(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 7/10 20060101AFI20240430BHJP
E04B 1/34 20060101ALI20240430BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20240430BHJP
E04H 3/10 20060101ALI20240430BHJP
E04H 3/14 20060101ALI20240430BHJP
【FI】
E04B7/10
E04B1/34 A ESW
E04G21/12 104E
E04H3/10 Z
E04H3/14 A
(21)【出願番号】P 2023083267
(22)【出願日】2023-05-19
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202210548071.X
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523187642
【氏名又は名称】中建▲鋼▼▲構▼股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲軍▼▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】方 振▲亞▼
(72)【発明者】
【氏名】耿 ▲軍▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 洋
(72)【発明者】
【氏名】杜 俊
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 江
(72)【発明者】
【氏名】丁 雨
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 威
(72)【発明者】
【氏名】胡 建峰
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110886423(CN,A)
【文献】特開2020-094400(JP,A)
【文献】特開平06-101274(JP,A)
【文献】特開平07-317194(JP,A)
【文献】特開平06-180029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 7/08,7/10
E04B 1/34,1/35
E04G 21/12
E04H 3/10,3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法であって、
コンピュータによってフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造に対して全体的なモデリング及びシミュレーション計算を行い、第1情報及び第2情報を取得するステップであって、前記第1情報は前記フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造におけるケーブルシステムのケーブル(300)の取り付け位置及び取り付け数を含み、前記第2情報は前記フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造におけるストラットシステムのストラット(200)の取り付け位置及び取り付け数を含み、前記ケーブルシステムは内フープケーブル(310)、中間フープケーブル(320)及び外フープケーブル(330)を含み、前記ストラットシステムは第1ストラット及び第2ストラットを含むステップと、
施工地点でジグを仮設するステップと、
ジグによって、屋根(100)を吊り下げるステップであって、前記屋根(100)は外輪屋根(120)及び中央屋根(110)を含み、前記中央屋根(110)に前記第1ストラットと前記内フープケーブル(310)が取り付けられ、前記第1ストラットの一端は前記中央屋根(110)に接続され、前記第1ストラットの他端は前記内フープケーブル(310)における球形ノード(340)に接続されるステップと、
前記第2情報に基づいて、前記外輪屋根(120)に前記第2ストラットを取り付けるステップと、
前記第1情報に基づいて、前記中間フープケーブル(320)が第1位置にあり、前記外フープケーブル(330)が第2位置にあるように地上で前記中間フープケーブル(320)と前記外フープケーブル(330)を展開するステップであって、前記第1位置は前記外輪屋根(120)における前記中間フープケーブル(320)の取り付け位置の地上投影位置であり、前記第2位置は前記外輪屋根(120)における前記外フープケーブル(330)の取り付け位置の地上投影位置であるステップと、
前記第1情報に基づいて、前記中間フープケーブル(320)における球形ノード(340)と前記外フープケーブル(330)における球形ノード(340)が対応する前記ストラット(200)の下端にそれぞれ接続されるように前記外輪屋根(120)に前記中間フープケーブル(320)と前記外フープケーブル(330)を取り付けるステップと、
前記ジグと前記屋根(100)との固定接続を解除するステップと、
前記ケーブル(300)の引張力が対応するプリセット値に達するように前記ケーブルシステムを引張するステップと、を含むことを特徴とするフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法。
【請求項2】
屋根(100)を吊り下げる前記ステップは、
ジグによって前記施工地点の外側に外輪リングビーム(130)を吊り下げるステップと、
ジグによって、外縁が前記外輪リングビーム(130)に接続されるように外輪屋根(120)を吊り下げるステップと、
前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、地上で前記第1ストラットと前記内フープケーブル(310)を前記中央屋根(110)に取り付けるステップと、
前記中央屋根(110)の外縁が前記外輪屋根(120)の内縁に接触するように地上の前記中央屋根(110)に対して全体的なリフトを行うステップと、
インサート部によって前記中央屋根(110)の外縁と前記外輪屋根(120)との内縁を接続して前記中央屋根(110)と前記外輪屋根(120)とを固定接続するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法。
【請求項3】
地上で前記中間フープケーブル(320)と前記外フープケーブル(330)を展開する前記ステップは、
前記第1情報に基づいて、スチールケーブルロールを地面プラットフォームに吊り上げることで、前記第1位置のそれぞれに前記スチールケーブルロールを有し、前記第2位置のそれぞれに前記スチールケーブルロールを有するステップと、
巻き揚げ機によって前記スチールケーブルロールのケーブルヘッドを牽引することで、前記ケーブルヘッドを前記外輪屋根(120)の前記ケーブルヘッドに対応するケーブルイヤープレートの地上投影に引っ張るステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法。
【請求項4】
前記第1情報に基づいて、前記外輪屋根(120)に前記中間フープケーブル(320)と前記外フープケーブル(330)を取り付ける前記ステップは、
前記中間フープケーブル(320)の第1部位と前記外フープケーブル(330)の第2部位に球形ノード(340)をそれぞれ取り付けるステップであって、前記第1部位は前記フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の取付完了後、前記中間フープケーブル(320)の地上投影とほかの前記ケーブル(300)の地上投影とが交差する部位であり、前記第2部位は前記フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の取付完了後、前記外フープケーブル(330)の地上投影とほかの前記ケーブル(300)の地上投影とが交差する部位であるステップと、
前記第1情報に基づいて、前記中間フープケーブル(320)及び前記外フープケーブル(330)のケーブルヘッドを前記外輪屋根(120)のそれぞれに対応するケーブルイヤープレートにそれぞれ接続するステップと、
径方向交差ケーブルクランプ(400)によって地上投影が重なる2つの前記球形ノード(340)を対応する前記ストラット(200)の下端に接続するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法。
【請求項5】
前記中間フープケーブル(320)及び前記外フープケーブル(330)のケーブルヘッドを前記外輪屋根(120)のそれぞれに対応するケーブルイヤープレートにそれぞれ接続する前記ステップは、
前記中間フープケーブル(320)のケーブルヘッドが前記外輪屋根(120)の対応するケーブルイヤープレートに接近するようにタワークレーンによって前記中間フープケーブル(320)のケーブルヘッドをリフトするステップと、
前記中間フープケーブル(320)のケーブルヘッドを前記外輪屋根(120)の対応するケーブルイヤープレートに接続するステップと、
前記外フープケーブル(330)のケーブルヘッドが前記外輪屋根(120)の対応するケーブルイヤープレートに接近するようにタワークレーンによって前記外フープケーブル(330)のケーブルヘッドをリフトして取り付けるステップと、
前記外フープケーブル(330)のケーブルヘッドを前記外輪屋根(120)の対応するケーブルイヤープレートに接続するステップと、を含むことを特徴とする請求項4に記載のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法。
【請求項6】
前記ジグと前記屋根(100)との固定接続を解除する前記ステップは、
前記第1ストラット及び前記第2ストラットの両方の下端点の位置を測定して第3情報を得るステップと、
前記第3情報を前記第2情報と比較するステップと、
前記第3情報が前記第2情報と一致すると、前記ジグと前記屋根(100)との固定接続を解除するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法。
【請求項7】
前記ジグと前記屋根(100)との固定接続を解除する前記ステップは、
前記屋根(100)が前記ジグに対して水平方向及び上向き方向に移動可能になるように前記ジグと前記屋根(100)間の溶接継ぎ目を切断するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法。
【請求項8】
前記ケーブルシステムを引張する前記ステップは、
前記内フープケーブル(310)、前記中間フープケーブル(320)及び前記外フープケーブル(330)がいずれも70%のプレストレスを受けるように前記内フープケーブル(310)、前記中間フープケーブル(320)及び前記外フープケーブル(330)に対して順に70%プレストレスの引張を行うステップと、
前記外フープケーブル(330)、前記中間フープケーブル(320)及び前記内フープケーブル(310)がいずれも100%のプレストレスを受けるように、前記外フープケーブル(330)、前記中間フープケーブル(320)及び前記内フープケーブル(310)に対して順に100%プレストレスの引張を行うステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法。
【請求項9】
前記ケーブルシステムを引張する前記ステップは、
前記ケーブルシステムの各ケーブル(300)の受ける応力を検出し、各前記ケーブルの受ける応力が対応する前記プリセット値に達するか否かを判定するステップと、
受ける応力が対応する前記プリセット値に達していない前記ケーブルがあると、対応する前記プリセット値に達するように引張調整を行うステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法。
【請求項10】
前記ケーブルシステムを引張する前記ステップの後、
前記ジグを取り外すステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築施工の技術分野に関し、特にフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、中国国内のスタジアムの集中的建設に伴い、大スパン空間構造の適用及び発展が大幅に加速している。スタジアムの大スパン屋根構造の主なタイプとして、実体構造、ラチス構造、張力構造及びそれらの組合せがある。技術的・経済的要件の向上及び新しいコンセプト、新しい材料、新しいプロセスの発展に伴い、新型スタジアムの大スパン屋根構造の形態が次々と登場しており、ケーブル膜構造、サスペンド類構造などをはじめとする一連の新型プレストレス空間構造のタイプが出現している。スタジアムの平面形状はほとんど円形又は楕円形であり、このような建物のプレストレス空間構造はフープケーブルを用いて多くのコンポーネントを連結することが多く、シンプルで効率的であり、フープケーブル付きプレストレス空間構造と呼ばれる。
【0003】
フープケーブル付きプレストレス空間構造のケーブルシステムは径方向ケーブル及び環状のフープケーブルを含み、フープケーブルは外圧リングビームの内側に設置され、フープケーブルと外圧リングビームは径方向ケーブルを介して接続され、それにより径方向ケーブルの受ける力がフープケーブルと外圧リングビームに分担され、さらにフープケーブルの受ける力が大きく、破断しやすく、フープケーブル付きプレストレス空間構造では、フープケーブルが破断すると、フープケーブルに接続される径方向ケーブルも破断し、さらにフープケーブル付きプレストレス空間構造全体が破壊され、安定性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、少なくとも従来技術の技術的課題の1つを解決することを目的とし、フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法を提供し、このフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法によって建設されたフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の安定性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法は、
コンピュータによってフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造に対して全体的なモデリング及びシミュレーション計算を行い、第1情報及び第2情報を取得するステップであって、第1情報はフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造におけるケーブルシステムのケーブルの取り付け位置及び取り付け数を含み、第2情報はフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造におけるストラットシステムのストラットの取り付け位置及び取り付け数を含み、ケーブルシステムは内フープケーブル、中間フープケーブル及び外フープケーブルを含み、ストラットシステムは第1ストラット及び第2ストラットを含むステップと、
施工地点でジグを仮設するステップと、
ジグによって、屋根を吊り下げるステップであって、屋根は外輪屋根及び中央屋根を含み、中央屋根に第1ストラットと内フープケーブルが取り付けられ、第1ストラットの一端は中央屋根に接続され、第1ストラットの他端は内フープケーブルにおける球形ノードに接続されるステップと、
第2情報に基づいて、外輪屋根に第2ストラットを取り付けるステップと、
第1情報に基づいて、中間フープケーブルが第1位置にあり、外フープケーブルが第2位置にあるように地上で中間フープケーブルと外フープケーブルを展開するステップであって、第1位置は外輪屋根における中間フープケーブルの取り付け位置の地上投影位置であり、第2位置は外輪屋根における外フープケーブルの取り付け位置の地上投影位置であるステップと、
第1情報に基づいて、中間フープケーブルにおける球形ノードと外フープケーブルにおける球形ノードが対応するストラットの下端にそれぞれ接続されるように外輪屋根に中間フープケーブルと外フープケーブルを取り付けるステップと、
ジグと屋根との固定接続を解除するステップと、
ケーブルの引張力をプリセット値にするようにケーブルシステムを引張するステップと、を含む。
【0006】
本発明に記載のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法は少なくとも以下の有益な効果を有する。本発明のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法では、まず、コンピュータによってフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造に対して全体的なモデリング及び計算シミュレーションを行い、ケーブルシステムの取り付け位置及び取り付け数に関する第1情報とストラットシステムの取り付け位置及び取り付け数に関する第2情報を得て、その後、施工地点でジグを取り付け、次に、屋根に対して全体的なリフト及び取り付けを行い、ジグによって屋根を支持して固定し、次に、外輪屋根に第2ストラットを取り付け、その後、地上で中間フープケーブルと外フープケーブルを展開し、次に、中間フープケーブルにおける球形ノードと外フープケーブルにおける球形ノードが対応するストラットの下端にそれぞれ接続されるように外輪屋根に中間フープケーブルと外フープケーブルを取り付け、その後、ジグと屋根との固定接続を解除し、最後、フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造を成形するようにケーブルシステムを引張する。本願では、内フープケーブルと第1ストラットは中央屋根に取り付けられ、第1ストラットの一端は中央屋根に接続され、第1ストラットの他端は内フープケーブルにおける球形ノードに接続されるとともに、中間フープケーブルと外フープケーブルはいずれも外輪屋根に取り付けられ、中間フープケーブルにおける球形ノードと外フープケーブルにおける球形ノードは対応するストラットの下端にそれぞれ接続されることで、屋根の重量をストラット、内フープケーブル、中間フープケーブル及び外フープケーブルに共同で分担され得て、また、内フープケーブル、中間フープケーブル及び外フープケーブルは互いに個別に力を受けることで、特定のケーブルが破断するとほかのケーブルも破断することを回避することができ、それによってフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の安定性が向上する。
【0007】
本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法では、屋根を吊り下げるステップは、
ジグによって施工地点の外側に外輪リングビームを吊り下げるステップと、
ジグによって、外縁が外輪リングビームに接続されるように外輪屋根を吊り下げるステップと、
第1情報及び第2情報に基づいて、地上で第1ストラットと内フープケーブルを中央屋根に取り付けるステップと、
中央屋根の外縁が外輪屋根の内縁に接触するように地上の中央屋根に対して全体的なリフトを行うステップと、
インサート部によって中央屋根の外縁と外輪屋根の内縁とを接続して中央屋根と外輪屋根とを固定接続するステップと、を含む。
【0008】
本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法では、地上で中間フープケーブルと外フープケーブルを展開するステップは、
第1情報に基づいて、スチールケーブルロールを地面プラットフォームに吊り上げることで、第1位置のそれぞれにスチールケーブルロールを有し、第2位置のそれぞれにスチールケーブルロールを有するステップと、
巻き揚げ機によってスチールケーブルロールのケーブルヘッドを牽引することで、ケーブルヘッドを外輪屋根のケーブルヘッドに対応するケーブルイヤープレートの地上投影に引っ張るステップと、を含む。
【0009】
本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法では、第1情報に基づいて、外輪屋根に中間フープケーブルと外フープケーブルを取り付けるステップは、
中間フープケーブルの第1部位と外フープケーブルの第2部位に球形ノードをそれぞれ取り付けるステップであって、第1部位はフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の取り付け完了後、中間フープケーブルの地上投影とほかのケーブルの地上投影とが交差する部位であり、第2部位はフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の取り付け完了後、外フープケーブルの地上投影とほかのケーブルの地上投影とが交差する部位であるステップと、
第1情報に基づいて、中間フープケーブル及び外フープケーブルのケーブルヘッドを外輪屋根のそれぞれに対応するケーブルイヤープレートにそれぞれ接続するステップと、
径方向交差ケーブルクランプによって地上投影が重なる2つの球形ノードを対応するストラットの下端に接続するステップと、を含む。
【0010】
本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法では、中間フープケーブル及び外フープケーブルのケーブルヘッドを外輪屋根のそれぞれに対応するケーブルイヤープレートにそれぞれ接続するステップは、
中間フープケーブルのケーブルヘッドが外輪屋根の対応するケーブルイヤープレートに接近するようにタワークレーンによって中間フープケーブルのケーブルヘッドをリフトするステップと、
中間フープケーブルのケーブルヘッドを外輪屋根の対応するケーブルイヤープレートに接続するステップと、
外フープケーブルのケーブルヘッドが外輪屋根の対応するケーブルイヤープレートに接近するようにタワークレーンによって外フープケーブルのケーブルヘッドをリフトして取り付けるステップと、
外フープケーブルのケーブルヘッドを外輪屋根の対応するケーブルイヤープレートに接続するステップと、を含む。
【0011】
本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法では、ジグと屋根との固定接続を解除する前に、
第1ストラット及び第2ストラットの両方の下端点の位置を測定して第3情報を得るステップと、
第3情報を第2情報と比較するステップと、
第3情報が第2情報と一致すると、ジグと屋根との固定接続を解除するステップと、をさらに含む。
【0012】
本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法では、ジグと屋根との固定接続を解除するステップは、
屋根がジグに対して水平方向及び上向き方向に移動可能になるようにジグと屋根間の溶接継ぎ目を切断するステップを含む。
【0013】
本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法では、ケーブルシステムを引張するステップは、
内フープケーブル、中間フープケーブル及び外フープケーブルがいずれも70%のプレストレスを受けるように内フープケーブル、中間フープケーブル及び外フープケーブルに対して順に70%プレストレスの引張を行うステップと、
外フープケーブル、中間フープケーブル及び内フープケーブルがいずれも100%のプレストレスを受けるように外フープケーブル、中間フープケーブル及び内フープケーブルに対して順に100%プレストレスの引張を行うステップと、を含む。
【0014】
本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法では、ケーブルシステムを引張するステップは、
ケーブルシステムの各ケーブルの受ける応力を検出し、各ケーブルの受ける応力が対応するプリセット値に達するか否かを判定するステップと、
受ける応力が対応するプリセット値に達していないケーブルがあると、対応するプリセット値に達するように引張調整を行うステップと、をさらに含む。
【0015】
本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法では、ケーブルシステムを引張した後、
ジグを取り外すステップをさらに含む。
【0016】
本発明の付加的な態様及び利点について、一部は以下の説明に記載されており、一部は以下の説明から明らかになるか、又は本発明の実践により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0018】
【
図1】本発明の一実施例におけるフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施例における屋根を吊り下げる一実施形態のフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施例における地上で中間フープケーブルと外フープケーブルを展開する一実施形態のフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施例における外輪屋根に中間フープケーブルと外フープケーブルを取り付ける一実施形態のフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施例における中間フープケーブル及び外フープケーブルのケーブルヘッドを外輪屋根のそれぞれに対応するケーブルイヤープレートにそれぞれ接続する一実施形態のフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施例におけるジグと屋根との固定接続を解除する一実施形態のフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施例におけるケーブルシステムを引張する一実施形態のフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施例におけるフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の構造模式図である。
【
図9】
図8に示すフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の上面図である。
【
図10】本発明の一実施例におけるストラットと上ノードとの取り付けの模式図である。
【
図11】本発明の一実施例におけるストラットと上ノードとの組立の模式図である。
【
図12】本発明の一実施例における球形ノードとストラットとの組立の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本部分は本発明の具体的な実施例を詳細に説明し、本発明の好適な実施例は図面に示され、図面の作用は図で明細書の文字部分の説明を補足することであり、それによって本発明の各技術的特徴及び全体的な技術的解決手段を直感的で如実に理解できるが、本発明の保護範囲を限定するものではないと理解すべきである。
【0020】
本発明の説明では、理解する必要がある点として、方位の説明について、例えば、上、下、前、後、左、右などで指示される方位又は位置関係は図示に基づく方位又は位置関係であり、単に本発明の説明を簡単化及び簡素化するためのものであり、係る装置又は素子が特定の方位を有したり、特定の方位で構成及び操作されたりしなければならないことを指示又は暗示しないため、本発明を限定するためのものではないと理解すべきである。
【0021】
本発明の説明では、複数の意味は1つ又は複数であり、複数の意味は2つ以上であり、超え、未満、超過などはその数を含まないと理解され、以上、以下、以内などはその数を含むと理解される。第1、第2が記載されている場合、単に技術的特徴を区別することを目的とするが、相対的な重要性を指示又は暗示したり指示される技術的特徴の数を暗黙的に指示したり、指示される技術的特徴の順序関係を暗黙的に指示したりするものではないと理解すべきである。
【0022】
本発明の説明では、特に明確な限定がない限り、設置、取り付け、接続などの用語は広義に理解されるべきであり、当業者は技術的解決手段の具体的な内容と組み合わせて本発明における上記用語の具体的な意味を適切に決定することができる。
【0023】
以下、
図1~
図12を参照しながら本発明のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法を詳細に説明する。
【0024】
図1を参照し、本発明の実施例に係るフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工方法は、
コンピュータによってフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造に対して全体的なモデリング及びシミュレーション計算を行い、第1情報及び第2情報を取得するステップS100であって、第1情報はフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造におけるケーブルシステムのケーブル300の取り付け位置及び取り付け数を含み、第2情報はフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造におけるストラットシステムのストラット200の取り付け位置及び取り付け数を含み、ケーブルシステムは内フープケーブル310、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330を含み、ストラットシステムは第1ストラット及び第2ストラットを含むステップS100と、
施工地点でジグを仮設するステップS200と、
ジグによって、屋根100を吊り下げるステップS300であって、屋根100は外輪屋根120および中央屋根110を含み、中央屋根110に第1ストラットと内フープケーブル310が取り付けられ、第1ストラットの一端は中央屋根110に接続され、第1ストラットの他端は内フープケーブル310における球形ノード340に接続されるステップS300と、
第2情報に基づいて、外輪屋根120に第2ストラットを取り付けるステップS400と、
第1情報に基づいて、中間フープケーブル320が第1位置にあり、外フープケーブル330が第2位置にあるように地上で中間フープケーブル320と外フープケーブル330を展開するステップS500であって、第1位置は外輪屋根120における中間フープケーブル320の取り付け位置の地上投影位置であり、第2位置は外輪屋根120における外フープケーブル330の取り付け位置の地上投影位置であるステップS500と、
第1情報に基づいて、中間フープケーブル320における球形ノード340と外フープケーブル330における球形ノード340が対応するストラット200の下端にそれぞれ接続されるように外輪屋根120に中間フープケーブル320と外フープケーブル330を取り付けるステップS600と、
ジグと屋根100との固定接続を解除するステップS700と、
各ケーブル300の引張力が対応するプリセット値に達するようにケーブルシステムを引張するステップS800と、を含む。
【0025】
理解できるように、本発明の実施例では、まず、コンピュータによってフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造に対して全体的なモデリング及び計算シミュレーションを行い、ケーブルシステムの取り付け方式に関する第1情報及びストラットシステムの取り付け方式に関する第2情報を得て、その後、施工地点でジグを取り付け、次に、中央屋根110に内フープケーブル310と第1ストラットを取り付け、屋根100に対して全体的なリフト及び取り付けを行い、ジグによって屋根100を支持して固定し、次に、外輪屋根120に第2ストラットを取り付け、その後、地上で中間フープケーブル320と外フープケーブル330を展開し、次に、中間フープケーブル320における球形ノード340と外フープケーブル330における球形ノード340が対応するストラット200の下端にそれぞれ接続されるように外輪屋根120に中間フープケーブル320と外フープケーブル330を取り付け、その後、ジグと屋根100との固定接続を解除し、最後、ケーブル300のプレストレスがプリセット値に達するようにケーブルシステムを引張し、それによってフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造を成形する。本実施例では、内フープケーブル310と第1ストラットは中央屋根110に取り付けられ、第1ストラットの一端は中央屋根110に接続され、第1ストラットの他端は内フープケーブル310における球形ノード340に接続されるとともに、中間フープケーブル320と外フープケーブル330はいずれも外輪屋根120に取り付けられ、中間フープケーブル320における球形ノード340と外フープケーブル330における球形ノード340は対応するストラット200の下端にそれぞれ接続されることで、屋根100の重量をストラット200、内フープケーブル310、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330に共同で分担され得て、また、内フープケーブル310、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330は互いに個別に力を受けることで、特定のケーブル300が破断するとほかのケーブル300も破断することを回避することができ、それによってフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の安定性が向上する。
【0026】
なお、
図8及び
図9を参照し、フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造は屋根100、ケーブルシステム及びストラットシステムを含んでもよく、屋根100は中央屋根110、外輪屋根120及び外輪リングビーム130を含んでもよく、外輪屋根120の外縁は外輪リングビーム130に接続され、中央屋根110の外縁と外輪屋根120の内縁はインサート部によって接続され、ケーブルシステムは複数のケーブル300を含んでもよく、複数のケーブル300は屋根100における取り付け位置に応じて3つの部分に分けられ、それぞれ内フープケーブルアセンブリ、中間フープケーブルアセンブリ及び外フープケーブルアセンブリであり、内フープケーブルアセンブリは中央屋根110の下端に取り付けられてもよく、中間フープケーブルアセンブリ及び外フープケーブルアセンブリはいずれも外輪屋根120の下端に取り付けられてもよく、ストラットシステムは第1ストラット及び第2ストラットを含んでもよく、第1ストラットは中央屋根110の下端に取り付けられてもよく、第2ストラットは外輪屋根120の下端に取り付けられてもよく、内フープケーブルアセンブリと中央屋根110との間に第1ストラットが接続され、中間フープケーブルアセンブリと外輪屋根120との間に第2ストラットが接続され、外フープケーブルアセンブリと外輪屋根120との間に第2ストラットが接続される。
【0027】
具体的には、
図9を参照し、内フープケーブルアセンブリは2つの内フープケーブルユニットを含んでもよく、各内フープケーブルユニットは3本の内フープケーブル310を含んでもよく、内フープケーブルユニットの地上投影は正三角形であってもよく、2つの内フープケーブルユニットの中心はいずれも屋根100の中心と重なってもよく、2つの内フープケーブルユニットは屋根100の中心の周りに60°おきに分布してもよく、中間フープケーブルアセンブリは2つの中間フープケーブルユニットを含んでもよく、中間フープケーブルユニットは3本の中間フープケーブル320を含み、中間フープケーブルユニットの地上投影は正三角形であってもよく、2つの中間フープケーブルユニットの中心はいずれも屋根100の中心と重なってもよく、2つの中間フープケーブルユニットは屋根100の中心の周りに60°おきに分布してもよく、外フープケーブルアセンブリは3つの外フープケーブルユニットを含んでもよく、外フープケーブルユニットは4本の外フープケーブル330を含んでもよく、外フープケーブルユニットの地上投影は正四角形、3つの外フープケーブルユニットの中心はいずれも屋根100の中心と重なってもよく、3つの外フープケーブルユニットは屋根100の中心の周りに30°おきに分布してもよい。内フープケーブル310に球形ノード340が取り付けられてもよく、地上投影が交差する2本の内フープケーブル310における球形ノード340は上下に重なり、これら2つの球形ノード340はいずれも径方向交差ケーブルクランプ400によって対応する第1ストラットの下端に接続され、中間フープケーブル320に球形ノード340が取り付けられてもよく、地上投影が交差する2本の中間フープケーブル320における球形ノード340は上下に重なり、これら2つの球形ノード340はいずれも径方向交差ケーブルクランプ400によって対応する第1ストラットの下端に接続され、外フープケーブル330に球形ノード340が取り付けられてもよく、地上投影が交差する2本の外フープケーブル330における球形ノード340は上下に重なり、これら2つの球形ノード340はいずれも径方向交差ケーブルクランプ400によって対応する第2ストラットの下端に接続される。ケーブルシステムにおける複数の内フープケーブル310、複数の中間フープケーブル320及び複数の外フープケーブル330を組み合わせてフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の受ける力を分担することで、1本のケーブル300の受ける力が大きすぎて潰れることを回避し、さらにフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造全体の安定性が向上する。
【0028】
具体的には、
図2を参照し、本発明のいくつかの実施例では、ステップS300では、屋根100を吊り下げるステップは以下のステップS310~S350を含む。
【0029】
ステップS310:ジグによって、施工地点の外側に外輪リングビーム130を吊り下げる。
【0030】
ステップS320:ジグによって、外縁が外輪リングビーム130に接続されるように外輪屋根120を吊り下げる。
【0031】
ステップS330:第1情報及び第2情報に基づいて、地上で第1ストラットと内フープケーブル310を中央屋根110に取り付け、具体的には、ストラット200はストラット本体210、ケーブルクランプノード220及びユニバーサルジョイントノード230を含んでもよく、ケーブルクランプノード220とユニバーサルジョイントノード230はそれぞれストラット本体210の両端に設けられる。
図10及び
図11に示すように、ユニバーサルジョイントノード230に係合部231が設けられ、屋根100に上ノード101が取り付けられ、上ノード101の下端には係合部231の端部にマッチングする係合溝が設けられ、係合部231は係合溝に部分的に挿入可能であり、ユニバーサルジョイントノード230と上ノード101との接続箇所に下ノード102がさらに設けられ、下ノード102の中部に環状切欠きが開けられ、ストラット200が屋根100に取り付けられている場合、係合部は環状切欠きを貫通して係合溝に部分的に挿入可能であり、それにより球面可動接続構造が形成され、下ノード102はボルトを介して上ノード101に着脱可能に接続されてもよい。
【0032】
ステップS340:中央屋根110の外縁が外輪屋根120の内縁に接触するように地上の中央屋根110に対して全体的なリフトを行う。
【0033】
ステップS350:インサート部によって中央屋根110の外縁と外輪屋根120の内縁とを接続して中央屋根110と外輪屋根120とを固定接続する。
【0034】
理解できるように、第1情報はフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造におけるケーブルシステムのケーブル300の取り付け位置及び取り付け数であり、第2情報はフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造におけるストラットシステムのストラット200の取り付け位置及び取り付け数であり、作業者は、第1情報に基づいて、中央屋根110における内フープケーブル310の取り付け数及び取り付け位置を決定し、第2情報に基づいて、中央屋根110における第1ストラットの取り付け数及び取り付け位置を決定することができ、また、中央屋根110が地上にある時、第1ストラットと内フープケーブル310を中央屋根110に取り付け、取り付けプロセスが簡単で安全であり、それによって中央屋根110を吊り下げた後に作業者が内フープケーブル310と第1ストラットを取り付けるための高所作業を回避することができる。
【0035】
図3を参照し、本発明のいくつかの実施例では、ステップS500では、地上で中間フープケーブル320と外フープケーブル330を展開するステップは、
第1情報に基づいて、スチールケーブルロールを地面プラットフォームに吊り上げることで、第1位置のそれぞれにスチールケーブルロールを有し、第2位置のそれぞれにスチールケーブルロールを有するステップS510と、
巻き揚げ機によってスチールケーブルロールのケーブルヘッドを牽引することで、ケーブルヘッドを外輪屋根120のケーブルヘッドに対応するケーブルイヤープレートの地上投影に引っ張るステップS520と、を含む。
【0036】
理解できるように、第1位置は外輪屋根120における中間フープケーブル320の取り付け位置の地上投影位置であり、第2位置は外輪屋根120における外フープケーブル330の取り付け位置の地上投影位置であり、第1位置のそれぞれにスチールケーブルロールを配置し、第2位置のそれぞれにスチールケーブルロールを配置することで、作業者は第1位置又は第2位置でケーブル展開をきちんと行い、混乱を回避することができ、フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造では、ケーブル300のケーブルヘッドがケーブルイヤープレートを介して屋根100に接続され、ケーブル300のケーブルヘッドが対応するケーブルイヤープレートの地上投影に位置するように地上でケーブル展開を行うことで、作業者は後続のケーブル300の取り付け中、ケーブルヘッドに対応するケーブルイヤープレートを迅速に見つけることができ、さらにフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の取り付け効率を向上させる。
【0037】
図4を参照し、本発明のいくつかの実施例では、ステップS600では、第1情報に基づいて、外輪屋根120に中間フープケーブル320と外フープケーブル330を取り付けるステップはステップS610~S630を含む。
【0038】
ステップS610:中間フープケーブル320の第1部位と外フープケーブル330の第2部位に球形ノード340をそれぞれ取り付け、第1部位はフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の取り付け完了後、中間フープケーブル320の地上投影とほかのケーブル300の地上投影が交差する部位であり、第2部位はフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の取り付け完了後、外フープケーブル330の地上投影とほかのケーブル300の地上投影が交差する部位である。
【0039】
ステップS620:第1情報に基づいて、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330のケーブルヘッドを外輪屋根120のそれぞれに対応するケーブルイヤープレートにそれぞれ接続する。
【0040】
ステップS630:径方向交差ケーブルクランプ400によって地上投影が重なる2つの球形ノード340を対応するストラット200の下端に接続する。具体的には、
図12を参照し、ケーブルクランプノード220の端面に取り付け溝が設けられ、径方向交差ケーブルクランプ400はジョイントノードクランプ410及びクランプカバー420を含み、ジョイントノードクランプ410の上端中部に第1球面溝が開けられ、ジョイントノードクランプ410の下端中部に第2球面溝が開けられ、クランプカバー420の上端中部に第3球面溝が開けられ、径方向交差ケーブルクランプ400を使用する時、第1球面溝内に1つの球形ノード340を配置し、その後、ジョイントノードクランプ410の上端とケーブルクランプノード220の端面とを固定接続することで、この球形ノード340を取り付け溝と第1球面溝との間に係合し、第3球面溝内にもう1つの球形ノード340を配置し、その後、クランプカバー420の上端とジョイントノードクランプ410の下端とを接続することで、この球形ノード340を第2球面溝と第3球面溝との間に係合する。
【0041】
理解できるように、高所で球形ノード340を取り付けることを回避するために、本実施例では、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330がいずれも地上にある時、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330に球形ノード340をそれぞれ取り付ける。
【0042】
理解できるように、中間フープケーブル320と外フープケーブル330の取り付け完了後にそれらにおける球形ノード340の位置を調整することを回避するために、中間フープケーブル320と外フープケーブル330がまだ地上にある時、中間フープケーブル320の第1部位に球形ノード340を取り付け、外フープケーブル330の第2部位に球形ノード340を取り付ける。
【0043】
さらに、
図5を参照し、ステップS620では、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330のケーブルヘッドを外輪屋根120のそれぞれに対応するケーブルイヤープレートにそれぞれ接続するステップは、
中間フープケーブル320のケーブルヘッドが外輪屋根120の対応するケーブルイヤープレートに接近するようにタワークレーンによって中間フープケーブル320のケーブルヘッドをリフトするステップS621と、
中間フープケーブル320のケーブルヘッドを外輪屋根120の対応するケーブルイヤープレートに接続するステップS622と、
外フープケーブル330のケーブルヘッドが外輪屋根120の対応するケーブルイヤープレートに接近するようにタワークレーンによって外フープケーブル330のケーブルヘッドをリフトして取り付けるステップS623と、
外フープケーブル330のケーブルヘッドを外輪屋根120の対応するケーブルイヤープレートに接続するステップS624と、を含む。
【0044】
理解できるように、タワークレーンを用いて外フープケーブル330のケーブルヘッドをリフトして取り付けること以外、いくつかのスタジアムのような観覧席がある建物のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の施工プロセスでは、作業者は観覧席で外フープケーブル330のケーブルヘッドのリフト及び取り付けを行うことができる。
【0045】
図6を参照し、本発明のいくつかの実施例では、ステップS700では、ジグと屋根100との固定接続を解除するステップは、
第1ストラット及び第2ストラットの両方の下端点の位置を測定して第3情報を得るステップS710と、
第3情報を第2情報と比較するステップS720と、
第3情報が第2情報と一致すると、ジグと屋根100との固定接続を解除するステップS730と、をさらに含む。
【0046】
理解できるように、ストラットシステム及びケーブルシステムの取り付け完了後、内フープケーブル310と中央屋根110との間に第1ストラットが接続され、中間フープケーブル320と外輪屋根120との間、及び外フープケーブル330と外輪屋根120との間にそれぞれ第2ストラットが接続され、ケーブル300の取り付け位置が誤ると、第1ストラット又は第2ストラットの少なくとも一方の位置がずれ、その結果、第1ストラット又は第2ストラットの少なくとも一方の下端点の位置はコンピュータによりモデリングされたモデルと一致しない。第1ストラット及び第2ストラットの両方の下端点の位置を測定して第3情報を得て、第3情報を第2情報と比較し、施工問題が発生した場合、作業者は第3情報と第2情報とを比較して問題が発生したストラット200を見つけ、さらに問題が発生したストラット200を介して問題が発生したケーブル300を見つけることができ、それによって作業者は発生した施工問題をタイムリーに解決することができ、第3情報が第2情報と同じであり、即ち、施工プロセスに誤りがない場合、ストラットシステムとケーブルシステムの取り付けが正確であり、ジグと屋根100との固定接続を解除することができる。
【0047】
さらに、ステップS730では、ジグと屋根100との固定接続を解除するステップは、
屋根100がジグに対して水平方向及び上向き方向に移動可能になるようにジグと屋根100間の溶接継ぎ目を切断するステップS731を含む。
【0048】
理解できるように、屋根100の取り付け中、屋根100における各構造間の接続がまだ強固ではなく、ジグで屋根100の各構造の固定を補助するように屋根100とジグとを溶接固定する必要があり、ケーブルシステムの引張中、ケーブル300の駆動下で屋根100の部分領域が変形する。ジグと屋根100間の溶接継ぎ目を切断することで、屋根100がジグに対して水平方向及び上向き方向に移動することを可能にし、それによってケーブルシステムの引張中、屋根100の部分領域の受ける応力の変化に適応するように屋根100の部分領域が変形可能である。
【0049】
図7を参照し、本発明のいくつかの実施例では、ステップS800では、ケーブルシステムを引張するステップは、
内フープケーブル310、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330がいずれも70%のプレストレスを受けるように内フープケーブル310、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330に対して順に70%プレストレスの引張を行うステップS810と、
外フープケーブル330、中間フープケーブル320及び内フープケーブル310がいずれも100%のプレストレスを受けるように外フープケーブル330、中間フープケーブル320及び内フープケーブル310に対して順に100%プレストレスの引張を行うステップS820と、を含むが、これらに限定されない。
【0050】
理解できるように、まず、内フープケーブル310、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330に対して順に70%プレストレスの引張を行い、次に、外フープケーブル330、中間フープケーブル320及び内フープケーブル310に対して順に100%プレストレスの引張を行うことで、ケーブルシステムの引張中、フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造における各構造の受ける応力を徐々に変化させ、さらにケーブルシステムの引張中のフープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造の安定性が向上する。
【0051】
なお、内フープケーブル310に対する70%プレストレスの引張中、作業者は、まず内フープケーブル310の仕様に応じて対応する引張ツーリングを組み立て、その後、内フープケーブル310と中央屋根110との接続箇所に引張ツーリングを取り付け、次に、引張ツーリングに接続されるようにセンターホールジャッキを取り付け、次に、オイルポンプがセンターホールジャッキを駆動し、センターホールジャッキが引張ツーリングを駆動して内フープケーブル310を引張し、それにより1つの引張周期を完了する。内フープケーブル310の受ける応力が70%のプレストレスに達するまで内フープケーブル310に対して複数の引張周期を連続的に行い、このとき、オイルポンプの油圧計の数値を読み取る必要がある。内フープケーブル310に対して1つの引張周期を行う中、内フープケーブル310のスクリュースリーブに隙間が発生した場合、作業者はチェーンプライヤーでスクリューを締め付けることができる。内フープケーブル310に対して70%プレストレスの引張を行った後、油圧計の数値を内フープケーブル310におけるひずみゲージの数値と比較して校正する必要があり、それによって誤差がプリセット範囲にあることが確保される。
【0052】
これに対応して、中間フープケーブル320及び外フープケーブル330に対して70%プレストレスの引張を行うこと、及び外フープケーブル330、中間フープケーブル320及び内フープケーブル310に対して100%プレストレスの引張を行うことは、上記ステップと同様である。
【0053】
さらに、
図7を参照し、ステップS800では、ケーブルシステムを引張するステップは、
ケーブルシステムの各ケーブル300の受ける応力を検出し、各ケーブル300の受ける応力が対応するプリセット値に達するか否かを判定するステップS830と、
受ける応力が対応するプリセット値に達していないケーブルがあると、対応するプリセット値に達するように引張調整を行うステップS840と、をさらに含む。
【0054】
理解できるように、プリセット値はケーブル300の受ける応力の予め設定された範囲値であり、ケーブルシステムを引張した後、施工誤差によっていくつかのケーブル300の受ける応力が予め設定された範囲値外になることがあり、このとき、作業者は各ケーブル300の受ける応力を検出し、各ケーブル300の受ける応力が対応するプリセット値に達するか否かを判定し、ケーブル300の受ける応力が対応するプリセット値に達すると、ケーブル300の受ける力は正常で、調整する必要がなく、受ける応力が対応するプリセット値に達していないケーブル300があると、このケーブル300の受ける応力は異常であり、作業者は受ける力が異常なケーブル300を見つけ、受ける力が異常なケーブル300を正常に調整することができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施例では、ケーブルシステムを引張した後、
ジグを取り外すステップS900をさらに含む。
【0056】
理解できるように、ケーブルシステムを引張した後、フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造が安定状態にあり、フープケーブルフリーサスペンドラチスシェル構造を使用可能にするようにジグを取り外す必要がある。
【0057】
本発明の実施例を示して説明したが、当業者であれば、本発明の原理及び趣旨を逸脱せずにこれらの実施例に対して種々の変化、変更、置換や変形を行うことができると理解でき、本発明の範囲は特許請求の範囲及びその同等物により定められる。
【符号の説明】
【0058】
100 屋根
101 上ノード
102 下ノード
110 中央屋根
120 外輪屋根
130 外輪リングビーム
200 ストラット
210 ストラット本体
220 ケーブルクランプノード
230 ユニバーサルジョイントノード
231 係合部
300 ケーブル
310 内フープケーブル
320 中間フープケーブル
330 外フープケーブル
340 球形ノード
400 径方向交差ケーブルクランプ
410 ジョイントノードクランプ
420 クランプカバー