(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】超音波ミスト吸入器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/05 20200101AFI20240430BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20240430BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20240430BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20240430BHJP
A61M 15/06 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
A24F40/05
A24F40/10
A24F40/44
A24F40/42
A61M15/06 A
(21)【出願番号】P 2022561692
(86)(22)【出願日】2019-12-15
(86)【国際出願番号】 IB2019060810
(87)【国際公開番号】W WO2021123869
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】522238642
【氏名又は名称】シャヒーン イノベーションズ ホールディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イマド ラフード
(72)【発明者】
【氏名】モハンメド アルシャイバ サレハ ガナム アルマズルーイ
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-535261(JP,A)
【文献】特表2019-526241(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0343926(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0264290(US,A1)
【文献】国際公開第2019/211324(WO,A1)
【文献】中国実用新案第207400330(CN,U)
【文献】中国実用新案第207185926(CN,U)
【文献】特開昭61-1940(JP,A)
【文献】中国実用新案第206079038(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波ミスト吸入器は、
- 霧化される液体を受け取るように適合された液体チャンバを含む液体リザーバー構造体
であって、
前記液体チャンバが、上面を有する底板を備える、液体リザーバー構造体と、
- 弾性部材であって、前記底板の前記上面が、前記弾性部材を受け入れる凹部を備える、弾性部材と、
- 前記弾性部材によって支持された超音波振動手段と、
- 前記液体チャンバと流体連通している超音波処理チャンバ
であって、
前記超音波処理チャンバは、前記超音波振動手段を備える、超音波処理チャンバと、
- 前記液体チャンバと前記超音波処理チャンバとの間に配置する毛細管要素と
を備え、
前記毛細管要素は、少なくとも一部が竹繊維である材料であることを特徴とする超音波ミスト吸入器。
【請求項2】
前記毛細管要素の材料が、100%の竹繊維であることを特徴とする請求項1に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項3】
前記毛細管要素の材料が、少なくとも75%の
竹繊維、多くとも25%の綿であることを特徴とする請求項2に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項4】
前記毛細管要素は、0.27mm~0.32mmの
厚さであり、38g/m
2
と48g/m
2の密度を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項5】
前記毛細管要素は、扁平な形状を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項6】
前記毛細管要素は、中央部分と周辺部分とからなることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項7】
前記周辺部分は、前記液体チャンバに至るまで延びる断面がL字形状であることを特徴とする請求項6に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項8】
前記中央部分は、前記超音波処理チャンバまで延びるU字形状の断面を
有することを特徴とする請求項6または7に記載の超音波ミスト吸入器。
【請求項9】
前記液体チャンバに受容される前記液体は、57~70%(w/w)の植物性グリセリンと30~43%(w/w)のプロピレングリコールとを含み、前記プロピレングリコールはニコチン及び香料を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の超音波ミスト吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動により液体を霧化する超音波ミスト吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子気化式吸入器は、従来のタバコに含まれるタールなどの刺激の強い化学物質を避け、ニコチンへの渇望を満たしたい喫煙者の間で人気を集めている。電子式気化吸入器には、通常、ニコチンオイル、溶剤、水、および多くの場合香料を混合した液体ニコチンが含まれていることがある。ユーザが電子気化吸入器を吸引すると、液体ニコチンが気化器に引き込まれ、そこで加熱されて蒸気になる。ユーザが電子気化吸入器に描くと、ニコチンを含む蒸気が吸入される。このような電子気化吸入器は、医療目的を有する場合がある。
【0003】
電子式気化吸入器と他の蒸気吸入器は、典型的には、類似の設計を有する。ほとんどの電子気化吸入器は、リザーバーからの漏れを防ぐように液体ニコチンを保持する毛細管要素などの内膜、典型的には綿を有する液体ニコチンリザーバーを備えている。それにもかかわらず、これらのタバコは、液体が膜からマウスピースに流れ出るのを防止する障害物がないため、依然として漏れが発生しやすい。電子式気化吸入器の液漏れは、いくつかの理由で問題がある。第1の欠点として、液体が電子部品に漏れ、装置に重大な損傷を与える可能性がある。第2の欠点として、液体が電子気化吸入器のマウスピースに漏れ、使用者が未気化の液体を吸入する可能性がある。
【0004】
電子気化吸入器は、吸引の間に一貫性のない用量を提供することでも知られている。前述の漏れは、膜が気化器の近くで過飽和または過少になることがあるため、投与量が一定しない原因の1つである。膜が過飽和の場合、使用者は希望する量より強い蒸気を経験することができ、膜が過少の場合、使用者は希望する量より弱い蒸気を経験することができる。使用者が吸う強さを少し変えるだけで、強くなったり弱くなったりすることがある。一貫性のない投与は、漏れとともに、ベーパリング液体のより早い消費につながる可能性がある。
【0005】
さらに、従来の電子気化吸入器は、電子タバコ内の液体を加熱するように構成された金属加熱部品の高温を誘発することに依存する傾向があり、したがって、呼吸することができる液体を気化することができる。従来の電子式気化吸入器の問題点は、金属が燃える可能性と、それに続いて燃える液体とともに金属が吸い込まれる可能性とを含む場合があることである。また、加熱された液体による焦げた臭いを好まない人もいる。
【0006】
電子気化吸入器は、一般に、液体ニコチンリザーバーが、リザーバー内の未使用液体を加熱しないように、金属加熱部品から離れた位置に配置されるように設計されている。このような配置は、吸入装置の製造が面倒になり、より複雑なものになる。
【0007】
したがって、これらの欠点によりよく耐えることができる電子気化吸入器に対する必要性が当技術分野に存在する。
【発明の概要】
【0008】
簡潔な概要
本発明の一態様によれば、超音波ミスト吸入器であって、以下の構成を備える。
- 霧化される液体を受け取るように適合された液体チャンバを含む液体リザーバー構造体
- 液体チャンバと流体連通している超音波処理チャンバ
- 液体チャンバと超音波処理チャンバとの間に配置する毛細管要素
毛細管要素は、少なくとも一部が竹繊維である材料である。
【0009】
発明における毛細管要素により、高い吸収容量、高い吸収速度だけでなく、高い液保持率も実現できる。
【0010】
毛細管に使用される提案材料の固有の特性は、超音波ミスト吸入器の効率的な機能に大きな影響を与えることが判明した。
【0011】
さらに、本材料の固有の特性として、良好な透湿性を維持しつつ、良好な吸湿性を有している。これにより、吸引した液体を効率よく毛細管に浸透させることができるとともに、高い吸水性により大量の液体を保持することができ、市販されている他の製品と比較して超音波ミスト吸入器をより長く使用することができるようになった。
【0012】
竹繊維を使用するもう一つの大きな利点は、竹繊維の中にもともと存在する天然由来の抗菌性生物製剤である「クン」によって、抗菌性、抗真菌性、防臭性があり、医療用途に適していることである。
【0013】
この竹繊維固有の特性は、超音波処理における竹繊維の利点に関して、数値解析により検証されている。
【0014】
以下の式は、毛細管要素として使用するための竹繊維材料および綿、紙、または他の繊維ストランドなどの他の材料でテストされており、竹繊維が超音波処理での使用のためにはるかに優れた特性を有することを実証している:
【0015】
【0016】
【0017】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素の材料は、竹繊維100%とすることができる。
【0018】
広範な試験により、100%純粋な竹繊維が超音波処理に最も最適な選択であると結論付けられている。
【0019】
超音波ミスト吸入器では、毛細管要素の材料は、少なくとも75%が竹繊維で、優先的に25%が綿であってもよい。
【0020】
100%純粋な竹繊維または竹繊維の高い割合からの毛細管要素は、高い吸収能力を示すだけでなく、超音波ミスト吸入器のアプリケーションのための最適な選択となる改善された流体透過性を有する。
【0021】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は、平坦な形状を有していてもよい。
【0022】
超音波ミスト吸入器において、毛細管要素は、中央部分と周辺部分とから構成されてもよい。
【0023】
超音波ミスト吸入器において、周辺部分は、液体チャンバに向かって延びるL字型の断面を有していてもよい。
【0024】
超音波ミスト吸入器において、中央部分は、超音波処理チャンバまで延びるU字形状の断面を有していてもよい。
【0025】
本発明で使用される「ミスト」という表現は、先行技術から知られる従来の吸入器において通常行われるように液体が加熱されないことを意味することに留意されたい。実際、従来の吸入器は、液体をその沸騰温度以上に加熱して蒸気を発生させるために加熱素子を使用するが、これはミストとは異なるものである。
【0026】
実際、液体を高強度で超音波処理する場合、液体媒体中に伝播する音波は、周波数に依存して異なる速度で、高圧(圧縮)および低圧(希釈)サイクルを交互に生じる。低圧サイクルでは、高強度の超音波が液体中に小さな真空の気泡や空隙を作る。この気泡がエネルギーを吸収できない体積になると、高圧サイクルで激しく崩壊する。この現象をキャビテーションという。このとき、局所的に非常に高い圧力が発生する。キャビテーションでは、壊れた毛細管波が発生し、液体の表面張力を破った微小な液滴が霧状になって素早く空中に放出される。
【0027】
発明に係る超音波ミスト吸入器において、前記液体チャンバに受容される前記液体は、57~70%(w/w)の植物性グリセリンと30~43%(w/w)のプロピレングリコールとを含み、前記プロピレングリコールはニコチン及び香料を含む、ことを特徴とする超音波ミスト吸入器。
【0028】
超音波ミスト吸入器または個人用超音ミスト化装置は次を含む:
- 霧化される液体を受け取るように適合された液体チャンバまたはカートリッジを含む液体リザーバー構造体
- 液体チャンバまたはカートリッジと流体連通している超音波処理チャンバ
【0029】
前記液体チャンバに受容される前記液体は、57~70%(w/w)の植物性グリセリンおよび30~43%(w/w)のプロピレングリコールを含み、前記プロピレングリコールはニコチンおよび香料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
いくつかの実施形態は、添付図面の図に例として示され、限定されるものではない。
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る超音波ミスト吸入器の構成要素を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、発明の実施形態による吸入器液体リザーバー構造体の構成要素の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1による吸入器液体リザーバー構造体の構成要素の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
前述の概要、および本発明の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、より良く理解されるであろう。
【0032】
本明細書で使用される場合、単数形で言及され、単語「a」または「an」が先行する要素は、そのような除外が明示されない限り、当該要素の複数を除外しないものとして理解されるべきである。さらに、本発明の「一実施形態」への言及は、言及された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除すると解釈することを意図していない。さらに、反対のことを明示的に述べない限り、特定の特性を有する要素または複数の要素を「含む」または「有する」実施形態は、その特性を有さない追加のそのような要素を含むことができる。
【0033】
本発明は、超音波ミスト吸入器に関するものである。本発明の説明及び添付の図は、電子気化吸入器の実施形態に向けられるが、他の実施形態、例えば、水タバコ、フレーバー液、薬、及びハーブサプリメント用の吸入器が想定される。さらに、この装置は、タバコというよりオブジェクトのように見えるようにパッケージ化することができる。例えば、パイプ、水パイプ、スライドなどの他の喫煙具に似せた装置や、喫煙に関係ない他の物体に似せた装置も考えられる。
【0034】
超音波ミスト吸入器は、使い捨てまたは再利用可能のいずれかである。本書で使用される「再利用可能」という用語は、エネルギー貯蔵装置が再充電可能または交換可能であること、または液体が再充填または液体リザーバー構造体の交換のいずれかによって補充可能であることを意味する。あるいは、いくつかの実施形態では、再利用可能な電子装置は、再充電可能であり、液体を補充することができる両方である。まず、使い捨ての実施形態について説明し、次に再利用可能な実施形態について説明する。
【0035】
従来の電子気化吸入器は、吸入器内の液体を加熱するように構成された金属部品の高温を誘発し、したがって、吸い込むことができる液体を気化させることに依存する傾向がある。液体は、通常、プロピレングリコール(PG)および植物性グリセリン(VG)の溶液にブレンドされたニコチンおよび香料を含み、これらは、高温で加熱部品を介して気化される。従来の吸入器の問題点として、金属が燃える可能性があり、その後、燃えた液体と一緒に金属を吸い込む可能性がある。また、加熱された液体による焦げた臭いや味を好まない人もいる。
【0036】
これに対して、本開示の態様は、超音波振動によって液体を霧化する超音波ミスト吸入器を含み、これにより、液体中に微小水泡が生成される。この気泡が周囲の空気分子と接触すると、約0.25~0.5ミクロンの水滴が空気中に霧化され、霧を吸うように呼吸によって吸収される微小水滴が発生する。
【0037】
発熱体を使用しないため、発熱体の焦げ付きがなく、副流煙の影響を低減することができる。
【0038】
図1から
図4は、本発明による毛細管要素7を備えた超音波吸入器の一実施形態を示す図である。
【0039】
図1は、本発明の使い捨て超音波ミスト吸入器の実施形態100を描いている。
図1から分かるように、超音波ミスト吸入器100は、直径に比して長さが比較的長い円筒形の本体を有している。形状および外観の点で、超音波ミスト吸入器100は、典型的なタバコの外観を模倣するように設計されている。例えば、吸入器は、主にタバコのタバコ棒部分を模擬する第1の部分101と、主にフィルタを模擬する第2の部分102とを備えることができる。発明装置の使い捨て実施形態のでは、第1部分と第2部分とは、単一の、しかし分離可能な装置の領域である。第1部分101及び第2部分102という呼称は、各部分に主に含まれる構成要素を便宜的に区別するために用いられる。
【0040】
図1から分かるように、超音波ミスト吸入器は、マウスピース1、液体リザーバー構造体2、およびケーシング3から構成されている。第1部分101はケーシング3を構成し、第2部分102はマウスピース1およびリザーバー構造体2を構成する。
【0041】
第1の部分101には、電源エネルギーが含まれている。
【0042】
蓄電装置30は、超音波ミスト吸入器100に電力を供給する。蓄電装置30は、リチウムイオンバッテリ、アルカリバッテリ、亜鉛-炭素バッテリ、ニッケル水素バッテリ、ニッケル-カドミウムバッテリなどのバッテリ、スーパーキャパシタ、またはこれらの組み合わせとすることができるが、これらに限定されるわけではない。使い捨ての実施形態では、電気貯蔵装置30は再充電可能ではないが、再使用可能な実施形態では、電気貯蔵装置30は再充電可能であるように選択されるであろう。使い捨ての実施形態では、電気貯蔵装置30は、主に、吸入器100の寿命にわたって一定の電圧を供給するように選択される。そうでなければ、吸入器の性能は時間とともに劣化することになる。装置の寿命にわたって一定の電圧出力を提供することができる好ましい電気貯蔵装置には、リチウムイオンバッテリおよびリチウムポリマーバッテリが含まれる。
【0043】
電気貯蔵装置30は、一般に正端子に対応する第1の端部30aと、一般に負端子に対応する第2の端部30bとを有する。負極端子は、第1端部30aまで延びている。
【0044】
蓄電装置30は第1部分101に位置し、液体リザーバー構造体2は第2部分102に位置するので、接合部は、それらの構成要素の間に電気的な通信を提供することが必要である。本発明では、第1の部分101が第2の部分102に締め付けられるときに一緒に圧縮される少なくとも電極またはプローブを用いて電気通信が確立される。
【0045】
この実施形態では、再利用可能とするために、蓄電装置30は充電可能である。ケーシング3には、充電口32が設けられている。
【0046】
集積回路4は、近位端4aおよび遠位端4bを有する。電気貯蔵装置30の第1端30aの正端子は、フレキシブル集積回路4の正リードと電気的に連通している。電気貯蔵装置30の第2の端部30bの負端子は、集積回路4の負リードと電気的に通信している。集積回路4の遠位端4bは、マイクロプロセッサを含んで構成されている。マイクロプロセッサは、センサーからのデータを処理し、ライトを制御し、第2の部分102における超音波振動手段5に電流の流れを指示し、予めプログラムされた時間の後に電流の流れを終了させるように構成されている。
【0047】
「超音波振動手段」という表現は、特許出願PCT/IB2019/055192で用いられている「超音波発振部品」という表現と類似している。
【0048】
センサーは、超音波ミスト吸入器100が使用されているとき(使用者が吸入器を吸引したとき)を検出し、マイクロプロセッサを作動させる。センサーは、圧力、空気流、または振動の変化を検出するように選択することができる。優先実施形態では、センサーは圧力センサーである。デジタル実施形態では、センサーは連続的な読み取りを行い、その結果、デジタルセンサーは連続的に電流を引き込む必要があるが、その量は小さく、全体のバッテリ寿命は無視できるほど影響されるだろう。
【0049】
さらに、集積回路4は、高周波で直流を交流に変換するために優先的に4つのMOSFETによって形成されてもよいHブリッジを構成している可能性がある。
【0050】
図2および
図3を参照すると、実施形態による液体リザーバー構造体2の図解が示されている。液体リザーバー構造体2は、霧化される液体を受け取るように適合された液体チャンバ21と、液体チャンバ21と流体連通している超音波処理チャンバ22とからなる。
【0051】
示されている実施形態では、液体リザーバー構造体2は、超音波処理チャンバ22から周囲に向かう空気通路を提供する吸入チャネル20を備える。
【0052】
センサー位置の一例として、超音波処理チャンバ22にセンサーを配置してもよい。
【0053】
吸入チャネル20は、錐体部20aと内側容器20bを有する。
【0054】
図4A及び
図4Bに描かれているように、さらに吸入チャネル20は、周囲から超音波処理チャンバ22に空気流を供給するための空気流部材27を有する。
【0055】
気流部材27は、一体に作られた気流ブリッジ27a及び気流ダクト27bを有し、気流ブリッジ27aは吸入チャネル20の一部を形成する2つの気道開口27a’を有し、気流ダクト27bは気流ブリッジ27aから超音波処理チャンバ22内に延びて周囲から超音波処理チャンバへの空気流を提供するためにある。
【0056】
気流ブリッジ27aは、第2の直径20a2において錐体要素20aと協働する。
【0057】
気流ブリッジ27aは、気流を気流ダクト27bに供給する2つの対向する周辺開口部27a’’を有する。
【0058】
気流ブリッジ27aとフラストコニカル要素20aとの協働は、2つの対向する周辺開口部27a’’がフラストコニカル要素20aの相補的開口部20a’’と協働するように配置される。
【0059】
口金1と錐体部20aは半径方向に間隔をあけて配置され、その間に気流チャンバ28が配置されている。
【0060】
図1及び2に描かれているように、マウスピース1は、2つの対向する周辺開口部1’’を有する。
【0061】
気流ブリッジ27aの周辺開口部27a’’、20a’’、1’’、フラストコニカル要素20a及びマウスピース1は、超音波処理チャンバ22に最大限の空気流を直接供給する。
【0062】
錐体要素20aは、吸入チャネル20と同様の方向に整列された内部通路を含み、第1の直径20a1が第2の直径20a2のそれよりも小さく、内部通路が錐体要素20aにわたって直径を減少させるように、内部通路を有している。
【0063】
錐体要素20aは、超音波振動手段5及び毛細管要素7と整列して配置され、第1の直径20a1はマウスピース1の内部ダクト11に連通し、第2の直径20a2は内側容器20bに連通している。
【0064】
内側容器20bは、超音波処理チャンバ22と液体チャンバ21とを区画する内壁を有する。
【0065】
液体リザーバー構造体2は、液体チャンバ21の外壁を区画する外側容器20cを有している。
【0066】
内側容器20b及び外側容器20cは、それぞれ、液体チャンバ21の内壁及び外壁である。
【0067】
液体リザーバー構造体2は、口金1とケーシング3との間に配置され、口金1およびケーシング3に対して着脱可能である。
【0068】
液体リザーバー構造体2およびマウスピース1またはケーシング3は、互いに係合するための相補的な配置を含んでもよく;さらにそのような相補的配置は、バヨネット型配置;ねじ係合型配置;磁気配置;または摩擦嵌合配置のいずれかを含んでもよく、液体リザーバー構造体2は配置の一部分を含み、マウスピース1またはケーシング3は、配置の相補的部分を含んでいる。
【0069】
再使用可能な実施形態では、構成要素は実質的に同じである。使い捨ての実施形態に対する再使用可能な実施形態の違いは、液体リザーバー構造体2を交換するためになされる収容である。
【0070】
図3に示すように、液体チャンバ21は、液体チャンバ21の内側容器20bと外側容器20cを閉じる上壁23と底壁25を有する。
【0071】
毛細管要素7は、内側容器20bの第1部分20b1と第2部分20b2との間に配置されている。
【0072】
毛細管要素7は、超音波処理チャンバから液体チャンバまで延びる平坦な形状を有する。
【0073】
図2または3に描かれているように、毛細管要素7は、U字形の中央部分7aとL字形の周辺部分7bとから構成されている。
【0074】
L字形状の部分7bは、内側容器20b上の液体チャンバ21内に、底壁25に沿って延びている。
【0075】
U字状部分7aは、超音波処理チャンバ21内に収容されている。U字状部分7aは、内側容器20b上で、底壁25に沿うように設けられている。
【0076】
超音ミスト化吸入器において、U字部7aは、内側部分7a1と外側部分7a2とを有し、内側部分7a1は超音波振動手段5の霧化面50と面接触しており、外側部分7a2は超音波振動手段5と面接触していない。
【0077】
液体チャンバ21の底壁25は、液体チャンバ21と超音波処理チャンバ22とを閉鎖する底板25である。底板25は密閉されているため、超音波処理チャンバ22からケーシング3への液体の漏れは防止されている。
【0078】
底板25は、弾性部材8が挿入される凹部25bを有する上面25aを有している。超音波振動手段5は、弾性部材8によって支持されている。弾性部材8は、超音波振動手段5を維持するための溝が設計された内孔8’を有する環状板状のゴムから形成されている。
【0079】
液体チャンバ21の上壁23は、液体チャンバ23を閉じるキャップ23である。
【0080】
天壁23は、液体チャンバ21が収容し得る液体の最大レベルを表す上面23と、液体チャンバ21内の液体の最小レベルを表す下面25とを有する。
【0081】
天壁23は密閉されているため、液体チャンバ21から口金1への液体の漏れは防止される。
【0082】
天壁23と底壁25は、ネジ、接着剤、摩擦などの固定手段により、液体リザーバー構造体2に固定されている。
【0083】
図3に描かれているように、弾性部材は超音波振動手段5と線接触しており、超音波振動手段5と吸入器の壁との接触を防ぐことで、液体リザーバー構造体の振動の抑制がより効果的に防止される。したがって、霧化部材によって霧化された液体の微粒子をより遠くまで霧化することができる。
【0084】
図3に描かれているように、内側容器20bは、第1部分20b1と第2部分20b2との間に、毛細管要素7が超音波処理チャンバ21から延びている開口部20b’を有している。毛細管要素7は、開口部20b’を介して液体チャンバ21から液体を吸収する。毛細管要素7は、ウィックである。毛細管要素7は、毛細管現象によって液体を超音波処理チャンバ22に輸送する。優先的に、毛細管要素7は、竹繊維で作られている。優先的に、毛細管要素7は、0.27mmから0.32mmの間の厚さであり、38g/m
2 から48g/m
2 の間の密度を有していてもよい。
【0085】
図3から分かるように、超音波振動手段5は、毛細管要素7の直下に配置されている。
【0086】
超音波振動手段5は、変換器であってもよい。例えば、超音波振動手段5は、圧電変換器であってもよく、円形の板状に設計されているのが好ましい。圧電変換器の材質は、セラミックであることが望ましい。
【0087】
また、超音波振動手段5には、様々な変換器材料を使用することができる。
【0088】
送風ダクト27b1の端部は、超音波振動手段5と向き合っている。超音波振動手段5は、電気接触器101a、101bと電気的に連絡している。注目すべきは、集積回路4の遠位端4bは、内側電極と外側電極を有することである。内側電極は、スプリングコンタクトプローブである第1の電気接触子101aに接触し、外側電極は、サイドピンである第2の電気接触子101bに接触する。集積回路4を介して、第1の電気接点101aは、マイクロプロセッサにより蓄電装置30の正極端子と電気的に通信し、第2の電気接点101bは、蓄電装置30の負極端子と電気的に通信している。
【0089】
電気接点101a、101bは、底板25を横断している。底板25は、液体リザーバー構造体2の周壁26の内側に受けられるようになっている。底板25は、相補的な隆起の上に載っており、それによって、液体チャンバ21と超音波処理チャンバ22を形成している。
【0090】
内側容器20bは、機械的なバネが適用される円形の内側スロット20dから構成される。
【0091】
中央部分7a1を超音波振動手段5に押し付けることによって、機械的なバネ9は、それらの間の接触面を確保する。
【0092】
液体リザーバー構造体2及び底板25は、様々な熱可塑性材料を用いて作ることができる。
【0093】
使用者が超音波ミスト吸入器100を吸引すると、空気流が周辺開口部1’’から吸引されて気流チャンバ28を貫通し、気流ブリッジ27aの周辺開口部27a’’とフラストコニカル要素20aを通り、気流ダクト27bを介して超音波処理チャンバ22に流れ落ち、直接毛細管要素7にかかる。同時に、液体は毛細管現象によりリザーバーチャンバ21から複数の開口部20b’を通り、毛細管要素7に吸い込まれる。毛細管要素7は、液体を吸入器100の超音波振動手段5と接触させる。また、使用者の吸引により、圧力センサーが集積回路4を作動させ、集積回路4が超音波振動手段5に電流を導く。このように、使用者が吸入器100のマウスピース1に描画すると、2つの動作が同時に起こる。まず、センサーが集積回路4を作動させ、これが超音波振動手段5が振動を開始するきっかけとなる。第2に、引き金は、開口部20b’を通る液体の流れが始まるように、リザーバーチャンバ21の外の圧力を低下させ、これが毛細管要素7を飽和させる。毛細管要素7は、液体を超音波振動手段5に搬送し、超音波振動手段5によって毛細管路内に気泡を形成させ、液体をミスト化させる。そして、ミスト化された液体を使用者が吸引する。
【0094】
本開示の超音波ミスト吸入器100は、現在の携帯医療用ネブライザーをより強力にしたもので、現在の電子タバコの形状およびサイズで、効果的な気化のための特定の構造を有するものである。タバコや現行の電子タバコ製品に代わる、より健康的な製品である。
【0095】
本開示の超音波ミスト吸入器100は、禁煙およびニコチン依存症の軽減の手段として電子吸入器を使用する人に特に適用可能である。超音波ミスト吸入器100は、ニコチンの投与量を徐々に漸減させる方法を提供する。
【0096】
本発明超音波ミスト吸入器100の他の実施形態は、薬物送達装置を含めて容易に想定される。
【0097】
上記の説明は、例示的なものであり、制限的なものではないことが理解されよう。例えば、上述した実施形態は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、その範囲から逸脱することなく、多くの修正を行うことができる。