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特許7480463温度補償機能を有するバイアス回路及び増幅装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-30
(45)【発行日】2024-05-10
(54)【発明の名称】温度補償機能を有するバイアス回路及び増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/30 20060101AFI20240501BHJP
   H03F 3/189 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
H03F1/30 210
H03F3/189
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019148963
(22)【出願日】2019-08-14
(65)【公開番号】P2020178333
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0045558
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、キュ ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジェ ヒー
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-303744(JP,A)
【文献】特開2006-352202(JP,A)
【文献】特開昭62-216417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電流に基づいて内部ベース電流を生成するように構成され、前記基準電流の端子と接地との間に互いに接続された第1ダイオード及び第2ダイオードを含む、電流生成回路と、
前記内部ベース電流に基づいてベースバイアス電流を生成し、前記ベースバイアス電流を増幅回路に出力するように構成されたバイアス出力回路と、
周囲の温度変化が反映された温度電圧のレベルに応じて、前記内部ベース電流のうち接地にシンクされる電流を調節し、前記ベースバイアス電流を調節するように構成された温度補償回路と、を含み、
前記電流生成回路は、前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの間の接続ノードにおいて前記温度電圧を出力するようにさらに構成され
前記内部ベース電流から接地にシンクされる電流は前記周囲の温度の上昇に反応して減少し、前記ベースバイアス電流は前記周囲の温度の上昇に反応して増加する、バイアス回路。
【請求項2】
前記電流生成回路は、
前記基準電流の端子に一端が接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端と第2抵抗の一端との間に直列に接続された前記第1ダイオード及び前記第2ダイオードと、
前記第2ダイオードと接地との間に接続された前記第2抵抗と、を含む、請求項1に記載のバイアス回路。
【請求項3】
前記第2ダイオードは、
前記増幅回路に含まれる増幅トランジスタのベース-エミッタPN接合の温度特性と同一の温度特性を有する、請求項に記載のバイアス回路。
【請求項4】
前記バイアス出力回路は、
前記第1抵抗と前記第1ダイオードとの間の第1接続ノードに接続されたベース、電源電圧の端子に接続されたコレクタ、及び出力端であるエミッタを有する出力トランジスタを含む、請求項またはに記載のバイアス回路。
【請求項5】
前記出力トランジスタは、
前記ベースに入力される前記内部ベース電流を増幅することで、前記ベースバイアス電流を前記エミッタを介して出力する、請求項に記載のバイアス回路。
【請求項6】
前記温度補償回路は、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの間の接続ノードに接続された一端を有する第3抵抗と、
前記出力トランジスタのベースに接続された一端を有する第4抵抗と、
前記第3抵抗の他端に接続されたベース、前記第4抵抗の他端に接続されたコレクタ、及び接地に接続されたエミッタを有する補償トランジスタと、
前記補償トランジスタのベースと接地との間に接続された第1キャパシタと、を含み、
前記第4抵抗は、前記補償トランジスタのコレクタと前記出力トランジスタのベースとの間のアイソレーション機能を提供し、
前記第3抵抗及び前記第1キャパシタはローパスフィルターを形成する、請求項またはに記載のバイアス回路。
【請求項7】
基準電流に基づいて内部ベース電流を生成する電流生成回路と、
前記内部ベース電流を増幅することで、ベースバイアス電流を生成して増幅回路に出力するバイアス出力回路と、
周囲の温度変化が反映された温度電圧に基づいて前記ベースバイアス電流を調節する温度補償回路と、を含み、
前記電流生成回路は、
前記基準電流の端子に一端が接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端と第2抵抗の一端との間に直列に接続された第1ダイオード及び第2ダイオードと、
前記第2ダイオードと接地との間に接続された前記第2抵抗と、を含み、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの間の接続ノードにおいて前記温度電圧を出力し、
前記バイアス出力回路は、
前記第1抵抗と前記第1ダイオードとの間の第1接続ノードに接続されたベース、電源電圧の端子に接続されたコレクタ、及び出力端であるエミッタを有する出力トランジスタを含み、
前記温度補償回路は、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの間の接続ノードに接続された一端を有する第3抵抗と、
前記出力トランジスタのベースに接続された一端を有する第4抵抗と、
前記第3抵抗の他端に接続されたベース、前記第4抵抗の他端に接続されたコレクタ、及び接地に接続されたエミッタを有する補償トランジスタと、
前記補償トランジスタのベースと接地との間に接続された第1キャパシタと、を含み、
前記第4抵抗は、前記補償トランジスタのコレクタと前記出力トランジスタのベースとの間のアイソレーション機能を提供し、
前記第3抵抗及び前記第1キャパシタはローパスフィルターを形成する、バイアス回路。
【請求項8】
前記補償トランジスタは、
前記温度電圧のレベルに応じて、前記内部ベース電流のうち接地にシンクされる電流を調節する、請求項に記載のバイアス回路。
【請求項9】
基準電流に基づいて内部ベース電流を生成するように構成され、前記基準電流の端子と接地との間に互いに接続された第1ダイオード及び第2ダイオードを含む、電流生成回路と、
前記内部ベース電流に基づいてベースバイアス電流を生成するように構成されたバイアス出力回路と、
前記ベースバイアス電流の供給を受けるように構成された増幅トランジスタを含む増幅回路と、
周囲の温度変化が反映された温度電圧のレベルに応じて、前記内部ベース電流のうち接地にシンクされる電流を調節し、前記ベースバイアス電流を調節するように構成された温度補償回路と、を含み、
前記電流生成回路は、前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの間の接続ノードにおいて前記温度電圧を出力するようにさらに構成され
前記内部ベース電流からシンクする電流は前記周囲の温度の上昇に反応して減少し、前記ベースバイアス電流は前記周囲の温度の上昇に反応して増加する、増幅装置。
【請求項10】
前記電流生成回路は、
前記基準電流の端子に一端が接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端と第2抵抗の一端との間に直列に接続された前記第1ダイオード及び前記第2ダイオードと、
前記第2ダイオードと接地との間に接続された前記第2抵抗と、を含む、請求項に記載の増幅装置。
【請求項11】
前記第2ダイオードは、
前記増幅トランジスタのベース-エミッタPN接合の温度特性と同一の温度特性を有する、請求項10に記載の増幅装置。
【請求項12】
前記バイアス出力回路は、
前記第1抵抗と前記第1ダイオードとの間の第1接続ノードに接続されたベース、電源電圧の端子に接続されたコレクタ、及び出力端であるエミッタを有する出力トランジスタを含む、請求項10または11に記載の増幅装置。
【請求項13】
前記出力トランジスタは、
前記ベースに入力される前記内部ベース電流を増幅することで、前記ベースバイアス電流を前記エミッタを介して出力する、請求項12に記載の増幅装置。
【請求項14】
前記温度補償回路は、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの間の接続ノードに接続された一端を有する第3抵抗と、
前記出力トランジスタのベースに接続された一端を有する第4抵抗と、
前記第3抵抗の他端に接続されたベース、前記第4抵抗の他端に接続されたコレクタ、及び接地に接続されたエミッタを有する補償トランジスタと、
前記補償トランジスタのベースと接地との間に接続された第1キャパシタと、を含み、
前記第4抵抗は、前記補償トランジスタのコレクタと前記出力トランジスタのベースとの間のアイソレーション機能を提供し、
前記第3抵抗及び前記第1キャパシタはローパスフィルターを形成する、請求項12または13に記載の増幅装置。
【請求項15】
基準電流に基づいて内部ベース電流を生成する電流生成回路と、
前記内部ベース電流を増幅することで、ベースバイアス電流を生成するバイアス出力回路と、
前記ベースバイアス電流の供給を受ける増幅トランジスタを含む増幅回路と、
周囲の温度変化が反映された温度電圧に基づいて前記ベースバイアス電流を調節する温度補償回路と、を含み、
前記電流生成回路は、
前記基準電流の端子に一端が接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端と第2抵抗の一端との間に直列に接続された第1ダイオード及び第2ダイオードと、
前記第2ダイオードと接地との間に接続された前記第2抵抗と、を含み、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの間の接続ノードにおいて前記温度電圧を出力し、
前記バイアス出力回路は、
前記第1抵抗と前記第1ダイオードとの間の第1接続ノードに接続されたベース、電源電圧の端子に接続されたコレクタ、及び出力端であるエミッタを有する出力トランジスタを含み、
前記温度補償回路は、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとの間の接続ノードに接続された一端を有する第3抵抗と、
前記出力トランジスタのベースに接続された一端を有する第4抵抗と、
前記第3抵抗の他端に接続されたベース、前記第4抵抗の他端に接続されたコレクタ、及び接地に接続されたエミッタを有する補償トランジスタと、
前記補償トランジスタのベースと接地との間に接続された第1キャパシタと、を含み、
前記第4抵抗は、前記補償トランジスタのコレクタと前記出力トランジスタのベースとの間のアイソレーション機能を提供し、
前記第3抵抗及び前記第1キャパシタはローパスフィルターを形成する、増幅装置。
【請求項16】
前記補償トランジスタは、
前記温度電圧のレベルに応じて、前記内部ベース電流のうち接地にシンクされる電流を調節する、請求項15に記載の増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度補償機能を有するバイアス回路及び増幅装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線通信システムには送信信号を増幅するための増幅装置が含まれている。無線通信システムのマルチメディアサービスの拡散に伴い、高速通信機能の需要を満たすために、継続的な技術の開発ならびに広帯域特性及び非線形特性を改善するための研究が続いている。
【0003】
増幅装置において、HBT(Hetero-junction Bipolar Transistor)などのパワーアンプ(Power amplifier)の線形性とバイアスレベル(bias level)には深い関わりがある。一般に、パワートランジスタ(power transistor)が高いレベルでバイアスされたとき、優れた線形性を有するようになる。
【0004】
しかし、増幅装置が高温で動作する場合、HBT(Hetero-junction Bipolar Transistor)素子の温度特性により、ベース-エミッタ(base-emitter)間のPN接合(P-N junction)のターンオン(Turn-on)電圧(Vth)が低くなるにつれて、ベースバイアスレベル(base bias level)もともに低くなるという問題を有する。
【0005】
そこで、高温動作で低くなるベースバイアスレベル(base bias level)により、パワーアンプの線形性が低下するという問題がある。かかる問題を克服するために、高温動作時にアンプが外部バイアスの電流量を増加させるPTAT(Proportion to Absolute Temperature)バイアスを用いるなどという解決方法が提案されているが、かかる方法には、HBTパワートランジスタの温度を正確に感知しなければならないなどという技術的難しさや、それを実現するための外部回路がさらに必要となり、増幅装置に含まれる回路がさらに複雑となるなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許第2004-0028963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的のうちの一つは、電流バイアス回路において、周囲の温度変化を反映するダイオードの温度特性及び電流シンク方式を用いることにより、周囲の温度に応じて変動することができるベースバイアス電流を補償するバイアス回路及び増幅装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、基準電流に基づいて内部ベース電流を生成する電流生成回路と、上記内部ベース電流を増幅することで、ベースバイアス電流を生成して増幅回路に出力するバイアス出力回路と、周囲の温度変化が反映された温度電圧に基づいて上記ベースバイアス電流を調節する温度補償回路と、を含むバイアス回路が提案される。
【0009】
また、本発明の他の一実施形態によると、基準電流に基づいて内部ベース電流を生成する電流生成回路と、上記内部ベース電流を増幅することで、ベースバイアス電流を生成するバイアス出力回路と、上記ベースバイアス電流の供給を受ける増幅トランジスタを含む増幅回路と、周囲の温度変化が反映された温度電圧に基づいて上記ベースバイアス電流を調節する温度補償回路と、を含む増幅装置が提案される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によると、電流バイアス回路において、周囲の温度変化を反映するダイオードの温度特性及び電流シンク方式を用いることにより、周囲温度に応じて変動することができるベースバイアス電流を補償することで、温度変化に伴う利得偏差(Gain deviation)、AM-AM歪み偏差、及び線形性偏差などの性能偏差を改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による増幅装置の一例示図である。
図2】本発明の一実施形態によるバイアス回路及び増幅回路の一例示図である。
図3】本発明の一実施形態によるバイアス回路及び増幅回路の一例示図である。
図4】本発明の一実施形態による増幅装置を適用した一例示図である。
図5】温度-静止電流(Quiescent current)特性を示すグラフである。
図6a】温度変化に伴う出力パワー-利得特性を示すグラフである。
図6b】温度変化に伴う出力パワー-利得特性を示すグラフである。
図7a】温度変化に伴う出力パワー-AM-AM歪み特性を示すグラフである。
図7b】温度変化に伴う出力パワー-AM-AM歪み特性を示すグラフである。
図8a】温度変化に伴う出力パワー-ACLR特性を示すグラフである。
図8b】温度変化に伴う出力パワー-ACLR特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0013】
図1は本発明の一実施形態による増幅装置の一例図である。
【0014】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による増幅装置は、制御回路100及びパワー増幅回路200を含むことができる。
【0015】
上記制御回路100は、基準電流回路110を含むことができる。上記基準電流回路110は、基準電流Irefを生成することで、上記パワー増幅回路200に出力することができる。
【0016】
上記パワー増幅回路200は、バイアス回路210、温度補償回路230、及び増幅回路250を含むことができる。
【0017】
図2は本発明の一実施形態によるバイアス回路及び増幅回路の一例示図である。
【0018】
図1及び図2を参照すると、上記バイアス回路210は、電流生成回路211及びバイアス出力回路212を含むことができる。
【0019】
上記電流生成回路211は、基準電流Irefに基づいて内部ベース電流I10を生成することができる。一例として、上記電流生成回路211は、第1抵抗R11、第1ダイオードD11、及び第2ダイオードD12を含むことができる。
【0020】
上記第1抵抗R11は、上記基準電流Irefの端子に一端が接続され、上記第1ダイオードD11のアノードに他端が接続されることができる。
【0021】
上記第1ダイオードD11及び第2ダイオードD12は、上記第1抵抗R11の他端と接地との間に直列に接続されることができる。上記第1ダイオードD11は、上記第1抵抗R11の他端に接続されたアノード、及び上記第2ダイオードD12のアノードに接続されたカソードを含むことができる。そして、上記第2ダイオードD12は、上記第1ダイオードD12のカソードに接続されたアノードと、接地に接続されたカソードを含むことができる。
【0022】
本発明の各図面において、同一の符号及び同一の機能を行う構成要素に対してはできる限り不要な重複説明が省略されることができ、各図面についての差異点が説明されることができる。
【0023】
図3は本発明の一実施形態によるバイアス回路及び増幅回路の一例示図である。
【0024】
図3を参照すると、上記電流生成回路211は、第1抵抗R11、第1ダイオードD11、第2ダイオードD12、及び第2抵抗R12を含むことができる。
【0025】
上記第1抵抗R11は、上記基準電流Irefの端子に一端が接続され、上記第1ダイオードD11のアノードに他端が接続されることができる。上記第1ダイオードD11及び第2ダイオードD12は、上記第1抵抗R11の他端と第2抵抗R12の一端との間に直列に接続されることができる。上記第1ダイオードD11は、上記第1抵抗R11の他端に接続されたアノード、及び上記第2ダイオードD12のアノードに接続されたカソードを含むことができる。そして、上記第2ダイオードD12は、上記第1ダイオードD12のカソードに接続されたアノード、及び第2抵抗R12の一端に接続されたカソードを含むことができる。上記第2抵抗R12は、上記第2ダイオードD12のカソードに接続された一端、及び接地に接続された他端を含むことができる。
【0026】
上記電流生成回路211は、上記第1ダイオードD11と第2ダイオードD12との間の接続ノードNAにおいて上記温度電圧VTを上記温度補償回路230に出力することができる。一例として、第2ダイオードD12は、上記増幅トランジスタM50のベース-エミッタPN接合の温度特性と同一の温度特性を有することができる。
【0027】
例えば、上記増幅トランジスタM50の温度特性が上記第2ダイオードD12の温度特性と同一であると、温度変化に応じて、上記増幅トランジスタM50において臨界電圧(Vth)が変化する変化量の分だけ上記第2ダイオードD12においても臨界電圧(Vth)が変化するようになる。
【0028】
これにより、温度変化に伴う上記増幅トランジスタM50において臨界電圧の変動が発生すると、上記第2ダイオードD12においても臨界電圧(Vth)の変動が発生する。したがって、上記増幅トランジスタM50の温度補償のために、上記第1ダイオードD11と第2ダイオードD12との間の接続ノードNAにおいて温度変化が反映された温度電圧VTが出力されることができる。
【0029】
次に、上記バイアス出力回路212は、上記内部ベース電流I12を増幅することにより、ベースバイアス電流Ibbを生成して増幅回路250に出力することができる。
【0030】
上記バイアス出力回路212は、出力トランジスタM20を含むことができる。上記出力トランジスタM20は、上記第1抵抗R11と上記第1ダイオードD11との間の第1接続ノードN1に接続されたベースNC、電源電圧VBATの端子に接続されたコレクタ、及び出力端であるエミッタを含むことができる。
【0031】
上記出力トランジスタM20は、上記ベースNCに入力される上記内部ベース電流I12を増幅することにより、上記ベースバイアス電流Ibbを上記出力トランジスタM20のエミッタを介して上記増幅回路250に出力することができる。
【0032】
上記温度補償回路230は、周囲の温度変化が反映された温度電圧VTに基づいて上記ベースバイアス電流Ibbを調節することができる。
【0033】
例えば、図2を参照すると、上記温度補償回路230は、補償トランジスタM30を含むことができる。図3を参照すると、上記温度補償回路230は、第3抵抗R31、第4抵抗R32、補償トランジスタM30、及び第1キャパシタC31を含むことができる。
【0034】
上記第3抵抗R31は、上記第1ダイオードと第2ダイオードとの間の接続ノードに接続された一端、及び上記補償トランジスタM30のベースに接続された他端を含むことができる。
【0035】
上記第4抵抗R32は、上記出力トランジスタM20のベースに接続された一端、及び上記補償トランジスタM30のコレクタに接続された他端を含むことができる。
【0036】
上記補償トランジスタM30は、第3抵抗R31の他端に接続されたベース、上記第4抵抗R32の他端に接続されたコレクタ、及び接地に接続されたエミッタを含むことができる。
【0037】
そして、第1キャパシタC31は、上記補償トランジスタM30のベースと接地との間に接続されることができる。
【0038】
上記補償トランジスタM30は、上記温度電圧VTのレベルに応じて、上記内部ベース電流I10のうち接地にシンクされる電流I11の量を調節することができる。これにより、上記出力トランジスタM20のベースに供給される電流I12が調節されることができ、結果として上記出力トランジスタM20を介して提供されるベースバイアス電流Ibbは、上記出力トランジスタM20のベースに入力される電流I12に応じて調節されることができる。
【0039】
例えば、周囲の温度変化は温度電圧VTに反映され、温度電圧VTに基づいて接地にシンクされる電流I11の量が調節されることにより、上記出力トランジスタM20を介して提供されるベースバイアス電流Ibbが温度変化に適応的に調節されることができる。したがって、温度変化に応じて変動するベースバイアス電流Ibbが適応的に補償されることができ、結果として温度変化に伴う上記ベースバイアス電流の変化量は減少することができる。
【0040】
上記第3抵抗R31及び上記第1キャパシタC31は、ローパスフィルター(low pass filter)を形成することができ、上記ローパスフィルターにより、上記補償トランジスタM30が、温度に応じて、適応的に(adaptive)に動くDCバイアス点による影響を反映することができる。
【0041】
そして、上記第4抵抗R32は、上記出力トランジスタM20のベースと上記補償トランジスタM30のコレクタとの間に抵抗値を提供することで、上記出力トランジスタM20のベースのRF信号と上記補償トランジスタM30のコレクタとの間でアイソレーション(isolation)を強化する機能を行う。
【0042】
また、上記増幅回路250は、上記ベースバイアス電流Ibbの供給を受ける増幅トランジスタM50を含むことができる。
【0043】
一例として、上記増幅トランジスタM50では、上記ベースバイアス電流Ibbがベース抵抗RBを介してベースに供給され、入力端INを介して入力された信号が第1直流ブロッキングキャパシタCB1を介してベースに入力される。そして、上記増幅トランジスタM50は、入力された信号を増幅することで、増幅された信号をコレクタに接続された第2直流ブロッキングキャパシタCB2を介して出力端OUTに出力する。
【0044】
まとめると、低温では、増幅トランジスタM50のベースバイアス点が高まるにつれて、増幅トランジスタM50を介して流れる電流及びパワー利得(Power gain)が増加するようになる。この場合、本発明の温度補償回路230の動作により、接地にシンクされる電流I11を増加させることで、出力トランジスタM20のベース電流I12を減少させる。これにより、上記出力トランジスタM20を介して出力されるベースバイアス電流を減少させることができ、結果的に上記増幅トランジスタM50を介して流れる電流の上昇幅を小さくすることができる。
【0045】
換言すれば、増幅トランジスタM50が低温で動作する場合、常温動作条件に比べて温度電圧VTは高くなる。これにより、補償トランジスタM30のベース電圧も高くなる。補償トランジスタM30のベース電圧が高くなると、補償トランジスタM30を介して接地にシンクされる電流I11が大きくなり、出力トランジスタM20のベース電流I12は比較的小さくなる。結果的に、増幅トランジスタM50のベース電圧は低くなる。したがって、補償トランジスタM30を用いることにより、増幅トランジスタM50のベース電圧を下げることで温度補償効果を奏することができる。
【0046】
これに対し、高温では、増幅トランジスタM50のベースバイアス点が低くなり、増幅トランジスタM50を介して流れる電流及びパワー利得(Power gain)が減少するようになる。この場合、本発明の温度補償回路230の動作により、接地にシンクされる電流I11を減少させることで、出力トランジスタM20のベース電流I12を増加させる。これにより、上記出力トランジスタM20を介して出力されるベースバイアス電流を増加させることができ、結果的に上記増幅トランジスタM50を介して流れる電流の減少幅を小さくすることができる。
【0047】
換言すれば、増幅トランジスタM50が高温で動作する場合、常温動作条件に比べて温度電圧VTは低くなる。これにより、補償トランジスタM30のベース電圧も低くなる。補償トランジスタM30のベース電圧が低くなると、補償トランジスタM30を介して接地にシンクされる電流I11が小さくなり、出力トランジスタM20のベース電流I12は比較的高くなる。結果的に、増幅トランジスタM50のベース電圧を高めることができる。したがって、補償トランジスタM30を用いることにより、増幅トランジスタM50のベース電圧を高めることで、高温でも温度補償効果を奏することができる。
【0048】
一方、上記電流生成回路211において、上記第1ダイオードD11及び第2ダイオードD12はそれぞれ、HBTのベースとコレクタをダイオード接続(Diode-connection)することで、PNダイオードで形成されることができる。第1抵抗R11及び第2抵抗R12は、常温で適切なバイアス点を形成するためのバイアス抵抗である。
【0049】
図4は本発明の一実施形態による増幅装置を適用した一例示図である。
【0050】
図4を参照すると、本発明の一実施形態による増幅装置は、3つの第1パワー増幅回路201、第2パワー増幅回路202、及び第3パワー増幅回路203を有する3-ステージパワー増幅回路に適用することができる。第1増幅回路201は、第1バイアス回路210-1及び第1増幅回路250-1、A1を含むことができる。第2増幅回路202は、第2バイアス回路210-2及び第2増幅回路250-2、A2を含むことができる。第3増幅回路203は、第3バイアス回路210-3及び第3増幅回路250-3、A3を含むことができる。
【0051】
本発明の温度補償回路230は、上記第1パワー増幅回路201、第2パワー増幅回路202、及び第3パワー増幅回路203のうち少なくとも一つに適用することができる。
【0052】
図4には、3ステージの第1パワー増幅回路201、第2パワー増幅回路202、及び第3パワー増幅回路203のうち、温度に伴う性能の変化に大きな影響を及ぼす最終ステージ(final stage)である第3増幅回路203に適用された例が示されている。
【0053】
図5は温度-静止電流(Quiescent current)特性を示すグラフである。
【0054】
図5に示すグラフは、図4の3-ステージの第1パワー増幅回路201、第2パワー増幅回路202、及び第3パワー増幅回路203のうち、最終ステージ(final stage)である第3増幅回路203に本発明のバイアス回路が適用された場合に対して、温度に伴う静止電流(Quiescent current)をシミュレーションした結果に基づく温度-静止電流(Quiescent current)特性を示すグラフである。
【0055】
図5に示すG11は、従来のバイアス回路の温度-静止電流(Quiescent current)特性を示すグラフであり、G12は、本発明のバイアス回路の温度-静止電流(Quiescent current)特性を示すグラフである。
【0056】
図5に示すG11及びG12は、-30℃(低温)、25℃(常温)、及び80℃(高温)の3地点でシミュレーションを行った結果である。G11及びG12を参照すると、従来のバイアス回路を適用した場合には、温度に伴う静止電流(Quiescent current)の偏差が32mA(62mA~94mA)レベルであったが、本発明の温度補償回路を含むバイアス回路を適用すると、温度に伴う静止電流(Quiescent current)の偏差が10mA(74mA~84mA)とその偏差が減り、温度に伴うバイアス点(bias point)の偏差を約1/3のレベルに減らすことができる。
【0057】
図6aは従来のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-利得特性を示すグラフであり、図6bは本発明のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-利得特性を示すグラフである。
【0058】
図6aに示すG21、G22、及びG23はそれぞれ、-30℃(低温)、25℃(常温)、及び80℃(高温)のそれぞれの3地点における、従来のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-利得特性を示すグラフである。そして、図6bに示すG31、G32、及びG33はそれぞれ、-30℃(低温)、25℃(常温)、及び80℃(高温)のそれぞれの3地点における、本発明のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-利得特性を示すグラフである。
【0059】
図6aに示すG21、G22、及びG23を参照すると、従来のバイアス回路を適用した場合には、温度に伴うパワー利得(power gain)の偏差が最大2.2dBレベルであったが、図6bに示すG31、G32、及びG33を参照すると、本発明の温度補償回路を有するバイアス回路を適用すると、約1.5dBと偏差が減少したことが確認できる。
【0060】
図7a及び図7bは温度変化に伴う出力パワー-AM-AM歪み特性を示すグラフである。
【0061】
図7aは従来のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-AM-AM歪み特性を示すグラフであり、図7bは本発明のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-AM-AM歪み特性を示すグラフである。
【0062】
図7aに示すG41、G42、及びG43はそれぞれ、-30℃(低温)、25℃(常温)、及び80℃(高温)のそれぞれの3地点における、従来のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-AM-AM歪み特性を示すグラフである。そして、図7bに示すG51、G52、及びG53はそれぞれ、-30℃(低温)、25℃(常温)、及び80℃(高温)のそれぞれの3地点における、本発明のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-AM-AM歪み特性を示すグラフである。
【0063】
図7aに示すG41、G42、及びG43を参照すると、従来のバイアス回路を適用した場合には、温度変化に伴う出力パワー-AM-AM歪みの偏差が0.7dB水準であったが、図7bに示すG51、G52、及びG53を参照すると、本発明のバイアス回路を適用した場合には、温度変化に伴う出力パワー-AM-AM歪みの偏差が約0.3dB程度と減少したことが確認できる。
【0064】
図8a及び図8bは温度変化に伴う出力パワー-ACLR特性を示すグラフである。
【0065】
図8aは従来のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-ACLR(Adjacent Channel Leakage Ratio)特性を示すグラフであり、図8bは本発明のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-ACLR特性を示すグラフである。
【0066】
図8aに示すG61、G62、及びG63はそれぞれ、-30℃(低温)、25℃(常温)、及び80℃(高温)のそれぞれの3地点における、従来のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-ACLR特性を示すグラフである。そして、図8bに示すG71、G72、及びG73はそれぞれ、-30℃(低温)、25℃(常温)、及び80℃(高温)のそれぞれの3地点における、本発明のバイアス回路による温度変化に伴う出力パワー-ACLR特性を示すグラフである。
【0067】
図8aに示すG61、G62、及びG63を参照すると、従来のバイアス回路を適用した場合には、温度変化に伴う出力パワー-ACLR性能が5.5dBまで低下したが、図8bに示すG71、G72、及びG73を参照すると、本発明のバイアス回路を適用した場合には、温度変化に伴う出力パワー-ACLR性能は最大2.5dBと線形性の低下幅を減らすことができる点が確認できる。
【0068】
一方、本発明の一実施形態による増幅装置の制御回路は、プロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、マイクロプロセッサ、注文型半導体(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、FPGA(Field Programmable Gate Arraysなど)、メモリ(例えば、揮発性メモリ(例えば、RAMなど)、不揮発性メモリ(例えば、ROM、フラッシュメモリなど)、入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチ入力デバイス、赤外線カメラ、ビデオ入力デバイスなど)、出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、プリンタなど)、及び通信接続装置(例えば、モデム、ネットワークインタフェースカード(NIC)、統合型ネットワークインタフェース、無線周波数送信機/受信機、赤外線ポート、USB接続装置など)が互いに相互接続(例えば、周辺の構成要素との相互接続(PCI)、USB、ファームウェア(IEEE 1394)、光学バス構造、ネットワークなど)されたコンピューティング環境で実現されることができる。
【0069】
上記コンピューティング環境は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、モバイルデバイス(モバイルフォン、PDA、メディアプレーヤーなど)、マルチプロセッサシステム、消費者電子機器、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、任意の上述のシステムまたはデバイスを含む分散コンピューティング環境などで実現されることができるが、これに限定されない。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0071】
100 制御回路
110 基準電流回路
200 パワー増幅回路
210 バイアス回路
211 電流生成回路
212 バイアス出力回路
230 温度補償回路
250 増幅回路
M20 出力トランジスタ
M30 補償トランジスタ
M50 増幅トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b