(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】エレベータ制御システム、エレベータ制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
B66B1/18 F
B66B1/18 L
(21)【出願番号】P 2022196729
(22)【出願日】2022-12-09
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 和也
(72)【発明者】
【氏名】荒瀬 航
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-033563(JP,U)
【文献】特開2022-167699(JP,A)
【文献】国際公開第2019/234849(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作盤と、前記操作盤に接続されるエレベータ制御装置と、を備えるエレベータ制御システムであって、
前記操作盤は、
昇降路を移動する二つの乗りかごの乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうちいずれかの乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、利用者の操作を第1の操作部または第2の操作部で受け付ける第1の行き先方向表示部と、
前記乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうち第1の乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、前記利用者の操作を前記第1の操作部で受け付ける第2の行き先方向表示部と、
前記乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうち第2の乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、前記利用者の操作を前記第2の操作部で受け付ける第3の行き先方向表示部と、を備え、
前記エレベータ制御装置は、
前記第1の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第1の操作部または前記第2の操作部で受け付けた場合には、前記第1の乗りかごと前記第2の乗りかごのいずれか一方の呼びを行い、前記第2の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第1の操作部で受け付けた場合には、予め定められた前記第1の乗りかごの呼びを行い、前記第3の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第2の操作部で受け付けた場合には、予め定められた前記第2の乗りかごの呼びを行う制御を行う制御部、を備え、
前記第1の行き先方向表示部は、
前記第1の操作部として、前記利用者による操作を非接触で検知する複数の第1のセンサ部と、
前記第2の操作部として、前記利用者による操作を押下により行うことが可能な複数の第1の押しボタンと、を備え、
前記第2の行き先方向表示部は、
前記第1の操作部として、前記第1の乗りかごの利用者による操作を非接触で検知する複数の第2のセンサ部、を備え、
前記第3の行き先方向表示部は、
前記第2の操作部として、前記第2の乗りかごの利用者による操作を押下により行うことが可能な複数の第2の押しボタンと、を備え、
前記制御部は、
前記第1のセンサ部または前記第2のセンサ部により操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合に、検知された前記第1のセンサ部または前記第2のセンサ部に対応する行き先方向の呼びに関する情報を、前記エレベータ制御装置に接続される制御盤に送信する第1の制御部と、
前記第1の押しボタンまたは前記第2の押しボタンが押下された場合に、押下された前記第1の押しボタンまたは前記第2の押しボタンに対応する行き先方向の呼びに関する情報を、前記制御盤に送信する第2の制御部と、を備え、
前記第1の制御部は、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信した場合に、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、前記第2の制御部に送信し、
前記第2の制御部は、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信した場合に、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、前記第1の制御部に送信する、
エレベータ制御システム。
【請求項2】
前記第1の制御部は、前記第1のセンサ部または前記第2のセンサ部により操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合で、かつ、前記第2の制御部から前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを受信していない場合に、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信し、
前記第2の制御部は、前記第1の押しボタンまたは前記第2の押しボタンが押下された場合で、かつ、前記第1の制御部から前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを受信していない場合に、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項3】
前記第1の制御部は、前記第1のセンサ部または前記第2のセンサ部により操作が検知され、前記所定時間、検知が継続した場合で、かつ、前記第2の制御部から前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを既に受信している場合には、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信しない、
前記第2の制御部は、前記第1の押しボタンまたは前記第2の押しボタンが押下された場合で、かつ、前記第1の制御部から前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを既に受信している場合に、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信しない、
請求項2に記載のエレベータ制御システム。
【請求項4】
前記第1の制御部は、
前記第1のセンサ部により操作が検知され、前記所定時間、検知が継続した場合には、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信し、前記制御盤から前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報を受信し、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、前記第2の制御部に送信し、
前記第2のセンサ部により操作が検知され、前記所定時間、検知が継続した場合には、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記第1の乗りかごに関する情報とを既に受信しているか否かを判断し、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記第1の乗りかごに関する情報とを受信していない場合には、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信し、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記第1の乗りかごに関する情報とを、前記第2の制御部に送信し、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記第1の乗りかごに関する情報とを既に受信している場合には、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信しない、
請求項3に記載のエレベータ制御システム。
【請求項5】
前記第2の制御部は、
前記第1の押しボタンが押下された場合には、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信し、前記制御盤から前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報を受信し、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、前記第1の制御部に送信し、
前記第2の押しボタンが押下された場合には、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記第2の乗りかごに関する情報とを既に受信しているか否かを判断し、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記第2の乗りかごに関する情報とを受信していない場合には、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信し、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記第2の乗りかごに関する情報とを、前記第1の制御部に送信し、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記第2の乗りかごに関する情報とを既に受信している場合には、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信しない、
請求項4に記載のエレベータ制御システム。
【請求項6】
操作盤と、前記操作盤に接続されるエレベータ制御装置と、を備えるエレベータ制御システムで実行されるエレベータ制御方法であって、
前記操作盤は、
昇降路を移動する二つの乗りかごの乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうちいずれかの乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、利用者の操作を第1の操作部または第2の操作部で受け付ける第1の行き先方向表示部と、
前記乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうち第1の乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、前記利用者の操作を前記第1の操作部で受け付ける第2の行き先方向表示部と、
前記乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうち第2の乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、前記利用者の操作を前記第2の操作部で受け付ける第3の行き先方向表示部と、を備え、
前記第1の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第1の操作部または前記第2の操作部で受け付けた場合には、前記第1の乗りかごと前記第2の乗りかごのいずれか一方の呼びを行い、前記第2の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第1の操作部で受け付けた場合には、予め定められた前記第1の乗りかごの呼びを行い、前記第3の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第2の操作部で受け付けた場合には、予め定められた前記第2の乗りかごの呼びを行う制御を行う制御ステップ、を含み、
前記第1の行き先方向表示部は、
前記第1の操作部として、前記利用者による操作を非接触で検知する複数の第1のセンサ部と、
前記第2の操作部として、前記利用者による操作を押下により行うことが可能な複数の第1の押しボタンと、を備え、
前記第2の行き先方向表示部は、
前記第1の操作部として、前記第1の乗りかごの利用者による操作を非接触で検知する複数の第2のセンサ部、を備え、
前記第3の行き先方向表示部は、
前記第2の操作部として、前記第2の乗りかごの利用者による操作を押下により行うことが可能な複数の第2の押しボタンと、を備え、
前記制御ステップは、
第1の制御部が、前記第1のセンサ部または前記第2のセンサ部により操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合に、検知された前記第1のセンサ部または前記第2のセンサ部に対応する行き先方向の呼びに関する情報を、前記エレベータ制御装置に接続される制御盤に送信する第1の制御ステップと、
第2の制御部が、前記第1の押しボタンまたは前記第2の押しボタンが押下された場合に、押下された前記第1の押しボタンまたは前記第2の押しボタンに対応する行き先方向の呼びに関する情報を、前記制御盤に送信する第2の制御ステップと、を含み、
前記第1の制御ステップは、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信した場合に、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、前記第2の制御部に送信し、
前記第2の制御ステップは、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信した場合に、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、前記第1の制御部に送信する、
エレベータ制御方法。
【請求項7】
操作盤に接続されるエレベータ制御装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記操作盤は、
昇降路を移動する二つの乗りかごの乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうちいずれかの乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、利用者の操作を第1の操作部または第2の操作部で受け付ける第1の行き先方向表示部と、
前記乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうち第1の乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、前記利用者の操作を前記第1の操作部で受け付ける第2の行き先方向表示部と、
前記乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうち第2の乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、前記利用者の操作を前記第2の操作部で受け付ける第3の行き先方向表示部と、を備え、
前記第1の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第1の操作部または前記第2の操作部で受け付けた場合には、前記第1の乗りかごと前記第2の乗りかごのいずれか一方の呼びを行い、前記第2の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第1の操作部で受け付けた場合には、予め定められた前記第1の乗りかごの呼びを行い、前記第3の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第2の操作部で受け付けた場合には、予め定められた前記第2の乗りかごの呼びを行う制御を行う
制御ステップ、を前記コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記第1の行き先方向表示部は、
前記第1の操作部として、前記利用者による操作を非接触で検知する複数の第1のセンサ部と、
前記第2の操作部として、前記利用者による操作を押下により行うことが可能な複数の第1の押しボタンと、を備え、
前記第2の行き先方向表示部は、
前記第1の操作部として、前記第1の乗りかごの利用者による操作を非接触で検知する複数の第2のセンサ部、を備え、
前記第3の行き先方向表示部は、
前記第2の操作部として、前記第2の乗りかごの利用者による操作を押下により行うことが可能な複数の第2の押しボタンと、を備え、
前記制御ステップは、
第1の制御部が、前記第1のセンサ部または前記第2のセンサ部により操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合に、検知された前記第1のセンサ部または前記第2のセンサ部に対応する行き先方向の呼びに関する情報を、前記エレベータ制御装置に接続される制御盤に送信する第1の制御ステップと、
第2の制御部が、前記第1の押しボタンまたは前記第2の押しボタンが押下された場合に、押下された前記第1の押しボタンまたは前記第2の押しボタンに対応する行き先方向の呼びに関する情報を、前記制御盤に送信する第2の制御ステップと、を含み、
前記第1の制御ステップは、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信した場合に、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、前記第2の制御部に送信し、
前記第2の制御ステップは、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信した場合に、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、前記第1の制御部に送信する、
ことを前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御システム、エレベータ制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかご内において、行き先階呼びや乗り場呼び(行き先方向呼びとも称する)を非接触で行う技術が知られている。例えば、利用者の手指を非接触で検知し、押しボタンと一体的にまたは別体で構成される複数のセンサ部を乗りかご内の操作盤に設け、このセンサ部により行き先階呼びまたは乗り場呼びを行う手法がある。特に、コロナウイルス感染を回避するため、この非接触での検知により行き先階呼びや乗り場呼びを行う方式が広まっている。
【0003】
また、例えば、乗り場において、二つの乗りかごに対して一つの操作盤で乗り場呼びを行う場合には、エレベータの制御盤で二つの乗りかごに対する乗り場呼びを一括管理して最適な乗りかごの号機を割当てている。このため、それぞれの乗りかごの位置に従い、乗り場に最も近い乗りかごが呼ばれるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-23173号公報
【文献】特開平8-231141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、VIP専用の乗りかごやペットや車椅子に対応した乗りかごがあるが、このような一括管理の下では、目的または用途に適した乗りかごが呼ばれない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエレベータ制御システムは、操作盤と、前記操作盤に接続されるエレベータ制御装置と、を備えるエレベータ制御システムであって、前記操作盤は、昇降路を移動する二つの乗りかごの乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうちいずれかの乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、利用者の操作を第1の操作部または第2の操作部で受け付ける第1の行き先方向表示部と、前記乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうち第1の乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、前記利用者の操作を前記第1の操作部で受け付ける第2の行き先方向表示部と、前記乗り場に設けられ、前記二つの乗りかごのうち第2の乗りかごの行き先方向をそれぞれ表示し、前記利用者の操作を前記第2の操作部で受け付ける第3の行き先方向表示部と、を備え、前記エレベータ制御装置は、前記第1の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第1の操作部または前記第2の操作部で受け付けた場合には、前記第1の乗りかごと前記第2の乗りかごのいずれか一方の呼びを行い、前記第2の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第1の操作部で受け付けた場合には、予め定められた前記第1の乗りかごの呼びを行い、前記第3の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第2の操作部で受け付けた場合には、予め定められた前記第2の乗りかごの呼びを行う制御を行う制御部を備える。前記第1の行き先方向表示部は、前記第1の操作部として、前記利用者による操作を非接触で検知する複数の第1のセンサ部と、前記第2の操作部として、前記利用者による操作を押下により行うことが可能な複数の第1の押しボタンと、を備え、前記第2の行き先方向表示部は、前記第1の操作部として、前記第1の乗りかごの利用者による操作を非接触で検知する複数の第2のセンサ部、を備え、前記第3の行き先方向表示部は、前記第2の操作部として、前記第2の乗りかごの利用者による操作を押下により行うことが可能な複数の第2の押しボタンと、を備え、前記制御部は、前記第1のセンサ部または前記第2のセンサ部により操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合に、検知された前記第1のセンサ部または前記第2のセンサ部に対応する行き先方向の呼びに関する情報を、前記エレベータ制御装置に接続される制御盤に送信する第1の制御部と、前記第1の押しボタンまたは前記第2の押しボタンが押下された場合に、押下された前記第1の押しボタンまたは前記第2の押しボタンに対応する行き先方向の呼びに関する情報を、前記制御盤に送信する第2の制御部と、を備え、前記第1の制御部は、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信した場合に、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、前記第2の制御部に送信し、前記第2の制御部は、前記行き先方向の呼びに関する情報を前記制御盤に送信した場合に、前記行き先方向の呼び登録の旨と前記呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、前記第1の制御部に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の乗り場を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかるエレベータ制御システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるエレベータ制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる制御盤の構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかるセンサ部と押しボタンとを側面から見た構成およびセンサ部の検知範囲を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる物体検知部によるエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる押下検知部によるエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
[実施形態]
(乗り場の構成)
本実施形態のエレベータ制御システムは、2つの乗りかごの乗り場呼びと昇降動作とを一括して御するものである。
図1は、本実施形態の乗り場を示す模式図である。エレベータの乗り場には、
図1に示すように、二つの乗りかご1A,1B(
図2参照)の入口となるそれぞれの扉101と、二つの乗りかごの呼びを行うための操作盤320が設けられている。ここで、乗り場は、乗りかご1(
図2参照)が発着し、利用者が乗りかご1に対して乗降車する場所である。
【0009】
操作盤320は、利用者が主として行き先方向等を指定するための操作を行うためのものである。操作盤320は、二つの扉101の間の壁面において扉101の高さのほぼ中央付近に設置されている。この操作盤320は、3つの行き先方向表示部310A,310B,310C(
図2参照)が設けられている。
【0010】
(エレベータ制御システムの構成例)
次に、本実施形態にかかるエレベータ制御システム100の構成について説明する。
図2は、本実施形態にかかるエレベータ制御システム100の概略構成の一例を示す図である。
【0011】
本実施形態のエレベータ制御システムは、
図2に示すように、二つの乗りかご1A,1Bのそれぞれに対応して、二つの群管理制御装置70A,70Bと、二つの制御盤10A,10Bと、二つの乗り場呼び装置50A,50Bと、一つの操作盤320とが設けられている。群管理制御装置70Aと制御盤10Aは、乗りかご1Aの昇降路内に設置されている。群管理制御装置70Aと制御盤10Bは、乗りかご1Bの昇降路内に設置されている。乗り場呼び装置50A,50Bのそれぞれは、乗り場の壁面内部等に設けられている。
【0012】
制御盤10Aと乗り場呼び装置50Aは、互いに有線または無線で接続されている。制御盤10Aと群管理制御装置70Aは、互いに有線または無線で接続されている。乗り場呼び装置50Aは、制御盤10Bに乗りかご1Aに対する乗り場呼びを行う。制御盤10Aは、乗り場呼び装置50Aからの乗り場呼びを受けて、乗りかご1Aの昇降動作を制御する。
【0013】
制御盤10Bと乗り場呼び装置50Bとは、互いに有線または無線で接続されている。制御盤10Aと群管理制御装置70Aは、互いに有線または無線で接続されている。乗り場呼び装置50Bは、制御盤10Bに乗りかご1Bに対する乗り場呼びを行う。制御盤10Bは、乗り場呼び装置50Bからの乗り場呼びを受けて、乗りかご1Bの昇降動作を制御する。
【0014】
ここで、乗りかご1Aを1号機、乗りかご1Bを2号機と称する。乗り場呼び装置50Aは、1号機の乗りかご1Aの乗り場呼びを行う。乗り場呼び装置50Bは、2号機の乗りかご1Bの乗り場呼びを行う。
【0015】
乗りかご1A,1Bのそれぞれを区別しない場合には、乗りかご1と称する。制御盤10A,10Bのそれぞれを区別しない場合には、制御盤10と称する。乗り場呼び装置50A,50Bのそれぞれを区別しない場合には、乗り場呼び装置50と称する。
【0016】
操作盤320には、三つの行き先方向表示部310A,310B,310Cが設けられている。行き先方向表示部310Aは、二つの乗り場呼び装置50A,50Bに接続される。行き先方向表示部310Aには、一体型の非接触式のセンサ部311Aおよび押しボタン312Aが設けられている。通常の利用を意図する利用者のセンサ部311Aまたは押しボタン312Aに対する操作により、二つの乗り場呼び装置50A,50Bが二つの制御盤10A,10Bのそれぞれに乗り場呼びを行う。行き先方向表示部310Aを通常利用の行き先方向表示部310Aと称する場合もある。
【0017】
乗り場呼びを受信した二つの制御盤10A,10Bは、受信した乗り場呼びを群管理制御装置70A,70Bのそれぞれに送信する。
二つの群管理制御装置70A,70Bは、有線または無線で接続されている。二つの群管理制御装置70A,70Bは、有線または無線で接続されている。互いに連携して、二つの乗りかご1A,1Bのうち、最も乗り場に近い乗りかご1を割り当てる。このような制御を群管理制御と称する。そして、制御盤10A,10Bのそれぞれは、割り当てられた乗りかご1の昇降動作を制御して、乗り場に移動させる。群管理制御装置70A,70Bを区別しない場合には、群管理制御装置70と称する。
【0018】
行き先方向表示部310Bは、1号機に対応する乗り場呼び装置50Aに接続され、VIP用として1号機の乗りかご1Aの呼びの操作を行うものである。行き先方向表示部310Bには、非接触式のセンサ部311Bが設けられている。VIP用の呼びを意図する利用者のセンサ部311Bに対する操作により、乗り場呼び装置50Aが制御盤10Aに乗り場呼びを行う。乗り場呼びを受信した制御盤10Aは、1号機の乗りかご1Aの昇降動作を制御して、乗り場に移動させる。行き先方向表示部310BをVIP用の行き先方向表示部310Bと称する場合もある。
【0019】
行き先方向表示部310Cは、2号機に対応する乗り場呼び装置50Bに接続され、車椅子用として2号機の乗りかご1Bの呼びの操作を行うものである。行き先方向表示部310Cには、押しボタン312Cが設けられている。車椅子用の呼びを意図する利用者の押しボタン312Cの押下操作により、乗り場呼び装置50Bが制御盤10Bに乗り場呼びを行う。乗り場呼びを受信した制御盤10Bは、2号機の乗りかご1Bの昇降動作を制御して、乗り場に移動させる。ここで、2号機の乗りかご1Bは、操作盤の位置が通常より下側にある等、車椅子に乗った利用者に適した仕様となっている。行き先方向表示部310Cを車椅子用の行き先方向表示部310Cと称する場合もある。
なお、操作盤320、センサ部311、および押しボタン312の詳細については、後述する。
【0020】
次に、本実施形態にかかるエレベータ制御システム100の詳細について説明する。
図3は、本実施形態にかかるエレベータ制御システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、エレベータ制御システム100は、群管理制御装置70、制御盤10、及び乗り場呼び装置50を備える。エレベータ制御システム100が制御を行うエレベータは、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4等を備える。制御盤10と乗り場呼び装置50とは、各種信号の授受が可能なように有線または無線で接続されている。
【0021】
乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。乗りかご1とカウンタウェイト3とはロープ4によって連結されている。ロープ4は駆動装置2に架け渡されている。駆動装置2は例えば巻上機等であり、駆動装置2が駆動することで乗りかご1を昇降路内で上下に走行させることができる。
【0022】
制御盤10は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備え、エレベータ全体を制御する。制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、駆動装置2と有線または無線で接続されている。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、乗り場に設置される乗り場呼び装置50と有線または無線で接続されている。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、例えば乗りかご1内等に設置される行き先階呼び装置(不図示)と接続されている。
【0023】
制御部11は、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合、または、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合等に、群管理制御装置70に対して、それらの呼び登録を行う。制御部11は、呼び登録の内容を記憶部13に格納してもよい。
【0024】
ここで、乗り場呼びとは、乗り場の利用者が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかご1をその乗り場に到着させるために行う操作である。乗り場呼びを行き先方向呼びと称する場合もある。また、行き先階呼びとは、乗りかご1内の利用者が、その乗りかご1を所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。
【0025】
制御部11は、受信した乗り場呼びおよび受信した行き先階呼びを登録する。また、制御部11は、乗り場呼び登録の内容に応じて、乗りかご1をその乗り場呼びに応答させる。
【0026】
より具体的には、また、制御部11は、操作盤320の行き先方向表示部310Aからの乗り場呼びを、群管理制御装置70に送信する。二つの群管理制御装置70A,70Bは、乗り場呼びに対して、二つの乗りかご1A,1Bの内、乗り場呼びが行われた乗り場に近い乗りかご1を割り当て、割り当てた結果を制御盤10の制御部11に送信するという群管理制御を行う。また、制御部11は、操作盤320の行き先方向表示部310Bからの乗り場呼びに対して、群管理制御装置70への送信は行わずに、VIP用としての1号機の乗りかご1Aを割り当てる。さらに、制御部11は、操作盤320の行き先方向表示部310Cからの乗り場呼びに対して、群管理制御装置70への送信は行わずに、車椅子用としての2号機の乗りかご1Bを割り当てる。
【0027】
そして、制御部11は、駆動装置2を駆動させ、乗り場呼び登録に登録した行き先方向に割り当てた乗りかご1を、乗り場呼びがあった乗り場へと向かわせる。
【0028】
また、制御部11は、行き先階呼び登録の内容に応じて、乗りかご1をその行き先階呼びに応答させる。つまり、制御部11は、駆動装置2を駆動させ、行き先階呼び登録に登録した行き先階に走行予定の乗りかご1を向かわせる。また、制御部11は、乗りかご1が所定階に到着すると乗りかご1及び乗り場の戸開および戸閉等を行う。
【0029】
通信部12は、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合、または乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合等に、それらの情報を乗り場呼び装置50および不図示の行き先階呼び装置等から取得する。通信部12は、群管理制御装置70および制御部11による群管理制御で乗り場呼び登録して乗りかご1を割り当てた場合、当該割り当てた乗りかご1の号機と乗り場呼び登録の旨とを、乗り場呼び装置50に送信する。また、通信部12は、制御部11からの各種命令等を乗りかご1等に送信する。
【0030】
記憶部13は、制御盤10にエレベータの制御を実行させるための各種プログラムを記憶する。上述のように、記憶部13が、行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等を記憶していてもよい。
【0031】
操作盤320は、
図3に示すように、センサ部311、押しボタン312、及び表示灯313、及び表示装置317を備えている。操作盤320は、
図1に示したように、乗り場に設けられている。
【0032】
センサ部311(311A,311B)のそれぞれは、乗りかご1の上下の行き先方向(行き先対象)にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。所定の乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、センサ部311は利用者の手指等の物体を検知する。ここで、センサ部311Aは第1のセンサ部に相当し、センサ部311Bは第2のセンサ部に相当する。センサ部311A、センサ部311Bを区別しない場合には、センサ部311と総称する。
【0033】
押しボタン312(312A,312C)のそれぞれは、乗りかご1の上下の行き先方向にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。押しボタン312は、所定の乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン312を押下することが可能に構成されている。ここで、押しボタン312Aは第1の押しボタンに相当し、押しボタン312Cは第2の押しボタンに相当する。押しボタン312A、押しボタン312Bを区別しない場合には、押しボタン312と総称する。
【0034】
表示灯313(313A,313B,313C)は、乗りかご1の上下の行き先方向にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざし、または、対応する押しボタン312を押下すると、その行き先方向に対応する表示灯313が所定の態様で発光する。
【0035】
表示装置317は、各種情報を表示する液晶ディスプレイ等が該当する。操作盤320の詳細については後述する。
【0036】
操作盤320には、有線または無線で乗り場呼び装置50に接続されている。
乗り場呼び装置50は、物体検知部51、押下検知部52、発光制御部53、及び通信部54を主に備え、乗り場の利用者による乗り場呼びを受け付ける。
【0037】
物体検知部51は、計時部51aと、制御部51bとを備える。計時部51aは、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、検知時点から計時を開始する。そして、計時部51aは、所定時間経過後に計時を終了する。計時部51aは、所定時間経過前に、センサ部311が非検知になった場合にも計時を終了する。
【0038】
制御部51bは、第1の制御部に相当する。制御部51bは、センサ部311Aまたはセンサ部311Bのいずれかにより操作が検知され、計時部51aで計時されている所定時間、検知が継続した場合に、検知されたセンサ部311Aまたはセンサ部311Bに対応する行き先方向の呼びに関する情報を、制御盤10に送信する。制御部51bは、センサ部311Aで検知された場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10Aに送信し、センサ部311Bで検知された場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10Bに送信する。行き先方向の呼びに関する情報とは、行き先方向(検知されたセンサ部311に対応する上または下の方向)と、乗りかご1の呼びの要求である。
【0039】
ここで、通常利用の行き先方向表示部310Aのセンサ部311Aが検知した場合には、検知信号は、1号機の乗り場呼び装置50Aの物体検知部51と、2号機の乗り場呼び装置50Bの物体検知部51の双方に送出される。
【0040】
VIP用の行き先方向表示部310Bのセンサ部311Bが検知した場合には、検知信号は、1号機の乗り場呼び装置50Aの物体検知部51だけに送出され、2号機の乗り場呼び装置50Bの物体検知部51には送出されない。1号機がVIP専用の乗りかご1Aだからである。
【0041】
制御部51bは、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信した場合に、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを、押下検知部52の制御部52bに送信する。ここで、呼びに対する乗りかご1に関する情報は、割り当てられた乗りかご1の号機である。
【0042】
逆に、制御部51bは、押しボタン312による乗り場呼びが行われた場合には、押下検知部52の制御部52bから、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを受信する。
【0043】
具体的には、制御部51bは、通常利用の行き先方向表示部310Aのセンサ部311AまたはVIP用の行き先方向表示部310Aのセンサ部311Bにより操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合で、かつ、押下検知部52の制御部52bから行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを受信していない場合に、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信する。その後、上述したように、制御部51bは、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを、押下検知部52の制御部52bに送信する。
【0044】
制御部51bは、通常利用の行き先方向表示部310Aのセンサ部311AまたはVIP専用の行き先方向表示部310Aのセンサ部311Bにより操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合で、かつ、押下検知部32から行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを既に受信している場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信しない。
【0045】
また、制御部51bは、通常利用の行き先方向表示部310Aのセンサ部311Aにより操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信し、制御盤10から呼びに対する乗りかご1に関する情報を受信し、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、押下検知部32に送信する。
【0046】
VIP用の行き先方向表示部310Bのセンサ部311Bにより操作された場合には、1号機に対応する乗り場呼び装置50Aの物体検知部51の制御部51bが当該操作を検知する。1号機の乗り場呼び装置50Aの物体検知部51の制御部51bは、センサ部311Bにより操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合には、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Aに関する情報(すなわち、1号機の旨)とを既に受信しているか否かを判断する。
【0047】
1号機に対応する乗り場呼び装置50Aの物体検知部51の制御部51bは、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Aに関する情報(1号機)とを受信していない場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信する。そして、乗り場呼び装置50Aの制御部51bは、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1Aに関する情報(1号機)とを、押下検知部32に送信する。
【0048】
一方、1号機に対応する乗り場呼び装置50Aの物体検知部51の制御部51bは、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Aに関する情報(1号機)とを既に受信している場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信しない。
【0049】
押下検知部52は、制御部52bを備える。制御部52bは、第2の制御部に相当する。
制御部52bは、押しボタン312Aまたは押しボタン312Cが押下された場合に、押下された押しボタン312Aまたは押しボタン312Cに対応する行き先方向の呼びに関する情報を、制御盤10に送信する。制御部52bは、押しボタン312Aが押下された場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10Aに送信し、押しボタン312Cが押下された場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10Bに送信する。行き先方向の呼びに関する情報とは、行き先方向(押下された押しボタン312に対応する上または下の方向)と、乗りかご1の呼びの要求である。
【0050】
ここで、通常利用の行き先方向表示部310Aの押しボタン312Aが押下された場合には、押下信号は、1号機の乗り場呼び装置50Aの押下検知部52と、2号機の乗り場呼び装置50Bの押下検知部52の双方に送出される。
【0051】
車椅子用の行き先方向表示部310Cの押しボタン312Cが押下された場合には、押下信号は、2号機の乗り場呼び装置50Bの押下検知部52だけに送出され、1号機の乗り場呼び装置50Aの押下検知部52には送出されない。2号機が車椅子用の乗りかご1Bだからである。
【0052】
制御部52bは、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信した場合に、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかごに関する情報とを、物体検知部51の制御部51bに送信する。ここで、呼びに対する乗りかご1に関する情報は、割り当てられた乗りかご1の号機である。
【0053】
逆に、制御部52bは、センサ部311による乗り場呼びが行われた場合には、物体検知部51の制御部51bから、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを受信する。
【0054】
具体的には、制御部52bは、通常利用の行き先方向表示部310Aの押しボタン312Aまたは車椅子用の行き先方向表示部310Cの押しボタン312Cが押下された場合で、かつ、物体検知部51の制御部51bから行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを受信していない場合に、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信する。
【0055】
制御部52bは、通常利用の行き先方向表示部310Aの押しボタン312Aまたは車椅子用の行き先方向表示部310Cの押しボタン312Cが押下された場合で、かつ、物体検知部51の制御部51bから行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを既に受信している場合に、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信しない。
【0056】
制御部52bは、通常利用の行き先方向表示部310Aの押しボタン312Aが押下された場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信し、制御盤10から呼びに対する乗りかご1に関する情報を受信し、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを、センサ部311の制御部51bに送信する。
【0057】
車椅子用の行き先方向表示部310Cの押しボタン312Cが押下された場合には、2号機に対応する乗り場呼び装置50Bの押下検知部52の制御部52bが当該押下を検知する。そして、2号機に対応する乗り場呼び装置50Bの押下検知部52の制御部52bは、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Bに関する情報(すなわち、2号機)とを既に受信しているか否かを判断する。
【0058】
2号機に対応する乗り場呼び装置50Bの押下検知部52の制御部52bは、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Bに関する情報(2号機)とを受信していない場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10Bに送信する。そして、乗り場呼び装置50Bの押下検知部52の制御部52bは、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1Bに関する情報(2号機)とを、物体検知部51の制御部51bに送信する。
【0059】
一方、2号機に対応する乗り場呼び装置50Bの押下検知部52の制御部52bは、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1bに関する情報(2号機)とを既に受信している場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10Bに送信しない。
【0060】
発光制御部53は、物体検知部51の制御部51bまたは押下検知部52の制御部52bからの指示により、表示灯513の点灯制御を行う。すなわち、発光制御部53は、操作が行われた行き先階に対応する表示灯513を発光させ、いずれも操作されていない場合に、当該表示灯313を消灯させる。
【0061】
ここで、発光させる態様としては、暗点灯と明点灯がある。発光制御部53は、制御部51bからの暗点灯指示を入力した場合に、表示灯513を暗点灯させ、制御部51b、52bからの明点灯指示を入力した場合に、表示灯513を明点灯させる。ここで、表示灯513の明点灯は、押しボタン312の押下、およびセンサ部311の検知から所定時間経過したことによる呼び登録の入力を、乗り場呼び装置50が検知した結果に対する応答の点灯を意味する。
【0062】
なお、発光の態様として、暗点灯、明点灯は一例であり、これらに限定されるものではない。例えば、点滅等の発光態様を採用することも可能である。
【0063】
通信部54は、物体検知部51または押下検知部52が、乗り場呼びがあったものと判定した場合には、その乗り場呼びの情報を制御盤10に送信する。また、通信部54は、制御盤10から行き先階呼び登録の旨と乗りかご1に関する情報を受信して、物体検知部51の制御部51bおよび押下検知部52の制御部52bに送信する。
【0064】
なお、乗り場呼び装置50は、上記以外にも、乗り場の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
【0065】
次に、本実施形態にかかるエレベータ制御システム100のハードウェア構成について説明する。
制御盤10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0066】
ROMには、例えば制御プログラム及び呼び登録プログラム等のエレベータの制御に関わる各種プログラムが格納されている。ROMに格納されたこれらのプログラムが読み出されてRAMに展開され、それらのプログラムをCPUが実行することにより、制御盤10のエレベータ制御装置としての機能が実現される。
【0067】
この呼び登録プログラムがCPUにより実行されることで、上述の制御部11、通信部12、及び記憶部13等が実現される。
【0068】
乗り場呼び装置50は、CPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0069】
ROMには、例えば、乗り場呼びの受け付けに関わる乗り場呼びプログラムや表示灯313の発光制御に関わる信号制御プログラム等の各種のプログラムが格納されている。ROMに格納された乗り場呼びプログラムおよび信号制御プログラム等が読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、乗り場呼び装置50の物体検知部51、押下検知部52、発光制御部53、及び通信部54等が実現される。
【0070】
ここで、制御プログラム、呼び登録プログラム、乗り場呼びプログラムおよび信号制御プログラム等は、コンピュータで実行可能な、エレベータの制御に関する複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能かつ非遷移的な記録媒体を有するコンピュータプログラムプロダクトである。制御プログラム、呼び登録プログラム、乗り場呼びプログラムおよび信号制御プログラム等は、例えばモジュール構成となっており、これらのモジュールが主記憶装置上にロードされる。
【0071】
制御プログラム、呼び登録プログラム、乗り場呼びプログラムおよび信号制御プログラム等は、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリ等である。ただし、制御プログラム、呼び登録プログラム、乗り場呼びプログラムおよび信号制御プログラム等は、ネットワークに置かれたサーバ等により配信され、または、ダウンロード可能なように構成されることで、他の様々な手法により提供されてもよい。
【0072】
なお、主に、制御盤10によって実行される制御プログラムおよび呼び登録プログラム等と、乗り場呼び装置50によって実行される乗り場呼びプログラムおよび信号制御プログラム等とによって、エレベータ制御システム100によって実行されるエレベータ制御プログラムが構成される。
【0073】
(操作盤の構成)
次に、本実施形態にかかる操作盤320の詳細について説明する。
図4は、本実施形態にかかる操作盤320の構成の一例を示す模式図である。
【0074】
操作盤320は、例えば行き先方向表示部310A,310B,310B及び表示装置317を備える。ここで、行き先方向表示部310A,310B,310Bを区別しない場合には、行き先方向表示部310と総称する。また、行き先方向表示部を、操作表示部と称する場合もある。
【0075】
行き先方向表示部310は、例えば乗り場に到着する乗りかご1の上下方向等の行き先方向を表示する表示盤等であり、乗りかご1の行き先方向に対応して操作盤320に3つ配置されている。
【0076】
行き先方向表示部310Aは、通常の乗り場呼びを行うものであり、センサ部311Aと押しボタン312Aと表示灯313Aが、乗りかご1の行き先方向である上方向(上層階)及び下方向(下層階)にそれぞれ対応してそれぞれ2個ずつ設けられている。通常の乗り場呼びとは、乗り場呼びを受信した制御盤10A,10Bにより、乗り場に最も近い乗りかご1を割り当てる呼びである。
【0077】
行き先方向表示部310Bは、VIP用の乗り場呼びを行うものであり、センサ部311Bと表示灯313Bが、乗りかご1の行き先方向である上方向(上層階)及び下方向(下層階)にそれぞれ対応してそれぞれ2個ずつ設けられている。行き先方向表示部210Bには、押しボタン312は設けられていない。VIP用の乗り場呼びとは、制御盤10AがVIP専用に1号機の乗りかご1Aを割り当てる呼びである。
【0078】
行き先方向表示部310Cは、車椅子用の乗り場呼びを行うものであり、押しボタン312Cと表示灯313Cが、乗りかご1の行き先方向である上方向(上層階)及び下方向(下層階)にそれぞれ対応してそれぞれ2個ずつ設けられている。行き先方向表示部310Cには、センサ部311は設けられていない。車椅子用の乗り場呼びとは、制御盤10Bが車椅子の利用者に適した仕様に構成された2号機の乗りかご1Bを割り当てる呼びである。
【0079】
センサ部311A,311Bは、例えば反射型光電センサ、または静電容量型センサ等の非接触式のセンサである。
図4の例では、行き先方向表示部310A,310Bに一体的に2つのセンサ部311A,311Bが配置されている。
【0080】
乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかご1の乗り場呼びを行うために、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、そのセンサ部311が、行き先方向表示部310への操作として利用者の手指等を検知する。
【0081】
押しボタン312A,312Cは、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、行き先方向表示部310と一体的に操作盤320に配置されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの前面には、対応する行き先方向の表示盤等がはめ込まれている。乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかご1の乗り場呼びを行うために、対応する押しボタン312を押下すると、制御部52bが、行き先方向表示部310への操作として押しボタン312の押下を検知する。
【0082】
本実施形態では、行き先方向表示部310Aにおいて、行き先方向が互いに等しい押しボタン312Aとセンサ部311Aとが一体的に構成されている。
【0083】
図5は、実施形態にかかる一体型のセンサ部311Aおよび押しボタン312Cとを側面から見た構成およびセンサ部311の検知範囲401を示す模式図である。
図5に示すように、センサ部311Aは押しボタン312Aの裏面3122側に装着されている。このような配置により、センサ部311Aは、押しボタン312Aのおもて面3121から所定距離だけ離れた検知範囲401を有する。ここで、押しボタン312のおもて面3121は、行き先方向表示部310Aのおもて面でもある。
【0084】
センサ部311Aの検知範囲401は、全体が押しボタン312Aのおもて面3121と対向する位置に設定されている。つまり、検知範囲401は、押しボタン312Aのおもて面3121から所定距離、離間した位置から更に所定距離だけ離間した位置までの空間領域であり、この空間領域で利用者の操作が検知される。換言すれば、センサ部311Aは、押しボタン312Aのおもて面3121から所定距離、離間した位置までの空間領域405では利用者の操作を検知しない。
【0085】
また、センサ部311Aの検知範囲401は、おもて面3121と直交する方向D1から見て押しボタン312Aのおもて面3121内に収まり、かつ、その中央がおもて面3121の中央と略重なるように設定されている。検知範囲401の中央とおもて面3121の中央とは、方向D1から見て一致していてよい。また、検知範囲401は、押しボタン312Aのおもて面3121から離れるにしたがって狭まる山型である。
【0086】
センサ部311Aによって検知されない空間領域405の距離は、例えば押しボタン312Aのおもて面3121から5mm程度である。また、センサ部311Aの検知範囲401となる距離は、例えば押しボタン312Aのおもて面3121から方向D1に向かって25mm程度とすることができる。ただし、これらの距離についてはこれに限定されない。
【0087】
利用者は、センサ部311Aを用いて乗り場呼びを行う際には、自分の手指403等を押しボタン312へ向けて前進させる。その際に、センサ部311Aの検知範囲401に指先が入ってセンサ部311が検知状態となり、指先が検知範囲401から抜けて空間領域405に入ると、センサ部311は非検知状態となる。押しボタン312Aを用いて行き先方向呼び(すなわち、乗り場呼び)を行う際には、利用者が更に手指403を前進させることで、押しボタン312Aが押下される。
【0088】
図4に戻り、表示灯313は、例えば複数の態様で発光することが可能に構成され、行き先方向表示部310に対応して、行き先方向表示部310と一体的に操作盤320に内蔵されている。すなわち、行き先方向表示部310A,310Cでは、例えば押しボタン312のそれぞれの背面に、それぞれ表示灯313A,Cが埋め込まれている。また、行き先方向表示部310Bでは、例えばセンサ部311Bの横に表示灯313Bが配置されている。制御部51b,52bからの指示に基づいて、対応する表示灯313A,Cが点灯すると、押しボタン312A,Cを透過した表示灯313A,Cの光が利用者に目視される。また、対応する表示灯313Bが点灯すると、表示灯313Bの光が利用者に直接目視される。これにより、利用者は、どちらの行き先方向への呼びが登録されたかを知ることができる。
【0089】
表示装置317は、例えば液晶パネル等として構成され、その操作盤320に対応する乗りかご1、または乗り場呼びに応答中の乗りかご1等が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。
図4の例では、上向き矢印と「3」の文字と、下向き矢印「10」の文字が表示されている。このことから、2号機の乗りかご1Bは3階付近を上方へ向かって走行中であり、1号機の乗りかご1Aが10階付近を下方へ向かって走行中であることが判る。
【0090】
なお、操作盤320の構成および各種構成の配置は
図4の例に限られない。例えば、センサ部311の近傍に所望の表示が記されたシール等が貼付され、また、所望の点字が付された銘板等が設置されていてもよい。
【0091】
また、本実施形態では、行き先方向表示部310Aに一体型のセンサ部311Aおよび押しボタン312Aを設け、行き先方向表示部310Bにセンサ部311Bのみを設け、行き先方向表示部310Cに押しボタン312Cのみを設けた構成としているが、これに限定されるものではない。すなわち、一体型のセンサ部311および押しボタン312、センサ部311のみ、押しボタン312のみを設ける行き先方向表示部を
図4の形態と異なるように構成することができる。
【0092】
また例えば、行き先方向表示部310、押しボタン312、表示灯313のうちのいずれか、あるいは全部が分離され、別々に操作盤320に配置されていてもよい。また例えば、操作盤320は、押しボタン312等を備えていなくともよい。
【0093】
その他、操作盤320は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
【0094】
(エレベータ制御処理)
次に以上のように構成されたエレベータ制御処理について説明する。まず、センサ部311が検知した場合の乗り場呼びの処理について説明する。
図6は、本実施形態にかかる物体検知部51によるエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0095】
まず、物体検知部51の制御部51bは、いずれかのセンサ部311が検知したか否かを判断する(S101)。いずれのセンサ部311も検知していない場合には(S101:No)、制御部51bは検知待ち状態となる。
【0096】
いずれかのセンサ部311が検知した場合には(S101:Yes)、計時部51aは計時を開始する(S102)。そして、制御部51bは、計時を開始してから所定時間経過したか否かを判断する(S103)。所定時間経過していない場合において(S103:No)、制御部51bは検知されたセンサ部311が非検知となったか否かを判断する(S104)。そして、センサ部311が非検知となった場合には(S104:Yes)、計時部51aは計時を終了し(S105)、処理はS101に戻って、制御部51bはセンサ部311の検知待ち状態となる。
【0097】
一方、S104で、センサ部311が非検知状態となっていない場合には(S104:No)、処理はS103へ戻り、制御部51bは、所定時間の経過を待つ。
【0098】
S103で、所定時間が経過した場合には(S103:Yes)、計時部51aは計時を終了する(S106)。そして、制御部51bは、S101で検知したセンサ部311がどのセンサ部311であるかを、検知信号を受信した物体検知部51の基板のポート番号から判断する(S107)。
【0099】
そして、検知したセンサ部311が通常の乗り場呼びを行うための行き先方向表示部310Aのセンサ部311Aである場合には(S107:センサ部311A)、制御部51bは、通信部54を介して、制御盤10に、行き先方向呼びに関する情報としての、通常の乗り場呼びである旨、行き先方向および行き先方向の呼びを送信する(S108)。ここで、乗り場呼び装置50Aでは制御盤10Aに行き先方向呼び(乗り場呼び)に関する情報が送信され、乗り場呼び装置50Bでは制御盤10Bに行き先方向呼び(乗り場呼び)に関する情報が送信される。
【0100】
これにより、制御盤10A,10Bでは、2つの乗り場呼びに関する情報を受信し、いずれも通常の乗り場呼びであることから、乗り場に一番近い乗りかご1を割り当てて、移動させる。そして、行き先方向の呼び登録(乗り場呼びの登録)の旨と割り当てた乗りかご1に関する情報(号機であり、ここでは、X号機と称する)を各乗り場呼び装置50A,50Bに送信する。乗り場呼び装置50の物体検知部51の制御部51bは、通信部54を介して、当該呼び登録の旨と割り当てた乗りかご1に関する情報(X号機)を受信する(S109)。
【0101】
次に、制御部51bは、割り当てられた乗りかご1に関する情報(X号機)と呼び登録の旨を、押下検知部52に送信する(S110)。
【0102】
S107において、検知したセンサ部311がVIP用の乗り場呼びを行うための行き先方向表示部310Bのセンサ部311Bである場合には(S107:センサ部311B)、乗り場呼び装置50Aの物体検知部51の制御部51bが当該検知を行っている。このため、乗り場呼び装置50Aの物体検知部51の制御部51bは、VIP用の乗りかご1Aである1号機の行き先方向の呼び登録済みか否かを、押下検知部52から当該呼び登録の旨と割り当てた乗りかご1Aに関する情報(1号機)の旨を受信しているか否かに基づいて判断する(S111)。
【0103】
そして、制御部51bは、VIP用の乗りかご1Aである1号機の行き先方向の呼び登録済みである場合には(S111:Yes)、既に1号機の乗りかご1Aの呼びが登録されているため、1号機の乗りかご1Aの行き先方向の呼び(乗り場呼び)は行わずに処理を終了させる。
【0104】
一方、VIP用の乗りかご1Aである1号機の行き先方向の呼び登録済みでない場合には(S111:No)、制御部51bは、通信部54を介して、制御盤10Aに、行き先方向呼びに関する情報としての、VIP用の乗り場呼びである旨、行き先方向および行き先方向の呼びを送信する(S112)。
【0105】
次に、制御部51bは、VIP用の乗りかご1Aである1号機と呼び登録の旨を、押下検知部52の制御部52bに送信する(S113)。
【0106】
次に、押しボタン312が検知した場合の乗り場呼びの処理について説明する。
図7は、本実施形態にかかる押下検知部52によるエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0107】
まず、押下検知部52の制御部52bは、いずれかの押しボタン312が押下された否かを判断する(S201)。いずれの押しボタン312も押下されていない場合には(S201:No)、制御部52bは押下待ち状態となる。
【0108】
いずれかの押しボタン312が検知した場合には(S201:Yes)、制御部52bは、S201で押下を検知した押しボタン312がどの押しボタン312であるかを、押下信号を受信した押下検知部52の基板のポート番号から判断する(S202)。
【0109】
そして、押下された押しボタン312が通常の乗り場呼びを行うための行き先方向表示部310Aの押しボタン312Aである場合には(S202:押しボタン312A)、制御部52bは、通信部54を介して、制御盤10に、行き先方向呼びに関する情報としての、通常の乗り場呼びである旨、行き先方向および行き先方向の呼びを送信する(S203)。ここで、乗り場呼び装置50Aでは制御盤10Aに行き先方向呼び(乗り場呼び)に関する情報が送信され、乗り場呼び装置50Bでは制御盤10Bに行き先方向呼びに関する情報が送信される。
【0110】
これにより、制御盤10A,10Bでは、2つの乗り場呼びに関する情報を受信し、いずれも通常の乗り場呼びであることから、乗り場に一番近い乗りかご1を割り当てて、移動される。そして、行き先方向の呼び登録(乗り場呼びの登録)の旨と割り当てた乗りかご1に関する情報(号機であり、ここでは、X号機と称する)を各乗り場呼び装置50A,50Bに送信する。乗り場呼び装置50の押下検知部52の制御部52bは、通信部54を介して、当該呼び登録の旨と割り当てた乗りかご1に関する情報(X号機)を受信する(S204)。
【0111】
次に、制御部52bは、割り当てられた乗りかご1に関する情報(X号機)と呼び登録の旨を、物体検知部51に送信する(S205)。
【0112】
S202において、押下された押しボタン312が車椅子用の乗り場呼びを行うための行き先方向表示部310Cの押しボタン312Cである場合には(S202:押しボタン312C)、乗り場呼び装置50Bの押下検知部52の制御部52bが当該検知を行っている。このため、乗り場呼び装置50Bの押下検知部52の制御部52bは、車椅子の乗りかご1Bである2号機の行き先方向の呼び登録済みか否かを、物体検知部51から当該呼び登録の旨と割り当てた乗りかご1Bに関する情報(2号機)の旨を受信しているか否かに基づいて判断する(S206)。
【0113】
そして、制御部52bは、車椅子用の乗りかご1Bである2号機の行き先方向の呼び登録済みである場合には(S206:Yes)、既に2号機の乗りかご1Bの呼びが登録されているため、2号機の乗りかご1Bの行き先方向の呼び(乗り場呼び)は行わずに処理を終了させる。
【0114】
一方、車椅子用の乗りかご1Bである2号機の行き先方向の呼び登録済みでない場合には(S206:No)、制御部52bは、通信部54を介して、制御盤10Bに、行き先方向呼びに関する情報としての、車椅子の乗り場呼びである旨、行き先方向および行き先方向の呼びを送信する(S207)。
【0115】
次に、制御部52bは、車椅子用の乗りかご1Bである2号機と呼び登録の旨を、物体検知部51の制御部51bに送信する(S208)。
【0116】
このように本実施形態では、乗り場呼び装置50は、通常利用の行き先方向表示部310Aから利用者の操作をセンサ部311Aまたは押しボタン312Aで受け付けた場合には、1号機の乗りかご1Aと2号機の乗りかご1Bのいずれか一方の呼びを行い、VIP用の行き先方向表示部310Bから利用者の操作をセンサ部311Bで受け付けた場合には、予め定められた1号機の乗りかご1Aの呼びを行い、車椅子用の行き先方向表示部310Cから利用者の操作を押しボタン312Cで受け付けた場合には、予め定められた2号機の乗りかご1Bの呼びを行う。
【0117】
このため、本実施形態によれば、目的または用途に応じた乗りかごの呼びを確実に行うことができる。
【0118】
従来のエレベータ制御システムでは、利用者が非接触センサや押しボタンにより、VIP専用や車椅子用の乗りかごの呼びを行った場合でも、一括管理された乗り場呼びにより、VIP専用や車椅子に適した乗りかごに対する呼びが既に行われている場合もあり、乗り場呼びの制御が無駄となる。特に、センサ部による呼びを制御する制御基板と、押しボタンによる呼びを制御する制御基板とは、別個に乗り場呼びを行うため、センサ部による操作の検知による乗り場呼びと押しボタンの押下による乗り場呼びとが重複して無駄となる場合がある。
【0119】
これに対し、本実施形態では、乗り場呼び装置50の物体検知部51の制御部51bは、センサ部311Aまたはセンサ部311Bにより操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合に、検知されたセンサ部311Aまたはセンサ部311Bに対応する行き先方向の呼びに関する情報を、制御盤10に送信し、押下検知部52の制御部52bは、押しボタン312Aまたは押しボタン312Cが押下された場合に、押下された押しボタン312Aまたは押しボタン312Cに対応する行き先方向の呼びに関する情報を、制御盤に送信する。そして、物体検知部51の制御部51bは、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信した場合に、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを、押下検知部52の制御部52bに送信する。また、押下検知部52の制御部52bは、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信した場合に、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを、物体検知部51の制御部51bに送信する。
【0120】
そして、物体検知部51の制御部51bは、センサ部311Aまたはセンサ部311Bにより操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合で、かつ、押下検知部52の制御部52bから行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを受信していない場合に、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信する。また、押下検知部52の制御部52bは、押しボタン312または押しボタン312Cが押下された場合で、かつ、物体検知部51の制御部51bから行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを受信していない場合に、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信する。
【0121】
また、物体検知部51の制御部51bは、センサ部311Aまたはセンサ部311Bにより操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合で、かつ、押下検知部52の制御部52bから行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを既に受信している場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信しない。また、押下検知部52の制御部52bは、押しボタン312Aまたは押しボタン312Cが押下された場合で、かつ、物体検知部51の制御部51bから行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを既に受信している場合に、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信しない。
【0122】
従って、本実施形態によれば、センサ部311による操作の検知による乗り場呼びと押しボタン312の押下による乗り場呼びとが重複して無駄となることを回避することができる。このため、本実施形態によれば、目的または用途に応じた乗りかごの呼びを確実に行いながら、乗り場呼びを効率的に行うことが可能となる。
【0123】
また、本実施形態では、物体検知部51の制御部51bは、センサ部311Aにより操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信し、制御盤10から呼びに対する乗りかごに関する情報を受信し、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報とを、押下検知部52の制御部52bに送信する。
【0124】
また、物体検知部51の制御部51bは、センサ部311Bにより操作が検知され、所定時間、検知が継続した場合には、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Aに関する情報(1号機)とを既に受信しているか否かを判断し、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Aに関する情報(1号機)とを受信していない場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10Aに送信し、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1に関する情報(1号機)とを、押下検知部52の制御部52bに送信し、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Aに関する情報(1号機)とを既に受信している場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信しない。
【0125】
従って、本実施形態によれば、VIP用の乗りかご1Aの乗り場呼びを確実に行いながら、当該VIP用の乗りかご1Aの乗り場呼びを効率的に行うことが可能となる。
【0126】
押下検知部52の制御部52bは、押しボタン312Aが押下された場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10に送信し、制御盤10から呼びに対する乗りかご1に関する情報を受信し、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する前記乗りかごに関する情報とを、物体検知部51の制御部51bに送信する。
【0127】
押下検知部52の制御部52bは、押しボタン312Cが押下された場合には、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Bに関する情報(2号機)とを既に受信しているか否かを判断し、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Bに関する情報(2号機)とを受信していない場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10Bに送信し、行き先方向の呼び登録の旨と呼びに対する乗りかご1Bに関する情報とを、物体検知部51の制御部51bに送信し、行き先方向の呼び登録の旨と乗りかご1Bに関する情報(2号機)とを既に受信している場合には、行き先方向の呼びに関する情報を制御盤10Bに送信しない。
【0128】
従って、本実施形態によれば、車椅子用の乗りかご1Bの乗り場呼びを確実に行いながら、当該車椅子用の乗りかご1Bの乗り場呼びを効率的に行うことが可能となる。
【0129】
上記実施形態では、VIP用の乗りかご1A、車椅子用の乗りかご1Bの乗り場呼びを例にあげて説明したが、これら以外の目的、用途の乗りかご1にも本実施形態を適用することもできる。例えば、ペット用の乗りかご1等に本実施形態を適用してもよい。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
1,1A,1B…乗りかご、2…駆動装置、3…カウンタウェイト、4…ロープ、10,10A,10B…制御盤、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、50,50A,50B…乗り場呼び装置、51…物体検知部、51a…計時部、51b…制御部、52…押下検知部、52b…制御部、54…通信部、100…エレベータ制御システム、310,310A,310B,310C…行き先方向表示部、311,311A,311B…センサ部、312,312A,312C…押しボタン、313,313A,313B,313C…表示灯、317…表示装置、320…操作盤、101…扉。
【要約】
【課題】目的または用途に応じた乗りかごの呼びを確実に行うこと。
【解決手段】実施形態のエレベータ制御システムは、第1の行き先方向表示部から利用者の操作を第1の操作部または第2の操作部で受け付けた場合には、第1の乗りかごと前記第2の乗りかごのいずれか一方の呼びを行い、前記第2の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第1の操作部で受け付けた場合には、予め定められた前記第1の乗りかごの呼びを行い、前記第3の行き先方向表示部から前記利用者の操作を前記第2の操作部で受け付けた場合には、予め定められた前記第2の乗りかごの呼びを行う制御を行う制御部を備える。
【選択図】
図3