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特許7480357少なくとも1つの製造パラメータを決定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】少なくとも1つの製造パラメータを決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 46/00 20060101AFI20240430BHJP
   B22D 17/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B22D46/00
B22D17/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022571090
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 EP2021064741
(87)【国際公開番号】W WO2021249838
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】20179001.1
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520131303
【氏名又は名称】ヘレウス アムロイ テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヒター、ハンス-ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ミルケ、オイゲン
(72)【発明者】
【氏名】シャクール シャハビ、ハメド
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07761263(US,B2)
【文献】国際公開第2006/117837(WO,A1)
【文献】特開2010-162569(JP,A)
【文献】特開2019-125371(JP,A)
【文献】特開2003-071870(JP,A)
【文献】特開2011-150946(JP,A)
【文献】特開2005-343178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 46/00
B22D 17/00
G06F 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質特性を有する、製造されるワークピース(24)の少なくとも1つの製造パラメータ(28)を決定するための方法(60)であって、
-少なくとも1つの製造方法を考慮して、少なくとも1つの所定の合金及び少なくとも1つの所定の製造方法の製造中に、基準ワークピース(22、22’、22’’)の冷却速度をシミュレートする(70)ステップと、
-前記シミュレートされた冷却速度を指定する基準シミュレーションデータ(72)を記憶する(71)ステップと、
-製造されるワークピース(24)を指定する部品説明(26)を受信する(61)ステップであって、前記部品説明(26)は、データ構造によって指定され、前記部品説明(26)は、製造される前記ワークピースの幾何学形状及び合金を指定する、ステップと、
-前記部品説明(26)の少なくとも一部の基準部品(22、22’、22’’)を決定する(62)ステップであって、前記決定は、パターン認識(67)を使用して実行され、前記基準部品(22、22’、22’’)の前記決定(62)は、前記部品説明(26)を複数の部品セグメント(29、29’、29’’)にセグメント化する(66)ことを含み、前記パターン認識(67)は、少なくとも1つの部品セグメント(29、29’、29’’)に対して実行される、ステップと、
-前記基準部品(22、22’、22’’)の少なくとも1つの特性を指定する前記基準部品(22、22’、22’’)の第1のシミュレーションデータ(27)を読み出す(63)ステップであって、前記記憶された基準シミュレーションデータ(72)は、第1のシミュレーションデータ(27)として読み出される、ステップと、
-前記第1のシミュレーションデータ(27)を使用して前記ワークピース(24)を製造するための少なくとも1つの製造パラメータ(28)を決定する(64)ステップと、
を含
前記基準部品(22、22’、22’’)の前記決定(62)は、基準データセットを、データベースユニット(21)からロードすることを含み、前記基準データセットは、複数の基準部品(22、22’、22’’)を指定し、前記決定(62)は、前記パターン認識(67)を使用して前記基準データセットから前記基準部品(22、22’、22’’)を選択することを含むことを特徴とする、方法(60)。
【請求項2】
前記セグメント化(66)は、基本形状及び/又は接続点を使用して、前記部品説明(26)によって指定された部品幾何学形状を分割すること(69)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法(60)。
【請求項3】
前記パターン認識(67)は、特に人工ニューラルネットワークを使用する分類(68)を含み、前記分類(68)は、前記基準データセットの基準部品(22、22’)を、製造されるワークピース(24)を指定する部品説明(26)によって指定された部品幾何学形状の部品セグメント(29、29’、29’’)、画素、ボクセル、体積要素及び/又は部分セグメントに関連付けることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法(60)。
【請求項4】
前記第1のシミュレーションデータ(27)は、所定の合金及び所定の製造方法に対する前記基準部品(22、22’、22’’)の冷却速度を指定していることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法(60)。
【請求項5】
前記第1のシミュレーションデータ(27)は、所定の合金、所定の製造方法及び/又は冷却速度についての前記基準部品(22、22’、22’’)の機械的特性を指定していることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法(60)。
【請求項6】
製造中の前記基準ワークピース(22、22’、22’’)の前記冷却速度の前記シミュレーション(70)は、複数の所定の合金及び複数の所定の製造方法について実行され、射出成形プロセスにおける射出手順後の前記基準ワークピース(22、22’、22’’)の前記冷却速度のシミュレーション(70)であり、
前記基準シミュレーションデータ(72)を記憶する(71)前記ステップは、データベースユニット(21)に記憶することを含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法(60)。
【請求項7】
前記基準部品(22、22’、22’’)のシミュレートされた冷却速度を使用して、製造される前記ワークピース(24)の少なくとも1つの機械的特性を決定する(80)ステップであって、前記少なくとも1つの製造パラメータ(28)の前記決定(64)はまた、前記決定された少なくとも1つの機械的特性を使用して実行される、ステップを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法(60)。
【請求項8】
前記冷却速度の前記シミュレーション(70)は、製造方法のパラメータ、例えばスタンピング速度、初期温度及び/又は金型形状を考慮して実行されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
却速度及び/又は製造されるべきワークピースの力印加点に静的に作用する力が与えられ、製造されるワークピースの挙動がシミュレートされる荷重試験を指定することができる機械的荷重ケースのシミュレーション(70、81)は、基準部品(22、22’)についての前記記憶された第1のシミュレーションデータ(27)が、同一の荷重ケースの冷却速度又は結果データを指定しない場合にのみ実行されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法(60)。
【請求項10】
ワークピースを製造するための製造方法(90)であって、
-請求項1~のいずれか一項に記載の方法を介して、少なくとも1つの製造パラメータ(28)を決定する(91)ステップと、
-前記少なくとも1つの製造パラメータ(28)を使用して前記ワークピースを製造する(92)ステップと、を含む、製造方法(90)。
【請求項11】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
設計システム(20)であって、
-製造されるワークピース(24)を指定する部品説明(26)を受信するように設計された受信ユニット(30)であって、前記部品説明(26)は、データ構造によって指定され、前記部品説明(26)は、製造される前記ワークピースの幾何学形状及び合金を指定している、受信ユニットと、
前記部品説明(26)の少なくとも一部について基準部品(22、22’)を決定するように設計された決定ユニット(32)であって、前記決定ユニット(32)は、パターン認識を使用して前記決定を実行するように設計されており、前記決定ユニット(32)は、前記部品説明の複数の部品セグメントへのセグメント化を実行するように更に設計されており、前記決定ユニットは、少なくとも1つの部品セグメントについて前記パターン認識を実行するように設計されており、前記決定ユニットは、少なくとも1つの製造方法を考慮して、少なくとも1つの所定の合金及び少なくとも1つの所定の製造方法の製造中の基準部品の冷却速度をシミュレートするように設計されたシミュレーションユニットを有する、決定ユニットと、
-前記基準部品(22、22’、22’’)の少なくとも1つの特性を指定する第1のシミュレーションデータ(27)を記憶するように設計されたデータベースユニット(21)であって、前記データベースユニット(21)は、前記シミュレートされた冷却速度を指定する基準シミュレーションデータを記憶するように更に設計されている、データベースユニットと、
-前記データベースユニット(22)から前記基準部品の前記第1のシミュレーションデータ(27)を読み出すように設計された読み出しユニット(31)であって、前記読み出しユニット(31)は、前記記憶された基準シミュレーションデータを読み出すように更に設計されている、読み出しユニットと、
-前記第1のシミュレーションデータ(27)を使用して前記ワークピース(24)を製造するための少なくとも1つの製造パラメータ(28)を決定するように設計されたパラメータ決定ユニット(33)と、
を備え
前記基準部品(22、22’、22’’)の前記決定は、基準データセットを、データベースユニット(21)からロードすることを含み、前記基準データセットは、複数の基準部品(22、22’、22’’)を指定し、前記決定は、前記パターン認識を使用して前記基準データセットから前記基準部品(22、22’、22’’)を選択することを含むことを特徴とする、設計システム(20)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの製造パラメータ(28)を使用して製造される前記ワークピース(24)を製造するように設計された製造機械(1)を特徴とする、請求項12に記載の設計システム(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造されるワークピースの少なくとも1つの製造パラメータを決定するための方法、ワークピースを製造するための製造方法、コンピュータ可読記憶媒体、及び設計システムに関する。
【0002】
非晶質金属は、他の材料においては実現できない物理的特性又は特性の組み合わせを有する新規の材料クラスである。「非晶質金属」という用語は、原子レベルで結晶構造ではなく非晶質構造を有する金属合金を指す。金属では珍しい非晶質原子配置は、物理的特性の固有の組み合わせをもたらす。非晶質金属は、一般に、従来の金属よりも硬く、より耐食性があり、より強く、同時に高弾性である。したがって、異なる表面電位が生じず、その結果、腐食が生じることができない。
【0003】
金属ガラスは、California Institute of Technologyにおけるそれらの発見以来、広範な研究の対象となっている。長年にわたって、この材料クラスの加工性及び特性を継続的に改善することが可能であった。第1の金属ガラスは、まだ単純な二元合金(2つの部品からなる)であったが、その製造に必要な毎秒106ケルビン(K/s)の範囲の冷却速度の、より新しく、より複雑な合金は、数K/秒の範囲の著しく低い冷却速度でガラス状態に変換され得る。これは、プロセス管理及び製造可能なワークピースに大きな影響を与える。溶融物の結晶化が適用されなくなり、溶融物がガラス状態で固化する冷却速度は、臨界冷却速度と呼ばれる。臨界冷却速度は、溶融物の組成に強く依存し、更に達成可能な最大部品厚さを規定するシステム固有の変数である。溶融物に蓄積された熱エネルギーをシステムによって十分迅速に除去しなければならないことを考慮すると、臨界冷却速度が高いシステムからは、厚さが薄いワークピースのみを製造できることは明らかである。したがって、最初に、金属ガラスは、大部分が溶融紡糸法にしたがって製造された。この場合、溶融物は、回転する銅ホイール上に剥離され、数百分の1から数十分の1ミリメートルの範囲の厚さを有する薄いストリップ又はフィルムの形態でガラス状に固化する。著しく低い臨界冷却速度を有するより新しくより複雑な合金の開発により、他の製造方法を使用することがますます可能になっている。今日の固体ガラス形成金属合金は、既に、冷却された銅の金型内で溶融物を鋳造することによってガラス状態に変換され得る。この場合、実現可能な部品厚さは、合金に応じて、数ミリメートルから数センチメートルの範囲である。この種の合金は、バルク金属ガラス(BMG)と呼ばれる。今日、多数のそのような合金系が知られている。
【0004】
バルク金属ガラスの細分化は、通常、組成に基づいて行われ、重量割合が最も高い合金元素は基本元素と呼ばれる。既存のシステムは、例えば、金、白金及びパラジウム系バルク金属ガラスなどの貴金属系合金、チタン系固体金属ガラス又はジルコニウム系バルク金属ガラスなどの初期遷移金属系合金、銅、ニッケル系又は鉄系の後期遷移金属系システムだけでなく、例えばネオジム又はテルビウムなどの希土類系システムも含む。
【0005】
バルク金属ガラスは、典型的には、従来の結晶性金属と比較して以下の特性を有する:
-例えば、より薄い壁厚を可能にするより高い比強度、
-表面が特に耐擦傷性であり得るより高い硬度、
-はるかに高い弾性伸縮性及び弾性、
-熱可塑性成形性、
-より高い耐食性。
【0006】
金属ガラス、特にバルク金属ガラスは、高強度などの有利な特性、及び固化収縮がないことに起因して、原則として、成形後に更なる加工が必須ではなく、射出成形などの連続製造方法で部品を製造するのに適した非常に興味深い構造材料である。冷却中の溶融物からの合金の結晶化を防止するためには、臨界冷却速度を超えなければならない。しかしながら、溶融物の体積が大きいほど、溶融物の冷却が遅くなる(そうでなければ、条件が変化しない)。特定の試料厚さを超えると、合金が非晶質に固化することができる前に結晶化が起こる。
【0007】
金属ガラスの優れた機械的特性に加えて、独特の処理オプションもガラス状態から生じる。したがって、金属ガラスは、冶金溶融プロセスによってだけでなく、熱可塑性プラスチック又はケイ酸塩ガラスと同様の方法で比較的低温での熱可塑性成形によっても成形され得る。この目的において、金属ガラスは、最初にガラス転移点を超えて加熱され、その後、比較的低い力で形成され得る高粘性液体のように挙動する。形成後、材料は、再びガラス転移温度未満に冷却される。
【0008】
非晶質金属の加工では、溶融物の急冷(溶融状態での凍結)によって自然な結晶化が防止され、原子は結晶配列をとり得る前に移動度を失う。結晶性材料の多くの特性は、格子欠陥(ギャップ、シフト、粒界、相境界など)として知られる原子構造の欠陥によって影響又は決定される。
【0009】
急冷の結果として、材料の収縮が低減され、その結果、非晶質金属においてより正確な部品形状を達成することができる。塑性変形は、2%を超える伸びでのみ起こる。比較すると、結晶性金属材料は、著しく低い伸び(<0.5%)で不可逆的な変形を示す。更に、高い降伏強度と高い弾性伸びの組み合わせは、高い弾性エネルギー貯蔵容量をもたらす。
【0010】
しかしながら、部品に含まれる熱を、表面を介して環境に放出しなければならないため、使用される材料の熱伝導率は、冷却速度に物理的限界を設定する。これは、部品の製造性及び製造方法の適用性に制限をもたらす。
【0011】
非晶質金属からワークピースを製造するための様々な方法が知られている。したがって、3D印刷などの積層造形法を使用してワークピースを製造することが可能である。走査速度、レーザビームのエネルギー、又は走査すべきパターンなどのプロセスパラメータを調整することによって、ワークピースの非晶質特性が保証され得る。
【0012】
積層造形技術の1つの利点は、原理的に、任意の考えられる幾何学形状を実現することができることである。更に、積層造形法の場合、ワークピースの層ごとの製造によって、及びレーザエネルギー及びレーザの走査経路を介して溶融プールのサイズを設定することによって効果的な冷却を確実にすることができるため、別個の冷却プロセスが必要ないことが有利であり得る。
【0013】
積層造形法の欠点は、特に寸法の大きいワークピースでは、適用時の蓄積率が低いことである。更にまた、高純度粉末材料を積層造形プロセスの出発材料として使用しなければならない。材料中に不純物が存在する場合、不純物の位置で結晶化が起こり、非晶質金属が生じ、機械的及び化学的特性の低下につながる可能性がある。不純物のためにワークピースの表面を仕上げる必要がある場合があり、これは複雑である。更に、積層造形は常にワークピースの表面に一定の粗さをもたらすため、ほとんどの場合、研削又はフライス加工によって仕上げなければならない。
【0014】
更なる製造可能性は、射出成形である。この場合、80~100gの範囲のワークピースの重量が適用時に実現され得る。使用される材料は、通常、誘導加熱によって約20秒以内で約1050℃程度に加熱され、均質化される。
【0015】
加熱後、溶融した材料は、パンチによって金型に押し込まれる。金型が材料によって完全に充填されている場合、金型内の材料は、材料融点を超える温度を全体を通して有する必要があることが材料特性にとって重要である。非晶質材料特性を達成するために、その後、金型内の液体材料は、ガラス転移温度未満まで急速に冷却されなければならない。
【0016】
射出成形中の可能な幾何学形状は、材料の冷却速度に起因して0.3~7.0mmの壁厚に制限される。壁厚が大きいと、冷却速度が低すぎるため、材料がガラス転移温度未満まで冷却される前に結晶構造が形成される。壁厚が小さいと、充填される長さに応じて材料が急速に冷却されすぎ、金型が完全に充填される前に固化する。
【0017】
非晶質金属の製造は困難である。それにより、特定のワークピースに使用される合金の詳細な知識が必要とされる。ワークピースが受ける要件も既知でなければならない。更に、使用される製造方法は、所望の特性を有する所望の部品幾何学形状を全く達成できるかどうかに大きな影響を及ぼす。したがって、特定の準備訓練を受けていないユーザは、所望の品質で対応する部品を製造することができない。
【0018】
従来技術から、例えば、有限要素法によって、ワークピースの特性をシミュレートすることが知られている。例えば、これにより、所定の材料を有する異なる荷重ケースにおけるワークピースの挙動を評価することができる。機械的特性は、挙動から推定され得る。更に、熱プロファイルのシミュレーションによって、製造後にワークピース内で非晶質特性が生じるかどうかを評価することも可能である。これらの方法の欠点は、ワークピースのシミュレーションの実行が非常に困難であることである。したがって、ユーザは、所定の製造方法及び所与の合金を与えられたとして、製造されるワークピースが所望の特性を有するかどうかに関する評価を有するまで、非常に長い時間待機しなければならない。
【0019】
使用する合金の仕様や製造方法にも専門的な知識が必要である。上述のように、異なる製造方法は、製造されたワークピースに非晶質特性を常にもたらすとは限らない。したがって、どの製造方法がどの部品幾何学形状に適しているかを評価することは専門的である。更に、製造方法と、ワークピースの幾何学形状と合金との間に相互作用が存在し、その結果、第1の合金は、選択された製造方法であれば非晶質特性になり、特定のワークピース幾何学形状は、第1の製造方法であれば非晶質特性になる。しかしながら、構成では、第2の合金は、非晶質特性をもたらさない。しかし、第2の合金は、別の製造方法が選択された場合、製造されたワークピースにおいて非晶質特性をもたらし得る。
【0020】
したがって、個々のパラメータの相互作用は、複雑であり、素人には理解できない。したがって、非晶質金属の経済的使用は、専門家の知識を有するユーザにのみ制限され、又はワークピースの製造は、多量の廃棄物をもたらすであろう。
【0021】
したがって、この先行技術における引用された欠点から進めて、本発明の目的は、非晶質特性を有するワークピースの製造を単純化することである。特に、本発明の目的は、素人であっても非晶質特性を有するワークピースの製造を可能にすることである。また、特に、本発明の目的は、製造されるワークピースにおいて非晶質特性を確保することである。また、特に本発明の目的は、非晶質特性を有するワークピースの製造における廃棄物を低減することである。また、特に、本発明の目的は、非晶質特性を有するワークピースの製造を促進することである。
【0022】
この目的は、請求項1に記載の製造されるワークピースの少なくとも1つの製造パラメータを決定する方法、請求項11に記載のワークピースを製造する製造方法、請求項12に記載のコンピュータ可読記憶媒体、及び請求項13に記載の設計システムによって達成される。
【0023】
この目的は、特に、非晶質特性を有する、製造されるワークピースの少なくとも1つの製造パラメータを決定する方法によって達成され、この方法は、
-製造されるワークピースを指定する部品説明を受信するステップと、
-部品説明について少なくとも一部の基準部品を決定するステップであって、決定はパターン認識を使用して実行される、ステップと、
-特にデータベースユニットから、基準部品の少なくとも1つの特性を指定する第1のシミュレーションデータを読み出すステップと、
-第1のシミュレーションデータを使用してワークピースを製造するための少なくとも1つの製造パラメータを決定するステップと、を含む。
【0024】
本出願の範囲内で、ワークピースにおける非晶質特性の存在は、このワークピースが、非晶質特性、特に非晶質、すなわち非結晶構造をもたらす(材料)構造を有することを意味する。特に、本出願の範囲内の合金における非晶質特性の存在は、合金が少なくとも70%の非晶質構造、好ましくは80%の非晶質構造、特に好ましくは少なくとも95%の非晶質構造の割合を有することを意味し得る。
【0025】
本発明の核心は、基準部品の既存のシミュレーションデータを使用することによって、製造されるワークピースの製造プロセスのシミュレーションなどを省略することができることである。したがって、製造されるワークピースの面倒なシミュレーションを行うことなく、実際の製造前に、完成したワークピースが非晶質特性を有することが保証され得る。それにより、この方法は、非晶質特性の単なる決定を超える。むしろ、本方法は、製造されるワークピースにおいて非晶質特性が保証され得る少なくとも1つの製造パラメータを決定する。
【0026】
部品説明は、データ構造によって指定され得る。例えば、部品説明は、CAD ファイルによって指定され得る。しかしながら、部品説明は、プログラミング言語のデータ構造を介して実施されることも可能である。部品説明は、例えば、製造されるワークピース及び/又は基準部品などのワークピースの幾何学形状を指定することができる。幾何学形状は、例えば、ワークピースの寸法を指定することができる。ワークピースの少なくとも1つの材料、例えば合金はまた、部品説明によって指定され得る。部品説明はまた、複雑なワークピースを指定し得、複雑なワークピースは、複数の個々のワークピースから構成され得る。特に、複雑なワークピースの個々のワークピース間の接続点は、部品説明によって指定され得る。
【0027】
一実施形態では、本方法は、基準部品の決定、部品説明の複数の部品セグメントへのセグメント化を含むことができ、パターン認識は少なくとも1つの部品セグメントに対して実行される。
【0028】
製造されるワークピースの個々の部品は、部品説明のセグメント化を介して認識され得る。したがって、部品セグメントは、セグメント化によって認識され得る。部品セグメントは、複雑なワークピースの個々のワークピース及び/又は単一のワークピースの部分的なセグメントを指定することができる。例えば、第1の部品セグメントは、ねじのねじ部分を指定することができ、第2の部品セグメントは、ねじ頭を指定することができる。したがって、セグメント化は、例えば、製造されるワークピースの幾何学形状を考慮して実行され得る。セグメント化はまた、部品説明の個々のセグメントの材料及び/又は材料特性を考慮して実行され得る。部品説明の個々のセグメントの材料及び/又は材料特性は、部品説明によって指定され得る。
【0029】
一実施形態では、パターン認識は、基準部品を部品セグメントに関連付けることができる。関連する基準部品の場合、少なくとも1つの製造パラメータを決定するために、第1のシミュレーションデータを読み出すことができる。
【0030】
パターン認識は、分類として設計され得る。それにより、分類のクラスは、異なる部品タイプによって形成され得る。同様に、部品タイプを基準部品に関連付けることができ、その結果、基準部品の部品タイプを、製造されるワークピース又は製造されるワークピースの部品セグメントの部品タイプと一致させることによって、基準部品を、製造されるワークピース又は部品セグメントに関連付けることができる。更に、製造されるワークピースのタイプ又は部品セグメントの一致は、基準部品が更なるパターン認識によって選択される複数の候補基準部品を決定するために、事前選択として使用され得る。
【0031】
したがって、上述の実施形態では、計算リソースを節約するように効率的に基準部品を決定することが可能である。
【0032】
一実施形態では、セグメント化は、基本形状及び/又は接続点を使用して、部品説明によって指定された部品幾何学形状を分割することを含み得る。
【0033】
基本形状は、例えば、直方体、球体、及び/又はピラミッドなどの幾何学的基本形状として設計され得る。しかしながら、基本形状又はプロトタイプが部品、例えばプロトタイプのねじ及び/又はプロトタイプのペンチを指定することも同様に考えられる。ワークピースの基本形状へのセグメント化は、通常、非常に効率的に実施され得る。ここで、例えば直方体の高さ、幅及び深さ又は球の直径などのパラメータを変えることによって、複数の基本形状を自動化された方法で生成することができることが有利である。したがって、複数の基本形状を有する大きなデータベースを構築することが非常に効率的である。
【0034】
一実施形態では、本方法は、基本部品を使用してセグメント化ユニットを訓練することを含むことができ、基準部品は、場合により各々より複雑な部品の一部であってもよく、セグメント化は、特にセグメント化ユニットを使用して実行されてもよい。
【0035】
基準部品を使用してセグメント化ユニットを訓練することにより、訓練されたセグメント化ユニットが、製造されるワークピース又は関連付けられた部品説明をそれらの基準部品のみに分解又はセグメント化することが可能である。したがって、すべての利用可能な基準部品が、セグメント化において常に考慮されることができ、それにより、最適なセグメント化が達成されることが達成され得る。全体として、少なくとも1つの製造パラメータの決定が改善される。
【0036】
一実施形態では、基準部品の決定は、基準データセットを、特にデータベースユニットからロードすることを含み得、基準データセットは、複数の基準部品を指定し得、決定は、パターン認識を使用して基準データセットから基準部品を選択することを含み得る。
【0037】
一実施形態では、パターン認識は、特に人工ニューラルネットワークを使用する分類を含み得、分類は、特に基準データセットの基準部品を、部品幾何学形状のセグメント、特に画素、ボクセル、体積要素及び/又は部分セグメントに関連付け得る。
【0038】
分類の使用によるパターン認識結果の特に有利な実装形態。特に、人工ニューラルネットワークは、特に効率的で正確であることが証明されている。畳み込みニューラルネットワークは、特に好適である。しかしながら、主に、サポートベクターマシン又はベイジアンネットワークなどの他の分類機構も考えられる。個々の画素、ボクセル、体積要素、及び/又は部分セグメントを個々のクラスに割り当てることにより、特に簡単な実装が指定される。個々の体積要素の分類は、部品説明が非常に細かくセグメント化されるという利点を有する。
【0039】
一実施形態では、第1のシミュレーションデータは、所定の合金及び所定の製造方法に対する基準部品の冷却速度を指定し得る。
【0040】
冷却速度は、製造されるワークピースの非晶質特性を確保するために決定的である。冷却速度は、使用される合金及び製造方法の両方に依存する。更に、冷却速度は、基準部品の幾何学形状に依存する。また、シミュレーションデータは、使用される合金及び製造方法に応じて、基準部品の各体積要素の冷却速度を指定することも可能である。したがって、特定の合金及び/又は特定の製造方法が与えられると、基準部品のどの領域が非晶質特性を有するかを確立することが可能である。
【0041】
一実施形態では、第1のシミュレーションデータは、所定の合金、所定の製造方法及び/又は冷却速度についての基準部品の機械的特性を指定し得る。
【0042】
機械的特性は、合金及び/又は製造方法と組み合わせた冷却速度に由来し得る。したがって、基準部品の曲げ強度及び/又は硬度を指定することが可能である。したがって、第1のシミュレーションデータからの基準部品の挙動に関する非常に正確な情報を得ることが可能である。
【0043】
一実施形態では、方法は、
-少なくとも1つの所定の合金、特に複数の所定の合金、及び少なくとも1つの所定の製造方法、特に複数の所定の製造方法について、製造中の基準部品の冷却速度をシミュレートすること、好ましくは、射出成形プロセスにおける射出手順後の基準部品の冷却速度をシミュレートするステップと、
-シミュレートされた冷却速度を指定する基準シミュレーションデータを、特にデータベースユニットに記憶するステップと、を含み得、
記憶された基準シミュレーションデータは、第1のシミュレーションデータとして読み出され得る。
【0044】
上記実施形態では、特定の合金及び/又は製造方法について、基準部品のシミュレーションデータが記憶されていない場合について説明した。この場合、シミュレーションデータを作成する必要がある。このシミュレーションは、製造されるワークピースの評価の前に、上流で実行され得るか、又は「オンデマンド」、すなわち、ユーザが製造されるワークピースの少なくとも1つの製造パラメータを決定することを望む場合に実行され得る。したがって、少なくとも1つの製造パラメータは、任意の時点で決定され得ることが可能である。
【0045】
一実施形態では、方法は、基準部品のシミュレートされた冷却速度を使用して製造されるワークピースの少なくとも1つの機械的特性を決定することを含み得、少なくとも1つの製造パラメータの決定は、決定された少なくとも1つの機械的特性を使用して実行され得る。
【0046】
機械的特性は、冷却速度に大きく依存し得る。製造されるワークピースにおける有利な機械的特性は、特に臨界冷却速度を超えた場合、すなわち、非晶質特性が達成される場合に生じ得る。少なくとも1つの製造パラメータを決定する際にこれらの機械的特性が考慮される場合、決定された機械的特性が完成したワークピースでも達成されるように製造されるワークピースの製造を実行することが可能である。
【0047】
一実施形態では、方法は、決定された機械的特性、特に決定された機械的特性を使用することによって、製造されるワークピースの少なくとも1つの機械的荷重ケースをシミュレートすることを含み得、関連するシミュレーション結果は、第2のシミュレーションデータによって指定され得、少なくとも1つの製造パラメータの決定は、第2のシミュレーションデータを使用して実行され得る。
【0048】
機械的荷重ケースは、例えば、製造されるべきワークピースの力印加点に静的に作用する力が与えられた場合に、製造されるワークピースの挙動がシミュレートされる荷重試験を指定することができる。これにより、ワークピースの曲げ又は破断を判定することができる。したがって、少なくとも1つの製造パラメータは、製造されるワークピースが荷重ケースを満たすように、例えば、荷重ケースに応じた荷重が与えられた場合に製造されるワークピースに損傷を与えないように選択されることが考えられる。
【0049】
説明された実施形態では、製造されるワークピースがユーザの要件を満たすように、製造前に製造パラメータを決定し得ることが可能である。
【0050】
一実施形態では、冷却速度のシミュレーションは、少なくとも1つの製造方法、特に製造方法のパラメータ、例えば、スタンピング速度、初期温度、及び/又は金型形状を考慮して実行され得る。スタンピング速度、初期温度、及び/又は金型形状は、例えば、射出成形プロセスのパラメータであり得る。
【0051】
製造方法のパラメータがシミュレーションにおいて考慮される場合、冷却速度のシミュレーションは非常に正確に実行され得る。また、製造方法に関する情報を第1のシミュレーションデータの一部として記憶することも有利である。それにより、製造される部品の所望の機械的特性を達成するために、少なくとも1つの製造パラメータをどのように選択する必要があるかを決定することができる。
【0052】
一実施形態では、少なくとも1つの製造パラメータは、製造方法及び関連合金を指定することができる。
【0053】
一実施形態では、少なくとも1つの製造パラメータの決定は、関連する合金及び/又は少なくとも1つの機械的特性を有する製造方法を選択することを含み得る。
【0054】
少なくとも1つの製造パラメータは、例えば、使用される合金、使用される製造方法、及び/又は機械的特性であり得る。適切な合金を選択することにより、例えば、製造される部品において所望の機械的特性が達成される単純な様式で保証され得る。したがって、一実施形態では、少なくとも1つの製造パラメータは、製造される部品が所定の要件に対応するように選択され得る。
【0055】
一実施形態では、また、製造されるワークピースのための、冷却速度のシミュレーション及び/又は機械的荷重ケースは、基準部品の少なくとも1つの特性を考慮して実行され得る。
【0056】
冷却速度及び/又は機械的荷重ケースのシミュレーションは、例えば、基準部品の合金及び/又は幾何学的特性を考慮して実行され得る。したがって、シミュレーションは、例えば、荷重ケースを考慮して、基準部品がどのように挙動するかに関するより正確なデータを提供することができる。
【0057】
一実施形態では、冷却速度及び/又は機械的荷重ケースのシミュレーションは、基準部品についての記憶された第1のシミュレーションデータが、同一の荷重ケースの冷却速度又は結果データを指定しない場合にのみ実行され得る。
【0058】
シミュレーションデータがまだ存在しない場合にのみシミュレーションが実行される場合に有利である。したがって、不要なシミュレーションを防止することができ、計算リソースが節約される。
【0059】
一実施形態では、基準部品は、製造されるワークピースの第1のセグメントを指定することができ、冷却速度及び/又は機械的荷重ケースのシミュレーションは、製造されるワークピースの第2のセグメントに対して実行することができる。
【0060】
製造されるワークピースが複数の部品セグメントに細分され、対応するシミュレーションデータを有する適切な基準部品が、部品セグメントのうちのいくつかに対してのみ存在する場合に特に有利である。この場合、対応する基準部品が存在しない部品セグメントのみがシミュレートされることが考えられる。したがって、シミュレーションの労力を全体的に大幅に削減することができる。
【0061】
一実施形態では、製造されるワークピースの第2のセグメントの冷却速度及び/又は機械的荷重ケースのシミュレーションは、基準部品に関連付けられ得るシミュレーションデータを使用して実行され得る。
【0062】
一実施形態では、第1及び第2のセグメントは、互いに空間的に隣接して配置され得る。
【0063】
製造されるワークピースの第2のセグメントのシミュレーションデータは、基準部品のシミュレーションデータにアクセスすることができ、又はこれらをシミュレーションにおける入力データとして使用することができるので、シミュレーション全体をより正確に実行することができる。
【0064】
一実施形態では、部品説明の受信は、通信ネットワークを介して、特にインターネットを介して、好ましくはアプリケーションプログラミングインターフェースを使用して実行され得る。
【0065】
データセンタで実行される個々の方法ステップ及び更なる方法ステップは、製造機械で実行されることが考えられる。それにより、個々の部品間の通信は、インターネットを介して行われ得る。ユーザがウェブサイト又はアプリケーションを用いてウェブサーバに部品説明をアップロードし、次いでこれが更なる処理のためにプログラムに転送されることも考えられる。次いで、少なくとも1つの製造パラメータは、ユーザの端末を介してユーザに出力されてもよく、及び/又は製造機械に直接提供されてもよい。
【0066】
本目的はまた、特に、ワークピースを製造するための製造方法によって達成され、
-先行する請求項のいずれか一項に記載の方法を介して、少なくとも1つの製造パラメータを決定するステップと、
-少なくとも1つの製造パラメータを使用してワークピースを製造するステップと、を含む。
【0067】
一実施形態では、製造は、少なくとも1つの製造パラメータを使用して製造機械を選択することを含み得る。
【0068】
一実施形態では、ワークピースを製造するように各々設計された複数の製造機械が提供され得る。例えば、3Dプリンタなどの積層動作する製造機械、又は射出成形機を提供することができる。記載された実施形態では、製造されるワークピースの要件、例えば非晶質材料特性の達成が満たされるように製造機械が選択されることが可能である。
【0069】
この目的はまた、特に、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、上述したような方法を実施させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体によって達成される。
【0070】
上記の方法に関連して既に説明したのと同様又は同一の利点がもたらされる。
【0071】
この目的はまた、特に以下を含む設計システムによっても達成される。
【0072】
-製造されるワークピースを指定する部品説明を受信するように設計された受信ユニットと、
-部品説明の少なくとも一部の基準部品を決定するように設計された決定ユニットであって、パターン認識を使用して決定を実行するように設計されている、決定ユニットと、
-基準部品の少なくとも1つの特性を指定する第1のシミュレーションデータを記憶するように設計されたデータベースユニットと、
-データベースユニットから第1のシミュレーションデータを読み出すように設計された読み出しユニットと、
-第1のシミュレーションデータを使用してワークピースを製造するための少なくとも1つの製造パラメータを指定するように設計されたパラメータ決定ユニット。
【0073】
一実施形態では、決定ユニットはまた、部品説明の複数の部品セグメントへのセグメント化を実行するように設計されてもよく、決定ユニットは、少なくとも1つの部品セグメントのパターン認識を実行するように設計されてもよい。
【0074】
一実施形態では、決定ユニットは、基本形状及び/又は接続点を使用してセグメント化を実行するように設計されてもよい。
【0075】
一実施形態では、決定ユニットは、各々が複雑な部品の一部であり得る基準部品を使用して訓練されるように設計され得るセグメント化ユニットを含み得、決定ユニットはまた、セグメント化ユニットを使用してセグメント化を実行するように設計され得る。
【0076】
一実施形態では、決定ユニットは、特にデータベースユニットから基準データセットをロードするように設計され得、基準データセットは、複数の基準部品を指定することができ、決定ユニットは、パターン認識を使用して基準データセットから基準部品を選択するように設計され得る。
【0077】
一実施形態では、決定ユニットは、特に基準データセットの基準部品を、部品幾何学形状のセグメント、特にピクセル、ボクセル、体積要素及び/又は部分セグメントに関連付けるように設計され得る分類ユニットを備えてもよい。
【0078】
一実施形態では、決定ユニットは、少なくとも1つの所定の合金、特に複数の所定の合金、及び少なくとも1つの所定の製造方法、特に複数の所定の製造方法について、製造中の基準部品の冷却速度をシミュレートするように設計され得るシミュレーションユニットを有することができる。これにより、データベースユニットは、シミュレートされた冷却速度を指定することができる基準シミュレーションデータを記憶するように設計することができ、読み出しユニットは、基準シミュレーションデータを第1のシミュレーションデータとして読み出すように設計することができる。
【0079】
一実施形態では、決定ユニットは、基準部品のシミュレートされた冷却速度を使用して製造されるワークピースの少なくとも1つの機械的特性を決定するように設計され得、パラメータ決定ユニットはまた、決定された少なくとも1つの機械的特性を使用して、少なくとも1つの製造パラメータの決定を実行するように設計され得る。
【0080】
一実施形態では、決定ユニットのシミュレーションユニットは、決定された機械的特性、特に決定された機械的特性を使用して製造されるワークピースの機械的荷重ケースをシミュレートするように設計され得、関連するシミュレーション結果は、第2のシミュレーションデータによって指定され得、パラメータ決定ユニットはまた、第2のシミュレーションデータを使用して少なくとも1つの製造パラメータを決定するように設計され得る。
【0081】
一実施形態では、シミュレーションユニットはまた、少なくとも1つの製造方法を考慮して、特に製造方法のパラメータ、例えば、スタンピング速度、初期温度、及び/又は金型形状を考慮して、冷却速度をシミュレートするように設計され得る。
【0082】
一実施形態では、パラメータ決定ユニットは、関連する合金及び/又は少なくとも1つの機械的特性を有する製造方法を選択するように設計され得る。
【0083】
一実施形態では、シミュレーションユニットは、基準部品の少なくとも1つの特性を考慮して、製造されるワークピースの冷却速度及び/又は機械的荷重ケースをシミュレートするように構成され得る。
【0084】
一実施形態では、シミュレーションユニットは、基準部品の記憶された第1のシミュレーションデータが同一の荷重ケースの冷却速度又は結果データを指定しない場合にのみ、冷却速度及び/又は機械的荷重ケースのシミュレーションを実行するように設計され得る。
【0085】
一実施形態では、基準部品は、製造されるワークピースの第1のセグメントを指定することができ、シミュレーションユニットは、製造されるワークピースの第2のセグメントの冷却速度及び/又は機械的荷重ケースをシミュレートするように設計され得る。
【0086】
一実施形態では、シミュレーションユニットは、基準部品に関連付けられ得るシミュレーションデータを使用して、製造されるワークピースの第2のセグメントの冷却速度及び/又は機械的荷重ケースをシミュレートするように設計され得る。
【0087】
一実施形態では、受信ユニットは、通信ネットワークを介して、特にインターネットを介して、好ましくはアプリケーションプログラミングインターフェースを使用して、部品説明を受信するように設計され得る。
【0088】
一実施形態では、設計システムは、少なくとも1つの製造パラメータを使用して製造されるワークピースを製造するように構成され得る製造機械を含み得る。
【0089】
更なる実施形態は、従属請求項から生じる。方法に関連して説明される個々の態様もまた、製造機械と組み合わせることができることが明示的に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
以下の実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。図面において、
【0091】
図1】射出成形機の概略図である。
図2】ツールの概略図である。
図3】設計システムの概略図を示す。
図4】決定ユニットの概略図を示す。
図5】荷重ケースにおけるワークピースの概略図を示す。
図6】ワークピースのセグメント化の概略図を示す。
図7】人工ニューラルネットワークの設計の概略図を示す。
図8】更なる例示的な実施形態における設計システムの概略図を示す。
図9】少なくとも1つの製造パラメータを決定するための方法のフローチャートを示す。
図10】製造されるワークピースをセグメント化するための方法ステップのフローチャートを示す。
図11】荷重ケースのシミュレーションのためのフローチャートを示す。
図12】製造方法のフローチャートを示す。
【0092】
なお、以下において、同一部分又は同一効果を奏する部分には同一符号を用いる。
【0093】
図1は、AMM(非晶質金属)射出成形システム1の概略図を示している。射出成形システム1は、ツール2内の金型と、溶融チャンバ3とを備える。溶融チャンバ3には、ロボットによって非晶質固化合金(ブランク)4の固体合金セグメントが供給され、誘導コイル5の中央に配置される。ブランク4は、加熱素子、特に誘導コイル5によって生成される誘導場によって溶融チャンバ3内で加熱される。ブランク4は、非晶質固化合金の固体合金セグメントである。合金セグメント4は、例えば、特定の量のパラジウム、白金、ジルコニウム、チタン、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニオブ、ケイ素及び/又はイットリウムを含む。
【0094】
ブランク4は、加熱素子又は誘導コイル5によって溶融されて溶融状態で存在する。好ましくは、ブランク4は、1050℃の温度まで加熱される。溶融した材料は、ピストン6によってツール2に注入される。
【0095】
図2は、射出成形ツール2の概略設計を示している。成形チャンバ11は、ツール2の成形チャンバ11に通じる1つ以上の開口部10により、溶融物によって充填される。成形チャンバ11は、製造されるワークピース24の陰型として設計される。図2の例示的な実施形態では、液体材料を成形チャンバ11内に案内するために開口部10が使用され得るようになっている。均一な温度分布を達成し、溶融物の乱流を低減するために、成形チャンバ11を充填するために複数の湯口を使用することが有利であり得る。均一な温度分布及び少数の乱流は、より良好な冷却動作、均一な冷却、したがって均一な非晶質材料特性をもたらす。
【0096】
結晶化を防ぐために、液体材料は成形チャンバ11内で急速に冷却しなければならない。液体材料の冷却は、製造される部品又はワークピース24の幾何学形状に大きく依存する。
【0097】
図3は、設計システム20の概略図である。設計システム20は、データベースユニット21、受信ユニット30、読み出しユニット31、決定ユニット32、及びパラメータ決定ユニット33を含む。
【0098】
受信ユニット30は、製造されるワークピース24の部品説明26を受信するように設計される。例示的な実施形態では、部品説明は、CADファイルとして実施される。図示の例示的な実施形態では、製造されるワークピース24は、単なる例としてレンチとして設計されている。簡略化のために、部品説明26は、レンチのパラメータ化を指定すると仮定される。したがって、部品説明26は、製造されるワークピース24の高さ又は長さを指定する高さパラメータH3を含む。更に、部品説明26は、製造されるワークピース24の幅を指定する幅B3を指定する。もちろん、更なるパラメータが考えられるが、簡略化のために省略されている。
【0099】
示される例示的な実施形態では、受信ユニット30は、通信ネットワークを介して部品説明26を受信するように設計されている。この目的のために、受信ユニット30は、ユーザプログラムが受信ユニット30にデータを送信することができるプログラミングインターフェース、例えばAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を提供する。
【0100】
受信ユニット30は、決定ユニット32に通信可能に接続され、その結果、決定ユニット32の部品説明26は、受信ユニット30によって提供され得る。
【0101】
データベースユニット21は、複数の基準部品22、22’の部品説明25、25’を記憶するように設計されている。基準部品22、22’は各々、異なる部品タイプに関連付けられ得る。したがって、図3では、基準部品22がレンチであり、基準部品22’がラチェット複合レンチであることが理解され得る。関連付けられた部品説明25、25’は、同様に、関連する基準部品22、22’の幾何学的パラメータB1、B2、H1、H2をそれぞれ指定する。
【0102】
更に、データベースユニット21は、基準部品22、22にと関連付けられたシミュレーションデータ27を記憶するように設計されている。シミュレーションデータ27は、基準部品22、22’の製造及び/又は使用に関する情報を含む。したがって、例示的な一実施形態では、選択された製造方法及び選択された合金による製造の場合、シミュレーションデータ27は、基準部品の個々のセグメントの冷却速度データを含む。シミュレーションデータ27は、追加的又は代替的に、冷却速度から導出された基準部品22、22’の特性を指定し得る。例えば、シミュレーションデータ27は、基準部品22、22’のどの部品セグメントが非晶質特性を有するかを指定する。
【0103】
決定ユニット32は、製造されるワークピース24の部品説明26を使用して基準部品を決定するように設計されている。この目的のために、決定ユニット32は、部品説明26をセグメント化するように設計され得る。セグメント化は、部品説明26を部品セグメントに分解する。これらの部品セグメントは、例えば、直方体、ピラミッド、又はボールなどの基本的な幾何学形状として設計され得る。
【0104】
決定ユニット32は、追加的又は代替的に、部品説明26を、各々が個々の部品を指定する部品セグメントに分解するように設計される。したがって、複雑なワークピースをサブワークピースに解体することができる。例えば、ねじ結合された複雑なワークピースは、個々のワークピース及びねじに分解されてもよい。
【0105】
決定ユニット32はまた、ワークピース24全体が製造されるか、又はワークピース24の部品セグメントのいずれかについて、パターン認識を使用して、少なくとも1つの基準部品22、22’を決定するように設計されている。一実施形態では、この目的のために、製造されるワークピース24のタイプを最初に判定することができる。例えば、部品タイプを製造されるワークピースに関連付けるために、分類器が使用されてもよい。判定された部品タイプに基づいて、読み出しユニット31は、同じ部品タイプに関連付けられた基準部品22、22’をデータベースユニット21から読み出すことができる。したがって、部品タイプによって事前選択を行うことができる。
【0106】
あるいは、読み出しユニット31は、基準部品22、22’が製造されるワークピース24と十分な類似性を有するかどうかをチェックするために、データベースユニット21から基準部品22、22’を連続して読み出すように設計されてもよい。回帰システム又は分類器を使用して、類似性を確立することができる。例えば、分類器は、十分な類似性が存在する場合は「1」であり、十分な類似性が存在しない場合は「0」であるバイナリ出力を有することができる。回帰システムは、類似度の値を指定することができ、「1」の値は完全な同一性が存在することを指定することができ、「0」の値は、基準部品22、22’と生成されるワークピース24との間に類似度がないことを指定することができる。部品説明26、25、25’に記憶されたパラメータはまた、類似性を判定するために使用され得る。
【0107】
図3に示す例示的な実施形態では、決定ユニット32は、部品説明26によって指定されたワークピース24が基準部品22と高い類似性を有すると判定する。読み出しユニット31は、製造される部品24に対して最大の類似性を示す基準部品22、22’のシミュレーションデータ27を読み出すように設計されている。
【0108】
上述したように、シミュレーションデータ27は、例えば、製造時の基準部品22の冷却温度を指定する。したがって、基準部品22が非晶質特性を有するかどうかを確立することができる。
【0109】
ここで、パラメータ決定ユニット33は、シミュレーションデータ27を使用して、製造されるワークピース24の少なくとも1つの製造パラメータ28を指定するように設計されている。これにより、パラメータ決定ユニット33は、例えば、製造されるワークピース24の製造パラメータ28として、シミュレーションデータ27の特定のデータを使用するように設計されている。例えば、シミュレーションデータ27が、関連付けられた基準部品22が非晶質特性を有することを指定した場合、パラメータ決定ユニット33は、したがって、基準部品22及びシミュレートされた製造方法でシミュレートされた合金を、製造されるワークピースの製造パラメータ28として指定することができる。したがって、新たなシミュレーションなしに、製造されるワークピース24も非晶質特性を有することが保証され得る。
【0110】
図4は、決定ユニット32の概略図を示す。示された例示的な実施形態では、決定ユニット32は、基準部品22、22’が製造されるワークピース24の少なくとも1つの製造パラメータ28を決定するための基準として適切であるかどうかを判定するように設計された分類ユニット34を有する。図3に関して既に上述したように、分類ユニット34は、製造されるワークピース24と、データベースユニット21に記憶された基準部品22、22’との類似性を判定するように設計されている。
【0111】
更に、決定ユニット32は、製造されるワークピース24又は製造されるワークピース24の部品セグメントの挙動をシミュレートするように設計されたシミュレーションユニット35を有する。シミュレーションユニット35は、例えば、製造方法及び合金の製造中の温度挙動をシミュレートするように設計されている。したがって、選択された合金及び製造されるワークピースの製造方法を用いて非晶質特性が達成されるかどうか、すなわち冷却速度が臨界冷却速度よりも大きいかどうかが確立され得る。
【0112】
更に、シミュレーションユニット35は、製造されるワークピース24の荷重ケースをシミュレートするように設計されている。
【0113】
したがって、図5は、荷重ケース50の概略図を示す。荷重ケース50において、ワークピース24は、遠位端52で壁51に取り付けられている。ワークピース24は、近位端53で自由である。ここで、ワークピース24の近位端53で下方から垂直に力Fを加えることが、荷重ケース50によって指定される。力Fの適用は、ワークピース24の変形をもたらす。これにより、ワークピース24にトルク、すなわち曲げモーメントが作用し、変形が生じる。力Fが大きすぎる場合、ワークピース24の不可逆的な曲げ又は更に破損が生じる。
【0114】
シミュレーションユニット35は、力Fが加えられたときのワークピース24の挙動をシミュレートするように設計されている。したがって、関連するシミュレーションデータ27は、ワークピース24がどれだけ曲がるか、及び/又は破損が発生するかを指定する。それにより、シミュレーションデータ27はまた、近位端53に力Fを適用した後の、異なる時点でのワークピース24の時間プロファイル、すなわち、ワークピース24の状態を指定し得る。
【0115】
図6図8は、設計システム20の更なる例示的な実施形態を示す。
【0116】
図6は、ワークピース24の部品セグメント29、29’、29”へのセグメント化を示す。説明したように、決定ユニット32は、製造されるワークピース24を個々の部品セグメント29、29’、29’’に分解するように設計されている。この目的のために、決定ユニット32は、人工ニューラルネットワーク40として実装され得る。図7を参照されたい。図6の例示的な実施形態では、製造されるワークピース24は、レンチである。製造されるワークピース24は、この場合、3つの部品セグメント29、29’、29’’にセグメント化されている。第1の部品セグメント29は、互いに平行に配置された第1のジョーを備える第1の端部によって形成される。第2の部品セグメント29’は、互いに平行に配置され、かつ第1の部品セグメント29を水平にミラーリングするように配置された2つのジョーを有するレンチ24の第2の端部によって形成される。第3の部品セグメント29’’は、第1の部品セグメント29と第2の部品セグメント29’との間に配置され、レンチ24のグリップ領域を含む。
【0117】
製造されるワークピース24をセグメント化するために、決定ユニット32は、製造されるワークピース24を指定する部品説明26を処理することができる。セグメント化のために、例えば、個々の部品セグメントをオブジェクトのクラスと関連付けるニューラルネットワークを使用することができる。例えば、図6の人工ニューラルネットワークは、この目的のために使用され得る。
【0118】
図7は、図6の例において、畳み込みニューラルネットワーク40(CNN40)として設計されている人工ニューラルネットワークを示す。図7のニューラルネットワーク40は、分類器として、又は回帰器として設計することができる。
【0119】
ニューラルネットワーク40の入力データ41は、複数のデータ要素を有するテンソル、すなわち三次元行列であってもよい。各データ要素は、体積要素に対応することができる。各データ要素は、対応する体積要素の位置に材料が存在するかどうか、どの材料が使用されるか、及び/又は対応する体積要素の位置でどの初期温度が優勢であるかを示すタプルとして設計することができる。製造されるワークピース24の部品説明26は、例えば、体積要素を有する三次元テンソル41として設計され得る。したがって、部品説明26は、ニューラルネットワーク40の入力データ41を指定することができる。
【0120】
しかしながら、部品説明26は、曲線、直方体、球などの基本形状をパラメータ化するCADモデルとして設計されることも考えられる。したがって、CADモデルの要素はまた入力データ41を形成し得る。この場合も、入力データ41がこのようにCADモデルの要素によって指定されると、入力データ41を形成するためにCADモデルの要素をテンソルとして表現することができる。
【0121】
CCN40は、複数のパラメータによって定義される。カーネルは、第1のステップで入力データ41を順次走査する。カーネルのストライドは、各走査中にカーネルがシフトされなければならない体積要素の数によって示される。カーネルのサイズも定義することができる。したがって、カーネルのストライド及びサイズは、第1の畳み込み42によって製造されるいわゆる特徴検出器43を定義する。各特徴検出器43は、入力データ41内の特定の特徴を検出する。例えば、特徴検出器43は、材料が特定の場所に存在するかどうかを示し得る。全体として、手動で以前に定義されていない複数の特徴検出器43が製造される。
【0122】
同じ原理によれば、特徴生成器45の新しいセットは、第2の畳み込み44において第1の特徴検出器43から生成され、第2の畳み込みの間、特徴生成器の数は、第1の畳み込みと比較して低減される。そのようなステップは、プーリング又はサブサンプリングと呼ばれる。
【0123】
特徴生成器47の第3のセットは、第3の畳み込み46で生成される。最後のステップでは、クラスは、いわゆるソフトマックス層によって各体積要素に割り当てられる。これは、体積要素がどのクラスのオブジェクトに属するかに関する出力から明らかであることを意味する。結果として、製造されるワークピース24のセグメント化、及びワークピース24又は個々の部品セグメント29、29’、29’’と基準部品22、22’、22’’との関連付けは、例えば図6のニューラルネットワークによって単一のステップで実行することができる。
【0124】
CCN40の各層は、多数のニューロン、すなわち、重みが割り当てられる活性化機能からなる。ニューロンの出力は、重み及び入力値に応じて活性化又は非活性化される。可能な活性化関数は、例えば、ロジット、逆タンジェント、ガウス関数を含む。CCN40の訓練は、逆伝播アルゴリズムを使用して実行され、重みの値が決定される。
【0125】
CNNには、VGG-net、RES-net、敵対的生成ネットワーク、又はgoogle LeNetなど、いくつかの異なるモデルがある。これらの実装態様のいずれも使用することができ、又は別の実装態様が可能である。複数の演算を並列化することができるため、ニューラルネットワークの訓練を効率的に行うことができる。推論、すなわち、特定の部品説明についての値のクエリは、非常に効率的に実行することができる。
【0126】
図8は、製造されるワークピース24が複数の部品セグメント29、29’、29’’にセグメント化され、これらが個々の基準部品22、22’、22’’に関連付けられ得る設計システム20の例示的な実施形態を示す。
【0127】
図1の設計システム20とは対照的に、図8の設計システム20において、製造される部品24又は関連付けられた部品説明26は、受信ユニット30によって受信され、決定ユニット32によって個々の部品セグメント29、29’、29’’にセグメント化される。
【0128】
データベースユニット21は、部品セグメント29、29’、29’’に対応する少なくとも3つの基準部品22、22’、22’’を記憶する。決定ユニット32は、部品セグメント29、29’、29’’に対応する基準部品22、22’、22’’を識別するように設計されている。
【0129】
その後、読み出しユニット31は、識別された基準部品22、22’、22’’のシミュレーションデータ25、25’、25’’を読み出す。それにより、パラメータ決定ユニット33は、読み出したシミュレーションデータ25、25’、25’’に基づいて、少なくとも1つの製造パラメータ28を決定し、それを射出成形機1に出力する。あるいは、製造されるワークピース24を製造するための機械はまた、上流ステップで製造パラメータ28で選択され得る。
【0130】
示される例示的な実施形態では、パラメータ決定ユニット33は、少なくとも1つの製造パラメータ28を決定するために、シミュレーションデータ25、25’、25’’を互いに組み合わせるように設計されている。この場合、パラメータ決定ユニット33は、所定の合金及び/又は所定の製造方法が与えられた場合に製造されるワークピース24のシミュレートされた挙動に基づいて、製造されるワークピース24が荷重ケースに耐えるかどうかを判定するために、例えば、製造されることになるワークピースの荷重ケースをシミュレートするために既存のデータを使用することができる。
【0131】
例示的な一実施形態では、シミュレーションデータ25、25’、25’’によって指定される基準部品22、22’、22’’の冷却挙動は、使用される合金及び製造方法を考慮して、製造されるワークピース24が非晶質特性を有するかどうかを確立するために使用することができる。この場合、シミュレーションデータ25、25’、25’’のシミュレーションデータは、製造されるワークピース24の冷却プロセスのシミュレーションの入力データとして使用され得る。
【0132】
パラメータ決定デバイス33は、製造されるワークピース24のシミュレーションデータ25、25’、25’’及び/又はシミュレーションに基づいて、シミュレートされた製造パラメータを用いた製造の結果が要件プロファイルに対応するかどうかを判定するように設計されている。生産の結果が要求プロファイルに対応していない場合、要求プロファイルが満たされるまで、生産されるワークピース24のシミュレーションがパラメータを変更して実行される。次いで、シミュレートされたパラメータは、少なくとも1つの製造パラメータ28として出力される。
【0133】
この文脈において、パラメータ決定ユニット33はまた、コスト関数を使用して、目標値に対する製造パラメータの最適化を実行するように設計され得る。したがって、冷却挙動は、最小化されるべき、すなわち冷却速度が最大化されるべきコスト関数として使用することができる。これにより、非晶質特性の達成を規定する臨界冷却速度の超過を終了基準として使用することができる。
【0134】
図9は、少なくとも1つの製造パラメータ28を決定するための方法60のフローチャートを示し、この方法は、設計システム20によって実施される。受信ステップ61では、製造されるワークピース24を指定する部品説明26が受信される。決定ステップ62では、図3及び図8に関連して既に説明したように、製造されるワークピースの基準部品22、22’、22’’が決定される。基準部品22、22’、22’’について、その後、冷却速度がシミュレートされ得る70。シミュレーション70では、後続の記憶ステップ71でデータベースユニット21に記憶された基準シミュレーションデータ72が生成される。
【0135】
その後、特定の基準部品22、22’、22’’に関して記憶された基準シミュレーションデータ72及びシミュレーションデータ27は、読み出しステップ63でデータベースユニット21から読み出される。シミュレーションデータ27又はシミュレーションデータ27の一部であり得る基準シミュレーションデータ72を使用して、製造される部品の少なくとも1つの製造パラメータ28が、すでに上述した原理に従って決定ステップ64で決定される。図示の実施形態では、少なくとも1つの製造パラメータ28の決定64は、製造されるワークピース24を製造するための製造機械1を選択すること82を含む。
【0136】
図10は、決定ユニット32の使用のフローチャートを示す。第1の訓練ステップ65では、分類ユニット及び/又は回帰ユニット34が訓練又は教示される。この目的のために、示される例示的な実施形態では、教師あり学習方法が使用される。訓練された分類又は回帰ユニット34は、製造されるワークピース24をセグメント化するためにセグメント化ステップ66で使用される。それにより、セグメント化66は、製造されるワークピース24が部品セグメント29、29’、29’’に分割される分割ステップ69を含む(図6を基準)。
【0137】
パターン認識ステップ67では、続いて、同じ又は更なる分類又は回帰ユニット34によって、パターン認識ステップ67で、データベースユニット21に記憶された基準部品21、21’、21’’が、製造されるワークピース24に対して十分な類似性を有するかどうかがチェックされる。それにより、基準部品22、22’、22’’は、分類ステップ68において各部品セグメント29、29’、29’’に関連付けられる。
【0138】
図11は、決定ステップ80において、製造されるワークピース24の少なくとも1つの機械的特性が決定される方法を示す。それにより、決定80は、シミュレートされた冷却速度83を使用して行われる。例えば、非晶質性の程度を指定し得る非晶質値は、シミュレートされた冷却速度83を使用して決定され得る。
【0139】
少なくとも1つの機械的特性に基づいて、荷重ケース50は、図5に関連してより詳細に説明されるように、後続のシミュレーションステップ81でシミュレートされる。それによって、製造されるワークピース24がシミュレートされたパラメータで荷重ケース50に耐えるかどうかについて、チェックを行うことができる。
【0140】
図12は、製造方法90のフローチャートを示す。第1のステップ91では、上で詳細に説明したように、製造されるワークピース24について、少なくとも1つの製造パラメータ28が決定される。決定された少なくとも1つの製造パラメータ28を使用して、製造されるワークピース24は、その後、製造機械1によって製造され得る。
【0141】
すべての記載された態様が任意の様式で互いに組み合わされ得ることが明示的に指摘されている。特に、デバイスに関して説明される態様は、対応する方法について同様に開示されており、逆もまた同様である。
符号の説明
【0142】
1 射出成形機
2 ツール
3 溶融シリンダ
4 合金元素/ブランク
5 加熱素子
6 パンチ
10 導入開口部
11 成形チャンバ
20 設計システム
21 データベースユニット
22、22’、22’’ 基準部品
24 ワークピース
25、25’、25’’ 基準ワークピースの部品説明
26 製造されるワークピースの部品説明
27 シミュレーションデータ
29、29’、29’’ 部品セグメント
28 製造パラメータ
30 受信ユニット
31 読み出しユニット
32 決定ユニット
33 パラメータ決定ユニット
34 分類ユニット
35 シミュレーションユニット
40 人工ニューラルネットワーク
41 入力データ/テンソル
42 第1の畳み込み
43 特徴検出器
44 サブサンプリング
45 第2の特徴検出器
46 第2の畳み込み
47 第3の特徴検出器
48 フィードフォワード層
49 出力層
50 荷重ケース
51 壁
52 遠位端
53 近位端
60 方法
61 受信ステップ
62 決定ステップ
63 読み出しステップ
64 製造パラメータの決定ステップ
65 訓練
66 セグメント化
67 パターン認識
68 分類
69 分割
70 冷却速度のシミュレーション
71 ストレージ
72 基準シミュレーションデータ
80 決定ステップ
81 機械的荷重ケースをシミュレートする
82 選択
83 シミュレートされた冷却速度
90 製造方法
91 少なくとも1つの製造パラメータを決定する
92 製造
93 製造機械の選択
F 力
B1、B2、B3 幅
H1、H2、H3 高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12