で、経時的に、リチウムインターカレーション/反応に関連した体積の膨張/収縮があり、これらの「準安定」界面は、部分的にはSEI及び親活性物質の微小機械的破砕と共に増大するSEI成長に起因して、より抵抗性が高くなる。その結果、従来のリチウムイオン電池では、リチウムイオンが、これらのプロセス及び他の寄生反応によって消費される。
【0096】
本明細書で開示された電池及び電池材料は、(たとえば、混合粒子スラリー構成を有する)従来の電池の固有の難題及び欠点(例、安定性及び寿命)を克服する。一部の態様では、本明細書に記載の方法は、独自の、堆積されたままの炭素メタ粒子(例、炭素ベースの粒子を有する3Dメソポーラスメタ粒子調合物)を、電極の電気伝導骨格として利用する。一部の態様では、(たとえば、熱又はマイクロ波反応器内での)粒子の反応/粒子の形成工程中に、特定の活性及び官能化元素を炭素メタ粒子ナノ構造に組み込む(例、ドープする及び/又は吸収する)ことができる。他の態様では、たとえば、混合、ミリング、熱処理及び/又はプラズマ処理といった後処理を利用して、電気活性ナノ粒子及び/又はポリマーバインダを、炭素足場の内部(及び周囲)に選択的に「堆積」又は組み込んで、安定なSEIを持つメタ粒子を製造することができる。一部の態様では、ポリマーバインダは、可逆的固体状態イオン輸送/伝導のための、「接着剤」かつ層として働く。反応器での(場合によっては、反応後の)処理工程は、予備活性化グラフェンフィンガーが集合した開放多孔質セルラーチャネル、電気活性材料、並びに/又は液体イオン(すなわち、リチウム)伝導及び/若しくはシャトル用の開放チャネルによって取り囲まれた、電子伝導配位子(及び/又はセグメント)の3D相互接続網状構造を持つ炭素メタ粒子を作成するように、最適化することができる。これらの材料の3D形態(例、ナノメートル規模の孔径)を制御することによって、電池動作中のリチウム相形成の溶解度と結晶化度を、局所的なマイクロ規模及びメソ規模で最適化することができる。一部の態様では、(電気活性材料が添加されたか、添加されていないかにかかわらず)製造直後の炭素メタ粒子構造は、可逆的な高エネルギー貯蔵及び送出(速度)性能を有する「硬化した」安定なアーキテクチャを形成するために、初期の調整(リチウム化/脱リチウム化)後に、in situで制御可能に調節又は緩和するように設計することができる。
【0097】
一部の態様では、本発明のアノード及び/又はカソード電極は、たとえばアルミニウム又は銅といった導電性の箔に炭素メタ粒子をスラリーキャストすることによって製造する。他の態様では、炭素メタ粒子の形成に使用される反応器は、(たとえば、ドラムコーター型の装置で)移動する基材上に直接粒子を堆積するよう構成され、それによって、スラリー工程を省略でき、より有効かつ効率的な一体化電極/集電体の製造及び/又は設計が可能になる。一部の態様では、(たとえば、上述した)独自のマイクロ波プラズマ反応器は、炭素メタ粒子及び(たとえば、様々な炭素同素体並びに数多くの他の元素及び化合物を、単独又は組み合せて成る)厚/薄膜を製造する。たとえば粒子の取扱いや分散といった、従来のリチウムイオン電池製造におけるいくつかの重要な難題に対処することにより、提示された炭素メタ粒子による手法は、製品の信頼性及び性能(すなわち、電池の場合には安定性及びエネルギー/電力密度)の改善に関して、ナノメートル規模で、設計・製造をコントロールすることができる。
【0098】
一部の態様では、電池は、たとえば元素状リチウム金属及び/又は従来のLiCoO(LCO)電極のような従来の電池作用(活性)電極と組み合せた上述の炭素メタ粒子を含有する。いくつかの設計において、従来の材料は、対向電極(例、炭素メタ粒子を含有するカソードに対向するアノード、又は炭素メタ粒子を含有するアノードに対向するカソード)として使用される。
【0099】
従来の電池材料は、本明細書に開示された炭素メタ粒子と併せて、一部の態様で使用することもできる。たとえば、従来の材料は、改善されたメタ粒子と共に対向電極として使用されるとき、開示された炭素メタ粒子を使用する電池でのリチウムイオンのシャトル性能の有効な最適化(すなわち、損失メカニズムを低減させ、可逆性を最適化させる)を支援することができる。
【0100】
次に炭素メタ粒子を含有するリチウムイオン電池用のアノード及びカソード電極について、いくつかの態様に従って説明する。
【0101】
一部の態様では、炭素メタ粒子は、熱反応器又はマイクロ波反応器によって製造される。反応器内の条件は、高容量(例、200サイクルで比容量が350mAh/g超)の炭素/リチウムインターカレーション粒子が生成するように最適化することができる。反応器処理条件を変化させることによって調整することができる堆積された炭素メタ粒子の性質の例には、(1)形態、(2)基底対縁部平面比、(3)構造(例、結晶化度)、(4)化学純度、及び(5)電気化学性能(例、0~1.5V及び最大速度0.5Cで「2032」半電池でのリチウムインターカレーションを使用して評価される)が含まれる。一部の態様では、反応器の条件は、従来の電池材料と比較して、SEIの改善された比容量、多孔度、表面積、構造/結晶化度、純度/表面官能化及び安定性を有する炭素メタ粒子を製造するように調整される。
【0102】
炭素メタ粒子中へのリチウム負荷/インターカレーションも、安定性及び可逆性を最適化することができる(すなわち、全電池構成用のリチウムイオンの潜在的な供給源として働く)。
【0103】
炭素メタ粒子の開発に加え、ポリマー人工SEIを、増大した安定性及び性能のために電極材料に組み込むことができる。たとえば、固有の電気伝導度をポリマー弾性と共に示す、安定化(例、環化又は炭素化された)ポリアクリロニトリル(PAN)導電性バインダを、多孔質メタ炭素構造内に浸透させて、in situ固体電解質表面層を形成することができる。一部の態様では、アクリロニトリル(AN)モノマー前駆体溶液も、PANの重合と安定化前に浸透を高めるために使用される。これらの人工固体電解質表面層は、炭素メタ粒子形成中に反応器内で(例、炭素メタ粒子が最初に形成されるチャンバから下流のチャンバ内のマルチチャンバ反応器システムで、かつ粒子がマルチチャンバ反応器から離れる前に)、又は炭素メタ粒子が形成された後の後処理で、in situで堆積することができる。
【0104】
本発明の炭素メタ材料(すなわち、粒子又は堆積された被膜)を特徴付けるのに使用することができる技法の例は、表面積に関するBET測定、形態に関するSEM法、構造/結晶化度に関するラマン分光法、及び活性成分/不純物の元素マッピングのための走査型トンネル電子顕微鏡法/エネルギー分散型X線分光法(STEM/EDX)である。一部の態様では、炭素メタ粒子は、組み込まれた活性成分の有無にかかわらず、従来の電池材料と比較して、改善された表面積、改善された形態、組み込まれた活性成分の改善された分散、及び/又は改善された不純物濃度を有する。炭素メタ粒子を銅箔にスラリーキャストして、粒子を含有する電極層を形成することもでき、これらの電極は、電極特性を評価するために、リチウム箔対向電極を備える「2032」コインセル(及びパウチセル)で試験をすることができる。たとえば、充放電(定電流及び定電位)、サイクリックボルタンメトリー、及びACインピーダンスを使用して、比容量、クーロン効率、レドックス反応メカニズム、拡散及びDC抵抗を測定することができる。一部の態様では、炭素メタ粒子を組み込む電極は、組み込まれた活性成分の有無にかかわらず、従来の電池材料と比較して、改善された比容量、クーロン効率、レドックス反応メカニズム、拡散及び/又はDC抵抗を有する。
【0105】
一部の態様では、上述の炭素メタ粒子は、活性(アノード)ケイ素を含む。たとえば、メタ炭素粒子は、個別のケイ素ナノ粒子又はin situで形成されたケイ素のナノ構造化相を含有することができる。場合によっては、活性ケイ素を持つ炭素メタ粒子は、SEI制御用に1種以上のポリマーバインダを含有することもできる。場合によっては、活性ケイ素を持つ炭素メタ粒子は、200サイクルで1000mAh/gの比容量を有する。元素状ケイ素と酸化ケイ素の両者を電極用の炭素メタ粒子に組み込むことができる。元素状ケイ素と酸化ケイ素の両者は、炭素/黒鉛よりも大きい比容量(例、それぞれ、4200mAh/g及び1600mAh/g)を有する。炭素メタ粒子形成中に、(たとえば、粒子形成中に、個別のナノ粒子又は蒸気若しくは液体前駆体を反応器内に導入することによって)ケイ素をin situで組み込む1つの課題は、ケイ素と炭素との界面で、たとえばSiCのような絶縁相の形成を制御することである。in situでの炭素メタ粒子への活物質の組込み中に、絶縁相の形成を防止するように、反応器の条件を調整することができる。たとえば、反応器(例、マイクロ波反応器)内の酸化/還元環境は、(たとえば、COの添加で穏やかな酸化条件を創出することにより)SiC形成が防止されるように制御することができる。さらに、反応器の酸化/還元環境は、(たとえば、酸素、硫黄又は他の化学種で)炭素表面を官能化し、後続の後処理/処置工程における表面張力(すなわち、ぬれ性及び反応性)に影響を及ぼすこともできる。一部の態様では、本明細書に記載された炭素メタ粒子は、たとえば「マイクロ波化学処理(Microwave Chemical Processing)」という名称の米国特許第9,812,295号又は「マイクロ波化学処理反応器(Microwave Chemical Processing Reactor)」という名称の米国特許第9,767,992号に記載の、適切なマイクロ波反応器及び/又は方法のようなマイクロ波プラズマ反応器及び方法を使用して製造され、これらの先行技術は本出願と同じ譲受人に譲渡されており、かつあらゆる目的で本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
一部の態様では、ケイ素ナノ粒子は、反応器(例、マイクロ波反応器)内で炭素メタ粒子形成中に活物質を(たとえば、個別のナノ粒子の形で又は蒸気若しくは液体輸送を介して)直接組み込む代わりに、1以上の反応後工程において、プロセス炭素メタ粒子の内部に組み込まれるか、又は炭素メタ粒子と共に分散される。反応後工程の一例は、プラズマミリングである。これらの粒子及びれらの粒子を含有する電極層の性質(例、炭素対ケイ素比及び分布、他の材料の性質、並びにコインセル内での電気的性質)は、上述のように評価することができ、これらの反応後処理粒子は、従来の電池材料と比較して、改善された性質を有することもできる。
【0107】
一部の態様では、カソード電気活性材料(例、元素状硫黄又はリチウム硫化物)は、上述の炭素メタ粒子に組み込まれる。様々な方法を使用して、カソード電気活性材料を炭素メタ粒子の構造内に組み込むことができる。たとえば、カソード電気活性材料は、(たとえば、個別のナノ粒子又は蒸気若しくは液体前駆体を、粒子形成中に反応器に導入することにより)反応器内での炭素メタ粒子形成中に直接組み込むことができ、又は、(たとえば、硫化フェニルなどの反応物による気相吸収を介した)反応後工程で組み込むことができる。反応器内で適正に最適化された一部の態様では、炭素メソポーラス、メタ粒子フレームワークは、カソード電気活性材料(例、元素状硫黄)の成長をチャネル内に抑制し、絶縁カソード電気活性材料との必須の電気接触をもたらす。さらに、リチウム相形成に関係するカソード電気活性材料の溶解度及び結晶化度は、ミクロポーラス/メソポーラスフレームワーク内に閉じ込め/捕捉することができる。
【0108】
一部の態様では、炭素メタ粒子は、カソード電気活性硫黄を含有する。硫黄を含有するこれらの炭素メタ粒子及びこれらの粒子を含有する電極層の性質(例、炭素対硫黄比及び分布、他の材料の性質、並びにコインセル内の電気的性質)は、上述のように評価することができ、これらの炭素-硫黄メタ粒子は、従来の電池材料と比較して改善された性質を有することもできる。
【0109】
硫黄を含有する炭素メタ粒子に加え、上述した方法と同様の方法で、安定性及び性能の向上のためにのポリマー人工SEIを製造することができる。たとえば、PAN導電性バインダ及び他の候補ポリマーを多孔質炭素表面に浸透させ、in situ固体電解質表面層を形成することができ、さらに硫黄レドックス反応をメソポーラス炭素フレームワーク内に閉じ込めることができる。一部の態様では、炭素-硫黄メタ粒子を含有する電極は、500サイクルで600mAh/g超の比容量を有する。
【0110】
一部の態様では、炭素メタ粒子は、予備リチウム化され(すなわち、リチウムが粒子形成中に組み込まれ)、次いで、粒子が元素状硫黄により反応後処理されて、メソポーラス構造の限られたチャネル内にLiSを形成する。上記アノード形成で説明された反応後工程のいくつかは、カソード用のメタ炭素粒子中にLiSを形成するのに使用することもできる。LiSを含有するこれらの炭素メタ粒子の性質、及び、これらの粒子を含有する電極層の性質(例、炭素対硫黄比及び分布、他の材料の性質、並びにコインセル内での電気的性質)は、上述のように評価することができ、LiSを含有するこれらの炭素-硫黄メタ粒子は、従来の電池材料と比較して改善された性質を有することもできる。
【0111】
完全リチウムイオン電池は、一部の態様によれば、上述した本発明のアノード及び/又はカソードから形成することができる。
【0112】
一部の態様では、上述した本発明のアノード及び/又はカソードは、従来の対向電極を使用して(ただ1つの本発明の電極が使用される場合)及び/又は従来の若しくは改質された電解質を使用して、完全電池に形成される。
【0113】
一部の態様では、リチウムイオン電池は、上述した本発明のアノード及び/又はカソードと、1:1の重量比の炭酸エチレン及び炭酸ジエチル(EC/DEC)中に1~1.2MのLiPF塩を含有する従来の電解質を含有する。他の態様では、他の同様の従来のリチウムイオン電解質が使用される。しかし、他の態様では、リチウムイオン電池は、上述した本発明のアノード及び/又はカソードと改質された電解質を含有する。たとえば電解質を変更して、メソポーラス構造内への硫黄の閉じ込めの効率及びアノードでのSEIの安定性を改善することができる。電解質の変更の影響は、完全電池試験を実行する前に、安定性に関する半電池構成で評価することができる。
【0114】
一部の態様では、リチウムイオン電池は、上述した本発明のアノード及び/又はカソードを含有し、完全C-Si-Sセルである。一部の態様では、上述した本発明の電極の厚さは、リチウムを完全に利用による整合セルを製造するように最適化される。一部の態様では、充放電プロトコールの予備調整を使用して完全電池を試験する。たとえば、最初のサイクルの充電速度が速い場合、溶媒吸収が最小限の多孔質の抵抗性SEI層が得られるのに対して、遅い速度ではSEI層の密度が高くない。一部の態様では、予備調整プロトコールを使用して、初期容量を最大限にしかつ長期安定性を確実にする。一部の態様では、上述した本発明のアノード及び/又はカソードを含有するリチウムイオン電池(完全電池)は、1000サイクルで1200mAh/g超の比容量を有する。
【0115】
その1つ以上の例が添付される図に示されている、開示された発明の態様を、詳細に参照してきた。各例は、本発明の技術の例示として提供されており、本発明の技術を限定するものではない。事実、本明細書は本発明の特定の態様に関して詳細に記載しており、前述内容を理解することによって、これらの態様の変更例、変形例、及び均等物を容易に思い付くことができることが、当業者に理解されよう。たとえば、一態様の部分として図示され又は記載される特徴は、さらに他の態様を得るために、別の態様と共に使用されてもよい。このように、本発明の対象は、特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にあるそのような修正例及び変形例の全てを包含することが意図される。本発明に対するこれら若しくは他の修正例及び変形例は、特許請求の範囲でより詳細に述べられる本発明の範囲から逸脱することなく、当業者により実施され得る。さらに、当業者なら、前述の内容は単なる例であり、本発明を限定するものではないことが理解されよう。
以下に、本願の出願時の特許請求の範囲を実施の態様として付記する。
[1] 第1の基材、
Li (ここで、xは0~2、yは1~8である)及び第1の粒状炭素を含むカソード混合物を含む、前記第1の基材上に配置されたカソード、
第2の基材、
ケイ素粒子及び第2の粒状炭素を含むアノード混合物を含む、前記第2の基材上に配置されたアノード、並びに
溶媒及びリチウム塩を含む、前記カソードと前記アノードとの間に配置された電解質を含む、リチウムイオン電池であって、
前記第1の粒状炭素又は前記第2の粒状炭素が、各カーボンナノ粒子がグラフェンを含む複数のカーボンナノ粒子を含む炭素凝集体を含み、
前記複数のカーボンナノ粒子中の前記グラフェンが、最大で15層を含み、
前記炭素凝集体中の水素以外の元素に対する炭素の割合が99%よりも大きく、
前記カーボンナノ粒子を含む前記炭素凝集体のメジアン径が、0.1μm~50μmであり、
前記炭素凝集体の表面積が、吸着質として窒素を用いるBrunauer-Emmett-Teller(BET)法によって測定した場合、10m /g~300m /gであり、
前記炭素凝集体は、圧縮されたとき、500S/m~20,000S/mの電気伝導度を有する、リチウムイオン電池。
[2] 前記カソードがバインダをさらに含む、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[3] 前記アノードが酸化グラフェンをさらに含む、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[4] 前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が無核粒子をさらに含む、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[5] 前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が長鎖炭素同素体をさらに含む、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[6] 前記第1の基材又は第2の基材が、金属箔、炭素フォーム、金属フォーム、カーボン紙、炭素繊維、カーボンナノ繊維、炭素布、粒状炭素、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[7] 前記ケイ素粒子が、元素状ケイ素、リチウム-ケイ素、Li 22 Si 、L 22-x Si 5-y (ここで、xは0~21.9、yは1~4.9である)、及びLi 22-x Si 5-y-z (ここで、xは0~21.9、yは1~4.9、zは1~4.9であり、Mは、S、Se、Sb、Sn、Ga又はAsである)からなる群から選択される材料を含む、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[8] 前記電解質がレドックス添加剤をさらに含む、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[9] 前記レドックス添加剤が、第1のd-ブロック系列遷移金属、第2のd-ブロック系列遷移金属、及び第3のd-ブロック系列遷移金属からなる群から選択される遷移金属を含むメタロセンを含む、[8]に記載のリチウムイオン電池。
[10] 前記レドックス添加剤が、鉄、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、レニウム及びイリジウムからなる群から選択される遷移金属を含むメタロセンを含む、[8]に記載のリチウムイオン電池。
[11] 前記リチウムイオン電池が、100サイクル後にLi S 1グラム当たり400mAhよりも高い電池容量を有する、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[12] 前記カソード又はアノードがバインダを含有しない、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[13] 前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が、メソポーラス構造をさらに含む、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[14] 前記メソポーラス構造が、0.1nm~10nmのサイズの細孔及び10nm~100nmのサイズの細孔を含む孔径の多峰性分布を含む、[13]に記載のリチウムイオン電池。
[15] リチウムイオン電池を製造する方法であって、
i) 第1の基材を用意する工程、前記第1の基材上に、Li (ここで、xは0~2、yは1~8である)及び第1の粒状炭素を含むカソード混合物を配置する工程を含む、カソードを組み立てること、
ii) 第2の基材を用意する工程、前記第2の基材上に、ケイ素粒子及び第2の粒状炭素を含むアノード混合物を配置する工程を含む、アノードを組み立てること、
iii) 溶媒を用意する工程、リチウム塩を用意する工程、並びに前記溶媒及び前記リチウム塩を合わせる工程を含む、電解質を調合すること、
iv) 前記アノードと前記カソードとの間に前記電解質を配置すること
を含み、
前記第1の粒状炭素又は前記第2の粒状炭素が、各カーボンナノ粒子がグラフェンを含む複数のカーボンナノ粒子を含む炭素凝集体を含み、
前記複数のカーボンナノ粒子中の前記グラフェンが、最大で15層を含み、
前記炭素凝集体中の水素以外の元素に対する炭素の比(割合)が99%よりも大きく、
前記カーボンナノ粒子を含む前記炭素凝集体のメジアン径が、0.1μm~50μmであり、
前記炭素凝集体の表面積が、吸着質として窒素を用いるBrunauer-Emmett-Teller(BET)法によって測定した場合、10m /g~300m /gであり、
前記炭素凝集体が、圧縮されたとき、500S/m~20,000S/mの電気伝導度を有する、方法。
[16] 前記カソード又はアノードがバインダをさらに含む、[15]に記載の方法。
[17] 前記カソードがバインダをさらに含む、[15]に記載の方法。
[18] 前記アノードが酸化グラフェンをさらに含む、[15]に記載の方法。
[19] 前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が無核粒子をさらに含む、[15]に記載の方法。
[20] 前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素が長鎖炭素同素体をさらに含む、[15]に記載の方法。
[21] 前記第1の基材又は第2の基材が、金属箔、炭素フォーム、金属フォーム、カーボン紙、炭素繊維、カーボンナノ繊維、炭素布、粒状炭素、及びこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む、[15]に記載の方法。
[22] 前記ケイ素粒子が、元素状ケイ素、リチウム-ケイ素、Li 22 Si 、Li 22-x Si 5-y (ここで、xは0~21.9、yは1~4.9である)、及びLi 22-x Si 5-y-z (ここで、xは0~21.9、yは1~4.9、zは1~4.9であり、Mは、S、Se、Sb、Sn、Ga又はAsである)からなる群から選択される材料を含む、[15]に記載の方法。
[23] 前記電解質がレドックス添加剤をさらに含む、[15]に記載の方法。
[24] 前記レドックス添加剤が、第1のd-ブロック系列遷移金属、第2のd-ブロック系列遷移金属、及び第3のd-ブロック系列遷移金属からなる群から選択される遷移金属を含むメタロセンを含む、[23]に記載の方法。
[25] 前記レドックス添加剤が、鉄、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、レニウム及びイリジウムからなる群から選択される遷移金属を含むメタロセンを含む、[23]に記載の方法。
[26] 前記リチウムイオン電池の容量が、100サイクル後にLi S 1グラム当たり400mAhよりも高い、[15]に記載の方法。
[27] 前記アノードと前記カソードとの間に配置されたセパレータをさらに含み、前記セパレータがポリマーマットであり、かつポリスルフィド撥水剤を含む、[15]に記載の方法。
[28] 前記ポリマーマットが、押し出され、紡糸され、織られ、エレクトロスピニングされ、又は成型され、
前記セパレータが、メタロセンを含有するレドックスメディエーターをさらに含む、[27]に記載の方法。
[29] 前記第1の基材上に前記カソード混合物を配置することが、
前記カソード混合物を第1のスラリーに形成すること、
前記第1のスラリーを前記第1の基材上に堆積すること、及び
前記第1のスラリーを乾燥して、前記カソードを形成すること
をさらに含む、[15]に記載の方法。
[30] 前記第1のスラリーの多層が前記第1の基材上に堆積され、
各層が、次の層が堆積される前に完全に又は部分的に乾燥される、
[29]に記載の方法。
[31] 前記第2の基材上に前記アノード混合物を配置することが、
前記アノード混合物を第2のスラリーに形成すること、
前記第2のスラリーを前記第2の基材上に堆積すること、及び
前記第2のスラリーを乾燥して前記アノードを形成すること
をさらに含む、[15]に記載の方法。
[32] 前記第2のスラリーの多層が前記第2の基材上に堆積され、
各層が、次の層が堆積される前に完全に又は部分的に乾燥される、
[31]に記載の方法。
[33] 前記第1の粒状炭素又は第2の粒状炭素がメソポーラス構造をさらに含む、[15]に記載の方法。
[34] 前記メソポーラス構造が、0.1nm~10nmのサイズの細孔及び10nm~100nmのサイズの細孔を含む孔径の多峰性分布をさらに含む、[33]に記載の方法。
[35] メソポーラス構造を含む炭素メタ粒子、
ケイ素を含む電気活性電極材料、及び
金属集電体
を含むアノード
を含む、リチウムイオン電池。
[36] 前記炭素メタ粒子が、
予備活性化グラフェンフィンガーが集合した開放多孔質セルラーチャネルによって取り囲まれた電子伝導セグメントの3D相互接続網状構造、並びに
液体イオン伝導及び/又はシャトリングのための開放チャネル
をさらに含む、
[35]に記載のリチウムイオン電池。
[37] 前記炭素メタ粒子が、従来の電池材料と比較して、改善された表面積、改善された形態、組み込まれた活性成分の改善された分散、又は改善された不純物濃度を有する、[35]に記載のリチウムイオン電池。
[38] 前記炭素メタ粒子が、ポリマー人工固体電解質界面(SEI)層をさらに含む、[35]に記載のリチウムイオン電池。
[39] メソポーラス構造を含む炭素メタ粒子、
元素状硫黄又はLi Sを含む電気活性電極材料、及び
金属集電体
を含むカソード
を含む、リチウムイオン電池。
[40] 前記炭素メタ粒子が、
予備活性化グラフェンフィンガーが集合した開放多孔質セルラーチャネルによって取り囲まれた電子伝導セグメントの3D相互接続網状構造、並びに
液体イオン伝導及び/又はシャトリングのための開放チャネル
をさらに含む、
[39]に記載のリチウムイオン電池。
[41] 前記炭素メタ粒子が、従来の電池材料と比較して、改善された表面積、改善された形態、組み込まれた活性成分の改善された分散、又は改善された不純物濃度を有する、[39]に記載のリチウムイオン電池。
[42] 前記炭素メタ粒子がポリマー人工固体電解質界面(SEI)層をさらに含む、[39]に記載のリチウムイオン電池。
[43] [35]に記載のアノード及び[39]に記載のカソードを含む、リチウムイオン電池。
[44] リチウムイオン電池の電極を形成する方法であって、
マイクロ波反応器内で炭素メタ粒子を形成すること、
前記炭素メタ粒子を電気伝導集電体基材上に堆積すること
を含み、
前記炭素メタ粒子が3Dメソポーラス構造の網状構造内に電気活性電極材料を含む、方法。
[45] 前記電気活性電極材料が、前記マイクロ波反応器内での形成中に前記炭素メタ粒子に組み込まれる、[44]に記載の方法。
[46] 前記電気活性電極材料が、1つ以上のポスト反応器プロセスで前記炭素メタ粒子に組み込まれる、[44]に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6