(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】トラッキングデバイス、プロットシステム、プロット方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0346 20130101AFI20240430BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20240430BHJP
【FI】
G06F3/0346 424
G06F3/0346 422
G06F3/038 310Y
(21)【出願番号】P 2022157688
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2019087894の分割
【原出願日】2019-05-07
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】399105715
【氏名又は名称】株式会社インフォマティクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金野 幸治
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-505444(JP,A)
【文献】特表2002-523830(JP,A)
【文献】特開2019-020348(JP,A)
【文献】特開2000-314627(JP,A)
【文献】特開2011-180007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/033-3/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物にマーキングを行うユーザの身体に装着されるトラッキングデバイスであって、
前記マーキングが開始又は終了したことを検知する検知部と、
前記対象物に前記マーキングを行うための用具の位置情報を
、前記トラッキングデバイスの位置と、前記トラッキングデバイスと前記用具とのオフセットと、に基づいて生成し
、プロット装置に対して送信する位置情報生成部と、を有し、
前記位置情報生成部は、前記検知部が前記マーキングの開始を検知したときに位置情報の生成又は送信の少なくとも一方を開始する
トラッキングデバイス。
【請求項2】
対象物にマーキングを行うユーザの身体に装着されるトラッキングデバイスであって、
前記マーキングが開始又は終了したことを検知する検知部と、
前記対象物に前記マーキングを行うための用具の位置情報を、前記用具の3次元点群データに基づいて生成し、プロット装置に対して送信する位置情報生成部と、を有し、
前記位置情報生成部は、前記検知部が前記マーキングの開始を検知したときに位置情報の生成又は送信の少なくとも一方を開始する
トラッキングデバイス。
【請求項3】
前記検知部は、音、速度又は加速度を含むセンサ出力情報の変化、あるいはタップ、ジェスチャ又は音声を含むユーザ情報の入力を検出することにより、前記マーキングの開始又は終了を検知する
請求項1記載のトラッキングデバイス。
【請求項4】
前記位置情報生成部は、前記検知部が前記マーキングの終了を検知したときに前記位置情報の生成又は送信の少なくとも一方を終了する
請求項1又は2記載のトラッキングデバイス。
【請求項5】
前記位置情報生成部は、前記位置情報の生成又は送信を開始してから所定の時間が経過したときに前記位置情報の生成又は送信の少なくとも一方を終了する
請求項1又は2記載のトラッキングデバイス。
【請求項6】
請求項1又は2記載の前記トラッキングデバイスと、
プロット装置と、を有し、
前記プロット装置は、
前記位置情報を受信する位置情報受信部と、
受信した前記位置情報を蓄積する位置情報蓄積部と、
蓄積された前記位置情報を表示するプロット部と、を有する
プロットシステム。
【請求項7】
対象物にマーキングを行うユーザの身体に装着されるトラッキングデバイスが、
前記マーキングが開始又は終了したことを検知する検知ステップと、
前記対象物に前記マーキングを行うための用具の位置情報を、前記トラッキングデバイスの位置と、前記トラッキングデバイスと前記用具とのオフセットと、に基づいて生成し、プロット装置に対して送信する位置情報生成ステップと、を有し、
前記位置情報生成ステップでは、前記マーキングの開始を検知したときに位置情報の生成又は送信の少なくとも一方が開始される
プロット方法。
【請求項8】
対象物にマーキングを行うユーザの身体に装着されるトラッキングデバイスが、
前記マーキングが開始又は終了したことを検知する検知ステップと、
前記対象物に前記マーキングを行うための用具の位置情報を、前記用具の3次元点群データに基づいて生成し、プロット装置に対して送信する位置情報生成ステップと、を有し、
前記位置情報生成ステップでは、前記マーキングの開始を検知したときに位置情報の生成又は送信の少なくとも一方が開始される
プロット方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項
7又は8記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラッキングデバイス、プロットシステム、プロット方法及びプログラムに関し、特に筆記具によるマーキング箇所を電子的に管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル、橋梁及びビル等の構造物の検査業務においては、壁面の目視、打音及び触診等により人が変状箇所を認識し、変状箇所に筆記具でマーキングを施し、マーキング箇所をスケッチし、スケッチに基づいて図面への反映作業を行っていた。例えばトンネル検査であれば、覆工表面の変状箇所をチョークでマーキングし、マーキング位置を紙面にスケッチし、スケッチをCADでトレースして覆工展開図を作成していた。
【0003】
しかしながら、従来方式ではマーキング位置をスケッチし、スケッチを持ち帰ってデータ化するなど情報を転記する作業が必要である。このような転記作業は非常に煩雑であり時間と手間を要する。また、転記作業は人の手作業によって行われるのでミスや誤差が入り込む可能性がある。そこで、変状箇所の座標を何らかの手法で電子的に把握できれば、転記作業を省略し効率性及び正確性を向上させることができる。
【0004】
特許文献1及び2には、トンネル内壁面等を撮影し、撮影画像を画像解析することにより変状箇所を特定するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2019/021719号
【文献】特開2017-211314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2記載の技術のように画像解析により変状箇所を特定する手法では、処理すべきデータが膨大になるという問題がある。また、従来は視覚情報のみならず打音や触診により発見されていたような変状箇所を見落とす可能性もある。そこで、人による変状箇所の認識プロセスは維持しつつも、筆記具によるマーキング箇所の座標データを電子的に把握できれば便利である。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、筆記具によるマーキング箇所を電子的に管理することが可能なトラッキングデバイス、プロットシステム、プロット方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態は、対象物にマーキングを行うためのマーキング部と、前記マーキングが開始又は終了したことを検知する検知部と、位置情報を生成しプロット装置に対して送信する位置情報生成部と、を有し、前記位置情報生成部は、前記検知部が前記マーキングの開始を検知したときに位置情報の生成又は送信の少なくとも一方を開始するトラッキングデバイスである。
本発明の他の形態では、前記検知部は前記マーキング部に脱着可能であって、前記マーキング部又はユーザの身体との接点にセンサを備え、前記マーキング部により前記マーキングが行われる際の圧力変化を前記センサが検出することにより、前記マーキングの開始又は終了を検知する。
本発明の他の形態では、前記位置情報は、前記プロット装置を原点とする座標である。
本発明の一形態は、対象物にマーキングを行うユーザの上肢に装着されるトラッキングデバイスであって、前記マーキングが開始又は終了したことを検知する検知部と、位置情報を生成しプロット装置に対して送信する位置情報生成部と、を有し、前記位置情報生成部は、前記検知部が前記マーキングの開始を検知したときに位置情報の生成又は送信の少なくとも一方を開始するトラッキングデバイスである。
本発明の他の形態では、前記検知部は、音、速度又は加速度を含むセンサ出力情報の変化、あるいはタップ、ジェスチャ又は音声を含むユーザ情報の入力を検出することにより、前記マーキングの開始又は終了を検知する。
本発明の他の形態では、前記位置情報は、現実空間内に設置されたマーカを原点とする座標であり、前記位置情報生成部は、カメラにより前記マーカの位置を認識する。
本発明の一形態は、対象物にマーキングを行うユーザの頭部に装着されるトラッキングデバイスであって、前記マーキングが開始又は終了したことを検知する検知部と、前記対象物に前記マーキングを行うための用具の位置情報を生成しプロット装置に対して送信する位置情報生成部と、を有し、前記位置情報生成部は、前記検知部が前記マーキングの開始を検知したときに位置情報の生成又は送信の少なくとも一方を開始するトラッキングデバイスである。
本発明の他の形態では、前記検知部は、ジェスチャ又は音声を含むユーザ情報の入力を検出することにより、前記マーキングの開始又は終了を検知する。
本発明の他の形態では、前記位置情報は、前記トラッキングデバイスの座標系で表現される。
本発明の他の形態では、前記位置情報生成部は、前記検知部が前記マーキングの終了を検知したときに位置情報の生成又は送信の少なくとも一方を終了する。
本発明の一形態は、前記トラッキングデバイスと、プロット装置と、を有し、前記プロット装置は、前記位置情報を受信する位置情報受信部と、受信した前記位置情報を蓄積する位置情報蓄積部と、蓄積された前記位置情報を表示するプロット部と、を有するプロットシステムである。
本発明の一形態は、対象物にマーキングを行うマーキングステップと、前記マーキングが開始又は終了したことを検知する検知ステップと、位置情報を生成しプロット装置に対して送信する位置情報生成ステップと、を有し、前記位置情報生成ステップでは、前記検知部が前記マーキングの開始を検知したときに位置情報の生成又は送信の少なくとも一方を開始するプロット方法である。
本発明の一形態は、コンピュータに、マーキングが開始又は終了したことを検知する検知ステップと、位置情報を生成しプロット装置に対して送信する位置情報生成ステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記位置情報生成ステップでは、前記検知部が前記マーキングの開始を検知したときに位置情報の生成又は送信の少なくとも一方を開始するプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、筆記具によるマーキング箇所を電子的に管理することが可能なトラッキングデバイス、プロットシステム、プロット方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】プロットシステム100の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかるプロットシステム100の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1におけるトラッキングデバイス1の外観の一例を示す図である。
【
図4】実施の形態2にかかるプロットシステム100の構成を示すブロック図である。
【
図5A】実施の形態2におけるプロットシステム100の外観の一例を示す図である。
【
図5B】実施の形態2におけるプロットシステム100の外観の一例を示す図である。
【
図6】実施の形態3にかかるプロットシステム100の構成を示すブロック図である。
【
図7A】実施の形態3におけるプロットシステム100の外観の一例を示す図である。
【
図7B】実施の形態3におけるプロットシステム100の外観の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。はじめに
図1を用いて、本発明の実施の形態にかかるプロットシステム100の構成について説明する。プロットシステム100は、筆記具による描画又は筆記の軌跡を時系列の座標データとして取得するトラッキングデバイス1、時系列の座標データをプロットするプロット装置2を含む。
【0012】
<実施の形態1>
図2は、実施の形態1にかかるプロットシステム100の構成を示すブロック図である。実施の形態1は、マーキングを行うための筆記具等に位置情報取得機能や通信機能を有するモジュールを装着することでトラッキングデバイス1を構成し、プロット装置2をトラッキングデバイス1の外部に設けてマーキング箇所の座標データを管理するものである。
【0013】
トラッキングデバイス1は、マーキング部11、位置情報生成部13、検知部15を有する。
【0014】
マーキング部11は、対象物に対してマーキングを行うための器具であり、例えばチョーク、ペン、鉛筆、マーカ等の筆記具のほか、インクジェットプリンタ、スプレー、スタンプ等が含まれる。検査を行う人は、トンネル、橋梁及びビル等の構造物の壁面の変状箇所に対しマーキング部11を使用して直接マーキングを行う。
【0015】
位置情報生成部13は、トラッキングデバイス1の位置情報を取得してプロット装置2に送信する。
【0016】
例えば、位置情報生成部13は、プロット装置2が複数の電波発信源から放射する信号を受信及び解析し、三点測位等により、プロット装置2を原点とする相対位置を検出しても良い。この場合、例えばWi-Fi、Bluetooth(登録商標)又は光を含む電磁波あるいは音波等の信号を利用できる。又は、位置情報生成部13は、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサなどを利用した自律航法により、プロット装置2を原点とする相対位置を検出しても良い。これらの手法によれば、屋内環境であってもプロット装置2を見通せる位置であればトラッキングデバイス1の位置情報を把握することが可能である。あるいは、位置情報生成部13は、複数の発信源から送信される測位信号を受信及び解析することにより自己の位置情報を取得しても良い。典型的な手法の1つは衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)であり、例えばGPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galileo、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)等がある。
【0017】
位置情報生成部13が取得する位置情報とは、典型的には3次元座標データである。位置情報生成部13は、連続的に、すなわち所定の期間にわたって所定の時間間隔で位置情報を取得することができる。位置情報生成部13は、取得した位置情報を任意の無線又は有線通信手法を用いて、リアルタイム又は所定のタイミングでプロット装置2に送信する。
【0018】
検知部15は、マーキング部11によるマーキングの開始及び終了を検知する。例えばマーキング部11がチョーク等の筆記具やスタンプである場合、検知部15は圧力センサを備え、筆記具により筆記が行われる際の圧力変化を検出することにより、マーキングの開始及び終了を検知できる。又は、マーキング部11がインクジェットプリンタやスプレー等である場合、検知部15はインクジェットプリンタやスプレー等のトリガ操作を検出することにより、マーキングの開始及び終了を検知できる。
【0019】
図3は、本実施例におけるトラッキングデバイス1の外観の一例を示す図である。この例では、位置情報生成部13及び検知部15が実装されたユニットを、マーキング部11としてのチョークの端部又は周囲に装着することによりトラッキングデバイス1を構成している。チョークとユニットとは脱着可能であり、チョークは摩擦力によりユニット内部に保持される。チョークとユニットとの接触点又はユーザの手とユニットとの接触点には圧力センサ等が配置されており、検知部15はこれらのセンサの出力を解析することによりマーキングの開始及び終了を検知することができる。
【0020】
位置情報生成部13は、検知部15がマーキングの開始を検知したときに位置情報の提供、すなわち取得及び送信又はこれらのいずれか一方を開始することができる。また、位置情報生成部13は、位置情報の取得又は送信を開始してから所定の時間が経過したときに位置情報の取得及び送信又はこれらのいずれか一方を終了することができる。より好ましくは、位置情報生成部13は、検知部15がマーキングの終了を検知したときに位置情報の取得及び送信又はこれらのいずれか一方を終了することができる。これにより、マーキングを行っている間のみ位置情報を取得、送信できるので、より正確にマーキング箇所を把握することが可能となる。例えば、位置情報生成部13はマーキングの開始を検知したときに位置情報の取得を開始し、図示しない記憶領域に位置情報を蓄積し、プロット装置2と通信可能となったときに蓄積した位置情報を送信するよう構成しても良い。
【0021】
プロット装置2は位置情報を管理する装置であって、位置情報受信部21、位置情報蓄積部23、プロット部25を有する。プロット装置2は、典型的にはPC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、トータルステーション等に実装されうる。
【0022】
位置情報受信部21は、位置情報生成部13から送信される位置情報を受信する。位置情報蓄積部23は、位置情報受信部21が受信した位置情報を蓄積する。位置情報蓄積部23は、位置情報を取得、送信又は受信時刻あるいは取得、送信又は受信順序を示す情報と対応付けて蓄積することができる。
【0023】
プロット部25は、位置情報蓄積部23に蓄積された位置情報を表示する。位置情報は3次元空間にプロットされてもよく、所定の平面に投影された2次元の情報として表示されても良い。位置情報に時刻又は順序の情報が紐付けられていれば、位置情報を示す点を時系列順に結んだ軌跡をプロットしても良い。プロット部25がプロットする位置情報は基本的にはプロット装置2を原点とする座標系で表現されるが、位置情報生成部13が他の座標系に基づく位置情報を出力する場合は、位置情報生成部13が用いる座標系でプロットしても良い。又は、プロット装置2の座標系が、他の基点(ARマーカやトータルステーションなど)を原点とする相対的な座標系として表される場合は、当該他の基点を原点とする座標系でプロットしても良い。
【0024】
本実施の形態によれば、プロットシステム100は人がマーキングを行った箇所の位置情報を電子的に取得及び管理することにより、マーキング箇所を効率的かつ正確に把握することができる。
【0025】
<実施の形態2>
図4は、実施の形態2にかかるプロットシステム100の構成を示すブロック図である。実施の形態2は、マーキングを行うための筆記具等の外部にトラッキングデバイス1及びプロット装置2を設けるものである。
【0026】
図5Aは、本実施例におけるプロットシステム100の外観の一例を示す図である。この例では、上肢装着型デバイスの筐体内に、トラッキングデバイス1及びプロット装置2の一部又は全部の機能が実装されている。上肢装着型デバイスは、典型的にはスマートフォンや、スマートウォッチ等の小型デバイスであり、ユーザが筆記具等を保持してマーキングを行う方の上肢(例えば手首、腕、指等)に装着される。
【0027】
トラッキングデバイス1は、位置情報生成部13及び検知部15を有する。プロット装置2は、位置情報受信部21、位置情報蓄積部23及びプロット部25を有する。
【0028】
位置情報生成部13は、トラッキングデバイス1の位置情報を取得してプロット装置2に送信する。
【0029】
例えば、位置情報生成部13はカメラを備えており、カメラの視野内にはARマーカなどの基点が予め設置されているものとする。位置情報生成部13は、カメラによりARマーカを含む画像を撮影し、ARマーカの角度や大きさ等を解析することによりARマーカを原点とする自己の座標を算出することができる。また、位置情報生成部13は、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサなどを利用した自律航法により自己の位置の変化を検出することもできる。
【0030】
検知部15は、例えば筆記具等によりマーキングを行う際に発生する音、速度又は加速度等の変化を各種センサを介して検出することにより、マーキングの開始及び終了を検知できる。この場合、プロットシステム100としての上肢装着型デバイスはユーザが筆記具等を保持する方の腕に装着されていることが好ましい。又は、検知部15はマーキングの開始又は終了を示すユーザ操作、例えば所定のタップ操作、ジェスチャ又は音声等を検出することにより、マーキングの開始及び終了を検知できる。
【0031】
位置情報生成部13は、実施の形態1と同様に、検知部15がマーキングの開始を検知したときに位置情報の取得及び送信又はこれらのいずれか一方を開始することができる。
また、位置情報生成部13は、位置情報の取得又は送信を開始してから所定の時間が経過したときに位置情報の取得及び送信又はこれらのいずれか一方を終了することができる。
又は、位置情報生成部13は、検知部15がマーキングの終了を検知したときに位置情報の取得及び送信又はこれらのいずれか一方を終了することができる。
【0032】
なお、位置情報生成部13は、予め設定されたトラッキングデバイス1と筆記具等とのオフセット(座標の差分)を予め保持しておき、トラッキングデバイス1の位置情報にオフセットを加味することで、筆記具等の位置情報を生成し、送信しても良い。
【0033】
プロット装置2の位置情報受信部21は、位置情報生成部13が生成した位置情報を随時又は所定のタイミングで取得し、実施の形態1と同様に位置情報蓄積部23に蓄積する。プロット部25は、位置情報蓄積部23に蓄積された位置情報を頭部装着型デバイスのディスプレイに表示する。
【0034】
なお、
図5Bに示すように、プロット装置2の一部又は全部の処理部は上肢装着型デバイスでなく、外部の情報処理装置(PC等)に実装されても良い。例えばプロット部25のみを外部のPCに実装する場合、プロット部25は上肢装着型デバイスの位置情報蓄積部23に蓄積された位置情報を有線又は無線の通信手段により読み出してプロットを実施する。
【0035】
本実施の形態によっても、プロットシステム100は人がマーキングを行った箇所の位置情報を電子的に取得及び管理することにより、マーキング箇所を効率的かつ正確に把握することができる。特に、スマートフォンなどの汎用的なデバイスのみでシステムを構成できるため、導入が容易である。
【0036】
<実施の形態3>
図6は、実施の形態3にかかるプロットシステム100の構成を示すブロック図である。実施の形態3も、マーキングを行うための筆記具等の外部にトラッキングデバイス1及びプロット装置2を設けるものである。
【0037】
図7Aは、本実施例におけるトラッキングデバイス1の外観の一例を示す図である。この例では、頭部装着型デバイスの筐体内に、トラッキングデバイス1及びプロット装置2の一部又は全部の機能が実装されている。頭部装着型デバイスは、典型的にはカメラ、デプスセンサ及び透過型ディスプレイを有するHMD(Head Mounted Display)であり、例えばHololens(登録商標)等が含まれる。デプスセンサは、現実空間をスキャンして近距離の物体の形状を示す3次元点群データを取得することができる。透過型ディスプレイは、現実空間と任意の情報とを同時にユーザに視認させる。
これは例えば光学透過又はビデオ透過ディスプレイ上に任意の情報を重畳表示することにより実現可能である。頭部装着型デバイスは、筆記具等を保持してマーキングを行うユーザの頭部に装着される。
【0038】
トラッキングデバイス1は、位置情報生成部13及び検知部15を有する。プロット装置2は、位置情報受信部21、位置情報蓄積部23及びプロット部25を有する。
【0039】
位置情報生成部13は、マーキングを行うユーザの筆記具等の位置を検出し、プロット装置2に送信する。
【0040】
例えば、位置情報生成部13はカメラ及びデプスセンサを備えており、深度情報付きの画像データを連続的に取得することができる。位置情報生成部13は画像データを解析することにより筆記具等を検出する。この検出は種々の公知技術を用いて実現可能である。
また、位置情報生成部13は検出した筆記具等の3次元点群データを取得し、その代表点の座標を生成して筆記具等の位置とする。筆記具等の位置は、頭部装着型デバイス固有の座標系における任意の原点からの相対位置として表される。
【0041】
カメラの視野内にARマーカなどの基点が予め設置されている場合、位置情報生成部13は、カメラによりARマーカを含む画像を撮影し、ARマーカの角度や大きさ等を解析することによりARマーカを原点とする自己(頭部装着型デバイス)の位置の座標を算出することができる。この場合、位置情報生成部13は、頭部装着型デバイス固有の座標系における筆記具等の位置情報を、ARマーカを原点とする座標系における位置情報に変換することが可能である。
【0042】
位置情報生成部13は、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサなどを利用した自律航法により自己の位置の変化を検出することも可能である。
【0043】
検知部15は、カメラで取得できる画像データに基づいてマーキングの開始及び終了を検知できる。例えば、検知部15はマーキングの開始又は終了を示すユーザのジェスチャ又は音声等を検出することにより、マーキングの開始及び終了を検知できる。
【0044】
位置情報生成部13は、実施の形態1と同様に、検知部15がマーキングの開始を検知したときに位置情報の取得及び送信又はこれらのいずれか一方を開始することができる。
また、位置情報生成部13は、位置情報の取得又は送信を開始してから所定の時間が経過したときに位置情報の取得及び送信又はこれらのいずれか一方を終了することができる。
又は、位置情報生成部13は、検知部15がマーキングの終了を検知したときに位置情報の取得及び送信又はこれらのいずれか一方を終了することができる。
【0045】
位置情報受信部21は、位置情報生成部13が生成した位置情報を随時又は所定のタイミングで取得し、実施の形態1と同様に位置情報蓄積部23に蓄積する。プロット部25は、位置情報蓄積部23に蓄積された位置情報を頭部装着型デバイスのディスプレイに表示する。
【0046】
なお、
図7Bに示すように、プロット装置2の一部又は全部の処理部は頭部装着型デバイスでなく、外部の情報処理装置(PC等)に実装されても良い。例えばプロット部25のみを外部のPCに実装する場合、プロット部25は頭部装着型デバイスの位置情報蓄積部23に蓄積された位置情報を有線又は無線の通信手段により読み出してプロットを実施する。
【0047】
本実施の形態によっても、プロットシステム100は人がマーキングを行った箇所の位置情報を電子的に取得及び管理することにより、マーキング箇所を効率的かつ正確に把握することができる。特に、デプスセンサ付きHMDなどの汎用的なデバイスのみでシステムを構成できるため、導入が容易である。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態において示した各種処理手段のソフトウェア又はハードウェアによる実装方法はあくまで一例であり、他の手法で代替されても良い。例えば、実施の形態では同一の筐体内に実装することとした複数の処理手段を、複数の異なるハードウェアとして提供することができる。又は、実施の形態では異なるハードウェアに実装することとした複数の処理手段を、1つのハードウェアに実装することができる。また、任意の処理手段又は処理手段のうち一部の機能をクラウドコンピューティング、エッジコンピューティング、フォグコンピューティング等の技術により実現することとしても良い。
【0049】
また、上述の実施の形態において示した通信手法、センシング手法はあくまで一例であり、同等の機能を有する他の手法によって代替されても良い。
【0050】
また本発明を構成する各処理手段は、ハードウェアにより構成されるものであってもよく、任意の処理をCPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現するものであってもよい。また、コンピュータプログラムは、様々なタイプの一時的又は非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば有線又は無線によりコンピュータに供給される電磁的な信号を含む。
【符号の説明】
【0051】
100 プロットシステム
1 トラッキングデバイス
11 マーキング部
13 位置情報生成部
15 検知部
2 プロット装置
21 位置情報受信部
23 位置情報蓄積部
25 プロット部