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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】充填可能エアゾール容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/42 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
B65D83/42
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022531420
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 MY2020050003
(87)【国際公開番号】W WO2021107754
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】PI2019006940
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(73)【特許権者】
【識別番号】516351164
【氏名又は名称】オリエンタス インダストリー エスディーエヌ. ビーエイチディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】オング,ヨケ エン
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503727(JP,A)
【文献】特開2001-171762(JP,A)
【文献】特開2016-113195(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第01250009(FR,A1)
【文献】中国特許出願公開第107380748(CN,A)
【文献】米国特許第03648899(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器(100)であって、
仕切り(102)によって第1の室(10)及び第2の室(20)に分割される、本体(101)を含み、前記第1の室(10)は大気圧下にあり、前記本体(101)で入口(200)を通ってカスタマイズ可能内容物を受けるように構成され、前記第2の室(20)は加圧環境下にあり、加圧された内容物で事前に充填されており、
前記入口(200)は、バネ支持軸(213)を収容する筐体(211)を有するバルブアセンブリ(210)と、前記バネ支持軸(213)に向かって突出する突起(221)を有する前記筐体(211)に接続されるキャップ(220)とによって形成され、
前記本体(101)は機構(104)を含み、前記機構(104)は、アクティブであるとき、前記カスタマイズ可能内容物及び加圧された内容物を混合することを可能にするように前記仕切り(102)に作用し、出口(300)を通って前記本体(101)から分配される混合物を形成し、
前記入口(200)は前記本体(101)の外部に露出され、手動注入によりまたは装置との接続によって、前記第1の室(10)への前記カスタマイズ可能内容物の進入を可能にし、混合が発生する前に前記エアゾール容器(100)の生成中及び生成後の一方または両方に、前記カスタマイズ可能内容物を前記装置から前記入口(200)に供給するように構成される、エアゾール容器(100)。
【請求項2】
前記仕切り(102)は内側スリーブの形態であることによって、前記内側スリーブ内の空間は前記第1の室(10)として定義され、前記内側スリーブと前記本体(101)との間の空間は前記第2の室(20)として定義される、請求項1に記載のエアゾール容器(100)。
【請求項3】
前記機構(104)が、前記カスタマイズ可能内容物及び加圧された内容物の前記混合が可能になるように、前記本体(101)の外部に力を働かせることによってアクティブになるとき、前記機構(104)は、前記仕切り(102)に開口を形成するために、前記本体(101)の前記外部から前記本体(101)の内部に延在する、請求項1または2に記載のエアゾール容器(100)。
【請求項4】
前記機構(104)は、前記仕切り(102)に対面する少なくとも1つの遠位尖端を有する軸を含み、その結果、前記機構(104)がアクティブになるとき、前記遠位尖端が、前記仕切り(102)に接触し、前記仕切り(102)が断裂する、請求項1に記載のエアゾール容器(100)。
【請求項5】
ガスケット(212)をさらに収容する、請求項1に記載のエアゾール容器(100)。
【請求項6】
前記キャップ(220)は、前記カスタマイズ可能内容物を受けるための開口(222)が形成される、請求項5に記載のエアゾール容器(100)。
【請求項7】
前記バルブアセンブリ(210)が非作動状態であるとき、前記ガスケット(212)は、前記カスタマイズ可能内容物が、前記第1の室(10)に入ること、または前記第1の室(10)から出ることを防ぐように前記バネ支持軸(213)の周りに適合する、請求項5に記載のエアゾール容器(100)。
【請求項8】
前記バネ支持軸(213)は、前記キャップ(220)の前記突起(221)によって、がバネ支持軸(213)にかかるとき、前記ガスケット(212)によって周りの適合から位置がずれ、その結果、前記バルブアセンブリ(210)が作動状態であるとき、ギャップ(214)は、前記キャップ(220)の前記開口(222)から入る前記カスタマイズ可能内容物が、前記第1の室(10)に流入することを可能にするように、前記ガスケット(212)と前記バネ支持軸(213)との間で形成される、請求項6に記載のエアゾール容器(100)。
【請求項9】
前記本体(101)が特定の位置または任意の位置に保持されるとき、前記出口(300)は、前記加圧された内容物または前記混合物を分配することを可能にする、請求項1に記載のエアゾール容器(100)。
【請求項10】
前記本体(101)に浸漬管(105)をさらに含み、前記浸漬管(105)は、前記混合物を生成する前に前記加圧された内容物を分配するために、または前記混合物を生成した後に前記混合物を分配するために、前記本体(101)の中に配置される1つの自由端と、前記出口(300)に接続する別の端とを含む、請求項1に記載のエアゾール容器(100)。
【請求項11】
前記入口(200)及び前記出口(300)は前記本体(101)で同じ位置を共有し、前記機構(104)は前記入口(200)及び前記出口(300)に結合され、前記第1の室(10)に配置される、請求項1に記載のエアゾール容器(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填可能エアゾール容器に関し、より具体的には、エアゾール容器の生成中及び/または生成後に、大気圧下でカスタマイズ可能内容物の充填を可能にするエアゾール容器に関し、エアゾール容器が使用中であるとき、カスタマイズ可能内容物は、エアゾール容器内に含まれる充填済みの加圧された内容物と混合される。
【背景技術】
【0002】
エアゾール容器は、容器内に保管された加圧された噴射液に液体製品を噴射することによって、液体製品を微細分散した蒸気に変えるように設計された分配システムである。一般に知られている分配システムの1つは、液体製品を受けるとき容器をしっかり密閉し、バルブシステムによって高圧ガス噴射を容器に提供することによって準備が行われる。噴射剤として液化ガスを使用する別の一般的となる分配システムは、容器内の圧力が維持される長い間、液体状態のままである液化ガスを密閉容器に提供することによって準備が行われる。分配システム内の圧力は、ノズルをシステムに押圧することによって減るとき、液化ガス噴射剤が、粒子を熱くし、システム内の粒子を解放し、その結果、ガス層はシステムの上部に形成され、液体製品及び噴射剤を、ノズルを介して容器から外に押す。しかしながら、これらの分配システムは詰め替えできないため、低圧または容器内の噴射剤内容物が原因で液体製品が分散できないとき、エアゾール容器を破棄する必要がある。
【0003】
充填可能エアゾール容器は、前述の問題を解決するために急造されたものであるが、概して、容器内の圧力を増加または維持するために、エアコンプレッサ等の追加の機器が必要である。さらに、蒸気濃度を分散することは、液体製品及び噴射剤の化学組成、液体製品と噴射剤との比、噴射剤の圧力等を含むいくつかの要因にかなり依存し、したがって、エアゾール容器を満たすために、使用されるエアゾール容器の予備知識がない場合、ユーザーは何もできない。現在入手可能な充填可能エアゾール容器は、噴射剤または加圧された内容物の補充品だけを受ける。そのような充填可能エアゾール容器は、米国特許第3718165号明細書に開示されている。当該特許文献には、容器液体及びガス噴射剤の混合物を分配するための補充可能エアゾールディスペンサーを含むことが開示されている。容器は、分配バルブが設けられた上壁と、別の入口バルブが設けられた底壁とを有し、別の入口バルブは、ガス噴射剤を容器に入れるために分散バルブから独立して動作する。しかしながら、本発明の充填作業では、ガス噴射剤を容器内に注入するために、別のエアゾール缶が必要である。
【0004】
カスタム色混合エアゾール容器は、米国特許第6543490号明細書に開示されている。当該特許文献には、希望の色を取得するために塗料店または小売店でユーザーが容器の混色をカスタムすることを可能にする、塗料を分配するための充填済みのエアゾール容器が開示されている。それにもかかわらず、充填作業では、着色剤を容器に供給する高度な装置が必要であり、着色剤をそのマニホールド及び浸漬管から除去して、色汚れを防止する防止策も必要である。噴射剤、溶剤、及びベース塗料で既に満たされているエアゾール容器は、容器の流体放出弁を通る加圧エアゾール容器への装置の射出手段によって希望の着色剤を受ける。
【0005】
したがって、追加装置の補助の有無に関係なく、エアゾール容器の生成中及び生成後の一方または両方に、加圧された内容物が充填された本体を有し、大気圧下でカスタマイズ可能内容物を受けることが可能である充填可能エアゾールコンテナを提供することが望ましい。そのようなエアゾール容器により、前述の開示された発明に関する制限を解決する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第3718165号明細書
【文献】米国特許第6543490号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主要目的は、大気圧下でカスタマイズ可能内容物を受けるために、充填済みの加圧された内容物との混合を可能にするように、配置で構成されるエアゾール容器を提供することであり、その結果、カスタマイズ可能内容物の組成、テクスチャ、及び色は、ユーザーの所望の用途及び好みに満足するように、エアゾール容器に導入される前に決定できる。そのような発明は、ユーザーが、カスタマイズ可能内容物を追加、修正、除去、及び交換することを含む、分散される内容物を操作することを可能にする。エアゾール容器は、大気圧下の内容物を受けるための少なくとも1つの室が設けられ、ひいては、エアゾール容器の生成中及び生成後の一方または両方を含む、いつでも任意の加圧機器を利用しないでも、容器を充填することを可能にする。本発明は、放出される混合物が良好な分配特性を有するように、容器内で内容物を均質の混合を促進する容易及び便利なアプローチを提供する。インジェクタを使用する手動注入または手動射出により、エアゾール容器をカスタマイズ可能内容物で充填することを可能にする。大気圧下でカスタマイズ可能内容物をエアゾール容器に充填することが可能になることによって、エアゾール容器の使用の安全性が高まる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様では、仕切りによって第1の室及び第2の室に分割される本体を含むエアゾール容器が提供され、第1の室は大気圧下にあり、エアゾール容器の生成中及び生成後の一方または両方に、本体で入口を通ってカスタマイズ可能内容物を受けるように構成され、第2の室は加圧環境下にあり、加圧された内容物で事前に充填されており、本体は機構を含み、機構は、アクティブであるとき、カスタマイズ可能内容物及び加圧された内容物を混合することを可能にするように仕切りに作用し、出口を通って本体から分配される混合物を形成する。
【0009】
本発明の本態様では、仕切りは内側スリーブの形態であり得ることによって、内側スリーブ内の空間は第1の室として定義され、内側スリーブと本体との間の空間は第2の室として定義される。
【0010】
本発明の本態様では、機構が、カスタマイズ可能内容物及び加圧された内容物の混合が可能になるように、本体の外部に力を働かせることによってアクティブになるとき、機構は、仕切りに開口を形成するために、本体の外部から本体の内部に延在する。
【0011】
本発明の本態様では、機構は、仕切りに対面する少なくとも1つの遠位尖端を有する軸を含み、その結果、機構がアクティブになるとき、遠位尖端が、仕切りに接触し、仕切りが断裂する。
【0012】
本発明の本態様では、入口は、ガスケット及びバネ支持軸を収容する筐体を有するバルブアセンブリと、筐体に接続され、バネ支持軸に向かって突出する突起を有するキャップとを含む。
【0013】
本発明の本態様では、キャップは、カスタマイズ可能内容物を受けるための開口が形成できる。
【0014】
本発明の本態様では、バルブアセンブリが非作動状態であるとき、ガスケットは、カスタマイズ可能内容物が、第1の室に入ること、または第1の室から出ることを防ぐようにバネ支持軸の周りに適合する。
【0015】
本発明の本態様では、バネ支持軸は、キャップの突起によって、力がバネ支持軸にかかるとき、ガスケットの周りの適合から位置がずれ、その結果、バルブアセンブリが作動状態であるとき、ギャップは、キャップの開口から入るカスタマイズ可能内容物が、第1の室に流入することを可能にするように、ガスケットとバネ支持軸との間で形成される。
【0016】
本発明の本態様では、本体が特定の位置または任意の位置に保持されるとき、出口は、加圧された内容物または混合物を分配することを可能にする。
【0017】
本発明の本態様では、エアゾール容器は本体に浸漬管をさらに含み、浸漬管は、混合物を生成する前に加圧された内容物を分配するために、または混合物を生成した後に混合物を分配するために、本体内に配置される1つの自由端と、出口に接続する別の端とを含む。
【0018】
本発明の本態様では、入口及び出口は本体で同じ位置を共有し、機構は入口及び出口に結合され、第1の室に配置される。
【0019】
当業者は、本発明が目的を実施し、言及される目的ならびに利点、及びそれに内在する目的を達成するのに十分に適合することを容易に認識する。本明細書に説明される実施形態は、本発明の範囲で限定するものとして意図されない。
【0020】
本発明の理解を容易にする目的のために、本発明の検証から得られた好ましい実施形態が、付随の図面に示され、以下の説明に関連して検討するとき、本発明、その構成ならびに動作、及びその多くの利点は、容易に理解及び認識される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のエアゾール容器の好ましい実施形態を示す概略図である。
図2】キャップと、キャップがバルブアセンブリに適合する前に入口を形成するバルブアセンブリとを示す。
図3】キャップがバルブアセンブリの筐体の周りに適合するとき、バルブアセンブリの作動状態を示す。
図4】バルブアセンブリが非作動状態であるとき、ガスケットによって周りに適合するバネ支持軸の詳細図を示す。
図5】力がバネ支持軸にかかるとき、バルブアセンブリが作動状態である場合、ガスケットによって周りの適合から離れ、カスタマイズ可能内容物が通路に流入することを可能にする、バネ支持軸の詳細図を示す。
図6】カスタマイズ可能内容物をエアゾール容器に導入するために、例示的なインジェクタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、本発明は、図面を参照して、例として、さらに詳細に説明される。
【0023】
本発明は、エアゾール容器の生成中及び生成後の一方または両方に、いつでもエアゾール容器内で充填済みの内容物と混合するために、ユーザーが大気圧下で、カスタマイズ可能内容物で便利に充填することを可能にするエアゾール容器に関する。カスタマイズ可能内容物がエアゾール容器の生成中にエアゾール容器に充填されるとき、充填済みであると見なされる。しかしながら、カスタマイズ可能内容物は、エアゾール容器の生成後にもエアゾール容器に充填でき、このとき、ユーザーによって使用できる状態である。分配システムとしても知られるエアゾール容器は、大気圧下のカスタマイズ可能内容物及びその各々の室における加圧環境下の充填済みの内容物の両方を収容する。内容物は、所望の用途で混合可能及び分配可能である。本明細書で使用される「カスタマイズ可能」という用語は、エアゾール容器のユーザーの好みに基づいて、カスタマイズ可能内容物を追加、除去、交換、または修正できることを示す。例えば、限定ではないが、カスタマイズ可能内容物(液体が好ましい)は、着色剤、ポリマー、ラッカー、または水性溶剤である一方、充填済み内容物は樹脂または硬化剤を含み得、着色剤、ポリマー、ラッカーまたは水性溶剤の形態である。
【0024】
図1はエアゾール容器100の好ましい実施形態を示す。この特定の実施形態では、エアゾール容器100は、仕切り102によって第1の室10及び第2の室20に分割される本体101を有する。例として、限定ではないが、仕切り102は、本体101の1つの内面から別の内面まで延在する壁の形態である、または、一端が本体101の内面に接続される円筒状ケーシングを有する内側スリーブの形態である。好ましくは、仕切り102の少なくとも1つの部分は、断裂可能ダイヤフラムまたは膜である。この特定の実施形態では、第1の室10は、入口200を通って大気圧下でカスタマイズ可能内容物を受けるように構成された仕切り102の中の空間によって画定され、ひいては、第1の室10は大気圧環境にある。第2の室20は、仕切り102と、加圧された内容物で事前に充填されるように構成された本体101との間の空間によって画定され、ひいては、第2の室20は加圧環境にある。本体101は、限定ではないが、シリンダの形状が設けられ得、限定ではないが、適切な量の圧力に耐えることができる金属または合金で構成される。
【0025】
本体101は、缶体101の外部から缶体101の内部に延在する軸である機構104を含む。好ましくは、軸は、仕切り102に対面してそれに近接する少なくとも1つの遠位尖端を含む。機構104が本体101の外部に位置する軸に力を働かせることによってアクティブになるとき、軸は、仕切り102と接触し、仕切り102を断裂して、カスタマイズ可能内容物及び加圧された内容物の混合を可能にするように開口を形成して、混合物を形成する。随意に、機構104は、内側スリーブである仕切り102の片側を開くためにアクティブになり、開口を形成できる。また、開口は、本体101の少なくとも1つの内面から仕切り102を離すことによって形成され得、仕切り102は、機構104によってその内面に力を働かせることによって、その内面に接着される。開口により、室の間で流体連通が可能になり、出口300を通って本体101から分配される混合物を形成する。
【0026】
本明細書に説明されるように、「流体連通」という用語は、第1の室10及び第2の室20からの内容物を混合することを指す。第1の室10及び第2の室20のいずれか一方または両方からの内容物は、開口を通って流れ、拡散によって混合を誘発し得る。流体連通は、また、本体101を勢いよくかき混ぜることによって容易になり得る。ボールベアリングは、かき混ぜが容易になるように、本体101の中に提供され得る。
【0027】
図2及び図3は、バルブアセンブリ210及びキャップ220である2つの主部によって形成される入口200の好ましい実施形態を示す。特に、バルブアセンブリ210は、ガスケット212及びバネ支持軸213を収容する筐体211を有する。キャップ220は、少なくとも部分的に筐体211の周りに適合する。筐体211の外面は、好ましくは、キャップ220の内面上に形成されたねじに対応するねじが形成される。ねじにより、キャップ220の位置を調節するために、矢印Bによって示されるように、キャップ220がバルブアセンブリ210の筐体211と係合するとき、筐体211の周りでキャップ220の回転を可能にし、移動本体101に向かって近づくまたは移動本体101から離れて移動する。突起221はキャップ220の中に設けられ、バネ支持軸213に向かって突出する。図2及び図3に示される本発明の好ましい実施形態では、突起221は、キャップ220の内面の周りに位置付けられる。バネ支持軸213の外端は、突起221が到達可能な凹部2131で形成される。開口222はカスタマイズ可能内容物を受けるためのキャップ220に形成され、内容物は手動注入または手動射出によって開口222に導入できる。キャップ220(特に、開口222)は、カスタマイズ可能内容物の手動注入、またはカスタマイズ可能内容物を射出するためのインジェクタ等の装置との接続が容易になるように構造化できる。1つの例示的な実施形態では、開口222の一端は、キャップ220が筐体211の周りで適合するときに断裂可能である膜223によって密閉される。膜223により、適合前にカスタマイズ可能内容物が漏出することを防止する。開口222の別の端はインジェクタ230と適合し、インジェクタ230は、カスタマイズ可能内容物を含むビッセル231と、プランジャ232とを含み、それらにより、射出が容易になる。プランジャ232は、カスタマイズ可能内容物を本体101に充填するとき、ビッセル231の中で気密状態を確実にするために、スクラッパー233がさらに設けられている。例示的なインジェクタ230は図6に示される。
【0028】
1つの好ましい実施形態では、筐体211は、開放端と、第1の室10に接続される別の端とを有する。開放端は、ガスケット212が設けられる内周を有する。ガスケット212は、筐体211の開放端の内面に対応する形状及び寸法である。ガスケット212は、バネ支持軸213が延在することを可能にするオリフィスが形成される。したがって、ガスケット212は円環形であることが好ましい。特に、バネ支持軸213は、第1の室10に隣接して位置付けられる軸213の内端に取り付けられたバネ215を有する。軸213は、ガスケット212から外に延在して、第1の室10の遠位にある外端を有する。溝216は、ガスケット212と溝216との間にギャップ214を形成するために軸213の外端に提供され、各々、本体101へのカスタマイズ可能内容物の進入または流出を可能にする。軸213の外端は、キャップ220の膜223を断裂するための尖端219が設けられている。
【0029】
バネ支持軸213の内端と外端との間の軸体は、ガスケット212のオリフィスの直径に対応する、外端の直径よりも大きい直径を有する。軸体は、バルブアセンブリ210をロックするために、ガスケット212に適合する凹部217が設けられ、カスタマイズ可能内容物の進入または流出を防止する。バルブアセンブリ210が作動しないとき、ガスケット212は凹部217の周りに適合し、その結果、筐体211の開放端を密閉して、カスタマイズ可能内容物が筐体211を通って第1の室10に流入することまたは第1の室10から流出することを防ぐ。筐体211の開放端が密閉されるとき、バルブアセンブリ210は、非作動状態または閉鎖状態であると見なされる。
【0030】
他方では、筐体211の開放端が密閉されないとき、バルブアセンブリ210は、作動状態または開放状態であると見なされる。この状態は、軸体をオリフィスから離れるように移動させることによって実現可能である。その結果、凹部217は、第1の室10に向かって、ガスケット212から離れて移動し、溝216が筐体211内に部分的に移動して、ガスケット212と溝216との間にギャップ214を形成する。さらに、軸体がガスケット212のオリフィスによって周りの適合から位置がずれるとき、軸213の外端は、オリフィスの直径に対応しないより小さい直径を有し、オリフィス内に位置付けられる。そのような軸213の移動は、力を軸213に働かせることによって、バルブアセンブリ210を作動させることによって行われ、さらには、バネ215を圧縮及び短縮して、軸213を第1の室10に向かって移動させる。また、その移動により、軸213の外端をオリフィス内に位置付けすることを可能にする。軸213の外端のそのような位置付けにより、ギャップ214と、軸213の外端と溝216との間の気流通路218との形成を可能にする。気流通路218は、第1の室10の中の空気を大気中に開放することを可能にする。1つの好ましい実施形態では、軸213の外端の尖端219は膜223に貫通して、膜223を断裂して、カスタマイズ可能内容物が、キャップ220の開口222から入って、通路に沿って流れることが可能になり、通路は、図5に示される矢印Cによって示されるように、開口222と、入口200の中の溝216とを含み、通路は第1の室10に到達する。その一方で、気流通路218により、矢印Dによって示される方向に、第1の室10の中の空気が大気中に逃げることを可能にする。
【0031】
好ましくは、力をかけることによって、バルブアセンブリ210の作動を行い、軸体をガスケット212のオリフィスから離れて移動させることができる。力は、回転力と押力の一方または両方であり得、押力は、押圧、押す、圧縮すること等を含み得る。図4及び図5に示されるような好ましい実施形態では、筐体211の外面及びキャップ220の内面の両方にねじ山があり、キャップ220が筐体211の外面の周りで回転することを可能にする。キャップ220が本体101に向かって回転するとき、キャップ220の突起221が、軸213の外端で凹部2131に接触し、図2の矢印A及びBによって示されるように、回転力は押力に対して並進し、軸213を第1の室10に向かって押すことによって、軸体を第1の室10の近くに移動させ、軸213の外端をオリフィス内に位置付け、カスタマイズ可能内容物の進入を可能にするように、ギャップ214を露出する。それだけではなく、バルブアセンブリ210の作動により、通路に沿って第1の室10の中に含まれるカスタマイズ可能内容物の交換または除去が可能になる。キャップ220が本体101から離れて回転するとき、突起221が軸213の外端において凹部2131から離れて移動し、押力は軸213から除去され、バネ215がその元の長さに戻り、軸213をオリフィス内に戻るように位置付け、筐体211の開放端を密閉することが可能になることによって、ギャップ214が閉鎖される。
【0032】
出口300は、外部から本体101の内部に向かって延在する。出口300は、バルブ筐体302が搭載される本体101に付けられたバルブ固定具301を含む。バルブ軸303、バネ304、及びガスケット308は、バルブ筐体302の中に位置する。少なくともノズル306を有するボタン305は、バルブ軸303の外端に取り付けられ、混合物を分配するために、ボタン305の押圧を可能にする。バルブ307は、バルブ軸303の内端に隣接する位置に配置される。好ましくは、バルブ307は、混合物を本体101から外に分配するために360度開口することを可能にする。使用されるバルブ307及び分配プロセスに関わる出口300の中の構成要素のタイプに応じて、本体101が特定の位置または任意の位置に保持されるとき、加圧された内容物または混合物を分配できる。浸漬管105は、エアゾール容器100に設けられ、エアゾール容器100は、混合物を生成する前に加圧された内容物を分配するために、または混合物を生成した後に混合物を分配するために、本体101の中に配置される1つの自由端と、出口300に接続する別の端(具体的には、バルブ軸303の内端におけるバルブ307の近くにある端)とを含む。浸漬管105は本体101の底部に向かって延在することによって、浸漬管内の内容物または混合物を十分に分配できることが確実になる。
【0033】
出口300及び機構104は、エアゾール容器100の様々な位置に配置できる。例示的な実施形態では、入口200及び出口300は本体101で同じ位置を共有し、機構104は入口200及び出口300に結合され、第1の室10に配置される。別の例示的な実施形態では、入口200及び出口300は、各々、本体101の異なる位置に配置され、機構104は、入口200に結合し、第1の室10に配置される、または出口300に結合し、第2の室20に配置されるのいずれかの状態が考えられる。図1に示される好ましい実施形態では、入口200はエアゾール容器100の一端に位置付けられる一方、出口300は、エアゾール容器100の反対端に位置付けられる。機構104が出口300に結合されることにより、ボタン305を押圧して、本体10の中に内容物を分配するとき、出口300のバルブ307は、機構104のアクティブ化と同時に作動して、カスタマイズ可能内容物を加圧された内容物と混合することを可能にするように、仕切り102に開口を形成する。本実施形態では、仕切り102を断裂すること及び混合物を分配することの両方のために、ボタン305にかかる一方の単一力が必要である。
【0034】
利点をもたらすように、本発明のエアゾール容器100は、内容物を事前に加圧しない便利なアプローチによって、流体、液体、または融体組成等のカスタマイズ可能内容物の充填を可能にする。この特徴は、ユーザーがカスタマイズ可能内容物の組成、テクスチャ、及び色を決定することを可能にすることによってエアゾール容器100の使いやすさを拡張し、コーティング用途または散布用途で本発明を便利に使用することを可能にする。さらに、エアゾール容器100の室、仕切り、及び機構の配置は、容器内で内容物の均質混合及び混合物の分配特性の改善を可能にするように入念に調整される。
【0035】
本発明の開示は、添付の「特許請求の範囲」に含まれる内容と、前述の説明の内容とを含む。本発明は具体的にある程度の好ましい形態で説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい形態の開示は単なる例としてなされたことと、構成の詳細及び部品の組み合わせならびに配置のいくつかの変更が使われ得ることとが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6