(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】折り畳まれた遠位端を有する吸入器物品
(51)【国際特許分類】
A61M 15/06 20060101AFI20240430BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20240430BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240430BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20240430BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240430BHJP
【FI】
A61M15/06 A
A24F40/42
A24F40/20
A24D1/20
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2022524037
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(86)【国際出願番号】 IB2020059990
(87)【国際公開番号】W WO2021079341
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-09-28
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】カンピテッリ ジェンナーロ
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/186395(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/186372(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/082056(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/100462(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/06
A24F 40/42
A24F 40/20
A24D 1/20
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの肺に乾燥粉末を提供する吸入器システムで用いるための吸入器物品であって、前記吸入器物品が、
長軸方向軸に沿って、マウスピース端から遠位端に延びる本体と、
前記本体内に画定され、フィルター要素によって下流で境界を接し、かつ変形可能要素によって上流および遠位で境界を接するカプセル空洞であって、前記変形可能要素がそれ自体に折り畳まれることによって変形して、開放開口部を画定して開放遠位端を形成し、前記開放遠位端を通して消費中に前記吸入器物品が渦巻または回転吸入気流を受けることを可能にする、カプセル空洞と、
前記カプセル空洞の中に配置され、乾燥粉末を含むカプセルと、を含む、吸入器物品。
【請求項2】
前記変形可能要素が、前記本体の前記遠位端で折り畳まれる、請求項1に記載の吸入器物品。
【請求項3】
前記変形可能要素が、前記本体の前記遠位端で扇状に折り畳まれる、請求項2に記載の吸入器物品。
【請求項4】
前記変形可能要素の折り畳まれたセクションが、それ自体に折り畳まれて開放開口部を画定し、渦巻または回転する吸入気流を受ける、請求項1に記載の吸入器物品。
【請求項5】
前記カプセル空洞の前記上流境界が、前記吸入器物品の閉鎖端を形成する前記変形可能要素により画定される、請求項1~4のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項6】
前記カプセル空洞の前記上流境界が、前記吸入器物品の開放端を形成する前記変形可能要素により画定される、請求項1~5のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項7】
前記変形可能要素の少なくとも一部が紙で形成される、請求項1~6のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項8】
前記変形可能要素が、前記カプセル空洞の長軸方向の側壁の少なくとも一部分を画定する、請求項1~7のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項9】
前記変形可能要素が、前記カプセル空洞の大部分を画定する、請求項1~8のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項10】
前記フィルター要素および前記変形可能要素を囲むラッピング層をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の吸入器物品。
【請求項11】
前記ラッピング層が、前記フィルター要素と前記変形可能要素を結合する、請求項10に記載の吸入器物品。
【請求項12】
前記変形可能要素が前記ラッピング層を超えて延びる、請求項10あるいは請求項11に記載の吸入器物品。
【請求項13】
前記変形可能要素が、約0.5mm~約5mm、または約1mm~約4mm、または約2mm~約3mmの範囲の前記ラッピング層を超えて延びる、請求項12に記載の吸入器物品。
【請求項14】
前記カプセルが医薬的に活性な粒子を含む、請求項1~13のいずれかに記載の吸入器。
【請求項15】
吸入器システムであって、
請求項1~14のいずれかに記載の吸入器物品と、
吸入器物品向けのホルダーであって、渦巻または回転吸入気流を前記吸入器物品に提供するように構成されたホルダーと、を含む、吸入器システム。
【請求項16】
前記ホルダーが、前記ハウジング空洞内に前記吸入器物品を保持するように構成されたスリーブを備え、前記スリーブが、スリーブ空洞を備え、前記ハウジングの長軸方向軸に沿って前記ハウジング空洞内で移動可能であり、前記スリーブが、第一の開放端および第二の対向端を備え、前記スリーブの前記第二の対向端が、空気が前記スリーブ空洞に入ることを可能にするように構成され、
前記スリーブの前記第二の対向端が、前記スリーブ空洞内に延在するスリーブ管状要素を備え、前記スリーブ管状要素が、前記吸入器物品の前記変形可能要素を貫通し、前記スリーブ内に前記吸入器物品を固定するように構成される、請求項15に記載の吸入器システム。
【請求項17】
前記スリーブ管状要素が、前記カプセル空洞の前記上流境界を形成する、請求項16に記載の吸入器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸入器物品と、ホルダーおよび吸入器物品を含む吸入器システムに関する。吸入器物品は、消費中に吸入器に吸入気流を受けるように変形可能な、包装されたまたは折り畳まれた遠位端を含む。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器は、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末粒子を肺に提供するために常に完全に適切なわけではない。乾燥粉末吸入器は、操作するのに複雑である、あるいは可動部品が関与する場合がある。乾燥粉末吸入器は多くの場合、一度の呼吸で乾燥粉末用量の全部またはカプセル装填量を提供しようとする。
【0003】
複雑な部品を最小限にし、吸入器物品の高速組立が可能な吸入器物品を提供することが望ましいであろう。吸入器物品の遠位端で吸入空気入口を露出させるために変形可能な衛生バリアを含む吸入器物品を提供することが望ましい。
【0004】
消費中にカプセルの粒子を効率的に枯渇させる吸入器システムを提供することが望ましいであろう。渦巻吸入気流を吸入器物品中に受け入れる吸入器物品を提供することが望ましい。実質的に生物分解性である吸入器物品を提供することが望ましいであろう。従来の紙巻たばこあるいは喫煙物品を形成する材料で形成される吸入器物品を提供することが望ましいであろう。
【0005】
吸入器物品を起動または保持することができ、消費中に、渦巻あるいは回転吸入気流を吸入器物品に伝える、ホルダーを提供することが望ましいであろう。吸入器物品を起動可能な、吸入器物品用の目立たない、再利用可能なホルダーを含む吸入器システムを提供することが望ましい。従来の喫煙方法での吸入量または気流量の範囲内での吸入量または気流量で、ニコチン粒子を肺に提供するニコチン粉末吸入器システムを提供することが望ましいであろう。従来の紙巻たばこと類似の形態を有する吸入器物品でニコチン粉末を送達することもまた望ましいであろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、吸入器物品を対象としたものである。吸入器物品は、カプセル空洞の上流端部に接する変形可能要素を破った際に、消費中に渦巻または回転吸入気流を受けるように構成される。吸入器物品は、消費中に吸入器物品に渦巻吸入気流を誘導するように構成されたホルダーから、渦巻または回転吸入気流を受けとってもよい。ホルダーおよび吸入器物品は、本開示も対象としている吸入器システムを形成し得る。
【0007】
本発明の一態様によれば、マウスピース端から遠位端へと長軸方向軸に沿って延びる本体、本体内に画定されるカプセル空洞、カプセル空洞内に保持されるカプセルである。カプセル空洞は、フィルター要素によって下流で境界を接し、変形可能要素によって上流で境界を接する。変形可能要素は、閉鎖構成と開放構成との間で変形可能である。閉鎖構成では、変形可能要素はカプセル空洞を区切る閉鎖境界を画定する。開放構成では、変形可能要素は、それを通して空気がカプセル空洞内に流れることを可能にする開口部を画定する。
【0008】
本発明の一態様によれば、吸入器物品は、マウスピース端から遠位端へと長軸方向軸に沿って延びる本体と、本体内に画定されるカプセル空洞と、カプセル空洞内に保持されるカプセルを備える。カプセル空洞は、フィルター要素によって下流で境界を接し、かつ上流および遠位で変形可能要素によって境界を接し、変形可能要素は変形して開放遠位端を露出し、吸入器物品が消費中に渦巻または回転吸入気流を受けることを可能にする。
【0009】
有利なことに、吸入器物品はカプセル空洞の上流端で衛生的なバリアを画定する変形可能要素を有する。
【0010】
変形可能要素は、カプセル空洞を変形し、露出するように構成され得る。カプセル空洞の上流境界は、吸入器物品の閉鎖端を形成する変形可能要素により画定されてもよい。カプセル空洞の上流境界は、吸入器物品の開放端を形成する変形可能要素により画定されてもよい。
【0011】
変形可能要素が、その遠位端もしくは吸入器物品の本体の遠位端で折り畳まれてもよい。変形可能要素が、その遠位端もしくは吸入器物品の本体の遠位端で扇状褶曲されるのが好ましい。変形可能要素の折り畳まれたセクションが、それ自体に折り畳まれて開放開口部を画定し、渦巻または回転吸入気流を受けてもよい。
【0012】
有利なことに、変形可能要素は変形して、開放遠位端を露出する。これが、消費中に渦巻または回転吸入気流を吸入器物品が受けることを可能にし、吸入器物品の複雑さを低減し、吸入器物品が高速で組み立てられることを可能にする。
【0013】
変形可能要素は、ホルダーに挿入される時に変形可能要素が閉鎖構成から開放構成に変形されるように、ホルダーと整合するように配置されてもよい。用語「変形」は、変形可能要素の形状が変形可能であることを意味すると理解されるべきである。変形可能要素の変形は、弾性変形を含んでもよく、ここで変形可能要素は、力が加えられていない状態では閉鎖構成に戻る。あるいは、変形可能要素の変形は、力の適用後も変形可能要素が開放構成に保持される、塑性変形を含み得る。
【0014】
変形可能要素の少なくとも一部分は、折り畳み可能な材料で形成され得る。他の事例では、変形可能要素は、変形可能要素が開放構成と閉鎖構成との間で移動するためにピボットの周りを移動するヒンジ要素または複数のヒンジ要素を含んでもよい。変形可能要素は、扇状褶曲を含んでもよい。変形可能要素の少なくとも一部分は、セルロース系材料で形成され得る。変形可能要素の少なくとも一部分は、紙で形成され得る。
【0015】
有利なことに、折り畳み可能な材料から変形可能要素を形成することにより、変形可能要素を破いたり、確実に開放したりすることを可能にする。折り畳み可能な材料はまた、カプセル空洞の組立を改善し、吸入器物品の高速組立を提供し得る。有利なことに、セルロース材料または紙から形成される変形可能要素は、実質的に生物分解性であり、吸入器物品の環境への影響を低減し得る。
【0016】
変形可能要素が、カプセル空洞の長軸方向の側壁の少なくとも一部分を画定してもよい。変形可能要素は、カプセル空洞の大部分を画定し得る。変形可能要素は、カプセル空洞の上流境界および側壁を画定してもよい。
【0017】
有利なことに、変形可能要素は、吸入器物品の消費前に、保持されたカプセルおよび吸入器物品の保護カバーまたは衛生バリアを提供し得る。
【0018】
ラッピング層は、フィルター要素および変形可能要素を囲んでもよい。ラッピング層は、連続軸状接合によりフィルター要素、カプセル空洞、および変形可能要素と結合し得る。変形可能要素は、ラッピング層を越えて延在し得る。変形可能要素が、約0.5mm~約5mm、または約1mm~約4mm、または約2mm~約3mmの範囲で、ラッピング層を超えて延在してもよい。ラッピング層は、セルロース材料または紙から形成されてもよい。
【0019】
有利なことに、セルロース材料から形成されラッピング層は、実質的に生物分解性であり、吸入器物品の環境への影響を低減し得る。吸入器物品要素をラッピング層と結合させることは、吸入器物品の高速組立を提供する。
【0020】
カプセル空洞および変形可能要素は、約6mm~約8mmの範囲で実質的に等しい内径を有する。
【0021】
カプセルは医薬的に活性な粒子を含んでもよい。例えば、医薬的に活性な粒子は、ニコチンを含んでもよい。医薬的に活性な粒子は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有してもよい。
【0022】
本発明の別の態様によれば、吸入器システムは、本明細書に記載の吸入器物品、および吸入器物品のホルダーを含み、ホルダーは、吸入器物品に渦巻または回転吸入気流を提供するように構成される。
【0023】
有利なことに、変形可能要素は、ホルダーの特徴と協働して、吸入器物品をホルダー内に確実に保持し得る。例えば、変形可能要素は、吸入器物品がホルダーを掴み、それによってホルダー内で吸入器物品を定位置に保持するように、開放構成にて吸入器物品の長軸方向軸に向かって付勢され得る。
【0024】
有利なことに、渦巻生成要素を再利用可能なホルダーに組み入れることは、吸入器物品の構築を簡素化し、吸入器システムの複雑さを低減し得る。渦巻吸入気流を受ける吸入器物品は、渦巻吸入気流を誘導しなければならない吸入器物品よりも、製造が容易であり、単純な構造を有する場合がある。より複雑でない吸入器物品も、より少ない環境負荷をもたらす場合がある。
【0025】
ホルダーは、ハウジング空洞において吸入器物品を保持するように構成されたスリーブを含み得る。スリーブは、スリーブ空洞を含み、ハウジングの長軸方向軸に沿ってハウジング空洞内で移動可能であってもよい。スリーブは、第一の開放端および第二の対向端を含む。スリーブの第二の対向端は、空気がスリーブ空洞に入ることを可能にするように構成され得る。スリーブの第二の対向端は、スリーブ空洞内に延在するスリーブ管状要素を含み得る。スリーブ管状要素は、吸入器物品の変形可能要素を通って延在し、スリーブ内に吸入器物品を固定するように構成される。
【0026】
スリーブ管状要素は、カプセル空洞の上流境界を形成し得る。
【0027】
ホルダーは、ハウジングの内表面に固定され、かつハウジングの内表面から延在する貫通要素をさらに含み得る。貫通要素は、スリーブの第二の対向端を通って、ハウジングの長軸方向軸に沿ってスリーブ空洞内に延在し、カプセルを起動させるように構成され得る。
【0028】
スリーブの第二の対向端は、カプセル空洞に入る吸入気流上に渦巻または回転気流を誘導するように構成され得る。
【0029】
有利なことに、再利用可能なホルダーを利用して回転または渦巻気流を生成することは、それが複数の吸入器物品に提供されるため、回転または渦巻気流の均一な生成を改善し得る。この回転または渦巻気流は、ホルダーのスリーブ内に受容される吸入器物品のカプセル空洞に提供されてもよい。回転または渦巻気流は、カプセル空洞内に収容されるカプセルを回転させ、消費者に向けて粒子を回転または渦巻気流中に放出するよう誘導する。
【0030】
有利なことに、受容した吸入器物品と嵌合するスリーブの第二の対向端に特徴を提供することは、渦巻誘導スリーブからスリーブ内に受容された吸入器物品への信頼性の高い気流接続を改善し得る。変形可能要素は、吸入器物品がスリーブまたは関連するホルダーから脱落しないように、スリーブ内に受容された吸入器物品の確実な係合を提供するための締まり嵌めを改善し得る。
【0031】
有利なことに、回転または渦巻気流を誘発する再利用可能なホルダーは、関連する消耗品である吸入器物品の複雑さを低減する。これにより、これらの吸入器システムの全体的な製造コストが低減され、カプセル粒子枯渇の信頼性または効率性が改善され得る。
【0032】
有利なことに、吸入器システムは、可動部品を最小化する吸入器システムを提供する。有利なことに、吸入器システムは、ホルダー内に受容された吸入器物品に回転または渦巻気流を誘導する別個のホルダーを利用する。これにより、ホルダーを再利用可能とし、一度の使用後に吸入器物品を使い捨てとすることを可能にし得る。有利なことに、吸入器システムは、ニコチン粒子を、従来の喫煙方法での吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、肺に効率的に提供する。吸入器は、従来の紙巻たばこと同様の形態を有する吸入器物品で、ニコチン粉末を送達する。本明細書に記載の吸入器システムは、従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末を肺に提供してもよい。消費者は、各々の「吸煙」が、カプセル空洞内に収容されたカプセルの中に含まれるわずかな分量の乾燥粉末を送達する、複数の吸入もしくは「吸煙」を行い得る。この吸入器物品は、従来の紙巻たばこと類似した形態を有し得、従来の喫煙を模倣し得る。この吸入器物品は、製造するのが単純で、かつ消費者が使用するのに便利であり得る。
【0033】
吸入器物品のカプセル空洞を通した気流管理は、吸入中および消費中にその中に収容されたカプセルを回転させ得る。カプセルは、ニコチンを含む粒子(「ニコチン粉末」または「ニコチン粒子」とも呼ばれる)、および随意に、風味を含む粒子(「風味粒子」とも呼ばれる)を含んでもよい。貫通されたカプセルの回転は、貫通されたカプセルから吸入器物品を通して移動する吸入空気中へと放出されたニコチン粒子を懸濁およびエアロゾル化してもよい。風味粒子は、ニコチン粒子よりも大きくてもよく、またニコチン粒子をユーザーの肺に送るのを助け、一方で風味粒子はユーザーの口または口腔に優先的に残る。ニコチン粒子および随意の風味粒子は従来の喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、吸入器物品で送達されてもよい。
【0034】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(例えば、遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、ならびにこれに類するものなど)を意味する。
【0035】
「風味剤」または「風味」という用語は、ニコチンの消費中または吸入中に、その味覚特性または芳香特性を変化させる、また変化させるよう意図されている、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を指す。
【0036】
「上流」および「下流」という用語は、吸入気流がホルダー、吸入器物品、吸入器システムの本体を通して引き出される際に、吸入気流の方向との関係において説明されるホルダー、吸入器物品、吸入器システムの要素の相対的な位置を指す。
【0037】
「近位」および「遠位」という用語は、ホルダー、吸入器物品、またはシステムの構成要素または構成要素の部分の相対的位置を描写するために使用される。本発明によれば、ホルダーまたはホルダーを形成する要素(スリーブなど)は、使用時に吸入器物品を受容する近位端と、閉鎖端であり得、またはホルダーの近位端に近い端部を有する、対向遠位端とを有する。本発明によれば、吸入器物品は近位端を有する。使用中、ニコチン粒子は、ユーザーへの送達のために吸入器物品の近位端から出る。吸入器物品は、近位端に対向する遠位端を有する。吸入器物品の近位端はまた、口側端と呼ばれることもある。
【0038】
吸入器物品は、ホルダーと組み合わせて吸入器システムを形成してもよい。ホルダーは、渦巻または回転吸入気流を吸入器物品に提供するように構成される。ホルダーは、またカプセルを貫通することによって吸入器物品を起動してもよく、それにより吸入器物品内でカプセルの信頼できる起動を提供し(ホルダーの貫通要素でカプセルを穿刺することによって)、そしてカプセル内部に含まれた粒子を放出して、物品が粒子を消費者に送達することを可能にする。ホルダーは吸入器物品とは別個のものであるが、消費者は、吸入器物品内で放出される粒子を消費しながら、吸入器物品およびホルダーの両方を利用し得る。複数のこれらの吸入器物品は、ホルダーと組み合わせられて、システムまたはキットを形成し得る。単一のホルダーは、10個以上、または25個以上、または50個以上、または100個以上の吸入器物品で利用されて、各吸入器物品内に収容されるカプセルを起動(穿刺または貫通)し、確実な起動、または随意に、各吸入器物品に対して、吸入器物品の起動についての視覚的表示(マーキング)を提供し得る。
【0039】
本開示は、吸入器物品を対象としたものである。吸入器物品は、消費中に渦巻または回転吸入気流を受けるように構成される。吸入器物品は、消費中に吸入器物品に渦巻吸入気流を誘導するように構成されたホルダーから、渦巻または回転吸入気流を受けとってもよい。ホルダーおよび吸入器物品は、本開示も対象としている吸入器システムを形成し得る。
【0040】
ホルダーは、吸入器物品カプセル空洞の上流境界を画定する変形可能要素を破るまたは開放するように構成されてもよい。変形可能要素が開放される、または破れると、渦巻または回転吸入気流は、破れたまたは開放された変形可能要素によって形成される空隙空間を通して、カプセル空洞内に流れ得る。
【0041】
吸入器物品は、マウスピース端から遠位端へと長軸方向軸に沿って延在する本体と、本体内に画定されたカプセル空洞と、カプセル空洞内に設置されたカプセルと、を含む。カプセル空洞は、フィルター要素によって下流で境界を接し、変形可能要素によって上流または遠位で境界を接する。変形可能要素は、カプセル空洞と接する閉鎖境界を画定する。
【0042】
変形可能要素が吸入器物品の遠位端で破れるかまたは開放されると、吸入器物品は渦巻または回転吸入気流を受ける。渦巻または回転吸入気流は、遠位端のからカプセル空洞に、またフィルターまで、そして吸入器物品のマウスピース端の外へと、吸入器物品を横断する。吸入気流は、カプセル空洞内への流入に伴い、吸入器物品の長軸方向軸と流れが一致することが好ましい。
【0043】
吸入器物品は、変形可能要素が吸入器物品の遠位端で破れるかまたは開放されると、吸入器物品は渦巻吸入気流をカプセル空洞に直接受けるよう構成される。渦巻吸入気流は、下流のカプセル空洞を通って連続的に流れ、カプセル空洞内に受容されるか、または設置されたカプセルの回転を誘発する。活性化されたカプセルは、消費者にマウスピースを通して、下流の渦巻吸入気流中に一回分の粒子を放出する。したがって、渦巻吸入気流は、吸入器物品の上流に生成され、渦巻吸入気流は、吸入器物品の遠位端または最も上流の端に進入し、カプセル空洞内へと伝わって、カプセル空洞内に位置するカプセルを回転またはスピンさせる。
【0044】
吸入器本体は、サイズおよび形状が喫煙物品または紙巻たばこに類似し得る。吸入器本体は、吸入器物品の長軸方向軸に沿って延在する細長い本体を有し得る。吸入器本体は、細長い本体の長さに沿って実質的に均一な外径を有し得る。吸入器本体は、細長い本体の長さに沿って均一であってもよい円形断面を有し得る。吸入器本体の外径は約6mm~約10mm、または約7mm~約10mm、または約7mm~約9mm、または約7mm~約8mmの範囲内、または約7.2mmであり得る。吸入器本体は、約40mm~約80mm、または約40mm~約70mm、または約40mm~約50mmの範囲内の長さ(長軸方向軸に沿った)、または約48mmを有し得る。
【0045】
カプセル空洞の下流に位置するフィルター要素は、カプセル空洞から吸入器物品のマウスピース端まで延在し得る。フィルター要素は、約10mm~約30mm、好ましくは約15mm~約25mm、より好ましくは約20mm~約22mmの範囲の長さを有してもよい。
【0046】
変形可能要素は、カプセル空洞を変形し、露出するように構成される。変形可能要素は、カプセル空洞を露出するように、破れたり、開放したりするよう構成される。変形可能要素は、カプセル空洞の全開径を実質的に露出するように構成される。変形可能要素は、カプセル空洞の全開径を露出するように構成される。
【0047】
変形可能要素が、カプセル空洞の長軸方向の側壁の少なくとも一部分を画定してもよい。変形可能要素は、カプセル空洞の大部分を画定し得る。変形可能要素は、カプセル空洞の閉鎖遠位端あるいは上流端を画定し得る。
【0048】
変形可能要素はセルロース系材料で形成されてもよい。変形可能要素の少なくとも一部分は、紙で形成され得る。変形可能要素は、汚染物または異物がカプセル空洞に入るのを低減または防止するためのバリアを提供し得る。
【0049】
カプセル空洞側壁は、吸入器物品の長軸方向軸と平行に延在する。変形可能要素は、カプセル空洞の閉鎖遠位端あるいは上流端を画定してもよく、少なくともカプセル空洞側壁の一部を画定してもよい。
【0050】
変形可能要素は、閉鎖上流端を有する管状要素を画定してもよい。変形可能要素は、カプセル空洞の閉鎖遠位端あるいは上流端を画定してもよく、少なくともカプセル空洞側壁の50%を画定してもよい。変形可能要素は、カプセル空洞の閉鎖遠位端あるいは上流端を画定してもよく、少なくともカプセル空洞側壁の75%を画定してもよい。変形可能要素は、カプセル空洞の閉鎖遠位端あるいは上流端を画定してもよく、カプセル空洞側壁の全体を画定してもよい。変形可能要素は、フィルター要素によって画定される下流境界表面を除いて、カプセル空洞全体を画定し得る。変形可能要素は、フィルター要素から閉鎖された上流端まで延在する紙層であってもよい。
【0051】
変形可能要素は、本体に接触するか、または吸入器物品の遠位端を形成する外表面または直径を有する。吸入気流は、変形可能要素が破れるかまたは開放されると、変形可能要素の中心を通ってカプセル空洞内に直接流れ込む。変形可能要素は、カプセル空洞の内径と実質的に等しい直径を有し得る。
【0052】
変形可能要素は、約6mm~約8mmあるいは約7.0mm~約7.2mmの範囲内の外径を有してもよい。変形可能要素は、約6mm~約7.2mmあるいは約6.5mm~約6.7mmの範囲内の内径を有してもよい。
【0053】
変形可能要素は、紙で形成され得る。変形可能要素は、一つ以上の紙の層で形成され得る。変形可能要素は、約50グラム/平方メートル~約150グラム/平方メートル、または約75グラム/平方メートル~約125グラム/平方メートル、または約90グラム/平方メートル~約110グラム/平方メートルの範囲の重量を有する紙から形成され得る。
【0054】
変形可能要素は、約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、または約100マイクロメートル~約150マイクロメートル、または約110マイクロメートル~約130マイクロメートルの範囲である厚さを有してもよい。
【0055】
一旦破れるか、または開放されると、変形可能要素は、カプセル空洞の直径の少なくとも約80%または少なくとも約90%である開径を有する開口部を画定し得る。
【0056】
変形可能要素は、吸入空気がカプセル空洞に入ることを可能にするために、容易に破れ得る。例えば、変形可能要素は、ユーザーが力を加えるのを補助するための追加のツールを使用することなく、吸入器物品をユーザーがホルダーに手動で挿入したときに破れるように構成され得る。変形可能要素は、カプセル空洞の全上流端を実質的に露出するように破れたり、開放したりし得る。変形可能要素は、吸入器物品の消費前に、保持されたカプセルおよび吸入器物品の保護カバーまたは衛生バリアを提供し得る。
【0057】
ラッピング層は、吸入器物品の本体を画定し得る。ラッピング層は、フィルター要素および変形可能要素を囲んでもよい。ラッピング層は、フィルター要素および変形可能要素と結合してもよい。ラッピング層は、連続軸状接合によりフィルター要素および変形可能要素と結合し得る。ラッピング層は、セルロース材料から形成されてもよい。
【0058】
変形可能要素は、ラッピング層を越えて延在し得る。変形可能要素が、約0.5mm~約5mm、または約1mm~約4mm、または約2mm~約3mmの範囲で、ラッピング層を超えて延在してもよい。
【0059】
カプセル空洞は、カプセルを収容するように構成された円筒状の空間を画定し得る。例えば、カプセルは、長円形または円形の断面を有してもよい。カプセル空洞は、カプセル空洞長さに沿って実質的に均一な、または均一な直径を有し得る。カプセル空洞は、固定した空洞長さを有し得る。カプセル空洞は長軸方向軸と直交する空洞内径を有し、またカプセルはカプセル外径を有する。カプセル空洞は、長円形カプセルを収容するサイズとし得る。カプセル空洞は、カプセル空洞長さに沿って実質的に円筒状の、または円筒状の断面を有し得る。カプセル空洞は、均一な内径を有し得る。カプセルは、カプセル空洞の内径の約80%~約95%の外径を有し得る。カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルの活性化または貫通の間にカプセルの限定的な移動を促進し得る。
【0060】
カプセル空洞は、約6mm~約7mmの範囲、または約6.6mmの直径を有する変形可能要素によって画定され得る。
【0061】
カプセル空洞は、吸入器物品の管状要素によって画定されてもよい。管状要素は、吸入器物品およびフィルター要素の遠位端を形成する管状要素との間に結合され、かつ管状要素と当接して整列されてもよい。これらの要素は、ラッパーで結合されてもよい。カプセル空洞を画定する開放管状要素は、厚紙またはボール紙などの生物分解性で形成されてもよい。
【0062】
カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルがカプセル空洞の中で安定性を保って回転するのを促進し得る。カプセルの長軸方向軸は、吸入中に吸入器本体の長軸方向軸と同軸に安定性を保って回転し得る。カプセルに対するカプセル空洞の構成は、カプセルがカプセル空洞の中でいくらか触れながら回転するのを促進し得る。
【0063】
安定な回転は、吸入器本体の長軸方向軸がカプセルの回転軸と実質的に平行または同軸であることを意味する。安定な回転は、回転するカプセルの進行の欠如を意味し得る。吸入器本体の長軸方向軸は、カプセルの回転の軸と実質的に同一の広がりを持つことが好ましい。カプセルの安定な回転は、消費者による二回以上、または五回以上、または十回以上の「吸煙」または吸入にわたって、カプセルからのニコチン粒子の一部分の均一な取り込みを提供し得る。
【0064】
カプセルは消費の前に、吸入器物品内に封止され得る。吸入器物品は、封止されたまたは気密性のある容器または袋の中に収容され得る。吸入器物品は、変形可能要素(吸入器物品の遠位端を閉鎖する)および吸入器物品の空気出口またはマウスピースへの一つ以上の剥離可能または取り外し可能なシール層を含み得る。
【0065】
カプセルは、空気が吸入器物品を通して流れる時、その長軸方向軸または中央軸を中心に回転し得る。カプセルは気密材料で形成されてもよく、この気密材料は、吸入器と別個であるか組み合わせられ得る貫通要素によって貫通または穿刺され得る。カプセルは金属材料または高分子材料で形成されてもよく、この材料は汚染物質をカプセルに入れないように機能するが、カプセルの中のニコチン粒子の消費の前に貫通要素によって貫通または穿刺される場合がある。カプセルは高分子材料で形成されてもよい。高分子材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であってもよい。カプセルはサイズ1~サイズ4のカプセル、またはサイズ3のカプセルであってもよい。
【0066】
カプセルは医薬的に活性な粒子を含んでもよい。例えば、医薬的に活性な粒子は、ニコチンを含んでもよい。医薬的に活性な粒子は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有してもよい。
【0067】
カプセルは、ニコチン(「ニコチン粉末」または「ニコチン粒子」とも呼ばれる)を含むニコチン粒子、および随意に風味を含む粒子(「風味粒子」とも呼ばれる)を含んでもよい。カプセルは所定の量のニコチン粒子および随意の風味粒子を含み得る。カプセルは、少なくとも2回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約5回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約10回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含み得る。カプセルは、約5~約50回の吸入もしくは「吸煙」、または約10~約30回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含み得る。各々の吸入または「吸煙」は、約0.1mg~約3mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約0.2mg~約2mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約1mgのニコチン粒子をユーザーの肺に送達し得る。
【0068】
ニコチン粒子は、採用される特定の製剤に基づいてニコチンの任意の有用な濃度を有し得る。ニコチン粒子は、少なくとも約1重量%~最高約30重量%のニコチン、または約2重量%~約25重量%のニコチン、または約3重量%~約20重量%のニコチン、または約4重量%~約15重量%のニコチン、または約5重量%~約13重量%のニコチンを有し得る。各々の吸入もしくは「吸煙」で、約50~約150マイクログラムのニコチンがユーザーの肺に送達され得ることが好ましい。
【0069】
カプセルは、少なくとも約5mgのニコチン粒子、または少なくとも約10mgのニコチン粒子を保持または含み得る。カプセルは約900mg未満のニコチン粒子、または約300mg未満のニコチン粒子、または150mg未満のニコチン粒子を保持または含み得る。カプセルは、約5mg~約300mgのニコチン粒子、または約10mg~約200mgのニコチン粒子を保持または含み得る。
【0070】
カプセルの中で風味粒子がニコチン粒子とブレンドされたまたは組み合わせられた時に、ユーザーに送達される毎回の吸入もしくは「吸煙」に所望の風味を提供する量の風味粒子が存在し得る。
【0071】
ニコチン粒子は、ユーザーの肺の中に優先的に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有し得る。カプセルはニコチン粒子以外の粒子を含み得る。ニコチン粒子およびその他の粒子は粉末システムを形成し得る。
【0072】
カプセルは、少なくとも約5mgの乾燥粉末(粉末システムとも呼ばれる)または少なくとも約10mgの乾燥粉末を保持または含み得る。カプセルは、約900mg未満の乾燥粉末、または約300mg未満の乾燥粉末、または約150mg未満の乾燥粉末を保持または含み得る。カプセルは、約5mg~約300mgの乾燥粉末、または約10mg~約200mgの乾燥粉末、または約25mg~約100mgの乾燥粉末を保持または含み得る。
【0073】
乾燥粉末または粉末システムは、約5マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約5マイクロメートルの範囲内の粒子サイズのニコチン粒子から成る粉末システムの少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。
【0074】
ニコチンを含む粒子の空気動力学的中央粒子径は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約2.5マイクロメートルの範囲内であり得る。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0075】
風味を含む粒子は、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲内、または約50~約150マイクロメートルの範囲内の空気動力学的中央粒子径を有し得る。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0076】
乾燥粉末は、約60マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約40マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約25マイクロメートルの範囲内の中央粒子径を有し得る。中央粒子径は質量あたりの中央粒子径を意味し、またレーザー回折、レーザー拡散、または電子顕微鏡によって測定することが好ましい。
【0077】
粉末システム中またはニコチン粒子中のニコチンは、医薬的に許容可能な遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であり得る。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物には例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチンと結合して塩または塩水和物を形成する化合物は、その予想される薬理学的効果に基づいて選択され得る。
【0078】
ニコチン粒子はアミノ酸を含むことが好ましい。アミノ酸はL-ロイシンなどのロイシンであってもよいことが好ましい。ニコチンを含む粒子にL-ロイシンなどのアミノ酸を提供することは、ニコチンを含む粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減し、それ故にニコチン粒子の凝集を低減し得る。同様に、風味を含む粒子に対する接着力も低減し得、それ故にニコチン粒子の風味粒子との凝集も低減する。それ故に、本明細書に記載の粉末システムは自由流動材料であり得、またニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、各々の粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有する。
【0079】
ニコチンは表面修飾したニコチン塩であり得ることが好ましく、その場合、ニコチン塩粒子は被覆された粒子または複合粒子を含む。好ましい被覆材料または複合材料はL-ロイシンであり得る。一つの特に有用なニコチン粒子は、L-ロイシンを含む重酒石酸ニコチンであり得る。
【0080】
粉末システムは風味粒子の集団を含み得る。風味粒子は、選択的にユーザーの口または口腔に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有し得る。
【0081】
粉末システムは、約20マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味粒子の集団の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。粉末システムは、約50マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味粒子の集団の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。粉末システムは、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲内の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味粒子の集団の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有し得る。
【0082】
風味を含む粒子は、接着力または表面エネルギーおよび結果としてもたらされる凝集を低減する化合物を含み得る。風味粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された風味粒子を形成し得る。一つの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムであり得る。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物を風味粒子に提供すること、特に風味粒子を被覆することは、風味を含む粒子の接着力を低減する場合があり、また風味粒子の間の引力を低減し、それ故に風味粒子の凝集を低減する場合がある。それ故に、ニコチン粒子を有する風味粒子の凝集も低減する場合がある。それ故に、本明細書に記載の粉末システムは、ニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、ニコチンを含む粒子と風味を含む粒子の安定した相対的な粒子サイズを有してもよい。粉末システムは自由流動であり得ることが好ましい。
【0083】
乾燥粉末吸入用の従来的な製剤は、活性粒子が吸入器を通る単純な気流による影響を受けるには小さすぎる場合があるため、活性粒子の流動化を増大するように機能する担体粒子を含む。粉末システムは担体粒子を含み得る。これらの担体粒子は、約50マイクロメートル超の粒子サイズであり得るラクトースまたはマンニトールなどのサッカリドであり得る。担体粒子は製剤中で希釈剤または膨化剤として作用することによって、用量の均一性を改善するために利用され得る。
【0084】
本明細書に記載のニコチン粉末送達システムとともに利用される粉末システムは、担体を含まなくてもよく、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まなくてもよい。担体を含まない、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まないことは、典型的な喫煙方法での吸入量または気流量と類似の吸入量または気流量でニコチンが吸入され、かつユーザーの肺に送達されることを可能にし得る。
【0085】
ニコチン粒子と風味は、単一のカプセル内に組み合わせられ得る。上述の通り、ニコチン粒子および風味はそれぞれ、結果として安定な粒子製剤をもたらす、低減された接着力を有してもよく、この場合組み合わせられた時に各構成要素の粒子サイズは実質的に変化しない。別の方法として、粉末システムは、単一のカプセルの中に含まれたニコチン粒子と、第二のカプセルの中に含まれる風味粒子とを含む。
【0086】
ニコチン粒子および風味粒子は、ニコチン粒子とともに消費された時にユーザーが風味粒子を検知するように、任意の有用な相対的な量で組み合わせられ得る。ニコチン粒子および風味粒子は、粉末システムの全重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0087】
吸入器および吸入器システムは、従来の乾燥粉末吸入器と比較して、より複雑でない、単純化された気流経路を有してもよい。有利なことに、吸入器本体の中のカプセルの回転は、ニコチン粒子または粉末システムをエアロゾル化し、また自由流動粉末の維持を支援する場合がある。それ故に、吸入器物品は、上述のニコチン粒子を肺に深く送達するために、従来の吸入器によって典型的に利用される高い吸入量を必要としない場合がある。
【0088】
吸入器物品は、約5L/分未満、または約3L/分未満、または約2L/分、または約1.6L/分未満の流量を使用し得る。好ましくは、流量は、約1L/分~約3L/分または約1.5L/分~約2.5L/分の範囲内であり得る。好ましくは、吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)の喫煙方法の流量と同様であり、すなわち約1.6L/分であり得る。
【0089】
吸入器システムは、本明細書に記載の吸入器物品と、吸入器物品用のホルダーとを含み、ホルダーは、吸入器物品に渦巻または回転吸入気流を提供するように構成される。ホールドは、渦巻または回転吸入気流を吸入器物品に提供するように構成される。ホルダーは、変形可能要素を破りまたは開放し、渦巻または回転吸入気流を吸入器物品に提供するように構成される。
【0090】
ホルダーは、ハウジング空洞において吸入器物品を保持するように構成されたスリーブを含み得る。スリーブは、スリーブ空洞を含み、ハウジングの長軸方向軸に沿ってハウジング空洞内で移動可能であってもよい。スリーブは、第一の開放端および第二の対向端を含む。スリーブの第二の対向端は、空気がスリーブ空洞に入ることを可能にするように構成され得る。スリーブの第二の対向端は、スリーブ空洞内に延在するスリーブ管状要素を含み得る。スリーブ管状要素は、変形可能要素を通って、吸入器物品の遠位端内に延在し、吸入器物品をスリーブ内に固定するように構成され得る。スリーブ管状要素は、吸入器物品の変形可能要素を通って延在し、スリーブ内に吸入器物品を固定するように構成され得る。
【0091】
ホルダーは、ハウジングの内表面に固定され、かつハウジングの内表面から延在する貫通要素をさらに含み得る。貫通要素は、スリーブの第二の対向端を通って、ハウジングの長軸方向軸に沿ってスリーブ空洞内に延在し、カプセルを起動させるように構成され得る。
【0092】
スリーブの第二の対向端は、カプセル空洞に入る吸入気流上に渦巻または回転気流を誘導するように構成され得る。
【0093】
方法は、吸入器物品を、吸入器物品のために、ホルダーのスリーブの中へと挿入することを含む。吸入器物品は、マウスピース端から遠位端へと、本体の長さで、吸入器長軸方向軸に沿って伸びる本体と、吸入器物品本体内に配置されたカプセルを含む。次いで、吸入器物品およびスリーブを、貫通要素がカプセルを貫通するまで貫通要素に向かって移動させる。次に、渦巻吸入気流を形成するために、空気をホルダーのスリーブの第二の対向端に引き込む。次いで、吸入器物品が吸入器物品用ホルダー内に配置されている間に、渦巻吸入気流は吸入器物品の中へと引き込まれる。消費された吸入器物品はその後、ホルダーから取り外されて廃棄されてもよい。そして、未使用の吸入器物品がホルダーの中へと挿入され、この方法が繰り返され得る。
【0094】
吸入器物品は、変形可能要素が開放されるまたは破れると、吸入器物品は渦巻吸入気流を吸入器物品の遠位端に直接受けるよう構成される。渦巻吸入気流は、下流のカプセル空洞の中へと流れ、カプセル空洞内に受容されるカプセルの回転を誘発する。活性化されたカプセルは次いで、消費者にマウスピースを通して、下流の渦巻吸入気流中に一回分の粒子を放出する。吸入器物品の遠位端または最も上流の端は、変形可能要素が一旦開放されるまたは破れると、開放吸入空気入口を画定する開放開口部を含む。したがって、渦巻吸入気流は、吸入器物品の上流に生成され、渦巻吸入気流は、吸入器物品の遠位端または最も上流の端に入る。
【0095】
吸入器物品用のホルダーは、吸入器物品を受容するためのハウジング空洞と、ハウジング空洞内に吸入器物品を保持するように構成されたスリーブとを含む、ハウジングを含む。スリーブは、ハウジングの長軸方向軸に沿ってハウジング空洞内で移動可能なスリーブ空洞を含む。スリーブは、第一の開放端および第二の対向端を備える。スリーブの第二の対向端は、空気がスリーブ空洞に入ることを可能にするように構成される。スリーブの第二の対向端は、スリーブ空洞に入る空気上に渦巻を誘導するように構成される。
【0096】
スリーブの第二の対向端は、渦巻または回転吸入気流を生成するように構成される渦巻生成要素を画定する。この渦巻または回転吸入気流は、吸入器物品に伝達されてカプセルを回転させ、カプセル内に含まれる乾燥粉末を放出し得る。
【0097】
スリーブの第二の対向端は、スリーブ空洞と流体連通する中央通路を有するスリーブ管状要素を含む。スリーブの第二の対向端は、空気が中央通路に入ることを可能にする少なくとも一つの空気入口を有する。少なくとも一つの空気入口は、中央通路に対して接線方向にある方向に延在する。スリーブの第二の対向端は、空気が中央通路に入ることを可能にする少なくとも二つの空気入口を有してもよい。少なくとも二つの空気入口は、中央通路に対して接線方向にある方向に延在する。スリーブの第二の対向端は、空気が中央通路に入ることを可能にする少なくとも三つの空気入口を有してもよい。少なくとも三つの空気入口は、中央通路に対して接線方向にある方向に延在する。スリーブの第二の対向端は、空気が中央通路に入ることを可能にする少なくとも四つの空気入口を有してもよい。四つの空気入口は、中央通路に対して接線方向にある方向に延在する。
【0098】
スリーブ管状要素は、ハウジングの長軸方向軸と同軸であってもよい。スリーブ管状要素は、スリーブ空洞と同軸であってもよい。スリーブ管状要素は、ハウジングの長軸方向軸とスリーブ空洞の両方に同軸であってもよい。
【0099】
中央通路を有するスリーブ管状要素は、スリーブ空洞の直径の約30%~約70%の範囲の直径を有してもよい。中央通路を有するスリーブ管状要素は、スリーブ空洞の直径の約40%~約60%の範囲の直径を有してもよい。
【0100】
中央通路を有するスリーブ管状要素は、スリーブ空洞内に延在し、吸入器物品の遠位端を受容するように構成されたスリーブ空洞と環状凹部を形成する。中央通路を有するスリーブ管状要素は、スリーブ空洞内に延在し、変形可能要素が破れたり、開放されたりした際に、吸入器物品の遠位端を保持するように構成されたスリーブ空洞と環状凹部を形成する。
【0101】
中央通路を有するスリーブ管状要素は、スリーブ空洞内に受容される吸入器物品の遠位端内に延在する。スリーブ管状要素が吸入器物品の遠位端内に受容されると、スリーブ管状要素の開放端はカプセル空洞の上流境界を形成し得る。
【0102】
環状凹部は、締まり嵌めにより吸入器物品の遠位端を保持するように構成され得る。
【0103】
一度破れるか、または開放されると、変形可能要素は、カプセル空洞の側壁に折り畳まれてもよい。一度破れるか、または開放されると、変形可能要素は、スリーブ管状要素と共に、締まり嵌めの提供を支援し得る。一度破れるか、または開放されると、変形可能要素は、スリーブ管状要素と協働し、スリーブ管状要素と共に、締まり嵌めを提供するようにくぼむ。
【0104】
中央通路を有するスリーブ管状要素は、カプセル空洞の遠位端または上流端の閉鎖境界を画定する変形可能要素を破り、貫通、または開放し得る。破れた変形可能要素の部分は、カプセル空洞の内表面に押し付けられてもよい。中央通路を有するスリーブ管状要素は、変形可能要素を通して挿入される際に、カプセル空洞の直径全体を露出することが好ましい。
【0105】
中央通路を有するスリーブ管状要素の少なくとも一部分は、スリーブ内に受容される吸入器物品の上流に位置する。中央通路を有するスリーブ管状要素は、受容された吸入器物品の長軸方向軸と同軸であることが好ましい。
【0106】
中央通路を有するスリーブ管状要素は、吸入器物品のカプセル空洞と嵌合するようにサイズ決めされてもよい。中央通路を有するスリーブ管状要素は、吸入器物品のカプセル空洞と連動してもよい。中央通路を有するスリーブ管状要素は、吸入器物品のカプセル空洞内で適合してもよい。スリーブ管状要素の中央通路は、約3mm~約5mmの範囲、または約4mmの内径を有してもよい。
【0107】
スリーブ管状要素は、カプセル空洞の内径と嵌合するようにサイズ決めされた外径を有してもよい。スリーブ管状要素は、カプセル空洞の内径と接触するようにサイズ決めされた外径を有してもよい。スリーブ管状要素は、約5mm~約7mm、または約6mm~約7mmの外径を有し得る。
【0108】
中央通路を有するスリーブ管状要素は、中央通路に対して接線方向に延在する少なくとも一つの空気入口を含み得る。スリーブ管状要素は、中央通路に対して接線方向に延在する少なくとも二つの空気入口を含み得る。スリーブ管状要素は中央通路に対して接線方向にある方向に延在する少なくとも三つの空気入口を含む。
【0109】
一つ以上の空気入口は、スリーブの対向する第二の端を形成する側壁を通って延在し得る。一つ以上の空気入口は、スリーブまたはハウジングの長軸方向軸に直交する方向に延在し得る。一つ以上の空気入口は、中央通路を有するスリーブ管状要素の長軸方向軸に直交する方向に延在し得る。
【0110】
中央通路を有するスリーブ管状要素は、中央通路に対して接線方向にある方向に延在する一つの空気入口を含んでもよい。中央通路を有するスリーブ管状要素は、中央通路に対して接線方向にある方向に延在する二つの空気入口を含んでもよい。中央通路を有するスリーブ管状要素は、中央通路に対して接線方向にある方向に延在する三つの空気入口を含んでもよい。中央通路を有するスリーブ管状要素は、中央通路に対して接線方向にある方向に延在する四つの空気入口を含み得る。
【0111】
好ましくは、少なくとも一つの空気入口は、中央通路の内径または外周を画定するスリーブ管状要素の内径で、スリーブ管状要素の中央通路に入る。好ましくは、少なくとも二つの空気入口は、中央通路の内径または外周を画定するスリーブ管状要素の内径で中央通路に入る。好ましくは、少なくとも三つの空気入口は、中央通路の内径または外周を画定するスリーブ管状要素の内径で中央通路に入る。好ましくは、四つの空気入口は、中央通路の内径または外周を画定するスリーブ管状要素の内径で中央通路に入る。
【0112】
二つ以上の空気入口は、スリーブ管状要素の中央通路の外周の周囲に、均等に離間して設定されることが好ましい。
【0113】
スリーブ管状要素の中央通路に対して接線方向に延在する少なくとも一つの空気入口は、スリーブの遠位端を画定する端部表面に近接する中央通路に入る。端部表面は、実質的に閉じた端部表面を形成し、貫通要素のみが端部表面を通って延在することを可能にする。端部表面は、スリーブの長軸方向軸に直交して延在する。端部表面は、スリーブの遠位端を通って吸入空気が流れ出るのを防止する。端部表面は、吸入空気をスリーブ空洞に向ける。
【0114】
スリーブ管状要素の中央通路に対して接線方向の方向に延在する少なくとも一つの空気入口は、端部表面に中央通路を有するスリーブ管状要素に入ることが好ましい。改善されたカプセルの枯渇は、接線方向の空気入口が中央通路の端部表面の近くに位置するときに生じる。
【0115】
スリーブ管状要素は、ハウジング空洞内に吸入器物品を保持するように構成されたスリーブ(スリーブにとって不可欠な)との単一構造であってもよい。スリーブ管状要素は、スリーブの第二の対向端の一部分を形成してもよい。スリーブ管状要素およびスリーブは、射出成形プロセスによって形成され得る。スリーブ管状要素およびスリーブは、射出成形プロセスによって同時に形成され得る。
【0116】
中央通路を有するスリーブ管状要素は、スリーブ空洞の中へと延びてもよく、または突出してもよい。中央通路を有するこのスリーブ管状要素は、スリーブの内表面に面する外径を有する外表面を有し得る。スリーブ空洞を画定するスリーブの内表面。
【0117】
中央通路を有するスリーブ管状要素は、スリーブ空洞に約2mm~約10mm、または約3mm~約7mm、または約4mm~約6mmの範囲の距離、または約5mmの距離で延在し得る。これらおよび他の実施形態では、中央通路を有するスリーブ管状要素は、約4mm~約6.5mm、または約5mm~約6mm、または約5mm~約5.5mmの範囲の、または好ましくは約5.25mmの外径を有してもよい。
【0118】
中央通路を有するスリーブ管状要素の少なくとも一部分は、受容された吸入器物品中に挿入される。中央通路を有するスリーブ管状要素の少なくとも50%は、受容された吸入器物品に挿入されるのが好ましい。
【0119】
スリーブ空洞内に延在する中央通路を有するスリーブ管状要素は、吸入器物品の遠位端を受容するように構成されたスリーブ空洞と環状凹部を形成してもよい。スリーブ空洞内に延在する中央通路を有するスリーブ管状要素は、吸入器物品の遠位端によって受容されるように構成されたスリーブ空洞と環状突起を形成し得る。スリーブ空洞内に延在する中央通路を有するスリーブ管状要素は、吸入器物品の遠位端を受容するように構成されたスリーブ空洞内にて環状凹部および環状突起の両方を形成してもよい。
【0120】
吸入器物品の遠位端は、スリーブ空洞内に延在する中央通路を有するスリーブ管状要素によって形成される環状凹部と嵌合するように構成されてもよい。吸入器物品の遠位端は、スリーブ空洞内に延在する中央通路を有するスリーブ管状要素によって形成される環状突起と嵌合するように構成されてもよい。吸入器物品の遠位端は、スリーブ空洞内に延在する中央通路を有するスリーブ管状要素によって形成される環状凹部および環状突起と嵌合するように構成されてもよい。中央通路を有するスリーブ管状要素は、スリーブ空洞内に受容される吸入器物品の遠位端内に延在するよう構成されてもよい。
【0121】
スリーブ空洞内に延在する中央通路を有するスリーブ管状要素によって形成される環状突起は、変形可能要素が破れるかまたは開放されると、受容された吸入器物品のカプセル空洞内に適合またはスライドし得る。スリーブ空洞内に延在する中央通路を有するスリーブ管状要素によって形成される環状突起は、変形可能要素が破れるかまたは開放されると、受容された吸入器物品のカプセル空洞内に適合し得る。スリーブ空洞内に延在する中央通路を有するスリーブ管状要素によって形成される環状突起は、変形可能要素が破れるかまたは開放されると、受容された吸入器物品のカプセル空洞内に締まり嵌めを形成し得る。したがって、中央通路を有するスリーブ管状要素の中央通路は、変形可能要素が破れるかまたは開放されると、吸入器物品のカプセル空洞に適合し得る。
【0122】
吸入器物品のホルダーは、吸入器物品内のカプセルを貫通または活性化するように構成された貫通要素を含み得る。貫通要素は、ハウジングの内表面に固定され、かつハウジングの内表面から延在してもよい。貫通要素は、スリーブの第二の対向表面の端部表面を通って、ハウジングの長軸方向軸に沿って、スリーブ空洞内に延在するように構成され得る。
【0123】
貫通要素は、スリーブの端部表面の開口部を通って延在し得る。貫通要素は、スリーブの端部表面の再封止可能な要素を通って延在し得る。再封止可能な要素は、貫通要素が再封止可能な要素内にない時に、スリーブの端部表面に気密性のあるシールまたはバリアを形成し得る。貫通要素は、スリーブの端部表面の開口部を通って延在し、実質的に開口部からの気流を塞いでもよい。
【0124】
貫通要素は、端部表面を通過して、カプセル空洞内のカプセルを穿刺し得る。再封止可能な要素は、貫通開口部にある場合、貫通要素が再封止可能な要素から引き込まれるかまたは取り外されると、再封止し得る。再封止可能な要素または膜はセプタムまたはセプタムに類似の要素を含み得る。再封止可能な要素または膜は、ゴム、シリコーン、ポリマーで共積層化された金属箔、またはラテックスなどの弾性材料、または高密度酢酸セルローストウなどの酢酸セルローストウで形成され得る。
【0125】
貫通要素は、ハウジング内表面に固定され、ハウジングの内表面からハウジング空洞の中へと貫通要素の長軸方向軸に沿って貫通要素の長さに延在する。貫通要素は、ハウジングの開放近位端から後退した距離だけ後退し得る。
【0126】
吸入器物品の遠位端または最も上流の端は、スリーブの第二の対向端に接触し、スリーブを貫通要素に向かって移動させるように付勢し得る。スリーブは、貫通要素と同軸であってもよい。スリーブは、貫通要素が吸入器物品内のカプセルを確実に起動するように、吸入器物品を整列させ得る。スリーブはまたはホルダーは、貫通要素を機械的に保持し、貫通要素を支持して、貫通要素の偏向を防止または軽減し得る。
【0127】
スリーブは、スリーブを通る少なくとも一つの空気開口部を含む第一の空気入口ゾーンを画定し得る。第一の空気入口ゾーンは、二つ以上、三つ以上、四つ以上、または約1~約10個の空気開口部、または約3~約9個の空気開口部を含み得る。第一の空気入口ゾーンは、スリーブの第一の開放端に近接している。第一の空気入口ゾーンは、空気がスリーブとハウジングとの間に形成された気流チャネルへと流れることを可能にするように構成される。
【0128】
スリーブは、第一の空気入口ゾーンの下流に位置する第二の空気入口ゾーンを備えてもよい。スリーブの第二の対向端を含む第二の空気入口ゾーンは、空気がスリーブ空洞に入ることを可能にするように構成される。第二の空気入口ゾーンは、一つ、二つ以上、三つ以上、または四つ以上の空気開口を含んでよく、渦巻吸入気流を形成するための、スリーブ管状要素の中央通路へ正接したスリーブの第二の対向端への直接入口または吸入空気となる。
【0129】
ホルダーは、ハウジングの開放近位端に固定された保持リング要素を含み得る。保持リング要素は、スリーブを吸入器物品空洞内に保持する。保持リングは、ホルダーの吸入器物品空洞内のスリーブの移動を停止または保持するのに充分な厚さを有する。
【0130】
ホルダーは、ハウジングの開放近位端に向かって、または貫通要素から離れるように、弛緩位置(または変形されていない)またはと圧縮位置(変形されている)との間でスリーブを付勢するように構成されたばね要素を含み得る。ばね要素は、ホルダーのハウジング空洞内に収容されてもよく、移動可能なスリーブおよび吸入器物品が貫通要素に向かって移動するにつれて圧縮され得る。ばね要素は、スリーブとハウジングの閉鎖端との間に置かれてもよく、スリーブとハウジングの閉鎖端に接触する。ばね要素は、貫通要素の周りに配置されてもよい。ばね要素は、貫通要素と同軸であってもよい。ばね要素は、円錐ばねであってもよい。
【0131】
ばね要素は、ホルダーの遠位端または閉鎖端に固定されてもよい。ばね要素は、スリーブの第二の対向端に固定されてもよい。ばね要素は、ホルダーの閉鎖端およびスリーブの第二の対向端の両方に固定されてもよい。ばね要素は、円錐ばねであってもよい。有利なことに、円錐ばねは、より柔軟な設計およびより小さな全体的な圧縮厚さを提供しうるように、目立たない設計を提供し得る。また、有利なことに、円錐ばねの提供により、円筒ばねと比較して、圧縮された時にばねが曲がる可能性が減少し得る。
【0132】
貫通要素が吸入器物品を起動すると、ばね要素は、吸入器物品が貫通要素から離れるように吸入器物品を付勢する。ばね要素は、貫通要素の周りに配置されてもよい。ばね要素は、貫通要素と同軸であってもよい。貫通要素は、ばね要素が弛緩位置にある時に、ばね要素を超えて延びてもよい。貫通要素は、ばね要素が圧縮位置にある時に、ばね要素を超えて延びてもよい。貫通要素は、ばね要素が弛緩位置および圧縮位置の両方にある時に、ばね要素を超えて延びてもよい。貫通要素は、スリーブがばね要素を圧縮する時に、ばね要素を超えて延びてもよい。
【0133】
スリーブは、スリーブの長軸方向の長さに沿って延びる細長いスロットを含み得る。スリーブが細長いスロットを含む場合、ハウジングはさらに、ハウジング空洞の内表面から延びる整列ピンを含み得る。整列ピンは、細長いスロットと嵌合するように構成されてもよい。有利なことに、細長いスロットおよび整列ピンは、弛緩位置と圧縮位置との間の確実な移動経路を提供する。
【0134】
ホルダーは、吸入器物品空洞の中へと延びるマーキング要素を含み得る。マーキング要素は、吸入器物品の表面をマークするように構成されてもよい。マーキング要素は、ホルダーおよび吸入器物品の長軸方向軸に直角に延在し得る。マーキング要素は、吸入器物品の外表面を機械的にマークするように構成され得る。例えば、マーキング要素は、吸入器物品の外表面を擦過、切断、摩耗、刻印、折り畳み、または湾曲するように構成され得る。マーキング要素は、吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器外表面を引っ掻くように構成された鋭端部を有し得る。マーキング要素は、吸入器物品空洞内に受容された時に、吸入器外表面を着色し得る。マーキング要素は、貫通要素が吸入器物品内に配置されたカプセルを貫通する時に、吸入器外表面をマーキングしてもよい。こうして、吸入器物品が起動され、ユーザーによって消費され得ることを示す。有利なことに、これはまた、ユーザーが以前に起動済みの吸入器物品を再利用しようとすることを防止し得る。
【0135】
マーキング要素は、ホルダーおよび吸入器物品の長軸方向軸に直角に延在し得る。マーキング要素は、マーキング要素が吸入器の外表面に接触したという視覚的表示を提供するように構成された剛直な材料から形成されてもよい。マーキング要素は、ホルダーハウジングに固定されてもよい。マーキング要素は、上述のように、整列ピンを形成し得る。
【0136】
マーキング要素は、ホルダーの厚さの少なくとも一部分を通して延在し得る。マーキング要素はスリーブを通して延在してもよい。マーキング要素は、吸入器物品空洞の中へ、そしてスリーブの中へと延び得る。マーキング要素は、吸入器物品が吸入器物品空洞内に受容された時にマーキング要素が吸入器外表面に接触するように、少なくともスリーブを超えてマーキング距離に延び得る。マーキング要素は、スリーブの細長いスロットと整列され、かつ嵌合してもよい。
【0137】
貫通要素は、開放近位端から任意の適切な後退した距離だけ後退し得る。例えば、貫通要素は、ハウジングの長さの少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、または少なくとも約30%、または少なくとも約35%、または少なくとも約40%の後退した距離で、開放近位端から後退していてもよい。貫通要素は、ハウジング長さの約5%~約50%、または約10%~約40%、または約15%~約40%、または約20%~約40%の範囲の後退した距離だけ、開放近位端から後退し得る。
【0138】
貫通要素長さは、ハウジング長さに対して任意の適切な長さとし得る。例えば、貫通要素長さは、ハウジング長さの約25%~約60%、または約30%~約50%であり得る。貫通要素の遠位端は、ハウジングの遠位端に隣接して、または遠位端に固定され得る。貫通要素の全長は、ハウジング長さ内で同一の広がりを有し得る。
【0139】
貫通要素は、剛直な材料で形成される。剛直な材料は、吸入器物品内に収容されたカプセルを貫通、穿刺、または活性化するのに十分に剛直である。貫通要素は金属で形成され得る。貫通要素は、例えば、316ステンレス鋼などのステンレス鋼で形成され得る。貫通要素は高分子材料で形成され得る。貫通要素は、繊維強化高分子材料で形成され得る。
【0140】
ハウジングは、任意の剛直な材料で形成され得る。ハウジングは、高分子材料で形成され得る。ハウジングを形成するために有用な高分子材料には、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレン、PBTポリエステル、PETポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、または液晶ポリマーが含まれる。
【0141】
吸入器物品は、吸入器物品外表面とホルダーハウジング外表面が同心であるように、ホルダー内に受容され得る。貫通要素長軸方向軸は、吸入器物品がホルダー内に受容された時に、ハウジング長軸方向軸および吸入器長軸方向軸と同軸であってもよい。ハウジングの長さの少なくとも約50%または少なくとも約75%は、吸入器物品がホルダー内に受容された時に、吸入器の長さと同一の広がりを有し得る。
【0142】
ホルダーは、挿入成形技術によって形成され得る。貫通要素は、例えば、成形によって最初に形成されてもよく、その後、ハウジングは、貫通要素に結合する貫通要素の周りに成形されてもよい。貫通要素は金属貫通要素であり得、ハウジングは、金属貫通要素をハウジングに固定して金属貫通要素の周りに成形され得る。金属貫通要素は、貫通要素の遠位端に突出部またはくぼみを含み、貫通要素の遠位端の表面積を増大させ、ハウジング成形材料内の固定を改善させ得る。
【0143】
吸入器システムは、従来の紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングのように、消費者によって使用され得る。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられることができ、第一の工程では、消費者が所望するニコチンの全量を含む少量が口腔の中に引き出され、それに続く第二の工程では、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。どちらの工程も消費者によって制御される。第一の吸入工程中に、消費者は吸入されるニコチンの量を決定し得る。第二の工程中に、消費者は肺の中により深く引き出される第一の量を希釈するための量を決定し得、気道の上皮表面に送達される活性剤の濃度が最大化される。この喫煙のメカニズムは時に、「吸煙-吸入-吐出」と呼ばれる。
【0144】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0145】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0146】
本明細書で使用される「または」は概して、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0147】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは、制約のない意味で使用され、概して「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「含む(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0148】
「好ましい」および「好ましくは」という語は特定の状況下で、特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一の状況下または他の状況下で、他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また本請求項を含む本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0149】
ここで、図を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【
図1】
図1は、例示的な吸入器物品の断面概略図である。
【
図2】
図2Aは、完全な変形可能要素を有する例示的な吸入器物品の正面斜視図である。
図2Bは、開放された変形可能要素を有する例示的な吸入器物品の正面斜視図である。
【
図3】
図3は、例示的な吸入器システムの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3で示した例示的な吸入器システムの断面概略図である。
【
図5】
図5は、例示的なスリーブの断面概略図である。そして、
【
図6】
図6は、
図5で示したスリーブに受容される
図1で示した例示的な吸入器物品の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0151】
概略図は必ずしも実寸に比例するものではなく、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を描写する。しかしながら、当然のことながら、図面に描写されていないその他の態様も本開示の範囲および趣旨に収まれる。
【0152】
図1は、例示的な吸入器物品150の断面概略図である。吸入器物品150は、吸入器物品の長軸方向軸に沿って、マウスピース端154から遠位端156に延在する本体151と、カプセル空洞155と、カプセル空洞155内に保持されたカプセル160とを含む。カプセル空洞155は、本体151内に画定され、フィルター要素157によって下流で境界を接し、変形可能要素158によって上流で境界を接する。変形可能要素は、カプセル空洞155と接する閉鎖境界を画定する。
【0153】
変形可能要素158は、カプセル空洞を画定する。一実施形態では、変形可能要素158は、約125マイクロメートルの厚さと、約100g/平方メートルの基本重量とを有する紙で形成される。図示した変形可能要素158は、約25mmの全長を有し、本体151を約3mm超えて延在する。図示した変形可能要素158は、約6.6mmの内径を有する。図示した吸入器物品150は、約20mmの長さのフィルター要素を有し、ラッパーまたは本体は約42mmの横方向長さを有する。
【0154】
この例では、本体151は、変形可能要素158およびフィルター要素157を、連続接続軸方向に整列して結合する紙ラッパーである。例示的な吸入器物品150の全長は約45mmであり、外部の均一な直径は約7.2mmである。
【0155】
図2Aは、完全な変形可能要素158を有する例示的な吸入器物品150の正面斜視図である。完全な変形可能要素158は、吸入器物品150の折り畳まれた遠位端156を形成する。折り畳まれた遠位端156は、「扇状褶曲」と呼ばれ得る。変形可能要素158は、カプセル空洞155の上流端を封止または閉鎖する重なり合うパイ形状のセクションを形成し、それ自体に折り畳まれる。
【0156】
図2Bは、開放された変形可能要素158を有する例示的な吸入器物品の正面斜視図である。変形可能要素158の折り畳まれたセクションは、カプセル空洞155を露出させるために破れるか、または開放されてもよい。変形可能要素158の折り畳まれたセクションが、それ自体に折り畳まれて開放開口部を画定し、渦巻または回転吸入気流を受けてもよい。
【0157】
以下に記載されるホルダーは、ホルダーに収容された時に変形可能要素158を破る、または開放するように構成され得る。
【0158】
図3は、例示的な吸入器システム100の斜視図である。
図4は、
図3に示した例示的な吸入器システム100の断面概略図である。
図5は、吸入器システム100の例示的なスリーブ120の断面概略図である。
【0159】
吸入器システム100は、吸入器物品150および別個のホルダー110を含む。吸入器物品150は、ホルダー110内に受容されて、吸入器物品150内に配置されるカプセル160を起動または貫通し得る。吸入器物品150は、消費者による使用中、ホルダー110内にとどまる。ホルダー110は、受容した吸入器物品150に入る渦巻吸入気流を誘導するように構成される。ホルダー110は、吸入器物品150の変形可能要素158を破りまたは開放するように構成される。
【0160】
吸入器システム100は、吸入器物品150およびホルダー110を含む。吸入器物品150は、吸入器長軸方向軸LAに沿って延在する本体151を含む。ホルダー110は、スリーブ空洞122内に受容される吸入器物品150を保持する移動可能なスリーブ120を含む。
【0161】
吸入器物品150用のホルダー110は、吸入器物品150を受容するためのハウジング空洞112を含むハウジング111、およびハウジング空洞112内に吸入器物品150を保持するように構成されたスリーブ120を含む。スリーブ120は、スリーブ空洞122を画定し、ハウジング111の長軸方向軸LAに沿ってハウジング空洞112内で移動可能である。スリーブ120は、第一の開放端124および第二の対向端126を備える。スリーブ120の第二の対向端126は、空気がスリーブ空洞122に入ることを可能にするように構成される。スリーブ120の第二の対向端部126は、スリーブ空洞122に入る空気上に渦巻を誘導するように構成される。
【0162】
ホルダー110は、ハウジングの内表面109に固定され、かつ内表面から延在する貫通要素101を含み得る。貫通要素101は、スリーブ120の第二の対向端部126を通って、ハウジング111の長軸方向軸に沿ってスリーブ空洞122内に延在するように構成され得る。ホルダー110は、スリーブ120が貫通要素101から離れるように付勢するよう構成されたばね要素102を含み得る。
【0163】
スリーブ120は、スリーブ120の長軸方向の長さに沿って延びる細長いスロットを含み得る。ハウジング111は、ハウジング空洞112の内表面109から延在するピン127をさらに備えてもよい。ピン127は、細長いスロットと嵌合するように構成されてもよい。
【0164】
図5は、例示的なスリーブ120の断面概略図である。スリーブ120の第二の対向端126は、中央通路132、端部表面136、および開放端134を画定するスリーブ管状要素130を含む。スリーブ空洞122と流体連通する中央通路132。スリーブ管状要素130の開放端132は、スリーブ空洞122の中へと延びてもよい。スリーブ管状要素130は、空気が中央通路132の中へと入ることを可能にする少なくとも一つの空気入口138を含む。少なくとも一つの空気入口138は、中央通路132に対して接線方向にある方向に延在する。
【0165】
吸入器物品150の遠位端156は、
図6に示すように、スリーブ管状要素130にスライドしてもよい。スリーブ管状要素130の開放端134は、変形可能要素158を閉鎖構成から開放構成に変更し、渦巻または回転吸入空気が吸入器物品150のカプセル空洞155内に直接流れ込むことを可能にする。
【0166】
吸入器物品150がホルダー110に挿入されるとき、スリーブ管状要素130の開放端134は、スリーブ管状要素130が受容された吸入器物品150の管状要素153内に延在するように、変形可能要素158を通って変形し、付勢する。変形可能要素158は、吸入器物品150がホルダーを掴み、それによってホルダー110内で吸入器物品150を定位置に保持するように、開放構成にて吸入器物品の長軸方向軸に向かって付勢され得る。
【0167】
吸入空気入口138は、中央通路132に接しながらスリーブ管状要素130に入り、受容された吸入器物品150のカプセル空洞155に渦巻吸入気流を形成する。渦巻吸入気流は、受容された物品のカプセル空洞155に沿って流れ、カプセル回転を誘導し、粒子を吸入気流中に放出する。
【0168】
スリーブ管状要素130はスリーブ空洞122内に延在してもよく、吸入器物品150の遠位端156を受容するように構成されたスリーブ空洞122と共に環状凹部131を形成する。スリーブ管状要素130によって形成される突起は、吸入器物品150のカプセル空洞155内へとスライドする。スリーブ管状要素130は、スリーブ空洞122内に受容される吸入器物品150の遠位端156内に延在するよう構成される。
【0169】
スリーブ管状要素130は、約5mmはスリーブ空洞122内に延在してもよく、約6.5mmの外径および約4mmの内径を有してもよい。受容された吸入器物品150の中央カプセル空洞155は、スリーブ管状要素130および環状凹部131との締まり嵌めを提供するために、約6.6mmの内径を有してもよい。
【0170】
スリーブ120は、スリーブ120を通る少なくとも一つの空気開口部129を含む第一の空気入口ゾーン170を画定する。第一の空気入口ゾーン170は、スリーブ120の第一の開放端124に近接している。第一の空気入口ゾーン170は、空気がスリーブ120とハウジング111との間に形成された気流チャネルへと流れることを可能にするように構成される。スリーブは、第一の空気入口ゾーン170の下流に位置する第二の空気入口ゾーン180を備える。スリーブ120の第二の対向端126を含む第二の空気入口ゾーン180は、空気がスリーブ空洞122に入ることを可能にするように構成される。スリーブ120を通って、中央通路132を有するスリーブ管状要素130内に至る、少なくとも一つの空気開口部または空気入口138を含む第二の空気入口ゾーン180。
【0171】
図6は、
図5で示したスリーブ120に受容される例示的な吸入器物品150の断面概略図である。
図6に図示するように、吸入器物品150のカプセル空洞155は、スリーブ管状要素130の中央通路132と整列し、嵌合して、それらに延在する。スリーブ管状要素130は、カプセル空洞155の上流端を形成する。変形可能要素158は、カプセル空洞155の側壁に開放され、環状凹部131内に締まり嵌めを提供する。