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特許7480259エレベータ装置およびエレベータ装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】エレベータ装置およびエレベータ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20240430BHJP
   B66B 1/16 20060101ALI20240430BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B1/16 L
B66B3/00 L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022181868
(22)【出願日】2022-11-14
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】弁理士法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】布志木 宏和
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-131209(JP,A)
【文献】特開2006-327764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/14
B66B 1/16
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の非接触による操作もしくは利用者の接触による操作により行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する操作パネルと、
非接触による前記操作パネルの操作を有効とするか否かを決定する有効決定部と、
前記操作パネルが出力した信号および前記有効決定部による決定結果に基づいて乗りかごの運転を制御する制御装置と、
を備え、
前記有効決定部は、前記乗りかご内を撮影するカメラの画像に基づいて、新たに乗車した利用者の動線を解析する動線解析部を有し、
前記有効決定部は、前記操作パネルの非接触による操作が新たに乗車した利用者による操作であり、その非接触による操作が新たに乗車した利用者が乗車してから所定の時間以内に行われた操作であると前記動線解析部が解析した場合、新たに乗車した前記利用者による前記操作パネルの非接触による前記操作パネルの操作を有効であると決定する、
エレベータ装置。
【請求項2】
前記有効決定部は、新たに乗車した利用者が乗車してから所定の時間以内に前記操作パネルの前の所定の領域の外に出たと前記動線解析部が解析した場合、新たに乗車した前記利用者による前記操作パネルの前の所定の領域内における非接触による前記操作パネルの操作を有効であると決定する、
請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項3】
前記有効決定部は、
前記乗りかごが着床してから所定の時間を経過するまで、非接触による前記操作パネルの操作を有効であると決定する、
請求項1または2に記載のエレベータ装置。
【請求項4】
さらに、前記乗りかご内に乗車する利用者の重量を計測する重量計測装置を備え、
前記有効決定部は、前記重量計測装置が計測した重量が所定の値以上である場合、非接触による前記操作パネルの操作を無効であると決定する、
請求項1または2に記載のエレベータ装置。
【請求項5】
前記操作パネルは、前記有効決定部が非接触による前記操作パネルの操作を無効と決定していることを示す表示部を有する、
請求項1または2に記載のエレベータ装置。
【請求項6】
利用者の非接触による操作もしくは利用者の接触による操作により行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する操作パネルと、
非接触による前記操作パネルの操作を有効とするか否かを決定する有効決定部と、
前記操作パネルが出力した信号および前記有効決定部による決定結果に基づいて乗りかごの運転を制御する制御装置と、
前記乗りかご内に乗車する利用者の重量を計測する重量計測装置と、
を備え、
前記有効決定部は、前記重量計測装置による計測結果に基づいて前記乗りかご内が混雑状態にあるか否かを判定し、前記乗りかご内が混雑状態にあると判定した場合、非接触による前記操作パネルの操作を無効であると決定する、
エレベータ装置。
【請求項7】
前記有効決定部は、
前記重量計測装置による計測結果に基づいて前記乗りかごに乗車した利用者の人数を推定し、推定した利用者の人数が所定の人数以上である場合、前記乗りかご内が混雑状態にあると判定する、
請求項6に記載のエレベータ装置。
【請求項8】
利用者の非接触による操作により行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する非接触操作パネルと、
利用者の接触による操作により行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する接触操作パネルと、
前記非接触操作パネルが出力した信号を有効とするか否かを決定する有効決定部と、
前記非接触操作パネルもしくは前記接触操作パネルが出力した信号および前記有効決定部による決定結果に基づいて乗りかごの運転を制御する制御装置と、
を備え、
前記有効決定部は、前記乗りかご内を撮影するカメラの画像に基づいて、新たに乗車した利用者の動きを解析する動線解析部を有し、
前記有効決定部は、前記動線解析部が、新たに乗車した利用者が乗車してから所定の時間以内に前記非接触操作パネルの前の所定の領域の外に出たと解析した場合、新たに乗車した前記利用者による前記操作パネルの前の所定の領域内における非接触による前記非接触操作パネルの操作を有効であると決定する、
エレベータ装置。
【請求項9】
利用者により非接触もしくは接触による操作により操作パネルから行先階もしくは行先階の方向を示す情報を入力する入力工程と、
乗りかご内を撮影するカメラの画像に基づいて、操作パネルの前の所定の領域内に前記利用者がいるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程における判定結果に基づいて、前記利用者の非接触による前記操作パネルの操作を有効とするか否かを決定する有効決定工程と、
前記操作パネルが出力した信号および前記有効決定工程における決定結果に基づいて乗りかごの運転を制御する工程と、
を含み、
前記有効決定工程は、乗りかご内を撮影するカメラの画像に基づいて、新たに乗車した利用者の動きを解析する動線解析工程を含み、
前記有効決定工程では、前記動線解析工程において、新たに乗車した利用者が乗車してから所定の時間以内に前記操作パネルの前の所定の領域の外に出たと解析された場合、新たに乗車した前記利用者による前記操作パネルの前の所定の領域内における非接触による前記操作パネルの操作を有効であると決定する、
エレベータ装置の制御方法。
【請求項10】
利用者により非接触もしくは接触による操作により操作パネルから行先階もしくは行先階の方向を示す情報を入力する入力工程と、
乗りかご内に乗車する利用者の重量を計測する重量計測工程と、
前記重量計測工程において計測した重量が所定の値以上である場合、前記乗りかご内が混雑状態にあると判定する混雑判定工程と、
前記混雑判定工程における判定結果に基づいて、前記利用者の非接触による前記操作パネルの操作を有効とするか否かを決定する有効決定工程と、
前記操作パネルが出力した信号および前記有効決定工程における決定結果に基づいて乗りかごの運転を制御する工程と、
を含むエレベータ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ装置およびエレベータ装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染症防止の観点から、非接触検知器を利用した非接触で入力可能な操作パネル(呼びボタン)の利用が増えている。非接触で入力可能な操作パネルを利用する場合、乗りかご内の混雑時における利用者の寄りかかり等に起因して、利用者の操作意思に反した行先階等が入力されることが懸念される。利用者の操作意思に反した行先階が入力されると不要な階への着床が増え、エレベータ装置の運用効率が低下することになる。また、目的とする行先階への到着が遅くなるので、利用者の満足度を低下させることになる。
【0003】
この対策として、利用者の特定の姿勢を条件にすることで非接触入力による誤操作を防止する技術や、複数のボタンの中で優先順位を設定することで非接触入力による誤操作を防止する技術が検討されている。
【0004】
このような誤操作を防止する技術は、乗りかご内に乗車した利用者の人数が少数であり、乗車した利用者それぞれの姿勢や動作を特定できることを前提としている。しかしながら、乗りかご内が混雑している場合には、乗車した利用者それぞれの姿勢や動作を特定することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6506203号公報
【文献】特許第6962418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の事情によりなされたもので、非接触で入力可能な操作パネルからの利用者の操作意思に反した入力を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための実施形態に係るエレベータ装置は、操作パネルと有効決定部と制御装置とを備える。操作パネルは、利用者の非接触による操作もしくは利用者の接触による操作により行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する。有効決定部は、非接触による操作パネルの操作を有効とするか否かを決定する。制御装置は、操作パネルが出力した信号および有効決定部による決定結果に基づいて乗りかごの運転を制御する。有効決定部は、乗りかご内を撮影するカメラの画像に基づいて、新たに乗車した利用者の動線を解析する動線解析部を有する。有効決定部は、操作パネルの非接触による操作が新たに乗車した利用者による操作であり、その非接触による操作が新たに乗車した利用者が乗車してから所定の時間以内に行われた操作であると動線解析部が解析した場合、新たに乗車した利用者による操作パネルの非接触による操作パネルの操作を有効であると決定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るエレベータ装置の斜視図である。
図2】本実施形態に係る乗りかごの内部を示す図である。
図3】本実施形態に係るエレベータ装置の制御系を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る制御ユニットの物理的なブロック図である。
図5】本実施形態に係る制御ユニットの機能的なブロック図である。
図6】本実施形態に係るエレベータ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図7】本実施形態に係るエレベータ装置の動作を説明するため図である。
図8】本実施形態に係るエレベータ装置の動作を説明するため図である。
図9】本実施形態に係るエレベータ装置の動作を説明するため図である。
図10】本実施形態に係るエレベータ装置の動作を説明するため図である。
図11】本実施形態に係るエレベータ装置の動作を説明するため図である。
図12】本実施形態に係るエレベータ装置の動作を説明するため図である。
図13】本実施形態に係るエレベータ装置の動作を説明するため図である。
図14】本実施形態に係るエレベータ装置の動作を説明するため図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態を、図面を用いて説明する。説明には、適宜、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系を用いる。本実施形態の説明に用いる図およびフローチャートは一例を示すものである。
【0010】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係るエレベータ装置10の斜視図である。エレベータ装置10は、商業施設や居住施設などの建築物に設けられた昇降路100の内部に配置されている。図1に示されるように、エレベータ装置10は、乗りかご31、カウンタウエイト50、昇降モータ40、ガイドレール21~24、制御盤70を有している。
【0011】
ガイドレール21~24それぞれは、長手方向をZ軸方向とする部材である。ガイドレール21と22は、乗りかご31を昇降自在にガイドするための一対の部材である。また、ガイドレール23と24は、カウンタウエイト50を昇降自在にガイドするための一対の部材である。ガイドレール21とガイドレール22は、Y軸方向に離間して配置されている。また、ガイドレール23と24も、同様にY軸方向に相互に離間して配置されている。図1では、カウンタウエイト50のガイドレール23と24が、乗りかご31のガイドレール21と22に対してX軸方向に離間して配置されている。なお、ガイドレール21~24の配置は、図1に示される配置に限定されるものではない。
【0012】
乗りかご31は、利用者を収容して昇降路100を昇降するユニットである。乗りかご31は、ガイドレール21と22の間に配置され、ガイドレール21と22に対して、上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0013】
乗りかご31の+X側の側面には、内部に出入りするための開口部31aが形成されている。開口部31aは、乗りかご31の側面に沿って移動する一対の扉32によって、閉塞或いは開放される。扉32は、開閉モータ(図1では、図示略)によって開閉される。
【0014】
カウンタウエイト50は、ガイドレール23と24に対して、上下方向に移動可能に取り付けられている。カウンタウエイト50の重量は、乗りかご31の重量に対して所定の割合になるように調整されている。
【0015】
昇降モータ40は、乗りかご31を昇降させるためのモータである。昇降モータ40は、昇降路100の上部に、回転軸がY軸に平行になるように配置されている。昇降モータ40の回転軸にはプーリー42が固定されている。
【0016】
昇降モータ40のプーリー42には、ワイヤ60が巻き回されている。ワイヤ60は、一端が、乗りかご31に固定され、他端が、カウンタウエイト50に固定されている。
【0017】
図2は、乗りかご31の内部を示す図である。図2に示されるように、乗りかご31には、操作パネル36とカメラ38が設けられている。操作パネル36とカメラ38は、複数設けられていてもよい。図2には記載されていないが、乗りかご31の床下には、重量計測装置39が設けられている。
【0018】
図2に示す操作パネル36は、乗りかご31の内壁面に設けられている。操作パネル36が2個設けられる場合、操作パネル36は、例えば、乗りかご31の入り口付近と入り口から離れた奥側の内壁面に設けられる。操作パネル36は、乗りかご31の利用者から、行き先階などを受け付けるためのインタフェースである。操作パネル36は、利用者の非接触による操作もしくは利用者の接触による操作により、行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する。利用者は、操作パネル36を操作することで、乗りかご31の行き先階などの登録や、扉32の開閉を指示することができる。
【0019】
操作パネル36は、フロア階を示す「1」、「2」、「3」等の数字や、扉32の開閉を指示する「開」、「閉」等が表記された接触センサもしくは押しボタンスイッチで構成された複数のスイッチにより構成されている。また、操作パネル36を構成する各スイッチは、非接触センサを内蔵している。非接触センサは、例えば、投光器および受光器が一体になった反射型光電センサである。非接触センサにおいて、投光器が赤外線などの光を照射し、受光器が赤外線などの光を照射された物体からの反射光を受光する。非接触センサは、受光器が受講した受光量に基づいて、近接している物体の有無を検出する。ここで物体とは、例えば、行先階を登録するための操作を行う利用者の指を想定している。非接触センサは、利用者の体や荷物にも反応する。非接触センサは、反射型光電センサの受光器側の受光量の閾値を調節することにより、非接触センサの検出距離を調節することができる。非接触センサは、例えば、操作パネル36から5cm以内に接近している利用者の指を検出するように設定されている。操作パネル36は、非接触センサが利用者の指を検出した場合、該当する行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する。複数の非接触センサが閾値以上の光を受信した場合、例えば、操作パネル36は、最も受光量が多い非接触センサが示す行先階等を示す信号を出力する。
【0020】
操作パネル36は、接触センサもしくは接触操作により動作するスイッチに加えて非接触センサを内蔵しているので、接触操作に基づく行先階もしくは行先階の方向を示す信号出力と、非接触操作に基づく行先階もしくは行先階の方向を示す信号出力の、2種類の信号出力を有している。
【0021】
操作パネル36は、後述する有効決定部88が非接触による操作パネル36の操作を無効と決定していることを示す表示部365を有している。表示部365は、液晶パネルやLED等で構成される。また、操作パネル36は、非接触による操作パネル36の操作を無効とすることを解除する解除キー366を有している。この解除キー366が押された場合、後述する有効決定部88は、乗りかご31内の混雑状況や操作パネル36の前の所定の領域に利用者がいるか否かにかかわらず、非接触による操作パネル36の操作を有効であると決定する。また、操作パネル36は、非接触による操作パネル36の操作を無効とする無効キー367を有している。この無効キー367が押された場合、有効決定部88は、乗りかご31内の混雑状況や操作パネル36の前の所定の領域に利用者がいるか否かにかかわらず、非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定する。なお、表示部365は、解除キー366もしくは無効キー367が押されたことを表示するための表示部を有していてもよい。
【0022】
カメラ38は、乗りかご31の天井もしくは内壁面上方に設けられている。カメラ38は、乗りかご31内に乗車した利用者を撮影する装置である。カメラ38は、乗りかご31に乗車した全ての人を撮影できるように配置されている。また、カメラ38は、操作パネル36付近に利用者が接近しているか否かを判定できる画像を撮影できるように配置されている。カメラ38は、乗りかご31の床面全体を撮影する1または2以上のカメラ、操作パネル36の前の所定の領域を撮影するカメラというように、複数のカメラで構成されていてもよい。
【0023】
重量計測装置39(図2では図示略)は、乗りかご31の床下に設けられ、乗りかご31の重量を計測することで、乗りかご31に乗車した利用者の重量を計測する。
【0024】
図1に戻り、制御盤70は、昇降路100に配置されている。制御盤70には、昇降モータ40や、乗りかご31に設けられた機器を制御するための制御装置が収容されている。
【0025】
図3は、エレベータ装置10の制御系を示すブロック図である。制御系は、制御盤70に収容される制御ユニット80および駆動ユニット91と、乗りかご31に設けられる操作パネル36、カメラ38、重量計測装置39を含んで構成される。
【0026】
駆動ユニット91は、昇降モータ40、乗りかご31の扉32および各階の乗り場に設けられた扉を駆動する開閉モータ41(図1では図示略)に電力を供給するための電源や、インバータなどを備えている。駆動ユニット91は、制御ユニット80からの指示に基づいて、昇降モータ40を駆動する。また、駆動ユニット91は、制御ユニット80からの指示に基づいて、開閉モータ41を駆動する。
【0027】
上述した操作パネル36、カメラ38、重量計測装置39などは、図1に示されるケーブル71を介して、制御盤70に収容される制御ユニット80に接続されている。利用者は、操作パネル36を操作することで、制御ユニット80に、行き先階などを登録することができる。
【0028】
図4は、制御ユニット80の物理的なブロック図である。制御ユニット80は、バス85を介して相互接続されるCPU(Central Processing Unit)81、主記憶部82、補助記憶部83、およびインタフェース部84を有するコンピュータである。
【0029】
CPU81は、補助記憶部83に記憶されているプログラムに従って、後述する処理を実行する。主記憶部82は、RAM(Random Access Memory)等を有している。主記憶部82は、CPU81の作業領域として用いられる。補助記憶部83は、ROM(Read Only Memory)、半導体メモリ等の不揮発性メモリを有している。補助記憶部83は、CPU81が実行するプログラム、および各種パラメータなどを記憶している。インタフェース部84は、シリアルインタフェース、パラレルインタフェース、無線LANインタフェースなどを有している。操作パネル36、カメラ38、重量計測装置39、および駆動ユニット91は、インタフェース部84を介して、CPU81に接続される。
【0030】
上述のように構成されるエレベータ装置10では、CPU81が、操作パネル36、カメラ38、重量計測装置39からの入力に基づいて、駆動ユニット91を制御する。例えば、CPU81が、駆動ユニット91を介して、昇降モータ40を正転させると、乗りかご31が上昇するとともに、カウンタウエイト50が下降する。CPU81が、駆動ユニット91を介して、昇降モータ40を逆転させると、乗りかご31が下降するとともに、カウンタウエイト50が上昇する。また、CPU81が、駆動ユニット91を介して、開閉モータ41を正転させると、乗りかご31の扉32および各階の乗り場に設けられた扉は戸開制御され、開閉モータ41を逆転させると、乗りかご31の扉32および各階の乗り場に設けられた扉は戸閉制御される。
【0031】
図5は、制御ユニット80の非接触で入力可能な操作パネル36からの利用者の操作意思に反した入力を抑制するための機能的なブロック図である。制御ユニット80は、混雑判定部86、領域状態判定部87、有効決定部88、かご呼び制御部89を有する。
【0032】
混雑判定部86は、重量計測装置39が計測した重量が所定の値以上である場合、乗りかご31内が混雑状態にあると判定する。具体的には、混雑判定部86は、重量計測装置39の計測した重量から乗りかご31の重量を引いた値が予め設定した閾値を超えた場合、乗りかご31内が混雑状態にあると判定する。例えば利用者1人当たりの平均体重を60kgと仮定した場合、重量計測装置39の計測した重量から乗りかご31の重量を引いた値を利用者1人当たりの平均体重60kgで割った値は、乗りかご31に乗車している利用者の人数に相当する。したがって、乗りかご31に乗車している利用者の人数が、乗りかご31の広さに応じて予め記憶部に設定された閾値となる人数を超えた場合、乗りかご31内が混雑状態であると判定することができる。
【0033】
領域状態判定部87は、画像解析ソフトを用いて乗りかご31内を撮影するカメラ38の画像を解析し、操作パネル36の前の所定の領域内に利用者がいるか否かを判定する。操作パネル36を操作する利用者の指や手が操作パネル36の前の所定の領域内にある状態は、操作パネル36の前の所定の領域内に利用者がいる状態に含まれない。所定の領域は、操作パネル36が内蔵する非接触センサの検知範囲を考慮して、予め設定される。例えば、所定の領域内は、操作パネル36から10cmとか20cm以内の領域である。
【0034】
有効決定部88は、非接触による操作パネル36の操作を有効とするか否かを決定する。具体的には、有効決定部88は、混雑判定部86が乗りかご31内が混雑状態にあると判定した場合、非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定する。また、有効決定部88は、領域状態判定部87が乗りかご31内を撮影するカメラ38の画像に基づいて、操作パネル36の前の所定の領域内に利用者がいると判定した場合、非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定とする。
【0035】
有効決定部88は、新たに乗車した利用者の動線を解析する動線解析部881を有している。動線解析部881は、乗りかご31内を撮影するカメラ38の画像に基づいて、画像解析ソフトを用いて、新たに乗りかご31に乗車した利用者の乗りかご31内の動線を解析する。例えば、動線解析部881は、新たに乗りかご31に乗車した利用者について、扉32の開口部31aから操作パネル36前の所定の領域への移動、所定の領域内に滞在した時間、所定の領域内から領域外への移動等を解析する。
【0036】
有効決定部88は、動線解析部881による解析結果と操作パネル36が操作されたタイミングに基づいて、非接触による操作パネル36の操作を有効とするか否かを決定する。例えば、有効決定部88は、動線解析部881が、新たに乗車した利用者が操作パネル36の前の所定の領域に入り、乗車してから所定の時間以内に操作パネル36の前の所定の領域から出たと解析した場合、新たに乗車した利用者による操作パネル36の前の所定の領域内における非接触による操作パネル36の操作を有効であると決定する。所定の時間以内とは、例えば、利用者が乗りかご31に乗車後3秒以内である。
【0037】
なお、有効決定部88は、操作パネル36の解除キー366が押された場合、乗りかご31内の混雑状況や操作パネル36の前の所定の領域に利用者がいるか否かにかかわらず、非接触による操作パネル36の操作を有効であると決定する。また、有効決定部88は、操作パネル36の無効キー367が押された場合、乗りかご31内の混雑状況や操作パネル36の前の所定の領域に利用者がいるか否かにかかわらず、非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定する。
【0038】
かご呼び制御部89は、操作パネル36が出力した信号および有効決定部88による決定結果に基づいて、駆動ユニット91を駆動して乗りかご31の運転を制御する制御装置である。
【0039】
次に、図6に示されるフローチャートを参照しながら、有効決定部88が行う非接触による操作パネル36の操作を有効とするか否かを決定する処理(有効決定工程)について説明する。下記の制御は、補助記憶部83に記憶されたプログラムに基づいて行われ、制御の主体は物理的にはCPU81であり、機能的には混雑判定部86、領域状態判定部87、有効決定部88である。なお、ここでは、図7乃至図14に示すように、乗りかご31の入り口付近の内壁面に操作パネル361、乗りかご31の奥側の内壁面に操作パネル362が設けられている場合について説明する。また、操作パネル361の前の所定の領域を領域E1、操作パネル362の前の所定の領域を領域E2として以下の説明を行う。
【0040】
図6に示されるフローチャートは、乗りかご31が所定のフロアに着床するとスタートされる。有効決定部88は、乗りかご31の扉32の戸開を完了しているか否かを判断する(ステップS11)。扉32の戸開を完了しているか否かの情報は、各種センサにより取得され、制御ユニット80に伝達されるので、制御ユニット80に含まれる有効決定部88は、この情報を使用することができる。有効決定部88は、扉32の戸開を完了していない場合(ステップS11:No)、非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定する(ステップS17)。利用者は、乗りかご31に乗車した直後に操作パネル36を操作することが多い。つまり、利用者の操作意思に基づく操作パネル36の操作は、乗りかご31の扉32の戸開を完了している期間に行われる確率が高い。また、非接触による操作パネル36の操作は、接触による操作パネル36の操作よりも利用者の操作意思に反した入力となる確率が高い。したがって、本実施形態では、利用者の操作意思に反した入力となる確率が高い乗りかご31の扉32の戸開を完了していない期間における非接触による操作パネル36の操作を無効としている。
【0041】
一方、扉32の戸開を完了している場合(ステップS11:Yes)、混雑判定部86は、乗りかご31内に乗車する利用者の重量を計測する重量計測装置39の計測結果に基づいて乗りかご31内が混雑状態にあるか否かを判定する(ステップS12)。乗りかご31内が混雑状態にあると判定された場合(ステップS12:Yes)、有効決定部88は、非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定する(ステップS17)。例えば、混雑判定部86は、重量計測装置39の計測結果に基づいて乗りかご内の人数を推定し、乗りかご31内の人数が閾値以上である場合、乗りかご31内が混雑状態にあると判定する。
【0042】
図7は、乗りかご31内が混雑状態である場合を示している。Aは、乗りかご31が任意のフロアに着床する前から乗車している利用者を示している。Bは、任意のフロアで乗りかご31に乗車する利用者を示している。乗りかご31内は混雑状態であるが、操作パネル361の前の所定の領域E1、操作パネル362の前の所定の領域E2に利用者がいない状態である。乗りかご31内が混雑状態にある場合、操作パネル361の前の所定の領域E1、操作パネル362の前の所定の領域E2に利用者がいない場合でも、有効決定部88は、非接触による操作パネル361および操作パネル362の操作を無効であると決定する。乗りかご31内が混雑状態にある場合、非接触による入力は、利用者の操作意思に反した入力となる可能性が高いからである。
【0043】
図8は、混雑状態にある乗りかご31に利用者Bが乗車し、操作パネル361を操作した場合を示している。乗りかご31内が混雑状態にある場合、乗りかご31に乗車した利用者Bが乗車してから所定の時間(例えば、3秒)以内に操作パネル361を操作した場合でも、有効決定部88は、非接触による操作パネル361の操作を無効であると決定する。乗りかご31内が混雑状態にある場合、非接触による入力は、利用者の操作意思に反した入力となる可能性が高いからである。
【0044】
混雑判定部86が乗りかご31内が混雑状態ではないと判定した場合(ステップS12:No)、領域状態判定部87は、操作パネル361および362の前に人がいるか否かを判定する(ステップS13)。操作パネル361の前の所定の領域E1、もしくは、操作パネル362の前の所定の領域E2に利用者がいる場合(ステップS13:Yes)、有効決定部88は、新たに乗車した利用者が乗車してから所定の時間(例えば、3秒)以内に、操作パネル361の前の所定の領域E1もしくは操作パネル362の前の所定の領域E2の外に新たに乗車した利用者が出たか否かを解析する(ステップS14)。新たに乗車した利用者が所定の時間以内にその領域の外に出ていないと解析した場合(ステップS14:No)、有効決定部88は、新たに乗車した利用者による操作パネル361もしくは操作パネル362の非接触による操作を無効であると決定する(ステップS17)。一方、新たに乗車した利用者が所定の時間以内に、領域E1もしく領域E2の外に出たと解析した場合(ステップS14:Yes)、有効決定部88は、制御をステップS15に移行する。
【0045】
また、操作パネル361の前の所定の領域E1、もしくは、操作パネル362の前の所定の領域E2に利用者がいない場合(ステップS13:No)、有効決定部88は、制御をステップS15に移行する。操作パネル36の前の所定の領域に利用者がいない場合、利用者の操作意思に反した入力となる可能性が低いからである。
【0046】
ステップS15では、有効決定部88は、扉32の戸閉が開始されたか否かを判断する(ステップS15)。扉32の戸閉が開始された場合(ステップS15:Yes)、有効決定部88は、非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定する(ステップS17)。扉32の戸閉が開始された場合に非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定する理由は、乗りかご31の扉32の戸閉が開始されるまでには、扉32の戸開を完了してから所定の時間を経過しており、利用者の操作意思に基づく操作パネル36の操作が完了している確率が高いからである。したがって、本実施形態では、利用者の操作意思に反した入力となる確率が高い乗りかご31の扉32の戸閉を開始した後の非接触による操作パネル36の操作を無効としている。
【0047】
一方、扉32の戸閉が開始される前である場合(ステップS15:No)、有効決定部88は、非接触による操作パネル36の操作を有効であると決定する(ステップS16)。ステップS11およびステップS15の処理により、有効決定部88は、乗りかご31が着床してから所定の時間を経過するまで、非接触による操作パネル36の操作を有効であると決定している。ここでは、所定の時間を扉32か戸開してから戸閉するまでの時間としている。以上で、有効決定部88が行う非接触による操作パネル36の操作を有効とするか否かを決定する処理についての説明を終了する。
【0048】
ここで、乗りかご31内が混雑状態でない場合における有効決定部88の動作について説明する。図9は、乗りかご31内が混雑状態でない場合を示している。Aは、乗りかご31が任意のフロアに着床する前から乗車している利用者を示している。Bは、任意のフロアで乗りかご31に乗車する利用者を示している。操作パネル361の前の所定の領域E1、操作パネル362の前の所定の領域E2に利用者がいない状態である。乗りかご31内が混雑状態でなく、操作パネル361の前の所定の領域E1に利用者がいない場合、有効決定部88は、ステップS15の判断に基づいて、非接触による操作パネル361の操作を有効であると決定する。また、乗りかご31内が混雑状態でなく、操作パネル362の前の所定の領域E2に利用者がいない場合、有効決定部88は、ステップS15の判断に基づいて、非接触による操作パネル362の操作を有効であると決定する。操作パネル361および操作パネル362の付近に利用者がいない場合、非接触による入力が利用者の操作意思に反した入力となる可能性が低いからである。
【0049】
図10は、混雑状態でない乗りかご31に利用者Bが乗車し、操作パネル361の前の所定の領域E1内で操作パネル361を操作した場合を示している。乗りかご31内が混雑状態でない場合で、乗りかご31に乗車した利用者Bが乗車してから所定の時間(例えば、3秒)以内に操作パネル361の前の所定の領域E1の外に出た場合、有効決定部88は、ステップS15の判断に基づいて、非接触による操作パネル361の操作を有効であると決定する。利用者は、乗車してから短時間内に行先階を入力する確率が高い。したがって、乗車した利用者Bが乗車してから所定の時間(例えば、3秒)以内に操作パネル361の前の所定の領域E1の外に出た場合、その利用者が操作パネル361の前の所定の領域E1内で行った非接触による入力は、利用者Bの操作意思に反した入力である可能性が低い。一方、乗車した利用者Bが乗車してから所定の時間(例えば、3秒)以上経過しても操作パネル361の前の所定の領域E1から出ない場合、操作された非接触による入力は、利用者Bの寄りかかり等による操作意思に反した入力である可能性が高い。このように、有効決定部88は、利用者Bの動線を考慮して非接触による操作パネル361の操作を無効であるか否かを決定する。
【0050】
図11は、乗りかご31内が混雑状態でない場合を示している。操作パネル361の前の所定の領域E1内に利用者がいないが、操作パネル362の前の所定の領域E2には利用者Aがいる状態である。乗りかご31内が混雑状態でなく、操作パネル361の前の所定の領域E1に利用者がいない場合、有効決定部88は、ステップS15の判断に基づいて、非接触による操作パネル361の操作を有効であると決定する。また、操作パネル362の前の領域E2に利用者Aがいる場合、有効決定部88は、非接触による操作パネル362の操作を無効であると決定する。操作パネル362の付近に利用者Aがいる場合、操作パネル362の非接触による入力が利用者の操作意思に反した入力となる可能性が高いからである。
【0051】
図12は、混雑状態でない乗りかご31に利用者Bが乗車し、操作パネル361を操作した場合を示している。操作パネル362については、着床前から操作パネル362の前の領域E2内に利用者Aがいるので、有効決定部88は、非接触による操作パネル362の操作を無効であると決定する。乗りかご31内が混雑状態でない場合で、乗りかご31に乗車した利用者Bが乗車してから所定の時間(例えば、3秒)以内に操作パネル361の前の所定の領域E1の外に出た場合、有効決定部88は、非接触による操作パネル361の操作を有効であると決定する。一方、乗車した利用者Bが乗車してから所定の時間(例えば、3秒)以内に操作パネル361の前の所定の領域E1の外に出ない場合、有効決定部88は、非接触による操作パネル361の操作を無効であると決定する。
【0052】
図13図14は、着床前に操作パネル362の前の領域E2内にいた利用者Aが降車するとともに、混雑状態でない乗りかご31に利用者Bが乗車し、操作パネル361を操作した場合を示している。操作パネル362については、図13の場合、領域E2内に利用者Aがいるので、有効決定部88は、非接触による操作パネル362の操作を無効であると決定する。図14の場合、領域E2内に利用者がいないので、有効決定部88は、非接触による操作パネル362の操作を有効であると決定する。操作パネル361については、図14の場合、乗りかご31に乗車した利用者Bが乗車してから所定の時間(例えば、3秒)以内に操作パネル361の前の所定の領域E1の外に出た場合、有効決定部88は、ステップS15の判断に基づいて、非接触による操作パネル361の操作を有効であると決定する。一方、乗車した利用者Bが乗車してから所定の時間(例えば、3秒)以内に操作パネル361の前の所定の領域E1の外に出ない場合、有効決定部88は、非接触による操作パネル361の操作を無効であると決定する。
【0053】
なお、利用者による非接触もしくは接触による操作パネルの操作は、行先階もしくは行先階の方向を示す情報を入力する入力工程に該当する。また、ステップS12は、乗りかご31内に乗車する利用者の重量を計測する重量計測工程と、乗りかご31内が混雑状態にあるか否かを判定する混雑判定工程に該当する。また、ステップS13は、操作パネル36の前の所定の領域内に利用者がいるか否かを判定する判定工程に該当する。また、ステップS14は、乗りかご31内を撮影するカメラの画像に基づいて、新たに乗車した利用者の動きを解析する動線解析工程に該当する。また、ステップS11およびステップS15は、乗りかご31が所定のフロアに着床してからの経過時間を計測する経過時間計測工程に該当する。
【0054】
以上に説明したように、実施形態に係るエレベータ装置10は、乗りかご31内を撮影するカメラ38の画像に基づいて、操作パネル36の前の所定の領域内に利用者がいる場合、非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定する有効決定部88を有する。これにより、実施形態に係るエレベータ装置10は、非接触で入力可能な操作パネル36からの利用者の操作意思に反した入力を抑制することができる。
【0055】
また、実施形態に係るエレベータ装置10は、乗りかご31内を撮影するカメラ38の画像に基づいて、新たに乗車した利用者の動線を解析する動線解析部881を含む有効決定部88を有する。有効決定部88は、動線解析部881が、新たに乗車した利用者が乗車してから所定の時間以内に操作パネル36の前の所定の領域から出たと解析した場合、新たに乗車した利用者による操作パネル36の前の所定の領域内における非接触による操作パネルの操作を有効であると決定する。これにより、乗りかご31に乗車した利用者が操作パネル36に近づくといった自然な動線に対して、非接触による操作パネル36の操作を有効とすることができる。
【0056】
また、実施形態に係る有効決定部88は、乗りかご31が着床してから所定の時間を経過するまでの期間における非接触による操作パネル36の操作を有効であると決定する。上記の説明では、扉32の戸開完了から戸閉開始までの時間を所定の時間として説明しているが、扉32の戸開完了から5秒とか10秒経過するまでの時間を所定の時間としてもよい。また、操作パネル36の「閉」ボタンが操作されるまでを所定の時間としてもよい。利用者の操作意思に基づいて操作パネル36が操作される可能性の高い期間に限定して、非接触による操作パネル36の操作を有効とすることで、利用者の操作意思に反した入力を抑制することができる。
【0057】
また、実施形態に係る有効決定部88は、乗りかご31内に乗車する利用者の重量を計測する重量計測装置39で計測した重量が所定の値以上である場合、非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定する。重量計測装置39で計測した重量が所定の値以上である場合、乗りかご31内が混雑状態にあると推定することができる。乗りかご31内が混雑状態にある場合の非接触による操作を無効とすることで、利用者の操作意思に反した入力を抑制することができる。
【0058】
また、実施形態に係る操作パネル36は、有効決定部88が非接触による操作パネル36の操作を無効と決定していることを示す表示部365を有する。利用者は非接触による入力が無効であることを知ることができるので、非接触による誤操作を気にすることなく、安心して操作パネル36に近づくことができる。また、利用者は、操作パネル36の接触もしくは非接触による操作を適切に選択することができる。
【0059】
また、実施形態に係る操作パネル36は、乗りかご31内の混雑状況や操作パネル36の前の所定の領域に利用者がいるか否かにかかわらず、非接触による操作パネル36の操作を有効とする解除キー366を有する。例えば、接触による操作パネル36の操作を望まない利用者は、解除キー366を操作することで、乗りかご31内が混雑状態にある場合でも、操作パネル36を非接触で操作できるようになる。
【0060】
また、実施形態に係る操作パネル36は、非接触による操作パネル36の操作を無効とする無効キー367を有している。例えば、乗りかご31内が混雑状態にある場合にこの無効キー367を操作することで、利用者は、非接触による誤操作を気にすることなく、安心して操作パネル36に近づくことができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではない。例えば、上記の説明では、乗りかご31内の混雑状況を判定し、混雑状態にあると判定した場合、非接触による操作パネル36の入力を無効とする場合について説明した。しかし、乗りかご31内の混雑状況を判定する条件を削除してもよい。例えば、乗りかご31内の混雑状況にかかわらず、操作パネル36の前の所定の領域に利用者がいる場合で、その利用者が所定の時間内に操作パネル36の前の所定の領域から離れない場合、非接触による操作パネル36の入力を無効とするようにしてもよい。
【0062】
また、予め混雑が予想される曜日や時間を設定しておき、その時間内では、有効決定部88が非接触による操作パネル36の操作を無効であると決定するようにしてもよい。
【0063】
また、図6に示すフローチャートは一例であり、これに限定されるものではない。例えば、ステップS11の処理もしくはステップS15の処理を省略してもよい。
【0064】
また、上記の説明では、有効決定部88が、動線解析部881が、新たに乗車した利用者が乗車してから所定の時間以内に操作パネル36の前の所定の領域の外に出たと解析した場合、新たに乗車した利用者による操作パネル36の前の所定の領域内における非接触による操作パネル36の操作を有効であると決定する場合について説明した。他の実施形態として、動線解析部881が新たに乗車した利用者の動線を解析し、新たに乗車した利用者が乗車してから所定の時間以内に操作パネル36の前の所定の領域の外に出たか否かにかかわらず、新たに乗車した利用者による乗車してから所定の時間(例えば、3秒)以内の操作であれば、操作パネル36の前の所定の領域内における非接触による操作パネル36の操作を有効であると決定するようにしてもよい。
【0065】
また、有効決定部88に操作パネル36が出力した信号の継続時間を計測する継続時間判定部を設け、操作パネル36が出力した信号が所定時間以上継続して出力される場合、操作パネル36が出力した信号を無効であると決定するようにしてもよい。例えば、長時間(例えば、2秒以上)同じキーが継続して押されているか否かを判断する工程を追加し、長時間(例えば、2秒以上)同じキーが継続して押されている場合、有効決定部88が接触・非接触にかかわらず、操作パネル36の操作を無効であると決定するようにしてもよい。長時間(例えば、2秒以上)同じキーが継続して押されている場合、利用者の寄りかかり等の操作意思に反した入力である可能性が高いからである。
【0066】
(変形例1)
上記の説明では、混雑判定部86が重量計測装置39の計測結果に基づいて乗りかご31内の乗車人数を推定し、混雑状況を判定する場合について説明した。混雑状況の判定方法の他の方法として、混雑判定部86が、カメラ38で撮影した画像を解析して、乗りかご31内の乗車人数を推定し、乗車人数が所定の人数以上である場合、乗りかご31内が混雑状態であると判定するようにしてもよい。
【0067】
(変形例2)
上記の説明では、混雑判定部86が重量計測装置39の計測結果に基づいて乗りかご31内の混雑状況を判定する場合について説明した。混雑状況の判定方法の他の方法として、混雑判定部86が、カメラで撮影した画像に基づいて、乗りかごの床面積に対する利用者および荷物の占める面積(占有度)を求め、その占有度が所定の閾値を超えた場合、乗りかご31内が混雑状態であると判定するようにしてもよい。
【0068】
(変形例3)
上記の説明では、操作パネル36が利用者の非接触による操作もしくは利用者の接触による操作により行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する場合について説明した。他の実施形態として、利用者の非接触による操作により行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する非接触操作パネルと、利用者の接触による操作により行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する接触操作パネルの、2つの操作パネルを備え、有効決定部88がいずれの操作パネルの出力を採用するかを決定するようにしてもよい。
【0069】
(変形例4)
実施形態1の説明では、有効決定部88が、混雑判定部86と領域状態判定部87の判定結果に基づいて、非接触による操作パネル36の操作を有効とするか否かを決定する場合について説明した。他の実施形態として、有効決定部88が、混雑判定部86の判定結果を参照することなく領域状態判定部87の判定結果に基づいて、非接触による操作パネル36の操作を有効とするか否かを決定するようにしてもよい。
【0070】
(変形例5)
実施形態1の説明では、有効決定部88が、混雑判定部86と領域状態判定部87の判定結果に基づいて、非接触による操作パネル36の操作を有効とするか否かを決定する場合について説明した。他の実施形態として、有効決定部88が、領域状態判定部87の判定結果を参照することなく混雑判定部86の判定結果に基づいて、非接触による操作パネル36の操作を有効とするか否かを決定するようにしてもよい。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10…エレベータ装置
21~24…ガイドレール
31…乗りかご
31a…開口部
32…扉
36、361、362…操作パネル
365…表示部
366…解除キー
367…無効キー
39…重量計測装置
40…昇降モータ
41…開閉モータ
42…プーリー
50…カウンタウエイト
60…ワイヤ
70…制御盤
71…ケーブル
80…制御ユニット
81…CPU
82…主記憶部
83…補助記憶部
84…インタフェース部
85…バス
86…混雑判定部
87…領域状態判定部
88…有効決定部
881…動線解析部
89…かご呼び制御部
91…駆動ユニット
100…昇降路
【要約】
【課題】非接触で入力可能な操作パネルからの利用者の操作意思に反した入力を抑制する。
【解決手段】実施形態に係るエレベータ装置は、操作パネルと有効決定部と制御装置とを備える。操作パネルは、利用者の非接触による操作もしくは利用者の接触による操作により行先階もしくは行先階の方向を示す信号を出力する。有効決定部は、非接触による操作パネルの操作を有効とするか否かを決定する。制御装置は、操作パネルが出力した信号および有効決定部による決定結果に基づいて乗りかごの運転を制御する。有効決定部は、操作パネルの前の所定の領域内に利用者がいない場合、非接触による操作パネルの操作を有効であると決定する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14