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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】転がり軸受、特に旋回リング
(51)【国際特許分類】
   F16C 19/38 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
F16C19/38
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022552353
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 DE2021100085
(87)【国際公開番号】W WO2021197528
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】102020109150.8
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ユンギンガー
(72)【発明者】
【氏名】マイク クロイツァー
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013207783(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102007003970(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01925830(EP,A1)
【文献】特開平03-020114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00-19/56,33/30-33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受(1)であって、内側軸受リング(2)と、外側軸受リング(3)と、内側軌道および外側軌道(5、6;7、8)上で前記軸受リング(2,3)間で転動する複数の転動体(4)と、前記転がり軸受(1)内に配置された回転角制限装置(9)であって、前記内側軸受リング(2)と前記外側軸受リング(3)との間の相対回転を0°~360°超の回転角範囲内に制限し、前記内側軸受リング(2)に配置された少なくとも1つの第1の停止要素(10)と前記外側軸受リング(3)に配置された少なくとも第2の停止要素(11)とを備えた、回転角制限装置(9)と、からなる、転がり軸受(1)、において、前記内側軸受リング(2)上に配置された、前記回転角制限装置(9)の前記第1の停止要素(10)は、前記内側軸受リング(2)の外側側面(12)に円周方向に連続して並んで配置された複数の個別のラジアルベースボア(13)と、最初のラジアルベースボア(13a)と最後のラジアルベースボア(13b)との間に配置された少なくとも1つの長穴タイプのラジアルベース溝(14)と、によって形成され、前記ラジアルベースボア(13)または前記ラジアルベース溝(14)を超えて径方向に突出する1つまたは2つの別個の角度リミッタ(15)を、制限される前記回転角のサイズに応じて前記ラジアルベースボア(13)または前記ラジアルベース溝(14)に挿入することができ、前記外側軸受リング(3)上に配置された、前記回転角制限装置(9)の前記第2の停止要素(11)は、ピボットフィンガ(17)によって形成され、前記ピボットフィンガ(17)は、前記外側軸受リング(3)の内側側面(16)に固定され、前記内側軸受リング(2)内の前記ラジアルベースボア(13)または前記ラジアルベース溝(14)まで延び、前記ラジアルベースボア(13)または前記ラジアルベース溝(14)に挿入された前記角度リミッタ(15)と停止連結していることを特徴とする、転がり軸受(1)。
【請求項2】
好ましくは互いにO型配置で配置された2列の転動体(4)を備えたアンギュラコンタクトころ軸受として構成されており、前記回転角制限装置(9)の前記停止要素(10、11)はそれぞれ、前記軸受リング(2、3)の前記内側軌道と前記外側軌道(5、6;7、8)との間に軸方向にそれぞれ中央に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の転がり軸受(1)。
【請求項3】
前記内側軸受リング(2)の前記ラジアルベースボア(13)または前記ラジアルベース溝(14)に挿入することができる前記角度リミッタ(15)は、前記ラジアルベースボア(13)または前記ラジアルベース溝(14)の直径または幅に対応する1つまたは2つの軸受球によって形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の転がり軸受(1)。
【請求項4】
前記外側軸受リング(3)の前記内側側面(16)に固定され、かつ前記ラジアルベースボア(13)または前記ラジアルベース溝(14)まで延びる前記ピボットフィンガ(17)は、前記外側軸受リング(3)の連続ねじ山付き穴(18)にねじ込まれたねじ山付きピンによって形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の転がり軸受(1)。
【請求項5】
前記内側軸受リング(2)上に円周方向に連続して並んで配置された前記ラジアルベースボア(13)は、最大320°の範囲の前記回転角の制限を可能にし、前記最初のラジアルベースボア(13a)と前記最後のラジアルベースボア(13b)との間に配置された前記ラジアルベース溝(14)は、最大400°の範囲で前記回転角を制限するために設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の転がり軸受(1)。
【請求項6】
前記回転角を最大340°の範囲に制限するために、2つの角度リミッタ(15)が、2つの対応する離隔したラジアルベースボア(13)に、または1つのラジアルベースボア(13)および前記ラジアルベース溝(14)に挿入され、前記ピボットフィンガ(17)は、一方の角度リミッタ(15)の一方の側と他方の角度リミッタ(15)の他方の側との間で移動可能であることを特徴とする、請求項5に記載の転がり軸受(1)。
【請求項7】
前記回転角を350°~400°の範囲に制限するために、一方の角度リミッタ(15)のみが、前記ラジアルベースボア(13)のうちの1つまたは前記ラジアルベース溝(14)に挿入され、前記ピボットフィンガ(17)は、前記一方の角度リミッタ(15)の一方の側と他方の側との間で移動可能であり、前記ラジアルベース溝(14)に挿入された角度リミッタ(15)は、前記ラジアルベース溝(14)の一方の端から前記ラジアルベース溝(14)の他方の端まで、前記ピボットフィンガ(17)によって変位可能であることを特徴とする、請求項5に記載の転がり軸受(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療分野におけるシーリングペンダントの旋回リングとして使用するのに特に有利である、請求項1のプリアンブルを構成する特徴による転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
手術室または集中治療室における、シーリング供給ユニット、モニタ支持体、いわゆるスプリングアーム、または中央軸などのシーリングペンダントは、通常、垂直位置に対して剛直に配置されているか、または高さ調整可能な1つ以上の支持体を有し、これにより、支持体に取り付けられた医療機器を移動し、かつ位置付けることができる。供給ユニットは、シーリングペンダントに取り付けられることが多く、供給ユニットを使用して、例えば、手術中に必要な媒体を医療用電気エンドデバイスに供給することができる。これに関して、支持体は、医療機器が位置付けられる医療機器の動作半径を画定する。支持体は通常、少なくとも1つの旋回リング、特に転がり軸受を中心に回転させることができる。任意選択で、支持体はまた、高さ調節可能である、かつ/または支持体が少なくともほぼ水平に整列された軸の周りで高さにおいて旋回され得るように配置される。個々の支持体の回転運動は、絶対的な回転運動であろうと、別の支持体に対する相対的な回転運動であろうと、多くの場合、所定の角度に制限する必要がある。これにより、例えば、ある支持体が別の支持体に対して最大許容角度を超えて回転し、それによって支持体内に配線されたケーブルがねじれたり、つぶれたり、さらに引き裂かれたりするのを防ぐことができる。回転角の制限は、例えば、支持体が特定の回転角で衝突する停止手段の形で提供することができる。このような回転角の制限により、最大回転角度を超えないようにすることができるが、ほとんどの設計では、360°の最大回転角しか実現できないため、シーリングペンダントの運動の自由度が制限されるという欠点もある。約400°の回転角を実現する場合、シーリングペンダントを、360°の位置から手間をかけて320°の回転角を超えて逆回転させる必要がある。
【0003】
360°を超える回転角を制限するための停止手段を備えた旋回リングとしてシーリングペンダントで使用するのに好適な転がり軸受は、例えば、独国特許第10 2006 055 581(A1)号から公知である。この転がり軸受は、内側軸受リングと、外側軸受リングと、内側軌道および外側軌道上でそれら軸受リング間で転動する複数の転動体と、からなり、転がり軸受内に回転角制限装置が配置されており、回転角制限装置は、内側軸受リングと外側軸受リングとの間の相対回転を0°~360°超の回転角範囲内に制限し、内側軸受リングに配置された第1の停止要素と、外側軸受リングに配置された第2の停止要素と、を含む。回転角制限装置は、カム制御として構成されており、これは、第1の停止要素として外側軸受リングの側面に配置されたスパイラル形状の制御溝と、第2の停止要素として内側軸受リングの側面にスロット状溝内で軸方向に移動可能な停止ピンと、によって形成されている。
【0004】
回転角を360°を超えて制限するための停止手段を備えた別の旋回リングは、独国特許第10 2007 003 970(A1)号から公知である。複列アンギュラコンタクトころ軸受によって形成されたこの旋回リングでは、軸受外側リングは、その内側側面に円周方向に延びるクリアランスが備えられており、クリアランスは、その両端が第1の停止ラグによって区切られている。軸受内側リングには、その外側側面に円周方向に延びるガイド溝が設けられており、ガイド溝は、その両端が第2の停止ラグによって区切られ、ガイド要素が、形状接続様式で互いに2つの軸受リングを接続するガイド溝に配置されている。したがって、可能な回転角は、軸受外側リングのクリアランスの角度範囲と軸受内側リングのガイド溝の角度範囲との加算で構成され、これにより、最大720°から両方の停止ラグの周方向の拡がりを引いた値に到達することができる。
【0005】
最後に、独国特許第10 2013 207 783(A1)号は、360°を超える回転角を制限するための停止手段を備えた旋回リングを開示しており、旋回リングは、互いに対してO型配置で配置された2列の転動体を備えたアンギュラコンタクトころ軸受として構成され、かつ旋回リングには、回転角制限装置の停止要素がそれぞれ軸受リングの内側軌道と外側軌道との間に軸方向に配置されている。回転角制限装置の停止要素は、軌道にねじ込むことができる1つまたは2つの停止手段を備えたスパイラル形状の軌道と、停止手段間の軌道に突き出たラグと、によって形成されている。軌道のスパイラル設計により、純粋な円形の軌道に適用される制限がなくなり、360°を超える回転角を実現することも可能である。
【0006】
しかしながら、上記の既知の旋回リングの不利な点は、360°を超える回転角を実現するための回転角制限装置は、通常、製造に非常に費用がかかり、かつ/またはより多くの設置スペースを必要とし、それが製造コストのさらなる増加を引き起こすことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、既知の先行技術の解決策の不利な点のために、本発明は、回転角の360°を超える制限が単純かつ省スペースの手段によって可能であると同時に、製造コストを低く抑える、転がり軸受、特に旋回リングを設計することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この課題は、請求項1のプリアンブルに記載の転がり軸受により、内側軸受リング上に配置された、回転角制限装置の第1の停止要素は、内側軸受リングの外側側面に円周方向に連続して並んで配置された複数の個別のラジアルベースボアと、最初のラジアルベースボアと最後のラジアルベースボアとの間に配置された少なくとも1つの長穴タイプのラジアルベース溝と、によって形成され、ラジアルベースボアまたはラジアルベース溝を超えて径方向に突出する1つまたは2つの別個の角度リミッタを、制限される回転角のサイズに応じてラジアルベースボアまたはラジアルベース溝に挿入することができ、外側軸受リング上に配置された、回転角制限装置の第2の停止要素は、ピボットフィンガによって形成され、ピボットフィンガは、外側軸受リングの内側側面に固定され、内側軸受リング内のラジアルベースボアまたはラジアルベース溝まで延び、ラジアルベースボアまたはラジアルベース溝に挿入された角度リミッタと停止連結している、という様式で達成される。
【0009】
本発明による転がり軸受の好ましい実施形態および有利なさらなる発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0010】
請求項2によれば、本発明による転がり軸受は、好ましくは互いにO型配置で配置された複列の転動体を備えたアンギュラコンタクトころ軸受として構成されており、回転角制限装置の停止要素はそれぞれ、軸受リングの内側軌道と外側軌道との間に軸方向にそれぞれ中央に配置されている。針状ころ、円筒ころ、または円錐ころは、転がり軸受の転動体として特に好適であることが証明されている。しかしながら、転がり軸受をO型またはX型配置の複列アンギュラ玉軸受として設計することも考えられる。回転角制限装置の停止要素は、軸受リングの軌道の間またはその隣の片側に軸方向に中心からずらして配置されることも考えられる。
【0011】
請求項3によれば、本発明に従って構成された転がり軸受のさらなる特徴は、内側軸受リングのラジアルベースボアまたはラジアルベース溝に挿入することができる角度リミッタが、ラジアルベースボアまたはラジアルベース溝の直径または幅に対応する1つまたは2つの軸受球によって形成されていることである。しかしながら、ラジアルベースボアまたはラジアルベース溝の直径または幅に対応する1つまたは2つの円筒ころを、端面のうちの1つが最初にラジアルベースボアまたはラジアルベース溝に挿入される角度リミッタとして、使用することも可能である。
【0012】
請求項4によれば、本発明による転がり軸受は、外側軸受リングの内側側面に固定され、かつラジアルベースボアまたはラジアルベース溝まで延びるピボットフィンガが、外側軸受リングの連続ねじ山付き穴にねじ込まれたねじ山付きピンによって形成されていることをさらに特徴とする。あるいは、貫通穴に押し込まれたダウエルピンをピボットフィンガとして使用することもできる。これに関連して、ねじ山付きピンをねじ込むか、ダウエルピンを押し込んで、ピボットフィンガが、ラジアルベースボアまたはラジアルベース溝のレベルにある内側リングの外側側面に接触しない範囲でのみ外側軸受リングの内側側面を超えて突出するようにする。
【0013】
請求項5によれば、本発明に従って構成された転がり軸受のさらなる特徴は、内側軸受リング上に円周方向に連続して並んで配置されたラジアルベースボアが、最大320°の範囲の回転角の制限を可能にし、最初のラジアルベースボアと最後のラジアルベースボアとの間に配置されたラジアルベース溝が、最大400°の範囲で回転角を制限するために設けられていることである。しかしながら、より多くのまたはより少ないラジアルベースボアが連続して配置される場合、および/またはラジアルベース溝の長さが変化する場合、回転角制限のより小さなまたはより大きな範囲も可能である。
【0014】
最後に、本発明による転がり軸受は、回転角を最大340°の範囲に制限するために、2つの角度リミッタが、2つの対応する離隔したラジアルベースボアに、またはラジアルベースボアおよびラジアルベース溝に挿入され、ピボットフィンガは、一方の角度リミッタの一方の側と他方の角度リミッタの他方の側との間で移動可能であるという点で、請求項6および7に従ってさらに特徴付けられる。一方、回転角を350°~400°の範囲に制限するために、ピボットフィンガは、一方の角度リミッタの一方の側と他方の側との間で移動可能であるように、単一の角度リミッタのみが、ラジアルベースボアのうちの一方またはラジアルベース溝に挿入される。これに関して、ラジアルベース溝に挿入された角度リミッタは、ラジアルベース溝の一方の端から他方の端まで、ピボットフィンガによって変位される。
【0015】
したがって、本発明による転がり軸受は、内側軸受リングの外側側面に円周方向に連続して並んで配置された複数の個別のラジアルベースボアによって、および最初のラジアルベースボアと最後のラジアルベースボアとの間に配置された少なくとも1つの長穴タイプのラジアルベース溝によって、ならびに外側軸受リングの内側側面に固定され、かつラジアルベースボアまたはラジアルベース溝まで延びるピボットフィンガによって、回転角を360°を超えて制限するための、単純かつ省スペースの手段で構成され、かつ低コストで製造することができる、装置を用いて形成されるという、従来技術から既知の回転リング用の転がり軸受に勝る利点を提供する。
【0016】
本発明に従って構成された転がり軸受の好ましい実施形態は、添付の図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による転がり軸受の側面図である。
図2図1による転がり軸受を通る断面A-Aの図である。
図3図1による本発明による転がり軸受の内側リングの側面図である。
図4図3による本発明による転がり軸受の内側リングを通る断面C-Cの図である。
図5図1による転がり軸受を通る部分断面B-Bの図である。
図6図1による本発明による転がり軸受の内側リングの斜視図である。
図7】回転角を400°調整したときの外側軸受リングの初期位置、中間位置、および終了位置における、図1による転がり軸受の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1および図2は、シーリングペンダントの旋回リングとして使用するのに好適な転動体軸受1であって、転動体軸受1は、アンギュラコンタクトころ軸受として構成され、内側軸受リング2、外側軸受リング3、および複数の転動体4からなり、転動体4は、互いに対してO型配置で複列に配置され、かつ内側軌道5、6および外側軌道7、8上の軸受リング2、3の間で転がる針状ころとして構成されている、転動体軸受1、を明瞭に示している。図2はまた、回転角制限装置9が回転要素軸受1内に配置され、0°~360°超の回転角範囲内で外側軸受リング3に対する内側軸受リング2の相対回転を制限することを示している。この回転角制限装置9は、内側軸受リング2上に配置された第1の停止要素10と、図1に示され、かつ外側軸受リング3上に配置された第2の停止要素11と、を備え、両方の停止要素10、11はそれぞれ、軸受リング2、3の内側軌道5、6と外側軌道7、8との間に軸方向にそれぞれ中央に配置されている。
【0019】
図3図4および図6はさらに、内側軸受リング2上に配置された回転角制限装置9の第1の停止要素10が、内側軸受リング2の外側側面12に円周方向に連続して並んで配置された複数の個別のラジアルベースボア13と、最初のラジアルベースボア13aと最後のラジアルベースボア13bとの間に配置された長穴タイプのラジアルベース溝14と、によって形成され、ラジアルベースボア13またはラジアルベース溝14を超えて径方向に突出する1つまたは2つの別個の角度リミッタ15を、制限される回転角のサイズに応じてラジアルベースボア13またはラジアルベース溝14に挿入することができる。角度リミッタ15は、その直径がそれぞれラジアルベースボア13の直径またはラジアルベース溝14の幅に対応する1つまたは2つの軸受球によって明瞭に形成されている。
【0020】
外側軸受リング3に配置された回転角制限装置9の第2の停止要素11は、図5の断面図に見られるように、外側軸受リング3の内側側面16に固定されたピボットフィンガ17によって反対側に形成されており、ピボットフィンガ17は、外側軸受リング3の連続ねじ山付き穴18にねじ込まれたねじ山付きピンによって形成されている。このピボットフィンガ17は、内側軸受リング2のラジアルベースボア13またはラジアルベース溝14まで明瞭に延び、ラジアルベースボア13またはラジアルベース溝14に挿入された角度リミッタ15と停止連結している。
【0021】
図6および図7はまた、内側軸受リング2上に円周方向に連続して並んで配置されたラジアルベースボア13が、最大320°の範囲の回転角の制限を可能にし、最初のラジアルベースボア13aと最後のラジアルベースボア13bとの間に配置されたラジアルベース溝14が、最大400°の範囲で回転角の制限のために設けられていることを示している。回転角を最大340°の範囲に制限するために、ピボットフィンガ17が、一方の角度リミッタ15の一方の側と他方の角度リミッタ15の他方の側との間で移動可能であるように、2つの角度リミッタ15が、2つの対応する離隔したラジアルベースボア13に、またはラジアルベースボア13およびラジアルベース溝14に、挿入される。一方、回転角を350°~400°の範囲に制限するために、ピボットフィンガ17が、一方の角度リミッタ15の一方の側と他方の側との間で移動可能であるように、単一の角度リミッタ15のみが、ラジアルベースボア13のうちの一方またはラジアルベース溝14に挿入される。
【0022】
最後に、図7の転がり軸受1の概略断面図は、例として、回転角が400°調整された際の、回転角制限装置9または外側軸受リング2のそれぞれのピボットフィンガ17の運動を示している。左の図は、転がり軸受1の初期位置を示しており、静止した内側軸受リング2のラジアルベース溝14に角度リミッタ15として単一の軸受球が、ラジアルベース溝14の左端に載置されるように挿入されており、外側軸受リング2上でねじ山付きピンとして構成されたピボットフィンガ17は、11時の位置で角度リミッタ15の右側に接触している。
【0023】
外側軸受リング3を時計回りにおよそ200°回転させた後、外側軸受リング3上のピボットフィンガ17は、図7の中央の図に対応する中央の位置にあり、これは、ほぼ6時の位置に対応する。
【0024】
次に、外側軸受リング3をさらに回転させると、ピボットフィンガ17は、約350°の回転角でラジアルベース溝14内の角度リミッタ15の左側に衝突し、ラジアルベース溝14内でそれを図7の右の図に示すように、その左端から右端へと終了位置までさらに50°変位させ、そこで、内側軸受リングに対する外側軸受リング3の回転運動は、400°の総回転角または1時の位置でそれぞれ停止する。
【符号の説明】
【0025】
1 転がり軸受
2 内側軸受リング
3 外側軸受リング
4 転動体
5 2上の内側軌道
6 2上の内側軌道
7 3上の外側軌道
8 3上の外側軌道
9 回転角制限装置
10 第1の停止要素
11 第2の停止要素
12 2の外側側面
13 ラジアルベースボア
13a 最初のラジアルベースボア
13b 最後のラジアルベースボア
14 ラジアルベース溝
15 角度リミッタ
16 3の内側側面
17 ピボットフィンガ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7