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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】中間体転写部材
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240430BHJP
   B41N 10/04 20060101ALI20240430BHJP
   B32B 37/14 20060101ALI20240430BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
B41J2/01 101
B41N10/04
B32B37/14 Z
B32B27/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023016428
(22)【出願日】2023-02-06
(62)【分割の表示】P 2021142720の分割
【原出願日】2017-05-30
(65)【公開番号】P2023071669
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】1609463.3
(32)【優先日】2016-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】62/343,108
(32)【優先日】2016-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ランダ,ベンジオン
(72)【発明者】
【氏名】アブラモヴィッチ,サギ
(72)【発明者】
【氏名】レバノン,モシェ
(72)【発明者】
【氏名】チェチク,ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】クルツセル,タティアナ
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-307815(JP,A)
【文献】特開2004-126380(JP,A)
【文献】特開2005-215645(JP,A)
【文献】特開2007-072449(JP,A)
【文献】特開2010-228191(JP,A)
【文献】特開2011-081061(JP,A)
【文献】特開2013-193256(JP,A)
【文献】特開2014-019092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0369722(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41N 10/04
B41M 5/50
B32B 37/14
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムと使用するための中間体転写部材(ITM)の製造方法であって、
a.流体硬化可能物質を提供すること、
b.担体接触表面を有する担体を提供することであって、前記担体接触表面は前記流体硬化可能物質によって湿潤可能である担体を提供すること、
c.前記流体硬化可能物質を前記担体上に適用し、前記流体硬化可能物質は前記担体接触表面を湿潤して前記担体接触表面上に前記流体硬化可能物質の層を形成すること、
d.前記流体硬化可能物質の前記層が以下のi~iiiの硬化プロセスを受けることによって、前記流体硬化可能物質の前記層から前記ITMの剥離層を作製すること、
i.前記剥離層は、前記担体接触表面に面するインク受容表面および前記インク受容表面に対向する第2表面を有するように作製され、
ii.前記剥離層は、付加硬化型シリコーン物質から形成され、
iii.前記インク受容表面は、以下の構造的特性:
A.前記インク受容表面上の蒸留水滴の後退接触角が最大60度であること、
B.前記インク受容表面上に堆積された蒸留水滴の場合、10秒動的接触角(DCA)が最大108度であること、
のうちの少なくとも1つを満たすように適応され、
e.前記ITMの前記剥離層の前記第2表面をその支持層に付着させること、
を含む、中間体転写部材(ITM)の製造方法。
【請求項2】
前記担体が可撓性を有する箔である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記担体を前記剥離層から剥がすことをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記剥がすことが、前記ITMを前記印刷システムに据え付けることにより行われる、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記剥離層の前記付加硬化型シリコーン物質が、実質的に付加硬化型シリコーンからなるか、または、少なくとも95重量%の前記付加硬化型シリコーンを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
官能基が、前記剥離層の前記付加硬化型シリコーン物質の最大5重量%を占める、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
官能基が、前記剥離層の前記付加硬化型シリコーン物質の最大3重量%を占める、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記流体硬化可能物質が、ビニル官能シリコーンポリマーを含む、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記ビニル官能シリコーンポリマーが、ビニル官能ポリジメチルシロキサンなどの末端ビニル基に加えて少なくとも1つの側鎖ビニル基を含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記流体硬化可能物質が、ビニル末端ポリジメチルシロキサンを含む、請求項1~9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記流体硬化可能物質が、末端ビニル基に加えてポリシロキサン鎖上に少なくとも1つの側鎖ビニル基と、架橋剤と、付加硬化型触媒と、所望により、さらに硬化抑制剤と、を含むビニル官能ポリジメチルシロキサンを含む、請求項1~請求項10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記硬化可能物質が、付加硬化型触媒を含む、請求項1~11のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ともに2016年5月30に出願された米国特許出願整理番号第62/343,108号およびGB第1609463.3号から優先権を引き出す。これらの特許出願は、あらかも本明細書に述べられるように、すべての目的のために参照することにより援用される。
【0002】
本発明は、印刷の分野に関し、より詳細には印刷システムの中間体転写部材に関する。
【背景技術】
【0003】
間接印刷の技術では、中間体転写部材(ITM)に所望される画像のネガの形でインクを塗布し、次いで中間体転写構成要素から、例えば紙、布、またはプラスチック等の印刷基板にインクを転送し、それによって基板上に所望された画像を印刷することが知られている。
【0004】
ITMは、通常、ドラムに取り付けられたスリーブ、またはコンベヤシステム上で可撓ベルトを形成する輪になったブランケットである。インクが塗布され、基板上に画像を印刷するためにそこからインクが放出されるITMのもっとも外側の層は、剥離層と呼ばれる。
【0005】
中間体転写部材として適切なブランケットは、予想されるインク転送の種類にとって、および中間体転写部材が動作することを目的とする印刷システムにとってそれらを適切にするために特定の構造上の特徴を必要とする。ブランケットの所望される特性は、全般的に剥離層が適切なインク付着および放出特性を有するシリコーン系ポリマーであってよく、ブランケット基部が剥離層を支えるように適応された少なくとも1つの層を含む、多層構造を使用することによって達成される。
【0006】
間接印刷の技術で既知の印刷サイクルは、
(a)(各インクが液体担体内に着色剤を含んだ)1つ以上のインクを、複数のインク液滴として塗布して、中間体転写部材の剥離層の画像転送表面にインク画像を形成するステップと、
(b)インク画像が中間体転写部材によって輸送されている間に、担体の少なくとも部分的な蒸発を達成して、画像転送表面に着色剤を含んだ残留インク薄膜を残すステップと、
(c)画像転送表面から残留薄膜を印刷基板に転送するステップと
を含んでよい。
【0007】
インクは、通常印刷ステーションで、インクジェットにより画像転送表面に塗布されてよい。入手された残留薄膜は、中間体転写部材を印圧シリンダと係合させることによって、印圧ステーションで画像転送表面から基板に転送されてよい。
【0008】
様々な理由から、有機担体よりむしろ水性担体を含んだインク組成物を使用することが望ましい。特徴的に低い表面エネルギーを有するITM剥離層は、それらが乾燥インク画像の印刷基板への転送を容易にする点で有利である。しかし、インク受容段階の間、係る低エネルギーの疎水性剥離層に噴出された水性インク液滴は、初期衝突の後、ビーズ状に凝集し、それにより画像品質が損なわれる傾向がある。エネルギーが高く、より疎水性が低い剥離層は、この効果を緩和し得るが、画像転送品質に対して有害である。さらに、プロセスは、剥離層表面に残る未転送のインクに関する様々な問題に立ち向かわなくてはならない。高速高スループットデジタル印刷システムでは、これらの問題はより重大になっている。
【0009】
WO/2013/132418号に説明されるように、ITMは、複雑な多層構造を有することによって達成され得るいくつかの特定の物理的特性を有することを必要とされる場合がある。全般的に、ITMは、典型的には布を含んだ支持層を含み、支持層は、印圧ステーションへの輸送中の画像の変形を回避するために非常に限られた弾性を有する。ITMは、さらに、粘着性のある薄膜が基板の表面輪郭に近接して追随することができるようにするために後に剥離の直下にきわめて柔軟な薄層を有してよい。ITMは、ITMの様々な所望される機能特性、熱特性、および電気特性を達成するために他の層を含んでよい。
【0010】
良好に画成された構造および形状、強靭性、および変形抵抗のため、支持層は、ITMを作るときに開始点として使用される。具体的には、ITMの製造は、所望される多層構造を構築するために追加の所望される層が追加される支持層を提供することによって実行される。通常、ITMの異なる層は、硬化可能流体として塗布される。
【0011】
ITMのインク転送表面を有する剥離層は、塗布され、形成される最後のかつ一番上の層である。発明者は、インク転送表面のトポロジー、輪郭、および表面仕上げさえ、初期剥離層が塗布される最後から2番目の層の表面の輪郭によりかなりの程度まで決定されてよいことを観察した。このため、所望された表面仕上げを有する欠陥がないインク転送表面を有するITMを製造することは困難であることが判明している。発明者は、係る欠陥が、様々な点で剥離層の性能をかなり損なう場合があること、つまりITMの大幅な長さ、幅、および表面が所望されるときに問題が特に悪化することを見出した。
【0012】
より重要なことに、発明者は、親水特性を必要とする水性インク受容段階、および疎水特性を必要とするインク薄膜転送段階に関する相反するタスクに対処するようによりよく適応される改善された剥離層の必要性を認識している。
【発明の概要】
【0013】
本発明のいくつかの態様によれば、印刷システムと使用するための中間体転写部材(ITM)が提供され、ITMは、
(a)支持層と、
(b)インク画像を受容するためのインク受容表面およびインク受容表面に対向する第2表面を有する剥離層と、を含み、第2表面は支持層に付着され、剥離層は付加硬化型シリコーン物質から形成され、剥離層は最大500マイクロメートル(μm)の厚さを有する。
【0014】
説明される好ましい実施形態の特徴によれば、ITMは、ITMは以下の構造特性、すなわち、
(1)該インク受容表面の全表面エネルギーが、対応剥離層のインク受容表面に標準的エージング手順を施すことにより生産された変更されたインク受容表面の全表面エネルギーよりも、少なくとも2J/m、少なくとも3J/m、少なくとも4J/m、少なくとも5J/m、少なくとも6J/m、少なくとも8J/m、または少なくとも10J/m高いこと、
(2)該インク受容表面の全表面エネルギーが、該硬化されたシリコーン物質のシリコーン前駆体の標準的空気硬化により準備された対応剥離層の疎水性インク受容表面の全表面エネルギーよりも、少なくとも4J/m、少なくとも6J/m、少なくとも8J/m、少なくとも10J/m、少なくとも12J/m、少なくとも14J/m、または少なくとも16J/mであることと、
(3)該インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角が、該硬化されたシリコーン物質のシリコーン前駆体の標準的空気硬化により準備された対応剥離層のインク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角よりも、少なくとも7度、少なくとも8度、少なくとも10度、少なくとも12度、少なくとも14度、少なくとも16度、少なくとも18度、または、少なくとも20度低いことと、
(4)該インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角が、該インク受容表面に標準的なエージング手順を施すことにより生産されたエージングされた表面上の蒸留水液滴の後退接触角よりも少なくとも5度、少なくとも6度、少なくとも7度、または、少なくとも8度小さいことと、
(5)該インク受容表面の表面疎水性が該剥離層内の該硬化されたシリコーン物質のバルク疎水性よりも小さく、該表面疎水性は該インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられ、該バルク疎水性は、露出エリアを形成するために該剥離層内の該硬化されたシリコーン物質のエリアを露出させることにより形成された内側表面上に配置された蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられ、
該インク受容表面上で測定された該後退接触角は、該露出エリアで測定された該後退接触角よりも、少なくとも7度、少なくとも8度、少なくとも10度、少なくとも12度、少なくとも14度、少なくとも16度、少なくとも18度であるか、または、少なくとも20度低いことと、
(6)該インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角は最大60度、最大58度、最大56度、最大54度、最大52度、最大50度、最大48度、最大46度、最大44度、最大42度、最大40度、最大38度、または最大36度であることと、
(7)剥離層が、インク受容表面の極性基が離間する方向または第2表面と逆の方向を有するよう、適応されることと、
(8)剥離層が、該インク受容表面が周囲環境に曝露される動作モードにITMがあるとき、インク受容表面の該極性基が該周囲環境に向かう方向または対向する方向を有するよう、適応されることと、
(9)インク受容表面は、インク受容表面上に堆積された蒸留水液滴に対して、70秒動的接触角(DCA)と10秒DCAとの間の差異が、少なくとも6度、少なくとも7度、少なくとも8度、少なくとも10度、または少なくとも12度、所望により、最大25度、最大22度、最大20度、最大18度、または最大17度、および、さらに所望により、6~25度、6~22度、6~20度、6~18度、6~17度、7~25度、7~20度、7~17度、8~25度、8~22度、18~20度、8~18度、8~17度、10~25度、10~22度、10~20度、10~18度、または10~17度の範囲内となるよう、適応されていることと、
(10)該インク受容表面上に堆積された蒸留水液滴に対して、70秒DCAが、最大92度、最大90度、最大88度、最大85度、最大82度、最大80度、最大78度、最大76度、最大74度、または最大72度、所望により、少なくとも55度、少なくとも60度、少なくとも65度、または、少なくとも68度、およびさらに所望により、55~92度、55~90度、55~85度、55~80度、65~92度、65~90度、65~85度、65~80度、68~85度、68~80度、70~92度、70~90度、70~85度、または70~80度の範囲内であることと、
(11)該インク受容表面上に堆積された蒸留水液滴に対して、10秒動的接触角(DCA)が、最大108度、最大106度、最大103度、最大100度、最大96度、最大92度、または最大88度、所望により、少なくとも60度、少なくとも65度、少なくとも70度、少なくとも75度、少なくとも78度、少なくとも80度、少なくとも82度、少なくとも84度、または、少なくとも86度、およびさらに所望により、60~108度、65~105度、70~105度、70~100度、70~96度、70~92度、75~105度、75~100度、80~105度、80~100度、85~105度、または85~100度の範囲内であることと
のうちの少なくとも1つを、およびすべても満たす。
【0015】
説明される好ましい実施形態の特徴によれば、付加硬化型シリコーン物質は、実質的に付加硬化型シリコーンからなるか、または、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、または少なくとも99重量%の該付加硬化型シリコーンを含む。
【0016】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、官能基は付加硬化型シリコーン物質の最大5重量%、最大3重量%、最大2重量%、または最大1重量%を占めるか、または付加硬化型シリコーン物質は実質的に官能基を含まない。
【0017】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ポリエーテルグリコール官能化ポリジメチルシロキサンが、付加硬化型シリコーン物質に充填される。
【0018】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ポリエーテルグリコール官能化シロキサンが付加硬化型シリコーン物質に充填されるが、付加硬化型シリコーン物質の共有構造の一部を形成しない。
【0019】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、剥離層の厚さは最大500μm、最大200μm、最大100μm、最大50μm、最大25μm、または最大15μm、または所望により、4~400μm、5~250μm、5~100μm、5~60μm、8~100μm、10~100μm、または10~80μmの範囲内である。
【0020】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、支持層の厚さは約50~2700μm、50~1500μm、50~1000μm、100~1000μm、100~800μm、または100~500μmの範囲内である。
【0021】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(1)を満たす。
【0022】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(2)を満たす。
【0023】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(3)を満たす。
【0024】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(4)を満たす。
【0025】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(5)を満たす。
【0026】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(6)を満たす。
【0027】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(7)を満たす。
【0028】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(8)を満たす。
【0029】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(9)を満たす。
【0030】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(10)を満たす。
【0031】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは構造特性(11)を満たす。
【0032】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMがデジタル印刷システムにおける構成要素を形成する。
【0033】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、支持層は剥離層の第2表面に付着された弾性コンプライアンス層を含み、弾性コンプライアンス層は、インク画像が印圧される印刷基板の表面輪郭に近接して追随するよう適応される。
【0034】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、支持層はコンプライアンス層に付着された補強層を含む。
【0035】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、剥離層は、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の官能基を含む。
【0036】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、剥離層は、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の、C=O、S=O、O-H、およびCOOを含む部分の群から選択される官能基を含む。
【0037】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、剥離層は、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の、シラン部分、アルコキシ部分、アミド部分、およびアミド・アルコキシ部分からなる群より選択される官能基を含む。
【0038】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、剥離層は、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の、アミン、アンモニウム、アルデヒド、SO、SO、SO、PO、PO、およびC-O-C部分からなる群より選択される官能基を含む。
【0039】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、付加硬化型シリコーン物質はビニル官能シリコーンから構築された構造を有する。
【0040】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、付加硬化型シリコーン物質は「MQ」型の極性基を含む。
【0041】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、インク受容表面の全表面エネルギーは、Owens-Wendt表面エネルギーモデルを使用して評価される。
【0042】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、極性基はO-Si-O基を含む。
【0043】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、第2の面から離間する、または周囲環境に向かう方向は、モルまたは重量に基づいて、極性基の少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%である。
【0044】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは、20メートルまでの、および通常、5~20、5~15、5~12、または7~12メートルの範囲内の長さを有する。
【0045】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは、2.0メートルまでの、および通常、0.3~2.0、0.75~2.0、0.75~1.5、または0.75~1.25メートルの範囲内の幅を有する。
【0046】
説明される好ましい実施形態のさらに追加の特徴によれば、ITMは、3000μmまでの、および通常、200~3000、200~1500、300~1000、300~800、300~700、100~3000、50~3000、または100~600μmの範囲内の厚さを有する。
【0047】
特記なき限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含めた本明細書が優先する。
【0048】
本明細書で使用される「中間転写部材」、「画像転送部材」または「転送部材」という用語は、インクが例えばインクジェットヘッド部によりなど、印刷ヘッド部により最初に塗布される部材であって、その後、ジェットされた画像は当該部材から他の基板(単数または複数)、通常は最終的な印刷基板に転送される、印刷システムの構成要素を指す。
【0049】
本明細書で使用される「ブランケット」という用語は、ドラム上の印刷装置内に搭載が可能である可撓性転送部材を指す、または2つ以上のローラによって支持されたベルト状の構造体である場合があり、該ローラのうちの少なくとも1つは、ローラの回りを移動するためにベルトを回転させ、移動させることができる。
【0050】
本発明は、添付図面を参照し、ほんの一例として本明細書に説明される。ここで特に図面を詳細に参照すると、図示される詳細は例としておよび本発明の好ましい実施形態の例示的な説明のためだけであり、本発明の原理および概念上の態様の最も有用かつ容易に理解される説明となると考えられることを提供するために提示されることが強調される。この点において、本発明の根本的な理解のために必要となる以上に詳細に本発明の構造的詳細を示すことは意図されず、図面とともに解釈される説明は、本発明のいくつかの形が実際にどのようにして実施され得るのかを当業者に明らかにする。これらの図面の全体を通して、同様の参考番号は全般に同様の要素を指すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】担体の概略断面図である。
図2】本方法に係るITM製造の異なる段階を示す概略図である。
図3】本方法に係るITM製造の異なる段階を示す概略図である。
図4】本方法に係るITM製造の異なる段階を示す概略図である。
図5】本方法に係るITM製造の異なる段階を示す概略図である。
図6】本方法に係るITM製造の異なる段階を示す概略図である。
図7】印刷システムへの設置後の完成ITMの断面図である。
図8】先行技術又は本方法にしたがって準備された剥離層の概略断面図である。
図9】本方法のいくつかの実施形態が実施され得る装置の、異なる製造段階を示す概略図である。
図10】剥離層がPET担体表面に対して硬化された本発明のITMの剥離層上に印刷された様々なインクパターンの画像である。
図11】剥離層が空気硬化された先行技術のITMの剥離層上に印刷された様々なインクパターンの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明に係る画像転送部材の原理および動作は、図面および添付発明を実施するための形態を参照してよりよく理解され得る。
【0053】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、以下の説明に述べられる、または図面に示される構成要素の構造および配置の詳細に対するその応用で制限されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態を可能にする、または様々な方法で実施もしくは実行できる。また、本明細書で利用される表現および用語は説明の目的のためであり、限定的と見なされるべきではないことも理解されるべきである。
【0054】
ITMは、図2図7により説明され、図2図7に関連する記載において説明される、本発明の様式で製造され得る。係るITMはLanda社のNanographic Printing(登録商標)技術に対して特に好適である。
【0055】
ここで図1を参照すると、図1では、担体10を通る断面が概略的に示されている。これら全部の図面では、仕上げられた物品の部分を形成する層から区別するために、担体10は中実の黒い線として示されている。担体10は担体接触表面12を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、担体接触表面12は、最大約50nm、最大30nm、最大20m、最大15nm、最大12nm、または、より典型的には、最大10nm、最大7nm、または最大5nmの粗度(Ra)を有する良好に研磨された平坦表面であり得る。いくつかの実施形態では、担体接触表面12は、1~50nm、3~25nm、3~20nm、または5nm~20nmである。
【0057】
担体接触表面12の親水特性については以下で説明する。
【0058】
いくつかの実施形態では、担体10は、可撓性を有さず、例えば1枚のガラスまたは厚い金属シートで形成され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、担体10は、可撓性を有する箔(例えば、主にアルミニウム、ニッケル、および/またはクロムからなるか、またはこれを含む可撓性箔)で形成されると有利であり得る。一実施形態では、この箔は、アルミニウム処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル)、例えば蒸発されたアルミニウム金属で被覆されたPETのシートである。アルミニウムの上部被覆はポリマー被覆により保護され得る。なおこのシートは典型的には、可撓性を維持しつつもシワを回避するために小さい半径で曲がりにくいよう、0.05mm~1.00mmの厚さを有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、担体10は静電防止ポリマー薄膜(たばPETなどのポリエステル薄膜など)で形成されると有利であり得る。静電防止薄膜の静電防止特性は、様々な添加剤(例えばアンモニウム塩など)をポリマー組成物に添加することを含む当業者に周知の様々な手段により達成される。
【0061】
結果が図2に示される本ITM製造方法のステップでは、流体第1硬化組成物(図9Bにおいて36として示される)が提供され、層16が当該組成物から担体接触表面12上に形成される。層16は、外側のインク転送表面14を有する初期剥離層を構成する。
【0062】
層16の流体第1硬化可能組成物は、典型的にはシリコーンポリマー(例えばポリジメチルシロキサン(例えば、ビニル末端ポリジメチルシロキサンなど))からなるエラストマーを含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、流体第1硬化可能物質は、ビニル官能シリコーンポリマー(例えば、例えばビニル官能ポリジメチルシロキサンなどの末端ビニル基に加えて少なくとも1つの側鎖ビニル基を含むビニールシリコーンポリマー)を含む。
【0064】
いくつかの例示的な実施形態では、流体第1硬化可能物質は、ビニル末端ポリジメチルシロキサンと、末端ビニル基に加えてポリシロキサン鎖上に少なくとも1つの側鎖ビニル基を含むビニル官能ポリジメチルシロキサンと、架橋剤と、付加硬化型触媒と、所望により、さらに硬化抑制剤と、を含む。
【0065】
当該技術分野で周知のように、硬化可能な接着剤組成物は、単位モルベースで任意の好適な量(典型的には1モルあたり最大0.01%のプレポリマー)の付加硬化型触媒を含み得る。
【0066】
流体第1硬化可能物質に対する代表的な配合は以下の実施例において提供される。
【0067】
流体第1硬化可能組成物の層16が担体接触表面12に塗布され、その後、硬化される。層16は、例えばドクターブレード(ロール上に搭載されたナイフ)を使用して、ドクターブレードが、ITMのインク転送表面14として最終的に機能することになる表面に接触せず、それによりドクターブレードにおける欠陥が完成品の品質に影響を及ぼさないよう、所望の厚さに展開され得る。硬化後、「剥離」層16は、約2マイクロメートル~約200マイクロメートルの厚さを有し得る。係るステップおよび方法が実装される装置が図9Aおよび図9Bで概略的に示されている。
【0068】
例えば、上記で詳述した剥離層調合物が、5~200マイクロメートル(μ)の厚さに均一化され、摂氏120度~摂氏130度でおよそ2~10分間硬化された、PET担体上に均一に塗布され得る。驚くべきことに、蒸留水の0.5~5マイクロリットル(μl)液滴に関するその後退接触角(RCA)により推定される、そのように準備された剥離層のインク転送表面の疎水性は、およそ60度であり得る。その一方で、同一の剥離層の他の側部(空気界面を用いて従来準備された層の疎水性を近似する作用を有する)は顕著により高い(典型的にはおよそ90度)RCAを有し得る。インク転送表面14を生産するために使用されたPET担体は典型的におよそ40度以下のRCAを示し得る。接触角度測定は、接触角分析器-Kruss(登録商標)「Easy Drop」FM40Mk2および/またはDataphysics OCA15 Pro(オーストラリア、ニューサウスウェールズ州、ゴスフォードのParticle and Surface Sciences Pty社)を用いて実施された。
【0069】
その結果が図3で示される、この方法の後続ステップにおいて、追加層18(コンプライアンス層と呼ばれる)が、インク転送表面14に対して逆側において層16に塗布される。コンプライアンス層18は、層16およびその最外部表面14が、インク画像が印圧されている基板の表面輪郭に近接して追随することを可能にするエラストマー層である。コンプライアンス層18をインク転送表面14の反対側の側部に取り付けることは、コンプライアンス層18の物質に加えて、接着または結合組成物の塗布を含み得る。通常、コンプライアンス層18は典型的には、約100マイクロメートル~約300マイクロメートル以上の厚さを有する。
【0070】
コンプライアンス層18が剥離層16と同一の組成を有する一方で、物質および処理の経済性の観点からは、より安価な物質を使用することが是認され得る。さらに、コンプライアンス層18は典型的には、剥離層16とは異なる機械的特性(例えば張力に対する耐性がより大きい)を有するよう選択される。特性における係る所望の差異は、例えば剥離層16に対して異なる組成を利用することにより、剥離層16の調合物を準備するために使用された成分との間で割合を変化させることにより、さらなる成分を係る調合物に加えることにより、および/または、異なる硬化条件を選択することにより、達成され得る。例えば、充填剤粒子の添加により、剥離層16と比較してコンプライアンス層18の機械的強度は望ましく向上し得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、コンプライアンス層18は多様なゴムを含み得る。好適には係るゴムは、少なくとも摂氏100度の温度で安定であり、アクリル酸アルキルコポリマーゴム(ACM)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、フルオロエラストマポリマー、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンアクリルエラストマー(EAM)、および水素化ニトリルブタジエンゴム(HNBR)などのゴムを含み得る。
【0072】
非限定的な例として、2つの成分が1:1の比で混合された2成分液体シリコーンゴムであるSilopren(登録商標)LSR2530(ニューヨーク州のMomentive Performance Materials社)が前述の硬化剥離層16に塗布された。シリコーンゴム混合物は、ナイフブレードを用いて、約250マイクロメートルの厚さを有する初期コンプライアンス層18を取得するために、計量しながら供給され/均一化され、次にコンプライアンス層18は摂氏150度~摂氏160度でおよそ5分間にわたり硬化された。
【0073】
その結果が図4において示される、この方法の後続ステップでは、補強層または支持層20がコンプライアンス層18上に構築される。支持層20は典型的には、ITMが印刷システムにおいて張力下で保持されたときに伸張に耐えるための十分な構造的完全性を有する支持層20を提供するために、織物または織地の形態にある繊維補強材を含む。支持層20は、後に硬化されかつ硬化後に可撓性を保持する樹脂で、繊維補強材を被覆することにより形成される。
【0074】
代替的に、支持層20は、補強層として別に形成され、独立的に硬化された樹脂内に埋め込まれ、および/または注入された係る繊維を含み得る。この場合、支持層20は、接着層を介してコンプライアンス層18に取り付けられ得、所望により、現場で支持層20を硬化する必要性が排除される。全般的に、支持層20は、現場でコンプライアンス層18上に形成された場合でも、または別個に形成された場合でも、約100マイクロメートル~約500マイクロメートルの厚さを有し得、その一部は繊維または織地の厚さに寄与し、その厚さは通常約50マイクロメートル~約300マイクロメートルで変動する。しかし支持層厚さは限定的ではない。高耐久性の用途に対しては、例えば支持層は、200マイクロメートル以上、500マイクロメートル以上、または1mm以上の厚さを有し得る。
【0075】
例えば、ビニル官能化された剥離被覆16および2成分シリコーンゴムコンプライアンス層18を含む本明細書で記載の多層化されたITM構造に対して、ガラス繊維の編み込み織地を含む支持層20が塗布された。約100マイクロメートルの厚さを有するガラス繊維織地は、垂直方向に16ヤーン/cmを有する平織物であった。ガラス繊維織地は、コンプライアンス層に対応する液体シリコーンゴムSilopren(登録商標)LSR2530を含む硬化可能流体に埋め込まれた。全体的に、結果的に生成された支持層20は、約200マイクロメートルの厚さを有し、およそ2~5分間にわたり摂氏150度で硬化された。好適には、より高密度の織物(例えば24×23ヤーン/cmを有する)が使用され得る。
【0076】
支持層20を現場で形成した後、または支持層20を取り付けた後、必要に応じて追加層がその反対側に構築され得る。図5では、支持層20の反対側に固定された(例えば硬化接着剤または樹脂により)所望によるフェルトブランケット22が示されており、図6では、ブランケット22の反対側上に被覆された高摩擦層24が示されている。当業者に理解されるであろうように、様々な比較的柔らかいゴムが、高摩擦特性を有する層を準備するために用いられ得る。係るゴムの単なる一例としてシリコーンエラストマーが挙げられる。ブランケット22などの介在する層が存在しない状況では、高摩擦層24が支持層20に直接的に取り付けられ得る。
【0077】
上述のように、ITMの剥離層に加えられるすべての層(例えば、18、20、22、24、または任意の介在する接着層もしくは下塗り層、その他)は、図8Cにおける基部200に対して示されるように、共同して構造体の基部を形成する。
【0078】
ITMが使用される前に、図7に示すように、担体10を取り除いて、剥離層16のインク転送表面14を露出させることが必要である。通常は、完成品を単に担体10から引きはがすとよい。
【0079】
担体10が可撓性を有する箔である場合、ITMが印刷システムに据え付けられる等のときまでITM上の定位置に残されるほうが好適であり得る。この箔は、格納、輸送、および据え付けの際に、ITMのインク転送表面14を保護する作用を有するであろう。加えて担体10は、製造プロセスの完了後、保護膜として好適である代替的な箔と交換され得る。
【0080】
図9A図9Dでは、ITMがその中で製造され得る装置90が概略的に示されている。図9Aでは、可撓性を有するループコンベア100を移動させる巻き出しローラ40および巻き取りローラ42を有する係る装置90の概略が提供されている。コンベア100により追従される経路に沿って、所望のITMに対して好適である硬化可能な流体組成物を吐出することが可能な吐出ステーション52と、ステーションの下流方向に移動するにつれて硬化可能層の厚さを制御することが可能なレベリングステーション54と、後続ステップが存在する場合に後続ステップに対する初期層として機能することが可能となるよう、層を少なくとも部分的に硬化することが可能な硬化ステーション56と、が配置される。吐出ステーション52、レベリングステーション54、および硬化ステーション56は層形成ステーション50aを構成する。50bにより示されるように、装置90は所望により2個以上の層形成ステーションを含み得る。さらに、形成ステーション50は、ステーション50aにおいて吐出ローラ58により示される追加的な下位ステーションを含み得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、ループコンベア100に対する必要性は省略され、担体10は直接的にローラ40とローラ42との間で張架される。未処理の担体10が巻き出しローラ40から巻き出され、ステーション50aおよび50bを通過した後、巻き取りローラ42に巻き取られる。
【0082】
図面には示されないが、この装置はさらに、吐出ステーションの上流側に「表面処理」ステーションを含み得る。この表面処理ステーションは、必要に応じて、硬化可能な組成物を後に塗布することを、または、場合によっては担体接触表面または初期層に硬化可能な組成物を取り付けることを、支援する。担体に関して上述したように、所望による表面処理ステーション(図示せず)は物理的処理(例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他)に対して好適であり得る。
【0083】
図9Bでは、装置90の形成ステーション50においてコンベア100上に配置された担体10が被覆される得る様子が概略的に示されている。吐出ステーション52において、剥離層16の硬化可能な組成物36が担体接触表面12に塗布される。担体10が矢印の方向に駆動されるにつれて、硬化可能な組成物36は、例えばドクターブレードを使用することにより、レベリングステーション54において所望の厚さに均一化される。均一化された層が下流方向に進行するにつれて、当該層は硬化ステーション56に進入する。硬化ステーション56は、硬化可能組成物36を少なくとも部分的に硬化させ、それにより初期層16が硬化ステーションの出口側で形成されることが可能となるよう、構成されている。係る代表的ステップについては、図1および図2に関連してすでに説明した。
【0084】
図9Cおよび図9Dでは、追加的な層(基部を形成する)が塗布される様子が概略的に示されている。図9Cでは、硬化可能組成物38が吐出ステーション52(図9Bで示す剥離層16で担体を被覆するために使用されたステーションと同一であってもよく異なってもよい)において吐出される。硬化可能組成物38はレベリングステーション54において所望の厚さに均一化され、次に硬化ステーション56に入り、後続のステップなどのための初期層18として機能するよう十分に硬化された状態で、硬化ステーション56から出る。係る代表的ステップについては、図3に関連してすでに説明した。ここで図9Cを参照すると、図9Cでは、硬化可能組成物39が吐出ステーション52において塗布される様子が概略的に示されている。支持層(例えば織地)の基幹は吐出ローラ58により供給され得る。代表的な織地は、硬化ステーション56に進入する前に、ステーション60において硬化可能組成物の下方に沈み込み得る。そのようにして、支持層20が硬化ステーションの出口側において形成され得る。
【0085】
図8Aおよび図8Bでは、欠陥が、上記の方法にしたがって準備された外側層80(例えば剥離層)の断面に現れる様子が概略的に示されている。図8Aでは、気泡が排除され(例えばガス抜きにより)得る前に硬化が生じた場合に、あらゆる硬化可能組成物に捕捉され得る気泡に関連する、異なる現象が示されている。図面において見られるように、泡沫82は製造の間、本体800の上方で、矢印で示される流動方向に空気界面に向かって層80の方向に流動する。したがってこれらの泡沫82は合併して、より大きい気泡になることができる。気泡は、そのサイズの大小に関わらず、層のバルク内に、またはその表面上に、捕捉された状態に留まり得る。気泡エンベロープの上方部分は突起84を形成する。層の硬化が進行中に表面に隣接する気泡が破裂すると、表面から突出する気泡エンベロープの区域が消失したとしても、クレータ86は残存し得る。これらの現象は、したがって典型的には、気泡の「勾配」を提供する。上方区域は、全般的に、下方区域と比較してより大きい気泡で占められ、および/または、断面積または堆積あたり、より高い密度の気泡を有する。なお、下方および上方は、その製造時における層の方向に関するものである。気泡に誘導される欠陥が表面に与える影響は自明であり、表面の不均質性は通常、例えばインク画像に対する、あらゆる後続の相互作用に対して悪影響を及ぼす。係るITMが通常、張力下および/または圧力下で動作する状況下では、時間とともに、クレータは拡がり、合併して、より顕著な亀裂が形成される。したがって、係る現象は、表面の構造的完全性および係る完全性がITMに付与したであろう任意の機械的特性に影響を及ぼし得る。
【0086】
図8Bでは、粉塵などの固体汚染物質に関する異なる現象が概略的に示されている。本例示説明では、粉塵が気泡に追加されるものとして表現されているが、このことは必ずしも真であるとは限らず、係る表面欠陥または層欠陥は独立的に発生することが可能である。図面において見られるように、固体汚染物質は表面上に留まり得る。外側層80が硬化された後に汚染物質が定着するならば、係る汚染物質92は、外側層を好適に洗浄するのみで、除去され得る。それでも、使用可能となる前に係るITMの追加的洗浄が必要となり得るため、係る現象は望ましくない。層がまだ未硬化状態にあるとき係る汚染物質が発生する場合、汚染物質は、層80の表面上に捕捉される(例えば、「浮かんで」いるように見受けられる汚染物質94)か、または、隔離層内に沈下していることさえ可能である(例えば汚染物質96)。容易に理解可能であるように、より大きい/より重い汚染物質は、小さい汚染物質よりも、より深く沈下し得る。
【0087】
当該技術分野で周知の方法とは異なり、本明細書で開示の方法は、層の一方の側部が担体接触表面に接触する状態で流体第1硬化可能物質の層を形成することを含む。なおこの層は初期剥離層を構成する。担体接触表面は、初期剥離層を保護する機能を有する。それにより、インク転送層に所望の特性が与えられる一方で、担体は、ITMが完成するまで他の層がその上に追加されてITMが形成される物理的に堅牢な支持構造体として機能する。その結果として、欠陥の多数の潜在的原因が回避される。さらに、インク転送表面の仕上げは、主に、排他的ではないとしても、担体接触表面により決定される。
【0088】
図8Cでは、本方法にしたがって準備された外側層16(たとえば剥離層)を通る断面が概略的に示されている。以前の図面と比較するために、この断面は、担体を示すことなく、図8Aおよび図8Bと同一の方向で示されているが、製造は矢印により示されるように逆方向に実行されている。基部200(後に詳述する)は、第1外側層16が少なくとも部分的に硬化された後、第1外側層16に取り付けられ、したがって、製造過程の間にすでに支持体として機能する本体800とは等価でない。単に例示目的のために、層16は、多数の気泡82を含むものとして表現されているが、これは必ずしも真実ではない。しかし、存在するならば、係る気泡は、以前に記述した気泡のパターンよりも、特異的パターンを示すであろう。第1に、層16のここでは最上方となっているインク転送表面14は、以前は担体と接触していたため、突起は観察されず、したがって剥離層は、表面から突出する気泡84により以前に示されたような現象が存在しない。同様に、キャビティ86として以前示されたクレータはほとんど存在しない。なぜなら、係るクレータは、相性の悪い硬化可能な層および担体の使用を意味するためである。本方法によれば、外側層を形成する硬化可能物質は好適に担体を湿潤させ、担体と、担体上に形成される初期層と、の間に捕捉され得る気泡が実質的にはまったくないと考えられる。したがって、たとえ存在したとしても、係る気泡は層のバルク内に配置されるであろう。しかし、製造が従来の方法と比較して反転方向で行われるため、気泡の勾配は、同一の理由のために、反転されるであろう。したがって、図8Cに示されるように、小さい気泡は、より大きい気泡よりも外側表面により近接し、より大きい気泡は基部により近接するであろう。
【0089】
付加硬化型調合物から生産された本発明の独創的な剥離層構造は、ポリマーマトリックス内に共有結合した官能基を、実質的に全く含まないか、またはごく小数(ごく少数のOH基)しか含み得ない。係る官能基は、例えばC=O、S=O、およびOHなどの部分を含み得る。
【0090】
これらの剥離層構造は、最大でも、ごく少数しか係る官能基を含まないため、その剥離層が高い疎水性を示すであろうことは期待されるであろう。しかし発明者らは驚くべきことに、本方法により生産された剥離層表面が実際にいくらか親水性を示し、対応する剥離層(すなわち、同一の組成を有するが、剥離層が空気に曝露される従来の硬化技術(「標準的空気硬化」)を使用して製造された剥離層)よりも認知可能により大きい親水性を示すことを見出した。理論に拘束されることを望むものではないが、発明者らは、担体接触表面と初期剥離層表面との間の緊密な接触により、担体接触表面のいくらかの親水特性が剥離層表面に含まれるものと考える。
【0091】
上述のように、低い表面エネルギーを有するITM剥離層は、乾燥インク画像を印刷基板に転送することを支援し得る。しかし、インク受容段階の間、係る低エネルギーの疎水性剥離層に噴出された水性インク液滴は、初期衝突の後、ビーズ状に凝集し、それにより画像品質が損なわれる傾向がある。エネルギーが高く、より疎水性が低い剥離層は、この効果を緩和し得るが、画像転送品質に対して有害である。発明者らは、本発明の剥離層構造が通常は、蒸留水に対する最大80度、または最大70度、典型的には最大60度、または最大50度、およびより典型的に30度~60度、35度~60度、30度~55度、30度~50度、30度~45度、または35度~50度の後退接触角により表される特性的に中程度の疎水性の剥離表面を有することを見出した。しかし驚くべきことに、乾燥、加熱されたインク画像のインク受容およびインク転送の両方が良好な品質であり得る。より高い親水性を有する(蒸留水滴に対する接触角がより低い)担体表面を用いることにより、および/または、コロナ(または同様の)処理により、さらに低い値の後退接触角(および以下で論じられる動的接触角)が達成され得ることが強調されなければならない。
【0092】
理論に拘束されることを望むものではないが、発明者らは、上述の誘導された表面特性が、剥離層表面上の極性基(例えばO-Si-O)と、剥離層表面上に堆積された水性液体(例えば水性インクジェットインク)における対応する極性部分(例えば水の中のOH基)と、の間の相互作用を改善するものと考える。引き続き、インクを乾燥させ、インク薄膜を転送温度に加熱した後、これらの相互作用は弱められ、乾燥された、または実質的に乾燥されたインク画像の完全な転送が可能となる。したがって、本発明の独創的な剥離層構造の性能は、インク受容段階およびインク薄膜転送段階の両方において、中程度の疎水性を有するが、担体接触表面により誘導される特別な表面構造および特性を有さない剥離層に期待されるよりも、感知可能に良好である。
【0093】
実施例
ここで以下の実施例を参照する。上記の説明と併せて、これらの実施例は非限定的な様式で本発明を例示する。
【0094】
【表1】
【0095】
剥離層表面の生産において基板として使用された担体は、(1)静電防止ポリエステル薄膜(実施例1~7)、(2)未処理ポリエステル薄膜、すなわち静電防止ではない(実施例11)、および、(3)アルミニウム処理済みポリエステル薄膜(実施例10)を含む。
【0096】
実施例1
実施例1のITM剥離層は以下の組成(重量/重量)を含む。
【表2】
【0097】
剥離層は、以下で提供される本ブランケット準備手順で実施的に説明されるように準備された。
【0098】
ブランケット準備手続き(担体表面に対して硬化された剥離層のための)
剥離層調合物の全成分は完全に混合された。所望の厚さの初期剥離層は、ロッド/ナイフを使用して(他の被覆方法が使用されてもよい)PETシート上に被覆された後、摂氏150度で3分間にわたり硬化された。引き続き、所望の厚さを達成するために、Siloprene LSR 2530がナイフを使用して剥離層の上部上に被覆された。次に硬化が3分間にわたり摂氏150度で行われた。Siloprene LSR2530の追加層が以前の(硬化された)シリコーン層の上部上に被覆され、湿潤化されたシリコーンが織物構造に貫入するよう、ガラス繊維織地がこの湿潤化された新鮮な層に組み込まれた。次に硬化が3分間にわたり摂氏150度で行われた。次に、Siloprene LSR 2530の最終層がガラス繊維織地上に被覆され、再び硬化が3分間にわたり摂氏150度で行われた。次に一体型ブランケット構造は室温まで冷却され、PETが除去された。
【0099】
実施例2
実施例2のITM剥離層は以下の組成を有する。
【表3】
【0100】
このブランケットは実質的に実施例1で説明したように準備された。
【0101】
実施例3
実施例3のITM剥離層は以下の組成を有する。
【表4】
【0102】
このブランケットは実質的に実施例1で説明したように準備された。
【0103】
実施例4
実施例4のITM剥離層は以下の組成を有する。
【表5】
【0104】
このブランケットは実質的に実施例1で説明したように準備された。
【0105】
実施例5
実施例5のITM剥離層は、2つの成分が1:1の比で混合された2成分液体シリコーンゴムであるSilopren(登録商標)LSR2530(ニューヨーク州ウォーターフォードのMomentive Performance Materials社)から準備された。このブランケットは実質的に実施例1で説明したように準備された。
【0106】
実施例6
実施例6のITM剥離層は、実施例4のITM剥離層と実質的に同一の組成を有するが、極性基を含む市販のシリコーン系樹脂であるSR545(ニューヨーク州、ウォーターフォードのMomentive Performance Materials社)を含む。極性基は「MQ」型であり、「M」はMeSiOを表し、「Q」はSiOを表す。全組成を以下に挙げる。
【表6】
【0107】
このブランケットは実質的に実施例1で説明したように準備された。
【0108】
実施例7
実施例7のITM剥離層は、実施例6のITM剥離層と実質的に同一の組成を有するが、上述のように高密度のビニル基を有するビニル官能ポリジメチルシロキサンを含むポリマーRV5000を含む。全組成を以下に挙げる。
【表7】
【0109】
このブランケットは実質的に実施例1で説明したように準備された。
【0110】
比較例1A~1F
ITM剥離層は、対応剥離層(比較例1A~1Fと指定される)がそれぞれ実施例1~6と同一の組成を有するよう、実施例1~6の組成に対する「対応剥離層」または「参照剥離層」として準備された。しかし剥離層の硬化の間、剥離層表面(または「インク受容表面」)は、以下で提供される従来の準備手順にしたがって空気に曝露された(「標準的空気硬化」)。
【0111】
比較ブランケット準備手続き(硬化の間、空気に曝露される剥離層のための)
SilopreneLSR2530の第1層がロッド/ナイフを使用してPETシート上に被覆された後、所望の厚さを達成するために摂氏150度で3分間にわたり硬化された。Siloprene LSR2530の追加層が以前の(硬化された)シリコーン層の上部上に被覆され、湿潤化されたシリコーンが織物構造に貫入するよう、ガラス繊維織地がこの湿潤化された新鮮な層に組み込まれた。次に、SilopreneLSR2530がガラス繊維織地の上部上に被覆され、引き続き、硬化が3分間にわたり摂氏150度で行われた。初期剥離層を形成する前に、剥離層調合物の全成分が一緒に完全に混合された。剥離層は、所望の厚さを達成するために、硬化されたSilopreneLSR2530の上部上に被覆され、引き続き、3分間にわたり摂氏150度で硬化され、その一方で、剥離層表面は空気に曝露された。
【0112】
実施例8
剥離層表面上蒸留水滴の接触角は、専用のDataphysics OCA15 Pro接触角測定装置(オーストラリア、ニューサウスウェールズ州、ゴスフォードのParticle and Surface Sciences Pty社)を使用して測定された。後退接触角(RCA)および前進接触角(ACA)測定を実施するために使用された手順は、Dr. Roger P. Woodward (“Contact Angle Measurements Using the Drop Shape Method”、とりわけwww.firsttenangstroms.com/pdfdocs/CAPaper.pdf)により詳述される先行技術である。
【0113】
実施例1~6の結果は、比較例1A~1Fにしたがって準備された剥離層に対する結果とともに、以下に提供されている。
【0114】
実質的にすべての場合において、担体表面に対して生産された剥離表面は、空気中で硬化された同一の調合物よりも小さい後退接触角を示した。さらに詳細には、担体表面に対して生産された剥離表面は、少なくとも5度、少なくとも7度、少なくとも10度、少なくとも12度、または少なくとも15度の差異だけ低い後退接触角を、または、5度~30度、7度~30度、10度~30度、5度~25度、5度~22度、7度~25度、または10度~25度の範囲内の差異だけ低い後退接触角を、表した。
【0115】
実施例9
実施例1~6において生産された剥離層、および、比較例1A~1Fにおいて生産されたそれぞれの剥離層は、長い動作条件下でのエージングをシミュレートするために、2時間にわたり摂氏160度においてエージングが施された。後退接触角が測定され、その結果を以下に挙げる。
【表8】
【0116】
比較例に関しては、後退接触角がエージング処理の実施後は実質的に維持されたことが明らかである。しかし本発明の実施例1~6に関しては、後退接触角がエージング処理の実施後は典型的には4度~15度だけ増加したことが明らかである。理論に拘束されることを望むものではないが、発明者らは、本発明の剥離層構造における接触角の増加の原因が、剥離層表面における極性基(例えばSi-O-Si)の位置における何らかの変化に起因する親水性挙動における損失(または増加された疎水性挙動)にあるものと考える。
【0117】
実施例10
実施例2の組成の剥離層を含むブランケットは、実質的に実施例1で説明したように準備されたが、アルミニウム処理されたPET担体表面に対して準備された。
【0118】
実施例11
実施例2の剥離層組成を有する剥離層が、実質的に実施例1で説明したように準備されたが、静電防止前処理が施されていない市販のPET担体表面に対して準備された。
【0119】
実施例12
本発明に係る実施例2、10、および11において生産された剥離層に対して接触角測定が実施され、前進接触角および後退接触角の両方が決定された。結果は以下に提供される。
【表9】
【0120】
実施例10および11は、剥離層が空気に曝露された状態で硬化された同一の組成物の後退接触角よりも約30度小さい後退接触角を示した。静電防止PET担体表面に対して準備された実施例2の剥離層表面は、空気に曝露されている間に準備された同一の組成物の後退接触角よりも約50度小さい後退接触角を示した。
【0121】
実施例13
実施例2、10、および11で利用された担体表面に対して接触角測定が実施され、前進接触角および後退接触角の両方が決定された。結果は以下に提供される。
【表10】
【0122】
3つの担体表面が親水性挙動を示したこと、および静電防止処理が施されたPETが最大度の親水性挙動を示したことが、取得された後退接触角から見られ得る。(20度RCA対40度RCA)
【0123】
重大なことに、担体表面の親水性挙動がそれぞれの剥離表面に少なくとも部分的に誘導され、空気に曝露される間に硬化された調合物は65度のRCAを有し、静電防止PET表面に対して準備された同一の調合物は45度のRCAを有し、使用された静電防止PET担体は20度のRCAを示す。したがって、本発明の剥離層構造は、その親水性/疎水性特性が空気中で硬化された同一の調合物の特性と、担体表面自体の特性と、の間に存在する剥離表面を有する。
【0124】
実施例14
剥離表面エネルギーが以下の実施例のインク受容表面に対して計算された。これらの実施例は、空気に対して曝露される状況下で硬化された実施例1A、静電防止PET表面に対して硬化された実施例1、および、静電防止PET表面に対して硬化された後、引き続き摂氏160度で2時間にわたり標準的なエージング手順が施された実施例1、である。これら3つの実施例は同一の化学的組成を有する。
【0125】
これら3つの実施例のうちの各実施例に対して、全表面エネルギー伝統的な「調和平均」法(Owens-Wendt表面エネルギーモデルとしても知られる。例えばKRUSS Technical Note TN306e参照)を使用して計算された。結果は以下に提供される。
【表11】
【0126】
空気に対して曝露される状況下で硬化された実施例1Aでは剥離層表面は極度の疎水性を示し、当該表面の全表面エネルギーは低く、期待されたように20.9J/mであった。これは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に関して表面エネルギーに対する文献値にかなり近い値である。重要なことに、静電防止PET表面に対して硬化された実施例1は、約26J/mの全表面エネルギーを示した。この実施例1は「空気硬化」された試料よりもやや小さい疎水性を示す。この調合物が標準的なエージング手順を施された後、全表面エネルギーは約26J/mから26J/m未満に減少した。この結果は、この代表的な配合の、様々なエージングが施され、および、エージングが施されていない物質に対して取得されたRCA結果を裏付けるように見受けられるであろう。
【0127】
実施例15
剥離層表面エネルギーが以下の実施例のインク受容表面に対して計算された。これらの実施例は、空気に対して曝露される状況下で硬化された実施例2A、静電防止PET表面に対して硬化された実施例2、および、静電防止PET表面に対して硬化された後、引き続き摂氏160度で2時間にわたり標準的なエージング手順が施された実施例2、である。これら3つの実施例は同一の化学的組成を有する。
【0128】
実施例14と同様に、全表面エネルギーは伝統的な「調和平均」法を使用して計算された。結果は以下に提供される。
【表12】
【0129】
空気に対して曝露される状況下で硬化された実施例2Aでは剥離層表面は実施例1Aの剥離層よりも疎水性が小さく、この表面の全表面エネルギーは約35J/mである。静電防止PET表面に対して硬化された実施例2は、約49J/mの全表面エネルギーを示した。この実施例2は「空気硬化」された試料よりも顕著に小さい疎水性を示す。この調合物が標準的なエージング手順を施された後、全表面エネルギーは約49J/mから約40J/mに減少した。この結果は、この代表的な配合の、様々なエージングが施され、および、エージングが施されていない物質に対して取得されたRCA結果を裏付けるように見受けられるであろう。
【0130】
実施例16
ブランケット表面上の温度は摂氏75度に保持される。画像(通常に10~100%のカラーグラデーション)は1200dpiの解像度で1.7m/秒の速度でブランケット上に印刷される。未被覆紙(A4 Xeroxプレミアム・コピー用紙、80gsm)が加圧ローラとブランケットとの間にセットされ、圧力が3バールに設定されて、加圧ローラはブランケットに対して加圧される。加圧ローラは紙上で移動し、ブランケットと紙との間の接触線上に圧力を印加し、転送プロセスを促進させる。いくつかの場合では、不完全な転送(残留インクがブランケット表面上に残った状態)が観察され得る。残留インクの程度を評価するために、光沢紙(A4 Burgo光沢紙130gsm)が未被覆紙と同様にブランケット上に置かれ、転送プロセスが再び実施される。ブランケット上に残され、かつ未被覆紙に転送されないあらゆるインクは光沢紙に転送されるであろう。したがって、光沢紙は以下のスケール(画像表面エリアの%)にしたがって残留インクに対して評価され得る。
A-視認可能な残留なし
B-視認可能な残留は1~5%
C-視認可能な残留は5%より大きい
評価の結果は以下に提供される。
【表13】
【0131】
実施例17
実施例16は実施例2および実施例3の剥離表面に対して反復された。ただし印刷速度はブランケット上で3.4m/秒であった。両方の剥離表面はAの転送等級を保持した。
【0132】
実施例18
実施例2および実施例3のITM剥離層組成物は実施例1で提供される手順にしたがってPET基板に対して硬化された。実施例2および実施例3のITM剥離層組成物は比較例1Bおよび比較例1Cで提供される手順にしたがって空気に対して硬化された。次に、これらの試料は、以下の手順にしたがって、10秒において、および引き続き70秒において、動的接触角(DCA)測定が施された。
【0133】
液滴は、運動エネルギーが液滴を展開させないよう、可能なかぎり小さい液滴が落下する状態で、滑らかなPTFE薄膜表面上に配置される。次に垂滴が形成される。引き続き、標本は液滴の底部に接触するまで上昇させられる。液滴が十分に大きい場合、表面に対する付着はニードルの先端部から液滴を引き離すであろう。ニードル先端部は、表面の上方において、成長する垂滴が表面に接触し、かつ、それ自体の重さにより自由落下する以前に分離する、高さに配置される。
【0134】
次に、動的接触角は10秒および70秒において測定される。結果は以下に提供される。
【表14】
【0135】
10秒における動的接触角の初期測定が剥離層表面の親水性の強力な指示を提供することが観察される。その後の70秒における測定は、剥離層内に配置された任意の液体(例えばポリエーテルグリコール官能化ポリジメチルシロキサンなど)が液滴に組み込まれる程度の指示を提供する。係る組み込みは、測定されたDCAをさらに減少させ得る。
【0136】
したがってPETに対して硬化された試料は、空気に対して硬化されたそれぞれの試料の親水性初期DCA測定(114度、113度)と比較して実質的に低い(親水性が大きい)初期DCA測定(105度、87度)を示した。表示された親水性に加えて、PETに対して硬化された試料は、第1測定と第2測定との間で8~17度のDCAにおける低下を示した。
【0137】
図10A図10Cでは、本発明のITMの剥離層上に印刷された様々なインクパターンの画像が提供されている。ここでは、実施例2の剥離層はPET担体表面に対して硬化された。図11A図11Cは、実施例2の剥離層上に印刷された同一インクパターンの画像である。なおここでは、この剥離層は空気に対して硬化された。図10A図11Aとの間を比較すると、本発明のITMがより高い光学濃度を示し、インク画像パターンをより正確に反映することは明らかである。図10C図11Cとの間の比較は同一の結論を呈する。ここで図10B図11Bとの間を比較すると、図10Bにおける各インクドットが図11Bにおける各インクドットよりも認知可能に大きいことは明らかである。
【0138】
本明細書、および添付の請求項で使用される「後退接触角」または「RCA」という用語は、Dataphysics OCA15 Pro Contact Angle measuring deviceを、または類似のVideo-Based Optical Contact Angle Measuring Systemを使用して、上述のDrop Shape Methodを使用して、大気温度で測定された後退接触角を指す。類似した「前進接触角」または「ACA」と言う用語は、実質的に同一の方法で測定された前進接触角を指す。
【0139】
本明細書、および添付の請求項で使用される「動的接触角」または「DCA」という用語は、Dataphysics OCA15 Pro Contact Angle measuring deviceまたは類似のVideo-Based Optical Contact Angle Measuring Systemを使用して、上記で参照した「Contact Angle Measurements Using the Drop Shape Method」においてDr. Roger P. Woodwardにより詳述され、上記の実施例17で詳述された方法を使用して、測定された動的接触角を指す。
【0140】
本明細書、および添付の請求項で使用される「標準エージング手続き」という用語は、標準的な対流炉において摂氏160度において2時間にわたり各試験剥離層に対して行われる加速されたエージング手順を指す。
【0141】
本明細書、および添付の請求項で使用される「標準的空気硬化」と言う用語は、比較例1A~1Fに関して説明した剥離層を硬化するための従来の硬化処理を指し、この硬化処理では、剥離層を硬化させる間、剥離層表面(または「インク受容表面」)が空気に曝露される。
【0142】
明細書、および添付の請求項で使用される「バルク疎水性」という用語は、剥離層の内側表面上に配置された蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられる。なお、この内側表面は、剥離層内の硬化シリコーン物質のエリアを露出させることにより形成される。
【0143】
本明細書で、および添付の請求項で使用される「疎水性」および「親水性」、その他の用語は、相対的な意味で使用され得、必ずしも絶対的な意味で使用されるものではない。
【0144】
本明細書および添付の請求項で使用される「官能基」という用語は、従来の付加硬化型シリコーンのO-Si-O基よりも高い極性を有する、剥離層のポリマー構造に結合された基または部分を指す。様々な例が本明細書で提供される。発明者らは、純粋な付加硬化型ポリジメチルシロキサンポリマーがO-Si-O、SiO、Si-CH、およびC-C基を含むこと、および、大部分の他の官能基がより高い双極子を有し、それにより係る官能基が「機能的」であるとみなされ得ること、を観察する。係る官能基が、摂氏120度までの処理温度で間接的インクジェット印刷において利用される水性インクに典型的に存在する成分と反応する傾向または強い傾向を有し得ることは、当業者に明らかとなるであろう。
【0145】
本明細書で、および添付の請求項で使用される「%」という用語は、特記なき限り、重量%を指す。
【0146】
同様に、本明細書および添付の請求項において使用される「比」という用語は、特記なき限り、重量比を指す。
【0147】
明確にするために別々の実施形態という観点から説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡略に表現するために単一の実施形態という観点から説明される本発明の様々な特徴は、別々にまたは任意の適切なサブコンビネーションでまたは本発明の任意の他の説明される実施形態において適切であるとして提供され得る。様々な実施形態という観点から説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしには無効でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0148】
本発明は、説明のためだけにその提示された様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、係る具体的に開示された実施形態は限定的と見なされるべきではない。当業者は、本明細書で出願人の開示に基づいて係る実施形態の多くの他の改変形態、変更形態、および変形形態を考え付く。したがって、係るすべての改変形態、変更形態、および変形形態を包含し、添付特許請求の範囲およびその均等性の範囲に入るあらゆる偏差に定義される本発明の精神および範囲によってのみ拘束されることが意図される。
【0149】
本発明の開示を理解するまたは完了するために必要な範囲まで、WO2013/132418号を含んだ本明細書に言及されたすべての公報、特許、および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の公報、特許、または特許出願が参照により本明細書に援用されるために明確にかつ個別に示されるのと同程度まで、その全体が本明細書に参照により明示的に援用される。
【0150】
本願におけるあらゆる参照の引用または識別は、係る参照が本発明にとって先行技術として利用可能である旨の了解として解釈されないものとする。
【0151】
本明細書に参照される特定のマークは、慣習法上またはサードパーティの登録商標である場合がある。これらのマークの使用は例としてであり、記述的と解釈されないものとする、または係るマークだけと関連付けられた資料に本発明の範囲を限定しないものとする。
本発明の中間体転写部材(ITM)の好ましい態様を以下に記載する。
[1]印刷システムと使用するための中間体転写部材(ITM)であって、
(a)支持層と、
(b)インク画像を受容するためのインク受容表面および前記インク受容表面に対向する第2表面を有する剥離層であって、前記第2表面が前記支持層に付着され、前記剥離層が付加硬化型シリコーン物質から形成され、前記剥離層が最大500マイクロメートル(μm)の厚さを有する、剥離層と
を備え、
前記インク受容表面が、以下の構造的特性:
(i)前記インク受容表面上の蒸留水滴の後退接触角が最大60度であること、
(ii)前記インク受容表面上に堆積された蒸留水滴の場合、10秒動的接触角(DCA)が最大108度であること、
のうちの少なくとも1つを満たすように適応され、
前記剥離層が、以下の構造特性:
(1)前記付加硬化型シリコーン物質が、実質的に付加硬化型シリコーンからなるか、または、少なくとも95重量%の前記付加硬化型シリコーンを含むこと、
(2)官能基が、前記付加硬化型シリコーン物質の最大3重量%を占めること
のうちの少なくとも1つを有する、
中間体転写部材(ITM)。
[2]前記後退接触角が、最大58度、最大56度、最大54度、最大52度、最大50度、最大48度、最大46度、最大44度、最大42度、最大40度、最大38度、または最大37度である、[1]に記載のITM。
[3]前記官能基が前記付加硬化型シリコーン物質の最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、もしくは最大0.1重量%を占める、または前記付加硬化型シリコーン物質が実質的に前記官能基を含まない、[1]または[2]に記載のITM。
[4]ポリエーテルグリコール官能化ポリジメチルシロキサンが、前記付加硬化型シリコーン物質に充填される、[1]~[3]のいずれか1項に記載のITM。
[5]ポリエーテルグリコール官能化シロキサンが前記付加硬化型シリコーン物質に充填されるが、前記付加硬化型シリコーン物質の共有構造の一部を形成しない、[1]~[4]のいずれか1項に記載のITM。
[6]前記剥離層の前記厚さが最大500μm、最大100μm、最大50μm、最大25μm、または最大15μである、[1]~[5]のいずれか1項に記載のITM。
[7]前記剥離層の前記厚さが、1~100μm、5~100μm、8~100μm、10~100μm、または10~80μmの範囲内である、[1]~[6]のいずれか1項に記載のITM。
[8]前記支持層の厚さが、約50~1000マイクロメートル(μ)、100~1000μ、100~800μ、または100~500μの範囲内である、[1]~[7]のいずれか1項に記載のITM。
[9]前記インク受容表面の全表面エネルギーが、対応剥離層のインク受容表面に標準的エージング手順を施すことにより生産された変更されたインク受容表面の全表面エネルギーよりも、少なくとも2J/m、少なくとも3J/m、少なくとも4J/m、少なくと
も5J/m、少なくとも6J/m、少なくとも8J/m、または少なくとも10J/m高い、[1]~[8]のいずれか1項に記載のITM。
[10]前記インク受容表面の全表面エネルギーが、前記硬化されたシリコーン物質のシリコーン前駆体の標準的空気硬化により準備された対応剥離層の疎水性インク受容表面の全表面エネルギーよりも、少なくとも4J/m、少なくとも6J/m、少なくとも8J/m、少なくとも10J/m、少なくとも12J/m、少なくとも14J/m、または、少なくとも16J/m大きい、[1]~[9]のいずれか1項に記載のITM。
[11]前記インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角が、前記硬化されたシリコーン物質のシリコーン前駆体の標準的空気硬化により準備された対応剥離層のインク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角よりも、少なくとも7度、少なくとも8度、少なくとも10度、少なくとも12度、少なくとも15度、少なくとも18度、または、少なくとも20度低い、[1]~[10]のいずれか1項に記載のITM。
[12]前記インク受容表面上の蒸留水液滴の後退接触角が、前記インク受容表面に標準的エージング手順を施すことにより生産されたエージングされた表面上の蒸留水液滴の後退接触角よりも、少なくとも5度、少なくとも6度、少なくとも7度、または、少なくとも8度低い、[1]~[11]のいずれか1項に記載のITM。
[13]前記インク受容表面の表面疎水性が前記剥離層内の前記硬化されたシリコーン物質のバルク疎水性よりも小さく、前記表面疎水性が前記インク受容表面上における蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられ、前記バルク疎水性が、露出エリアを形成するために前記剥離層内の前記硬化シリコーン物質のエリアを露出させることにより形成された内側表面上に堆積された蒸留水液滴の後退接触角により特徴付けられる、[1]~[12]のいずれか1項に記載のITM。
[14]前記インク受容表面上で測定された前記後退接触角が、前記露出エリアで測定された前記後退接触角よりも、少なくとも7度、少なくとも8度、少なくとも10度、少なくとも12度、少なくとも14度、少なくとも16度、少なくとも18度、または、少なくとも20度低い、[1]~[13]のいずれか1項に記載のITM。
[15]前記インク受容表面上の前記蒸留水液滴の前記後退接触角が、少なくとも25度、少なくとも28度、少なくとも30度、少なくとも32度、少なくとも34度、または少なくとも36度、および、さらに所望により、25度~60度、28度~60度、30度~60度、30度~60度、30度~55度、30度~50度、32度~60度、32度~55度、32度~44度、35度~60度、35度~55度、36度~44度、または38度~50度の範囲内である、[1]~[14]のいずれか1項に記載のITM。
[16]前記剥離層が、前記インク受容表面の極性基が離間する方向または前記第2表面と逆の方向を有するよう、適応される、[1]~[15]のいずれか1項に記載のITM。
[17]前記剥離層が、前記インク受容表面が周囲環境に曝露される動作モードに前記ITMがあるとき、前記インク受容表面の前記極性基が前記周囲環境に向かう方向または対向する方向を有するよう、適応される、[1]~[16]のいずれか1項に記載のITM。
[18]前記ITMがデジタル印刷システムにおける構成要素を形成する、[1]~[17]のいずれか1項に記載のITM。
[19]前記支持層が前記剥離層の前記第2表面に付着された弾性コンプライアンス層を含み、
前記弾性コンプライアンス層が、前記インク画像が印圧される印刷基板の表面輪郭に近接して追随するよう適応される、[1]~[18]のいずれか1項に記載のITM。
[20]前記支持層が前記コンプライアンス層に付着された補強層を含む、[1]~[19]のいずれか1項に記載のITM。
[21]前記剥離層が、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の官能基を含む、[1]~[20]のいずれか1項に記載のITM。
[22]前記剥離層が、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の、C=O、S=O、O-H、およびCOOを含む部分の群から選択される官能基を含む、[1]~[20]のいずれか1項に記載のITM。
[23]前記剥離層が、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の、シラン部分、アルコキシ部分、アミド部分、およびアミド・アルコキシ部分からなる群より選択される官能基を含む、[1]~[22]のいずれか1項に記載のITM。
[24]前記剥離層が、そのシリコーンポリマーマトリックス内に、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、最大0.5重量%、最大0.2重量%、または実質的に0重量%の合計量の、アミン、アンモニウム、アルデヒド、SO、SO、SO、PO、PO、およびC-O-Cからなる群より選択される官能基を含む、[1]~[23]のいずれか1項に記載のITM。
[25]前記付加硬化型シリコーン物質がビニル官能シリコーンから構築された構造を有する、[1]~[24]のいずれか1項に記載のITM。
[26]前記付加硬化型シリコーン物質が「MQ」型の極性基を含む、[1]~[25]のいずれか1項に記載のITM。
[27]前記インク受容表面の前記全表面エネルギーが、Owens-Wendt表面エネルギーモデルを使用して評価される、[9]~[26]のいずれか1項に記載のITM。
[28]前記10秒DCAが、最大108度、最大106度、最大103度、最大100度、最大96度、最大92度、または最大88度、所望により、少なくとも60度、少なくとも65度、少なくとも70度、少なくとも75度、少なくとも78度、少なくとも80度、少なくとも82度、少なくとも84度、または少なくとも86度、およびさらに所望により、60~108度、65~105度、70~105度、70~100度、70~96度、70~92度、75~105度、75~100度、80~105度、80~100度、85~105度、または85~100度の範囲内である、[1]~[27]のいずれか1項に記載のITM。
[29]前記インク受容表面が、前記インク受容表面上に堆積された前記蒸留水液滴に対して、前記70秒動的接触角(DCA)と前記10秒DCAとの間の差異が、少なくとも7度、少なくとも8度、少なくとも10度、または少なくとも12度、所望により、最大25度、最大22度、最大20度、最大18度、または最大17度、および、さらに所望により、6~25度、6~22度、6~20度、6~18度、6~17度、7~25度、7~20度、7~17度、8~25度、8~22度、18~20度、8~18度、8~17度、10~25度、10~22度、10~20度、10~18度、または10~17度の範囲内となるよう、適応されている、[1]~[28]のいずれか1項に記載のITM。
[30]前記インク受容表面が、前記インク受容表面上に堆積された前記蒸留水液滴に対して、前記70秒DCAが、最大92度、最大90度、最大88度、最大85度、最大82度、最大80度、最大78度、最大76度、最大74度、または最大72度、所望により、少なくとも55度、少なくとも60度、少なくとも65度、または、少なくとも68度、およびさらに所望により、55~92度、55~90度、55~85度、55~80度、65~92度、65~90度、65~85度、65~80度、68~85度、68~80度、70~92度、70~90度、70~85度、または70~80度の範囲内となるよう適応されている、[1]~[29]のいずれか1項に記載のITM。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C