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特許7480342ディレードコーキング処理の間にコーカー炉をデコーキングするためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】ディレードコーキング処理の間にコーカー炉をデコーキングするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/055 20060101AFI20240430BHJP
   C10G 9/16 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B08B9/055
C10G9/16
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022562776
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2020028523
(87)【国際公開番号】W WO2021211126
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-12-12
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522402391
【氏名又は名称】ベクテル・エナジー・テクノロジーズ・アンド・ソリューションズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リモン・ヴァラヴァナット
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0255933(US,A1)
【文献】特公昭48-035810(JP,B1)
【文献】特開2002-210428(JP,A)
【文献】特開2018-008242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/02-9/057
C10G 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーカー炉のオンラインのピギングのためのシステムであって、
第1の通路、第2の通路、および第3の通路を有する第1の管組立体であって、前記第1の管組立体の前記第1の通路は一端において管区域の第1の端に接続され、各々の通路は、各々の通路および前記管区域を通る流体連通を制御するためにそれぞれの弁を備える、第1の管組立体と、
第1の通路、第2の通路、および第3の通路を有する第2の管組立体であって、前記第2の管組立体の前記第1の通路は一端において前記管区域の第2の端に接続され、各々の通路は、各々の通路を通る流体連通を制御するためにそれぞれの弁を備える、第2の管組立体と、
ピグであって、前記ピグが加圧された流体によって運ばれるとき、前記第1の管組立体の前記第3の通路を通行し、前記管区域の通常動作の間に前記管区域を洗浄し、前記第2の管組立体の前記第3の通路を通行するためのピグと
を備え、
前記ピグは、一体に結合された複数の木製円板と複数のセラミック布円板とを備えることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記管区域は直線または曲線である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の管組立体の前記第3の通路と前記第2の管組立体の前記第3の通路とは、前記ピグを挿入および抜き出しするための取り外し可能な閉止フランジを伴う端をそれぞれ備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の管組立体の前記第3の通路と前記第2の管組立体の前記第3の通路とは、前記第1の管組立体の前記第1の通路に接続される他の端と前記第2の管組立体の前記第1の通路に接続される他の端とをそれぞれ備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の管組立体の前記第1の通路および前記第3の通路と、前記第2の管組立体の前記第1の通路および前記第3の通路とは、各々のそれぞれの長さのほとんどについて平行である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の管組立体の前記第2の通路は、前記第1の管組立体の前記第1の通路のための前記弁および前記第3の通路のための前記弁から上流で、前記第1の管組立体の前記第1の通路と前記第3の通路とを接続する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の管組立体の前記第2の通路は、前記第2の管組立体の前記第1の通路のための前記弁および前記第3の通路のための前記弁から下流で、前記第2の管組立体の前記第1の通路と前記第3の通路とを接続する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の管組立体の前記第2の通路と前記第2の管組立体の前記第2の通路とは、前記第1の管組立体の前記第1の通路および前記第3の通路と、前記第2の管組立体の前記第1の通路および前記第3の通路とに対して、それぞれ実質的に垂直である、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
各々の木製円板は、所定の厚さと、前記第1の管組立体の前記第3の通路の内径、前記管区域の内径、および前記第2の管組立体の前記第3の通路の内径以下である直径とを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
各々のセラミック布円板は、所定の厚さと、前記第1の管組立体の前記第3の通路の前記内径、前記管区域の前記内径、および前記第2の管組立体の前記第3の通路の前記内径より大きい直径とを有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
各々の弁は、独立制御のために中央制御パネルに接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
コーカー炉のオンラインのピギングのための方法であって、
加圧された流体を、第1の管組立体の第1の通路、管区域、および第2の管組立体の第1の通路を通じて導入するステップであって、前記第1の管組立体の前記第1の通路は一端において前記管区域の第1の端に接続され、前記第2の管組立体の前記第1の通路は一端において前記管区域の第2の端に接続される、ステップと、
前記第1の管組立体の第2の通路における弁、および、前記第1の管組立体の第3の通路における弁によって、前記第1の管組立体の前記第1の通路における前記流体から隔離される前記第1の管組立体の前記第3の通路へとピグを導入するステップであって、前記ピグは、一体に結合された複数の木製円板と複数のセラミック布円板とを備える、ステップと、
前記第1の管組立体の前記第1の通路における前記弁を閉じ、前記第1の管組立体の前記第2の通路における前記弁および前記第3の通路における前記弁を開けることで、前記ピグの後方で前記第1の管組立体の前記第3の通路を通すように前記流体を再方向付けするステップと、
前記管区域の通常動作の間、加圧された前記流体によって運ばれる前記ピグで前記管区域を洗浄するステップと、
前記第2の管組立体の前記第1の通路における弁を閉じ、前記第2の管組立体の第2の通路における弁および第3の通路における弁を開けることで、前記第2の管組立体の前記第3の通路を通すように前記流体を再方向付けするステップと、
前記第2の管組立体の前記第2の通路における前記弁および前記第3の通路における前記弁を閉じ、前記第2の管組立体の前記第1の通路における前記弁を開けることで、前記ピグが前記第2の管組立体の前記第3の通路における前記弁を通過した後、前記第2の管組立体の前記第3の通路から前記ピグを抜き出すステップと
を含む方法。
【請求項13】
通常動作の間の前記管区域の温度が少なくとも約華氏925度である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記管区域はコーカー炉の中に含まれる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記コーカー炉が動作していないとき、前記第1の管組立体の前記第1の通路を前記管区域の前記第1の端に接続し、前記第2の管組立体の前記第1の通路を前記管区域の前記第2の端に接続するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
各々の弁は、中央制御パネルによって独立して制御される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
各々の弁は、前記ピグの場所に基づいて開閉するようにプログラムされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各々の弁は、前記ピグの場所、および、少なくとも1つの他の弁のその開または閉に関する状況の少なくとも一方に基づいて、開閉するようにプログラムされる、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし
【0002】
以下の開示は、概して、ディレードコーキング処理の間にコーカー炉をデコーキングするためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、システムおよび方法は、ディレードコーキング処理の中断なしでのコーカー炉の効率的なオンラインのピギングを可能にする。
【背景技術】
【0003】
ディレードコーキングは、コーカー炉において、残存給油をその熱分解温度へと加熱するために、多くの石油精製所において使用されている処理である。これは、残存給油の重い長鎖炭化水素分子をコーカーガスオイルと石油コークスとに分解する。ディレードコーキング処理からのコークスの産出は、その組成および動作変数に依存して、残存給油の約18~30重量パーセントの範囲である。単一のコーカー炉は、典型的には、1対のコークスドラムあたり4つから6つの管のパスを有する。パスは、残存給油が通って流れる並行な管である。これらのパスのうちの1つまたは複数が、約華氏800度における使用の間のコークス蓄積のため狭窄されることになることは、通常ではない。これは柔らかく薄い層であるが、時間と共に蓄積し、硬くなり、絶縁として作用する。コークスが硬くなるにつれて、コーカー炉は、必要とされる処理出口温度を維持するために、より激しく燃焼しなければならない。これは、コークス蓄積の除去を必要とする最高安全動作温度に到達するまで、管壁温度における上昇をもたらす。
【0004】
このコークス蓄積の除去は「デコーキング」と称される。デコーキングは炉ごとに1年に3~4回必要であり得る。デコーキングは歴史的にオフラインで実施されており、これは、コークスドラム(典型的に2つ)および各々の炉が、コーカー炉の管をデコーキングするために完全に停止される必要があることを意味する。ある炉の設計では、ある管のパスがデコーキング処理を受けている間に他のパスがなおも動作中である。デコーキングは、管に押し通される蒸気の使用によって、または、水によって管を通じて駆動されるスクレーパでコークスを機械的に除去すること(典型的には、「ピギング」と称される)によって、実施され得る。いずれの場合も、オフラインのデコーキングは時間が掛かり(3~5日間)、高価であり、停止によって生産に遅れをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より最近では、オンラインのデコーキングが、オフラインのデコーキングと関連付けられる遅れおよび費用を回避するために用いられている。加熱器が2つ以上の並行なパスを有する場合、1つのパスがデコーキング実施のために隔離される間、他のパスは動作中であり、結果として低下した能力をもたらす。オンラインのデコーキングは、処理ステップ同士の間で安全に移行すること、および、構成要素がオンラインのデコーキングに必要とされる安全上の因子を提供できることを確保することなど、相当の動作上、商業的、および構造上の問題も提起する。
【0006】
詳細な説明が添付の図面を参照して記載されており、それら図面では、同様の要素は同様の符号で参照されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ディレードコーキング処理の中断なしでのコーカー炉の効率的なオンラインのピギングのためのシステムを示す概略図である。
図2図1に示されているシステムで使用され得るピグの一実施形態の側方からの断面図である。
図3図1に示されているシステムで使用され得るピグの他の実施形態の側方からの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で開示されている主題は特異性を伴って記載されているが、記載自体は本開示の範囲を限定するように意図されていない。したがって、主題は、他の現在または将来の技術と併せて、本明細書に記載されているものと同様である、および/または本明細書に記載されているものより少ない異なる構造、ステップ、および/または組み合わせを含むように、他の方法で具現化されてもよい。「ステップ」という用語は、採用されている方法の異なる要素を記載するために本明細書では使用され得るが、具体的な順番への記載によって他に明示的に限定されない場合、本明細書で開示されている様々なステップの間で任意の具体的な順番を含むように解釈されるべきではない。したがって、開示されている実施形態の他の特徴および利点は、以下の図および詳細な記載を精査することで、当業者には明らかである、または明らかになる。すべてのこのような特徴および利点が、開示されている実施形態の範囲内に含まれることは、意図されている。さらに、示されている図は、単なる例示であり、異なる実施形態が実施され得る環境、構造、設計、または処理に関して何らかの限定を主張または暗示するように意図されていない。温度および圧力が以下の記載で言及される限りにおいて、それらの条件は単なる例示であり、本開示を限定するように意図されていない。
【0009】
本明細書に開示されている実施形態は、ディレードコーキング処理の中断なしでコーカー炉の効率的なオンラインのピギングを可能とすることで、先行技術の欠点を克服し、これは、ディレードコーキング処理の間の時間および資金を節約する。本明細書で開示されている実施形態は、ディレードコーキング処理の間にコーカー炉を洗浄するように適用されるが、本開示はそれに限定されず、過度な温度において使用される他の管状の構成要素を洗浄するために適用されてもよい。
【0010】
一実施形態において、本開示は、オンラインのピギングのためのシステムであって、i)第1の通路、第2の通路、および第3の通路を有する第1の管組立体であって、第1の管組立体の第1の通路は一端において管区域の第1の端に接続され、各々の通路は、各々の通路および管区域を通る流体連通を制御するためにそれぞれの弁を備える、第1の管組立体と、ii)第1の通路、第2の通路、および第3の通路を有する第2の管組立体であって、第2の管組立体の第1の通路は一端において管区域の第2の端に接続され、各々の通路は、各々の通路を通る流体連通を制御するためにそれぞれの弁を備える、第2の管組立体と、iii)ピグであって、ピグが加圧された流体によって運ばれるとき、第1の管組立体の第3の通路を通行し、管区域の通常動作の間に管区域を洗浄し、第2の管組立体の第3の通路を通行するためのピグとを備え、iv)ピグは、一体に結合された複数の木製円板と複数のセラミック布円板とを備える、または、第1の管組立体の第3の通路の内径、管区域の内径、および第2の管組立体の第3の通路の内径より大きい直径を伴うきつく巻かれたロープを備える、システムを含む。
【0011】
他の実施形態において、本開示は、オンラインのピギングのための方法であって、i)加圧された流体を、第1の管組立体の第1の通路、管区域、および第2の管組立体の第1の通路を通じて導入するステップであって、第1の管組立体の第1の通路は一端において管区域の第1の端に接続され、第2の管組立体の第1の通路は一端において管区域の第2の端に接続される、ステップと、ii)第1の管組立体の第2の通路における弁、および、第1の管組立体の第3の通路における弁によって、第1の管組立体の第1の通路における流体から隔離される第1の管組立体の第3の通路へとピグを導入するステップと、iii)ここで、ピグは、一体に結合された複数の木製円板と複数のセラミック布円板とを備える、または、第1の管組立体の第3の通路の内径、管区域の内径、および第2の管組立体の前記第3の通路の内径より大きい直径を伴うきつく巻かれたロープを備え、iv)第1の管組立体の第1の通路における弁を閉じ、第1の管組立体の第2の通路における弁および第3の通路における弁を開けることで、ピグの後方で第1の管組立体の第3の通路を通すように流体を再方向付けするステップと、v)管区域の通常動作の間、加圧された流体によって運ばれるピグで管区域を洗浄するステップと、vi)第2の管組立体の第1の通路における弁を閉じ、第2の管組立体の第2の通路における弁および第3の通路における弁を開けることで、第2の管組立体の第3の通路を通すように流体を再方向付けするステップと、vii)第2の管組立体の第2の通路における弁および第3の通路における弁を閉じ、第2の管組立体の第1の通路における弁を開けることで、ピグが第2の管組立体の第3の通路における弁を通過した後、第2の管組立体の第3の通路からピグを抜き出すステップとを含む方法を含む。
【0012】
ここで図1を参照すると、概略図が、ディレードコーキング処理の中断なしでのコーカー炉の効率的なオンラインのピギングのためのシステム100を示している。システム100は、第1の通路104と、第2の通路106と、第3の通路108とを有する第1の管組立体102を備え、第1の通路104は、一端において、フランジ112を形成する管区域110の第1の端に接続されている。管区域110は直線または曲線であり得る。各々の通路は、各々の通路および管区域110を通る流体連通を制御するためのそれぞれの弁104a、106a、および108aを備える。第3の通路108は、第1の通路104に接続されている他の端を備え、第1の通路104と第3の通路108とは、各々のそれぞれの長さのほとんどについて好ましくは平行である。第2の通路106は、第1の通路104のための弁104aおよび第3の通路108のための弁108aから上流で、第1の通路104と第3の通路108とを接続している。第2の通路106は、第1の通路104および第3の通路108に対して実質的に垂直である。
【0013】
システム100は、第1の通路116と、第2の通路118と、第3の通路120とを有する第2の管組立体114をさらに備え、第1の通路116は、一端において、フランジ122を形成する管区域110の第2の端に接続されている。各々の通路は、各々の通路を通る流体連通を制御するためのそれぞれの弁116a、118a、および120aを備える。第3の通路120は、第1の通路116に接続されている他の端を備え、第1の通路116と第3の通路120とは、各々のそれぞれの長さのほとんどについて好ましくは平行である。第2の通路118は、第1の通路116のための弁116aおよび第3の通路120のための弁120aから下流で、第1の通路116と第3の通路120とを接続している。第2の通路118は、第1の通路116および第3の通路120に対して実質的に垂直である。
【0014】
システム100は、ピグ124であって、ピグ124が加圧された流体によって運ばれるとき、第1の管組立体102の第3の通路108を通行し、管区域110の通常動作の間に管区域110を洗浄し、第2の管組立体114の第3の通路120を通行するためのピグ124を利用し得る。第1の管組立体102の第3の通路108と第2の管組立体114の第3の通路120とは、ピグ124を挿入および抜き出しするための取り外し可能な閉止フランジ126、128を伴う端をそれぞれ備える。各々の弁104a、106a、108a、116a、118a、および120aは、独立した制御のために中央制御パネルに接続され得る。
【0015】
ここで図2を参照すると、側方からの断面図は、システム100で使用され得るピグ124の一実施形態を示している。ピグ124は、ネジボルト206によって一体に結合された複数の木製円板202と複数のセラミック布円板204とを備える。木製円板202とセラミック布円板204との第1のセットが、ナット208の対によってネジボルト206の一端に固定されている。木製円板202とセラミック布円板204との第2のセットが、ナット210の対によってネジボルト206の他の端に固定されている。ピグ124の全長は約8インチである。各々の木製円板202は、約1インチの所定の厚さと、第1の管組立体102の第3の通路108の内径、管区域110の内径、および第2の管組立体114の第3の通路120の内径以下である直径とを有する。各々のセラミック布円板204は、約3/8インチの所定の厚さと、第1の管組立体102の第3の通路108の内径、管区域110の内径、および第2の管組立体114の第3の通路120の内径より約1/4インチ大きい直径とを有する。代替で、複数のセラミック布円板204が、実質的に同じ大きさおよび寸法の複数のワイヤメッシュの円板で置き換えられてもよい。
【0016】
ここで図3を参照すると、側方からの断面図は、システム100で使用され得るピグ124の他の実施形態を示している。ピグ124は、直径が約3mmであるきつく巻かれた天然の海事用ロープ302を備える。ピグ124は、第1の管組立体102の第3の通路108の内径、管区域110の内径、および第2の管組立体114の第3の通路120の内径より大きい直径を有する。
【0017】
システム100は、加圧された流体を、第1の管組立体102の第1の通路104と、管区域110と、第2の管組立体114の第1の通路116とに通すように導入するために使用され得る。動作のこの段階において、第1の管組立体102の第1の通路104における弁104aと、第2の管組立体114の第1の通路116における弁116aとは開いている一方で、残りの弁は閉じられている。次に、ピグ124が、閉止フランジ126を取り外すことで、第1の管組立体102の第3の通路108へと導入される。したがって、ピグ124は、閉じられている弁106aおよび108aによって、第1の通路104における流体から隔離される。
【0018】
次に、第1の管組立体102の第1の通路104における流体は、弁104aを閉じ、弁106a、108aを開けることで、ピグ124の後方で第1の管組立体102の第3の通路108を通すように再方向付けされる。同様に、第2の管組立体114の第1の通路116における流体は、弁116aを閉じ、弁118a、120aを開けることで、第2の管組立体114の第3の通路120を通すように再方向付けされる。動作のこの段階において、ピグ124はシステム100を通過することができ、ピグ124が管区域110の通常動作の間に加圧された流体によって運ばれるとき、少なくとも約華氏925度の温度において管区域110を洗浄することができる。
【0019】
ピグ124が管区域110を洗浄する処理を完了し、第2の管組立体114の第3の通路120における弁120aを通過すると、ピグ124は、弁118a、120aを閉じ、弁116aを開けることで隔離され得る。同様に、第1の管組立体102の第2の通路106および第3の通路108における弁106aおよび108aが閉じられ、弁104aが開けられ得る。この段階において、システムはその動作の初期状態に戻り、ピグ124は、閉止フランジ128を取り外すことで第2の管組立体114の第3の通路120から抜き出され得る。したがって、ピグ124は、閉じられている弁118aおよび120aによって、第1の通路116における流体から隔離される。
【0020】
各々の弁104a、106a、108a、116a、118a、および120aは、中央制御パネルによって独立して制御され得る、および/または、ピグの場所に基づいて開閉するようにプログラムされ得る。代替で、各々の弁は、ピグの場所、および、少なくとも1つの他の弁のその開または閉に関する状況の少なくとも一方に基づいて、開閉するようにプログラムされ得る。
【0021】
システム100は多くの異なる種類の管区域を洗浄するために適用され得るが、1つの具体的に有用な適用は、コーカー炉の中に含まれる管区域を洗浄することを含む。この適用では、原油が主分流装置からいくらかの注入された蒸気と共に燃料燃焼されたコーカー炉へと汲み上げられる。原油は、フランジ112を通じて約華氏585度でコーカー炉における管区域110へと入り、コーカー炉においてその熱分解温度へと加熱され、約華氏925度でフランジ122を通って出る。ピグ124は、コークスが硬くて厚くなる前のまだ柔らかくて薄い間に、管区域110を効率的に洗浄する。
【0022】
システム100は、新規のディレードコーキング処理に容易に組み込むことができる、または、コーカー炉が動作していないときに、第1の管組立体102の第1の通路104を管区域110の一端に接続し、第2の管組立体114の第1の通路116を管区域110の他の端に接続するだけで、既存のコーカー炉に組み込むことができる。設置されると、システム100は、洗浄処理の後であっても取り外す必要がない。しかしながら、すべての処理温度プローブは、ピグ124の経路から取り外しまたは引き抜かれるべきである、これは、ピグ124が通過する間に管区域110の厚さを走査するための能力を含み得る。第1の管組立体102および第2の管組立体114についての材料は、P11、または、B31.3コードを満たす場合、コーカー炉の外部の材料と同じ材料とすることができる。
【0023】
本開示は前述の実施形態との関連で記載されているが、本開示をそれらの実施形態に限定することが意図されていないことは、当業者によって理解される。そのため、様々な代替の実施形態および改良が、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等によって定められる本開示の精神および範囲から逸脱することなく、開示されている実施形態に行われ得ることは、検討されている。
【符号の説明】
【0024】
100 システム
102 第1の管組立体
104 第1の通路
104a 弁
106 第2の通路
106a 弁
108 第3の通路
108a 弁
110 管区域
112 フランジ
114 第2の管組立体
116 第1の通路
116a 弁
118 第2の通路
118a 弁
120 第3の通路
120a 弁
122 フランジ
124 ピグ
126、128 閉止フランジ
202 木製円板
204 セラミック布円板
206 ネジボルト
208、210 ナット
302 ロープ
図1
図2
図3