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特許7480424在庫追跡システムおよびインキュベータキャビネット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-26
(45)【発行日】2024-05-09
(54)【発明の名称】在庫追跡システムおよびインキュベータキャビネット
(51)【国際特許分類】
   G01V 15/00 20060101AFI20240430BHJP
【FI】
G01V15/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023507963
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 IB2021057074
(87)【国際公開番号】W WO2022029609
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】2020902728
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】マードック、グラハム
(72)【発明者】
【氏名】レゼク、ジョージ
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-045216(JP,A)
【文献】特開2013-056772(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0316045(US,A1)
【文献】国際公開第2009/003231(WO,A1)
【文献】特開2008-019020(JP,A)
【文献】特開2009-230512(JP,A)
【文献】特開2008-061003(JP,A)
【文献】特開2006-124123(JP,A)
【文献】特開2016-206838(JP,A)
【文献】特開2011-029814(JP,A)
【文献】特開2006-199378(JP,A)
【文献】特表2014-500210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00 -99/00
B65G 1/137
B65H18/00 -18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットに受け取られる物品の追跡に使われる在庫追跡システムであって、
前記キャビネットは、容器と、前記容器内に配置されたホルダーと、前記ホルダーに変位可能に受け取られる少なくとも1つの金属基板と、を備え、
前記金属基板は、RFIDタグが付与された少なくとも1つの物品を受け取るように構成され、
前記在庫追跡システムは、
前記金属基板に取り付け可能な少なくとも1つのRFID読み取りアンテナアセンブリと、
前記物品のRFIDタグを照合するように構成されたRFIDタグ照合器と、
前記ホルダーに搭載された第1の部品と、前記少なくとも1つの金属基板に搭載された第2の相補的部品と、を有する電気コネクタ配列と、
を備え、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリは、少なくとも1つのアンテナコイルと、高透磁率層と、を備え、
前記電気コネクタ配列は、前記金属基板が前記ホルダーに挿入および除去されたとき、前記RFIDタグ照合器と前記RFID読み取りアンテナアセンブリとの間の電気的接続をそれぞれ確立および遮断することにより前記少なくとも1つの物品へのアクセスを可能とすることを特徴とする在庫追跡システム。
【請求項2】
前記キャビネットのホルダーは、キャビネット内に配置されたフレームと、複数の金属基板と、を備え、
前記金属基板の各々は、トレイの形をしており、
前記トレイは、間隔を空けて、取り外し可能に、フレーム内に積層されて配置され、
前記トレイの各々は、複数の別々の区画を定義し、
前記区画の各々の中に、RFIDタグを付与された物品が受け取られ、
前記在庫追跡システムは、前記各トレイの各区画に紐付けられたRFID読み取りアンテナアセンブリを備え、
前記RFIDタグ照合器による前記RFIDタグの照合を促進するために、前記電気コネクタ配列は前記各トレイに紐付けられていることを特徴とする請求項1に記載の在庫追跡システム。
【請求項3】
前記各区画は細長く、縦軸を定義し、
これに相応して前記各RFID読み取りアンテナアセンブリは細長く、
前記各RFID読み取りアンテナの縦軸は、それぞれ紐付けられた前記区画の縦軸と同軸であり、
前記区画に紐付けられた物品のRFIDタグと、前記アンテナコイルとは、機能的に位置合わせされ、
前記RFIDタグは、前記区画のRFID読み取りアンテナアセンブリを介して、前記RFIDタグ照合器により照合されることを特徴とする請求項2に記載の在庫追跡システム。
【請求項4】
前記アンテナコイルは、接点の組で終端し、
前記接点の組は、前記各RFID読み取りアンテナアセンブリに紐付けられたトレイに搭載された導電体の組に接続されることを特徴とする請求項2または3に記載の在庫追跡システム。
【請求項5】
前記導電体の組は、前記トレイに取り付けられた導電体キャリアに搭載されることを特徴とする請求項4に記載の在庫追跡システム。
【請求項6】
前記導電体キャリアは、コネクタユニットを介して、前記トレイと前記ホルダーとを電気的に接続し、
前記コネクタユニットの第1の部品が、前記トレイに取り付けられ、
前記コネクタユニットの第2の部品が、前記ホルダーに取り付けられることを特徴とする請求項5に記載の在庫追跡システム。
【請求項7】
前記コネクタユニットの第2の部品は、前記ホルダーに搭載された第2の導電体の組に接続されることを特徴とする請求項6に記載の在庫追跡システム。
【請求項8】
前記コネクタユニットの第1の部品および第2の部品の一方は、固定接点の組を備え、
前記コネクタユニットの第1の部品および第2の部品の他方は、弾力性のある変位可能な接点の組を備え、
前記トレイがホルダーに関して完全ホームポジションに置かれたとき、前記弾力性のある変位可能な接点の組と、前記固定接点の組との間に電気的接続が作られることを特徴とする請求項6または7に記載の在庫追跡システム。
【請求項9】
前記各トレイおよび前記ホルダーに紐付けられた把持機構と、を含み、
前記把持機構は、前記コネクタユニットの固定接点の組と弾力性のある変位可能な接点の組との間の電気的接続を最大化するために、前記トレイがホルダーに関して完全ホームポジションに留まるのを補助することを特徴とする請求項8に記載の在庫追跡システム。
【請求項10】
前記各トレイは、強磁性材料で作られ、
前記把持機構は、前記各トレイおよび前記ホルダーに搭載される磁石の磁性に基づくことを特徴とする請求項9に記載の在庫追跡システム。
【請求項11】
前記各トレイの各区画および当該区画に関連するRFID読み取りアンテナアセンブリに紐付けられた位置決め機構を備え、
前記位置決め機構は、前記RFID読み取りアンテナアセンブリを、関連する区画に位置付けることを特徴とする請求項2から10のいずれかに記載の在庫追跡システム。
【請求項12】
前記各トレイは孔を有し、
前記位置決め機構は、前記各トレイの各区画で定義される複数の開口と、前記各RFID読み取りアンテナアセンブリの高透磁率層に搭載された少なくとも1つのロケータと、を備え、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリを前記トレイの区画に固定し位置付けるために、前記各RFID読み取りアンテナアセンブリの少なくとも1つは、関連する前記区画で定義される開口の少なくとも1つで受け取られることを特徴とする請求項11に記載の在庫追跡システム。
【請求項13】
前記各RFID読み取りアンテナアセンブリに紐付けられた第2の高透磁率層をさらに備え、
前記第2の高透磁率層の各々は、前記複数の金属基板の上側金属の下面に動作可能に取り付け可能であり、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリで発生する磁場に関して低磁気抵抗の経路を与えるために、前記第2の高透磁率層の各々は、関連する前記RFID読み取りアンテナアセンブリに対して機能的に位置合わせされ、前記複数の金属基板の下側金属基板の上面に動作可能に配置されることを特徴とする請求項2から12のいずれかに記載の在庫追跡システム。
【請求項14】
前記各RFID読み取りアンテナアセンブリは、前記複数の金属基板の上側金属基板の下面に動作可能に取り付け可能であることを特徴とする請求項2から12のいずれかに記載の在庫追跡システム。
【請求項15】
前記複数の金属基板の下側金属の上面に動作可能に取り付け可能な少なくとも1つのさらなる第2の高透磁率層をさらに備え、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリで発生する磁場に関してさらなる低磁気抵抗の経路を与えるために、前記さらなる第2の高透磁率層の各々は、関連する前記RFID読み取りアンテナアセンブリに対して機能的に位置合わせされることを特徴とする請求項14に記載の在庫追跡システム。
【請求項16】
前記各RFID読み取りアンテナアセンブリの各アンテナコイルの少なくとも1つは、前記高透磁率層に取り付けられた細長いキャリアに搭載され、
前記アンテナコイルの少なくとも1つは、複数の横方向に配置された部分を有し、
前記横方向に配置された部分は、縦軸に関して、互いに間隔を空けて配置されることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の在庫追跡システム。
【請求項17】
容器と、
前記容器内に変位可能に配置されたホルダーと、
前記ホルダーで変位可能に受け取られる少なくとも1つの金属基板と、
請求項1から16のいずれかに記載の在庫追跡システムと、
を備え、
前記金属基板は、RFIDタグが付与された物品を受け取るように構成された少なくと1つの区画を定義し、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリは、前記金属基板の少なくとも1つの区画に紐付けられることを特徴とするインキュベータキャビネット。
【請求項18】
金属基板と、
請求項1から16のいずれかに記載の在庫追跡システムのRFID読み取りアンテナアセンブリと、
を備えたインキュベータキャビネットであって
前記RFID読み取りアンテナアセンブリは、前記金属基板に取り外し可能に搭載されることを特徴とするインキュベータキャビネット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に在庫追跡システムに関し、より具体的にはRFIDタグが付与された物品の追跡および/または位置特定に使われる在庫追跡システムに関する。本開示は、キャビネット内に受け取られるRFIDタグが付与された物品の追跡および/または位置特定に使われる在庫追跡システムに応用されるが、それらに限られない。
【背景技術】
【0002】
在庫の追跡および/または位置特定により、在庫の正確な棚卸し、迅速な位置特定および回収ができる。RFIDタグの照合は、在庫の追跡および位置特定にとって便利な手段である。なぜならRFIDタグの照合は、ユーザが在庫に直接触れずに迅速に実行できるからである。医薬品などある種の在庫は、インキュベータまたはキャビネット内部の金属製の基板上に保管される。
【0003】
本明細書では、「追跡」は、必要に応じて、容器内で好適にタグ付けされた物品の位置を特定することを含む。
【0004】
本明細書に含まれる文書、動作、材料、デバイス、物品等に関するいかなる議論の全部または一部も、先行技術の基礎の一部を形成せず、各請求項に関し、本出願の優先日前に存在した関連分野の共通一般知識ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある態様では、キャビネットに受け取られる物品の追跡に使われる在庫追跡システムが与えられる。キャビネットは、容器と、容器内に配置されたホルダーと、ホルダーに変位可能に受け取られる少なくとも1つの金属基板と、を備える。金属基板は、RFIDタグが付与された少なくとも1つの物品を受け取るように構成される。在庫追跡システムは、金属基板に取り付け可能な少なくとも1つのRFID読み取りアンテナアセンブリと、物品のRFIDタグを照合するように構成されたRFIDタグ照合器と、電気コネクタ配列と、を備える。電気コネクタ配列は、ホルダーに搭載された相補的部品と、金属基板と、を有する。RFID読み取りアンテナアセンブリは、少なくとも1つのアンテナコイルと、高透磁率層と、を備える。電気コネクタ配列は、基板がホルダーに挿入および除去されたとき、RFIDタグ照合器とRFID読み取りアンテナアセンブリとの間の電気的接続をそれぞれ確立および遮断する。
【0006】
キャビネットのホルダーは、キャビネット内に配置されたフレームと、複数の金属基板と、を備えてもよい。金属基板の各々は、トレイの形をしている。トレイは、間隔を空けて、取り外し可能に、フレーム内に積層されて配置される。トレイの各々は、複数の別々の区画を定義し、区画の各々の中に、RFIDタグを付与された物品が受け取られる。在庫追跡システムは、各トレイの各区画に紐付けられたRFID読み取りアンテナアセンブリを備える。RFIDタグ照合器によるRFIDタグの照合を促進するために、電気コネクタ配列は各トレイに紐付けられている。
【0007】
各区画は細長く、縦軸を定義してもよい。これに相応して前記各RFID読み取りアンテナアセンブリは細長い。各RFID読み取りアンテナの縦軸は、それぞれ紐付けられた前記区画の縦軸と同軸である。区画に紐付けられた物品のRFIDタグと、アンテナコイルとは、機能的に位置合わせされる。RFIDタグは、区画のRFID読み取りアンテナアセンブリを介して、RFIDタグ照合器により照合される。
【0008】
アンテナコイルは、接点の組で終端してもよい。接点の組は、各RFID読み取りアンテナアセンブリに紐付けられたトレイに搭載された導電体の組に接続される。導電体の組は、トレイに取り付けられた導電体キャリアに搭載されてもよい。
【0009】
導電体キャリアは、コネクタユニットを介して、トレイとホルダーとを電気的に接続してもよい。コネクタユニットの第1の部品が、トレイに取り付けられる。コネクタユニットの第2の部品が、ホルダーに取り付けられる。コネクタユニットの第2の部品は、ホルダーに搭載された第2の導電体の組に接続されてもよい。
【0010】
コネクタユニットの第1の部品および第2の部品の一方は、固定接点の組を備えてもよい。コネクタユニットの第1の部品および第2の部品の他方は、弾力性のある変位可能な接点の組を備える。トレイがホルダーに関して完全ホームポジションに置かれたとき、弾力性のある変位可能な接点の組と、固定接点の組との間に電気的接続が作られる。本システムは、トレイおよびホルダーに紐付けられた把持機構と、を含んでもよい。把持機構は、コネクタユニットの固定接点の組と弾力性のある変位可能な接点の組との間の電気的接続を最大化するために、トレイがホルダーに関して完全ホームポジションに留まるのを補助してもよい。各トレイは、強磁性材料で作られてもよい。把持機構は、各トレイおよびホルダーに搭載される磁石の磁性に基づく。
【0011】
本システムは、各トレイの各区画および当該区画に関連するRFID読み取りアンテナアセンブリに紐付けられた位置決め機構を備えてもよい。位置決め機構は、RFID読み取りアンテナアセンブリを関連する区画に位置付ける。各トレイは孔を有してもよい。位置決め機構は、各トレイの各区画で定義される複数の開口と、各RFID読み取りアンテナアセンブリの高透磁率層に搭載された少なくとも1つのロケータと、を備える。RFID読み取りアンテナアセンブリをトレイの区画に固定し位置付けるために、各RFID読み取りアンテナアセンブリの少なくとも1つは、関連する前記区画で定義される開口の少なくとも1つで受け取られる。
【0012】
各RFID読み取りアンテナアセンブリの各アンテナコイルの少なくとも1つは、高透磁率層に取り付けられた細長いキャリアに搭載されてもよい。アンテナコイルの少なくとも1つは、複数の横方向に配置された部分を有する。横方向に配置された部分は、縦軸に関して、互いに間隔を空けて配置される。
【0013】
本システムは、各RFID読み取りアンテナアセンブリに紐付けられた第2の高透磁率層をさらに備えてもよい。第2の高透磁率層の各々は、複数の金属基板の上側金属の下面に動作可能に取り付け可能である。RFID読み取りアンテナアセンブリで発生する磁場に関して低磁気抵抗の経路を与えるために、第2の高透磁率層の各々は、関連するRFID読み取りアンテナアセンブリに対して機能的に位置合わせされ、複数の金属基板の下側金属基板の上面に動作可能に配置される。
【0014】
非限定的な実施の形態では、各RFID読み取りアンテナアセンブリは、複数の金属基板の上側金属基板の下面に動作可能に取り付け可能であってもよい。本システムは、複数の金属基板の下側金属の上面に動作可能に取り付け可能な少なくとも1つのさらなる第2の高透磁率層をさらに備えてもよい。RFID読み取りアンテナアセンブリで発生する磁場に関してさらなる低磁気抵抗の経路を与えるために、さらなる第2の高透磁率層の各々は、関連するRFID読み取りアンテナアセンブリに対して機能的に位置合わせされる。
【0015】
本開示は、インキュベータキャビネットに拡大される。このキャビネットは、容器と、容器内に変位可能に配置されたホルダーと、ホルダーで変位可能に受け取られる少なくとも1つの金属基板と、前述のいずれかに記載の在庫追跡システムと、を備える。金属基板は、RFIDタグが付与された物品を受け取るように構成された少なくと1つの区画を定義する。RFID読み取りアンテナアセンブリは、金属基板の少なくとも1つの区画に紐付けられる。
【0016】
本開示は、インキュベータキャビネットの部品に拡大される。この部品は、金属基板と、前述のいずれかに記載の在庫追跡システムのRFID読み取りアンテナアセンブリと、を備える。RFID読み取りアンテナアセンブリは、金属基板に取り外し可能に搭載される。
【0017】
本明細書全体を通じて、「備える」またはその変形である「備えている」という用語は、指定された要素、整数もしくはステップ、または、要素、整数もしくはステップのグループが含まれることを意味するが、他のいかなる要素、整数もしくはステップ、または、他のいかなる要素、整数もしくはステップのグループも排除されないことが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、例示を用いて本開示の非限定的な実施の形態を説明する。
【0019】
図1】容器、当該容器に配置されたフレームの形をしたホルダー、および各々がフレームに取り外し可能に受け取られるトレイの形をした金属基板を含むキャビネットの透視図である。
【0020】
図2図1に示されるキャビネットのトレイに受け取られる物品の追跡に使われる在庫追跡システムの非限定的な実施の形態の正面図である。
【0021】
図3図2に示されるシステムのトレイの1つの平面図である。在庫追跡システムのRFID読み取りアンテナアセンブリは、トレイに取り付けられる。4つの物品がトレイの上に受け取られる。各物品は、アンテナアセンブリの1つに紐付けられている。
【0022】
図4図3に示されるトレイに取り付けられたRFID読み取りアンテナアセンブリの側面の一部を示す模式図である。
【0023】
図5a図3に示されるRFID読み取りアンテナアセンブリの1つのアンテナコイルの非限定的な実施の形態を示す図である。
【0024】
図5b図3に示されるシステムのトレイで使われるアンテナアセンブリの別の非限定的な実施の形態の上面の模式図である。
【0025】
図6図1に示されるキャビネットの改良されたトレイに取り付けられた、在庫追跡システムのコネクタユニットの部品の側面の模式図である。
【0026】
図7】改良されたトレイの一部の平面断面の模式図である。図6に示されるコネクタユニットの部品が、コネクタユニットの他の部品に接続されている。
【0027】
図8a】使用中にキャビネットのトレイの1つに取り付けられた在庫追跡システムの一部の非限定的な実施の形態の側面断面図である。RFIDタグが付与された物品が、トレイの上に受け取られている。
【0028】
図8b】使用中にキャビネットのトレイの1つに取り付けられた在庫追跡システムの一部の別の非限定的な実施の形態の側面断面図である。RFIDタグが付与された物品が、トレイの上に受け取られている。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面において、一般に符号10は、キャビネット14で受け取られる追跡対象の物品12に使うための在庫追跡システムを示す。図1に示されるように、キャビネット14は、容器16と、容器16内に配置されるフレーム18の形をしたホルダーと、ドア17と、を含む。フレーム18の動作可能な垂直部の各々は、合成プラスチック材料のガイドブロック27と、サポートスタンション29と、を備える(図7)。キャビネット14はまた、金属基板を含む。これらの金属基板の各々は、トレイ20の形をしている。トレイ20の各々は、ハンドル23と、基部25と、を備える(図6-7)。トレイ20は、変位可能に(より具体的には、取り外し可能に)フレーム18に受け取られ、垂直方向に積層された状態で間隔を空けてフレーム18内に動作可能に配置される。
【0030】
図1に示されるキャビネット14の非限定的な実施の形態は、物品12のインキュベータである。例えば、キャビネットは撹拌器である。物品12の各々は、柔軟な(一般にはプラスチックの)バッグであって、体液(例えば、血液または血小板などの血液成分)を内蔵するものであってよい。各バッグの内蔵物は、撹拌される必要がある。従って、バッグ12の撹拌を可能とするために、フレーム18は、容器16に対して往復運動できるようにキャビネットの容器16内に取り付けられる。
【0031】
当業者は、取り外し可能にフレーム18に受け取られるトレイ20が1個だけでよいこと、トレイ20に受け取られる物品12が1個だけでもよいこと、およびキャビネット14はトレイ20を備えた任意の一般的なキャビネットでもよいことを理解できるだろう。
【0032】
図2に示される在庫追跡システム10の模式的な実施の形態において、トレイ20の各々は、複数のバッグ12を受け取るように構成される。バッグ12の各々は、RFIDタグ22が付与され、水平方向に間隔を空けて動作可能に配置される。典型的に、RFIDタグは、RFIDタグチップと、アンテナコイルと、を含んでもよい。在庫追跡システム10は、導電体キャリア26、28の形をした相補的部品を有する電気コネクタ配列24を含む。導電体キャリア26および28は、それぞれ、トレイ20およびフレーム18によって搭載される。詳細は後述するが、導電体キャリア26、28の各々は、プリント回路基板(PCB)の形をしている。
【0033】
各トレイ20に、1個のPCB26が取り付けられる。PCB26は、PCB26のトラックの形で導電体(図示しない)の組を搭載する。フレーム18の各サポートスタンション29に、1個のPCB28が取り付けられる。PCB28は、PCB28のトラックの形で一組の導電体(図示しない)の第2の組を搭載する。この非限定的な実施の形態では、各PCB28は、2つのプラスチックカバー19の間に配置される。PCB28およびプラスチックカバー19は、留具31を用いてサポートスタンション29に取り付けられる(図7)。PCB26とPCB28とは、電気接続部品36を用いて接続される。
【0034】
在庫追跡システム10はまた、RFIDタグ照合器30を含む。図2で模式的に示されるように、RFIDタグ照合器には、電気接続部品32を用いて、各PCB28が接続される。RFID照合器は、各バッグ12のRFIDタグ22を問い合わせるように構成される。RFIDタグ照合器30は、有線または無線接続を介して、コンピュータ(図示しない)に接続される。上記の通り、PCB26は各トレイ20に紐付けられる。これにより、RFIDタグ照合器12を用いた、キャビネット14内の各トレイ20上の各バッグ12のRFIDタグ22の照合が促進される。各PCB26は、コネクタユニット34を介して、PCB28の1つに接続される(図6-7)。
【0035】
図3は、キャビネット14のトレイ20の1つの非限定的な実施の形態を示す。トレイ20は、横方向に配置された複数の分割器を搭載する。これらの分割器は、複数の別々の区画38、40、42、44を定義する。RFIDタグ22が付与されたバッグ12はそれぞれ、これらの各区画に受け取られる。
【0036】
在庫追跡システム10はまた、複数のRFID読み取りアンテナアセンブリ100を含む。このアンテナアセンブリ100は、キャビネット14の各トレイ20の各区画38、40、42、44にそれぞれ紐付けられる。各アンテナアセンブリ100は、アンテナコイル102と、カバー(図示しない)と、フェライト層104の形をした高透磁率層と、を含む。各アンテナアセンブリ100のアンテナコイル102は、接点110、112の組で終端する。この接点110、112の組を介して、アンテナアセンブリ100は、PCB26の1つに接続する。さらに、各アンテナアセンブリ100は、トレイ20に取り付けられる。この非限定的な実施の形態では、フェライト層104は、トレイ20の上面35に動作可能に取り付けられる(図8aにも示される)。説明を目的に、図3ではアンテナアセンブリ100全体が示されるが、使用中に各バッグ12は、それぞれが紐付けられたアンテナアセンブリ100の上に置かれる。さらなる詳細は図6-7に示されるが、コネクタユニット34もまた示されている。
【0037】
区画38、40、42、44は、細長く、縦軸46を定義する。これに相応して各アンテナアセンブリ100は、細長く、縦軸106を定義する。アンテナアセンブリ100が、それぞれに紐付けられた区画38、40、42、44に取り付けられると、アンテナアセンブリ100の縦軸106は、区画38、40、42、44の縦軸46と同軸になる。このようにして、区画38、40、42、44のアンテナアセンブリ100を介した、RFIDタグ照合器30によるRFIDタグ22の照合を促進するために、区画38、40、42、44に紐付けられたバッグ12のRFIDタグ22と、アンテナアセンブリ100のアンテナコイル102と、は機能的に位置合わせされる。
【0038】
図5aに、アンテナコイル102の非限定的な実施の形態を示す。アンテナコイル102は、接点110、112の組で終端する。アンテナコイル102は、フェライト層104に取り付けられた細長いキャリア114の上に搭載される。図5aに示されるアンテナコイル102の非限定的な実施の形態は、複数の横方向に配置された部分116を有する。横方向に配置された部分116のいくつかは、縦軸106に関して互いに間隔を空けて配置される。アンテナコイル102は、RFIDタグ照合器30によって駆動され、RFIDタグ22を照合するために、矢印118で示される向きに電流を流すように構成される。
【0039】
上記のように、各バッグ12は血小板を内蔵する。血小板は、キャビネット14内に収容されている間、撹拌されていることが重要である。アンテナアセンブリ100が厚すぎると、アンテナアセンブリ100の両側および関連するトレイ20の表面35にステップが形成されるかもしれない。バッグ12はこのようなステップの上に配置され、ステップによる血小板のせき止め効果が生まれる可能性がある。これは望ましいことではない。従って、アンテナアセンブリ100、フェライト層104、細長いキャリア114およびカバーの各々の厚さは、それぞれ、1mm未満であり、好ましくは約0.1-0.5mmであり、例えば0.2mmである。これにより、ステップのサイズが縮小され、バッグ12内の血小板のせき止め効果が最小化される。図5aに示されるアンテナアセンブリ100の構成は、非限定的な実施の形態の1つに過ぎない。このようなストリップアンテナは、他にも多くの構成(複数のアンテナコイルを備えた構成を含む)が可能である。
【0040】
在庫追跡システム10の一部としてのフレーム18には、複数のアンテナアセンブリ100の配置があり得る。これらは同等の技術的効果を与えるだろう。
【0041】
図示される非限定的な実施の形態では、トレイ20は、孔を持ち、図4に示されるような複数の開口48を定義する。トレイ20の少なくとも1つの孔は、位置決め機構49を形成する。アンテナアセンブリ100は、位置決めピン108の形をした位置決め機構49の第2部分を含む。これらは、フェライト層104の下面に動作可能に搭載される。位置決めピン108は、開口48に取り外し可能に受け取られる。これにより、アンテナアセンブリ100を、トレイ20の区画38、40、42、44に取り付け、位置決めすることができる。位置決めピン108は、圧入により、開口48内に留まる。各アンテナアセンブリ100は、複数の位置決めピン108を備えてもよい。位置決めピン108の各々は、トレイ20の複数の開口48の1つに受け取られる。
【0042】
図5bに、アンテナアセンブリ100の第2の実施の形態を示す。このアンテナアセンブリ100は、細長いキャリア114上に縦方向に互い違いに配置された2つのアンテナコイル102a、102bを備える。前述の実施の形態に関し、特段の断りのない限り、同じ部品には同じ符号を付す。アンテナコイル102aと102bとを明確に区別するために、アンテナコイル102bは点線で示されている。さらに2つのアンテナコイル102a、102bは、互いにオフセットしたそれぞれの縦軸102a、102bとともに示されている。縦軸102a、102bは、細長いキャリア114の縦軸106とともに示されている。しかしこれらの目的は、説明を簡単にすることに過ぎない。特に2つのアンテナコイル102a、102bの縦軸102a、102bは、同軸であってもよい。アンテナコイル102a、102bの横方向に配置された部分116の組は、互いに縦方向に間隔を空けて配置される。アンテナコイル102a、102bの横方向に配置された部分116は、上記の図5aを参照して説明したものと同様に配置される。
【0043】
アンテナコイル102a、102bは、互いに同一の構成(この実施の形態では、横方向に配置された部分116の2つの対)を持つ。これらは、3つの連続したアンテナループを形成する。アンテナコイル102a、102bは、それぞれ接点110a、112a、110b、112bの組で終端する。バッグ12に紐付けられたRFIDタグ22を照合するために、アンテナコイル102a、102bは、それぞれ接点110a、112a、110b、112bおよびコネクタを介してRFIDタグ照合器30と通信し、RFIDタグ照合器30によって起動される。
【0044】
アンテナコイル102a、102bは、互いに連続的に駆動されるように構成される。代替的に、アンテナコイル102a、102bは、互い位相を外れて駆動されてもよい(より具体的には、アンテナコイル102a、102bは、互いに90°位相を外れて駆動されるように構成される)。当業者は、より多くの横方向に間隔空けて配置された部分116の対を与えるために、3つ以上のアンテナコイルがキャリアに搭載されてもよいことを理解するだろう。この場合、アンテナコイルが互いに位相を外れて駆動されるとき、相応して、アンテナコイルの駆動電流間の差も異なるだろう。
【0045】
図8aに示される非限定的な実施の形態では、各アンテナアセンブリ100は、関連する第2のフェライト層の形をした第2の高透磁率層62を有する。第2の高透磁率層62の各々は、少なくとも1つの位置決めピン(図示しない)を、トレイ20aの下面33を介して、複数の開口48の1つに動作的に圧入することにより、すぐ上のトレイ20の下面に動作可能に取り付けられる。第2のフェライト層62は、図4に示されたものと同様やり方で、下のトレイ20bの表面35に取り付けられたアンテナアセンブリ100と、機能的に位置合わせされる。第2のフェライト層62は、アンテナアセンブリ100で発生する磁場に関して低磁気抵抗の経路を与える。これにより、アンテナアセンブリ100と、バッグ12に搭載されるRFIDタグ22と、の間の相互インダクタンスが増加する。
【0046】
上記のように、各アンテナアセンブリ100は、なるべく薄く作成する必要がある。この場合、製造時の複雑さが増し、紐付けられたトレイ20から取り外されるときアンテナアセンブリ100が損傷するおそれがある。図8bに、システム10の他の非限定的な実施の形態を示す。前述の図面に関連して、特段の断りのない限り、同じ部品には同じ符号を付す。
【0047】
この非限定的な実施の形態では、各アンテナアセンブリ100は、トレイ20aの下面33を介して、位置決めピン108を複数の開口48の1つに動作的に圧入することにより、上のトレイ20aに取り付けられる(図4に示されるのと同じ方法で)。この非限定的な実施の形態では、再びアンテナアセンブリ100は、関連する第2のフェライト層62を有する。第2のフェライト層62の各々は、紐付けられたアンテナアセンブリ100に対して機能的に位置合わせするために、下のトレイ20bの上面35を介して、少なくとも1つの位置決めピン(図示しない)を複数の開口48の1つに動作的に圧入することにより、下のトレイ20bに取り付けられる。第2のフェライト層62は、アンテナアセンブリ100で発生する磁場に関して低磁気抵抗の経路を与えるのに役立つ。これにより、アンテナアセンブリ100と、バッグ12に搭載されるRFIDタグ22と、の間の相互インダクタンスが増加する。第2のフェライト層62は、薄く、1mm未満のオーダであり、例えば0.2mmの厚さである。これにより、ステップおよびフェライト層62に重なるバッグ12の潜在的なせき止め効果が低減する。
【0048】
この構成は、アンテナアセンブリ100を、最初により厚いフェライト層104を用いて製造し(なるべく薄くする必要はない)、次により厚いアンテナコイル102を用いて製造できるので、有利である。この非限定的な実施の形態は、より厚いフェライト層104が磁場を増加させ、アンテナアセンブリ100とバッグ12に搭載されるRFIDタグ22との間のRFIDの動作を向上させるというさらなる利点を持つ。より厚いアンテナコイル102は、最大3.5mmの厚さであり、例えば約1.6mmの厚さである。より厚いフェライト層104は、最大2.5mmの厚さであり、例えば約0.5mm以上1mm以下の厚さであり、典型的には0.5mmの厚さである。
【0049】
代替的な実施の形態では、アンテナの下に単一のフェライト層が使われてもよい。この実施の形態では、位置決めピンおよび第2のフェライト層62は不要である。
【0050】
PCB26を備えたトレイ20は、図6および7に、より詳細に示される。非限定的な実施の形態では、コネクタユニット34の第1の部品を収容するために、ブラケット50をハンドル23に取り付けることにより、現在のキャビネット14の各トレイ20の元のハンドル23は改良されている。コネクタユニット34の第1の部品は、端子ブロック52の形をしている。スプリングバイアスピン54の形をした弾性的に移動可能な接点が端子ブロック52搭載され、端子ブロック52から突出する。端子ブロック52およびピン54は、トレイ20の側面から横方向に延びるブラケット50bの部位55の基部53に取り付けられる。PCB26は、ブラケット50の基部53の内面に動作的に搭載される。端子ブロック52のピン54は、PCB26のトラックに接続される。
【0051】
非限定的な実施の形態では、現在のキャビネット14のフレーム18は、第2のPCB28の1つをフレーム18の各サポートスタンション29に取り付けることによって改良されている。第2のPCB28の各々は、コネクタユニット34の第2の部品を搭載する。この第2の部品は、接点キャリア57の形をしている。接点キャリア57には、固定接点56の組が搭載される。端子ブロック52のピン54の数に対する補数に相当する数の固定接点56が存在する。このコネクタユニット34は、トレイ20のアンテナアセンブリ100をフレーム18の頂部に搭載されたRFIDタグ照合器30に電気的に接続する、スプリングロードされた接点54、56の形をしている。コネクタユニット34は、他の構成、例えば第2のPCB28接続されたピン54や、PCB28に接続された接点56を有してもよいことが理解されるだろう。
【0052】
各アンテナアセンブリ100とRFIDタグ照合器30との間の接続を作るために、関係するトレイ20がフレーム18に挿入されて、フレーム18に関する完全ホームポジション58に挿入されると、ピン54が接点56との電気的接続を作る。
【0053】
トレイ20が完全ホームポジション58に留まるのを補助するため、在庫追跡システム10は、各トレイ20およびフレーム18に紐付けられた把持機構を含む。この非限定的な実施の形態では、把持機構は、PCBに関連して当該PCBに搭載される磁石60の形を取る。トレイ20は、強磁性材料で作られている。把持機構は、各トレイ20および磁石60の磁気に基づく。トレイ20を完全ホームポジション58に保持することにより、コネクタユニット34の接点56とピン54との間の電気的接続が最大化される。トレイ20をフレーム18に関する完全ホームポジションに保持するために、磁石の代わりに、ラッチなどの他の形式の把持機構が使われてもよいことが理解されるだろう。
【0054】
使用中、技術者は、摩擦係合その他の留具(図示しない)などを用いてブラケット50をトレイ20に取り付けることにより、現在のキャビネット14の現在のトレイ20の各々を改良してもよい。端子ブロック52は、好適な接着剤などを用いて、トレイ20の側面から横方向に延びるブラケット50に取り付けられる。
【0055】
トレイ20のPCB26は、好適な接着剤などを用いて、ブラケット50に取り付けられる。各アンテナアセンブリ100は、例えば、アンテナアセンブリ100の終端接点110、112をPCB26の紐付けられたトラックにハンダ付けすることにより、関連するPCB26に接続される。
【0056】
アンテナアセンブリ100のロケータ108は、トレイ20の開口48への圧入である。これにより、アンテナアセンブリ100は、トレイ20に紐付けられた区画38、40、42、44に取り付けられる。非限定的な実施の形態では、技術者は、例えば、各分割器21のロケータ(図示しない)をトレイ20に紐付けられた開口48に圧入することにより、トレイ20を定義する分割器21を実現してもよい。
【0057】
第2のPCB28の各々は、2つのプラスチックカバー19の間に配置され、技術者によって、例えば留具31や好適な接着剤その他の固定手段を用いて、フレーム18に取り付けられる。第2のPCB28は、キャビネット14のトレイ20ごとに一組の接点56と、1つの磁石60を搭載する。PCB28は、RFIDタグ照合器30に接続される。前述のように、RFIDタグ照合器30は、フレーム18の頂部15に動作可能に配置され、コンピュータに接続される。技術者は、各磁石60と各トレイ20との間の望ましい把持効果を発揮するために、各プラスチックカバー19の厚さを変えてもよいことが理解されるだろう。例えば、より厚いプラスチックカバー19は、各磁石60から各トレイ20までの磁場を減衰させるだろう。
【0058】
一旦、在庫追跡システム10がキャビネット14内に設置されると、ユーザはトレイ20の各区画にバッグ12を置く。各バッグ12は、それぞれに紐付けられたRFIDタグ22を有する。トレイ20は、完全ホームポジション58に移動される。このとき、ピン54および関連するコネクタユニット34接点56は、電気接続を形成する。磁石60は、各トレイが完全ホームポジション58に留まるのを補助する。
【0059】
各物品12のRFIDタグ22を照合するために、ユーザは、RFIDタグ照合器30および電気コネクタ配列24を用いて、各トレイ20のアンテナアセンブリ100を駆動する。
【0060】
有利には、在庫追跡システム10は、キャビネット14の実質的な再加工を必要とすることなく設置することができる。これは、電気コネクタ配列24が存在することによって、現在のトレイ20および現在のフレーム18を介して、アンテナアセンブリ100をRFIDタグ照合器30に接続する手段が与えられるからである。また電気コネクタ配列24が存在することによって、使用中、ドア17を閉じたままにしておくことができる。これにより、キャビネット14内で必要とされる環境条件を維持することができる。在庫追跡システム10を使うことによる在庫追跡能力により、高速かつ正確な棚卸しを行うことができる。さらにユーザが在庫に触れることなく、在庫の位置を特定し回収することができる。
【0061】
典型的なアプリケーションでは、トレイ20はインキュベータで使われる。この場合、温度を制御する必要がある。なぜなら、金属は効率のよい熱伝導体だからである。従って、トレイ20をプラスチック製とするのは望ましくない。有利には、在庫追跡システム10により、信号強度が増幅されたアンテナアセンブリ100を介して、在庫をトレイ20上で追跡することができる。
【0062】
さらにインキュベータ内のトレイ20は、換気のために、孔および開口48を有する。開口48で受け取られるロケータ108があることにより、フレーム18がキャビネット14に対して往復運動するとき、アンテナアセンブリ100とバッグ12のRFIDタグ22との間の相対移動が低減される。これは、信号強度を保つのに役立つ。
【0063】
さらに、RFIDタグ22は、ラベルの一部として、関連するバッグに適用され、バッグ12の外面に動作可能に接着される。ラベルは、バッグ12の外面上の任意の場所に適用してよい。従ってRFIDタグ22は、トレイ20の区画(ここにバッグ12が配置される)のアンテナアセンブリ100と最適に位置合わせされなくてもよい。細長いストリップアンテナアセンブリ100を使うことは、RFIDタグ22およびアンテナアセンブリ100の位置合わせの失敗を最小化するのに役立つ。また、バッグ12の周辺に温度制御流体を流す必要があるので、細長いストリップアンテナアセンブリ100を使うことにより、アンテナアセンブリ100によって塞がれる開口48の数を最小化することができる。これによりバッグ12の換気が改善される。
【0064】
在庫追跡システム10を含むように技術者が事後的に改造するのではなく、最初からオリジナルの機器の一部として、在庫追跡システム10を含んだキャビネット14を製造してもよいことが理解されるだろう。
【0065】
いくつかの実施の形態では、各トレイ20(またはトレイの群、例えばトレイの列)が、トレイ20の状態パラメータを表示する表示器11と紐付けられる。ある実施の形態の例では、各トレイは、発光ダイオード(LED)など(例えば2色LED)の光パネルまたは光表示器を含む。
【0066】
いくつかの実施の形態の例では、LEDは単一色であって、トレイ20が正しくホームポジションに置かれ、PCB26とPCB28との間の電気的接触が良好であることを示すのに使われる。電気的接触ができていない場合、LEDは点灯しない。別の実施の形態の例では、LEDは、コード化されたメッセージを表示するように構成される。例えば、LEDは、トレイ20の搭載状況を表すのに点滅するようプログラムされてもよい。例えば、LEDが点滅しているときは、トレイ20にいくつかの空いた区画があることを示してもよい。これにより、ユーザは、血小板バッグ12を、空きのあるトレイ20のどこに配置すればよいかを即座に知ることができる(例えば図3で、空いた区画42)。
【0067】
さらに別の実施の形態の例では、2色LEDが使われ、必要な様々なメッセージを示すようにプログラムされてもよい。例えば、トレイ20が正しくホームポジションに置かれていること(または置かれていないこと)、搭載状況、あるいはトレイに特別の注意が必要なことなどを示すのに、色の組み合わせや点滅の組み合わせ等が使われてもよい。
【0068】
LED表示器11により、ユーザは、例えばコンピュータインタフェースを必要とすることなく、キャビネット14と相互作用できる。この簡略化されたインタフェースにより、ユーザは、LEDの色やコードを容易に観察することができる。これにより、ユーザは、トレイ20が正しくホームポジションに置かれているか、バッグ12を追加するのにどのトレイに空きがあるか、どのトレイに特別の注意を払う必要があるか、等を知ることができる。
【0069】
以上、いくつかの、より適切な非限定的な実施の形態の概略を説明した。当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく、開示された非限定的な実施の形態に対する変形が可能であることが明らかだろう。従って、開示された非限定的な実施の形態は、より顕著な特徴および応用のいくつかの例示に過ぎない。非限定的な実施の形態を別の仕方で適用することにより、あるいは既知の方法で改良することにより、他の有益な結果が得られる。これは、本明細書で明示的に開示された様々な非限定的な実施の形態の間で、いくつかの特徴、要素および/または機能を組み合わせる(または、合わせる)ことを含む。これにより当業者は、特段の断りのない限り、ある実施の形態の特徴、要素および/または機能を他の実施の形態に適切に組み込めることを理解するだろう。以上の説明は特定の構成および方法に関するものであるが、それらの目的およびコンセプトは、他の構成およびアプリケーションに適用できる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b