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特許7480400付加製造システムのためのリコートアセンブリ及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】付加製造システムのためのリコートアセンブリ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/205 20170101AFI20240430BHJP
   B29C 64/218 20170101ALI20240430BHJP
   B29C 64/188 20170101ALI20240430BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240430BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240430BHJP
【FI】
B29C64/205
B29C64/218
B29C64/188
B33Y10/00
B33Y30/00
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118122
(22)【出願日】2023-07-20
(65)【公開番号】P2024024594
(43)【公開日】2024-02-22
【審査請求日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】17/869,472
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スタール、ジョン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-067116(JP,A)
【文献】特開2021-079609(JP,A)
【文献】特表2019-535904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造システム(100)のためのリコートアセンブリ(200)であって、
造形材料(31)に接触し、前記造形材料(31)を移動させ、広げ、平坦化するローラ(420)を備える第1の収容部材(410)と、
前記第1の収容部材(410)に枢動可能に結合され、前記第1の収容部材(410)に対して第1の位置から第2の位置まで枢動可能な第2の収容部材(412)であって、前記第2の収容部材(412)の内部キャビティが前記第1の収容部材(410)の基部フレーム(604、606)によって部分的に確定され、前記第2の収容部材(412)が前記第1の位置にあるときに前記ローラ(420)が前記リコートアセンブリ(200)の粉体封入部内に封入され、かつ前記第2の収容部材(412)が前記第1の収容部材(410)の前記基部フレーム(604、606)から離れるように前記第2の位置まで枢動することにより前記ローラ(420)が露出される、第2の収容部材(412)と、
を備えるリコートアセンブリ。
【請求項2】
前記粉体封入部が、
第1の端部(614)及び第2の端部(616)を有する内側シュラウド(602)であって、前記第1の端部(614)及び前記第2の端部(616)がそれぞれ前記ローラ(420)の対向する側に隣接し、前記ローラ(420)を少なくとも部分的に取り囲む内側シュラウド(602)と、
前記内側シュラウド(602)の前記第1の端部(614)に最も近い第1の外側シュラウド壁(652)と、
前記内側シュラウド(602)の前記第2の端部(616)に最も近い第2の外側シュラウド壁(654)と、を含む、
請求項1に記載のリコートアセンブリ(200)。
【請求項3】
前記リコートアセンブリ(200)の前記第1の収容部材(410)は、前記内側シュラウド(602)の第1のセグメントと、前記内側シュラウド(602)の前記第1の端部(614)に最も近い第1の外側シュラウド壁(652)と、をさらに備え、
前記リコートアセンブリ(200)の前記第2の収容部材(412)は、前記内側シュラウド(602)の第2のセグメントと、前記内側シュラウド(602)の前記第2の端
部(616)に最も近い第2の外側シュラウド壁(654)と、をさらに備える、
請求項2に記載のリコートアセンブリ(200)。
【請求項4】
第1の長手方向端部と、
前記リコートアセンブリ(200)の前記第1の長手方向端部における横方向アクチュエータ(144)であって、第1のガイド(184)に結合される横方向アクチュエータ(144)と、
前記リコートアセンブリ(200)の第2の長手方向端部であって、第2のガイド(182)に取り付けられる第2の長手方向端部と、
をさらに備える、請求項1に記載のリコートアセンブリ(200)。
【請求項5】
前記第2の収容部材(412)は、粉体プラウ(442)を含む、請求項1に記載のリコートアセンブリ(200)。
【請求項6】
前記第2の収容部材(412)を前記第1の収容部材(410)に対して枢動させるように構成された空気圧式アクチュエータ(700)をさらに備える、請求項1に記載のリコートアセンブリ(200)。
【請求項7】
前記空気圧式アクチュエータ(700)は、前記第2の収容部材(412)の支持アームに固定的に結合され、
前記第2の収容部材(412)の前記支持アームは、前記第1の収容部材(410)の前記支持アームに枢動可能に結合されている、
請求項6に記載のリコートアセンブリ(200)。
【請求項8】
リフトアシストをさらに備え、
前記リフトアシストの第1の端部(614)は、前記リコートアセンブリ(200)の前記第1の収容部材(410)に枢動可能に結合され、
前記リフトアシストの第2の端部(616)は、前記リコートアセンブリ(200)の前記第2の収容部材(412)に枢動可能に結合され、
前記リフトアシストは、前記リコートアセンブリ(200)の前記第2の収容部材(412)を前記第2の位置に付勢する、
請求項1に記載のリコートアセンブリ(200)。
【請求項9】
係止棒(800)をさらに備え、
前記係止棒(800)の第1の端部(802)は、前記リコートアセンブリ(200)の前記第1の収容部材(410)に枢動可能に結合され、
前記係止棒(800)の第2の端部(804)は、前記リコートアセンブリ(200)の前記第2の収容部材(412)が前記第2の位置にあるときに、前記リコートアセンブリ(200)の前記第2の収容部材(412)に選択的に結合可能であり、
前記係止棒(800)は、前記係止棒(800)の前記第2の端部(804)が前記第2の収容部材(412)に結合されているときに、前記第2の収容部材(412)を前記第2の位置に維持する、
請求項1に記載のリコートアセンブリ(200)。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のリコートアセンブリ(200)を備える、付加製造システム(100)。
【請求項11】
第1のガイド(184)と、第2のガイド(182)とをさらに備え、
前記リコートアセンブリ(200)は、
第1の長手方向端部と、
前記リコートアセンブリ(200)の前記第1の長手方向端部にある横方向アクチュエータ(144)であって、前記第1のガイド(184)に結合されている横方向アクチュエータ(144)と、
前記リコートアセンブリ(200)の第2の長手方向端部であって、前記第2のガイド(182)に取り付けられている第2の長手方向端部と、をさらに備える、
請求項10に記載の付加製造システム(100)。
【請求項12】
前記リコートアセンブリ(200)は、前記第2の収容部材(412)の支持アームに固定的に結合された空気圧式アクチュエータ(700)をさらに備え、前記第2の収容部材(412)の前記支持アームは、前記第1の収容部材(410)の支持アームに枢動可能に結合される、請求項10に記載の付加製造システム(100)。
【請求項13】
請求項1に記載のリコートアセンブリ(200)のローラ(420)にアクセスする方法であって、
前記リコートアセンブリ(200)の前記第2の収容部材(412)を、前記リコートアセンブリ(200)の前記第1の収容部材(410)に対して前記第1の位置から前記第2の位置まで枢動させることを含む、
方法。
【請求項14】
前記第2の収容部材(412)を枢動させる前に、前記リコートアセンブリ(200)を造形チャンバ内のアクセス位置に移動させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記リコートアセンブリ(200)を前記アクセス位置に移動させることが、
横方向アクチュエータ(144)によって、前記リコートアセンブリ(200)の第1の長手方向端部において、前記リコートアセンブリ(200)を第1のガイド(184)に沿って駆動することと、
前記リコートアセンブリ(200)の第2の長手方向端部において、前記リコートアセンブリ(200)を第2ガイド(182)に沿って案内することと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は付加製造コンポーネントに関し、より具体的には、付加製造システムのためのリコートアセンブリ及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造プロセスでは、例えば、リコートアセンブリは、造形領域にわたって粉体を平坦化又は分配するために使用され得る。造形材料又は粉体が造形プロセス全体にわたってエアロゾル化されると、粉体及び他の汚染物質がローラの表面上に堆積してローラを汚染し、その後に造形領域を通過する際に、粉体を平坦化する際の効率を低下させる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1図1は、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による例示的な付加製造システムを概略的に示す図である。
図2図2は、図1の付加製造システム内の例示的な造形材料の拡大図を概略的に示す図である。
図3図3は、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、リコートアセンブリの例示的な実施形態の斜視図を概略的に示す図である。
図4図4は、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、閉じた構成における例示的なリコートアセンブリの斜視図を概略的に示す図である。
図5図5は、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、開いた構成における図4のリコートアセンブリの斜視図を概略的に示す図である。
図6図6は、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、閉じた構成におけるリコートアセンブリの断面図を概略的に示す図である。
図7図7は、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、開いた構成における図6のリコートアセンブリの断面図を概略的に示す図である。
図8図8は、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態による、開いた構成におけるリコートアセンブリの断面図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示は、付加製造システムのためのリコートアセンブリ及びその使用方法に関する。リコートアセンブリのローラは、造形材料又は粉体の堆積物で汚染される可能性がある。このため、汚染されたローラを識別及び/又は交換するために、リコートアセンブリのローラに視覚的及び/又は物理的にアクセスできることが必要な場合がある。現在のリコートアセンブリは、完全に露出したローラを含む。完全に露出したローラは、造形プロセス中、常に視覚的にアクセス可能であるかもしれない。しかしながら、完全に露出していると、製造装置の残りの部分が、エアロゾル化した粉体の堆積物で汚染されることが多い。他の現行のリコートアセンブリは、エアロゾル化粉体を含み得る密閉されたローラを含むことができるが、ローラに視覚的又は物理的にアクセスするためにリコートアセンブリから取り外さなければならない1つ以上の部品を含む場合もある。このようなリコートアセンブリは、全体的な造形効率を大幅に低下させる可能性があり、リコートアセンブリを分解するために造形の不活性環境を壊すことが必要な場合もある。他の現行のリコートアセンブリには、リコートアセンブリを分解することなくローラに視覚的にアクセスできるように、複数の軸で移動又は回転し得る多関節型(articulating)リコートアセンブリが含まれる場合がある。しかしながら、このようなアセンブリは、リコートアセンブリの複数の軸で関節運動する性質(articulating nature)がローラなどのリコートアセンブリの重要なコンポーネントの構造的安定性を低下させるので、造形プロセス全体を通して再現性及び精度が低下するという特徴を有する場合がある。
【0005】
本明細書に記載の実施形態は、上述の欠点の1つ以上に対処する。特に、本明細書の実施形態は、粉体汚染を低減するために、粉体封入部(powder containment section)内に配置されたローラを有するリコートアセンブリを提供する。ローラに視覚的又は物理的にアクセスするために、リコートアセンブリの選択された部分は、粉体封入部内でローラを露出させるように枢動可能(pivotable)である。再現性を高めるために、リコートアセンブリの重要なコンポーネント、例えばローラは、枢動可能ではない。加えて、リコートアセンブリの重要なコンポーネントは、1つの座標軸に沿ってのみ移動可能であってもよく、造形プロセスにおける安定性及び再現性を高めることができる。
【0006】
本明細書では、範囲は、「約(およそ)」1つの特定の値から、及び/又は「約(およそ)」別の特定の値までとして表すことができる。そのような範囲が表現される場合、別の態様には、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用によって値が近似値として表現される場合、特定の値は別の態様を形成することが理解されよう。各範囲の端点(上端及び下端)は、他方の端点との関係においても重要であり、他方の端点から独立した意味においても重要であることが理解されよう。
【0007】
本明細書で使用される方向用語(例えば、上、下、右、左、前、後、上、下)は、描かれた図を基準としてのみ使用されるものであり、特に明示しない限り、絶対的な方向を意味することを意図するものではない。
【0008】
本明細書で使用される「通信可能に結合される」という語句は、様々なコンポーネントの相互接続性を説明するために使用され、コンポーネントがワイヤ、光ファイバ、又はワイヤレスのいずれかを介して接続され、その結果、コンポーネント間で電気信号、光信号、及び/又は電磁気信号が交換され得ることを意味する。
【0009】
特に明示しない限り、本明細書に記載されるいかなる方法も、そのステップが特定の順序で実行されることを要件とすると解釈されることは決して意図されておらず、また、いかなる装置についても特定の向きを要件とすることは決して意図されていない。したがって、方法クレームがそのステップに従うべき順序を実際には記載していない場合、又は任意の装置クレームが個々のコンポーネントに対する順序又は向きを実際には記載していない場合、又はステップを特定の順序に限定すべきことが特許請求の範囲又は明細書に具体的に記載されていない場合、又は装置のコンポーネントに対する特定の順序又は向きが記載されていない場合、いかなる点においても順序又は向きが推測されることは決して意図されていない。これは、ステップの配置、動作フロー、コンポーネントの順序、又はコンポーネントの向きに関する論理的事項や、文法的構成又は句読点から導かれる平易な意味や、本明細書に記載される実施形態の数又は種類を含む、解釈の根拠となり得る任意の非明示的な事項についても同様である。
【0010】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上そうでないことが明確に示されない限り、複数の指示対象(referents)を含む。したがって、例えば、「a」を付したコンポーネントへの言及は、文脈上そうでないことが明確に示されない限り、そのようなコンポーネントを2つ以上有する態様を含む。
【0011】
ここで図1を参照すると、付加製造システム100が概略的に示されている。付加製造システム100は、供給プラットフォーム130、造形(build)プラットフォーム120、印刷アセンブリ150、クリーニングステーション110、及びリコートアセンブリ200を含むが、これらには限定されない。付加製造システム100は、本明細書で説明するように、造形プラットフォーム120が供給プラットフォーム130に近接して(例えば、隣接して)配置されるように構成されてもよく、これにより造形原料(build feedstock、例えば、粉体)が供給プラットフォーム130によって造形プラットフォーム120に供給され得る。
【0012】
供給プラットフォーム130は一般に、造形原料を造形プラットフォーム120に移動させるために、リコートアセンブリ200によってアクセス可能な位置に原料を移動させる目的で、造形原料を支持する表面である。したがって、供給プラットフォーム130は、造形原料を受け取るために、供給容器134内において、第1の位置(例えば、供給起点位置、受け取り位置)から、第2の位置(例えば、造形原料を造形プラットフォーム120に押し出すためにリコートアセンブリ200によって到達可能な領域内の位置、供給位置)まで移動可能である。供給プラットフォーム130のこのような移動に影響を与えるために、供給プラットフォームは、供給プラットフォームアクチュエータ132に結合されてもよい。供給プラットフォームアクチュエータ132は、供給プラットフォーム130が供給容器134内で上昇又は下降するように(例えば、第1の位置から第2の位置まで上昇されるか、又は第2の位置から第1の位置まで下降される)、垂直方向(例えば、図1に示す座標軸の±Z方向)に移動可能/作動可能である。本明細書で述べるように、造形プラットフォーム120は、供給プラットフォーム130に隣接して配置される。
【0013】
造形プラットフォーム120は一般に、付加製造プロセス中に物体が形成される表面を提供する。一般に理解されるように、付加製造における物体は、印刷アセンブリ150を使用して互いに融着される原料を連続的に層状に堆積させることによって形成される。したがって、融着(fusing)用材料の連続する各層のための空間を作るために、造形プラットフォーム120は、造形容器124内で移動可能である。造形プラットフォーム120のこのような移動に影響を与えるために、造形プラットフォーム120は、造形プラットフォームアクチュエータ122に結合されてもよい。造形プラットフォームアクチュエータ122は、造形プラットフォーム120が造形容器124内で上昇又は下降するように、垂直方向(例えば、図1に示す座標軸の±Z方向)に移動可能/作動可能である。
【0014】
印刷アセンブリ150は一般に、付加製造システム100において造形材料を融着するための要素を含む、装置、システム、コンポーネントなどである。すなわち、印刷アセンブリ150は、硬化性バインダ材料の層を提供する少なくとも1つのバインダ堆積コンポーネントを含むが、これらには限定されない。印刷アセンブリ150の様々な他のコンポーネント及び機能は、一般に理解されているはずであり、本明細書ではこれ以上詳細に説明されない。いくつかの実施形態では、付加製造システム100はまた、造形材料及び/又はバインダに向けて光(例えば、レーザなど)を放射して材料の融着及び/又は硬化を引き起こす少なくとも1つの発光コンポーネントを含むことができる。
【0015】
リコートアセンブリ200は一般に、付加製造システム100内で移動可能であり、位置と位置との間で材料を押し出し、材料の層をある領域にわたって広げ、広げられた材料の層を平坦にする等のために使用される、装置、システム、コンポーネントなどである。リコートアセンブリに関する追加の詳細は、本明細書で説明される。
【0016】
動作中、供給プラットフォーム130が第1の位置(例えば、受け取り位置)に配置されると、有機粉体又は無機粉体などの造形原料から得られた造形材料31が供給プラットフォーム130上に配置される。供給プラットフォーム130は、供給プラットフォームアクチュエータ132によって第1の位置から第2の位置(例えば、供給位置)まで移動され、リコートアセンブリ200の移動経路内に造形材料31の層を提示する。次いで、リコートアセンブリ200は、付加製造システム100の動作軸(working axis)116に沿って、造形プラットフォーム120に向かって作動される。いくつかの実施形態では、動作軸116は、水平軸(例えば、図1の座標軸の+X/-X軸)に概ね平行であってもよい。しかしながら、本開示は、このような実施形態に限定されない。リコートアセンブリ200が、ホーム領域148から供給プラットフォーム130上を通って造形プラットフォーム120に向かって動作軸116を横断するとき、リコートアセンブリ200は、供給プラットフォーム130から造形プラットフォーム120に向かうリコートアセンブリ200の経路内において造形材料31の層を分配する(例えば、造形材料31の層を供給プラットフォーム130から造形プラットフォーム120に押し出し、造形材料31の層を広げ、造形材料31の層を平坦化する等)。
【0017】
その後、印刷アセンブリ150は、動作軸116に沿って造形プラットフォーム120上を移動し、造形プラットフォーム120上に分配された造形材料31の層上に所定のパターンでバインダ50の層を堆積させることができる。本明細書でより詳細に説明されるように、バインダ50が堆積された後、堆積されたバインダ50を硬化させるためにエネルギー源が利用されてもよい。次いで、印刷アセンブリ150は、印刷アセンブリ150の少なくとも一部がクリーニングステーション110上に配置されるホームポジション158に移動することができる。印刷アセンブリ150がホームポジション158にある間、印刷アセンブリ150は、クリーニングステーション110と協働して、印刷アセンブリ150の要素にクリーニング及びメンテナンス動作を提供し、要素が汚れたり、あるいは詰まったりしないことを保証する。これは、印刷アセンブリ150が、後続の堆積パス中に所望のパターンでバインダ50を堆積させることができることを保証するのに役立ち得る。
【0018】
このメンテナンス期間の間、供給プラットフォーム130は、矢印10で示すように、垂直方向上方(例えば、図示される座標軸の+Z方向)に作動されて、リコートアセンブリ200の経路内に造形材料31の新しい層を提示する。造形プラットフォーム120は、矢印12で示すように、垂直方向下方(例えば、図示される座標軸の-Z方向)に作動されて、供給プラットフォーム130から造形材料31の新しい層を受け取るために、造形プラットフォーム120を準備する。次いで、リコートアセンブリ200が、付加製造システム100の動作軸116に沿って再び作動されて、造形材料31及びバインダ50の別の層を造形プラットフォーム120に付加する。この一連のステップを複数回繰り返して、造形プラットフォーム120上に物体を層状に造形する。
【0019】
図1に示され、上述された実施形態では、リコートアセンブリ200及び印刷アセンブリ150を異なるコンポーネントとして説明したが、リコートアセンブリ200及び印刷アセンブリ150が動作軸116に沿って移動可能な共通のアセンブリに含まれてもよいことを理解されたい。さらに、本明細書では、バインダ50を供給する印刷アセンブリ150を含む付加製造システムを参照するが、これは単なる例示に過ぎないことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、造形材料31に塗布された硬化性バインダ50を用いて物体を造形する代わりに、造形材料31にレーザ又は他のエネルギー源を印加して、造形材料31を融着することができる。
【0020】
図2を参照すると、物体を形成するために、造形材料31AA、31BB、31CC、31DDの層は、互いの上に順次配置されてもよい。図2に提供される例では、バインダ50AA~50CCの連続する層が、造形材料31AA~31DDの層上に配置される。バインダ50AA~50CCの層を硬化させることにより、完成品を形成することができる。
【0021】
図3を参照すると、リコートアセンブリ200の一実施形態の斜視図が概略的に示されている。いくつかの実施形態では、リコートアセンブリ200は、リコートアセンブリ200を横方向(例えば、図3に示すように+X/-X方向)に移動させる横方向アクチュエータ144を含むことができる。特に、横方向アクチュエータ144は、付加製造システム100(図1)の第1のガイド184内に移動可能に配置され、リコートアセンブリ200の第1の側方端部302に結合されてもよい。したがって、横方向アクチュエータは、リコートアセンブリ200を第1のガイド184に沿って横方向に移動させることができる。いくつかの実施形態では、付加製造システム100(図1)は、第1のガイド184に対して実質的に平行に延在し、供給プラットフォーム130(図1)及び造形プラットフォーム120(図1)を横切って第1のガイド184の反対側に配置された第2ガイド182をさらに含むことができる。リコートアセンブリ200は、リコートアセンブリ200が横方向アクチュエータ144を介して移動されると、第2の側方端部304が第2ガイド182に沿ってスライドするように、リコートアセンブリ200の第2の側方端部304に沿って第2ガイド182に移動可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の側方端部304は、第2の側方端部304が第2ガイド182内でスライドするように、第2ガイド182内に保持されてもよい。他の実施形態では、第2の側方端部304は、第2の側方端部304が第2ガイド182の上を移動するように、第2ガイド182上に配置されてもよい。
【0022】
図4及び図5を参照すると、リコートアセンブリ200の一実施形態の斜視図が示されている。より具体的には、図4は閉じた構成のリコートアセンブリ200を示し、図5は開いた構成のリコートアセンブリ200を示す。リコートアセンブリ200は、一般に、第1の部材410及び第2の部材412を含む。第2の部材412は、(例えば、ヒンジなど(図示せず)を介して)第1の部材410に枢動可能に結合されている。第2の部材412は、第1の部材410に対して、図4に示す第1の位置(閉じた位置)から、図5に示す第2の位置(開いた位置)まで枢動可能である。いくつかの実施形態では、リコートアセンブリの第1の部材410は枢動可能でなくてもよい。図5に示すように、リコートアセンブリ200の第1の部材410は、本明細書に記載されるように、造形材料31(図1)に接触し、造形材料31を移動させ、広げ、及び/又は平坦化するために、中心ローラ軸の周りに回転するローラ420を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の部材410及び/又は第2の部材412は、1つ以上の内部キャビティを画定する収容部(encasement portions)であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の部材410及び/又は第2の部材412によって画定される1つ以上の内部キャビティのうちの少なくとも1つは、ローラ420を収容することができる。そのような収容部は、1つ以上の内部キャビティのうちの少なくとも1つのキャビティ内に材料(例えば、造形材料31(図1))を含む障壁、及び/又は第1の部材410及び第2の部材412が図4に示す閉じた構成に配置されたときに、環境材料(例えば、浮遊粒子状物質(airborne particulate matter))がローラ420に接触することを防止するか、又は接触する環境材料の量を低減する障壁を、画定することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、リコートアセンブリ200の第2の部材412はシールド414を含むことができる。シールド414は、1つ以上の内部キャビティのうちの少なくとも1つのキャビティを外部環境から遮蔽するコンポーネントとすることができ、遮蔽特性(例えば、浮遊粒子からの遮蔽、閾値を超える温度からの遮蔽など)を提供する任意のプラスチック、ポリマー、金属、及び/又はそれらの組合せから構成される。シールド414は、第2の部材412と一体化されてもよいし(例えば、第2の部材412の少なくとも一部分として構成される)、又は第2の部材412の少なくとも一部分に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、リコートアセンブリ200の第2の部材412の外側の位置から1つ以上の内部キャビティの少なくとも一部を見ることができるように、シールド414は透明であってもよい。いくつかの実施形態では、シールド414は、以下でより詳細に説明するように、シールド414及びリコートアセンブリの第2の部材412の残りの部分を手動で操作できるようにするために、その外面上に配置されるか、又はその外面に一体化されたハンドル416を含むことができる。
【0025】
さらに図4及び図5を参照すると、いくつかの実施形態では、リコートアセンブリ200の第2の部材412は、粉体プラウ(powder plow)アセンブリ440をさらに含むことができる。粉体プラウアセンブリ440は一般に、リコートアセンブリ200が動作軸116に沿って移動する際に、リコートアセンブリ200の経路内又は経路に沿って配置された余分な造形材料31(図1)及び/又はデブリ(debris)を移動させるのを補助するコンポーネントであってもよい。粉体プラウアセンブリ440は、耐摩耗性の低摩擦係数コーティングを有する任意の好適な材料から形成され得る粉体プラウ442を含むことができる。非限定的な例として、粉体プラウ442は、共析ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を有する無電解ニッケルから形成されてもよいし、又は電解研磨されてもよい。粉体プラウ442を含む粉体プラウアセンブリ440は、シールド414の下端部に確りと固定され、シールド414の下端部から延在することができる。
【0026】
上述のように、リコートアセンブリ200の第1の部材410及び/又は第2の部材412は、その中に1つ以上の内部キャビティを画定することができる。図6及び図7は、リコートアセンブリ200の第1の部材410及び/又は第2の部材412によって画定される様々な内部キャビティの断面図を示す。より具体的には、図6が閉じた構成のリコートアセンブリ200を示し、図7は開いた構成のリコートアセンブリ200を示す。
【0027】
特に図6及び図7に示すように、リコートアセンブリ200の第2の部材412は、シールド414の内面415から内側に(例えば、図6の座標軸の+X方向に)一定距離だけ延在し、内面415に結合された基部フレーム630をさらに含むことができる。図6に示すように、基部フレーム630は、リコートアセンブリ200が閉じた構成にあるとき、シールド414の内面415から第1の部材410に向かう方向に延在することができる。第2の部材412の基部フレーム630は、1つ以上の他のコンポーネントがリコートアセンブリ200の第2の部材412に結合され得るか、又は支持され得る表面(例えば、基部の表面、棚など)又は支持体を提供する。いくつかの実施形態では、基部フレーム630は、平面状の支持体又はフレームであってもよい。
【0028】
さらに図6及び図7を参照すると、いくつかの実施形態では、リコートアセンブリ200の第1の部材410は、第1の基部フレーム604(例えば、水平基部フレーム)及び/又は第2の基部フレーム606(例えば、垂直基部フレーム)を含むことができる。より具体的には、第2の基部フレーム606は、例えば、ローラ420に向かう方向など、第1の部材410から下方に(例えば、図6の座標軸の-Z方向に向かって)一定距離だけ延在することができる。第1の基部フレーム604は、第2の基部フレーム606から一定距離だけ延在してもよい(例えば、図6の座標軸の-X方向において、第2の基部フレーム606の遠位部分から延在してもよい)。いくつかの実施形態では、第1の基部フレーム604及び第2の基部フレーム606は、L字形構成を形成してもよい。いくつかの実施形態では、第1の基部フレーム604及び第2の基部フレーム606は、異なる方向に延在する2つの部分(例えば、図6の座標軸の-Z方向に延在する第1の部分及び-X方向に延在する第2の部分)を有する単一の基部フレームであってもよい。第1の基部フレーム604及び/又は第2の基部フレーム606は、1つ以上の他のコンポーネントが第1の基部フレーム604及び/又は第2の基部フレーム606に結合され得るか、又は支持され得る表面(例えば、基部の表面、棚など)又は支持体を提供する。いくつかの実施形態では、第1の基部フレーム604及び/又は第2の基部フレーム606は、平面状の支持体又はフレームであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の基部フレーム604及び/又は第2の基部フレーム606は、一般に、リコートアセンブリ200の様々なコンポーネントをリコートアセンブリ200の第1の部材410に取り付けるための1つ以上の表面を提供する。
【0029】
さらに図6及び図7を参照すると、リコートアセンブリ200の第1の部材410及び第2の部材412によって画定される1つ以上のキャビティは、いくつかの実施形態では、粉体封入領域430を含むことができる。粉体封入領域430は一般に、例えば、内側シュラウド(shroud)602及び/又は外側シュラウド650などの1つ以上の粉体シールド又はシュラウドを含む、リコートアセンブリ200の1つ以上のコンポーネントによって画定される領域である。内側シュラウド602は、ローラ420の少なくとも一部分を取り囲む第1のシュラウドセグメント610及び第2のシュラウドセグメント612を含むことができる。第1のシュラウドセグメント610は、内側シュラウド602の第1の端部614を画定することができる。第2のシュラウドセグメント612は、内側シュラウド602の第2の端部616を画定することができる。内側シュラウド602の第1の端部614及び第2の端部616は、内側シュラウド602がローラ420を少なくとも部分的に取り囲むように、ローラ420の互いに対向する側に隣接していてもよい。いくつかの実施形態では、内側シュラウド602の第1のシュラウドセグメント610及び第2のシュラウドセグメント612はそれぞれ、図6に見られるように、リコートアセンブリ200が閉じた構成にあるとき、内側シュラウド602が実質的にローラ420の周囲に半球(hemisphere)を形成するように、4分の1球状(quarter spheres)であってもよい。
【0030】
内側シュラウド602の第1のシュラウドセグメント610は、第1の基部フレーム604の下側に結合されたシールドハンガ620(図7参照)によって、リコートアセンブリ200の第1の部材410の第1の基部フレーム604に結合されてもよい。すなわち、シールドハンガ620は、第1の基部フレーム604からローラ420に隣接する位置まで一方向に(例えば、垂直に、図6の座標軸の-Z方向に)延在し、シールドハンガ620に結合された第1のシュラウドセグメント610も、本明細書において説明するように、ローラ420に隣接して配置されるようになる。内側シュラウド602の第2のシュラウドセグメント612は、リコートアセンブリ200の第2の部材412の基部フレーム630、又はリコートアセンブリの第2の部材412の1つ以上の他の表面に結合されてもよく、その結果、図7に示すように、第2の部材412が第1の部材410から離れて開いた位置まで枢動されると、内側シュラウド602の第2のシュラウドセグメント612は、内側シュラウド602の第1のシュラウドセグメント610から離れて、ローラ420を露出させる。
【0031】
さらに図6及び図7を参照すると、粉体封入領域430は、内側シュラウド602及びローラ420を収容する外側シュラウド650をさらに含むことができる。外側シュラウド650は、例えば、いくつかの実施形態では、内側シュラウド602の第1の端部614に最も近い第1の外側シュラウド壁652と、内側シュラウド602の第2の端部616に最も近い第2の外側シュラウド壁654とを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の外側シュラウド壁652は、リコートアセンブリ200の第1の部材410の第1の基部フレーム604の下側に結合されてもよい。第2の外側シュラウド壁654は、いくつかの実施形態では、リコートアセンブリ200の第2の部材412の基部フレーム630の下側に結合されてもよい。すなわち、外側シュラウド壁652、654は、第1基部フレーム604及び基部フレーム630からそれぞれ一方向(例えば、図6の座標軸の-Z方向)に延在する。いくつかの実施形態では、外側シュラウド壁652、654はそれぞれ、第1の基部フレーム604及び基部フレーム630と共に、リコートアセンブリ200が図6に示すように閉じた構成にあるときには内側シュラウド602及びローラ420を実質的に取り囲むことができ、リコートアセンブリ200が図7に示すように開いた構成にあるときにはローラ420を露出させることができる。さらに、いくつかの実施形態では、外側シュラウド650の様々なコンポーネントは、粉体封入領域430の外側境界を画定してもよい。
【0032】
さらに図6及び図7を参照すると、リコートアセンブリ200の第1の部材410は、第1の粉体遮断コンポーネント450及び第2の粉体遮断コンポーネント452をさらに含む。第1の粉体遮断コンポーネント450及び第2の粉体遮断コンポーネント452はそれぞれ、第1の基部フレーム604及び/又は第2の基部フレーム606など、リコートアセンブリ200の第1の部材410の1つ以上のコンポーネントに結合されてもよい。第1の粉体遮断コンポーネント450及び第2の粉体遮断コンポーネント452は、ローラ420を支持することができ、及び/又は粉体封入領域430内に粉体をさらに封じ込めることができる。例えば、第1の粉体遮断コンポーネント450は、内側シュラウド602上で横方向(例えば、図6の座標軸の+X/-X方向)に延在してもよく、第2の粉体遮断コンポーネント452は、内側シュラウド602の第1のシュラウドセグメント610と第2のシュラウドセグメント612との間を下方(例えば、図6の座標軸の-Z方向)に延在してもよい。その結果、リコートアセンブリ200が図6に示すように閉じた位置にあるときに、第2の粉体遮断コンポーネント452は、内側シュラウド602の第1のシュラウドセグメント610と第2のシュラウドセグメント612との間で押圧されることになる。いくつかの実施形態では、第2の粉体遮断コンポーネント452は、ローラ420が回転するときにローラ420に付着した余分な材料が第2の粉体遮断コンポーネント452によって掻き取られるように、ローラ420に接触するように延在する。
【0033】
さらに図6及び図7を参照すると、リコートアセンブリ200は、少なくとも1つの空気圧式アクチュエータ700を含むことができる。空気圧式アクチュエータ700は、リコートアセンブリ200の一部に固定的に結合される基体702を含み、基体702は空気圧式アクチュエータ700に支持を提供する。例えば、基体702は、リコートアセンブリ200の第1の部材410(例えば、リコートアセンブリ200の第1の部材410の第1の基部フレーム604及び/又は第2の基部フレーム606など)に結合されてもよい。空気圧式アクチュエータ700の作動可能なヘッド704(図7)は、リコートアセンブリ200の第2の部材412のシールド414(例えば、シールド414の内面415)に結合されている。空気圧式アクチュエータ700のヘッド704は、特に、シールド414の上部内壁413を横切って延在する水平支持アーム710(図7)と、シールド414の内面415に沿って配置される垂直支持アーム(図示せず)との間の接合部においてシールド414に結合されてもよい。第2の部材412の水平支持アーム710は、リコートアセンブリ200の第1の部材410の垂直支持アーム720に枢動可能に結合されている。したがって、ヘッド704が基体702から離れて延びるように空気圧式アクチュエータ700が作動されると、ヘッド704は、シールド414の内面415の位置に向かって第2の部材412の水平支持アーム710に上向き(例えば、図6の座標軸の+Z方向)の力を加え、シールド414及びそれに結合されたすべてのコンポーネントを含む第2の部材412は、第2の部材412の水平支持アーム710と第1の部材410の垂直支持アーム720との間の枢動可能な連結部を中心に回転する。したがって、シールド414、粉体プラウアセンブリ440、外側シュラウド650の第2の外側シュラウド壁654、及び内側シュラウド602の第2のシュラウドセグメント612は、図7に示すように、粉体封入領域430内からローラ420を露出させるために、第2の位置に向かって上方に枢動することができる。さらに、ローラ420、第1の側方端部302、及び第2の側方端部304(図3図5)を含む、リコートアセンブリ200の様々なコンポーネントは、ローラ420が粉体封入領域430内から露出されるとき、第2の部材412に対して静止したままである。露出されたローラ420は、第1の部材410に結合されたリコートアセンブリ200の様々なコンポーネントの位置を乱すことなく検査することができ、その後、安定性及び再現性を伴って造形プロセスを再開することができる。
【0034】
さらに図6図7を参照すると、いくつかの実施形態では、リコートアセンブリ200は、リフトアシストアーム740を含むことができる。リフトアシストアーム740は、リフトアシストアーム740の第1の端部742において、リコートアセンブリ200の第1の部材410に枢動可能に結合されてもよい。さらに、リフトアシストアーム740は、リフトアシストアーム740の第2の端部744において、リコートアセンブリ200の第2の部材412に枢動可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リフトアシストアーム740の第1の端部742は、第1の部材410の垂直支持アーム720に枢動可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リフトアシストアーム740の第2の端部744は、シールド414の内面415に沿って配置された垂直支持アーム(図示せず)に枢動可能に結合されてもよい。リフトアシストアーム740は、伸長するように付勢されたバネを含むことができ、それによって、リコートアセンブリ200の第2の部材412を閉じた構成から開いた構成に移行させるのを補助する付勢力(biasing force)を提供する。空気圧式アクチュエータ700の作動は、リフトアシストアーム740の付勢に打ち勝って、必要な場合に、第2の部材412を閉じた構成に維持することができる。
【0035】
図8は、図6及び図7に示すリフトアシストアーム740の代わりに係止棒(locking bar)800を含むリコートアセンブリ200の実施形態を示す。図4図7と併せて図8を参照すると、係止棒800の第1の端部802は、リコートアセンブリ200の第1の部材410に枢動可能に結合されている。係止棒800の第1の端部802は、第2の基部フレーム606に沿って配置された水平支持アーム812に枢動可能に結合されてもよい。係止棒800の第2の端部804は、図8に示すように、リコートアセンブリ200の第2の部材412が開いた構成にある場合、リコートアセンブリ200の第2の部材412に選択的に結合可能である。係止棒802の第2の端部804は、シールド414の内面415に沿って配置されたロッド810に選択的に結合可能である。すなわち、係止棒802の第2の端部804は、ロッド810と係合可能な自由端である。第2の部材412が空気圧又は手動により第2の開いた構成まで枢動された後、ユーザは、係止棒800を水平支持アーム812の周りに回転させ、係止棒800の第2の端部804をロッド810と結合させることができる。このような場合、係止棒800は、例えば、第2の部材412がローラ420を保守点検しているユーザの上に落下しないことを保証する追加の手段として、第2の部材412を開いた構成で固定することができる。
【0036】
動作中、本明細書に記載されるリコートアセンブリは、ローラへのアクセスを容易にする。いくつかの実施形態において、リコートアセンブリのローラにアクセスする方法は、本明細書で説明するように、リコートアセンブリの第2の部分をリコートアセンブリの第1の部分に対して第1の位置から第2の位置まで枢動させて、粉体封入部内からローラを露出させることを含む。いくつかの態様では、本方法は、第2の部分を枢動させる前に、リコートアセンブリを造形チャンバ内のアクセス位置に移動させることをさらに含む。すなわち、リコートアセンブリは、例えば、図1に示すホーム領域148などの位置に移動させることができる。そのような移動ステップは、本明細書に記載されるような横方向アクチュエータによって、リコートアセンブリの第1の長手方向端部において第1のガイドに沿ってリコートアセンブリを駆動することと、リコートアセンブリの第2の長手方向端部において第2のガイドに沿ってリコートアセンブリを案内することとを含み得る。いくつかの態様では、第2の部分を枢動させることは、図6図7に関して本明細書で説明するように、第2の部分を、枢動点を中心に空気圧で又は手動によって作動させることを含む。いくつかの態様では、本方法は、図8に関して本明細書で説明するように、係止棒を枢動させて、係止棒の自由端をリコートアセンブリの第2の部分と係合させることをさらに含み得る。
【0037】
ここで、本明細書に記載される装置、システム、及び方法が、粉体汚染を低減するために、粉体封入部内に配置されたローラを有するリコートアセンブリを提供することを理解されたい。ローラにアクセスするために、リコートアセンブリの選択された部分は、粉体封入部内でローラを露出させるように枢動可能である。しかしながら、再現性を高めるために、ローラのようなリコートアセンブリの特定のコンポーネントは、枢動可能ではなく、ローラが露出されたときに定位置に留まっている。さらに、リコートアセンブリの特定のコンポーネントは、1つの座標軸に沿ってのみ移動可能であってもよく、それによって造形プロセスにおける安定性及び再現性が向上する。
【0038】
本明細書では、特定の実施形態を図示して説明してきたが、特許請求される主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な他の変更及び修正を行うことができることを理解されたい。さらに、特許請求される主題の様々な態様を本明細書で説明してきたが、そのような態様は組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求される主題の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を包含することが意図されている。
【0039】
本開示の態様の追加の態様は、以下の付記の主題によって提供される。
【0040】
(付記1)
ローラを備える第1の部材と、前記第1の部材に枢動可能に結合され、前記第1の部材に対して第1の位置から第2の位置まで枢動可能な第2の部材であって、前記第2の部材が前記第1の位置にあるときに前記ローラが粉体封入部内に封入され、かつ前記第2の部材が前記第2の位置にあるときに前記ローラが露出される、第2の部材と、を備えるリコートアセンブリ。
【0041】
(付記2)
前記粉体封入部が、第1の端部及び第2の端部を有する内側シュラウドであって、前記第1の端部及び前記第2の端部が前記ローラの対向する側に隣接し、前記ローラを少なくとも部分的に取り囲む内側シュラウドと、前記内側シュラウドの前記第1の端部に最も近い第1の外側シュラウド壁と、前記内側シュラウドの前記第1の端部に対向する前記内側シュラウドの前記第2の端部に最も近い第2の外側シュラウド壁と、を含む、付記1に記載のリコートアセンブリ。
【0042】
(付記3)
前記リコートアセンブリの前記第1の部材は、前記内側シュラウドの第1のセグメントと、前記内側シュラウドの前記第1の端部に最も近い第1の外側シュラウド壁と、をさらに備え、前記リコートアセンブリの前記第2の部材は、前記内側シュラウドの第2のセグメントと、前記内側シュラウドの前記第2の端部に最も近い第2の外側シュラウド壁と、をさらに備える、付記1又は付記2に記載のリコートアセンブリ。
【0043】
(付記4)
第1の長手方向端部と、前記リコートアセンブリの前記第1の長手方向端部における横方向アクチュエータであって、第1のガイドに結合される横方向アクチュエータと、前記リコートアセンブリの第2の長手方向端部であって、第2のガイドに取り付けられる第2の長手方向端部と、をさらに備える、付記1~付記3のいずれかに記載のリコートアセンブリ。
【0044】
(付記5)
前記第2の部材は、粉体プラウを含む、付記1~付記4のいずれかに記載のリコートアセンブリ。
【0045】
(付記6)
前記第2の部材を前記第1の部材に対して枢動させるように構成された空気圧式アクチュエータをさらに備える、付記1~付記5のいずれかに記載のリコートアセンブリ。
【0046】
(付記7)
前記空気圧式アクチュエータは、前記第2の部材の支持アームに固定的に結合され、前記第2の部材の前記支持アームは、前記第1の部材の前記支持アームに枢動可能に結合されている、付記1~付記6のいずれかに記載のリコートアセンブリ。
【0047】
(付記8)
リフトアシストをさらに備え、前記リフトアシストの第1の端部は、前記リコートアセンブリの前記第1の部材に枢動可能に結合され、前記リフトアシストの第2の端部は、前記リコートアセンブリの前記第2の部材に枢動可能に結合され、前記リフトアシストは、前記リコートアセンブリの前記第2の部材を前記第2の位置に付勢する、付記1~付記7のいずれかに記載のリコートアセンブリ。
【0048】
(付記9)
係止棒をさらに備え、前記係止棒の第1の端部は、前記リコートアセンブリの前記第1の部材に枢動可能に結合され、前記係止棒の第2の端部は、前記リコートアセンブリの前記第2の部材が前記第2の位置にあるときに、前記リコートアセンブリの前記第2の部材に選択的に結合可能であり、前記係止棒は、前記係止棒の前記第2の端部が前記第2の部材に結合されているときに、前記第2の部材を前記第2の位置に維持する、付記1~付記8のいずれかに記載のリコートアセンブリ。
【0049】
(付記10)
リコートアセンブリを備え、前記リコートアセンブリは、ローラを備える第1の部材と、前記第1の部材に枢動可能に結合され、前記第1の部材に対して第1の位置から第2の位置まで枢動可能であり、粉体封入部内から前記ローラを選択的に露出させる第2の部材と、を含む、付加製造システム。
【0050】
(付記11)
前記粉体封入部が、第1の端部及び第2の端部を有する内側シュラウドであって、前記第1の端部及び前記第2の端部は前記ローラの対向する側に隣接し、かつ前記ローラを少なくとも部分的に取り囲む内側シュラウドと、第1の外側シュラウド壁と、第2の外側シュラウド壁と、を備え、前記内側シュラウドは、前記第1の外側シュラウド壁と前記第2の外側シュラウド壁との間に配置される、付記10に記載の付加製造システム。
【0051】
(付記12)
前記リコートアセンブリの前記第1の部材は、前記内側シュラウドの第1のセグメントと、前記第1の外側シュラウド壁と、をさらに備え、前記リコートアセンブリの前記第2の部材は、前記内側シュラウドの第2のセグメントと、前記第2の外側シュラウド壁と、をさらに備える、付記10又は付記11に記載の付加製造システム。
【0052】
(付記13)
第1のガイドと、第2のガイドとを備え、前記リコートアセンブリは、第1の長手方向端部と、前記リコートアセンブリの前記第1の長手方向端部にある横方向アクチュエータであって、前記第1のガイドに結合されている横方向アクチュエータと、前記リコートアセンブリの第2の長手方向端部であって、前記第2のガイドに取り付けられている第2の長手方向端部と、をさらに備える、付記10~付記12のいずれかに記載の付加製造システム。
【0053】
(付記14)
前記リコートアセンブリは、前記第2の部材の支持アームに固定的に結合された空気圧式アクチュエータをさらに備え、前記第2の部材の前記支持アームは、前記第1の部材の支持アームに枢動可能に結合される、付記10~付記13のいずれかに記載の付加製造システム。
【0054】
(付記15)
リコートアセンブリのローラにアクセスする方法であって、前記リコートアセンブリの第2の部材を、前記リコートアセンブリの第1の部材に対して第1の位置から第2の位置まで枢動させることを含み、前記第1の部材は前記ローラを備え、前記枢動させることは、前記リコートアセンブリの粉体封入部内から前記ローラを露出させる、方法。
【0055】
(付記16)
前記第2の部材を枢動させる前に、前記リコートアセンブリを造形チャンバ内のアクセス位置に移動させることをさらに含む、付記15に記載の方法。
【0056】
(付記17)
前記リコートアセンブリを前記アクセス位置に移動させることが、横方向アクチュエータによって、前記リコートアセンブリの第1の長手方向端部において、前記リコートアセンブリを第1のガイドに沿って駆動することと、前記リコートアセンブリの第2の長手方向端部において、前記リコートアセンブリを第2ガイドに沿って案内することと、をさらに含む、付記15又は付記16に記載の方法。
【0057】
(付記18)
前記第2の部材を枢動させることは、枢動点を中心に前記第2の部材を空気圧で作動させることをさらに含む、付記15~付記17のいずれかに記載の方法。
【0058】
(付記19)
前記第2の部材を枢動させることは、枢動点を中心に前記第2の部材を手動で作動させることをさらに含む、付記15~付記18のいずれかに記載の方法。
【0059】
(付記20)
前記リコートアセンブリの前記第1の部材に結合された係止棒を枢動させて、前記係止棒の自由端を前記リコートアセンブリの前記第2の部材と係合させることをさらに含み、前記係止棒の前記自由端を前記リコートアセンブリの前記第2の部材と係合させることにより、前記第2の部材を前記第2の位置に維持する、付記15~付記19のいずれかに記載の方法。
図1
図2
図3
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図5
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図8